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【UFC FPI04】メインはクレイグ✖ペナ。陽性→IBJJF系大会3年出場停止のアブレウはマレガリと対戦

【写真】去年のADCC出場時のサイボーグ・アブレウ。ADCCはステロイドフリー。MMAではドラッグテストに莫大な費用を投じているUFCも、グラップリングでは世の趨勢に従うのか (C)SATOSHI NARITA

9日(木・現地時間)に開催&配信されるUFCファイトパス・インビテーショナルの展望後編。
Text by Isamu Horiuchi

ハイサム・リダが出場するトーナメントの見所に続き、今回はメインで組まれたクレイグ・ジョーンズ✖フィリッピ・ペナを戦の行方を占い、ニコラス・マレガリと戦うホベルト・アブレウのステロイド問題について言及したい。

<UFC Fight Pass Invitational04展望Part.01はコチラから>


まずジョーンズ✖ペナ戦は、長きに渡り世界のトップグラップラーとして揺るぎない地位を確立している両者だが、意外にもこれが初対決となる。

世界屈指のガードプレイヤー、ペナは昨年のADCCの最重量級準決勝にてジョーンズの盟友ニック・ロドリゲスと対戦。ボディロック取られて完全パスガードを許して敗戦した。が、今年の2月のWNOの再戦ではより強固なニーシールドと腕のフレームを駆使してパスを許さず、一進一退の攻防の末に僅差の判定勝利、リベンジに成功している。

対するジョーンズは、昨年のADCCは99キロ以下級に準決勝でニコラス・メレガリに競り勝ったものの、決勝でカイナン・デュアルチが繰り出した、膠着ペナルティ上等の強烈な抑え込みの前に屈して以来の試合出場だ。

ジョーンズのチームメイトのニッキー・ライアンらは「前戦では(足関節のスペシャリストではない)ニック・ロッドがペナから外ヒールを取りかける場面があった。ならばクレイグなら下から足を絡めて極めることができるだろう。できなくてもOTで勝てるのではないか」と予想する。

確かにサブミッション・オンリーで、さらに立ち技での膠着も許されない今回のルールは、スイープの名手ペナよりも極め業師のジョーンズにとって本領といえるだろう。

それだけに、ペナの出方──上から足を攻撃される危険を冒してでも自ら引き込み良い形を作りにゆくか、それともジョーンズの仕掛けを待って対応するのか。はたまた上下をコイントスに委ねてバタフライ&アンダーフックの攻防を挑むのか──が興味深い。

この他、ワンマッチでも注目すべき試合が組まれている。まずジョン・ダナハーのもと昨年からノーギ・グラップリングに進出して目覚ましい活躍を見せているニコラス・メレガリと、2013年ADCC世界大会無差別級優勝をはじめとした輝かしい実績を誇る42歳のサイボーグことホベルト・アブレウの試合も組まれている。

アブレウは昨年末のノーギ・ワールズで6度目の優勝を果たしたものの、薬物検査に引っかかり優勝剥奪&3年間の出場停止処分を下された。

それを受けて「私は確かに長年HRTホルモン補充療法を受けている。これは私のような30歳を過ぎた選手が、試合に出続けるためにハードな練習と回復を可能にするために必要であり、有益だ。IBJJFは選手に賞金を出してくれないから、私は金を稼ぐには何も検査のないプロイベントで、(薬物を使ってくる)より若く大きい選手と戦い続けなくてはならない。そもそもIBJJFが王者だけを検査すること自体が不公平ではないか」と、随分と開き直った声明を出したことで波紋を呼んだ。

薬物使用の是非はともかくとして、IBJJFと同様にUSADA(米国アンチドーピング機構)が行う薬物検査を採用するUFCの名を冠するこのイベントにて、アブレウの出場が許可されているという事実は留意しておくべきだろう。

ちなみにアブレウの盟友にして、やはり昨年末のテストで陽性となってなお今回のトーナメントにエントリーしているヴァグネウ・ホシャについても状況は同様だ。

アブレウ同様HRTを受けていることを公言しているホシャと、自らトップグラップラーとしては少数派である「ナチュラル」であることを大いにアピールするヒメネスの対戦が今回実現したら、正反対のイデオロギーのぶつかり合いとなる。

同じUFC傘下とはいえ、UFC本戦とUFCが行うグラップリングイベントである今大会は、まったく異なる統括原理のもとで開催されているということなのだろう。

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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【UFC FPI04】立ちレス強制終了ルール適用UFCファイトパス招待TにB-TEAM移籍のハイサム・リダが出場

【写真】2021年のハイサム旋風を再び巻き起こすことができるか!! (C)SATOSHI NARITA

9日(木・現地時間)、東部時間の午後9時よりUFCファイトパスにて、グラップリング大会UFCファイトパス・インビテーショナル(FPI)04が配信される。
Text Isamu Horiuchi

強豪選手を集めたシングルマッチと優勝賞金3万ドル(※約430万円)が掛かった8人トーナメントを同時開催するこの大会は、トーナメントは本戦8分、メインカードのシングルマッチは本戦20分のサブミッション・オンリールールで争われる。

