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【WNO06】パワフル&アグレッシブなギャビの攻撃を耐え、ポジション奪取でナチアリが快勝

2月26日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンでWho’s Number One(WNO)の2021年初イベントが開催された。ノーポイント&サブオンリー&判定有りにして、世界超一流の組技師がズラリと顔を揃えたこのグラップリング大会から、女子ノーギ戦=ナチアリ・ディ・ジェスス✖ギャビ・ガルシアの一戦をレポートしたい。

<ノーギ/15分1R>
ナチアリ・ディ・ジェスス(ブラジル)
Def. 3-0
ギャビ・ガルシア(ブラジル)

試合開始後、気合十分のギャビが突進してナチアリを場外まで押してゆく。ブレイク後、ナチアリが座ってギャビをクローズドガードに入れる。すかさず立ち上がったギャビに対して、ガードを開いて左足にデラヒーバで絡むナチアリ。ここでギャビはナチアリの左足を抱えると、吊し上げるようにしてスタンディングアキレスに。

ナチアリは内側からギャビの左足を抱え、前に崩す。が、ギャビも体勢を戻し前に体重をかけてナチアリを二つ折りに。ここでナチアリは背中でマットを回って正体し、ギャビの右腕を超えて三角の形を作りかける。だがギャビは素早く反応して体重を前にかけ、再びナチアリを二つ折りにしていく。

ナチアリがなんとか押し戻すと、ギャビがそのままナチアリの左足を取ってのストレートフットロック狙い。深く入っているが、ナチアリはタップしない。ならばとギャビは外ヒールに移行する。フックが外れるとギャビは立ち、ナチアリの絡む足を押し下げて右にパス狙い。だがナチアリは左腕を伸ばしてガビの巨体を止め、ガードに戻してみせた。ここまで3分。ギャビ圧巻の連続攻撃をナチアリが凌ぐ凄い展開だ。

一旦座ったギャビだが、ナチアリが立とうとうすると、すかさず突進して上を確保。ナチアリがまたしてもギャビの左足に絡むと、ギャビは左足を掴んで押し下げようとしてから、前に倒れ込んでのトーホールド狙いへ。が、ナチアリは回転して防ぎ、上のポジションを奪取した。

しかし、クウォーターでナチの右足に絡んだギャビはすぐにディープハーフに。そのまま横回転を続けると、あっさりスイープを成功させて上を取り返してみせた。

ナチアリのガードの中から立ち上がったギャビは、ガード開くと今度は右足を取ってストレートフットロックで前に倒れ込む。ナチアリのガードへの今回のギャビの作戦は、パスガードではなく足関節狙いのようだ。ナチアリは外ヒールで逆襲。それが極まらないとみるや、ナチアリは50/50の形から内ヒールへ。深く入っているかのように見えるが、ギャビは全く意に介さずフットロックを仕掛け続けている。結局両者とも極めきれず、半分が経過した頃にお互いが立ち上がった。

試合開始後のアグレッシブな姿勢を失っていないギャビは、前に出て二度ほどナチアリを場外に押し出す。やがてナチアリが座ると、ギャビはその左足を抱えてまたしてもストレートフットロック狙い。それを嫌ったナチアリが背中を向けて立とうとすると、ギャビは背後から組みついて倒しにかかるも、場外ブレイクに。

再開後、クローズドガードを取ったナチアリに対し、立ち上がったギャビは左方向に片足担ぎ。それをナチアリが防ぐと、ギャビは三角絞めをもらう心配を一切していない様子で、右腕を中にこじ入れて低く体重をかけてのスタックパス狙い。距離を作って防いだナチアリが立とうとすると、ギャビはすかさず距離を詰めて上をキープした。

残り3分。再び立ち上がったギャビに対し、ナチアリは内側から腕をひっかけて左足を引き出す。が、座り込んだギャビはここもストレートフットロック狙い。ナチアリはトーホールドで逆襲。双方極めることはできず、両者上を狙うが、ここでも上になったのはギャビの方。大きな体格差があるとはいえ、ここまでスクランブルでは必ずギャビが上回っている。

ナチアリは再びギャビの左足に絡み、デラヒーバからバックを狙う。が、正対したギャビはすぐにまたストレートフットロックに。極まらないと見るや外ヒールに移行するギャビだが、ヒザの支点をずらして回転して逃れたナチアリは、そのまま背中を向けたギャビの上に。そのまま襷掛けのグリップを作ったナチアリは、残り2分の時点で両足フックを入れてバックの奪取に成功した。

さらにギャビの巨体を伸ばしたナチアリだが、ギャビは動いてクウォーターガードに持ち込む。ナチアリはギャビの左腕を取りにゆくが。ギャビはブリッジから上を取り返した。再び下になったナチアリだが、ここまでギャビの猛攻を凌ぎ続けた末に、バックテイクというビッグポイントを奪って形成逆転に成功したのだった。

残り1分。立ち上がったギャビはまたしてもストレートフットロックへ。が、ナチアリはそれに乗じて上に。さすがにこれだけ同じことを続けると対応されてしまう。下になったギャビはハーフガードで絡みつつ、腹這いになる守りの体勢に。ここでナチアリは上からギャビの首に腕を回してプレッシャーをかけ、背中を付けさせる。ギャビの上半身を制したナチアリが、足を抜いてパスの体勢に入りかけたところで試合が終了した。

