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【SOGI】OT制もなんのその。岩本健汰が本戦で攻めまくり、延長でしっかりクリコリアンを下し王座防衛

<SOGIウェルター級選手権試合/10分1R>
岩本健汰(日本)
Def.OT
キース・クリコリアン(米国)

序盤は立ちレスの攻防が続く。岩本がツーオンワンで押し込み、右を差してきたクリコリアンに対して、これを切ってダブルレッグでテイクダウン。道場のマットで試合が行われているためクリコリアンが壁を背負った状態から、マット中央で明確に岩本が上の状態で試合が再開される。しっかりとボディロックでリスタートさせた岩本が左足を抜く。クリコリアンは足を戻しニーシールド、さらにデラヒーバと足を絡ませていく。右ヒザでクリコリアンの左ヒザを殺しつつ、パスの圧力を高める岩本がワキ差しパスへ。

クリコリアンは耐える状態でハーフに戻すが、腰を起こして頭の方に回った岩本がついにパスを決める。ノーポイント、ジャッジ判定のないルールながら自らのグラップリングを押し進める岩本は、一度は足を戻されても再びパスガードを決める。岩本が5分経過を前にして2度パスに成功させ、サイドコントロールの時間が続く。

ニーインに足を絡めようとしたクリコリアンに対し、カウンターのバック狙いからトップに切り替えた岩本がパスのプレッシャーを掛けていく。クリコリアンは右足を抱え、岩本の動きを止めに掛かるが、足✖腕では前者が強い。岩本はついにはパスと同時にマウントを取り、腕を殺してバック奪取へ。クリコリアンが胸を合わせようとし、スクランブル。岩本は立ち上がって、パス&即マウントと圧倒的に攻め続け、ついにはバックを奪取する。

残り2分、クリコリアンはOT勝負を目論み、防御に徹する構えだ。岩本はボディトライアングルで背中を取り続け、襷から首を狙う。ここは許さないクリコリアンに対し、腕十字からオモプラッタに移行した岩本は、腕を抜かれたところで場外際から、マット中央に試合を戻された。

残り30秒、クリコリアンがトップでリスタートに。ヒール狙いのクリコリアン、足を抜いてレッスルアップの岩本はギロチンを凌ぐと、リバーサルを完成させサイドで抑えた状態で10分を迎えた。

試合は本戦の攻勢は全く関係のないOTに。先攻クリコリアンがシートベルトを選択し、岩本は胸を合わせることがなかなかできない。左腕を喉下の通し、岩本の右肩を掴んだクリコリアンだったが、ここで前方に落とされた。後攻の岩本もシートベルトを選択し、極めよりもポジション維持。画面にタイムカウンターがなく、正確な時間は数えられないが、岩本のバックキープの方が長くなったのは明らかだ。ついには腹ばいになったクリコリアンも疲弊が目立つが、ここで1stターム2分が終わった。

2ndターム、クリコリアンは再びシートベルトをチョイスし、やや極め重視か。足をフックを解きに掛かった岩本は、絞めも凌ぎ胸を合わせに行く。背中に乗り続けるクリコリアンが、今回は時間切れまでキープした。後攻め岩本も当然のようにバックを選ぶ。リードを守るために2分間、あるいは1stタームのクリコリアンのキープ時間を上回りたい。結果、ボディトライアングルとクロスフェイスを続けた岩本はクリコリアンにエスケープを許さなかった。

3rdターム。クリコリアンのバックももう勝負を諦めた感があるか。20秒と経たずエスケープした岩本は、後攻めも余裕構え。ある一定度までバックキープを続け、クレコリアンが胸を合わせてきても、エスケープタイムで上回っておりウェルター級王座防衛に成功した。

勝利者インタビューで岩本は「7年間、2016年からずっと練習してきたトップ選手と良い試合をできるようになるなんて驚いた」と話し、SOGIで次に戦い相手には言及こそしなかったが、満足気な表情を浮かべていた。


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【SOGI】岩本健汰がメインで、キース・クリコリアンを相手にSOGIウェルター級王座防衛戦!!

【写真】今や岩本、アンドリュー・タケット、ジョセフ・チェン絡みのグラップリングは、どれも超楽しみでならない (C)MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ニューヨーク州ホーポージにある10th Planet ロングアイランド道場にて、SOGI(Submission Only Grappling Invitational)主催の「Cinco de Mayo: Iwamoto vs Krikorian」 が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

イベント名にあるように、この大会のメインには岩本健汰が出場し、強豪キース・クリコリアン相手に自身の保持する同団体ウェルター級タイトルの防衛戦を行う。グラップリングの本場北米の大会において、日本人選手の試合がメインイベントとしてフィーチャーされるのは、2013年6月9日に行われたMetamrois02のクロン・グレイシー✖青木真也以来、実に9年11カ月振りの快挙。

