DEEPらしいな
本日は17時50分からskyticket Presents DEEP 118 IMPACTが開催。試合中止により返券があり当日券でA券8000円を販売いたしますのでぜひご来場ください。当日券は後楽園ホールの1階で販売します。 pic.twitter.com/5QPHUnkXQm
— DEEP/DEEP JEWELS OFFICAL (@jewels_deep) March 9, 2024
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本日は17時50分からskyticket Presents DEEP 118 IMPACTが開催。試合中止により返券があり当日券でA券8000円を販売いたしますのでぜひご来場ください。当日券は後楽園ホールの1階で販売します。 pic.twitter.com/5QPHUnkXQm
— DEEP/DEEP JEWELS OFFICAL (@jewels_deep) March 9, 2024
<DEEPメガトン級王座統一戦/5分3R>
ロッキー・マルチネス(グアム)
Def.5-0:28-28.28-28.28-28.28-28.28-28.28-28.
酒井リョウ(日本)
※ジャッジ5名がドロー、マストシステムでマルチネスの勝利とした
マルチネスが左右のローを当てる。酒井は右ストレートから右ローを返した。マルチネスの右カーフキックで酒井がバランスを崩すも、右ショートを受けたマルチネスも体勢が崩れた。ローを軸に距離を保つ酒井は、マルチネスのローに右を合わせていく。左ジャブを突く酒井に対し、マルチネスも左ジャブとローからプレスを強めていく。スイッチしながらジャブを突いていく酒井は、左ジャブをボディにも伸ばす。さらに右でマルチネスを下がらせた。マルチネスも右ストレートを打ち込む。
打ち合いからマルチネスが組みつき、ケージに押し込むもすぐに酒井が離れた。残り2分のところで酒井の左フックがマルチネスの顔面を捉える。マルチネスは鼻のあたりが赤くなってきた。左フックを受けたマルチネスが酒井をケージに押し込むも、ここも酒井が離れてケージ中央に戻った。左ジャブ、左フック、左ボディストレートと左でコントロールする酒井。マルチネスは鼻のあたりから出血が見られるように。最後はケージに押し込んで初回を終えた。
2R、酒井がローを見せる。左を突き続ける酒井に対し、マルチネスが連打からダブルレッグで組みつき、背中を着かせた。ハーフガードで守る酒井の顔面に前腕を押し付けるマルチネスは、パウンドとヒジの連打に切り替えた。立ち上がる酒井のバックに回るマルチネス。酒井は離れるも、マルチネスが再びダブルレッグを狙う。
スタンドに戻ると、互いのフックが当たる。流血が見られる酒井をテイクダウンしたマルチネスは、左のパウンドとヒジを落としていく。亀になった酒井にサッカーボールキックを浴びせるマルチネスだが、ここは酒井が立ち上がってパンチを打ち返した。組みついたマルチネスがケージに押し込み、左前腕を押し付けながら右アッパーを繰り出すなど優位な体勢で2Rを終えている。
最終回、酒井の負傷に対してドクターチェックが入ったあと、再開される。酒井はパンチを振るうも、マルチネスのパンチが正確に酒井の顔面を捉えている。シングルレッグからケージに押し込んでいくマルチネス。しかし酒井が右の小外掛けでテイクダウンを奪った。ハーフガードのマルチネスが下から酒井を抱え込む。右腕を枕にして抑え込む酒井は、マルチネスの顔面とボディにヒジを落としていく。腰を上げてサッカーボールキックを連打しながら立ち上がった酒井を、マルチネスがケージに押し込んで試合を終えた。
採点はジャッジ5名が全員28-28のドローにつけたが、マストシステムで5名全員がマルチネスの勝利とした。ヘビー級王座を統一したマルチネスは「15年もの間、日本で試合ができて嬉しいです。酒井選手がタフな相手で、良い試合になったと思います。ありがとうございます」と挨拶した。
本日9日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118 Impactで江藤公洋が、DEEPライト級王者イ・ソンハに挑戦する。
Text by Manabu Takashima
レスリングからMMAに転向した当時から、そのポテンシャルの高さは認められてきた。しかし、その強さを発揮しきれない。試合になると、気持ちで前に出られないということも指摘された。そして勝てば、コントロールで地味というレスリング&コントロールファイターに付きまとう問題も、江藤は持ち続けてきた。
その江藤が2020年9月に青木真也に完敗を喫して以来、ここまで5連勝でタイトル挑戦権を獲得した。ハマれば超絶に強かった江藤が、自分の嫌な展開でも試合を創れるようになった。その背景に指導、中村K太郎のマンツー・スパーが存在した。
──HEARTSでレスリングクラスを持っていると聞いて見学させていただいたのですが、MMAグローブを着用してMMA用のレスリングを指導されていました。
「そうですね、大沢さんからMMAのレスリングとグラップリングを重点的にプロ選手に指導してほしいと2カ月ぐらい前に尋ねられて、やらせてもらうようになりました。HEARTSの底上げという目的もあって、始めた感じです。ピュア・レスリング、ピュア・グラップリングではなく、MMAにアジャストした形でやらせてもらっています。
ピュア・レスも大切なのですが、やはり組んだ距離でMMAの間合いと違ってきます。間合いの設定が違うと、切り崩し方も違ってくるので。そういうところでMMAレスリングの指導を心掛けています」
──MMAレスリング=壁レスとなりがちですが、今日はそうでない場所での指導でした。
「壁も大切です。でも中央で相手を制することも大切で。壁だけでなく、両方でやっていますね。中の動きと壁の動き、壁という要素が加わってもベースは共通しています。中央でやることを、壁を使ってやりましょうという意識を持っています」
──しっかりと伝える言葉も持たれていました。
「パーソナルの指導なども続けてきて、その時に自分だけの視点ではなく、色々な視点があることを頭に技術を修得するようになりました。一つのアプローチだけでなく、多方向の視点を持つことが大切だと思うと、指導する時に色々なアプローチから説明できます。そこがファイターとしての自分の成長に繋がっていると思います」
──指導することで、自ら成長できたと。
「色々な視点で見ることで、崩し方や動きに対してアプローチの種類が増えました。特に相手の特性も理解できて、思考が分かるようになったことが大きいです」
──なるほどぉ。指導で得たことを自らの練習で試す?
