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【UFN234】UFC2024年スタート。ニコラウと再戦、マネル・ケイプ「試合の見所は如何に僕がKOするか」

【写真】常に物静か、そして揺るぎない自信(C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFN234:UFN on ESPN+92「Ankalaev vs Walker2」が開催され、マネル・ケイプがコメインでマテウス・ニコラウと対戦する。
Text by Manabu Takashima

両者は2021年3月に1度対戦しており、ケイプは1-2のスプリット判定負けを喫している。当時から裁定に納得がいかず、自分が勝者と明言し続けてきたケイプは、この再戦に何を想うのか。そこには絶対の自信が存在した。


――2024年UFC最初のイベントで戦うマネルです。1月に試合があるとクリスマスとニューイヤーホリデーはお預けになりますね。

「僕はもともと宗教上、クリスマスを祝うことはない。とはいってもクリスマス、ニューイヤーとなると回りは最高に楽しんで、飲み食いをしていた。でもファイターは、その中に入ることはできない。新年を迎えると、試合まで2週間だ。より集中しないといけなかった。皆のように新しい1年の始まりを祝えないのは淋しいことだけど、それが僕の仕事だからね」

──日本では以前から1月に試合があると、練習仲間を見つけることが難しいという話が聞かれてきました。

「日本ではそうかもしれないね。新年の祝い事が大切にされているようだったし。でも、僕らは違う。僕はUFCファイターやBellatorファイターのなかで、練習をしている。皆が試合に向けて、コンディションが落ちるようなお祝いの時間は作らない。皆、練習していたよ」

──ところで以前、ベルトのために戦っているのであってリベンジのために戦っているのではないという発言がありましたが、今回はニコラウとの再戦となりました。

「この対戦は、僕にとって完璧だよ。僕は既に一度、彼に勝っている。もう一度、勝つだけだから。まぁ本音をいえば彼ではなくて、カイ・カラフランスと戦いたいと思っていた。でもね、カイ・カラフランスを含め誰もが僕との対戦を避ける。そしてマテウス以外、僕の前に残らなかった。この試合はタイトルショットに直結するし、受けないわけはなかったよ。あとはマテウスを倒すだけだ」

──ランクが下の選手と戦わないというケースは多く見られるようになりましたね。

「いつも言っているけど、ランキングなんてただ数字だ。問題は勝つか、負けるかなんだ。ランク外にも無敗のファイターがいて、彼らはランク3位ぐらいの力があるかもしれない。ランキングを上り詰めるには、時間が必要なんだ。要は勝つか、負けるか。そして勝利を手にするために全力で戦う。ベストになるは、勝者になることが第一だからね」

──常にニコラウとの最初の試合で勝っていたと発言していますが、オフィシャルの結果は判定負けです。だからこそ、ここで星を取り返したいという気持ちになりますか。

「前回の試合から、僕がどれだけ成長したかを見せつける。ファンの皆は、もう充分に見てきたはずだ。もちろん、この試合に集中しないといけないけど、頭の中ではタイトル戦のことばかり考えている。マテウスのことは軽視していない。それでも、僕の方が優れたファイターであることは間違えようがない。そういうことなんだ」

──2021年3月のマネル・ケイプと比較して、どこが最も成長したと思いますか。

「全てだ。MMAファイターだから、どの局面も強くなっている。どのような試合展開になっても、成長した姿を見てもらえるだろう」

──同様にマテウス・ニコラウも成長しているのではないでしょうか。

「う~ん、そんなことはない。彼は変わっていない。前回の試合、何が悪かったのかと言えばジャッジの裁定が悪かったんだ。彼が強くなっているとは思えない。良いファイターだよ、でも僕のように優れたファイターではないからね。エクセレントな戦い、優秀な戦いを僕は実行する。

この試合の見所は、いかに僕がKO勝ちするかだ。彼は僕のパンチを怖がっている。前の試合で一発でも被弾すれば、試合が終わると思ったに違いないよ」

──では技術的に勝負の鍵を握るのは、どこになるかと思っていますか。

「移動と角度──かな。彼の動きをカットする。僕は長い間、日本で戦ってきた。リングでシューズを履いて。オクタゴンで戦うようになった当初、リングとケージの違いに慣れる必要があった。ただ、あの時点でも十分に戦えていたからね。あの時、僕の未来は開けていると自信を持てたよ」

──パントージャはアミール・アルバジと防衛戦を行うのではないか、そんな話も聞かれます。

「誰がパントージャに挑戦するのか、分からない。だからこそ、この試合を戦う意味がある。この試合でどれだけ僕がスマートで、優れているのかを証明しつつファンに喜んでもらえる試合をする」

──ところでUFCフライ級には平良達郎選手という日本人ファイターがいます。現在、オクタゴンで5連勝中です。彼のことが気になることはありますか。

「素晴らしいウェルラウンダーだ。彼のこれからに期待している。近いうちにトップ3になるだろう。それだけの可能性を秘めている。彼がちゃんと練習して勝ち続ければ、フライ級トップと戦うようになる。そして、僕はフライ級のトップだ」

──マネル、今日は時間を割いてもらってありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「いつも日本のファンには感謝している。次も勝つから、僕の試合を視て欲しい」


■視聴方法(予定)
1月14日(日・日本時間)
午前6時00分~UFC FIGHT PASS
午前5時30分~U-NEXT

■UFN234対戦カード

<ライトヘビー級/5分5R>
マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
ジョニー・ウォーカー(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
マテウス・ニコラウ(ブラジル)
マネル・ケイプ(アンゴラ)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
ガブリエル・ベニテス(メキシコ)

<ライト級/5分3R>
ナスラ・ハクパレス(ドイツ)
ジェイミー・バラーキー(豪州)

<バンタム級/5分3R>
リッキー・シモン(米国)
マリオ・バウティスタ(米国)

<ミドル級/5分3R>
フィル・ホーズ(米国)
ブルーノ・フェヘイラ(ブラジル)

<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
ワルド・コルテスアコスタ(ドミニカ)

<ウェルター級/5分3R>
マシュー・セメルスバーガー(米国)
プレストン・パーソンズ(米国)

<バンタム級/5分3R>
マーカス・マギー(米国)
ガストン・ボラノス(ペルー)

<バンタム級/5分3R>
ファリド・バシャラット(アフガニスタン)
テイラー・ラピルース(フランス)

<フェザー級/5分3R>
ウェスティン・ウィルソン(米国)
ジアン・シウバ(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
トム・ノーラン(豪州)
ニコラス・モッタ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
フィリッピ・ブニス(ブラジル)
ジョシュア・ヴァン(ミャンマー)

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UFC on ESPN+92:オッズ/予想と展望

マゴメド・アンカラエフ 1.22
ジョニー・ウォーカー 4.50
マテウス・ニコラウ 3.00
マネル・ケイプ 1.41
ジム・ミラー 1.85
ガブリエル・ベニテス 1.98
リッキー・シモン 1.57
マリオ・バティスタ 2.45
フィル・ハウズ 1.98
ブルンノ・フェヘイラ 1.85
アンドレイ・アルロフスキー 5.40
ワルド・コルテス・アコスタ 1.17
マシュー・セメルスバーガー 1.80
プレストン・パーソンズ 2.05
マーカス・マクギー 1.36
ガストン・ボラニョス 3.25
ファリド・バシャラート 1.36
テイラー・ラピルス 3.25
ウェスティン・ウィルソン 6.25
ジェアン・シウバ 1.13
ニコラス・モッタ 3.40
トム・ノーラン 1.34
ジョシュア・ヴァン 1.46
フェリペ・ブネス 2.80

今年最初のUFC

メインは10月の対戦で1Rにアンカラエフのグラウンド膝の反則があり、ウォーカーは続行できそうだったが、レフェリーとの意思疎通が上手く行かずにストップされたことで物議を醸した試合の再戦。