さらにイベント名に日本人選手の名前が入るのは前例にないことだ。誇張抜きに、日本グラップリング界における歴史的快挙と呼べるこの試合の見所を紹介したい。


SOGIは、2019年から10th Planet ロングアイランド支部が母体となって開催されているグラップリングイベント。一流選手を招待した階級別の王座決定トーナメントやスーパーファイト、一般の参加者向けの初心者や中級者の部の試合も行っている。10th Planet支部だけあり、ルールは当然総帥エディ・ブラボーが発案したEBIルール(本戦はサブミッション・オンリーで、決着がつかない場合はオーバータイム=OT)が採用され、本戦の試合時間は10分だ。

ちなみに今回の大会名のCinco de Mayoとはスペイン語で5月5日を意味し、1862年にメキシコ軍が侵略を試みたフランス軍を撃退したことを祝う日だが、メキシコ本国よりも米国在住のメキシカンの間で重視されているようだ。もっともこの大会が行われるのは現地の5月6日であり、このようなアバウトな大会名の付け方も面白い。

さて、岩本は昨年のADCC世界大会77キロ以下級に出場。2連覇中の優勝候補筆頭だったJT・トレスと初戦で当たり、延長レフェリー判定で敗れたものの、シングルレッグで最初にテイクダウンを奪ったことでその存在を世界に知らしめたのは記憶に新しいところだ。

この大健闘から3ヶ月後の12月、岩本はSOGI主催の大会のウェルター級16人トーナメントに出場。他に有名選手がいなかったこともあり、4試合ともトップゲームで圧倒的な強さを見せて優勝を飾った。初戦と決勝戦は相手に粘られてOTに持ちこまれたものの、どちらもまず相手の攻撃からエスケープを果たした後、自分の攻撃のターンでバックからのチョークを決めて勝利し、SOGI同級王座に就いた。単身本場で戦い、自らの腕一つで名を為す。まさに唯一無二の日本人ノーギグラップラーが岩本健汰だ。

相手のクリコリアンは、ブギーマンことリッチー・マルティネスが率いる10th Planet サンディエゴ所属の軽量級トップグラップラー。昨年のADCC世界大会に向けた東海岸予選では、66キロ以下級準決勝でジアニ・グリッポにチョークで一本勝ちを収める等6試合を勝ち抜くも、決勝でコール・アバテに0-10で敗戦。

続く西海岸予選では、決勝でジョシュ・シスネロスを内ヒールで仕留めて7試合を勝ち抜いて世界大会出場を決めた。世界大会では、3位入賞したパトことディエゴ・オリヴェイラにストレートレッグロックを極められて初戦敗退としている。

そのクリコリアンは、今年3月のSOGI大会にて12月に岩本と決勝で戦ったアンドリュー・ソラノとワンマッチで対戦。引き込んで得意のニーシールドを作ると、下から足を取って崩し、3分少々でバックからのチョークを極めてみせて今大会における岩本への挑戦権を得た。

大会メインイベントに相応しい、世界レベルのグラップラー同士の好カードとなったこの試合。両者とも全局面で優れた技術を持つ万能型選手だが、戦い方は少し異なる。かつて岩本は下からの足関節狙いを主体に試合を組み立てていたが、現在は上からの攻撃を重視する。

日本でMMA選手たちと練習して強化したテイクダウンに加え、テキサス州のBチームにてトップゲームの最新技術をアップデート。上から左右に角度を付けて動き、重いプレッシャーをかけ続けて相手の足を疲弊させ、最終的に上半身を制する術に磨きをかけた。こうして相手を制圧する戦いが、現在の岩本の形だろう。

対するクリコリアンも、もともとレスリング出身だけあって立ちの攻防を恐れず挑む選手。スナップダウンやアームドラッグ、シングルを積極的に狙う場面もしばしばだ。が、引き込みがマイナスにならない状況では自ら下になり、ニーシールド等から積極的に相手の足を狙ってゆくことが多い。前述のADCC西海岸予選でも、7勝のうち3勝は内ヒールによるものだ。

体格に勝る岩本からテイクダウンを奪うのが難しいと見た場合、クリコリアンの方から引き込んでくる可能性は大いにある。その時には、岩本がそのトップゲームをもってクリコリアンのガードワーク、あるいはシールド&フレームを突破できるかが最大の見所となる。

ここで特筆すべきは、ADCC西海岸予選準決勝における、クリコリアン対デミアン・アンダーソンの試合内容だ。岩本が学んだBチームの主要メンバーの一人であるアンダーソン相手に引き込んで足を効かせたクリコリアンは、左右に動いて足を捌きにかかるアンダーソンにパスを許さず、下から足を絡めて得意の足関節で攻撃、最後には崩し切って迅速のバックテイクを決めて快勝したのだ。

果たして岩本は、最先端のパスガードの使い手をも凌駕するクリコリアンの足を捌き切り、制圧することはできるのか。もし今回、クリコリアンを完全に押さえ込むかバックを制する場面が見られたならば、それは岩本が世界の頂点にさらに近づく大いなる一歩と考えていいだろう。

その上さらに岩本が本戦で一本を奪うようなことがあれば、階級差こそあれ快挙と言える。ノーギの本戦10分間にて、世界トップグラップラーを極めるのは至難の業だからだ。逆の言い方をすれば、万能型ハイレベルグラップラー同士によるこの試合、どちらが優勢に進めようが試合がOTにもつれ込む可能性は大いにある。

