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Interview Special UFC UFC ESPN12 ブログ 佐藤天 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月─その参─佐藤天✖ウィット「今、米国にいることが財産」

【写真】3月の一時帰国の際、日程を切り上げてフロリダに戻った佐藤の決断がこの勝利への一歩だった(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ6月の一番、第3弾は27日に開催されたUFC ESPN12から佐藤天✖ジェイソン・ウィットの一戦を語らおう。


──6月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合になるのでしょうか。

「佐藤天✖ジェイソン・ウィットですね。これ、皆が気付いていないことでいうと、相手はそんなに強くないですから。そこがあるので、彼も完全に気が抜けていないところがあると思います。このご時世でUFCといえども、相手が余りいないというのはあります」

──それも全て佐藤選手の力だと捉えることはできないでしょうか。

「勿論、その通りです。で、これは僕の言い方として……ホントにどうかとは思うけど、今はコレは火事場泥棒だから(笑)。今のUFCって、待っていればまたすぐに回ってくるだろうし。この間みたいにスクランブルで出てくるヤツもいる。体調さえ整えていればチャンスは巡ってくるんです。

でも、日本にいたらそれは無理。米国にいるから、そのチャンスが回ってくる。運は実力でもあります。さらに火事場泥棒だから、今はもうそのまま待っていれば良いよ──って彼にメッセージも送りました。今は米国にいることが財産です」

──確かにその通りですね。

「ホントに結果論ですが、3月のタイミングでフロリダに戻って良かったですね。博打に勝ちました」

──それこそ佐藤選手がUFCで戦うという意志を持ち続け、フロリダに移り住んで強くなるという決意の延長線上に今回の試合もあったということですね。

「だと思います。僕は3月の時点で米国に戻るより、日本に残った方が良いと思っていました。米国はロックダウンがあるし、日本はそんなに増えないから残る方が良いって。でも、全く違いましたね。フロリダに戻ったからこそ、このタイミングで試合ができて……。今はほぼほぼアジア人は米国にいないとチャンスはないですからね」

──新型コロナウィルス拡大からアジア人で戦ったのは佐藤選手とサクラメント在住のソン・ヤードンの2人だけですしね。ファイトアイランド大会はブラジル、ロシア系の選手がかなりの数を占めています。

「米国人を無理からUAEに連れていく必要はなくて、ブラジル人✖ロシア人とか、たくさん組めばOKで。なら佐藤選手も米国で待っていれば良い、8月まで。もう地の利で、完全に掴んでいますよね。凄く良いことです。

今は金とかでなく、自分の物語として確立すべきことがあって。ここ1、2年が勝負でそこを越えるとファイトマネーだって額が違ってくる。そういうタイミングの時にコロナがやってきて、米国にいる」

──チャンスをモノにするチャンスがやってきた、と。

「今回の試合でKOボーナスがもらえないのは、日本市場が盛り上がっていないからで、それは残念だったけどUFCのメインカードでKO勝ち。それもウェルター級ですよ。これはもう尋常でないということは皆に分かって欲しい」

──マイケル・ビスピンなど、実況でも絶賛していました。

「そうなんだぁ」

──とはいえ、さきほど青木選手が言われたUFCのウェルター級です。

「まだまだ佐藤選手は、難しい位置にいます。まだまだ、です。今回の相手はスクランブルで出てきた格下との試合だった。格上を見れば、もうとんでもない連中が揃っています。すぐにトップ10は無理、そう思います。だからこそ今、自分で手に入れた環境で力をつけて、そのトップ10に辿り着くまでに力がつく相手と戦う……ことなんでしょうね。

一度相手になっていたティム・ミーンズにしても、勝ち負けを繰り返していても強い選手です。ロシア人もいるし、ブラジル人もいる。それがUFCですから」

──トップ10と戦うにはもう1、2段ステップアップが必要だと。

「1段、2段で済むのかな。そう思っちゃいます。だからこそ、そんな場で12年近く戦っているジム・ミラーがどれだけ凄いことをやっているのかということで。ホント、佐藤天選手がやっていこうとしていることの凄さ、UFCのウェルター級で結果を残すということは、それだけのコトなんです」

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Interview UFC UFC ESPN12 ブログ 佐藤天

【UFC ESPN12】大勝、佐藤天に訊く──これから─02─「誰と戦いたいとかは考えていない」

【写真】写真はベガスのスーパーマーケットでの佐藤。感染予防は、地元に戻っても欠かせない (C)ON THE ROAD MANAGEMENT

27日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されたUFC ESPN12「Poirier vs Hooker」でジェイソン・ウッドを破った佐藤天インタビュー後編。

