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【Finish05】寒河江とドローの上久保周哉「試合は個人的にはあってもなくても、どっちでも良い」

【写真】マイペース、我が道を往くファイターがここにも(C)MMAPLANET

13日(日)に東京都港区のリバーサルジム東京スタンドアウト田町芝浦スタジオで開催されたFINISH05で、上久保周哉がグラップリングに出場し、寒河江寿泰と引き分けた

グラップリングを遮断するグラプリングでなく、自らのグラップリングをグラップラーの寒河江相手に続けた上久保。この一戦を振り返る彼は、試合に対する考え方や、キャリアアップに関してもその独自かつ純粋な想いを口にした。


──お疲れ様です。

「ありがとうございます。お疲れさまでした」

──赤尾選手から、寒河江選手へ。全く違うタイプの相手との試合になりました。下からの創りが絶妙の寒河江選手を遮断していく形で、頭を下げて押し込み続けました。柔術的には甲乙つけられないですが、上久保選手もやるべきことをした試合に映りました。

「磯野(元)さんからは、ラウンドの序盤に様子を見たことを指摘してもらいました。そうですね、1秒でも2秒で相手に触っていない時間を作ったのは、分かっていたのに意識のどこかで自分が休もうとしていたのか……ある種、警戒しているので触れない部分もありました。

試合中も磯野さんの声が聞こえてきて、攻めないといけないなと思って出ることはできたのですが、そこは自分の判断や意志でしないといけないところでした」

──潜らせない、足を取らせないために頭を下げて押し込む。楽な試合ではなかったと思いました。

「自分のなかでは、しんどいことはしているのですが、試合が終わって疲労感がないので出し切っているとは思えない……もっとやれたはずです。それはMMAの試合でもそうですね。もっと体力を全部使って戦うことはできたかもしれないです」

──赤尾選手だとスクランブル合戦で、削り合いが一本に結びつきますが、寒河江選手相手だと一瞬の隙でサブミットされる可能性がある。引き込む相手を削り続けるのはしんどくないですか。

「あまり自分のやることは赤尾選手が相手でも、寒河江選手が相手でも変わらないです。相手が代わっても大切なのは、今度の自分にどれだけ役立てることになるのかなので。だから、やることは変わりなかったです。MMAでも足関節を得意とする選手は当然いますし。極端ですけど今成さんやゲイリー・トノンのような選手がいることはMMAファイターとして、絶対に想定しないといけないですから。

MMAで足関節を取られるかもしれない。その時に経験と知識の幅を広めるために、寒河江さんとの試合は必要でした。そういう選手でもコントロールする。そこに穴があっちゃいけないと思っています。現状やれることをやったので、ここを消化・反省することだと思います」

──しっかりと自分がありますね。ただし、そのMMAの試合がなかなか決まらないです。

「それはあんまり気にしないです。試合は個人的にはあってもなくても、どっちでも良いです。まぁあった方が良いですけど、試合があるから練習に気合が入るとかはないですし。ある程度の傾向と対策をすることでメリハリはつきますけど、あってもなくても練習に対する姿勢も気持ちも僕は変わらないです。皆、試合のために格闘技をやっている感が凄くするなって思っています。僕は自分のために格闘技をやっているので」

──周囲に試合があって、自分がなくても──ですか。

「気にしていないです。ケガをして1年ちょっとぐらい離れていたこともあって、その時も周囲は試合をしていました。あの頃から自分は自分だっていう気持ちだったので」

──ONEが再開しても、試合がしたいという強い気持ちは?

「う~ん、特別MMAの試合がしたい、早く戦いたいというのはないです。Road to ONEでは話があって、自分はやるとは言っていましたし。対戦相手候補ができないと返答したことを知るまでの練習は、それでも面白かったですね(笑)。サウスポーでミドルを蹴ってきて……組みも強いって。いざ、無いと分かると楽しみにしていたんだなって思いました(笑)。

でも、ないならしょうがないです。自分は別にチャンピオンになりたいから、やっているわけじゃないですしね」

──また試合を用意する側を怒らせるような言葉をシレっと吐きますね(笑)。思っていても口にしない選手が多いのに……。ONEで戦っている日本人選手で、UFCで試合がしたいと発言するのも上久保選手ぐらいですよね。