もしそうなれば、昨年11月にSOS(サブミッション・オンリー・シリーズ)のミドル級トーナメント出場した際に、決勝で自分より遥かに体格で勝る相手を本戦で圧倒しながら極めきれずにOTで敗れた岩本より、おそらく常日頃からOTの研究をし、現にエステヴァン・マルティネスのような強豪にOTで勝利したこともあるクリコリアンの方が有利という見方もできる。

そう考えると今回の岩本には、OTを避けるためどこかで普段の自分のスタイルを崩し、極めを狙いにゆくという選択もあるのかもしれない。以前足関節師として鳴らしていただけに、それを試みるスキルも十分に持っている。

本人がどのような戦い方を選ぶにせよ、岩本にとってこの試合は昨年のADCC本戦のJT戦、昨年末のノーギ・ワールズと今年2月のUnrivaled02におけるタケット兄弟戦に続き、世界レベルのノーギグラップラーと真っ向勝負する貴重な機会となる。

グラップリング未発展の日本を拠点に、道無き道を一人行く勇敢な若者がさらにステップアップするための大きな糧となることを祈りつつ、この試合を見届けたい。

■視聴方法(予定)
5月7日(日・日本時間)
午前7時00~FLO GRAPPLING

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EBI Jiujitsu Over Time JJ Globo Report イーサン・クレインステイン キース・クリコリアン ブログ

【EBI JJOT】初のオーバータイム柔術はクレインステインが優勝──も、はやりプロセスが見たい

<フェザー級OTT決勝>
イーサン・クレインステイン(米国)
Def.
キース・クリコリアン(米国)

EBIルールのオーバータイムだけで争われる今回のフェザー級トーナメント。

1回戦はスペンサー・マミーがフランク・ローゼントール、エリアス・アンダーソンがゲイブリエル・デフロン、マイク・デヴィラがジェフ・リアル、イーサン・クレインステインがサージオ・フェルナンデス、キース・クリコリアンがコディ・オーウェン、ジョン・バトルがドニー・オルテガ、マイケル・カリアーがマルセロ・コーン、パブロ・アルフォンソがルイス・キニョネスを破り、準々決勝へ。

準々決勝ではアンダーソン、クレインステイン、クリコリアン、アルフォンソが勝ちあがる。

準決勝第1試合では先攻のクレインステインがシートベルトを選択し、最後に腕十字に移行もアンダーソンが2分間を防ぎきる。後攻アンダーソンはスパイダーウェブを選び、クレインステインがエスケープに成功する。2本目、クレインステインはバックで15秒でRNCを極め、アンダーソンのバックから逃れて決勝進出を決めた。

続いてクリコリアンとアルフォンソのセミファイナルは、先攻のアルフォンソがスパイダーウェブをチョイスし、腕が伸びかけながらクリコリアンは立ち上がってエスケープした。そしてバックを選択したクリコリアンは、10秒でRNCを極め決勝はクレインステイン✖クリコリアンという本命4人のうち2人が戦うことになった。

コイントスで先攻となったクリコリアンはバックを選択、四の字ロックに対してクレインステインが上半身を左右に激しく揺らしたがエスケープを決めた。後攻のクレインステインもバックをチョイスし、クリコリアンがロールして逃げるとマットの端でフリーズとなり、中央で再開される。ロールにも背中に乗り続けるクレインステイン、再びマットの端からセンターに両者が戻される。前方に落とされそうになったクレインステインは腕十字に移行も、ここでクリコリアンがエスケープした。

2本目もクレインステインは30秒と掛らずバックから逃れたクレインステインに対し、クリコリアンはロールでマウントを取らせた8秒で逃れた。OT3本目、クリコリアンはネッククランク気味で絞めにいくが、クレインステインはヒジを押して逃れ胸を合わせる。後攻クリコリアンはすぐに右に連続でロールし、さらに左に回るがクレインステインは背中の張り付いたままだ。ようやく胸を合わせ、クレインステインが腕十字を仕掛けたところでクリコリアンが腕を抜いて試合終了。結果、エスケープタイムで優ったクレインステインが柔術オーバータイム・フェザー級トーナメントを制した。

MMAを通じで柔術が世界の格闘技界に与えた影響はポジショニングだった。グレイシーとしては、その先の極めも重視したが──それはポジショニングを彼らが既に理解し、使いこなせていたからだ。極めだけはあった他の組み技格闘技、初期のMMAを目指す者はポジションの修得を目指した。その後、競技柔術は世界的な広まりを見せてポジションで完結する戦法も出てきたために、ノーポイント&サブオンリーというグラップリング大会が注目されるようなり、IBJJF競技柔術が禁止としている技術が発展した。

とはいえサブミッションを仕掛けるまでには位置取り、抑え込みだけではなくその形に入るプロセスは欠かせない。柔術でもグラップリングでも、その経緯があってフィニッシュがある──ことが、試合経過に多様性がない15試合を見て再確認できた。そしてイーサン・クレインステインとキース・クリコリアンのグラップリングマッチが見てみたい。