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【FAW2024#01】向坂準之助擁した平本蓮「僕のレベルアップと同時に剛毅會も進んで行ければ」

【写真】相当な手術をしたことが、語調からも伝わってきた(C)MMAPLANET

14日(木)、15日(金)に会場非公開で開催される格闘代理戦争 THE MAXの計量及びトーナメント組み合わせ抽選会が行われ──監督となった数々の大物ファイターを会見場に待たせ、最後に会場入りしたのが平本蓮だった。

その平本に組み合わせ抽選会終了後に、格闘技代理戦争参戦について話を訊くと、剛毅會というMMAチームの結束力を高める絶好の機会と捉えている様子だった。


──最近、手術をしたとか。

「ハイ、やっと抜糸しました」

──相当痛みを抱えていたと聞きました。

「ハイ、試合後にリカバリーでデカ食いしてしまって。肛門が波状になっているのが、痔でケツの穴の横に穴が開いてしまって。以前に韓国で痔ろうになってから、膿が溜まるような癖がついちゃったんです」

──痔ろうの人から、痔は本当に痛いと聞きます。

「ヤバいですよ。もうヤバすぎて……怖すぎて。チョットマジでヤバいぐらい痛くて。放置していると癌化するそうで」

──えっ、そうなのですか。

「だから根治手術っていうのか、保険治療だと下半身だけの麻酔になるのですが、もうそれで耐えられない痛さだろうって思って実費で根治手術をして──めっちゃ医療費が掛かりました(笑)。抜糸して、なんとかコンタクトのないぐらいの練習ができるようになった感じです(笑)。でも、やって良かったです」

──平本選手がマジ・モードの練習になるのは、試合の発表があってからだと思っています。そのなかで向坂準之助選手を要してTEAM平本蓮として格闘代理戦争に臨むこととなりました。

「岩﨑(達也)先生と大塚(隆史)さんと僕らが、剛毅會というMMAのチームになって──ドミーネーター戦から1年半近くになります。どんどん岩﨑先生と大塚さんと僕のチームワークが固まって来て、MMAの正解を見つけに行っています。

多分、当初考えていたことよりも大分MMAをやろうということになっています。大塚さんと色々な映像を見て、際とか細かいところに取り組んで。ただ、まだまとまっているとかではなく、今も進化段階です。

ここがMAXの状態でなく、これから成長していくためにチームワークという部分で凄く一体感があります。皆の想像する強さが一緒、頭のなかのイメージが一緒でセコンドのアドバイスもスッと入ってきます。MMAを戦う上で皆の共通項がある。それってチームにとって、凄く大事なことじゃないですか。

岩﨑先生の理論であったり、大塚さんの経験値、僕の発想が混ざり合って、剛毅會はチームとして強くなっています。

明日は向坂君の試合で、僕の試合じゃないけど、チームとしてのレベルアップを共にしていけたら良いなと思っています。僕と大塚さんがコーチ、コーナーについてやるのって弟の試合ぐらいで。剛毅會は決して選手が多いわけじゃないので、こういう機会も使ってチーム力をつけていきたいです。

今は選手を募集しようかとも話していますし、明日の試合に勝つことが大事なんですけど、その先、その先へと僕のレベルアップと同時に剛毅會も進んで行ければと。そういう意味では今回の格闘代理戦争で、より結束を強めていきたいです」

■視聴方法(予定)
3月15日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

■ 対戦カード

<69キロ契約/3分3R>
ミスター・ホンデ(韓国)
中村京一郎(日本)

<69キロ契約/3分3R>
中谷優我(日本)
松岡拓(日本)

<69キロ契約/3分3R>
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)
諸石一砂(日本)

<69キロ契約/3分3R>
トミー矢野(ブラジル)
向坂準之助(日本)

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【RIZIN46】2024年初のナンバーシリーズ。日韓対抗3試合をはじめ国際戦プラス牛久が太田とバンタム級戦

【写真】会見はファン参加型で行われ、YouTubeでも生中継された(C)MMAPLANET

12日(火)、東京都中央区のコナミクリエイティブセンター銀座で、4月29日(月・祝)に有明アリーナで開催されるRIZIN46の追加対戦カード発表記者会見が行われた。
Text by Shojiro Kameike

