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45 AB ABEMA ADCC2022 MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship ONE165 RIZIN ウアリ・クルジェフ キック グスタボ・バラルト ケイド・ルオトロ ゲイリー・トノン ダニー・キンガド トミー・ランガカー ボカン・マスンヤネ マイキー・ムスメシ マテウス・ガブリエル マーチン・ウェン 三浦彩佳 山北渓人 岩本健汰 平田樹 武尊 箕輪ひろば 若松佑弥 青木真也

【ONE165】ONE日本大会にグラップリング世界の頂点=ケイド・ルオトロが登場。ランガカーとリマッチ

【写真】ケイドをこの目で見られるだけで、嬉しい限りだ(C)RIZIN FF

4日(金・現地時間)、ONE Championshipが28日(日)に江東区有明の有明アリーナで開催されるONE 165「Rodtang vs Takeru」でONEサブミッショングラップリング世界ライト級選手権試合=王者ケイド・ルオトロ✖挑戦者トミー・ランガカーの一戦を組むことを発表している。
Text by Manabu Takashima

タイトル名にあるようにロッタン・ジットムアンノン✖武尊のキックを筆頭に青木真也✖セージ・ノースカット、ゲイリー・トノン✖マーチン・ウェン、さらに日本大会らしくダニー・キンガド×若松佑弥、ボカン・マスンヤネ×山北渓人、箕輪ひろば×グスタボ・バラルト、平田樹×三浦彩佳が行荒れる同大会で、組み技の世界戦が実現する。


ADCC2022で77キロを制し、ONEではライト級世界王者に君臨するケイドは双子の実兄でウェルター級王者タイ、そしてタフライ級王者マイキー・ムスメシと共に、ステロイドフリーのADCCという頂点を持つグラップリング界にあって、ナチュラル化のために動く──組み技ワールド新世代のリーダーだ。

そんなケイドはADCC世界大会の1カ月後、2022年10月にウアリ・クルジェフをヒールで下し同王座を獲得すると、12月にはマテウス・ガブリエルを相手に初防衛に成功。そして今年の6月に行われた2度目のタイトルディフェンディングマッチでは、ランガカーを判定で下している

一本決着でなかったにせよ、ここでダイレクトリマッチになった理由は何なのか。事実、今大会ではケイドでなく兄のタイがウェルター級世界王座を賭けて戦うという話もあった。一方、ケイドは日本大会が正式発表となる前からONE側では岩本健汰に声を掛けていた模様だ。

ただし岩本はADCC世界大会でのシード権獲得のために中堅に確実に勝つという2024年序盤に向けて明白なプランを持っており、ONEとの契約に縛られるとそのプランを実行できなくなることを危惧し、このオファーを固辞していた。

もちろん岩本✖ケイドは楽しみだが、岩本には全力でADCC世界大会に向かって行って欲しい。またケイドの試合は、対戦相手云々以上にケイドの動きを実際にこの目で見ることが一番の収穫となる。世界の頂点にあるグラップラーの登場は、4年振りのONE日本大会に一際、華を添えることになるだろう。

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ABEMA ADCC2022 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN10 UFC   キック タイ・ルオトロ チャンネル ブラジリアン柔術 ボクシング ロベルト・ヒメネス

【ONE FN10】デリダーと異種組み技戦、タイ・ルオトロ─01─「禁止薬物に頼らなくても、頂点に立てる」

【写真】いつも笑顔のタイとケイドのルオトロ兄弟。ステロイド問題を語る時も、試合前のようなシリアスな様子では軽快が言葉を続けた (C)MMAPLANET

5日(金・現地時間)、コロラド州ブルームフィールドの1stバンク・センターで開催されるONE FN10「Johnson vs Moraes 3」。ONEにとって初開催となる米国でのイベントでは、全11試合&メインカード9試合中2試合のサブミッション・グラップリングマッチが組まれた。

2003年1月22日生まれ、20歳になったばかりのタイ・ルオトロが、そのうちの1試合でONE世界ミドル級王者ライニア・デリターと対戦する。昨年、ブラジリアン柔術世界大会=ムンジアル黒帯ミドル級で準優勝、ADCC世界大会では無差別級で銅メダルを獲得した。

その後、タイを破ってムンジを制した柔術の神の子ことミカ・ガルバォンが、禁止薬物使用で金メダルを剝奪され、タイは19歳にしてムンジの金、アブダビの銅メダルを獲得するという快挙を達成することとなった。

そんなタイがデリダー戦だけでなく、ステロイド問題を語り、今後のONEグラップリングシーンに言及した。


──タイ、隣にケイドも見えますが、もうコロラドに入っているのですか(※取材は4月27日に行われた)。

「そうだよ。米国でショーが行われるのは最高だけど、コロラドは僕らが慣れ親しんだカリフォルニアと海抜が違うから、早目に入る必要があったんだ。ここに来るまでも可能な限り標高の高いところで練習してきたけど、しっかりとアクアメーション・プロセスをコロラドにやって来る前、そして着いてからも消化し、体はもう海抜1600メートルにほぼ慣れたよ。サンディエゴから数日前にやってきて、デンバーの郊外で山を走ってロッキー・バルボアがドラゴと戦う前のような準備をしてきた(笑)。だから日に日に動くのが楽になった。5月6日には、自分がどれだけ動けるのか凄く楽しみなんだ」

──今大会、ONEにとって初めての米国でのショーで9試合のメインカードのうち、グラップリングの試合が2試合組まれたことをどのように思っていますか。

「柔術にとって最高の機会になると思う。MMAだけでなくムエタイ、キックボクシングにグラップリングも組まれたショーは、これまで米国にはなかった。米国のスポーツ界にとって、大きな1日になるはずだよ。特にグラップリングマッチがこういう舞台で実施されることは、柔術界の皆にとって本当に素晴らしいことだよ」

──ADCC2022以降、正直をいえばあのトーナメントが頭抜けていたのか、以前の規模のトーナメントは続いていますが、グラップリングのビッグファイトは決して増えていないように感じます。Amazon Videoのプライムタイムショーで戦うことで、グラップリングをジェネラル層にアピールする絶好の機会ではないでしょうか。

「それこそが、僕がマットに上がる目的だから。誰かが僕の試合を見て、影響を受けてくれると嬉しい。少しでもインスパイアしてほしいと思っている。今回はレイニア・デリダーという大きな相手に、僕がどのようなパフォーマンスを見せることができるか。純粋に技術を武器に彼と戦って、世界中で視ている人に楽しんでもらいたい。それが僕のモチベーションになっているんだ」

──タイ、ADCCでは無差別級で銅メダルを獲得しました。今回、205ポンドでの試合になりますが、技術で戦うにしても体重差はどのように考えていますか。今もタイのベストな階級は170ポンドではないかと思ってしまうのですが。

「実は今回に試合に関して、今そうやって205ポンドだって効かされるまで、正確な階級のことは気にしていなかった(笑)。僕も今では普段から大体185ポンドぐらいはあるけど、今回は相手が大きいから190ポンドぐらいにしてきた。過去最重量になっている。でも195ポンドまで増やすことはない。ちゃんとシェイプして、最高のタイ・ルオトロとしてケージに上がりたいからね。だから205ポンドより重くなるなんてことはありえないから、リミットを気にしていなかったんだ(笑)」

