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【RIZIN LANDMARK06】スクランブル発進で太田忍と対戦、佐藤将光「誰かの力になれるならーー」

【写真】これぞ佐藤将光の生き方(C)MMAPLANET

明日10月1日(日)に愛知県名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で開催されるRIZIN LANDMARK06に急遽参戦が決まった佐藤将光。
Text by Manabu Takashima

8月にONEとの契約を白紙に戻し、フリーランスになっていた佐藤がこれからのターゲットを見定めるなかで、手にした太田忍との一戦。「ありきたり」と嫌い、自分のなかでの格好良さ――美学を求める佐藤に話を訊くと、淡々と語る将光節がきかれた。


――3日前に太田忍選手と対戦することが、RIZIN.44のリング上で発表された佐藤将光選手です(※取材は27日に行われた)。オファーはいつ頃に?

「僕に話が来たのが2週間切っていたくらいで、次の日に『やる』と答えて。その数日後に返事がきたので決まったのは結構直前でした」

――YESしか答えはなかったですか。

「まぁ急だなぁとは思ったのですが、『いつでも、誰とでもやるよ』って言っているのに、受けないのは格好悪いと思って(笑)。そこですね。体重だけは直前なので63キロまでしか落ちないと伝えて。次をどうしようかと考えている時で、自分の答えもハッキリしていない中で決めた形ではあるんですけど」

――8月の最初にONEとの契約を解除できたと伺いました。あの時は本当に良かったと思いました。キム・ジェウンにスクランブルで、彼の望む体重で戦い勝利したにも関わらず、負けた方がジョン・リネケルと戦うなんてありえないと思っていたので。

「(苦笑)。もうちょっとやりたかった――というのはあります。リネケル、ビビアーノ・フェルナンデスと戦えるところまで来ているのかとも思っていたので。そこで終わってしまったのは、心残りです。直接、世界のトップと戦えなかったので。まぁリネケルに勝ったファブリシオ・アンドラジとやり合えたので、UFCファイターも、遠くはないと感じられたのは楽しかったです。1週間前に現地入りして、試合だけを考えて過ごし、戦って帰ってくる。創り方、食事、勝手も違うことを経験できました。

コロナ禍で色々な体験もさせてもらったし、帰国したら成田で陽性になって家に帰れないとか(笑)。でも方向が違うなというのは、少し前から感じていました。アクションとイエローが増えたこともあって。何より試合があるかないか分からない状態って、精神的に良くないので。ここでフリーランスになれたことは良かったです。

練習自体は凄く楽しいですけど、試合の感覚は欲しいという衝動に駆られる。それが波で来るんですよね。平気な時は平気なんですけどね」

――まず修斗でワンテンポをおき、そこからどこを目指すのか。RIZINだろうと思っていました。

「修斗もめっちゃ考えましたし、RIZINも視野に入っていました。RIZINだとアゼルバイジャンか大晦日と睨み、話もさせてもらって」

――アゼルバイジャンというのが、佐藤選手が自分自身の立ち位置が分かっているなぁと(笑)。

「アハハハハ。むしろ興味がありますけどね、なかなか行ける国じゃないので(笑)」

――アゼルバイジャンはRIZINですが、他で海外も考えていましたか。

「PFLも気になっているので話は持ちかけていて。それにUFCが、この年でもしあるなら……トライできるときがあれば、一度は戦いたい。引退したときに悔いが残るから、そのチャンスがあるならやりたいと思っていました。そういうところで戦う前に単発で修斗とか、国内で戦うことを考えていて。

これ折角この話を貰って試合もするのにアレなんですけど、ONEを離れてRIZINってありきたり過ぎて(笑)」

――ハハハハ。凄く普通なのに、それが佐藤選手らしくないと。

「最近は判断基準が、自分のことをダサい自分と思いたくない。格好良い自分でいたい。海外で勝負をしている人の方が、格好良いと個人的に思うので、そういう風になりたい。だから海外で何かあったら――とは思っていました。ただ今回はスクランブルだし、出場の仕方としては面白い。らしさも、出る。まだ気持ちが固まっていない状態でしたけど、必要とされたことが嬉しかったです」

――では太田忍選手の印象を教えてください。

「う~ん、まぁ警戒すべきポイントはある。でも僕がやってきたことで攻略できるんじゃないかと、今は思えています。決まってから映像をたくさん視て、あれから成長しているだろうけど――やることはある程度想像はつく。そのなかできっと攻略できると、自分を信じることができています」

――MMAの完成度はまだ高くない。レスリングベースの馬力で戦う。その馬力が、熟練した技術を突破することがあります。

「フフフ、ありますね。スティーブン・ローマンとか、まさにそういうことで。太田選手もあの試合を絶対見ているでしょうし、僕の負けパターンはいくらでも映像にあります。そういう意味で僕がこれまでやってきた――日本の総合格闘技からMMAの細かい技術で、彼を上手く丸め込める。そういったところを見せたいと思います」

――LANDMARKなのでケージです。太田選手にも優位に働くかもしれないですが、佐藤選手は確実にケージの方がリングよりアドバンテージがあるかと思います。

「ハイ。僕はケージの方がやりやすいです。誰と戦ってもそうですが、太田選手と戦う上でも優位に働きます。やっぱりロープだと、背中に腕が回りますからね。彼はボディクラッチが取れたら、絶対に投げることができる。そしてロープの方が絶対にボディクラッチはとりやすい。ケージでもボディクラッチは取られると思っていますけど、立つにしてもケージの方がやりやすいです。リングだと微妙なことが起きて、ブレイクが掛かって展開が変わってしまうこともあるので」

――グラウンドのヒザ、そしてサッカーボールキック。前者はONEでも認められていましたが、そこまでのレスラーはいなかったです。

「レスラーのがぶりは脅威なので、四点ヒザは警戒しないといけないです。あとはこかされてすぐにとか。太田選手は倒してからもコントロールにこだわらないで、殴ってくる選手なので結構そういう攻撃もやってくると思って練習しています。来ると思っていれば、致命傷にならず立ち上がることができるので。

