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【BDP03】IBJJFノーギルールにヒールフックのうねり。バイエンスが残り25秒で新鋭トゥリオを逆転

10日(土・現地時間)、ブラジルのフロリアノポリスにて、プロ柔術団体Big Deal Pro の第3回大会が行われた。レビュー2回目は、世界王者たちが参戦した豪華スーパーファイトの模様をレポートしたい。

<ノーギ/8分1R>
イザッキ・バイエンス(ブラジル)
Def 2-2 A4-2
セルヴィオ・トゥリオ(ブラジル)

2018年の世界王者バイエンスは、今年のアブダビ・ワールドプロもブラジル国内予選から勝ち抜いて優勝。2月のBJJ Stars05ではノーギの試合で新鋭ロベルト・ヒメネスとの激闘を制する等、今年無敗街道を走っている。

対するフィリッピ・ペナの黒帯トゥリオは、2019年のADCCブラジル予選を制する等、ノーギを中心に活躍する選手で、今試合はビッグネーム相手に名前を挙げるチャンスだ。

試合開始直後にシッティングしたトゥリオに対し、バイエンスは距離を詰めると左で鋭いニースライスを仕掛ける。トゥリオは右腕でフレームを作って距離を取って防ぐ。さらにバイエンスがニースライスを仕掛けても、トゥリオはうまく体をずらしながらバイエンスの右足に外掛けで絡み、あっという間に下からの外ヒールの体勢に。

あわや極まったかに見えたが、スピンしたバイエンスが尻をつけた状態で距離を作る。するとトゥリオはすかさず立ち上がって上になり、2点を先制したのだった。

下になったバイエンスも足を絡めての反撃を狙うが、トゥリオは足を抜いて逆にバイエンスの片足を抱えて押してゆき、両者は場外へ。結果的にトゥリオは2-0で完全リードした状態でリスタートを迎えることとなった。

再開後またもや引き込んだトゥリオは、下からの足狙いを続ける。バイエンスはそれを捌いては、ニースライスや素早く横に動いてのパスを狙うが、その度にトゥリオは両腕のフレームを巧みに使って距離を取って回避する。上のバイエンスと下のトゥリオ、スピード溢れる攻防を繰り返す両者は互いにアドバンテージを2つずつ獲得した。

残り2分半。なかなか点差を詰められないバイエンスは、足の絡みを巧みなステップで解除すると、またしても左のニースライスへ。そのまま押さえてパスに成功かと思われたが、トゥリオは下から動いて距離を作ってうつ伏せに。それをガブったバイエンスは、首に圧力をかけてトゥリオの背中をつけさせる。そのまま抑えにかかるバイエンスだが、トゥリオも諦めずに動き続けて両者はまたしても場外へ。この攻勢でもバイエンスはアドバンテージを一つ得るにとどまった。

中央からトゥリオが下で再開。後のないバイエンスはトゥリオの右足を取ってストレートフットロックからトーホールドを仕掛け、さらに上からのベリンボロの形を作ろうとするが、トゥリオが逆に足を取ると立って距離を取った。

大殊勲まであと1分と迫ったトゥリオに対し、バイエンスはシュートイン。しかし、トゥリオはスプロールしてそれを防ぐ。いったん距離を作ったバイエンスは、下がり気味のトゥリオに対してもう一度組んでいく。再び反応してスプロールしたトゥリオの左足の裏でグリップを作って上体を起こしたバイエンスは、ワキをくぐってボディロックに移行しながらトゥリオの背後に。

なんとか逃れようとするトゥリオに対し、体重をかけて亀の体勢を余儀なくさせるバイエンス。ここでレフェリーがテイクダウンの2点を宣告。残り25秒の時点で、ポイントで追いつきアドバンテージに逆転に成功する。

さらにチョークを狙うバイエンスだが、トゥリオは体を動かして脱出に成功したも──この攻撃でバイエンスがアドバンテージを追加してリードを広げた。

残り10秒、この日初めて追う立場となったトゥリオはテイクダウンを狙うが、バイエンスは軽く両腕を伸ばして防いで試合終了に。

残り25秒までまさかの大番狂わせか、と思われるところまで追い込まれたバイエンスだったが、世界王者の意地と誇りで逆転勝ちをもぎ取ったのだった。

2月のノーギ戦では、ヒメネズ相手に今年IBJJFで解禁された外掛けからの足関節を巧みに用いて勝利を得たバイエンスが、今回は同じ技術を相手に使われて、よもやの敗北寸前に。IBJJFによるヒールの解禁は、今後も彼らブラジルに拠点を置く選手たちのノーギの戦いにおいて影響を与えそうだ。

そしてそこでは、フィリッピ・ペナの練習相手の一人でもあり、今回見事な足関節の仕掛けとガードワークを見せてバイエンスを追い詰めたセルヴィオ・トゥリオが注目の存在となるだろう。

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【BJJR STARS05】レアンドロ・ロが元弟子バティスタと決着戦。アナコンダの祖ミウトン・ヴィエイラ出場

