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【Special】J-Grappling2023─2024、世羅智茂─02─「ルールを理解せず単純に技術だけ学ぼうとすると…」

【写真】カルペディエム青山で松嶋こよみや菊入正行らJ-MMAのトップと練習をしている (C)MMAPLANET

J-Grappling 2023-2024、世羅智茂インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

2023年、海外のトーナメントに出場する一方で、世羅はProgressフォークスタイル・グラップリングのウェルター級暫定王座決定戦に挑み、森戸新士に敗れている。日本国内ではADCCルールの試合経験を積むことができないなか、世羅にとってプログレスで戦った意味とは。そして11月、77キロ級で3位入賞を果たしたADCCアジア&オセアニア予選を振り返る。全ては2024年世界大会のために――これが世羅のRoad to ADCCだ。

<世羅智茂インタビューPart.01はコチラから>


――年末のADCCアジア&オセアニア予選を目標としていた世羅選手にとって、グラジエイターで行われたプログレスのトーナメントは、どのような意味を持っていたのでしょうか。決勝で森戸新士選手に敗れていますが……。

「決勝で負けたというのは、やっぱり悔しいです。試合内容も、勝つための実力を十分に練ることができていませんでしたね。まだまだ準備不足だなって感じました」

――森戸選手もADCCを目指し、スタンドレスリングを強化していました。その意味では両者にとってADCC前哨戦といえる試合だったかもしれません。

「そうですね。ADCC予選でも当たる可能性はありましたし。あとプログレスのルールはADCCにもマッチしていて、このルールで日本トップレベルの選手と対戦できる機会も少ないと思うんですよ。その点では、ADCC予選の前にプログレスルールで対戦できていた意味は大きいです」

――ADCCで勝つためには、ADCCルールはもちろんスタンドレスリングが重要視されるルールの試合経験を増やしたほうが良いですか。

「数をこなしたほうが良いかどうかは分からないですけど、一度は経験しておいたほうが良いとは思います。どうしても柔術がベースにあって、下のポジションになっても良いという意識でいると負ける可能性は高くなりますから」

――同じく11月のADCC予選に出場した山田海南江選手は、試合前のインタビューで練習環境についても触れていました。女子の場合、ADCCルールの練習ができる環境は少ない。そのため、自分の中で試合時間とルールを考えながら練習していたと。

「あぁ、確かにそれは難しいですね。練習相手もADCCルールを意識してくれないと――たとえばスパーで相手が簡単に下になっていると、噛み合わない部分は出て来ます。日本国内ならMMAファイターと練習をしたほうが、ADCCに近いかもしれないです。MMAの選手は簡単には下にならないし、テイクダウンされてもすぐに立ち上がるので」

――世羅選手もロータスをはじめ、MMAファイターとグラップリングの練習することは多いですね。

「はい。今は週1でロータスに行かせてもらっているのと、カルペディエム青山でも週3でグラップリングの練習をしていて、そこにMMAファイターの方たちが来てくれています。そこでスタンドレスリングの練習はできていますね」

――ではADCC予選の日を迎えた段階で、ご自身が目指していたスタンドレスリングのレベルに達していたのでしょうか。

「いえ、良くて半分のレベルというところでした。ちょっとずつレスリングの理屈は分かってきていました。レスリングのルールから理解すると分かりやすいですね。ルールを理解せず単純に技術だけ学ぼうとすると、しっくりと来なくて。柔術の感覚のままレスリングを学ぶと難しいですよ。それはどの競技に対しても言えることでしょうけど――レスリングの技術というのは、そのルールの中で最適化されているものじゃないですか。

まずレスリングは互いに動かされるルールで、動かないとパッシブを取られてしまう。下がって場外に出ると、相手に1ポイントが与えられる。選手は前に出るしかないルールです。そのルールの下で生まれている技術だからこそ、まずルールを理解することで技術の理屈も分かってきました。ただ、それでも自分の理想からすると、半分ぐらいのレベルにしか達していなかったとは思います」

――その状態は予選に挑むにあたって、不安要素にはなりませんでしたか。

「不安要素に……なっていましたね(苦笑)。実際、準決勝戦はスタンドレスリングで劣勢になり、それが判定に響いてしまいました。そこで自分の弱い部分が出てしまったな、という気持ちはあります。

ADCCで勝つためには体力、フィジカル面も重要で。予選はオープントーナメントなので、77キロ級とか50人以上が参加していました。すると優勝するためには5~6試合しないといけなくて、必然的に体力が必要になってきますよね。1回戦からエコに試合を運べていたら体力も温存できていたとは思いますけど……」

――結果、6試合で世羅選手がポイントを失うことはありませんでした。それはエコな戦いではなかったということでしょうか。

「ADCCはポイントが入りにくいんですよ。一瞬パスされたりバックを奪われても、カウントが入る前に立ち上がったりするとか――ギリギリのところを抑えていると失点はなくせます。危ない場面は結構ありましたが、寸前のところで止められたという感じですね。

3回戦では前半にシライ・ソウフィにマウントを奪取されるも

3回戦ではポイントが入らない時間に、マウントまで取られていました。

『やべぇ!』とは思いながら、まだポイントは入らないので落ち着いて戦えたんです。結果は加点時間に僕がバックを取って勝てたので。まぁ、ギリギリでした(苦笑)。

バックを取るなど5-0で準々決勝へ進んだ

できるだけ1回戦や2回戦は、サクッと極めて勝ちたいです。

実際、他の1回戦は一本勝ちが多くて。オープン参加なので記念受験のような選手もいるとは思いますね。やはりレベルの差が大きい試合がありました。それが3回戦~4回戦になると、極めるのは難しくなる。だから1~2回戦は極めて、体力を温存したかったです」

――なるほど。

「あと予選は決勝以外、試合時間が6分なので一つのポイントで決まってしまいます。加点時間——残り3分で一度2ポイントでも取られてしまうと、自分がポイントを取り返すのは本当に難しいです。先ほど言った3回戦で、マウントを取られたのが加点時間だったらキツかったと思います。ただでさえポイントが入りにくいADCCなので」

――今回の予選では3位に入賞するも、世界大会出場権を獲得できませんでした。その結果については、どのように考えていますか。

「もちろん結果は満足できないです。でも一応、3位入賞というのは――ベストではないけれど形にはなったという感じですね。それは素直に良かったなと思います。

海外へ行くたびにクラスの指導を休むことになり、他のスタッフに代行してもらうなかで3位に入ったのは、最低限の結果を残すことができました。そこはメダルがあると無いとでは大きく違うので。そして自分の力が、ある程度通じることが分かったのも収穫でした。

こういうトーナメントって組まれ方次第で順位が大きく変わるんですよね。77キロ級は優勝した岩本君以外、おそらくベスト4やベスト8ぐらいは組まれ方で変わってきます。そのなかで3位入賞できたのは大きいと思ってはいます」

――一方、再び世界大会を目指すうえで自身に足りないものは何でしょうか。

「まだスタンドレスリングは伸びしろがあると思うので、強化していきます。それよりも全体的に、平均値を上げていきたいですね。スタンドレスリングに寄りすぎても難しいと思うんですよ。レスリングが強いだけで勝てるわけではなく、パスガードやポジショニング、サブミッションなど全ての要素を高めていかないと勝てない。

MMAも全ての要素が強くないとUFCでは勝てない、と言われるじゃないですか。MMAの頂点がUFCなら、グラップリングの頂点はADCCで。MMAでいえばDJのように、グラップリングにおいて全ての要素で強くならないといけないです」

――世界大会は8月17&18日に米国ラスベガスで開催予定です。その前にアジア&オセアニア予選の2ndラウンドが行われるという話もありますが、開催されれば出場しますか。

「予選は各地区で2回行われていますからね。もう一回、予選はあると思っています。その中で再び、1つしかない世界大会出場権を争う。また過酷なトーナメントになりますが、やるしかないです」


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【Special】J-MMA2023─2024、世羅智茂─01─「まずレスリングをやる。安易に下にならない」

【写真】強豪揃いのBチームでの練習——写真はニック・ロドリゲス、ハイサム・リダと(C)TOMOSHIGE SERA

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA 2023-2024、第六弾は昨年11月にADCCアジア&オセアニア予選の77キロ級3位となった世羅智茂に話を訊いた。全てはADCC世界大会出場のため――国内外を問わず毎月のように試合に出場した世羅は、海外での試合と練習を経て何を感じたのか。

■2023年世羅智茂戦績

3月26日 Gladiator021 Progressフォークスタイルグラップリング
○8-4 大嶋聡承(日本)