サッカーボールキックは実は多くの人が覚えていないのですが、パンクラスがユニファイドになる前には認められていた時期がありました。サッカーボールキックがあった方が戦いやすいです。テイクダウンを切った後、コントロールしていて残り時間がなくなると狙っていた攻撃です」

――このところ、セコンドや指導も他のジムの選手にもしています。そこはファイターとして役立つ部分があるのでしょうか。

「ファイターとしてというより、人として頼りにされること、誰かの役に立てていること、頼ってもらえることを凄く嬉しく感じます。できることはやりたい、自分が。それがまた良い形で返ってきますし。今日も色々な選手が、僕にアドバイスをくれました。それって、僕が普段からしているからで。そうですね――誰かの力になれるなら、なりたいです」

■視聴方法(予定)
10月1日(日)
午後12時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN LANDMAKR06対戦カード

<63キロ契約/5分3R>
太田忍(日本)
佐藤将光(日本)

<キック61.5キロ契約/3分3R>
梅野源治(日本)
斎藤祐斗(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
イム・ドンファン (韓国)

<バンタム級/5分3R>
所英男(日本)
アラン“ヒロ”ヤマニハ(ブラジル)

<フライ級/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
トップノイ・キウラム(タイ)

<ミドル級/5分3R>
イゴール・タナベ(ブラジル)
ANIMAL☆KOJI(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
渡辺彩華(日本)
万智(日本)

<フライ級/5分3R>
村元友太郎(日本)
ホジェリオ・ボントリン(ブラジル)

<58キロ契約/5分3R>
中村優作(日本)
ヒロヤ(日本)

<ヘビー級/5分3R>
貴賢神(日本)
荒東“怪獣キラー”英貴(日本)

<フェザー級/5分3R>
ビクター・コレスニック(ロシア)
高木凌(日本)

<ライト級/5分3R>
渡慶次幸平(日本)
井上雄策(日本)

<バンタム級/5分3R>
後藤丈治(日本)
日比野“エビ中”純也(日本)

<68キロ契約/5分3R>
銀・グラップリングシュートボクサーズジム(日本)
太田将吾(日本)

<キック57キロ契約/3分3R>
竹野元稀(日本)
内藤凌太(日本)

<バンタム級/5分3R>
切嶋龍輝(日本)
MASANARI(日本)

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【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:8月―その弐―:リネケル✖キム・ジェウンからの日本✖世界

【写真】風間とともにオクタゴンへ向かう大沢氏(C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。
Text by Shojiro Kameike

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は大沢ケンジが選んだ2023年8月の一番、8月5日(日・現地時間)にONE FN13で行われたジョン・リネケル×キム・ジェウン戦から考える――日本と海外の違いについて語らう。さらに風間敏臣に同行し、現地シンガポールで目撃したUFC ESPN52とRoad to UFCから、日本MMAの問題点を提起してくれた。


――韓国や中国のファイターが、北米のファイターと打ち合い、勝利する試合も少なくない。そこで同じアジア人である日本人ファイターだけが「フィジカル差が……」「パンチ力や耐久力が……」とは言えなくなるわけですね。

「韓国はもちろん、中国人選手も至近距離が強いですよね。それはRoad to UFCでも明らかで。ONEを視ていると、フィリピンや他のアジア選手も前に出て、至近距離でも戦える。遠い距離だけで戦おうとしているのは、もう日本人だけじゃないですか。その理由にフィジカル差を挙げるのなら、それは違うと思います。日本人選手でも世界で通用するフィジカルをつくり上げている選手は多いので。

あとは組みや打撃の技術力の問題もあります。ひとつ思うのは――日本国内だと、一芸に秀でていたら勝てる場合が多いんですよ。寝技が強い、打撃が強いというだけで勝てることがあるから」

――寝技ができないストライカーも、身体能力があれば国内ではテイクダウンディフェンスができて、パンチで倒せることもある。その逆もまた然り、ですね。

「そうして勝ち続けていくと、綺麗な戦績であればUFCとかから声が掛かりやすいじゃないですか。でも世界に出てみると、みんな全ての要素が強いから、一芸に秀でているだけの選手は勝てない。本当にね……ストライカーのキム・ジェウンやサンドハーゲンが、あれだけテイクダウンも寝技も強いわけですよ。一芸に秀でているだけの選手って、相手からすれば怖さがないんです。何をやってくるかが分かるから」

――前回の取材では、「フィニッシュを狙わず、トップをキープするだけの相手は怖くない」と仰っていましたね。

「それと同じなんです。たとえば至近距離の打撃が強い選手にとっては、距離が近くなったら組むだけ――それが分かる選手が相手だと怖くない。だから自分は、もっと強くパンチを振るうことができる。至近距離で打ち合うこともできれば相手も下がるし、組みやすくなるんですけどね」

――経験という意味では、中村倫也選手がプロ3試合目で修斗ブラジル王者のアリアンドロ・カエタノと対戦し、大苦戦しながらも勝利した経験は大きかったように思います。

「あの経験は大きい。もともとレスリングの力があって、打撃も身につけたうえに、あの経験を得たのは大きいです。そういえば佐藤将光選手はキム・ジェウンに勝っていますよね(今年1月に判定勝ち)。リネケルとあれだけの試合をしたキム・ジェウンに佐藤選手が勝っている――佐藤選手だって、それまでにどれだけ苦しい道を通ってきたかっていうことですよ」

――だとすれば、世界で戦う前に国内でもっと鎬を削るべきということですか。

「それもありますけど、実際に試合だけじゃなくて練習や戦術の面も考えていかないといけませんよ。2006年のサッカーW杯で、日本はアジア予選を圧倒的な強さで1位通過したのに、本戦では1回も勝てなかったんです。2敗1分という結果で――ジーコが監督、チームには中田英寿や中村俊輔とか錚々たるメンバーがいたのに」

