カテゴリー
45 MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2024#02 エフェヴィガ雄志 キム・ミンヒュン 修斗

【Shooto2024#02】エフェヴィガ、スタンドでRNCを極めて一本勝ち。修斗3戦3勝・MMA戦績7戦7勝に

【写真】圧勝、そしてマイクもインパクト大(C)MATSUNAO KOKUBO

<ライト級/5分3R>
エフェヴィガ雄志(日本)
Def.1R by RNC
キム・ミンヒュン(韓国)

サウスポーのエフェヴィガが左ミドル、左ストレートから組む。ケージで四つ組の攻防になると、ミンヒュンが態勢を入れかえる。エフェヴィガもミンヒュンを押し返し、足をかけてテイクダウンを奪うと膝立ちの状態からボディにパンチを入れる。立ち上がって思い切りパンチを落とすエフェヴィガ。ミンヒュンのガードからの攻撃をさばきつつパンチを落とす。ミンヒュンが亀になると、バックを取って両足をフックする。ミンヒュンが立ち上がると、エフェヴィガはそのままバックキープしてRNCで一本勝ちした。

試合後、エフェヴィガは「これで修斗で3試合全部フィニッシュして、7戦7勝で来ることができました。試合で負けるかもしれないけど、自分はこうやってチャレンジしています。それが自分の仕事です。今回キム選手が試合を受けてくれるまで、何人も日本人選手に試合を断られました。その人たちはこの仕事をやめた方がいいと思います。僕はこれからもチャレンジするし、みなさんが楽しんでくれる試合をします」というマイクで大会を締めた。


The post 【Shooto2024#02】エフェヴィガ、スタンドでRNCを極めて一本勝ち。修斗3戦3勝・MMA戦績7戦7勝に first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA DEEP F1 MMA MMAPLANET o RENA RIZIN RIZIN LANDMARK09 UFC アキラ イゴール・タナベ キック シン・ユリ ストラッサー起一 ダイキ・ライトイヤー デミアン・マイア フランク・カマチョ ブアカーオ・バンチャメーク ホベルト・サトシ・ソウザ 中村K太郎 中村優作 久保優太 井上直樹 佐藤将光 修斗 山本アーセン 武田光司 江藤公洋 萩原京平 貴賢神 金太郎 高橋遼伍

【RIZIN LANDMARK09】サトシ戦へ。RIZINライト級の逆・黒船=中村K太郎「キャンって言わせてやります」

【写真】この後、DEEPライト級王者となる江藤公洋と国内ライト級トップ・ガチスパー(C)MMAPLANET

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09で、ホベルト・サトシ・ソウザと戦う中村K太郎。
Text by Manabu Takashima

国内ウェルター級最強の男が、実に10年振りにライト級に階級を落としてくる。UFC参戦2度、修斗、DEEP、戦極とJ-MMAのトップに君臨したK太郎は、RIZINライト級勢にとって逆・黒船といえる。

いきなりのチャンピオンとのノンタイトル戦が、今後のRIZINライト級戦線にどのような影響を与えるのか。江藤公洋との激しすぎるMMAスパーの後で、K太郎に話を訊いた。


──ここにきてライト級に転向。会見では「自然と痩せてきた」ということを言われていましたが、真相の方は?

「本当に加齢なのか、そんなに食欲もなくて。普段通りに練習をしていたら、70キロ代に落ちることも普通にあって。そうなるとウェルター級でやることは難しい。それにライト級の方が層が厚いですし、RIZINで戦っていく上でも戦いたい相手、盛り上がる相手が多いので落としました」

──最後のライト級がいつだったのか、サッと思い出せないレベルです。

「いつだろう……アドリアン・マルチンス戦ですかね(2008年9月23日)。元々ウェルター級で最初にUFCと契約した時の3戦目でライト級に初めて落として(ロブ・エマーソン戦、2008年2月2日)。あぁ、でもマルチンス戦の後もライト級でやっていますね。それからもウェルター級の試合が多かったですけど、(携帯で戦績をチェックしながら)PXCでフランク・カマチョに判定負けした時(2014年2月28日)が、ライト級で戦った最後の試合です」

──いずれにせよ10年ぶり以上のライト級マッチということになります。カマチョ戦後にウェルター級一本になったのは?

「減量がきつ過ぎました。『これは、何試合も戦うのは難しい』という感じになりました」

──それが10年を経て、ライト級に。加齢が原因だと体重を落とすのは難しいかと思うのですが、代謝が落ちて。

「さっきも言いましたけど、食が細くなってきたので。そもそもウェルター級の最初の頃はナチュラルで戦っていました。減量がないぐらいだったので、頑張って増やして。それで最大92、93キロぐらいまで行って。でも試合が定期的だったわけでもなくて、食事もウェルター級の体格を維持しようという意識もなくて。そうなると段々と細くなってきました。食べるモノが変わったというのもあるかと思います。以前はカロリーの高いモノを摂っていて、それでも周囲のウェルター級の選手ほどは食べていなかったですけど」

──そこから年を重ね、食事の内容も変わったと。

「そうですね、単純に量が減り、脂っこいモノもたくさんは食べないです」

──細くなってストレングス、パワー、瞬発力系の動きは?

「多少落ちたと思います(笑)。まぁ、質力が落ちていることが心配されますけど、適正階級になりスピードが上がったり、柔軟性が増しました。動きやすくなっている面もあるので、そんなに心配はしていないです」

──何よりライト級転向初戦がホベルト・サトシ戦。ウェルター級とはチャンスの数が明白に違います。

「いきなり……評価されているのか、有難いです。ビックリしました」

──K太郎選手自身は、一発目は誰と考えていましたか。

「矢地(祐介)です(笑)」

──アハハハ、後輩だけに呼び捨てで。

「ハイ。武田(光司)選手とかもあるかと思っていたのですが、フェザー級に落としたので。でもサトシになって嬉しいです」

──チャンピオンとノンタイトル戦とはいえ、いきなりの大チャンス。今日は江藤公洋選手とのMMAスパーを拝見させていただいたのですが、打撃をしっかりと入れて際も遠慮がない。テイクダウンと組みの強い2人のガチスパーは、柔術家のサトシ選手と戦ううえでも生きる練習に感じました。

「その通りです。組みは全力で、打撃はそうじゃないというのが普通の練習なので。そのなかで週に一度、この練習があるのは大きいですね」

──ではグラップリングの練習は誰と?

「アキラ選手、村山(暁洋)さん、それと泉武司選手とやっています」

──サトシ戦が決まっても、柔術系とは練習をしていないのですか。

「そっちの人とはそんなに……。そもそも寝技の展開を創らせなければ怖くないので。MMAの選手とグラップリングをやっていると、上の取り合いになって。そこが強化されれば、良いので。際の打撃、その前とか自分からタイミングを創ることがキーポイントになると思います。

タイロン・ウッドリーとデミアン・マイア戦ですね。UFC史上、一番多くのテイクダウンをアタックしたマイアが全て返された。ただし、ああいう風に突き放すだけでなく打撃を入れます」

──引き込んで来られたら。

「そこは付き合わないで、立てば良い」

──う~ん、上手くハマれば万人受けするファイトにはならない(笑)。

「残念ながら(笑)」

──ADCC世界大会4位、グラップリングでも生けるのではないかと期待しているのですが。

「まぁ、そうですね(微笑)。サトシもグラップリングでは、道着ほど大きなタイトルを取っていないですしね。だから、そこも自信がないわけじゃないので。スタイル的にもクラシカルで。最近のレッグロックを混ぜたモノを使ってくるわけじゃないですし、対処はしやすいところでもあります。

でも深入りをしても、相手が安心できる時間が増えてしまうので。そういう時間は増やさない方が良いです」

──選手間ではK太郎選手だろうという声が、まま聞かれました。技術的な比較と同時に「やってくれ」という期待感も伝わってきました。

「それはもう色々なところで金原×クレベルに近い構図だと言われていますし(笑)。そういう古参のファンの期待に応えて、やっつけたいです。今年で40歳、ここでサトシと戦えることは光栄ですし、嬉しいです」

──リングでなく、ケージです。

「僕にとってアドバンテージになると思います」

──では最後に意気込みを一言お願いします。

「ハイ。なんかライト層なのか、下馬評ではサトシ有利という意見が目立っていたので──キャンって言わせてやります(笑)」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN LANDMARK09対戦カード

<ライト級/5分3R>
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
中村K太郎(日本)

<フェザー級/5分3R>
武田光司(日本)
萩原京平(日本)

<バンタム級/5分3R>
井上直樹(日本)
佐藤将光(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
RENA(日本)
シン・ユリ(韓国)

<ウェルター級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
ストラッサー起一(日本)

<フライ級/5分3R>
柴田“MONKEY”有哉(日本)
山本アーセン(日本)

<バンタム級/5分3R>
金太郎(日本)
ダイキ・ライトイヤー(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
コーディー・ジェラベック(米国)

<フェザー級/5分3R>
久保優太(日本)
高橋遼伍(日本)

<キック74キロ契約/3分3R>
ブアカーオ・バンチャメーク(タイ)
木村“フィリップ”ミノル(ブラジル)

<キック70キロ契約/3分3R>
憂也(日本)
蛇鬼将矢(日本)

<フライ級/3分3R>
中村優作(日本)
アルマン・アシモフ(カザフスタン)

The post 【RIZIN LANDMARK09】サトシ戦へ。RIZINライト級の逆・黒船=中村K太郎「キャンって言わせてやります」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
AB DEEP MMA o RENA RIZIN ROAD FC キック シン・ユリ ストラッサー起一 ダイキ・ライトイヤー ヒロヤ 中村K太郎 中村優作 久保優太 井上直樹 修斗 山本アーセン 武田光司 海外 萩原京平 貴賢神 金太郎 釜谷真 高橋遼伍

RIZIN LANDMARK9:オッズ/予想と展望

中村優作 2.75
アルマン・アシモフ 1.40

関西大会名物中村。昨年は4月にマメドフにKOされ、10月にヒロヤに判定勝ち。もうRIZINレギュラーからは外れていると思うが、関西大会があれば今後もエンドレスで出られそう。

カザフスタンアシモフは軽量級だがKO勝ちが多いハードパンチャーで、このところ負けた試合は3連続1RKO負けでダメージの蓄積が大きい中村にとっては相性が悪い相手。

アシモフKO勝ち。

久保優太 1.67
高橋遼伍 2.10

海外のオッズなので久保がフェイバリットだが、冷静に見れば高橋がはるか格上。久保は3連勝中だが、まともな試合としてはノーカンの奥田・安保戦の2勝を除くと、判定が微妙だった木下戦のみ。

