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【WJJC2021】レポート&インタビュー。丹羽飛龍「黒帯1年目でインパクトを残すには実力が足りない」

【写真】トップのポイントが入らない──柔術の結果論でなく、過程を重視した得点方式に敗れた感もある飛龍。改めて奥深い競技だ(C)SATOSHI NARITA

2021年12月9日(木・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。
Text by Satoshi Narita

レポート第10弾、茶帯ルースター級に参戦した丹羽飛龍の決勝戦と──黒帯での将来を見据えた、試合後のインタビューをお届けしたい。


<ルースター級決勝/8分1R>
マテウス・ヴィラサ(ブラジル)
Def. 2-0
丹羽飛龍(日本)

連続一本勝利で勝ち上がってきた飛龍、決勝の相手はAres BJJ所属のマテウス・ヴィラサだ。

序盤、飛龍はダブルガードからベリンボロを狙うが凌がれ、ヴィラサをクローズドガードに捕らえたところで上になったヴィラサに2ポイントが入る。

その後、クローズドを解除した飛龍は左足へのアンダーフックデラヒーバから潜り込み、ウェイターガードからバックを狙う。執拗にバックを狙う飛龍は一連のアタックで3つのアドバンテージを獲得する。

さらにハーフマウントにヴィラサを捕らえると肩固めを仕掛けてアドバンテージを追加──残り3分、相手をスタックしてプレッシャーをかける飛龍だが、守勢に立つヴィラサも柔軟なガードでポジションを与えることは巧みに回避する。

残り1分、50/50で上からヴィラサの左足をフットロックのグリップで抱えていた飛龍は身を翻して右足へのトーホールドに切り替え、最後のアタックに望みをかけるが、ヴィラサは回転してエスケープしタイムアップ。

最終的に8つのアドバンテージを得た飛龍だが、序盤の2ポイントを返すことができず、あと一歩のところで優勝を逃した。

前回の2019年大会では紫帯3位。優勝は逃したとはいえ、茶帯というよりハイレベルなトーナメントで一段高い表彰台に上った丹羽飛龍に、今回の戦いを振り返ってもらった。

ーー1回戦はシード、初戦(準々決勝)と準決勝は一本勝ちで快調に勝ち上がりました。

「『全試合一本で行くように』とギィ(・メンデス)から言われていたし、自分もそのイメージだったので、決勝は負けちゃったんですけど、初戦と準決勝は1〜2分で極められたのは良かったです。初めてのムンジアルだった前回(2019年)は初戦しか極められなくて、けっこうヘロヘロになりながら試合して、加古拓渡さんと試合したケヴィン・カラスコに準決勝で僅差で負けちゃったんですけど、今回は体力的にも余裕を残して決勝に行けました。

そのために練習でも“極める練習”をするようにギィに言われていたんです。練習内容がAOJの中で僕だけ特殊だったというか、茶帯ルースターは僕とココ(・イズツ)君だけで、同じ体重の選手と練習する機会があまりなかったので、ムンジアルの2週間前まではフェザーやライトの大きな人とガンガン練習して、2週間を切ってからは紫帯や青帯のジュブナイルを極める練習ばかりしていました。ポジションを取ったあとに極める練習と、ガードから一気に極める練習の2パターンに取り組んで」

ーーその練習が生きたわけですね。

「作戦通りに運べました。体力を温存しながら勝ち進んでいけるように、初戦はフットロックやトーホールドを狙う予定でしたし、実際に試合で足関を極めたのは初めてだったと思います。今まで足を狙いにいくことがあまりなく、トーホールドとかは茶帯でAOJに戻ってきてから本格的に練習し始めたので、最初は全然使えなくて。パンナムでも1、2回戦は足関で勝つプランだったけどうまくいきませんでした。でも、ムンジアルの1、2カ月前から練習で極まるようになって『試合でも使える』という気持ちになれたと思います」

ーー決勝のマテウス・ヴィラサ戦では、序盤で取られたスイープのポイントを返せずに0-2で敗退でした。中盤でバック狙いから上になった飛龍選手にポイントが入らない、とセコンドのギィたちが猛抗議をしていましたね。