アンカラエフはUFCデビュー戦でポール・クレイグを圧倒していたが、三角に捕まって残り1秒での大逆転負けでキャリア唯一の黒星を喫した後、9連勝でイリー・プロハースカが返上したライト級タイトルの王座決定戦に出場。ヤン・ブラホヴィッチ相手に内容では押していたが、これも物議を醸す判定ドロー。その次の試合がノーコンテストになったウォーカー戦と、ここにきてタイトル獲得目前で不運な足踏みが続いている(反則膝は自業自得だが)。

ウォーカーはUFCデビューから3連続1RKO勝ちして将来のスター候補と見られていたが、そこから急に失速してその後1勝4敗。ブラジル人に良くいる調子のいいときは強いが、勢いがなくなるとあっさり負けるパターンの選手になっていた。しかしそこからまた3連勝で復調している。が、下位ランカー相手には強さを見せるものの、トップ5ランカーの壁は崩せていない。

前回もストップがかかるまではアンカラエフが押していたこともあり、オッズは大差でアンカラエフがフェイバリット。

アンカラエフKO勝ち。

セミでは、昨年デイブソン・フィゲイレード戦につづいてカイ・カラフランス戦も流れたマネル・ケイプが、3年前のUFC2戦目で敗れたマテウス・ニコラウとの再戦に臨む。

ケイプは現在4連勝中。5位のニコラウに勝てば、いよいよトップ5ランク入りとなる。

ニコラウはケイプ戦が2年半ぶりのUFC復帰戦で、そこから4連勝したが、昨年4月には先月タイトル挑戦を果たしたブランドン・ロイバルに1RKO負けで、UFC復帰後初黒星。

前回はニコラウの対戦相手が負傷欠場となり、試合9日前に急遽代役としてケイプが出場して対戦した。1Rにニコラウがテイクダウンを奪い、2Rにはケイプがタックルを切って打撃を入れる展開で1Rずつ取り合い、3Rは僅差だが打撃のヒット数ではケイプが上回るという内容で、ニコラウが微妙なスプリット判定勝ち。今回はケイプがオッズでフェイバリットとなっている。

フライ級は来月1位の前王者モレノと2位のアミール・アルバジの対戦が予定されている。3位は先月挑戦したばかりのロイバル、4位はモレノとアルバジに敗れた後、9月のケイプ戦を負傷欠場したカラフランス。王座挑戦の優先順位はモレノ vs. アルバジの勝者が上だと思うが、内容次第ではニコラウ vs. ケイプの勝者にチャンスが回ってきてもおかしくない。

第1試合開始は14日6時から。速報します。

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MMA News o ONE UFC UFC294 カイ・カラフランス

UFC294:第8試合・ティム・エリオット vs. ムハンマド・モカエフ

フライ級。エリオット10位、モカエフ11位。

7年前のTUF決勝で扇久保を破り、王者DJに挑戦したエリオット。その後はランキング下位か、ランク外の挑戦を受ける試合ばかりだったが、6勝5敗で勝ったり負けたりと、じわじわ下降しながらもランキングを維持している。ギロチン・アナコンダ・ダースなどが得意。フライ級最年長の36歳。

マチュア24連勝、プロでも9連勝中・UFC4連勝中のモカエフだが、前戦はUFCデビューのジャフェル・フィーリョに苦戦し、3Rに膝十字を完全に極められたものの、意地で耐えきった。ニアフィニッシュだっただけに、そのままフルタイムになれば判定は分からなかったが、残り1分を切ってからチョークで逆転勝利。無敗記録を伸ばした。圧倒的なレスリング力を武器に、打撃で攻め込まれるとタックルで凌ぐスタイルだが、それが通用しない相手だとどうなるかはまだ未知数。2000年生まれの23歳。

体を振りながら出るエリオット。モカエフ飛び込んでパンチを入れたがエリオットがテイクダウン。ハーフに。腕を掴むモカエフに肘を入れる。立ったモカエフ。詰めて左を入れた。飛び込んでワンツーからタックル。エリオット切った。パンチで出たエリオットにタックル。しかしがぶって切ったエリオット。がぶりから膝。手のひらをついているかどうか微妙な体勢だったが、レフェリー反則として止めた。注意のみで再開。モカエフパンチからタックル。今度はドライブしてテイクダウン。エリオット得意のギロチンに抱えている。が、放した。残り40秒。細かいパウンドを入れるモカエフ。大きいパンチを入れられないままホーン。終了後にエリオットがモカエフを押す。何か挑発されたか?

1Rややエリオット。

2R。モカエフいきなりタックル。エリオットギロチン!かなり絞めたが抜けた。エリオット下から肘。モカエフも上からパウンド。両者上下でコツコツ打ち合う。互角なら上のモカエフが優勢になる体勢だが。一度離れたモカエフがガードに飛び込んだが、そこにカウンターの三角!がっちり入っている!モカエフリフトすると頭から落とした。三角が外れたが、またガードに戻すエリオット。上から細かいパウンドを入れるモカエフ。下からホールドするエリオット。ホーン。

2Rはギロチン・三角が惜しかったエリオットだが、終始上でコントロールし続けたモカエフとどちらに入るかは微妙。

3R。エリオットが詰めてきた。モカエフタックル。がぶったエリオット。頭部に膝。が、モカエフが床に手を着いておりグラウンドとみなされ反則に。しかしそもそも反則ではないとみなされたのか、減点なしで同じ体勢からの再開。がぶるエリオットを投げて上を取ったモカエフ。残り3分。下で攻めさせないエリオットだが、モカエフハーフから枕を取ってマウント。肩固め。タップアウト!

モカエフUFC5連勝で初のランカー撃破。しかしガードのエリオットに攻めあぐねて、最後フィニッシュしなければ判定ではわからなかった。

勝ったモカエフはカイ・カラフランスとの対戦をアピール。

1R三者エリオット、2Rは一者モカエフ、二者エリオットで、3Rをモカエフが取っても判定負けだった。フィニッシュが必要なところで取っていくのは勝負強い。

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【UAEW45】藤田大和&吉野光が、UFCファイトウィークのアブダビでRoad to UFCよりも厳しい相手と対戦

【写真】吉野と藤田が、とんでもない猛者とアブダビで戦う (C)UAEW

17日(火・現地時間)にUAEはアブダビのアルジャジーラ・クラブで開催されるUAE Warriors45に日本から藤田大和、吉野光の2選手が出場することが同プロモーションの公式SNSで明らかとなっている。
Text by Manabu Takashima

藤田は8月のフィルカドベク・ヤクボフをギロチンで倒して以来2カ月弱のUAEW再出場で、吉野は3月に──コンテンダーシリーズ第8週でUFCとサインを果たした──ヴィニシウス・ジ・オリヴェイラにTKO負けを喫して以来の再起戦となる。

当初の予定ではUFC294の前日=20日開催だった同大会だが、17日に前倒しとなり、会場も二転ほどした結果──同国のプロサッカー・チーム=アルジャジーラ・クラブの本拠地で実施されることとなった。

9日(月・同)に出されたプレスリリースで上位5カードが正式発表され、その文末には「その他のカードは今週中に決定する」と記されながら、実は同じ日に全対戦カードのCGが公とされており、そこにはしっかりと藤田と吉野の顔と名前が確認できる。

いかにも中東らしく、また「中東ではよくあることだ」と関係者が公言してしまうドタバタ感のあるイベントだが、Abu Dhabi Showdown Week2023と呼ばれるファイトウィーク大会らしく、16カ国からファイターが集まるなど注目すべき試合が多い。


そもそもUFCの前日開催ではセレモニアル計量と時間がバッティングし、ダナ・ホワイト&カビブ・ヌルマゴメドフのルッキンフォー・ファイトとして機能しないことから、スケジュールが前倒しになったとも伝わってくる今大会。かなりの可能性で両者が視察する展覧試合になり、出場選手にとっては千載一遇の機会ともいえる。

そんなUAEW45のメインはUAEWライト級王座決定戦=アムル・マゴメドフ✖ジェコンギル・ジュマエフの一戦だ。マゴメドフはヌルマゴ軍団の24歳の新鋭で、これまでの戦績は6勝0敗──3試合でRNCより一本勝ちがある。

