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【Eternal MMA83】猿飛流、警戒していたドリリッチの左を受けダウン──追い打ちの鉄槌でTKO負け

<Eternal MMAフライ級選手権試合/5分5R>
アンソニー・ドリリッチ(豪州)
Def.2R1分25秒by TKO
猿飛流(日本)

観客席に手を振ってケージインした猿飛流が、バック宙を見せる。試合はまず猿飛流がサイドキックを見せる。距離を取る猿飛流に対し、左をいきなり当てたドリリッチはステップバックの猿飛流がケージに詰まると追い打ちの左を入れる。猿飛流は左ローを蹴り、右に回る。ドリリッチはここも左ストレートを決める。左ハイを空振りとなったドリリッチだが、その踏込みは予想以上に速い。

猿飛流は右ハイをガードされ、間合いを取り直す。左インローのドリリッチは待ちの姿勢を貫く。そして一瞬のステップインに左ボディを狙ったドリリッチは、ジャブを見せるが狙いは左一本だ。かわして右に回った猿飛流は右ハイを空振りする。手を下げ、変則的な構えで挑発する猿飛流に対し、ドルリッチが左で距離を詰めて、その左をヒット。と、猿飛流がダブルレッグへ。ケージ際から回ったドリリッチが離れ、最初の5分が終了──猿飛流はリードを許した。

2R、ドリリッチの右ローに右を合わせようとした猿飛流が、前蹴りから右を伸ばす。猿飛流は右を当て組みに行き、直ぐに離れる。ドリリッチが右カーフ。と、猿飛流が左を見せて右を伸ばす。ここにドリリッチが左を合わせると、腰から崩れ落ちた猿飛流がシングルレッグへ。しっかりと切り、反転して足を抜いたドリリッチチが左の鉄槌を連打。体が伸びた猿飛流は、無念のレフェリーストップ=TKO負けとなり、唇を嚙みしめてケージを後にした。

ドリリッチは前Eternal MMAフライ級王者のスティーブ・アーセグがUFC世界フライ級王座に挑戦することを尋ねられ、「俺も続く、スティーブは素晴らしいファイターだけど、俺もすぐに同じステージに上がる」と答えた。


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45 Eternal MMA83 Gladiator LFA MMA MMAPLANET o Road to UFC SASUKE UFC   アンソニー・ドリリッチ ジョシュ・トーゴ スティーブ・アーセグ パンクラス ムハンマド・サロハイディノフ 伊藤盛一郎 原口伸 大竹陽 海外 猿飛流 長谷川賢

【Eternal MMA83】フライ級王座に挑戦、テロル猿飛流。「これば爆発物だぞって(笑)」(SASUKE)

【写真】前田桂、猿飛流、SASUKEのチーム・エタノール(C)MMAPLANET

16日(土・現地時間)にクイーンズランド州ゴールドコーストのサウスポート・シャークスで開催されるEternal MMA83で猿飛流がフライ級王者アンソニー・ドリリッチに挑む。

元フライ級KOPが1年3カ月振りの実戦復帰──そこに至るまえでの気持ちの変化、変わらなかった目標。そして初めての海外での試合で、信じられない事態に陥った珍道中を猿飛流with SASUKEに話してもらった。を果たすこととなった。


――猿飛流選手、一昨年のクリスマス以来の復帰戦が豪州のEternal MMAでフライ級王座挑戦となりました。かなり長いブランクを経験しましたね。

「佐須君(SASUKE)のセコンドでRoad to UFCに行って、現地でUFCを見てあの場で戦いたいと思うようになり──怜君との試合に勝ったら、UFCという名前を出して良いと思っていました。怜君との防衛戦で勝ったら、そこを目指すと明言しようと。でも怜君に負けて、30歳も過ぎているしUFCへの道は途絶えたと思いました。

そうなった時にパンクラスを含め、日本の団体でベルトを取ることが目標になるということがしっくりこなかったです。年齢的にも引退した方が良いとも考えました。周囲がジムを持ったり、普通の仕事をしながら生活をしているのを見て、次の人生のことを考えると、試合に出ようという気持ちにはなれなかった……です」

──そうなるのは、至極真っ当なことかと思います。それでもまたやろうと考えるようになったのは?

「佐須君や征矢(貴)さんのセコンドに就いたり、他の人の試合や弟(榎本明)の試合を見ていると、俺も終わりたくないなと思えてきて。去年の夏、取りあえず引退はせずに練習だけは続けようと。そうすればどこかからオファーがあるかもしれないし、腹が決まるかもしれないと。去年の夏からは、しっかりと練習をするようになりました。佐須君から『まだまだ全然いける。一緒に目指しましょうよ』と言って貰えたのも大きかったです」

──実際に試合を戦おうと思ったのは?

「やっぱり、1パーセントでもUFCに行けるチャンスがあるなら──と。でも、結論から言って佐須君と桂さん(前田桂氏、Fitness Shop在籍。マスタージャパン勢、原口伸ら海外での試合をサポート。国内外に知己の関係者が多い)でないと海外で試合をすることはなかったです。本当に桂さんの存在がなかったら……。僕自身、海外は経験がなく、安心できる国内が良いという風に思っていましたし。

パンクラスにはお世話になったし、ベルトを取ることも悪くないという風に考えるようになりました。ただお世話になったとか、恩があるというのはUFCとか考えていない判断だったと思います。最後に皆にベルトを見せたい。UFCは無理でも、まだ強くなれる自信はある……そんな風でした」

──それでもパンクラスとならかったのは?

「まずパンクラスで再起しようと──伊藤盛一郎選手とベルトを賭けて戦いたいというのはありましたけど、それはさすがに無理で。ならムハンマド・サロハイディノフと戦いたいと思いました。1月にパンクラスと話を繋いでもらっている河村(尚久)さんに動いてもらって。

同時にGladiator Challenger Seriesで戦い、LFA経由でUFCを目指しませんかと長谷川賢さんからも話をしてもらえました。それも凄く有難い話で、長谷川さんが気に掛けてくれているのが嬉しかったです。でも腹が決まらず、踏ん切りがつかないとう状況でした。そんな時に桂さんからETERNALの話を頂いて。最初は2月10日だったので、2週間ぐらいしかなくて。体重を落ちないですし、初めての海外の試合とかはビビりだから……お断りしました。

その時に『3月だったら、体重を落とせたのですが……』なんて言い訳がましく、言っていたんです。同時に3月のパンクラス大会にムハンマドという話も進行していて、でも踏ん切りつかない。坂本靖さんには『返事はもう少し考えてからさせて頂けたら』と保留にしてもらっていました」