48秒の戦いの中で、考え、イメージしてきたことを実行しKO勝ちした佐藤は、拠点となるフロリダに戻った。いち早く経済活動を再開させ、ジムでのチーム練習が可能になった彼の地だが、今や再びCOVID19が猛威を振るうようになっている。

そんな地元で佐藤は日本のMMA界では考えられないようなバックアップを受け、気持ちを切らすことなく次戦を見据えていた。

<佐藤天インタビューPart.01はコチラから>


──今回、無観客大会を始めて経験しました。

「雰囲気は違いましたけど、試合の入りの時点では空気の硬さを感じました。それで自分自身はフワッとしている感覚もありました。でも試合が始まったら、関係なく戦えましたね。

ただファンの歓声によって選手が頑張れることがあるのは絶対なので、言ってもしょうがないですが──一番はお客さんが入っているなかで、歓声を受けて戦いたいです。

今回はKO勝ちできて凄く嬉しかったのですが、試合後の空気は微妙で。静かだから、なんか騒げなかったです(笑)」

──勝利者インタビューで英語が凄く上達していましたね。

「そうですか? ありがとうございます(笑)。興奮してしまって聞かれていることは分かっていたのですが、途中から言葉には出せなくなりました(笑)」

──いや素晴らしいです。インタビューとか、なかなか委縮してしまって英語で話すのが恥ずかしくなったりするじゃないですか。

「そこはチームに色々な国の人間がいて、発音もアクセントも皆が違いますしね。スペイン語やポルトガル語圏の人間が、平気で間違えても英語でコミュニケーションを取っていますし。自分も間違えて良いから、積極的にどんどん話そうという姿勢を学ばしてもらいました。

それに外国人が英語を間違えても、誰も気にしないでしょうし。だから、どんどん話そうって思うようになれましたね」

──いやぁ、その開き直りというか強心臓は大きな武器ですね。

「アハハハ」

──ところでフロリダに戻ったとのことですが、経済活動が再開し感染者が大幅に増えていますね。

「そうなんですよね。チームメイトも体調が悪くなると、すぐに検査を受けていて、これまで陰性だったのですが……。これからはどうなるのか、本当に分からないですからね。フロリダはヤバイですね。

陽性でも無症状というケースが本当に多いみたいですし、これからはPCR検査を受けて練習をするようになっていくのかなと思います」

──チーム名にもなっているサンフォード……、サンフォード・ヘルスは遠隔治療の最大手で、4月には1日に1600人以上が利用するようになったと記事で読んだことがあります。

「病院の数も多いようですし、来月(※7月)からはケガをして手術が必要になったり、疾患があってもサポートしてもらえるようになるようです。ドクターの派遣や、離れた病院に行く必要があるならフライトも用意してくれるという話も聞いています」

──それは凄い話ですね。

「だからPCRもチームの皆はやることになりますし、ケガで手術が必要になっても費用も掛からないようになっていくようです」

──いやぁ、もう最高の後援部隊が控えているようなモノですね。ここまでフロリダは一足先に経済活動を再開したことで、UFCに出場している選手を見ても確実にアドバンテージがありました。

「ハイ。自分もこの間の練習で、ロックダウン前から調子が落ちたことはなかったです」

──ただし、今では州全体で感染者が増えている。そのなかでCOVID19だけでなく他の治療や疾患に対して、手厚いサポートがあるということは、サンフォードMMAで練習するアドバンテージは測りしれないですね。

「確かに他の州の選手よりも、フロリダのジムの選手はコンディションが良かったと思います。そんななかで僕は家とジムの往復だけだったのですが、街の雰囲気は経済活動再開とともに『じょう大丈夫』みたいな空気になっていたのは確かです。ビーチにどんどん人が集まって、そういう感じでしたしね。本当に気を付けないといけないです。

またロックダウンではないですが、規制緩和をしていたのが再強化されるようですが、そんなかでサンフォード・ヘルスのバックアップは、大きな強みになります。それにUFCからのオファーにも応えられない選手もまだいますし、状況的に今はチャンスだと思っています」

──この大勝を受けて、次の試合の時期や対戦相手に関してはどれぐらいの選手と戦いたいという気持ちがありますか。

「すぐに戦えますというのはUFCにも伝えています。とりあえずヘンリーがフロリダに戻って来たから、また話をして決めたいですね。僕自身はすぐに練習できる状態です。ファイトアイランドでも決まれば、行きます。だから、今回と同じように気持ちを切らさず、練習を続けようと思います。

相手に関しては、1度名前が挙がったティム・ミーンズは格上ですし興味はあります。ただ、誰と戦いたいとかは基本的に考えていないです。もう、話があれば戦うという感じで」

