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【Bellator286】Bellator世界フェザー級王座に王手、アダム・ボリッチ─02─「僕がケージの王様」

【写真】この環境がボリッチを強くする(C)MMAPLANET

10月1日(土・現地時間)、カリフォルニア州ロングビーチのロングビーチ・コンベンション&エンターテインメントセンターで開催されるBellator286で、パトリシオ・フレイレの持つBellator世界フェザー級のベルトに挑戦するアダム・ボリッチ・インタビュー後編。

ハンガリー人ファイターとして、初のメジャーMMAチャンピオンに王手となったボリッチの話をキルクリフFC、水曜日朝のレスリング・スパー後に訊くと、疲れも感じさせず颯爽と王座奪取への自信のほどを話してくれた。

<アダム・ボリッチ・インタビューPart.01はコチラから>


──パトリシオがもともと意中の相手だったのですね。

「AJはMMAの未来だ。対してパトリシオはレジェンド。ベラトールのフェザー級チャンピオンを名乗るには、パトシリオ・フレイレを倒さないといけない。彼のように、あのベルトを長い間保持し続けたファイターはいないわけだからね。パトシリオはベラトールの歴史だから。ベラトールで一番の存在、それがパトリシオで、そんな彼と戦えることが嬉しいんだ。ベラトールで一番のビッグネームであるパトリシオを破って、ベルトを巻きたいと思う」

──現状、パトリシオに対してどのようなアドバンテージをアダムは有していると自己判断できますか。

「まずフィジカルだね。ずっと僕の方が大きい。そして、ハングリーであることもアドバンテージになるだろう。加えて若さ、だね。だから彼より速くて、力強い。結果、全てにおいて僕の方が上回っていることになる」

──背も低く、リーチも短い。しかし、鋭い踏み込みがあります。パトリシオの瞬発力と爆発力はどのように評価していますか。

「目が良いんだよ。そしてパンチ力があるから、良いタイミングで攻撃できる。本当にタフな相手で、MMAワールドのベストの1人だからね。そりゃ強いよ。だからパトシリオのことを心から尊敬している。でもサークルケージのなかでは、僕がケージの王様であることを見せつけないといけない」

──タイトル奪取へ自信のほどを教えてください。

「自信しかないよ。ベルトを巻くためにスーパーハードな練習を繰り返している。そして、今は自分にしっかりと自信を持っている。世界のベストの1人だとね。以前、そこまで自信を信じることができなかった。でもスウェーデンとか足を伸ばせることができる範囲で、各国で練習をして、自信をつけることができた。僕は10月1日にチャンピオンになる」

──佐藤天選手から、キルクリフFCの強さの要因は選手同士がお互いにプッシュしあうからだと聞かされてきました。今回、実際にこちらにやってきて、ようやくその意味が本当に理解できました、コーチ陣と選手の関係も含めて。そのなかで、アダムにはハンガリー人のコーチも就いていましたね。

「カレンス・フェレンセとはもう2、3年一緒にやってきた。そして、彼が米国に滞在できるだけの資金を用意できるようになったから、フロリダにも来てもらうようになったんだ。コーナーにはジェレミー・ケネディ戦から就いてもらっている。僕は彼のMMA理論が好きなんだ。

何より、彼はハンガリー語が話せる。当然だけど(笑)。やはりコーナーに母国語を話せる人間がいてくれると、とても助かる。それに相手の陣営はどういう指示が出ているのか、まず理解できないという利点もあるよね。

彼はキルクリフMMAにいても、他の選手のケアはせずに僕の専従コーチなんだ。時には5分8Rのミットをやったりもする。スパーリングでも僕のことをだけを観察している。常に、注意深くね」

──ハンガリーでは有名なコーチなのですか。

「そうだね。以前から彼のことは知っていた。でも、僕は小さな村に住んでいるからブダペストに住む彼の指導を受けることはできなかった。それでも米国に拠点を置くようになってからはハンガリーに帰国した時に週に1、2度一緒に練習するようになっていたんだ」

──アダムが稽古していたケンポーカラテのマスターなのですか。

「ノー。彼は……そうだね、MMAストライキング・コーチだ。オランダ、ポーランド、タイ、米国を訪れて色々な打撃を学んできた。それにまだ30代で若くて。本当に彼のスタイルが気に入っているんだよね」