「ギィはそう言ってくれていたんですけど、ポイントが入らないのが正しいみたいです。一度バックを狙ってワンフックまで入れたので下ではなくなったので、上を取ってもポイントが入らなかった感じで。ただ、結局極められなかったのが悪かったと思っています。

試合後にギィとも話したんですけど、『タイナン(・ダウプラ)たちのレベルになると、試合で何が起こっても極められる。ヒリュウも優勝するレベルにはいるけれど、そこが足りていない』と言われました。

実際にそうだと思います。メンデス兄弟やタイナン、ジョナタ(・アウベス)なら何が起こっても逆転していると思うし。紫帯で初めてパンナムに出た時の準決勝の相手で、その時はパスもマウントも取って三角で極めたんですけど、今回はツメが甘かったです」

ーー改めて、茶帯での準優勝という結果についてはどう思いますか。

「うれしくないわけではないけれど、やっぱり悔しい気持ちのほうが強いです。黒帯1年目でインパクトを残せる強さになるためには、今回のメンバーなら優勝していないとダメでした。タイナンみたいに黒帯でいきなり優勝するにはまだまだ実力が足りないと感じた2位でした。でも、メダルを獲れないで終わったわけではないので、来年こそは優勝したいです」

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【WJJC2021】レポート茶帯ライトフェザー級。丹羽怜音のムンジアル──1回戦&準々決勝

【写真】兄弟揃って表彰台を決めた (C)SATOSHI NARITA

2021年12月9日(木・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。
Text by Satoshi Narita

レポート第9弾は丹羽飛龍の兄であり、茶帯ライトフェザー級に参戦した丹羽怜音(AOJ)の初戦と準々決勝の模様をレビューしたい。


<茶帯ライトフェザー級1回戦/8分1R>
丹羽怜音(日本)
Def. by 0-0 レフェリー判定
橋本淳(日本)

自身初の表彰台を目指す怜音、初戦の相手はカルぺディエムの橋本淳──ムンジアルでは珍しくない日本人対決に。

開始早々のダブルガードでお互いにルーチが入ったのち、橋本が引き込みに成功する。橋本は右のウェイターガードを起点にオモプラッタやバックを狙うが、怜音もベースを取って冷静に対処していく。

残り2分を切り、怜音は片袖と右足裾のグリップから体勢を低くしてサイドに回り込み、ニースライスを仕掛けるなどパスのプレッシャーを強める。とはいえ、アドバンテージやポイントにつながる目立った動きはないまま迎えた最終盤──。

やや守勢に回っているように見えた橋本がインバーテッドで怜音を捕らえようとするが、パンツの尻をグリップして怜音が橋本を引き付ける。ここからヒザ十字を狙ったか背中を見せる橋本に覆い被さる形でシートベルトグリップを作り、バックテイクすんでのところでタイムアップに。

両者ともポイント、アドバンテージゼロのままレフェリー判定となり、日本人対決の軍配は怜音に上がった。

<茶帯ライトフェザー級2回戦/8分1R>
丹羽怜音(日本)
Def. by 2-0
ニコラス・ポンセ(チリ)

2回戦の相手はノヴァウニオン所属のニコラス・ポンセ。ダブルガードで下を選び、アドバンテージ1を献上した怜音は、スパイダーラッソーから右のデラヒーバに切り替えると外回転でポンセを崩してクローズドガードを作る。下からループチョークや十字絞めを仕掛けてアタックの手を緩めない怜音は、片襟片袖から再び右のデラヒーバでポンセを崩してスイープに成功する。

残り時間3分を切って上になった怜音に対し、ポンセはワンレッグXから怜音の左足を50/50に捕らえ、さらにラペルを絡めて怜音をリフトし同点へのチャンスを作るがスイープは不発。

トップキープで勝った怜音が2-0で勝利し、表彰台を確定させた。

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MMA MMAPLANET WJJC2021 ブラジリアン柔術 丹羽飛龍

