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MMA MMAPLANET o UFC UFC ESPN34 アンドレ・フィアーリョ ブログ ミゲール・バエサ

【UFC ESPN34】クリンチ&アッパーでバエザの動きを止めたフィアーリョが、左フックで仕留める

<ウェルター級/5分3R>
アンドレ・フィアーリョ(ポルトガル)
Def.1R4分39秒by TKO
ミゲール・バエザ(米国)

左フックで前に出たフィアーリョ。バエザはケージの前を左に回り、右ローを蹴る。スイッチを織り交ぜるバエザに対し、フィアーリョは左を蹴り分ける。鋭い右カーフを蹴ったバエザに対し、フィアーリョがジャブを当て右を伸ばす。そして腹を殴ったフィアーリョもカーフを返すが、ワンツーを被弾する。続いて右ロング、ボディを打ったバエザが左ミドルを蹴っていく。

先手争いが続くなか、フィアーリョがローに右を合わせる。直後にワンツーでバエザが前に出る。ワンツーからスリー、フォー、そのままパンチを続けたバエザが、距離を取り直す。フィアーリョがここで左ジャブを当て、アッパーから左フックを入れる。左に回るバエザに右を放ったフィアーリョ。バエザは構えを変えて右を伸ばす。

フィアーリョは右ストレートを被弾した直後に、クリンチアッパーを2発突き上げる。足が泳いだバエザは左フックを打たれ腰から崩れると、鉄槌の追い打ちにレフェリーが試合を止めた。


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MMA UFN197 ケイオス・ウィリアムス ミゲール・バエサ

【UFN197】バエサがカーフキッカーに……。そのカーフにフックを被弾し、ケイオス・ウィリアムスに敗れる

<ウェルター級/5分3R>
ケイオス・ウィリアムス(米国)
Def.3R3分1分02秒by KO
ミゲール・バエサ(米国)

ケージの前を左右に回るバエサに対し、ウィリアムスがローを空振りする。続いて左フックを飛び込むも、バエサが右に回ってかわす。まっすぐダブルレッグを狙ったバエサが、切られてケージ前に戻って右回りを続ける。右ハーフを入れたウィリアムスは右フックもバエサが、右オーバーハンドから左フックをヒットさせる。

効いたウィリアムスは逆にバエサの右オーバーハンドに右を合わせる。腰が落ちかけたバエサだが、ウィリアムスも追撃をかけず距離を取ったファイトを続ける。ローでバランスを崩し下になったバエサがトーホールドから、ヒールを狙う。さらにヒザ十字に入ったバエサは、再びトーオールドにスイッチし50/50から内ヒールへ。殴るウィリアムス、ヒザを曲げられヒールに固執したバエサはさらにパウンドを受けて時間となった。

2R、初回よりやや距離が詰まった感のある両者。バエサもケージより中央を取って戦う。ローの蹴り合い、慎重な試合の組み立てのなかでウィリアムスがワンツーで前に出る。バエサもジャブを返し、ローから右前蹴りを顔面に届かせる。鋭いカーフを走らせたバエサは、ローが急所に入ったと中断を要求する。

再開後、カーフを2発受けたウィリアムスが姿勢を乱す。そのカーフに左フックを合わせようとするウィリアムス。互いが慎重過ぎるなかバエサが前蹴りを決める。さらにカーフを続けるバエサと、ロングフックのウィリアムスの戦いは、残り1分に。ウィリアムスは左右のローを蹴り、カーフに右フックを合わせる。カーフの距離で殴られるバエサ、クリンチでヒザを急所に受け、不満を露わにして座り込む。「わざとでないのは分かっている。でも2度目だ。徹底して注意するように」とレフェリーの伝えられたウィリアムスだが、減点はない。リスタート後、10秒の打撃の交換でウィリアムスが右を当てた。

最終回、集中力が切れているようにも感じるバエサ。そして前回の初黒星の影響か、カウンターを被弾するのが怖いのか、以前のような思い切ったパンチが見られない。ウィリアムスは自由にその空間に踏み込めるが、彼また被弾を警戒してかカーフを蹴られる距離にいる。

と、そのカーフにワンツーからスリーの右フックを受けたバエサが腰から崩れ落ちる。右フックに右を合わされた形になったバエサは、事態を把握できていないのかストップに納得がいっていないような表情を浮かべるなど、記憶が飛んでいることが明白だった。

それにしてもアレだけ自身を持ち、相手の攻撃を見てカウンターの決めていたバエサが、一つの敗北でカーフ頼りの試合をするまで崩れるのか──そんな怖さが見られた試合だった。


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MMA UFC UFN197   アレックス・ヴォルカノフスキー シンシア・カルヴィーロ ジャイー・ロドリゲス ソン・ヤードン チアゴ・モイゼス チョン・ダウン ハファエル・アウベス フリオ・アルセ ボクシング マックス・ホロウェイ ミゲール・バエサ

【UFN197】計量終了 凄味と説得力しかないホロウェイ。UFC版漢江の奇跡チョン・ダウンも注目

【写真】 この減量のギリギリさも凄味だ(C)Zuffa/UFC

12日(金・現地時間)、13日(土・同)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN197:UFN on ESPN+55「Holloway vs Rodriguez」の計量が行われた。

メインで対戦するマックス・ホロウェイとジャイー・ロドリゲスは問題なく計量をパス。本計量後のフェイスオフではホロウェイの目が窪んでおり、ドライアウトの過酷さが伝わってきた。


アレックス・ヴォルカノフスキーに連敗、2戦目では微妙な星を落としたホロウェイだが、今年1月のカルヴィン・ケイター戦では、4オンスのMMAグローブでそこまでやるかという打撃戦で抜けた強さを見せつけた。

「俺はUFCでベストボクサーなんだ。ベイビー」とケージの外を見ながらケイターの顔面を打ち抜いたシーンは圧巻、そのもの。もちろんボクシングもそうだが、エルボーの連打や蹴りを散らすなど、凄味のある攻撃でケイターばかりか見る者をも圧倒した。