──踏ん切りがつかず、躊躇してばかりという風にも聞こえます。

「ハイ。確かにその通りです。そうしたら、断ったEternalの試合が3月16日なら──ともう一度、来て。それでもビビっていて、断ろうとしていました」

──……。

「そうしたら、桂さんが1時間ぐらい説得してくれて。『こんなチャンスはない。行きましょう』と言って貰えて、それで腹が括れて『もう行きましょう』と。試合が1カ月スライドしてタイトルマッチ。プロモーションは豪州で一番のフィーダーショーで、前王者のスティーブ・アーセグはUFCにステップアップして、ランキングが9位。これはUFCに繋がっている道で、格闘技の神様に行けと言われているように感じました」

──ようやく……と。

「で、Eternalでタイトルに挑戦すると河村さんに話したら、『それはパンクラスに対して、オファーの返事待っている状態なのだから失礼だぞ』とお叱りを受けて。確かに……坂本さんに失礼なことをしてしまいました。でも河村さんが『チャンスだし、俺が説得しておくから行け!』と言ってもらえて。それでも天秤にかけたような形だったので、坂本さんを怒らせてしまったという気持ちは残っていたのですが、2月4日──僕の誕生日に、怜君がUFC決めた後にXで『誕生日、おめでとう。頑張ってこいよ!』とメッセージを下さって。凄く心が晴れて、パンクラスの代7代王者として誇りを持って頑張りたいと思うようになりました」

──良い話ですねぇ。

「そこからは猛練習をしました。桂さんと佐須君がいてくれるから、今も安心して試合を迎えることができています」

──初の海外でも、何も問題はないですか。

「いえ、それが……」

SASUKE 実は手荷物が引っ掛かって、入国できないところだったんですよ(笑)。

──へっ? というのは?

「あのう……僕は説明が下手だから、佐須君に任せても良いですか?」

──ハイ……。

SASUKE まず猿飛流さんは心配性すぎて、あり得ないほどの荷物を持ってきていて。羽田の段階でスーツケースが6個ぐらいあって。

──あり得ないです……。

「減量食とか、全部、日本から持って行こうとして……」

SASUKE そうなんですよ(笑)。ケアンズからトランジットでゴールドコーストへという飛行機で、まず羽田で半分ぐらいの荷物をご両親に持って帰ってもらいました。そして、ケアンズまでは別便だった桂さんがバッグ一つだったので、一つ預けて。もう1つは追加料金を支払って飛行機に乗れることはできたんです。

そうやって色々なモノを日本においてきたのに、荷物のなかで無水エタノールが含まれていたんです。水抜きのための……。

──いや、それは……いうとエチルアルコールですからね。まず、羽田で飛行機に乗れたことが検査の精度を疑います……。発火物ですからね。

SASUKE そもそもそこがあるんですけど……。豪州って持ち込み荷物にメチャクチャうるさくて。で、ケアンズの空港で『これは爆発物だぞ。お前たちはテロリストか』って足止めを食らったんです。

──いやぁ、まぁテロリストの疑いは晴れるでしょうが……なんちゅうことですか。

SASUKE なんか、ポリスとかいう言葉が聞こえてきて。そうしたら、もう猿飛流が一気に動揺し始めて。顔はソワソワしているんですよ。

──アウトじゃないですか、堂々としていないと(笑)。

SASUKE そうなんですよ。で、僕は僕で桂さんに電話をしようとしたら、『仲間に連絡をしようとしているのか』なんて疑われて(笑)。ポリスを呼ぶと言われて、2時間ぐらい尋問を受けました。飛行機の中では眠れないは減量苦もあるわで、ついに猿飛流が白目を剝いて気を失いかけて(笑)。そうしたらポリスが、『こいつは薬物中毒じゃないか』って(笑)。

──アハハハハハハ。もうミスター・ビーンばりの負の連鎖じゃないですか。最高です。

「翻訳機で『あなたはドラッグをやったことがありますか』って聞かれて。『一度もやったことがありません』って……」

──しかし、どう説明して無事に入国できたのでしょうか。

「試合があって、減量中なんですって話しました。減量で飯も食えなくて、水も飲めないから──と体を見せたんです」

──ハイ。

無水エタノールがなくても無事パス(C)KEI MAEDA

「そうしたら僕の話を信用してくれて。これだけはダメだからなって、無水エタノールだけは捨てられました。あぁ、あと馬肉も捨てられましたね」

SASUKE 僕は2メートルぐらい離れていたので、なんか体をチェックされていると思って……もう終わったなって思っていました(笑)。

「超焦りました……。でもいったん信用してくれると、取り調べが長かったから乗り継ぎがギリギリになっていてゲートまで連れて行ってくれたんです」

──もう、そんなことがあれば何も怖くないですよ(笑)。

「いや、高島さん。ホントにその通りです(笑)。色々と吹っ切れました」

──では自信満々になったかと思う、アンソニー・ドリリッチ戦ですが、改めて印象を教えてください。

「サウスポーで強力な左ストレートの持ち主です。そこを狙って、言うとそれしかないのですが、相手を誘い込むのが絶妙に上手いです。そこに移動させられて、左ストレートでKOされている選手が多い。加えてテイクダウンが切れて、自分からテイクダウンを取れ、バックキープも上手いです。

でも……なんか、その全部で自分が上回ることができる自信があるんですよね」

──その言葉で安心しました。今、言われた通りの選手なのですが、アーセグとは動きが違います。同じEternalのフライ級チャンピオンなのでアーセグ級だと怖いと思っていたので。

「それは思いました。アーセグと比較すると。今回、征矢さんと5分5R用のスパーをやって来て。征矢さんは凄くパワーもあって速い。なおかつ征矢さんを上回るパワーかもということは頭にいれてきました。その想定を超えることもあるかもしれないですが、やることが分かっているので。これまで自分がやってきたことをぶつけるだけです。

自分のそのままをぶつけます。サウスポーと左ストレート対策は、大竹陽選手とも5分5Rをやってきました。火曜日が征矢さん、木曜日が大竹選手。週に2度、5Rのスパーリングをやってきて、凄く自信がつきました」

──では改めて、意気込みの方をお願いします。

「深く考えすぎるとダメなので、大好きな格闘技を楽しみたいです。大好きな格闘技を続ける先にUFCがあるのかなって。だからメチャクチャ勝たないといけないというよりは、メチャクチャ楽しみたいですね。楽しんで、回りに感謝して、自分のやってきたことを全て出します」


■視聴方法(予定)
3月17日(土・日本時間)
午後7時00分~UFC Fight Pass

■ Eternal MMAメインカード対戦カード

<Eternal MMAミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョン・マーティン・フレイザー(英国)
[挑戦者]ベン・ジョンソン(豪州)

<Eternal MMAフライ級選手権試合/5分5R>
[王者]アンソニー・ドルリッチ(豪州)
[挑戦者]猿飛流(日本)

<ライト級/5分3R>
ジャック・ベイカー(豪州)
ジョシュ・トーゴ(豪州)

<フライ級/5分3R>
松山瑞穂(日本)
ジャック・ヘイス(豪州)

<フェザー級/5分3R>
ガブリエル・シュルッピ(ブラジル)
ブローガン・スチュアート・ング(豪州)