──今、ベラル・モハメッドと戦ったらどうなると思っていますか。

「もちろん、もう1回やったら勝つつもりでいます(笑)。今からすれば、去年の9月に彼と試合をしたのですが、夏にサンフォードMMAに合流したばかりで、環境に馴染めていなくて迷いながら作ってしまったと思います。それもあって足が動かなくなったり、頭も堅かった。

あの時と比べると、ずっと頭も柔らかくオープンになったので、感覚的にも良くなっていますし、ああいう試合にはならないです」

──まだまだ通常のUFCではないですし、だからといって今年の2月以前のような状況に戻るにはどれほど時間が掛かるか分からないです。だからこそ、チャンスが転がっているという見方ができるかと。

「やっぱり練習できない選手は多く、万全でなくても試合を受けるようなこともあるみたいですしね。僕は与えられたチャンスをしっかりと生かすだけです。ケガがあれば考える必要がありますが、少し休んでまた戦える状態をすぐに創ること。それが現状で最も必要なことで、ベストな選択です。

時期、相手ではなく、自分を創る。そしてこの環境が今回の結果が繋がったので、次もそうしたいですね」

──ともあれ色々とあったファイトウィークですし、少し気持ちの方を休ませてあげてください。

「まぁ貴重な経験をさせてもらいました。試合前から良い経験ができると思っていたので、そういう気持ちでいることができたのも良かったのでしょうし。これからも同じようにやっていきたいですね」

──さすが強心臓、強い胃の持ち主です。

「アハハハ、試合後は焼肉を3時間ぐらい食い続けていました(笑)」

──胃が強いのは、強い人間の証です(笑)。次の試合、さらに期待しています。

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Interview UFC UFC ESPN12 ジェイソン・ウィット ブログ 佐藤天

【UFC ESPN12】大勝、佐藤天に48秒を中身を尋ねる─01─「理解し、臨機応変に動けた」

【写真】UFCでの日本人の勝利は、昨年8月の魅津希 来、実に10カ月ぶりとなる(C)Zuffa/UFC

27日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されたUFC ESPN12「Poirier vs Hooker」。UFC3戦目を迎えた佐藤天がジェイソン・ウッドから48秒TKO勝ちを収めた。

度重なる対戦相手の変更、会場で試合順の変更を聞かされてなお、佐藤は動揺も見せず最高のファイトをやってのけた。

試合から2日、フロリダに戻った翌朝の佐藤に大勝を振り返ってもらうと、48秒の試合タイム、それは佐藤の成長が凝縮された時間だったことが分かった。


──「おめでとうごます」、「お疲れ様でした」。どちらの声を掛けてほしいという気持ちでしょうか。

「アッハハハ。今は『お疲れ様でした』──ですかね。終わってみれば、そういう感じですね。試合前はそんな風には感じていなかったのですが」

──UFC Fight Passの中継開始時間になると、佐藤選手の試合がメインカードに変更という説明があり、驚かされました。

「僕もあと2試合、バンテージを巻いている時に試合順が変わるって聞かされたんです」

──えっ!!

「もう笑っちゃいましたね。でも、焦ることはなかったです。まぁ、セコンドのヘンリー(フーフト)とかもっと大きな舞台で色々と経験していてまるで動じていなかったですし。チーム全体で、まるで動揺はなかったです」

──私などひょっとすると、試合が飛ぶんじゃないかとドキドキしていました……。

「その可能性もあるとは思っていました。でも、ダメならダメでしょうがない。でも試合があることを考えて集中力を切らさないようにしていました。試合前に言っていた『人に依存しない、自分のやるべきことをやるだけ』を考えていた感じです。

あそこでアタフタすると、これまでやってきたことをふいにしてしまいますからね。それにこの短期間でオファーを受けた相手も、試合場に現れた時点でやる気の固まりですから。

そうですね……ウィットが来てくれて、試合ができたことに感謝しています。何とか試合に辿り着け、あの結果を残せたことは素直に嬉しいです。結構、練習してきたことが出せましたし。冷静に戦えて、結果論として早い段階に倒せた感じですね」

──対戦相手云々でなく、この間に積んできたことを出す。それはどのような戦いだったのでしょうか。

「基本的には自分の強みを生かした打撃、出入りをしっかりとして足を止めないことを考えていました。そしてレスリングになり、相手に入られても安全にスクランブルに持ち込もうと思って。とにかく足を止めないこと、それは去年の9月の敗戦後から練習でやってきたことでしたしね」

