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【The Shooto Okinawa10】17歳&新人王=根井の挑戦を当真佳直が、真正面から跳ね返す

【写真】左カーフだけでなく、右インローも有効に使っていた(C)SHOJIRO KAMEIKE

<ストロー級/5分3R>
当真佳直(日本)
Def.3-0:30-27.30-27.29-28
根井博登(日本)

左ローを蹴った当真。アウトローに根井が左を合わせていく。当真は外・内と前足を蹴り、前蹴りをアゴに届かせる。左フックを当てた根井が、距離を詰めてパンチをラッシュ。当真も右フックを打ち返すと、根井は間合いを取り直した。

左カーフを続ける当真は根井のダブルを切って左右のフックを打つ。根井も近距離で打ち合いに応じる。間合いを取り直した両者、当真が左カーフを当て根井の左オーバーハンドをかわした。

当真の前蹴りに、左を振るった根井がワンツー。荒いパンチを返す当真に左フックを当てた根井だが、当真もフックを打ち返す。

一度離れた狙いのダブルレッグに当真がギロチンも頭を抜いた根井が立ち上がる。そのまま相手の出方を見た両者──そのまま時間となった。

2R、当真はここも左カーフを蹴り、根井は距離を詰めるが蹴りが左カウンターを被弾する。左右から右足を蹴る当真、根井と同時に左フックを打ち合う。相打ち後も根井は圧をかけ左ストレート、続く左ハイにワンツーを打たれて下がる。組んで当真がトップも、スタンドを選択する。

立ちに戻された根井は右足を蹴られ、左の蹴りをキャッチ。スピニングバックフィストからゴチャゴチャと下展開も、根井が間合いを外す。左回りの当真はカーフ&前蹴り、追い切れない根井が左ストレートでステップインすると、左インローを蹴る。当真は左フックを空振りし、すぐに離れる。左で入ってくる根井の動きを見た当真は、ニータップを切り打ち合いから離れようとした根井に左フックをヒットさせる。根井は動きが止め、ラウンドを失った。

最終回、引き続き左カーフの当真。続いて右インローを蹴り込む。圧は掛けても、追い足がない根井は飛び込んでのパンチ、テイクダウン狙いしか手がないか。やや遠い距離からダブルレッグでドライブした根井が、当真をケージに押し込む。頭を抱えて耐える当真が、ヒザを腹に入れる。レフェリーがブレイクし、間合い打撃に戻る。

前足が真っ赤になっている根井は、左フックを被弾する。ワンツーで左を当てた根井に対し、当真もフックを打って離れる。距離が近づくと左フックに下がった根井に、ダブルレッグでテイクダウンを決めた当真がトップを奪取する。ハーフからのバギーを潰された根井は、頭を抱えギロチンをセットしていく。当真もヴァンフルーで抑え、タイムアップに。

新人王のチャレンジのランカー当真が意地を見せ、3-0の判定勝ちを手にし「フィニッシュ難しいですね。反省点だらけですけど、もっと強くなって一本取れるように技を磨いて、もっと練習して頑張ります。内容は自分的には叩かれる部分があるかもしれないですけど、練習して一本取れるよう頑張るので応援よろしくお願いします」と話した。

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【The Shooto Okinawa10】メインで根井博登を迎え撃つ当真佳直「無敗の新人を圧倒して勝ちます」

【写真】プロデビュー戦は沖縄大会だった根井と対戦する、沖縄メインイベンター当真(C)SHOJIRO KAMEIKE

13日(土)、翌日に沖縄市上地のミュージックタウン音市場で開催されるTHE SHOOTO OKINAWA 10の計量が行われ、メインで根井博登を迎え撃つ当真佳直が一発でクリアした。
Text by Shojiro Kameike

ここまで2連敗を喫したこともあった。しかし沖縄で着実に、諦めずに戦ってきたことでランキング的にもベルト挑戦が目前というポジションにいる。そんな当真が迎え撃つのは、現役高校生で2023年度新人王の根井だ。決戦前日、計量後に当真が根井戦について、さらに盟友である同級1位と旭那拳と、修斗ストロー級のベルトについて語ってくれた。


――当真選手が沖縄大会のメインを務めるのは、今大会が4度目となります。

「はい。前回のメイン(2020年11月、マッチョ・ザ・バタフライに判定勝ち)は微妙な試合でした。その点については自分でも考えて、今回はちゃんとフィニッシュするか、圧倒的な差をつけて勝ちたいです」

――マッチョ・ザ・バタフライ選手との初戦は正直なところ、内容的には押されていた末、相手の計量失敗があったことも影響して当真選手の判定勝ちとなりました。そのぶん昨年11月の再戦では絶対に決着をつけるという気持ちは強かったですか。

「そうですね。初戦は――練習ではうまくいっていても、試合では出せないものがあるんだなって思いました。たとえば練習では相手にバックを奪われても逃れることはできるんですけど、試合になると相手も必死だし、全力でキープしてきますよね。だから、そもそもバックを取らせない。その点を徹底していれば勝てる。

あとは自分のギロチンに対して過信していたところもありました。ただただギロチンを取りにいくのではなく、要所要所で使っていく。それがうまく行けば勝てるだろうと思ったんです。再戦ではギロチンこそ狙わなかったけど、作戦を徹底して完封できました」

――まさに正面からの強さこそが当真選手のスタイルだと思います。

「自分のスタイルは、まず相手の打撃にテイクダウンを合わせて、トップをキープしながら削って勝つこと。もちろんフィニッシュしたいですが、そこはまだ足りないところがあるかなって思います。でも練習の中ではフィニッシュする力もついてきているし、打撃も含めて全局面で戦える力はついてきました。あとは練習の試合の差を埋めることが大切で。それがいつも反省点であるけど、今は自信もあります」

――現在、修斗ストロー級ではランカー同士の潰し合いが繰り広げられています。その中でご自身の立ち位置については、どのように考えていますか。

■2023年~2024年 修斗ストロー級 主な試合
【2023年】
3月19日 
安芸柊斗 def 澤田龍人 by TKO

4月16日
ザ・タイガー石井 def. 旭那拳 by 2-0
当真佳直 def. 大城正也 by 3-0

5月22日
阿部マサトシ def. 木内SKINNY ZOMBIE崇雅 by 2-0

5月28日
畠山隆弥 draw 泰斗 by 1-0

6月18日
田上こゆる def. ザ・タイガー石井 by TKO

7月23日 
新井丈 def. 安芸柊斗 by TKO
※新井が王座防衛

11月12日
旭那拳 def. 泰斗 by 3-0
当真佳直 def. マッチョ・ザ・バタフライ by 3-0
畠山隆称 def. 蒔田伸吾 by TKO

【2024年】
1月28日
根井博登 def. 麻生Leg Lock祐弘 by 1R TKO
※根井が2023年度ストロー級新人王に

3月23日
旭那拳 ― 田上こゆる
※旭那の負傷により中止に

4月7日
黒部和沙 def. 澤田龍人 by 変形ツイスター

【試合予定】
4月14日
当真佳直(4位) × 根井博登
畠山隆称(6位) × 牧ケ谷篤

5月26日
泰斗(8位) × 石原愼之介

「今、僕はランキング4位です。まず2位の黒澤亮平選手はパンクラスに出ていて、次はタイトルマッチじゃないですか(4月29日にリトルと暫定ストロー級王座を争う)。次に3位の安芸柊斗選手は、MMAPLANETのインタビューで『フライ級に転向する』と言っていましたよね。あとはチャンピオンの新井丈選手もフライ級で戦うために、メチャクチャ体が大きくなっていて。僕も新井選手への挑戦を見据えていましたが、見ていると新井選手はもうストロー級に落とすのは無理なんじゃないかな、と思うこともあります」

――ということは、1位の旭那拳選手と……。

「そうなるかもしれないですよね。旭那選手の怪我で中止になりましたけど、3月に田上こゆる選手の試合が組まれていて。ここで旭那選手が勝ち、次に僕が勝てば対戦することになっていたかもしれない。その可能性は、まだ残っています。ただ――複雑な気持ちです」