本戦で決着がつかなかった場合には、攻撃側と防御側に分かれて極めとエスケープの速さを競うEBI形式のオーバータイム(OT)で勝敗を決める。


UFC FPIルールの特徴は、立ち技の攻防が続くことを防止するための「ゲットダウン」ルールが採用されている点にある。スタンドの攻防が1分間続いた場合にはレフェリーが強制的にブレイクし、選手はバタフライガード(下の選手は双差しで相手の背中で手を組む)の上下に分かれて、(選択権はコイントスで決められる)寝技から攻防が開始されることとなる。

さらに、寝技の攻防で膠着を誘発する選手には積極的に警告やペナルティ(1回につき、OTにおいて自らのエスケープ時間を1分間加算される)が与えられ、選手たちは常に組技でのアクションを促されることとなる。

今回のトーナメントの参加選手は以下の通りだ。

ハイサム・リダ(ガーナ)
ダン・マナスー(米国)
フィリッピ・アンドリュー(ブラジル)
ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)
ガブリエル・アウジェス(ブラジル)
ヒョードル・ニコロフ(ロシア)
ニック・ロドリゲス(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)

日本のファンにとって嬉しい知らせは、昨年12月のUFC FPI03に続いてのハイサム・リダのエントリーだ。米国移住後、デトロイトのアセンブリー柔術を拠点としてメジャーグラップリング大会で活躍をしてきたハイサム。昨年のADCC世界大会最重量級1回戦では、超大物ホベルト・アブレウからわずか75秒で腕十字を極めてみせ、世界にその恐るべき潜在能力を知らしめた。

が、2回戦ではルーズベルト・ソウザのテイクダウンに敗れ、また無差別級では階級下のジャンカルロ・ボドニにガードをパスされ、完全制圧された上で腕を極められてしまう等、発展途上な側面が露呈してしまったことは否めない。前述のFPI 03においても、やはり階級下のパトリック・ガウジオの三角絞めの前に初戦敗退となってしまった。

そんなハイサムは、今年4月末にデトロイトを離れてテキサスのB-Teamに移籍することを決意。「負けが続いて、自分の戦いをみんなに知られてしまっていることが分かった。新しい技術を身に付けなければいけないと思った。そのためにここ以上の場所はない。僕の弱点、やるべきことは自分でも分かっている。突然強くなるはずもないから、多くのドリルやスパーリングを重ねてゆくよ」とハイサムは語る。

実際、クレイグ・ジョーンズ、ニック・ロドリゲス、ニッキー・ライアンといった世界最高峰のグラップラーが所属するB-Teamは、これまでハイサムの大きな課題であった各要素──テイクダウン、足関節、柔術ファンダメンタル=パスガードの攻防──に優れた選手たちが集い、特に足関節とパスガードの技術においては世界最先端を行く集団だ。

重量級として突出した瞬発力とダイナミックな極めを持つハイサムが、真のコンプリート・グラップラーとなるためにはまさに最善の選択だろう。

持ち前の明るい性格であっという間にチームに溶けこみ、また道場前に駐車した自分の車を荒らす泥棒を追いかけ、素手で取り押さえるという経験までしたというハイサムは、今回が移籍後初戦となる。本人も語るように、わずか数ヶ月の練習で全てが劇的に変わるものではないだろうが、ガーナ生まれの少年が、日本~デトロイト~テキサスと移動し世界の頂点を目指す旅の新章の幕開けとして、今大会は注目だ。

そしてこのトーナメントには、ハイサムを受け入れたB-Teamの重量級エース、ニック・ロドリゲスもエントリーしている。ハイサムの加入について「僕と同体格で、同じように高い身体能力を持ったパートナーが得られて最高さ。ハイサムは自分のエゴを試合では勝つために上手く使うけど、練習ではシャットダウンし、いつも笑っているんだ」と大歓迎の様子だ。

前回大会で世界最強のグラップラー、ゴードン・ライアン相手にOTに持ち込み、eエスケープタイム時間差で敗れたもののチョークを極めかける場面を作ったロドリゲスが本命であることは間違いない。

チーム加入前、練習に訪れたハイサムとのスパーリング動画が公開されているが、そこでは──あくまでお互い、勝ち負けではなく技術の向上を目指した手合わせにおいて──ロドリゲスがボディロックからパス、マウントを奪い上からの三角で極めているシーンがある。今回ハイサムとの同門対決が実現した場合、お互い手の内を知り尽くしているからこそ、当時よりさらにステージの上がった攻防を期待したいところだ。

さらに直前になって、ペドロ・ホシャに代わりロベルト・ヒメネスがエントリーされたこともこのトーナメントの期待感を増している。どのポジションからもダイナミックに極めを狙いにゆくヒメネスと、同様のスタイルを最重量級で実践するハイサムの対戦が実現すれば、好勝負となることは必至だ。

他にも世界王者レベルのグラップラーたちが続々と名を連ねるこのトーナメントでは、ジョン・ダナハー門下の22歳の巨漢ジョン・マナスー、10th Planetセントペテルスブルグ支部のヒョードル・ニコラスといった新顔の戦いぶりにも注目だ。