そんな凄味が増し続けるホロウェイに対し、ロドリゲスは 2019年10月以来2年1カ月振りの実戦となる。昨年8月のザビッド・マゴメドシャリポフ戦を自らの足首の脱臼で欠場し、今年7月にはホロウェイの負傷で試合機会を逃してきた。

テコンドーをMMAに加味した以上に、ド派手な空中戦&回転攻撃を展開するロドリゲスは数々のハイライトリールKO勝ちをしてきた。とはいえホロウェイのボクシングのプレッシャーと精度に対抗できるのか。ロドリゲスの勝機は蹴りとパンチの連係だ。特に高い位置の回し蹴り、あるいは前蹴りをどこに着地させ、そこから構えが変わるかどうか。

さらにいえば前手か後ろ手、どちらをその蹴りと連動させるか。見えない攻撃がない限り、ホロウェイを切り崩すのは困難。逆をいえば、見えない攻撃が入ればロドリゲスにも十分に勝機がある。

この他、メインカードではインタビューを掲載したソン・ヤードンと、激闘必至のフリオ・アルセ戦。そしてプレリミではMMA版漢江の奇跡ばかりか、アジアの奇跡といっても過言でない──UFCライトヘビー級で3連勝中のチョン・ダウンがオープニングマッチでケネディ・ンゼチェクウと対戦する一戦も見逃せない。

■視聴方法(予定)
11月14日(日・日本時間)
午前3時00分~UFC FIGHT PASS

■対戦カード

<フェザー級/5分5R>
マックス・ホロウェイ: 146ポンド(66.22キロ)
ジャイー・ロドリゲス: 145.5ポンド(66.0キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ベン・ロズウェル: 265 ポンド(120.2キロ)
マルコ・ホジェリオ・デ・リマ: 259ポンド(117.48キロ)

<女子フェザー級/5分3R>
フェリシア・スペンサー: 145.5ポンド(66.0キロ)
リー・レトソン: 145ポンド(65.77キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ミゲール・バエサ: 170.5ポンド(77.34キロ)
ケイオス・ウィリアムス: 169ポンド(76.66キロ)

<バンタム級/5分3R>
ソン・ヤードン: 135.5ポンド(61.46キロ)
フリオ・アルセ: 135ポンド(61.24キロ)

<ライト級/5分3R>
チアゴ・モイゼス: 155ポンド(70.31キロ)
ジョエル・アルバレス: 157.5ポンド(71.44キロ)

<女子フライ級/5分3R>
シンシア・カルヴィーロ: 126ポンド(57.15キロ)
アンドレア・リー: 125.5ポンド(56.92キロ)

<フェザー級/5分3R>
ショーン・ウッドソン: 145.5ポンド(66.0キロ)
コリン・エングラン: 146ポンド(66.22キロ)

<女子フライ級/5分3R>
コートニー・ケイシー: 126ポンド(57.15キロ)
リアナ・ジョフア: 128.5ポンド(58.28キロ)

<ライト級/5分3R>
マーク・ディアキーシー: 156ポンド(70.76キロ)
ハファエル・アウベス: 155ポンド(70.31キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ケネディ・ンゼチェクウ: 205ポンド(92.99キロ)
チョン・ダウン: 204.5ポンド(92.76キロ)

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MMA Report UFC UFN ESPN+47 UFN189 サンチアゴ・ポンジニビョ ミゲール・バエサ

【UFN189】魂のファイト。ボンジニビョの覚悟の前進に、計算が狂ったバエサが11戦目の初黒星

<ウェルター級/5分3R>
サンチアゴ・ポンジニビョ(アルゼンチン)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ミゲール・バエサ(米国)

右に回るバエサが右ローを蹴る。さらに左ローを蹴ったバエサは、カーフを続けワンツーを繰り出す。右カーフにも踏み込んで右を見せたポンジニビョは、距離取り直すとバエザが左ジャブを当てる。ポンジニビョの左ジャブに左右のロー、カーフを続けるバエサは右ローからワンツーを伸ばす。ポンジニビョは圧力をかけ続けるが、手数は少なくクリーンヒットはない。

ローでバランスを崩したポンジニビョの立ち上がり際に、パンチを入れたバエザは隙がない。中央を取り、カーフからパンチを伸ばすバエサがワンツーから左を振るう。懸命にかわしたポンジニビョが右で前に出るが、カーフを蹴られる。外側だけでなく、内側も蹴るバエサに対し、ポンジニビョが被弾覚悟の前進でパンチを伸ばす。

バエサは右フックから左フック、スリップしたポンジニビョに圧を掛ける。左フックを入れ、ジャブから右を当てたバエサはポンジニビョの右ハイをガードし、左インサイドローで削る。さらに右ストレートから右カーフを蹴ったバエザは、ポンジニビョのコンビをブロッキングで防ぎ初回をリードした。

2R、前に出るポンジニビョをカーフで蹴るバエサ。ポンジニビョもワンツーで前に出る。バエサは右前蹴り、そしてカーフ。ポンジニビョはジャブにカーフを合わされ、右ストレートで腰が落ちる。ポンジニビョのダブルレッグを切ったバエサはカーフ、左ロー、そして右アッパーを打ち込む。ポンジニビョもダブルジャブから右を打っていく。手数を増やしたポンジニビョだが、カーフでダメージを蓄積もしていく。バエサは右を当て、左右のフックで前に出る。

これは珍しく力が入っていたバエサは、殴られ、蹴られても前に出てくるポンジニビョのジャブを被弾する数が増えてくる。フックで前に出て右を当てたポンジニビョがワンツー、そして左ジャブを当てる。続くダブルレッグをスプロールしたバエサだが、ジャブから右を打たれる。パンチを捌けなくなってきたバエサは、手数が完全に減りカーフ頼りになりラウンドを取り返された。

思い通りに戦えなくなったバエサ、無敗の誰もが訪れるこの局面を如何に乗り越えるか、勝負の最終回が始まった。ジャブから前に出るポンジニビョは、カーフを蹴られても前に出る。バエサは前蹴りから左ジャブ、そしてカーフを蹴る。ジャブをかわしたポンジニビョだが、右を被弾する。ここから手数が増すポンジニビョが、右ローを蹴る。バエサもワンツーで前に出て、ステップジャブからカーフを蹴る。