――……。

「練習仲間で、いろんな技術を教わることもあります。プライベートで一緒に遊びに行くこともあります。正直なことを言えば、対戦したくないですよ。でもお互いに一番を目指しているなら、いつか戦わないといけない日が来る。それは分かっています」

――同じ階級の練習仲間で、しかも近い存在であればあるほど心境は複雑でしょう。しかし松根良太さんが修斗沖縄大会を始めて、今回で10回目を迎えます。その結果として、沖縄在住ファイター同士がベルトを賭けて戦う日が来たら、それは喜ばしいことでもあるかと思います。

「僕と旭那選手が戦うなら、沖縄大会でタイトルマッチをやりたいです。松根さんも、そう願ってくれていると思っています」

――そうしてランカー同士の潰し合いが繰り広げられるなかで、根井選手のように新人王トーナメントを制したばかりの新世代が絡んでくるとは思いませんでした。

「僕はそうなると思っていましたよ。根井選手は新人王トーナメント決勝の前から注目されていて、僕はすぐに対戦する日が来るだろうと思っていました。それだけ根井選手は強いし、特に新人王を獲った時に『次は自分だろうな』と。勘でしかなかったけど」

――しかし、ここまで上位陣が潰し合いをして、自身が勝ち残った。そこで新人が来るのか……とは考えなかったですか。

「そういう考えはないです。どんどん新しい選手が出てきてほしいですね。根井選手もそうだし、澤田龍人選手に勝った黒部和沙選手とか。どんどん入ってきて、どんどんランキングを動かしてもらいたいと思います」

――今のところ旭那選手と田上選手の試合については、5月19日のニューピアホール大会にスライドできるよう調整中と発表されています。また、王者である新井丈選手の動向次第でもありますが、当真選手にとって今回の試合はタイトルマッチ前哨戦だと思いますか。

「その気持ちはあります。新井選手か田上選手が相手なら後楽園ホールでも良いけど、旭那選手と対戦するなら、やっぱり沖縄が良いですね。どちらにしても、今回はタイトルマッチ出場をアピールできるよう、しっかり勝ちます。

自分としては、まず修斗のベルトを巻くために着実に進んできました。正直、2連敗した時は『自分はこんなモンなのか……』と考えた時もあります。でも、あの連敗からココまで来ました。もうあの時の自分とは違います」

――2連敗した時と今の自分では、何が違うと思いますか。

「打投極、全てが進化しています。それと――2連敗した時は、一気に攻め込んでダメだったら『もうダメだ……』という気持ちになっていました。でも今は、試合で劣勢になっても、諦めなければ必ずチャンスは来ると考えるようにしています」

――それこそ砂辺イズムなのかもしれませんね。2010年9月に砂辺選手が田原しんぺー選手をKOした試合がすごく印象に残っています。最初に砂辺選手がダウンを喫した時、過去の試合ぶりから『ダウンを跳ね返して勝つんじゃないか』と直感的に思いました。

「えぇ、そうなんですか」

――結果は田原選手の三角絞めをスラムで返してKO勝ち。試合後に聞いたところ、セコンドの勝村周一郎さんも砂辺選手がダウンした時に「勝った!」と思ったそうです。砂辺選手としてはダウンを喫してからのほうが強いのかもしれませんが、最後まで諦めない気持ちというのは理解できます。

「その話を聞けて嬉しいです。今回の相手は高校生で、パワーは僕が勝っていると思います。でも無敗の人間が、絶対に何か持っている。何かあるから無敗なので。だから『高校生だから勝てる』なんて考えていません。無敗だから何か持っているはずだけど、自分としてはこれまで負けたことがあるから分かるものがあると思っています。明日は、そんな無敗の新人を相手に圧倒して勝ちます」

■視聴方法(予定)
4月14日(日)
午後2時25分~ Twit Casting LIVE

■ THE SHOOTO OKINAWA10対戦カード&計量結果

<ストロー級/5分3R>
当真佳直:52.04キロ
根井博登:51.80キロ

<フェザー級/5分3R>
内藤太尊:65.52キロ
宇藤彰貴:65.62キロ

<ストロー級/5分2R>
畠山隆称:52.10キロ
牧ケ谷篤:52.04キロ

<ウェルター級/5分2R>
西條英成:76.92キロ
アイエティ・ケビン:76.80キロ

<フェザー級/5分3R>
南風原吉良斗:65.62キロ
メイヘム和成:65.24キロ

<ストロー級/5分2R>
木村旬志:52.16キロ
大城匡史:52.14キロ

<ストロー級/5分2R>
ふじい☆ペリー:52.48キロ→52.20キロ
知名昴海:51.52キロ

<ストロー級/5分2R>
大田ノヒロ:52.14キロ
高橋佑太:52.20キロ

<2024年度新人王Tフライ級準決勝/5分2R>
松本ごだい:52.22キロ
小生隆弘:56.56キロ

<修斗トライアウトマッチ バンタム級/3分2R>
山本敦章:61.10キロ
武田昴大:60.90キロ

<修斗トライアウトマッチ フェザー級/3分2R>
藤崎陽平:65.32キロ
神田篤社:65.48キロ

<アマチュア修斗 女子スーパーアトム級/3分2R>
高田双葉:48.36キロ
徳本望愛:49.22キロ

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【The Shooto Okinawa10】内藤太尊との再起戦へ、宇藤彰貴「イチからやり直すという意味でも沖縄で」

【写真】口下手だが悔しさと強い言葉が感じられる、そんな宇藤の再出発だ。(C)SHOJIRO KAMEIKE

14日(日)、沖縄市上地のミュージックタウン音市場で開催されるTHE SHOOTO OKINAWA 10で、宇藤彰貴が内藤太尊と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

宇藤は2022年4月のプロデビュー以来、4試合連続1R KO勝ちというキャリアを歩んでいた。特に2023年は13秒、20秒という試合タイムで勝ち進むなか、9月の新人王トーナメント準決勝では松浦真実也を相手に一本負けを喫してしまう。まさかの敗戦から7カ月――沖縄でベテラン内藤太尊との復帰戦に臨む宇藤に、前回の敗戦と新しい取り組みについて訊いた。


――今回は昨年9月の一本負けからの復帰戦となります。プロデビュー以来4試合連続1R KO勝ちの宇藤選手が一本負けした前回の試合は衝撃でした。

「はい……負けた要因は、自分の中ではハッキリしています」

――その敗因は試合前のインタビューで公に言えることですか。

「大丈夫です。自分がムキになってしまったこと。ムキになって、考えていた作戦どおりに動くことができませんでした。それが負けた一番の理由です」

――前戦の作戦というのは、それまで4連続KO勝ちを収めていた試合の内容とは違うものだったのでしょうか。

「全然違うものでした。まずは相手の弱点を突いて、しっかりと見ながら相手の強い部分では戦わず、自分の得意なところで勝負したいと考えていました。4連続KO勝ちしたあと、自分の中では準決勝が一番大事やなと思っていて。だから準決勝はしっかりと作戦を練って、そのとおり動いて決勝に進むつもりが……」

――ムキになってしまったというのは、試合中のどの時点ですか。

「いえ、最初にムキになってしまったのは――実は計量の時なんです」

――えっ!?

