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Bu et Sports de combat Interview エイドリアン・ヤネツ グスタボ・ロペス ブログ 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】MMAを武術的な観点で見る。ヤネツ✖ロペス「型には全員に等しく答がある」 

【写真】MMAに正解はない。対して武術空手は答え合わせができるという妙(C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑氏とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──UFC ESPN21におけるエイドリアン・ヤネツ✖グスタボ・ロペスとは?!


──エイドリアン・ヤネツが、コンテンダーシリーズから数えて3試合連続でKO勝ちを収めました。

「ただ、この試合はグスタボ・ロペスが何をすべきだったのか、何が欠けていたのかということに焦点を当てた方が良いかと思います。武術的にこの試合を考察するには。もう、力の差があり過ぎました」

──ロペスにしてもCombate Americasのバンタム級王者ですし、あそこまで力の差がるファイターではなかったと思います。本来は、もっとテイクダウンにもいけたでしょうし。

「それができなかった。出せなかった、それはヤネツのパンチが素晴らしかったというのではなくて、ロペスがダメ過ぎたからです。実は間はロペスの間だった時もありました。でも本気で相手を痛めつける打撃の練習をどれだけ積んできたのか。仮にそれができていたとしても、どれだけ自分の拳に自信を持てるようになっていたのか。

昔、剣士がなぜ木刀をずっと振っていたのか。殺し合いになった時に、一発で真剣でぶった斬れるという確信を得るためなんです。それ以上でも、それ以下でもない。自分が真っ二つにされるか分からない状況で、相手をぶっ殺すしかないんです。

それを考えると、このロペス君。どれだけ練習でヤネツをぶっ倒す気でいたのか。空振りには勢いがありました。スイッチも繰り返して、それらしいこともしていました。ただ、ヤネツをぶっ倒せると自分を信じている打撃ではなかったです。ロペスは色々と仕掛けていましたが、自分を信じていない。自分を信じているか、信じていないかで距離、時空が変わってきます。実はヤネツは立ち方が悪いから、ロペスの間になることも数多くあったんです」

──それなのにロペスは、ほぼほぼ完封されていたのはなぜなのでしょうか。

「痛い想いをせずに入ろうとしているからです。痛い想いをしたくないまま試合をしていました。いつ入るんだって。突きにしても、蹴りにしても精神的にも肉体的にもヤネツにダメージを与えるものではなかったです」

──立ち方が悪いヤネツが当てる。少なくとも3試合連続で、圧倒的にパンチも蹴りも精度が良く、破壊力もありました。あのスタンスでも、テイクダウンを許さないですし。

「それは彼の中に答があるのでしょうね。こういう人は時々います」

──今のMMAに多い、ガチャガチャとは違う打撃のリズムを持っています。

「それも答があるからです。ノーモーションですし。最近の流行をやって失敗したのがロペスで。ヤネツは信じたモノが正解でした」

──ロペスは間違っていた?

「ということになります。そこに空手の型の存在意義が出てきます。型って、一つの物差しなんです。この幅ならこうなるよ、この位置ならこうなるよ──ということに、全員に等しく答があります。だからロペスに関しても、こうすれば殴れる、こうやれば入ることができるという指導もできます。

何より正確に物差しで測り直した結果、正解に導かれるとロペスも自信を持ってヤネツを倒しに行けた。練習をすることに対して、全て説明がつくので」

──型の稽古は、理を説くことができるということですね。

「ヤネツは今回は、それが出来ていました。問題もありますが、彼のなかで正解があるからパンチしか出していない。前蹴りやハイキックは使っても、後ろに体重が乗っているから足が上がって、重心も浮いています。あれができるのは、パンチで間を制しているから。ぶん殴ってくる相手に、あの蹴りを使うとやられるのは自分になります。

そうですね……ヤネツは重心でいうと後ろに行きます。重心が後ろにあると、相手が踏み込んでくる。そこでアッパーが打てます。あの入り込ませて打つ感覚が、養われていないとできない攻撃ですね。質量が自分の方が上だった時は、もの凄く効果的です。