4連敗中の高橋は手数の乏しさが気になるところだが、普通にトータルMMAで戦えば、組みの実力には差があるはず。

高橋判定勝ち。

貴賢神 2.00
コーディー・ジェラベック 1.80

MMA転向後3連敗中の貴賢神だが、前回の荒東戦は、1Rにパンチでダウンを奪うなど、成長は見えた。

相手のジェラベックはMMAではミドル級で1戦しただけ。昨年は打撃系格闘技のカラテコンバットでライトヘビー級契約で2RKO負け。32歳なので、経験を積んでいるというよりは、格闘技を本業としていない感じ。体格差を覆すほどの技術力はないだろう。

海外のオッズでは戦績の比較でジェラベックがフェイバリットになっているが、貴賢神が体格差でKO勝ち。

金太郎 1.50
ダイキ・ライトイヤー 2.50

金太郎も4連敗中だが、関西大会なら出場できる。相手のダイキは2021年のTRIGGERですでに引退を決めていた釜谷真に2RKO勝ちしたものの、修斗では3連敗中。

金太郎KO勝ち予想だが、今更この相手に勝ったところでRIZINレギュラーには戻れないだろう。

山本アーセン 1.57
柴田“MONKEY”有哉 2.30

柴田はローカル戦績では過去10年で10勝5敗、負けた試合は10年前の清水清隆戦と8年前の井上直樹戦を除くと、和田・越智・神龍とのタイトルマッチでの敗戦。ただ地方が主戦場のため、相手もDEEPトップクラスからは落ちるレベルの選手が多い。

アーセンがタックルからコントロールしきって判定勝ち。

イゴール・タナベ 1.10
ストラッサー起一 6.00

今大会一番大差のオッズ。しかしタナベにとっては実質体重ハンデマッチだった阿部戦を除くと、過去もっともトータルで戦える技術を持った相手との対戦となるため、楽な試合ではない。簡単にグラウンドで上を取れることもないはず。当然警戒されているガードからの極めで勝つことができるなら、日本ではもう相手がいないだろう。

タナベ一本勝ち。

RENA 1.29
シン・ユリ 3.40

ROAD FC女子アトム級王者のシン・ユリだが、今のROAD FCのレベルがどれくらいかは疑問。打撃が武器とのことだが、RENA相手では分が悪い。

RENAのKO勝ち。

井上直樹 1.57
佐藤将2.30

ベテランの将光が井上の攻めを凌ぐ展開で接戦になりそうだが、井上が先手を取り手数で上回っての判定勝ちと予想。

武田光司 1.29
萩原京平 3.40

初フェザーの武田が終盤まで失速せずに攻められるかどうか。フィニッシュはなさそうなので、試合中一発でも打撃をもらって効いた素振りを見せると、RIZINの判定システムでは負けにされかねない。

武田判定勝ち。

ホベルト・サトシ・ソウザ 1.44
中村K太郎 2.63

K太郎はサトシに引き込まれても、フィニッシュさせないだけのディフェンス力はあるはず。打撃の上手さでは確実にK太郎が上。しかしフィジカルでは体が萎んでの階級転向となるK太郎おりサトシが上だろう。先に効かせた方が一本を取る試合になると思うが、技術ではリードしても一発入って効かせるのはサトシでは。

サトシ一本勝ち。

第1試合開始は14時から。オープニングセレモニーはないとのこと。MMAのみ速報します(オープニングファイトはすべてキックのためスルー)。

カテゴリー
45 AB Gladiator Gladiator025 KAREN KTT MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase342 RIZIN Road to UFC UFC   パンクラス ホン・ソンチャン リトル 久米鷹介 修斗 前田浩平 山北渓人 松岡嵩志 砂辺光久 粕谷優介 黒澤亮平

【Pancrase342】ストロー級暫定王座戦。リトル×黒澤亮平「勝ったら正規王者」&4年9カ月振りの砂辺光久

【写真】元修斗世界王者で2位の黒澤と、4位のリトルでは暫定王座という現実に抱く想いは違ってくるか(C)MMAPLANET

21日(木)、東京都新宿区の新宿サンエービルでPancrase342の記者会見と調印式が行われた。
Text by Manabu Takashima

粕谷優介、久米鷹介、KARENの会見での模様に続き、4月29日(月・祝)に立川市の太刀川ステージガーデンで開催される同大会で暫定ストロー級王座決定戦を戦う黒澤亮平×リトルの会見冒頭での挨拶と、MMAPLANETの質問への返答をお伝えしたい。

山北渓人が返上して王者不在のストロー級で組まれた暫定タイトルマッチ。この暫定という部分でリトルと黒澤の間では捉え方がしっかりと違っていた。


リトル
「もともと自分も修斗に出ていて、兄弟子の石渡伸太郎選手を追いかけてパンクラスに出始めて。ついにここまで来たなっていうのもあるのですが、やっぱり僕は見ている人を常に楽しませたい。喜ばせたいというのがあるので、暫定タイトルマッチになるとより多くの人が見てくださると思います。1人でも多くの人を全力で楽しませることができればな、と思います」

黒澤亮平
「ベルトを獲りにパンクラスに来たので。この暫定タイトルマッチが決まるまで色々とありましたけど、純粋にタイトルマッチが決まって嬉しいなと思っています」

──現在空位のタイトルが正規王座決定戦でなく、暫定で争われることをどのように捉えていますか。

リトル 正直、そこに関しては不満とかは全くなくて。本当にこの試合を用意してくれたことを有難いと思って、全力でやるだけです。

黒澤 僕は不満があります。それは……1位が腑抜けなんで仕方ないんですけど、だからこそリトル選手と暫定タイトルマッチが決まったことは嬉しいと思っています。僕のなかで、この試合に勝った方が正規王者で次に防衛するなら、防衛戦という勝手な気持ちではあります。

なお記者会見で列席はなかったが、他に7試合の本戦が明らかとなっており、ライト級でKTT所属のホン・ソンチャン×松岡嵩志と対戦も決まった。昨年のRoad to UFC出場も準決勝で敗れたホン・ソンチャンは、2月にEternal MMAで計量失敗のウェズ・ギャッパーに敗れ3月のGLADIATOR025での暫定王座決定戦出場の機会を逸していた。捲土重来、3連敗は許されない状況でのパンクラス初陣となる。

さらに元ストロー級KOP砂辺光久が、2019年7月以来のパンクラス参戦となる。2022年7月のRIZIN36での敗北から1年9カ月振りの実戦復帰となる砂辺は前田浩平と対戦する。この間にパンクラス王は44歳になっており、滑り込みのパンクラス30周年記念大会シリーズ出場に対し、どのような気持ちで臨むのか──気になるところだ。

The post 【Pancrase342】ストロー級暫定王座戦。リトル×黒澤亮平「勝ったら正規王者」&4年9カ月振りの砂辺光久 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 DEEP DEEP JEWELS DEEP Tokyo Impact DREAM K-1 MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase341 PRIDE TATSUMI   キック パンクラス ボクシング 五明宏人 修斗 大沢ケンジ 天弥 松本光史 極真会館 海飛 鈴木崇矢

【DEEP Tokyo Impact2024#01&Pancrase341】極真空手出身、海飛&天弥「打撃の回転力と威力が違う」

【写真】性格や考え方は違うが、自信は同じの極真空手出身ブラザーズ(C)SHOJIRO KAMEIKE

和術慧舟會HEARTS所属の兄弟ファイター、海飛&天弥が共に試合を迎える。海飛は24日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP Tokyo Impact2024#01でTASUMIと、天弥は31日(日)に東京都立川市の立川ステージガーデンで行われるPancrase341で松本光史と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

地元の山口県で極真空手を学んだ2人は、MMAファイターとなるため上京した。しっかり者の兄・海飛と、ヤンチャな弟・天弥というイメージが強い。なぜ二人が極真空手を始め、そしてMMAに辿り着いたのか。いろいろと異なる両者の考え方から、それぞれの個性が浮き彫りになる。


――お二人は極真会館山口支部の出身とのことですが、極真空手は一緒に始めたのですか。

天弥 年齢が6歳ぐらい離れているので、僕のほうがだいぶ後ですね。

海飛 まず僕が4歳の時に極真空手を始めました。もう20年前になります。

天弥 ということは、自分が生まれる前の話ですね。すげぇ(笑)。

海飛 アハハハ。僕は母に道場へ連れていかれたことがキッカケでした。当時は気持ちが弱い感じの子だったらしいんですよ。もっと強い気持ちを持てるようにと、極真空手の道場に入会させたと聞いています。

天弥 母ちゃんは伝統派空手の道場にも行って、「当てないのは意味ない」とか言っていましたよ(笑)。格闘技だから当てるべき、と思っていたんでしょうね。父ちゃんも不良だし。

海飛 その世代だと、地域で誰でも知っている3兄弟だったらしいです(苦笑)。

天弥 その父ちゃんがPRIDEとかK-1が大好きで、ずっとテレビで格闘技を視ていました。もしかしたら子供を格闘家にさせたいと思っていたかもしれないけど、最初は父ちゃんのほうが空手をやることに乗り気じゃなかったんですよ。

海飛 自分が成績を残し始めてから、子供の格闘技に力を入れ始めたっていう記憶がありますね。僕たちは4人兄弟で自分が長男、天弥が三男で。次男と四男は、それほど長くは空手を続けませんでした。

――幼少期に空手を始めた頃の記憶はあるのですか。

海飛 あります。まず見学に行った時、道場にいる人がみんな優しくて。それで自分も楽しくなって入会しました。

天弥 自分もそうですね。最初に戦隊ヒーローの変身グッズを身につけて道場に行ったんですよ。みんながそれで可愛がってくれたのが嬉しくて入会しました。

――皆さん、地元では小学生の時から有名な空手兄弟だったのでしょうか。

天弥 地元の新聞では何度も紹介されていましたね。自分は中四国大会を6連覇していて、全国大会や国際大会でも3位になりました。

海飛 僕は小学校の時に弱くて、中国地方大会で3位とか、全国大会でも入賞できないぐらいでした。次男も天弥も、めちゃくちゃセンスがあるんですよ。ずっと自分よりも結果を残していて、同じ空手をやっている身としては歯がゆかったです。でも弟たちだから嬉しいし、自分も早く追いつきたいと思っていましたね。

――極真空手の世界大会や全日本大会を取材していた頃に、一つ印象に残ったことがあります。極真空手の大会はセコンドにつく人数が多いのですが、服装がバラバラの道場よりも、チームTシャツなどで揃えている道場の選手が勝ち上がるケースが多くて。

天弥 あぁ! 確かに。

海飛 ウチの道場もそうでした。山口県支部全体で土日は集まり、合同稽古や合宿をしたりとか。そういうのって大切だと思います。ウチはまた四男が強くて、小学生なのに下段蹴りが強くて県大会も優勝していました。

天弥 全然かわいくない小学生だ(笑)。

海飛 僕たちでも食らったら痛いぐらいで、周りの子たちも練習を嫌がるレベルでした。

――お二人は空手時代、何の技が得意だったのですか。

天弥 自分は左ディですね。

海飛 天弥は子供の頃から当て勘が良くて、空手の試合でもバンバン左ボディを当てるんです。

――子供の試合であればボディでも真っ直ぐの突きを胸元に当てることが多いと思いますが、そうではなく完全に左ボディブローだったのですね。

海飛 子供の試合もボディのプロテクターはなくて。それなのにバンバン左ボディを打つんですよ。

天弥 めちゃくちゃ得意で、それはMMAをやっている今でも同じですね。

海飛 僕は昔から蹴りが得意でした。左上段蹴りや顔面ヒザが好きで。なぜか兄弟全員でファイトスタイルが違うんです。

天弥 あれ、なぜなんだろうね?