左前蹴りからジャブ、右のバエサに対し、ドッグファイト上等のポンジニビョがジャブからワンツーで前に出て、右フックを当てる。バエサはワンツーを被弾し、体の軸を乱しながら拳を振るっていく。残り90秒、声を出してパンチを繰り出すバエサに対し、ポンジニビョがローを蹴っていく。ポンジニビョは左フックを入れ、バエサはアッパーも左右のフックを被弾する。ジャブを入れ、左フックと打ち勝つポンジニビョが、足を止めての打ち合いでバエサのマウスピースを吹き飛ばすフックを入れ、タイムアップを迎えた。

結果はジャッジ3者とも29-28でポンジニビョを支持。「初回? ただのウォームアップだ。26カ月間、試合がなかったんだ。でも一発じゃ俺は終わらない。試合は15分間だ。初回はウォームアップ、戦いはそこからだ。それが俺の戦いだ。足のダメージ? ほとんど死んでいたよ。でも、そんなの関係ない。俺はドクターから、もう戦えないって言われたことがあるんだ。足の蹴り、それが何だ。俺に勝ちたいなら、殺すつもりで戦え。随分と回り道した。でも俺は世界チャンピオンになれる。俺の背中を見ている連中がいる。何をすべきか分かっている。俺はすぐにでも戦う。トップ10と戦いたい。ラテン・アメリカの皆が俺に期待しているんだ。俺は世界チャンピオンになる」と大興奮で、勝者はまくし立てた。

殴られても、殴る。その意志が拳に乗り移ることを学んだバエサも、混乱しながら心が折れ切れることはなかった。この経験を活かし、キレーな戦いをより昇華させてほしい。


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【UFN189】プエレスと対戦、ジョーダン・ラヴィット─02─「プランBが必要になるかは相手次第」

【写真】もう3時間後には、ジョーダンがオクタゴンに足を踏み入れる(C)Zuffa/UFC

5日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスの開催されるUFC APEXでUFN189:UFN on ESPN+47「Rozenstruik vs Sakai」のオープニングバウトで、クラウジオ・プエレスと対戦するジョーダン・ラヴィット・インタビュー後編。

下になることを厭わない。フィニッシュすることを念頭において戦うラヴィットは、打撃を駆使して戦うプランBが必要になるファイトを待ち望んでいた。

<ジョーダン・ラヴィット・インタビューPart.01はコチラから>


──ロクサンとの関係もそれ以来、ずっと続いているということですね。

「僕とロキシーは一緒にキッズに柔術を指導しているしね。もう5年になるよ。僕にとって、ロキシーは最も影響力がある人物なんだ。ロキシーは30代半ばで、常に進歩していてキャリアの最高の状態を更新し続けている。

僕はファイターとして、シャイな方だったけど……ロキシーが凄く自信を与えてくれたんだ。ロキシーの後を僕は追っているつもりだよ」

──素晴らしい言葉です。同時にジョーダンの人柄も伝わってきます。

「おお、ありがとう。ファイトって何百、何千っていう勝ち方があるんだ。でもね、自分が実際に戦うことができる相手は非常に限られている。だから、その機会を無駄にしないよう成長し続けたいんだ。

これまで運よく勝ち続けてくることができたけど、僕のなかでは常にハードファイトを選んできた。ハードファイトを経験して成長したい。1試合での経験値を可能な限り高いモノにしたいと思って戦ってきた。

でもファイターってレコードを気にして、連勝とかに拘ることがあるだろう?」

──ハイ、オーガニゼーションもそこを重視する向きもありますし。

「でもファイターとして、勝って当たり前の試合に出て勝ち星を重ねるって、本当に下らないことだと思うよ。おかしな言い方かもしれないけど、僕はどこかで敗北を望んでいるかもしれない。そんな試合に向かっていき、痛みを乗り越えたいと思っている」

──だからこそ、あのナスティな極めがあるのですね。

「アハハハハ。でもね、心の中では『頼むから、折れないでくれ』って願っているんだよ。何度かポップして、音が聞こえたり、感覚として伝わってきたことがあるんだ!! 頼むから、タップしてくれよって本当に思っていたよ」

──ジョーダンのファイトスタイルは、MMAの王道ではありません。これまで一本勝ちも多いですが、UFCファイターの防御力は過去の対戦相手と変わって来るかと思います。このスタイルを続けることが可能だと考えていますか。

「もちろん。僕自身、ディフェンス能力には自信を持っている。それと……そんな風に見えないかもしれないけど、パワーもあるんだ。何より対戦相手は僕が優れたグラップラーだと思って戦うよね?」

──ハイ。その通りだと思います。

「だから、彼らは僕をテイクダウンしようとしない。それってスタンドで僕の時間が多くあるってことなんだ。それに、僕のテイクダウン狙いをスプロールできる相手に出会ったら、その時は打撃を披露するよ。打撃だってできる。これまで、打撃で戦うというプランBが必要にならなかっただけなんだ。

プランBが必要になれば、僕がどれだけ打撃で戦えるのか見てもらえるだろう。テイクダウンして、サブミッションできない時が訪れるなら、プランBを遂行するよ。そんな日が来ることを願っているよ」

──ではタフファイトになり、スコアリングで勝たないといけなくなると、どうしますか。

「う~ん、僕は試合中もその一瞬、一瞬で勝てるよう戦っている。判定になることは想定していないんだ。テイクダウンして、コントロールが必要な試合もある。でも、判定勝ちを想定することはない。

ケージの中では自分の力を信じて、乗り越えていくしかないんだ。ジャッジの裁定を気にして戦っていると、そんな自分にガッカリする日が来ると思う。

だから試合中は常にフィニッシュするつもりでいるし、結果的に判定にもつれ込んでも、この姿勢があるとジャッジの支持を得ることになる。実際、僕はまだ1Rも落としたことがないんだ。おかしな判定がないってことは、ラッキーだなって思うよ」

──では、クラウジオ・プエレス戦も一瞬、一瞬でフィニッシュを狙う。その繰り返しのファイトを?