【WJJC2021】レポート茶帯ルースター級。丹羽飛龍のムンジアル──準々決勝&準決勝

【写真】準々決勝、準決勝と危なげなく一本勝ちし決勝進出を決めた(C)SATOSHI NARITA

2021年12月9日(木・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。レポート第8弾は茶帯ルースター級に参戦した丹羽飛龍(AOJ)の決勝までの道のりを辿りたい。
Text by Satoshi Narita


<茶帯ルースター級準々決勝/8分1R>
丹羽飛龍
Def. 1分32秒by フットロック
アントニオ・ヴィラトラ(米国)

2021年のアメリカンナショナル、パンナムを制し、世界一の頂を目指す飛龍は、1回戦はシードで2回戦=準々決勝からの登場となった。初戦の相手はVBros BJJのアントニオ・ヴィラトラ。引き込みに成功した飛龍はすぐさま右足に絡んでベリンボロを狙うが、ヴィラトラも裾をコントロールして許さず。深追いせずに上を取った飛龍に対し、ヴィラトラは左足でラッソーを作るが、ラッソー側へのフェイントから逆サイドにすぐさまジャンプし、ガードを越えた飛龍が再びバックを狙う。これは凌がれた飛龍だが、スクランブルからベリンボロを狙ったヴィラトラの左足を捕らえるとフットロック一閃。一本勝利で準決勝へコマを進めた。

<茶帯ルースター級準決勝/8分1R>
丹羽飛龍(日本)
Def. 2分02秒by 送り襟絞め
ピエール・ピリス(米国)

準決勝の相手はBrazil 021 School of Jiu-Jitsu所属のピエール・ピリス。

開始早々、ダブルガードから右足に絡んでベリンボロを狙う飛雄だが、これはルーチとなりスタンドでの再開に。再びダブルガードとなり、今度はピリスが飛龍の脇を刺して上になりアドバンテージを先取したが、奥襟を掴んでピリスの背後に上った飛龍がスイープ&バックテイクに成功すると、亀の体勢で凌ごうとするピリスを送り襟絞めで絞め上げ、タップを奪った。

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Interview JJ Globo WJJC2021 ブログ 丹羽怜音 丹羽飛龍

【WJJC2021】丹羽兄弟は茶帯LF級に怜音、R級に飛龍が参戦「日に日に成長を感じられた」

【写真】今年5月にAOJに戻ってきた2人。飛龍(左)はムンジアル紫帯3位が最高位。兄弟で成長を見せられるか (C)NIWA BROS

9日(木・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われる。
Text by Satoshi Narita

オレンジ郡コスタメサのAOJに所属する丹羽兄弟、兄・怜音は茶帯ライトフェザー級に、弟・飛龍は茶帯ルースター級に参戦する。コロナ禍での一時帰国を経て今年5月に再び渡米した2人は、IBJJF主催のアメリカン・ナショナルやパン選手権に参戦し、飛龍はその2大会で優勝。ムンジアルと合わせて目標に掲げていたパン優勝を遂げている。ムンジアルの開催週、調整も大詰めを迎えた2人に意気込みを聞いた。


――今日は大会が始まる週の月曜日です。どのような1日を?

怜音 朝、練習をして。1時間のドリルとクラスでもう終わりです。激しい練習は先週で終わって、今週は調整という感じで、技の確認とか疲れが残らないような練習をしています。明日もそんな感じで、水・木曜は完全に休んで試合です。

――ムンジアルに向けた練習メニューは?

怜音 毎日同じことを続けてきました。まず朝に3つのクラスで練習があって。6時から7時のクラス、7時から8時のコンプトレーニング、8時から9時はギィのファンダメンタルに出て、その3つが終わったら残りの何人かで特訓というか、シチュエーションスパーやドリルを30分から1時間くらいやります。で、帰ってごはんを食べて少し休んで、昼の1時から2時でドリルをしたら1日の練習は終わりです。

飛龍 クラス後の居残りのメニューは、マテウス・ホドリゲスが率先して人を集めていて。最初は僕らと3人でやっていたんですけど、ムンジアルが近づくにつれて人が増えてきて、多いと7、8人で休みの日曜以外は毎日やっています。