会見では冒頭で榊原信行CEOが、一部報道のあったRoad FCとの対抗戦を否定したうえ、日韓対抗戦3試合を含む7カードを発表した。フェザー級=イルホム・ノジモフ×山本空良、フェザー級=中原由貴×ビクター・コレスニック、バンタム級=倉本一真×ヤン・ジヨン、フライ級=神龍誠×イ・ジョンヒョン、中島太一×キム・スーチョル、バンタム級=牛久絢太郎×太田忍、さらに3月23日のRIZIN LANDMARK9で実施予定であった高木凌×西谷大成がRIZIN46にスライドされる。


今回の会見には、すでにRIZINフェザー級王座を賭けて金原正徳の挑戦を受ける鈴木千裕も出席している。ここでは会見に出席したファイターの挨拶、ならびに読み上げられたファイターのコメントを掲載したい。

鈴木千裕
「ずっと昔から言っているのですが、自分たちみたいな若い世代がベテランを引退させないといけない。僕がそのキッカケを金原選手につくらないといけないと思っています。僕が時代を変えます。Xで『腕十字を極める』なんだの言われていますが、ナメんな。その前に粉砕してやるって。金原さん、覚悟しておいてください」

太田忍
「牛久選手は元フェザー級チャンピオンということで。今はATTで練習していて、すごく気合いが入っていて強い選手だと思います。僕の戦績は5勝4KOなので、ストライカーらしく、この試合もKOします」

牛久絢太郎
「4月29日、バンタム級に挑戦します。新しい階級で、皆さんの前で戦えることをすごく楽しみにしています。当日はパァッとインパクトを残せるように、残りの期間はしっかりと仕上げたいと思います」

中島太一
「やっと自分の実力を証明できる対戦相手と戦うことができて嬉しいです。勝つ自信しかありません。日韓戦ということで、日本人として必ず勝ちます」

キム・スーチョル
「今回の日韓対抗戦では、韓国人3選手と日本人3選手が戦うことになりました。今回共に戦うのは私とヤン・ジヨン、イ・ジョンヒョンの3人です。この2人は宝石のような選手だと思っています。それは日本代表の3選手も同じです。日韓ですごくいい競争ができれば良いと思います。
私は目の前にいる敵に必ず勝利したいです。今回は中島太一選手がその標的です。私の全てを中島選手にぶつけます。あなたも全てを懸けて挑んできてください。極上の果し合いを皆様にお届けすることを約束します。情熱的な試合をお届けするので、ぜひ会場に観に来てください

神龍誠
「フライ級最強を目指す神龍誠です。前回堀口選手に負けてしまって、まだ僕が最強じゃないことが分かったので、これからまた最強を目指してイチから頑張っていきます。これから神龍誠の第二章が始まるので、この韓国人の相手をボコボコにします。煽っているみたいなので、やる気が上がってきました。ブッ飛ばそうと思います」

イ・ジョンヒョン
「RIZINに出場できるチャンスは何回かありましたが、今回ようやく出場できることになって、とても興奮しています。これまでに2回、日本人と試合したことがありますが全て勝ちました。日本人選手との相性は良いと思いますし、必ず母国に勝利を持ち帰られるように一生懸命準備しています。
神龍選手は以前からすごく強いと思っていましたし、お互い高いレベルで試合ができると思っていました。すごく強いし、リスペクトもしています。確かに実力はあると思います。でも神龍選手は性格が悪いという噂を耳にしました。どんな人生を歩んできたか知らないですけど、日本のファイターたちからあまり好かれていないみたいですね。そして僕が聞いたところによると、マザコンだしファザコンでもあるそうですね。練習する時もわざわざ両親を呼んでいるとかいないとか。私よりも年上のくせに、年相応の行動ができていないみたいですね。だから僕がこの試合で年相応の行動ができるように、教育してあげたいと思います。
打撃は明らかの僕のほうが上回っている。神龍選手はグラップラーなので、僕がサッカーボールキックやヒジなどで顔面をボコボコにしてあげますよ。僕がこの試合に勝つので、先に謝っておきます。スミマセン」

倉本一真
「ちょうど1年ぶりの試合になります。この間、僕が何をやってきたのか。ここでしっかり見せます。勝つのは当然なので、楽しみにしておいてください」

ヤン・ジヨン
「私はこれまでの日韓戦に関しては全勝しているので、今回もとても自信ありますし、Road FCの代表として出場できることを誇りに思っています。今すぐにでも試合がしたいぐらいです。この日韓戦に私が出るということで、ファンはすごく楽しみにしていると思います。本当に熱い試合を届けます。私は必ず1Rでフィニッシュします」