<フェザー級/5分3R>
テサー・マローン(豪州)
イーサン・ミッチェル(豪州)

<ミドル級/5分3R>
ダーシー・ヌナン(豪州)
ブレア・ブレタッグ(豪州)

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【RIZIN LANDMARK08】伊藤裕樹と対戦、上田将年「RIZINに出られて『おめでとう』のモヤモヤは……」

【写真】上田将年の言葉は、日々を生きる市井の人々に活力を与える (C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 8 in SAGAにて、上田将年が伊藤裕樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

目の前にある困難から逃げない。自分に嘘をつくようなキャリアを送りたくない。それが2011年3月のプロデビューから13年もの間、上田がMMAファイターとして貫いてきた信念だ。その信念ゆえに厳しい1年――鶴屋怜と伊藤盛一郎に敗れた2022年を経て、昨年11月には地元・福岡でモンゴルのツェルマー・オトゴンバヤルを下し、再起を果たした。2014年初戦は、同じ九州の佐賀での試合となった上田。しかも伊藤裕樹という強豪を相手に、今回も上田は自分の信念を貫く。


――RIZIN初の佐賀大会で伊藤裕樹選手と対戦することが決まりました。上田選手にとっては昨年11月、福岡で開催されたBloom FCのオトコンバヤル戦に続き、九州で2連戦となります。

「まさか今回も九州で戦えるとは思っていなかったです。感慨深いし、嬉しいですね」

――福岡を拠点にMMAを戦う上田選手ですが、九州での連戦は2013年以来、10年振りです。オトコンバヤル戦は福岡開催ということで、応援団も多かったのでしょうか。

「はい。現役を続けるなかで、地元でも多くの人たちが応援してくれています。自分の中でもずっと『福岡で試合がしたい』という気持ちがありましたし、実際に地元で試合をして勝つことができたので、嬉しいという気持ちが一番です」

――試合としては、オトコンバヤルとのタフファイトを判定で制しました。あの試合内容と結果については、いかがですか。

「モンゴルから未知の強豪を呼んでいただき、勝つことができました。その結果については満足しています。でも改めて試合映像を見返すと、内容に満足できている部分もあるし、満足できなかった部分もあります。まだまだ納得がいかない点がある――それがずっとMMAを続けている理由なのかもしれないですけど(笑)」

――オトコンバヤル戦で満足できている部分と、満足できていない部分とは?

「試合前から決めていたのは、絶対に自分から仕掛けることでした。どんどんアクションを起こしていく。いろんな人から『上田君は自分から仕掛けた時は強い』と言われます。一度戦ったことのある猿飛流選手や小川徹選手にも、そう言われました。だから何があっても常に自分からアクションを起こしていく。そのことを意識して、自分から試合をつくることができたのは満足しています。逆に満足できていないのは――これは言っていいことかどうか分からないんですけど(苦笑)」

――何でしょうか。

「何度も極められるチャンスがありました。本当に自分がファイターなら、バシッと極めることができたと思うんです。折るとか、完全にタップさせるとか。これは過去にも何度かあったことで、変な優しさというか、緩めてしまった部分があって」

――緩めた、とは……。

「終盤に腕十字が入った時、バキバキと音も鳴っていて。そのままバキッと折ることもできました。でも、それはファイターとしてどうなのかなと考えてしまったんです。そう考えてしまう自分は、ファイターに向いていないのかもしれません」

――えっ!?

「もし自分がいっぱいいっぱいの状態であれば、完全に極めないと負けるって考えるはずです。でも1R、2Rの段階でグラウンドについては差があると感じました。だから3Rに入り、相手に対して『タップしてくれ!』という気持ちがあったことは事実で。相手も苦悶の表情を浮かべていましたし、自分の中では『このまま折りたくない』と……。結果、それ以上は先に進めることができなかった。自分の精神的な弱さが出てしまいました」

――それは優しさでも弱さでもなく、ゲームコントロールの範囲ではないでしょうか。3Rに極めきらずとも判定で勝てる。3Rもあの展開で上田選手がスタミナを使った末、オトコンバヤルが頭を抜いてトップをキープすれば、上田選手にとって危険な展開になったかもしれません。2連敗で迎えた地元の試合で、確実に勝利を狙いに行くのも当然だと思います。

「そうですね……。オトコンバヤル選手が結構パンチを振ってくるファイターであることは分かっていました。その相手が3R通じてテイクダウンもグラウンドも警戒している。僕は組んでしまえば怖くなかったし、2Rまで終わった時点で『もう負けることはない』と考えていました。あとは予想以上というより予想外にオトコンバヤル選手がタフで」

――確かにオトコンバヤルのタフさは、全く予想できないレベルでした。他の選手であれば1Rの後半、上田選手が腕十字に入った時にタップしていたように思います。

「序盤に三角も十字も深く入っていたので、『ここで終わるかな?』と考えたりもしました。でもオトコンバヤル選手のハングリー精神というか、『ここで絶対に勝ちたい』という気持ちはすごく伝わってきましたね」

――『上田君は自分から仕掛けた時は強い』という声が出たのは、鶴屋怜戦と伊藤盛一郎戦は見すぎた部分があったということでしょうか。

「あの2試合に限らず、自分は試合になると見すぎてしまう部分があるんですよ。一度待ちに入ってしまうと悪循環というか2R、3Rも動けなくなってしまう。だからオトコンバヤル戦については動きが雑になっても良いので、とりあえず自分から触ってスクランブルをつくる。スクランブルをつくり、相手の息が上がってしまえば何とかなると考えていました」

――上田選手との試合後、伊藤盛一郎選手はパンクラスのベルトを獲得し、鶴屋選手はRoad to UFCで優勝しました。

「鶴屋君に関しては、素直に嬉しかったです。鶴屋怜の強さを体感した者としては、彼がUFCと契約するのは当たり前だと思っていました。でないと、自分が報われない(笑)」

――アハハハ。

「伊藤盛一郎選手の戴冠については悔しいです。自分が何もできずに負けていれば、こういう気持ちにもならなかったでしょうね。でも1Rに自分がポイントを取って、気持ちに余裕が生まれました。すると2Rは入り方が雑になってしまい、そこからグラウンドに持ち込まれ、何もできずに負けて。

チャンスがあれば伊藤選手にもリベンジしたいですね。今はパンクラスで1年以上試合をしていないのでランキングから外れていますが、また勝って行けばチャンスはあると思いますし。Bloom、RIZINと戦っていくなかで、必ずパンクラスにも戻ります」

――なるほど。その意味では絶対に負けられなかった、地元でのオトコンバヤル戦で勝利を掴みました。ここで負けていればRIZINで、しかも伊藤裕樹選手という強豪との試合が組まれていたかどうかは分かりません。パンクラスとDEEPのタイトルマッチ経験者同士、日本フライ級でも上位の対決となります。