「計量の時に相手が『34歳の私と、21歳の宇藤選手。一回り違いますが、人生の差で見せつけちゃいたいなと思っているので、バチバチの試合やりましょう』とコメントしていて。その時にムカついてしまったんです。試合が始まると自分が踏み込んだ時に相手のパンチが当たって、さらにムキになって自分の中のプランもグチャグチャになってしまいました」

――試合前の心理戦で揺さぶられてしまったのですね。

「それでも計量が終わってからホテルに戻って、気持ちをリセットさせたんです。一度ムカついたことは置いといて、試合のことだけ考えようと。でも試合が始まったら、一発もらったらムキになってしまいました」

――師匠のゴンズイさんとしては、宇藤選手が試合前日からイライラしていることには気づいていましたか。

ゴンズイ いえ、気づいていなかったです。全然そういう気持ちは顔に出していなくて、試合が終わった後に本人から聞きました。

「そういうのを顔に出したらバレてしまうので、顔に出さんとこうとは思っていました。でも試合に出てしまったらダメなんですけど……」

――一度は気持ちを落ち着かせたのに、試合でパンチをもらってムキになってしまった。それは想定外の一発だったということですか。

「というより、今まで試合でパンチを食らうこともなかったし、計量で煽られることもなかったんです。普段から被弾しないように練習していて。だから試合でもイライラしたことはなくて、ただ勝つことだけに集中しとったんです」

――では反対に、4連続KO勝ちしていた要因は自分の中で理解していたのでしょうか。

「いえ、特に要因とかは分かっていなかったです。試合でKO勝ちしているので、自分の中でも『いける!』と思っていた程度でした。でも、それがプレッシャーになっていて」

――プレッシャーですか。宇藤選手がKO勝ちすると会場も盛り上がりましたし、それだけ期待も高かったでしょう。

「はい、高かったです(苦笑)。期待してもらっている分、勝たなアカンと思うことがプレッシャーに変わっていきました」

――プロのファイターを続けていくうえでは厳しいところで、勝てば応援してくれる。反対に負けたら離れていく人もいると思います。

「たぶん離れていた人もいるとは思いますけど、そういうのは気にしていないです。応援してくれている人しか見ていないので。応援してくれる人からは『絶対に次は勝ってくれよ』と声を掛けてもらって――みんな暖かったです」

――ファイターとしては敗戦を経て、改めて何をしないといけないと思いましたか。

「勝つための技術を身につけることはもちろん、まずは殴られてもムキにならへんように。どれだけ殴られてもムキにならずに、しっかりと自分のパフォーマンスを出すことができるか。その部分ですね。負けた以上、今までよりも厳しい練習が必要やなと思いました。

前回の試合から、どれだけ自分が変わったかは分からへんのですけど、殴られてもムキにならないようにはしています。あとは体づくりに取り組んできました。組んだ時にも力負けせんように。体は大きくなったな、って周りからは言われます」

――体づくりということは、通常体重も増えたのでしょうか。

「4キロぐらい増えました。そのぶん減量にも影響はしてきますけど、それより力負けして試合を落とすほうが嫌なんで」

――前回の試合で組んだ時に力負けしている感覚があったということですか。

「いえ、試合の時は押し込んでいる時も力負けしている感覚はなかったです。それよりもウチのジムは力が強い人が多くて、同じ階級の選手と練習していても相手のほうが力は強いことが多いです」

――これまでのKO勝ちはスピードとタイミングによるところが大きかったのですね。

「はい。一番はタイミングでした」

――しかし通常体重が上がれば、計量後に戻して試合時の体重も上がる。そうなった時、これまでの自分の強みが薄れてしまうことはないですか。

「多少は落ちても良いと思っています。組まれた時に力負けしてテイクダウンされるよりは、ちょっとスピードが落ちても自分の得意な展開に持ち込めたほうが良いので」

――なるほど。今回は初めて沖縄で試合をすることになりました。

「自分から『沖縄大会に出たいです』と伝えました。これまで高松大会は2回出ていて。その高松大会で負けたあと、一度違う場所で戦ってみたいと思ったんです。またイチからやり直すという意味でも」

――これまで2R制しか経験していない宇藤選手にとって、復帰戦が初めての3R制という点については?

「3Rだからって不安はないです。ここで内藤選手に勝って、次に繋げたろうという気持ちしかないですね」

――ここで内藤選手に勝てば、新人王トーナメント準決勝敗退から一気にランキング入りも狙えるかもしれません。今回はどのような試合を見せたいですか。

相手は空手のチャンピオンで、打撃が巧い。自分ともタイプは違いますよね。相手のほうが距離を保つタイプで。自分はたとえ被弾しても、それは承知のうえでケージに詰めていきたいです。相手が組んできたら自分も組みでやります。その前にスタンドでプレッシャーをかけておけば、自分が不利な形で組まれることもないと思うので。今年一発目の試合だから、デカイ花火を上げてみせます」

■視聴方法(予定)
4月14日(日)
午後2時25分~ Twit Casting LIVE

■ THE SHOOTO OKINAWA10対戦カード

<ストロー級/5分3R>
当真佳直(日本)
根井博登(日本)

<フェザー級/5分3R>
内藤太尊(日本)
宇藤彰貴(日本)

<ストロー級/5分2R>
畠山隆称(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<ウェルター級/5分2R>
西條英成(日本)
アイエティ・ケビン(日本)

<フェザー級/5分3R>
南風原吉良斗(日本)
メイヘム和成(日本)

<ストロー級/5分2R>
木村旬志(日本)
大城匡史(日本)

<ストロー級/5分2R>
ふじい☆ペリー(日本)
知名昴海(日本)

<ストロー級/5分2R>
大田ノヒロ(日本)
高橋佑太(日本)

<2024年度新人王Tフライ級準決勝/5分2R>
松本ごだい(日本)
小生隆弘(日本)

<修斗トライアウトマッチ バンタム級/3分2R>
山本敦章(日本)
武田昴大(日本)

<修斗トライアウトマッチ フェザー級/3分2R>
藤崎陽平(日本)
神田篤社(日本)

<アマチュア修斗 女子スーパーアトム級/3分2R>
高田双葉(日本)
徳本望愛(日本)

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【The Shooto Okinawa10】牧ケ谷篤と対戦、初勝利まで7年=畠山隆称「M-1の3回戦から話すのは……」

【写真】平良が身近にいる。その影響という部分でも、興味深い畠山の無敗記録だ (C)GIGIO

14日(日)、沖縄市上地のミュージックタウン音市場で開催されるTHE SHOOTO OKINAWA 10で、畠山隆称が牧ケ谷篤と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

プロ戦績は7戦5勝2分と無敗、修斗世界ストロー級ランキングでも6位に入っている畠山。松根良太に師事し、修斗沖縄大会を中心にキャリアを積むストロー級の注目の新鋭だが、中学時代は1度も勝てなかった柔道部員で、アマチュア時代も4年近く勝てなかったという。格闘エリートではなくても勝ち続ける――そんな畠山のキャリアとは?


――畠山選手は専門メディア初インタビューということで格闘技を始めたきっかけから聞かせてもらえますか。

「格闘技を始めたのは高校1年生の時ですね。高校にやりたい部活動がなくて、兄ちゃんが先にジム(旧Theパラエストラ沖縄)に入っていたんですよ。帰宅部で何もしないよりはましかなと思って、自分も入会しました」

――小・中では何部に所属していたのですか。

「小学校の時は何も運動はやっていなくて、なんならちょっと太っていました(笑)。中学では柔道部に入っていたんですけど、それも中学にやりたい部活動がなくて、兄ちゃんがやっているから自分もやってみたという動機で。実際に柔道はむちゃくちゃ弱くて3年間やっていて1勝もできなかったんですよね(笑)」

――練習には真面目に取り組んでいたのですか。

「まともに練習していないような部活で、そりゃ試合で勝てないよなという練習の強度でした。顧問の先生が来ない日もあるから、7~8割は楽しく練習して、たまに真面目に練習するみたいな。0勝の僕が主将やっているような柔道部…と言えば分かってもらえると思います(笑)」

――格闘技そのものは好きだったのですか。

「母さんと兄ちゃんがめっちゃ格闘技ファンで、いつも大晦日はテレビで格闘技を見ていたんですよ。でも僕は紅白が見たかったら、家族はみんな格闘技、僕は別の部屋で紅白、みたいな大晦日を過ごしていました」

――ここまで話を聞いていると、まったく格闘技の要素がないのですが(笑)、そんな畠山少年はなぜ格闘技にのめりこんだのですか。

「一度ジムで見学したときにみんな楽しそうにやっていたし、松根良太さんの指導に惹かれて、自分もこの人に教わってみたいと思ったんですよね。それでお試しでやってみたら、それが楽しくて今も続いている感じです。あとは今まで自分の意志で何か物事を真剣にやったり、努力したりすることがなかったので、初めて自分でやってみようと思ったのが格闘技だったのかもしれないです」

