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【Special】J-MMA2023─2024、世羅智茂─01─「まずレスリングをやる。安易に下にならない」

【写真】強豪揃いのBチームでの練習——写真はニック・ロドリゲス、ハイサム・リダと(C)TOMOSHIGE SERA

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA 2023-2024、第六弾は昨年11月にADCCアジア&オセアニア予選の77キロ級3位となった世羅智茂に話を訊いた。全てはADCC世界大会出場のため――国内外を問わず毎月のように試合に出場した世羅は、海外での試合と練習を経て何を感じたのか。

■2023年世羅智茂戦績

3月26日 Gladiator021 Progressフォークスタイルグラップリング
○8-4 大嶋聡承(日本)

4月29日 Gladiator-Cup03
エリート-77.1キロ級 2位

5月27日 ADCC SouthEast Asia Open 2023
プロフェッショナル77キロ級 優勝

5月28日 AFG Open International 2023
アダルトプロ・アブソリュート紫・茶・黒帯ライト級 優勝

6月11日 Gladiator022  Progressフォークスタイルグラップリング
○2R1分50秒 by 肩固め 加賀谷庸一朗(日本)

7月8日 American National IBJJF Jiu-Jitsu No-Gi Championship
アダルト黒帯ライト級 準々決勝敗退

7月17日 Austin Summer International Open IBJJF Jiu-Jitsu No-Gi Championship 2023
アダルト黒帯ミドル級 3位

9月10日 QUINTET04
●2分13秒 by RNC PJバーチ(米国)

9月30日 Gladiator023  Progressフォークスタイルグラップリング
●2-4 森戸新士(日本)

11月25日 ADCC Asia & Oceania Trial 2023
77キロ級 3位
1回戦 ○肩固め キム・キュンジェ(韓国)
2回戦 ○8-0 アーロン・コミンスキー()
3回戦 ○5-0 シライ・ソウフィ(豪州)
準々決勝 ○2-0 シュ・ワイチン(中国)
準決勝 ●延長0-0/レフェリー判定 リース・アレン(豪州)
3位決定戦 ○3-0 シルクハン・バラトベク(カザフスタン)


――改めて戦績を並べてみると、とにかく試合数が多かった2023年です。もともと昨年はこれだけ試合数をこなしたいと考えていたのでしょうか。

「こんなに試合をするとは思っていなかったです。グラジエイターからプログレスのオファーを頂いたことは大きかったですね。2023年は『海外で試合をしたい』という目標を立てていました。どこに行くかは最初の段階で決めてはいなかったのですが、前に海外で試合をしたのはコロナ禍の前ですし、まず海外で経験を積みたいという目標があって。結果、3回も海外へ行くことができたのは――たまたまですね(笑)」

――というと?

「5月に出場した大会は、タイのバンコクで開催されたものです。これは最近オープンしたカルペディエム・バンコクのオーナーさんから『こういう大会があるのですが出ませんか?』と言われたことがキッカケでした。

まずADCCルールの大会は、自分もADCCアジア&オセアニア予選を目指していたので、ちょうど良いと思ったんですよ。翌日の大会は柔術の大会です。実は今年、あまり柔術の大会に出るつもりはなくて。でも翌日に開催されるし、タイで柔術の大会に出るのも良い経験かなと考えて出場しました。優勝すればカルペディエム・バンコクの宣伝にもなるかなと思い、結果的にどちらの大会も優勝することができて良かったです」

――現在、アジアでADCCルールのオープン大会が増加していますね。

「もともと世界各国で開催されていますが、なかでもアジアは増えてきています。僕が出たのはバンコクの大会で、確かプーケットでも行われているはずです(※2023年12月にプーケットでADCCタイ選手権が開催されているほか、プーケットオープンも存在する)」

――実際に試合をしてみて、タイのグラップリングレベルはいかがですか。

「タイ人の選手は、まだそれほどレベルは高くないです。でもグラップリングの人気は高くなっていると思いますね。特にタイ在住の外国人選手が出場するので、盛り上がっているという印象はありました」

――7月には米国ラスベガスで開催されたアメリカン・ナショナルに出場しました。

T-モバイル・アリーナ、300ドル席からの風景。ADCC世界選手権2024は、この会場で行われる(C)TOMOSHIGE SERA

「UFC290と日程が重なっていたので、参加者も多かったんだろうと思います。会場(ラスベガス・コンベンション・センター)もメチャクチャ大きくて。その大会後にUFCも会場で観てきました。UFCのチケット代は300ドル――今のレートだと日本円で42,000~43,000円ぐらいですか。席は会場の端のほうでしたけど(苦笑)。でも平良達郎選手も出場していましたし、こんな機会は滅多にないと思って観に行きました。日本大会とも違う現地のUFCを観ることができて良かったです」

――世羅選手にとっては久々の海外遠征となりましたが、米国のグラップリングに変化はありましたか。

マット12面のアメリカン・ナショナル会場(C)TOMOSHIGE SERA

「僕がコロナ禍の前に行った時はIBJJFのノーギ・ワールドに出たのですが、正直言ってノーギ・ワールドの盛り上がりは、それほど変わっていないと思うんです。それよりもADCCの注目度とレベルが上がっていて。

ムンジアルとノーギ・ワールドを比べると、ノーギ・ワールドの立ち位置って微妙なところはあるんですよ。たとえばムンジアルで優勝した選手が、ノーギ・ワールドには出ないけどADCCに出ていたりとか。だからといって、ノーギ・ワールドのレベルが低いというわけではないです。やはりグラップリング界の注目度はADCCのほうが高いとは感じますよね。そのADCCやUFCの人気が高まるにつれて、米国のグラップリングもそうですし、ノーギ・ワールドのレベルも上がっているんじゃないでしょうか」

――なるほど。アメリカン・ナショナルの1週間後にはテキサス州オースティンの大会に出場しています。

「アメリカン・ナショナルの後に、オースティンにあるBチームへ練習に行ったんですよ。Bチームにいるハイサム(・リダ)に連絡すると、チームも受け入れてくれました。ちなみに、オースティン・サマー国際にミドル級で出場したのは、減量しながらBチームで練習するのは嫌だったからです(笑)。結果は4名参加の初戦敗退で、負けメダルでした」