「オトコンバヤル選手に負けていたら、たとえ佐賀大会に出たとしてもオープニングファイトで若手選手と――といった試合になっていたかもしれないですね。そうなると、自分はオファーを受けていなかったと思います。だから今回、対戦相手として伊藤裕樹選手を提示された時、嬉しかったです。ずっと福岡でMMAをやってきて、自分のことも認めてもらっているんだなと思いました」

――一方で、ここ数年は強豪相手の試合が続きます。コロナ明けの2020年からは杉山廣平、猿飛流、小川徹、有川直毅、鶴屋怜、伊藤盛一朗、オトゴンバヤル、そして今回が伊藤裕樹戦というのはハードですね。

「う~ん……自分がまだ20代前半だと、キャリアのつくり方も考えるでしょう。でも今36歳で、40歳まであと少し。そんな自分の中で大事にしたいのは、『どこで戦うか』よりも『誰と戦うか』ということなんです。その戦いが決まって自分自身がドキドキするのか、しないのか。そのドキドキを大切にしていきたい、という気持ちはありますね」

――では上田選手にとってドキドキする相手、伊藤裕樹選手の印象を教えてください。

「まずはあの強打――左ストレートを軸にした打撃の巧さですね。組みに関して怖さはないですが、ディフェンスが巧い。柔らかい動きで、力を逃がしてエスケープするのが巧いと思います」

――2023年11月に、上田選手の盟友である本田良介選手に敗れてから、さらに巧さが増したように感じます。

「あの試合で僕は本田君のセコンドについていました。グラウンドになっても簡単には背中を着けさせてくれない相手ですよね。本田君と自分ではタイプも違うので、試合内容も違うものになるとは思います。ひとつ言えるのは組みだけ、打撃だけという展開になると良くない。伊藤選手を相手に、そういう試合は通用しないですよね。だから打撃、寝技、テイクダウン全て混ぜながら、自分から仕掛けていきたいです」

――ちなみに伊藤裕樹戦が決定し、現在はタイにいる本田選手とは話をしましたか。

「試合が決まって、すぐに電話がありました。『決まりましたね! 上田さん、イケるっすよ~』と、すごく軽い感じでした(笑)」

――とても本田選手らしいです(笑)。

「アハハハ。今回はRIZINで試合をすることになり、地元の反響も大きいです。やはり地方だと、MMAといえばRIZINしか知らない人も多いので。何百人という応援団も会場に駆けつけてくれることになりました。その中で戦えるのは嬉しいですね。

でも、ひとつだけ言いたいことがあるんです。いろんな方から『RIZIN出場おめでとう!』と声をかけてもらいます。でもそう言われたらイライラというか、モヤモヤする自分がいて」

――……どういうことでしょうか。

「自分が10年間パンクラスで戦ってきて、その自分を否定されているような――よく分からない感覚がありました。先日、田中半蔵さんと練習したあと、その話をしたんですよ。そうしたら半蔵さんから『モヤモヤするのは、おめでとうって言葉に対してじゃないか』と言われて。半蔵さんもRIZIN佐賀大会に出ることになり、同じことを思ったそうなんです。

自分たちからすればパンクラスでも、修斗でも、DEEPでもMMAをやることには変わりません。もちろんRIZINの知名度が高いことは分かります。でも『おめでとう』と言われたら、それ以外で戦ってきた自分たちのキャリアを否定されてしまうような、複雑な気持ちもありました」

――確かに、RIZINに出場することがファイターのゴールではないですからね。RIZINであろうと、どの舞台であろうと勝つこと。それこそがMMAを戦う目的でしょう。

「もちろん『おめでとう』と言ってくれた人も、悪気があるわけではないんですけどね(苦笑)。ただ、そう言われてモヤモヤするということは、自分たちがしっかりMMAと向き合ってきた証拠なんです。自分たちのモヤモヤは間違っていない。だからこのモヤモヤを――僕たちがMMAと向き合ってきた年月を、この試合にぶつけますよ」

■視聴方法(予定)
2月24日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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45 AB Gladiator KTT MMA MMAPLANET o ONE Road to UFC UFC YouTube アラン・フィルポット アンソニー・ドリリッチ ウェズ・キャッパー クイラン・サーキルド ドン・マール・ファン パン・ジェヒョク ホン・ソンチャン ロッド・コスタ ロン・チュウ 河名マスト 猿飛流 竹中大地

【Eternal MMA82】タイトル戦は4→2階級のみ。KTTのRoad to UFCファイター=ホン・ソンチャンが出場

【写真】16日に河名マストを相手にGLADIATORフェザー級初防衛戦臨むパン・ジェヒョクと、激しいスパーリングを繰り広げていたホン・ソンチャン(C)MMAPLANET

10日(土・現地時間)、豪州・西オーストラリア州パースのHBFスタジアムでEternal MMA82が開催される。
Text by Manabu Takashima

豪州トップ・フィーダーショーのEternal MMAでは、次回3月大会に日本から猿飛流が出場することも決まっている。本来、猿飛流の挑戦を受けるアンソニー・ドリリッチも今大会に出場予定だったが、挑戦者及び代役挑戦者が負傷欠場となり、3月大会で猿飛流を迎えて防衛戦を行うことになった。


またウェルター級王座決定戦=アルディン・ベイツ✖ケイレブ・ライドアウトも中止となり、ベイツは3月2日(土・同)に同じく豪州フィーダーショーのツートップの一角HEX Fight Seriesに出場し、ジョナサン・ミカレフと同プロモーションのウェルター級王座決定戦(!!)を戦うことが決まっている。

(C)ETERNAL MNA

つまり4つのタイトル中2試合がなくなり、メインでライト級選手権試合=王者クイラン・サーキルド✖ドン・マール・ファンが組まれている。

コメインではバンタム級選手権試合=王者ロッド・コスタ✖ 挑戦者アラン・フィルポットの2つのタイトルマッチだけが実現することに。

(C)ETERNAL MMA

この4名のなかでフィルポットは来日経験があり、日本のファンの目に届く場所で戦ってきた選手だ。

そのフィルポット、2016年のVJT大阪大会に来日し竹中大地のRNCで敗れており、ONE Warrior Seriesで2勝2敗、さらにはEternalで1勝3敗ながら挑戦権が与えられた。

この2つのタイトル以上に日本のコアMMAファンにとってはライト級のレギュラーファイトの方が気になるかもしれない。それがウェズ・キャッパーXホン・ソンチャンだ。パースのご当地ファイターのキャッパーは勝つ時にフィニッシュ、負ける時は判定という4勝2敗の選手で、対するホン・ソンチャンはKTT所属でRoad to UFCライト級に出場も、初戦で優勝したロン・チュウに敗れている。

ホン・ソンチャンの再起戦が豪州=Eternalが組まれた。日本だけなく韓国と東アジアに急接近のEternal MMA、要注意が必要だろう。

■視聴方法(予定)
2月10日(土・日本時間)、
午後7時00分~UFC Fight Pass

■Eternal MMA82 対戦カード

<Eternal MMAライト級選手権試合/5分5R>
[王者]クイラン・サーキルド(豪州)
[挑戦者]ドン・マール・ファン(豪州)