──最後は結果として秒殺KOでしたが、やろうとしていたことの過程であの結果に結びついた感じですか。開始後はジャブを見せていた感がありましたが。

「最初の方のジャブは届いていないです。1発目は早めのジャブで反応を見ました。相手は見えていなかったです。なので2回目は敢えて遅く、モーションをつけて打ったのですが、それでも反応しませんでした。

もう一つ当てないジャブを出して、4回目は顔に一度当てようと思って殴り、やはり反応していなかったです。もともと映像をチェックした時から、攻撃に反応できない選手だということは分かっていたのですが、最初の4発でそれを実際に確認した形でした」

──そして右ジャブから左ストレートでダウンを奪ったと。

「最後はワンツーではなくて、右ジャブを当ててから踏み込んで左ストレートを打ったんです。相手の動きを見て、半歩詰めて殴ることができましたね。

これまでも当たると思って距離や位置を考えて戦うことはできていたのですが、それよりも一歩進めた感じがしました。ジャブが当たると、相手の体はのけ反る。なら、そのまま打つとKOできるようなパンチを打ち抜けない。だから踏み込んでから殴りました。

もともと距離も自分の距離で、相手の反応を見て、さらに工夫できました。それ以前のジャブで確認したことを踏まえて、ジャブ、ステップ、左ストレートという流れで倒せたことは、自分で理解し臨機応変に動けたので、成長できたところかと思います」

──そこまで考えて動いた結果なのですね。

「戦っている最中の感覚と、あとから映像を視た時の感覚も全くギャップがなかったです」

──ダウン後もウィットが、起き上りながら組もうとした。あの時も無我夢中でなく、凄く冷静に切って殴り、サイドバックで抑えつつのパンチの連打で仕留め切りました。

「パンクラスで最後に戦ったマット・ベイル戦で、ダウンを取ってから足を掴まれてテイクダウンされじゃないですか?」

──「おいっ、そこは大切なところだろう!!」という(笑)。

「あの時のことを考えると、レスリングにも力をいれて調整できていたので、冷静に戦うことができましたね。試合直前にもレスリング・コーチが、これまでやってきたことを確認するような連絡をくれて。頭がクリアーな状況で試合に挑むことができました。

だからダウンを取ってからも一回離れてアッパーを入れて、サイドバックで相手の体を止めることができましたね。詰めの部分も、終らせにいっているのですが冷静に動けました。そいう意味でも、試合時間が短い割には収穫のある試合になりました」

<この項、続く>

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UFC ESPN12 UFC Result ケイ・ハンセン ダスティン・ポイエー ブログ 佐藤天

【UFC ESPN12】試合結果 佐藤天、心身ともに成長の跡を見せ、UFCで2勝目。ポイエーは消耗戦制す

【写真】佐藤天はドタドタに負けない強心臓ぶりを発揮、練習の成果を見せてTKO勝ちを手にした(C)Zuffa/UFC

27日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで
UFC ESPN12「Poirier vs Hooker」が行われた。

メインのライト級戦は元暫定王者のダスティン・ポイエーが、序盤2Rの劣性を跳ね返し、逆転でダン・フッカーから判定勝ちを手にした。

佐藤天は4度に渡る対戦相手の変更にも、動じることなく──この間、磨いていた動きを見せて秒殺TKO、急遽出場のジェイソン・ウィットからTKO勝ちした。

Invicta FC勢同士の対戦といっても過言でない、ジン・ユ・フレイとケイ・ハンセンのオクタゴン初陣同士のマッチアップは、20歳のハンセンが前インヴィクタFCアトム級王者フレイでステップオーバー式の腕十字を極め快勝した。

ファイト・オブ・ザ・ナイト=ダスティン・ポイエー✖ダン・フッカー
パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト=ジュリアン・エローサ、ケイ・ハンセン

UFC ESPN12「Poirier vs Hooker」
<ライト級/5分5R>
○ダスティン・ポイエー(米国)5R
判定
詳細はコチラ
×ダン・フッカー(ニュージーランド)
<ウェルター級/5分3R>
○マイク・ペリー(米国)3R
判定
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×ミッキー・ガウ(米国)
<ヘビー級/5分3R>
○モーリス・グリーン(米国)3R3分44秒
肩固め
×ジャン・ヴィランテ(米国)
<ミドル級/5分3R>
○ブレンダン・アレン(米国)3R
判定
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×カイル・ダウカウス(米国)
<ウェルター級/5分3R>
○佐藤天(日本)1R0分48秒
TKO
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×ジェイソン・ウィット(米国)
<150ポンド契約/5分3R>
○ジュリアン・エローサ3R2分44秒
ダースチョーク
×ショーン・ウッドソン(米国)
<ライト級/5分3R>
○カーマ・ワーシー(米国)3R2分53秒
ギロチンチョーク
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×ルイス・ペーニャ(米国)
<ヘビー級/5分3R>
○タナー・ボーザー(カナダ)3R
判定
詳細はコチラ
×フィリッピ・リンス(ブラジル)
<女子ストロー級/5分3R>
○ケイ・ハンセン(米国)3R2分26秒
腕十字
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×ジン・ユ・フレイ(米国)
<フェザー級/5分3R>
○ユーゼフ・ザラル(モロッコ)3R
判定
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×ジョーダン・グリフィン(米国)
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Report UFC UFC ESPN12 ダスティン・ポイエー ダン・フッカー ブログ