4月29日 Gladiator-Cup03
エリート-77.1キロ級 2位

5月27日 ADCC SouthEast Asia Open 2023
プロフェッショナル77キロ級 優勝

5月28日 AFG Open International 2023
アダルトプロ・アブソリュート紫・茶・黒帯ライト級 優勝

6月11日 Gladiator022  Progressフォークスタイルグラップリング
○2R1分50秒 by 肩固め 加賀谷庸一朗(日本)

7月8日 American National IBJJF Jiu-Jitsu No-Gi Championship
アダルト黒帯ライト級 準々決勝敗退

7月17日 Austin Summer International Open IBJJF Jiu-Jitsu No-Gi Championship 2023
アダルト黒帯ミドル級 3位

9月10日 QUINTET04
●2分13秒 by RNC PJバーチ(米国)

9月30日 Gladiator023  Progressフォークスタイルグラップリング
●2-4 森戸新士(日本)

11月25日 ADCC Asia & Oceania Trial 2023
77キロ級 3位
1回戦 ○肩固め キム・キュンジェ(韓国)
2回戦 ○8-0 アーロン・コミンスキー()
3回戦 ○5-0 シライ・ソウフィ(豪州)
準々決勝 ○2-0 シュ・ワイチン(中国)
準決勝 ●延長0-0/レフェリー判定 リース・アレン(豪州)
3位決定戦 ○3-0 シルクハン・バラトベク(カザフスタン)


――改めて戦績を並べてみると、とにかく試合数が多かった2023年です。もともと昨年はこれだけ試合数をこなしたいと考えていたのでしょうか。

「こんなに試合をするとは思っていなかったです。グラジエイターからプログレスのオファーを頂いたことは大きかったですね。2023年は『海外で試合をしたい』という目標を立てていました。どこに行くかは最初の段階で決めてはいなかったのですが、前に海外で試合をしたのはコロナ禍の前ですし、まず海外で経験を積みたいという目標があって。結果、3回も海外へ行くことができたのは――たまたまですね(笑)」

――というと?

「5月に出場した大会は、タイのバンコクで開催されたものです。これは最近オープンしたカルペディエム・バンコクのオーナーさんから『こういう大会があるのですが出ませんか?』と言われたことがキッカケでした。

まずADCCルールの大会は、自分もADCCアジア&オセアニア予選を目指していたので、ちょうど良いと思ったんですよ。翌日の大会は柔術の大会です。実は今年、あまり柔術の大会に出るつもりはなくて。でも翌日に開催されるし、タイで柔術の大会に出るのも良い経験かなと考えて出場しました。優勝すればカルペディエム・バンコクの宣伝にもなるかなと思い、結果的にどちらの大会も優勝することができて良かったです」

――現在、アジアでADCCルールのオープン大会が増加していますね。

「もともと世界各国で開催されていますが、なかでもアジアは増えてきています。僕が出たのはバンコクの大会で、確かプーケットでも行われているはずです(※2023年12月にプーケットでADCCタイ選手権が開催されているほか、プーケットオープンも存在する)」

――実際に試合をしてみて、タイのグラップリングレベルはいかがですか。

「タイ人の選手は、まだそれほどレベルは高くないです。でもグラップリングの人気は高くなっていると思いますね。特にタイ在住の外国人選手が出場するので、盛り上がっているという印象はありました」

――7月には米国ラスベガスで開催されたアメリカン・ナショナルに出場しました。

T-モバイル・アリーナ、300ドル席からの風景。ADCC世界選手権2024は、この会場で行われる(C)TOMOSHIGE SERA

「UFC290と日程が重なっていたので、参加者も多かったんだろうと思います。会場(ラスベガス・コンベンション・センター)もメチャクチャ大きくて。その大会後にUFCも会場で観てきました。UFCのチケット代は300ドル――今のレートだと日本円で42,000~43,000円ぐらいですか。席は会場の端のほうでしたけど(苦笑)。でも平良達郎選手も出場していましたし、こんな機会は滅多にないと思って観に行きました。日本大会とも違う現地のUFCを観ることができて良かったです」

――世羅選手にとっては久々の海外遠征となりましたが、米国のグラップリングに変化はありましたか。

マット12面のアメリカン・ナショナル会場(C)TOMOSHIGE SERA

「僕がコロナ禍の前に行った時はIBJJFのノーギ・ワールドに出たのですが、正直言ってノーギ・ワールドの盛り上がりは、それほど変わっていないと思うんです。それよりもADCCの注目度とレベルが上がっていて。

ムンジアルとノーギ・ワールドを比べると、ノーギ・ワールドの立ち位置って微妙なところはあるんですよ。たとえばムンジアルで優勝した選手が、ノーギ・ワールドには出ないけどADCCに出ていたりとか。だからといって、ノーギ・ワールドのレベルが低いというわけではないです。やはりグラップリング界の注目度はADCCのほうが高いとは感じますよね。そのADCCやUFCの人気が高まるにつれて、米国のグラップリングもそうですし、ノーギ・ワールドのレベルも上がっているんじゃないでしょうか」

――なるほど。アメリカン・ナショナルの1週間後にはテキサス州オースティンの大会に出場しています。

「アメリカン・ナショナルの後に、オースティンにあるBチームへ練習に行ったんですよ。Bチームにいるハイサム(・リダ)に連絡すると、チームも受け入れてくれました。ちなみに、オースティン・サマー国際にミドル級で出場したのは、減量しながらBチームで練習するのは嫌だったからです(笑)。結果は4名参加の初戦敗退で、負けメダルでした」

――Bチームで練習した感想を教えてください。

「当たり前の話ですけど――やっぱり皆が強いです。盛り上がりも凄いですし。まず単純に、ジムの会員さんが多くて。朝9時ごろから始まるクラスでも、30~40人が参加していました。昼からのクラスも同じぐらいの人数でしたね」

――グラップリングのみで、それだけの人数がクラスに参加するのですか。

元チームメイトであるハイサム・リダの協力を得てBチームへ。偶然も同じタイミングで、米倉大貴もB-チームに(C)TOMOSHIGE SERA

「はい。ニック・ロドリゲスやニッキー・ライアンといった有名選手も、一般会員さんと一緒のクラスでスパーリングに参加していました。そこで練習している会員さんたちも、かなり強い人がいます。特にしっかりレスリングができる人が多かったですね。もちろんレスリングが強くない人もいます。そういった人たちでも、まずレスリングをやろうとする。安易に下にならない、という姿勢で練習していました

もともとレスリングベースの選手も多いですよね。17歳でADCC北米予選を制したドリアン・オリヴァレスも練習に来ていて。彼はもともとレスリングのトップ選手なんですよ。体格的には66キロ級でも小さいほうなのに、レスリングを徹底していて強かったです。サブミッションになると、僕が極めることもありました。でもレスリングが強いし、体力も凄かったです。実際のトーナメントで対戦すると、シンドイ相手だろうなと思いました」

――世羅選手も2023年のテーマとして、レスリング力の強化を上げていました。

「そうですね。僕自身は大学のレスリング部や、レスリング専門ジムの練習に参加させてもらったりしていました。あと偶然のような話ではありますけど、最近はカルペディエムにレスリングをやっている方が練習に来たり、クラスでレスリングを教えに来てくださったり。そうしてレスリングと関わることが増えてきました。MMAファイターの方と練習する時も、何かしらレスリングに関することを学ぼうとしていましたね」

――それだけレスリング力の強化に取り組んできたのも、11月に開催されるADCCアジア&オセアニア予選のためだったのですか。

「そうです。練習だけでなくADCCとは異なるルールの試合でも、ADCCのことを考えながら取り組んできたものを試すように意識していました」

<この項、続く>

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【Flash】ADCC Asia & Oseania Trial 日本人選手試合結果①

【写真】77キロ級2回戦、シードの岩本健汰はジョーダン・ピゴットに貫禄の4分30秒RNCで一本勝ち(C)MMAPLANET


77キロ級、森戸新士は豪州の強豪フィス・アレンと本戦、延長とも0-0もレフェリー判定負け。


同じく77キロ級の世羅智茂は初戦の肩固め一本勝ちに続き、8-0で2回戦突破。


66キロ級の米倉大貴は2試合連続足関で一本勝ち。


66キロ級、須藤拓真は優勝候補のイーサン・トーマス(豪州)に延長R引き込みで1Pで敗れる。


66キロ級2回戦、寒河江寿泰も延長でテイクダウンを許し敗退。

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F1 JT・トレス MMA MMAPLANET o YouTube   ウィリアム・タケット グラント・ボクダノフ ゴードン・ライアン ジオゴ・ヘイス ジョセフ・チェン ダンテ・リオン ダヴィ・ハモス 世羅智茂 岩本健汰 森戸新士