中原由貴
「最近、剛毅會でやってきた空手と、今までやってきたボクシングとレスリングが良い感じに混ざってきています。それをキッチリ見せて、結果は当然ですけど内容でも有明アリーナを沸かせるので注目してください」

ビクター・コレスニック
「日本に戻ることができて、とても嬉しいです。今回も日本の皆に良い試合を届けるつもりです。対戦相手は総合力が高く優秀です。加えてサウスポーで、打撃も寝技も強い。そのうえで私は打撃戦を挑みたいと思っています。この試合で二人は最高の殴り合いをします。瞬きをしてはいけません。私のスキルを全てぶつけて勝ちに行きます」

山本空良
「1年ぶりの試合です。次の試合については特に思うことはなく、真正面から――相手が得意な打撃だろうが寝技だろうが、ぶん殴り合って絶対に勝ちます」

イルホム・ノジモフ
「日本で試合をするということは、まるで異国で生まれたサムライが母国に帰国する感覚だ。対戦相手の映像を視たが、特に何も思わない。自分が相手を倒し、その後それぞれの道を歩んでいくことになる。日本のファンが待ち望んだ異国のサムライに期待してもらいたい」

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【TOP BRIGHTS01】石の左拳=ダウトベック戦へ、松嶋こよみ「自分のMMAは成長している」

【写真】Team Akatsukiの良太郎代表と。いかに松嶋のMMAは変化、そして進化しているか (C)MMAPLANET

21日(日)に群馬県太田市のオープンハウスアリーナ太田で開催されるTOP BRIGHTS01でカルシャガ・ダウトベックと対戦する松嶋こよみ。
Text by Manabu Takashima

平本蓮らが稽古することで、何かと話題の剛毅會を一昨年限りで離れ、新たな環境に身を置き世界を狙い続ける松嶋は、今、千葉県鎌ケ谷のTeam Akatsukiで打撃のトレーニングを行っている。NOCK OUTブラック・ウェルター級を制した良太郎を指南役とした松嶋の今――ダウトベック直前の状態を尋ねた。


──ダウトベック戦を約2週間後に控えた松嶋こよみ選手です(※取材は6日に行われた)。年末年始の過ごし方は?

「31日は日曜日だったので、普通の日曜日のように休んでいました。練習は普通に変わらず、1日の朝からありました。ロータスでいつも通りの練習があって15、16人が集まっていました。さすがにいつもより少なくなるかと思っていたのですが、逆に多かったですね(笑)。それからもカルペの練習も普通にあって、本当にいつもと変わりなく正月を過ごしていました」

――このTeam Akatsukiで練習をするようになったきっかけというのは?

「僕自身が大塚(隆史)さんのミットを持っていた良太郎さんに、ミットを持ってもらうようになった形です。去年の途中からで、まだ1年も経っていません。土曜日の練習スケジュールを変えようと思った時に、良太郎さんに相談したら『ウチに来れば?』と誘ってもらって。大塚さんとのミットを見たこともあって、その時に話して技術的にも精神的にも共感できるモノがあったのでミットを持ってもらおうと思いました」

――どのようなところに共感できたのでしょうか。

「僕が考えているところに対して、欲しい答えが返ってくる。『それは〇〇選手の動きだよね』っていう風に名前が出てきて。MMAでもキックでも。分かりやすい例でいえばマイケル・チャンドラーのワンツーから、スイッチしてのストレートって伝えると、すぐにミットで受けてくれるような感じで。試合を視ていて、知っている。キックだけでなくて、MMAも見ているからそこを踏まえて実際にミットとして動いてくれます。結果、使いやすい形として残すことができるんです。

試合のことだけでなく、普通に話していても馬が合う。だから、格闘技のことも相談してミットを持ってもらうようになりました。キックのスパーリング、あとは良太郎さんはNOCK OUTのヒジありのチャンピオンだったので、マモルさんに教わっていたモノを細かく練習している感じです」

――松嶋選手の課題は、共に強力な打撃とテイクダウンの融合という部分かと思うのですが、首相撲が加わると大きな武器になりそうです。

「ハイ。良太郎さんに教わっている首相撲をグラップリングでもやるようになって。首相撲ってグラップラーやレスラーが割と対応できなくて、そういう部分では混ぜることができつつあるのかと思います」