フィニッシュにしても、ワンツーをイチの動作で打っています。ワン・ツーではなく。右で仕留めましたが、動きはワンツーをイチの動作で打っていた。それがノーモーションという言い方もできるのですが、無駄なエネルギーの分散がない。なのでテイクダウンでもイチで動くのと、イチ・ニで動くのとでは当たりが全く違ってきます」

──ヤネツが自分を信じているという部分、彼は亡くなったお父さんに、子供の頃からボクシングを習っていました。父の教えでUFCで戦いたい、トヨタセンターで戦う。それを誓って戦っている選手なんです。

「そして信じたモノが正解でした。間違っていると、ああいう試合にならないですしね。今回はそういう点でも差がありすぎましたね。一つのことに徹しきって深めていったヤネツと、色々できるんだろうけど効果がなかったロペス。ただし、ロペスのケースは多くの選手に当てはまることなんです」

──なるほど、です。同時にヤネツが信じているモノは、彼だけに通用する信じたモノということになります。

「そこです。対して、空手の型は全ての人に当てはまる原理原則が存在しているということなんです。

と同時にヤネツが見ているのは、ロペスに勝つことではなかったと思います。彼はUFCの世界バンタム級王者になるために戦っている。そして、アルジャメイン・ステーリングと戦うとなった時には、自分の信じているモノは正しいのかと考える局面も出てくるでしょう。穴はあるので。

だからヤネツは次の試合で、どうなるのか。UFCにはヤネツよりパンチが強い選手がいます。ショーン・オマリーだとかコリー・サンドハーゲンと戦った時に、ヤネツがどう出るのか──ぜひとも見てみたいです」

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Report UFC UFC ESPN21 エイドリアン・ヤネツ グスタボ・ロペス ブログ

【UFC ESPN21】父譲りのボクシング・テク。エイドリアン・ヤネツが見事過ぎるカウンターでロペスをKO

<バンタム級/5分3R>
エイドリアン・ヤネツ(米国)
Def.3R0分27秒by KO
グスタボ・ロペス(米国)

大きなスイングの左を振るうロペスに対し、ヤネスはしっかりと見切って間合を図る。動きが多いのはスイッチを織り交ぜるロペスだが、踏み込みにヤネツが右を当てる。さらに右を打ち合った両者、ロペスのワンツーに対してヤネツが左を返す。ロペスが右オーバーハンドで前へ、ヤネツが左で迎え撃つ。さらにワンツーで左を当てたヤネツは右アッパーを再び右オーバーハンドに合わせていく。

左を打ち返したロペスだが、スピードで優るヤネツがワンツー、左をヒットさせ、さらにワンツーで右を打ち込む。時間とともに息も切らせずコーナーに戻ったヤネツ、目の周囲をカットしたロペスからリードを奪った。

2R、初回を見る限り距離を掴んだように見えたヤネツが、ジャブを当てる。さらに左ミドルから右フック、跳びヒザは踏み止まったヤネツが右をヒット。続いてヤネツはロペスの 右にカウンターで左を合わせる。続いて左に右を入れ、直後に右ストレートでダウンを奪う。立ち上がりながらシングルに出たロペスだが、これを切ったヤネツが飛びヒザ、そして左ミドルを当てる。

攻め急がないヤネツは、両手を大きく動かす構えを続けロペスは前に出られなくなっている。ヤネツも完全にカウンター狙いで、右ハイを蹴っていく。続いてヤネツはローに右フックを入れ、さらに右クロス。蹴りを多用し、遠い位置を取ったヤネツがこの回も取った。

3R、「キックボクシングでなくMMAが必要。2Rを落としている」という指示を受けたロペスが、ステップインからの右を狙う。そこにヤネツが右フックをカウンターで入れる。顔から崩れたロペス──見事する過ぎるKO勝ちを見せたヤネツは、「メトロファイトクラブで練習する際、ルート45からトヨタセンターが見ていて。僕はいつも車を運転してくれていた父に『いつか、あそこで戦いたい』と言っていたんだ。父は僕を見て、『戦えるよ。ずっと練習し続けてさえいれば、その時がやってくる』と答えてくれた。この勝利でチャンスを得らえると思う。(5月15日の)ヒューストン大会で、本当に戦いたい」と話した。