「UFCは行きたいですよ。ソコに行きたいって言わないなら、MMAをやっているのが嘘になっちゃいますよ。皆が言わなくなっただけで。最近はマイクを握ると、皆がRIZINに出たいって同じように言っているけど、前はUFCだったじゃないですか」

──反感を買いそうな言葉です。

「反感……なんで、そうなるのか分からないですけど、それで別に僕が変わることはないので」

──おお気持ちが良い言葉ですね。それに上久保選手が、やるべきことをしているのは今日の頭の低い姿勢をキープできる体力&精神力で理解できます。

「ありがとうございます(笑)。一度、おでこが頭についちゃいました」

──ところでグラップリングとMMAの間という表現は乱暴ですが、ZSTがコンバット柔術を始めて勝村Pが上久保選手にラブコールを送っていました。

「コンバット柔術は面白いですよね。ちょっと興味があります。ただONEとの契約があるので、そこで問題にならないで出られるならやってみたいです。MMAファイターが出るグラップリングやコンバット柔術はスイープとパスを評価すると、もっと面白くなると思います。それは磯野さんとも話していたんです」

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Finish05 J-CAGE JJ Globo News ブログ 山内慎人

【Finish05】日曜日の大会を終えて、山内慎人氏が新型コロナ感染予防対策に関して──訴えたこと

【写真】今も無症状の感染者は周囲にいるというだけでなく、自分が観戦しているかもしれないという自覚は誰もすべき世の中だ (C)MMAPLANET

13日(日)、東京都港区のリバーサルジム東京スタンドアウト田町芝浦スタジオで開催されたFINISH05。

アマチュアの人材育成及び競技人口の裾野を広げるという目標を掲げる同大会を主催するのが修斗、パンクラス、PXCで選手活動を行っていた山内慎人氏だ。昼は仕事を持ち、就業後に数カ所のジムで指導をし、SUNRISEプロモーションを立ち上げてFinishを開く──そんな山内氏が16日(水)に同プロモーションの公式ブログで「大会を終えて、そして今後についてのご報告」と題し新型コロナウィルス感染予防に関しての想いを綴っている。

同大会はアマチュア競技会に職業柔術家やプロファイターが出場している。格闘技が不要不急でない人々によって、格闘技界は成り立っている。それゆえに感染予防に最善を尽くさなくてはならない。

ここで山内氏はアマの格闘愛好家に訴えかけているが、ジム経営を生業としている人間は格闘技のプロだ。プロモーション、大会を開く者もプロだ。もちろん、メディアもその一員だ。コロナとの共生時代、そこに感染源があることを意識して活動することはプロも愛好家も同じ。格闘技が好きであれば格闘技界を傷つける無責任な行為に対し、声を挙げる勇気を持たなければいけない。

山内氏の指摘する大会参加者だけでない、この惑星で格闘技に関係する一人ひとりが彼の声に耳を傾けて欲しい。そして、格闘技に関わる人々の認識が決してこの限りでないことを示し続ける必要があることを心に留めて欲しい。自戒の念をこめて、氏の訴えを全文掲載したい。

日曜日のFINISH05から3日が過ぎました。

参加選手の皆さん、お疲れさまでした。皆さんのおかげで良い大会となりました。ありがとうございます。

試合内容や格闘技への取り組みについては、本当に素晴らしい大会になり感謝しています。と同時に、コロナ禍の今だからこそ、皆さんにお伝えしておきたいことがあります。

「今大会の開催について、皆さんどう思いますか?」という質問をした時に、皆さんの頭の中にいくつか思い浮かぶであろうワードの中でも、ある一つの共通のワードがあるのではないかと思います。

それは恐らく「こんな時期に」というものではないでしょうか? そう、まさにこんな時期に、なのです。

じゃあ、それってどんな時期?と言われたら、もう、「コロナ」の一択しかないわけです。そんな「コロナ禍」真っ只中の状況で沢山の人が集まり、密になり、一番の感染源である汗や唾を飛ばし合い、肌と肌が触れ合うどころか暴れまわる格闘技の大会を開催したわけです。