【Fight&Life & ADCC Asia & Oceania Trial】ADCC予選へ、森戸新士「家族や仲間の存在が自分の力に」

【写真】競技として柔術とグラップリングは別モノであると思いますが、グラップリングを修めようといういう姿勢は生き方として柔術家だと感じます(C)MMAPLANET

現在発売中のFight&Life#99で11月25日(土・現地時間)にシンガポールはジュロンイースト・スポーツセンターで開催されるADCCアジア&オセニア予選に出場する森戸新士のインタビューが掲載されている。

岩国と広島に柔術道場を持つ。経営&指導でありながら、毎月のように道着&ノーギ、プロ&アマ・トーナメントに数多く出場する森戸にとってADCC出場の意義と、柔術家として取り組みを尋ねた同インタビューを全文掲載したい。


──昨日の全日本柔術選手権、ライト級と無差別級で3位でした。

「階級別も無差別も初めて試合をした大浦マイケ選手、グラント・ボクダノフ選手に準決勝で負けてしまいました。マイケ選手は茶帯で勝ちまくっていた選手で、自分の形を創る前に崩されてしまいした。素直に完敗でしたので悔しくて、やり返したい気持ちでいっぱいです(苦笑)」

──無差別の準決勝はポイントを取り合って同点でレフェリー判定負けだったと。マイケ選手もグラント選手も年下です。国内において下の世代が上がってきたことに関しては、どのように捉えていますか。

「そういう年齢になってきたな、と(笑)。僕が黒帯になったのが2018年、あの時には『やっと黒帯の強い選手を倒しにいける』と思っていました。思ったことを実現してきて、今は茶帯から上がってきた強い選手を倒す立場になった。でも今回は倒されたから、やり返したいです」

──それにしても1週間前にグラジエイターで暫定王座決定戦を戦い、世羅智茂選手を破って王者になったばかりでした。ケージ・グラップリングと畳の道着、もう完全に別モノかと。強行スケジュールで、どちらに比重を置いていたのですか。

「今回はノーギの方でした。ただ普段からノーギの試合前でも道着の指導をしていますし。そのままスパーにも加わっているので、どちらも練習しています。ただフォーカスしていたのはノーギですね。道着の方は3、4回ほど練習しただけでした。なので全日本は出場するかどうか迷ったんですけど、これでは来年のムンジアルで勝てないと思い知らされたので、出て良かったです」

──たまたまグラップリングの試合が前だったから、比重を置いていたのでしょうか。

「今回はタイトル戦で、世羅さんにはノーギで1度負けているので。ちゃんと取り返しておきたいというのがありました」

──4-2でしっかりと確実に勝った。そういう印象の試合でした。

「ルール的に上の取り合いになると分かっていましたし、そのつもりで準備もしていました。しっかりと勝てたことは良かったです」

──それにしてもグラジエイター、FINISHというグラップリングのプロマッチ、プロ柔術でもKITとART。そして全日本やアジア、全日本ノーギともの凄い数の試合に出場していますね。

「基本的には月に1度は試合をしていると思います。でも僕は試合が終わると、もう過去のことになっちゃうんです(笑)。次のことしか考えないので」

──現役生活と指導者生活、これだけ試合に出ていてなお、バランスが取れているのですね。

「基本、オファーがあったら断らないようにしています。呼ばれているうちが華なので。大きな舞台で活躍したいですし、その過程でもあるので数もこなしていきたいです」

──そういうなかで旅費、出場費を払うトーナメントと足代が出てファイトマネーのあるプロの試合では、捉え方は違ってきますか。

「試合は始まれば同じなので、あまり違いとかは考えないです。エントリー費用で1万円払うのも経験値を積んで、実績を創るためです。それにトーナメントは試合数が多くて、その分練習で取り組んできたモノを試せて成長できます。勿論、ファイトマネーが少しでも多い方が良いですけどね(笑)。それにプロの試合は旅費の負担がないのも助かります。そこに呼んでもらえていることが、有難いです。そういう舞台で戦うと名前も売れますし、ジムの宣伝にもなるので。プロマッチは相手が強い人しかいないのも良い点です」

──森戸選手はいつ頃からグラップリングの試合に出て、ADCCを目指すようになったのですか。

「初めてグラップリングの試合に出たのは2019年のADCCアジア・オセニア予選でした。岩本健汰選手が66キロ級で代表になった時です。僕は77キロ級に出場し2回戦でラクラン・ジャイルスに内ヒールで負けました」

──ラクランはその年の世界大会では無差別級で3位になるなど、足関節で旋風を巻き起こしたグラップラーですし、初のグラップリングでは致し方ない結果かと。

「あの時は柔術の練習の時に道着の上だけ脱いで藤田(善弘。藤田柔術代表)先生とチョロッとやっただけで出ていました。で足関を創られて、逃げ方も分からず足首とヒザを少し鳴らされてタップしました」

──なぜ予選に出ようと?

「当時はまだ会社員で、仕事をしながらでも選手として活躍したいともがいていた時期で、大きな大会は全て出ようとしていました。それで、取りあえず出てみようと。振り返れば、まぁ……どうやって勝つつもりだったんだろうとは思います。同時にそれぐらいのマインドを持っていないと、ああいう舞台には出ていなかったでしょうし。僕は試合に出て、課題に直面して直していくようにしているので」

──柔術では禁止されている内ヒールで敗れて、これは別モノだから構わないという気持ちには?

「ならなかったです。あの後のラクランの活躍も見て、自分もグラップリングを頑張ろうというきっかけになりました」

──別モノだという考えにはならなかったということですね。

「別モノという考えもあると思います。ただADCCの入賞者を見ても柔術家が多かったです。コブリーニャ、ダヴィ・ハモス、2連覇のJT・トレスと。柔術家がADCCルールに対応するために練習をして結果を残している。つまり柔術はグラップリングで生きているということじゃないですか」

──ハイ。

「グラップリングを戦う上でも柔術の練習が無駄になるとは思わないので、それほど分けて考えることはないです。ただし、グラップリングに特化して練習した方がADCCでは結果を残せるとは思っています。ムンジアルとADCCの両方を狙うよりも、どちらかに集中した方が成果は出しやすい。それでもミカ・ガルバォン、ジオゴ・ヘイス、ファブリシオ・アンドレだとか、ルオトロ兄弟もそうですが、両方で活躍している柔術家も多くて。僕が目指したいのはそういう選手です」

──まさにその言葉通りの活躍を国内ではできています。両競技に出る利点はどこにあると考えていますか。

「利点……利点というか、両方とも楽しいです。道着もアジアの前に集中して練習していると、掘り下げる分だけ新しい技術が見つかって。その時は道着にハマります。でもノーギの大会前はレスリングもそうだし、新しい技術にハマります。一方に集中した方が、競技者としては上達すると思いますが、両方とも楽しいから、今のところは両方で頑張りたいという気持ちです」

──コンペティションに出る理由も楽しいからでしょうか。

「そこに対する取り組みも、ですね。もちろん、試合だから精神的に負担もあります。ただ挑戦していること自体は楽しいです」

──楽しめなくなる。それも競技者生活の一面ではあります。

「注目が集まり過ぎると、そうなるんじゃないでしょうか。マイナー競技だから、楽しめているのかもしれないです。ただゴードン・ライアンが楽しめているとは思えないですね(笑)。ウィリアム・タケットも『試合に出ることはストレスだから、ずっと競技者をやっていこうとは思っていない』と言っていました。弟のアンドリューは、ただ楽しいって感じですけど(笑)」

──なるほどぉ。これは絶対的に否定していることではなくて──。森戸選手が全日本柔術の週末に子供さんの運動会に行かれていたことは、正直驚きました。

「日程的に可能であれば、どんな大きな大会前でも娘の運動会には行きますっ!! 」

──かつかつに体重を落とすわけでないですし。そういえば、MMAでも計量後に運動会に駆けつけている選手もいました。

「僕は減量を余りしないのですが、そりゃあ娘の運動会は大切です。むしろ、そこから活力を得ないといけない。そのために日々を頑張っているので」

──昭和親父として、頭が下がります(苦笑)。

「競技を続けることは当然、楽しいだけではないです。今の僕は道場経営で生活を成り立たせているので、自分の実績も今後の経営に関係してきます。何より応援してくれる家族、生徒さんやスポンサーさん達の生活も僕が活躍することで豊かになってほしいし、自分の心も豊かになれるので競技を頑張りたいです」

──今年は1月にジョセフ・チェンに完敗を喫しました。自らの努力を否定されかねない敗北だったかと思うのですが、心を豊かにするのとは真逆で絶望感を持つことは?

