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【Pancrase Blood01】原点はヒョードル、兄とのMMAごっこ…三宅輝砂「自分を解放して戦いたい」

【写真】テイクダウンしてからは盤石の強さ。フィニッシュ力も高い(C)ONE

明日18日(日)、大阪市住吉区の住吉区民センターで開催されるPancrase Blood01で、三宅輝砂が名田英平と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

三宅は2021年のネオブラッド・トーナメント フェザー級で優勝。それ以降はランカーと鎬を削り、白星と黒星を交互に繰り返している。今回は連勝をかけて、ランキング8位の名田と対戦する。格闘技のバックボーンは兄と夢中になったMMAごっこ「ベルトも欲しいけど自分が強くなることが目標」と語る三宅がどんなファイターかに迫った。


――MMAPLANET初登場の三宅選手です。今回は三宅選手の経歴から聞かせてください。格闘技を始めたきっかけはなんですか。

「もともと兄ちゃんが空手をやっていて、自分もそれについていく形で小2の時に空手を始めました。空手はすぐにやめちゃったんですけど、戦うのは好きで兄ちゃんと家で格闘技の真似事みたいなことはずっと続けていたんです。それで中2の時に兄ちゃんにエメリヤーエンコ・ヒョードルの動画を見せられて、これはやばい!と思ってMMAに興味が生まれて。ちょうど高校生の時に近所にサンボを教えてくれる道場があって、ヒョードルもサンボ出身だから自分もサンボをやろうと思って週1ペースで通っていたんです。そのうちに真剣にMMAをやりたくなって志村道場に入門しました」

――格闘技の真似事をしていたということですが、喧嘩が好きとか不良だったわけではないんですよね。

「はい。悪かったわけではなくて、取っ組み合いが好きみたいな感じです」

――ちなみにその取っ組み合いはどんなレベルのものだったのですか。

「見よう見まねで打撃も寝技もやっていましたね」

――まさにMMAごっこをやっていたわけですね。

「格闘技のことが分からないなりに、それっぽいことはやっていて、マウントをとられたらTKシザーズで返したりしてました(笑)。だからなんとなくMMAっぽい動きは出来たけど、細かい部分は分かっていないみたいな感じでした」

――一番好きだったのはヒョードルですか。

「そうですね。アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ戦もそうだし、ヒョードルのことはめちゃくちゃ好きでした」

――こうしてお話を聞いているとお兄さんの影響が大きいようですね。お兄さんも格闘技をやっていたのですか。

「兄ちゃんは僕が小学生の頃に志村道場でキックボクシングをやっていて、途中で辞めちゃったんですよね。それで僕がMMAをやりたいとなった時にお兄ちゃんも通っていたということで志村道場に入ったんです。だから空手以外で一緒に格闘技を習っていた時期はないですね」

――入門当初からプロを目指していたのですか。

「全くそれは考えてなくて、ただMMAの練習を好きで続けていたら、アマチュアの試合に出るようになって、自然にプロになって…という感じです。

――志村道場からZOOMERに移籍したのはなぜですか。

「志村道場から祖根(寿麻)さんが独立されることになって、僕もZOOMERに移籍することになりました。所属は変わりましたが、今でも春日井たけしさんとは一緒に練習させてもらっています」

――今回の試合に向けてはどんな練習をしてきましたか。

「月~金は2部練で、土は午前にMMAの練習を1回という感じです。今回はトキタカさんが所属しているISHITSUNA MMAにも練習に行かせてもらっていて、K-1やKrushで試合をしていた松岡(翔大)くんと一緒に練習しました。松岡くんはめちゃくちゃ打撃が強いんで、試合のための打撃に慣れて…という感じです。あとはK-1に出ているアビラル(ヒマラヤン・チーター)とも2回くらい練習しました」

――かなり打撃を強化していますが、なぜ打撃に力を入れるようになったのですか。

「もう一つのレベルの選手と戦っていきたいので、そのためには打撃を伸ばさないといけないと思いました。そのための練習としても打撃専門の強い選手たちと練習して。今のまま同じことをやっていても成長できない部分もあるので、自分より強い人たちと練習して課題を見つけようと思ってやっています。

――過去のキャリアで言うと2022年にプロ9戦目で田村一聖選手と対戦して敗れました。あの試合は大きな経験だったと思うのですが、どんなことを学びましたか。

「僕よりベテランの選手は冷静だなと思いました。作戦もしっかり練っていますし、そこに差があったかなと思います。自分は思いっきり練習して、それを出せばいいという感じだったので、もっと考えて練習しないといけないなと思いました」

――対戦相手の名田選手の印象を聞かせてください。

「打撃も寝技も何でもできる選手で、どちらでも一発を持っている怖さがある選手だなと思っています」

――昨年11月の櫻井裕康戦に続いて連勝がかかる試合ですが、どんな試合を見せたいですか。

「さっきの作戦の話とは少し矛盾するかもしれませんが、もっと本能的に戦うことが理想です。性格的に憶病な部分があるので、もうちょっと自分を解放して野性的に戦いたいです。試合になると気持ちがはじけきれてないというか、試合を楽しめていないので、楽しんで試合をしたいというか。戦うことは好きなので、そこでもっとアドレナリンを出せるようになりたいです」

――三宅選手はランキング7位ですが、ここからの目標を聞かせてください。

「パンクラスに出ている以上、パンクラスでベルトを獲りたいですし、RIZINのような大きな舞台に出たいです。でも僕の場合は自分のどのくらい強くなれるかに興味があるので、面白くない答えかもしれませんが、強くなることが目標です」

――明日の試合を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「名田選手次第ですけど、展開の多い面白い試合をしたいです」


■視聴方法(予定)
2月19日(日)
午後2時~ U-NEXT

■Pancrase Blood01計量結果

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹:57.15キロ
松井斗輝:63.95キロ
※松井がフライ級のリミットを約6.8キロオーバー。試合可能な許容範囲5ポンド(2.26キロ)以上のため試合中止

<フェザー級/5分3R>
三宅輝砂:66.25キロ
名田英平:66.25キロ

<ライト級/5分3R>
葛西和希:70.70キロ
木村俊也:70.25キロ

<ストロー級/5分3R>
若林耕平:52.45キロ
高島俊哉:52.55キロ

<フェザー級/5分3R>
中村晃司:65.90キロ
岩本達彦:66.15キロ

■第30回ネオブラッドトーナメント

<ライト級/5分3R>  
上田智大:69.95キロ
原田直人:70.20キロ

<フェザー級/5分3R>
山中大門:65.00キロ
敢流:65.60キロ

<フライ級/5分3R>
今井健斗:57.05キロ
岸田宙大:56.75キロ

<ストロー級/5分3R>
織部修也:52.65キロ
秋吉拓史:52.40キロ

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45 AB DEEP IMMAF MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase Blood01 ROAD FC キム・サンウォン クォン・アソル パンクラス ムハンマド・サロハイディノフ 三宅輝砂 中村晃司 前田吉朗 名田英平 岩本達彦 松井斗輝 櫻井裕康 秋葉太樹 若林耕平 高島俊哉

【Pancrase Blood01】パンクラス単独大阪大会で、エグい崖っぷちフライ級対決=松井✖秋葉等決定!!

