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【RIZIN45】「勝ったら鈴木千裕選手と戦いたい」斎藤裕─02─大晦日、クレベル・コイケ戦へ

【写真】平本戦前の心境──「修斗の時と同じ試合をRIZINでやろう」。痺れる言葉だ。その平本戦後の会見では、さすがに安堵感が伝わってきていた (C)MMAPLANET

31日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN45で、クレベル・コイケと対戦する斎藤裕のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

2020年以降の斎藤はRIZINで3連勝したあとに3連敗を喫した。短いスパンのなかでRIZINを背負おうとした苦悩――そんな斎藤が、かつての自分に戻してくれた平本蓮戦と大晦日のクレベル戦について語る。確かに彼を取り巻く環境は変化した。しかし大晦日のリングに立つのは、修斗時代と変わらないファイター斎藤裕だ。

<斎藤裕インタビューPart.01はコチラから>


――本来ファイターは個人事業主であり、団体の社員ではない。だから斎藤選手がそこまで考えることではない……という意見があって然りです。しかし、同時に斎藤選手が仰る「立場」を考えると、難しい判断も迫られる場合もあると。

「いろんな見方、いろんなバランスがありますからね。でもあの時に試合をしたことに対して、ただ自分が犠牲になったわけではないと思っています。あの大晦日で朝倉選手と再戦したからこそ、見えてきたものもありました。他の選手では感じられないことも、自分は感じることができたわけで。

そういうメリットとデメリットのバランスを考えることが重要だと思います。RIZIN側もケアをしてくれましたし、自分だけが傷を負って損をしたわけではなかったです。ただ、牛久戦と朝倉戦で両方とも怪我をしてしまって。スパンも短かったですし、精神的にも肉体的にもキツい時期ではあったことは事実です」

――牛久戦から平本戦まで1年もの間、試合から遠ざかっていたのは心身ともに疲れていたからなのでしょうか。

「自分で選んだ道ではありながら、流れは良くないと感じていました。そんななかで牛久選手との再戦で負けて、『じゃあ次!』という気持ちにはならなかったです。試合が続くこと、怪我も続くこと、あとは練習内容も含めて――いろいろ見直さないといけない。『だったら少し休んでもいいんじゃないか』というアドバイスをもらいました。自分もすぐ練習に戻って次、という気持ちにはならなかったので、1回リセットしようと。リセットしても試合をする気にならなかったら、それはそれかな……と」

――試合をする気にならない可能性もあったのですか。

「ありました。もし自分の中で『燃え尽きた。やり切った』という気持ちがあり、半年経って試合も練習もする気にならないのであれば、プロの選手として試合をするべきではないです」

――では1年という時を経て、もう一度戦いたいと思った理由は……。

「一番大きかったのは、『あの試合を最後にしたくない』という想いです。牛久選手との再戦の内容と結果で、本当に自分が納得して辞められるのか。ここまで一戦一戦、命懸けで試合をしてきて――あの試合が最後になると、間違いなく後悔すると思い始めました。かといって自分も納得して試合をするために、しっかり練習して整ってから復帰したい。そういう自分の気持ちを、うっすらとではありますがRIZINさんとマネージャーには伝えていたんです」

――復帰の舞台となった平本蓮戦はケージ使用のLANDMARKでした。これは斎藤選手からの希望だったのでしょうか。

「いえ、自分としてはどちらでも良かったです。RIZINさんとは『ケージでも良いです』と話をしましたが、実は『ケージって久しぶりだしなぁ』とは思っていました(笑)」

――アハハハ。ずっとリングで戦ってきてケージでの試合を迎えるにあたり、練習や技術的な面はシフトチェンジしましたか。

「相手が平本選手ということもあり、『これで負けたら諦めることができるかな』と思っていました。自分がベストの状態で試合に臨むことができれば、負ける相手ではない――いかに良い状態で試合に臨むかがテーマでした。その一方で、修斗の時と同じ試合をRIZINでやろうとは考えていましたね」

――……。

「RIZINからではなく修斗時代から、自分のことを応援してくれている人たちがいます。当日は道場のオジサンたちとかも会場に来てくれて、『まるで修斗の試合を見ているようだった』と言ってくれましたね(笑)。『まさに僕はそういう試合をしたかったんです』という話をして」

――ただ、それはRIZINから斎藤選手のことを知ってくれたファンが求める試合ではなかったかもしれません。

「自分でもそう思います。とはいえ試合は相手あってのものですし、全ての試合が皆さんの求めるものにはならないこともあります。とにかく僕が連敗している間も変わらずに応援してくれていた方たちに勝つ姿を見せたかった。自分自身も納得して試合をしたかった。ファイターは何よりも勝つことで反省もできるし、勝ってこそ喜べる。勝敗を抜きにして物事を語ることはできない。

その気持ちは、修斗時代から変わりません。あとはもうチャンピオンでもないし連敗もしていたので、肩の力が抜けて楽になったところもあったんです。『今回だけは、自分がやりたい試合をさせてくれ!』とは思っていましたね。今まで他の人たちのために頑張ってきたので、今回は好きにさせてくれと(笑)」

――一方で、試合内容には納得できていますか。

「いえ、全く納得できていません。自分としては、1Rで極めて勝つ想定をしていました。何より平本選手も練習してきているな、と感じましたね。僕の目算も甘かったですし」

――それは斎藤選手だけでなく、平本陣営以外は皆がそう思っていたのでしょうか。あの試合は平本選手の成長が称えられて然るべき内容だったと思います。

「そうなんですよね。僕としては、背中を着けたら一本取れるかなと思っていました。でも平本選手はディフェンスとか、体の使い方が巧くなっていて。『うまくいかないな』と思いながら試合していました」

――それが最後まで、うまくいかなかったと。

「フィニッシュして勝ちたいと考えていたので、極めることができなかったなぁと。でも打撃をもらわないことも試合のテーマにしていて。そのテーマはクリアすることができたと思いますが、まだまだ修正しなければいけないところは多いと感じましたね」

――平本戦から今回のクレベル戦まで試合間隔が空いたのは、何か理由があったのですか。

「特に『この選手と対戦したい』というのがなかったです。あの時点では、すでにクレベル×鈴木戦が決まっていて。朝倉×ケラモフ戦もあったし、試合結果を見ながらいろいろ動いていくのかなとは思っていました」

――斎藤選手が試合をしていない間に、RIZINフェザー級が大きく動きました。

「ほぼ毎月動いていましたね」

――そういう展開を、斎藤選手は一歩どころか思いっきり引いて全体の動きを見ていそうですね。

「アハハハ、確かに全体の動きを眺めていましたね。この選手がここで勝ったなら、このマッチメイクだな――とか一人で考えていました(笑)。大晦日については、ケラモフ×鈴木戦の結果待ちかなと思っていたんですよ。そうしたら先にクレベル戦のオファーが来て。ケラモフ×鈴木戦の結果を待たずして、クレベル戦が決まったのは良かったです。現状としては一番良い相手で」