「自分がジョセフの域まで達していないだけで、でも強くなっている実感があります。これだけ強い人がいるのだから、もっと頑張ろうという気持ちになりました。強い選手と肌を合わせられて良かったと思います。戦う舞台が世界になると、ああいう選手が揃っているので。現にジョセフはノーギだと過去一で強かった。ジョセフ・レベルの選手がADCCの世界大会に出る。そういう選手と日本で試合ができて、差も分かりました。そこをどう埋めていくのかという過程に今はいます」

──あの試合以降、森戸選手のグラップリングは技術的に変化しました。ラクランの足関から始まったグラップリング挑戦ですが、この競技自体に技術変遷が見られます。

「今では足関は必須科目です。主流の技術が代わり、その技術を修得していく過程はやはり楽しいです。強くなることが実感できるので」

──その成果を発揮する舞台が、 11月25日のADCCアジア・オセアニア予選です。

「ADCC世界大会は僕の目標とする大会の一つです。招待選手でもない僕は、そこに出るには予選で勝つしかない。もちろん、そこに賭ける想いはあります。そのために練習をしているので」

──その練習環境としては広島&岩国だと、首都圏のコンペ練習がある道場とはまた違ってきます。首都圏ではMMAファイターのプロ練習に参加する選手もいますし。

「練習環境の差はどう見てもあります。でも僕はこのジムを自分で起ち上げて、通ってくれる生徒さん、出稽古で来てくれる練習仲間──皆で強くなっていこうという気持ちでやっています。取り組み方次第で、練習環境の差は埋めていける。結果を残して、ソレを示していきたいという想いでやっています」

──アジア・オセニアニア予選、豪州、あるいは中央アジアからどのような選手が出てくるのか分からないですが、前回優勝の岩本健汰選手が優勝候補一番手だと思われます。東京やB-Teamで練習する岩本選手を相手にして、今の言葉を実践できるのか。大勝負ですね。

「う~ん、ADCCルールの実力でいえば向うの方が全然上です。ジョゼフに勝ち、ウィリアム、ダンテ・リオンという世界のトップと張り合える選手との試合を見ても、岩本選手はめっちゃ強いです(笑)。でも、そこに挑んでナンボなんで。やるからにはもちろん、自分の持っているモノを全部出して勝ちに行きたいです」

──岩本健汰になくて、森戸新士にある長所とは?

「柔術の極め。岩本選手もスクランブルが強いですけど、自分も意外と得意なので、そこで驚かせることもないことはない。そういうところでチャンスを創りたいです。僕はコロナの時に米軍基地での指導という仕事を失って、あの時に柔術を教えていた生徒さんの助けがあって、家族と生き抜くことができました」

──……。

「LEOSを創る前、結婚をする前、子供が生まれる前は自分のことしか考えていなかったです。今は柔術だと試合会場に仲間と一緒に行き、プログレスとか自分だけの試合でもセコンドで仲間が来てくれます。試合直前まで支えてくれて、応援してくれる家族や仲間の存在は、明らかに自分の力になっています」

──圧倒的な実力差があるケースを抜きにして、競り合った時にその想いが森戸選手のエネルギーになりそうですね。

「より一層負けられないという気持ちが大きくなります。試合前も娘の写真を見て……だから運動会にも行くし(笑)。奥さんから娘が『頑張ってねぇ』と言っている動画が送られてきます。道場の皆のメッセージを読んで、動画を見ると良い感じで緊張が取れて『やるぞ』と気持ちを切り替えることができるし。そんな皆のためにも頑張りたいです」

──では改めてADCCアジア・オセニア予選に向けて、意気込みの程をお願いします。

「ADCCアジア・オセアニア予選はレベルも凄く上がっていて、メンバー的にも過酷なモノになると思います。インターバルも短く体力的にも厳しいです。勝ち上がれば勝ち上がるほど厳しい状況になりますが、一つひとつ勝ち進んで──代表権を掴み取りたいと思います」

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【Gladiator023&024】チハヤフル・ズッキーニョス、ハンセン怜雄戦から河名マスト戦へ「もう幻想はない」

【写真】グラジフェザー級の中心に(C)SHOJIRO KAMEIKE

9月30日(日)に大阪府豊中市の176boxで開催されたGLADIATOR023にて、ハンセン玲雄にTKO勝ちしたチハヤフル・ズッキーニョスのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

ダギースレン戦に続く激闘となったハンセン戦を振り返ってもらった20日後、12月9日(土)に行われるGLADIATOR024で河名マストと対戦することが決まった。2023年、最もグラジエーターで成長したファイターの一人であるチハヤフルにとって、今年を締めくくるにふさわしい一戦についても訊く。

<チハヤフル・ズッキーニョスによるハンセン玲雄戦振り返りインタビューPart.01はコチラから>


――ハンセン選手をKOした2Rについて、まずテイクダウンを奪いました。

「気持ちとしては打撃で行きたかったですが、遠い距離だとハンセン選手の蹴りとか巧い部分が際立っていましたよね。僕も狙っていたわけじゃないですけど、反射的というか『取れる!』と思ったので、テイクダウンに行きました」

――しかしスクランブルの中でハンセン選手にトップを奪われ、さらに投げられてしまう場面もありました。

「ハンセン選手も柔道出身なので、投げ技があることは知っていました。でもまさか投げに来るとは思わなかったです。僕はちょうど殴り合いに行こうと思っていて、ここで離れると思っていたんです。するとハンセン選手は離れずに組んできて、こんなに綺麗に投げられてしまいました(苦笑)」

――ここでは、しっかりと背中を着かされています。

「2Rも終盤だったので、ここで立ち上がってから打ちに行こうという気持ちでした。離れた時に右が一発入って、僕もスイッチが入りましたね。相手も効いているという感覚があったので、とにかく相手のパンチを見ながら自分のパンチを当てることに集中していました。相手が倒れた時も、いつもなら抑え込みに行っていたと思います。でもこの時はラッシュしていたし、左ハイも自然に出ていて」

――あの左ハイはハンセン選手も見えていなかったような感じですね。

「はい。あの左ハイで試合も決まったかなと思います。しっかりと打ち勝てたし、このKO勝ちによって――MMAファイターとしてまた一歩先に進むことができました」

――結果、ハンセン戦はダギースレン戦と同様に大激闘となりました。ただ、ハンセン戦は勝つことができましたが、ダギースレンには敗れている。今、あのダギースレン戦の敗北をどのように受け止めていますか。

「あの時は『自分はまだまだ』と思いました。フェザー級トーナメントに抜擢してもらい、ダギースレンもまだキャリアは浅い選手で、僕が勝たなければいけない試合で負けてしまった。まだまだトップには遠いと感じて。でも『自分には失うものはない。守りに入るよりも、できないことにチャレンジしかなければいけない』と考えた先にあったのが、この試合の『殴り勝つ』というテーマだったんです」

――なるほど。同日に行われたフェザー級王座決定戦、パン・ジェヒョク×ダギースレンの試合はどのように見ましたか。

「最初から思っていたことですが、実際に試合をしてみると二人に技術差がありましたね。ダギースレンの計量失敗は残念です。でも、あれだけ落とせなかったということは、練習中に何かあったのかもしれません。とはいえ、『僕と対戦した時のダギースレンなら、もっと何かを見せてくれたんじゃないか』とは思っています」

――では新王者となったパン・ジェヒョクについては、いかがですか。

「強い選手ですし、彼がチャンピオンであることには異論はないです。結構危なげない試合をするタイプですよね。ただ……、自分が選手であることに誇りを持っているようですけど、それならもっとフィニッシュを狙いに行ってほしかった(苦笑)」

――ご自身としては、すぐにでも新王者に挑みたいですか。それとも、もっとキャリアを重ねてから挑戦したいでしょうか。

「僕の中ではもう1試合か2試合してから挑戦したいです。今すぐ、ということではないと思います。パン・ジェヒョクは打撃が強いと言われていますが、試合を見ても驚くようなことはなかったです。今の自分と彼との差は、それほど大きくはないと思っています」

――2023年は大きく成長し、2024年も楽しみなチハヤフル選手です。グラジエーターの次大会は12月9日ですが、2023年から2024年にかけての意気込みをお願いします。