「そうだね。僕はグラップリングの専門家じゃない。例え周囲がそう思っていても、ジムで打撃の指導もしている。まだ見せていない、僕のスキルを見てほしい。ボクシング、キックボクシング、ムエタイだって使える。僕はコンプリート・ミックスマーシャルアーチトだ。

それを証明できるぐらい、プエレス戦がハードな試合になることを期待しているよ。最後はテイクダウンしてサブミットするけど、それまでの過程で僕が何でもできることを見せたい」

■視聴方法(予定)
6月6日(日・日本時間)
午前5時~UFC FIGHT PASS

■UFN189計量結果

<ヘビー級/5分5R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 254ポンド(115.21キロ)
アウグスト・サカイ: 255.5ポンド(115.89キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ウォルト・ハリス: 264 ポンド(119.74キロ)
マルチン・ティブラ: 251ポンド(113.85キロ)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・デリツ: 186ポンド(84.37キロ)
ロウレアノ・スタルポリ: 185ポンド(83.91キロ)

<ウェルター級/5分3R>
サンチアゴ・ポンジニビョ: 170.5ポンド(77.34キロ)
ミゲール・バエサ: 171ポンド(77.56キロ)

<ミドル級/5分3R>
ドゥスコ・トドロビッチ: 186ポンド(84.37キロ)
グレゴリー・ホドリゲス: 186ポンド(84.37キロ)

<ミドル級/5分3R>
トム・ブリーズ: 186ポンド(84.37キロ)
アントニオ・アローヨ: 186ポンド(84.37キロ)

<フェザー級/5分3R>
マクワン・アミルカーニ: 146ポンド(66.22キロ)
カムエラ・カーク: 146ポンド(66.22キロ)

<女子フライ級/5分3R>
モンタナ・デラロサ: 126ポンド(57.15キロ)
アリアニ・リプスキ: 124.5ポンド(56.47キロ)

<ヘビー級/5分3R>
タナー・ボーザー: 242ポンド(109.77キロ)
イリル・ラティフィ: 240ポンド(108.86キロ)

<ウェルター級/5分3R>
フランシスコ・トリナルド: 169.5ポンド(76.88キロ)
ムスリム・サルコフ: 171ポンド(77.56キロ)

<ライト級/5分3R>
アラン・パトリック: 154.5ポンド(70.08キロ)
メイソン・ジョーンズ: 156ポンド(70.76キロ)

<女子フライ級/5分3R>
マノン・フィオホ: 125.5ポンド(56.92キロ)
タバタ・ヒッチ: 124.5ポンド(56.47キロ)

<フェザー級/5分3R>
ユーゼフ・ザラル: 146ポンド(66.22キロ)
ショーン・ウッドソン: 145ポンド(65.77キロ)

<ライト級/5分3R>
クラウジオ・プエレス: 155ポンド(70.31キロ)
ジョーダン・ラヴィット: 156

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Interview MMA UFC UFN ESPN+47 UFN189 グレゴリー・ホドリゲス サンチアゴ・ポンジニビョ ミゲール・バエサ

【UFN189】ポンジニビョと対戦、ミゲール・バエサ─02─「ファイトは喧嘩じゃない」

【写真】計量で余裕のポージング、ケージの中ではどのような動きを見せてくれるか。一挙手一投足を見逃さないで注視したい (C)Zuffa/UFC

明日5日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN189:UFN on ESPN+47「Rozenstruik vs Sakai」で、サンチアゴ・ポンジニビョと対戦するミゲール・バエサ・インタビュー後編。

MMA戦績10勝0敗、オクタゴンでも3連勝=3試合ともフィニッシュしている裏で、バエサというファイターが如何に頭を使い、相手を研究して戦っているのかがインタビューを通して理解できた。

自分の動きをするには、相手を研究すること。そしてコーチとの共同作業で、より相手を理解する。MMAを科学するミゲール・バエサは打ち合い上等のファイトをどう思っているのか。その答にこそ、彼の10勝負け無しの要因があるように感じた。

<ミゲール・バエサ・インタビューPart.01はコチラから>


──一部では、対戦相手の試合映像はそれほどチェックせず、自分の動きに専念するという選手もいます。または分析はコーチに任せて、その指示に従うファイターも見受けられます。しっかりと自身でも研究するミゲールからすると、そららの選手の試合への準備の仕方はどのように感じますか。

「ファイトって、規律が全てなんだ。規律から全てが生まれている。まずはジムでパンチを打つ、蹴りを使う。正しい動きはどうなのか、どういう風にすればより上手くなれるのかという日々を過ごす。ジムでのトレーニングが、まず存在する。

そして試合だ。相手がどのようなパンチを打つのか。素晴らしいパンチの持ち主に対して、自分はどのように対応すれば良いのか。クリンチが凄く上手い選手に対し、クリンチを避けるにはどんな手立てがあるのか。

それらのことをしっかりと頭に入れ、練習してきたことを出せる状態になって、試合に臨まなければいけない。しっかりと自分のなかで、相手の動きを考慮したシリオを持って戦うことは何よりも大切だと思っている。

自分の動きを試合に出すと思っていても、相手があってのことだ。そこを怠ると、試合は困難になる。正直にいえば、そういう選手は自分で自分の首を絞めていると思うよ。

コーチに任せるのも同じことだ。自分の目で見て、自分で判断するからこそ、試合で動くことができる。コーチと一緒に相手を分析していく素晴らしさは、同じモノを違う角度から見ることができるからだよ。

同じ相手を研究しても、僕とコーチは見えるモノが違ってくる。僕にはガードが下がっているように見えなくても、それに気づく人間がいる。だからコーチと自分自身で、相手を研究する方が理解力が深まるんだ」