<Eternal MMAバンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ロッド・コスタ(豪州)
[挑戦者]アラン・フィルポット(英国)

<女子フライ級/5分3R>
コートニー・マーチン(豪州)
アミナ・ハダヤ(豪州)

<バンタム級/5分3R>
トビー・ミーチ(英国)
ダニエル・ミッチェル(豪州)

<ライト級/5分3R>
ウェズ・キャッパー(豪州)
ホン・ソンチャン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
カーン・ディアタ(豪州)
イ・ジョンファン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
ジュリアン・ジュスティアーノ(豪州)
マーワン・ラヒキ(豪州)

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45 AB Eternal MMA83 MMA MMAPLANET o UFC アンソニー・ドリリッチ スティーブ・アーセグ 猿飛流 鶴屋怜

【Eternal MMA83】猿飛流が1年3カ月振りの再起戦で豪州No.1フィーダーショーのフライ級王者に挑戦!!

【写真】決して簡単ではないファイトになるはず。そして豪州一のフィーダーショーの実力が知れるファイトに(C)ETERNAL MMA & MMAPLANET

30日(火・現地時間)、豪州#01フィーダーショー=Eternal MMAが、3月16日(土・同)にクイーンズランド州ゴールドコーストのサウスポート・シャークスで開くEternal MMA83に猿飛流が出場しフライ級王者アンソニー・ドリリッチに挑戦することを発表している。
Text by Manabu Takashima

オーストラリアン・フットボール場やフィットネス、レストラン、宿泊施設が整った豪州型レジャーセンターで開催される同大会で、元フライ級KOPが1年3カ月振りの実戦復帰を果たすこととなった。


鶴屋怜に敗れベルトを失った猿飛流は、伝わってくる話によればこの1年、自身の目標をどこに置くのか、なかなか見定まらない状況が続き国内プロモーションからのオファーに応じることがなかったようだった。

そんな猿飛流が豪州のフィーダーショーで、UFC行きを狙う6勝1敗のチャンピオンに挑むことを決めた背景には何があるのか。猿飛流が挑む王者ドリリッチはUFCにステップアップしたスティーブ・アーセグが返上したベルトを、昨年10月にフランク・ジャンコスキーを4RにRNCで仕留め引き継いだ。

本来は2月10日のパース大会=Eternal MMA82で初防衛戦を行う予定だったがチャレンジャーと代役挑戦者の2選手を負傷欠場で失い、1カ月後の同大会で猿飛流と対戦することになった。

サウスポー、パワー溢れる左ストレートの持ち主であるドリリッチだが、当然のようにレスリングとグラップリングも消化している。バックを取った状態でのコントロールは執拗で、削ってからのサブミッションも持つ。

何よりグランビーロールやスイッチの仕掛けもしっかりと対処できており、自らが下にされずスタンドに戻れば得意とする打撃の展開に戻れるという強味を持つ。このドリリッチの組みに対する受けとカウンターの強さを考えると──猿飛流は、スタンドで自らの間を掴み、圧で上回ることが欠かせない。

パンチで殴り勝つ必要はない、ただし距離とタイミングを自分の状態が整った状況に置く──そして組み勝つことが必須となるタフな再起戦となろう。

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【RIZIN LANDMARK05】RENAと対戦、知性と野生の融合クレア・ロペス「最後は私がRENAをKOしている」

【写真】キャリア7勝4敗、34歳で9歳の息子がいるというクレア・ロペスの話を聞いている間中、脳内でシルヴィ・バルタンのIrrésistiblement が流れまくっていました……(C)MMAPLANET

明日29日(土・祝)、東京都渋谷区の代々木第一体育館で開催されるRIZIN LANDMARK05に、クレア・ロペスがRENAと対戦する。

フランスで幼少期から器械体操を続け、南米は仏領ギアナでは指導者に。同時にムエタイを始めると、出産を経て柔術を嗜むようになる。「人生に次のレベルに行くことが必要」というロペスは、フランスに戻りMMAファイターとなる。

その後、英国に移り住みロンドンでブラッド・ピケット門下のMMAファイターとして、アグレッシブな打撃の展開が世界一多いといっても過言でないコンバテ・グローバルで活躍すると、適正体重階級のあるRIZINで戦うことを実現させた。

器械体操を続けてきた選手のコーディネーションとアジリティに関しては、GSPが真っ先に認め、このスポーツ経験者では猿田洋祐や猿飛流などが、国内外MMAシーズンで結果を残してきた。

完璧な動きを求める姿勢と、自在に肉体を操る能力が空いての動きを察知し、抜群のタイミングを生み出す。それでいて喧嘩ファイト上等──人生を謳歌するロペスはRENAとの体格差を越えてKO勝ちする気満々だ。


RENAが50.9キロ、クレア・ロペスが50.75キロで計量を終えている

──RIZINのクレアのプロフィールを見て、とてもユニークだと感じました。器械体操をやっていて、ムエタイからMMAに転向。しかも仏領ギアナに10年も住んでいてブラジルでMMAを見たのがきっかけとか。

「私はニースで生まれて、今もフランスの南部に家はあるけどMMAの練習のためにロンドンに住んで3年になるの。ずっと器械体操をやっていて17歳で競技活動をやめ、両親をはじめ一族の多くが住んでいる仏領ギアナに私も移り、器械体操のジムを創って指導を始めた。その2年後にムエタイの練習をするようになったわ」

──フランスではなくて仏領ギアナで?

「そうよ」

──欧州ではオランダが一番のキック王国ではありますが、ムエタイでいえばフランスという風に1990年代の終わり頃に思っていました。

「デニー・ビル、シャルル・スカボロスキーっていう素晴らしい選手が90年代のフランスにはいたし。私のコーチはパリから仏領ギアナに移り住んだ人で、ムエタイをフランスから持ち込んだ人だった。だから、しっかりとフレンチ・ムエタイを教わることができたわ。

アマチュアだったけど仏領ギアナ、ブラジルやスリナム、フランス領のマルティニークやグアドループというカリブの島々、パリでも試合をして。タイに行ってアマ世界大会にも出場したわ。でも、息子ができて試合に出ることは控えるようになって──」

──お子さんがいるのですか。

「えぇ、もう9歳よ(笑)。ムエタイは辞めたけど、すぐに柔術を習うようになったわ。ムエタイ、そして柔術をやっていると──もうMMAをするしかないじゃない?」

──そうとも限らないかと思いますが(笑)。クレアの場合はそうだったのですね。

「ブラジルのマカパやベレンでバーリトゥードを見て本当に凄かった。私はムエタイの試合をしたんだけど、もう会場の雰囲気も凄くて。そこでバーリトゥードが始まって。大興奮したわ。『クレイジー!! 血まみれじゃない』って。

目力が強い

でも、『やってみたい』って思った。

なぜ、そういう風に思ったのか自分でも分からないけど、またムエタイのようにファイトしたくなったの。本当にあの日々は楽しくて充実していたから。そんな私にとって柔術は十分じゃなかったみたいで。柔術ではアドレナリンが分泌されなかったわ(笑)」

──アハハハハ。クレアは殴る女だと。

「ファイターでいたかったのかも。バーリトゥードを見た時、見た目は残酷で怖そうだったけど、私にとってはそれだけではなかった。何より、生きるうえで次のレベルに進みたいし(笑)。

10年間、仏領ギアナで生活をしていて、新しいことがしたくなった。それが一番ね。24歳で子供ができ、3歳の時にMMAを始めようと思った。でも、仏領ギアナではMMAの練習は十分にできないから5年前にフランスに戻って」

──その時のファミリーの反応は?