――足を取りに来る相手にも、首相撲で対応できるのですか。

「首相撲の動きで、切れます。首相撲でテイクダウンを防いで、首相撲で自分の攻撃を出すことができます。打撃と組みの接点にもなるし、その状態でも崩すこともできます。あとは柔道の足払いを応用したり、そこから首投げだってやります」

――首投げだけでなく、一本背負いなど普通はMMAで見ない投げを松嶋選手は使うことがあります。

「そこは気分でやっちゃってしまう(笑)」

――MMAは疲れないよう無駄を省く作業が必要である一方で、疲れてもやる必要がある動きがある。それが折り重なっているように感じます。

「力を使って強引にやる発想って、MMAでは持てない人が多い。他と違う発想を捨てるのは勿体ないです。それで勝てなくなると元も子もないんですけど、色々な発想を形にした上で使えるものを使っていかないといけない。僕のなかでレスリングとムエタイをやっていれば、MMAは最強じゃねぇかっていうのが昔からあったんです。そこがあって空手もやった。空手をやっていた自分がいて、今の自分になっている流れなんじゃないかと」

――剛毅會を離れましたが、型や基本稽古をやる発想は他にない。だから、その発想を捨てる必要はなかったと。剛毅會でやってきたことは、今も生きているのでしょうか。

「もちろん、生きています。それこそ僕がやってきたことは、空手で培ってきたモノがいっぱいあって。それが僕の武器でもある。今も変わらず自分でサンチンもやるし、突きもやって站椿もやっています。空手は僕のなかでやらないといけないモノです。それが僕の軸ではあるんで。僕が最初に出会った格闘技は極真だし、剛毅會も極真のエッセンスが残っていて宇城(憲治)先生だったり、色々な武術を採り入れてできたモノ。それが剛毅會の武術空手だと思います」

――そういう風に剛毅會空手の説明をさせれば、一番なのが松嶋選手だったような気がします。

「もしかしたら、先生よりそうかもしれないですね(笑)。僕のパンチは、空手の突きです。そこを含めて、良太郎さんにミットを持ってもらっています。そういえばこの間、青木さんとも話していたんですが、武術は延々とやり続けるもの。ただMMAという競技は違う。ずっとはやっちゃいけない。選手としてやることが前提にあるからこそ、延々とやれる武術が生きるんです。そのエッセンスが。武術の場に格闘技を持ち込んではいけない。格闘技の試合で、武術をやってはいけない。陰と陽じゃないですけど、上手くバランスをとる必要がある。そこの調和を上手く、やっていきたいですね」

――良太郎選手と取り組んできた発展形が、どういうモノになっているのか興味深いです。

「柔軟になったというのが、一つあるかと思います。先生が言っていた『やっちゃいけない』をやることがある。武術的に下がるところで、下がると勝てないことがある。打てと言われる場所で、カウンターを被弾することもある。武術の正解が、MMAでは正解でない場合もある。その行ってはいけない、打ってはダメなことを理解したうえで、行くときは行くという風に整理をして、スパーリングや試合に臨もうと思っています。

それができるのも武術と格闘技を別にしているから。武術の在り方が分かっていないと、そうはできない。それはMMAのなかでボクシングを使うのと同じで、武術を使うとはそういうことなんです。良太郎さんとの練習で発想が広がったところはあります。人がやらないことをやる、それも僕の良さではあると思っています。形に捕らわれないで取り組んで、良太郎さんのアドバイスもあって自分のなかで形にする。ここが、それを整える場所になっていて。自分のMMAは成長していると思います」

――そして迎えるダウトベック戦です。誰をも倒せる左の持ち主です。

「もう分かっている。武器を公表してくれているようなモノなので、僕の見えない武器の方が向こうは試合中に嫌だと思います。だから、その左にビビらない気持ちを創って当日を迎えることができるか。そこだけだと思います。ただ、当たる気はしないんです。

僕は試合でクリーンヒットされたのは、マルロン・サンドロ戦が最後だと思います。だからマーチン・ウェン戦の時に負けたのか。年末にヘンリー・ホーフトのセミナーに出て、ヘンリーに『それだけレスリングと打撃ができて、なぜ負けるんだ。気持ちのコントロールと試合の組み立て。そこだけだ』と言われて。凄く腑に落ちました。そう言ってもらって凄く良い時間になりました。多分、あそこに来ていた皆より大分良い時間になったと思います。