──ハハハハ。それ以上重くならないから、リミットは関係ないと。

「全く気にしていなかった。ちゃんと契約書に目を通さないとね(笑)。これまでも自分より大きな相手とばかり戦ってきたから、接戦になることも試合を落とすこともある。でも、そういう戦いが好きなんだ」

──では柔術ベースのオランダ人MMA世界王者のサブミッション・グラップリングのスキルをどのように考えていますか。MMAファイター✖グラップラーという構図が成り立つファイトですが。

「僕は人生の全てを柔術と共に過ごしてきた。だから、僕の方がアドバンテージがある。でもライニアはタフな相手だよ。MMAの試合でも柔術を使って勝ってきた。彼は優れた柔術家で、この試合に向けてジョン・ダナハーのところでキャンプを行っていた。良い準備ができているだろうし、何よりも最高の作戦を授けられているに違いない。でも、さっきも言ったように僕の人生は柔術と共にある。どれだけ彼が高いレベルの技術を有していても、一本勝ちする」

──それにしても第1回UFCが行われた土地で、30年後にタイが大きな相手と柔術を武器に戦う。何とも言えないマッチアップです。

「MMAでは自分より大きな相手と戦うのは、もう危険だ。柔術マッチは技術で体格差を埋めることができる。それが柔術の素晴らしさだよ。体格差を生かしたゲームプランをライニアは実行しようとするだろう。でも、彼は遂行できない。その途中で、僕が彼を仕留めるからね」

──ADCC2022後にケイドのインタビューをした時に、「ADCCでステロイドを使っていないのはケイドとタイ、そしてロベルト・ヒメネスだけだ」と言っていました。

ケイド そう、その通りだよ(笑)。

──そして先日、ミカ・ガルバォンが禁止薬物使用で昨年のムンジアル優勝を取り消され、タイが晴れて世界王者に輝きました。今やMMAの方が検査が多く、ナチュラルなファイターがグラップリングよりも多いかと思う次第です。

「公正に戦うために検査を実施しても、実際のところはいたちごっこだよ。僕もケイドもワールド前にUSADAのテストを受けた。できればONEもスポンサーシップを受けて、毎月アスリートのテストをしてほしい。そうすることで、僕らのやっていることは次世代に受け継がれるはずだから。

テストに3000ドルも掛かるから、なかなかこのスポーツ全体で実施することは難しい。その結果、これだけ多くのジューサーが世の中に溢れることになる。ステロイド問題はMMAや柔術だけでなく、全てのコンバットスポーツに蔓延している。いやコンバットスポーツだけでなく、ほぼ五輪正式競技も含め全スポーツがステロイドに汚染されているはずだ」

ケイド そうだよ、皆がやっている。

「でも僕もケイドも禁止薬物に頼らなくても、一つのスポーツの頂点に立てることをADCCとワールドで示した。僕らは長く競技生活を送りたいし、引退後もヘルシーでいるために柔術に取り組んでいる。16歳や17歳という若い選手は、絶対にそんな物質に頼るべきじゃない。これから長い人生が待っているのに、だから……18歳でそんなモノに手を染めると、報いを受けて未来が決定づけられてしまうよ(笑)」

<この項、続く>

■放送予定
5月6日(土・日本時間)
午前8時00分~ABEMA格闘チャンネル

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o ONE UNRIVALED UNRIVALED02 イゴール・タナベ ウィリアム・タケット ロベルト・ヒメネス 伊藤盛一郎 岩本健汰 森戸新士 河名マスト 海外 猿田洋祐 石黒翔也 須藤拓真

【UNRIVALED02】アンライバルド再始動はウィリアム・タケット×岩本健汰から。カウチも初来日

【写真】ポイント有り、アグレッシブかつギリギリのポイントメイクが見られるか(C)CLAYTON JONES & SATOSHI NARITA

26日(木)、UNRIVALED実行委員会から2月26日(日)に東京都世田谷区のiTSCOM STUDIO & HALL 二子玉ライズでUNRIVALED02の開催とカード発表があった。

テイクダウンP有り、引き込み減点の全局面グラップリング・イベント=UNRIVALEDの第2回大会が2021年11月以来、1年3カ月ぶりにスケールアップ――いや、当初の予定通りコロナの入国制限の撤廃を受けて海外大物グラップラーを招聘して行われる。

その海外大物グラップラーとはウィリアム・タケット、アンドリュー・タケット、そしてジェイコブ・カウチの3選手だ。


ウィリアム・タケットは10代の頃からFight to Winで注目され、2021年3月にはマニュエル・ヒバマーをヒールで粉砕。同大会10勝目を挙げると、Third Coast Grappling、WNOと戦うステージを上げ、ADCC2022米国西海外予選のウィナーとなった。

しかし、世界大会ではマテウス・シュゼシンスキの前にまさかのストレートフットロックで1回戦負けに。そのタケットの再起戦の相手は、同じくADCC世界大会77キロ級にエントリーし、初戦で大健闘の末JTトレスに敗れた岩本健汰だ。

B-teamで出稽古を行い、MMAからグラップリング一本に原点回帰した岩本。先のGladitoar020で組まれたプログレス・フォークスタイルグラップリング・ウェルター級王座決定戦で森戸新士を圧倒し、腕十字で王者に就いたジョゼフ・チェンを昨年のADCCオセアニア&アジア予選準決勝で、延長戦で下していることで、岩本は新ためて国内では頭抜けた存在であることを印象付けた。

気になるのは両者の試合がミドル級(83.9キロ)で実施される点だ。1年前までMMAでは65キロで戦っていた岩本が、この体重設定では何キロに調整するのか。いずれにせよタケットと岩本は新・足関時代からレッスルアップ&パスの時代へ移った史上最強の世界標準グラップリングを見せてくれることは間違いないだろう。

この他、石黒翔也×猿田洋祐、野村優眞×伊藤盛一郎という柔術家×MMAファイター対決なども決定しているUNRIVALED02にはムリーロ・タケシ・ソウザ、須藤拓真、吉岡崇人、河名マスト、イゴール・タナベ、矢野トミーらが出場することも明らかとなっている。

一番の注目はやはりジェイコブ・カウチだろう。カウチは廃コインランドリーの建物にマットを敷いた道場に寝泊りし、練習漬けの日々を送っていた組技集団=デイジー・フレッシュことペディゴ・サブミッション・ファイティングに所属している。ホドリゴ・バギの黒帯ヒース・ペディゴの指導の下、茶帯時代にWNOミドル級Tに出場し、ロベルト・ヒメネスをヒールで下し一躍注目を集めるようになった。

昨年のノーギワールズを制して、黒帯になったカウチの対戦相手が誰になるのか。続報が気になるUNRIVALED02は、FITE TVでの中継が決まっており、当日にはアマチュア大会=ALTANAも開かれる。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   アンドレ・ガルバォン ゴードン・ライアン

お蔵入り厳禁【ADCC2022】ゴードン・ライアン、スーパーファイトでガルバォンを圧倒。RNCを極める

【写真】ゴードンの圧倒的な強さを引き出しのは、ガルバォンの頑張りだった(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。最終回は――お蔵入り厳禁、アンドレ・ガルバォンとゴードン・ライアンのスーパーファイト・タイトルマッチの模様をお伝えしたい。