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Report UFC UFN ESPN+40 UFN182 アンソニー・バーチャック グスタボ・ロペス ブログ

【UFN182】友人対決でも譲れない。グスタボ・ロペスがバーチャックからダウンを奪い、RNCで締め

<バンタム級/5分3R>
グスタボ・ロペス(米国)
Def.1R2分43秒by RNC
アンソニー・バー・バーチャック(米国)

かつてのスパーリングパートナー対決。まず右ローを蹴ったバーチャック、さらにローを続け右ストレートを伸ばす。スイッチするロペスは跳びヒザの着地に左フックを合わせ、距離をつめて左フックから右フックを決めてダウンを奪う。すぐに立ち上がったバーチャックにラッシュをかけたロペスは、ダブルレッグでテイクダウン。

ロペスはスクランブルでバックに乗り切れないと見ると、自ら着地する。ジャブを伸ばすバーチャック、さらにテンカオを狙う。ロペスは左で迎え撃ち、ダブルレッグでケージにバーチャックを詰めてテイクダウンを奪う。スクランブルでバック、背中をマットにつけたバーチャックからマウントを奪い、バックマウントに移行するとロペスは一気にRNCを極めタップを奪った。

ウィナーコールの前後に固く抱き合った両者、「嫌い合って戦うだけじゃいから、問題なく戦ったよ。彼がタフなことは知っていたし」とロペスは話した。


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Report UFC UFC ESPN10 グスタボ・ロペス ブログ マラブ・デヴァリシビリ

【UFC ESPN10】テイクダウン→コントロール地獄、必死にしのいだロペスだがデヴァリシビリに完敗

<140ポンド契約/5分3R>
マラブ・デヴァリシビリ(米国)
Def.3-0:30-25.30-26.30-26
グスタボ・ロペス(米国)

レイ・ボーグの代役で急遽出場が決まったCombat Americaバンタム級王者のロペス。まずカーフキックを蹴ったロペスに対し、デヴァリシビリが痛そうな顔を見せる。そのデヴァリシビリは右を振るってシングルレッグから、バックに回る。胸を合わせることができず後方からパンチを受けたロペスが正対すると、デヴァリシビリは離れる。デヴァリシビリは遠い距離からオーバーハンドやスピニングバックフィストを見せるが、ロペスは反応して笑顔を浮かべる。

デヴァリシビリの右ハイをブロックしたロペスが前に出て、パンチを強振しバランスを崩す場面も。デヴァリシビリは右を当て組みついてバック、テイクダウンを決める。向き合ったロペスだが、肩に担がれてスラムされガードへ。腰を上げたデヴァリシビリがパウンドを打ち込むと、ロペスは潜ってリバーサルを狙う。離れたデヴァリシビリがダブルレッグ、ロペスはギロチンを防がれ背中をマットにつかされる。バタフライガードも潰されたロペスは、ボディに重いパンチを落とされデヴァリシビリがパウンドを纏める形で初回を戦い終えた。

2R、デヴァリシビリが大きくサークリングを使い、追いかけてきたロペスに対し左ハイから右フックを振るう。ロペスも負けじと前に出るが、間合を外したデヴァリシビリが後ろ回し蹴りを狙う。さらにテイクダウン狙いから左を当て、次の動きはニータップでテイクダウンとデヴァリシビリがロペスを翻弄する。デヴァリシビリはパスを決め、サイドで抑えたロペスを削っていく。

ヒザをボディに入れ、スカーフホールドを極めに掛ったデヴァリシビリ。ここからアームロック、アームバーに移行して右腕を狙う。腕を抜いて立ち上がったロペスだが、ダブルで倒されギロチンも不発に。それでも続くテイクダウン狙いにタイトなギロチンを見せたロペスは、頭を抜かれた直後に蹴り足を掴まれ足払いで倒される。立ち上がり際に背中を取ったデヴァリシビリが、倒してマウントに入ったところでラウンド終了となった。

最終回、デヴァリシビリが右を当て、組みつつパンチを続ける。右オーバーハンドから、腕を首に巻き込むようにテイクダウンを決めたデヴァリシビリが、ガードを取ったロペスにパンチを落とす。ロペスのキムラはパスで無効化され、逆にクラッチを軸に頭をステップオーバーしたデヴァリシビリが思い切り鉄槌を落として立ち上がる。