海飛 天弥は4歳の時に空手を始めた時から、バンバン左ボディを入れていたよ(笑)。年長さんのクラスで優勝した時も左ボディで技ありを取っていて。

天弥 何だろうなぁ……。当時から殴るのが好きだったんだよ(笑)。

――お二人はヤンチャな道には進まなかったのでしょうか。

海飛 それは天弥だけですね。地元の公立校は荒れていて、僕は私立に入りました(笑)。

天弥 アハハハ。でもピークは小6ぐらいでしたよ。それが中2~3ぐらいに落ち着いて。

海飛 グレるのも落ち着くのも早すぎるよ!

天弥 単にやることがなかったんですよね。みんなテレビゲームが好きだったけど、自分はそうでもなくて。家にいても楽しいことはないし、外に出て○○の方法を覚えて××をやるようになったりとか。

――……書けない話はやめましょうか(苦笑)。

海飛 兄としては心配でしたよ。とにかく親や他の人に迷惑をかけることはないように、と注意していて。

――すごい世界観です。格闘技の話に戻しますが、空手をやっている頃からプロのMMAファイターになりたいと思っていたのですか。

海飛 僕はずっとプロになりたいと思っていました。

天弥 自分は何も考えていなかったですね。ただ強いヤツとやり合うのが好きで。

海飛 MMAをやるために僕が先に東京に来ていて。当時は天弥が高校に進むかどうか、という話になっていたんですよ。でも天弥は本当に空手の才能が凄くて――正直、それほど練習していないのに強かったので(笑)。

天弥 アハハハ!

海飛 それなら格闘技をやったほうが良いと思い、天弥を東京に来るように誘いました。「本人がやりたいと思うなら、東京に来れば良い。東京では自分が一緒に住むから」と。

――弟想いのお兄さんですね……。海飛選手はなぜ上京したのですか。

海飛 MMAをやるなら東京が最先端だと思ったからです。それでジムを見学しようと思って、最初にこのHEARTSに来ました。もともと大沢ケンジさんのことはテレビ解説とかで知っていて。実際に来てみて話をしているうちに、大沢さんの選手との距離感が好きになったんです。それでHEARTSに入ろうと決めました。

――天弥選手は、海飛選手が上京してMMAファイターになっていくのを、どのように見ていたのですか。

天弥 特に――何も(笑)。

海飛 弟たちは3人とも、僕には全く興味がないです。

天弥 MMAやるには線が細いんじゃないか、っていうぐらいですね。アハハハ。

―ちなみに四人兄弟で、他のお二人は……。

実は四人兄弟。他の2人にも期待したいところだが……(C)SHOJIRO KAMEIKE

海飛 次男は空手を辞めてバスケットボールを始めたのですが、今は山口県の有永道場Team ResolveでMMAをやっています。

天弥 去年、MMAを始めて2~3カ月ぐらいでアマチュア修斗の山口トーナメントで優勝していましたよ(※注)。今年は全日本選手権に出るかもしれないです。

海飛 四男はMMAをやっていなくて。全日本選手権は呼んだら見に来るかな……。

注:次男は吉村大地。有永道場Team Resolve所属で、昨年12月に山口県で開催されたアマ修斗オープントーナメントでウェルター級を制し、取材後の3月17日にも同トーナメントで優勝している。

――上京した時期は1年も違わないお二人ですが、プロのキャリアは海飛選手が10戦で天弥選手が3戦という試合数の差は何か理由があるのでしょうか。

海飛 僕のプロデビューが早すぎました。MMAを始めて半年ぐらいでアマチュアパンクラスやDEEPのフューチャーキングも優勝して、さらに格闘DREAMERSの相手役に選ばれて勝ったじゃないですか。それでプロデビューしなきゃいけない、という流れになり……。

やっぱりMMAを始めた当初は、レスリングや寝技が大変で。最初は『殴れば勝てるでしょ』と思っていたし、実際にアマチュアで勝っていました。でもそれは打撃貯金で勝っていただけでしたね。だからプロデビューしてからは苦しかったです。2連勝して2連敗、また2連勝したあとに3連敗で――最後は減量にも失敗してしまったので。もうメンタル的には地の底にいるような感じでした。

――その状態から、いかに立ち直ったのですか。

海飛 前回の五明戦は、とにかくメンタルを安定させようって考えました。やっぱり気持ちがフワフワしていると勝てないですよね。打撃は国内でもトップクラスだと思っています。組技はそこまでではないけど、自分はできると信じる。ちゃんと自信を持って試合に臨めば勝てるという気持ちで戦いました。要は自分自身に勝てるかどうか、ですよね。

――その五明戦は、とにかく相手が嫌がることをやり通したという印象です。

海飛 はい。相手がやりたいだろうと思っていることを全部潰しました。五明選手は伝統派空手のチャンピオンで、踏み込みの幅もスピードも凄いじゃないですか。その踏み込みから来る左ストレートが強くて。だからまず相手の踏み込みを、カーフキックで潰したんです。

――そうだったのですね。では次に対戦するTASUMI選手の印象を教えてください。

海飛 RNCが得意な選手ですよね。それさえ警戒しておけばKOできると思っています。絶対に勝たないといけない試合です。

――2022年4月に鈴木崇矢選手をKOした時は、どうしても我々も「鈴木崇矢をKOした選手」という見方をしていたと思います。そして今回「五明宏人に勝った男」と見られるかもしれません。そういった注目のされ方については、どう考えますか。

海飛 別に僕は何とも思っていないですね。そもそも五明選手が特別強いと考えていなかったので。あの打撃が見えないだけで、別に組み技は強くなかったですし。もちろん五明選手のほうが注目されていたことは分かっていました。でも最初に左ストレートをもらった時も、『このパンチでは倒れないな』と思いましたし。

天弥 まぁ、TATSUMIって誰だよって感じですよ。僕としては『そんな相手に負けるなよ』としか思っていませんね。

海飛 アハハハ(苦笑)。

――一方、天弥選手はデビュー戦で芳賀ビラル海選手にKO勝ちしたものの、2戦目で反則負けを喫しました。

天弥 結果は結果なので悔しかったです。でも特に何とも思っていないというか、そこまで気にはしていないですね。それで3戦目もKO勝ちして、大沢さんからパンクラスの坂本靖さんに『次は松本光史選手と試合したい』と言ってもらいました。松本選手も僕の映像を視て、試合を受けてくれたという流れですね。

――自分から元チャンピオンとの対戦をアピールしたのですか。

天弥 僕は自信満々なので。大沢さんから『次は誰と対戦したい?』と聞かれて、僕が『松本選手です』と答えました。松本選手に勝ったら、次はタイトルマッチだと思いますし。

――松本選手に対しては、どのような印象を持っていますか。

天弥 まぁ……試合は面白くないですよね。

海飛 いや、あの――(苦笑いしながら顔を背ける)。

天弥 本当にちゃんとしたMMAファイターだと思うんです。トップキープが得意で、テイクダウンして漬け込んでくる。さらにボクシングの練習をして、パンチにも自信がついてKOも増えたっていうイメージです。

――松本選手はキャリアを重ねるごとにカウンターが向上している印象があります。

天弥 そうですね。でもカウンターを合わせられるものなら合わせてみろ、って思いますよ。絶対に倒されないです。

海飛 まず天弥とはスピードが違うと思うんですよね。僕たちは回転力、パンチと蹴りの威力が違うし、そして切り返しが強い。特に天弥は自分の空間を作る能力が高いというか、距離の取り方が巧いので。なかなか相手は触ることもできないと思います。

天弥 今年からベルトを狙って動き出したので、まずは松本選手を倒します!

■DEEP Tokyo Impact2024#01 視聴方法(予定)
3月24日(日)
12時25分~DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ

■Pancrase341 視聴方法(予定)
3月31日(日)
13時~U-NEXT

The post 【DEEP Tokyo Impact2024#01&Pancrase341】極真空手出身、海飛&天弥「打撃の回転力と威力が違う」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA DEEP F1 MMA MMAPLANET o ONE RIZIN RIZIN LANDMARK09 UFC パンクラス フアン・アルチュレタ 井上直樹 佐藤将光 修斗 太田忍 朝倉海 海外

【RIZIN LANDMARK09】佐藤将光とバンタム級トップ対決。井上直樹「心理戦みたいな試合になる」

【写真】方々で言わるのだろうが、「もう26歳」。取りこぼせない(C)TAKUMI NAKAMURA

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09 in KOBEで井上直樹が、佐藤将光と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

昨年10月に太田忍との対戦を予定していたが井上だが、右顎下腺唾石症によるドクターストップで欠場。井上の代打としてRIZINに初参戦し、太田から勝利を収めたのが今回対戦する佐藤だった。

大晦日に朝倉海が新王者となったRIZINバンタム級の今後を占う一戦、そしてMMAとしてハイレベルな技術戦・駆け引きがみられるであろう戦い。井上自身も「佐藤選手がどんな感じで来るのか楽しみ。あっちがこう来たらこっちはこうしようとか、それを考えるのも面白い」と語った。


──まず昨年10月RIZIN LANDMARK 6 in NAGOYAの太田忍戦を欠場した理由=右顎下腺唾石症(みぎがくかせんだせきしょう)ですが、これは具体的にどういう状況だったのですか。

「喉のところに顎下腺というものがあって、そこから唾液が出てくるんですね。で、その顎下腺から唾液の通り道がカルシウムでできた唾石で詰まって、それで唾液が通らなくなってしまうんです。そうなると唾液が顎下腺に溜まって、ドンドン顎下腺が腫れ上がって食事が出来なくなるんです」

――それは米国で練習しているときに発症したのですか。

「もともとは高校生の頃から似たようなことがあって、当時は特に何も気にしていなくて、すぐに腫れも引くから、まあ大丈夫だなと思っていたんですよ。そうしたら米国で練習している時にまた発症して、痛みそのものもひどかったですし、我慢できないほど悪化していたので手術することを決断しました」

――予兆があったとは言え、はじめは何が起きているか分からないですよね。

「練習中はギリギリ大丈夫だったんですよ。でも食事しようとすると唾液が出て、顎下腺が腫れて激痛が走るんです。まともに食事ができなかったので、手術しなければどうにもならない状況でした」