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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お蔵入り厳禁【ADCC2022】無差別級 古豪ユーリ・シモエスがスタンド磨いてオープンクラスを制す

【写真】いうとルオトロ兄弟や一部の新世代が特別で。シモエスの勝ち方こそ、ザADCC。ただしジェネラルに理解を求めることは難しい古典的グラップリングだ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第22回は――お蔵入り厳禁、無差別級決勝戦の模様をお伝えしたい。


88キロ以下級の体格で快進撃を見せた19歳タイ・ルオトロを、ニコラス・メレガリが激闘の末にレフェリー判定で制して決勝進出を決めた無差別級。もう一つの準決勝を戦ったのは、ベテランのユーリ・シモエスとサイボーグことホベルト・アブレウだった。

シモエスは1回戦、前回大会の無差別級で重量級を次々と足関節で仕留める大活躍を見せたラクラン・ジャイルスと対戦。ジャイルスの下からの仕掛けに対し、腰を引いて丁寧に潰して延長に持ち込み――ペナルティを承知で引き込んだジャイルスの仕掛けを潰し続けて勝利した。

猛威を振るった技術はすぐに研究されるという、競技における技術進化の必然を改めて確認させられたジャイエルスの敗退だった。

シモエスの2回戦の相手は、最重量級準優勝を果たしたニック・ロドリゲス。両者は昨年3月のWNO大会でも対戦しており、その時は引き込んで下を選択したシモエスは、ロドリゲスにボディロックを作られパスを許して完敗している。その教訓を生かしてか、今回シモエスは気迫を全面に出してのスタンドレスリングでの勝負を選択。本戦、延長と両者決定的な場面こそ作れなかったものの、積極性で勝って勝ったシモエスがレフェリー判定を制してリベンジを果たした。

迎えた準決勝でシモエスを待っていたのは、やはり最重量級のサイボーグことホベルト・アブレウ。サイボーグは前戦にてヴィクトー・ウゴの巨体を足払いで崩してから引き倒し、ワキをすくって上を奪取する形でテイクダウンポイントを獲得して制しての準決勝進出だ。

ちなみにそのウゴの初戦の相手は、最軽量級のファブリシオ・アンドレイだった。この最重量級vs最軽量級の超体重差対決にて、序盤はダックアンダーからのテイクダウンを許す場面もあったウゴだが、終盤ファブリシオの側転パスに乗じて上を奪取。巨体を浴びせての肩固めで勝利した。

2013年の無差別級を制したサイボーグと、2015年の88キロ以下級、2017年の99キロ以下級を制覇したシモエス。ADCCレジェンド対決となった準決勝は、スタンドレスリングでお互い譲らぬ展開に。

が、気力&スタミナともに充実したシモエスが延長戦でダブルレッグを決め、2-0で改良した。こうしてシモエスは決勝進出。前日の99キロ以下級の二回戦にて、微妙なレフェリー判定の末に苦杯を舐めさせられたニコラス・メレガリ相手にリベンジのチャンスを得たのだった。

<無差別級決勝/20分1R・延長10分x2R>
ユーリ・シモエス(ブラジル)
本戦0-0 マイナスポイント1-2
ニコラス・メレガリ(ブラジル)

試合開始直後、気合十分のシモエスが前進。跳びついてメレガリの首を取って崩しにかかり、さらに勢いよく足を飛ばす。さらに前に出るシモエスは、右のフック掌打のような勢いでメレガリの頭に手を伸ばして、レフェリーから注意を受けた。

3分弱経過した時点で、シモエスは素早い小内刈りからのシングルに入り、メレガリの右足を抱える。片足立ちでそれを堪えたメレガリは、落ち着いた表情で引き込んでハーフガードに。まだ後半の加点時間帯に入っていないので、通常のADCCルールの試合ならば問題ない判断だ。

しかし決勝戦は引き込みのマイナスポイントは最初から付いてしまう。ここを失念していたのか、メレガリは引き込まずとも、シモエスのテイクダウンに身を任せる形で倒れれば無失点で下のポジションを取れただけに、なんともマイナスポイントとなった。

その後は上からパスを試みるシモエスと、下から足を効かせるメレガリの攻防が続く。6分少々経過したところで、立ち上がったシモエスの左足にデラヒーバで絡んだメレガリは、内側からシモエスの右足をすくって体勢を崩してからシットアップ。

見事に上のポジションを取ってみせたが、まだ加点時間帯ではないのでポイントは得られず。自ら引き込んでスイープを決めたのにポイントで負けているというのは、おそらくADCCの決勝以外ではあり得ない状況だろう。

とまれ、ここからはメレガリがトップから攻めるターンに。しきりに右のニースライスでプレッシャーをかけていったメレガリは、やがてハーフで胸を合わせてシモエスを抑え込み、枕を作ることに成功した。

そこから足を抜きにかかるメレガリ。シモエスは腕のフレームと足を利かせて一度距離を作ることに成功したが、メレガリはすぐに体重をかけてシモエスの体を二つ折りにし、後転を余儀なくさせて再びハーフ上のポジションに入った。