もう、狂気の沙汰と思われても仕方のない行動であると、主催者である私自身も思います。
それなら何故開催したのか?それは、以前もこのブログに書きましたが、私は格闘技が不要不急のものではないと思っているからです。

「日々の生活に目標を与え、活力となり、毎日を強く楽しく生きる為に必要不可欠なもの」
であると思っているからです。

でも、それは元気であり、健康であって初めて成り立つものです。ただでさえ感染リスクのある大会を開催している状況を考えた場合、主催者としては極力感染リスクを抑えなければいけません。

感染リスクを如何に抑えるか、如何に皆さんの健康を維持し、家族や周りの人達の生活の脅威を排除するかを考えなくてはいけないのです。

格闘技が人生において必要なものであったとしても、その格闘技でコロナに感染し、自分なり家族なり友人に何かがあっては全く意味がないことなのです。

今、電車に乗っていても、会社にしても、食事をしていても、それこそ学校、自宅でくつろいでいても感染は起こるべきして起こります。だからこそ、大会を開くために感染予防対策をご連絡していました。

PCR検査はもとより、抗原、抗体検査をアマ大会であるがゆえに主催者側がその費用を持つことはできず、また今回に関してはいずれも義務付けすることはなかったです。と同時に、今回はプロとして、あるいは職業として格闘技に取り組む選手たちのスペシャルマッチも組ませていただきました。

そこで我々ができる最大の予防策は、手指消毒とマスクの着用です。感染のリスクを抑える手段として、誰もが気を付けることができるのが、この2つです。特にマスク着用に関しては、見た目で判断すらできる予防策です。

そして、ふとしたタイミングで、「マスクをしていない人が沢山いるよ」というお声をいただき、会場内を見回すと、あまりにも沢山の人がマスクを外していました。

事前の注意事項として、「マスクは金網に入る直前にセコンドに渡すように。試合をする選手、レフェリー以外は全員マスク着用」と記載をしていましたが、ほぼ守られていませんでした。

進行役のスタッフから、「マスクの着用」について何度もアナウンスするも、どうしても皆さんのご協力を得られる事は出来ませんでした。主催者として、試合の進行にばかり気が行き、途中まで全く会場内にまで目も意識も行っていませんでした。これは本当に反省すべき点です。申し訳ございませんでした。

そして、密を防ぐ為の方法として、試合会場へ入場出来るのは10試合までの選手、セコンドまでとしましたが、これも守られていませんでした。

靴袋の持参、ゴミの持ち帰り等、コロナとは関係のない、普段の他の大会でもお願いされているような事さえも守られていませんでした。

大会終了後、後片付けをしながら、あまりにも多いゴミ、特にペットボトルの量にスタッフ一同唖然としました。ペットボトルは、感染源の宝庫です。スタッフの人員を確保出来ず、大会の進行にも影響を出し、そして、参加者への注意喚起もする事が出来ませんでした。

これは主催者である私の責任であると思います。大変申し訳ございませんでした。

と同時に参加者の方、同伴者の方に理解をしていただきたいことは、アマチュア大会は主催者だけではなく、参加者の皆さんで一緒に作っていくものでもあります。

「大会があって良かった。試合が出来て良かった。ありがとうございます」と言っていただける気持ちは私も本当に嬉しいです。普段の大会であれば、そういってもらえるだけに大会を開いて良かったと私も心の底から思います。

ただし、今は違うんです。主催者の私がこのようなことを言い切ることで、面白くない思いになる方もおられるかもしれないですが、私は参加者全員で協力して大会を作って行きたいと思っています。

「大会があっても、決められた感染予防をしっかりと個々が守らないと何かが起こった時に大会は開けなくなってしまう」

このような意識を皆さんに持っていただき、大会に関わる参加者全員が意識して感染リスクを抑える行動を貫いていけないでしょうか。

「皆が意識して予防対策を徹底して守ってくれた。じゃあ、また大会を開くことが出来るね」と大会後に皆が想う。そういうFINISHにしていきたいです。

かくいう私も強制される事が好きではない人間で、それだけに皆さんに何かを強要することも本来はしたくありません。ただし、今は別なんです。日曜日の大会のようになってしまうと、今後は大会を開催するとしても、かなり厳しい内容の同意書を作成し、サインをいただき、守れない場合は退場していただく必要もあると思っています。