――手術後はすぐに練習を再開できたのですか。

「ちょうど名古屋大会の日に手術をして、手術の傷が塞がれば動いていいと言われていたので、11月に入ってから練習は再開しました。間に合えば大晦日に復帰できたらいいなとは思っていたのですが、11月に練習を再開して1カ月ちょっとの練習時間で臨めるかと言われたら準備期間が短かったですし、急いで練習して怪我してしまったら、また時間を台無しにしてしまう。それだったらじっくり時間をかけて年明けの大会で復帰しようと思いました」

――今回は米国に行かず、日本で調整を続けていますが、そう選択した理由も聞かせてもらえますか。

「試合前に米国に行くと何かアクシデントが起こるんですよ(苦笑)。試合がない時期に練習に行くのはいいと思うのですが、試合のために行くとなると、切羽詰まるじゃないですけど、やらなきゃやらなきゃ…って気持ちが強くなる一方、日本にいる時ほど体のケアやコンディショニングが上手くできない。そう考えると試合のための練習と調整は日本でやって、試合がないときの練習を米国でやるというのが一番いいんじゃないかと思っています」

――試合で勝つことがゴールなので、そこのバランスは重要ですね。

「実際に試合は日本でやるわけじゃないですか。米国で練習していると時差ボケもありますし、慣れ親しんだ日本のチームで試合を迎えるのが一番だと思います」

──太田戦の前は米国でどのような練習をしていたのですか。

「ちょうどキルクリフFCに練習の拠点を移して、練習相手になる選手がたくさんいるというのが大きかったですね。セラ・ロンゴ・ファイトチームもアルジャメイン(・スターリング)やマラブ(・デヴァリシビリ)がいて、いい練習はできていたんですけど、彼らはちょいちょいベガスに行っていて、常にジムにいるわけじゃなかったんですよ。そうなった時にジムに練習相手になる選手が少なくて。それもあって強い選手が常駐しているジムで練習したいと思って、キルクリフFCを選びました」

──そこで今回は日本での練習ということで、どのようなことを意識して調整を続けていますか。

「米国でやったことをもちろん意識して、日本ではコーチと綿密に連携できるんで、コーチとこうしよう・ああしようという話し合いをしながら、融通も利くというか、自分の思い通りにできています」

──日本でのコーチ役は誰になるのですか。

「SONIC SQUADの安田(けん)さんが一番見てくれていて、そこに水垣(偉弥)さんと永末(“ニック”貴之)さんがいてって感じですね」

──安田さんや水垣さんとは練習を通じて意見交換しているようなイメージですか。

「そうですね。それだけに限らず、水垣さんはUFCの解説もやっているので『この試合のこれとかいいんじゃない?』というのを教えてくれて、ドンドン技術がアップデートされている感じはしますね」

──僕もMMAPLANETで水垣さんの月一連載を担当していますが、知識も豊富で言語化もうまいですよね。

「はい。ただ昔よりはだいぶ動けなくなっていて『スパーリングはやりたくない!』と言っているので、今は頭を動かす方にシフトしているのだと思います(笑)」

──頭脳派にならざるをえないと(笑)。さて対戦相手の佐藤選手の印象は?

「結構ベテランですよね。修斗でもONEでもタイトルマッチやるぐらいの実力があって。海外の選手に勝ってきたし、日本に帰ってきても太田選手を完封できるぐらいの選手なんで、ベテランで試合も上手い印象があります」

──佐藤選手はパンクラス・修斗・ONE、井上選手はDEEP・UFC・RIZINで戦っていたので、同じ階級でありながら佐藤選手がRIZINに参戦するまで接点がなかった選手ですね。

「そうですね。僕がRIZINに出るようになって、ONEの試合を見て『こんな選手がいるんだな』と思うようになって。戦績をさかのぼると強い選手にしっかり勝っているので、実力がある選手だと思って見ていました」

──佐藤選手はMMA IQが高く、試合をトータル的にコントロールして勝つタイプだと思うのですが、あのファイトスタイルをどう見ていますか。

「その通り、すごくスマートな戦い方をしているなと思います」

──ちなみに佐藤選手に取材したとき「井上選手は穴がない。必死に穴を探している」と言っていたのですが。

「実際はすぐ穴を見つけていて、インタビュー用にそう言っているだけなんじゃないですか(笑)」

――そこも含めて佐藤選手のスマートな作戦だと(笑)。

「でも本当に技術のある選手なんで、探り合いじゃないですけど心理戦みたいな試合になるんじゃないですかね、佐藤選手は全局面できるんで、その分、どこで攻めるか、どこで守るか。そういう展開が主体になっていくと思います」

――お互いどのようなカードを切って行くのか。個人的にもそこは楽しみにしています。

「僕も佐藤選手がどんな感じで来るのか楽しみですね。あっちがこう来たらこっちはこうしようとか、それを考えるのも面白いですし」

――ほかの試合とは一味違うところを見せたいですか。

「そうですね。この試合はバンタム級トップの試合だし、一番技術がある展開、僕らのスキルを見てほしいなというのはありますね。自分も意外と年取っちゃいましたから」

──いやいやいや、26歳は老け込む年齢ではないですよ(笑)。

「でも本当にあっという間でしたよ。下の選手が上がってきて、彼らに色々教えたりしていると、自分も年取ったなと思うし、日本人みんなで強くなりたいですよね」

──日本のMMAのレベルを上げる。井上選手がそういう考えを持っているのが意外でした。

「周りを気にせずノホホンとやっている感じでした(笑)?」

──いえいえ、自分の強さを追求するタイプというか、職人気質というイメージがあったので、井上選手の口から「日本人みんなで強くなりたい」という言葉が出たのは響きました。

「もちろん自分が強くなるのが一番なんですけどね。僕も色んなことを経験して取り入れなきゃいけないし、MMAの技術はドンドン進化していくものなので、それに追いついていくために練習・試合していきたいなとは思っています」

──RIZINのバンタム級で言えば大晦日に朝倉海選手がフアン・アルチュレタに勝って新王者になりました。そこも踏まえてのこれからの展望を聞かせてください。

「次勝てばタイトルマッチをやるぐらいにはなるんじゃないかって思っているので、周りの声があればそれも実現できたらいいなと思っていますね。今年中にはタイトルを獲れるぐらいの位置で戦いたいと思います」

――朝倉✖アルチュレタはアルチュレタの計量オーバーもあり変則的な試合形式でしたが、あの試合はどうご覧になりましたか。

「あの勝ち方はすごいと思うし、しっかり会場を盛り上げてましたよね。あの結果だけ見たら朝倉選手がすごく抜きん出ているなとは感じます。ただ僕は朝倉選手とやってないんで、やってみたいです」

──そういう意味でも今回の試合は勝てば前進するし、負ければ後退というシビアな試合です。RIZINにランキングはないですが、事実上のランキング戦だと思います。

「キャリア的にも一戦一戦大事にしていかなきゃいけなくなっているので、今はこの試合に集中して勝たなければいけないと思います」

──神戸大会のなかでもこの試合を楽しみにしているファンは多いと思います。最後にファンの皆さんにメッセージをいただけますか。

「今回そんなに大きいことは言えないですが、しっかり勝つこと、僕がやっている試合を見せることがファンにとって一番の恩返しになると思っています。そのうえで佐藤選手と技術のやり取りを見てもらい、自分が勝つところを見せます」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

The post 【RIZIN LANDMARK09】佐藤将光とバンタム級トップ対決。井上直樹「心理戦みたいな試合になる」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA F1 GLORY K-1 MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship RIZIN RIZIN LANDMARK09 UFC イスラエル・アデサニャ キック ボクシング ライカ 久保優太 修斗 太田忍 安保瑠輝也 木下カラテ 武尊 海外 高橋遼伍

【RIZIN LANDMARK09】高橋遼伍戦へ、久保優太の真実「王者のままで引退できるチャンスはあった。でも」

【写真】木下カラテに判定勝ちをしている。ここが一番の肝(C)MMAPLANET

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09 in KOBEで久保優太が、高橋遼伍と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2021年9月にMMAデビューを果たし、4戦3勝1敗の成績を残している久保。MMAではキャラクター先行型の印象が強いキャリアを積んできたが、今大会では元修斗環太平洋フェザー級王者にして、ONE Championshipにも出場した高橋という実力者と拳を交える。

「MMAにチャレンジしないままに引退することはできなかった」という久保の“格闘技ジャンキー”な一面を今回のインタビューを通してお伝えしたい。


――昨年大晦日の安保瑠輝也戦で一本勝ちしたあと、約3カ月というスパンで今回の神戸大会出場が決まりました。試合はすぐにやりたいという考えだったのですか。

「そうですね。怪我もなくて自分の感覚的にはすぐやりたかったのですが、2、3月大会は枠がいっぱいだと聞いていたので、5月ぐらいになるのかなとか、もしチャンスがあるなら出たいな、くらいに思っていたんですね。そうしたら3月大会のオファーがあって、相手もかなり強敵。ONE Championshipでも活躍していた高橋遼伍選手ということで、MMAでは間違いなく格上の選手で、すごいありがたいというか。これを自分のMMAキャリアのステップアップとして受け入れていかないとなと思って速攻でOKしました」

――久保選手がいよいよ本格的にMMAの実績と実力がある選手と戦うことになったと思います。キャリア的にもこういった相手と戦いたいという思いはありましたか。

「僕は今36歳なので、格闘家のピークというか、めちゃめちゃ動ける期間はあと2年ぐらい。そこが勝負だと思うんですよね。だからその期間に、自分の中では勝負をかけたい。チンタラやったり、のらりくらりやるより、確実にステップアップを望める相手とやりたい。僕はただ何となく立ち技からMMAに転向したわけではないので、MMAというものに一から挑戦して、自分が立ち技で築いてきたキャリアをある意味すべてベットして、MMAをやっているつもりです。例えば一番いい終わり方で言ったら、K-1で言えば魔裟斗さんは世界チャンピオンで強いまま引退されたじゃないですか」

――負ける姿を見せず、一番強い状態のまま引退されたと思います。

「もしかしたら僕もそれができるチャンスはいっぱいあったと思うんですよ。K-1のタイトルを防衛し続けていたタイミングで辞めたりとか。でも……僕は格闘技がすごい好きで、その終わり方だと自分自身に燃えるものがないっていうんですかね。僕は格闘技中毒になってしまってるんです。だからMMAで挑戦する=頂点に立ちたいという思いがあって、そこを目指すには時間がないというわけではないですが、自分のピーク・動けるうちにできる、そこに挑戦したいという思いがありますね」

――失礼ながら久保選手はMMAデビュー戦で太田忍選手に敗れて、シバター戦の印象が強いのですが、奥田啓介選手、木下カラテ選手、そして安保選手に勝って3連勝中です。MMAの試合で勝つことで、自分のMMAの形は見えてきているのですか。