――アマチュア時代はどのように格闘技を向き合っていたのでしょうか。

「それが柔道部と同じで、ジムに入ってからずっとアマチュアの試合で勝てなくて、大学に進学してからも試合には出ていたのですが、負け続けたんです。ただ柔道部時代と違ったのは『1回も勝てないままやめるのは嫌だ』と思ったこと。とりあえず1回勝つまでやろうと思って試合に出続けたんです。そしたら大学2年生の時に初めて勝つことができました」

――中学の柔道部から数えると6年~7年掛って、初勝利を掴んだわけですね。

「はい。そしたら今度は勝った時の喜びや賞賛が忘れられなくて、また次も勝ちたいと思って継続して試合に出るようになりました」

――1勝するまでやめないというのは、周りの誰かに伝えていたのですか。

「いや、誰にも言ってないです。自分の中で決めていたことでした。ただ松根さんからは『いつか1勝できるよ』と言われたことがあって、それを信じて続けていた部分もありますね」

――プロを意識するようになったのはいつからですか。

「最初の目標が『1勝するまで辞めない』で、次の目標が『プロになるまで辞めない』だったんです。僕、2019年に全日本(アマチュア修斗選手権)で優勝してプロ昇格したんですけど、その前の年の全日本はKO負けしてるんですよ。その時に将来居酒屋で飲んでいて『俺もあと一歩でプロだったんだよ』って周りにこぼしている姿を想像したら、それがすごく悔しいなと思って。逆に『俺、元プロなんだよ』って言ったらかっこいいじゃないですか(笑)。それがプロを目標にした理由ですね」

――それもまた面白い目標設定の仕方ですね(笑)。2020年にプロデビューしてからは5勝2分と無敗の快進撃を続けていますが、何が変わったのですか。

「気持ちやメンタルの変化ですね。昔はとにかくネガティブだったんですけど、今は試合への気持ちの持って行き方が変わりました。そのきっかけが『マーフィ100の成功法則』という本で。(アマ修の)全日本に出るときに移動中の飛行機が暇だから『何かいい本ない?』って母さんに聞いたら『これがいいらしいよ』と薦められたんです。それで実際に読んでみたら、すごくいいことがたくさん書いてあって、それから試合前に好きな言葉やメッセージを読むようになりました。それで試合に向けた気持ちの作り方が変わって、勝てるようになった気がします」

――過去の試合映像を見ると打撃・組み技どちらも思い切りの良さが目立ちますが、そこは自分でも意識しているのですか。

「もともとは熱くなりがちな性格なんですけど、セコンドの指示通りに戦ったら、絶対に負けないって自信と信頼があるんですよ。だから思い切りいくときもセコンドの指示で思い切りいくみたいな。そういうイメージですね」

――無敗というプロキャリアをどう感じていますか。

「信じられないですね。僕はスモールステップで来て、プロになったら辞めようと思っていたのが、またこれも居酒屋の妄想なんですけど(笑)、『プロにはなれたけど世界ランキングには入れなかった』はカッコ悪いから、次は『プロで世界ランキングに入っていたんだよ』になるまで頑張ろうと思ったんです。それで今世界ランキングの6位に入っているので、次は『世界ランキング3位になった』がかっこいいなと思うので、そこを目指しています」

――では対戦相手の牧ケ谷選手の印象は?

「ベテランで僕の倍以上試合をしていて引き出しを持っている。直近の試合では足関節で勝っていて手強い相手だと思います。そこを警戒しつつ、相手にいいところを出させない試合をしたいので、それを遂行する力を持てるように練習のやり方や対人練習を進めています。それが完成しつつあって、最後の仕上げの段階に入っているので、それを試合で見せたいですね」

――畠山選手は沖縄のジムに所属して、沖縄を中心にキャリアを詰んでいますが、そのことはどのように感じていますか。

「地元開催は応援してくれる人も多いし、大会があることで選手層も厚くなってきて、合同練習をすることもあるので練習環境も恵まれていますね」

――練習・試合ともに上京しなくても十分にできる。それは本当に大きいですよね。また身近にUFCで活躍する平良達郎選手がいることも大きいのではないですか。

「大きいですね。達郎と練習するために色んな選手が沖縄まで出稽古に来てくれますし、達郎は海外で培ったテクニックも惜しみなく教えてくれるので、本当に大きな存在です。これだけ強い人と普段から練習していたら『試合じゃ負けないよ』と思えるし、メンタル的にいい影響もあると思います」

――また畠山選手にとって松根さんの存在とは?

「松根さんの技術はものすごいですし、作戦の軸を考えてくれて、僕が考えてきたものにアドバイスを入れてくれたり、穴埋め・後押ししてくれるし、こういうのもあるよと言ってくれるので、より作戦が分厚くなります。あとは練習以外で一緒にご飯を食べたり、飲んだりしてもすごく楽しいんですよ。実は僕も松根さんもお笑いがめちゃくちゃ好きで、例えばM-1は3回戦や準々決勝くらいからチェックするんです。そういう話が出来るのは松根さんくらいしかないし…僕は松根さんが大好きです(笑)」

――修斗沖縄大会では畠山選手の一発ギャグが名物となっていますが、あれも苦ではないですか。

「全く苦じゃないですし、なんなら楽しいですね。あんなにお客さんがいる前でマイクを持てるなんて、普通にしていたらないじゃないですか。だからもしマイクを渡してもらえるなら『ぜひお願いします!』って感じです(笑)」

――ちなみに畠山さんが好きなお笑い芸人は誰ですか。

「天竺鼠の川原さんですね。川原さんはセンス系のボケなので、刺さる人には刺さる感じではあるのですが、それがかっこいいんですよね。あとは個展をやったり、洋服も作ったり、そういう活動をしているところも好きです」

――また普段の畠山選手は学童支援員として働いているのですよね。

「放課後に子供たちに勉強を教えたり、親御さんが迎えに来たら、今日はこうでしたと報告する、みたいな仕事です」

――学生時代から子供と触れ合うのが好きだったのですか。

「いえ、むしろ大学時代は子供が大嫌いでした(笑)。でもたまたま友達が学童のバイトを探していて『やってみない?』と勧誘されたんです。子供は嫌いだったけど、子供が嫌いなまま大人になったらやばいなと思って、子供嫌いを直そうと思ってバイトをやってみたら、すごくしっくりきましたね」

――格闘技もそうですが、周りの縁で今までやってみなかったことに飛び込んで成功する。それが畠山選手のライフスタイルのようですね。

「ホントにそうかもしれないですね。試合も一発芸も自分を表現するのが楽しいですし、練習もネタも追い込みに入っているので楽しみにしていてください!」

■視聴方法(予定)
4月14日(日)
午後2時25分~ Twit Casting LIVE

■ THE SHOOTO OKINAWA10対戦カード

<ストロー級/5分3R>
当真佳直(日本)
根井博登(日本)

<フェザー級/5分3R>
内藤太尊(日本)
宇藤彰貴(日本)

<ストロー級/5分2R>
畠山隆称(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<ウェルター級/5分2R>
西條英成(日本)
アイエティ・ケビン(日本)

<フェザー級/5分3R>
南風原吉良斗(日本)
メイヘム和成(日本)

<ストロー級/5分2R>
木村旬志(日本)
大城匡史(日本)

<ストロー級/5分2R>
ふじい☆ペリー(日本)
知名昴海(日本)

<ストロー級/5分2R>
大田ノヒロ(日本)
高橋佑太(日本)

<2024年度新人王Tフライ級準決勝/5分2R>
松本ごだい(日本)
小生隆弘(日本)

<修斗トライアウトマッチ バンタム級/3分2R>
山本敦章(日本)
武田昴大(日本)

<修斗トライアウトマッチ フェザー級/3分2R>
藤崎陽平(日本)
神田篤社(日本)

<アマチュア修斗 女子スーパーアトム級/3分2R>
高田双葉(日本)
徳本望愛(日本)