15分間持てる力を出し尽くす激闘となった女子頂上決戦の判定は、3-0でナチアリに。前半のギャビの猛攻を凌ぎ、終盤にバックテイクを決め、さらにハーフからドミネイトしたことを考えても、妥当な裁定だろう。これでナチアリはギャビ相手にギ&ノーギで2連勝をマーク。名実ともに組技界の新女王の座を確立した。

敗れたギャビだが、体格差を利用した上からの膠着を狙うことなく、終始積極的に仕掛け極めを狙っていった姿勢は称賛に値する。滅多に下にならない彼女が見せた、ディープハーフからのスイープも見事だった。今回は新旧対決に敗れてしまった形となったが、パスガードや足関節の技術的精度を上げることで、さらなる進化は十分可能だろう。


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【WNO06】クレイグ・ジョーンズ、ゴードン・ライアン──そしてギャビ・ガルシアの競演!!

【写真】男女世界最強の競演が実現する。なんなら、対戦しても良いかと (C)MMAPLANET

26日(金・現地時間)、テキサス州ヒューストンでWho’s Number One(WNO)の2021年初イベント=WNO06が無観客で開かれる。

ノーポイント&サブオンリー&判定有りグラップリング大会、まずは195ポンド(※88.45キロ)契約/15分✖1Rでクレイグ・ジョーンズとホナウド・ジュニオールがメインで組まれた今大会から、この他の注目カードをプレビューしたい。


<ノーギ・30分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)

当初出場予定だったニッキー・ライアンの負傷を受け、代打出場に名乗りを挙げたのが兄のゴードン・ライアン。17年のADCC世界大会の88キロ以下級を制し、2年後の世界大会では99キロ以下級と無差別級を完全制覇。特に無差別級決勝では、ブシェシャことマーカス・アウメイダに勝利。現在自他共に認める世界最強のノーギ・グラップラーだ。

巨大な筋肉の鎧を纏う大男のゴードンだが、その戦い方はきわめて落ち着き払った理詰めなもの。強固極まりないニーシールドやバタフライガードを駆使して相手を崩してバックを奪い、または必殺のインサイドサンカクの形を作って足関節で仕留める。

18年にヴィニー・マガリャエスにレフェリー判定負けして以来、超一流選手たちと40試合近くのグラップリングマッチを戦い全勝。一本勝ち率の高さも際立っている。師匠ジョン・ダナハーが育成を目指しているという、全局面に強い究極の「スーパーグラップラー」に最も近い存在だ。

対するヒメネスは、昨年黒帯を取得するとともに、瞬く間に世界のトップグラップラーの仲間入りをした20歳。今月のBJJ Stars 5ではイザッキ・バイエンスに0-4で敗れたものの、迅速の内回りでバックを取りかける等、見せ場を作ってみせた。

体格的にも実績的にも不利は否めないヒメネスだが、今回のルールは、先日のバイエンス戦とは異なりサブミッション・オンリー。ポイント計算などせず、世界最強のゴードン相手に自分の潜在能力の全てをぶつける絶好の機会だろう。

最後に、この試合に向けたゴードン本人のコメントを紹介しよう。

「(自分とヒメネスのように)お互いフィニッシュを狙う二人の選手同士の試合ほど面白いものはないよね。普段の僕の試合は、ひたすら膠着してこようとする相手にいかに対処するか、いかに奴らを下にして柔術で戦わせるかに基づいたものになってしまう。ロベルトが相手なら、そこを気にかける必要がないんだ。彼はクレイグ(ジョーンズ)のような危険な相手にすら、ひたすらフィニッシュを狙って攻め込むような選手だからね。この試合には本当にワクワクしているよ」

<ノーギ>
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ナチアリ・ディ・ジェスス(ブラジル)

ガルシアは、2010から2013年にかけて世界柔術女子最重量級と無差別級の両方を制した元絶対女王(13年は薬物検査で陽性が出たため後にタイトル剥奪)。188センチの長身に巨大な筋肉を纏い、女子柔術の世界では群を抜いた体格の持ち主だ。その強さはノーギでも遺憾無く発揮されており、ADCC世界大会では 2011、2013、2017、そして2019と最重量級を制している。

対する現在25歳のディ・ジェススは、2017年から2019年の柔術世界王者。ラッソーガードを得意とし、17年はミディアムヘビー級で。18年と19年はヘビー級を制し、さらに無差別級決勝ではで世界5連覇のビア・メスキータと頂上決戦。前半にラッソーガードから取ったスイープのポイントを守り切って勝利した。

この両者はこれまで道着着用ルールで2度対戦。一度目のパン大会無差別級決勝では、ガルシアがディ・ジェススのラッソーを圧力で潰して背中に付きかけてアドバンテージを奪って勝利した。

が、両者は同年のF2Wで再戦。この時はディ・ジェススがオープンガードからガルシアの腰を蹴って前に崩し、さらに足関節合戦でも優位に立ち、最後は下から三角絞めを仕掛けて腕固めの体勢まで作って見せて判定3-0で完勝、文字通りのジャイアント・キリングを達成して会場を興奮の坩堝に叩き込んだ。これがガルシアのここ5年間における唯一の敗戦だ。

1勝1敗の両者の対戦は、初のノーギマッチ。手首を掴めず得意のラッソーガードを使えない状態で、ディ・ジェススがどのようにガルシアの圧力をかわしてゆくのかが焦点となるだろう。

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