「確かにデビュー戦の太田戦だったり、シバターさんとの試合だったり、別に舐めているわけはなかったのですが、もうちょっとしっかりと準備期間を経て、やらないといけなかったなっていうことをめちゃめちゃ痛感しました。今思うと恥ずかしいのですが、自分のパンチや蹴りが当たったら勝てるだろうみたいな。それでいざMMAをやってみて、そんな甘い世界じゃなかったということを痛感したという(苦笑)。

そこからは自分の中でコツコツとやってきて、確かに相手のレベルどうこうはありますけど、結果として3連勝することができました。だからなおさら今回ホンモノの相手とやれることは、自分の力や真価が問われるし、自分の実力を見せられるチャンスだと思っています」

――その重要な一戦の相手、高橋選手にはどのような印象を持っていますか。

「試合を見れば見るほど強いなっていうのと、カーフキックをはじめストライカーのイメージですが、ONEでの試合では四つの展開や相手のテイクダウンにもしっかり対応していて、すごく上手くて何でもできるんだろうなと思います。そうじゃなかったら海外で試合はできないと思いますし、自分の中で高橋選手は何でもできる日本トップクラスの選手だと思います」

――高橋選手は一発一発を強く打つ・組みも意識したMMA用のストライキングという印象です。彼の打撃についてはどう見ていますか。

「確かにボクシンググローブとMMAグローブの違いやテイクダウンの有無で、使える打撃・使えない打撃が大きく変わってくると思うんですけど、そこで僕が高橋選手を乗り越えないと、RIZINでチャンピオンになるという宣言が絵空事というか、全然実現できないことになってしまう。自分自身が立てている目標を実現するためには、ここを攻略しないと、上にはいけないと思っていますね。もちろん高橋選手は日本トップクラスの選手だと思いますけど、ここを攻略することによってRIZINのチャンピオンへの階段を登ることができるんじゃないのかなと思います」

――言える範囲で構わないですが、彼の打撃をどう攻略するのかイメージは出来上がっていますか。

「正直僕が高橋選手を寝技でどうこうは通用しないというか、そういうレベルの差はあると思います。もちろん実際に向かい合ってどう戦うかを考えると思いますが、高橋選手がどういう選択をするか。過去の試合映像を見ても高橋選手からテイクダウンにいくところはほとんどなかったですが、僕相手には絶対にテイクダウンを狙ってくると思っているので。打撃の時間が長くなるにしても、単純な立ち技だけになることは絶対にないと踏んでいます。そのうえで、僕は元K-1チャンピオンとしてRIZINの舞台に来て、打撃の部分では圧倒的に差を見せつけるというか。

今のところ『さすが久保優太の打撃だな!』というところは見せられていないと思うし、K-1時代が100としたら、MMAでは20も出せてないと思うんです。MMAでもいかにK-1時代のような100に近づけられるか。そこが自分の課題であり、今回それが出せれば、高橋選手は相当強敵でめちゃめちゃ格上ですけど、絶対負けないとは思っていますね」

――そこが立ち技からMMAに転向する選手は誰もがぶつかる壁だと思うのですが、久保選手は何を意識してMMAにおける打撃を100に近づけているのですか。

「これはもうMMAの練習と試合を続けて、MMAで使える打撃・使えない打撃を取捨選択するというか。それそのものが変わってくる部分もあるのですが、2年ちょっとMMAをやって来て、その取捨選択が積み上がってきてはいます。練習では100に近づいたものを出せているので、あとは試合で出せるかどうかというところが一番の課題でありポイントですね」

――逆に言えば相手が高橋選手レベルになると、100に近づいた打撃を出せなければ勝てない相手でもありますよね。

「そうですね。なので、そこが自分の課題というか、本当に自分がK-1時代に出せていた打撃を発揮しなきゃいけないし、それが出来たら絶対どんな相手にも正直負けるわけではないと思っているので。繰り返しですけど、なかなかそれが出せないことがMMAの難しさなんですけどね」

――決して立ち技のスキルそのものが使えないわけではないと。

「そこは感じますね。MMAでもK-1でやってきた人間は打撃において負けちゃいけない、そういった自負は僕の中でもあるんですよ。だから、それを発揮できていない自分に対する悔しさもあります。と同時に、それを発揮できたら自分がいかに格闘技の天才であるかをアピールできるというか。世間に評価してもらえると思うので、そこは頑張りたいなと思っていますね」

――例えば去年の大晦日は立ち技から多くの選手がMMAに挑戦しました。久保選手はこのことをどう感じていますか。

「今は世界の格闘技のマーケットがどうしてもMMAになっていますし、なおかつ日本のマーケットはRIZINが今一番大きくなっているじゃないですか。そのRIZINはMMAが主の団体なので、マーケットの中心がMMAになるし、格闘家である以上、それに合わせていくことは、自然な流れだと思います。

世界的に見てもGLORYで活躍したアレックス・ペレイラやイスラエル・アデサニャがMMAに転向して、UFCチャンピオンになっていますからね。武尊選手のように、自分が得意な立ち技・キックボクシングでそういう世界を創っていくこと、そこで頂点を極めることは本当にかっこいいし、それは素晴らしいことだと思います。でも僕は格闘家である以上、どうしても自分が最強というか、自分が強いという承認欲求があって。

一時はK-1を離れてボクシングに行こうとも思ったのですが、やっぱり何でもありの最強を決めるMMAに挑戦するという選択をしました。あとはK-1ファイターやキックボクサーが寝たら弱いと思われていることに、自分もコンプレックスがあるというか。やっぱりそれを払拭したいんですよね」

――久保選手はボクシングの試合こそやらなかったですが、ずっとボクシングジムで練習もして、ボクシングのトレーナーの指導も受けていて。ボクシングという競技には触れてきたわけじゃないですか。

「そうですね。かなり色んなジムに行かせてもらいましたし、結構ボクシングジムからスカウトも受けていました」

――だからテコンドーから始まって、ムエタイ、キックボクシング、ボクシングと久保選手ほど立ち技競技をやりこんで、MMAに転向した選手はいないと思うんです。

「グローブ空手にも白帯で出たことがあるので空手経験者でもあります(笑)」

――なるほど(笑)。そんな久保選手が立ち技の強さを証明するためにMMAにチャレンジすることは格闘技のロマンだし、久保選手は本当に格闘技が好きなんだなと思います。

「うれしいですね。本当に格闘技ジャンキーだと思うので」

――ずばりMMAにチャレンジしないまま引退することはできなかったのですか。

「そうですね。太田選手にデビュー戦で負けてから余計に悔しくなって。試合でテイクダウンされると練習と全く違うんですよ。言うても練習では試合と同じことはやらないし、多少はみんな加減もするじゃないですか。でも試合になったらそういう加減はなくて、僕、太田選手に投げられたときにヒザを骨折したんです。それで本当にMMAは厳しい世界だなと思って、それと同時にこの道を極めたいと思いました」

――僕は旧K-1時代から久保選手を取材してきて、これだけずっと純粋に格闘技が好きな選手はいないと思っていて。でもRIZIN参戦以降は試合以外のキャラクターの部分がクローズアップされることが多かったので、久保優太はそうじゃないということを今回のインタビューで伝えたかったです。

「ありがとうございます。どうしても僕はネタ枠というか。特にシバターさんとの件で、自分自身にも原因があると思うんですけど、エンタメ性に走ってしまったというか。僕自身、目立ちたいという承認欲求もあったりして。あの件で僕が元K-1チャンピオンで3回防衛したとか、GLORYでチャンピオンになったこととか、そういう格闘技の実績が見ている人たちの記憶から忘れ去られていると思うんです。

だからここで格闘家・久保優太としての強さや久保は格闘技の天才なんだってところを見せたいです。そのために練習も必死に頑張って、なおかつ格上の選手に挑戦させていただくわけですから」

――久保選手にそういう思いがなかったら、ここで高橋遼伍というファイターとはやらないですよね。周りからは止められなかったですか。

「めちゃくちゃ止められました。まだ早いんじゃないかって。ただ、僕はチンタラMMAをやるつもりはないんで。ここで評価を上げたいし、そうすることでタイトル戦線に近づくことができると思ったので、今回はやらせてくださいという想いを伝えました」

――これまで何度も大一番を経験している久保選手だと思いますが、MMAにおける大一番になりますね。

「格闘技に詳しい人からすると『絶対久保は勝てない』や『総合力が違いすぎるだろ』って、そういう予想や評価だと思うんです。だからこそ純粋に挑戦できるというか。ある種すっきりしているわけではないし、気持ちいいと言ったらあれなんすけど、生き生きとしていると言ったらいいんですかね。格闘家として生きてるなって感じがしています。格闘家冥利に尽きるというか。やってやるぜ、最高だぜみたいな」

――今日のインタビューで久保選手の試合がより楽しみになりました。

「負けられないプレッシャーを感じていると、それこそK-1時代の防衛戦の僕はずっとディフェンシブな戦いだったじゃないですか。でも若い頃の僕はガンガン前にいけていたし、今回はそういう自分や格闘家・久保優太の生きがいを取り戻せるんじゃないかと。そういう予感がしています。だから僕自身、次の試合は楽しみだし、みなさんも楽しみにしていてください」



■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

The post 【RIZIN LANDMARK09】高橋遼伍戦へ、久保優太の真実「王者のままで引退できるチャンスはあった。でも」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA F1 MMA MMAPLANET o Road to UFC RYO Special UFC   パンクラス ボクシング 修斗 宇野薫 岡田遼 平良達郎 松根良太 海外 濱田巧 神田コウヤ 鶴屋怜 鶴屋浩

【Special】Fight&Life#101より鶴屋浩ラストインタビューasパラエストラ千葉ネット代表「僕の仕事は─」

【写真】取材は2月某日に行われたが、次に柏を訪れる時はロゴは下のように変わっているはずだ(C)MMAPLANET

13日(水)、THE BLACKBELT JAPANの発足会見を開いた鶴屋浩元パラエストラ千葉ネットワーク代表。愛弟子であり盟友でもある松根良太元THEパラエストラ沖縄代表と新チームを創ったことで現役UFCファイター2人を含み、数だけでなく質でも日本を代表するMMAチームが誕生した。
Text by Manabu Takashima

その鶴屋代表が新チーム発足に関しての詳細を語ったインタビューが現在発売中のFIGHT & LIFE#101に掲載されている。鶴屋浩パラエストラ千葉ネットワーク代表としてのラストインタビューを全文掲載。自らのジムを立ち上げた際の中井祐樹パラエストラ・ネットワーク代表、高校生の時から鶴屋を支持する松根THE BLACKBELT JAPN副代表との人間関係とJ-MMA強化の想いとは──。


──SNSでパラエストラ千葉ネットワークとTHEパラエストラ沖縄が中井祐樹氏率いるパラエストラ・ネットワークから離れ、新しいグループで活動を始めるという発表がありました。