──ミゲールはサンチアゴのことも十分に研究して、ファイトウィークを迎えているのでしょうね。

「危険なファイトだよ。彼は長い間UFCで戦ってきているので、とても経験豊かだ。常にフィニッシュを狙っていているからね。しっかりと腕を上げてガードし、パンチを被弾しないよう注意して戦う必要がある。サンチアゴのペースにならないよう、懐に入らせないようにしないといけない。

でも、ちゃんとゲームプランはあるから、試合を見て確認してほしい(笑)」

──楽しみにしています。ところで自分のパンチを当てるために、相手のパンチを貰う覚悟で戦う選手についてどのような印象を持っていますか。

「それがサンチアゴだということだね。自分が殴るには、殴られる覚悟は必要だろう。でも、僕はちゃんとディフェンスをして戦うよ。相手のパンチは貰わないで、僕のパンチを当てる。僕のパンチが当たれば、誰もが倒れる。拳が届けば倒せるんだ。サンチアゴが僕のパンチを貰う覚悟で戦うようだと、より戦いやすくなるよ」

──それにしても、ミゲールはファイトを科学のように捉えているのですね。

「同意するよ。ファイトは喧嘩じゃないからね」

──だからこそ10勝0敗というレコードを持っていることが理解できました。まるでケージの科学者です。

「サンキュー、それは僕にとって最高の誉め言葉だよ」

──今は打撃を入れてから、グラップリングゲームに持ち込んでいますが、それだけ相手を見ているとレンジをコントロールして、打撃戦の裏をかきテイクダウンからグラウンドに持ちこむことも可能ではないでしょうか。

「ショーをファンに楽しんでもらうこともあるけど、レンジを理解して相手の手を読んでいるからこそ、打撃で戦うんだよ。外を取っていれば、僕のパンチは当たる。サブミッションを極めるにも、その方が極めやすいよ。

打撃を交えた方がテイクダウンも取りやすい。そして──トップを取れば僕のモノだ。そこから柔術でフィニッシュする」

──では2021年中に、最大激戦区のウェルター級でどこを目指していますか。

「ただ勝ち続けるだけだよ。そしてキャンプとキャンプの間に、自分の技量を上げる。試合の度に新しいバエサになるんだ。常に進化版のバエサを見せたい。そうすることで、最終的にはいつの日かタイトルを手にすることになるだろうからね。

まずはサンチアゴとの試合だよ。僕の全ての動きを見てほしい。距離、アングル、前後、左右、上下運動、タイミング、色々な技術を交えて打撃を入れ、フィニッシュに結びつけるから」

■視聴方法(予定)
6月7日(日・日本時間)
午前5時~UFC FIGHT PASS

■UFN189計量結果

<ヘビー級/5分5R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 254ポンド(115.21キロ)
アウグスト・サカイ: 255.5ポンド(115.89キロ)

<ヘビー級/5分3R>
ウォルト・ハリス: 264 ポンド(119.74キロ)
マルチン・ティブラ: 251ポンド(113.85キロ)

<ミドル級/5分3R>
ロマン・デリツ: 186ポンド(84.37キロ)
ロウレアノ・スタルポリ: 185ポンド(83.91キロ)

<ウェルター級/5分3R>
サンチアゴ・ポンジニビョ: 170.5ポンド(77.34キロ)
ミゲール・バエサ: 171ポンド(77.56キロ)

<ミドル級/5分3R>
ドゥスコ・トドロビッチ: 186ポンド(84.37キロ)
グレゴリー・ホドリゲス: 186ポンド(84.37キロ)

<ミドル級/5分3R>
トム・ブリーズ: 186ポンド(84.37キロ)
アントニオ・アローヨ: 186ポンド(84.37キロ)

<フェザー級/5分3R>
マクワン・アミルカーニ: 146ポンド(66.22キロ)
カムエラ・カーク: 146ポンド(66.22キロ)

<女子フライ級/5分3R>
モンタナ・デラロサ: 126ポンド(57.15キロ)
アリアニ・リプスキ: 124.5ポンド(56.47キロ)

<ヘビー級/5分3R>
タナー・ボーザー: 242ポンド(109.77キロ)
イリル・ラティフィ: 240ポンド(108.86キロ)

<ウェルター級/5分3R>
フランシスコ・トリナルド: 169.5ポンド(76.88キロ)
ムスリム・サルコフ: 171ポンド(77.56キロ)

<ライト級/5分3R>
アラン・パトリック: 154.5ポンド(70.08キロ)
メイソン・ジョーンズ: 156ポンド(70.76キロ)

<女子フライ級/5分3R>
マノン・フィオホ: 125.5ポンド(56.92キロ)
タバタ・ヒッチ: 124.5ポンド(56.47キロ)

<フェザー級/5分3R>
ユーゼフ・ザラル: 146ポンド(66.22キロ)
ショーン・ウッドソン: 145ポンド(65.77キロ)

<ライト級/5分3R>
クラウジオ・プエレス: 155ポンド(70.31キロ)
ジョーダン・ラヴィット: 156ポンド(70.76キロ)

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Interview MMA UFC UFN ESPN+47 UFN189 サンチアゴ・ポンジニビョ ボクシング ミゲール・バエサ 佐藤天

【UFN189】ポンジニビョと対戦、距離のサイエンティスト=ミゲール・バエサ「初回で距離を見極める」

【写真】MMAにはフィジカル、気持ち、そしてスマートさが欠かせないことがバエサの言葉でも再認識された(C)Zuffa/UFC

5日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFN189:UFN on ESPN+47「Rozenstruik vs Sakai」が開催される。ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク✖アウグスト・サカイのヘビー級ストライカー対決がメインの今大会。そのメインカード・オープニングの一番で、ミゲール・バエサがサンチアゴ・ポンジニビョと対戦する。

バエサといえば昨年11月に佐藤天と対戦し、2R4分28秒で肩固めを極めて一本勝ちしたことで日本のファンにも名が知られた存在だ。佐藤戦の勝利でMMA戦績を10勝0敗、UFCでも3連勝を達成しているバエサは、ヘクター・アルビナをカーフでKOし、マット・ブラウンには左のカウンターを決め、優れた距離とタイミングの取り方を披露してきた。