【写真】関西のファイターが、ホームで戦える大会がパンクラスに戻ってきた(C)MMAPLANET

5日(金)、パンクラスより2月18日(日)大阪市住吉区の住吉区民センターでPancrase Blood01の開催とカードの第一弾の発表があった。
Text by Manabu Takashima

2022年4月の前田吉朗引退興行以来のパンクラス大阪大会。同大会はDEEPと共催だったためにパンクラスの名の下、大阪でイベントを行うのは2021年7月以来となる。とはいえ、ここも大阪大会恒例のDEEPと二部制が敷かれており、単独大会は実に2019年7月から数えて4年7カ月振りとなる。

DEEPとの協調路線を採らないパンクラス大阪大会は、ナンバーシリーズでなくBloodというイベント名を持ち、まずは4試合がアナウンスされた。


秋葉太樹✖松井斗輝のフライ級戦は、互いにIMMAF世界王者からプロデビューしたムハンマド・サロハイディノフに敗れた者同士の再起戦、なかなかエグいマッチアップといえよう。

寝技の切れには確実な進歩が見られる秋葉だが、それがなかなか勝利に結びついていない。対して松井はサロハイディノフのテイクダウンに屈した形で、打撃主体のファイトを貫くことができずプロ初黒星を喫した。

今回の対戦は、そのサロハイディノフが決定的な強さを見せるテイクダウンの前後の局面が勝負を分けることになるだとう。つまりはスタンドの打撃と、寝技だ。一発のある秋葉の打撃だが、コンビネーションとステップを考えると松井に分がある。

対して、松井は寝技で極めへの確かな対応力が求められる。現代MMAでは打撃は付き合う必要があり、寝技は回避すれば良い。そんな裁定基準を考えると、秋葉の方がランクは上でも、前戦で躓いたとはいえ分は松井にあるアッチアップといえる。

再起戦といえば11月大会でキム・サンウォンとの日韓戦に敗れた名田英平が、同じ大会で櫻井裕康にRNCを勝利した三宅輝砂と戦うフェザー級マッチ。タイトル戦線に踏みとどまるという意味では、後がない両者の顔合わせとなる。

3連勝を狙う高島俊哉と3連勝中の若林耕平のストロー級戦は、前者はノーランカーで後者はランク1位。空位のベルトへの距離が明白に違う格差ファイトと捉えることもできる。

それ故に首都圏での大会へのオファーがある若林としては、絶対負けられない地元関西での戦いだ。またフェザー級では2022年12月にRoad FCでクォン・アソルにリベンジを許さなかった中村晃司と、パンクラス&DEEPで3連敗とベルトから遠ざかった岩本達彦の試合も決まった。タイトルに近づいてから、坂道を下るように黒星が続いた岩本にとって、キャリアを賭けたサバイバル色が強い一戦となる。

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MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase340 RIZIN UFC   パンクラス 上田将竜 伊藤盛一郎 平良達郎 有川直毅 海外 秋葉太樹

【Pancrase340】12・24を読む 伊藤盛一郎「ベルトは強さの証明と自分の可能性を広げてくれるもの」

24日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されるPANCRASE340で、伊藤盛一郎がフライ級暫定王座決定戦で有川直毅と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

ZST・RIZINでの戦いを経て、昨年12月からパンクラスに定期参戦している伊藤。一時は3連敗と結果が振るわない時期もあったが、現在は4連勝と絶好調で、試合結果もすべてフィニッシュによるものだ。キャリア初期に勢いのままに巻いたZSTフライ級のベルトと違い、パンクラスのベルトは連敗や怪我を乗り越えて巡ってきたチャンス。伊藤にベルトへの想いを訊いた。

――パンクラス3戦目でタイトルマッチが決まった伊藤選手です。練習後のインタビューですが、コンディションも良さそうですね。(取材日は11日)

「今回は怪我もなくて、本当に調子がいいので、直前で体調を崩したりしないように気をつけています」

――最近は怪我があって試合をすることもあったのですか。

「パンクラスの2試合はどちらも試合前に怪我をしていて、それも結構とてつもない怪我だったんですよ(苦笑)。勝村さんと相談して「試合の何日前までに状態を見て、試合するか欠場するかを決めよう」と話すくらいの状態で。結果的にどちらも勝つことが出来てラッキーでしたね」

――パンクラスでは2連続一本勝ちだったので、そんな状況で試合をしていたのは意外でした。

「試合当日は動けたんですけど、MMAのスパーリングは一カ月近くできなかったですし、ぶっつけ本番のやるしかないと覚悟を決めてやりました」

――伊藤選手は2020年11月の浜本”キャット”雄大戦から4連勝していますが、ご自身では何が要因だと思っていますか。

「浜本戦の時から『これで結果が出なかったら最後』『ここで負けたら終わり』と思うようになって、試合当日の気持ちや覚悟が変わったと思います。あとはグランドスラムもプロ選手が増えて、フライ~バンタム級が多いんですよ。練習仲間が増えたというのも大きいですね」

――浜本戦は3連敗で迎えた一戦でしたが、当時はどんな心境で試合に臨んだのですか。

「連敗はしてたんですけど、ボロ負けという感じではなくて、ワンミスでやられた、惜しいところで勝てないという試合だったんです。だから勝ち方が分からないというか、勝てるのに勝てない。そんな時期でしたね。そういう中でも浜本戦はパンチで倒してパウンドで勝てて、漠然とですが勝つ時ってこうやって勝ってたよなという感覚を思い出しました。それからは試合前に怪我もあったので、試合をやると決めたらやるしかないだろと腹をくくって思い切り戦えたのがよかったと思います」

――このタイミングでタイトルマッチが決まったことをどう感じていますか。

「去年12月にパンクラスに初参戦して2位の上田将竜選手に勝って1位になったのですが、すぐタイトルマッチが組まれることはないと思ったんです。それで6月に秋葉太樹選手に勝てたので、僕としては12月にタイトルマッチをやりたいと思って準備をしていました」

――対戦相手の有川選手にはどんな印象を持っていますか。

「有川選手とは同い年で一緒に練習したこともあるし、仲がいいんですよ。有川選手がグラジエイターで試合が決まった時には『頑張ってよ』と声をかけたり。ちょっとやりづらさもありますけど、試合は試合としてきっちりやります。対戦相手としては何でもできるけど、どちらかというと打撃の選手という印象ですね」

――有川選手もZSTで戦っていた時期がありますが、その相手とパンクラスのベルトを争うのは不思議な感覚もありますか。

「僕自身、パンクラスの会場に行くことは多かったんですけど、ずっとZSTで試合していたこともあって、自分がパンクラスで試合をするイメージがなかったんです。だから初めてオファーを受けた時も『ああ…パンクラスで試合やるのか』みたいな不思議な感じでした」

――伊藤選手としてはZSTが開催されなくなり、次の主戦場を探していた部分もあったと思います。そこでパンクラスを選んだ理由はなんですか。

「なかなかRIZINで試合が決まらなかったり、幾つか他に試合のオファーもあったんですけど、自分的にはあまりピンと来るものがなくて。そんな時にパンクラスから声をかけてもらって、砂辺(光久)さんや周りの先輩たちがパンクラスのチャンピオンになっているので、自分も同じベルトを巻きたいと思うようになりましたね」

――ベルトがかかった試合は2度目だと思いますが、2015年にZSTでベルトを巻いた時と今回では心境が違いますか。

「あの時はデビューしてからポンポンポン!と勝って、21歳でチャンピオンになったんですよ。今思うとクソ弱かったです(笑)」

――クソ弱くてチャンピオンにはなれないでしょう。

「実は僕アマチュアの試合に出たことがなくて、代打出場でいきなりSWAT!でデビュー戦が組まれたんですよ。そこでいい勝ち方をして、どんどん試合が決まっていてタイトルマッチという流れだったんです。それからRIZINに出て、怪我で試合が出きないこともあったし、3連敗も経験したし、色んなことがあったんですけど、またこうして勝ちを重ねて掴んだタイトルマッチのチャンスなので、ZSTでベルトを巻いた時とは重みが違いますね」