「ハイ。それで自分が使う場合は、無理だと判断して切り捨てることもあります。でも、指導するうえで切り捨てる知識はない。それを知ることでも、自分の成長になります」
──現在、5連勝です。その指導をすることが、好調の要因にもなっていますか。
「青木さんと試合をするまで(2020年9月)、ただ練習をしていると強くなるという風で考えていなかったです。あの敗北から色々と変えないといけないと思うようになりました。メンタル面でも変に気合を入れるとか、良いところを見せようとして逆に迷ってしまって普段通りの力を出せない。そんな自分を認めたくなかったのが、あの試合で何もできないことで──そんな自分が恥ずかしくて、格闘技を辞めた方が楽だという気持ちにもなりました」
──ハイ。
「でも楽な方を選ぶと、それは簡単ですよね(笑)。あそこで自分の色々なモノを壊して自分を創りなおした方が人間として成長できると思って、ここまで取り組んできました。5連勝の裏で試行錯誤して、なかなか上手くいないこともありました。そのなかで一つ一つを噛み砕いて、検証することでここまで来ることができました。今もまだ過程ですけど、今の自分をぶつけることが凄く楽しみです。日常を切り取った部分で、今回の試合では皆に見て欲しいという気持ちがあります」
──RIZIN LANDMARKの雑賀ヤン坊達也戦と、DEEPの北岡悟戦。前者の方が良い試合だと思われるかと思いますが、個人的には後者の方が恐怖とも向き合っていた感があります。
「そうですね……落とせないという気持ちもありました。それが自分の弱さだと思います。決め切れないところは課題で、でも試せたことはプラス。まだ僕は完成していないので。怖さも自分のなかで受け入れていますし、やってきたことをやる。回りの目を気にすること……そこも大切なのですが、そこも含めて自分のやってきたことが出せるか。練習の方が強い自分がいる。そこに近づくために、もがいている自分が今もいます。それが徐々に良くなっているので。人にチヤホヤされたくて格闘技をやってきたわけじゃなくて、強さを追求するためにやっている。そこはブレないようになりました。良い試合だった──で良いのか。積み上げて来たものを出す方が、大切だと自分は思っています」
──その積み上げるなかで中村K太郎選手とのマンツーマンのトレーニングの意味合いが大きいと聞いています。
「ハイ。自分が成長できる一番のパートナーです。K太郎さんとの練習は思い描いたことできない。テイクダウン、スクランブル、打撃とコントールできないから、際の攻防の練習ができる。
打撃、組み技、寝技とどの局面でも練習ができて、K太郎さんという自分が日本で一番強い選手とやれている。そこが自分の自信になっています。試合より厳しいことをやっている。相手より強い選手とやっていることは絶対ですし。
試合なので、一発貰うこともある。でも、そこ以外だったら絶対に競り負けないという気持ちになれました。どんな展開でも引かない。気持ちの強さは、K太郎さんとの練習で身に着けられたものです。練習で試合よりしんどいことをやって、試合でしんどいことを相手にさせます」
──そのなかでDEEPライト級王座に挑戦。チャンピオンは韓国のイ・ソンハで国際戦となりました。
「流れが変わってきましたね。対日本人でなく、今だと対アジアに。それって大切なことだと思います。だから自分はONEにチャレンジしたし、対日本人でなく対世界を見据えて色々な技術を修得してきたので」
──ではイ・ソンハの印象を教えてください。
「手足が長く、打撃も組み技もできる。だから、面白い。このところ、勝ってホッとすることばかりで。なんか熱くなることがなかった。その点、今回はどうなるのか楽しみです。どれぐらいかは、組んでみないと分からない。勝ち筋はある程度思い描けていますが、それが実際に戦ってどうなるのか。その面白さはありますね。打撃、テイクダウン、寝技、全部で勝負したいです」
──イ・ソンハは「自分が面白い試合をするので、そこは気にしないでください」ということ言っていました。
「まぁコントロールされない自信がるからって、その後の攻防を自分ができないと思っているなら間違っています。仮にテイクダウンからコントロールができなかったら、その先を見せることができるので、それは必然と面白くなるでしょうね。
ただ僕がコントロールできてしまうと、殴り合いも何もない面白くない試合になるということですよね。じゃあ、頑張ってねっていう話です。面白い試合にしたいなら、コントロールされないように頑張って。そうなっても、その先を見せるから」
──ブラボーです。
「だって動けない奴が悪いわけで。動けてスクランブルの攻防まで持ち込めば良いじゃないですか。なんでコントロールできているこっちが、わざわざ動かないといけないのか。動けない、お前が悪いんだよってことですよ。コントロールされて、時間がきてブレイクって──それは審判に助けてもらっているだけ。まぁ、面白い試合云々っていうならちゃんと頑張って、逃げてねって」
──長い年月を掛けて、一皮剝けた。言葉にすると簡単になってしまいますが、凄く重みのあることだと感じました。
「変われたかな……ただやっていれば結果が出る。そんな風に思っていましたけど、それじゃあ体が強くなるだけ。そして色気をもって戦って、自分を出せない。そういう弱い自分を飲み込んで、克服するにはどうするかを考える。そこで練習環境、練習内容を組み立てることができてきました。強くなるための過程にあるなかで、今回の試合でどこまでできるのか。やっぱり、そこは楽しみです。今回のタイトル戦は、対アジアに到達しているのか。その査定試合になります」
■視聴方法(予定)
3月9日(土)
午後5時45分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV
■ DEEP118計量結果
<DEEPメガトン級王座統一戦/5分3R>
[正規王者]ロッキー・マルチネス:108.5キロ
[暫定王者]酒井リョウ:106.9キロ
<DEEPフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]神田コウヤ:65.7キロ
[挑戦者]青井人:64.7キロ
<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者]イ・ソンハ:70.3キロ
[挑戦者]江藤公洋:70.35キロ→70.15キロ
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌:61.5キロ
雅駿介:61.7キロ
<フェザー級/5分2R>
五明宏人:66.2キロ
木下カラテ:66.1キロ
<ライト級/5分2R>