それが他の参加者や周りの人達を救う事なのであれば、否が応でもやらざるを得ません。

正直、私もそこまではしたくないです。でも日曜日の大会後に、散らかったペットボトルを目にしたときに、このように考えました。

あまり長くくどくど書きたくはなかったのですが、この件についてはとても大切な事だと感じています。私の今の正直な気持ちです。ご理解いただけると幸いです。

上記を踏まえ、今後の大会開催に関して現状は未定とさせていただきます。対応、運営、進行方法等を検討し、開催出来そうだと判断した場合は「FINISH 06」を開催したいと思います。

最後になりますが、関係者各位には不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした。今回の事は重く受け止め、反省し、今後の為に活かしてまいります。
今後ともご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。SUNRISEプロモーション山内慎人


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Finish05 Flash ブログ 上久保周哉 和田竜光 寒河江寿泰 橋本知之 石橋佳大 竹浦正起

【Finish05】速報 橋本知之が和田竜光を内ヒールで破る。上久保✖寒河江、石橋✖竹浦は時間切れドロー

【写真】IBJJF柔術では禁じられている攻撃もしっかりと身につけている橋本が、2分30秒弱で和田を仕留めた(C)MMAPLANET

13日(日)、東京都港区のリバーサルジム東京スタンドアウト田町芝浦スタジオでFINISH05が開催された。アマチュアの人材育成及び競技人口の裾野を広げるという目標を掲げるFINISH。今大会ではスペシャルマッチとして、グラップリングの3試合も行われた。


石橋佳大✖竹浦正起と、ガードの竹浦がワキをさし、腕を狙う形を石橋が遮断するという展開に。石橋も側転パスなどを狙うが、竹浦のガードを越すには至らず、5分✖3Rの神経戦は時間切れに。

上久保周哉と赤尾セイジの代役で急遽出場が決まった寒河江寿泰の試合もタイムアップの痛み分けとなった。

座った寒河江に対し、足を懐に入り込ませないために頭を低く起き、ヒザ裏、足首に触れてパスや押し込みの圧力をかける。

ただし、上久保が近づき過ぎてスペースを殺すところまでくると、寒河江も足を跳ね上げてスープを狙うなど動きが出る。

隙あらば組みながら倒してパス、あるいはパスガードを狙う上久保と、カウンターの仕掛けを虎視眈々と伺った寒河江のグラップリングはリバーサル✖パスの醍醐味が見られた。

スペシャルマッチ最後の1戦は日本最強柔術、橋本知之と和田竜光の刺激的な顔合わせで、座った橋本に和田は果敢に踏み込み、仕掛けられると遮断を試みる。両者の距離が攻め合いとなると、それは橋本の庭だ。敢えてそこで勝負した和田だが、サドルから内ヒールを極められてタップした。

※この3試合の詳細は後日、お届けします。

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【Finish05】赤尾の欠場でスクランブル戦はお預けも、上久保と寒河江の削り✖ぶった斬り戦が実現!!

【写真】8月30日のZSTではコンバット柔術で勝利している寒河江が、ショートノーティスで上久保と対戦することとなった。掌底はないが、ケージがある環境でどのようなグラップリングを見せるか (C)MMAPLANET

9日(水)、13日(日)、東京都港区のリバーサルジム東京スタンドアウト田町芝浦スタジオで開催されるFINISH05で組まれていたグラップリング・スペシャルマッチ=赤尾セイジ✖上久保周哉が前者の負傷により欠場し、それに伴い上久保が寒河江寿泰と対戦することがオフィシャル・ブログで明らかにされている。


当初の予定では赤尾はジエゴ・エンリケと戦うことが決まっていたが、ジエゴの負傷欠場を受けて上久保の代替出場が決まっていた。そして今回の赤尾の欠場より、代役同士のスペシャルワンマッチが実現することに。