――怪我をしていた時期や勝てなかった時期に心が折れそうにはならなかったですか。

「しょっちゅう思っていましたよ(苦笑)。怪我で試合ができないし、試合をやっても勝てないし…………ぶっちゃけ格闘技が好きじゃない時期もありましたよ」

――それが変わったのは何がきっかけだったのですか。

「仲間の成長と活躍を近くで見ていたのが大きいですね。自分が試合するときは『どうにでもなれ!』って感じでやるんですけど(笑)、仲間たちには絶対に勝ってほしいって思うんですよね。みんな試合が決まってから、どういう気持ちで練習や相手と向き合って過ごしているかを知っているから、自然にそういう気持ちになるんです。それで実際に勝つ姿を見ると、やっぱり格闘技はいいなと思うし、自分も負けられないという刺激にもなるし。そうやって自然に気持ちが上向きになっていきましたね」

――今の伊藤選手にとってベルトはどんな存在ですか。

「やっぱりベルトは強さの象徴だし、団体から『あなたは強いです!』と認められた証だと思うんですよ。ただ勝ち続けているだけでは『俺って本当に強いのかな』と疑問になることもあるけど、ベルトを巻くことができたら、そうじゃない。特にパンクラスは30年という歴史と伝統があるベルトなので、そのベルトを巻いて自分の強さを証明したいです」

――そのベルトの先、2024年はどんな目標を持って戦っていきたいと思いますか。

「今はあんまり考えてないです。これからどんな目標を持って戦っていくかは分からないですが、フライ級キング・オブ・パンクラシストになることはすごく大事だと思うんですよ。ベルトは強さの証明であり、自分の可能性を広げてくれるもので、僕は決して残りの格闘技人生は長くないと思っているので、その格闘技人生をいいものにするためにも、絶対にベルトは欲しいです」

――フライ級は国内外の様々な団体で活躍している選手がいますが、他の選手の試合を見て刺激になりますか。

「はい。先日もUFCで平良達郎選手がKO勝ちしていて、僕は日本を代表として海外で戦っている選手たちがかっこいいと思うし、海外で試合にも興味はあります。でもそれもすべて次の試合で勝たないことには先が開けないので、今はパンクラスのベルトを巻くことしか見ていないです」

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AB Brave CF BRAVE CF80 IMMAF MMA MMAPLANET o ONE PFL RENA RIZIN UFC イリアーナ・ヴァレンティーノ サブリナ・ソウザ パンクラス ファビオラ・ナシメント ホゼ・トーレス ムハマド・モカエフ ムハンマド・アルサミア ラマザン・ギチノフ ンコシ・ンデベレ 松井斗輝 秋葉太樹

【BRAVE CF80】アーリープレリミでMMA界のドラフト1位=IMMAF世界王者サブリナ・ソウザがプロ初陣

【写真】既に貫録というか、強いファイターのオーラが伝わってくるサブリナ・ソウザ(C)MMAPLANET

15日(金・現地時間)、バーレーンはイサタウンのハリファ・スポーツシティ・アリーで開催されるBRAVE CF80。2023年の掉尾を飾る大会のメインは、BRAVE CFバンタム級選手権試合=王者ホゼ・トーレス✖挑戦者ンコシ・ンデベレという8月の王座決定戦のダイレクトリマッチが組まれている。
Text by Manabu Takashima

コメインにPFL帰りのジャラ・フセイン・アルシラウイが2年半振りの出場、そしてプレリミでは4試合のアラブ・レジェンズ✖UK&アイルランド連合軍の対抗戦が用意されている。

そんな今大会だが、アーリープレリミにもぜひとも注目したい。女子バンタム級、同じく女子ストロー級、そしてフライ級の3試合はIMMAFで結果を残した選手たちが揃い踏みする。


IMMAF世界王者からプロMMAで活躍しているファイターといえば、IMMAFがWMMAAと合体し文字通り世界最大のアマMMA組織になる以前に世界大会を2連覇した──今大会のメインで戦うトーレス。合体後のIMMAF王者の出世頭はなんといってもムハマド・モカエフだろう。ジュニア時代と合わせてIMMAF世界大会3連覇からプロデビュー、僅か3年半で10連勝&UFCでも5連勝とオクタゴンのフライ級を席巻している。

今年も3度の世界王者ラマザン・ギチノフがベラルーシでプロデビューし、BRAVE CFと合わせて半年で4勝0敗の戦績を残している。

日本でもパンクラス9月大会でタジキスタン人IMMAF世界フライ級王者のムハンマド・サロハイティノフがプロ初陣を戦い、秋葉太樹から2RでTKO勝ちを収めたのは記憶に新しいだろう。サロハイティノフはクリスマスイブ興行に2度目の来日を果たし、松井斗輝と対戦。勝者がタイトル戦線に絡むであろう──ファイトに臨む。

そんなMMA界のドラフト1位といっても過言でないIMMAF世界チャンピオンから、プレリミ第3試合で2019年&2021年(大会実施は2022年)、そして今年の2月に行われた2022年世界大会の女子フェザー級3連覇中(※2020年大会はコロナで行われず)のサブリナ・ソウザが、モニカ・キラン・チャグとプロ初戦を戦う。

バーレーンとブラジルのダブルパスポート保持者のサブリナは普段はリオで生活し、ノヴァウニオンでトレーニングを積んでいる。そしてIMMAFの公式トーナメント前には、バーレーンのKHK MMAでトップアマとしてキャンプを行うという選手生活を足かけ4年行って来た。

バハデチジューカに隣接したガハデーニャで生まれ育ったサブリナはGTFで柔術を始め、10歳でムエタイの練習もスタートさせるとMMAに興味を持ち、16歳でノヴァに移籍した。

柔術でもCBJJのブラジレイロの青帯で優勝しているが、ビザが取れずにムンジアル出場は果たせなかったサブリナ。直後にKHKジムからバーレーン国籍を取得してIMMAFにはバーレーン代表として出場を条件に、ファイナンシャルのサポートを受けるように。サブリナ曰く「条件が悪すぎる」ブラジルのローカルショーで戦うよりも、ファイターとして生活を保障されてアマで戦う道を選ぶのは当然だった。

ノヴァ、KHKだけでなくダゲスタンでレスリングのトレーニングを集中的に行うなど、名前だけのプロよりも余程MMAをプロフェッションとして取り組んできた。結果、世界大会3連覇を含むアマ15連勝でプロデビュー戦を迎えることに。UFCでプロデビュー戦を戦うという目標は達成できなかったが、彼女の力は既に限りなくUFCに近いといえる。

そのサブリナ、当初はエジプトのレワン・ヤセルと対戦予定がファイトウィークに入ってチャグと対戦相手が代わった。それでも、ここはもう勝敗ではなく勝ち方が着目されるプロ初陣だ。

(C)BRAVE CF

第2試合でムハンマド・アルサミアがムハマド・アシュラフと対戦。

アルサミアはダゲスタン&ブラジリアン連合といっても過言でないKHKにおいて数少ないバーレーン人ファイターだ。今年のIMMAF世界大会のフライ級で準優勝、6月にプロデビューを済ませており、2RにKO勝ちを収めている。対戦相手のアシュラフは3勝6敗、この一戦もアルサミアのために組まれた一戦といえる。