対してウズベキスタンのジュマエフはキャリア10勝3敗のストライカーで、クラシカルなグラップラー✖ストライカー対決となる。とはいえジュマエフはUAEWでディラン・サルバドールにヴァンフルーチョークで敗れた1試合しか経験しておらず、マゴメドフ・アップの試合という見方は十分になされる。

(C)Zuffa/UFC

勝負論でいえばコメインのバンタム級戦=チムール・ヴァリエフとパウリアン・パイヴァの顔合わせがより興味深い。

WSOFで5勝1敗、PLFで3勝0敗、UFCでは2勝1敗のヴァリエフは、TUFシーズン31でブラッド・カトーナに敗れオクタゴン復帰がならなかった。が、ハオーニ・バルセロスに勝利しWSOF時代には今週末のUFC Fight Nightに出場するクリス・グティエレスと1勝1敗と、正真正銘オクタゴンで戦うだけの力を持った実力者だ。

(C)Zuffa/UFC

対するパイヴァはUFCで3勝4敗。

カイ・カラフランス、ホジェリオ・ボントリン、そしてショーン・オマリーらに敗れているが、カイラー・フィリップスから勝ち星を挙げており、ヴァリエフに劣らない力の持ち主といえる。

さらにはUAEWフェザー級及びUAEWアラビア・フェザー級チャンピオンのアリ・アルカイシが、世田谷育ちのUFCベテラン=マーク・ストリーグルに勝利しているイタリアのヴァルテル・コリアンドロとノンタイトル戦で戦う。UFC級、UFCを目指す選手が砂漠に集まる大会で藤田大和は11勝1敗1分のカザフスタン人ファイター=サンスハル・アディロフ、吉野光はヌルマゴ・チーム所属のダゲスタンファイターで7勝0敗のリネット・ハバロフと戦うこと決まった。

DEEP ✖Black Combatの対抗戦で日本を震撼させたユ・スヨンがバンタム級のベルトを巻くカザフのNAIZAとヌルマゴ所有のEagle FCという両プロモーションのフライ級とバンタム級で計6勝0敗のアディロフは、スイッチヒッターでジャブが伸びるボクシングと、テイクダウン防御に優れたレスリング力を持つ。

さらには倒されないように戦うなかで、アナコンダチョークやがぶってバック奪取という堅守&カウンターアタックも強い。バックを取ってからの安定度も抜群のアディロフと藤田の一戦はフライ級タイトルが掛かっていても一切おかしくない対戦といえる。

他方、吉野と戦うハバロフは所持していたGorilla Fightingバンタム級王座がEagle FCに移管され、現時点で4度防衛中の現役王者だ。ハバロフもまたスイッチヒッターだが、打撃は前蹴りを見せて組むためのオーバーハンドが定番で、最大の強味は左右どちらの手が前にあっても、問題がなく相手を倒し続けるテイクダウン能力の高さだ。

倒せばコントロールする力も抜群で、抑え込みも非常に強い。それ故にボディロックに来た際の吉野の担ぎ系の柔道技や内股、倒された時のブリッジでリバーサルという展開が見られるのか。

もちろん、その2つの局面が強いことはハバロフ陣営は百も承知だろう。それでの通じるのが本当の意味での必殺技。吉野にとっては日本で決めまくった技術が、ダゲスタンのトッププロスペクトに通じるのか、真価が問われる一戦となる。

同様に藤田にとっての今回の試合も彼が日本で見せることがなかった近距離での打撃の攻防が、中央アジアの猛者を相手に有効なのか──ここも注目すべきポイントだ。

いずれにせよ、藤田と吉野は国内のどのプロモーション、アジア系の大会、さらにRoad to UFCよりも手強い相手と両者は砂漠で戦うことになる──これが彼らのMMA道、痺れるチャレンジだ。

■視聴方法(予定)
10月17日(火・日本時間)
午後11時時~UFC FIGHT PASS

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MMA MMAPLANET o UFC UFC293 カイ・カラフランス キック フィリッピ・ドスサントス マネル・ケイプ

【UFC293】初回にダウンを奪ったケイプが、ドスサントスの強打を封じて判定勝ち。次こそカラフランス戦?

<フライ級/5分3R>
マネル・ケイプ(ポルトガル)
Def.3-0:30-27.29-28.29-28.
フィリッピ・ドスサントス(ブラジル)

ドスサントスの右ローに対し、ケイプがパンチで飛び込んだ。サウスポーに構えるケイプがドスサントスの右ローを捌きにかかる。ドスサントスの右ハイ、テンカオがヒットしてケイプが下がった。さらにケイプの右ローに左フックを合わせるドスサントス。しかしケイプが左ストレートでダウンを奪う。トップを奪ったケイプに対し足を利かせるドスサントス、ケイプもすぐに立ち上がる。ドスサントスにケージを背負わせたケイプが打ち合いからパンチを当てた。オーソドックスにスイッチして右カーフキックもヒットする。

サウスポースタンスから前蹴りをすくわれたケイプだが、トップをうかがうドスサントスの足を取ってスイープしていった。スタンドに戻ると、ドスサントスが右スピニングバックキックを見せる。左ジャブを連続を当てたドスサントスは、ケイプが入ってくるところにカウンターでヒザを当てる。ケイプは距離を取り、オーソドックスから右カーフをヒット。首相撲でヒザを突き上げる両者、離れるとケイプが右スピニングバックエルボーを見せた。

残り1分近くでドスサントスが前に出る。ケイプの左ローをキャッチしたドスサントスがドライブするも、ケージに押し込まれたケイプが振り払う。ドスサントスは左右の蹴りを見せつつ、ケイプの左ミドルをキャッチしてヒジ、右ストレートを当てていった。

2R、スイッチしながら距離を取るケイプに対し、ドスサントスが右の蹴りを上下に散らす。ケイプは打ち終わりに左ストレートを入れた。ドスサントスの右ストレートをかわしたケイプだが、ドスサントスの右ローから右ストレートをもらってしまう。ドスサントスの右インローでケイプの足が流れる。しかしケイプも右カーフキックでドスサントスに尻もちを着かせた。ケイプはテイクダウンに入るフェイントからパンチを当てる。ドスサントスの右が伸びるも、ケイプの左ジャブも当たるようになっている。

ボディにも左を突き刺すケイプ。相手の打ち終わりに右の打ち下ろしを当て、さらに左フックでグラつかせた。完全にドスサントスの打ち終わりを狙っていくケイプだが、相手の動きが止まると右カーフを蹴っている。追ってくるドスサントスと打ち合い、ヒザを着かせたケイプが、終了間際にボディブローも混ぜたコンビネーションを打ち込み、両手を後ろで組みドスサントスを挑発した。

最終回、ドスサントスが左ジャブから右の前蹴り。ケイプは変わらず、打ち終わりに右ストレートを当てる。ドスサントスの左ジャブをかいくぐり、右ボディストレートを突き刺すケイプ。ドスサントスのワンツーはケイプの顔面に届かない。ケイプのボディブローが入ると、一瞬ドスサントスの動きが止まるように。しかし前に出るドスサントスのパンチがケイプの顔面を捉える。ドスサントスの右をもらってグラついたケイプは、打ち合いで右フックを返した。

ドスサントスの顔からも流血が見られる。ケイプがフェイントから左ジャブを当てた。しかしドスサントスも負けじと右ストレートを返す。足を使うケイプは、ドスサントスのパンチを受けながらもニータップからのパンチのコンビネーションを繰り出す。ラスト1分はケイプがサークリングし、コツコツとパンチを当てている。そして残り15秒でケイプがクリーンテイクダウンを奪い、パウンドを連打して試合を終えた。

試合終了後、ともにケージへ登り勝利をアピールする。裁定はユナニマスでケイプの勝利に。ケイプはケージサイドにいる、当初の対戦相手に予定されていたカイ・カラフランスにトラッシュトークをかます。インタビュアーのダニエル・コーミエーがケイプの手を引っ張り強制終了させた。