──キルクリフFCには他にも打撃コーチが存在していますが。

「問題ないよ。英語も話せるし、他のコーチともコミュニケーションは取れている。フロリダでのメインコーチはカミ・バルジニで……そうカミが僕のヘッドコーチであることは変わりない。カミは僕にとって父親のような存在だからね(笑)。

どう殴るか、何本走るか、いつ僕が休むのか。それを2人が話し合って決めている。凄く良くなっているよ」

──フェレンセ・コーチがキルクリフFCで得た知識をハンガリーに持ち帰れば、これはハンガリーの強化に通じますね。

「イエス。そうなんだ。もちろん、僕が強くなるために彼には来てもらった。でも、今言ってもらったことが僕にとって2つ目のゴールなんだよ。ハンガリーのMMAをリードしたいから……そうだね、10年、いや5年欲しい。もっともっと多くのハンガリー人ファイターが世界の舞台で戦うようになっているから。僕らはモンゴル帝国のヨーロッパ侵攻を食い止めた戦士の末裔だからね(笑)」

──アハハハ。アダム、練習後の休息時間にありがとうございました。最後に日本のMMAファンに一言お願いします。

「昨日、PRIDEとK-1が一緒にやったイベントの映像を視ていたんだ。10万人以上の人がスタジアムに集まっていた。1度で良いから、ああいう雰囲気のなかで試合がしてみたい。あれはまるでオリンピックみたいだった。スーパーボールより大きい。ファイターが試合をするのに日本はベストだ。僕は本当にサムライ・メンタリティを尊敬している。いつの日か、絶対に日本で試合がしたいと思っているよ」

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ABEMA MMA MMAPLANET o UFC UFN204 カミ・バルジニ グンナー・ネルソン ジルベウト・ドゥリーニョ パンクラス ヘンリー・フーフト ベラル・モハメッド 佐藤天

【UFN204】世界に立ち向かうJ-MMAファイター(02)佐藤天「ラストじゃない。まだ、ある。まだ、あるので」

【写真】インタビュー中は非常に厳しい表情が続いたこともあって、最後は笑顔のリクエストをしました(C)MMAPLANET

3月19日(土・現地時間)、英国ロンドンのO2アリーナで開催されたUFN204:UFN on ESPN+62で佐藤天はグンナー・ネルソンに完敗を喫した

1年4カ月振りのオクタゴン。この日のために全てを費やしてきた、考え得るだけの努力をしてきた。そして、敗れた。

2022年、春~世界に立ち向かうJ-MMAファイター特集~。第2弾は、UFCという最高峰に拘り、全てを自己責任で生きる佐藤天に話を訊いた。


──正直に言わせていただくと、やるせない完敗でした。どれだけの想いがあって、人生の全てを賭けようがこのようなシビアな現実に直面する。そんな試合でした。

「凄く残念で、悔しい。それが率直な想いです。ただ、もちろん諦めていないので進んでいくしかない。ちょっとしたところで、大きく結果が変わる。それを実感しています。試合が終わってからなのでタラレバになるのですが、グンナー・ネルソンにバッククラブに入られると、過去もほとんどの選手が逃れることができていないです。だから、そこまでをどうするのか……という勝負でした。

最初のコンタクトにしても、肌を直接合わせた時の感覚は悪くなかったんですよね。実は予想していた試合展開は、もっとネルソンが圧を掛けてきてケージレスリングの展開になると思っていました。それが思った以上に自分が圧を掛けることができたことで、オクタゴン中央での戦いになりました。ネルソンがどういう風にクラッチしてくるかも予想できていて、そこでカウンターを打つとかできれば良かったのですが……決して、感覚的には試合開始直後から悪くなかったんです。

そこから1度テイクダウンされてバックを取られた。戦い方をネルソンは変えてきました。フレキシブルに試合を創ってきました。リスクを最大限に減らして。自分は対照的に柔軟な対応ができなかったです。そうッスね……そういう細かいところの違いが、大きな差となって結果に表れました。それを実感させられた試合でした」