(C)BRAVE CF

オープニングファイトでプロ初戦に挑むファビオラ・ナシメントもまたバーレーン国籍も持つブラジル人ファイターだ。

IMMAF2022世界大会は女子ストロー級準々決勝で、先ごろONE FFで勝利をしたフェイン・マスキータに敗れるなど、世界大会の最高位は3位のナシメント。アジアでは優勝を果たしている彼女は、イリアーナ・ヴァレンティーノと初の5分✖3Rを戦う。

ヴァレンティーノは2015年の大晦日にRIZINでRENAと戦い、2017年にはSBで再戦も、どちらの試合も敗れている。その後もSBやKNOCK OUTで戦ってきたヴァレンティーノのMMA戦績は今も1勝1敗。打撃につき合う必要のないMMA、IMMAFのトップ選手の経験値は、プロ数戦のファイターを凌駕するのは当然という見方がなされ、この一戦もナシメント優位は揺るがない。

■視聴方法(予定)
12月16日(金・日本時間)
午前0時~ DAZN


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IMMAF MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase337 パンクラス ムハンマド・サロハイディノフ 秋葉太樹

【Pancrase337】ノンストップ・アタック! IMMAF世界王者サロハイディノフが秋葉をパウンドアウト

【写真】プロデビュー戦でパンクラスランカーを撃破--強い(C) MMAPLANET

<フライ級/5分3R>
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)
Def.2R2分42秒 by TKO
秋葉太樹(日本)

秋葉はグローブタッチを拒否。サロハイディノフは距離を取る秋葉にシングルレッグで組みつき、ケージ際でボディロックからバックを狙う。上下に揺さぶるサロハイディノフに対し、秋葉がビクトル投げからサロハイディノフの右足に外ヒールを仕掛ける。サロハイディノフが潰して鉄槌を落とした。立ち上がる秋葉のバックに回ったサロハイディノフが、秋葉の足技をかわして潰していく。

秋葉に背中を着かせてパンチを落とすサロハイディノフは、バックコントロール&トップコントロールから、秋葉の首を狙う。起き上がる秋葉の顔面に右ヒザを浴びせたサロハイディノフは、秋葉が右スピニングバックエルボーをかわしてダブルレッグで組んだ。秋葉はまたもビクトル投げから外ヒールへ。これは完全に読まれていたか、潰したサロハイディノフがダースチョークへ。極まらずもサロハイディノフがトップでラウンドを終えた。

ジャッジは3者ともサロハイディノフの10-9としている。

2R、サロハイディノフが距離を詰めて左ミドルを繰り出す。秋葉も左ハイを返した。サロハイディノフのダブルレッグをスプロールした秋葉だが、すぐにサロハイディノフが再びダブルレッグで入り尻もちを着かせる。バックコントロール→足を差し入れて殴るサロハイディノフがマウントを奪取した。左のパンチと右ヒジを落とすを受けて背中を見せる秋葉の首を狙うサロハイディノフ。RNCを極めるには至らなかったが、そのままパウンド&ヒジでレフェリーストップを呼び込んだ。

試合後マイクを握ったサロハイディノフはベルト奪取をアピールした。


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KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase337 ムハンマド・サロハイディノフ 亀井晨佑 井村塁 住村竜市朗 佐藤生虎 余勇利 八田亮 冨樫健一郎 北岡悟 安藤武尊 山口怜臣 岡野裕城 川中孝浩 平田直樹 押忍マン洸太 新居すぐる 松岡嵩志 松本光史 河村泰博 矢澤諒 神谷大智 秋葉太樹 笹晋久 粕谷優介 葛西和希 藤田大 遠藤来生 雑賀ヤン坊達也 高本千代 黒澤亮平

【Pancrase337】北岡イズム。葛西和希戦へ、松岡嵩志─02─「どうにかなるは、勝負じゃなくて博打」

【写真】濃いキャリアを送っている松岡。さらに濃くするために負けられない葛西戦だ(C)MMAPLANET

明日24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、葛西和希と対戦する松岡嵩志のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

右を主体にKOを生み出してきた松岡だが、トップ選手との対戦が増えるにつれ、右を打つ瞬間を狙われることも増えてきた。そんななか、松岡はいかに「自分の弱さ」を克服してきたのか。前回の岡野戦で進化した姿を見せた松岡が語る葛西戦と、北岡悟イズム――。

<松岡嵩志インタビューPart.01はコチラから>


――岸本戦に続く粕谷優介戦は、衝撃のKO劇でした。

「ちょうど粕谷選手が調子を落としていた時期だったと思います。でも、そのチャンスをモノにできたことは大きかったですね。以降は対戦相手に実力者が続くようになって」

――粕谷戦のあとは松本光史選手、冨樫健一郎選手、雑賀ヤン坊達也選手、そして岡野裕城選手と対戦しています。文字通り強豪と対戦し続けていますね。

「勝った試合も負けた試合も、胸を張って『強い相手だ』と言える選手ばかりでした」

――仰る通りです。ただ、松岡選手といえば右ストレートが強いというイメージがありました。しかし松本戦と雑賀戦は松岡選手の右にパンチを合わせてきました。

「正直、あの2人が素晴らしい選手であることは間違いないです。松本さんは今でも一緒に練習させてもらっていて。メチャクチャ強いですし。雑賀選手も試合前から『シンドイ相手だな』と思っていました。それよりも自分の弱い部分が出てしまいました。

最初に試合をコントロールし始めたのは自分なんですよね。それは2人の強さに焦りを感じて、早く試合を決めたいと思ってしまったからなんです。それで突っ込んで、負けてしまう。今までのKO負けも全て同じで、弱い自分が出てしまって負けることが多かったので。この2試合も相手のプレッシャーが強いからこそ、それが出てしまったんですけど……。あれは北岡さんからも『技術で負けたわけじゃないけど、気持ちの面が出てしまうけど、この結果になってしまうよね』という話をしてもらいました」

――直近の岡野戦は、2つの敗戦を踏まえて戦術の変更があったのですか。

「戦術というよりは、とにかく突っ込まないようにしました。自分にとって良い状況になったり、あるいは自分が追い込まれた時には、どうしても得意な右に頼ってしまいますよね。右を当てればどうにかなるというのは勝負じゃなくて博打ですから」

――「勝負ではなく博打」、とても良い言葉です。

「そういう意味では、岡野選手との試合は良かったと思います。岡野選手のジャブは本当に凄くて、それでも我慢して蹴ったり、テイクダウンのフェイントを混ぜたりして勝負できたので。あまり自分が崩れることもなく勝てたので、自分の中では満足しています」

――岡野選手が左ジャブを出してくると、右を被せるかインサイドから打ち込みたくはなりませんでしたか。

「やっぱり狙ってしまうところはありました。でも岡野選手のリーチが長いのと、顔を後ろに背けるディフェンスをするので、右クロスは当たりづらくて。それも踏まえて左フックまで返して。右は打ちたくなります。要は、いかにして良い右を打ち込むか。重要なのは、そこですよね」

――もうひとつ、松岡選手といえばローの強烈さが印象深いです。ローが当たっている時ほど右ストレートも当たるようになっていて。

「そうですね。岡野戦でも右ローがバシバシ当たっていて。蹴ると体のバランスが良くなります。実は冨樫さんとの試合は足を痛めていて、『これは蹴れないな』と思っていたんです」

――えっ! でもバシバシ蹴っていましたよね。

「アハハハ、そうなんですよ(笑)。試合前は、たとえ蹴れなくても蹴るフェイントを入れれば体のバランスが戻ってくるから、フェイントだけは入れていこうという話をしていました。だから蹴りは生命線というか、すごく重要な武器です」