「ムエタイや柔術の時は、そうでもなかったけどMMAに関しては母を怖いと思っていたけど、私がやろうと思ったことに反対はしなかった。母は私の性格が分かっているから。とても協力的で、練習をする私に代わって息子の面倒を見てくれるようになって。でもフランスでも思ったようにMMAのトレーニングをすることは無理だと分かり、ロンドンに拠点を置くようにしたの」

──フランスは長い間、パウンドが認められていなかったですが、強い選手も輩出されています。それでもクレアは十分だと思えなかったのですね。

「それとフルMMAルールの試合も許されてなかったから、試合は他の国で戦わないといけない。やっぱりフランスのMMAは米国や日本ほど発展していないわ。空手やムエタイのようにトップの国と同じような規模にはなっていない。私は今、34歳でもう若くない。だから自分のキャリアを考えて、3年前にフランスを離れることにしたの。

MMAって打撃とレスリング、柔術をそれぞれやれば良いってものじゃないから。その繋ぎが大切で。ケージっていう要素も忘れてはいけないし。そこがフランスの練習では欠けていると感じて……。だからロンドンに行き、ブラッド・ピケットの下でMMAのトレーニングをするようになった。ブラッドはMMAとして、全てを融合している。ムエタイと柔術、レスリングじゃない、全てが混ざったファイトを習うことができた」

──別々で考えると、戦い方も別々になりますね。ただ組みと打撃では、基本的に体の使い方が違う。全てを混ぜて戦うということが頭で分かっても、体に馴染ませることはまた別だと思うのですが、その辺りに苦労はなかったでしょうか。

「そこは器械体操の経験が生きた部分ね。器械体操で敏捷性がついていて、頭で思ったことはスムーズに体を動かせることができたの。それに寝技になっても、自分の位置、相手との距離を体で察知すること可能で。それにレスリングに関しては、器械体操の動きと類似点があってすんなり動けるという利点もあったわ。

加えて器械体操をやってきたことで、フィジカル的にMMAを戦うことで対して体を創る必要がなかったの。器械体操の経験があったおかげで、MMAを始めるスタート時点で随分と恩恵を受けることになったのは間違いないわ」

──クレアのMMAの試合を見て、ハッとさせられたことがありました。それはパンチを打つ姿勢と、ダブルレッグを仕掛ける姿勢が同じだったことです。打撃から組みにタイムラグがない。

「それも器械体操のおかげよ。器械体操では全く妥協が許されず、パーフェクトな動きが求められる。MMAを技術的に理解したうえで、パーフェクトな動きをするには距離、タイミング、角度を考慮した動きが必要で。ブレの無い動きをするために、そこを見極めることが自然とできたみたい。もちろん、そのための練習は必要だけどね」

──ムエタイ、レスリング、柔術は全てリズムが違いますからね。

「そう、MMAで一番重要なのはタイミング。全てはタイミングに掛かっていて、そのために同じリズムを刻むのが一番。そこに関しては、とにかく練習するしかなくて。ただ、器械体操で創られた体は、しっかりとフィットできたわ。結果的に私と戦う相手は、私が何をするのか読めなくて、混乱する。色々と余計なことを考えないといけなくなる。結果、防御のことばかりに頭がいって、向うから私が攻撃する機会を与えてくれるようになるの」

──すでにMMA IQの高さが伺えます。

「ありがとう(笑)」

──そんなクレアですが、正直、器械体操がベースなのだから体が大きいわけがない。これまでコンバテ・グローバルではストロー級で戦っていましたが、体格のことがあって──今回は51キロとはいえ49キロのアトム級が盛んなことでRIZINをターゲットにしたということはありますか。

「RIZINはアトム級、スーパーアトム級で良い選手がいるから常に頭にあったわ。私がMMAファイターになろうと思ったのは、人生を謳歌したいから。それにはファイトだけで生活できないといけない。なるべく長く、この生活がしたい。だからストロー級までのUFCや、フライ級までのBellatorで活躍することは私のゴールにはなりえない。

RIZINって、仕掛けも凄くてファイト以外でも楽しめるし。あの環境はより、ファイターの気持ちを盛り上げてくれると思う。だから……できればRIZINで戦い続けたい。そうなれば、最高ね。日本で戦い、息子と生きていけるようになりたいと思っている。

まだ昨日の夕方に東京に着いたばかりで(※取材は27日に行われた)、日本がどういう感じか分かっていないけど……とにかくホテルにいて、RIZINの人々とメディアデーを過ごすことで、皆がどれだけ礼儀正しくて誠実かが伝わって来たわ」

(C)COMBATE GLOBAL

──そんなRIZINで戦う以前の主戦場コンバテは、その対極にあるファイトが全てのようなイベントでした。

打撃も組み技も、とにかく荒々しい。あのなかでは喧嘩に強くないと、勝ち残れないという空気があります。テクニック重視、ファイトIQの高さを誇るクレアは、コンバテの戦いは何をもたらしましたか。

「コンバテではトーナメント、一晩で3試合戦ったこともあった。そういう戦いのなかで、3人を相手にすることはMMAを戦う上でパズルの組み立てがとても困難で。しかも、対戦相手が誰になるのか分からないなかで戦うわけだし。

そういうなかで落ち着いて、自分の試合をやり切る。あの経験は私を本当に強くしてくれた。でもコンバテでは52キロで戦っていたの。48キロのアトム級では対戦相手が見つからなかった。だからノーマルウェイトに近いストロー級で戦うしかなかった。そこも含めて、コンバテの経験で私は強くなった」

──今回は51キロということは、通常体重に近いわけですね。

「そうね、私は普段は53キロぐらいで契約体重まで、もう1キロぐらい落とせば良いだけ。だから明日の計量までしっかりと創って、ファイトに向かいたい。サウナに入る必要もないから」