──圧力は掛けることができていた。でも、手が余りでなかった。特にテイクダウンを奪われてからは、ネルソンにテイクダウンがあるというのが念頭に来て、そこから頭で考え手数が減っていったようにも映りました。

「もちろんテイクダウンのプレッシャーもありましたが、ネルソンが凄く待っていました。試合の入り方として動きもメンタルも凄く良かったです。さっきも言った少しの違いを掴み切れなかったということがあったうえで、待たれたことで考えてしまったという部分はあります」

──あのスタンスでネルソンは、右の奥足で蹴りが届くのは戦い難かったかと。何よりテイクダウンを奪う時のパンチ。当たらなくても組めば良い打撃、当てる打撃の2つのパンチを持っていました。

「その見極めは凄く難しかったです。2Rの途中から打撃がかなり見えるようになってきました。合わせるタイミングとか計っていたのですが、その見極めだけは困難になっていきました。組む、打つ、モーションは慣れて見えてきたけど、その織り交ぜてくるのは全く同じ動作で。だから……考えるというよりも、考えさせられました。1回スイッチとかしたのですが、あんなの実際は意味がないです。でも、考えされた結果ああいうこともしていて」

──打つ手がなくなっていったような感じでしょうか。

「う~ん、それよりも何か……考えさせられることによって後手に回らされましたね」

──お互いが相手の動きを見て反応する。相手に動きを見せて反応させる。そんな神経戦のなかでネルソンが当て、組んでテイクダウンを決める。あれはMMAの技術を消化したうえで、彼がポイント空手の試合で積んできた経験。先の先、後の先、ダメージを与える競技ではないですが、心理戦のなかでどう踏み込んで当てるのかという競技をしてきたのが生きたのかと思いました。MMAとはそういう部分で、ポイント空手ですら生きるのかと。

「あぁ、そうですね。今からすれば、組みと打撃の見極めが難しいなら自分から組むこともできたと思います。組んだ時の感覚も悪くなかったので。ギルバート(ジルベウト・ドゥリーニョ)からも『別にパワーはない』と聞いていました。3Rに組んだ時も感触は悪くなかったです。そこでディフェンス有りきで考えてしまって出なかったというのは、絶対にあります。

上を目指している以上、ベラル・モハメッド戦と同じように悔しい負けです。凄く遠いバケモノとかでなくて、自分の持っているモノを生かして勝ってランキングを上げていっている選手に勝てていない。そこはもっと煮詰めていかないといけないです」

──それこそ佐藤選手が言われている、何か一つで局面が変わる。変えてくれという気持ちで2R、3Rと視ていて。そしてテイクダウンからバッククラブというなかで、制されて終わった。

「そういう場面で、柔軟性をつけないと……創り方も大事になってきますし。色々なところに注意を払って、頭を巡らせないといけない。そういう練習もしてきているのですが……」

──ここも結果論ですが、動きが良く圧を掛けられることができる。それでもテイクダウンは取られた。そういう時に自らケージを背負う位置を取るということは難しいのでしょうか。

「それも必要になってきますよね。ケージレスリングに突破口があるのであれば、金網の近くで戦って組みの展開に持ち込む。そういう判断もすべきだと思います」

──あの局面、逆転には打撃を当てること。だからといって、前に出ていくことが打開策になるのか。もちろん、負けているなら一か八かも必要な時もあるのでしょうが……。そこで究極の先手、あるいはカウンターの取り合いが行われている。だから無暗に打って出られない。特に相手が見て、待っているわけですし。

「そうッスね。どう手を出すか、どういう中身の攻めを繰り出せば良いのか。その中身を詰めていかないと、玉砕になります。片道の燃料で敵を目指すのは……違うというのが僕の考えです。漢を見せるとか、そういう次元の話ではないです。勝つために一つひとつ、正しい選択をしていかないといけない。

例えば僕が1回でもネルソンのダブルレッグを切れていれば、彼も消耗したはずです。そうしたら流れが変わったかもしれない。そういった面でも、創りが大切で。それができるよう積んでいかないといけないと本当に思っています。防戦一方で、判定までいって負けてしまったんですけど、動き、切れは以前よりずっと良くなっています。