ポンジニビョというブルファイターを相手に、バエサはどのようなファイトを魅せるのか。「対戦相手を研究し、距離をセットすることで練習してきた技を存分に使うことができる」──ファイターというよりも、距離のサイエンティストと言うべき言葉からも、バエサがUFCウェルター級で結果を残し続けている片鱗を伺うことができるインタビューとなった。


──サンチアゴ・ポンジニビョとの対戦が土曜に迫ってきました。調子の方はいかがですか。

「サンチアゴ戦に向けて、数週間しっかりと作戦も立ててきたし準備は出来ているよ。土曜日は僕の試合になるだろう」

──ミゲールは昨年11月に佐藤天選手を破ったことで日本でもその実力が知られています。

「あの時は最初はタカシと僕は試合をする予定でなくて、ミッキー・ガルと戦うはずが、欠場になりジェレマイア・ウォレスと戦うことになった。でも、その選手も欠場になって、1カ月ぐらいに前にタカシ・サトーが対戦相手になったんだ。

その前の試合で短時間でKO勝ちをしていることが、頭に残っている選手だった。でも、その試合だけじゃ彼のことが分からないからパンクラス時代から彼のファイトをチェックしたんだ。そして彼がどういう選手か理解を深めた。結果、常にパンチを出し、蹴りも交えて距離を取ることを決めた。

テイクダウン後に彼がどういう動きをするかを頭に入れて戦ったよ。僕のトレーナーは高い柔道のスキルを持っていて、タカシが柔道時代の習慣かテイクダウン後の攻防になると背中を見せることを見抜いていた。実際に試合ではまさにその展開になって、しっかりと練習してきたことを出せた」

──佐藤選手が前に出てくるのを誘っているような動きが印象に残っています。そこでオーバーハンドやライトクロスを打ち、また前進を止めるために蹴りも多用していました。

「それもしっかりとタカシの戦い方を頭に入れて、彼の距離とステップインのタイミングが分かっていたからだよ。MMAはボクシングとも、レスリングとも全く距離が違う。ボクシングはパンチの距離で戦う。MMAは当然のように蹴りもあるし、組みもある。

そういうなかで、対戦相手の得意な距離にならないよう自分のレンジで戦う。そこを見極めることができたから、タカシを相手にして自分のすべき戦いができたんだ。

MMAマスターズではコーチと一緒に、彼を丸裸にした。タカシのパワフルなパンチは、どの距離にあるときが最も威力を発揮するのかを見抜いていた。タカシのスピードを考えると、近い距離で向き合うよりも、離れて前に出てこさせる方が、その動きがずっと見えるんだ。そして蹴りを使うことで、仕留めるパンチを見えなくなくする。そのためにオーバーハンドのフェイクも使ったよ」

──そこまでしっかりと対戦相手の特性を見抜いてケージに入るので、サウスポーもオーソドックスも関係なく戦えるのでしょうか。

「そうだね、タカシと戦う時はそうできた。ただし、コンテンダーシリーズでヴィクトー・レイナと戦った時は、そうではなかったよ。1週間前に彼と戦うことが決まって、当初戦う相手とはまるでスタイルが違っていたからね。

だから戸惑ったことも確かだけど、自分の距離で戦うためにバックステップが必要なことは変わりないからね」

──その下がって、相手を誘ってのカウンターショットは見事です。マット・ブラウン戦では結果的に左フックで倒していますが、返しの右ストレートも打っていました。

「マット・ブラウンはオーソドックスだけど、しっかりとビデオを見て研究していればスタンス、前手がどちらかは関係なくカウンターを打ち込むことは可能だよ。だから試合ではだいたい、練習で準備したことがしっかり使えるように初回は相手の動きを観察するようにしている。どう動き、どう反応するか。それを最初の5分で確かめてから、自分のタイミングと距離をどうはめ込むかを決めるようにしている。ここからは、僕の判断だ。

そのために距離の取り方が、凄く重要になってくる。立ち上がりの5分間で、そこを見極めることができればファイトは僕のモノだから。距離を把握すれば、マット・ブラウンの拳、ヒザ、視線も鮮明に見えるようになる。すると彼が動くことで、その次の彼の動きが僕には読める。マット・ブラウンは自分で動いでカウンターの標的になってくれたんだよ」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月6日(日・日本時間)
午前5時~UFC FIGHT PASS

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Bu et Sports de combat Interview ブログ ミゲール・バエサ 佐藤天 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。ミゲール・バエサ✖佐藤天「後ろ足の位置」

【写真】佐藤からするとバエサは遠く、バエサからすると佐藤は近かった。それが武術的空手的な見方となる(C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑氏とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──UFC ESPN18におけるミゲール・バエサ✖佐藤天とは?!


──佐藤天選手が肩固めで敗れた一戦ですが、打撃戦でもリードを許していました。

「まず佐藤選手って、従来は重心が高い構えではないですか。そこからカウンター狙いの。今回は物質的に重心が相当に下がっていました。だから凄く状態は良かったと思います。

ところが距離が掴めていなかったです。右を被弾したのが影響したのか、すぐにディフェンス重視になり、そのことで防御は良かったですが自分の攻撃ができなかった。距離が掴めていなかったように感じました。それは一つ、構えにも要因があるかと思いました」

──佐藤選手の構えですか。

「ハイ。佐藤選手は後ろ足……、左足が内側に入っていました。所謂ボクシングでアゴを引いて、肩をアゴにつけて斜に構えるというスタンスですね。自然体の歩幅から、真っすぐ後ろに左足が引かれているのではなく、そこよりも若干内側に位置していました。

結果的に正面を向いているつもりでも、中心が横にずれている。中心が横にずれていると、まず見える、見えないでいえば相手の攻撃は見えづらいです。そして真っすぐに打っていると思っていても、中心の方向に向かってしまいます」

──向きと中心にズレが生じると。

「そこを鍛えることができるのが、ナイファンチの型なんです。ナイファンチが横を向いているのは、横を攻撃するということではないんです。

ボクシングは相手に対して、正対しない。そういう拳での殴り合いだと思います。では、蹴りや首相撲のあるムエタイであの構えをするのか。しないです。ほぼほぼ正面を向いています。それがMMAになると、佐藤選手に限らず斜に構えること選手は割と多いです」