――Bチームで練習した感想を教えてください。

「当たり前の話ですけど――やっぱり皆が強いです。盛り上がりも凄いですし。まず単純に、ジムの会員さんが多くて。朝9時ごろから始まるクラスでも、30~40人が参加していました。昼からのクラスも同じぐらいの人数でしたね」

――グラップリングのみで、それだけの人数がクラスに参加するのですか。

元チームメイトであるハイサム・リダの協力を得てBチームへ。偶然も同じタイミングで、米倉大貴もB-チームに(C)TOMOSHIGE SERA

「はい。ニック・ロドリゲスやニッキー・ライアンといった有名選手も、一般会員さんと一緒のクラスでスパーリングに参加していました。そこで練習している会員さんたちも、かなり強い人がいます。特にしっかりレスリングができる人が多かったですね。もちろんレスリングが強くない人もいます。そういった人たちでも、まずレスリングをやろうとする。安易に下にならない、という姿勢で練習していました

もともとレスリングベースの選手も多いですよね。17歳でADCC北米予選を制したドリアン・オリヴァレスも練習に来ていて。彼はもともとレスリングのトップ選手なんですよ。体格的には66キロ級でも小さいほうなのに、レスリングを徹底していて強かったです。サブミッションになると、僕が極めることもありました。でもレスリングが強いし、体力も凄かったです。実際のトーナメントで対戦すると、シンドイ相手だろうなと思いました」

――世羅選手も2023年のテーマとして、レスリング力の強化を上げていました。

「そうですね。僕自身は大学のレスリング部や、レスリング専門ジムの練習に参加させてもらったりしていました。あと偶然のような話ではありますけど、最近はカルペディエムにレスリングをやっている方が練習に来たり、クラスでレスリングを教えに来てくださったり。そうしてレスリングと関わることが増えてきました。MMAファイターの方と練習する時も、何かしらレスリングに関することを学ぼうとしていましたね」

――それだけレスリング力の強化に取り組んできたのも、11月に開催されるADCCアジア&オセアニア予選のためだったのですか。

「そうです。練習だけでなくADCCとは異なるルールの試合でも、ADCCのことを考えながら取り組んできたものを試すように意識していました」

<この項、続く>

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QUINTETが約5年ぶりにナンバーシリーズ開催/前田日明がスーパーバイザー就任/K-1と資本業務提携/桜庭和志の長男大世がプロデビュー戦で内柴正人と対戦

2000年の桜庭和志




 7月18日、打撃格闘技のK-1を主催する株式会社M-1スポーツメディアと、寝技格闘技のQUINTETを主催する株式会社ラバーランドが世界展開に向けて資本業務提携を締結したことを発表した。

 さらに9月10日(日)、横浜アリーナにおいて、K-1とQUINTET初の共同イベント『ReBOOT』を開催することもあわせて発表された。
今回の資本業務提携はMMA(総合格闘技)の寡占状態が続く世界の格闘技市場の中で、打撃格闘技と寝技格闘技のそれぞれの面白さを改めて世界に向けて発信していくという思惑が一致したことが背景にある。日本で生まれたK-1とQUINTETが、共に手を携えてもう一度、世界の中心に向かっていく。そのための戦いが横浜からスタートするのだ。

 早くも期待感あふれる『ReBOOT』でQUINTETは5年ぶりとなるナンバーシリーズQUINTET.4が行われる。


 本日、K-1を主催する株式会社M-1スポーツメディアとQUINTETを主催する株式会社ラバーランドが世界展開に向けて資本業務提携を凍結したことを発表し、あわせて9月10日(日)、横浜アリーナでK-1とQUINTET初の共同イベント『ReBOOT』を開催することをお知らせしました。

 その『ReBOOT』でQUINTETとしては5年ぶりとなるナンバーシリーズ、QUINTET.4の開催を発表。出場チームは桜庭和志率いるTEAM SAKURABA、2代目王者のTEAM 10th Planet、初代王者のTEAM POLARIS、柔術界の名匠ジョン・ダナハー率いる初出場TEAM New Waveの4チームに決定した。世界のトップレベルの選手たちが集結して行われるグラップリングチーム世界一決定戦にご期待ください。

TEAM SAKURABA出場メンバー
桜庭和志
世羅智茂
ハイサム・リダ
中村大介
TBA

TEAM 10th Planet出場メンバー
ジオ・マルティネス
リッチー・マルティネス
PJバーチ
アミール・アラム
カイル・ベーム

TEAM POLARIS出場メンバー
グレゴー・グレイシー
オーウェン・リブジー
マティ・シュジンスキー
センテリ・リリアス
オーエン・オフラニガン

TEAM New Wave出場メンバー
ジヤンカルロ・ボドーニ
アイザック・ミシェル
ブラシド・サントス
リース・ラ・フィーバー
エイブラハム・ラ・モンティン

 さらに、チーム戦の他にもスペシャルシングルマッチとして、内柴正人vs桜庭大世の一戦が決定。桜庭大世は桜庭和志の長男でQUINTET FN6ではSAKU Jr.の名前でエキシビションマッチを行った。今回はプロデビュー戦となる。プロデューサーでもあり、父親でもある桜庭Pは「プロとなった以上は自分が納得するような試合じゃなくてお客さんが納得するような試合をしなきゃいけないというのを頭に入れてやってほしいですね」とエール。どんなデビュー戦の闘いを見せてくれるのか、ご注目ください。

 また、格闘技界のレジェンド・前田日明氏が新たにQUINTETスーパーバイザーに就任したことも発表された。前田スーパーバイザーは「(QUINTET)は将来性のあるスポーツ。オリンピックの中に柔道とは別にQUINTETのような寝技の種目ができたらいい」と意気込みを語りました。これまで世界のまだ見ぬ強豪を発掘するなど世界中に広いネットワークを持つ前田氏の手腕に期待が高まる。

 そして、9.10横浜アリーナ「ReBOOT~QUINTET.4~」でリスタートを切るQUINTETは今大会を皮切りにK-1と同様にWORLD GP構想を計画中。2024年はK-1の海外地区予選とコラボしてQUINTETの地区予選も共同開催予定です。日本が世界の格闘技をもう一度、面白くするべくK-1と共に手を携えて世界の中心に向かうための戦いがスタートいたします。ぜひ、ご期待ください。