僕はバックを取られているとパンクラス時代でも、UFCになってかも負けています。だから取らせないということもやってきました。そこは意識していて……、試合では機能しなかったですけど……。

でもネルソン戦がラストじゃない。まだ、ある。まだ、あるのでこの間に詰めていかないと……」

──ヘンリー・フーフトやカミ・バルジニ達、コーチ陣と試合に関して話はされましたか。

「ハイ。皆と話しました。ヘンリーは家に呼んでくれて、『間違いなく良くなっている。もう少し自信を持つことが大切で、細かいところもやっていこう』と言ってくれました。『練習中に、そんなにナイスでなくて良い。もちろんケガをさせたらダメだけど、自分の感覚を大切にするためにもっと我がままを通しても良い。少しぐらい当てても、そういうレベルで戦っているんだから、そこをしっかりとやっていこう。思っている以上に上とは近いところにいるんだ。手が届かないモノじゃない』とも。

カミやグレッグ(ジョーンズ)は『少しの部分、そこをリフィックスできなかった。そういう部分を詰めていこう』という話や『試合間隔が空いたことで、打撃の選手はちょっとした感覚が違ってくるから。その違いも分かったから、今度はちゃんとファイトキャンプをして、対戦相手の研究ができる早目のオファーで準備できるようにやっていこう』と言ってくれました。

今回は1年間、どういう相手がこようが試合を受けることができる。自分のコンディションを整え、穴を埋めるという準備をしてきました。今後はそれに加えて、しっかりと戦略を立てて試合に向かいたいです」

<この項、続く>

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Interview UFC カミ・バルジニ ブログ ヘンリー・フーフト 佐藤天

【UFC】帰国中の佐藤天に訊いた2020年と日米の違い─01─「30年の人生のなかでも最もタフな1年だった」

【写真】佐藤天こそ、日本を代表して世界と戦っているMMAファイターだ(C)MMAPLANET

日本人男子で唯一のUFCファイター、佐藤天。11月にミゲール・バエサに敗れ、この試合で負傷したこともありヘンリー・フーフトというMMA界を代表する司令塔の指示もあり、日本で休息の日々を送っている。

そんな一時帰国中の佐藤に2020年を振り返ってもらい、彼が米国に拠点を置く、何が日本と違うのかということを尋ねた。


──日本に帰国中の佐藤天選手です。今回の帰国理由とはどういったものなのでしょうか。

「僕のなかでは3連勝したら帰国しようという考えが頭にあって、このタイミングで日本に戻ってくるつもりはなかったです。ただ前回の試合で少しケガもあり、通常の練習ができないのなら今のうちに一度、日本に帰国しておけとヘンリー(フーフト)やカミ(バルジニ)に説得されたんです(笑)。

『リラックスする時間は必要だし、今がその時なんだ。家族や日本で応援してくれる人に会ってこい』って」

──佐藤選手の日常を見ている2人が言うなら、間違いないですね。

「『ちょっと休んだ方が良い』とも言ってくれましたね。もうケガの方も良くなってきていたんですけど、リフレッシュして来いという言葉に従いました」

──日本でリフレッシュできますか。

「落ち着けますよね。家族や仲間に会えるので。そこは落ち着くのですが、これだけ練習しない期間があると気持ち悪いです(笑)。ただフロリダにいても練習はできなかったので、もっと練習したいという気持ちは強くなっていたと思うし。やはりリフレッシュできています」

──日本とフロリダ、コロナに対する空気感は違いますか。

「日本の方がしっかりしています」

──そうですか。随分と緩んで感染者数も増えていますが、もう褌を締め直すことは個人の意思では難しいと感じていますが……。

「フロリダでは外でマスクをしていないですし、特に緩いのか……。車移動だし、空間も広いので日本とはやはり違いますね」

──日本も閉塞感はありますが、帰国した佐藤選手がゆっくりと過ごせていられるなら幸いです。

「そうですね、TRIBEとニック(末永)さんにご挨拶に行き……少し体を動かして、1月の第2週にはフロリダに戻るので、そこからまた全力でできるようにと思っています」