――パン選手権以降、練習で何か意識して取り組んだことはありますか。

怜音 僕はパンナムで負けた相手(セバスチャン・セルパ)とこれまで4回戦っていて、パンナムで負けてしまって1勝3敗なんです。

――負け越しているわけですね。

怜音 ムンジアルでも同じ階級で当たると思っていたので、彼の対策を中心にやっていました。あとは今まで何回も試合に出てキープ力が課題だと思ったので、そこを特に集中して練習していました。もちろんギィやチームメイトから、いろいろアドバイスももらって。

飛龍 「パンナムでの課題を修正して」ということももちろんあったんですけど、今までのスタイルから攻撃パターンが増えたというか、ベリンボロとかロングステップにつなげるパターンを増やすことに集中しました。攻撃の選択肢をより増やすためのドリルをたくさんして、はじめはスパーに生かすことは難しかったけど、最近は実践でも十分モノにできるようになったと思っています。それがパンナム後から練習して良くなったところです。

怜音 ずっと一緒に練習しているので、自分もそうだけど日に日に飛龍の成長を感じられました。パンナムで優勝したけれど、そのときより強くなったと思います。

――直前に迫ったムンジアルについて、ブラケットを見て思うところはありますか。

怜音 僕はカルペディエムの橋本淳選手と日本人対決になったけど、青帯の全日本で同じディビジョンにいたときは当たらなくて、今回が初対決になるのですごい楽しみです。そのあとは予想だとこの数カ月で負けた相手と当たるので、良い意味でチャンスと捉えています。毎回負ける度に研究して原因を考えて練習してきたので、リベンジできるチャンスが一気に来た。準決勝はパンナムで負けた相手が来るだろうし、そこで勝って優勝したいです。

飛龍 僕はパンナムやアメリカン・ナショナルで優勝して、今回のトーナメントはけっこう良い場所にいるので、自分的には油断しなければ大丈夫だろうと。いつも通りに自分の力を発揮できれば、いけるだろうと思っています。

■視聴方法(予定)
12月9日(金・日本時間)~13日(月・同)
午前2時30分~Flo Grappling

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JJ Globo KIT01 News ブログ 丹羽飛龍 井手智朗 塩田gozo歩

【KIT01】AOJ帰り、19歳の丹羽飛龍が井出智朗と対戦。47歳・塩田GOZO歩の出場も決定!!

【写真】19歳の丹羽飛龍のカード、47歳GOZOの出場が決まった(C)MMAPLANET

10月11日(日)に開催されるブラジリアン柔術の無観客&ライブ配信大会=KINYABOYZ INVITATIONAL TOKYO 01でハイサム・リダ✖イゴール・タナベ、吉永力✖イアゴ・ウエノ、ミレーナ・サクモト✖石黒遥希に続き、茶帯ライトフェザー級の一戦=丹羽飛龍と井手智朗の対戦が決まっている。


大会開催発表時から出場選手として名前が明らかになっていた丹羽飛龍は、「もし可能なら過去に敗戦している井手選手と対戦したい」と要望し、井手が快諾──両者の再戦が実現することになったという。

丹羽飛龍は兄の怜音とカリフォルニア州コスタメサのギ&ハファ・メンデス兄弟率いるAOJで長期間に渡り練習を積み、Covid19のパンデミックにより帰国を余儀なくされた。対する井出は7月26日のGTF04の60キロT初戦で潤鎮魂歌からRNCで一本勝ち、準決勝で優勝した米倉大貴に敗れているが──ラブコールに応え、返り討ちの狙う。

丹羽飛龍は米国滞在中にアドバンなし、ペナルティは相手にポイントが入る、腰から上に相手を持ち上げて投げ倒す4ポイントのハイテイクダウンなど独自のルールを持つ、JJWL(Jiu Jitsu World League)の2大会、SJJIFの北米組織=NABJJFのAll Americasに出場して、全大会でメダルを獲得している丹羽飛龍にとって、今回の試合は帰国後の初戦、どのような成長を見せるか。また最近ではノーギでの印象が強い井出の道着試合──期待・大だ。