 9月10日に横浜アリーナで開催する共同イベント『ReBOOT』内で『QUINTET.4』が開催されます。QUINTETの開催は2021年7月の『QUINTET FIGHT NIGHT7 in TOKYO』以来2年2ヶ月ぶり。ナンバーシリーズは2018年10月にネバダ州ラスベガスで開催された『QUINTET.3』以来4年11ヶ月ぶり。K-1と資本業務提携ということは、UFC Fight Passでの配信はもう無さそうです。



 K-1は同じく9.10横浜アリーナで無差別級8人トーナメント『ReBOOT~K-1 ReBIRTH~』を開催。プロデューサーは中村拓己氏に代わりカルロス菊田氏が就任。また、極真会館との提携も発表されています。続きを読む・・・
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MMA MMAPLANET o UFC UFC FPI04   ハイサム・リダ ヒョードル・ニコロフ

【UFC FPI04】うん? Fastest Escape?? ハイサム・リダは延長ラウンドで、ヒョードル・ニコロフに下る

<無差別級T1回戦/8分1R>
ヒョードル・ニコロフ(ロシア)
Def.OT by Fastest Escape
ハイサム・リダ(ガーナ)

サンクトペテルブルクの10thPlanetグラップラー=ニコロフとハイサム、立ちレスが続き30秒を前にしてニコロフがフライングシザースを狙う。外したハイサムは、下になったニコロフから即パスを決める。ニコロフは足を戻し、ハイサムがスタンドに戻る。ここでハイサムはジャンピンガードから下を選択し、クローズドガードを取る。オープンになると、すかさずハイサムは立ち上がった。ニコロフはジャンピンガードをすかされ、スタンドが続く。

残り20秒でゲットダウン発令の声が掛り、ハイサムが引き込む。ニコロフの右を足を狙い、足を抜きに掛かったところでスイープを決めたハイサムだが場外近くということで、なぜかスタンド&中央で再開された。組手争いが続き、ついにゲットダウンに。コイントスでハイサムがバタフライガードを選択する。

すぐにクローズドからヒップスロー、ハイサムがマウントを取るもニコロフが腰を押して足を戻す。ニーシールズのニコロフはリバースデラとのコンビネーションで下からコントロールへ──ハイサムは立ち上がった。残り1分を切り、ハイサムが引き込み右足を狙う。片ヒザでしっかりポスチャーを取るニコロフ──もう両者はOTを考えた試合運びに変わった。

先行ハイサムはスパイダーウェブも13秒でエスケープを許した。ニコロフもスパイダーウエブを選び、ハイサムが腕を抜いたがタイムモニターが働いておらず、時間は不明だった。セカンドタームでは、ニコロフは28秒で腕を抜く。後攻ニコロフもスパイダーウェブを選び、ハイサムは5秒でエスケープした。

サードターム、ここもタイム表示はなく素早くニコロフが防ぎ、最後はタップ狙いでニコロフはシートベルトを選択。1分40秒で胸をエスケープしたハイサムだったが、ファーステスト・エスケープで初戦敗退となった。

一本同士なら、極めるまでの時間が短かった選手。片方がタップを奪ったなら、タップを取った選手。互いに一本を許さなかった場合は、合計エスケープタイムが短い選手──が勝利となるという認識だったが、タイム表示とタイムコールがないなかでFastest Escapeというコール──これは、エスケープをしたなかで最短時間だった1つのタームで判断されたのか、ハイサムも敗北に怪訝な表情を浮かべた。

ターム毎にエスケープタイムの表示がなく、コールもない。勝敗の流れが分らないまま漫然としたウィナーコールだったが、ハイサムは初戦敗退という結果に終わった。


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【UFC FPI04】魂の耐久戦を戦ったスミスがテイシェイラと再戦。NCAAを2度制したブラボーヤングも注目!!

【写真】こんな攻防は絶対にない。ではどのような我慢合戦が見られるのだろうか (C)Zuffa/UFC

29日(木・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC FPI04。フィリッピ・ペナ✖クレイグ・ジョーンズのメインを筆頭に$3万が懸かった無差別級Tなど、世界のトップグラップラー&新鋭が集結する同大会では、MMA色の強いワンマッチも組まれている。

それがコメインで組まれたグローバー・テイシェイラ✖アンソニー・スミスのヘビー級マッチとフェザー級のローマン・ブラボーヤング✖アレックス・ペレスの2試合だ。


2020年5月、まだ未知の病原菌としてコロナの脅威が全世界を襲っていた頃にテイシェイラとスミスはUFN171──活動再開第2弾──のメインで戦っている。序盤の拮抗した勝負から3R以降はテイシェイラが、スミスをコントロールし徹底的にパウンドで痛めつけ、辛くも2つのラウンドはサバイブしたスミスが遂には最終回に仕留められている。

とはいってもスミスの粘りは驚異的でしかなく、今回は3年の時を経てグラップリングで両者が再び相対する。

ヘビーパンチャーのテイシェイラだが、柔術も黒帯で組み技競技の出場でいえば時を14年も遡るが、2009年のADCCブラジル予選で優勝し、同年にバルセロナで開かれた世界大会にも出場している。ばかりか、99キロ級で4位に輝いている。

続く2011年度の挑戦はブラジル予選で準優勝に終わり、2019年末のQuintet UltraまでテイシェイラはMMAに専念してきた。その後2021年10月にはUFCヘビー級王座となっていることは、周知の事実だ。元世界王者テイシェイラのグラップリング力は、スミスを上回ると予想される。とはいってもキャリア36勝(※18敗)のうち、14勝が一本勝ち(※KO勝ちは20度)のスミスも、極め力は相当なモノがある。

膠着無用、スタンド回避のサブオンリー・ルールでは、当日のコンディションも大いに勝敗を左右するものだが、5分3R制でなく、インターバルがないことも勝敗の鍵となるに違いない。43歳のテイシェイラを34歳のスミスが動かす試合となれば、マット上でのリベンジも大いにあり得るだろう。

またフェザー級戦ではフライ級タイトルコンテンダーのペレスが、ペンシルバニア州立大時代にNCAA D1を2度制したブラボーヤングの初のグラップリング戦(現地では初の柔術マッチと喧伝されている)の相手を務める。