大会の目玉であるスーパーファイトは、2013年にブラウリオ・エスティマを下しスーパーファイト王座に就いて以来、3度防衛に成功しているアンドレ・ガルバォンと、前回大会の階級別と無差別を完全制覇し、今回も最重量級を圧勝したゴードン・ライアンの一戦だ。

ガルバォンは当初引退を宣言していたが、王冠とマントを纏う傲慢不遜な「キング」を名乗るゴードン──グラップリングというマイナースポーツで名を売るためには何が必要かと考え、このキャラクター創造に至ったと自ら語っている──は、SNSを用いてガルバォンや門下生たちへの挑発を開始。両者の仲は険悪化し、昨年の2月のWNO大会後にはゴードンがガルバォンに張り手を浴びせ、あわや乱闘勃発かという騒ぎにまで発展した。

ゴードンはその後、長年悩まされていた胃腸不全の悪化のため競技からの無期限撤退の発表を余儀なくされた。が、ADCC大会の統括モー・ジャズム紹介の医師のおかげで症状が改善して復活。片や「下らない遺恨は忘れよう。僕はゴードンを許す」と宣言したガルバォンの方も、引退を撤回し対戦を決意。ついに両者の一戦が実現の運びとなった。

なおガルバォンは、今回の大会前に受けたインタビューにて「僕はゴードンのSNS攻撃の罠に嵌り、精神がダークサイドに堕ちてしまっていた。毎日何時間もスマートフォンを眺めて夜も眠れなくなり、神の道から離れてしまっていた」と告白している。

競技者のメンタルをリアルに蝕む、SNS時代ならではのストーリー展開を経て──事前の予想は圧倒的にゴードン有利で、勝負論的な興味は薄いと思われた──この試合は「グラップリング史上最大の注目を集める戦い」と呼ばれるものとなった。

<スーパーファイト/20分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.16分4秒 by RNC
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)

超巨大スクリーンに作り込まれた煽りビデオが流され、ド派手な火花が舞うなかレニー・ハートのコール(残念ながら段取りにミスがありタイミングがずれてしまっていたが)で入場した両者。

さらにブルース・バッファーが改めて両者の名をコールし、最高潮の盛り上がりのなかで試合は開始された。

握手を交わした後、気合十分のガルバォンはまるで相撲の突っ張りのようにゴードンの胸を押す。さらに──以前もらった張り手のお返しと言わんばかりに──ゴードンの顔に右の掌打。ゴードンは苦笑し、ガルバォンはレフェリーから注意を受けた。

その後ハンドファイティングが続いた後、ガルバォンがダブルレッグに入ると、ゴードンは抵抗せずあっさり倒れる。

座ったゴードンは、すぐにガルバォンの股間に両足を入れて開かせ、右足を抱えて引き寄せると、そのまま足を絡めて外ヒール狙いへ。

しかしガルバォンはすぐに反応し、ゴードンの足を押し下げながら勢いよくスピンし、支点をずらして足を抜いてみせた。

次にゴードンはガルバォンの右足にハーフで絡み、逆に左足に外掛け。が、ガルバォンはゴードンの左足を両手で掴んで勢いよく足を抜く。階級別の準決勝、決勝と相手がいくらエスケープを試みてもまったく離れなかったゴードンの足の絡みから、ガルバォンは2度逃れてみせた。

再びシッティングで近づいたゴードンは、ガルバォンの右足を引き寄せて絡めると、左かかとを掴んで後ろに倒す。

スクランブルを試みるガルバォンだが、一歩先をゆくゴードンは立ち上がってガルの右足をホールドして崩し、すぐに背後に付いてボディロックを取った。

すぐに立ち上がるガルバォン、ゴードンはその足を払ってグラウンドに。

上を取りに来るゴードンをガルバォンはバタブライで跳ね上げるが、ゴードンはバランスキープ。上の体勢を確立した。足関節だけではなく、スクランブルの攻防でも動きに隙がないのがゴードンだ。

ガルバォンは下からゴードンの体を浮かせて左足を引き出すが、ゴードンはバランスを保って足を抜く。立ち上がったゴードンの右足にガルバォンが浅いデラヒーバを作ると、ゴードンは低く体を預け、ガルバォンの右足を押し下げ、さらに左足に体重をかけて潰してゆく。ハーフの体勢になったガルバォンは、左足のシールドとスティッフアームでその侵攻に耐える。

その後、ガルバォンはなんとか距離を作ろうとするが、ゴードンはそれを許さず巨体でじっくり圧力をかけていった。

6分経過時点、ガルバォンはバタフライに戻すことに成功。が、ゴードンはすかさずボディロックを作って体重をかけてガルバォンの腰を固定。その後ゴードンは自らの腰を上げて改めてガルバォンの左足に体重をかけ、右足を押し下げる形で侵攻を再開した。

やがてハーフに入ったゴードンは、ガルバォンの腕のフレームを突破し、胸を合わせることに成功。さらに左ワキを取るゴードン。が、ガルバォンもここは差し返す。

慌てず騒がずじっくりとプレッシャーをかけてゆくゴードンは、再び左ワキを差して攻め上がる。枕を取りガルバォンの首を巨大な上半身で圧迫するゴードンは、やがて絡まれた右足を抜くが、次の瞬間ガルバォンは動いてまたハーフに戻してみせた。

残り11分。胸を合わせたゴードンは、ワキを制しガルバォンの上半身を完全に殺した状態でじっくりと体重をかけてゆく。やがて右足をヒザまで抜いたゴードンは、いつでもマウントを取れる状態に。が、ここで一度動きを止め、加点時間帯の開始を待ってからマウントに移行し、3点を先制した。

ガルバォンは下からなんとか体をずらすが、ゴードンはそれに乗じてバックを奪い、完全にガルバォンの体を潰した上で襷のグリップを作りさらに3点追加。さらにガルバォンの体を起こして、ボディトライアングルに移行した。その右手はガルバォンの右腕を制している。

こうして完全コントロールを奪ったゴードンは、そこからじっくりとチョークを狙う。諦めないガルバォンはなんとか体を動かすが、サイドが変わるたびに足のフックを入れ替えてゴードンは点を重ねてゆく。

やがてゴードンは自らの左足でガルバォンの左腕を完全に固定。さらに右腕でガルバォンの右腕も制すると、残った左腕で無防備になったガルバォンの顔面を圧迫するが、ガルバォンは意地でも首を開けようとしない。ゴードンはさらに右腕のホールドを解いて、両腕を使って片腕のガルバォンのディフェンスを崩しにかかる。

完全に余裕のある表情のゴードンは、アゴの上からの絞めやネッククランク等を試みるが、ガルバォンは諦めずに耐え続ける。ガルバォンは何とか体をずらそうとするが、ゴードンはそれを許さない。

やがてゴードンは、右腕の手首の細い部分を利用して首にねじ込む。たまらず仰向けになって最後の抵抗を試みるガルバォンだが腕が深く入ってしまい、残り4分の時点でとうとうタップした。