加点時間開始が近づいたところで、一旦上体を起こしてニースライスを試みるメレガリ。が、シモエスは左のニーシールドで防ぎ、さらにかついで来るメレガリの体を足で勢いよく押し返して立ち上がってみせた。ここでちょうど10分が経過し、加点時間帯が開始。シモエスはマイナスポイント一つ分有利な形で、得意分野であるスタンドからのリスタートに持ち込んだことになる。

ここから試合はスタンドレスリングの攻防に。シモエスは前に出て、腰高のメレガリの右足を取っては押してゆく。そのたびに片足立ちで耐えて、やがて足を振りほどくメレガリ。テイクダウンこそされないものの、展開が作れないまま時間が過ぎていった。

残り6分少々の時点で、このままでは埒が明かないと見たかメレガリが引き込み、2つ目のマイナスポイントを受けることに。得意のオープンガードから仕掛けたいメレガリだが、このままリードを保てば勝てるシモエスは低い姿勢で対応。浅く片足担ぎの形を作るなどしてメレガリの攻撃を防いでゆく。

その後もシモエスは腰を引いてメレガリに足を深く絡ませず、たまに立ち上がって横に動き、またニースライスを仕掛けてマイナスポイントを回避する。メレガリはたまにシモエスの片足を引き寄せるが、その度にシモエスはすぐに立ち上がって距離を取る。メレガリとしては思うように形が作れないなか、時間が過ぎていった。

残り1分。シモエスは低く入る両足担ぎと片足担ぎでメレガリに攻撃をさせない。メレガリがシッティングを試みると、すかさず上半身を浴びせて潰すシモエス。終了寸前にシモエスに一つマイナスポイントが入るが、時すでに遅し。

結局マイナスポイントが1つ少なかったシモエスが、階級別2回戦のリベンジを果たすとともに、2015年の88キロ以下級、2017年の99キロ以下級に続いて3階級制覇を果たした。メレガリとしては、序盤に犯した痛恨のミステイク──ADCC決勝戦のみ適用されるルールへの対応を間違えて引き込み、マイナスポイントをもらってしまったこと──が、最後まで響いた形となった。

戦前は大きく注目されていなかったベテラン、シモエスが執念の優勝。戦いぶりは決して派手ではなく、実際無差別級の4試合は全て僅差のポイントかレフェリー判定での勝利だ。しかし相手が誰であれ常に前に出続けた、その気迫とコンディショニングの充実ぶりは際立っていた。

またスタンドレスリングではニック・ロドリゲスにすらテイクダウンを許さず、トップでは安定したベースを保ち相手の仕掛けを遮断し、下になってもメレガリのプレッシャーに耐え、パスを許さずにスタンドに戻る粘り強さを見せる等、ポジショニングの全ての面で強さを発揮したことも勝因だろう。

次回大会のスーパーファイトで当たるゴードン・ライアンには、過去4戦4敗と圧倒的に分の悪いシモエス。彼らの初対決は、16年のEBI 6準決勝だ。その前年のADCCで世界の頂点に輝いていたシモエスは、当時まだ線の細かった若手のゴードンにOTでチョークを極められ、まさかの敗退を喫している。ゴードン・ライアンに初のジャイアントキリングを許し、大ブレイクのきっかけを作ったのがシモエスというわけだ。

そのシモエスは、今や世界最強のグラップラーの名を欲しいままにするゴードンにどう挑むのか。両者の力関係が完全に入れ替わった現在、6年前の番狂わせとは比較にならないほどの世紀の大アップセットを、気迫のファイターシモエスは起こすことができるだろうか。

なお、3位決定戦はサイボーグが棄権したため、タイ・ルオトロが3位に。前回大会にて若干16歳で66キロ以下級に参戦し、ブルーノ・フラザト、パブロ・マントヴァーニという同門の先輩二人を倒して4位入賞したのに続いて、19歳の今回は88キロ以下級の体格で無差別級銅メダル。2大会続けての快挙達成となった。

■無差別級リザルト
優勝 ユーリ・シモエス(ブラジル)
準優勝 ニコラス・メレガリ(ブラジル)
3位 タイ・ルオトロ(米国)

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【ADCC2022】99キロ超級 ハイサムかく戦いけり、ADCC&ノーギワールズ優勝サイボーグから一本勝ち

【写真】昨年のWNOチャンピオンシップに続き、ハイサム・リダの名前は確実にワールドクラスになっている(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第16 回は最重量級=99キロ超級に出場したハイサム・リダの戦いを振り返りたい。


<+99キロ級1回戦/10分1R>
ハイサム・リダ(ガーナ)
Def. 1分15秒by 腕十字
ホベルト・アブレウ(ブラジル)

グラップリング最高峰の舞台であるADCC世界大会に初出場を果たしたハイサムの初戦の相手は、サイボーグことホベルト・アブレウ。13年に無差別級王座に輝いたのをはじめとして99キロ超級で銅メダルを2度、銀メダルと1度獲得するなど表彰台の常連になっている。昨年も含めノーギ・ワールズを7度も制するなど世界のトップで活躍する超大物だ。