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MMA MMAPLANET o UFC UFC290 アルジャメイン・ステーリング アレックス・ペレス アレックス・ヴォルカノフスキー アレッシャンドリ・パントージャ カイ・カラフランス ジャイー・ロドリゲス ティム・エリオット デイヴィソン・フィゲイレド ブランドン・モレノ ブランドン・ロイヴァル 佐々木憂流迦 扇久保博正

【UFC290】UFC世界フライ級選手権、展望。3度目の正直=モレノ✖2度あることは3度ある=パントージャ

【写真】この小憎らしい笑みが、板についてきた王者モレノ (C)Zuffa/UFC

8日(土・現地時間)ラスベガスのT-モバイルアリーナにて、UFC 290が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

メインでは正規王者アレックス・ヴォルカノフスキーと暫定王者ジャイー・ロドリゲスによるフェザー級タイトル統一戦が行われるこの豪華大会のコメインは、王者ブランドン・モレノにアレッシャンドリ・パントージャが挑戦するフライ級タイトルマッチだ。


この両者は、揃って扇久保博正も参加した16年のTUF 24「Tournament of Champions」というMMA歴史上唯一にして無二の世界中のフィーダーショーから同階級の王者が集まり、生き残りと世界王座挑戦権を賭けて戦いが繰り広げられたシリーズに出演していた。

当時第1シード(=優勝候補筆頭)だったパントージャと第16シード(参加者中最下位)のモレノは初戦で激突し、予想をはるかに上回る大激闘の末、パントージャが2Rチョークで一本勝ちを収めている。

が、そのパントージャは次戦でカイ・カラフランスを倒すものの、準決勝では扇久保に2R3-0の判定負け。決勝で扇久保を破ったティム・エリオットがシーズン優勝を飾った。そして当時の絶対王者DJへの挑戦権を得たエリオットに加え、パントージャもカラフランスもパントージャもその後UFCとの契約を獲得。後者3人は現在UFCフライ級のトップに君臨している。

そう考えると、当時UFCが準優勝の扇久保に一度も本戦出場のチャンスを与えなかった仕打ちが、いかに格闘技の道理に反するものだったか──今更ながら実感できるというものだ。

とまれ、UFCで頭角を現した二人は2018年5月に再戦。この時もパントージャが判定3-0で完勝している。が、モレノはこの敗戦後に引き分けを一つ挟んで4連勝を記録し、2020年12月にはフライ級王者デイヴィソン・フィゲイレドへの挑戦を実現した。この試合は大激闘の末ドローに終わったが、翌年の再戦では3Rチョークで見事勝利、最軽量級の頂点に輝いたのだった。

その後モレノはフィゲイレドに惜敗して王座を明け渡すも、昨年の暫定王者戴冠を経て今年1月、元王者の地元リオにて4度目の対戦。4RTKOで勝利し、バンタム級転向を宣言をしたフィゲイレドとの名勝負数え歌に終止符を打ったのだった。

ちなみに王座防衛を果たした舞台裏でモレノを待っていたのが、ここのところ3連勝を記録しているパントージャだ。ハグする際に「次(の挑戦者)は君だね!」とモレノが言うと、「いつ、どこでだ?」とパントージャ。モレノが「まあ(挑戦を受けると)約束するよ」と返答すると、パントージャがさらに「だからいつやるんだ?」と迫り、モレノは「いやいや、今は分からないよブラザー」と苦笑。ここでモレノのセコンドが介入し「おいおい、試合直後の今は許してやってくれよ!」と笑顔でパントージャをなだめるという一幕が見られた。

そうして今回3度目の対決に至った両者だが、過去2戦はいずれもパントージャが完勝。5年以上前のことなので、「パントージャはまだブランドン・モレノのベストヴァージョンとは戦ったことがないのさ!」と持ち前の満面の笑みを見せるモレノだが、今回期するところは大きいだろう。

7年前の第1戦では、 1Rから大振りの右フックで強引に迫るパントージャに対して、コンパクトな打撃で主導権を握ったのはモレノの方だった。が、2Rに失速。なんとかテイクダウンを奪うものの、パントージャの強固なフレーム&ニーシールドの前に有効な攻撃ができずに終わったモレノは、逆にパントージャのテイクダウンへの反応が遅れてスプロウルに失敗。そのままバックを許しチョークで敗れた。

5年前の第2戦では、前回の勝者パントージャの方が優れたアジャストメントを発揮。前戦の1Rの荒く不用意な打撃とはうって変わって、モレノの動きをよく見て鋭いジャブやカウンターを当てて主導権を握ると、倒れながらハイをかわしたモレノの上になり、強烈なパウンドからバックを奪取。さらに強烈なパウンドを入れて圧倒的優勢に1ラウンドを終えると、以後も鋭いジャブとカウンターを駆使してモレノを寄せ付けずに完勝した。

この2試合ともパントージャのバックテイクが決定打となったことを考えると、今回の試合の焦点の一つが、バックポジションをめぐる攻防であるのは間違い無いだろう。実際、過去に在籍していたノヴァウニオン・スペシャルともいえるバック奪取とそこからの絞めはパントージャの無二の必殺技で、UFCでも2018年11月の佐々木憂流迦戦や、直近のブランドン・ロイヴァル戦アレックス・ペレス戦でもこれで仕留めている。

佐々木戦では下からインヴァーテッドガードのように回転し、股下をくぐってバックに回るという現代柔術的な動きも見せたパントージャは、UFCでは一階級上の王者アルジャメイン・ステーリングと並ぶバック取りの名手であり、さらに下になっても強固なフレーム&シールドですぐに距離を作り立ち上がる卓越した柔術流スクランブル力の持ち主だ。ピュアレスリングでは上を行くと思われるモレノが、パントージャをグラウンドでいかにコントロールし、バックを許さないかはこの試合の大きな鍵となりそうだ。

とはいえ現在のモレノの打撃技術の洗練度は当時とはまるで別人だ。顔面もボディもしっかりガードした構えから、多彩な左を中心に鋭くコンパクトな打撃を放つ現在のモレノが、第2戦で猛威を振るったパントージャの鋭いジャブをどう切り崩すか、そして時にパントージャが見せる強引なラッシュにいかに対応するかもまた、この試合の見所だろう。そこでモレノがカウンターのテイクダウンを合わせた時には、上述のように興味深い組技の攻防が展開されることになる。

■視聴方法(予定)
7月9日(日・日本時間)
午前8時~UFC FIGHT PASS
午前11時~PPV
午前7時30分~U-NEXT

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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN46 アミール・アルバジ カイ・カラフランス ブランドン・モレノ

【UFC ESPN46】超接戦。終盤優勢カイ・カラフランス。3Rに極めるチャンスがあったアルバジが逃げ切る

<フライ級/5分5R>
アミール・アルバジ(スウェーデン)
Def.2-1:48-47.48-47.47-48
カイ・カラフランス(ニュージーランド)

右に回るカラフランスが右を振るう。中央のアルバジは左ジャブ、ここから試合は様子見の展開に。1分が過ぎ左リードフックをアルバジが伸ばし、カラフランスはローから右オーバーハンドへ。シングルで組んだアルバジがケージに押し込む。アルバジは左右のフックで離れると、カラフランスのジャブに右を合わせようとする。

残り2分、カラフランスが右カーフを蹴る。同じくカーフを返したアルバジは、ワンツーの右を当てる。間合いを取りなおしてインローのカラフランスが、ジャブで前に出て右カーフ。アルバジはジャブ、カラフランスもジャブを返して右オーバーハンド。右ジャブに左フックを被せたカラフランスはケージを背負うなかでカウンターを狙い、ノーガード&後ろで組んで挑発されると左を振るって前へ。時間となり、両者は睨み合って何やら言葉を発した。

2R、カラフランスが左インロー。アルバジはジャブから右ストレートを打つ。左ボディショットを受けたカラフランス、先手争いのカウンターの機会を伺うなかで左ジャブを被弾する。カラフランスの左ジャブに対し、アルバジは右オーバーハンドを振るうが届かない。局面を打開するかのようにシングルレッグからケージにカラフランスを押し込んだアルバジは、すぐに離れてカラフランスの左フックをブロックする。右を行くと見せるカラフランスだが、左ミドル&左ジャブを打たれる。