技を解いて座ったゴードンは、優しい微笑みを浮かべてガルバォンに握手を求め、それに応じたガルバォンにハグ。さらに首を抱き合い語り合う両者を、場内は暖かい歓声で称えた。

勝ち名乗りを受けた後、ガルバォンの手を上げてみせるゴードン。両者の3年越しの長い戦い──特にガルバォンにとっては精神を削られた辛い戦い──は、ついに終焉を迎えた。

大方の予想通りゴードンの完勝に終わったこの試合。が、地上最強最強のグラップラー、ゴードン・ライアンの無類の強さ、動きの隙のなさが、──足関節だけでなく、スクランブル、パスガード、コントロール、極めと多彩な局面において──存分に堪能できるものとなった。それを引き出したのは、ゴードンの足狙いを凌ぎ、不利な体勢に追い込まれても抵抗を続けたガルバォンの不屈の闘志に他ならない。

試合後、ケニー・フロリアンから勝利者インタビューを受けたゴードンは「俺はアンドレのことを悪く思ったことなんて一度もなかったさ。まあちょっとした揉め事や言い合いがあっただけだよ。リスペクトしているし、俺は彼の半分もタイトルを持っていない。彼の最後の相手として、そのレガシーの一部に加われるなら光栄だ。だからサンキュー、アンドレ!」と、今までガルバォンにしてきた数々の酷すぎる仕打ちはいったい何だったのか、とツッコミたくなるようにコメントした。

さらに胃腸の調子について尋ねられると「だいたい70パーセントくらいかな。前よりはいいけど、100パーセントとは言えないよ」と語ったゴードンは、99キロ超級での戦いについて尋ねられると「調子は良かったよ。ポイントはエネルギーの使い方だった。フレッシュなアンドレとの試合が、ハードでフィジカルなものになることは分かっていたからね。階級別の準決勝決勝は合計3分くらいで終えることができたから、ゲームプランをうまく実行できたよ」と振り返った。

続いて次の目標について聞かれると「今回はいい試合ができたけど、でもパーフェクトではなかった。全試合サブミッションは取れなかったからね。それに俺は、フィリぺのこともボコボコにしなくてはならないんだ。だからファンが求めて、主催者のモーが同意してくれるなら…今から20-30分くらい奴にウォームアップする時間をやるし、俺は(奴と違って)これ以上の金を請求したりしない。だからフェリペよ、やるぞ! 今からだ。もうファッキンな言い訳はなしだ!」と、──今回最大のライバルと目されながら、準決勝敗退に終わった──フィリッピ・ペナを挑発。スーパーファイトと無差別級の両方を制し、ADCC至上初の快挙を達成してなお貪欲に戦いを求める姿勢を見せた。

一方敗れたガルバォンは以下のように話した。

「みんなありがとう。試合に向けてすごくいい準備ができたよ。今回は16週間と長めに準備期間を取ったんだ。でも練習開始して4週間のところでヒザの靭帯と半月板と損傷してしまった。それから出来る限りの治療をして試合に臨んだよ。まだヒザは少しぐらついていたし、キャンプ中もヒザが悪いからガードの練習ができなかった。

だから、この試合で唯一なってはいけないのは下になることだと分かってはいた。ゴードンはプレッシャーも強いし、力もすごく強い。ゴードンは今、全盛期だ。片や僕は39歳で、04年からADCCに参加しているんだ(04年に予選に初参加、本戦出場は07年から)。いや、言い訳はしない。この試合を受けたのは僕だし、いい試合が出来ると思っていた。

しかし残念ながら怪我が少し障害となってしまった。でも、生徒たちはみんなサポートしてくれたよ。彼らの多くが試合をするべきじゃないと言ってくれたけど、僕は一度試合を受けた以上は、やるべきだと答えたんだ。僕は、前回大会のペナとの試合のときにこれが最後だと言った。でも僕の最後の試合がいつなのかを知っているのは、神だけなんだ。神が僕をこのマットに戻してくださった。それには理由があるはずだ。

ゴードンとは試合前にいろいろあったけど、あれは僕も悪かった。僕はあの頃、人生においてとてもダークなプレイスにいたから。でも、この試合に向けて王者らしく準備することができた。ATOSにいる多くの王者たちとともにね。試合はベストを尽くしたけど、ゴードンはリーチも長かったし、でかくて強かった。ゴードンおめでとう。これからも幸運を祈るよ。

みんなありがとう。そして僕もここを去る前に…、まだこれができるんだ! (と、6本指を立てて、合計6度のADCC優勝&スーパーファイト勝利のサインを作ってみせた)。僕は、ゴードンとさっきここで話すことができて本当に嬉しいよ。ものごとは、こうあるべきなんだ。邪悪さに対して邪悪さで応じてはいけないんだ。主よ、感謝します。人生において、僕に教えてくださった全てのことに対して」

一時はゴードンのSNS攻撃に精神を蝕まれ道を踏み外しかけたレジェンドは、自分を取り戻して最強最大の敵に堂々と挑み、そして敗れることで大いなる赦しを得たかのようだった。

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お蔵入り厳禁【ADCC2022】無差別級 古豪ユーリ・シモエスがスタンド磨いてオープンクラスを制す

【写真】いうとルオトロ兄弟や一部の新世代が特別で。シモエスの勝ち方こそ、ザADCC。ただしジェネラルに理解を求めることは難しい古典的グラップリングだ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第22回は――お蔵入り厳禁、無差別級決勝戦の模様をお伝えしたい。


88キロ以下級の体格で快進撃を見せた19歳タイ・ルオトロを、ニコラス・メレガリが激闘の末にレフェリー判定で制して決勝進出を決めた無差別級。もう一つの準決勝を戦ったのは、ベテランのユーリ・シモエスとサイボーグことホベルト・アブレウだった。

シモエスは1回戦、前回大会の無差別級で重量級を次々と足関節で仕留める大活躍を見せたラクラン・ジャイルスと対戦。ジャイルスの下からの仕掛けに対し、腰を引いて丁寧に潰して延長に持ち込み――ペナルティを承知で引き込んだジャイルスの仕掛けを潰し続けて勝利した。

猛威を振るった技術はすぐに研究されるという、競技における技術進化の必然を改めて確認させられたジャイエルスの敗退だった。

シモエスの2回戦の相手は、最重量級準優勝を果たしたニック・ロドリゲス。両者は昨年3月のWNO大会でも対戦しており、その時は引き込んで下を選択したシモエスは、ロドリゲスにボディロックを作られパスを許して完敗している。その教訓を生かしてか、今回シモエスは気迫を全面に出してのスタンドレスリングでの勝負を選択。本戦、延長と両者決定的な場面こそ作れなかったものの、積極性で勝って勝ったシモエスがレフェリー判定を制してリベンジを果たした。

迎えた準決勝でシモエスを待っていたのは、やはり最重量級のサイボーグことホベルト・アブレウ。サイボーグは前戦にてヴィクトー・ウゴの巨体を足払いで崩してから引き倒し、ワキをすくって上を奪取する形でテイクダウンポイントを獲得して制しての準決勝進出だ。

ちなみにそのウゴの初戦の相手は、最軽量級のファブリシオ・アンドレイだった。この最重量級vs最軽量級の超体重差対決にて、序盤はダックアンダーからのテイクダウンを許す場面もあったウゴだが、終盤ファブリシオの側転パスに乗じて上を奪取。巨体を浴びせての肩固めで勝利した。