――クレベル選手に勝利している金原選手と対戦、という考えはなかったですか。

「金原選手がクレベル選手に勝った時、次はタイトルマッチへ進むんじゃないかと予想しています。鈴木選手がケラモフに勝ってベルトを巻いたことで、鈴木×金原の機運も高まったと思いますし」

――一方で金原選手に敗れたクレベル選手が、現状で一番良い相手というのは……。

「まず2年前に対戦できなかったことから、ストーリーが始まっていると思うんです。何も思い入れがない選手と試合するよりは、お客さんも感情移入してもらえるでしょうし。何より自分にとっても、気持ちを入れて練習できる相手でした。そのクレベル選手と僕が大晦日に試合をしたら盛り上がるだろう――客観的に見ても、そう思います。

たぶんクレベル選手にとっても、僕は良い相手なんですよ。僕に勝てば、再びタイトル戦線に浮上できるわけですから。名誉挽回の試合というか、彼にとってもメリットのある試合で。本人がそう思っているかどうかは分からないですけど」

――2年前に対戦のお話が挙がった時と現在で、クレベル選手に対する評価が変わったところはありますか。

「2年前のほうが大きく見えましたよね。あの時はRIZINに参戦してからずっと一本で勝っていたし、どういうふうに攻略するんだろうと思われていて。でも、あの時から自分も彼も、何試合もやってきて――彼の試合を見る機会が増えて、クレベルのカラクリが明確に分かってきました」

――対して、斎藤選手ご自身は2年間でどう変わってきましたか。

「実は――いろんな取り巻く環境が変わっていくなかで、精神的にも肉体的にも良い時期が3年に1回ぐらいのペースで回ってくるんですよ。今まさに、その時で。とても良いコンディションで大晦日を迎える予定でいます」

――3年に一度のピークというと……。

「前回は2020年、朝倉選手との初戦ですね。あの時は摩嶋戦、朝倉戦、ケラモフ戦と本当に精神も体調も良くて、誰が来ても勝てるなと感覚がありました。その前は2016年にVTJでISAO選手と対戦した時で。あの時はコンディションが良く、何ラウンドでもできると思いました。結果は判定負けでしたが、今でも自分が負けたとは思っていませんし」

――こちらの質問に対して冷静に答えてくれていた斎藤選手ですが、ISAO戦については完全にファイターの顔に戻っていて何だか嬉しいです。クレベル戦で勝ったあとのストーリーラインは、どのように考えていますか。

「勝ったら次はチャンピオンの鈴木千裕選手と対戦したいです。そのためにはクレベル戦のインパクトも大事になると思っています。皆さん、大晦日の試合はぜひ見てください」


■視聴方法(予定)
12月31日(日)
午後1時00分~ABEMA
午後1時30分~U-NEXT、RIZIN100CLUB
午後2時00分~スカパー!、RIZIN LIVE

■ RIZIN45対戦カード

<RIZINフライ級王座決定戦/5分3R>
堀口恭司(日本)
神龍誠(日本)

<RIZINバンタム級選手権試合/5分3R>
[王者]フアン・アーチュレッタ(米国)
[挑戦者]朝倉海(日本)

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
斎藤裕(日本)

<フェザー級/5分3R>
平本蓮(日本)
YA-MAN(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
伊澤星花(日本)
山本美憂(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
上田幹雄(日本)

<バンタム級/5分3R>
元谷友貴(日本)
ヴィンス・モラレス(米国)

<フライ級/5分3R>
扇久保博正(日本)
ジョン・ドッドソン(米国)

<バンタム級/5分3R>
太田忍(日本)
芦澤竜誠(日本)

<65キロ契約/5分2R>
皇治(日本)
三浦孝太(日本)

<ウェルター級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
安西信昌(日本)

<フライ級/5分3R>
新井丈(日本)
ヒロヤ(日本)

<特別ルール・ライト級/5分2R>
安保瑠輝也(日本)
久保優太(日本)

<フェザー級/5分3R>
弥益ドミネーター聡志(日本)
新居すぐる(日本)

<キックボクシング・フライ級/3分3R>
篠塚辰樹(日本)
冨澤大智(日本)

<54キロ契約/5分3R>
那須川龍心(日本)
シン・ジョンミン(韓国)

<バンタム級/5分3R>
YUSHI(日本)
平本丈(日本)

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【Pancrase337】新居すぐるが振り返る、KOPT&シザースチョーク「川尻さんが『突き詰めた方が良い』と」

【写真】考えて、努力する。そのイメージを持たせないところが、格好良い(C)MMAPLANET

9月24日、東京都立川市の立川ステージガーデンで開催されたPANCRASE337のメインイベントで亀井晨佑に一本勝ちしてフェザー級KOPを戴冠した新居すぐる。
Text by Takumi Nakamura

ロングリーチと打撃力を誇る亀井と果敢に打ち合い、右ヒジ・右ストレート効かされながらも、最後は得意のアームロックからのシザースチョークで亀井を絞め落とした。どれだけ対策されていても極まる必殺技=アームロック+シザースチョークはどのようにして磨かれたのか。またパーソナルトレーニング中心で整えたという練習環境についても訊いた。


――Pancrase337で亀井選手にシザースチョークで一本勝ちし、フェザー級KOPとなった新居選手です。試合から約1カ月が経ちましたが、どんな変化がありましたか。

「チャンピオンになれたことは純粋に嬉しいですけど、僕はもう33歳で、ここでずっと喜んでいたら時間がもったいないというか。このベルトを手土産に強い選手を倒したいと思っているので、すぐ次に向けて動き出そうと思いました」

――それでは試合についても聞かせてください。試合全体としては打撃の打ち合いもありつつ、最後は一本勝ちという展開でした。

「試合が終わって、もっと寝技の展開を増やしていたら、あんなにダメージを受けることなかったなと思いました。率直に寝技だけだったら、僕とは差があったと思います。ただ今後のことを考えたときに、今までやらなかった殴り合いをやったり、倒れそうなところで踏ん張って一本勝ちできたことはいい経験になりました」

――スタンドでは亀井選手の182センチという長身&ロングリーチとジャブをどう攻略するかが一つの鍵だったと思います。どんな準備をしていたのですか。

「今までやった選手の中で一番背がデカかったんですけど僕はK-1、Krushで試合をしている大沢文也やブハリ亜輝留と練習していて、亜輝留は亀井選手と身長が同じで、文也はジャブがきれいで上手い。2人と練習してリーチとジャブに慣れて当日びっくりしないように準備していました。

実際1Rの終盤まで想定通りだったんで、全く焦らず試合ができていたんですよ。でもそこでヒジをもらって、焦っちゃったんです。そしたら今度は右ストレートをもらって鼻が折れて。そこから距離感をミスって、ビビらなくてもいい距離でビビってパンチをもらって…という展開になっちゃいました」

――2Rはどのようなことを考えて試合に入ったのですか。

「正直、亀井選手のパンチをもらって記憶が飛び飛びなんですけど、パンクラスのMMAグローブってRIZINと比べるとちょっと薄いんですよ。薄いグローブの方が痛いけど脳が揺れる感覚はなかったので、これだったらなんとか耐えられるなと思いました。でも耐えられちゃう分、痛いパンチを何発ももらったんで、それはそれで最悪でした(苦笑)」