なかなか拳がアルバジに届かないカラフランスは右オーバーハンドにも、左ストレートを打たれ、続く右のカウンターを被弾して下がる。左を当てて、間合いを一度外したアルバジは、左リードフックをヒットさせる。続くステップインにカウンターを入れたカラフランスが、逆にプレッシャーを掛け始めたところでラウンド終了となった。

3R、ケージの前を右に回るカラフランスはカーフやインローを蹴る。アルバジは組んで、ボディロックからバックに回る。スイッチ&リバーサル狙いのカラフランスが、スクランブルで立ち上がる。アルバジは左腕を差しあげてテイクダウン、カラフランスのスイッチをボディロックで潰してバックを伺る。しっかりと背中に回りきったアルバジは、ワンフックから右のパンチを打ち込む。

左手をリストコントロールで制され、さらに背中を伸ばされたそうになったカラフランスが仰向けに。アルバジはワンフックから、ボディトライアングルを取り殴りながらRNCの機会を伺う。左腕をアゴの下に差し込んだアルバジ。深く入ったが体を捩じって耐えたカラフランスが、立ち上がって前方にアルバジを振り落とす。クローズドガードのアルバジにエルボーを入れたカラフランスは、腰を上げてガードを開けるとパンチを落とし、レッスルアップのアルバジにエルボーを振り落とした。

4R、左インロー、ワンツーから右カーフのカラフランス。ジャブに右を合わせたアルバジは右ストレートをダックでかわす。カラフランスは左の蹴りから、左ジャブ。息を整えているのか、手数が減ったアルバジはカーフで蹴られる。続く右の蹴りに右を合わせたアルバジは、距離を詰めず牽制戦に。カラフランスも同調するように手数が減っている。

と組んだアルバジは、一瞬にしてバックに回りスイッチを潰す。カラフランスが正対しようとすると、パンチを振って離れたアルバジは口が開きそうになっているか。カラフランスも慎重にタイミングを測るが、距離が遠いためにパンチに反応される。残り45秒、左ミドルをキャッチしたカラフランスがテイクダウンを奪い、右腕差してリバーサル狙いをウィザーで防ぐ。ここからスタンド戦に戻り、カラフランスの動きが多い中で時間となった。

最終回、互いにワンツー、ジャブで先手を取ろうとする。さらにローを蹴り合い、カラフランスが右を振るって前に出る。ここで右を決めたカラフランスは、アルバジに組ませずに離れたが、ジャブに組み使えれてバックを許す。カラフランスは直ぐに胸を合わせることができず、前方&後方にバランスを崩されそうになる。正対前に離れた両者、カラフランスがヒザ蹴りで距離をつめてジャブ、右を伸ばす。アルバジはケージを背負うようになるが、右オーバーハンド&左ショートフックを繰り出す。

さらに右ミドルに左ジャブを合わせたアルバジだが、左ジャブを被弾する。エルボーから左を狙ったカラフランスが前に出る。アルバジは手数で劣り、後手の展開で左フックを決め右をテンプルの辺りに当てる。テイクダウン狙いを切られたアルバジは、右を打たれる、ここから最後の足を止めての打ち合いで前に出たのはカラフランスだった。

初回から3Rはアルバジ、4Rと最終回はカラフランスに見えたが、ジャッジはどのように判断するか。スプリットで割れた結果、アルバジが判定勝ちを手にし「接戦になったね。プラン通りではなかった。ただガッツを見せたし、痛みもなく楽しんだ。きっと楽しみ過ぎたんだ。プラン通りにバックを取ってグラウンドということはできたに違いないけど、楽しみ過ぎた。次はフィニッシュする。勝ちは勝ちだけど、次はもっと良い試合をする。相手? タイトルに挑戦したい。10月22日、アブダビで世界タイトル戦をしたい。ブランドン・モレノが王座防衛すれば、そこで挑戦したい」と話した。


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MMA MMAPLANET o RIZIN UFC UFC ESPN46   アスカル・アスカロフ アミール・アルバジ アレッシャンドリ・パントージャ カイ・カラフランス ジェイムス・クラウス ティム・エリオット デメトリウス・ジョンソン ブランドン・モレノ ブランドン・ロイヴァル ヘンリー・セフード ボクシング ヴィクター・アルタミラノ

【UFC ESPN46】アルタミラノ戦前のティム・エリオット「平良達郎は戦ってみたい若手の1人だ」

【写真】126ポンドで計量をパスしたティム・エリオット (C)Zuffa/UFC

3日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベスのUFC Apexで開催されるUFC on ESPN46はメインでフライ級のカイ・カラフランス✖アミール・アルバジが組まれ、さらにもう1試合メインカードでティム・エリオット✖ヴィクター・アルタミラノ戦もマッチアップされている。

エリオットは1986年12月生まれの36歳、UFC戦績は7勝10敗で負け越している。フライ級では6勝10敗──2012年5月に初めてUFCで戦うも2勝4敗でカットされた。その4敗の相手でタイトル戦を経験しなかったのは1人だけ。UFCも本気で肩入れするまで時間を要した階級で、エリオットは常にトップと戦い続けてきた。

その彼が2度目のUFC挑戦の機会を得たのは2016年のTUFシーズン24だ。同シーズンは世界中のフィーダーショーやローカルプロモーションの王者が一同に介するという画期的な試みが現実となり、UFCをリリースされた後に獲得したTitan FCのベルトを持ってエリオットはTUFに挑んだ。

従来のTUFのようにシーズン・フィナーレがUFC本戦で組まれるのではなく、決勝までTUF内のエピソードに組み込まれ、優勝者が時のフライ級王者デメトリウス・ジョンソンに挑戦するという特別な企画だった。そしてエリオットは決勝で、修斗フライ級王者として参戦していた扇久保博正を破り優勝を決め、タイトル挑戦権を手にした。

DJへの挑戦に敗れたエリオットはUFCがフライ級の活動停止を決め、リリースかバンタム級転向という二択を突きつけられた時、後者を選んだ。結果、UFCはフライ級の再構築ばかりか、より力を入れるという転換期を迎える。ここからエリオットはデイヴィドソン・フィゲイレド、アスカル・アスカロフ、ブランドン・ロイヴァルを相手に3連敗を喫するも、UFCは彼を切ることはなかった。足掛け10年、オクタゴンの中で見せたパフォーマンス、相手を選り好みしない姿勢こそ、ティム・エリオットを世界最高峰に欠かせないキャストならしめる所以だ。

そんなエリオットをファイトウィークにインタビュー、愛すべきキャラの持ち主であることが改めて確認できた。


──ティム、日本のファンに向けてのインタビューを受けてくれてありがとうございます。とはいえ……ティム・エリオットといえばTUF24フィナーレで扇久保博正選手と戦い、彼の優勝を阻んだ存在です。それ故にファンも、ティムのUFCでの活躍をフォローしてきました。

「UFCがヒロマサとサインしなかったことが、僕には信じられなかった。だって彼に負けたアレッシャンドリ・パントージャとは契約して、準決勝までに負けている選手も一部はUFCファイターになった。パントージャなんて、今やタイトルコンテンダーだよ。ヒロマサはハウスで2番目の結果を残した。ほとんどトップだったんだ。日本のファンも彼の後ろには控えている。それなのにUFCは彼とサインしなかった。ショックだったよ」

──扇久保選手はUFCで戦うという気持ちを胸にRIZINで成功を収め、日本での知名度はUFCファイターより高くなりました。素晴しいことですが、個人的にティムと同じように『なぜ?』、『なんでや』という想いが強く残っています。

「ヒロマサだって、UFCで戦うという目標があってTUFに挑んでいたんだ。重ねていうけど、本当に信じられないよ。UFCがサインしなかったことは。そういえば、ヒロマサはベイビーが生まれたんだよね。心から祝福したい。TUFハウスで彼は、僕にとって最も親しい人間だった。今もインスタでコンタクトをとっているし、ヒロマサのことを愛しているよ」