2013年の無差別級を制したサイボーグと、2015年の88キロ以下級、2017年の99キロ以下級を制覇したシモエス。ADCCレジェンド対決となった準決勝は、スタンドレスリングでお互い譲らぬ展開に。

が、気力&スタミナともに充実したシモエスが延長戦でダブルレッグを決め、2-0で改良した。こうしてシモエスは決勝進出。前日の99キロ以下級の二回戦にて、微妙なレフェリー判定の末に苦杯を舐めさせられたニコラス・メレガリ相手にリベンジのチャンスを得たのだった。

<無差別級決勝/20分1R・延長10分x2R>
ユーリ・シモエス(ブラジル)
本戦0-0 マイナスポイント1-2
ニコラス・メレガリ(ブラジル)

試合開始直後、気合十分のシモエスが前進。跳びついてメレガリの首を取って崩しにかかり、さらに勢いよく足を飛ばす。さらに前に出るシモエスは、右のフック掌打のような勢いでメレガリの頭に手を伸ばして、レフェリーから注意を受けた。

3分弱経過した時点で、シモエスは素早い小内刈りからのシングルに入り、メレガリの右足を抱える。片足立ちでそれを堪えたメレガリは、落ち着いた表情で引き込んでハーフガードに。まだ後半の加点時間帯に入っていないので、通常のADCCルールの試合ならば問題ない判断だ。

しかし決勝戦は引き込みのマイナスポイントは最初から付いてしまう。ここを失念していたのか、メレガリは引き込まずとも、シモエスのテイクダウンに身を任せる形で倒れれば無失点で下のポジションを取れただけに、なんともマイナスポイントとなった。

その後は上からパスを試みるシモエスと、下から足を効かせるメレガリの攻防が続く。6分少々経過したところで、立ち上がったシモエスの左足にデラヒーバで絡んだメレガリは、内側からシモエスの右足をすくって体勢を崩してからシットアップ。

見事に上のポジションを取ってみせたが、まだ加点時間帯ではないのでポイントは得られず。自ら引き込んでスイープを決めたのにポイントで負けているというのは、おそらくADCCの決勝以外ではあり得ない状況だろう。

とまれ、ここからはメレガリがトップから攻めるターンに。しきりに右のニースライスでプレッシャーをかけていったメレガリは、やがてハーフで胸を合わせてシモエスを抑え込み、枕を作ることに成功した。

そこから足を抜きにかかるメレガリ。シモエスは腕のフレームと足を利かせて一度距離を作ることに成功したが、メレガリはすぐに体重をかけてシモエスの体を二つ折りにし、後転を余儀なくさせて再びハーフ上のポジションに入った。

加点時間開始が近づいたところで、一旦上体を起こしてニースライスを試みるメレガリ。が、シモエスは左のニーシールドで防ぎ、さらにかついで来るメレガリの体を足で勢いよく押し返して立ち上がってみせた。ここでちょうど10分が経過し、加点時間帯が開始。シモエスはマイナスポイント一つ分有利な形で、得意分野であるスタンドからのリスタートに持ち込んだことになる。

ここから試合はスタンドレスリングの攻防に。シモエスは前に出て、腰高のメレガリの右足を取っては押してゆく。そのたびに片足立ちで耐えて、やがて足を振りほどくメレガリ。テイクダウンこそされないものの、展開が作れないまま時間が過ぎていった。

残り6分少々の時点で、このままでは埒が明かないと見たかメレガリが引き込み、2つ目のマイナスポイントを受けることに。得意のオープンガードから仕掛けたいメレガリだが、このままリードを保てば勝てるシモエスは低い姿勢で対応。浅く片足担ぎの形を作るなどしてメレガリの攻撃を防いでゆく。

その後もシモエスは腰を引いてメレガリに足を深く絡ませず、たまに立ち上がって横に動き、またニースライスを仕掛けてマイナスポイントを回避する。メレガリはたまにシモエスの片足を引き寄せるが、その度にシモエスはすぐに立ち上がって距離を取る。メレガリとしては思うように形が作れないなか、時間が過ぎていった。

残り1分。シモエスは低く入る両足担ぎと片足担ぎでメレガリに攻撃をさせない。メレガリがシッティングを試みると、すかさず上半身を浴びせて潰すシモエス。終了寸前にシモエスに一つマイナスポイントが入るが、時すでに遅し。

結局マイナスポイントが1つ少なかったシモエスが、階級別2回戦のリベンジを果たすとともに、2015年の88キロ以下級、2017年の99キロ以下級に続いて3階級制覇を果たした。メレガリとしては、序盤に犯した痛恨のミステイク──ADCC決勝戦のみ適用されるルールへの対応を間違えて引き込み、マイナスポイントをもらってしまったこと──が、最後まで響いた形となった。

戦前は大きく注目されていなかったベテラン、シモエスが執念の優勝。戦いぶりは決して派手ではなく、実際無差別級の4試合は全て僅差のポイントかレフェリー判定での勝利だ。しかし相手が誰であれ常に前に出続けた、その気迫とコンディショニングの充実ぶりは際立っていた。

またスタンドレスリングではニック・ロドリゲスにすらテイクダウンを許さず、トップでは安定したベースを保ち相手の仕掛けを遮断し、下になってもメレガリのプレッシャーに耐え、パスを許さずにスタンドに戻る粘り強さを見せる等、ポジショニングの全ての面で強さを発揮したことも勝因だろう。

次回大会のスーパーファイトで当たるゴードン・ライアンには、過去4戦4敗と圧倒的に分の悪いシモエス。彼らの初対決は、16年のEBI 6準決勝だ。その前年のADCCで世界の頂点に輝いていたシモエスは、当時まだ線の細かった若手のゴードンにOTでチョークを極められ、まさかの敗退を喫している。ゴードン・ライアンに初のジャイアントキリングを許し、大ブレイクのきっかけを作ったのがシモエスというわけだ。

そのシモエスは、今や世界最強のグラップラーの名を欲しいままにするゴードンにどう挑むのか。両者の力関係が完全に入れ替わった現在、6年前の番狂わせとは比較にならないほどの世紀の大アップセットを、気迫のファイターシモエスは起こすことができるだろうか。

なお、3位決定戦はサイボーグが棄権したため、タイ・ルオトロが3位に。前回大会にて若干16歳で66キロ以下級に参戦し、ブルーノ・フラザト、パブロ・マントヴァーニという同門の先輩二人を倒して4位入賞したのに続いて、19歳の今回は88キロ以下級の体格で無差別級銅メダル。2大会続けての快挙達成となった。

■無差別級リザルト
優勝 ユーリ・シモエス(ブラジル)
準優勝 ニコラス・メレガリ(ブラジル)
3位 タイ・ルオトロ(米国)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ジャンカルロ・ボドニ タイ・ルオトロ ニコラス・メレガリ ハイサム・リダ