――フィニッシュはシングルレッグ→バックテイク→スナップバック→アームロック→シザースチョークという流れるような動きでした。一連の流れは得意な動きですか。

「あれは練習したものがそのまま出ました。前回RIZINで飯田健夫とやったあとに、仲間から『すぐるはスクランブルになったら強いけど、そこにいくまでのレスリングがないから、レスリングを覚えたほうがいいんじゃない?』と言われて。

僕も同じことを思っていたんですよ。それで早稲田出身で、レスリングでオリンピックを目指している安楽龍馬のパーソナルトレーニングを受けるようになって、シングルレッグからバックを取る動きはずっと練習していました」

――レスリングを課題にしていたのですか。

「僕は柔道出身で、柔道的な組手はできるんですけど、あれは密着しないといかせないし、そこに行くまでに打撃をもらっちゃうんですよね。でもレスリングが出来たら遠い間合いからでも組みつけるので、レスリングを覚えたことで打撃をもらわずに組めるようになりました」

――マンツーマンでレスリングを指導してもらう形なのですか。

「僕が受け手を用意して、安楽に教えてもらう形です。安楽の指導がいいのはMMAにアジャストしたレスリング技術で、今の僕に必要なものだけを教えてくれるんですよ。例えば僕がレスリングを強化したいと思った時に、一からレスリングの基礎を覚えようと思ったら時間がない。安楽はいい意味で端折るところは端折って、本当に大事な技術だけを指導してくれるんです。しかも安楽は現役バリバリのトップレスラーなんで、レスリング技術そのものも最先端なんですよ。僕はテイクダウンして寝技になったら絶対極める自信があるんで、レスリングを覚えて自分のMMA全体がレベルアップしたと思っています」

――シザースチョークは1Rにも狙っていた技ですよね。

「はい。基本的にアームロックとシザースチョークをセットで使って。

相手がアームロックを警戒したらシザースチョーク、シザースチョークを警戒したらアームロックを極めるイメージです」

――アームロック&シザースチョークは新居選手の必殺技になっていますが、いつ頃から使い始めた技なのですか。

「MMAを始めた頃は寝技とか関節技をちゃんと教えてくれる人がいなくて。僕がアウトサイダーに出ていた時期に佐野哲也さんのジムに練習に行かせてもらったことがあったんです。

そのときにパンクラスで試合をしていたABさんにボコボコにされて、ABさんに『僕、技を知らないんで何か教えてもらえますか?』と聞いた時に教えてもらった技がアームロックとシザースチョークだったんです」

――AB選手からのアドバイスが原点だったんですね。

「それからアームロックとシザースチョークを練習していたのですが、それしか技を知らないわけですよ。その頃に川尻(達也)さんと練習することがあって、ABさんの時と同じように『僕、アームロックとシザースチョークしか知らないから、何か技を教えてもらえますか?』と聞いたら『お前のどこからでもアームロックを取りにいくスタイルはめちゃくちゃいい。必殺技は警戒されても極まるものだから、それを突き詰めた方がいいよ』と言ってもらったんです。

そのアドバイス通りにアームロックの練習を続けていて、2015年にあったVTJ GRAPPLERS CROWN 2ndという組み技の大会で柔術の世羅智茂選手にシザースチョークで一本勝ちしたんです。僕、組み技の試合に出たのが初めてだったから世羅選手のことを知らなかったんですけど、あとで色々と世羅選手のことを知って、アームロックとシザースチョークに自信を持てるようになりました」

――一つの技にそこまでの歴史があったんですね。

YAWARA柔術アカデミー村田良蔵代表。SJJJF代表理事でもあり、3月19日にはグラップリング大会=KIWAMIをGRACHANと併催している

「ただ、そうはいっても我流で練習を続けていたのでMMAの試合では対策されて、なかなか極められなくなったんです。

そうやって伸び悩んでいる時期にYAWARA柔術アカデミーを紹介してもらって(村田)良蔵先生と出会い、寝技の細かい基礎を教えてもらって、寝技のレベルがぐっと上がったんです。そこでアームロック&シザースチョークが“得意”技から“必殺”技に変わりました」

KIWAMIで新居は小見川道大をシザースチョークで破っている

――まさに紆余曲折を経て磨かれた技なんですね。例えば他の選手のアームロックを見ていて「こうすれば極まるのに…」と思うことはありますか。

「単純に同階級の選手に力負けしたことが一回もないんで、基本的に(アームロックを)取れないわけがないと思ってやってます(笑)。実際に2年前から筋トレはやめて、その分の時間を技術練習に当てています」

――格闘技を始めた頃からパワーには自信があったのですか。

「もともと柔道出身なんですけど、高校時代の柔道部のメンバーがみんな身体が小さかったんです。それで先生がデカいやつらに力負けしないようにむちゃくちゃ筋トレをやらせてたんです。それで力が強くなりました」

――昨年7月のハンセン玲雄戦から4連勝を収めていますが、レスリングや寝技以外で変えたことはありますか。

「その年の2月にRIZINで山本空良に負けて、そこから仕事を辞めて格闘技に専念しようと思ったんです。それまで自分は本当に練習が嫌いで、技術練習なしでスパーリングだけ参加するみたいな感じだったんです。でも山本戦のあとに各ジャンルにパーソナルトレーナーをつけて、格闘技のノウハウを学ぼうと思いました。それこそ柔道で培ったフィジカルとアームロック&シザースチョークだけで、ある程度やれていたわけだから、今の自分には伸びしろしかないし、ちゃんと練習すれば絶対に強くなれると思いました」

――打撃は誰の指導を受けているのですか。

「RISEで活躍して森本”狂犬”義久たちを指導していた青木利康さんですね。週2回、青木さんにミットを持ってもらっています。練習環境としては打撃は青木さん、レスリングは安楽、寝技は良蔵先生に教わって、出稽古でMMAのスパーリングをやるという感じです」

――今日新居選手を取材していて、ジムに所属せずにパーソナルトレーニングで練習環境を整えるという考え方が面白いと思いました。

「本当は僕もどこかジムに入りたいんですけど、僕みたいに週6日遊んでいる選手は行きづらいじゃないですか(笑)。二日酔いのまま練習にいくと迷惑かけちゃうし、周りの選手の目も気になるし。それを考えるとパーソナルトレーニングを受ける方が楽なんですよね」

――そういう理由でしたか(笑)。でも必要なものを教えてもらえる、短期間で結果を出すという意味では新居選手に合った練習環境ですよね。

「今日の取材でも分かってもらえると思うんですけど、僕ってものすごく特殊な選手じゃないですか。ずっと我流でやってきて、使う技も偏っていて。パーソナルだと、それを修正するんじゃなくて、長所として伸ばしてくれたうえで、足りない部分を補ってもらえるんですよね。結果的に今のパーソナルを受けて、それを自分の頭で組み立てるという練習方法が合っていると思います」

――ちなみに新居選手はタイトルマッチの記者会見でも「飲んで遊んでいてもチャンピオンになれる。それが若い選手に夢を与える」とコメントしていましたが、パフォーマンスではなく本当にそのくらい遊んでいるのですか。

ノーネクタイ&襟を立てる。いわゆる遊び人スタイルで調印式に出席していた

「はい(笑)。

いつも試合の一カ月前から禁酒するんですけど、減量に入るとどんどん調子が良くなっていきますね」

――新居選手はTiktok・YouTubeの「クラブセキュリティあるある」動画でも人気ですが、格闘技で結果を出すことへのこだわりは?