ハイサムとしては2019年のカイナン・デュアルチ戦、昨年のヴィニシウス・フェレイラ戦に続く世界の重量級トップへのチャレンジとなる。首を取り合う両者。やがてハイサムがアームドラッグを狙うと、サイボーグはそれを横にスピンして切りながらダブルレッグでシュートイン。

が、ハイサムは一瞬で反応して右でサイボーグの左ワキを差して潰すと、そのまま左ワキをすくって電光石火の腕十字へ。

大歓声が沸き上がるなか、ハイサムはすぐにサイボーグのグリップを切りその太い腕を伸ばし切る──と同時にサイボーグがタップ。わずか1分15秒の出来事だった。

レジェンド、まさかの秒殺一本負け──そして最重量級とは思えないほどスピーディーかつダイナミックなフィニッシュに会場は爆発。興奮状態のハイサムは立ち上がって勝利をアピールし、一方のサイボーグは脱帽といった風情でマットに正座し、勝者に拍手を送った。

こうしてハイサムは、本人もおそらく一生涯忘れることがないほどの最高の形でADCC初戦を勝利した。

<99キロ級超級2回戦/10分1R・延長5分>
ルーズベルト・ソウザ(ブラジル)
本戦 2-0
ハイサム・リダ(ガーナ)

鮮烈な一本勝ちで一回戦を突破したハイサムの次戦の相手は、ルーズベルト・ソウザ。

初戦ではジョアオ・ガブリエル・ホシャと対戦し、投げられて下になりながらもその流れで足を取り、一瞬で強烈なヒザ十字を極めて見事な一本勝ち──ハイサム同様、レジェンドから見事な一本勝ちを果たしての2回戦進出だ。

試合開始後、スタンドの攻防を展開する両者。ソウザは両ワキを差そうと試みるが、ハイサムは差し返して距離を取る。

3分経過時、右手でソウザの頭を抱えたハイサムは、長い左腕を伸ばしてニータップを仕掛ける。ソウザの巨体を崩してみせたが、ソウザはすぐに立ち上がった。

加点開始まで残り45秒のところで、ソウザが座る。シッティングから足を絡めてハイサムの右足を狙うが、ハイサムも素早く反応し、ソウザの体を大きくまたぐようにして距離を取る。加点まで残り20秒の時点でソウザは立ち上がった。

やがて試合は加点時間帯に入り、しばらくスタンドでの攻防が続く。

残り3分半の時点にて、ソウザが突進。ボディロックを組むと場外際でハイサムを浴びせたおすことに成功する。ハイサムは倒れながらもバタフライでソウザを浮かせるが、重心の低いソウザはバランスをキープし、そのままハーフの体勢で背中をマットにつけさせ、ヘッド&アームコントロールを取ってポジションを固定。テイクダウンの2点を先制した。

下から上体を起こしてのリバーサルを仕掛けるハイサムだが、ソウザはバランスを保つ。するとハイサムはガードを閉じて足を四の字に組んだ。残り3分。動きを作りたいハイサムだが、ソウザの強固なベースは崩れない。

やがてハイサムがガードを開けたところでソウザが立ち上がると、同時にハイサムもスタンドに戻った。残り時間が少なくなるなか、ハイサムは右足を飛ばして小外や小内を仕掛けるが、ディフェンスモードに入り下がり気味のソウザを崩せない。結局ソウザがそのままリードを守り切り時間に。

2回戦で敗れてしまったとはいえ、初戦で超大物アブレウから今大会最高ともいえるハイライトリール・サブミッションフィニッシュ。ADCCデビュー戦にてその名を世界に轟かせたハイサムは、翌日の無差別級へのエントリーも決めた。

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ADCC2022 JT・トレス MMA MMAPLANET o カイナン・デュアルチ ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ジオゴ・ヘイス ジャンカルロ・ボドニ ハイサム・リダ ホベルト・アブレウ ユーリ・シモエス 岩本健汰

【ADCC2022】66キロはジオゴ・ヘイス, 77キロはケイド。88キロがボドニ。KINGはゴードン・ライアン!!

【写真】タイが初日に姿を消すというなか、ケイドがADCC最年少世界王者に (C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて2022 ADCC World Championshipが開催された。

イベントの規模、試合レベル共に四半世紀を迎えようかというADCC世界大会の歴史において、また他のグラップリング・イベントと比較しても、過去最高のグラップリング・イベントとなった今大会。

そんななか日本でも特に注目された66キロ級ではジオゴ・ヘイスが優勝。77キロ級ではケイド・ルオトロがミカ・ガルバォンを足関節で下し頂点に。

88キロはノーマークだったといっても良いジャンカルロ・ボドニが、これが新時代のグラップリングだという戦い方を続けた。

結果、決勝でルーカス・バルボーサをRNCで仕留め優勝している。

99キロ級はカイナン・デュアルチ、99キロ超級はゴードン・ライアンがゴールドを獲得、ゴードンはスーパーファイトも制し文字通りグラップリング界のKINGに君臨。無差別級では古豪ユーリ・シモエスが復活を遂げる勝利を挙げている。