「2023年はマッチメイクに恵まれていたと思いますし、すごく感謝しています。ここまで来たらベルトに辿り着きたいですね。まずフェザー級では河名マスト選手をブッ倒して、『京都にチハヤフル・ズッキーニョスあり』というところを見せたいです」

ここまでのハンセン玲雄戦の振り返りインタビューは、10月17日に行われたものだ。この時点では次の相手は決まっていなかったものの、河名マスト戦を意識していたことが分かる。11月4日に正式に河名戦が発表されたことを受け、後日改めて河名戦について訊いた。

――インタビュー時点では決まっていませんでしたが、遂に河名戦が発表されました。

「よし来たな、という感じです。河名選手とは対戦したかったので、オファーが来た時は嬉しかったですね。高い確率で次は河名選手と対戦すると思っていました。それとフェザー級では中川皓貴選手が復帰して、モンゴル人選手(バットオチル・バットサイハン)と対戦するというのも楽しみです」

――河名選手の印象を教えてください。

「まずグラジエーターのトーナメントに出ると聞いた時は、彼について詳しくは知らなかったんです。でもその前にプログレスの森戸新士戦を視ていて、これは対戦してみたいと思っていました。

もともとレスリング世界王者ということもあって、幻想を抱いていていました。正直、怪物なんじゃないかって。でもトーナメントでパン・ジェヒョクに負けて、前回の試合(ユン・ダウォンに判定勝ち)も接戦でしたよね。MMAPLANETのインタビューで『成長したところを見せることができた』と言っていましたが、前回の試合で成長や変化があったとは思わないです。僕の中には、もう彼に対する幻想はありません」

――チハヤフル選手もダギースレン戦とハンセン戦で、大きな自信を得ているようですね。

「彼と比べたら、僕のほうが成長している部分を見せられていると思いますよ」

――河名選手のグレコをベースとした組みについては、いかがですか。

「僕もレスリング経験はないけど、グレコ的な組みは大好きです。ここで河名選手の組みの強さを体験してみたいですね。相手の組みから逃げて僕は打撃で――という展開は、河名選手の思うツボだと思うし、それでは面白い試合にならない。全局面で勝負して勝ちます!」

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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET o Progress 世羅智茂 森戸新士

【Gladiator023】バックグラブで先制した森戸が、世羅の逆転を許さず4-2でプログレスFSG暫定王座を獲得

【写真】しっかりとバックテイク。先制点が大きい(C)MMAPLANET

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士(日本)
Def.4-2
世羅智茂(日本)

世羅が右足前に構える。世羅が首を抑えるも、森戸が押していく。ケージ中央から世羅がワキを押して前に出るも、森とも譲らない。世羅のシングルレッグを森戸が切った。スタンドレスリングの展開が続くなか、シングルレッグを切られた世羅が内股でテイクダウンを狙う。これをディフェンスした森戸が、足をすくって世羅に尻もちを着かせるも、すぐに世羅がトップを狙う。

世羅は森戸の右足を狙ったが、ここは森戸が足を組んで防ぎ、立ち上がる。左腕を差し上げた森戸が世羅をケージに押し込み、ダブルレッグに切り替える。ここは世羅が耐え、首投げを仕掛けていくも森戸が耐えてバックへ。バックグラブで2pを獲得した森戸が左ワキをすくって初回を終えた。

2R、森戸が頭を触りに行く。シングルレッグで組んだ森戸がドライブして、世羅をケージに押し込む。一旦離れた森戸が距離を詰めていくと、世羅がシングルレッグで飛び込んだ。しかし森戸が両腕を差し上げて、押し込まれたケージ際から離れた。右腕でプレッシャーをかける森戸に対し、世羅は首を触るも突き放されてしまう。そのまま森戸がプレスをかけ続けた。

最終回、世羅が森戸の首を触りに行くが、森戸が下がる。組んできた世羅に対し、切り返した森戸がシングルレッグで組むと、世羅が首投げへ。さらにバックを狙ったが、森戸にトップを奪われてしまう。これで森戸に2pが追加された。世羅はリバースデラヒーバ、立ち上がった森戸にシングルレッグで組んだが森戸がギロチンで返す。ここで頭を抜いた世羅に2pが入った。

森戸は立ち上がった世羅に対して足を利かせる。世羅は再びガードの中に入るも展開できず。立ち上がってはパスを狙い、パスできず立ち上がるという世羅。森戸はハーフガードから潜りにいったが、世羅は立ち上がる。森戸は左足を上げていくと、世羅が森戸の左足を取ってストレートフットロック、さらに外ヒールを仕掛けたところで試合終了となった。

最終回の後半からポイント差を守りきった森戸が4-2で勝利し、プログレスFSGウェルター級暫定王者となった。


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Gladiator Gladiator023 KTT MMA MMAPLANET NavE o Progress RIZIN Road to UFC UFC YouTube イ・イサク エフェヴィガ雄志 ダギースレン・チャグナードルジ チハヤフル・ズッキーニョス チャンネル チョン・ダウン テムーレン・アルギルマー ハンセン玲雄 ハ・ドンシン パンクラス パン・ジェヒョク ユン・ダウォン 世羅智茂 八木敬志 前田吉朗 南友之輔 吉田開威 和田教良 小松祐貴 川北晏生 森戸新士 河名マスト 竹本啓哉 藤井章太 阿部光太 高木亮

【Gladiator023】戦わずして王者になったバン・ジェヒョクが4週間前に語っていたこと――

【写真】結果、戦うことなくチャンピオンになったバン・ジェヒョク(C)MMAPLANET

本日30日(土)に、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR023。そのコメインでダギースレン・チャグナードルジとGladiatorフェザー級王座決定T決勝を戦う予定だったバン・ジェヒョク。
Text by Manabu Takashima

ご存じの通り、昨日の計量をダギースレンがパスせず、戦わずしてベルトを巻いたバン・ジェヒョクが4週間前に語っていたことをここでお届けしたい。


ノンタイトルで戦うことに。あと2時間でイベントスタート

――4週間後にグラジエイター・フェザー級王座決定トーナメント、決勝戦が迫ってきました(※取材は3日に行われた)。今の体調はいかがでしょうか。

「前回の試合は色々あって、減量の集中していたような形で試合に出ていたので、今回の方が調子が良いです。UFCで活躍中のチョン・ダウン選手とスタミナ・トレをたくさんやってきました。心拍数を測るなど、科学的なトレーニングを採り入れてきたので、準決勝のようにスタミナが切れることなく、もっと良い試合ができると思います」

――もともとスタミナをつけたいという想いがあったのでしょうか。

「自分はあまりそういう気持ちはなかったのですが、KTTのハ・ドンシン監督、チョン・チャンヨル代表から相手はパワーがあり、技術的には問題なくてもスタミナが切れないように戦わないと焦ることになると言われ、スタミナ・トレに取り組むことになりました」

――スタミナが切れるだけの激闘だったので、河名選手との試合はファンの評価も高かったです。

「そう思われているとは思っていなかったです。正直、パンクラスの試合から期間が短くて自分のなかでは準備期間は十分でなかったのですが、良い試合と言われているのはありがたいです」

――判定決着になっても負けない。そういう戦い方が出来ていたように感じました。

「パンクラスで戦った時と違い、対戦相手の河名マスト選手もグラジエイターの試合が初めてだったので、そこまで判定を気にすることはなかったです」

――ではダギースレンの印象を教えてください。

「モンゴル人特有の勢いがあり、パワーがあります。技術的に恐れることはないので、時間を掛ければ勝てると思います。それに彼も準決勝では、相当にスタミナが切れていたと思います。前の試合を見て、打撃もレスリングも完成度は低かったです。なので自分は勝てると踏んでいるのですが、とにかく回りの皆が『モンゴル人はパワーがある』と言ってくるので、それがストレスになっていました(笑)。でも、韓国人もモンゴル人に負けないだけパワーがあるところを見せようと思います」

――グラジエイターはプロモーション自体がアジアのフィーダーショーを目指すと明言しています。タイトル獲得後、バン選手はどのようなキャリアを積んでいきたいと思っていますか。

「いろいろあります。グラジエイターのチャンピオンはRIZINに出ています。Road to UFCもそうです。ダギースレン選手は無敗なので、そういう相手に勝ってグラジエイターのベルトを獲ると大きなプロモーションから声が掛かる。そういうつもりで戦います。ダギースレン選手はケガをしないで試合当日を迎え、最高の試合をしたいと伝えたいです。そして日本のファンの皆さんには、不甲斐ない試合をしているのに応援してくれる人がいます。凄くありがたいです。頑張ります」