──世界が変わった2020年が終わろうとしています(※取材は12月30日に行われた)。佐藤選手はそのなかでもパンデミック後に2試合を戦いましたが、本当に色々あった1年でした。

「そうですね、自分の30年の人生のなかでも最もタフな1年になったと思います。常に前を向いてやってくることはできたのですが、振り返ると色々なことがあった1年です。

パンデミック前の2月にニュージーランドで対戦相手が体重を落とせず試合がなくなり、パンデミックが起こったなかで6月に勝ち、8月は自分の帯状疱疹が原因で試合ができなくなりました。そして……11月に負けた。

そこも含めて今後、プラスにはできる。これは口にしてはいけないことかもしれないですが、コロナウィルス感染の影響を受けたから色々とあったのですが、僕としてはコロナのことを忘れられるほどの日々を送ってきました」

──あれだけ周囲に感染者があっても!!

「ルームメイトで罹患しなかったのは自分だけですからね。1人が感染したので、違うルームメイトと検査に行って。そうしたら、僕は陰性でしたけど、一緒に受けに行った人間は陽性で(笑)」

──結局、何度PCRを受けたのでしょうか。

「13回ですかね。UFCで9回ぐらい受けて、フロリダでは無償で検査できるので、あとは個人的に検査をして」

──日本で罹患しないといっているのと、桁が違うところで感染していない。もう人として強いとしか考えられないですね(笑)。

「回りが皆、なっていましたね(笑)。11月の試合ではセコンドに就く予定だったショーン・ソリアーノも陽性になり、ラスベガスに入れなくなっちゃいましたしね」

──その状況でもコロナを忘れるほど集中している時間があったというのは凄いです。

「良いか悪いか……は分からないですが、MMAに集中できていました。だからこそ、11月の試合に勝たないといけなかったです。契約最後の試合でしたし、勝つのと負けるのとでは自分の置かれた状況はまるで違いますからね。

勝てば確実に更新できたけど、負けるともう運任せではないですけど、神頼みのような状態ですし。やってしまいましたね」

──大量リリースをUFCも宣言していましたし。

「まあ60人のカットということは、1階級に5、6人で。でも2勝2敗というのは普通に切られてもおかしくない戦績ですしね……。周囲の方にも心配を掛けましたし、自分も緊張の日々を送ってきました」

──現状、UFCと契約更新はなったのでしょうか。

「正式にサインはしていないですけど、明るい方向ではあります」

──それは良かったです。リリースされた時のことも考えることはありましたか。

「ハイ。ただ米国には残るつもりでした。米国に入れるビザが持てるところで戦っていくか、ビザがなくても3カ月いて日本に戻って、また3カ月フロリダで練習する。そういう選手もサンフォードMMAにはいくらでもいますし。それでも良いと思っていました」

──米国で戦っていこうと?

「日本で戦うということは、全く考えていなかったです。最悪リリースされたら、自分のモチベーションを保つためにもBellatorという選択はありました」

──ベラトールも、UFCに戻るための活動において選択肢に入るのですね。ベラトールには業界2位のステイタスはあるかと思うのですが……。

「ステイタスははなから求めていないです(笑)。だからUFCに戻るための選択ですよね。もちろん強い選手が揃っていますが、勝ち残ることに集中しないといけないですけど」

──Titan FCやLFAというのは頭になかったですか。

「選択肢としては、なくはないです。LFAは欠場が出た時に一番声が掛かるところですしね」

──つまりは米国ではUFCへの筋道があるということに通じてきますね。

「日本にいると見えなくなりますからね。自分はパンクラスで戦っている時に、フロリダで練習をして米国に触れることができて良かったと思います。今から考えると、あの時点で目標設定が明確になっていたので。

本当に色々な国から選手が集まっていて。文化も常識も全然違う。でも、皆が覚悟を持ってきている。アダム・ボリッチもハンガリーの友人がカンパをしてフロリダに来た。国籍も人種も、考え方も違うけど、皆が同じ方向に向いています。

僕も最初にフロリダで練習した時に、ここを上回る環境は日本にはない──と思ったんです。それは設備とか、ジムの環境ではなくて練習している選手たちのモチベーションという部分で……」

<この項、続く>

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