――……はい。

「あの時はアジアで勝てる戦術を重視していて、いざ本戦のW杯では世界との差が出てしまったと言われているんです。その後はアジアで勝つ戦術と世界で勝つ戦術を分けて考え、結果も残してきていますけどね。MMAでも、国内で勝てたからといってアジアで勝てるとは限らない。アジアで勝ったからといって世界で勝てるとは限らないわけです」

――サッカーの例でいえば、日本代表チームは国内でアジアだけでなく欧州や南米の代表チームとの試合経験を積むことができる。同様にMMAでも世界で勝つためには、まず国内で海外選手の試合経験を経る必要があるのか。国内のイベントでもっともっと海外選手を招聘してほしいと思いますか。

「そこでプロモーターに頼りきってはいけないですよ。言い方は悪いかもしれないけど、他人の金で強くなって海外へ――というのは、あまり好きじゃなくて。まずはジムで、選手と指導者がするべきことがある。ジムで選手を強くして初めて、選手にはチャンスが与えられるものなので」

――なるほど。まずはジムでの練習……まさにスタートラインが重要となりますね。

「スタートラインは本当に重要です。見据える先がUFC、Bellator、ONE、国内でいえばRIZINでも同じですよ。どこを、そして何を見据えて練習するのか。キャリアの積み方も大切ですよね。勝ち続けて、綺麗な戦績だからって声が掛かっても、ちゃんと選手のキャリアのことを考えていかないといけない。今回はシンガポールでUFCとRTUを見て、『日本人は海外の選手に勝てない』とは思わなかったです。まだまだ日本のMMAもやるべきことが多いけど、やるべきことをやれば――必ず勝てると信じています」

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【Special】月刊、大沢ケンジのこの一番:8月―その壱―:リネケル✖キム・ジェウン「言い訳はできない」

【写真】ここ前後の距離でやり合うということ(C)ONE

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。
Text by Shojiro Kameike

背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は大沢ケンジが選んだ2023年8月の一番、8月5日(日・現地時間)にONE FN13で行われたジョン・リネケル×キム・ジェウンの一戦から、前回の内容が繋がる距離感について――さらに日本人と海外勢のフィジカルについて語らおう。


――大沢さんが選んだ2023年8月の一番は、どの試合ですか。

「ONE FF13のジョン・リネケル×キム・ジェウンです」

――リネケルが試合時間残り1秒で逆転KO勝ちを収めた試合ですね。

「あの試合のキム・ジェウンが良かったです」

――てっきりリネケルのKO勝ちをピックアップするのかと思いました。キム・ジェウンの良かった点を教えてください。

「もともとキム・ジェウンってストライカーじゃないですか。キム・ジェウンのほうからテイクダウンに行くのは、自分もほんの数回しかなくて。でも今回はまずキム・ジェウンからテイクダウンに行きましたよね」

――1Rにダブルレッグでクリーンテイクダウンを奪いました。

「まずストライカーであっても、あれだけのテイクダウンを持っている。今までキム・ジェウンは打撃が目立っていて、あのカードは切っていなかったと思うんですよ。それはロブ・フォントを組みで完封したコリー・サンドハーゲンも同じで」

――ストライカーのサンドヘーゲンがテイクダウンでフォントを完封しきって勝ちました。

「マルロン・ヴェラ戦もそうですけど、それまで打撃のイメージが強かったサンドハーゲンがテイクダウンで完封する。当たり前のことだけど、やっぱり全部できるから強いんだなって思います。サンドヘーゲンとキム・ジェウンだと、距離の取り方は違いますけどね。サンドヘーゲンは距離をぼやかしながら組む、みたいな感じで」

――ではキム・ジェウンの距離というのは……。

「前回の話の延長みたいになりますけど、まず至近距離で戦える。それとリネケル戦では中間距離でも強いところを見せた。だから組みにも行ける。キム・ジェウンも途中から、リネケルの打撃に対して少し気持ちで押されていたと思いますよ。でも至近距離だけでなく中間距離でも打ち合えることが分かって、また盛り返したじゃないですか」

――フィニッシュの一撃をもらうまでキム・ジェウンの展開でした。

「前回MMAPKLANETで、『日本の選手は遠い距離で戦おうとすることが多い』と言いましたよね。一発も食らわないように――よく言うのは『ダメージが溜まると危険だから』って。確かに遠い距離で戦い、勝つ日本人選手もいますよ。平良達郎君とか。でも平良君の場合は圧倒的な組み技の強さがあるから、近い距離になっても戦えるわけです。

木下憂朔君がビリー・ゴフに負けたのは、勿体なかった。遠い距離で戦うようになり、相手との距離が詰まってきたらプッシュで押して離れる。プッシュするのって、実は結構疲れるんですよ。それで最後はボディブローを食らってKO負けに」

――大沢さんは日頃から、ボクシングやキックボクシング競技と比べれば、MMAは頭部にダメージが溜まらないと仰っています。一方で、MMAに限らずボクシングでも日本人選手が海外の選手と対戦する時、海外のファイターのほうがパンチ力も強いから打たれないようにする傾向にありませんでしたか。

「いろんな選手がいるから傾向は分からないけど、その意識はありますよね。『外国人選手が相手だと一発食らったら終わってしまう』って。日本人と外国人ではフィジカルの差があるから――と」

――大沢さんから見て、それだけ日本人選手と海外選手の間には、パンチ力と耐久力に差があると思いますか。

「フィジカル面で言うと同じ階級で同じ筋量であれば、そんなに差はないと思いますよ。バズーカ岡田さんって知っていますか? 岡田さんは日本体育大学の教授で、スポーツトレーナーかつボディビルダーでもあるんです。その岡田さんが2012年から柔道の全日本男子チームのトレーナー(体力強化部門長)を務めていて、オリンピックで柔道男子のメダル獲得数が増えました。その岡田さんとお話する機会が会って、筋量について訊いたんですよ」