──ボクシング+レスリングに蹴りが入る。ボクシングとレスリングが逆さになったとして、ここが北米MMAの主流ではあるかと思います。

「ハイ、スポーツなんですね。ボクシングもレスリングも。防御と攻撃が別れている。そして、佐藤選手のあの構えは実は防御の構えになるんです。

それが防御と攻撃が分かれているスポーツならではの発想です。防御態勢にあるのだから、間は相手になります。そこで攻撃を出しても、逆に攻撃を受けてしまう。後の先が取れなくなってしまうことは多いです。つまり、この試合でいえばバエサの間で試合は進んでいたということですね。

佐藤選手は相手が前に出てきたときに、左ストレートを合わせます。これが素晴らしい威力を発揮します。ただし、今回の試合はバエサを追ってしまっていました。少し前につんのめるような形で。ああいう動きがあるということは、距離が合わないというか……佐藤選手は、バエサが遠く感じていたのではないでしょうか」

──第3者が見ると同じ距離が間にあるのですが、佐藤選手の方が遠く感じてバエサは近く感じていたと。

「そういうことです。バエサは近いと感じていたと思います」

──手数はバエサでしたが、圧力を掛けていたのは佐藤選手のようにも見えました。

「それが追っていたということですね。アレは前に出るというよりも、追ってしまっていた。つまりバエサが呼んでいたんです。そしてバエサが詰めていくようになる。同じ前に出ているということでも、追うのと詰めるでは質量も違ってきます。バエサが詰めてきたときは行けると踏んで、本当に殴りくるので質量が高かったです。

もともと、近く感じていたから右ストレートも、右の蹴りも思いきり蹴ることができていました。バエサの蹴りは勢いこそありますが、決して良い蹴りではないです。どちらかというと佐藤選手が蹴らせてしまった。そういう蹴りに感じました」

──バエサの間だったから、蹴ることができる……。

「佐藤選手の間だと、あの蹴りはでなかったと思う。それにストレートは足を触って、テイクダウンのフェイクも織り交ぜていました。間がバエサなので、組みでも佐藤選手は組み負けてしまいましたね。

肉体、肉体の運動というのはエネルギーであったり、目に見えないモノの結果としての現実なんです。ですから物体として、内面から質量を伴う動き──あの間であっても、佐藤選手は連打でぶん殴りに行けて、組んでも倒せる回転力のある攻撃が可能な重心でした。それが出来なかったのは、距離が合わない何かがあったのでしょうね。

あの物質的な重心の低さがあり、回転数のある攻撃を見せることができていれば、バエサも相当怖くて、蹴りや右はなかったと思います。だから距離が合わなかったかもしれないですが、佐藤選手に関しては勢いのある攻撃は欲しかったです」

──手数は確かにバエサでした。

「選手がまずは攻撃を受けないところから、試合に入るのは致し方ないです。バエサも勢いが出てきたのは途中からでした。だから玉砕覚悟で前に出るということはすべきではないですが、内面を伴った上での滅多打ちができる状態にはありたいですね。

一生懸命にやり込んできたのは、それはすぐに分かります。本当に他の人間なら無理なぐらいに懸命に創ってきたからこそ、ウェルター級であんな連中とやり合うことができている。今回は途中で距離が狂ってしまったことで、こういう結果となってしまいましたが、思い切り打って組むことができるだけ準備はしていたはずです。

それができる佐藤選手のような精神性の高い選手は日本に滅多にいない。本当に特別な日本人MMAファイターです。本来は不可能なことをやっていると思います。日本人がUFCでああいう練習とやっていけるのは、現実的に見てフェザー級までだと思います。だからこそ、回転数の上がった攻撃を時間は是非とも見てみたいです」

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Interview Special ブログ ミゲール・バエサ 佐藤天 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:11月─その参─ミゲール・バエサ×佐藤天「天の続きを見たい」

【写真】えげつない領域に入りつつあるUFCウェルター級戦線で、佐藤天を見続けたい (C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年11月の一番、第3 弾は28日に開催されたUFC ESPN18からミゲール・パエサ✖佐藤天の一戦を語らおう。


──11月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目は?

「佐藤天ですね、パエサと戦った試合です。あの試合は色んな人が色々なことを言っていて……。左を完封された──みたいな意見を聞きましたね」

──結果的にそうなるのかしれないですが、パエサは相当に警戒しているように映りました。

「ハイ、警戒されると試合にならないという見方でした。ただ、僕はちょっと違っていて。やっぱり、佐藤天は強くなっています。あれだけプレッシャーを掛けることができていたんだから。

手数が少ないとかっていう意見もあるけど、2戦目のベラル・モハメッドと戦った時も圧力を掛けているのは佐藤天なんですよ。今回も手数は少なかったけど、プレッシャーを掛けてイニシアチブを取っているのは佐藤天だった。

喧嘩っていうと語弊がありますが、喧嘩が強かったのは佐藤天です。喧嘩で追い回していたのは、天だったから。ただし、バエサの構えが本当に綺麗でしたね。左相手のオーソドックスだから、左ストレートを警戒して右手を高く上げているんだけど、あの立ち方をされるといくらプレッシャーを掛けても難しいですね。

それにあれだけ下がらされても、あの構えを続けることができたのは、結局のところ彼が強いからなんでしょうね」

──試合が進むと最初は佐藤選手が中心だったのが、パエサが中央を取るようになりました。

「でも、それも天が外を取れているということなので。凄く良い立ち位置ではありましたけど……、パエサは打ち方も綺麗でした」

──右のパンチ被弾し、そこから右ミドルとハイがうるさかったです。そして、あのシングルレッグ。あそこで倒されるというのは、佐藤選手自身も思ってなかったのではないでしょうか。それだけ準備をしてきただろうし。

「パエサは初回の組みで見せたヒザも急所になりましたけど、あれも上手かったですしね。ムエタイ的な流れもあって、実は寝技も強い。良いスタイルで、僕は好きなスタイルですね。