――次に対戦する葛西選手も蹴りが得意なファイターです。

「柔道出身だからグラップリングをやるのかと思ったら、最近はキレのある蹴りを打ってきますよね。負けたけど粕谷選手との試合も良かったですし、あの小気味よい蹴りは僕も嫌いじゃないです(笑)」

――対戦相手の蹴りが好みですか(笑)。

「粕谷選手はメチャクチャ強くて、あの試合を物差しとしては考えられないですよね。僕と粕谷選手では違いすぎるという意味で。僕には粕谷選手ほどのテイクダウンやグラップリング力はない一方で、打撃面では粕谷選手ではなく葛西選手のほうがコントロールしていたと思います。とにかく次の葛西戦が厳しい試合になることは間違いないです」

――その葛西戦では、どういった試合を見せたいですか。

「正直、試合で何かを見せるということは考えたことがないです。もちろん良い試合、良いKOを見せることができれば、それに越したことはないです。でも勝負をしていれば、ハマる人にはハマると思いますし。僕としては勝ちを求めるだけで、自分が勝ちに行く過程で何かを見せられたら――あとは観ている人が判断してほしいです」

――その言葉はまさに北岡イズムですね。

「あぁ、確かにそうですね。でもそれは北岡さんにお世話になるなかで、僕が北岡さんに染まってきたわけじゃないんですよ。ロータスに行きたいと連絡する前から、北岡さんの意見に共感することが多くて。だから僕のほうから北岡さんに『練習させてもらいたい』と連絡しました。僕も勝利至上主義なので」

■Pancrase337計量結果

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑:65.75キロ
新居すぐる:65.65キロ

<ウェルター級/5分3R>
藤田大:75.5キロ
住村竜市朗:77.55キロ

<ストロー級/5分3R>
八田亮:52.75キロ→52.6キロ
黒澤亮平:52.55キロ

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太:76.65キロ→77.55キロ
川中孝浩:76.95キロ

<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.35キロ
河村泰博:61.65キロ

<フェザー級/5分3R>
平田直樹:66.25キロ
遠藤来生:66.0キロ

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹:57.05キロ
ムハンマド・サロハイディノフ:57.05キロ

<ライト級/5分3R>
余勇利:70.55キロ
神谷大智:70.55キロ

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣:61.6キロ
安藤武尊:61.0キロ

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志:70.15キロ
葛西和希:70.6キロ

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:51.85キロ
高本千代:52.0キロ

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒:61.8キロ→61.65キロ
笹晋久:61.4キロ

<フライ級/5分3R>
梅原規祥:57.05キロ
饒平名知靖:56.1キロ

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎:77.5キロ
渡邉ショーン:77.0キロ

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【Pancrase337】笹晋久戦へ、必殺の右ストレート誕生の秘密。矢澤諒─02─「スイッチしている頃は……」

【写真】警戒心の強い笹、かといって下がるわけでもなく組み力の強い相手にどのような打撃戦を仕掛ける(C)MMAPLANET

24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、笹晋久と対戦する矢澤諒のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

矢澤といえば右ストレート。右を得意としているファイターが多い現在のパンクラスで、その威力はトップレベルを誇る。さらに組みや右以外のパンチを鍛えることで、より右ストレートも輝くようになってきた。そんな矢澤の右ストレートの秘密に迫る!

<矢澤諒インタビューPart.01はコチラから>


――ご自身のフィニッシュブローを右ストレートと定めたのは、いつ頃ですか。

「プロデビュー戦ですね。北岡さんの興行(2020年7月、iSMOS)でデビュー戦を組んでもらった時、大井洋一選手を右で倒してから『右で倒せるんじゃないか』という意識が生まれました。そのあと2連敗したことで、自分の中に迷いも出ていたんです。でも『どれだけ自分の打撃が通用するのか』という気持ちで相手に向かうようになってからは、右で倒せるようになっています。負けたことで逆に、しっかり打撃をやるようになりました」

――現在は3連続KO勝ちです。これだけ右が当たる秘訣はあるのでしょうか。

「自分の中では、右が当たるイメージづくりが一番大切だと思っています。試合に向けて、自分の右が対戦相手にどう当たるかをイメージしながらスパーリングしたり、サンドバッグを打つようにしています」

――2022年5月の上田祐起戦までは、頻繁にスイッチしていましたよね。

「僕は身長が低いので、どうすれば相手の懐に入れるかって考えていました。もともとはオーソドックスですけど、サウスポーも出来たのでスイッチしながら懐に入ろうと。でも技術的にも中途半端だったために、あの結果に終わったのかと思います」

――次の漆間戦からはスイッチすることなく、オーソドックスで戦っています。上田戦の結果を受けて、何か気持ちの変化があったのですか。

「はい。『もう細かいことは考えずに殴り合っちゃおう』と。それがうまくハマッたのかなと思っています。たまたま、かもしれないですけど(笑)」

――ここまで右ストレートでKOしていたら偶然ではないでしょう(笑)。これは結果論ですが、スイッチしている頃の試合ぶりと現在を比べたら、今は迷いがないように感じます。

「そうなんです。スイッチしている頃は、試合中も全体的にフワフワしていました。すると相手にとっては怖さもなかったんじゃないですか。今は右ストレートを軸に圧をかけていますから、相手も下がってくれるんだと思います」

――もう一つ。右ストレートが当たるということは、右以外の要素も増えてきたということですよね。

「どんどん対戦相手のレベルが上がって、自分の右は絶対に警戒されます。でもそれが僕にアドバンテージになっていて。相手が右を意識してくれるおかげで、他のパンチが当たるようになってきていると思います」

――右だけでなく左のパンチも当たるようになってきています。ジャブなのか、フックなのか、あるいはその中間というべきか……相手にとっては見えにくいパンチだと思います。

「左はスマッシュ気味に打っています。そうやって常に、右だけに頼らないように取り組んでいます」

――さらに現在は、大道塾吉祥寺支部の飯村健一さんにも打撃を教わっているのですか。

「去年10月の漆間戦が終わってから、飯村さんのところに行かせてもらっています。純粋なミットの打ち込みをやりたいと思って飯村さんにお願いしました。マンツーマンで丁寧に教えてくださるので、メチャクチャ勉強になっています」

――ここ数試合を視ると、打撃を出す際の重心が変化していませんか。それは飯村さんの指導や、タケ大宮司さんのトレーニングの影響なのでしょうか。

「打撃を出した時に止まれるようになりました。以前はパンチを打つ時にどうしても、つんのめっていたんですよね。つんのめるなら、そのままスイッチしようと考えて」

――それがスイッチ時代に繋がるのですね。

「つんのめらずに止まれるようになったのは、タケさんに股関節の使い方を教わった効果もありますね。あとは自分のパンチの力が、どれだけ相手に伝わるかをイメージしならがサンドバッグを打つ。それで右のインパクトが強くなったんだと思います。今は誰が相手でもパンチで倒せる自信があります」

――では次の対戦相手、笹選手の印象を教えてください。

「フィジカルが強いという印象があります。でも僕は相手がどうだからこう……ということは、あまり考えていなくて。自分が強いところをぶつけることができれば勝てる。ぶつけられなければ負ける。自分はまだそのレベルだと思っています。もっと上に行かないと、相手どうこうは言えないかなって。今は自分のやるべきことをどれだけ形にできるか、ですね」

――打撃だけでなく組みのレベルについては、どのように考えていますか。前回のジェイク・ムラタ戦は組んでくる相手を切り続けて、パンチで倒しました。

「ジェイク選手と試合をするにあたって、まず自分のパンチが当たれば絶対に倒れるから、組みの練習を増やしました。それで試合で組まれた時に『大丈夫だ』と思って、安心することができました」