――それは興味深いです。岡田さんは何と仰っていましたか。

「みんな人種の違いで、日本人と海外勢ではフィジカル差があると言いますよね。でも岡田さんは『同じ階級で同じ筋量であれば――80キロぐらいまでの階級なら、日本人と海外勢でフィジカル差はなくなる』と。柔道でも、それまで筋肉の上に少しぜい肉を付けるような感じだった体つきから筋量を増やしてみると、パフォーマンスも向上したそうです」

――あの日本柔道の復活劇の陰には、要因としてフィジカル強化もあったのですね。

「MMAの話に戻ると、『韓国人選手はフィジカルが強い、日本人選手とはフィジカル差がある』と言う人は多いじゃないですか。でもそれは、筋肉の付け方や筋量の問題であって。日本人と韓国人選手の間に根本的なフィジカル差はない。で、韓国のキム・ジェウンが元UFC世界ランカーのジョン・リネケルを相手に、あの試合をやってのけた。もう日本人選手は言い訳できないと思うんですよ」

<この項、続く>

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MMA MMAPLANET o ONE ONE FN13 キック キム・ジェウン ジョン・リネケル 佐藤将光

【ONE FN13】リネケルが残り1秒でキム・ジェウンに逆転KO勝ち――だからこそ待たれる佐藤将光の次戦

<135.5ポンド契約/5分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
Def.3R4分59秒 by TKO
キム・ジェウン(韓国)

1月に佐藤将光に敗れているジェウン。佐藤にはONEから次戦のオファーが届かない中、格上のリネケルと試合する機会を得た。一方のリネケルは今回も計量をクリアできずにキャッチウエイトでの試合実施となる。

ジェウンはジャブとインローを見せながらプレッシャーをかける。リネケルは右ローを蹴り返し、左フックを見せる。ジェウンはリネケルの右にダブルレッグを合わせてテイクダウンを奪う。首を抱えるリネケルに対し、ジェウンはハーフガードでトップキープし、頭を抜いてヒジを落とす。

リネケルは脇を差して足をすくって立ち上がろうとするが、ジェウンが体を起こしてヒジ打ちを落とす。ジェウンはリネケルのバックをうかがいつつ、再びハーフガードで上になってヒジと鉄槌を落とす。ジェウンが肩固めを狙うと、リネケルがタイミングよくブリッジを利かせてトップポジションを取り返す。この試合初めて下になったジェウンだが、リネケルに有効打を許さずにラウンドを終えた。

2R、リネケルは右ストレートと右ボディ、右カーフキックを蹴る。ジェウンは右のスーパーマンパンチ。リネケルの右にダブルレッグを合わせるが、リネケルがそれを切って上になる。ジェウンはガードポジションから三角絞めを狙い、リネケルはトップキープにこだわらずに立ち上がる。

リネケルはジャブを当てて、右カーフキックと右フック。ジェウンは無理に打ち合わずにシングルレッグからボディロック、そしてバックへ。正対したリネケルはジャブを飛ばすが、ジェウンもリーチを活かしたジャブと左ミドルを当てる。さらにジェウンはシングルレッグも織り交ぜつつ、やはりジャブ・左ミドルでリネケルに距離を詰めさせない。徐々に手数を増やすジェウンはインロー、左ハイ、前蹴り。リネケルもボディブローを放つが、それをバックステップでかわす。

3R、ここもジェウンがジャブ・左ミドルで機先を制す。リネケルが右フック・右カーフを返すと、ジェウンは右ストレートを合わせる。ジャブから右ストレート、左フック、左ミドルにつなげるジェウン。リネケルもボディを打ち返すが、どうしても後手に回る。逆にジェウンはジャブ・前蹴りでリネケルの前進を止め、カウンターの右ストレート。さらにジェウンはダブルレッグや組みを見せつつ、離れ際のヒザ蹴りにつなげ、リネケルの大振りのパンチに膝を突き刺す。

このままジェウンが試合を支配するかに思われたが、前に出続けたリネケルが右フック。ジェウンのダブルレッグを切ると、右ボディを打ち込み、その右ボディから顔面への左フック。これでジェウンの顔面を打ち抜き、一気にパウンドを連打して、試合時間残り1秒での逆転KO勝利を呼び込んだ。

試合後「マスターはいつも、自分を信じろって言っていて。そしてKOできた。いつもベストを尽くしている。ベルトをもう1度巻くために3Rにカムバックした」と語ったリネケル。敗れたジェウンも最後の左フックをもらうまで試合をリードして実力を証明した試合―――だからこそ佐藤の次戦が待たれる。

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【ONE FN13】ラカイの新エースと対戦、遅れてきた草原のルーキー=エンフオルギル「少し緊張しています」

【写真】34歳のオルギル、既に非常に多くのことを経験してきたように見える(C)ONE

5日(日・現地時間)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN13「Allazov vs Grigorian」のオープニングマッチでエンフオルギル・バートルフーが、ジャンロ・マーク・サンジャオと戦う。
Text by Manabu Takashima

大量離脱後にチームラカイのエースとしての自覚が芽生えたジャンロと、ジャダンバ・ナラントンガラグ門下のオルギルことエンフオルギル──一回り以上違う、ジャンロとの戦いの前に話を訊くと、やはりそこはモンゴル勢、非常に朴訥とした返答のオンパレードだった。


──土曜日の朝、ジャンロ・マーク・サンジャオとの試合が控えていますが、今、どのような気持ちですか。

「少し緊張はしていますが、もの凄く緊張しているわけではないです」

──オルギルは昨年のRoad to ONE Mongoliaで優勝してONEと契約、ONE FFで2連勝してから本戦デビューとなりました。同じルンピニーでの試合ですが、何か気持ちで違いはありますか。