「今まで生きてきて、自分の意思でやろうと思ったことがクラブセキュリティとMMAだけなんです。柔道は先輩が怖くて辞められなかっただけだし、どんなスポーツもバイトも長続きしなかったんで、その2つは絶対に続けようと思ったんです。もともと僕は欲がない性格で、後輩の阿部大治とか武田光司がチャンピオンになって活躍しているのを見ても、心のどこかで自分には無理だと思っていて。

でもRIZINで負けた時に『最後に思いっきり格闘技を頑張ってみよう』と思って、仕事も辞めて格闘技に専念したら結果が出るようになって、もっと上を目指そうと思いました。それで格闘家としての発言権が欲しくてパンクラスでベルトを巻くという結果を残したかったんです」

――失礼ながら自分も初めて新居選手を取材させてもらい、イメージや印象が変わりました。

「去年自分のなかで3年プランというものを立てていて、2022年はSNSを頑張って知名度を上げる。2023年は格闘技で結果を出して知名度に追いつく。2024年はその2つでもっと結果を出して稼ぐ& 成功する、なんです。だから今年はほとんどSNS用の動画を撮ってないし、格闘技に全振りしようと思ってやってきました」

――そういった人生プランがあったうえでの、SNS活動だったんですね。ではこれからの格闘家としての目標を教えてください。

「パンクラスのチャンピオンとして、パンクラスを代表して試合をしていきたいですし、今年の格闘技の目標が3つあって、RIZINにリベンジする(RIZINで初勝利する)こと、パンクラスでベルトを巻くこと、RIZINの大晦日で試合をして勝つことなんです。最初の2つは達成することが出来たので、あとはチャンスを待つだけですが、RIZIN大晦日に出るという目標を実現したいです」

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BELLATOR Gladiator o RIZIN VTJ VTJ2021 アレクセイ・インデンコ ムン・ジェフン 宇野薫 関鉄矢

ROAD FC066:メインイベント・キム・スーチョル vs. 原口央

バンタム級(63kg)トーナメント決勝戦

スーチョルはRIZINで扇久保に判定勝ち。昨年の大晦日はBellatorとの対抗戦にRIZIN代表として出場し、フアン・アーチュレッタにスプリット判定負け。トーナメント一回戦はロシアのアレクセイ・インデンコをギロチンで秒殺、準決勝はブラジルのブルーノ・アゼベドに判定勝ちして決勝進出。31歳。

原口はZSTでプロデビュー。GLADIATORフェザー級でタイトルを獲得すると、VTJ2021では宇野薫に判定勝ち。昨年RIZINで2戦するも、関鉄矢・中原に判定負け。今年からバンタムに落としている。一回戦でムン・ジェフンに判定勝ちし、8月の準決勝は相手の体重オーバーによる失格で不戦勝。28歳。

詰めるスーチョル。右。原口タックル。切ったスーチョルは首を抱えてギロチン。下になってディフェンスする原口。スーチョル放したがまたギロチン。ケージに押し込みながら絞める。かなりタイトだったが、また下になり外した。原口下から腕十字も、スーチョル肘を抜いてディフェンス。上になりがぶるスーチョルだが、原口スイッチで抜けてバックを取る。ケージ際でテイクダウン狙い。両足をホールドして寝かせようとする原口。スーチョル立ってスタンドバックに。スーチョルが正対したところで原口はリフトしテイクダウン。今度はスーチョルがガードから腕十字狙い。クラッチしてディフェンスする原口。蓮下。担ぎパスからバックに回った原口。ハーフバックから立ったスーチョル。またスタンドバックの体勢。キムラを狙う原口だが、スーチョルカウンターの腕十字。スッポ抜けてスーチョルががぶりの体勢。またギロチン。引き込んで絞めたがゴング。

2R。スーチョル飛び蹴り。ボディブロー。またタックルをがぶるスーチョル。しかしシングルレッグに入った原口。奥足を掴んで寝かせようとする。しかしスーチョルスイッチからバックに回った。原口前転して足関を狙うが、スーチョルクルスフィックスで押さえるとパウンド。足で押さえられていた腕を抜いたがマウントに移行するスーチョル。亀になり股下から抜けた原口がまたテイクダウン狙い。強引にバックを狙った原口だが立たれた。パンチを打ち込む原口。スーチョルも打ち返すがちょっとスピードが落ちている。ミドルをキャッチしてシングルレッグに入った原口だが、腹に膝をもらい一瞬効いた!スーチョルバックからパンチ連打。立った原口。両者やや疲れが見える。スーチョルの左が入り、一瞬遅れて原口ダウン!鉄槌連打!KO!

スーチョルがバンタム級トーナメント優勝。原口もレスリングで対抗し、パンチラッシュで攻める場面もあったが最後は力負けした。

負けた原口にもインタビュー。ここで取り返したいものがあるので来年リベンジしたい、そろそろスーチョルにスイッチを買ってあげてとコメント。

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【Shooto2023#07】キャリア28年目の宇野薫、約2年ぶりの復帰戦でオーディンと対戦

【写真】宇野と対戦するオーディンはこの試合が修斗2戦目となる(C)MMAPLANET

11月19日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#07の追加対戦カードとして、オーディン×宇野薫のフェザー級戦が発表された。
Text by Takumi Nakamura


宇野は2021年11月「VTJ2021」での原口央戦以来、約2年ぶりの復帰戦。原口戦後の練習中に負傷し、試合から遠ざかることとなったが、2023年の修斗公式戦 後楽園大会の最終戦で復帰を果たす。

対戦相手のオーディンは柔道ベース&格闘DREAMERS出身、EXFIGHTやPOUND STORMで試合を重ね、ABEMA格闘チャンネル海外武者修行プロジェクトの5期生として、ATTのアトランタ支部で練習を重ねた。今年7月の修斗デビュー戦では、世界ランカーの結城大樹をパンチで追い込んでのマジョリティ判定で下し、早くもランキング3位に位置している。

プロキャリア28年目を迎える宇野×デビューから3年弱・キャリア3戦目にしてアメリカでの武者修行も経験しているオーディンという両者の対戦。またMMAでの3連敗を現役生活の節目と言い続けてきた宇野にとって、今回の試合は2連敗で迎える一戦=キャリア6度目の崖っぷちの一戦だ。