川名 TENCHO 雄生:70.55キロ
倉本大悟:70.8キロ
<バンタム級/5分2R>
平松翔:61.65キロ
魚井フルスイング:61.2キロ
<バンタム級/5分2R>
力也:61.6キロ
小崎連:61.55キロ
<アマチュア・フェザー級/3分2R>
信原空:66.05キロ
菅涼星:66.15キロ
【写真】ただ一人再計量となった江藤だが、余裕でクリア。なお、この時点で青井と福田はまだ計量会場に到着していなかった(C)MMAPLANET
明日9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118 IMPACTの計量が8日(土)に新宿区ホテルローズガーデンのオークルームで行われた。
Text by Manabu Takashima
メガトン級王座統一戦、フェザー級&ライト級と3階級のタイトルマッチが組まれている大会の計量は、フェザー級選手権を戦うチャンピオン神田コウヤとチャレンジャー青井人が揃って開始時間に姿を見せないという予想外の状況でスタートが切られた。
神田に挑戦する青井と雅駿介と対戦する福田の関西組は、人身事故の影響で何と米原で1時間に渡り新幹線の中で缶詰状態に。今回はバンタム級に挑む福田は、この4キロ強の減量幅の違いに命拾い。「フライ級やったら、ブチ切れていましたよ」という言葉も、そのフライ級での計量直後のようなかすれ気味の声でなく力のあるものだった。
そんな福田とともに東京駅からタクシーで計量会場に移動しても疲れを見せなかった青井の挑戦を受ける神田も、予期せずアクシデントに見舞われていた。自宅で水抜きに入った神田だが、なんとバスタブの栓が壊れており、お湯が溜まらないという状況に追い込まれる。
その影響で体重を落としきれなかったチャンピオンは、計量会場近くのサウナで最後の1キロを落とし、クリア後もその表情からは安堵と疲れが感じられた。
そんな神田に対し、Black Combatの撮影チームは容赦なくインタビューを始め「フェザー級王者が神田選手との対戦を求めています。どう思いますか」等と明日の防衛戦もお構いなしの質問をする。これには神田に帯同していたパラエストラ千葉ネット代表もラストウィークに入った鶴屋浩代表も苦笑いを浮かべるしかなかった。
そのBlack Combatのブラック代表の姿も計量会場で見られたが、氏は2週間後のDEEP JEWELSにも来日するとのこと。中国のWLFとの対抗戦の計画も進むBlack Combatの次回大会は4月20日に予定されており、ブラック代表によるとDEEPから4人の日本人選手を招聘する予定だという。
イ・ソンハの持つDEEPライト級王座に挑む江藤公洋は、本計量では50グラム・オーバーだったが、最計量では200グラムも落とし余裕でクリア。江藤が所属するHEARTSからは木下カラテ、魚井フルスイングも今大会に出場しており、計量会場にも出場選手だけで現れ、魚井がかいがいしく江藤のサポートをしていた。
またメディアよりも撮影に懸命なパラエストラ八王子の塩田歩代表に4月29日のRIZINフェザー級選手権試合に関してコメントを求めると──。「もう独立していますけど、金ちゃん(金原正徳)と今指導している千裕(鈴木千裕)君があの舞台でベルトを賭けて戦うというのは、本当に嬉しいです。ただ僕はもう100パーセント、千裕君のサポートですから」と言葉が聞かれた。
■視聴方法(予定)
3月9日(土)
午後5時45分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV
■ DEEP118計量結果
The post 【DEEP118】計量よもやま話。青井&福田は新幹線に缶詰め&神田はバスタブ壊れる。次回Black Combatは… first appeared on MMAPLANET.【写真】プロフェッショナルファイターとして、MMAを戦う職人としての福田の言葉から気づかされることは多い(C)SHOJIRO KAMEIKE
9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118にて、雅駿介と対戦する福田龍彌がインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
福田は1月の平良達郎との練習で「殴り合いの強さ」を再確認したという。殴り合いの強さを生み出す理由の一つは、福田の練習への取り組み方にある。その最たるものがボクシンググローブとMMAグローブの違いだ。バンタム級の戦いでも、殴り合いの強さを発揮できるか。雅のムエタイMMAとの邂逅で、そうした技術ポイントにも注目してほしい。
<福田龍彌インタビューPart.01はコチラから>
――殴り合いといっても、福田選手の場合はパンチをブンブン振り回しているわけではないですよね。振り回す相手に対して、カウンターでインサイドから急所を突くことができる。
「そういう能力がある、とは自分でもそう思っています。みんながガムシャラに打ち合っちゃうときに、ちゃんと相手の動きを最後まで見ることができるというか」
――しかも、そんななかで正確に自分のナックルを当てきることができる。たとえば2月18日のパンクラス大阪大会では、メインとコメインは正確な左ジャブの積み重ねがフィニッシュに結びつきました。
「あぁ、なるほど。まさに基本どおりで」
――はい。UFCを見ると、その正確性は究極的に高まりますよね。試合写真も左ジャブがまっすぐ伸び、ナックルが相手の鼻突を捉えているものばかりで。国内のファイターの中で福田選手は、右ジャブも左ストレートもその正確性が飛び抜けていると思います。
「そうですね。やっぱりパンチについては――僕、ボクシンググローブを着けて練習することが、ほとんどないんですよ。ボクシンググローブでスパーするのは止めました。ボクサーやキックボクサーの人と、ボクシンググローブをつけてマススパーをやることはありますよ。でもガチで倒し合うスパーはやらないです。しっかり当てる練習をする時ほど、MMAグローブでやらな意味ないと思っているんで」
――ボクシンググローブを使わなくなったのは、いつ頃からでしょうか。
「3年前ぐらいじゃないですかね。そもそもパンチの練習って、そんなにスパーは必要ない。MMAファイターはスパーリングをしすぎやと思っています。ボクシンググローブの練習に時間を割きすぎても良くない。確かにそのバランスは難しいところではありますけど、ちゃんと考えて練習しているファイターもいるから。MMAグローブでフォームや当てる時のインパクトの練習をするほうが大事じゃないですか。本来、MMAってジムに持って行く練習用具が少ないはずなんですよ」
――というと?