「1999年の12月に中井先生のお世話になり、パラエストラにとって7番目の道場として、パラエストラ松戸を立ち上げて約24年が過ぎました。この辺りで自分も中井先生の後ろ盾がなくやって行く。その時期が来たのではないかと」

──そもそも日本の総合格闘技の黎明期に消防士をされていた鶴屋さんは、松戸ちびっこレスリングという所属名こそありましたが、実質無所属として打撃と組み技が混ざったルールの大会に出場。常にアウェーの戦いに臨むような形でした。

「当時、僕は格闘技業界に友人はいませんでした。そんな頃、シューティングジムと呼ばれていた頃だったか、大宮でも練習をさせてもらうことがありました。あの時、大宮で自分の話し相手になってくれたのが中井先生だったんです」

──もう全日本アマ修斗で優勝をした後でしょうか。

「僕が優勝したのは1997年ですが、1996年で3位になった時に、一度プロデビューの話があったんです。優勝したマッハ(桜井マッハ速人)の相手で」

──えっ? そうだったのですか。マッハ選手のデビュー戦の相手は、アマ修斗決勝の再戦となった宇野薫選手のデビュー戦でもありました。

「実は最初は僕のところにオファーがあったんですよ。マッハは4試合中3試合で一本勝ちし、僕だけがポイント差だったので」

──トリビアですね。

「僕も受けるつもりだったんですけど、消防の仕事が入っている日で無理でした。あの時、中井先生は『俺がセコンドに就くよ』と言ってくださっていて。当時から中井先生は技も確かで、頭が良い人だから信頼をしていました。そして1999年にジムに立ち上げようと思った時に、中井先生に相談に行ったんです。中井先生もパラエストラ東京を立ち上げて1年が過ぎた頃で。その時の話のなかで『パラエストラ松戸というのもありじゃないの?』と言ってもらって。

──中井さんから、そのように言ってもらえたのですね。

「ハイ。そして、それを松根に話すと『やりましょう』って彼も言ってきて」

──えっ? 松根良太さんですか? 翌2000年の全日本アマ修斗に優勝した時、まだ高校生でしたが……。

「あの頃、とあるボディビルジムの3階の狭いスペースで週に2度ほど格闘技クラスを担当していたんです。ほんの少ししかいな生徒の中の一人が松根でした。当時から松根は天才的な動きをしていて、僕について回って付き人のような感じだったんです(笑)。で、『こうやっていこうと思う』と伝えると、『やりましょう!!』って乗ってきたわけです」

──それから24年、なぜこのタイミングで独立を?

「まず、この24年という間、中井先生には本当にお世話になりました。もちろん技術もたくさん教えていただきましたし、パラエストラを離れるというのは、僕も凄く悩みました。今は子供たちが4人とも格闘技をやっていて、多分このまま続けていくと思います。そこも考えましたね。自分の組織、チームを立ち上げてやっていくべきなのか。5年ぐらい前から考えるようになって。中井先生にも以前から相談はさせていただいていました。中井先生は竹を割ったような性格の方なので、『良いじゃないか』ということは言ってもらっていました。同時に松根にも相談をして、彼が『やるならついて行きます』と言ってくれて。松根の言葉は、今回の決断を大きく後押ししてくれました」

──そこにも松根さんの存在があったわけですね。

「松根と僕の関係は師匠と弟子、もう25年以上です。何かあると僕は彼に相談し、彼も僕にそうしてくれる。その関係はずっと変わりないです。松根のところから平良達郎がUFCと契約した。うちはROAD TO UFCの際中でしたが、鶴屋怜がサインをするのは絶対と見ていました。その勢いも独立に関係してきたとは思います」

──とはいえ、そもそもパラエストラ千葉ネットワークはJ-MMA界でも、最も人材が豊富なトップジムの一つで、パラエストラという名前があっても、もう独立国家のように見てしまっていました。

「自分はパラエストラ千葉ネットワークの代表ですが、何かあった時には中井先生が後ろに控えてくださっている。その気持ちがあったのは絶対です」

──パラエストラは何年か前にアフリエイトを支払う形に変わったかと思いますが、あの時にグループを抜けたジムもありました。

「僕はあの時に抜ける気はなかったです。凄くお世話になっていたし、これまで1年に1回は中井先生にパラエストラ柏でセミナーをやってもらい、終わった後は飲み会を開いていましたし(笑)。先日、松根と一緒に中井先生に挨拶に行き、『これまでと変わりない付き合いをしよう』と言って貰えて。本当に有難かったです。だから僕と中井先生の間は何か変わるということはなくて」

──結果、独立してどのような変化があるのでしょうか。

「それは自分の気持ちだと思うんです。中井先生、そしてパラエストラという後ろ盾がなくなり、全ての責任は自分にある状況です。そこ以外は何が変わるということはなく、今まで通り世界に通用するMMAチームを創っていくつもりです。さっきも言ったのですが、そのためにも今の勢いというのは必要だったのかもしれません。新たな気持ちで世界を目指そうということで」

──ハイ。

「早稲田大学レスリング部4年で、去年の全日本学生フリーで優勝しグレコで2位になっている山倉孝介(2021&2022年全日本選手権フリースタイル79キロ2位)が入会して、今年デビューする予定です。山倉は中学の時から教えていて戻ってきた形ですね。そういう風に色々なことがスタートします。

──ところで新しいチーム名は決まっているのでしょうか。

「いえ。候補はあるのですが、まだ決まっていないんです。やっぱり横文字ですかね。松根と岡田(凌)と相談しているんですよ。それほど気にしていなかったのに、これからずっと続くモノなので考えてしまうようになって(苦笑)。3月の終わりが4月の初めにRYO OKADA TOKYO INSTITUTEで正式発表を考えています。松根、達郎、扇久保(博正)とか(浅倉)カンナ、神田コウヤ達を呼んで。やっぱり色々な人に柏まで来てもらうのは、ご足労かと思って」

──ハイ。確かに(笑)。

「いやいや(苦笑)。ちなみに高島さんだったら、どのような名前が良いと思いますか」

──僭越ながら自分が鶴屋さんの立場なら、パラエストロイカですかね。

「ハハハハハ。却下です」

──ではジャパン・トップエストチームというのは?

「……。そこですか(笑)。僕はジャパン・トップチームができたことは業界として良いことだと捉えています。あの立派なケージがあって、指導者を外国から呼ぶことができる。それだけの資金があるジムが日本に誕生するということは。色々と言われていますが、それは米国がやってきたことと同じなので。ジャパン・トップチームを見て、僕らもしっかりとやらないといけないっていう気持ちになりますから。ライバルが頑張っているなら、自分たちも頑張らないといけない。負けていられないという気持ちはあります

──ジャパン・トップチームは誕生したばかりですが、TRIBE TOKYO MMA、BRAVE、HEARTS、そしてパラエストラ千葉ネットが若い世代の育成という部分で日本をリードしていると思います。そこに対して、負けるかという気持ちはあるのでしょうか。

「負けるかというよりも、良い意味でライバル心を持って皆で日本を盛り上げないといけないです。ラスベガスでUFC PIを見て、上海のPIを見ました。あれに勝つには町道場では無理だなというのが僕のなかにあって。だからジム同士も交流できるところは交流して、対世界ということを本気で考えないといけないです。目指しているところは、そこなんで。だから変えなければならないところは、ありますよね」

──だからこそジャパン・トップチームを歓迎するということですね。

「ハイ。これまでにないことをやっていますからね。あのやり方は批判する人もいますが、有りです。だからこそ、僕らも考えないといけない。千葉県のレスリングチームは以前、週に2度しか練習をしていなかったんです。それを僕のチームが6度練習を取り入れると、全国的に強くなりました。すると他のチームも4度、5度と練習するようになり千葉県全体が強くなりました。そこにライバル心があったからで。そういう効果が、MMAでもジャパン・トップチームの出現で見られるのではないかと思っています」

──新体制では千葉ネットの柏、松戸、千葉、そして沖縄の2つのジムになるということでしょうか。

「それとパーソナルジムですが、岡田も僕らの選手をサポートしてくれるグループの一員です」

──ここまで千葉ネット、沖縄と関係がなかったジムから新グループに加わりたいという声が挙がる可能性もあるかと思います。

「受け入れるために話を聞きます。話し合い合いによって一緒にやっていけるかどうかを判断する。そういう形になると思います」

──同じグループ内の選手同士の対戦は行っていくのでしょうか。

「組まれて、本人が戦う意向があれば戦わせます。平良達郎と鶴屋怜の試合をUFCが組めば、戦います。ウチのチームはもともと同門対決をやっていますし。修斗のインフィニティ―リーグ、ネクサスのミドル級王座決定トーナメントもパラエストラ千葉ネットワークから2人ずつ出場しています。一昨年のパンクラス、ネオブラッドトーナメント・フライ級は6人中3人がウチのチームでした。しかも柏から2人が出て」

──ハイ、濱田巧選手と伊藤まこと選手が決勝で対戦しています。

「今、試合も出ていない選手も含めると千葉、柏、松戸で50人以上のプロ選手がいるので当たってしまうこともあります。基本的に本人達が戦うというのであれば、試合はさせます。なるべくは、そうならないことを願っていますけど、それこそタイトル戦やトーナメントの決勝なら、選手もやりますよね」

──世界を目指すため、沖縄を含めるとこれだけの陣容が揃う中で自主興行の再開というのは?

「僕がプロモーター業をやることはないです。僕の仕事は道場で生徒を強くすること。それが僕のプロフェッションなので、死ぬまでコレ以外をする気はないです。ただしグループ内で、例えば岡田が大会を開きたいというのであれば、それは話し合います。大会をやれるならやってもらいます。何より独立をするから、今より環境を整えるということではないです。独立しなくても、そうすべきことですから。ただし、行動をすることは大切です」

──その行動という部分で、鶴屋さんも目に見えるような行動は起こされていますか。

「世界を目指すという部分で土屋(進)トレーナーに来てもらって、ラントレなどを指導してもらうようになりました。それと実は今日も、ボクシングのトレーナーと契約をして常勤になってもらいます。レスリングも日体柏高校が5分のところにあるので、以前からピュアレスリングの練習をさせてもらえるようになっていますし」

──指導に力を入れていく。それが鶴屋さんの役割なのですね。

「それとイリディウム・スポーツエージェンシーとも話をして、『良い選手がいればどんどん海外修行ができるようにする』と言われています。実際に向うを見て、練習をすることは勉強になりますから。あとはそこについて回るファイナンシャルの部分ですね。選手たちにスポンサーを見つけることも、大切になってきます。とにかく選手たちは金がないですから」

──そこは沖縄も同調しているという理解で宜しいですか。

「ハイ。松根も平良達郎をUFC世界フライ級チャンピオンにさせたいので。イリディウムとは別に国内のマネージメント会社とも連携をとっていますし。なるべく選手達が働かないで練習できる環境を整えていかないといけないです。変化を求めて動かないと、世界との距離はどんどん離されていきます」