言葉が、凄く響きました。セミナーで教わった技術はパンチや距離だったり、当たり前のことでした。でも、その合間に話してくれる言葉が凄く響いて。『あぁ、お金を払ってきて良かったなぁ』と。彼自身が戦ってきた人で、これだけ選手を見てきて、今も見続けている。だからこその言葉だったと思います」

――気持ちという部分で、ヘンリーがそのようなことを言ってくれた。荒々しい動きを修正しないといけないと思われた時期があった松嶋選手ですが、その荒々しさが今は必要という風に見られることもあります。

「荒々しさって別に力じゃない。だからやるべきことを正確にやることが大切で。でも、そこに熱がなければ力を出し切れない。その部分を踏まえて、自分の戦いをしないといけない。相手を見るより、自分をちゃんと見て。そのバランスを保ちながら、やるべきことをやりたい。それが今の気持ちです」

――Road to UFCなのか、その先のUFCなのか。いずれにしても、UFC首脳に『マツシマを使いたい』と思わせないといけない。その辺りに関して、この試合で何を見せたいですか。

「フィニッシュですね。この相手にしっかりとフィニッシュして勝つのが、今回の大前提として戦いたい。そのうえで打撃だけでなく組みに関しても、ここまで自分が練習してきたものを出せるのか。散々、練習してきたことをしっかりと出してちゃんと戦いたいと思います」


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【Special】J-MMA2023─2024、平本蓮「僕は喧嘩四つの“幅”が好き。自分のMMAの勝ち筋が見えてきた」

【写真】取材相手や場面によって様々な顔を見せる平本。MMAPLANETではとことん格闘技オタクとして語ってもらった。(C)TAKUMI NAKAMURA

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Takumi Nakamura

J-MMA2023-2024、第八弾は平本蓮に話を訊いた。2023年の戦績は1勝1敗に終わった平本だが、試合内容を見ればサウスポーへの開眼をはじめ、自身の打撃力を活かしたMMAの戦い方を確立した1年になった。平本だからこそ見えるMMAにおける打撃の世界観をお届けしよう。

■2023年平本蓮戦績
4月29日 RIZIN LANDMARK 5 in YOYOGI
×1-2 斎藤裕(日本)

12月31日 RIZIN.45
○3-0 YA-MAN(日本)


――大晦日のYA-MAN戦、おつかれさまでした。試合から10日経ちましたが、映像映像などはチェックしましたか。

「はい。試合直後にもそんなに攻撃をもらってないのは分かっていたんですけど、映像を見返しても全然もらってなかったですね。あれだけ近い距離で打ち合っても、自分の打撃の能力だったらもらわないんだなって思いました」

――かなり打ち合っているように見えましたが、クリーンヒットはなかったわけですね。

「もちろん自分の動きが止まっていて、相手のパンチが直撃すればダメージがありますけど、ボクシング的な避け方っていうんですかね。身体全体を使ってパンチを流す技術はMMAグローブでもできるなと思って。YA-MAN戦が決まるまで、ずっとボクシングの練習を強化してたんですけど、それがいい具合にハマりましたね。やっぱりMMAの練習をやると、どうしても純粋な打撃の技術は下手になっちゃうんで、一時期ボクシングをやり込んだのがよかったです」

――今回の取材に向けて斎藤裕戦も見直して、すでにあの試合からサウスポーに構えて距離を取るスタイルになっていましたよね。

「そうなんですよ。僕はサウスポーに構える・相手と喧嘩四つで戦うのが好きで、喧嘩四つになると少し間合いが遠くなるじゃないですか。その“幅”が好きなんですよね。斎藤戦はテイクダウンディフェンスを意識して、腰を重くした構えになってしまって、あれだとテイクダウンはディフェンスできるけど、打撃と連動しづらいんですよ。逆にアップライトで構えると強い打撃を出せる。自分のファイトスタイル的に、ある程度テイクダウンをディフェンスができるようになってきたので、最近はアップライト気味に構えることが多くなりました。実際それでやってみると、変にテイクダウンディフェンスを意識しすぎない方が結果的に距離も上手く使えるし、テイクダウンされにくいんですよね」

――テイクダウンディフェンスを想定した構えになると、自分が受ける前提になってしまいますし、相手にとっては距離を詰める・組みやすくなるのかもしれないですね。MMAは喧嘩四つの方がやりやすいですか。