【UFC ESPN12】壮絶な削り合い。殴り、蹴り、倒され、絞めて、起き上りポイエーがフッカーを下す

<ライト級/5分5R>
ダスティン・ポイエー(米国)
Def.3-0:48-46.48-47.48-47
ダン・フッカー(ニュージーランド)

まず右ローを見せたフッカー、ポイエーも左ローを返す。サウスポーのポイエーに対し、フッカーは右ボディフックから左を顔面に届かせる。ボディ&顔面のコンビ、カーフキックで先にペースを握った感のあるフッカー。ポイエーは右カーフで、前足を削られる。フッカーの蹴りが2度、急所に入りかけるも試合は続行。右カーフに反応するポイエーの顔を狙うフッカーだが、組まれてケージに押し込まれる。

フッカーは回ってすぐに離れると左フック、右ボディから左ジャブを入れる。ポイエーは2発左ミドルを蹴るが、フッカーがガード。しかし、続くミドルから右を受けたフッカーはたまらずに組みに行く。近距離で頭を掴んで鉄槌というユニークな攻撃を見せたポイエーだが、フッカーはヒザからボディを打ち抜く。ポイエーも左フックを返すが、フッカーは距離を取り直しカーフを続ける。最後の10秒でジャブを当てたフッカー、右をポイエーが返し最初の5分が終了した。

2R、フッカーの右ミドルをブロックしたポイエーが右を当てる。ヒザ蹴りにも右を打っていくポイエーだが、右を受けて体が揺れる。フッカーはヒザの追い打ちをかけるも、ポイエーは組んで攻撃を遮断する。ケージに押し込み、アッパー。回ったフッカーにエルボーからフックの連打を放つポイエー。フッカーも左右のフックやボディを返し、ポイエーは左フックをヒットさせる。

間合を取り直した両者、ポイエーは左ミドルから左を当てて前に出る。右前蹴りを腹に突き刺したフッカーは、左から右を打ち込む。すぐに左を返したポイエーが、組みへ行く。ポイエー、フッカーともに疲れが目立つなか、ケージ中央で向き合うとポイエーが左ミドルに続いて、パンチを纏める。さらに右を被弾したフッカーは、全くカーフを蹴らなくなっている。ポイエーはパンチで前に出やすくなるが、フッカーはそこに左を突き上げ、ボディを左で打ち抜く。

ポイエーも左ボディフックを返し、ワンツーを当てる。直後にワンツーからスリーフォー、さらにファイブ・シックスとパンチを入れたフッカーが、ケージに詰まったポイエーのボディを攻め、さらにヒザを顔面に突き上げる。ポイエーは動きを止めたが、同時にラウンド終了となった。

3R、まだ10分しか戦っていないとは思えないタフな消耗戦──フッカーが前に出て前蹴りをボディに入れる。ポイエーは左ミドルを返し、これまでのようにそこからパンチにつなげる。さすがにペースが落ちた両者、フッカーが再びカーフを出すようになる。ポイエーは右オーバーハンドを繰り出すが届かず、逆に左を被弾する。フッカーもペースが落ち、手数が限られてくる。ポイエーは左ミドルから持ち直したようにパンチを纏める。

マウスピースを吐き出したフッカー、レフェリーがブレイクを与える。再開後、ダブルレッグをギロチンで捕えたポイエーだが極め切れず、頭を抜かれると三角を伺う。腕を畳むが、やや腕を前に置くフッカーはポスチャーが十分でない。それでもワキを締めて、守りに徹したフッカーは、スクランブルでバックに回りヒザを突き上げる。