──ではRENA選手の印象を教えてください。

「実はRENAとは3年……コロナ前に一度、戦う話があったけど実現しなかったの。だから、ずっと彼女とは戦いたいと思っていた。今回、こうやって戦う機会が巡って来て凄く嬉しい。彼女はRIZINのスーパースターだし、良いファイターだわ。ただ、私の方がウェルラウンディットで穴がない。だから彼女がシュートボクシングのチャンピンだったとしても、打撃でも私の方が思い切りアグレッシブに戦える。

きっとRENAは私のようなパワフルで何でもできるファイターと戦った経験がないはず。彼女を驚かせる準備はできているわ。例え51キロでもね。私はフィニッシュする。彼女が戦う気持ちを持ち続ける限り、攻撃を止めない。そして心を折るわ。

(C)COMBATE GLOBAL

寝技になっても私がコントロールする。

ただのグラップリングじゃない。どの位置からパウンドを落とせば一番効かせることができるのか……そういうことが理解できているから。それにRIZINは寝技でのヒザ蹴り、それにサッカーボールキックが認められているでしょ。これまで未体験だけど、だからこそしっかりと練習してきたわ」

──人の頭を寝技で蹴ってきたわけですね。

「もちろん、パートナーの頭を蹴ったり、踏みつけることはできないけど(笑)。そういうことがデキるよう準備してきた。このルールは最高、私の戦いを完璧なモノにするわ。ノックダウンを奪ってバックを制してチョークも良いけど、倒れた相手の顔面を蹴り上げることができるって最高!! もちろん、私もそうされる可能性はあるわけだけど、MMAは危険なスポーツ。勝つために相手がケガをするかもしれないアタックをしないといけない。

だからこそ、チャレンジのしがいがあるわけで。RENAが私の顔を踏みつけてきても平気、そうするのがMMAだから。だから、私も彼女の顔にサッカーボールキックできる場面が訪れることを楽しみにしているわ」

──そんな戦いを前にしてエキサイト気味ですが、同時に凄くリラックスしていますね。

「戦いの前はいつもリラックスできる。ドクターにも『本当にいつも通りだ。落ち着いているね』って言われるの(笑)。だって、こんなに楽しいことができるのに。ナーバスになるわけがないし」

──母は強し、です。

「その通りね。きっと負けることを恐れていないからだと思う。負けても、私のMMAが終わるわけじゃない。今、RIZINで戦うために日本に来ていることが楽しいし。土曜日にケージの中に入ることを想像すると、楽しくてしょうがないわ。好きでやっていることだし、とにかくエンジョイしたいの」

──押忍。では試合では、ファンに何を見せたいですか。

「良い試合をしたい。退屈な試合は絶対にしたくない。判定まで行かない、動きの多い楽しい戦いをしたい。そして、私が戦っている時の気持ちをファンの皆に伝えたいの。そのためにベストを尽くす。そして、最後は私がRENAをKOしているわ」

■視聴方法(予定)
4月29日(土)
午後2時30分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,スカパー!

■RIZINLANDMARK05対戦カード

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎:65.8キロ
朝倉未来:65.85キロ

<フェザー級/5分3R>
斎藤裕:65.85キロ
平本蓮:65.75キロ

<バンタム級/5分3R>
倉本一真:60.8キロ
太田忍:60.9キロ

<ライト級/5分3R>
武田光司:キ70.85ロ
ルイス・グスタボ:71.0キロ

<女子アトム級/5分3R>
浅倉カンナ:48.8キロ
V.V Mei:48.8キロ

<51キロ契約/5分3R>
RENA:50.9キロ
クレア・ロペス:50.75キロ

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛:117.2キロ
ロッキー・マルチネス:115.2キロ

<フェザー級/5分3R>
金原正徳:65.85キロ
山本空良:65.75キロ

<ライト級/5分3R>
雑賀ヤン坊達也:70.8キロ
アリ・アブドゥルカリコフ:70.9キロ

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F1 LFA MMA o ONE PANCRASE ROAD FC Road to UFC UFC   その他 イ・ジョンヒョン パンクラス マーク・クリマコ 中村倫也 堀内佑馬 山本聖悟 猿飛流 秋葉太樹 風間敏臣

『ROAD TO UFC』シーズン2に鶴屋玲が出場/フライ級は鶴屋を含め8名中7名が判明

PANTHER (パンサー) ロードバイク 多色/3サイズ可選 シマノ21段変速 超軽量異型アルミフレーム 700C×25C 適応身長160cm以上 前後ホイールクイックリリース搭載 ドロップハンドル コスパ最強モデル メーカー保証1年


『ROAD TO UFC』シーズン2開催が決定、1回戦は5.27&28/4階級で出場選手募集中/シーズン1で中村倫也に敗れた風間敏臣もUFCと契約(2023年02月28日)

 こちらの続報。


 MMA Ecosystemのクリス・プレスネル記者が5月27&28日に1回戦を行う『ROAD TO UFC』シーズン2への出場が確認された選手を発表。日本からはフライ級で鶴屋玲が出場します。現在判明しているのは15名。記者によると「おそらく」出場すると思われる選手があと6~7名いるので、確認でき次第発表するとのこと。4階級×8選手なので合計32名ですが、フライ級は鶴屋を含めてすでに7名判明しています。


 この件について鶴屋はこんなコメントをしています。

Rei Tsuruya(Sherdog)

Rei Tsuruya 鶴屋 怜 パラエストラ松戸(PANCRASE)

 鶴屋玲は現在20歳でMMA戦績6勝0敗。第8代フライ級キング・オブ・パンクラシスト。昨年12月25日の『PANCRASE 330』で猿飛流の王座に挑戦し2Rリアネイキッドチョークで勝利し新王者になっています。

Jiniushiyue(Tapology)

Sumit Kumar(Tapology)

Jung Hyun Lee(Tapology)

Billy Pasulatan(Tapology)

Ronal Siahaan(Tapology)

Mark Climaco(Tapology)

 その他のフライ級出場選手は上記を参照。6人中3人が無敗で、最も多く敗れている中国のジニウシエも11勝2敗です。韓国のイ・ジョンヒョンは昨年5月の『ROAD FC 60』で山本聖悟に、昨年7月の『ROAD FC 61』で秋葉太樹に勝利しています。アメリカのマーク・クリマコは唯一の敗戦が2021年11月の『LFA 117 : Dias vs. Tanaka』で行われた堀内佑馬戦です。続きを読む・・・
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【Pancrase330】 Pancrase330 Gallery 計量台の上とケージの中。もう一つの戦いの軌跡

【写真】猿飛流の両日のフォルムの違いは北米クラスか(C)MMAPLANET

昨年12月25日(日)に開催されたPancrase330。同大会の上位カードに出場した10選手の前日計量とファイト当日の肉体のフォルムの見比べてみたい。

欧米の選手たちと比較して減量及びリカバリーの幅を少なくする傾向にある日本人ファイターだが、何に水を抜き、再び水分を取り戻し筋肉が膨らむのか。大胸筋や僧帽筋、そして肩回りにもギリギリの状態まで落とし込んでいる選手がいることが確認できる。