――なるほど。矢澤選手は現在パンクラスのバンタム級4位で、この試合で勝てばベルトを狙える位置につけています。最後に次の試合への意気込みをお願いします。

「次の笹選手はパンクラスのランキングには入っていないけど、実力を考えると上のほうにいる選手です。ここで勝てるか勝てないかで、今後の自分の進む道が決まっちゃうのかと思います。まずはファーストコンタクトでどれだけ出せるか。しっかりと勝って、皆さんに矢澤諒を見せたいです。ぜひ注目してください!」


■Pancrase337計量結果

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑:65.75キロ
新居すぐる:65.65キロ

<ウェルター級/5分3R>
藤田大:75.5キロ
住村竜市朗:77.55キロ

<ストロー級/5分3R>
八田亮:52.75キロ→52.6キロ
黒澤亮平:52.55キロ

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太:76.65キロ→77.55キロ
川中孝浩:76.95キロ

<バンタム級/5分3R>
井村塁:61.35キロ
河村泰博:61.65キロ

<フェザー級/5分3R>
平田直樹:66.25キロ
遠藤来生:66.0キロ

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹:57.05キロ
ムハンマド・サロハイディノフ:57.05キロ

<ライト級/5分3R>
余勇利:70.55キロ
神谷大智:70.55キロ

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣:61.6キロ
安藤武尊:61.0キロ

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志:70.15キロ
葛西和希:70.6キロ

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN:51.85キロ
高本千代:52.0キロ

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒:61.8キロ→61.65キロ
笹晋久:61.4キロ

<フライ級/5分3R>
梅原規祥:57.05キロ
饒平名知靖:56.1キロ

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎:77.5キロ
渡邉ショーン:77.0キロ

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【Pancrase337】パンクラス2戦目=八田亮戦へ、黒澤亮平「真剣にMMAと向き合っていない選手には……」

【写真】5月で30歳になった黒澤。打の圧があるトータルファイター、完成度は相当に高くなっている(C)TAKUMI NAKAMURA

24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、黒澤亮平が八田亮と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

修斗を主戦場に戦い、第6代世界ストロー級王者となった黒澤。今年7月からはパンクラスに活躍の場を求め、9月大会に連続参戦となった。勢いで勝ち続けていた時代、技術を覚えてファイトスタイルのバランスに苦しんだ時代を経て、今は「技術を乗せた喧嘩が出来るようになった」という。自分の強さを追求する日々を「難しいけど楽しい」と表現した黒澤にパンクラス2戦目を控える心境を訊いた。


――7月PANCRASE335での小林了平戦に続いて、パンクラスに連続参戦することになった黒澤亮平選手です。プロデビューからキャリアの多くを修斗で戦ってきた黒澤選手がパンクラスに参戦を決めた理由はなんだったのですか。

「今年は4月の修斗沖縄大会に出て、たくさん試合をやるつもりだったんですけど、なかなか次の試合が決まらない状況が続いて。その時に周りの人たちから『修斗以外には興味がないの?』と言われて、自分としては修斗へのこだわりがあったんですけど、修斗では色んな選手と対戦したし、修斗以外でも試合のチャンスがあるなら試合をしたいと思っていました。そういう流れもあって7月にパンクラスさんに出させてもらいました」

――大会、イベントとしてパンクラスにはどのような印象を持ちましたか。

「もともとうちのジム(パラエストラ松戸)は修斗で試合をする選手が多かったですし、同じMMAの試合なんですけど、プロモーションが違うと計量から雰囲気が違いましたね。すごく新鮮でした」

――黒澤選手が“飛鳥拳”として修斗デビューした当初と比較すると、プロ選手が試合をする舞台や選択肢もかなり増えていますよね。

「そうですね。若い選手も増えてきましたし、選手それぞれ戦いたい舞台があって、そこに出ているという感じですよね。あとは練習中に僕が最年長という時もあるくらいなので、だいぶ変わりました(笑)」

――先ほどは「今年はたくさん試合をやるつもりだった」という言葉もありましたが、それは何か理由があるのですか。

「コロナの影響もあって、意図しない形で試合数が減ってしまって。僕は試合が一番強くなれる方法だと思っているので、それが戦績に影響した部分もあったと思うし、できるだけ試合数は減らしたくなかったので、今年はがむしゃらに試合しようと思いました」

――実際に今年は4月、7月、9月と試合が続いていて、コンディションは上がっていますか。

「そうですね。7月の試合が終わって、すぐ9月のオファーをいただいて、いい意味で間を置かずに練習が出来ています」

――対戦相手の八田亮選手の印象は?

「一言でいうと“極め”ですね」

――あれだけ極めに特化する選手は今のMMAでは珍しいと思います。

「はい。だから見ていて面白いと思うんですけど、ぶっちゃけそこまで真剣にMMAと向き合ってないと思うんですよ。そういう選手には負けたくないですね」

――ファイトスタイル・キャラも含めて、独特というか個性的な選手ではあると思います。

「実際にどうかは分からないですけど。僕はずっと『どうすればMMAで強くなれるのか?』を考えて、毎日MMAで勝つための練習をしているので、そこの違いを見せたいと思います」

――逆に今の黒澤選手が考えるMMAにおける理想の戦い方はどんなものですか。

「少し話はさかのぼるんですけど、僕が修斗でチャンピオンになった時(2016年7月)は、今思うとチャンピオンに“なれた”というより“なっちゃった”という感じだったんです。それから怪我でベルトを返上して復帰するにあたって、ちゃんとMMAを深堀して色んな技術を身につけようとしたんです。そうしたら技術先行のスタイルになって、試合でも技術で勝とうとするようになっちゃって。それでバランスが崩れて、上手くいかない時期がありました。でも今はそこが改善されてきて、MMAの技術を乗せた喧嘩が出来るようになりました。自分の強さで相手の強さを飲み込んでしまう、そういう戦い方が理想ですね」

――では7月の小林戦のKO勝ちは、それまでのKO勝ちとは違うものですか。

「全然違いますね。色んなことを想定して、試合中も色んなことを考えて、自分で試合を作ってKOすることが出来たんです。最後のパンチやKOシーンを褒めてもらうことが多かったのですが、自分のなかではKOするまでの過程・中身が違いましたね。今までの僕はステップを使って、簡単に言うとアウトボクシングして、自分の打撃を突くスタイルだったんですよ。でも今は自分から試合を作って、自分の強さ=ストロングポイントをぶつけて勝つ。そういう戦い方になっていると思います」

――今練習していて自分の伸びしろを感じているのではないですか。

「感じていますね。まだまだ……まだまだ……伸びしろありますよ」

――そのうえで黒澤選手のMMAファイターとしての目標は?