今大会では世界フライ級王座決定戦として同級1位・山内渉×ストロー級王者・新井丈も発表されている。

山内と新井は7月の修斗後楽園大会に揃って出場し、第8試合でヤックル真吾をKOした山内が新井との対戦をアピール。第10試合で安芸柊斗をKOしてストロー級王座防衛に成功した新井も山内との対戦に応じる姿勢を見せ、ストロー級&フライ級の二階級同時制覇を宣言していた。

フライ級ではランキング外の新井だが、昨年9月のストロー級王座戴冠後にフライ級で2試合を戦って連勝。今年3月には当時フライ級1位だった関口祐冬に勝利しており、事実上のフライ級トップコンテンダー同士の対戦と言える顔合わせだ。

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【Wardog44】関西フィーダーショー=ワードッグ柿原勇気代表に訊く─01─「一人前の選手に育ててプロに」

>【写真】日本のチャトリ=柿原勇気ワードッグ代表。その由来は――容姿を似せにいったから(C)SHOJIRO KAMEIKE

22日(日)、大阪市港区の弁天町世界館で関西インディ・ケージファイティングのWardogが、44回目の興行=WARDOG CAGE FIGHT44を開催する。
Text by Shojiro Kameike

2014年にスタートしたワードッグは小径ケージを使用し、ユニファイドルールを標榜してMMA大会を行ってきた。その後、関西インディ団体として活動してきたワードッグは、その出身選手が同じく関西で活動するグラジエーターなど他の興行に進出。「西のフィーダーショー」ともいうべき展開を見せているワードッグの歴史と現在について、柿原勇気代表に訊いた。


――MMAPLANETで初めてワードッグについて報じたのは、215年の第2回大会でした。柿原さんは第5回大会からワードッグの代表に就任されていますが、ここで改めてワードッグの歴史からご説明いただけますでしょうか。

ワードッグ設立当初の柿原代表。写真はブレていますが、とにかく若い!(c)GRACHAN

「まず『柿原勇気って誰やねん!?』というところからですよね(笑)。もともと僕はプロレスのリングアナウンサーをやっていて、第2回大会の頃はまだ代表ではなくリングアナを担当していました」

――懐かしい写真です! まだ柿原代表も若く、髪を後ろで結んでいる……。

「プロレスが縁で、ACFというプロレス&格闘技の興行を開催している近藤哲生社長と知り合い、さらにこのU.B.F.というジムがキッカケで初期の代表である永井明宏も加わって、ワードッグがスタートしました。実は、全てはU.B.F.から始まっているんです」

――というと?

大阪梅田の繁華街=兎我野にあるU.B.F.。全てはこの場所から始まった。(C)SHOJIRO KAMEIKE

「当時から僕は地下格闘技に関わっていました。でも僕が関わっている選手が試合に出ても、あまりにも勝たれへん。そこで選手がちゃんと練習できて、興行もできる環境を創ろうと思いました。それがU.B.F.――Umeda Battle Fieldやったんです。最初はここで地下格闘技やプロレスの興行も行っていたんですよ」

――えっ!? そうだったのですか。

「あの頃、僕は梅田で飲食店をやっていて。周辺の飲食店の店員さんを集めて、飲み放題にし、お客さんも入れてスパーリング大会を開催したのが最初だったと思います。その頃に近藤社長がウチのジムに来ていて――近藤社長は道頓堀プロレスを運営していて、自前のリングを持っている。だったらこのU.B.F.で行っていることを、外の会場でやってみようと始まったのがACFでした」

――そしてワードッグも……すべてはこのU.B.F.から始まったのですね。

「そこに永井が加わり、『ユニファイドルールを使ったMMAをやりたい』という希望があって、ACFとは別の興行として2014年11月にワードッグがスタートしました。でも最初の頃は素行の悪いチームも多くて、2015年7月の第5回大会から『素行の悪いチームは入れへん。ちゃんとMMAをやりたい人だけ出てもらおう』と決めたんです。永井に代わり、僕がワードッグの代表になったのも、その第5回大会からでした」

――第2回大会を取材した当時、専門誌には「地下格闘技に出ている選手がMMAを戦うのがワードッグ」という旨を記載しました。そのコンセプトは、今も変わりないですか。

「そうですね。もっと言えば、『MMAの底辺拡大』がワードッグのコンセプトでした。当時の大阪や近畿圏は、まだアマチュア修斗やアッマチュアパンクラスを経ないと、プロにはなれないという状況でした。プロのMMAファイターになるのは、それしか方法がなかったんです。一方で『格闘技をやりたいけど、どうやってアマチュアの大会に出ればいいのか分からない』という子たちもいて。そんな子たちが集まっていたのが、当時の地下格闘技でした。それと当時の大阪では、常にケージを使っているのはワードッグだけやったんです。まだ修斗、DEEP、パンクラスもリングでやっていて。パンクラスは東京でケージを使い始めた頃だったと思います」

――まだ修斗もVTJ、DEEPもDEEP CAGE IMPACTといった別興行として開催していました。新生グラジエーターの誕生も2016年6月ですから、当時の大阪ではケージ大会が珍しかったでしょうね。

「実は当時の大阪で、ケージを使っている大会といえば地下格闘技のほうが多くて。だからケージ=地下格闘技というイメージを持っていた人は多かったです。世界最高峰のUFCはケージで、大阪やとケージは地下格闘技という(苦笑)。すると地下格闘技出身でDEEPやパンクラスの大阪大会に出る選手のなかには、リングで試合をしたことがない子もいました。そういう子たちは『壁(ケージ)がないのに、テイクダウンされたら、どうやって立ち上がれば良いんですか?』って(笑)。そうしているうちに、地下格闘技から本気でMMAをやりたいという子たちが増えてきました。でもひとつ問題があって……」

――問題とは?

「それほど技術を持っていない子たちが5分2Rを戦っても、何もできずに膠着するだけなんですよ。試合が面白い、面白くないということではなく、まだプロとして試合ができるレベルになかった。そこで考え出したのが、5分1Rのセミプロ枠=NGFやったんです。今はブレイキングダウンが5分1Rでやっていますけど(笑)、ウチとしてはNGFで頑張った選手をプロに上げていく。そうやってプロとプロ以外を線引きしていこうと決めました」

――つまり、団体として選手をイチから育てていく。かつてプロレス団体が新弟子から採用していたように、ワードッグはプロレス団体の良い部分を取り入れたのですね。

小径ケージ、5分1R~5Rまでのルールなどワードッグ独自の選手育成がある(C)WARDOG

「そういうことですね。大会で選手を育てていかなアカン。ルール面でいえば、アマチュアMMAってパウンドグローブ、レガース、ヘッドギアを着けて試合をしているところが多いじゃないですか。でも『はい、明日からプロです。全部外して試合してください』と言われて、すぐに対応できる選手は少ない。あと、いきなり『プロデビューです。チケットを売ってください』と言っても、売れるわけがない。そこでウチはNGFを通じて、イチから『プロ選手って、こういうことやぞ』と教えていくことにしました。どうやって格闘技を始めればいいのか、どうやって大会に出ればいいのか分からない子たちを、一人前の選手に育ててプロにする。それが、僕たちにとって『MMAの底辺拡大』のひとつです」