■視聴方法(予定)
9月30日(土)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator023対戦カード

<フライ級/5分2R>
宮川日向(日本)
坪内一将(日本)

<フライ級/5分2R>
陸虎(日本)
古賀珠楠(日本)

<ストロー級/5分2R>
澤田政輝(日本)
三輪勇気(日本)

<フェザー級/5分2R>
水野翔(日本)
野口蒼太(日本)

<ライト級/5分2R>
秋岡翔(日本)
磯嶋祥蔵(日本)

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
[挑戦者]竹本啓哉(日本)

<65.77キロ契約/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士(日本)
世羅智茂(日本)

<フェザー級/5分3R>
河名マスト(日本)
ユン・ダウォン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
ハンセン玲雄(日本)

<ミドル級/5分3R>
藤井章太(日本)
イ・イサク(韓国)

<ライト級/5分3R>
八木敬志(日本)
エフェヴィガ雄志(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
前田吉朗(日本)

<バンタム級/5分3R>
藤原克也(日本)
川北晏生(日本)

<フライ級/5分2R>
和田教良(日本)
梅川毒一郎(日本)

<フェザー級/5分2R>
桑本征希(日本)
高木亮(日本)

<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
阿部光太(日本)

<バンタム級/5分2R>
エダ塾長こうすけ(日本)
宮口龍鳳(日本)

<バンタム級/5分2R>
吉田開威(日本)
空(日本)

<バンタム級/5分2R>
南友之輔(日本)
小松祐貴(日本)

<アマ・フライ級/3分2R>
向井琉綺弥(日本)
伊藤琥大郎(日本)

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Gladiator Gladiator023 MMA MMAPLANET NavE o Progress YouTube   イ・イサク エフェヴィガ雄志 ダギースレン・チャグナードルジ チハヤフル・ズッキーニョス チャンネル テムーレン・アルギルマー ハンセン玲雄 パン・ジェヒョク ユン・ダウォン 世羅智茂 八木敬志 前田吉朗 南友之輔 吉田開威 和田教良 小松祐貴 川北晏生 森戸新士 河名マスト 石井逸人 竹本啓哉 藤井章太 阿部光太 高木亮

【Gladiator023】計量終了 ダギースレンが計量失敗、バンが新フェザー級王者になりノンタイトル戦

【写真】ダギースレンの体重をしっかりと確認するバン・ジェヒョク (C)MMAPLANET

明日29日(土)に大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR023の計量が、28日(金)に大阪市淀川区のアットビジネスセンターPREMIUM新大阪で行われた。
Text by Manabu Takashima

プレリミ、メイン、ポストリミ、計20試合に出場するファイター40名のなかで計量失敗は1人――それがGladiatorフェザー級王座決定T決勝戦でパン・ジェヒョクと対戦するダギースレン・チャグナードルジだった。

リミット65.8キロに対し、67.55キロだったダギースレンは下着を脱いで計量に臨んだものの67.45と1.65キロと大幅オーバーに。


2時間の再計量まで時間があったが、サウナから計量会場を訪れたダギースレンは心身とも衰弱している様子で、もう一度サウナに入る前に代謝を立構えるために水分を補給したもの汗が出ず、67.55キロで健康上の理由から減量を切り上げることとなった。

900グラムまでの体重オーバーであれば、計量をパスしているパン・ジェヒョクが勝った場合のみ王座奪取という変則タイトルマッチが採用されるのだが、最終的に1.75キロではタイトル戦は組まれず――さらにトーナメント決勝という性格上、ダギースレンは失格となり不戦勝でパン・ジェヒョクがGladiatorフェザー級王座に就くことに。

そのうえで米国の数あるステート・アスレチック・コミッションに見られる、5ポンド以上の体重差の場合は試合が不成立となる条項に当てはまらないためにバン・ジェヒョク陣営を試合を臨み、これをダギースレンも了承。計量は67.55キロだったが、フェザー級ノンタイトル戦としてファイトマネーの30パーセントをパン・ジェヒョクに譲渡し、イエローカード2枚、ダギースレンが勝利したときはノーコンテストで試合は実施されることとなった。

ファイトマネーの30パーセントの譲渡があったうえで、イエロー2枚は二重の罰則に感じられるが、それでもダギースレンが戦う意思を見せたということは、罪の意識を持ってケージに足を踏み入れることになるのかもしれない。

ともあれGladiatorバンタム級選手権試合=王者テムーレン・アルギルマー×チャレンジャー竹本啓哉戦、Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝=森戸新士×世羅智茂という2つのタイトルマッチ。

さらにフェザー級タイトル戦線の今後のカギを握る河名マスト×ユン・ダウォン&チハヤフル・ズッキーニョス×ハンセン玲雄、ミドル級王者のノンタイトルs藤井章太×イ・イサク、ライト級の八木敬志×エフェヴィガ雄志戦というメインカード。

加えてプレリミでもグラップリングでNavE×前田吉朗、伝統派空手勢=吉田開威&南友之輔が出場する第1&第2試合。計量前だというのにセコンドの石井逸人がたこ焼きを食べるという非人道的な行動に出ていた川北晏生と阿部光太のTRIBE勢の出場等々、見どころが多いGladiator023だ。

■視聴方法(予定)
9月30日(土)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator023計量結果

<フライ級/5分2R>
宮川日向:56.85キロ
坪内一将:56.2キロ

<フライ級/5分2R>
陸虎:57.05キロ
古賀珠楠:56.55キロ

<ストロー級/5分2R>
澤田政輝:52.1キロ
三輪勇気:52.1キロ

<フェザー級/5分2R>
水野翔:65.35キロ
野口蒼太:65.65キロ

<ライト級/5分2R>
秋岡翔:70.45キロ
磯嶋祥蔵:69.75キロ

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]テムーレン・アルギルマー:61.2キロ
[挑戦者]竹本啓哉:61.2キロ

<Gladiatorフェザー級王座決定T決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク:67.45キロ→67.55
ダギースレン・チャグナードルジ:65.75キロ

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士:75.8キロ
世羅智茂:76.8キロ

<フェザー級/5分3R>
河名マスト:66.0キロ
ユン・ダウォン:66.0キロ

<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス:66.15キロ
ハンセン玲雄:66.2キロ

<ミドル級/5分3R>
藤井章太:84.1キロ
イ・イサク:84.25キロ

<ライト級/5分3R>
八木敬志:69.9キロ
エフェヴィガ雄志:70.2キロ

<Progressフォークスタイルグラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE:59.80キロ
前田吉朗:59.4キロ

<バンタム級/5分3R>
藤原克也:61.2キロ
川北晏生:61.2キロ

<フライ級/5分2R>
和田教良:56.25キロ
梅亞愚裸毒一郎:57.05キロ

<フェザー級/5分2R>
桑本征希:66.0キロ
高木亮:65.25キロ

<ウェルター級/5分2R>
森井翼:77.2キロ
阿部光太:77.2キロ

<バンタム級/5分2R>
エダ塾長こうすけ:61.6キロ
宮口龍鳳:61.1キロ

<バンタム級/5分2R>
吉田開威:61.1キロ
空:60.95キロ

<バンタム級/5分2R>
南友之輔:61.25キロ
小松祐貴:60.8キロ

<アマ・フライ級/3分2R>
向井琉綺弥――
伊藤琥大郎――

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【Gladiator023】世羅智茂戦へ、森戸新士─02─「プログレスの日本一を決める試合」

【写真】冷静と情熱のあいだ--森戸の言葉から迷いは一切感じられない(C)MMAPLANET

29日(土)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR023にて、PROGRESSフォークスタイルグラップリング暫定ウェルター級王座を賭け、世羅智茂が対戦する森戸新士のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

プログレスのフォークスタイルグラップリングを通じて、これまで森戸はスタンドレスリングを強化してきた。MMAファイターのためのグラップリング=プログレスを通じて、森戸は柔術あるいはグラップリングで強くなってきたのだ。そんな森戸と世羅の対戦成績はギ、ノーギ含めて世羅の1勝2敗――ベルトと雪辱を賭けた大一番に臨む森戸の意気込みを訊いた。

<森戸新士インタビューPart.01はコチラから>


――評価が爆上がり……今年3月に対戦して以降、ご自身とジョセフ・チェンの差はどのように感じていますか。

「実績でいうなら当然、差は開いてしまっていますよね。試合内容を冷静に分析すると、どう見ても差が開いているようにしか思えない。だからといって、そこに挑戦しないということにはならないので。僕は自分ができることをやって、ジョセフ・チェンとの再戦にしがみついていきたいです」