すぐに胸を合わせたポイエーはエルボーから思い切りフックを振りまわす。ここに来て体に軸があるポイエーのパンチの威力が、軸が乱れるフッカーを上回りつつあるか。

4R、フッカーの左ジャブに右を当てたポイエーが、続けて右ジャブを伸ばす。さらにポイエーは右リードフックを当てて前に出ると、ジャブを2発ヒット。ミドルをキャッチしてテイクダウンしたフッカーは、スクランブルでポイエーの背中に飛び乗る。ワンフックから着地したフッカーは、スイッチに合わせてバックを伺う。しかし、抑えが十分でなくポイエーが胸を合わせるように立ち上がると、続くテイクダウン狙いも即スクランブルに持ち込まれ、逆にポイエーが上を取る。

ここで背中を見せたフッカーは、左のパンチを纏められ動けない。亀になり立ち上がろうとしたフッカー、背中に乗ったポイエーは前方に落とされ腕十字へ。さらにオモプラッタに移行したポイエーが鉄槌を打っていく。我慢の時を凌ぎ、フッカーは腕を抜いてトップへ。ポイエーも立ち上がり、ダブルレッグにギロチンに入る。スラム気味に叩きつけ、頭を抜いたフッカーがトップでラウンドを戦い終えた。

ポイントも先行きも見えない魂と身を切る攻防は、フッカーをより消耗させているか。最終回、左から右をポイエーが当て、フッカーが前蹴りを繰り出す。互いにスピードとキレがなく、重い動きになるなかポイエーが左を当てる。さらにポイエーは左ミドルを入れ、フッカーの組みを切る。ポイエーは左で前に出て、右をヒット。フッカーは左を被弾し、テイクダウンも腰が崩れる。

それでもケージにポイエーを押し込んだフッカーだが、スタミナの消耗は著しくポイエーがすぐに押し返す。再びパンチを貰ったフッカーが、根性のダブルレッグでテイクダウンを奪う。しかし、スクランブルでバックに回りワンフックも、ポイエーは苦も無く胸を合わせる。離れてダブルレッグを執拗に狙うフッカーは、スプロールしたポイエーをケージに押し込みシングルへ。

残り1分、頭を上げたフッカーが逆に押し込まれると、回って首相撲へ。振り払って右、続いて左を当てたポイエーは、テイクダウン狙いにギロチン。ポイエーを振り回すように尻もちをつかせパンチを入れタイムアップを迎えた。

序盤の2Rはフッカー、4Rと最終回はポイエー。3Rをどのようにジャッジが判断するか。結果、ポイエーが3-0の判定勝ちを手にした。

ピンチを耐え、逆にフッカーに攻め疲れを起こさせたポイエーは、カーフで蹴られた右足を引きずってインタビュースペースへ。そして次を訊かれ、「今年の終わりか、来年」と答えたポイエー、「自分をプッシュし続けるの限界がある」という言葉を吐いた。


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Report UFC UFC ESPN12 ブログ マイク・ペリー ミッキー・ガウ

【UFC ESPN12】右フックでダウンを奪ったペリーが、組み技&寝技でもガウに許らず判定勝利

<ウェルター級/5分3R>
マイク・ペリー(米国)
Def.3R29-28.29-28.29-28
ミッキー・ガウ(米国)

開始直後に勢いよく、右を振るって前に出たペリー。ガウは前蹴りで突き放しに掛かる。ガルの右ストレートに対し、ペリーが左を伸ばす。ロー、フックで圧力をかけるペリーが右フック、ガルが右ミドルを蹴り込む。組まれたガウは、押し返してヒザ&エルボーを入れて離れる。リーチで優るガウが右を2つヒット。続いて右ミドル、右ローを蹴ったガルは左フックも、ペリーが右フックを思い切り打ち返す。

ジャブを受けながらも、右フックで前進するペリーだが、ガウもローに右を合わせていく。蹴りを掴み、組みに行ったペリーが後方への投げでテイクダウン、バックを制してワンフックで背中を取る。肩固めから、マウントに移行したペリー。ガウはハーフに戻す。立ち上がり、足を捌きながらパンチを落としたペリーだったが、クリーンヒットはここでは生まれなかった。

2R、ペリーがガードの上から左ハイ。ガウのミドルは急所気味も、直後に飛びヒザを狙う。ペリーのローにジャブ、続いて右フックを入れたガウがシングルレッグを仕掛ける。切ったペリーが、ケージに押し込み逆に上を取ることに成功。ギロチンからリバースネルソンに移行したガウのネッククランクは不発で、ペリーがガードのなかからパンチを打っていく。

ガウはケージを蹴って腰を切って腕十字へ。ペリーはパンチを落としハーフで抑える。ここでガウがキムラ・スイープを決めトップを奪う。すぐに立ち上がったペリーはケージに詰められた状態でエルボーに続くダブルレッグを切り。シングルにも足を引き抜く。ガウは立ち上がり右ストレートをヒット。もう一発、右を当てたガル、ローやミドルを返すペリーも動きが落ちている。残り20秒で右を2発撃ちこんだペリー、しゃがみ囲んで亀から横回転してガードを取ったガウ。ペリーはマウントを奪い、エルボーを落としたところで時間となった。