「持って行くのはMMAグローブ、マウスピース、あとファウルカップぐらいじゃないですか」
――レガースは持って行かないのですか。
「僕はレガースを着けないです。レガースを着けていると、組まれた時の足の抜き方も違ってきますからね。スパーリングで相手に生のスネで蹴られても文句は言わないし、僕も生スネで蹴ります。パンチと同じように蹴りでも思いっきりやらないというか、練習に威力は必要ないと思うんですよ。どちらかといえばフォームやタイミング、距離感、角度のほうが大事で。スパーでそれらを掴むことができていたら問題ないです」
――柔道やレスリングなど組み技競技は乱取り稽古がある影響で、MMAでもいわゆるガチスパーが多くなっているのでしょうか。ジムの指導方針にもよりますが、ボクシングやキックボクシングの場合は練習の中でガチスパーの割合は高くないですよね。
「もちろんガチスパーも大切ではありますよ。でもその割合をMMAに適用するのはどうかな、って思います。ファイターのタイプにもよるけど。組技でも乱取りだけでなく打ち込みがあって、スパーリングばかりしているわけじゃない。でもMMAはスパーが多くなるという面はあって」
――福田選手がタイにいた頃のムエタイジムはどうでしたか。
「スパーはやりますよ。でもスパーの中で、騙し合いみたいなものをメインにしていました。ガツガツと倒し合うスパーは週2回ぐらいったかなぁ。もうだいぶ昔の話ですけど。タイの場合は特にトレーナーさんがミットを持ってくれる量がハンパないから。トレーナーさんがミットで受けながら、しっかりと打ち返してくれるじゃないですか。ミット打ちの中にスパーに近い要素がありますよね。僕とウエタユウ(MIBURO代表)さんのミットも、そんな感じで。自分のファイトスタイルが固まっている選手であれば、実戦に沿ってそのスタイルの質を上げるための練習をするべきやなって思います」
――国内でいえば、リオン武選手はMMAグローブでナックルの当て方が最も巧いファイターの一人だと思います。これは10年前に取材で訊いたことではありますが、リオン選手もボクシンググローブで練習したことはなかったそうです。そして、拳を骨折したこともないという。
「リオン選手は巧いですよねぇ。ボクシンググローブを使わないのも、よく分かります。何が一番違うかといえば、ボクシンググローブってしっかりと握りこまないんですよ。というか、握り込めない。特に親指が浮いた状態になって――その感覚やとMMAグローブでは、しっかり殴れないです。あと骨折も自分は一度ぐらいで、それ以外は怪我をしたことがなくて。
サンドバッグもMMAグローブでやったほうが良いですよ。ボクシンググローブでやると、どうしても腕の振りだけで強く当てようとしますから。すると『バーン!』という表面的な音だけで、みんな酔いしれてしまう。その打ち方では、頭やヒジとか堅い箇所に当たると拳が折れてしまうんです。正確にナックルを当てる感覚も、微妙な拳の握り具合の感覚も身に着かない。僕のことを理解して、大切にしてくれている人にはOFGの練習を推奨していますね。……今日、こういう話で良いんですか?」
――そうした練習の取り組み方こそが、プロフェッショナルファイターの証ではないでしょうか。以前のインタビューで福田選手が仰っていた、「料理している姿を見ていているだけでも面白い」という料理人さんの姿と同じで。
「なるほど。その所作が重要ですよね。ブンブン振り回してKOしているところを切り抜いただけでは、『オレも勢いだけで行けるんちゃう?』と勘違いされてしまう。僕は試合で『福田のテクニックって凄いなぁ』と思ってもらえるようなものを提供したいです。それがプロフェッショナルやし、プロとしてこだわる部分じゃないですかね」
――なるほど。貴重なお話をありがとうございます。そこで次の試合に関してですが、最初のオファーからバンタム級で雅選手と対戦というお話だったのですか。
「最初は1月のBlack Combatが終わるまで分からへん、って感じでした。もちろん雅選手との試合という案も最初からあったでしょうし、たぶんユ・スヨンの試合がどうなるかによって変わるのかなと思っていて」
――今回の試合で重要なポイントは、対戦相手が雅選手であることはもちろん、福田選手がバンタム級で戦うという点だと思います。
「現状、神龍君とのフライ級王座統一戦はないでしょうからね。GPが終わって、フライ級で戦いたい相手もおらへんし。それと最初の話にもあったように、やっぱりカザフスタンの試合からダメージが残っていて。ここでフライ級まで落とすために労力を使うのも違うのかなと思ったんですよ。
僕も30歳を過ぎて、フライ級まで落とした翌日にベストコンディションで試合できるかどうかは――正直言って自信はないです。カザフスタンの経験も生かしたうえで、多少は体格が小さくてもバンタム級で試合をしようと決めました。
もしかしたらバンタム級では組んでグシャグシャにされるかもしれないし、『やっぱりフィジカル差があるよね』と言われるかもしれない。でも僕にとってのMMAは、そういうものだけじゃないと思っているので」
――実際に試合をしてみないと分かりませんが、グシャグシャにされるかどうかは当日のコンディションに依るところも大きいのではないですか。先ほど福田選手ご自身が言われたとおり、フライ級まで落とした翌日のコンディションと、バンタム級で臨む当日のコンディションも違うでしょう。
「ぶっちゃけフライ級の時は、翌日までにコンディションを戻せる自信はなかったです。GP決勝戦はコンディションも最悪で……。体の中で何かが固まっている感覚があったんですよ。呼吸も浅くなっていたりとか。計量後にそれほど食べたり飲み物を摂取していたわけでもないのに。
そこまでの減量をしてまで、フライ級にこだわる気持ちはなかったです。僕はもう名声やタイトルは求めていないわけですよ。とにかく戦うことを生業として、戦いを楽しみたい。でもフライ級で続けると、戦いを楽しむことができないと思って」
――……。
「決してバンタム級をナメているわけじゃないです。バンタム級だと相手の体も大きくて、強い選手も多い。そっちのほうがヒリヒリした試合ができるんじゃないかと思っています。次の対戦相手の雅選手なんて、特に最近は良い勝ち方をしているじゃないですか」
――雅選手もムエタイを生かした自分のMMAスタイルが固まってきて、一気に勝ち星が増えてきたと思います。
「そうそう。ナックモエとかじゃなくて、完全なMMAファイターになっている。レスリングもしっかりしているじゃないですか。最近は首相撲よりレスリング技術のほうが印象に残っていますね。MMAを始めて、本当に一つひとつ積み上げてきたんやなって思います。雅選手は、そういう努力家の面が試合で見えるファイターで。だから僕としては純粋に試合を楽しむことができると思いますよ。雅戦は良いセッションにしたいです」
■視聴方法(予定)
3月9日(土)
午後5時45分~YouTube DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、U-NEXT、サムライTV