鶴屋怜

透暉鷹

パン・ジェヒョク

雑賀ヤン坊達也

シュウジ・ヤマウチ

TSUNE

田嶋椋

上田将竜

伊藤盛一郎

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【Pancrase330】新フライ級KOP、鶴屋怜「またイチから見直して、やっていこうと思います」

【写真】イベント終了後、応援団への挨拶を終えたばかりの鶴屋怜 (C)MMAPLANET

25日(日)、横浜市中区の横浜武道館で開催されたPANCRASE330。同大会のメインで猿飛流を破り、鶴屋怜がフライ級KOPの座に就いた

デビューから1年10カ月、キャリア6戦目で日本の老舗MMAプロモーションの頂点に立った鶴屋は勝ち名乗りを受ける前から涙を流した。若さの象徴、自信しかないように見えた鶴屋の意外な涙。その理由と、こらからについて試合後に話を訊いた。


──20歳のタイトル奪取、涙を見せたのは意外でした。

「ちょっと想定外の展開になってしまって……焦ってしまったのもあるし、小さい頃から修斗やパンクラスと見て育ってきたので……。UFCという目標があって、も国内のベルトも大きな目標でした。なので、ちょっと涙が出てしまいました。それにここで負けていたらUFCなんてないし。格闘技で生活できなくなりるので自分を追い込んでいる部分もあったので」

──本物だという期待感が高まると、アンチの声も出てきます。そういう声は気になっていましたか。

「最終的に勝てれば良い。そう思っていました」

──では想定外の展開というのは?

「組んでバックを取ってからのスロエフ・ストレッチなんですけど、練習なら毎回ほぼ極まります。実際、試合中も極まったと思っていました。結果どこか精神的に『よっしゃ』となって、気を抜いてしまった部分があります。でも猿飛流選手は元器械体操の選手だからか、体が柔軟でした。あれで焦ってしまいましたね」

──焦っていましたね。首投げを強引に仕掛けて、決まらない場面もありました。

「首投げからVクロスで勝ちたいっていうのもあったんです……(苦笑)」

──お父さんの必殺パターンを。それは……。

「欲を持ちすぎてしまったスね。インターバルで、お父さんからも『落ち着け。お前、興奮しているんだよ』って言われて。でも『絶対、勝つから』って伝えて2Rに向かいました。後で見返さないと分からないんですけど、右が当たったのか……ああいう形になれたので。でも打撃も大切だって、身をもって思うことができました。課題も増えたし、まぁ……良い試合、良い経験になりました」

──1R終盤はケージに押し込んだ形で、ヒザをボディに何発が食らっていました。

「食らっちゃいましたけど、ヒザでダウンをすることはないと思っていました。2Rから行くつもりだったので、あそこは攻める気持ちはなかったです」

──ジャッジ1人が9-10と猿飛流選手のラウンドとしました。

「まぁ、猿飛流選手に入ってもしょうがないです。お父さんも『想定外のことが起きるのも1Rだから』と言ってくれて。猿飛流選手もチャンピオンだし、意地があったはずです。正直、舐めてはいないんだけど簡単に勝てると想定していたので……この試合の経験をこれからに生かしたいと思います。

扇久保(博正)さんからも『最初から行き過ぎると疲れるから』って、毎試合注意されていました。それで勝てていたんで、自分では構わないと思っていたのですが、先輩たちに注意されていたことがやっと理解できました」

──反省点のある試合。課題を見つかったタイトル戦を終えて、改めてUFCに向けてどのような気持ちでいますか。

「ホント、練習を基準に『俺、強いんじゃないか』って思ってしまっていたんですけど、試合だとそういうわけにはいかないです。これまでの試合は、ほぼ同じパターンで勝つことができたとはいえ、これからは通用しなくなります。UFCなんて言うと、もっと強いヤツらだらけです。なので、しっかりと見つかった課題を克服していかないとダメだなと思います。

打撃も自分のなかでは力を入れてやってきたつもりだったんですけど、もっと見つめ合っていかないとダメですね」

──反省しきりですが、キャリア1年10カ月でパンクラスの頂点に立ちました。2023年への意気込みをお願いします。

「ハイ。6戦0敗、6フィニッシュしているので来年は海外に絡んでいきたいです」

──1カ月ほど前から2023年開催のRoad to UFCに向けて、各階級で出場選手のリクルートが始まっているようですね。

「僕はRoad to UFCではなくて、本戦かコンテンダーシリーズに絡んでいきたいと思っています。でも、そんな上手くはいかないので1試合、1試合勝ち抜いていきます。とにかく今日の試合で見つかった課題が多すぎるので、年が明けたらすぐに練習したいです。またイチから見直して、やっていこうと思います」

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【Pancrase330】底が見えない強さ――鶴屋怜が猿飛流をRNCで下しフライ級KOPに。父にベルトを贈る

【写真】父・鶴屋浩氏の目にも、うっすらと涙が――(C)MMAPLANET

<フライ級KOPC/5分5R>
鶴屋怜(日本)
Def.2R1分23秒 by RNC
猿飛流(日本)

開始早々、鶴屋が飛び込んだ。シングルレッグで組むと、猿飛流がバックを見せながら立ち上がる。相手をケージに押し込んだ鶴屋は腕を差し上げてコントロールしながらグラウンドに持ち込んだ。すかさずバックを奪った鶴屋が、猿飛流の左足を取ってスロエフ・ストレッチへ。これが極まらないとみるや、猿飛流の左腕に狙いを変えて腕十字を狙った。猿飛流は腕を抜いて立ち上がり、鶴屋をケージに押し込む。

鶴屋は首投げを見せるが猿飛流は倒れない。強引に押し返した鶴屋はダブルレッグで組むも、スプロールされてしまう。それでも立ち上がった猿飛流を、四つで組んでケージに押し込む鶴屋。左の肩パンチで突き上げながら、左右に揺さぶるが、猿飛流が耐える。ボディロックから猿飛流の左足を抑える鶴屋に対し、猿飛流が左オーバーフックでディフェンス。さらに右ヒザを連続で突き上げて鶴屋の動きを止めた。

初回の採点はジャッジ1名が10-9で猿飛流、2名が鶴屋に10-9をつけた。

2R、サウスポーの鶴屋が左ハイを見せる。猿飛流が距離を詰めて来るとテイクダウンを奪った鶴屋は、ケージ際でパウンドを連打。左のパウンドが猿飛流の顔面を捉える。起き上がる猿飛流を抑えた鶴屋は、左足を差し入れてRNCへ。そのまま絞め上げてタップを奪った。

涙を浮かべながらベルトを巻く鶴屋。「まず挑戦を受けてくださった猿飛流選手、ありがとうございました。想定外のことが起きて、2Rに行っちゃって泣いてしまって、すみません。このベルトをお父さんに巻きたいので……」と、父・浩にベルトを渡す。続けて「UFCに挑戦したいので、これからも応援よろしくお願いします」と宣言した。


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