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AB ABEMA MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2023#07   エフェヴィガ雄志 エンゼル☆志穂 オーディン チャンネル ライカ ライダーHIRO 修斗 吉成はるか 大竹陽 宇野薫 安芸柊斗 山内渉 川北晏生 当真佳直 後藤陽駆 新井丈 旭那拳 杉本恵 杉本静弥 浜松ヤマト 猿丸ジュンジ 猿田洋祐 竹原魁晟 藤野恵実 関口祐冬

【Shooto2023#07】同時2階級制覇へ、修斗を変えた男=新井丈─01─「修斗の方々の懐が深くて、感謝」

【写真】レギュレーションを変えたが、二階級制覇が成ったわけではないことは本人が一番理解しているはず(C)SHOJIRO KAMEIKE

19日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#07のメインで、修斗世界ストロー級王者の新井丈が、山内渉と空位の同フライ級王座を争う。
text by Shojiro Kameike

新井はかねてよりストロー級&フライ級の二階級同時制覇を宣言していたが、そこには修斗のルール面で大きな壁が立ちはだかっていた。もともと修斗のチャンピオンについては、以下の規定が存在していたのだ。

※ISC認定JSAルール 第26条【チャンピオン】
チャンピオンは1クラスに1名を置き、同一の者が同時に複数のクラスのチャンピオンになることは認めない。ただし、当該階級において暫定王者が認定試合により決定された場合は暫定王者を含め2名となる。上記の規定によりタイトルを保持したまま他のクラスのチャンピオンシップに出場することは出来ない。
(一般社団法人 日本修斗協会 公式サイトより。原文ママ)

つまり現状では新井がストロー級王座を保持したまま、フライ級のベルトに挑むことはできない。しかし、9月の後楽園ホール大会で、11月に山内と新井が空位のフライ級王座を賭けて戦うことは発表されていた。と、日本修斗協会は該当の項目を11月8日に改正し、10日より新ルールが適用されることとなった。改正内容は上記のルールから「同一の者が同時に複数のクラスのチャンピオンになることは認めない」「上記の規定によりタイトルを保持したまま他のクラスのチャンピオンシップに出場することは出来ない」の2文を削除――つまり新井は晴れて、ストロー級王者のままフライ級王座決定戦に出場することができることとなったのだ。

修斗が競技であるならば、競技はルールで成り立つもの。ルールを変えた新井は、修斗を変えた男といえる。そんな新井に改めてルール改正とフライ級王座決定戦について訊くとともに、今年7月の安芸柊斗戦について振り返ってもらった。


――修斗のルールを変えさせた男、新井丈選手です!

「アハハハ、変えてくれましたね。修斗関係者の方々の懐が深くて、感謝しています」

――フライ級に挑戦するうえで、ルールを変えてくれるとは思っていましたか。

「いや、そもそも――そういうルールがあるのを知らなくて(苦笑)。自分としては、ただただ戦い続けていたら『あぁ、コレはダメなんだ』と知ったぐらいでしたね。SNSとかでは関係ない人たちが横やりを入れてきたりとか」

――選手からも「自分の時には……」という意見が出ていました。

「選手がそれを言うのは恥ずかしいと思うんですよ。たとえば兄妹がいて『自分は何年生の時にお小遣いが何円だった。でも妹は今、それより多く貰っている』って言うようなものじゃないですか。今を生きている妹に文句を言っても――ねぇ(苦笑)。そんなの状況や背景によって変わってくるもので。じゃあ選手が『自分の時には……』と言ったとしても、当時に戻れるわけでもないですし」

――いずれにせよルールというのは時代に合わせて変化していくものですし、また変化せざるをえない面もあります。ただ、もしルールが変更されないままであれば、ストロー級王座を返上してフライ級の王座決定戦に挑むつもりだったのですか。

「最初に『複数階級のベルトを同時に保持してはいけない』というルールを聞いた時に自分でも、どうにかして二本のベルトを巻けないか考えました。まずフライ級1位の関口祐冬君を倒して、『もし王座決定戦をやるなら出るのは俺だろう』と言えるポジションにはいたと思うんです。そして試合を決めてもらって――ストロー級のベルトを返上することも頭にはありました。もうストロー級は、めぼしいヤツらは全員ブチのめしたので。自分としてはフライ級のベルトを獲ってから、ストロー級のベルトと併せて2つのベルトを両肩に掛けさせてもらえれば――それがたとえ一瞬であっても良かったです。その一瞬を写真に収めてもらえれば。そう思っていたらルールも改正されたので感謝しています」

――まさに新井選手の挑戦のためのルール改正……と聞けば、山内渉選手は怒るかもしれませんね。新井丈ありきで話が進んでいますから。

「いやぁ、それは分からないけど――俺としては何でも盛り上がったほうが良いと思うんですよ。ストロー級の俺が、階級の壁を超えてフライ級も巻き込んだほうが、修斗のためにもなるじゃないですか。お客さんも盛り上がると思うし。そうするとストロー級のコンテンダーたちにも火がつくでしょうしね。正直、『何も悪いことないじゃん』と考えていました。みんなWIN-WINだから、いつかルールは変わるかなと思っていましたね」

――11月12日の沖縄大会では、ストロー級のランカーたちが試合に出場していました。今はフライ級王座挑戦を控えている身として、そこまでストロー級の動きは気にしていませんか。

「沖縄大会のツイキャスPPVを購入して視ましたよ。でも――ランカー対決の2試合は判定決着でしたから。ああいうファイトスタイルで勝って自分との試合が実現したとしても、俺がノレないというか。『みんな競技としてMMAをやっているだけなんだ……』と思いましたね。もっといろんなものを背負って、リスクを負ってもフィニッシュを狙いに行ってほしかったです。旭那拳君、当真佳直君――試合を視たからこそ興味がなくなっちゃいました。12月2日の安芸柊斗×猿丸ジュンジ戦は面白そうですよね。あの試合は会場で観たいと思っています」

――MMAがスポーツである以上、競技としてMMAを戦うことは間違っていないと思います。しかし新井選手にとっては、それ以上のものが必要だということですね。今年7月の安芸戦はノレた試合だったのでしょうか。

「はい、あの試合はノレましたね。相手どうこうの前に、ベルトの初防衛戦っていうこともあって。それと安芸君はストロー級でナンバーワンのストライカーじゃないですか。もちろん俺を除けば、ね。だから前の試合は、自分もやり甲斐がありました」

――安芸戦では開始早々に、安芸選手の打撃を受けて意識が飛んでいたと聞きました。ご自身では、いつの段階で意識が飛んでいたのかは分かりますか。

「自分では開始10秒か20秒ぐらいに、ケージ際でヒザをもらった時だと思っていて。あるいはその次にもらった被せの右かもしれないです。いずれにしても序盤も序盤ですね」

――では、どのあたりから記憶があるのでしょうか。

「それが……控室に戻ってから、俺が大沢(ケンジHEARTS代表)さんに『今日って何月何日ですか?』と聞いたあたりからですね」

――控室に戻るまで意識は飛んでいたのですか! ということは、本人としては意識が飛んでいるなか、試合後にはマイクで喋っていたのですね。

「あとで映像を視ると、結構ちゃんと喋っていましたね(笑)」

――「安芸君の応援で四国から来てくれた熱い応援団に拍手をお願いします」とまでコメントしていました。意識がないなかで相手をKOするというのは、ファイターの本能だと思います。一方で意識がない状態なのに、安芸選手の応援団のことにまで気を遣えるというのは、本能としての優しさではないですか。

「アハハハ、言いすぎですよ。それはあんまり書かないほうが良いかもしれないですね」

――いえいえ、本能的に優しいというのは恰好良すぎます。

「すみませんね、恰好良すぎて(笑)。もうその話は止めましょう」

――アハハハ。そこで照れるのも男前です。話を戻すと、控室に戻るまで試合展開の記憶もなかったのですか。

「はい。俺も控室でセコンドに何度も『何で倒したんですか?』と訊いていました。一度聞いても、すぐに忘れちゃうんですよ。それだけダメージが残っていたのか――『何で倒したんですか?』、『そうですか』、『何で倒したんですか?』の繰り返しで(笑)。大沢さんからは『20~30回、同じことを訊かれたよ』と言われましたね。