「FFで2度戦った時は、それほど緊張はしなかったです。今回はONEの大きな大会になるので、皆の期待も大きいです。相手が期待の若手ということもあり、FFの時より少し緊張しています」

──その期待が大きいというジャンロは6勝0敗、全て1Rでフィニッシュしています。彼の実力をどのように評価していますか。

「全ての試合で1Rで勝っている強い相手です。自分にそのような経験がないので、自分にはない何か良いモノを持っているのでしょう。ただし、そういう強い選手と戦うので負けないようにしっかりと準備はしてきたつもりです」

──ではオルギルは、自身のどこがジャンロに勝っていると言えますか。

「そこは実際に肌を合わせたわけではないので、相手の実力がどのようなものが分からないのというのが正直なところです。試合が実際に始まって、初めて分かるモノかと思うので、今の段階では自分のどこが彼より優れているのかは答を持ち合わせていないです」

──ONE FF初戦の相手アドニス・セビジェーノはジャンロと同じチームラカイの選手でした。ラカイではオルギルのことを研究するのも2度目度のはずです。

「アドニスには判定勝ちをしましたが、もうジャンロは自分のことを理解しています。同時にジャンロはアドニスよりも自分の方が強いと思っているだろうし、苦も無く勝てると自信を持っているはずです。私としては負けているところはないと思っているので、頑張ります」

──4月と5月の試合の合間はタイで練習していましたが、今回は?

「今回に関してはモンゴルで準備をしてきました。ナラントンガラグ先生の下、チームメイト……若い選手たちと練習してきました。今、モンゴルは凄く良い季節ですし、しっかりと練習できたと思います」

──シャンダスMMA所属選手には日本のグラジで活躍するダギースレンがいて、ニャムジャルガルがRoad to UFCのワンマッチながら2大会連続で試合をします。彼らとオルギルと海外で戦う選手もいて、ジムには勢いがあるのではないでしょうか。

「チームの雰囲気は凄く良いです。今、海外で試合をしている選手だけでなく、将来は外国で戦いたくて練習をしている若い選手もいます。互いがパートナーとして力を出し、ナラントンガラグ先生も経験に基づいた指導をしてくれるので、チーム全体で強くなっています」

──FFより重要になる一戦かと思います。どのような試合を皆に見せたいですか。

「きっと激しい試合になると覚悟しています。ナラントンガラグ先生の指示をしっかりと訊いて、自分の持っているモノ全てを出して戦います」

──ニャムジャルガル、テムーレン、ダギースレンの活躍でモンゴル人ファイターに注目ししている日本のファンに一言お願いします。

「モンゴルの選手に興味を持ってくれて、感謝しています。良い試合をしたいと思うので、期待してください」

■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN13対戦カード

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者] チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン
[挑戦者] マラット・グリゴリアン(アルメニア)

<ONEサブミッショングラップリング世界フライ級(※61.2キロ)選手権試合/12分1R>
[王者] マイキー・ムスメシ(米国)
[挑戦者]ジャレッド・ブルックス(米国)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ダビット・キリア(ジョージア)

<135.5ポンド契約/5分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
キム・ジェウン(韓国)

<118ポンド契約/3分3R>
スーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)
ララ・フェルナンデス(スペイン)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
マーカス・ブシェシャ・アルメイダ(ブラジル)
オマル・ログログ・ケニ(セネガル)

<サブミッショングラップリング180ポンド契約/10分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
ザイード・フセイン・アサラネリエフ(トルコ)

<ムエタイ174ポンド契約/3分3R>
ルンラーウィー・シッソンピーノン(タイ)
ナウゼット・トルヒーリョ()

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ジャンロ・マーク・サンジャオ(フィリピン)
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)

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【ONE FN12】トノン戦へ、13勝0敗のシャミル・ガザノフ「実戦で結果が伴っていない帯など必要ない」

【写真】一応通訳を介したが、英語はほぼ聞き取れているようだったガザノフ。とにかく落ち着いている (C)MMAPLANET

15日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN12「Superlek vs Khalilov」でシャミル・ガザノフが、ゲイリー・トノンと対戦する。

キャリア13勝0敗。

ONEでは昨年10月にキム・ジェウンを僅か2分09秒でRNCで仕留め初陣を飾っている。13勝のうち9つの一本勝ちを誇るコーカサスの猛者はブラジリアン柔術でも紫帯のフリースタイルレスラーだ。

そして3年前に黒帯昇格を断ったという。名より実を取る。いや、実を取ってから名を得るという──ダンディズムを持つシャミル・ガザノフとは?


──来週の土曜日にゲイリー・トノンとの大一番を控えています。今の気持ちを教えてください(※取材は7月8日に行われた)。

「エクセレントだ。タイガームエタイでトレーニングをするようになって1年、素晴らし時間を過ごしてきた。もう戦う準備はできている」

──シャミルはブラジリアン柔術の黒帯だと聞きました。ロシア人ファイターでブラジリアン柔術を修めている選手も増えてきているのでしょうか。

「黒帯? それは違う。紫帯だよ。そして柔術は趣味でしかない。フリースタイルレスリングが私のベースで、ブラジリアン柔術はホビーだよ」

──趣味……。ではMMAで戦うために柔術を習得して強化しているわけでなく、余興として楽しんでいるということですか。

「もちろん、MMAのために柔術は役立っている。フリースタイルとは違う流儀を自分の戦いに加えることは大切だかね。帯に関しては、実は3年前に黒帯にするという話はコーチからあったんだ。でも、断った。彼も黒帯で、彼を含め自分は茶帯や黒帯を練習でいつも極めていたから」

──断った?