打撃もムエタイができて、ボクシングチックのリズムも良い。そしてテイクダウンしてからの寝技もよくて穴がなかったです。正直、テイクダウンされてバックを取られた時に『負けたな』と思いました」

──佐藤選手は背中を預けることが、たびたび見られます。

「あれは負けパターンです。これは嫌がられるかもしれないけどTRIBEっぽいです。打撃に自信をもって、倒されても凌いでっていう感じでやっている。TRIBEっていう打撃のジムのやり方……ですよね。そこを露呈した天の敗戦でした」

──素早く立ち上がるというのが現代MMAで、そこからのバック奪取が上手くなっている。反対に佐藤選手は止まってしまう傾向があるなら、足をきかせることができる間にガードを取るというのは、やはり現代MMAでは採りづらい選択でしょうか。

「まぁ、ぶん殴られますからね。組み技から打撃があると思っている人たちと、打撃があって寝技があると思っている人の違いはあると思います。日本は後者で、それが日本のMMAが抱える問題じゃないかと思います」

──フロリダで練習をしてきても、日本の問題ですか。

「だってミゲール・パエサは初めての一本勝ちっていうけど、完成度の高さは決して初めての一本勝ちではないですからね。いくらでも一本勝ちできるけど、その前に打撃で勝っているということで。

天は打撃が良い。だから、組み技と合わせて欲しい。まぁ、でもやっていると思いますよ。言うても、フロリダに移ってまだ1年です。ここから、フロリダでやってきたことが出てくると思います。だから、もう少しチャンスを手にしてほしいですね」

──この試合がUFCとの契約最後の試合で、戦績は2勝2敗でした。ここはもう神のみぞ知るということで。

「ただ、アイツの感覚だとどういうことになっても、残ることができるなら米国に残るでしょうね。UFCに出た人って、絶対にもう1度UFCっていうじゃないですか」

──水垣偉弥選手はそういってACBとRIZIN、岡見勇信選手はWSOF、田中路教選手もそうですね。

「古くは宇野さんもそうで。やっぱり、最高なんだと思います。僕は正直、分からないです。徳留選手だって、UFCに拘りを持っていたし──リリースされた人間は。僕は行ったことがないから分からないし、軽々しく言えない。でも天も、ここでリリースはされてほしくないけど、リリースされてもTitan FCだとかLFAっていう選択もあるし、UFCを狙うんでしょうね」

──う~ん、UFCもこれだけ陽性で出場できない選手がいるので、4戦2勝2敗の選手を切るようなことはしないでほしいと心から願います。

「ホント、そうです。天の続きを見たい。でもリリースされても天は『もう1回』って言うのでしょうね。同じ格闘技をやっているんですよね、僕たちと天は……」

──えっ?

「どこか同列に語ってはいけないのかなって……。UFCはやっていることが違っていて、なおさら60キロとかと違って77キロですからね。UFCのウェルター級ですよ。UFCのライト級とウェルター級は黄金の階級です。

バエサは本当に強かったです、でも、彼ぐらい強くて連勝をしていてもトップ10に入っていない選手がいくらでもいる。10位に入ると、もう相撲でいえば三役。その下に位置につけることですら、尋常ないです。だから天には、またそこで戦ってほしいです」

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Report UFC UFC ESPN18 ブログ ミゲール・バエサ 佐藤天

【UFC ESPN18】果てしなく高い壁──佐藤天、バエサの打撃からシングル、最後は肩固めに一本負け

<ウェルター級/5分3R>
ミゲール・バエサ(米国)
Def.2R4分28秒by 肩固め
佐藤天(日本)

ケージの中央を取った佐藤が、じわじわと距離を詰める。バエサが遠い位置から右オーバーハンド、しっかりと見た佐藤は左から右のショートで前に出る。バエサは右ミドルハイ、そして右ミドルを入れる。予想通りの動きのバエサに対し、佐藤は右ジャブ。バエサが右クロスをヒットさせると、右ハイから右ミドルへ。カットはしているが、勢いづけたくはない。バエサがさらに右ハイを見せ、ミドルとハイを多用する。

佐藤は左を当て、左ローをかわすと、ボディを打っていく。続くパンチの交換から組み合いになり、ケージに押し込んだバエサのヒザが佐藤の急所へ。試合は中断され、50秒ほどで再開。ハイをブロックし、左を伸ばす佐藤が左ローを入れる。距離を詰めたバエサは首相撲からヒザ蹴り、効かされた佐藤は右を続いて被弾する。蹴りをスリップしたバエサ、佐藤はスタンドで待ち受けるが右頬をカットしたか。再び自らの蹴りで足を滑らせたバエサが、シングルに出たところで初回が終わり──佐藤はリードを許した。

2R、バエサはテイクダウンを織り交ぜることをインターバル中に指示する。佐藤は右ジャブを伸ばし、バエサが左ジャブを当てる。右を振るって前に出てくるバエサに対し、佐藤は右を返し、左フックへ。近い距離でミドル、離れて右ハイのバエサが空間を支配する。佐藤も左を2発伸ばし、アッパーのフェイクも右を受ける。佐藤のステップインに、ガードを固めるバエサ。ここに上手く佐藤が左ミドルを決めた。

それでもバエサは右ミドル、バシッという音が館内に響く。左の大外のフックの佐藤に対し、バエサが右ストレートからシングルレッグへ。持ち上げられた佐藤は、テイクダウンから立ち上がり際にバックを許す。後方からバエサが殴り、アゴの上からチョークへ。背中をマットにつけて防いだ佐藤に対し、バエサがパウンドの連打から肩固めへ。残り40……ここから5秒ほど経過したところで佐藤がタップ。

果てしなく高い──UFCの壁、佐藤はバエサに完敗を喫した。「初めてのサブミッションで最高だ。シングルでテイクダウンして、すぐに飛び乗った。ターンしてきたけど、それはそれで対処できるからね。体力を使い過ぎないよう考えたけど、思い切り絞めた」はバエサは話した。


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