そうしたら大沢さんと猿田洋祐さんが途中から、ふざけ始めて。『ジョー、今日は組んで勝ったよ』、『足関節で勝ったんだよ!』とか答えるんですよね。二人が悪い顔しているから、『これは嘘だな』って気づきましたけど」

――ただ、意識はなくても――意識がないからこそ、なのでしょうか。これまでの試合よりも頭を振って中に入り、パンチも上下に散らしていました。

「本当にそうですね。あとで試合映像を視ても、『ちゃんと練習でやっている動きが出ているわ』って思いました」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
11月19日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル
             
■Shooto2023#07対戦カード

<修斗世界フライ級王座決定戦/5分5R>
山内渉(日本)
新井丈(日本)

<フェザー級/5分3R>
オーディン(日本)
宇野薫(韓国)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
藤野恵実(日本)
杉本恵(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
吉成はるか(日本)
エンゼル☆志穂(日本)

<インフィニティリーグ2023フェザー級/5分2R>
竹原魁晟(日本)
浜松ヤマト(日本)

<バンタム級/5分3R>
ライダーHIRO(日本)
川北晏生(日本)

<バンタム級/5分2R>
江口諒(日本)
シモン・スズキ(日本)

<フライ級/5分2R>
大竹陽(日本)
杉本静弥(日本)

<ライト級/5分2R>
エフェヴィガ雄志(日本)
後藤陽駆(日本)

<バンタム級/5分2R>
Jセロウ若林(日本)
中野剛貴(日本)

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【The Shooto Okinawa09】仕切り直しの再戦、左フックが冴えた当真がマッチョに大差の判定勝利

<ストロー級/5分3R>
当真佳直(日本)
Def.3-0:30-27.30-26.30-25.
マッチョ・ザ・バタフライ(日本)

両者は昨年11月の修斗沖縄大会で対戦。この時はマッチョが公式計量をクリアできず、減点のペナルティを含む形で当真が勝利していた。今回は仕切り直しの再戦だ。

右カーフキックを蹴る当真。マッチョはジャブと右カーフを蹴る。当真は右フックをかぶせ、マッチョは当真の右にシングルレッグを合わせて組みつく。背中を見せる当真に対し、マッチョがバックついて、そこからグラウンドへ。

当真は足をフックさせずにギロチンを狙い、立ち上がるとパンチを入れる。試合がスタンドに戻ると、お互い右カーフを蹴り合い、当真は右から返しの左フック。マッチョは右カーフを蹴りつつ、当真のパンチに合わせて組みつく。

当真がマッチョの左脇を深く差すと、半身になったマッチョはギロチンへ。グラウンドで下になったマッチョは背中を起こしてスイッチを狙いつつ、シングルレッグへ。今度は当真がギロチンを狙い、がぶりから離れてパンチを入れる。マッチョはシングルレッグからテイクダウンする。

2R、マッチョが右カーフを蹴ると、当真も右カーフを蹴り返す。カーフ合戦のような展開が続き、当真が右から左フックを合わせる。続くパンチは大降りになってしまい、マッチョがシングルレッグから組み付く。

マッチョは当真を寝かせつつバックに回り、ケージに身体を預ける当真に正対してシングルレッグに入る。当真はこれを切って距離を取り、マッチョの前足にローを集める。

マッチョもジャブ・左フックで前に出るが、当真はマットの左に右フックを合わせて左右のフック。さらに飛び込むような左フックを当てると、バランスを崩したマッチョにパンチをまとめる。マッチョも必死にシングルレッグで組み付くが、切った当真がパンチを落とす。

3R、当真はジャブと右カーフキック。当真とマッチョの右ストレートが交錯し、当真は距離を取って右カーフを蹴る。さらに当真はマッチョのシングルレッグを切って、ジャブを顔とボディに振る。

マッチョの蹴り足をすくって倒し、マッチョがグラウンドに誘うが当真は付き合わない。立ったマッチョが右のカーフキック、当真の前蹴りを見せるが、これがローブローとなる。

ブレイク後、当真が左フックを当てると、マッチョがダウン。当真はすぐにパウンドで追撃するが、マッチョも身体を起こしてシングルレッグへ。再びグラウンドに誘うマッチョだが、やはり当真は付き合わない。

ならばと再び組みつくマッチョは当真をケージに押し込み、当真がギロチンを狙ったところで試合終了となった。判定は最大5ポイント差をつけて、当真がマッチョに大差の判定勝利を収めた。


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【The Shooto Okinawa09】泰斗戦へ、旭那拳─02─「ここから一気に全部取り返していきます」

【写真】気持ちも新たに――(C)SHOJIRO KAMEIKE

12日(日)、沖縄県沖縄市のミュージックタウン音市場で開催されるThe Shooto Okinawa09で、泰斗と対戦する旭那拳のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

ザ・タイガー石井戦での敗北、修斗ストロー級1位であることのもどかしさを自分自身で受け止め、旭那はケージに戻ってきた。だからこそストロー級の現状を客観的に語ることができ、自身の試合に臨むこともできる。修斗ストロー級の勢力図が大きく変動する2023年末に何を見せることができるか――旭那がその決意を語る。

<旭那拳インタビューPart.01はコチラから>


――発言権がない、ですか。

「やっぱり前回の敗戦で、僕は信用を失っていると思うんです。だから泰斗選手というか、ランカー一人に勝って『次のステップに進ませてください!』とは言えません。周りも納得しないだろうし、何より自分がそれでは納得できなくて」

――そこでもう一人ランカーを倒せば……ということで、田上選手の名前が挙がるのですね。

「三段論法――石井選手を倒している田上選手に勝てば、僕は石井選手にも勝っているということで(笑)」

――アハハハ。改めて修斗ストロー級のランキングについて考えてみると、いろいろと複雑です。ランカー同士の潰し合いも展開されていて。

「僕が言うのも何ですけど、もうランキングはただの数字としか思っていないです。田上選手も決して6位の選手じゃない。みんな同じぐらいの位置にいて、先の展開が全く読めない状況になっていると思います。どうやって自分がそこから飛び出すのか。そのためには、他のランカーよりも飛び抜けるものを持たないといけないですね」

――仰るとおりだと思います。同時に、こうしてランカー同士の潰し合いが起こるのも、王者である新井丈選手の実績が飛び抜けているためではないでしょうか。

「そうですね。新井選手は自分の拳で証明して、その状況を創り上げたので凄いと思います。新井選手のフライ級王座決定戦への出場は、やっぱり悔しいですよ。『あれだけストロー級で強くて、さらにフライ級でも強いのかよ』って……」

――新井選手がフライ級も制した場合、今後のストロー級の展開も大きく変わってくるでしょう。他のランカーについても考えた場合、現在5位にいる当真佳直選手は……。

「所属は違うけど、バリバリの練習仲間です(苦笑)。僕たちの間では、頂上を争う試合でしか対戦しないと決めています。当真選手も同じ大会でマッチョ・ザ・バタフライ選手との再戦に挑みますけど、最後はストロー級王座を二人で争いたいです」

――沖縄のジム所属選手同士のチャンピオンシップとは、とても浪漫のあるお話です。そこまで先の話をしていると、次の対戦相手である泰斗選手が『自分を差し置いて何を言っているんだ!』と怒るかもしれないですが。

「煽ってきますね(笑)。でも先ほど言ったように、もう自分がランキング1位とか関係ないですし、とにかく僕は勝つしかないので。誰が相手でも、『とにかく早く先に進みたい』という気持ちしかないですね」

――旭那選手の場合、2017年にプロデビューしてコロナ禍を経ながら4連勝を収めました。しかし今年4月に敗戦を喫したことで、ご自身の中でも停滞感は強いのでしょうか。

「まずコロナ禍はキツかったですよね。2019年末から2020年末まで、1年以上も試合ができていなくて。あの時は焦りがありました。ただ、その期間にじっくり練習できたので、2021年からの4連勝に繋がったのかとは思います」