レスリングベースのペレスは、ジヴァ・サンタナに長年に渡り柔術の手解きも受けており、サブミッション・レスラーとしての側面も持つ。対してブラボーヤングは大学を卒業後、フリースタイルでパリ五輪を目指す立場でありながら、レスリングのキャリアを全うした後にはMMA転向を既に宣言している。

このブラボーヤング、2020年の12月にアルジャメイン・ステーリングと6分間のフリースタイルレスリングの後、3分間のグラップリングというガチのエキシビションマッチを経験。レスリングでは6-4でリードし、グラップリングではRNCで敗れている。

いずれケージに足を踏み入れるであろうブラボーヤングは133ポンドでNCAAを制しており、ペレスはフライ級ファイターということを考えると、フェザー級契約はフィジカル的にはブラボーヤングが優位という見方も成り立とう。

レスラーとしてはフットワークを駆使し、シングルレッグやアンクルピックなどに強味を発揮するブラボーヤングは、ドミニク・クルーズともトレーニングもしてようだが、如何にペレスの柔術的な動きを断ち切ることができるのか──焦点はズバリこの一点に掛かってくる。つまりは、ペレスが引き込む可能性は十分にある対戦だ。

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

■UFC FPI04対戦カード

<ヘビー級/20分1R>
フィリッピ・ペナ(ブラジル)
クレイグ・ジョーンズ(豪州)

<ヘビー級/10分1R>
グローバー・テイシェイラ(ブライジル)
アンソニー・スミス(米国)

<ヘビー級/10分1R>
ニコラス・マレガリ(ブラジル)
ホベルト・サイボーグ・アブレウ(ブラジル)

<フェザー級/10分1R>
ローマン・ブラボーヤング(米国)
アレックス・ペレス(米国)

<140ポンド契約/10分1R>
ヘレナ・クレヴァー(米国)
エミリー・フェルナンデス(米国)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ロベルト・ヒメネス(米国)
ニック・ロドリゲス(米国)

<無差別級T1回戦/8分1R>
フィリッピ・アンドリュー(ブラジル)
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ヒョードル・ニコロフ(ロシア)
ハイサム・リダ(ガーナ)

<無差別級T1回戦/8分1R>
ガブリエル・アウジェス(ブラジル)
ダン・マナスー(米国)

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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【UFC FPI04】メインはクレイグ✖ペナ。陽性→IBJJF系大会3年出場停止のアブレウはマレガリと対戦

【写真】去年のADCC出場時のサイボーグ・アブレウ。ADCCはステロイドフリー。MMAではドラッグテストに莫大な費用を投じているUFCも、グラップリングでは世の趨勢に従うのか (C)SATOSHI NARITA

9日(木・現地時間)に開催&配信されるUFCファイトパス・インビテーショナルの展望後編。
Text by Isamu Horiuchi

ハイサム・リダが出場するトーナメントの見所に続き、今回はメインで組まれたクレイグ・ジョーンズ✖フィリッピ・ペナを戦の行方を占い、ニコラス・マレガリと戦うホベルト・アブレウのステロイド問題について言及したい。

<UFC Fight Pass Invitational04展望Part.01はコチラから>


まずジョーンズ✖ペナ戦は、長きに渡り世界のトップグラップラーとして揺るぎない地位を確立している両者だが、意外にもこれが初対決となる。

世界屈指のガードプレイヤー、ペナは昨年のADCCの最重量級準決勝にてジョーンズの盟友ニック・ロドリゲスと対戦。ボディロック取られて完全パスガードを許して敗戦した。が、今年の2月のWNOの再戦ではより強固なニーシールドと腕のフレームを駆使してパスを許さず、一進一退の攻防の末に僅差の判定勝利、リベンジに成功している。

対するジョーンズは、昨年のADCCは99キロ以下級に準決勝でニコラス・メレガリに競り勝ったものの、決勝でカイナン・デュアルチが繰り出した、膠着ペナルティ上等の強烈な抑え込みの前に屈して以来の試合出場だ。

ジョーンズのチームメイトのニッキー・ライアンらは「前戦では(足関節のスペシャリストではない)ニック・ロッドがペナから外ヒールを取りかける場面があった。ならばクレイグなら下から足を絡めて極めることができるだろう。できなくてもOTで勝てるのではないか」と予想する。

確かにサブミッション・オンリーで、さらに立ち技での膠着も許されない今回のルールは、スイープの名手ペナよりも極め業師のジョーンズにとって本領といえるだろう。

それだけに、ペナの出方──上から足を攻撃される危険を冒してでも自ら引き込み良い形を作りにゆくか、それともジョーンズの仕掛けを待って対応するのか。はたまた上下をコイントスに委ねてバタフライ&アンダーフックの攻防を挑むのか──が興味深い。

この他、ワンマッチでも注目すべき試合が組まれている。まずジョン・ダナハーのもと昨年からノーギ・グラップリングに進出して目覚ましい活躍を見せているニコラス・メレガリと、2013年ADCC世界大会無差別級優勝をはじめとした輝かしい実績を誇る42歳のサイボーグことホベルト・アブレウの試合も組まれている。

アブレウは昨年末のノーギ・ワールズで6度目の優勝を果たしたものの、薬物検査に引っかかり優勝剥奪&3年間の出場停止処分を下された。

それを受けて「私は確かに長年HRTホルモン補充療法を受けている。これは私のような30歳を過ぎた選手が、試合に出続けるためにハードな練習と回復を可能にするために必要であり、有益だ。IBJJFは選手に賞金を出してくれないから、私は金を稼ぐには何も検査のないプロイベントで、(薬物を使ってくる)より若く大きい選手と戦い続けなくてはならない。そもそもIBJJFが王者だけを検査すること自体が不公平ではないか」と、随分と開き直った声明を出したことで波紋を呼んだ。

薬物使用の是非はともかくとして、IBJJFと同様にUSADA(米国アンチドーピング機構)が行う薬物検査を採用するUFCの名を冠するこのイベントにて、アブレウの出場が許可されているという事実は留意しておくべきだろう。

ちなみにアブレウの盟友にして、やはり昨年末のテストで陽性となってなお今回のトーナメントにエントリーしているヴァグネウ・ホシャについても状況は同様だ。

アブレウ同様HRTを受けていることを公言しているホシャと、自らトップグラップラーとしては少数派である「ナチュラル」であることを大いにアピールするヒメネスの対戦が今回実現したら、正反対のイデオロギーのぶつかり合いとなる。