――地下格闘技が流行していた時代の課題として、地下格闘技に出ている選手もレベルが上がり、もっと上のレベルが高い大会に出たくなる。しかし、何をやっていいか分からない選手を放っておけば、結果何をするか分からないわけで……。

「はい。関東の人には誤解されているところもあるかもしれないけど、登っている格闘技という山は他と同じなんです。ただ、畑が違う――育て方が異なっているだけで」

<この項、続く>

■WARDOG44対戦カード

<WARDOGフライ級タイトルマッチ/5分5R>
[王者]MAGISA(日本)
[挑戦者]しゅんすけ(日本)

<ライト級/5分2R>
後藤丈季(日本)
そのまんまたなか(日本)

<ライト級/5分2R>
キンコンカンコンケンチャンマン(日本)
ユン・チュル(韓国)

<フェザー級/5分2R>
DAIGO(日本)
秋田良隆(日本)

<ウェルター級/5分2R>
前田慶次(日本)
SAIDER(日本)

<バンタム級/5分2R>
セイヤ(日本)
カーレッジユウキ(日本)

<フライ級/5分2R>
岩本尚(日本)
よしひと(日本)

<グラップリングマッチ ウェルター級/5分1R>
坂本オーズ昌良(日本)
ジャンジュオン(韓国)

<グラップリングマッチ ライト級/5分1R>
白樫忍者(日本)
ユ・エンホ(韓国)

<NGFライト級/5分1R>
だいち(日本)
REN(日本)

<NGFフェザー級/5分1R>
RYUSHI(日本)
TBA

<NGFバンタム級/5分1R>
アダチコウキ(日本)
それゆけケイタっち(日本)

<NGFバンタム級/5分1R>
涼河(日本)
将太(日本)

<NGFフライ級/5分1>R
小西澄斗(日本)
PANTHERBOYショウ(日本)

<NGFフライ級/5分1R>
太一(日本)
真鍋陸(日本)

<NGF女子ストロー級/5分1R>
プリンセス☆サアヤ(日本)
チャッキー☆ルビ(日本)

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【Grachan65】TSUNEと対戦――手塚基伸―01―「極めるのが浪漫」&「なんちゃって格闘技ではない試合」

【写真】前列左から2番目が若き日のTSUNE。後列中央が手塚、左端は藤田大和 in ドリーマージム時代(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、TSUNEと対戦する手塚基伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

手塚が初めてグラチャンに出場したのは、2014年4月の中村謙作戦であった。あれから約9年が経った今の手塚にとってのグラチャンとは――。さらに今回対戦するTSUNEとの意外な関係についても語る。

<手塚基伸インタビューPart.01はコチラから>


――ここで手塚選手とグラチャンの歴史についてお聞きしきます。手塚選手のグラチャン初出場が2014年4月の中村謙作戦でした。当時、どのような経緯でグラチャンに参戦することになったのでしょうか。

「2012年からパンクラスを経てUFCに出たあと、VTJやROAD FGCを含めて4敗していました。その時にグラチャン代表の岩﨑(ヒロユキ)さんからオファーを頂いたんです。なぜあの時の自分に声が掛かったのか分からないんですけど(笑)。

グラチャンからのオファーを受けた理由は、一番はベルトが欲しかったからです。昔から沖縄の天下一ファイトや、パンクラスでもランキング上位には入るけどタイトルマッチが組まれなくて。だからベルトへの執着心もあったし、年齢的にも――当時は25歳ぐらいで、『ここらへんでベルトを獲っておきたい』と思っていました。その時期に来たグラチャンからのオファーはタイトルマッチやったんで、飛びつきました」

――当時のグラチャンの印象はいかがでしたか。

「今でこそグラチャンも大きくなったけど、当時は大会中ずっと音楽がガンガン鳴っていたり、他のMMA大会とは雰囲気が違っていたじゃないですか。そんなグラチャンに出ることが決まって、周りからはボロクソ言われましたよ。『手塚は堕ちた』って」

――国内MMAといえば修斗、DEEP、パンクラスなど「老舗」と呼ばれるプロモーションがあります。手塚選手がグラチャンに参戦した当時は、インディー系と呼ばれた他のプロモーションと老舗3プロモーションの序列が今とは違い明白でした。

「正直、自分もグラチャンを見たことがなくて。あと自分もまだUFCを捨てきれていなかったというか、またUFCに出られるんじゃないかという雰囲気もあったんです。まず国内でベルトを巻いて、もう一度UFCへ――という想いだったので、まさか自分のホームになるとは考えていなかったですね」

――ではグラチャンをホームだと考えるようになったのは、いつ頃でしょうか。

「俺がグラチャンを背負うと思ったのは、グラチャンンのベルトを巻いたあとにグラジエーターで大道翔貴選手に負けて(2016年7月に判定負け)、次にZSTで柏崎剛選手と対戦した頃(同年11月に判定勝ち)ですね。大道選手に負けて、現グラチャンン王者として申し訳ないという気持ちでベルトを返上しましたから。その頃からグラチャンへの愛が芽生えてきたのかな、と思います」

――2019年からは修斗に参戦しています。その時も、グラチャンの選手として修斗に出ているという気持ちは強かったのですか。

「グラチャンの10周年記念大会(2018年9月、GRACHAN36)で堀友彦選手に負けてベルトを獲れず、自分は一度引退したんです。当時は試合に出ながらアルバイト生活みたいな感じで。だけど子供が生まれたから……堀戦で負けたら引退して、ちゃんと仕事を始めようと思っていました。結果は負けて、とある会社の正社員になってMMAからは離れたんです。でも8~9カ月後ぐらいに復帰することになった際に、『自分はもうグラチャンには必要ない選手やな』と思って」

――というと?

「もうグラチャンのバンタム級では全員と対戦していましたから。それやったら新しい場所で、気持ちも新たにして戦おうと考えました」

――様々なベルトを獲得した手塚選手にとって、もう一度グラチャンのベルトを獲りに行ったことは、どういった意味を持っていたのでしょうか。

「子供にベルトを見せたかった――それが一番ですね。先ほども言ったとおり子供が生まれたばかりの時の試合で。そう考えると、僕のキャリアの節目には、常にグラチャンがあったような気がします。まずベルトが欲しいと思った時に最初のオファーがあって、子供が生まれた時にベルトを見せたい、負けたら引退しようというのが堀戦で」

――堀戦以降はグラチャンの試合を含めて7勝1敗の戦績で、グラチャンのベルトも取り戻しています。何再び上昇気流に乗っているような感覚はありますか。

「実は、ありますね(笑)。RIZINのヤマニハ戦は負けてしまいましたけど、その前には6連勝していますから。それも『格闘技と共存しよう』と思ってからですよね。格闘技も大事やし、家族もジムも大事。特に子供は――今5歳なんですけど、今この時間は戻らないものじゃないですか。だから、できるだけ子供と一緒にいる時間を増やしたいです。でも死ぬ時に後悔したくないから、MMAもしっかりやりたい。どれかが突出することなく、全てがうまく回り始めているのかなと思います。