赤尾✖上久保というMMAファイター同士のグラップリングは、ケージを含めたスクランブル合戦の醍醐味が見られると期待されたが、赤尾の欠場を受けて、上久保としては対策ではなく地力が問われる一戦となる。上久保としては前述したように赤尾との組み伏せ合い、サブミッションはバックチョークークやフロントチョーク系を警戒すべきファイトから、別競技といってよいほどスタイルの違う寒河江を迎え撃つこととなった。

寒河江の組みからはMMAの流れは感じられない、引き込んで下になり──足関節や潜ってスイープなど、自ら座ることができるグラップラーだ。上久保としては、やはり警戒すべきはサドルの前後から始める足関節となるか。赤尾✖上久保とは全く違った、削りとぶった斬りの激突という趣のある緊張感溢れる一戦となろう。

またこの両者の対戦以外にも62キロで和田竜光✖橋本知之、フェザー級の石橋佳大✖竹浦正起という異種グラップリングの性格を持つスペシャルマッチを含めた同大会の模様はニコニコ動画での有料配信が決定している。

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【Finish05】アマ選手育成大会のFinishで赤尾セイジ✖上久保周哉、橋本知之✖和田竜光の組み技戦!!

【写真】これは……本来、銭の取れる2試合だ (C)MMAPLANET

9月13日(日)、東京都港区のリバーサルジム東京スタンドアウト田町芝浦スタジオで開催されるFINISH05で興味深いグラップリング・スペシャルマッチが組まれている。

Finishといえば修斗からパンクラス、PXCやHEATで活躍した山内慎人氏が開くMMAで強くなるための人材育成大会で、グラップリングやD-NETストライキキングマッチとともに、パンチ✖グラウンドコントールという限定MMA的なルールも取り行っている独立系アマチュア大会だ。


そんなFINISHでプロMMAファイター、職業柔術家らによる2試合のグラップリングマッチが決定している。

まず68キロ契約で赤尾セイジ✖上久保周哉というMMAグラップラー同士の対戦が組まれた。当初の予定ではジエゴ・エンリケと赤尾が対戦予定だったが、ジエゴの負傷で上久保が3週間を切るタイミングで出場を了承した。

元HEATバンタム級王者でDEEPでも活躍している赤尾、キャリア10戦目でONEと契約し現在4連勝中の上久保──両者の対戦の見所はズバリ、ケージ際の攻防とスクランブルといえる。

一本決着ルールが用いられているが、5分✖3Rというグラップリングで仕切り直しのある長丁場。MMAファイターを養成するためのルールだけに、序盤から相手を削りに文字通りフィニッシュを狙うグラップルが展開されるだろう。

もう1試合は62キロで和田竜光✖橋本知之という超異色対決が実現した。DEEPフライ級王者からONEへ、必殺のオタツ・ロックを武器にあのデメトリウス・ジョンソンのバックを制した和田と、IBJFF柔術日本最強といっても過言でない橋本がケージで戦う。

橋本にとって金網、ノーポイント、MMAはまさに異種な境地であり、スクランブルはともかく上記にある赤尾✖上久保のようなケージレスリングとは無縁の世界で戦ってきた。

とはいってもスタンド・スタートのFINISHグラップリングルールとはいえ、引き込みがマイナスにならないことから、橋本は自ら座って戦うことができる。和田としても、橋本のような競技柔術に特化し、先鋭的な柔術を見に付けた選手との戦いは初めてのはず。上・和田、下・橋本となった時、両者のグラップリングはどのように転がっていくのか。

FINISHオフィシャル・ブログのなかで、和田は「試合ではギッタギタのメチャクチャにしてもらいたいです」と語っているように、その強さに触れるために今回の試合を戦うはず。つまりブレンダン・シャウブやチェール・ソネンの寝技をしないグラップリングでなく、和田はどんどん橋本の庭に飛び込んでいくに違いない。

また今回のグラップリングマッチは実力的にはマスタークラスで行われても同然だが、エキスパートクラスのルールが適用されている。つまりヒールフック、トー・ホールド、カニバサミ、ネックロック、フェイスクロックは反則になる。ヒールがないことで、より思い切って踏み込めることが考える。グラップリングといっても、それぞれの組み技哲学が存在し、4選手のグラップリング・イデオロギーのぶつかり合いに期待したい。