――するとブランクをポジティブに捉えるのであれば、前回の敗戦から次の試合までの7カ月間も、改めて自分を見つめ直す時期になったのでしょうか。

「はい。最初に『石井戦の後にすぐ試合をしたかった』と言いましたが、今考えるとあの時点で試合をしなくて良かったのかなって思います。やっぱり気持ちが先走っていた部分は大きくて、何も準備をしない――何も変わっていないのに試合をしても、同じ結果になってしたかもしれないですね。7カ月間も試合間隔が空いたからこそ、良い調整ができたかなと捉えています」

――修斗ストロー級が大きく動く2023年末に、ご自身としては次の泰斗戦でどんな試合を見せたいですか。

「修斗のストロー級って今は、ストライカーが多いじゃないですか。特にランキング上位陣はストライカーのイメージが多くて。でも今回、僕と泰斗選手の試合だと一本決着になる可能性が高いと思うんです。僕自身はグラップラーを目指そうとは考えていません。これはMMAなので、ストライキングもグラップリングもあります。その中で、僕は寝技で一本を取れるというところも見せていきたいです」

――なるほど。では最後に、試合への意気込みをお願いします。

「僕はランキング上では1位ですけど、崖っぷちの状態にあると思っています。ランキングに甘えず、そういう状況を受け入れてメンタルも創ってきました。もちろんプレッシャーもあります。でもそのプレッシャーがワクワク感にも繋がっていて。ここから一気に全部取り返していきます。次の試合は汚名返上のために、必ずフィニッシュして勝つので楽しみにしていてください。宜しくお願いします!」

2023年11月12日(日)
沖縄県沖縄市
ミュージックタウン音市場
The Shooto OKINAWA09

■視聴方法(予定)
11月12日(日)
午後2時~ Twit Casting LIVE

■対戦カード

<ストロー級/5分3R>
旭那拳(日本)
泰斗(日本)

<ストロー級/5分2R>
当真佳直(日本)
マッチョ・ザ・バタフライ(日本)

<54キロ契約/5分2R>
畠山隆称(日本)
蒔田伸吾(日本)

<グラップリング・ライト級T決勝/5分1R>
──(日本)
──(日本)

<バンタム級/5分2R>
一條貴洋(日本)
緒方史朗(日本)

<ウェルター級/5分2R>
加藤正憲(日本)
西條英成(日本)

<2023年度新人王Tバンタム級準決勝/5分2R>
小川隼人(日本)
JAM(日本)

<2023年度新人王Tフライ級準決勝/5分2R>
亮我(日本)
神里昭吾(日本)

<ストロー級/5分2R>
大田ノヒロ(日本)
ウェイ・ワイクワン(香港)

<ストロー級/5分2R>
大城匡史(日本)
三輪勇気(日本)

<フェザー級/5分2R>
工藤圭一郎(日本)
諸石一砂(日本)

<グラップリング・ライト級T準決勝/5分1R>
南風原吉良斗(日本)
新垣勇樹(日本)

<グラップリング・ライト級T準決勝
峯岸零弥(日本)
西尾 勇作(日本)

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MMA MMAPLANET o Shooto Shooto2023#04 ザ・タイガー石井 タイガー石井 修斗 当真佳直 田上こゆる

【Shooto2023#04】ザ・タイガー石井を迎え撃つ、田上こゆる─02─「潰して、新しいストーリーを創る」

【写真】この時の成果が見られるのは、今回からではないかという期待が田上こゆるにはある(C)MMAPLANET

18日(日)、大阪市淀川区のメルパルクホール大阪で開催されるShooto2023#04で、ザ・タイガー石井と対戦する田上こゆるインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

「修斗ってコレで良いのか」。そのザ・タイガーが石井の話した言葉をインタビュー記事内で目にした瞬間、田上の表情が変わった。石井の勝利は、これまで修斗が構築していたランキング制とヒエラルキーが、本当の危機に直面していることを意味する。世代闘争という、ありきたりな言葉では片付けられない、今そこにある危機——ここから誰が飛び出すのか。田上が決意を語る。

<田上こゆるインタビューPart.01はコチラから>


——石井選手の発言に対して、ご自身が舐められていると感じますか。

「僕のことをどうこう言っているわけではないし、石井選手の意図は分からないです。ただ、『修斗のレベルも落ちたんちゃうか』と言われている気はしますね。石井選手も世界ランカーに勝って、そういうふうに言っていると思うんですよ。でも僕と旭那選手とは違うぞっていうところは試合で感じさせたいです」

——まず田上選手としては4月の試合で、石井選手が旭那選手に勝つと思っていましたか。

「いえ、思っていなかったです。正直言って石井選手のことは分かっていなかったし、それよりも旭那選手のことは知っていて。旭那選手も打投極が揃っている、MMAで強い選手ですよね。それが世界ランキング上位という位置にも表れていると考えていましたし。でも4月の試合を視て、『ここで負けるんや……』と感じたことは事実です」

——しかも石井選手は1カ月前に北海道PFCで負けてベルトを失い、その直後に修斗の世界ランカーに勝ったことになります。

「確かに、そうですよね。僕自身も修斗の世界ランカー(※取材時点では8位、現在9位)です。今は修斗に出ていない選手が、いきなりランカーと試合をする。そこで勝って、次にまたランカーと試合できるというのも……。それが良いことなのか、良くないのかは分からないです。イベントとしては良い面もあるでしょうし」

——はい、もちろんイベントとして活性化に繋がる面もあります。

「ただ、僕としてはアマチュアのことも考えてしまうんですよね。自分で言うのも何ですけど、今の立ち位置を簡単に得たわけではなくて。アマチュアからやってきて、一つずつ勝ってきました。そのあと3連敗し、ようやく連敗を脱出して今回の試合に臨むわけで。石井選手がどうというわけではなく、ポーンと来て誰かに勝って世界ランクに入るとか、そういうキャリアを積んできていないと思うんです」

——……。

「その意味では、いきなり世界ランカーと対戦するのもそうやし、負けるほうもどうなんかなと考えてしまいますよね」

——結果論ではありますが、石井選手と旭那選手の試合は経験の差もあったと思います。それはもちろん旭那選手だけでなく、修斗のランカー全員に課せられた問題ではないかと。

「分かります。僕も去年の4月に、沖縄でランキング外の選手(当真佳直)と対戦して、負けてしまったじゃないですか。その時も『ランカーを舐めんなよ。ブッ倒したんで!』という気持ちで臨みました。それでも負けてしまって……」

——田上選手も実際に、同じ経験をしているというわけですね。

「だからこそ今、『ランカーとして舐められちゃいけない』という気持ちは、以前よりも強いです。ファンの皆さん、僕を応援してくれている人たちもランカーとして期待してくれている。その期待に応えられるような、ランカーらしい試合をしたいですね」

——なるほど。石井選手の言う「緊張感やピリピリ感」という部分はいかがですか。

「僕は試合でいつも緊張感やピリピリ感があります。それが石井選手の言うものと同じなのか、違うものなのか。どういうつもりで石井選手が言っているのかは分からないけど、緊張感やピリピリ感って有るか無いかではなく、自分で創っていくものやと思うんで」

——おぉっ! 良い言葉です。

「石井選手には僕の緊張感やピリピリ感を、直接感じてもらいたいです。それは計量の時から分かると思いますよ。顔を合わせた瞬間に『コイツは他と違うぞ』と思わせたいです」

——計量の時から! それはとても楽しみです。

「僕も楽しみですね。今回は自分の持っているものを、しっかり出したいです。そういう戦いになればフィニッシュに繋がると思いますよ」

——では今更ながらですが、対戦相手として石井選手の印象を教えてください。

「前回の試合以外も視てみると、打投極が全部できる選手やなって思います。攻める力もあるし、極めることもできるし、キャリアも長いので経験値の差もあって。でも4月の試合を視るかぎりは、怖いところはないです」

——田上選手も立場は同じ、地元でベテランを迎え撃つホープですね。

「改めて考えると、石井選手だけじゃなく昔の修斗で戦っていた選手からすれば、歯がゆい面もある。それは何となく分かる気がします」

——というと?