同じUFC傘下とはいえ、UFC本戦とUFCが行うグラップリングイベントである今大会は、まったく異なる統括原理のもとで開催されているということなのだろう。

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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【UFC FPI04】立ちレス強制終了ルール適用UFCファイトパス招待TにB-TEAM移籍のハイサム・リダが出場

【写真】2021年のハイサム旋風を再び巻き起こすことができるか!! (C)SATOSHI NARITA

9日(木・現地時間)、東部時間の午後9時よりUFCファイトパスにて、グラップリング大会UFCファイトパス・インビテーショナル(FPI)04が配信される。
Text Isamu Horiuchi

強豪選手を集めたシングルマッチと優勝賞金3万ドル(※約430万円)が掛かった8人トーナメントを同時開催するこの大会は、トーナメントは本戦8分、メインカードのシングルマッチは本戦20分のサブミッション・オンリールールで争われる。

本戦で決着がつかなかった場合には、攻撃側と防御側に分かれて極めとエスケープの速さを競うEBI形式のオーバータイム(OT)で勝敗を決める。


UFC FPIルールの特徴は、立ち技の攻防が続くことを防止するための「ゲットダウン」ルールが採用されている点にある。スタンドの攻防が1分間続いた場合にはレフェリーが強制的にブレイクし、選手はバタフライガード(下の選手は双差しで相手の背中で手を組む)の上下に分かれて、(選択権はコイントスで決められる)寝技から攻防が開始されることとなる。

さらに、寝技の攻防で膠着を誘発する選手には積極的に警告やペナルティ(1回につき、OTにおいて自らのエスケープ時間を1分間加算される)が与えられ、選手たちは常に組技でのアクションを促されることとなる。

今回のトーナメントの参加選手は以下の通りだ。

ハイサム・リダ(ガーナ)
ダン・マナスー(米国)
フィリッピ・アンドリュー(ブラジル)
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)
ガブリエル・アウジェス(ブラジル)
ヒョードル・ニコロフ(ロシア)
ニック・ロドリゲス(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)

日本のファンにとって嬉しい知らせは、昨年12月のUFC FPI03に続いてのハイサム・リダのエントリーだ。米国移住後、デトロイトのアセンブリー柔術を拠点としてメジャーグラップリング大会で活躍をしてきたハイサム。昨年のADCC世界大会最重量級1回戦では、超大物ホベルト・アブレウからわずか75秒で腕十字を極めてみせ、世界にその恐るべき潜在能力を知らしめた。

が、2回戦ではルーズベルト・ソウザのテイクダウンに敗れ、また無差別級では階級下のジャンカルロ・ボドニにガードをパスされ、完全制圧された上で腕を極められてしまう等、発展途上な側面が露呈してしまったことは否めない。前述のFPI 03においても、やはり階級下のパトリック・ガウジオの三角絞めの前に初戦敗退となってしまった。

そんなハイサムは、今年4月末にデトロイトを離れてテキサスのB-Teamに移籍することを決意。「負けが続いて、自分の戦いをみんなに知られてしまっていることが分かった。新しい技術を身に付けなければいけないと思った。そのためにここ以上の場所はない。僕の弱点、やるべきことは自分でも分かっている。突然強くなるはずもないから、多くのドリルやスパーリングを重ねてゆくよ」とハイサムは語る。

実際、クレイグ・ジョーンズ、ニック・ロドリゲス、ニッキー・ライアンといった世界最高峰のグラップラーが所属するB-Teamは、これまでハイサムの大きな課題であった各要素──テイクダウン、足関節、柔術ファンダメンタル=パスガードの攻防──に優れた選手たちが集い、特に足関節とパスガードの技術においては世界最先端を行く集団だ。

重量級として突出した瞬発力とダイナミックな極めを持つハイサムが、真のコンプリート・グラップラーとなるためにはまさに最善の選択だろう。

持ち前の明るい性格であっという間にチームに溶けこみ、また道場前に駐車した自分の車を荒らす泥棒を追いかけ、素手で取り押さえるという経験までしたというハイサムは、今回が移籍後初戦となる。本人も語るように、わずか数ヶ月の練習で全てが劇的に変わるものではないだろうが、ガーナ生まれの少年が、日本~デトロイト~テキサスと移動し世界の頂点を目指す旅の新章の幕開けとして、今大会は注目だ。

そしてこのトーナメントには、ハイサムを受け入れたB-Teamの重量級エース、ニック・ロドリゲスもエントリーしている。ハイサムの加入について「僕と同体格で、同じように高い身体能力を持ったパートナーが得られて最高さ。ハイサムは自分のエゴを試合では勝つために上手く使うけど、練習ではシャットダウンし、いつも笑っているんだ」と大歓迎の様子だ。

前回大会で世界最強のグラップラー、ゴードン・ライアン相手にOTに持ち込み、eエスケープタイム時間差で敗れたもののチョークを極めかける場面を作ったロドリゲスが本命であることは間違いない。

チーム加入前、練習に訪れたハイサムとのスパーリング動画が公開されているが、そこでは──あくまでお互い、勝ち負けではなく技術の向上を目指した手合わせにおいて──ロドリゲスがボディロックからパス、マウントを奪い上からの三角で極めているシーンがある。今回ハイサムとの同門対決が実現した場合、お互い手の内を知り尽くしているからこそ、当時よりさらにステージの上がった攻防を期待したいところだ。

さらに直前になって、ペドロ・ホシャに代わりロベルト・ヒメネスがエントリーされたこともこのトーナメントの期待感を増している。どのポジションからもダイナミックに極めを狙いにゆくヒメネスと、同様のスタイルを最重量級で実践するハイサムの対戦が実現すれば、好勝負となることは必至だ。

他にも世界王者レベルのグラップラーたちが続々と名を連ねるこのトーナメントでは、ジョン・ダナハー門下の22歳の巨漢ジョン・マナスー、10th Planetセントペテルスブルグ支部のヒョードル・ニコラスといった新顔の戦いぶりにも注目だ。

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ジャンカルロ・ボドニ タイ・ルオトロ ニコラス・メレガリ ハイサム・リダ

