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【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。イアン・ギャリー✖グラント「英国の脅威」

【写真】イアン・ギャリー、近い将来にUFCへ進むのであろうか。(C)CAGE WARRIORS

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たイアン・ギャリー✖ジャック・グラントとは?!


──今回、Cage Warriorsという大英帝国圏の大会から、ウェルター級王座決定戦=イアン・ギャリー✖ジャック・グラント戦の模様の解説をお願いします。

「はい。正直なところ初めて見た大会なのですが、このギャリーという選手は何歳ですか」

──21歳ですね。

「あれで、ですか……。途中で対戦相手となんか、喋っていなかったですか」

──はい(笑)。クリンチになると「お前、こんなことしたいのか?」、「誰も喜ばないぞ」とか言い合って、それで殴られると「これが好きだなんだ」と言い、「俺もだ」って返答して殴り続けたりしていました。

「アハハハハ。もうイッちゃっていますね。そうなってきたのも、分かります。かなり煮詰まっていましたからね。ただし、もうぶっちゃけて言うと、相当なレベルです。気持ちもUFCの上のほうの試合よりも、LFAやコンテンダーシリーズのようにハングリーで。英国を舐めちゃだめです。陽の沈まない国だったんだから。ところで、イアン・ギャリーは空手をやっていたのですか?」

──申し訳ないです。ボクシングをやっていたのは入ってきているのですが、蹴りに関しては分かりません。MMAが空手的になっているようなこともあるかもしれないです。

「あぁ、ボクシングですか。分かりました」

──?

「技術的には、ギャリーは下がれることが素晴らしいです。あの戦い方は自信がないとできない。倒すチャンスも、いくらでもありました。ただし、ボクシングのグローブだったら倒せるのかもしれないけど、MMAグローブでは倒しきれない。そういうパンチになっていますね。パンチの殺傷力はイマイチです。

それにしても、あの下がってジャブを入れたり、前足の蹴りは素晴らしいです。その一方で、打撃だけでなく何でもでき過ぎて、どうやって試合を組み立てていくのか、分からなくなっていったんだと思います。

先日、フィニッシャーとマネージャーという話をしましたが、ホドリゲスのようなファイターのほうがマネージメントとして、ギャリーを上回っています。

ただし、ギャリーは見る者を夢中にさせますよね。それと負けたジャック・グラントですか、あの選手は私には分からない寝技を次から次へと見せていました」

──確かにその通りだと思います。Xガードを狙ったり、サドルは当然でオールドスクールからノーポイント&サブオンリーの技術まで色々と駆使していました。MMAであそこまで競技柔術やノーギの技で勝負するファイターがタイトル戦線にくる。いやぁ、大英帝国のMMAソサイエティ、恐怖です。

「2人して、真剣勝負のエンターテイナーでしたね。ああやって戦う、その姿勢でUFCへ行きたいということを表しています。それにしても、前日にあったライト級タイトルマッチで勝ったジョー・マッコルガンにしても、考えさせられることは多いです。彼は決して上手くない。距離の取り方は下手なんです。それなのに前足がパタパタ動きながらでも、前に出てワンツーを打って倒すことができる。

ギャリーは距離の取り方は抜群です。でも、MMAグローブで倒せるパンチをこの試合では見せていなかった。だから、ギャリーのレンジコントロールとマッコルガンのパンチが合体すれば、すさまじいことになります。

それにしても英国で、こういうギャリーのようなプロモーションがスターにしたい選手という素材が生まれることは見逃せないです。第2のマクレガーを期待され、本人もそうなるためにハングリーです。あのグラントという相手の寝技を凌ぐことができ、あれだけの打撃がある。どれだけのことを普段の練習で積み上げてきたのか。ただし、色々とできるのも難しいことがあるんだと知りました。あれだけできる選手が、4Rと5Rに煮詰まってしまう。そういう意味では、これまでに見たことがないMMAでしたね。