──業界として変わることが難しいのであればジム単位、あるいは選手単位で変化が求められると。

「ROAD TO UFCを見ても中国が強くなっていることは明らかです。それは上海にPIがあり、あれだけの人口がある国で選ばれた選手が、PIで練習だけをしているからです。あっという間に、日本は逆転されました。つまり、このまま何もしないでいると日本のMMAはアジアでもおいていかれます」

──……。

「環境ですね。あと日本社会はMMAファイターとして世界で戦うという人間に対して、世間の目が冷たいです。昼間にここで練習をしていると、ちゃんと仕事をしていないっていう風に見られます。本当に変えていないかといけない。上手く機能しなかったら、また元に戻せば良いだけで。だからこそ、僕らから率先してどんどんと日本のMMAの環境を変えていかないと。そこに関してはこれまでと同じように色々と考えてやっていこうと思っています」

──格闘技ジム経営は選手育成よりも、一般会員を集める方が商売になります。それこそ鶴屋さんと松根さんの背中を見てきた岡田遼選手が、パーソナルのジムを選択したように。それでも選手育成が鶴屋さんにとって最重要視する部分なのですか。

「どちらかに比重を置いているつもりはないんですよ。ただプロを強化していると、そんなプロ選手の活躍を見た子たちが入門をしてきます。プロ選手に憧れて、プロになりたいと。地方都市からも、やってきますし」

──プロ志望の子たちの多くは、長続きしないというのも定説になっているかと思いますが……。

「技術指導だけでなく、コミュニケーションを取ることが大切です。やっぱり来なくなっちゃいますからね。そこで僕も若い頃のように『来ないなら辞めろ』っていう姿勢ではなくて、話をして、話を聞いて。彼らが続けられる道を見つけていく。それが僕の仕事で、それが良い環境を創ることになります」

──なるほど。可能性のある選手も、何かに躓くとジムに足が向かなくなることもあるでしょうし。そこは温かい目で根気よく付き合うと。

「そうです。そして地方の子にしても、都内と違って家賃が安くて済む。それが、この辺りの良さでもあります」

──なるほど。理に適っています。

「家賃が3万円程度だから、バイトをしながら練習ができます。そういう子たちをたまには家に呼んで飯を一緒に食うとか。同時に夜のプロ練習に加わって頑張っている一般会員さんもいて。結果的にプロを目指すようになる人もいます」

──あくまでも鶴屋浩は現場主義ということですね。

「そこは絶対です」

──今日はありがとうございました。新体制の正式発表と、それからの益々のご活躍に期待しています。

「ありがとうございます。とにかく僕の仕事は良い練習環境を整えること。それが選手の強化になり、日本のMMAを強くすることだと思っています」

The post 【Special】Fight&Life#101より鶴屋浩ラストインタビューasパラエストラ千葉ネット代表「僕の仕事は─」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB ABEMA DEEP Grachan MMA MMAPLANET o イゴール・タナベ キック ギレルメ・ナカガワ クレベル・コイケ トミー矢野 パンクラス ミスター・ホンデ ユン・チャンミン 中村京一郎 中村倫也 中谷優我 井村塁 修斗 前田浩平 古瀬美月 向坂準之助 山本歩夢 岡見勇信 巌流島 平本蓮 平田樹 松岡拓 椿飛鳥 溝口司 田嶋椋 秋山成勲 諸石一砂 野瀬翔平 青木真也 鶴屋怜

【FAW2024#01】再開、格闘代理戦争─01─。経験の中村。打のホンデ、超絶組み技力=ナカガワ&トミー矢野

【写真】4年振りの格闘代理戦争。後列がコーチ勢、前列が出場選手たち(C)MMAPLANET

14日(木)、明日15日(金)に会場非公開で開催される格闘代理戦争 THE MAXの計量及びトーナメント組み合わせ抽選会が行われた。

格闘技界の人材発掘を目的とし、2017年にABEMAが開始したリアリティTVショー=格闘代理戦争。キックとMMAの両部門で計5シーズンが実施され、MMAでは平田樹、韓国のユン・チャンミンが優勝し、前田浩平、椿飛鳥、古瀬美月らを輩出してきた。

そんな格闘代理戦争が、現役ファイターをコーチにプロキャリア5戦目までの選手に参加資格があるという形で4年振りに行われることとなった。

準々決勝は69キロ契約で3分✖3R(裁定は10Pラウンドマスト)、ドローの場合はマスト判定で決着がつけられる。明日の準々決勝後は4月に準決勝、5月に決勝が実施されるという短期決戦かつハードなトーナメントとなるという話も伝わってくる。

既に番組内で青木真也&中谷優我、秋山成勲&ミスター・ホンデ、平本蓮&向坂準之助、岡見勇信+中村倫也&中村京一郎、クレベル・コイケ&ギレルメ・ナカガワ、イゴール・タナベ&トミー矢野というコーチ陣&出場選手が発表されていた。


そして本日実施午後2時に実施された計量時に鶴屋怜&諸石一砂、田嶋椋&松岡拓という残り2枠のコーチ&出場選手が発表された。

「名前のない選手が優勝すれば、名前が売れて優勝賞金がもらえるので今後に生かせるので凄く良い企画」と格闘代理戦争の印象を語った鶴屋は、21歳で最年少コーチ就任となる。今回の出場選手と比較しても、8人中5人が彼より年上で、秋山との年齢差は実に27歳だ。

また約2週間後にパンクラスで井村塁戦が控える田嶋は、一般公募から出演が決まり、「格闘技は実力だけでなく知名度も必要になってくる。ここで知名度を上げて大きな舞台で戦う」という明確な参戦理由を話した。

ここでからは出場選手の計量結果と戦績を比較し戦力分析を行ってみたい。

中谷優我:68.85キロ(TEAM青木真也)
プロMMA戦績1勝1敗(※DEEP)
巌流島ルール1勝
打〇
倒〇〇
寝〇〇〇

ミスター・ホンデ:68.35キロ(TEAM秋山也勲)
プロ&アマキック36戦24勝
WBKF世界スーパーフェザー級王者
Breakingdown 2戦2勝
打〇〇〇〇〇
倒???
寝???

向坂準之助:65.45キロ(TEAM平本蓮)
極真空手4年
打???
倒???
寝???

中村京一郎:68.6キロ(TEAM岡見勇信+中村倫也)
MMA戦績4勝1敗(※Poundstorm、EXFIGHT、GRACHAN)
打〇〇〇〇
倒〇〇〇
寝〇〇〇

ギレルメ・ナカガワ:68.9キロ(TEAMクレベル・コイケ)
2023年IBJJFアジア茶帯ライトフェザー級3位
アマMMA10戦10勝(※DEEP SPルール等)
打〇〇
倒〇〇〇〇〇
寝〇〇〇〇〇

トミー矢野:68.8キロ(TEAMイゴール・タナベ)
2023年IBJJFムンジアル茶帯フェザー級3位
2023年IBJJFアジア茶帯フェザー級3位
2023年マリアナス・オープン茶帯オープン優勝
2023年JBJJF全日本ノーギ茶帯フェザー級優勝
アマパンクラスSクラストーナメント・ライト級優勝
打???
倒???
寝〇〇〇〇〇
※紫帯時代に南日本柔術選手権フェザー級で野瀬翔平に4-2で勝利

諸石一砂:68.95キロ(TEAM鶴屋怜)
プロMMA 2戦2勝
打〇〇〇〇
倒〇〇
寝〇〇

松岡拓:68.5キロ(TEAM田嶋椋)
アマMMA 15戦10勝5敗
2023年アマ修斗全日本ライト級3位
打???
倒???
寝???

MMAとして一番経験があるは中村、プロで4勝1敗の戦績を残しPOUNDSTORMで両国国技館という大舞台で戦っている。中谷と諸石もDEEP、修斗でプロとして戦っている。後者は長崎総合科学大学附属高等学校時代にサッカー部で、あの国見高校を長年率いていた名称・小嶺忠敏監督の指導を受けており、パンチだけでなく蹴りの強さも定評がある。

ミスター・ホンデの打撃の強さ、ナカガワと矢野の組みの強さは絶対的だ。MMA、トータルで見れば未知数だが、ナカガワはDEEPのアマMMAでも勝利しており、ケージで戦った経験もある。対してBreakingdownで2勝を挙げているポンデと、アマパンクラス優勝経験がある矢野は得意分野以外の部分で、どれだけの修練度があるか。

3分✖3Rという試合タイムを考えると──ブレイクのタイミング等は不明だが、組み技に秀でたファイターは極めだけでなく、ゲームコントロールができるという優位性を持つ。

とはいえ矢野がテイクダウンゲームを仕掛ける姿が想像でないのも事実。近づく、下になるという柔術では苦もない距離設定をどのように克服しているのか──幼少期からMMA思考だったとも聞くトミー矢野は要注目だ。

同様に突き抜けた打撃力を誇り、見るからにフィジカルが強そうなホンデは最もデンジャラスなファイターといえるだろう。

対して未知なのは松岡拓と向坂準之助の両者だ。前者のアマ修斗全日本3位という実績は誰もが残せるものではないが、プロ5戦目まで参加可能なことを考えると心もとない。向坂に関しては、一般募集から一度は合格も負傷欠場となった山本歩夢、溝口司という両者と比較すると格闘家としての実績不足は明白だ。同時にトーナメント戦は、組み合わせという要素が大きく作用する。その抽選の模様は後編で。

<この項、続く>

The post 【FAW2024#01】再開、格闘代理戦争─01─。経験の中村。打のホンデ、超絶組み技力=ナカガワ&トミー矢野 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
45 AB DEEP MMA MMAPLANET o Special UFC   パンクラス ベンソン・ヘンダーソン 中村倫也 修斗 河名マスト 狩野優

【Special】Fight&Life#89から。未来予想図──2022年1月に河名マストと中村倫也が語っていたこと

【写真】変わった? 変わっていない? ちなみに2022年1月に生まれた赤ちゃんは、今は2年2カ月です(C)MMAPLANET

MMAPLANETで第一弾の記事がアップされたばかりの中村倫也×河名マスト対談。記事中で触れられたた2022年1月Fight & Life#89掲載用のインタビューで、その出会いから──今を予言するかのような将来が語られていた。
Text by Manabu Takashima

2月2カ月前にUFCを目指す両者が、何を話していたのか。改めて、今、このタイミングでMMAデビューイヤーを終えた2人の話に目を通して欲しい。


──専修大学の同級生から、まるで別ルートでMMAに辿り着いた中村倫也選手と河名マスト選手です。キッズからレスリングで活躍していた2 人ですし、出会いはもっと早かったのでしょうか。

中村 小学5年生の時に全国大会の1回戦で当たったのが、マストと最初の出会いですね(笑)。

──アハハハハ。そんな昔から!!

中村 小4の時にマストが26キロ級で優勝して、僕は28キロで…。

河名 3位だったんだよね。

──そんな風に相手のことを認識できていたのですね。で、2人が出会った時の試合結果は?