「そうだよ。帯は結果を残してから貰う。私が欲しているのは帯ではなく、戦いだから。あの時も『帯は要らないから試合を組んで欲しい』と伝えた。なんだか帯の色に拘る人間が柔術の世界には多いけど、どうでも良い。強くなり、結果を残す方が帯の色より大切だからね」

──格好良い言葉ではありますが、黒帯を巻くことは自身の力を認められた証ではないでしょうか。とても光栄なことだと思います。

「実戦の場で結果が伴っていない、ただの帯など私には必要ない。それはMMAのタイトルでも同じことだ。私が世界のベストだという評価を得たうえで、ベルトを巻きたい。事実、タイで練習するようになって黒帯を巻いているブラジル人、ロシア人と寝技の練習をしても負けることはなかった。つまり、帯の色など実力を表すモノではないんだ。

実戦で黒帯の柔術家を倒せたら、自分も黒帯を巻かせてもらう。つまり、今回の試合だ。柔術やグラップリングで世界が認めている黒帯のゲイリー・トノンを倒して、私も黒帯を巻く」

──なるほど、格闘家として当たり前のようで決してそうでもない。耳が痛い選手も多い話かと思います……。そんなシャミルですが、ロシアから次のステップに進む時にONEを選んだのはなぜですか。

「PRO FCでフェザー級のチャンピオンになった時に、ONEから声が掛った。同時にBellatorからも話はあった。ただし、Bellatorは米国の大会でロシア人の私はビザを取得することが簡単ではなかった。同じように世界のトップ舞台であり、ビザ問題がなかったからONEを選んだ。簡単にいえば、そういうことだ。

それにONEの計量方法とルールも、ほぼパーフェクトだ。頭から投げて落としてはいけない点だけが気に入っていないけどね。フリースタイルレスリングやサンボの技を使うことができない。ただ寝技でのヒザ蹴りは構わないから、そこにフォーカスしている」

──では改めてゲイリー・トノン戦ですが、グラウンドでも彼とやり合える自信はありますか。

「100パーセントある。どの局面だろうが、万全の準備をしてきた。ボクシング、ムエタイ、グラウンド。どこでも戦える。MMAで許されている全ての要素を駆使する。立ち技でも、寝技でも同じことだ。何より相手の動きを待つことはない。積極的にこっちから仕掛ける」

──元タイトルコンテンダーとの対戦、キャリアアップを考えるとどのような意味があると考えていますか。

「ただの普通の試合だ。何も特別なことはない。ゲイリー・トノンはビッグネームだ。特に組み技の世界では。でも、そんなことは関係ない。試合の日は父の誕生日で、父からは『ベルトがないから、戻ってくるな』と言われている。ノックアウトかタップアウトかは分からないけど、必ず私が勝つ。ちょっとした私の仕掛けで、ゲイリー・トノンはきっと試合中に驚くことになるだろう。それが何なのかは、試合を楽しみにしてほしい。

立ち技でも寝技でも、自分がベストだと証明する。今大会のメインイベントはムエタイだ。立ち技だけでは、この規模のショーには相応しくない。私が寝技でも立ち技でも、ハイレベルの戦いを見せる」

──ところでタイガームエタイには、日本人選手が出稽古を行うことも少なくありません。誰か日本人ファイターと練習をしたことはありますか。

「あるよ。今回の試合前も同じONEのフェザー級でキョージ・ホリグチと一緒に練習していたというリョーゴ・タハカシとは何度もスパーリングをしてきた。タカハシはとても強い選手だから、スパーが楽しめたよ。グラップリングのスパーリングも、ずっとやっていた。ただし、決って私が彼をチョークアウトした(笑)。タハカシに尋ねてもらっても構わないよ」

■放送予定
7月15日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

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【GRACHAN59×BRAVE FIGHT27】再起戦 、山田哲也「普段は90キロ、ONEのフェザー級はキツかった」

【写真】 ウェルター級で26カ月ぶりの実戦となる山田(C)SHOJIRO KAMEIKE

12日(日)、東京都江東区のTFTホールで開催される『GRACHAN59×BRAVE FIGHT27』で、山田哲也が韓国在住モンゴル人ファイターのブレンゾリグ・バットムンクとウェルター級契約で対戦する。
Text by Shojiro Kameike

山田といえば2016年12月の石原裕基戦を最後に海外へ。2018年以降はONEを主戦場としていた。しかし2020年12月のキム・ジェウン戦で敗れてから、約2年2カ月ぶりの試合をグラチャンで迎えることとなった。ONEとの契約、ウェルター級での復帰、そしてグラチャンでの戦いなど、山田が現状を包み隠さず語ってくれた。


――2020年12月のキム・ジェウン戦以来2年2カ月ぶりの試合を、日本のグラチャンで迎えます。まず現在、ONEとの契約はどのような状態にあるのでしょうか。

「去年の10月にONEとの契約は切れました。ONEから契約更新の連絡がなかったんです。僕自身も更新するつもりはなかったので、契約は終了となっています」

――ONEとの契約を更新するつもりがなかった──。その理由を教えていただけますか。

「それは単純に、全く試合が組まれなかったからですね。2018年に3試合したあと、2019年と2020年はそれぞれ年1試合のペースで――それだと厳しいと思いました」

――さらにコロナ禍もあって試合が組まれることは厳しかったでしょう。

「自分としては最低でも年4試合はやりたかったです。それで試合が組まれなかったので、やり甲斐を感じられなくなっていきましたね……」

――年4試合ですか! MMAでその試合数は、多くはないですか。

「いえ、専業でMMAファイターをやっているのであれば、それぐらいは試合をしたいです。2017年には8試合やっていましたからね(笑)」

――ONE参戦当時でいえば、敗れたとはいえマラット・ガフロフやキム・ジェウンのような強豪を相手に、年4試合も戦える自信があったということですね。

「はい。フェザー級(ONEは70.3キロ以下)は減量がキツかったですけど……。それでも、いつでも試合ができるように普段から体重には気をつけていました。試合間隔が空かないほうが減量も楽なので、どんどん試合をしたかったです」