お蔵入り厳禁【ADCC2022】無差別級 タイ・ルオトロ、今大会道着柔術最強メレガリ相手に奮闘の準決勝

【写真】体格差だけでなく、ノーギの慣れとファウンデーションの強さでタイを下したメレガリ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第21回は――お蔵入り厳禁、今大会の出場者のなかで道着柔術最強といっても過言でないニコラス・メレガリとタイ・ルオトロが対戦した無差別級の準決勝の模様をお伝えしたい。


もう一方のブラケットを勝ち抜きタイとの準決勝まで上がってきたのは、99キロ以下級で3位入賞したニコラス・メレガリだ。

初戦はヴィニシウス・フェレイラ相手に下から足を取りにゆくと、勢いよくスピンして引き抜いたフェレイラが左ヒザを負傷してしまい棄権。メレガリが次に駒を進めた。二回戦でメレガリを待っていたのは、同門にして88キロ以下級を圧巻の強さで制したジャンカルロ・ボドニだ。

ボドニは初戦では、一年前のWNOチャンピオンシップの重量級3位決定戦で僅差で敗れているハイサム・リダと再戦。そのボドニ、ハイサムのオープンガードを丁寧に捌き、体を二つ折りにしてレッグドラッグから背後にまわる。

ハイサムの左腕を両手で掴んで動きを制した後、裏返して後ろ三角絞めをロックしたボドニ。最後は孤立した左腕を捻り上げ、4分少々で一本勝ち。最重量級のハイサムの動きを完全に封じたまま、詰将棋の如く一手ずつ進めて極めまで持っていくという、恐るべしとしか言いようがない技術の高さと圧巻の強さを見せつけた。

ボドニとの同門対決となったメレガリの2回戦。まず小外刈りを内股で切り返されてしまったメレガリだが、下から足を絡めて上を取ると、レッグドラッグからパスに成功。

加点時間帯に入ってからニアマウントからバックに回ってフックを入れ、さらにそれを入れ直す形でリードを6点に広げた。

その後エスケープに成功したボドニにスタンドでテイクダウンを仕掛けられると、あまり抵抗せず下になったメレガリは、得意のガードで残り時間をやり過ごしてチームメイト対決を制し、ルオトロとの注目の準決勝に駒を進めた。

<無差別級準決勝/10分1R>
ニコラス・メレガリ(ブラジル)
Def ExR by Reff decision
タイ・ルオトロ(米国)

スタンドにて、お互い頭に手をかけてはいなし合う展開が続いた後、身長で勝るメレガリが小手に巻いての内股へ。綺麗にタイの体を舞わせたが、タイはヒザを入れて距離を取り、右腕でフレームを作り立ち上がった。

さらにスタンドの攻防が続くなか、メレガリがやや腰高のままタイの右足を掴みながら前に。と、今度はタイが小手からの内股でカウンター。メレガリの体を前に崩すと、次の瞬間必殺のダースチョークをロックオン。

場内の興奮が一気に高まるなか、腕が深く食い込み絶体絶命かと思われたメレガリだが、右腕を張って距離を作って脱出。そのまま体を預けて上を取るメレガリに対し、タイはバギーチョークを狙う。が、メレガリは大きな上半身を引いて逃れてみせた。

そこからしばらく、右でニースライスを仕掛けるメレガリのプレッシャーを、タイが下から耐える展開が続く。やがて試合が加点時間帯に入り、タイは両腕のフレームで距離を作り、さらに脇を差しながら立ち上がった。体格差のあるメレガリ相手に、さすがのスクランブル能力だ。

その後もスタンドで積極的にフェイントから仕掛け合う両者。やがてメレガリが前に出てボディロックを取ると、タイは小手投げでカウンター。が、これを耐えたメレガリはタイの背後にまわる。ここから高々とリフトしてグラウンドに持ち込もうとするメレガリだが、タイはすぐに立つ。

それでも背後に付き続けるメレガリ。タイが自ら前方に倒れてのスクランブルを試みると、巨体を浴びせてハーフネルソンからタイの体を返してフックを狙う。が、タイは一瞬早く体を翻して立ち上がってみせ、場内からは再び大きな歓声が上がった。

その後メレガリは、再びタイの右足に手を伸ばして抱えると、タイの軸足を豪快に刈ってのテイクダウン。スクランブルを試みるタイの背後に付く――や、タイは前転狙い。体重を浴びせてそれを許さないメレガリと、前転して足を取りたいタイの攻防が続く中で本戦が終了した。

スタンドから再開された延長戦。タイはヒザを付いてのダブルレッグへ。深く入りそのままドライブを試みるが、メレガリは倒れず、右の前腕で距離を取って防いでみせた。これは体格差がものを言った。

さらにスタンドの攻防が続き、またしてもメレガリが長い手を伸ばしてタイの右足をキャッチ。そのまま前に出て体を預けて倒し、亀になったタイに背後から覆いかぶさってバックを狙う。が、タイはここもスピンして体をずらし、襷を作ろうとするメレガリの腕を自分の腕で押しのけながら正対してみせた。

下になりかけたメレガリは腕で距離を作って立つが、すかさず迫ったタイは背後からボディロック。が、メレガリは豪快に巨体を舞わせて前方にダイブ。体のグリップを切って立ち上がる。

その後の残り2分、お互いスタンドでフェイントをかけ、手や足を飛ばし合いシュートインを試みるなかで試合終了。激闘を繰り広げた両者を、場内は大歓声で称えた。

レフェリー判定はメレガリに。スタンドでのテイクダウン狙いからタイを亀にさせる場面を数回作ってみせて、背後からフックを狙う時間も長かったので妥当な裁定だろう。

一方、惜しくも敗れたタイ。大きな体格差のあるメレガリ相手に抑え込まれることなく、15分間最後までペースを落とさず動き続けたそのスタミナとスクランブル能力は、驚異としか言いようがない。2回戦のペナからの勝利も併せて、階級別初戦敗退のショックを払拭するに余りある活躍ぶりだった。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o UFC   ゴードン・ライアン ニック・ロドリゲス

【UFC FPI03】ゴードンがタップ──も、時間超過。ロドリゲスを下し「このスポーツをメインストリームに」

<ヘビー級/20分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.OT by 45秒Fastest escape time
ニック・ロドリゲス(米国)

急遽ADCC2022のファイナルの再現となったゴードンとニッキー・ロッドの対戦。7ポンド重く231ポンドだったニッキー・ロッドに対し、ゴードンは引き込んでハーフガードを取る。ゴードンはニーシールド&右腕をオーバーフックも、ニッキー・ロッドが直ぐに腕を引き抜く。スネを使ってバランスを崩しにかかるゴードン、ニッキー・ロッドも長期戦を考慮してか慎重な動きに終始する。

ゴードンが潜ると、ニッキー・ロッドはスプロールして防御。ハーフバタフライから蹴ったゴードンは、アームドラッグでバックを伺う。ニッキー・ロッドの反応にハイガードを取ったゴードンだが、半身になって腕を抜かれる。とはいえ下からの圧でゴードンが、まずは試合をリードした。密着しようとしたニッキー・ロッドにスイープを仕掛け、右腕を差したゴードン。ニッキー・ロッドは一度立ち上がって、間を創りなおす。

ニーシールドの右足を抱え、後方に下がって外したニッキー・ロッドが頭を低く下げると、ゴードンも頭をつけていく。ここでも仕切り直して立ちあがったニッキー・ロッドは、ゴードンのガードを越えることができない。ゴードンも1度レッスルアップを狙ったが、すぐに背中をつけなおした。