志が高いから、あれだけなんでもできる。それを上手く処理できていないですが、そこを支えるMMA業界が英国にある。

こういうとアレですが、志が低いほうが努力しなくて楽なんです。ギャリーは志が高いから周囲からすれば、何をバカなことをやっているんだというぐらいの努力をしているでしょう。日本にもそういう人がいますよね。でもね、人生はそうやってバカなぐらい努力し、のめり込む奴が謳歌するんですよ。そういうバカが世の中を変える可能性を秘めています」

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Cage Warriors Cage Warriors124 Report アギー・サルダリ ジョー・マッコルガン ブログ

【Cage Warriors124】アギー・サルダリ、打撃で圧されTDできず。ギロチンでマッコルガンに敗れ王座陥落

【写真】英国、アイルランド系の長身ストライカーは、テイクダウン防御力も本当に強くなっている(C)CAGE WARRIORS

<Cage Warriorsライト級選手権試合/5分5R>
ジョー・マッコルガン(英国)
Def.3R0分37秒by ギロチン
アギー・サルダリ(オランダ)

マッコルガンがジャブから左ロー、右ミドルとスイッチするサルダリに入れ、右ストレートを打ち込むなどホールショットを決める。サルダリはシングルレッグでケージに押し込むテイクダウンを狙うが、マッコルガンがしっかりと対応して倒されない。細かいパンチを打ち合う両者、サルダリのヒザが急所に入り試合が中断する。

再開後、鋭いローや前蹴り、ミドルを左右の足で使うマッコルガンに対し、サルダリはケージを背負って再びシングルレッグからケージ際のクリンチへ。ヒザを出し合うなかでサルダリが小外掛けもマッコルガンが耐える。ダブルレッグに移行しても、マッコルガンはケージを背負って倒れず体を入れ替えて離れた。サルダリは左ローを2発入れ、マッコルガンのワンツーにシングルレッグ、残り5秒でようやく尻もちをつかせたが、すぐに立ち上がられチャンピオンの方が削られた初回となった。

2R、ローからワンツーのマッコルガンに対し、右フックを振るったサルダリがシングルレッグ&クリンチへ。ここでもヒザが急所に入り、サルダリに注意が入る。再開後、マッコルガンがジャブから右ストレートを伸ばし、サルダリは左ハイを狙う。マッコルガンは右ローを蹴り、組んできたサルダリが足を滑らせるとトップを奪取する。背中をつけたサルダリはパウンド&エルボーを受け、ハーフから潜ろうとするとマッコルガンがダースで止める。

サルダリは起き上りながらダブルレッグに出てバックに回ると、ヒザを入れて後方にテイクダウン。マッコルガンがすぐに立ち上がり、ダブルレッグを切って距離を取り直す。左ジャブ、ワンツーで圧をかけるマッコルガンがパンチを纏める。打撃で厳しい局面が続くサルダリはここもクリンチへ。離れたマッコルガンがワンツー、左ジャブ、右ボディフックを入れる。チャンピオンは左ミドルを返して、シングルレッグ。ヒザをつかせてダブルレッグからアンクルピックを仕掛けたところでラウンドが終わった。

3R、サルダリのローに対し、左ジャブを当てたマッコルガンが右を打ち込む。サルダリのシングルレッグをギロチンで切り返したマッコルガン。背中をつけて逃げようとしたサルダリだが、ノーアームギロチンがしっかりと食い込み、ネッククランク気味に頭を起こされてたまらずタップした。

打撃で圧された状態で組み続けたサルダリに対し、鉄板といえるギロチン葬──新Cage Warriorsライト級王者ジョー・マッコルガンは「12年前にこのスポーツを始め、こんな舞台でチャンピオンになれるなんて思いもしなかった。Cage Warriorsはヨーロッパでベストのプロモーションだ。僕はもう34歳だけど、UFCを目指す。22歳や24歳の若くてハングリーや相手に勝ってきた。もっとできると思っている」と話した。


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