お蔵入り厳禁【ADCC2022】無差別級 タイ・ルオトロ、今大会道着柔術最強メレガリ相手に奮闘の準決勝

【写真】体格差だけでなく、ノーギの慣れとファウンデーションの強さでタイを下したメレガリ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第21回は――お蔵入り厳禁、今大会の出場者のなかで道着柔術最強といっても過言でないニコラス・メレガリとタイ・ルオトロが対戦した無差別級の準決勝の模様をお伝えしたい。


もう一方のブラケットを勝ち抜きタイとの準決勝まで上がってきたのは、99キロ以下級で3位入賞したニコラス・メレガリだ。

初戦はヴィニシウス・フェレイラ相手に下から足を取りにゆくと、勢いよくスピンして引き抜いたフェレイラが左ヒザを負傷してしまい棄権。メレガリが次に駒を進めた。二回戦でメレガリを待っていたのは、同門にして88キロ以下級を圧巻の強さで制したジャンカルロ・ボドニだ。

ボドニは初戦では、一年前のWNOチャンピオンシップの重量級3位決定戦で僅差で敗れているハイサム・リダと再戦。そのボドニ、ハイサムのオープンガードを丁寧に捌き、体を二つ折りにしてレッグドラッグから背後にまわる。

ハイサムの左腕を両手で掴んで動きを制した後、裏返して後ろ三角絞めをロックしたボドニ。最後は孤立した左腕を捻り上げ、4分少々で一本勝ち。最重量級のハイサムの動きを完全に封じたまま、詰将棋の如く一手ずつ進めて極めまで持っていくという、恐るべしとしか言いようがない技術の高さと圧巻の強さを見せつけた。

ボドニとの同門対決となったメレガリの2回戦。まず小外刈りを内股で切り返されてしまったメレガリだが、下から足を絡めて上を取ると、レッグドラッグからパスに成功。

加点時間帯に入ってからニアマウントからバックに回ってフックを入れ、さらにそれを入れ直す形でリードを6点に広げた。

その後エスケープに成功したボドニにスタンドでテイクダウンを仕掛けられると、あまり抵抗せず下になったメレガリは、得意のガードで残り時間をやり過ごしてチームメイト対決を制し、ルオトロとの注目の準決勝に駒を進めた。

<無差別級準決勝/10分1R>
ニコラス・メレガリ(ブラジル)
Def ExR by Reff decision
タイ・ルオトロ(米国)

スタンドにて、お互い頭に手をかけてはいなし合う展開が続いた後、身長で勝るメレガリが小手に巻いての内股へ。綺麗にタイの体を舞わせたが、タイはヒザを入れて距離を取り、右腕でフレームを作り立ち上がった。

さらにスタンドの攻防が続くなか、メレガリがやや腰高のままタイの右足を掴みながら前に。と、今度はタイが小手からの内股でカウンター。メレガリの体を前に崩すと、次の瞬間必殺のダースチョークをロックオン。

場内の興奮が一気に高まるなか、腕が深く食い込み絶体絶命かと思われたメレガリだが、右腕を張って距離を作って脱出。そのまま体を預けて上を取るメレガリに対し、タイはバギーチョークを狙う。が、メレガリは大きな上半身を引いて逃れてみせた。

そこからしばらく、右でニースライスを仕掛けるメレガリのプレッシャーを、タイが下から耐える展開が続く。やがて試合が加点時間帯に入り、タイは両腕のフレームで距離を作り、さらに脇を差しながら立ち上がった。体格差のあるメレガリ相手に、さすがのスクランブル能力だ。

その後もスタンドで積極的にフェイントから仕掛け合う両者。やがてメレガリが前に出てボディロックを取ると、タイは小手投げでカウンター。が、これを耐えたメレガリはタイの背後にまわる。ここから高々とリフトしてグラウンドに持ち込もうとするメレガリだが、タイはすぐに立つ。

それでも背後に付き続けるメレガリ。タイが自ら前方に倒れてのスクランブルを試みると、巨体を浴びせてハーフネルソンからタイの体を返してフックを狙う。が、タイは一瞬早く体を翻して立ち上がってみせ、場内からは再び大きな歓声が上がった。

その後メレガリは、再びタイの右足に手を伸ばして抱えると、タイの軸足を豪快に刈ってのテイクダウン。スクランブルを試みるタイの背後に付く――や、タイは前転狙い。体重を浴びせてそれを許さないメレガリと、前転して足を取りたいタイの攻防が続く中で本戦が終了した。

スタンドから再開された延長戦。タイはヒザを付いてのダブルレッグへ。深く入りそのままドライブを試みるが、メレガリは倒れず、右の前腕で距離を取って防いでみせた。これは体格差がものを言った。

さらにスタンドの攻防が続き、またしてもメレガリが長い手を伸ばしてタイの右足をキャッチ。そのまま前に出て体を預けて倒し、亀になったタイに背後から覆いかぶさってバックを狙う。が、タイはここもスピンして体をずらし、襷を作ろうとするメレガリの腕を自分の腕で押しのけながら正対してみせた。

下になりかけたメレガリは腕で距離を作って立つが、すかさず迫ったタイは背後からボディロック。が、メレガリは豪快に巨体を舞わせて前方にダイブ。体のグリップを切って立ち上がる。

その後の残り2分、お互いスタンドでフェイントをかけ、手や足を飛ばし合いシュートインを試みるなかで試合終了。激闘を繰り広げた両者を、場内は大歓声で称えた。

レフェリー判定はメレガリに。スタンドでのテイクダウン狙いからタイを亀にさせる場面を数回作ってみせて、背後からフックを狙う時間も長かったので妥当な裁定だろう。

一方、惜しくも敗れたタイ。大きな体格差のあるメレガリ相手に抑え込まれることなく、15分間最後までペースを落とさず動き続けたそのスタミナとスクランブル能力は、驚異としか言いようがない。2回戦のペナからの勝利も併せて、階級別初戦敗退のショックを払拭するに余りある活躍ぶりだった。

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MMA MMAPLANET o UFC ハイサム・リダ

【UFC FPI03】あぁ~ハイサム・リダ、パトリック・ガウジオの三角絞めで1回戦負け

<アブソリュート級T準々決勝/8分1R>
パトリック・ガウジオ(ブラジル)
Def.6分14秒by三角絞め
ハイサム・リダ(ガーナ)