――そのジョセフ・チェンとの対戦に向けてスタートした今回の暫定王者決定トーナメントですが、今年6月の1回戦の感想を教えてください。

「1回戦では、いろいろスタンドレスリングで試そうと思っていました。上手くいった部分もあるし、上手くいかなかった部分もあります。一本も取れなくて、いくつも課題が見つかった試合です。ただ、体格が大きい網藤選手に組み勝てたことは自信にも繋がっています」

――上手くいかなかったこと、とは……。

「テイクダウン後のコントロールです。プログレスのフォークスタイルグラップリングはボディロックが禁止という部分が大きいですね。それとまだレスリングの攻防に対して、練習はしていても試合で使い慣れていないので、スタンドの攻防で削られてしまいます」

――反対に、上手くいった部分とは何でしょうか。

「シングルレッグなど練習で使ってきたテイクダウンのエントリーを、いくつか出すことができました。でも、出せないことも多かったですし、1回戦に対して自己評価はそれほど高くないです」

――厳しい! 対して世羅選手の1回戦を見た感想はいかがですか。

「対戦相手の加賀谷選手はグレコローマンの選手ということで、しっかりスタンドで戦えていたと思います。世羅さんが投げられる場面もあって。加賀谷選手に投げたあとのコントロールがあれば勝ち筋も見えていたと思いますが、そういう意味では加賀谷選手が勿体なかったですね。投げたあとの展開を見ていると『このまま世羅さんが極めるだろうな』と感じて、実際に世羅さんが極めて勝った。そこは思っていたとおりの展開でした」

――これまで森戸選手と世羅選手はギ、ノーギ合わせて過去に3度対戦しています。プログレスで見る世羅選手の印象は、ギあるいはノーギの試合とも違うものですか。

「世羅さんは普段、秒で引き込む選手なので全く違いますよね。プログレスだと引き込みはマイナスポイントですから。でも次の試合は5分3Rですし、どんな展開になるかは分からないです。もしかしたら引き込んで極めに来るかもしれない。ただ、世羅さんもADCC世界大会を目指してスタンドレスリングを強化しているのでしょうし、まずは立ちの勝負になってくると思います。もともと世羅さんはスタンドのバランスが凄く良くて、特にアームドラッグが上手いです。自分としては、アームドラッグからの小内刈りなどを警戒しながら組んでいきたいです」

―なるほど。ここでギ、ノーギ、プログレスとルールが異なるとはいえ、過去3度の対戦を振り返りたいと思います。森戸選手は3試合を全て覚えていますか。

「はい。覚えていますよ」

【森戸×世羅 過去の対戦結果】
■2021年8月8日 JBJJF第22回全日本ブラジリアン柔術選手権
アダルト黒帯ライト級準決勝 森戸def.世羅 by Kimura

■2021年9月4日 JBJJF第9回全日本ノーギ選手権
アダルトエキスパートライト級決勝 世羅def.森戸 by レフェリー判定

■2022年4月9日 JBJJF第23回全日本ブラジリアン柔術選手権
アダルト黒帯ライト級準決勝 世羅def.森戸 by 4-0

――現在、世羅選手との対戦成績は森戸選手の1勝2敗……つまり負け越しています。森戸選手にとって世羅選手に対して苦手な部分、やりづらい部分はあるのですか。

「特に苦手意識はないですね。世羅さんは極める力を持っている強い選手で、それが他の選手との違いではあります。ノーギの試合は、自分としてはレフェリー判定では勝つかと思っていました。でも後半に世羅さんがアドバンを取った印象が強かったのかもしれないです」

――初戦は森戸選手が勝利し、以降は世羅選手が2連勝しています。2戦目から世羅選手に変化はありましたか。

「世羅さんはレッスルアップのタイミングが巧いんですよ。一方で僕は……当時はレッスルアップへの対応が下手でした。あと6月の試合では、世羅さんの体が大きくなっているように感じました。この1年でフィジカルなども鍛えてきているのかもしれません。ただ、僕もレッスルアップについては向上してきています。お互い強くなっていますし、スタイルも変わってきているので、あまり前回のノーギの試合については考慮していません。これまでの結果は深く考えずに、今回の試合に臨みます」

――では最後に、次の試合への意気込みをお願いします。

「プログレスには最初から出させてもらっていて、やはりそのベルトは巻きたいです。今回の試合はプログレスの日本一を決めて、世界トップレベルのジョセフ・チェンに挑みます!」

■視聴方法(予定)
9月30日(土)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator023対戦カード

<フライ級/5分2R>
宮川日向(日本)
坪内一将(日本)

<フライ級/5分2R>
陸虎(日本)
古賀珠楠(日本)

<ストロー級/5分2R>
澤田政輝(日本)
三輪勇気(日本)

<フェザー級/5分2R>
水野翔(日本)
野口蒼太(日本)

<ライト級/5分2R>
秋岡翔(日本)
磯嶋祥蔵(日本)

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
[挑戦者]竹本啓哉(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士(日本)
世羅智茂(日本)

<フェザー級/5分3R>
河名マスト(日本)
ユン・ダウォン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
ハンセン玲雄(日本)

<ミドル級/5分3R>
藤井章太(日本)
イ・イサク(韓国)

<ライト級/5分3R>
八木敬志(日本)
エフェヴィガ雄志(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
前田吉朗(日本)

<バンタム級/5分3R>
藤原克也(日本)
川北晏生(日本)

<フライ級/5分2R>
和田教良(日本)
梅川毒一郎(日本)

<フェザー級/5分2R>
桑本征希(日本)
高木亮(日本)

<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
阿部光太(日本)

<バンタム級/5分2R>
エダ塾長こうすけ(日本)
宮口龍鳳(日本)

<バンタム級/5分2R>
吉田開威(日本)
空(日本)

<バンタム級/5分2R>
南友之輔(日本)
小松祐貴(日本)

<アマ・フライ級/3分2R>
向井琉綺弥(日本)
伊藤琥大郎(日本)

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【Gladiator023】伝統派空手からMMAへ、プロ初陣。南友之輔「振り抜いて良いのは──楽しいです(笑)」

【写真】2000年9月10日生まれ、23歳になったばかり(※取材時は22歳だった) (C)MMAPLANET

29日(土)、大阪府豊中市の176boxで開催されるGLADIATOR023の第1試合で、南友之輔が小松祐貴とプロ初陣を戦う。
Text by Manabu Takashima

中学~高校~大学とそれぞれのナショナルチームメンバーだった南は、パリ五輪に空手が正式種目でなくなったのを受け、MMAに転向を決めた。そして大阪を離れ、BRAVEジムでMMAファイター人生を歩み始めた。

実質MMA歴半年、類まれな打撃のセンスを生かし──UFCを目指すルーキー、グラジエイターをデビュー戦の舞台に選んだのか理由とは。1人のプロMMAファイター誕生直前に話を訊いた。


──南選手は伝統派空手出身で、大学を卒業してMMAに転向したと伺っています。

「ハイ、幼稚園の頃に空手を始めて大学の時までやっていました。3月に卒業して、こっちに来た形ですね」

──空手を始めたきっかけというのは?

「幼稚園の友達のお兄ちゃんがやっていて。その友達が始めたので、空手のことは何もわかっていなかったですけど『僕もやってみよう』という感じで始めました」

──流派は?

「剛柔流でした」

──剛柔流は組みがあり、下段蹴りもある流派です。

「あぁ、昔の流れで稽古では下段蹴りをやったり、金的を狙うこともありました。あと道着を掴んで投げることは中学生ぐらいまで、試合でも認められていました。道着を掴んで崩して、打撃ということもあったので大きい人が有利やとは思っていました。

ただ僕は剛柔流の空手を習っていたのですが、試合はずっと全空連、WKFのルールのトーナメントに出ていて。最後まで剛柔流の試合には出たことなかったです」

──部活動があるのが伝統派空手ですが、大学までは空手で進学をしたという形でしょうか。

「ハイ。中学から浪速中学に通っていました。浪速中学、浪速高校は空手では一番の中学と高校で。そこから大学は近畿大学に進学しました」

──南選手の空手での戦績というのは?

「日本代表には中学2年生の時になって、辞めるまでは中学、高校、大学と世代毎の日本代表ではいました」

──凄いではないですか!!