■ 対戦カード
<DEEPメガトン級王座統一戦/5分3R>
[正規王者]ロッキー・マルチネス(グアム)
[暫定王者]酒井リョウ(日本)
<DEEPフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]神田コウヤ(日本)
[挑戦者]青井人(日本)
<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者]イ・ソンハ(韓国)
[挑戦者]江藤公洋(日本)
<バンタム級/5分3R>
福田龍彌(日本)
雅駿介(日本)
<フェザー級/5分2R>
五明宏人(日本)
木下カラテ(日本)
<ライト級/5分2R>
川名 TENCHO 雄生(日本)
倉本大悟(日本)
<バンタム級/5分2R>
平松翔(日本)
魚井フルスイング(日本)
<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
小崎連(日本)
<アマチュア・フェザー級/3分2R>
信原空(日本)
菅涼星(日本)
【写真】福田が階級を変えることで予測できない局面が多く、非常に楽しみな一戦だ(C)MMAPLANET
24日(水)、DEEPより3月9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118 Impactの追加カードを発表されている。
Text by Manabu Takashima
既にメガトン王座統一戦=ロッキー・マルチスネス酒井リョウ、フェザー級選手権試合=神田コウヤ青井人、フェザー級王者イ・ソンハ江藤公洋という3つタイトル戦を含む7試合が明らかになっていた同大会に、さらに3つのマッチアップが加わった。
その一つが、福田龍彌がバンタム級に階級を上げて雅駿介と相対するバンタム級3回戦だ。
福田は9カ月をかけて行われたフライ級GPを制し、昨年9月にはRIZINで山本アーセンにTKO勝ちを収めると、12月にはNAIZA FCでフライ級王座に挑戦。結果はジュースパワー全開のジアス・エレンガイポフのテイクダウンの猛威に判定負けを喫した。
それでも「お前なら、ステロイドを打つとUFCでチャンピオンになれるぞ」というカザフスタンのMMA関係者から声を掛けられたという話が伝わってくるほど、強さという面でも中央アジアに足跡を残していた福田。帰国後インタビューでバンタム級転向も示唆していたが、早くも実現することとなった。
対する雅は、2023年は3連勝と右肩上がりの勢いがある。国内ムエタイ三冠王はテイクダウンに圧倒的な強さを見せるようになり、TD&コントロールで3試合連続の判定勝ち──つまりドミネイト力を見せてきた。
とはいっても福田は過去に雅が戦ってきた相手と比較すると、MMAファイターとしての完成度の高さはピカ一だ。テクニシャンながら乱打戦もできる打撃、テイクダウンから寝技に関しても攻防どちらも無難以上にこなす総合力は。GPの各試合を見れば明らかだろう。
気になるフィジカルの差だが、福田の水抜き減量は過酷そのもので、バンタム級の方が無理がないという見方も成り立つ。そんな福田に対してだからこそ、雅の持つ首相撲&ヒジ、ヒザ──そして崩しというムエタイ力が生きるのではないだろうか。ムエタイに頼ることなく、MMAで勝ち続けた1年を経たからこそ、雅のムエタイがMMAで最大限に生きる。そんな時を迎えた──という期待感が確実に持てるのが、今の雅だ。
現在、ユ・スヨンが持つDEEPバンタム級のベルト、国内の情勢を見てもこの一戦の勝者が次期挑戦権を獲得することは間違いないだろう。
この他、17歳の超新星=秋元強真が鹿志村仁之介に挑む一戦と日比野”エビ中”純也木下尚祐戦というバンタム級2回戦も決定している。
また3月24日(日)に港区のニューピアホールで行われるDEEP JEWELS44では20日のBlack Combat10で物言いがつく内容ながら須田萌里を破り、Black Combat女子アトム級王座の防衛に成功したパク・シユンが、ついにDEEP JEWELSアトム級王座の防衛戦で伊澤星花の挑戦を受けることが決まっている。
指導者とともにレスリングが強いことで、絶対的に伊澤越えに自信をうかがわせるパク・シユンだが、伊澤のテイクダウンと即・極めサブミッションへの防御力はいかほどのものか──ビッグマウスの真価が問われるタイトル戦だ。
同大会では同じ韓国からパク・ジョンウンも参戦し、HIMEと49キロ契約3回戦で戦う。日韓ストライカー対決という見方もできるが、それだけにパク・ジョンウンのグラップリングに対するHIMEの受けの強さと、ストライカーと対した時の打撃の強さが問われる一戦となろう。
The post 【DEEP118&DEEP JEWELS44】バンタム級転向の福田龍彌に、雅駿介のムエタイが爆発か! そして、伊澤降臨!! first appeared on MMAPLANET.【写真】一昨年5月の対戦では神田が青井に競り勝ったが、今回はさらに激しい戦いが繰り広げられそうだ(C)MATSUNAO KOKUBO
11日(木)、DEEPより3月9日(土)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP118 Impactの対戦カード──タイトルマッチ3試合を含む──7試合が発表されている。
Text by Manabu Takashima
タイトル戦はメガトン王座統一戦としてロッキー・マルチスネス酒井リョウ、フェザー級選手権試合は牛久絢太郎の階級変更&返上により暫定から正規王者となった神田コウヤが、青木人を挑戦者に迎える。さらに昨年9月のDEEP vs Black Combatの対抗戦でDEEPライト級王座を韓国に持ち帰ったイ・ソンハが初防衛戦で、江藤公洋の挑戦を受けることが決まった。
この他、2回戦ではライト級で川名TENCHO雄生倉本大悟、フェザー級で五明宏人木下カラテ、バンタム級では平松翔魚井フルスイングの3試合。加えてオープニングのアマMMA=信原空菅涼星戦が明らかとなった。
Black Combat勢の手に渡ったDEEP JEWELS女子アトム級とDEEPバンタム級王座は、パク・シユンとユ・スヨンの両チャンピオンが20日のBlack Combatで防衛戦とスーパーファイトが控えているため、同大会に来日できるのかは20日の試合結果次第だろう。
そのBlack Combatとの対抗戦では、腕十字で敗れた暫定王者の酒井がRIZIN & UFC帰りのマルチネスと4年振りの再戦でリベンジなるか。フェザー級選手権試合はRoad to UFC準決勝敗退の悔しさを胸にDEEP王者としてケージに戻ってくる神田。対するはBlack Combatフェザー級シン・スンミンに完勝し、いよいよその持ちうるポテンシャルが全開し始めた青井。青井にとっては、昨年5月の雪辱を果たすタイトル戦ともなる。
大原樹理をスロエフストレッチで破ったライト級王者のイ・ソンハは長いリーチを生かし、遠い間合いで戦える選手だ。
あの長い距離で立ち、江藤のテイクダウンダウンをどれだけ牽制できるのか。