すぐにテイクダウンを決めたデヴァリシビリが、マウントからバックマウントへ。乗り過ぎてバックから離れたデヴァリシビリは、スクランブルでもギロチンを防いでもう一度上を取り切る。鉄槌を入れ、ボディと顔面を殴るデヴァリシビリに対し、ロペスは立ち上がろうとしては潰される。デヴァリシビリは再びマウントからバックグラブに移行し、腕を取りにいく。察知し尻を抜いて立ち上がったロペスは、即ダブルレッグの餌食に。最後は蹴り上げを狙ったロペスだが、デヴァリシビリは15分間ドミネイトし大差の判定勝ちを手にした。


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News UFC UFC ESPN10 グスタボ・ロペス シンシア・カルヴィーロ ジェシカ・アイ ブログ

【UFC ESPN10】ジェシカ・アイが計量失敗。アンドレ・フィーリとシャルル・ジョーダンはパス

12日(金・現地時間)、13日(土・同)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC ESPN10の計量が同所で行われた。

メインでシンシア・カルヴィーロと対戦するジェシカ・アイは、バーチャルメディアデイでは計量に関して自信満々に返答していたが、1ポンドオーバー規約から0.25ポンド・オーバーで失敗。日本語でいえば着替えポンチョを使用しての計量後に服を着てポージングも、その直後にスケールにもたれ掛かり、立会人に支えられて退場するなどギリギリの減量だったことが伺えた。


今回の計量ではカール・ロバーソンのミドル級のリミットを5.5ポンドもオーバーし、30パーセントのファイトマネーの没収でマーヴィン・ヴェットーリと戦うことに。さらにタイソン・ナムと対戦するザルク・アダシェフは3.5ポンドオーバーで20パーセントが没収され、ジェシカ・アイは20パーセントを引かれカルヴィーノと戦う。

この他、木曜日にレイ・ボーグの欠場が決まりCombat Americaバンタム級王者グスタボ・ロペスがスクランブル発進──ボーグはその日のツイッターで「家族が優先、すぐに会おう」と息子さんの写真をアップしている──。さらにジョーダン・グリフィンと対戦するはずだったデリック・マイナーが、体調不良を理由に欠場──計量会場に姿を見せることはなかった。

なおフェザー級注目の一戦、アンドレ・フィーリ✖シャルル・ジョーダンは両者揃ってパスしている。

■UFC ESPN10計量結果

<女子フライ級/5分5R>
ジェシカ・アイ: 126.25ポンド(57.26キロ)
シンシア・カルヴィーロ: 126ポンド(57.15キロ)

<ミドル級/5分3R>
カール・ロバーソン: 190.5ポンド(86.40キロ)
マーヴィン・ヴェットーリ: 186ポンド(84.37キロ)

<140ポンド契約/5分3R>
マラブ・デヴァリシビリ: 139ポンド(63.04キロ)
グスタボ・ロペス: 140ポンド(63.5キロ)

<フェザー級/5分3R>
アンドレ・フィーリ: 145.5ポンド(66.0キロ)
シャルル・ジョーダン: 145.5ポンド(66.0キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジョーダン・エスピノーサ: 135.5ポンド(61.46キロ)
マーク・デラロサ: 136ポンド(61.69キロ)

<ライト級/5分3R>
チャールズ・ロサ: 155ポンド(70.31キロ)
ケヴィン・アギラー: 155.5ポンド(70.53キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
ジュリア・アヴィラ: 135ポンド(61.24キロ)
ジナ・マザニー: 136ポンド(61.69キロ)

<フライ級/5分3R>
ザルク・アダシェフ: 138.5ポンド(62.82キロ)
タイソン・ナム: 135.5ポンド(61.46キロ)

<フェザー級/5分3R>
ジョーダン・グリフィン: 146ポンド(66.22キロ)
デリック・マイナー: ──

<ウェルター級/5分3R>
クリスチャン・アギレラ: 170.5ポンド(77.34キロ)
アンソニー・アイヴィー: 171ポンド(77.56キロ)