試合はハーフタイムを越え、残り10分を切る。ニッキー・ロッドが右腕を差したが、密着時でのリバーサルを嫌がり距離を取り直す。ゴードンはクローズドの中にニッキー・ロッドを入れると、頭を掻いて「どうするやら」という表情を浮かべる。足をすくわれないように立ち上がったニッキー・ロッドが、飛び込んでボディロックに取り右足を抜きに掛かる。

アゴを両手で押したゴードンが離れる。と同時にニッキー・ロッドは立ち上がり、絶対にトップは許さないという意思表示。正座し、頭をつけていったニッキー・ロッドの右足を抱えたゴードンが引き寄せようとする。立ち上がったが抜けなかったニッキー・ロッドが、取られた足を畳むが50/50に入られる。足を組んだニッキー・ロッドは逆にトーホールド、ゴードンが尻を蹴ってエスケープ──結果、ADCCで敗れた形からニッキー・ロッドは逃れたことになる。

残り5分、OTを頭に入れる時間帯に。上のニッキー・ロッドはミスをしないことを第一に堅実に組み続け、冒険することはない。ゴードンも手堅くハーフガードを続け、時折りスイープを仕掛ける。立ち上がっても、足が前に出過ぎないように正座しなおすニッキー・ロッド。自らのグラップラーとしての価値観を崩さず、無理矢理動いて見栄えの良い試合をすることもない両者。特別仕様でないサブオンリー戦は、このまま一見──淡々と過ぎ、タイムアップを迎えた。

OTこそ、勝利の可能性が最も高くなるニッキー・ロッドは後攻に。まずゴードンがシートベルトからボディトライアングル、ロールしてマウント状態としたニッキー・ロッドが14秒でエスケープした。後攻めニッキー・ロッドもシートベルト、ここはまずホールド狙いか。ゴードンも15秒で逃れた。

OT2R、ニッキー・ロッドは腹ばいになるところ、背中を取られ続け同体でロールする展開が続く。逃がさないゴードンだが、腰を抜かれそうになりながらバックグラブをキープする。ゴードンは2分間、バックを取り続けた。対してニッキー・ロッドは、28秒でエスケープを許しゴードンが圧倒的に有利な展開に。

OT3Rもゴードンは、1分13秒コントロールした。こうなるとタップを奪うしかないニッキー・ロッドが、スパイダーウェブでなくシートベルトを選ぶ。ボディトライアングル&アゴの上からパームトゥパームを狙ったシーンも見られたニッキー・ロッドは、残り10秒でRNCの態勢に入る。ガッチリ決まった絞め、2分を経過したが時計は止まらず──ゴードンはタイムボードを指さして、タップかそれを知らす仕草かニッキー・ロッドの太腿をタッチした。

最後は非常に危ないシーンもあったが、結果として45秒のリードでニッキー・ロッドを下したザ・キングは「モチベーション? このスポーツをメインストリームにすることだよ」と話した。


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ADCC2022 MMA MMAPLANET o UFC アンディ・ヴェレラ オリバー・タザ ニック・ロドリゲス ハイサム・リダ パット・シャウゴリ パトリック・ガウシオ ブログ マイク・ファウラー リッチー・マルチネス

【UFC FPI03】無差別級Tにハイサム・リダ出場。本命はニッキー・ロッド。ヒザ破壊神童=シャウゴリに注目

【写真】果たしてハイサム✖ニッキー・ロッドの決勝は実現するのか。それとも怖い16歳が割って入るのか (C)SATOSHI NARITA

15日(木・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC Fight Pass Invitational 03。ゴードン・ライアン✖ヴィニー・マガリャエスが組まれた同大会では賞金2500ドル=約340万を賭けたアブソリュート・トーナメントが実施される。

その出場メンバーは以下の通り。

ハイサム・リダ(ガーナ)
パトリック・ガウジオ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
パット・シャウゴリ(米国)
ニッキー・ロドリゲス(米国)
アンディ・ヴェレラ(米国)
リッチー・マルチネス(米国)
オリバー・タザ(カナダ)

MMAファイターの名前がない──ガチすぎ、まさに純粋グラップラーの祭典となっている。


このなかにハイサムの名前があることが、まず嬉しい限りだ。もとはQuintetのベガス大会出場により、米国で入国が可能になるビザが下りたことで、ハイサムは日本を離れて世界的に活躍する第一歩を踏み出した。その彼がUFC FPIで重要視されるだけの力と認知度を米国でつけたことになる。

道着、ノーギともにIBJJF系のトーナメントで結果を残すだけでなく、優勝の二文字は手にしていないがWNOやADCCというビッグトーナメントで記憶に残る活躍をハイサムはしてきた。9月のADCC世界大会も2回戦敗退ではあったが、初戦で2013年のADCC無差別級優勝及びノーギワールズ7度優勝(※先週末にウルトラヘビーを制し8つめのタイトル奪取)のホベルト・アブレウを僅か75秒腕十字で下している。

この一勝はいわば表彰台の2番目や3番目に負けない価値があり、ハイサムの名は北米グラップリング界で絶対なモノになったといえる。

既にトーナメント枠は発表されており、ハイサムが初戦で戦うのはブラジルのパトリック・ガウジオだ。ムンジアル優勝経験はないがミディアムヘビー級で2度準優勝になっているガウジオは、カーウソン・グレイシー系の黒帯柔術家ファビアノを父に持つ、生まれつき柔術家だ。とはいえノーギでは、今年のADCCで注目のエルダー・クルーズにレフ判定で敗れ、初戦敗退するなど、オープンガードの名手もハイサムにとっては、手堅くクリアしたい相手といえる。

トーナメント全体を見て、ハイサムの最大のライバルはニッキー・ロッドことニック・ロドリゲスになることは間違いないだろう。

ADCCではハイサムと同階級の99キロ超級に出場し、決勝でゴードン・ライアンのヒールに敗れたものの、フィリッピ・ペナを破るなど既に実力的には真のワールドトップクラスにある。D3レスラーだったニッキー・ロッドは、2018年の夏に柔術を始めると3カ月後にはダナハースクワットに合流、今やB-TEAMとなったため袂を別ったゴードン・ライアンらとのトレーニングにその才能が一気に開花した。

ADCC米国東海岸予選は3位に終わるが、西海岸予選を勝ち抜き世界大会へ。2019年のADCC世界大会99キロ超級でカイナン・デュアルチにファイナルで敗れたものの青帯で準優勝という金字塔を打ち立てている。その後もPolarisでルーク・ロックホールド、WNOでユーリ・シモエスらを下し、今大会に出場するメンバーではADCC2022でヴェレラに17-0で圧勝している。

レスリングと柔術を融合させ、トップゲームや下からのリバーサルにも絶対的な強さを持つニッキー・ロッドは初戦の相手がヴェレラで、準決勝も10thPlanetのベテラン=リッチー・ブギーマン・マルチネスと最軽量オリバー・タザ戦の勝者が相手となるために、ファイナル出場は固いと思われる。