日本から出場した岩本健汰は初戦でJT・トレスと対戦し、非ポイントの時間帯から積極的に攻めるという戦い方を選択する。

岩本のテイクダウン狙いに序盤の5分間は倒れていたJTは5分以降と延長戦では、切ってバックを伺うという展開で大善戦の岩本をレフ判定でくだした。

ハイサム・リダは初戦でホベルト・アブレウを腕十字で破るジャイアントキリングを達成するも2回戦敗退。それでも多くの新しい力の台頭の象徴──その一員であることを大いに印象づけている。

※ADCCの詳細レポートは後日、掲載となります。


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【PJJC2022】パン柔術見所。ライト級のムラサキ✖アウヴェス。ミドル級はダウプラ、ヒメネスらに注目

【写真】昨年のパンナムは8ファイナル敗退だったアンディ・ムラサキ。今年はどうなる?!(C)EUG

フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナで6日(水・現地時間)から、IBJJFパン柔術選手権が10日(日・同)の日程で始まっている。

世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこのパン柔術。プレビュー最終回は橋本知之が出場するライトフェザー級、嶋田裕太が出場するフェザー級以外について考察したい。


【ルースター級】
本命は2020年のヨーロピアンでブルーノ・マルファシーニ越えを果たし(その年は惜しくも決勝で橋本知之に敗れたものの)、今年のヨーロピアンで優勝を果たしているタリソン・ソアレスか。ソアレスと決勝で対峙する有力候補としては、2019年のヨーロピアンで芝本幸司に快勝したカルロス・アルベルトが挙げられるだろう。

(C)EUG

【ライト級】

この大会2連覇中、AOJのジョナタ・アウヴェスがエントリー。昨年のEUG2のトーナメント決勝にて、柔術の神の子ことミカ・ガルバォンと対戦し、一度トップを取ったら這いつくばってでもキープする執念の戦いぶりでリードを守り切って優勝した姿が印象深い。

そして別ブロックには、ティーン時代を日本で過ごし、昨年のEUG1で世界的黒帯を3タテして衝撃の黒帯デビューを果たしたアトスのアンディ・ムラサキがいる。

23歳のアウヴェスと22歳のムラサキは今年のLAオープンの決勝でも対戦し、この時は8-8のアドヴァンテージ差でアウヴェスが勝利している。柔術界の未来を背負う新世代のライバル対決が、今回決勝でまた見られる可能性は高そうだ。

(C)SATOSHI NARITA

【ミドル級】

大本命は、昨年の世界大会初出場にて初優勝を果たしたタイナン・ダウプラ。鍛え上げたフィジカルを武器に、万力のオープンガードで相手をたちどころにスイープして上を取ると、問答無用の圧力で相手のガードを潰して極めまで持ってゆく戦い方は圧巻だ。

(C)FLOGRAPPLING

そのミドル級、ダウプラの初戦が要・注目だ。

1回戦シードのダウプラが初戦で当たる可能性が高いのが、WNO等のノーギシーンでも目覚ましい活躍を見せるロベルト・ヒメネスだ。見事なバックグラブの技術とどこからでも極めを狙うダイナミックな戦いを身上とするヒメネスが、ダウプラの盤石の戦いぶりを崩せるか、注目したい。

ここをダウプラが順当に勝ち上がれば、おそらく準決勝で当たるのはホナウド・ジュニオール。昨年はパン大会、世界大会とどちらもダウプラの軍門を下っているだけに、雪辱に向ける気持ちは強いだろう。

もう一つのブロックにも強豪選手が散見されるが、ダウプラとの決勝を期待したいのは豪州出身のリーヴァイ・ジョーンズレアリー。抜群の切れ味のベリンボロ・ゲームの持ち主で、以前絶対王者ルーカス・レプリの必殺ニースライス・パスを凌駕してみせて世界を驚かせた。レアリーのベリンボロは、ベリンボロを世界に広めたメンデス兄弟を師に仰ぐダウプラにどこまで通用するのだろうか。

【ミディアムヘビー級】

最大のビッグネームは、階級世界制覇のレジェンド、レアンドロ・ロ。ユニティのムリーロ・サンタナ門下に入ったロと、別ブロックにいる師のサンタナによるクローズアウトが実現するかどうかが注目だ。

この二人を止める候補としては、メンデス兄弟の弟子にして昨年の茶帯世界王者マテウス・ホドリゲスや、昨年のF2W 166でダンテ・リオンに勝利する等ノーギで活躍するマニュエル・ヒバマーらが挙げられる。

【ヘビー級】
第1シードはポーランド出身、今年のヨーロピアン王者のアダム・ワルジンスキ。準々決勝では2019年のADCC世界王者にして、世界柔術でも二度3位入賞しているマテウス・ディニズと当たる可能性が大きく、この対戦がトーナメント序盤の大きなヤマとなりそうだ。