最終回、ケージ際にガウを追い込んでパンチをまとめたペリーは、左の相打ちから右フックを打ち込む。右のカウンターを被弾したガルは、シングルを切られて距離を取り直す。下がって左に回るガウを追いかけないペリーは、左フック、右ボディ、左ハイからアッパーを繰り出す。ここでペリーは組みを選択し、ガウは前転からガードもペリーがニアマウントに。

ガウは足を一本戻すのが精いっぱいで、ペリーがクルスフィックで抑える。手を抜き、前転したガルだが同時にマウントを取られ、エルボー&パンチを打たれる。両足を振り上げ、ガウの姿勢を崩して三角を仕掛けたガウ。ペリーは落ち着いて頭を抜き、トップで試合を終えた。結果、ペリーの判定勝ちとなった。


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Report UFC UFC ESPN12 ブレンダン・アレン ブログ

【UFC ESPN12】互角の攻防のなかで、ポイントを押さえる攻撃をしたアレンがダウカウスに競り勝つ

<ミドル級/5分3R>
ブレンダン・アレン(米国)
Def.3-0:30-27.29-27.29-28
カイル・ダウカウス(米国)

ワンツーで前に出るアレンに対し、ダウカウスは右ミドルを入れる。左ストレートを当てたダウカウスは、接近戦でエルボーを被弾するが、ヒザを入れて離れダブルレッグへ。ケージにアレンを押し込んだが、胸を合わせたアレンが首相撲からヒザ蹴りを顔面に突き上げる。

倒れたダウカウスからマウントを取ったアレンはパンチの連打でバックマウントに移行するとRNCへ。防いだダウカウスだが背中に乗られたままパンチを連打される。続くRNCにロールして逃れようとしたダウカウスに対し、しっかりと背中に乗り続けたアレンは足のフックが甘くなる。と、尻をずらしたダウカウスが胸を合わせスクランブルで逆にバックを取る。ロールして逃れたアレンが、トップからエルボーを落とす。このヒジ打ちで流血したダウカウスはキムラ狙いを潰され、エルボーを受けながらラウンド終了を迎えた。

2R、右ボディを入れたアレンだが、ダウカウスも右ジャブを当て返す。さらにワンツーを入れたダウカウスが、右ジャブを当てシングルレッグでテイクダウンに成功する。ギロチンスイープからリバーサル、トップを取ったアレンはここもエルボーを振り下ろす。足を一本抜きに掛かるアレンに対し、ダウカウスが足を戻してクローズを取る。

続くスクランブルでアレンはギロチンから、バックを狙ったが落とされてトップを奪われる。ハーフでワキ腹、顔面に小さなパンチを入れたダウカウスが上体を起こして勢いのあるパウンドを狙う。その刹那、オモプラッタからスイープに成功したアレンが、再びトップからヒジを落としていく。バックに回り、逃げようとしたダウカウスをタイムと同時か、やや遅れて後方から殴ったアレンがこの回も取った。

最終回、ショートのコンビを入れたダウカウスがシングルレッグへ。アレンはギロチンを諦め、クローズドガードを取る。ダウカウスもお返しのエルボーを入れ、パンチを連打する。ガードを捌かれ、後方回転する形から上を向かさたアレンはサイドで抑えられる。ダウカウスはアレンの動きに合わせてバックに回ると、四の字フックでしっかりと捕える。

残り3分弱、絞めの機会を伺うダウカウスと、その一点を防ごうと試みるアレン。ダウカウスは腕を入れかえて攻め、アレンは手首を掴んで防ぐ。パームトゥパームも絞めに入れないダウカウスは、後方からパンチを打ち込むがこのままでは逆転はできない。そして、最後は胸を合わせて上を取り返したアレンが勢いよくパウンドを落とす。その一発をかわして、再びバックを取ったダウカウスだがタイムとなり、アレンが判定勝ちした。


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Report UFC UFC ESPN12 ジェイソン・ウィット ブログ 佐藤天 未分類

【UFC ESPN12】ゴタゴタが続いた佐藤天、鬱憤晴らすような48秒KO勝ちで波乱の一週間を締める

<ウェルター級/5分3R>
佐藤天(日本)
Def.1R0分48秒by TKO
ジェイソン・ウィット(米国)