また19歳の丹羽飛龍の試合決定とともに47歳、日本のブラジリアン柔術創生期世代の塩田GOZO歩の出場も決まっている。2018年IBJJFワールドマスター以来の道着マッチとなるGOZO、対戦相手の発表を待ちたい。

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JJ Globo KIT01 News イゴール・タナベ ハイサム・リダ ブログ ミレーナ・サクモト 丹羽飛龍 吉永力

【KIT01】橋本欽也&KINYABOYZが無観客&配信の柔術大会開催!! そしてハイサム✖イゴール、実現へ

【写真】2019年2月のQuintet FNでの一戦は両者失格だった──そして、GTF04=ZSTグラップリングではすれ違ったハイサム✖イゴールが道着柔術で実現(C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

29日(水)に柔術ライターの橋本欽也氏率いるKINYABOYZ JIU JITSU CLUBが10月11日(日)にブラジリアン柔術の無観客&ライブ配信大会=KINYABOYZ INVITATIONAL TOKYO 01の開催を発表した。

Eddie Bravo InvitationalがEBIなら、まさにこの大会はKBI──ではなくKIT01と略称が用いられている。そんなKITの開催に向け、橋本氏はリリースで以下のような活動開始理由を話している。

「いまコロナ・パンデミックのせいで無観客大会が多くなり、有料大会配信が主流になりつつあります。ですがMMAやグラップリングの配信大会はあっても柔術はないので、ならば配信大会をやってみようと一念発起し配信大会開催を決めました。

試合機会のない柔術家のために柔術家でもある自分が、日本の柔術シーンの活性化を目指し開催するのが今大会です。今後は年に2~3回の定期開催を検討していますが、それも初回大会をしっかりと終わらせることができてこそ──なので、まずは初回大会のことだけを考えてやりたいと思っています。よろしくお願いします」


橋本氏のいうように、既に客入れが始まったMMA大会とは対照的に柔術界からはまだ活動再開の報が聞かれない。柔術は基本、アマチュア競技で出場選手が参加費を支払い試合を戦う。帯、体重、年齢など細かくカテゴライズされたトーナメントが何階級も取り行われ、国内でも多い時には6面や8面という試合場が敷かれて競技運営がなされる──屋内競技だ。

加えて日本にも複数の連盟が存在し、プロモーターが興行を打って収益を得るMMAとは競技運営及び団体運営形態が根本から違っている。そのような背景もあり、ここまで柔術のワンマッチ無観客&ライブ配信大会は開かれてこなかった。

結果、柔術家達は限られた出場機会をグラップリングに求めていたのが実情だ。そんな状況に橋本氏が立ち上がり、開催されるKIT01はオンラインサロン「KINYABOYZ Jiu Jitsu CLUB」の会員限定Facebookページにて配信予定で、視聴するにはオンラインサロンに加入する形が取られる。その一方で、他の配信方法も調整中で後日発表されるとのことだ。

また最新情報や出場選手のオファー状況などは随時オンラインサロン内で情報共有されることになる。

気になる出場メンバーだが、なんとリダ・ハイサム✖イゴール・タナベ──グラップリングでZSTの勝村周一朗Pが熱望していたカードが決定した。全8試合程度が予定され、両者以外に丹羽飛龍、吉永力、ミレーナ・サクモトというようにムンジアル、パン、ヨーロピアンで結果を残している実力者の参戦が決まっている。

ルールはIBJJFではなく、ノーポイント&サブオンリーで時間切れの場合は延長戦(本戦の半分の時間)のゴールデンスコア方式。つまり、延長戦はポイント先取のポイント制が適用される。延長戦で決着がつかなかった場合は、レフリー判定が採用される。また外掛け&ヒールフック、スラムなしというのもIBJJF競技柔術に準じており、道着の有無だけでなく競技ブラジリアン柔術のアイデンティティが感じられるルール設定だ。

試合時間は黒帯が8分で以下、1分ごと刻まれ青帯が5分、キッズは3分とサブオンリーに求められる瞬発系の時間設定となっている。ライブ視聴という形態も踏まえ、柔術を愛するメンバーが辿り着いたワンマッチ大会といえるKIT01、その続報を待ちたい。