――そのようななかで、2018年にはONEで2連勝後に2連敗を喫しました。その戦績については、どのように感じていますか。

「最初に言ったとおり、ちょっとモチベーションの問題で――負けたのは、気持ちが落ち込んでいる時期でもありました。もちろんONEのトップにいる選手たちはレベルが高いですし、試合はしたかったです。ただ、体重的にONEのフェザー級で戦うのは難しかったと思います。最後のほうはウェルター級(ONEは83.9キロ以下)での試合を希望していたぐらいで」

――えっ、通常体重は何キロなのですか。

「90キロぐらいですね。ONEのフェザー級だと、そこから20キロ落とすことになります。わざわざ弱くなって試合に出ているような感じでした。1階級変わると、コンディションも大きく変わってきます」

――ONEを離れて、初めての試合がグラチャンになりました。

「日本に帰国してからは、もともと所属していたY&Kスポーツアカデミーと、いまは長岡弘樹選手の総合格闘技DOBUITAでも練習させてもらっているんです。ONEを離れて初めて声をかけてくれたのが、グラチャンの岩﨑(ヒロユキ)代表から声をかけていただいたんです。DOBUITAの長岡選手はグラチャンに出ているので、岩﨑代表も長岡さんから、僕の現状を聞いていたのかもしれません(笑)」

――ONEとの契約が終了した時点で、どこか出場したいプロモーションなど希望はあったのでしょうか。

「いえ、特に何も考えず、声がかかるのを待っていました。日本でやるなら、どうやってRIZINに出ようかなと考えていたぐらいで……。そんななかで、最初に声をかけてくださったのがグラチャンだったんです。ありがたくオファーを受けさせていただきました」

――もう他の海外プロモーションで戦うという選択肢はなかったのですね。

「はい。それと、以前からグラチャンの川中選手に興味がありました」

――現GRANDウェルター級王者の川中孝浩選手ですか。

「そうです。1年半ぐらい前に――まだONEとの契約下にある頃、群馬のINFIGHT JAPANで合宿をしていました。INFIGHT JAPANでは、DEEPに出ている大山釼呑助選手と一緒に練習させていただいていて。その大山選手から『山田君、強いね。そういえば練習したなかでは、川中孝浩選手も強かった。山田君と川中選手、どっちが強いかなぁ?』と言われたんです」

――その大山選手の一言から……。

「そう言われた時は、まだ川中選手と対戦したいとは思っていなかったです。でも、ずっと川中選手のことは頭の中にありました。それで今回グラチャンに参戦させていただくにあたり、川中選手の試合映像を全て見ました」

――いきなり全試合を見ましたか!

「すごく体の力が強い選手ですよね。試合映像を見るにつれ、対戦したい気持ちが強まりました。次の試合は別の相手ですけど、いま一番興味あるのは川中選手です」

<この項、続く>

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Brave Fight27 Grachan58 MMA MMAPLANET o ONE キック キム・ジェウン ブレンゾリグ・バットムンク 原口伸 小谷直之 山田哲也

【Grachan58 X Brave Fight27】6年振りの日本でのファイト。山田哲也は韓国在住蒙古軍バットムンクと対戦

【写真】長身、ソップなウェルター級、日蒙戦 (C)MMAPLANET

2月11日(土)、東京都江東区のTFTホール500で開催されるGRACHAN58 X BRAVE FIGHT27。年に1度のグラチャンとBrave Fightの合同興行、メインではGrachanライト級選手権試合=チャンピオン原口伸✖チャレンジャー小谷直之やフライ級次期挑戦者決トーナメントが組まれている。

そんな同大会に6年2カ月ぶりの国内で試合をすることが明らかとなっていた山田哲也の相手が、韓国在住モンゴリアン=ブレンゾリグ・バットムンクに決まったことが発表されている。


2022年12月のONEにおけるキム・ジェウン戦以来、実戦が2年2カ月振りの山田に対し、バットムンクは昨年8月にDouble GFCでパク・ジュンミンに勝利し、2019年1月以来となる日本&グラチャン参戦だ。

日本ではHEATからグラチャン、モンゴルのMGL-1、コロナ禍では韓国のキック団体MAX FC、前述したDouble GFCを主戦場とし、戦い続けてきた。

組み技の強さを打撃戦での課題を持ち続ける山田に対し、バットムンクは豪腕ながら寝技に穴がある。勇気をもってバットムンクの打撃と対峙できるかが山田にとって勝敗の鍵を握り、バットムンクは山田の組みを警戒するばかりに一か八かの打撃戦に出て自滅しないか──が試される5分2Rとなる。

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MMA MMAPLANET o ONE ONE FN06 キック キム・ジェウン 佐藤将光

【ONE FN06】「打ち合いなさい」MMAへのリードに、佐藤将光が光るアジャスト。キム・ジェウンを下す

<68キロ契約/5分3R>
佐藤将光(日本)
Def.3-0
キム・ジェウン(韓国)

体格的な差は、見た目ではそれほど感じられない両者。距離、角度を考えて動く佐藤に対し、キム・ジェウンは中を取って戦う。佐藤が出るのを待っているキム・ジェウンが左ロー、佐藤も同時に右ローを蹴る。ボディから左フックを放った佐藤が右を当てるが、キム・ジェウンが右のカウンターを突き刺す。佐藤は右ストレート&カーフを蹴る。

圧を掛け始めた佐藤だが、なぜかアクションの声が掛かる。再開後にすぐ組みを狙いつつ、打撃を放つ佐藤は、シングルレッグをかわされる。これを見せてから左フック、右カーフもキム・ジェウンの距離か。右で飛び込み佐藤がサイドキック、左ローの相打ち続き、キム・ジェウンが左ローを蹴る。自らの右ハイで姿勢を乱した佐藤は、すぐに立ち上がる。真っ直ぐ距離を取ろうとした佐藤は、懸命に攻撃を散らすがキム・ジェウンは、右に右を合わせていく。