──日本のMMA界にいる人間として、ティムが扇久保選手のことをそのように言ってくれることが嬉しいです。それにしても北米ではなかなかフライ級が認知されない時期が長く続きましたが、ようやくUFCも本腰を入れてきたように感じます。

「もう少しでUFCもフライ級を廃止しそうになっていたしね。多くの選手、優秀な選手までカットした。でもヘンリー・セフード、そしてブランドン・モレノの活躍があって最もエキサイティングな階級のなりつつある。当然、僕はそう思っているけど、ファンもそういう認識になりつつあると思う。今週末のメインイベントだってカイ・カラフランスとアミール・アルバジのフライ級だ。これって素晴らしいことで、フライ級の注目度が上がっている証だよ」

──そしてティムはUFCフライ級で15戦以上も戦い、並みいる強豪と戦ってきました。結果、勝利だけでなく黒星も積み重ねているフライ級の生き字引のような存在です。

「きっと僕は他の選手と違う選択をして、キャリアを積んできたはずだ。皆は白星を積み重ねたい。僕はタフな選手と戦いたいと思っていたから、UFCとしてもティム・エリオットは使い勝手の良いファイターだったと思う。僕自身、対戦相手を選ぶことはなかったから、ファイトIQを高くすることができた。

今も肉体的には以前と変わらず。決して、強度を増しているわけではない。だけど、強い相手と思い切りやることで、ファイトとして成長している。それに……多くの黒星を喫しているけど、ボーナスも多く手にすることができたよ。誰と当てられても減量して、計量にパスしてオクタゴンで戦うよ」

──ティムのMMAは文字通りスクランブルの連続で、動き続けています。ただし、その動き続けるのは結果論で、ティムはスクランブルの要所でフィニッシュを狙っている。そこがただアクションの多いファイターとの違いだと思います。

「これも多くの他の選手と違っている僕の有り方で……。僕は自分がマーシャルアーチストだなんて、これっぽっちも思ってない。僕はファイターなんだ。ファイトが好きで、戦うことを楽しんでいる。オクタゴンに入り、良い時間を過ごしたい。そう思って戦ってきた。それとマネーだよ。2012年からUFCで戦うようになり、最初は全く金にならなかった。

今、稼げるようになったのは試合で勝ってきたからじゃない。エキサイティングな戦いをして、ファンから試合が見たいと思われるように戦ってきた。それで十分だ。そうやってファイトマネーを手にして、家族を養うことができれば。好きなことを毎日やって、生きていけている。最高だよ」

──素晴らしいです。ところで、今回の試合前にネクスト・ジェネレーション……クリス・ブレナンのジムに移籍したそうですね。なぜ、カンザスシティからテキサス州フリスコにあるジムへ? 500マイルも離れています。

「クリス・ブレナンはMMA界のレジェンドだ。彼は誰も金儲けできなかった時代に、世界中で戦ってきた。そうそう、なぜクリス・ブレナンのジムで練習するようになったかだね。クリスは息子のルーカスと一緒にグローリーMMAフィットネスを訪ねてきたことがあって、一緒に練習していたんだ。で、ご存知のようにジェイムス・クラウスがジムを閉めることになった。その時、『俺はどうすりゃあ良いんだ』ってジェイムスに尋ねたんだよ。

そうしたら彼は『クリス・ブレナンと練習すれば良い』と言ってね。すぐにパッキングして、テキサスに向かった。ルーカス・ブレナンは最高の──そして、仮想ヴィクター・アルタミラノとしても完璧な練習相手だよ」

──テキサスに移り住んだのですか。

「いや、クリスはムービールーム、サウナ、エクササイズ・ルームがある豪邸に住んでいて、僕に寝室、食事を用意するだけでなく、ジムへの送り迎えまで車でしてくれるんだ。『これが真の意味でプロフェッショナル・アスリートなんだ』って、分かったよ。

今はクリスの家に住まわせてもらっていて、心身共に絶好調だ。これまでのキャリアで、ここまで体をケアしたことはなかった。だからこそ、その成果を土曜日の夜に皆に披露したいと思っている」

──ご家族の方は?

「娘がいて、カンザスシティでプライベートスクールに通っている。8歳だけど、彼女をプライベートスクールに通わせ続けたい。ただし娘が今、通っているようなファンシーなプライベートスクールがテキサスで見つけることができていなくて。それでも、この夏にはしっかりと将来を考えて家を買わないといけないとは思っているんだ。今はクリスの家の居心地が良すぎて、家を見つけることができていないんだよ(笑)とはいっても、どれだけファイティングを愛していても、娘が一番だからね」

──こういうと偉そうですが、当然です(笑)。でも今は離れ離れになっていて娘さんは「パパは私とファイト、どちらが大切なの?」とは尋ねてこないですか。

「彼女はファンシーなプライベートスクールに通っていることが、どれだけ良い環境なのかを理解している。それに生まれた直後から、ジムに馴染んでいた。以前、ラスベガスで練習していた時、1歳だった彼女は僕と一緒にジムにいたんだ。だから、ファイターやファイトが身の回りにあることが当然になっていて。彼女にとってファイトは全くデンジャラスなモノではない。ハグをして友達と楽しむような感覚でいるんだよ」

──では娘さんも何か格闘技の練習を?

「以前は柔術を習わせていたんだけど、小学校でジムにいるようにただ楽しみたくて、友達をテイクダウンしてしまったことがあって……。その一件があったから、柔術を辞めさせて今は体操をやっているよ(笑)」

──ただ楽しみたかったと(笑)。娘さんの理解もあって、テキサスで準備をしてきた今回の試合ですが、先ほど名前が出たヴィクター・アルタミラノという新鋭と戦います。アルタミラノの印象を教えてください。

「確か12勝2敗というレコードを残しているよね。僕と似た感じの動きをするかな。僕がUFCで戦いだした時に似ているよ。彼の動きには目的がない。何も考えずに、ただ動きたいように動いているだけだ。分かるんだよ、僕も最初はそうだったから。でも今の僕はやるべきことを理解して、動いている。まぁスタイル的には良いマッチアップじゃないかな。でも彼は僕を相手にして何一つ、やりことができないだろう」

──土曜日の夜、アルタミラノを相手にどのようなファイトを見せたいですか。

「リアル・ファンキー・ストライキングだ。ボクシングではない打撃で戦いたい。今回はあまり寝技に持ち込むことは考えていないよ。これまで見せたことはなかったけど、打撃戦でKOしたいと思う。立ち技で戦って、KO勝ちする」

──組むための打撃でなく、KOするための打撃で戦うということですか。

「テイクダウンをして戦うこともできる。でも今は打撃が絶好調なんだ」

──それはティムの新しい局面が見られるということですね。ところで今、UFCフライ級には3勝0敗の平良達郎選手が戦っています。平良選手のことを認識していますか。

「タツロー・タイラは戦ってみたい若い選手の1人だよ。とにかく試合がエキサイティングだから。今、僕はランキング11位で対戦相手を選ぶことはないから。上位ランカーでなくてもオファーがあれば戦う」

──実は平良選手はある意味、扇久保選手の後輩なんです。

「おお、2人は一緒に練習しているの?」

──ハイ、時折りですが。扇久保選手の成長に欠かせなかったファイターが、生まれ故郷に戻りジムを開いて、そこで平良選手を育てました。姉妹ジムなので、平良選手が扇久保選手の所属しているジムを訪れて練習することはあります。

「そうか。いや、楽しみだよ。打撃もできて、柔術も強い。僕が戦う相手って、いつも22歳とか23歳、まぁ25歳ぐらいまでが多い(笑)。彼らからすれば僕は年寄りだろうけど、まぁずっとUFCで戦っていれば、周りは若いファイターばかりになるのも当然だ。

今回のアルタミラのもそうだだしね。とにかく最高のキャンプができたから、今は土曜日の試合に集中して思い切り暴れようと思っている」

■視聴方法(予定)
6月4日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前6時30分~U-NEXT

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【UFC ESPN46】フライでもメイン!! カラフランスと戦うアミール・アルバジの波乱万丈MMAファイター人生