だからといってハイサム✖ニッキー・ロッドの決勝戦が簡単に実現するかといえば、ここに要注目の選手が割って入る。それがパット・シャウゴリだ。EBI20=アブソリュートでは2回戦のOTで敗れたが、その敗戦後に紫帯を贈られた16歳。シャウゴリは10thPlanet内予選でチームの同朋を50/50 からヒールフックで破壊しまくり本戦出場を手にした。

あまりにえげつない内ヒールで、チームメイトを負傷に追い込むスタイルが論争を呼んだシャウゴリは、体系的には完全に太っちょ、あんこ型でサブオンリーどころか足関ゲームに適したパワーグラップラーという見方が成り立つ。とにかく50/50に取り、逆足を狙いつつ一瞬でも隙を見せるとカカトを捻り上げて、即・ヒザを破壊する。

当然相手の攻めを凌ぐディフェンス能力もアカデミー内予選では見せていたが、その防御力が今回の出場選手に通用するレベルかどうかは不明だ。ルール的に90秒膠着が続くと、コイントス→下を選ぶとバタフライガード&ダブルアンダーフックという形を取れることはシャウゴリに優位に働くという見方も成り立つが、果たして──。

16歳のヒザ破壊神童は超破壊力のある一発屋、ホームランか三振の可能性もあるだけに、その力を見極めるには1回戦で当たるSUG無差別級王者マイク・ファウラーは最適といえるだろう。

■視聴方法(予定)
12月16日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC Fight Pass

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o ONE UFC クレイグ・ジョーンズ ゴードン・ライアン メイソン・ファウラー ヴィニー・マガリャエス

【UFC FPI03】UFCの本丸でグラップラーによるグラップリングショー開催。主役はゴードン・ライアンだ

【写真】ADCCに続き、ラスベガスで戦うゴードン・ライアン。本丸APEXでワンマッチはグラップリングが見せるスポーツに昇華しつつある証か (C)SATOSHI NARITA

15日(木・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFC Fight Pass Invitational 03が開催される。

ワンマッチの目玉はADCC2022でスーパーファイト及び、99キロ級を制した──4年2カ月負け知らずのゴードン・ライアンが、ヴィニー・マガリャエスと対戦する。その無敵のゴードンに最後の土をつけたのが、マガリャエスだ。


両者は2018年9月にカリフォルニア州ロングビーチのUCLAピラミッドで行われたACB JJ13で対戦。ゴードンはマガリャエスのシングルレッグに引き込み、テイクダウンの2Pをまず献上すると、オーバーフックでストレートアームバーを狙った際にパスを許して5-0で敗れた。

もちろん今回の試合はサブオンリーで、これらの失点は計上されない。さらにいえば、ADCCでの無敵振りを見る限りゴードンはマガリャエスとの敗北した時より、トータル面で段違いに強くなっている。今回はサブオンリーでも、その総合的な強さという部分でここ最近ではSUBでメイソン・ファウラーやクレイグ・ジョーンズに敗れ、ADCCでも初戦敗退だったマガリャエスとは勢いも実力も違いがあると見て妥当だ。

UFCファイトパスがグラップリングに力を入れてきたのは、チーム戦でもMMAファイターを大挙揃えたイベントでなく、ガチすぎる8名が参加する無差別級トーナメントを実現させることでも明らか。

MMAファイターの余暇でない、グラップリングイベントがAPEXで開かれることは、Do Sportsの域を越えつつある表れといえよう。そして、マガリャエスとのリベンジ戦を組んだのはUFCがThe KING=ゴードン・ライアンをグラップラーの強さの象徴として認めた証といえる。

ONEが格闘混合イベントのなかでグラップリングに力を入れるのとは別に、UFCがグラップリング単体のショーを平日ながらベガスの本丸で開き、全世界に配信する。2022年12月15日は、グラップリングの歴史において最重要な1日になるやもしれない。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   タイ・ルオトロ フィリッピ・ペナ・プレギーサ ブログ ペドロ・マリーニョ

【ADCC2022】無差別級 オープンクラスで躍動=タイ・ルオトロ。ルオトロチン炸裂!!

【写真】ケイドに負けずとタイが、無差別で躍動(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第20 回は88キロ級の早期脱落を無差別級で挽回したタイ・ルオトロの初戦および2回戦の模様をお伝えしたい。

前回大会は、77キロ以下級のラクラン・ジャイルズの大活躍が話題となった無差別級。今回旋風を巻き起こしたのは、88キロ以下級に出場したタイ・ルオトロだった。


<無差別級準決勝/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def.8分47秒by ルオトロチン
ペドロ・マリーニョ(ブラジル)

階級別ではまさかの1回戦敗退を喫したタイは、無差別級初戦で同階級のペドロ・マリーニョと対戦。無尽蔵のスタミナを武器にスタンドで仕掛け続け、テイクダウンを取られてもすぐにスクランブルで立ち上がるという、らしさ全開の戦いで会場を沸かせ、マリーニョを疲弊させていった。

そして残り3分のところでタイはダブルレッグへ。マリーニョは倒されながらも必殺のギロチンを仕掛けるが、頭を抜いて2点先制した。

さらに背中を向けたマリーニョに4の字フックを入れて5-0としたタイは、相手の腕が一本入った状態で絞め上げる、いわば背後からの肩固めのようなチョークで一本勝ち。

解説によって「仲間内ではルオトロチン(ルオトロ&ギロチン)と呼ばれているんだ」と説明されたこの技は、MMAファイターにしてアロイジオ・シウバの黒帯だった故ジョー・カマチョが2010年に「The J-choke」という名で公表したものと同じ形だ。

<無差別級2回戦/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
Def.0‐-1
フィリッピ・ペナ(ブラジル)

2回戦でタイは、初戦ロベルト・ヒメネスからマウント、バックを奪って快勝した最重量級のフィリッピ・ペナと対戦。体格差にもめげすに、マリーニョ戦同様スタンドで仕掛け続け、下になってもスクランブルする戦いを展開した。

加点時間帯が近づくとやや疲れたように座り込んだペナに対し、ペースの落ちないタイは得意の足を踏んでのパスや、勢いの良いニースライスを仕掛けていった。

残り3分弱。下から煽ったペナが、左で差して立ち上がってのテイクダウン狙いへ。が、卓越したバランスを持つタイは小手投げを放ち、機敏なフットワークで離れてみせた。諦めてまた座るペナ。なんとここでペナに引き込みのペナルティが。

上を取ろうと試みたペナがタイに防がれてガードに戻ったという流れだが、ペナが一度立ち上がってから3秒以上経過していたと判断されたらしい。つまり上下が解消されて両者スタンディング状態に戻ってから、ペナが改めて引き込んだという解釈だ。

ADCCルールならではの形でリードを許してしまったペナは、タイの左足に50/50で絡むと、両足を胴に絡めるリバースクローズドガードに移行。さらにそこからスクランブルして背後を取ってみせる。

残り40秒、亀になるタイの体をシングルフックから返したペナは、ツイスターやチョークを狙いさらに逆転の両足フックを試みるが、タイが耐え抜いて時間切れに。

無尽蔵のスタミナで動き続けたタイが、最重量級にてゴードン・ライアンの対抗馬と見られていたペナから大殊勲の星を挙げた。

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