左ジャブを当てた佐藤、直後にレフェリーがブレイクを命じる。何と、佐藤とキム・ジェウンの両者にイエローが提示される。もはや、足を止めて打ち合えとばかりの競技運営陣──すぐにタイムとなった。

2R開始前にアグレッシブに攻めるように両者に、言葉が掛けられる。佐藤は斜めへのステップから左ハイや、回転系の動きから右を当てる。イエローと攻めろという指示は、キム・ジェウンの方が悪影響を受けたか。さらに組んだ佐藤は、テイクダウンに拘ることなく離れる。ジャブをからワンツーの佐藤、キム・ジェウンが左ボディから右をヒットさせる。

右の打ち合い、パンチは強いが動きは落ちた感じはあるキム・ジェウンが左ローを蹴る。佐藤はダブルレッグ、切ったキム・ジェウンがヒザ蹴りから離れて右を打ち込む。明らかに近い距離でのパンチの交換という流れで、佐藤が右を伸ばす。キム・ジェウンにとってもリズムが早くなった試合展開、佐藤がカーフを入れテイクダウンを織り交ぜて、右を打ち込む。組みで揺さぶる佐藤は、左から右の返しを受けて一瞬動きが止まる。

それでも右を当てながら前に出た佐藤が、再び右をヒットさせる。蹴りのフェイク、右ローを蹴る。左ローも蹴るキム・ジェウンは、右にカーフを合わせられた。佐藤の右に右で迎え撃ったキム・ジェウン、手応えを感じたような佐藤だがジャッジの判断は分からない接近戦となった。

3R、内回し蹴りを見せた佐藤は右から左、そしてボディを被弾する。キム・ジェウンもこのリズムにアジャストしてきたか、左ミドルをいう攻撃を繰り出す。飛び込みながら右を当てた佐藤は、左ローにシングルを合わせたが倒しきれない。ジャブから右を当てたキム・ジェウン、佐藤も負けじと前に出ると再び右で迎え撃つ。

佐藤は頭からつっこみ、クリンチ。離れたところでもう1度組むが、キム・ジェウンが体を入れ替えワキを潜ってバックに回る。後方から殴って離れたキム・ジェウン。佐藤はワンツーで目に出て左を振るう。足を蹴られ組みついた佐藤、キム・ジェウンの左目尻から大量の流血が見られる。ここでドクターチェックが入り、するに試合が再開された。

残り90秒弱、右オーバーハンドの佐藤。キム・ジェウンがヒザで迎え撃ち、左フックには左を合わせようとする。佐藤は組みから離れて右を打ち、佐藤は左ボディから右を入れて「入れた」とポーズをとる。さらにスピニングバックフィストを見せたキム・ジェウンが、インパクトのある攻撃で佐藤をリードしたように映る試合ではあった……が、ジャッジは3者とも佐藤を支持──「2023年最初の試合、勝つことができました」と佐藤はカメラを通して日本のファンに言葉を送った。

佐藤は大きな勝利を手に入れ、2023年のスタートを切ることができた。その背景にはカウンター狙いで相手を倒してきたキム・ジェウンが『攻めさせる』競技運営に自らのリズムを崩したことも大きい。対して、かつてこの距離、この手数で戦ってきた佐藤がその後のMMAとしての詰将棋を磨いてきた部分を短時間で上手く、しかも気持ちで融合させて勝利を掴んだ。MMAの移り変わりを肌で知り、戦い続けてきた佐藤ならでは判定勝ちだった。


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【ONE FN06】計量終了 メクセンが失敗=ミックスファイトは消滅。スタンプはスーパーガールとキック戦

【写真】セレモニアル計量ではエカテリーナ・ヴァンダリエヴァも姿を見せ、両者の対戦はキャッチウェイトで行われるという風に実況も伝えていた。一方アニッサ・メクセンの姿は計量に姿はなく、「戦うことを許されない」とコールされていた(C)ONE

14日(土・現地時間)にバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE Fight Night06の計量結果が、13日(金・同)に発表された。

そしてミックスファイトで、スタンプ・フェアテックスと戦う予定だったアニッサ・メクセンが、体重及びハイドレーションテストに参加せず試合出場不可となり、両者の一戦はキャンセルされた。

またジドゥオ・イブと対戦するロッタン・シットムアンノンはハイドレーションをパスするため、体重が136.5ポンドとなり、キャッチ戦で両者の対戦が実施されることに。


さらにポストリミでスーパーガール・ジャルーンサックムエタイとムエタイ・ストロー級で戦うはずだったエカテリーナ・ヴァンダリエヴァが、ハイドレーションをパスした状態で体重は0.5ポンド・オーバーとなった。リリースによると、スーパーガールがキャッチウェイト戦を拒否。

その結果、スタンプとスーパーガールがストロー級キックボクシングで対戦することとなったが、写真の説明にあるようにセレモニアル計量では両者はキャッチウェイト戦で戦うという風に説明されていた。それが計量結果のリリースでは、スーパーガールが拒否と書き記されている。

憶測でモノゴトを論じるのは良くないが、仮にスタンプの出場が欠かせず、ポストリミのカードがキャッチウェイトで組まれるよりも、ショーがより良い形で実施されるためにスーパーガールにスタンプ戦を要請したのなら、そのような発表で構わないと思われるのだが。セレモニアル計量と、計量結果の食い違いの方が要らぬ憶測を外野がすることになる。

なお日本から出場する佐藤将光、対戦相手のキム・ジェウンは2週間のショートノーティス出場ながら、150ポンド契約マッチでしっかりとハイドレーションもそれぞれが1.0074と1.0099という低い数値でクリアしている。

■放送予定
1月14日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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