立ちレスから一旦ガウジオが離れると、ハイサムも座ってすぐに立ち上がる。1分が経過し動きがなかったためコイントス、下になったハイサムがバタフライガード&ダブルアンダーフックの状態で試合がリスタートする。クローズドガードを取ったハイサム、ガウジオが立ち上がるがすぐにヒザをつく。

立ち上がったガウジオに対し、足を払ったハイサムのスイープ狙いで試合がスタンドに戻る。ガウジオが座り、Zハーフガードを取る。互いにリストを取り合う中でハイサムは前転して動きを創ろうとする。ガウジオがデラヒーバから内回り、下のハイサムはXガードからスクランブルで上下が交代する。残り2分、ガウジオがクローズドからオープン、三角を狙う。頭を引き寄せつつ、上を取ったガウジオはロールして逃れようとハイサムに対して、足をしっかりと組み直してタップを奪った。


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ADCC2022 MMA MMAPLANET o UFC アンディ・ヴェレラ オリバー・タザ ニック・ロドリゲス ハイサム・リダ パット・シャウゴリ パトリック・ガウシオ ブログ マイク・ファウラー リッチー・マルチネス

【UFC FPI03】無差別級Tにハイサム・リダ出場。本命はニッキー・ロッド。ヒザ破壊神童=シャウゴリに注目

【写真】果たしてハイサム✖ニッキー・ロッドの決勝は実現するのか。それとも怖い16歳が割って入るのか (C)SATOSHI NARITA

15日(木・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFC Fight Pass Invitational 03。ゴードン・ライアン✖ヴィニー・マガリャエスが組まれた同大会では賞金2500ドル=約340万を賭けたアブソリュート・トーナメントが実施される。

その出場メンバーは以下の通り。

ハイサム・リダ(ガーナ)
パトリック・ガウジオ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
パット・シャウゴリ(米国)
ニッキー・ロドリゲス(米国)
アンディ・ヴェレラ(米国)
リッチー・マルチネス(米国)
オリバー・タザ(カナダ)

MMAファイターの名前がない──ガチすぎ、まさに純粋グラップラーの祭典となっている。


このなかにハイサムの名前があることが、まず嬉しい限りだ。もとはQuintetのベガス大会出場により、米国で入国が可能になるビザが下りたことで、ハイサムは日本を離れて世界的に活躍する第一歩を踏み出した。その彼がUFC FPIで重要視されるだけの力と認知度を米国でつけたことになる。

道着、ノーギともにIBJJF系のトーナメントで結果を残すだけでなく、優勝の二文字は手にしていないがWNOやADCCというビッグトーナメントで記憶に残る活躍をハイサムはしてきた。9月のADCC世界大会も2回戦敗退ではあったが、初戦で2013年のADCC無差別級優勝及びノーギワールズ7度優勝(※先週末にウルトラヘビーを制し8つめのタイトル奪取)のホベルト・アブレウを僅か75秒腕十字で下している。

この一勝はいわば表彰台の2番目や3番目に負けない価値があり、ハイサムの名は北米グラップリング界で絶対なモノになったといえる。

既にトーナメント枠は発表されており、ハイサムが初戦で戦うのはブラジルのパトリック・ガウジオだ。ムンジアル優勝経験はないがミディアムヘビー級で2度準優勝になっているガウジオは、カーウソン・グレイシー系の黒帯柔術家ファビアノを父に持つ、生まれつき柔術家だ。とはいえノーギでは、今年のADCCで注目のエルダー・クルーズにレフ判定で敗れ、初戦敗退するなど、オープンガードの名手もハイサムにとっては、手堅くクリアしたい相手といえる。

トーナメント全体を見て、ハイサムの最大のライバルはニッキー・ロッドことニック・ロドリゲスになることは間違いないだろう。

ADCCではハイサムと同階級の99キロ超級に出場し、決勝でゴードン・ライアンのヒールに敗れたものの、フィリッピ・ペナを破るなど既に実力的には真のワールドトップクラスにある。D3レスラーだったニッキー・ロッドは、2018年の夏に柔術を始めると3カ月後にはダナハースクワットに合流、今やB-TEAMとなったため袂を別ったゴードン・ライアンらとのトレーニングにその才能が一気に開花した。

ADCC米国東海岸予選は3位に終わるが、西海岸予選を勝ち抜き世界大会へ。2019年のADCC世界大会99キロ超級でカイナン・デュアルチにファイナルで敗れたものの青帯で準優勝という金字塔を打ち立てている。その後もPolarisでルーク・ロックホールド、WNOでユーリ・シモエスらを下し、今大会に出場するメンバーではADCC2022でヴェレラに17-0で圧勝している。

レスリングと柔術を融合させ、トップゲームや下からのリバーサルにも絶対的な強さを持つニッキー・ロッドは初戦の相手がヴェレラで、準決勝も10thPlanetのベテラン=リッチー・ブギーマン・マルチネスと最軽量オリバー・タザ戦の勝者が相手となるために、ファイナル出場は固いと思われる。

だからといってハイサム✖ニッキー・ロッドの決勝戦が簡単に実現するかといえば、ここに要注目の選手が割って入る。それがパット・シャウゴリだ。EBI20=アブソリュートでは2回戦のOTで敗れたが、その敗戦後に紫帯を贈られた16歳。シャウゴリは10thPlanet内予選でチームの同朋を50/50 からヒールフックで破壊しまくり本戦出場を手にした。

あまりにえげつない内ヒールで、チームメイトを負傷に追い込むスタイルが論争を呼んだシャウゴリは、体系的には完全に太っちょ、あんこ型でサブオンリーどころか足関ゲームに適したパワーグラップラーという見方が成り立つ。とにかく50/50に取り、逆足を狙いつつ一瞬でも隙を見せるとカカトを捻り上げて、即・ヒザを破壊する。

当然相手の攻めを凌ぐディフェンス能力もアカデミー内予選では見せていたが、その防御力が今回の出場選手に通用するレベルかどうかは不明だ。ルール的に90秒膠着が続くと、コイントス→下を選ぶとバタフライガード&ダブルアンダーフックという形を取れることはシャウゴリに優位に働くという見方も成り立つが、果たして──。