イ・ソンハは自分の形で組んで場合、その長い手足を生かして肢体に絡みつく強さは大原戦で十分に披露している。
それでも下になった時に、江藤のコントロール&ドミネイトに対し、柔術的な極めやスクランブルで有効な反撃態勢に入れるのか──非常に興味深い、マッチアップといえる。
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<メガトン級/5分3R>
水野竜也(日本)
Def.2R0分17秒 by KO
SAINT(米国)
サウスポーの水野が右フックから左ストレート。SAINTが右のヒザ蹴りと右ハイ、左を見せてインローを蹴る。水野は左ボディストレートを見せつつ、インローを蹴る。SAINTも左ジャブを伸ばして右ストレート、右の飛びヒザ蹴りから右フックにつなげる。
水野はシングルレッグでテイクダウンするが身体が離れてしまい、SAINTが立ち上がる。SAINTが水野をケージに押し込んでヒザ蹴りを放つと、これがローブローになってしまう。
再開後、水野が左ストレートを当ててダブルレッグでテイクダウンする。立ち上がるSAINTのバックにつくと両足をフックして体を伸ばす。RNCを狙いつつ、ハーフガードでトップキープすると、半身になるSAINTにパンチをまとめる。
2R、水野が左ストレートから右フック、再び右フックを入れると、そこから顔面へのヒザ蹴り。これでSAINTが前のめりに崩れ、水野がKO勝利を収めた。
試合後、水野は「なんとかメインを飾ることができました。煽り映像でメガトン級トップ戦線超有力候補と言われていたSAINT選手に勝ったので、もう一回タイトルマッチをやらせてください」とタイトル挑戦をアピール。解説席にいたDEEPメガトン級暫定王者の酒井リョウは「最低でも2連勝か3連勝しないとダメでしょ」とそれを一蹴した。
【写真】107.2キロで計量をパスした。Nariagari対抗戦の時は105.9キロだったが、昨日の計量の方が仕上がっているボディに。昨年11月の酒井リョウ戦の時は122.2キロだった(C)MMAPLANET
23日(木・祝)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP Tokyo Impact2023#06で、ハリーKIMURAと対戦する赤沢幸典のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike
山田崇太郎の下でトレーニングを開始した赤沢は、練習や試合の中で肉体の機能面でも大きな変化を感じていたという。2連敗からNARIAGARIとの対抗戦を経て、国際戦に挑む今大会――機能が向上したからこそ、やることはシンプルに。赤沢が包み隠さず次の試合について語ってくれた。
<赤沢幸典インタビューPart.01はコチラから>
――4月1日から肉体改造を始めて、23~24キロ落ちたのはいつ頃ですか。
「確か始めてから3カ月ぐらい経ったあたりですね」
――ということは、7月にDEEP×NARIAGARIの対抗戦で、朝太選手に勝利した時にはトレーニングの効果が出ていたのでしょうか。対戦相手との実力差もあり、過去の試合と比較するのは難しいかもしれませんが……。
「いえ、それが効果は出ていたんですよ。試合映像を視直していただければ分かるのですが、テイクダウンに行った時の初動がかなり速かったです。特に重量級ファイターの中では、かなり速いほうではないかと思います。しかも遠い距離からスパン!と入ることができて、山田さんトレーニングの効果を感じることができました」
――なるほど。試合当日だけでなく、試合に向けた練習の中でも効果は感じていましたか。
「はい。GENでの練習でいえば、重量級は通常のスパーリングでも一本やって一本休むか、頑張って二本やって一本休む――といった感じだと思うんですね。それがNARIAGARIとの対抗戦の前は、一本5分で7~8本連続でスパーしていました。しかも岡見さんや水野(竜也)さんといった日本重量級のトップファイターを相手に、全ラウンドでテイクダウンすることができて」
――ハッキリと効果が出ていますね。山田トレーナーの指導は、週何回のペースで受けているのでしょうか。
「週3~4ぐらいですね。だけど実質的には、週7でやっていると思ってください」
――週7でトレーニング!?
「これを言うと信じてもらえなかったり、あとは『赤沢は頭がおかしくなったのか?』と言われたりするんですけど(笑)。今、オフの日はないです。週末も有酸素運動というか、4時間ぐらい歩いていますね。
今回のファイトキャンプ期間って、土日は山田さんのトレーニングを休む代わりに4時間歩いていました。土曜日に4時間、日曜日に4時間――と。住んでいる幕張から千葉駅前のスタバでレギュラーコーヒーを買って、幕張まで帰るという(笑)。そんな嘘のような本当の話です」
――えぇっ!? 幕張駅から千葉駅まで約8キロありますから……それは岡見選手も、おだてる意味ではなく本当の気持ちとして「今の赤沢のトレーニングはこなせない」と仰ったのかもしれませんね。ではNARIAGARIとの対抗戦以降も、トレーニングの成果を感じ続けている状態なのですか。
「それは感じていますね。4月からNARIAGARIとの対抗戦まで、僕の人生で一番キツい期間だと思っていました――あの時は。でも、そんなことはなかったんんだなって(笑)」
――今はもっとキツくなっているということですね。
「土日、オフの日も無くなってしまいましたから。あとは山田さんから『練習もするけど、ケアもしろ』と言われたんですよ。今は練習と同じぐらいの時間をケアに充てています。結果、1日が練習とケアだけで終わるようになっていて」
――お話を聞いていると、今MMAをやっていて楽しいのではないですか。
「これは本当に、メチャクチャ楽しいです。これまでの間、何度も山田さんとも衝突しました。山田さんは僕を強くするために妥協がない。でも僕は山田さんに励ましてほしいとか、そういうものを求めていて……。すると、ある時に山田さんから説教を食らったんですよ。
『お前は慰めてくれる仲間が欲しいのか? 慰めてほしいなら慰めてやるけど、それが本当に欲しいものなのか。お前は厳しいことを言われて勝つのと、慰めてもらいながら負けるのは、どっちが良い?』と。僕の中でも『そうだ、違うよな』と思うようになって。そんな感じで、メンタルの面でも山田さんにお世話になっています」
――何歳になっても新しい発見がある。MMAというものは奥が深いですね。
「本当にそう思います。いろんな要素があっても実際にやるべきことは、すごくシンプルで。試合前にタネ明かしをしてしまいますけど、実は今回の試合に向けて何もやっていないんですよ」
――それは対策練習を行っていないという意味ですか。
「はい。シンプルに打撃をやって組み、テイクダウンしてパウンドを落とす。ただただソレだけをやっていて、だからこそ自信があるというか。肉体の機能が上がったことで、自分が思っていることを具現化できるようにもなりました」