【写真】凄くソフトで、笑顔を絶やさない。ただし、その笑顔でさえ覚悟が伝わってくる面構えだった (C)MMAPLANET

3日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベスのUFC Apexで開催されるUFC on ESPN46のメインイベントでアミール・アルバジが、カイ・カラフランスと対戦する。フライ級のノンタイル戦がメインで5回戦を戦う事例はほとんどない。それだけに期待度の高いマッチアップといえるが、アルバジはまだまだ日本で名が知られていないファイター、未知強の最右翼だ。

イラク出身、シリアとスウェーデンで8年半に渡る難民キャンプでの生活を経験し、荒れた人生のなかで柔術とMMAに出会った。日本人には考えられない幼少期と10代を過ごしたアルバジは、29歳のオールドスクールMMAファイターだった。


──今週末、メインイベントでカイ・カラフランスと対戦します。今の気持ちを教えてください。

「正直、これまでの試合と変わらない。ただ、メインイベントで戦うことは楽しみだ。クールなことだけど、僕にとっては1つの試合に過ぎないよ」

──ところでアミールのバイオを見るとイラク、スウェーデン、そして英国国籍の表記もあり、どのようなルーツを持っているのか混乱することがあります。

「多くの人がそうなのを僕も知っている。日本のファンの人達にもクリアになってほしい。僕はイラクで生まれた、イラク人だ。でもスウェーデンでも育ったし、英国でも生活していたことがある。カクテルのように、それらの生活が一つになって今の僕があるんだ。と同時に、僕はイラクのためにイラクを代表して戦っていることを忘れたことはない。

スウェーデンは緯度が高く、農業を営むことが困難な土地でもあり総人口の1/4から1/5が米国などに移り住んだ過去があり、1970年代まで積極的な移民政策が取られた(人道的な見地だけでなく、第二次世界大戦後に労働力を必要とした事情もある)。冷戦終了後、80年代最終盤からクルド人、アフリカ、旧ユーゴなどから難民を積極的に受け入れるようになり、2000年代に入ってからはシリア、アフガニスタン、イラクから受け入れ数が増加している。

8歳の時に問題だらけの母国を家族と一緒に離れ、まずはシリアの難民キャンプに辿り着いた。1年半後、ようやくペーパーワークの申請が受理されスウェーデンに向かった。ただストックホルムでは、また別の難民キャンプでの生活が始まったんだ。両親、家族の英国移住が認められるまで7年間、その生活は続いたよ」

──7年間、難民キャンプで生活を!!

「保護施設だね。自由に出歩きできて教育を受けることもできたけど、大家族が小さな家に住んでいて。当然、部屋も狭くてすぐに兄弟喧嘩になるし、家の外でも言葉が通じないから、簡単に揉め事が起こる。そうなると、そこでも喧嘩が始まる。生きていくことを考えると大変な状況だった。そんな時にUFCをTVで見たんだ。自分の身を自分で守らないといけないし、13歳の時に柔術を始めた。途端にすっかりMMAにハマってしまったんだ。ただ、当時のスウェーデンは18歳以下だとMMAの試合に出ることは許されなかったから柔術の練習をしつつ、グラップリングの試合には数多く出ていた」

スウェーデンでは1969年にプロボクシング禁止法が制定されていたが、純然たるコンバットスポーツではあっても、プロボクシング興行ではないことを根拠にK-1やムエタイ、シューターズ・シュートファイティング(現シューターズMMA)が04年にEVT(ヨーロピアン・バーリトゥード)を開催、プロ修斗公式戦も複数回行われるなど、北欧のMMA界をリードしてきた。

しかし、そのMMA元年となった2004年に時の副総理兼スポーツ大臣のボッセ・リングホルムが「殴り合いが認められた格闘技を禁止する法案を議会に提出する」ことを発表。2006年3月にMMA禁止法案が制定され、2007年1月から施行されることが決まった。その後、リングホルムが脱税問題などのスキャンダラスでスポーツ大臣の任を解かれ、また彼が属したヨーラン・バーション政権も禁止法案が制定されるのと時を違えずに解散。新政権下では同法案の見直しに着手し、MMAは改めて解禁され──2014年4月には初めてUFCが同国で大会を開いた。

──柔術を始めたのに、MMAにハマるということはIBJJFの競技柔術に特化した柔術ではなく、オールドスクールのバーリトゥード、MMAで戦うことが想定された柔術だったのでしょうか。

「その通りだよ(笑)。それを分かってもらえて嬉しい。僕の柔術はヒクソン・グレイシーのスタイルだ。今、世界のMMAを見渡しても柔術家は、厳しい状況になることが多い。UFCでも、良い結果を残しているとはいえない。でも僕は柔術の練習を始めた初日から、いかに柔術をMMAで生かすかを指導してもらえた。だからMMAを想定して、柔術の練習をすることができた。そして僕も常にMMAのことを考えて、柔術の練習をしていた。柔術のための柔術ではなかったんだ。

Fight ZONEという道場で、柔術ではチェックマット系なんだけどね。僕の先生のハンス・エルソンは今では足にハンデキャップを抱えて車椅子が必要なんだけど、以前はバーリトゥードを戦っていたブラジリアン柔術の黒帯なんだ」

──スウェーデン人柔術家でバーリトゥードを戦う。それはもしかして、ユノラフ・エイネモやヨアキム・ハンセン、スウェーデン人選手ならヤニ・ラックスやダービッド・ビヨルクヘイデンが戦っていた素手、頭突き、エルボーに踏みつけ、サッカーボールキックが認められたFin Fightですか。

「そう、それだよ。1990年代の終わり、フィンランドで行われていたバーリトゥードだ。当時ハンス・エルソンはオマー・ブイシェとトレーニングしていたんだよ」

──パンクラスジム・スウェーデンの!! なんだか鳥肌モノの話を聞かせてもらっています。

「アハハハハ。ハンスはその後、独立して自分のジム──Fight Zoneを創り、そこで僕は柔術を始めたんだ。彼は本当に頭の良い人でMMA、そしてスマートな柔術を教えてくれた。柔術とMMAは別モノだけど、しっかりとMMAで使えるようにしてくれたんだ。同時に打撃の練習もやり込んだ。レスリングもそう。柔術だけではここまでやれなかっただろう。そうやって練習をしていたんだけど、15歳になって家族は英国に移り住むことを決めてね」

──また国境を越えて、生活環境が変わったわけですね。

「いや、僕は一緒に行かなかった。兄が1年間一緒にいたけど、それからは19歳までは1人で生活をしていたんだ。言葉も覚え、友達もできた。練習もしている。ストックホルムが僕のホームになったのに、またゼロからやり直すなんて嫌だった。とはいっても生活をするためにお金を稼がないといけないし……本当にハードだったよ。

18歳までMMAの試合を戦うことができないから、15歳の時にポルトガルに行って一晩で2試合戦った。試合がしたくてしょうがなくて、友人に頼み込んで試合の機会を得ることができたんだ。でもクレイジーな大会だったよ」

──クレイジーとは?