「よく『パンクラスでチャンピオンになったらどうするの?』と言われるんですけど、僕はそこまで先のことは考えていなくて、パンクラスのベルトを獲ることしか考えてないです」

――具体的にいつ頃までにタイトルマッチをやりたいという希望はありますか。

「パンクラスのストロー級はチャンピオン不在なので、八田選手にいい勝ち方をできたら年内にはタイトルマッチをやりたいですね。あと修斗でベルトを獲ったときは防衛戦が出来なかったので、パンクラスでベルトを獲ったらベルトを守る試合、防衛戦も経験したいです」

――例えば国内ではRIZINのようなビッグイベントで試合をする選手たちも身近にいると思いますが、そういった舞台に自分も出たいという気持ちはそこまでないですか。

「みんな素晴らしい選手たちだから、彼らに対する嫉妬はなくて。みんな仲間であり、ライバルであり、素晴らしい選手が素晴らしい舞台で戦っているなと思って見ています。本当に今は自分がずっとやってきたMMAのレベルを上げたい、MMAファイターとしての成長していきたいという想いの方が強いです」

――自分の強さへの追及ですね。

「はい。MMAは難しくもあり、面白い。そういう気持ちで日々練習していますし、それが楽しいです」

――それでは最後に黒澤選手の試合を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをいただけますか。

「八田選手は寝技師でいい選手ですけど、自分の方が強いと信じています。次もKOするので楽しみにしていてください」

■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉ショーン(日本)

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【Pancrase337】ザ・七転び八起き=松岡嵩志─01─「もうMMAは終わり」からの「ダメだ。まだ──」

【写真】1991年生まれの32歳。雑賀ヤン坊達也、冨樫健一郎、松本光史、粕谷優介、岸本泰昭、横山恭司、牛久絢太郎、林源平、そして──チェ・ドゥホ。これだけの面々と戦ってきた(C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337で、松岡嵩志が葛西和希と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

松岡のプロデビューは2008年。MMAキャリアは14年間と、ベテランの域に達している。しかしその14年間は決して平坦なものではなかった。パンクラスのニューエイジ戦線からトップファイターとの対戦を経て、松岡が打撃主体からオールラウンドのMMAファイターへ進んできた道程を訊いた。


――MMAPLANETでは今回が初のインタビューとなりますが、どうしても松岡選手にお聞きしたいことがありました。雑賀ヤン坊達也戦が決まった際、プレスリリースで「格闘家の3大親方と言えば、藤野恵実、長南亮、そして松岡嵩志だ」と書かれていましたが……。

「アレですか(笑)。昔、専門学校に通っている頃に、あまり練習できていなくて太ってしまった時期がありまして。その時に北岡さんに『親方感が出ている』と言われて、親方という言葉が内輪で広まっていたんです」

――親方と呼ばれる職種でも何でもなかったのですね。

「それもよく言われました。『大工か何かやっているの?』って。僕としては藤野選手や長南さんと並べていただいて、嬉しかったです(笑)。でも藤野選手は僕のせいで巻き込まれていまい、すみません!」

――アハハハ、いきなり余談で失礼しました。まずは格闘技を始めたキッカケから教えていただけますか。

「僕たちは地上波で格闘技を視ていた世代で、中学校を卒業したら格闘技をやろうと考えていました。そんな時、たまたま町田へ遊びに行ったらU-FILE CAMPを見つけて。でも入会してからしばらくはキックボクシングしかやっていなくて、あまり寝技クラスには参加していませんでした」

――そこからパンクラスイズム横浜の所属になった経緯を教えてください。

「2011年ごろにU-FILE CAMP町田からキックボクシングのSTB Japanというジムに移って、ちょうどその頃にパンクラスに出させてもらえるようになりました。そのパンクラスで2015年3月に牛久絢太郎選手と対戦する前に、ロータス世田谷でプロ選手が集まって練習していることを、北岡さんのツイッターで知ったんです。北岡さんに『自分も参加させてもらっても良いでしょうか』と連絡して、そこから北岡さんには本当に良くしていただいています。

当時の僕は、どこにも所属していないフリーの状態で。ロータスの練習に参加し始めたあと、北岡さんからパンクラスイズム横浜が出来るという連絡をいただき、そこに入るしかないと思いました。もともと柔道整復師の資格を取るために専門学校に通おうと考えていたので、学校もパンクラスイズム横浜から近いところを選びました」

――ロータスでの練習に参加したいと連絡した時、すでに北岡選手とは面識があったのですか。

「いえ、なかったです(笑)」

――えっ……面識がない先輩ファイターに連絡するのも、なかなか勇気がいりますよね。

「いきなり連絡するのは失礼かと思いましたが、どうしても参加したくて……。ただ、当時の北岡さんは、傍から見ると本当に怖くて(笑)。『ロータスへ行くと練習で足を壊されちゃったりするのかな』と思いながら行きました。でもお会いすると本当に優しかったです。今でも怖いところはあるけど、あれだけしっかり怒ってくれる人とは、なかなか巡り会えないです。自分としては、ありがたいですね」

――ロータスの練習に参加するまでは打撃主体といいますか、キックボクシングで戦っていたわけですか。

「テイクダウンされなければ勝つ、というぐらいの気持ちで試合をしていました。とにかく組まれたら耐える、倒されたら背中を見せてでも立つという感じで。勝つ時はKO、寝技で一本を取るようなタイプではなかったです」

――当時は徐々に対戦相手のレベルが上がってきて、2015年から2016年にかけて、パンクラスの中でも次の時代を担う選手同士の戦いが繰り広げられていました。しかし松岡選手は2018年まで負けと勝ちを繰り返しており、当時はどのように感じていましたか。

「自分にとっては牛久選手に負けた時が、悪い転換期になったといいますか……。まさに今後上がっていく選手同士の対決だったんです。そこで牛久選手はすごく頑張って――技術的な部分以上に、自分が気持ちで負けたような試合でした。牛久戦以降の4年間は、『もう自分は上に行けないのか』と思って過ごしていました」

――……。

「その頃にはパンクラスイズム横浜に移って、一生懸命やっていました。でも、そこにビジョンがなかったです。ただスパーリングを頑張って試合に出る。その結果、勝つと負けるを繰り返すような時期でした。

実は2019年に入って、MMAを辞めようと考えたことがあったんです。2018年12月に金田一孝介選手とのランキング入りを賭けた試合で、すごい失神KO負けをして。そのあとに柔道整復師の試験があり、『もう柔道整復師の資格を取って普通に仕事をしていく。もうMMAは終わりだ』と思いました。でも国家資格を取得したあとに改めて考えた時、『ダメだ。まだ燃え尽きることができていない』と思って。MMAがなくなった自分の生活を想像できなかったです」

――1度辞めようと決めたからこそ、自分にとってMMAが必要だと気づくことができたのですね。

「そこから技術的な面でも変わってきて。金田一戦に続く平信一選手との試合を経て、組みが強くなったと明確にと思えるようになったのは岸本(泰昭)選手に勝ってからです。もともと技術的な部分では、下位の選手が相手なら勝負できていたかもしれないです。でも本番でその組みを試すのは怖くて。実際に試合で、グラップリングが強い岸本選手に勝つことができて、自信に繋がりました」

<この項、続く>

■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉ショーン(日本)

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【Pancrase337】アームコレクター新居すぐると王座戦─亀井晨佑「パンクラスの硬派なところに誇りを」

【写真】トータル✖一点突破の一戦、世界を目指す上で負けられない亀井だ(C)TAKUMI NAKAMURA

24日(日)、東京都の立川ステージガーデンで開催されるPANCRASE337。今大会のメインイベントではフェザー級KOP王座決定戦として、亀井晨佑が新居すぐると対戦する。
Text by Takumi Nakamura

亀井は昨年7月にフェザー級KOP暫定王座決定戦で透暉鷹に一本負け。今年4月にパン・ジェヒョクに判定勝利すると、透暉鷹の階級変更による王座返上で今回のチャンスが舞い込んだ。ファイトスタイルもキャラクターも正反対の新居との王座戦、また記者会見での「圧倒的実力至上主義」発言について訊いた。


──PANCRASE337で新居すぐる選手とフェザー級KOPを争う亀井晨佑選手です。4月のパン・ジェヒョク戦はスプリット判定での勝利でした。あの試合を振り返ってもらえますか。