「……『俺たちが戦っていた修斗は、そういうもんじゃないぞ』と。これでクラスBか、これで世界ランカーかって——。そういう雰囲気を石井選手が変えてくれるんじゃないかって期待している人も多いでしょうね」

——石井選手に変えてほしいと思うと同時に、その石井選手を倒して変えてほしいと考える人も多いと思います。

「分かっています。石井選手も、ただベテランとして若手の壁になろうとしているっていうわけじゃない。僕を潰しに来る。だから、本当に潰しに来ようとする相手を反対に潰す。若い選手がそれだけの意地を見せんとダメですよね。今回は、僕が石井選手を潰します。そして僕自身の新しいストーリーを創っていきますよ」

■視聴方法(予定)
6月18日(日)
午後1時00分~ Twit Casting LIVE

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【Shooto2023#04】ザ・タイガー石井戦へ、田上こゆる─01─「12年前を知らないし、舐められてたまるか」

【写真】いつも通り、清涼感タップリの田上だったが……(C)SHOJIRO KAMEIKE

18日(日)、大阪市淀川区のメルパルクホール大阪で開催されるShooto2023#04で、田上こゆるがザ・タイガー石井と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

昨年12月に田上は泰斗を判定で下し、2021年末から続いた連敗を脱することに成功した。その勝利にはABEMAの武者修行プログラムに参加したことも影響しているという。そして迎える半年ぶりの試合——今年4月に沖縄で世界ランカーの旭那拳に勝ったベテランの石井を地元で迎え撃つことに。連敗脱出でホッとしたのも束の間、石井のインタビュー記事を読んだ田上のハートに火がついた。


——試合直前のインタビューとなりましたが、随分とリラックスしているように見えます。まだ本格的な減量を始めていない時期なのでしょうか。

「そんなことはないですよ。今回は54キロ契約のキャッチウェイトなので、いつものような減量ではなく、今週から少しずつ落としている感じです」

——もともとストロー級でも過酷な減量はないとお聞きしていました。一方で、キャリアを重ねるにつれて通常体重は増えていないのですか。

「去年12月の試合から、そんなには変わっていないですね。やっぱり体が大きくならなくて。自分でも食べるようにしているんですけど(苦笑)。プロデビューした時は通常体重が54キロぐらいで、その頃に比べたら3キロぐらい増えましたが、まだ——今はそういう身体づくりにも気を遣うようにしています」

——では54キロ契約のキャッチウェイトというのは、田上選手にとって良い方向に働くのでしょうか。

「勝ってランキングも上げたいので、できればストロー級のリミットで試合をしたいです。でも54キロ契約の試合だからって、それで試合に影響が出るとかはないですね」

——昨年12月の泰斗戦は、ABEMAの企画でルーファスポートでの武者修行プラグラムを終えてからの試合でした。米国武者修行の成果は出せましたか。

「完全に出し切れた内容ではなかったです。練習だったら、もっといろんなことができるのにって、試合後も話をしていて。でもテイクダウンされても背中まではつかされなかったのは、修行の成果を見せることができた場面だったじゃないかと思います」

——一方、出し切れなかった点を教えてください。

「今まで自分は打撃で攻めていましたけど、その良さは変えずに、もっと自分から組みに行く展開を見せたかったですね。見合う時間が長くなったところで、打撃から入るのではなくテイクダウンも混ぜるとか。それが練習ではできるようになっていて」

——なぜそれを出し切れなかったのでしょうか。

「3Rを通じて『このラウンドは絶対に取った』と思えるような打撃を当てていたわけではなかったんですよね。そこで新しいことを試せるような試合展開ではなくて。だから打撃でジワジワ攻めていく――それは今の自分にとって『守り』というか。もっと出せるのに、出し切れない。そういう自分の良くない面が出てしまったと思います」

——とはいえ、昨年の新人王を相手に勝って、3連敗から脱したのはホッとしたのではないですか。

「それはもう、ホッとしました(笑)。もちろん勝ち方にもこだわっていかなきゃいけないけど、連敗から脱出したかったので。とにかく勝つことができたのは良かったです」

——正直なところ、2敗目を喫した2021年12月のマッチョ・ザ・バタフライ戦の直後は、師匠の中蔵隆志BLOWS代表も「どうすべきか……」と悩んでいた様子でした。そして昨年4月、沖縄で当真佳直選手に敗れたあとは、中蔵代表も「ここまで負けたのだから、まだ若いし、イチからやらせるしかない」と決意を固めたと受け取れる言葉がありました。

「そうだったんですね。僕としても『また負けてしまった。どうしよう……』となるのではなく、ずっと自分がダメだと考えていたものが、3連敗を通して確信に変わりました。自分のやるべきことがハッキリとしたんです。その部分では、ABEMAの企画で武者修行に行かせてもらい、米国で気持ちを切り替えることができましたね」

——ただ、武者修行後のインタビューでも「とにかく試合がしたい」と仰っていました。しかし今回のザ・タイガー石井戦まで半年もの間、試合がなかったことについては……。

「実は今年に入ってからも試合のオファーを頂いていて、それをお断りさせてもらっていました」

——えっ!? それはなぜですか。

「今年の初めに中蔵さんと話をしたんです。この半年間は、しっかり体をつくり、技術面も上げていくための準備期間にしようと」

——今年に入ってONE Friday Fightからのオファーもあったと聞いています。

「はい。ONE FFからお話は頂いていました。2月の大会で、対戦相手も提示されていました。でも半年間を準備期間にしたくて、お断りさせていただいたんです。ONE側からも『これでONE FF出場の話がなくなるわけじゃないから』ということで。いずれタイミングが合った時に出られるよう、スライドしてくれるようなことを言ってもらえました。自分としても焦らず、しっかりと準備して、最高の状態に仕上げてONEに出たいと思っています」

——そうだったのですね。

「僕はONEを目指しているので、そのためにいずれはONE FFに出たいですね」

——なるほど。その前にまずは次のザ・タイガー石井戦をクリアしなければなりません。昨日、MMAPLANETに掲載された石井選手のインタビューは読みましたか。

「あっ、まだ読んでいないんですよ。いま読んでもいいですか。すみません」

——はい、ぜひお願いします。

一瞬にして、表情が変わった

「……、……、……んっ!?」

——いきなり表情が変わりましたね。

「いや、うーん……」

——石井選手のインタビューについて、率直な感想を聞かせてください。

「緊張感とかピリピリ感のことは分からないです。僕は12年前の修斗を知らないし、12年前の石井選手のことも分からないので。ただ、僕は旭那選手とは違いますよ。舐められたくないですね。舐められてたまるかって──」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月18日(日)
午前1時00分~ Twit Casting LIVE

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MMA MMAPLANET o Shooto 大城正也 当真佳直

【The Shooto Okinawa08】シングル、スクランブルでギロチンの当真が3-0判定で大城を下す

<ストロー級/5分2R>
当真佳直(日本)
Def.3-0:20-18.20-18.20-19
大城正也(日本)

サウスポーの大城に対し、当真は前足にシングルレッグを仕掛けケージ際で尻もちをつかせる。立たせず左のパンチを入れ、ギロチンに抱えた当真がヒザを見せる。立ち上がってボディロックに取った大城だが、頭を下げられ10フィンガーで捻られる。頭を抜いた大城を、すかさずダブルレッグで倒した当真が足を束ねて殴り再びギロチンへ。

大城はシングルからレッスルアップ、左肩を押し付けて押し込む。アームインから10フィンガーさらにアームインに移行する当真だが、大城が倒してトップを奪取。ケージを背負って座る当真は、ここでもギロチンを狙うが頭を抜かれる。シングルで起き上る当真を殴った大城、初回が終わった。

2R、当真が初回と同様にシングルレッグでテイクダウンを決める。ケージ際でなく中央でトップを取った当真は立ち上がり、あとを追ってきた大城にパンチを狙い立たせず抑える。足を一本抜いた当真が、枕からエルボーを打ちつける。大城のレッスルアップにはネルソンで固定し、レッスルアップでポジションを入れ替える。足を抜き、ここから束ねた大城に対し、頭を抱えた当真が解いて逆にレッスルアップ。大城は左足を抱えられ、片ヒザをついてケージを背負って倒されない。この状態で、両者が殴り合って時間に。

当真が3-0の判定勝ちを手にした。


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