左に回りながら右ジャブを伸ばした佐藤、ウィットは左ローを見せる。佐藤はウィットの前進に右ジャブを合わせつつ、ボディには左にサークリングし間合を取り直す。そして右ジャブから、左ストレートで早々にダウンを奪うと、シングルで立ち上がってきたウィットに首相撲&ヒザ蹴り、それでもシングルを仕掛けられると足を抜いて、左を入れる。すかさずサイドバックで抑えた佐藤が左の連打で秒殺TKO勝ちを決めた。

「英語で話すことをトライさせてください。凄く気持ちが良いです。最高のコーチ、最高のチームメイトの最高のトレーニングを毎日やってきました。勝てて嬉しいです。(対戦相手の交代は?)ノープロブレム。毎日、素晴らしい練習ができたので」と話した佐藤は、日本語で「KOを狙っていたので、自分の良い距離で練習してきたことが出せたかと思います」と言葉を続けた。


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Report UFC UFC ESPN12 カーマ・ワーシー ブログ ルイス・ペーニャ

【UFC ESPN12】打撃で優勢、組みで劣勢のワーシーが、ペーニャをギロチンで切って落とす

<ライト級/5分3R>
カーマ・ワーシー(米国)
3R2分53秒by ギロチンチョーク
ルイス・ペーニャ(米国)

サウスポーのペーニャが右ロー、ワーシーは強烈な勢いの右ミドルを蹴る。ペーニャの右にワーシーはワンツーを返し、左ジャブを続けて当てる。ペーニャの左ストレートを返すが、ワーシーは勢いで上回る右を打ち返す。ハイキックをブロックし、右ローを蹴ったワーシーはテイクダウン狙いを切り、ペーニャが引き込む。スタンドに戻ったワーシーに続いたペーニャだが、圧力を跳ね返すことはできない。

ロー、ボディ、右ミドル──は低かったが、ペーニャは頷いて試合は続行する。ワーシーは右ミドルを入れ、右ボディストレート、サウスポーのペーニャに正中線を取らせにファイトを続ける。その後も右をヒットさせるなど、ワーシーが初回を取った。

2R、ペーニャがスピードのある右ジャブを見せ、前蹴りを狙う。コレをキャッチし、右を当てたワーシーは左をヒットさせる。直後にダブルレッグでテイクダウンを奪ったペーニャが、マウントから肩固めへ。腕を伸ばしたワーシーが耐えるが、パンチを落とされ背中を見せる。四の字フックから絞め習いのペーニャは、やや乗り過ぎでパンチに切り替える。その後も絞め、パンチを繰り返すペーニャはエルボーを側頭部に入れ、暴れるワーシーに胸を合わせることを許さない。

残り90秒、ついにリバーサルに成功したワーシーが、前方にペーニャを落としてトップへ。ペーニャはすかさずオモプラッタへ。腕を抜いて立ち上がったワーシーに対し、ペーニャはボディロックテイクダウン、サイドを取ってマウントへ。さらにバックに移行したペーニャだが、ワーシーが再び胸を合わせタイムアップに。

最終回、スピードのあるパンチを変わらず見せるワーシーは、テイクダウン狙いを切る。切られたペーニャもワンツー、右を被弾しても左ミドルを蹴り込む。ワーシーはワンツーにダブルレッグを合わされるが、しっかりとスプロールしテイクダウンを阻止する。やや疲れが見える両者、ミドルを蹴られたペーニャが執拗に組みに行く。切られ、ヒザをつきエルボーを落とされながら、シングルでペーニャがケージに押し込む。

ここでワーシーはハイエルボー・ギロチンへ。引き込んで絞めあげるとペーニャがタップした。


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Report UFC UFC ESPN12 タナー・ボーザー フィリッピ・リンス ブログ

【UFC ESPN12】右オーバーハンドからラッシュ、最後は鉄槌で締め。ボーザーがリンスを失神させる

<ヘビー級/5分3R>
タナー・ボーザー(カナダ)
Def.1R2分41秒by TKO
フィリッピ・リンス(ブラジル)

計量後にメインカードからプレリミに組み変えられたヘビー級の一戦。リンスが左ジャブを伸ばし、右を狙う。ボーザーは右フックを被せようとし、ローを蹴る。右オーバーハンドを狙ったボーザーに対し、リンスが細かいワンツーフックで迎え撃つ。前に出るリンスは、足を使うボーザーに右ボディを入れる。ボーザーの右オーバーハンドは空振りに。前に出てボディを打ち込むリンス、さらに離れて左から右を打っていく。

と、続くステップインにボーザーが右オーバーハンドを合わせると、リンスの姿勢が乱れる。一気にラッシュを掛けたボーザーは、倒れたリンスに思い切り鉄槌を落とし勝負を決めた。