河名 ポイントは忘れましたが、僕が負けました。

中村 7-4です!!

河名 凄い、覚えているんだ。

──ドヤ顔ですね(笑)。

中村 あの試合は凄く覚えています。試合前から『あの子はチャンピオンだから』って意識していたら、小学生のくせしてヘッドギアをして、ボロボロのテーピングで巻いていて。『絶対強いじゃん!! 無理、無理』って(笑)。最初怖すぎてテイクダウン狙ったら、がぶり返しをポーンって合わされて。『クソ強い。ボコられる』って思いました。あの試合は勝てたことが凄く嬉しくて、終わってから映像を何度も見返していました。

河名 よぉ覚えとるわ(笑)。僕は負けたことしか覚えていなかったです。優勝した年に父親に火がついてしまって、『家にマット敷くぞ』みたいな状態になって。家でも練習していたのに負けて、相当に悔しかったです。あの年、倫也は優勝して。小6の時にはまた戦っているんです。今度は2-3で負けました。

──その時点でお互いをライバル視していましたか。

中村 マストが広島で、僕が埼玉だからブロックが違っていて年に1回、あっても2回ぐらいなのでそうでもなかったです。ただ全日本になると、来るなというのはありました。

──その関係は中学になっても継続していたのですか。

河名 中学になると当たり前に僕が負けるようになっていました。

中村 マストは中学の時は一旦、燃え尽き症候群になっていた時期で。

河名 どっちかという陸上に力を入れていて、レスリングはもういいやってなっていました。

中村 体育館で少し話して、陸上の方に行くんだと思っていました。

河名 倫也は中2で全国2位、中三で優勝していて。「やっぱり強いな。俺はコソコソやっていよう』って思って見ていました(笑)。

──でもレスリングに戻ったのは?

河名 高校で陸上かレスリングどちらかにしようと考えている時に、インターハイが石垣島であるのを知って、団体戦ならイケると思ってレスリング部に入ったんです。

中村 動機が不純すぎ(笑)。そのくせしてJOC杯(カデット)と国体で、ちゃっかり2位になっているんですよ。

──しっかりと結果を残していたということですね。

河名 倫也はJOC杯(同)優勝で、世界カデットで2位ですからね。

──高校での対戦は?

河名 僕がグレコで倫也はフリーだったので、もう当たることはなかったです。戦ったのは小学生の時の2度だけですね。

──そして大学で一緒になったと。グレコとフリーだと、練習をすることもないのですか。

中村 大学によっては完全に別々ですけど、専修大はどっちがどっちでやっても良いという空気でした。フリーの選手もグレコの練習をした方が良いし、逆も然りで。コーチがそういう感じで、僕もそう思ってやっていました。マストもめちゃくちゃフリーの練習をしていましたよ。

河名 グレコはガチガチで真面目にやらないといけないですけど、フリーだと遊び感覚でできたので。

中村 僕もフリーでは負けられないけど、グレコは別にそんなことなく、ただ思い切りやれば良いので楽しかったです。それこそフリーでポイントを失うと、ガヤが飛んできて大変なことになるので(笑)。

──寮生活だったと思いますが、練習以外での交流というのは?

中村 練習が終わって一緒にお好み焼きを焼いて食べたり。マストは広島なんで実家からプレートを持ってきて、ソバとか入れて焼いてくれるんですよ。

──やっぱり広島風なのですね。

河名 そこはやっぱり、拘っていました。

──私は関西なので……。

中村 ダメです!! その会話は。もう1年の時から、さんざっぱら論争になっていたので(笑)。あとは牡蠣が送られてきたり。練習後に牡蠣パーティもしましたね。

河名 それでノロウィルスで下痢になって(笑)。

──アハハハ。日本のトップレスラーも、大学生をしていたのですね。

河名 休みの時は一緒に渋谷に行ったりしていましたよ。でも、倫也はすぐに奇行に走るんですよ。内容は下品過ぎて言えませんが……。

中村 骨盤底筋群……インナーを鍛えまくった成果だから、皆に披露したくて(笑)。

河名 僕も◯◯見ました。しょっちゅう見せているので(笑)。別に酒を飲んでいなくてもやるんです。

──アハハハ。モノが違いますね。ところで一つ伺いたかったことがあるのですが、大会に向け複数名が寮の中で減量するわけじゃないですか。どのような空気になるのですか。

河名 機嫌が悪くなる先輩もいたので、そこは気を付けていました。

中村 レスリングの減量は練習で1.5キロ落として、500グラム食べる。10日間続けると、10キロ落ちる。そんな感じだったんです。

──えっ? 

中村 僕はハイパーダイエットとハイパーリカバリーっていうのがあるのを格闘技雑誌で知って。向うのサイトをチェックしたりして、浸透圧とか勉強しましたね。塩抜き、水抜きをやってみると『これはめっちゃ楽に体重が落ちるぞ』って(笑)。

河名 僕らも減量の仕方を倫也に教えてもらっていました。当時から倫也がMMAに進むつもりだっていうことは皆が知っていたし。でもレスリングでもヒーローみたいで、コイツはずっと上に突き進むんだろうと皆が思っていました。リーダー気質というか、ついていきたくなる人間だったんです。で、ついてくと◯◯を見せられる(笑)。

──アハハハハ。マスト選手は良い感じ話術が優れていますね。それにしても倫也選手は大学の同期からも、そのように思われていたと。

河名 倫也は2年でインカレと全日本大学フリー選手権の両方で優勝して。大学って高校から入ってきた1年の時と卒業する前の4年の時って、全くフィジカルが違うんです。普通の高校王者だと勝ち抜けないです。全日本王者の高橋(侑希)選手に全日本選抜で勝ったり、その時点でもう日本のトップクラスでした。

中村 でも3年、4年とケガをしてどっちも欠場していますからね。逆にマストは4年でインカレと全日本大学グレコ選手権で優勝しているんです。僕のことをああいう風に言ってくれますけど、マストこそ大きなケガをせず、コツコツやって力をつけてチームの皆が喜ぶ勝ちを収めていました。だって大学3年の時に倉本(一真。現MMAファイターで2014年の全日本優勝)さんをリオ五輪の最終予選でぶっ倒しているんですよ。『ここまで来てんのか』って。

河名 あそこで俺も五輪って言って良いんだと思って。

──倫也選手は、もっと早く五輪を目標にしていたのですか。

中村 僕は五輪よりもUFCでした。必死で五輪に行きたい人間からすると『何言ってるんだ!』って反感を買っていたと思います。でも、それがなんだって。何が悪いんだって。

河名 倫也の取り組みを見ている人間なら、そういうことは思わないです。練習だけでなく、私生活でもそこを真っ直ぐ目指していることが伝わって来ていたので。誰も何も言わないし、本当に応援したいという風に大学の皆はなっていました。

──では一昨年の4月にMMAに転向した時は、マスト選手は『ついに』という感じだったのでしょうか。

河名 「やっとか。現実になって良かった。倫也のやりたいことができる」ぐらいで。そういえば倫也は入寮の時にベンソン・ヘンダーソンのフィギアを持っていました(笑)。

中村 あとアンデウソン・シウバの等身大のパネルですね(笑)。

河名 そんなだから、倫也がどれだけレスリングで成功しても、最終的にはMMAに行くと思っていました。

──では昨年、マスト選手がMMAに転向すると知った時、倫也選手はどう思われましたか。

中村 「勧めないぞ。この世界は」って思いました(笑)。僕自身が壁にぶち当たっている時だったんで。TRIBEさんのプロ練習で背中を伸ばされて、『あぁ』とか言っていた頃で。もう泣きながら電車に乗っていた時期だったので、『ホントに?』って。ただ自分が我がままを貫き通していたので反対はしなかったです。

河名 倫也の場合は根っからのMMAファイターが、レスリングも強かったということだったと思います。

中村 それはケガをした期間のおかげです。その間はレスリングを離れて、体の使い方とか凄く勉強していたんです。皆が言われたままにウェイトとかやっている時に。

河名 とにかく大きくなれみたいなフィジカルだったもんね。

中村 その間、僕はUFCや米国の練習を研究して、機能回復系のジムに行ったり。だからケガから復帰した時には新しい動きができて、新しい技が使えるようになる。そういうことを繰り替えてしていたので、MMAでも自分を落とし込めるようになっていました。

──その辺りはプロ初戦を左ハイでKO勝ちの倫也選手と、右ハイから流血TKO負けになったマスト選手で明暗が分かれました。

河名 やっぱ、こうなるかって(笑)。もちろん勝つつもりで戦いましたけど、こうなるなと……。倫也のあの勝ち方は20数年間のMMAへの愛が形になったと思いました。

中村 あぁ、確かに。でもマストにはマストの強くなり方があります。レスリングの時と同じでケガがなくて、練習を続けて強くなる。もう4試合もしていますからね。ランデルマンに負けたあとの、ミルコみたいなペースです(笑)。

──例えが(笑)。そしてマスト選手は、EXFIGHTで狩野優戦が決まりました。組み技を合わせると10月から5カ月連続の実戦です。

倫也 ヤバいよ、ソレ。前の試合の打ち上げでマストも「ちょっと休む、さすがに」って言っていたんです。で、家に戻ると『EXFIGHTのオファーが来てしまった』ってメッセージが入っていて。でも、徐々に思い切り打撃が出せるようになっていますしね。本当に試合をする度に成長しているんです、マストは。

──一方、倫也選手は4月にLDHのPOUNDSTORM出場が確定しています。髙谷さんは最高に厳しい相手を用意したいと……。

中村 僕もそのつもりです。何も決まっていませんが勝手なことを言わせて貰えば、UFCに行くためのフィーダーショーで一番強いチャンピオンとやりたい。そしてPOUNDSTROM後にコンテンダーシリーズに出て、UFCとの契約を取りたいです。そこで取れなくても、インパクトは残せると思うので最長でも再来年にはUFCへ行きます。

──再来年ですか、来年ではなくて。

中村 そこでこけると、もう一回順番を持つことになるので……その覚悟を持って挑みます。でも最短だと9月ですっ!!

──今の言葉を聞いて、マスト選手はどう思われますか。

河名 倫也なら、やっちゃうんだろうなって思います。それが倫也らしさなんで(笑)。

中村 言っちゃたぁ(笑)。

──マスト選手もUFCが目標と公言しています。

河名 期間で言うと、最速で再来年を目標にしています。そこまでに国内のフェザー級のトップ、パンクラス、DEEP、修斗のチャンピオン・クラスに勝てるようになっていたい。団体に拘りはないですけど、そうなっていないといけないです。

中村 マストは『コイツを食ったかぁ』という風に勝つときが来て、そのまま一気に行っちゃうと思います。

The post 【Special】Fight&Life#89から。未来予想図──2022年1月に河名マストと中村倫也が語っていたこと first appeared on MMAPLANET.