【写真】怪物ロが、元弟子に意地を見せることができるか (C)MMAPLANET

6日(土・現地時間)、ブラジルのサンパウロにてプロ柔術大会BJJ Stars05が開催される。2019年から開催されているこの大会は、世界のトップ選手を多数集めるビッグイベントだ。2021年初大会となる今回も、世界最高峰に位置する8人によるヘビー級GPに加えて、スーパーファイトが6試合ラインナップされた超豪華なものとなっている。

Flo Grapplingで視聴可能なこの大会のプレビュー1回目は、スーパーファイトの注目試合の見どころをお届けしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<道着/10分1R>
レアンドロ・ロ (ブラジル)
グスタヴォ・バティスタ(ブラジル)

ロは言わずと知れた中重量級柔術界の第一人者。 ライト、ミドル、ミディアムヘビー級に続いて、2019年には(決勝戦で親友のブシェシャことマーカス・アウメイダに勝利を譲ってもらうという形ではあったものの)ついに無差別級制覇も達成している。

世界がコロナ禍に見舞われた昨年はあまり活動していなかったが、11月のBJJ Stars 04大会の86キロ級GPでは、クラウジオ・カラザンス、イザッキ・バイエンスといった超一流を下して優勝──健在ぶりを見せつけている。

今回の対戦相手バティスタは、ロから紫帯、茶帯、そして17年10月に黒帯を授与された元愛弟子だ。翌年ロのもとを離れてアトスに移籍した後、チームメイトのルーカス・バルボーザとクローズアウトという形でミディアムヘビー級の世界王者に輝いている。

袂を分かったロとバティスタの元師弟は、19年に2度対戦することになる。まずは3月のパン大会の準決勝。この時は、再三引き込んでのスイープを狙っていったロが、終盤ついに50/50を作ってバティスタの重いベースを崩し、上を取ることに成功。2-0で勝利を収めている。

2度目の対戦は10月のBJJ Stars02のヘビー級GP準決勝。この時は序盤のロのスイープ狙いを耐えたバディスタが、中盤に逆に引き込み。ロの片足を引き出して肩で抱えて立ち上がる形で、場外逃避を誘ってアドバンテージを獲得、元師匠越えを果たしている。

そして今回3度目の対戦を迎える両者。前回は元愛弟子にしてやられてしまったロは、今回その強力なベースを崩す手立てを繰り出すことができるのか。あるいはバティスタが、今後は元師匠からスイープやパス等の明確なポイントを奪うことはできるのか。元師弟対決にして、中重量級世界頂上決戦だ。

<ノーギ/10分1R>
イザッキ・バイエンス(ブラジル)
ホベルト・ヒメネス(米国)

バイエンスは18年のミディアムヘビー級世界王者。昨年11月のBJJ Stars 04のGPでは決勝でロに惜敗したものの、1回戦はバディスタに競り勝ち、準決勝ではオターヴィオ・ソウザにチョークで一本勝ちし、世界最高峰の実力を見せつけている。

これまで、道着着用ルールを中心に世界最高峰の戦いを繰り広げてきたバイエンスだが、極めて高い瞬発力とスクランブル力を生かし、決して抑え込ませることを許さない戦いぶりは、いかにもノーギ向き。その点でも今回は楽しみだ。

対するヒメネズは、現在20歳のエクアドル系アメリカ人。ムエタイファイターでありつつ、柔術に惚れ込んだ父ハウルの元で4才から柔術をはじめ、昨年黒帯取得したばかりだ。特筆すべきは、昇段後初戦となったWho’s Number One大会。ここで米国が誇る技師キーナン・コーネリアスと対戦したヒメネズは、見事なベリンボロからのスイープを何度も決めて6-4で競り勝ち、驚愕の黒帯デビューを飾ったのだった。

その後もフィリッピ・アンドリューからチョークで一本勝ちを収める等、あっという間に世界トップの柔術家の仲間入りを果たしたヒメネズは、ノーギでも力を発揮。特に四つ組みやクローズドガードからあっという間に相手のバックに付いてしまう能力は圧巻で、ジョン・コムズやルオトロ兄弟のバックも制して勝利している。

この驚異の若者のバック取りが、天下一品のスクランブル力を誇るバイエンスにどこまで通用するのか。大注目のノーギマッチだ。なおヒメネスは26日(金・同)のWNOでニッキー・ライアン戦も決まっている。

この日は他にも注目試合がいくつも組まれている。5年連続世界王者に輝いている最強女王ベア・メスキータは、前回大会に続いて再び19年茶帯世界王者タマラ・フェレイラの挑戦を受ける(前回はメスキータが4-0で勝利)。

(C)MARCELO ALONSO

またPRIDEやDEEP、そしてUFCでも活躍し、アナコンダチョークを開発してノゲイラ兄弟に伝えた男──としても知られる42歳のミウトン・ヴィエイラも登場。

今も世界のトップ戦線で活躍している34歳のヴェテラン、ガブリエル・ロロとノーギマッチで対峙する。

さらに2004年のフェザー級世界王者、今年マリオ・ヘイスも6年振りの大舞台に登場。レオン・アマニシオと対戦する。

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