16歳のヒザ破壊神童は超破壊力のある一発屋、ホームランか三振の可能性もあるだけに、その力を見極めるには1回戦で当たるSUG無差別級王者マイク・ファウラーは最適といえるだろう。

■視聴方法(予定)
12月16日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC Fight Pass

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ハイキ・ジュシラ ハイサム・リダ ルーズベルト・ソウザ ヴィクトー・ウゴ

【ADCC2022】99キロ超級 組み技人類最強=ゴードン・ライアン、初戦&QF=極めてもポイントでも盤石

【写真】これがケイド・ルオトロのいう──爆発力でない、アイソメトリック・ストレングスの強さなのか(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第17 回は最重量級=99キロ超級に出場した現代グラップリング最強の男ライアン・ゴードンの初戦と準々決勝の模様をお伝えしたい。


<+99キロ級1回戦/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.5分48秒 by RNC
ハイキ・ジュシラ(フィンランド)

言わずと知れた優勝候補本命のゴードンは初戦、フィンランドのハイキ・ジュシラと対戦。ごくリラックスした風情ですぐに座ったゴードンは、ハーフでジュシラの左足に絡むと、ゆっくりした動作で右腕を相手の右ワキに入れると、瞬時に引き寄せてのアームドラッグで崩し、あっさり背中につくことに成功した。

亀になったジュシラからシングルバックを入れたゴードンは、さらに上からジュシラの右をハーフネルソンで固めて体勢を崩し、両足フックを狙う。

ジュシラが亀に戻るが、ゴードンは慌てず騒がず上に乗り続けて両足フックを完成。再びネルソンでジュシラの体勢をしてから襷に移行。完全コントロールをした上でじっくりチョークを狙ってゆく。ジュシラも粘り強く守り、たびたび体勢を立て直して亀に戻るが、そのたびにゴードンはしっかり重心をかけては潰してゆく。

やがてジュシラの右腕を右足で絡めて殺したゴードンは、ワキの下から差し込んだ左手でジュシラの左腕もコントロール。両腕を制した上で、無防備な首に右腕を手首からじわじわ入れてゆき、最後はジュシラの肩を掴んで片腕で絞めるチョーク。

6分足らず。着実に手順を踏んで相手を詰めてゆく隙のない戦いぶりで、ゴードンが危なげなく初戦を突破した。

2回戦のゴードンの相手は、昨年と今年の世界柔術最重量級を2連覇している強豪ヴィクトー・ウゴだ。

ウゴは一回戦でルーマニア代表にしてダナハー軍所属のダン・マナソーユと対戦。本戦残りわずかのところで足関節狙いを凌いで素早くシットアップして双差しから上になったウゴは、失点を避けようと亀になったマンソーユに両足フックをイン。残り10秒ほどのところで先制点を取り3-0で勝利している。

<+99キロ級2回戦/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def. by 8-0
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

まずはスタンドで立ち会う両者。お互い手四つで組み合い、首を取って足を飛ばし合う攻防の後、ウゴがクローズドガードに飛びついた。

ウゴはゴードンの右ワキをすくって腕ひしぎ腕固めを狙うが、ゴードンは慌てず立ち上がり、左腕を使って解除。そのままウゴのガードを押し下げて開かせると、両足を上から抑えてパスを狙ってゆく。

ウゴは下からウェイターの形でゴードンの右足に絡むが、ゴードンは体重を前にかけて潰すと、スライディングするようにウゴの右足に片足担ぎ。ウゴがそれに応じて動いて正対を試みると、ゴードンは方向を変えて左足でステップオーバー。

ウゴの左足を超えると、さらにもう一度左足でまたいでマウントに。流れるようなムーブだ。それでも懸命に上体を起こそうとするウゴ。が、上半身のプレッシャーで潰したゴードンは、胸を合わせてヘッド&アームで押さえ込み、完全コントロール達成。

常に相手の一歩先を行く隙のない動きで、相手を制してみせた。

マウントから両ワキを差し、相手の腕を上げさせながらせり上がる得意の形を狙うゴードン。ウゴは下から懸命に動いて半身になり、ハーフで足を絡めてゆく。が、ゴードンは意に介さず上から低く密着し、プレッシャーをかけ続けていった。

やがて加点時間帯に入ると一度は距離を取ったゴードンは、改めてウゴの足を押さえつけながら軽快なフットワークで左に回る。やがて上四方の体勢になると、抵抗して上体を起こしたウゴの背後に付き、フックを狙ってゆく。

これを嫌ったウゴが半身になると、ゴードンはすかさず体重をかけながら両ワキを差し、強烈なプレッシャーでウゴのワキを開けさせてマウントを奪取した。またしてもゴードンは常にウゴの一手先を行き、逃げ道を潰した上でポジションを制圧したのだった。

そのままじっくりウゴの両ワキを開けさせるゴードン。一度ウゴに足を絡ませてからまたマウントに入るなどして、スコアは8-0となる。やがてウゴのワキを開けさせたまませりあがったゴードンは、Sマウントから腕十字を狙いへ。ここでウゴは素早く立ち上がってゴードンを押してゆき、試合はスタンドに戻った。

残り3分。スタンドで前に出るウゴの首をゴードンが引くと、ウゴは抵抗せずに亀になり、すぐに正対。得意のガードワークで状況の打開を狙うつもりのようだ。対するゴードンは、先ほど同様に上からウゴの両足を押さえつけて体重をかけてゆく。

ウゴは右足に絡むハーフを作り、ワキを差す形を作ると、ゴードンはウィザーで上から体重をかけてゆく。ウゴがインバーテッドでそのプレッシャーを流して正対すると、再びじっくり両足を押し下げてのパスを試みるゴードン。

やがてウゴは下からゴードンの右足を掴んで引き出して50/50を作るが、この形はゴードンもお手の物、内ヒールで逆襲する。それをウゴが防いで距離を取ると、ゴードンはそのまま下にステイ。残りの時間、ウゴは飛びつき三角やストレートレッグロックを試みるが、ゴードンに受け流されて試合は終了した。

一本勝ちこそ取れなかったものの、世界柔術最重量級現役王者にやりたいことを何もさせずに完全制圧。世界最強グラップラーの名に相応しい完成された技術を見せつけたゴードンが、ハイサム・リダを下したルーズベルト・ソウザとの準決勝に駒を進めた。

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