「でも、個人戦はほとんど日本一になっていなくて(苦笑)。中学の時、僕らは団体戦で全中四連覇をして、そのまま確か九連覇までしています。個人戦は中学の時にカデットの世界大会で3位になり、高校になってからは全国選抜で60キロ以下級で優勝しました。ジュニアの世界も3位、大学は3年と4年の時にスネをケガして個人戦はほとんど出ることができなかったです。コロナもあったんで。でも団体戦で日本一を目指して、4年の時に2位で終わったという形ですね」

──立派過ぎるほどの戦績ですし。そのまま空手を続けて行こうという気持ちはなかったのですか。

「東京五輪が終わり、パリ五輪から空手が種目から外れてしまったので、正直に言って目指すところがなくなりました。これ以上、空手を続けても……と思って。空手自体はめっっちゃ好きです。ただ、競技としてプレーする空手を楽しめなくなっていました」

──というのは?

「効くか、効いていないか。それが当てっているか、当たってないということになるのがMMAで。空手は審判次第、誤審も多いし。ポイントを取られても、『効いてないもんは、効いてないやろう』という風になってきたので、これはプレイヤーとして空手はできないと思うようになりました。同時にまだ仕事に就きたいという気持ちもなかったし、なら空手を生かせること。そして、より目立てることができんかなって思ってMMAをやろうと決めました」

──MMAには元々興味があったのですか。

「MMAだけでなくボクシング、キックもそうやし格闘技全般が好きで。それも空手に生かせるかなって思いながら見ていて、個人的には真似しながら練習もしていました。空手は空手だけっていう人が多いのですが、僕は何か生かしたいと思って格闘技を見ていました」

──生かせることはありましたか。

「助かったというわけではないですけど、大学3年の時にスネを折って。一番大きなインカレの団体戦のメンバーだったので、治ってはいないのに出ないといけない状況でした。でもステップも踏めなくて、ベタ足を踏んでいる状態で。あの時にカネロ・アルバレスの試合を視て、プレッシャーをかける戦いを取り入れました。あの時点ではそれが一番、生きましたね」

──では逆にMMAを戦ううえで、空手が生かせているのはどのような点ですか。

「やっぱりステップですね。僕のステップというか……空手って触られるとダメなルールなので。とにかく触られないための動きが、テイクダウンを狙われた際の動きに生きています。空手は駆け引きが多いので、その駆け引きが一番生きていますね」

J-MMA界の梁山泊と化しつつあるBRAVEジム

──なるほど。

では、なぜ大阪でなく関東にやってきてBRAVEジムでMMAファイター人生を送るようになったのですか。

「一番は大阪にいたら多分、実家に住んで。ちょっとアルバイトしながらMMAを習うっていう感じで、覚悟が決まらないというか。趣味っていうと言い過ぎですけど、ちょっと中途半端な形になっちゃうかなっていうのがあって。関東に出てきたら覚悟を持って、ゼロからできると思いました。どうせやるなら、レスラーの数が多くて、宮田(和幸)先生にもレスリングを教わることができるBRAVEジムがやると自分で決めて、空手繋がりで野村(駿介)先輩に連絡させてもらいました」

──レスリングが大切というのは、自分のMMAをある程度組み立ててBRAVEを選んだ形ですか。

「そうですね。レスリングができないと、何もできないと思っていました。UFC、RIZIN、DEEPとか何でも見ていて、コナー・マクレガーが最高に格好良かったです。でも、マクレガーもヌルマゴに負けました。それだけレスリングが大事なんやって思って」

──本当によくMMAを見ていたのですね。

「格闘技ですよね。K-1はバダ・ハリや魔裟斗選手の頃から視ていました」

──では、MMAファイターとしてゴールはどこを目指していますか。

「どうせやるなら、世界。空手でも世界を目指してやっていたので……でも世界一になれなかったです。だからMMAをやるなら、まずはUFCを目指します。目指すところから入って──ですね」

──その気持ちを持ってMMAを始めて、すんなり馴染めたのか。それとも戸惑いはありましたか。

「実は堀口恭司選手に対して、空手やったら絶対に自分の方が上やと思っていました。だから空手を生かしたMMAでもって。でも、今となっては空手を生かして、MMAに必要なことを融合させている凄さが分かりました。追いつくには何年も掛かりますね」

──とはいえ4月9日、アマMMA初戦でKO勝ちをしていますね。

「あの試合は練習を始めて1カ月ぐらいだったのですが、取りあえず出てみました」

──それで、あのKO勝ちですか。

「正直、あのタイミングで入って来てくれたら誰でも倒せる自信はあるんで。空手とはそこを振り抜くか、振り抜かないか。引くか、引かないかという違いだけなので。そこをアジャストできたなって」

──ノンコンタクトの技術、素晴らしくMMAに生かせると思います。ただし、試合に出てあの決めの声を挙げていると、それは競技内の技術になってしまうように感じていて。声勝負やんって思ってしまうのです。

「アハハハハハ。距離をとって、叫んでぇ。あそこから連打になるとかだったら、もっとMMAに生かすことができる技が空手の試合でも見ることができるようになるかとは思います。逆をいえば、空手の人もそれをMMAから学ぶことができると思うんですよね。MMAを戦ってみてシンプルに当てたら反則というなかで、振り抜いて良いのは──快感までいっていないけど楽しいです(笑)」

──そして、いよいよプロデビュー戦をグラジエイターで戦います。なぜ、グラジエイターでのデビュー戦なのでしょうか。

「大阪出身だったので、宮田先生が話をしてくれたようで。大阪で戦うことができるなら、応援してくれる人も多いですし、見に来てくださる人も多いと思うので『やります』って答えました。

それと今、グラジエイターには海外から選手が出場しているじゃないですか。Road to UFCに出たニャムジャルガル選手とかもグラジエイターが呼んでいて。海外に行きたいと思っている僕としては、チャンスが転がっている団体だと思っています」

──メインは同じバンタム級で、モンゴル人のテムーレン・アルギルマーがチャンピオンで防衛戦を行います。

「そうですね。実際、どこで戦うのか迷った時もありましたけど、外国人選手と戦えるチャンスがあるならグラジでタイトルマッチまで行って、海外へ行く。そういう風になりたいです」

──頼もしいです。そのためにも、どのようなMMAファイターになりたいと考えていますか。

「打撃主体で行くと思いますけど、組みもサブミッションもできる。それこそ堀口選手のようなファイターになりたいです。ただ組みの方はまだまだで。すぐに極められたりするんで。徹底して、組みはやらないといけないです。寝なかったら良い──というわけではなくて、絶対に寝かされる展開を創られてしまうので。そこはしっかりとやりたいです」

──そのための第一歩、小松祐貴選手との試合。どのような戦いをしたいと考えていますか。

「まだ組みを主体にはできないので。徹底的に打撃で。打撃で漬けるというか、ショーン・オマリーのようなきれいなカウンターを出したいと思います」

■視聴方法(予定)
9月30日(土)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator023対戦カード

<フライ級/5分2R>
宮川日向(日本)
坪内一将(日本)

<フライ級/5分2R>
陸虎(日本)
古賀珠楠(日本)

<ストロー級/5分2R>
澤田政輝(日本)
三輪勇気(日本)

<フェザー級/5分2R>
水野翔(日本)
野口蒼太(日本)

<ライト級/5分2R>
秋岡翔(日本)
磯嶋祥蔵(日本)

<Gladiatorバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]テムーレン・アルギルマー(モンゴル)
[挑戦者]竹本啓哉(日本)

<Gladiatorフェザー級王座決定T決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク(韓国)
ダギースレン・チャグナードルジ(モンゴル)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級暫定王座決定T決勝/5分3R>
森戸新士(日本)
世羅智茂(日本)

<フェザー級/5分3R>
河名マスト(日本)
ユン・ダウォン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス(日本)
ハンセン玲雄(日本)

<ミドル級/5分3R>
藤井章太(日本)
イ・イサク(韓国)

<ライト級/5分3R>
八木敬志(日本)
エフェヴィガ雄志(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング60キロ契約/5分2R>
NavE(日本)
前田吉朗(日本)

<バンタム級/5分3R>
藤原克也(日本)
川北晏生(日本)

<フライ級/5分2R>
和田教良(日本)
梅川毒一郎(日本)

<フェザー級/5分2R>
桑本征希(日本)
高木亮(日本)

<ウェルター級/5分2R>
森井翼(日本)
阿部光太(日本)

<バンタム級/5分2R>
エダ塾長こうすけ(日本)
宮口龍鳳(日本)

<バンタム級/5分2R>
吉田開威(日本)
空(日本)

<バンタム級/5分2R>
南友之輔(日本)
小松祐貴(日本)

<アマ・フライ級/3分2R>
向井琉綺弥(日本)
伊藤琥大郎(日本)

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