昔は時間があったから、いろんなことをやろうとしすぎてパンクしかけていましたよね。でも今は『できないことは止めて、できることを伸ばそう』とかも考えることができる。たとえば以前は壁を使って立ち上がるとか……苦手なことを身につけようとして(苦笑)」

――苦手なことって、自分で言ってしまいましたね(笑)。

「アハハハ。それを練習しても、試合では使わなかったですしね。今は逆転の発想といいますか、引き込んで極めるという」

――特にグラチャンのベルトを取り戻した伊藤空也戦では、ケージを使ってテイクダウンするのではなくケージを使って極めるという、ある意味新しいスタイルを見せました。

「やっぱり僕にとっては極めることがMMAの浪漫で、僕に対してその需要があるかぎりMMAを続けていきたいです。最近は手の置き方、体の動かし方や重心移動とか、ようやく『力を使わずに極める』ということが分かってきました」

――そして迎える15周年記念大会でTSUNE選手と対戦します。TSUNE選手について、今まで対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を意識したことはないけど、TSUNE選手が本名で戦っていた頃から試合は視ていました。年齢はTSUNE選手のほうが2歳上ですけど、やっぱり同じ時代を生きて来たファイターですからね。とにかくトップキープが強い選手で、お互いに『やることは決まっている』というタイプですよね」

――TSUNE選手の試合を視ていたのは、過去に繋がりがあったからですか。

「あぁ、岡山県のドリーマージムですよね」

――2008年ごろにTSUNE選手が格闘技を始めたのが岡山県倉敷市のドリーマージムで、手塚選手も当時ドリーマージムのMMAクラスで指導されていました。

「そのドリーマージムの食事会とかで、TSUNE選手と話をした記憶はあるんですよ(笑)。確かもともと野球をやっていて、ドリーマージムには一般会員さんとして入会していたと思います。それが食事会だったと思いますけど、いずれ東京でMMAをやりたいという話を聞きました。不思議なもんですよね。ここでその2人が試合をするとは……」

――本当に不思議な縁です。そのTSUNE選手との試合は、どのような内容になると思いますか。

「相手が何をしてこようと、何かしてきた時にパッと対処していきます。特に試合のプランがあるわけではなく、そこに足があれば足を極めるし、腕があれば腕を極めたい。僕って、直感型やと思うんです。何か考えながら動くよりも、パッパッと流れで動くことで、決められなくても次の流れに繋がっていくじゃないですか。自分も長いことMMAをやってきたので、その流れは身体に染みついています。

グラチャンの15周年記念大会で、パンクラスのベルトにも挑戦したことがあるTSUNE選手と対戦できるのは嬉しいです。お互い30代後半で、SNSで盛り上げるような『なんちゃって格闘技』ではない試合を見せることができると思います。ぜひ期待してください」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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BELLATOR Bellator x RIZIN02 MMA MMAPLANET o ONE RIZIN VTJ   イリマレイ・マクファーレン ライカ ヴェタ・アーティアガ 宇野薫 渡辺華奈

【Bellator x RIZIN02】渡辺華奈と対戦、ヴェタ・アーティアガ「殴られて当然。私は殴られることは怖くない」

【写真】とにかく明るく。フレンドリーな人でした (C)MMAPLANET

30日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナでRIZINとBELLATORのOne day Two event制の大会=「超RIZIN02」が開催される。そして、5試合組まれたBellatorマッチでヴェタ・ヴェタ・アーティアガが渡辺華奈と対戦する。

元女子フライ級タイトルコンテンダーのアーティアガは、打撃で引かない喧嘩家のごときファイターだ。それでいて柔術で黒帯を巻き、ソフトなジェントルアーツかつ危険な技を駆使すると話す。

陽気で何事も動じない。そして一本を取らせない力の持ち主は、待望の日本での試合を前に既に気分が高揚しているような盛り上がりを見せていた。この勢いと前に出る力が合致すると、渡辺は母国で厳しい試合を強いられるかもしれない。


──今月末、渡辺華奈選手と日本で戦います。今の気持ちを教えてもらえますか(※取材は14日に行われた)。

「良い感じね。凄くエキサイティングしているわ。ずっと日本に行きたいと思っていたから」

──これまでマウンテンタイム・ゾーンで生活をしているヴェタはハワイを含め、時差は3時間という米国内で戦ってきました。対して日本とは15時間です。

「日本での試合に対しての準備は、自分のやるべきことやる。そこを第一にしているわ。もちろん時差のことは頭にいれているし、日本に到着して少しでも早く時差ボケをなくさないといけない。でも1日が過ぎることに楽になり、ファイトデーには関係なくなっているはずだから」

──既に体を動かす時間など、調整は始めていますか。

「私は午前、午後、夜と3度練習していて、それはいつも通りね。生活のリズムを崩して、いつも通りの練習ができないことの方が、時差ボケより良くないことだから。ところで今、ボイジーは午後1時45分だけど日本は何時なの?」

──午前4時45分です。

「えぇ!! ありがとう。こんな時間までインタビューをするのを待ってくれて!!」

──全然大丈夫です。日本のファンはヴェタのことを余り知らないのが現状で、こうやって米国にいるヴェタにインタビューできる機会をBellatorが与えてくれたわけですし。ヴェタはなぜMMAを戦うようになったのですか。

「20歳の時に本当に小さな町からボイジーに引っ越してきて、兄のフレディがMMAを戦っていたの。彼の練習を見に行って、楽しそうだったから習いたいと思って。それでクラスに出て、しばらくすると『1試合だけ経験しよう』っていう気持ちが芽生えてね。で、試合に出てみるると楽しくてしょうがなかった。あれからアマチュアの試合に出続けるようになったの。これを続けていると、私はどこに辿り着けるのかなって。で、15年が過ぎて日本で戦うことになったというわけ」

──まさにローング・ジャーニーですね。MMAを始める前に他に格闘技の経験はなかったのですか。

「ベースボールとバスケットボールをやっていただけで、マーシャルアーツの経験は全くなかったわ。逆にバックグラウンドがなかったから、打撃も寝技もできるファイターになれたと思う。パンチ力があり、プレッシャーをかけることができる。柔術は黒帯だしね」

──ところでプロで1試合をしただけで、Bellatorと契約しました。ビッグプロモーションとサインして、不安はなかったですか。

「ノー。心配なんてなかったわ。2試合目でBellatorで戦い、4試合目はTVカードだった。しかもサンノゼのSAPセンターなんていう大きな会場で!! Bellatorのような大きなプロモーションで戦い続けることができて、本当に感謝しているわ」

──柔術黒帯ということですが、柔術やノーギの試合も出ていたのでしょうか。

「MMAを始めたころ、もの凄く柔術の練習をしてグラップリングのトーナメントにも出ていたわ。柔術でもグラップリングでもメダルを取っているし。ただ、私の柔術はMMAのためにあって。柔術やグラップリングのためじゃないことは自分でも分かっている」