「正直、もっときつい試合になるのかなと思ったんですけど、今思うと割と自分のやりたいようにできた試合でした。手応えはあったし、そこまできつい内容ではなかったなと思います」

──ジェヒョク選手は亀井選手が敗れている前王者の透暉鷹選手ともスプリット判定の接戦を演じている相手です。その相手を透暉鷹選手に敗れた直後の試合で指名したことが意外でした。かなりリスクのある試合だったと思います。

「僕としては透暉鷹選手と再戦したいという気持ちがあったし、ジェヒョク選手がどう見ても強いのは分かっていたんですけど、彼をクリアしないことには再戦はないと思っていました。あと自分とは相性的に勝ち目がなくはないなとも思ったんです」

──透暉鷹選手と比べると自分の方が相性がいいと。とはいえ試合前に不安になることはなかったですか。

「正直僕は試合前に『この選手に勝てるんのかな』って思うことはないんですけど、この時はそう思いましたね」

──実際にジェヒョク選手と拳を交えて、どんな場面でいけるという手応えがあったのですか。

「もっと圧力、プレッシャーがあると思ったんですけど、思ったより自分のジャブが刺さったんです。これなら相手が自分の間合いに入ってきても対応できるなという感じで。元々そういう試合になることを想定して練習していたんで、そこは対応することができました」

──その一戦を経て、新居選手と王座決定戦という形で試合が決まりました。

「最初に話を聞いた時は意外でしたね。チャンピオンの動向が分からなかったし、バンタム級に下げることも知らなかったので。それで『次は王座決定戦です。相手が新居選手です』と言われて『そこか!』」と思いました」

──対戦相手として新居選手はどんな印象がありますか。

「記者会見でも言ったように、対戦相手は僕のペースを崩すのが難しいと思うんですよ。でも今のランカーの中で唯一その可能性を持っているのは新居選手なのかなと思います。ハマったときは本当に強いですし、一発で試合をひっくり返せるタイプなので、ちょっと怖い選手ではあります」

──アベレージ的な部分ではなく一発勝負の試合だからこそ怖い相手だと思います。

「いざ試合するとなったら、バランスがいい選手よりも、新居選手のようなタイプは怖さがあります」

──ずばり新居選手の武器は右の強打とアームロックで、いい意味でバランスが悪い・強い部分が偏っているスタイルです。

「それは間違いないです。で、本人も言っているように分かっていてもかかるのが必殺技だし、実際にそれで勝ってきているわけじゃないですか。僕も手を取られたらおしまいだと思っているし、一回でも取らせないつもりで戦います」

――MMAにおけるバランスの良さで勝負する亀井選手とは真逆のスタイルですね。

「はい。でも相手が新居選手だからと言って特段やることは変わらないです。自分のスタイルはジャブを当てて自分の距離を取って……というもので、自分のペースを乱さずにやりたい。練習でも新居選手と背丈が似た相手と、自分の戦い方ができるような練習を続けてきました」

──またファイトスタイルも対照的ですが、キャラクターも対照的ですよね。新居選手は会見で「飲んで遊んでいてもチャンピオンになれる。それが若い選手に夢を与える」といった発言をしていたじゃないですか。亀井選手はあの発言を聞いて、どう思いましたか。

「何も感じなかったですよ。ただ『遊んでいても勝てることが凄い』と思っているなら、それはちょっと考えたが古臭いかなと思いました。ただ僕も正社員として働きながら試合をしているので、練習環境という意味ではあまり変わらないのかなと思いました(笑)」

――まさにお互いのファイトスタイルや格闘技への向き合い方がぶつかり合う試合かなと思います。

「本当に矛と盾みたいな感じですよね。新居選手は『触れば極められる』と言いますし、僕は僕で『やれるもんならやってみろ』なので」

──今回の試合に限らず、亀井選手の中で自分のファイトスタイルや戦い方が確立されてきたという手応えはありますか。

「ありますね。デビュー当初は倒して勝つイメージを持たれていたんですけど、試合の中で感覚的にポイントアウトのようなことができてきたというか。もちろん倒しに行ける場面では倒しに行くんですけど、試合の中でリスクを負う場面が少なくなったと思います」

──亀井選手は本格的にMMAを始めたのが高校卒業後で、決して年齢的に早い方ではないと思いますが、その分、デビュー以降の強くなるスピードが速いんじゃないかなと思ったんです。

「本当にそうですね。ここ2~3年でやっと自分の完成系が見えてきたのかなと思います。もっとやらなきゃいけないことはあるんですけど」

──亀井選手は柔道経験があるものの、MMAでは打撃中心のファイトスタイルですが、自然に打撃の方が得意になっていったのですか。

「柔道は高校3年間やったんですけど、全然強くもなかったですし、高校でちょっとやったぐらいなんです。打撃の方が上手くいったのは、単純に寝技より上達するスピードが早かったっていうのがあって。ジムに入った当初はプロになりたいとは思っていなくて、そうなると寝技より立ち技のほうが楽しくて、そっちに重点を置いたという感じです」

──透暉鷹戦は組み技・グラウンドでペースを握られて判定負けという結果でした。あの試合で自分が強化すべきところも分かったと思います。

「あれは僕の弱いところが露骨に出てたんで、それこそジムでの打撃と組み技の練習の比率を一時期は真逆にしたんです。8:2ぐらいの割合で柔術を多めにしたり、ロータスさんに行って組み技の練習をしたり、あの試合から練習のバランスは結構変わりましたね」

──色々なタイミングが重なっての王座決定戦ですが、再びベルトを獲るチャンスが来ました。それについてはどう感じていますか。

「日本でMMAをやっていて、ベルトを持っていない選手が世界で戦っていくのは、条件的に厳しいと思います。世界と戦うという意味ではベルトが最低限の交通手形になると思うので、絶対に欲しいです」

──その想いは透暉鷹戦と同じですか。

「いえ、あれから変わりました。情けない話ですけど、透暉鷹選手に負けて、より一層ベルトが欲しくなりましたし、自分がベルトに対してどんな想いを持っているかを再認識しました」

──先ほどベルトは世界で戦っていくための通行手形という言葉もありました。その目標に向かうためにも、ただ試合に勝つだけではなく、自分の可能性を見せられるような試合にしたいですか。

「世界と戦うためにベルトが必要とは言いましたが、実際ただ勝てばいいというものではないですし、そこは試合内容でも判断されると思っています。今回も勝つことには徹しますが、そのうえで倒せる方向に持っていきたいです」

──リスクを負う場面を減らしてフィニッシュすることが理想ですか。

「最近フィニッシュできていなかったので、勝つことは最低条件で、今言われたようによりいい勝ち方をするのが必要なのかなと思います」

──また試合中に興奮して叫ぶ亀井選手が見られそうですか。

「まあ状況によっては(笑)。あれは自分を鼓舞するあれでやっているんで、今回また叫ぶかもしれません」

──また記者会見でも質問がありましたが、24日はRIZINや修斗の興行があり、多くの試合が組まれています。そのなかで亀井選手は圧倒的実力至上主義を見せたいとコメントしていました。そこにはこれからもこだわっていきたいですか。

「はい。パンクラスがそういうイベントですし、もし一つでも実力主義ではないカードが組まれたら僕はガッカリします。僕はパンクラスの硬派なところに誇りを持っているので」

――パンクラスという舞台で、自分がやっている格闘技がこういうものだというのを見ている人たちに伝えたいですか。

「そうですね。自分の試合は勝っても負けても、刺さる人に刺さる試合をするので、それも含めてファンの人たちに見てもらいたいです」

■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分5R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中孝浩(日本)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉ショーン(日本)

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