「ジャパニーズMMAルールだったんだよ」

──つまりは……。

「そうPRIDEルールだ。1R10分でサッカーボールキックも踏みつけもOKだった。何でも有り、バーリトゥードだったよ。しかも4人制のワンデートーナメントで。でも、それがプロの試合だったから、それからはもうアマチュアの試合に出ることができなくなってしまった。僕自身はポルトガルの試合がプロとかアマとか、何も考えていなかった。結果としてアマで経験を積むことができなくなったから、また次の年もポルトガルに行って試合をしたんだ。戦績が4勝0敗になった19歳にの時に、家族のいるロンドンを拠点にするようになったけど今もパスポートはスウェーデンのままだよ」

──そして今はベガス在住で、エクストリーム・クートゥアーで練習をしていますね。

「そうだよ。打撃はドゥーイー・クーパーに習っている。ベガスに移って来て2年になるかな。凄く居心地も良し、ここから高く飛躍してみせるよ」

──エクストリーム・クートゥアーでは日本人選手とも練習をしたことがあるのではないですか。

「タツロー・タイラ、レイ・ツルヤだね。2人とも素晴らしいファイターで、全局面で戦うことができる。彼らが何でもできることに感銘を受けた。タツロー・タイラはグレートだ。柔術もできて、打撃もできる。レスリングもそうだ。全ての面でアメージングだった。レイも同じだ。彼らがベガスに来た時には、よく一緒に練習していたんだよ。2人とも、明るい未来が待っているに違いない」

──いやぁ、そういう風に言ってくれるアミールこそ、それだけのことがキャリアの序盤にあったにも関わらず、MMAファイターになることを諦めずにUFCに辿り着いた。尋常でない覚悟があり、その想いは他の選手とは違っていたのでしょうね。

「そう言ってもらえると嬉しいよ。ありがとう。だから、今週の土曜日には僕が他のファイターとは精神的に違うということを見せたいと思っている」

──対戦相手のカイ・カラフランスはランク3位で、暫定王座決定戦を戦っているフィターです。これまでなかなか上位勢との戦いが実現しなかったアミールにとって、待望の相手ですね。

「ずっと、カイ・カラフランスのようなトップランカーと戦いたいと思っていた。これまでアレックス・ペレス、ブランドン・ロイヴァルとの試合がブックされたけど、2人とも欠場になった。ずっと上の相手と戦わせて欲しいと言い続けてきた。でも、誰も僕と戦いたがらなかった。だからオファーに応じてくれた相手と戦ってきたけど、ようやく自分が求める相手と戦うことができる。いや、求めてきた相手に勝つことができる。日曜日の朝には、皆がアミール・アルバジが何者か理解できるようになっているはずだ。

なぜ僕がここまで自信を持っているのか。その理由が皆、分かるだろう。そして、この試合の後に『ベルトを獲る』と口にできるのかも理解できるに違いない」

──アミール、今日は色々と話していただきありがとうございました。では最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「僕は日本を、そしてPRIDEを愛している。いつの日が、日本で戦いたい。僕の夢はUFCでチャンピオンになることだけじゃなくて、1度は日本で戦うことなんだ。僕はまだ若い。これからも素晴らしい将来が待っている。そして、いつの日か日本で戦いたいと思っている。その時は日本仕様でサッカーボールキック、ヘッドバット有りでも構わない(笑)。僕はオールドスクール・ファイターで、何でも有りを戦えるからね」

■視聴方法(予定)
6月4日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
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Bu et Sports de combat MMA MMAPLANET o UFC UFC283 カイ・カラフランス デイヴィソン・フィゲイレド ブランドン・モレノ 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

お蔵入り厳禁【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。モレノ✖フェゲイレド「受けのため」

【写真】一見、激しい打撃戦に見えて──その実は (C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

お蔵入り厳禁。武術的観点に立って見たブランドン・モレノ✖デイヴィソン・フィゲイレド戦とは。


──モレノ✖フィゲイレド、かなり観客席も沸いていたのですが、正直なところ4度目になるとこうなってしまうのかという試合に感じました。

「今回のモレノは構えが小さ過ぎました。顔を覆って、ガードをしていた。結果、空間が狭くなっていました。ただし、フィゲイレドの打撃は中間距離での打ち合いが全然ダメで。入ってきたところに合わせるアッパーは良いけど、自分から打ちに行くジャブ、ワンツーが全部悪い。

フィゲイレドの構えは、半開きになっていて横のラインがガラ空きなんです。正対している時は横のラインには強くて、縦のラインには少し弱い。それが半身に切った構え、斜めだと横の空間が細くなって相手のフック系のパンチ等が入りやすくなる

対してモレノの構えはパンチを意識して、受けのための構え。防御のための構えになっています。暫定王座戦でカイ・カラフランスと試合をした時は、私が追求している夫婦手での連動が見られ素晴らしかったです。夫婦手をきかせて捌き、返すことができていました。しかし、今回の試合は構えが凄く悪かったです。すっごい悪い。だから間が全てフィゲイレドになっていました」

──夫婦手をきかす。それこそが、攻防一体の動きですね。

「解説の水垣(偉弥)さんが、右の振りが大きいと言われていましたが、その通りでした。何の取り柄もないフックを振りまわして。なんで、カイ・カラフランスの時とこうも違うのか。顔面を殴られたくないという意識が大き過ぎたのかと思いました」

──自分は打撃だけでなく、パンチも含めて過去3試合のしんどさが影響して、もうああいう勝負をしたくないという意識が働いているのかという風に見えてしまいました。でも、まぁ打撃を出して客は騒いでお金は貰える。だけど打撃も組みも我慢や粘りがなかった。

「そう言われると、もうしんどいことはしたくない風な組みでもありましたね。殴られたくないと同じ、しんどいことをしたくない。簡単に下になってスクランブルがなかったです。まぁ人間なんてやる気満々で死力を尽くして戦えるって──そう長く続くとも限らない。そういうことかもしれないですねぇ。でも、お金は欲しいと(笑)。

モレノにしても、やっと掴んだチャンス。こんな場は一生に一度しかないっていう時とは、精神面が違って然りです。タイトルマッチで同じ相手と4度も戦うと、そうなりますよ。でも、最後だけ捌きからの左フックなんです。左ミドルを捌いて左フック、これは空手の動きに通じます。モレノに空手の概念があるかどうは分からないのですが(苦笑)。

しかもロングレンジから、もの凄い勢いで飛び込んで当てました。親指側が当たっている微妙なヒットの仕方でしたけどね」

──MMAグローブで親指側が当たるのは、打つ方として危なくないでしょうか。

「あれは鍛えていないと、自分の指がいくことはあります。それに握った拳が目に当たって文句をいうフィゲイレドは、お門違いです。そもそも、あんな風に痛さが顔に出てしまうと、その時点で一本負けです。

あの場面はどうしても当たったところが注目されがちですが、あの左ミドルを捌いた動きからの左フック、当たる前の動きが番素晴らしかった。そこに注目してほしいですね。一番重要なポイントです」

──つまりは攻防一体の動きが見られたわけですね。

「そうです。この試合で、モレノはずっとガードとパンチがバラバラでした。厳密にいうと捌いて→反撃というのは、武術的には攻防一体とはいえない技です」

──防御した時が、攻撃になっているのが武術で。

「ハイ。ただし、MMAで勝つために武術を生かすということで、競技のなかでは存在する──そういう技で。それでも、あの左フックは入魂の一撃でした。あとは全部、右を振りまわしてばかりで。あれを早く使えよ──と。カイ・カラフランスを倒した三角蹴りも、今回はバラバラでしたね。カイ・カラフランスには、それだけ打撃のプレッシャーがなかったから出来ていた。そんなにキツい戦いはしたくないと思うのであれば、カイ・カラフランスに見せた動きで戦えば良かった。

上手に戦いたいなら、手と足の連動や攻防一体という動きをすべきです。あれだけガードを意識すると、相手との衝突が増えますからね。衝突して返すという動きではなくて、相手の圧力が強いから捌いて返す方が効果的だったかと思います。ただし、勝ったから。何が良いのか、悪いのかはなかなか分からないところですよ。勝ったら、『これで良かった『』となりますしね。

でもモレノはガードで本当にパンチ力のある相手と戦うと、ガード越しに距離を取られてしまいます。パンチへの守りの態勢ができてしまっていて、逆に回し蹴りやヒザ蹴り、テイクダウンをズバッと入られる。違う攻撃の餌食になってしまいます」

──相手有りきになっていると。

「ハイ。受けてから、何かしようとしていました。それが最後のところではフィゲイレドに左ミドルを蹴らせて、ソレを捌いて左フックと自分からの動きだったんです。先手を取っての受け──でしたね。ここ以外は受けてからの攻撃だったので、先手を取られている。そんな風に取らせる必要はなかったと思います。

戦いは必要以上に強いと思うと、それはそれで計算間違いを起こすことがあります。と同時に、だから良かったとなる場合もある。ここまで強い人同士の戦いになると、計算云々ではなくなってくる。そして考えれば、考えるほどMMAと戦いの間に違いが存在している。そんな風なことを考えるようになりました」

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