──対戦相手の渡辺選手は、柔道ベースで非常に力強い寝技の持ち主です。ヴェタとは違った類の寝技の使い手ですが、彼女のグラウンドでの攻撃力をどのように思っていますか。

「彼女は素晴らしい競技者よ。試合が寝技の展開になった時、良い攻防が見られるでしょうね。彼女の寝技はとてもパワフルで、私は柔術がベースだから、ソフトでジェントルアート。だけど危険なスタイルで戦うから。攻撃面だけでなく、ディフェンス面もキャンプで磨いてきたから準備はOKよ」

──過去に一本負けがない選手同士の対戦でもあります。

「カナの攻撃力は抜群よ。でも、大丈夫。私は自分の寝技に自信を持っているから。彼女が攻撃的だから、私がサブミットできる機会も巡ってくるんだし」

──渡辺選手は組でくることが予想できますが、そこでギロチンが勝負に影響を与えるかと。ヴェタのノーアームギロチンは、グリップの仕方に色々とバリエーションがあります。ギロチンが得意技と捉えて良いでしょうか。

「得意技の一つね。でもほかのサブミッションだって使えるし、RNC、ダース……も。ギロチンは頭を抱えた瞬間に、どれだけ深く入っているから感知できるの。グリップに関しては最初のグリップで極め切れそうにないなら、次を試す。練習で色々なパターンを試し続けてきたから、グリップの種類が多いことがギロチンの精度を高くするのは絶対よ。ギロチンには自信を持っているし、寝技全般に自信があるわ。

カナから打撃戦からテイクダウンを狙った来た時、どこの彼女の首があるのか。カナだって私にはギロチンがあることは分かって戦うわけだし。その状況を見て、自分のやるべきことをやるだけね。それに組む前に打撃の攻防があるわけだし、そこに関しては私の方が上。殴れば、彼女のミスを誘発できる。殴って勝つことが、私の勝利の方程式よ」

──ヴェタは渡辺選手より優れたストライカーというよりも、個人的には強いブロウラーという印象です。

「アハハハハハ。私は殴られることは怖くないから。だってファイトだから、殴られて当然。殴られても、前に出ていくわ。凄く痛いけどね(笑)」

──渡辺選手は4月にイリマレイ・マクファーレンに敗れましたが、試合内容で圧していたこともあり評価は落ちていないかと。ここで、彼女に勝つことでヴェタも2度目の王座挑戦が見えてくる。キャリアアップに向けて、この試合をどのように捉えていますか。

「私もハワイで負けた立場で、カナと戦えるチャンスを手にできた。彼女はランク3位だから、絶対に負けられないっていう気持ちでいるでしょうし。それに私はアンダードックよ。ただランキングもアンダードッグも気にしていない。日本に行って戦うだけ。カナのような強い相手と戦って勝利を続けることで、またタイトルショットを手にできると考えているから。それが私のやるべきことで、望んでいることよ」

──では日本での試合、楽しみにしています。確かに日本は渡辺選手のホームですが、ヴェタにブーイングが起こることは決してないはずなので。

「皆、私のことを愛してくれるってことよね(笑)。実は私をMMAに導いてくれた兄のフレディが日本で試合をしたことがあって」

──えっ、そうなのですか。

「そうよ、VTJで日本に行ってるの(※2014年2月のVTJ4th。フレディ・アルティーガの名前で来日し、カナ・ハイアットに判定負け)、コーチの一人もそうで(※ジェシー・ブロック。同大会で宇野薫と対戦)。この2人から、日本のMMAカルチャーのことは聞かされてきたから。2人とも『最高の経験ができた』って。凄くファイターをリスペクトしてくれて、歓迎してくれると聞いてきたから、私にもそうしてもらえると嬉しい。でもね、ブーイングがあっても平気よ(笑)。

とにかく日本で戦うことは凄く意味があって。この機会が訪れたことを、本当に素晴らしいと感じていて。私の精神も、日本での戦いを経験することで違う面が芽生えると信じている。そして日本のファンの皆に、私の持っている力の全てを見てもらいたいと思っているわ」

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ABEMA DEEP MMA MMAPLANET o ONE Shooto Shooto2023#05 VTJ ブログ ヤックル真吾 内藤頌貴 安芸柊斗 山内渉 新井丈 竹中大地 藤井伸樹 藤野恵実 関口祐冬

【Shooto2023#05】7年4カ月振りの竹中大地が藤井伸樹と。安芸、CHAN-龍、里見=阿波シューター揃い踏み

【写真】大会が引き締まるカードが、ここにきて発表された!! (C)MMAPLANET

4日(火)、サステインより23日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#05に竹中大地が出場し、藤井伸樹と対戦することが発表された。

同大会は5月大会の会場で修斗世界ストロー級選手権試合=チャンピオン新井丈✖チャレンジャー安芸柊斗、インフィニティリーグ女子ストロー級で修斗初陣となる藤野恵実✖エンゼル☆志穂──など5試合がカード第一弾として明らかとなっていた。

続いて6月23日に山内渉✖ヤックル真吾、関口祐冬✖内藤頌貴のフライ級生き残り合戦と、加藤ケンジ✖スソンのバンタム級、ライト級では格闘DREMAERS出身オーディンの修斗初陣=結城大樹戦と濃密なカード第2弾に、最終カードは元チャンプの凱旋となった。


元環太平洋バンタム級王者の竹中にとってプロ修斗出場は2016年3月以来7年4カ月ぶりとなる。また修斗系イベントでは大阪でのVTJに2017年6月以来、その後は、ONEと契約しアジアを舞台に戦ってきた。

実質1階級上のONEバンタム級ではタイトルコンテンダーのキム・デフォンとレアンドロ・イッサからフィニッシュ勝利を奪うも、マーク・アベラルド戦は優勢に試合を進めながら唇のカットによりドクターストップで敗れ、接戦のユーサップ・サーデュラエフ、フライ級に階級を落とし日本=Road to ONEで戦った和田竜光には共にスプリットで星を落としている。

結果、ONE系の大会では3勝3敗と潜在能力の高さがリザルトに反映できなかった竹中が、心機一転──古巣に戻り、どのような再スタートを切るのか。対戦相手はかつて自身が巻いていたベルトの現在の持ち主である藤井だ。

藤井は石井逸人、齋藤翼、加藤ケンジ、後藤丈治ら修斗バンタム級の現有勢力に勝利しており、この一戦は竹中にとって掴みにくい現在のポジションが明らかとなる戦いといえる。

また本日のプレスリリースではストロー級でパラエストラ千葉の高校生シューター根井博登が、里見拓磨と対戦することも発表されている。

DEEP、パンクラス、修斗と若い力を輩出し続ける鶴屋浩一門。対して里見は徳島のMMA Zジム所属だ。タイトルチャレンジャーの安芸、インフィニティリーグ2023フェザー級出場のCHAN-龍と徳島から3選手が揃い踏み──「ヤットサーヤットサー」が後楽園にこだまするか、要注目だ。

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