別ブロックでは、素晴らしい切れ味のヒールやギロチンを武器にノーギシーンで活躍し、1月のWNOではクレイグ・ジョーンズを破る殊勲の星を挙げたペドロ・マリーニョがエントリー、道着着用での戦い方も注目だ。

【スーパーヘビー級】
昨年の世界柔術初出場初優勝を果たしたエリキ・ムニスが大本命。長いリーリを活かしたスパイダーガードはまさに難攻不落、別ブロックにいる兄のアンデウソン・ムニスとともにクローズアウトを狙う。

が、アンデウソンのブロックには、エリキと昨年の世界大会決勝を争い僅差で敗れたフィリッペ・アンドリューや、そのアンドリューに道着着用の世界大会では敗れたものの、ノーギ・ワールズではアナコンダ・チョークで一本勝ちを収めて優勝したディヴォンテ・ジョンソン等の有力選手が控えている。

(C)SATOSHI NARITA

【ウルトラヘビー級】

最大のビッグネームは、サイボーグことホベルト・アブレウ。13年にADCC世界大会無差別級を制し、昨年もノーギ・ワールズで優勝する等その強さは健在だ。ノーギ専門家というイメージが強いが。その必殺のトルネードスイープは、道着着用にてグリップを確保することで威力が増すはずだ。準々決勝で当たる、昨年サウスアメリカンを完全制覇しているワラス・コスタとの試合がまずはヤマとなりそうだ。

もう一つのブロックには、強靭なベースを誇り、昨年、今年とワールドプロ大会を2連覇しているグーテンベルギ・ペレイラがいる。ちなみにペレイラとコスタは今年のグランドスラム・ロンドンの決勝でも当たり、僅差でコスタに凱歌が上がっており、今回の決勝で再戦が実現する可能性は大いにあるだろう。

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【F2W161】2週連続開催のF2W、スプリッグスに勝利したアブレウのヘビー級王座奪取でハッピーエンド

22日(金・現地時間)、フロリダ州マイアミのフォー・アンバサダーズ・ビルディングにてグラップリングイベントFight 2 Win(F2W)161が行われた。

前週の160大会に続き、地元フロリダ勢を多数集めて開催。コロナ禍にもかかわらずシーンを盛り上げた同大会レポート最終回はノーギ王座決定戦の模様をお届けしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<F2Wノーギ・ヘビー級王座決定戦/10分1R>
ホベルト・アブレウ(ブラジル)
Def. by 判定 3-0
ティム・スプリッグス(米国)

ファイトスポーツ・マイアミを主宰するサイボーグことアブレウは、地元の大声援に乗って登場。年末に40歳となった大ベテランだが、昨年は現役世界王者カイナン・デュアルチからヒールフックで一本勝ちを収めるなど、名だたる強豪相手に全勝を収める充実ぶりだった。

対する2018年のノーギ・ワールズ王者のスプリッグスは昨年は試合出場せず、これが復帰戦となる。この試合には当団体のノーギ・ヘビー級タイトルが懸けられた。

試合はスタンドでの探り合い、いなし合いが続く。スプリッグスはしばしばアームドラッグを狙うが、二回りほど分厚い胸板を誇るサイボーグのバランスは崩れない。サイボーグは逆にギロチンを狙う素振りを見せて圧力をかける。

5分過ぎ、サイボーグの右腕をたぐったスプリッグスは飛び込んでシングルレッグへ。そのまま押してゆき、ステージから転落しそうになる前にレフェリーのブレイクが入った。

6分経過し──今度はスプリッグスの頭に一瞬触れたサイボーグがダブルで突進。これまた場外に落ちそうになったところで、サイボーグが自ら停止してスプリッグスの安全を確保し、ブレイクに。

試合時間は残り3分半。次はスプリッグスがダブルで飛び込む。それを受け止めてがぶったサイボーグは、前進しながらの小外掛けでテイクダウンに成功した。クローズドガードを取ったスプリッグスは、やがてガードを開いて柔術立ちを試みる。それをサイボーグが追いかけて寝かそうとしたところで、またも場外ブレイク。試合はスタンドから再開となった。

残り1分。しきりに腕をたぐるもサイボーグを崩せないスプリッグスに対し、サイボーグは再び頭を触れてからのダブルレッグで二度目のテイクダウンに成功。そのままサイドポジションに入るが、サイボーグの頭を抱えたスプリッグスもすぐに立ち上がった。

終了間際、後のないスプリッグスはイマナリロールに。それをいなされるとさらにシッティングから仕掛けを試みるが、サイボーグは付き合わず。場内のファイトスポーツ勢が大声でカウントダウンをする中、試合終了。2度のテイクダウンを奪ったサイボーグが判定3-0で勝利した。

スタンドでの探り合いに時間の大半が費やされ。凡戦と呼ばれても仕方のない試合内容だったが、地元の英雄の勝利に場内は大喜び。柔術が盛んなフロリダにて、地元有名選手を大量に出場させてシーンを盛り上げたF2W新年2大会のメインは、サイボーグの戴冠によってハッピーエンディングの大団円となった。


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【F2W161】ハイサム・リダ&デヴィッド・ガルモが北米トップ舞台へ。アブレウ&ジョルジ・サンチアゴも