――まさに電池が100パーセントに近づき、もともと存在していた機能を使えている状態になっているわけですね。
「そうです。あとは、あえて減らす作業といいますか――僕は器用であるがゆえに、『これを試してみよう。あれも試してみよう』と考えていたと思います。でも今は、あえて他のことには目を向けずに2、3個のことしかやらない。やることを減らす、使わないものを減らしていくという作業もやっています」
――それだけ大きな変化をもたらした要因として、ブラックコンバットの対抗戦もそうですし、昨年11月の酒井リョウ戦での敗北は大きかったのでしょうか。
「あの2連敗で『もう終わったな』と思いました。ベルトを巻くチャンスを逃して、次に自分からブラックコンバットとの対抗戦に出たいと言っておいて――せっかくメンバーに入れてもらって、しかも2勝2敗で迎えた最後の試合だったじゃないですか。最も自分が目立てる場面であったにも関わらず、一番やっちゃいけない負け方で」
――……。
「あの場面で、ガス欠で負けてしまった。ネットでアンチコメントも見ましたし、『もう引退しろ』という声も耳にしました。『指導者をしていたほうが良いんじゃない?』とも言われましたし、実際に自分でもそう思ったり……。でも、ふと考えたんですよね。『ここで辞めるなら、なぜカナダから日本に戻ってきたんだよ』と。そう考えている自分の前に、山田さんがいました」
――31歳で新たなトレーニングも始めて、今は生まれ変わったと言えるのでしょうか。
「う~ん……あんまり大きな発言をすると何か言われそうで、正直怖いです(苦笑)。自分は生まれ変わったかもしれません。でも、まだ100パーセントじゃない。完全体ではないけれど、順調に『やりたいことができる』肉体に変化していると思います」
――その変化を見せつける相手、ハリーKIMURA選手の印象を教えてください。
「嫌な相手ですよね。僕の中で『テイクダウンしたら勝てる』という自信が深まっているなかで、テイクダウンしてからのほうが危ない相手ですから。体もしっかり出来ていて、ただのヘビー級ではないし、いろんなところからキムラを狙ってくるのは怖いですね。
相手がどう考えているかは分からないけど、僕が組まずに距離を取って打撃で勝負すると思っているかもしれないです。でも、その戦い方を選択してしまったら、自分が自分ではないというか。『結局、相手に合わせているじゃん』と思われてしまう。だから今回は、あえて自分の強いところで勝負します。打撃からテイクダウン、そしてパウンド—―これだけですね」
■DEEP TOKYO IMPACTO2023#06視聴方法(予定)
11月23日(木・祝)
午後5時5分~DEEP チャンネル-YouTube
■DEEP TOKYO IMPACTO2023#06計量結果
<メガトン級/5分3R>
水野竜也:103.15キロ
SAINT:111.2キロ
<メガトン級/5分3R>
赤沢幸典:107.2キロ
ハリーKIMURA:──キロ
<メガトン級/5分2R>
稲田将:104.3キロ
トーマス:107.2キロ
<ウェルター級/5分2R>
嶋田伊吹:77.55キロ
鈴木琢仁:77.4キロ
<フライ級/5分2R>
島袋チカラ:56.75キロ
京之介:57.15キロ
<フライ級/5分2R>
安永吏成:57.05キロ
坂本岳:57.05キロ
<ウェルター級/5分2R>
前田啓伍:77.15キロ
山田聖真:77.15キロ
<バンタム級/5分2R>
岩見凌:61.45キロ
生田大雅:61.35キロ
<ライト級/5分2R>
BAGGIO:──キロ
宮本誠一:70.2キロ
<メガトン級/5分2R>
JUICY:74.05キロ
Peach:──キロ
<アマチュア・キック52キロ契約/1分30秒2R>
横江明日香:51.6キロ
島村優花:51.5キロ
<アマチュア・フェザー級/3分2R>
森下智紀:65,4キロ
島次亜瑠:65.55キロ
■DEEP JEWELS43計量結果
<DEEP JEWELS暫定ストロー級王座決定戦/5分3R>
松田亜莉紗:51.95キロ
万智:52.1キロ
<49キロ以下契約/5分3R>
須田萌里:48.55キロ
彩綺:48.7キロ
<フライ級/5分2R>
栗山葵:56.5キロ
斎藤百瑚:56.95キロ
<バンタム級/5分2R>
熊谷麻理奈:61.2キロ
Te-a:60.1キロ
<ミクロ級/5分2R>
山崎桃子:44.05キロ
こゆき:43.95キロ
<フライ級/5分2R>
奥富夕夏:56.75キロ
谷山瞳:56.15キロ
<バンタム級/5分2R>
MANA:60.8キロ
細谷ちーこ:61.3キロ
<無差別級/5分2R>
超弁慶:──キロ
ぽちゃん Z:73.8キロ
<グラップリング54キロ契約/5分1R>
横瀬優愛:53.5キロ
あきぴ:52.2キロ
<ミクロ級/5分2R>
ジャカ季美香:44.2キロ
チャッキールビ:44.35キロ
<アマ・50キロ契約/3分2R>
サラ:49.45キロ
横瀬美愛:49.65キロ
【写真】43歳の北岡悟のMMA観、そして人生観(C)DEEP
9月18日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP vs BLACK COMBATの対抗戦を北岡悟が振り返るインタビュー最終回。
Text by Manabu Takashima
対抗戦という意識よりも、個と個の戦い。そして、自らが率いるパンクラスイズム勢と自身の取り組みに、対抗戦の結果を投影させる北岡に──11月11日のDEEP116における泉武志戦について尋ねると、一気に口数は減ってしまった。ならばと、思い切って話題のあの事に振ることとした──。
<北岡悟のDEEP vs BLACK COMBAT対抗戦振り返り、Part.02はhttps://mmaplanet.jp/156472から>
──Black Combat勢は現地での注目度も高く、キャリア的にもここでの1敗のダメージが大きいのかという気もしました。あるいは、やはり国民感情で負けられないというのは韓国の方が大きいのか。
「あぁ、なるほど。あれだけの応援団がいるわけですからね。まぁ、日本のファンがそうならないのはしょうがないかとは思います(苦笑)」
──北岡選手が対抗戦という風に見ていないと言われていたのとは対照的に、Black Combat勢は思い切り対抗戦を意識していた。負けられない、と。
「なるほど、なるほど。負けられない度合が違ってくると……。そういうことは現状、僕の中では考えが及ばないのですが、それがあるのはしんどいですね。でも、なるほどとは思います。だから負けられないのかもしれないという話は、なるほどとは思います。
今回の負けに関しては、もっと考えましょって感じじゃないでしょうか。それはこの対抗戦のことだけでなく、自分のジムの選手に対しても毎度思いはします。上手くいくと、これで良いとなるのですが……負けると、直近のパンクラスで矢澤(諒)と松岡(嵩志)と負けて、また考えないといけないとは思っています。そうじゃなくても、ここ2カ月の間は所属選手の結果が良くないので──色々なことは思います」