【写真】ハイサムとガルモがF2Wに出場、着実に米国で足固めをしている (C)MMAPLANET

22日(土・現地時間)、フロリダ州マイアミのフォー・アンバサダーズ・ビルディングにてFight 2 Win(F2W)161が行われる。先日同会場で行われた160大会に次ぎ、2021年の開始を飾る大型グラップリングイベントは、Flo Grapplingで視聴可能だ。

今回もADCCトップレベルのグラップラー、このスポーツの未来を担う新鋭に加え、MMAで活躍した往年の名ファイターに加え、日本の柔術界に深くかかわる2選手が出場する──見逃せないイベントだ。
Text by Isamu Horiuchi


<10分1R>
ホベルト・アブレウ(ブラジル)
ティム・スプリッグス(米国)

サイボーグことアブレウは、インヴァーテッドの体勢から相手を舞わすトルネードスイープの名手にして、13年のADCC世界大会無差別級王者。15年の同大会スーパーファイトでアンドレ・ガルバォンに敗れた後は、17年は最重量級3位、無差別級の初戦では新星ゴードン・ライアンの内ヒールに屈しており、19年には最重量級準決勝でやはりジョン・ダナハー門下のニッキー・ロドリゲスと大激闘の末に惜敗。判定を不満として3位決定戦と無差別級出場を拒否している。

このようにADCCでは久しく栄冠を取り戻せていないサイボーグだが、2020年は出場した試合で全勝。しかもMMAを引退したBellator世界ミドル級王者ラファエル ・ロバト・ジュニア、ルーカス・バルボーザ、フィリッピ・アンドリュー等世界超一流の重量級グラップラーを下しており、さらに9月のBJJ Bet大会では現世界王者カイナン・デュアルチと対戦。デュアルチが下から足を絡めてきたところをすかさず内ヒールを極めて一本勝ち。技術進化にしっかり対応しているところも見せつけている。

対するスプリッグスは、強力なレスリングベースを持つ18年のノーギ・ワールズ王者。20年はメジャー大会では一度も試合をしておらず、復活を賭けた試合となる。

<10分1R>
ガブリエル・ソウザ(ブラジル)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)

この1月に24歳となるソウザは、18年に黒帯取得。19年にはジョアオ・ミヤオを決勝で下してアブダビ・ワールドプロ62kg級を制すなど、ミヤオ兄弟相手に3戦3勝、モダン柔術的な競り合いにも抜群の強さを発揮し、軽量級世界トップの柔術家の一人に躍り出た。2020年に戦場をライト級に上げてもその強さは変わらず、ジアニ・グリッポ等の強豪から勝利を挙げている。

対するシセロ・コスタ門下の19歳、ディエゴ・オリヴェイラは19年の茶帯ライトフェザー世界王者。同年黒帯を取得するとすぐに世界最高峰の舞台で活躍をみせており、Kings of Mat大会では橋本知之にも勝利している。

ともに組技新世代を代表する軽量級若手グラップラーである両者は、19年と20年にそれぞれ1度ずつ対戦。19年にはソウザが、20年にはオリヴェイラが勝利している。今後長いこと世界の頂点を競い合うこととなるに違いない、若手ライバル対決だ。

<10分1R>
テックス・ジョンソン(米国)
アルナウド・マイダナ(ブラジル)

19年のKasai Pro大会でジャクソン・ソウザとペナの2人をヒールフックで仕留め、一躍名を挙げた重量級の怪力グラップラー。その足関節技技術はユニティ柔術同門、エディ・カミングス譲りのものだ。対するチェックマット所属のマイダナは、17年のノーギ・ワールズ王者。同年にパトリック・ガウジオを得意のオモプラッタで下した実績が光っている。

なお今大会では日本のカルペディエムのハイサム・リダとデヴィッド・ガルモも登場する。リダの相手はエイドリアン・ベナヴィデス、ガルモの相手は未定だ。

リダは、昨年12月に行われたノーギ・アメリカンナショナルズ大会に出場。スーパーヘビー級で優勝、無差別級では準決勝でガブリエル・アウメイダに敗れて3位入賞しており、Quintetベガス大会以来の北米プログラップリング大会出場となる。

現在はデトロイト柔術所属のガルモも、やはり昨年12月のノーギ・アメリカンナショナルズに出場。階級別(ミドル級)では準々決勝で敗退したものの、無差別級では3試合連続一本勝ちで決勝に進出。ここでもガブリエル・アウメイダという壁に跳ね返されたものの準優勝という快挙をなし遂げた。

日本人選手の北米進出は、なかなか難しい状況であることはMMAもグラップリングも変わりない。そのなかで日本所縁の選手たちのメジャー大会進出は嬉しい限りだ。

また本大会には前週のJZ・カバウカンチに続き、J-MMAの戦極からストライクフォース、UFCで活躍したジョルジ・サンチアゴも登場。フレッド・モンカイオと戦う。MMAヴェテラン勢が健在ぶりを見せてくれるところも、この大会の魅力だ。

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