──とにかく考えると。
「そうですね。考えないといけないし、コツコツと取り組まないといけない。寝技に関してチョット、酒井リョウ選手と大原樹理選手に関してはDEEPで苦労をしてきた2人がチャンピオンになって、今回のメインとコメインで戦った。押しも押されぬ存在になって、こういう風にあっさりと極められてしまった。
まぁ簡単じゃないし、やっぱりチョット……そのう……基本の修練はトップに立ったとしても疎かにしてはいけないなと思います」
──ショックであり、見つめ直す機会になった。ただし、今のMMAはとにかく試合が多く、話題も次へ次へと移りがちで、このショックもすぐに流されてしまう。そのような傾向になるかと思います。
「ハイ、風化していきます。勝って、負けてを繰り返して、毎週のようにイベントが続くから受け止めきれなくなります。で、流していかないといけない。残し続けていると、ダメージが深くなることもあるし。難しいです。受け止めながら、流して。積み重ねていかないといけない。とはいえ、同じようなミスを繰り返すから、螺旋階段のようにちょっとずつ上がっていくしかない」
──対抗戦よりも、イズムの所属選手のことになっていますね。
「そうです(笑)。僕にとっては、そっちの方が大切なので……」
──というなか11月11日に試合が決まりました。
「あぁ……、ハイ」
──いや完全に声が低くなって、これまでとはトーンが違うではないですか。
「良いマッチアップですよ」
──北岡選手が望むべき場所に戻るための、最後の一戦かと。泉選手はそういう相手かと。
「ハイ、そうですね」
──泉選手、成長著しいと思います。それでもMMAにはなりきっていない。
「グラント(ボクタノフ)が、自分が戦った試合の動画を送って来てくれましたよ(笑)」
──あの頃とは……。
「まぁ、参考にはならないことは多いですよね。でも、グラントには感謝して練習をお願いしています。今年の前半、グラップリングの練習をロータスにしにきてくれて」
──泉選手はMMAファイターとして粗いところが短所だけでなく、長所にもなっているかと。
「ハイ。どうせ、俺を相手にするならストライカーになるんでしょ。リーチ差があるから、ジャブをついてって感じでしょ。テイクダウンは切れるからって。そういう感じでしょ、うん」
──MMAで、金網がある。そこで組み勝てないと……。
「ハイ。じゃあ、そういうことで。アハハハハ」
──ご自身の試合になると、本当に口が重くなりますね(苦笑)。
「フフフフフ。ハイ、そういうことでお願いします」
──ここを越えてトップ戦線に戻るという想いは?
「う~ん、まぁ、そういうことですよね。そういうことです」
──試合の2週間前でなく、40日前でも表情も険しくなって試合のことは話してくれないですか(笑)。
「そうですねぇ……。ちゃんと真面目に生きているので」
──では、もうここは話題を変えさせていただいて、7月のDEEP X NARIAGARIで天野心愛さんへの公開プロポーズのことでも尋ねさせてもらうとしましょうか(笑)。
「まぁ、話せる限りは話しますよ(笑)」
──ええ? 記事になるのですが……構いませんか。
「ハイ。そういう付き合いをさせてもらっていると思っているので」
──ありがとうございます(笑)。なかなか勇気のいる公表だったと思います。
「2回目ですしね(笑)」
──いや、それよりも年齢差が……。
「あぁ……」
──公表の前に、3月ぐらいですか……かなり固い表情で交際について教えてくれました。
「高島さんはお嬢さんが3人いて、年齢が変わらないから拒否反応があるかもしれないというのは、チョット思っていました」
──まぁ、あの時も伝えさせていただきましたが、人様の恋愛に口は挟めないです。ただし、自分の娘が43歳の男を連れてきたら拒否反応は間違いない。同時に拒否反応でなくても色々と言われることだと思います。そこをケージの中で公表するのは、ケジメだったのですか。
「違います。ただ単に僕がやりたかったから、やっただけです。皆、分かっていないですよ。僕が壊れている人間だって。僕はただ単にやりたいことをやっただけです。もちろん、メインイベントで勝つということが、今後の格闘技人生で何度やれるか分からないというのもあります。
年齢差のことは、言われてみればそういうことか──と(笑)。色々なことは考えるのに、そういうところは抜けていることがありまして。意外とそれなりにニュースになって、『なるほど、こんなに突っ込みどころがあったのか』と。『教え子に手を出して』とか『相手は学生だ』とか、色々ありましたね」
──年の差云々もありますが、大々的に公表したことは……前回のこともあり、その後の精神的ダメージがあった日々を想うと、老婆心ですが心配にはなりました。
「あぁ、ありましたね。でも逆にそういう覚悟はあります。それは経験しているから。離れられるリスクは全然あるんじゃないですか。そういう経験もしているけど、それはもうしょうがないですよ。経験しているから、どうなるもんじゃない」
──この発表は現役生活、そして実生活で頑張れる要因になるのでしょうか。
「それは勿論、言わずもがなです」
──私は家内に依存している方なので、子供ができるまでこの人のために頑張ろうとかなかった人間なので。その辺りのことが分からなくて。それで張りが生まれるのであれば……。
「張りを生むためにやったわけじゃないですけど……、ただやりたいからやっただけです。プロポーズは」
──MMAファイターとして強くなれる、ポジティブな要素になりましたか。
「あれがどうこうじゃないですけど、彼女のお陰でやれているのは確実なので。恥ずかしながら43歳の北岡悟は19歳の奥さんがあっての北岡悟なので。それが今の北岡悟で。だから、それを隠す気がないからこその発表だったかもしれません。あくまでもジムのなかではジム生だけど、皆が思っているよりは自然なカップルだと思います。
強くなれる……活力ですかね。今の自分のやりくりには必要な存在です」
──押忍。ありがとうございました。
■視聴方法(予定)
11月11日(土)
午後5時40分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV
■ DEEP116対戦カード
<バンタム級/5分3R>
元谷友貴(日本)
CORO(韓国)
<ライト級/5分3R>
北岡悟(日本)
泉武志(韓国)
<バンタム級/5分2R>
窪田泰斗(日本)
雅駿介(韓国)
<女子ミクロ級/5分2R>
しなしさとこ(日本)
ちびさい KYOKA(韓国)
<バンタム級/5分2R>
力也(日本)
谷岡祐樹(日本)
<バンタム級/5分2R>
橋本ユウタ(日本)
鹿志村仁之助(韓国)
<メガトン級/5分3R>
誠悟(日本)
ヨコヤ・マクレガー(韓国)
<ライト級/5分2R>
佐々木大(日本)
太田将吾(日本)
<バンタム級/5分2R>
秋元強真(日本)
田口貴親(日本)
<アマチュア68キロ契約/3分2R>
菅涼星(日本)
小柴亮太(日本
<アマチュア・フェザー級/3分2R>
鈴木大晟(日本)
横内おにぎり君(日本)