「僕はもともとサウスポーでも出来るし、いい意味で喧嘩四つはやることが限定されるというか、技の差し合いが複雑じゃないんですよね。もちろん相四つでも全然できるし、それもやれる上で、自分は喧嘩四つが好きです」

――こうして話を聞いているとK-1・キックルールよりもMMAの方が打撃の引き出しを使えるようですね。

「実はそうなんです(笑)。キックは良くも悪くも無視していい攻撃があるけど、MMAだとそういう攻撃でも効かされるリスクがある。MMAはキックよりももらっちゃいけない打撃が多い分、一つの一つの細かいフェイントや駆け引きがキックよりも大事になるんです。そういう部分でMMAの方が自分が持っている打撃のスキルを出せる気がします。あとはなんだかんだでMMAグローブの打撃に慣れてきたことも大きいですね。MMAグローブの打撃のもらい方や逃がし方が分かってきたというか。やっぱりヘッドギアつけて16オンスのグローブでやる打撃の練習はMMAとは全く別競技ですよ。もちろんそういうガチスパーをやるのも必要だけど、怪我のリスクもあるし、ダメージも溜まるし、体力・技術差があると一方的になっちゃう。ああいう練習は強い選手はどんどん強くなるけど、弱い選手が淘汰されていく練習方法なので、僕らの練習ではあまりやらないようにしていますね」

――それはボクシンググローブとMMAグローブをどちらも経験している平本選手だからこそ分かることですね。

「(篠塚)辰樹も僕らとずっとMMAグローブで練習して、キックのディフェンスをMMAグローブでも使えるようにしていたから、それが試合に出てたと思います」

――篠塚選手が試合後のコメントで「MMAグローブの打撃がどんなものかあえて喰らってみた」と言っていたのですが、決してリップサービスではなく、そういう意味もあったんですね。

「そこはホントにあったと思いますよ。実際にMMAグローブのパンチを受けてみて、どんなものかを理解しておくことは大事なんで」

――YA-MAN戦は平本選手のこれまでの取り組みが形になった試合だと思うのですが、ご自身の感覚ではいかがですか。

「それまでは試合中に『どうしよう?どうしよう?』と困ることもあったのが、そういう混乱がなくなりました。MMAの経験を重ねて、自分がこうやって勝つという自分の勝ち筋が見えてきた試合でしたね」

――今お話を聞いていても、2023年は斎藤裕・YA-MANと全くタイプが異なる選手と戦いましたが、平本選手は同じことを継続して練習しているのだなと思います。

「僕もそう思います。YA-MAN戦が決まった時、これから海外の選手とやることを考えたら、近い距離でガンガン打ち合ってくる打撃が強い選手なんてたくさんいるわけじゃないですか。今後そういう相手と対峙したときに落ち着いていられる自信が必要だと思ったから、YA-MAN戦を乗り越えたことは結構デカいんです。あのタイプの相手とやっても、自分にやれることが多いんだなと分かって、そこは後々大きなプラスになるかもしれないです」

――MMAにおけるストライカーの形は色々なタイプがあると思います。パンチ主体でテイクダウンを混ぜるタイプだったり、テイクダウンされないようにアウトボクシングしながら効かせるタイプだったり。キックからMMAに転向する選手はどのタイプを目指すかが重要だと思うのですが、平本選手の場合はどちらかと言えば後者、喧嘩四つに構える・距離を大事に戦うスタイルが一番しっくり来ていますか。

「僕はボクシング主体で前に出るよりも、そっちの方が合っている気がしましたね。コナー・マクレガーみたいに左の蹴りでリードをとって、前手で距離を把握しながら、相手が入ってくるところに左ストレートを合わせる、みたいな。あれはムエタイでいったらゲーオ・ウィラサクレックの戦い方だし、ボクシングでも喧嘩四つの試合を中心に見ていて、それは蹴りも交えたボクシングの技術として見ていますね。さすがに(ガーボンタ・)デービスは真似できないし(笑)。逆にボクシング的に見るポイントは相四つの時のノニト・ドネアの左フックを合わせるタイミングとか、いざとなった時の打ち合う技術です。アレックス・ペレイラもそんな感じじゃないですか。そうやって自分の戦い方やスタイル、試合のシチュエーションに合うものを見ています」

――分かりやすい例えをありがとうございます。平本選手の中にも色んな打撃のスタイルがあって、それを相手や状況に使い分けているということですね。

「ようやく自分の打撃の使い分けが分かってきて、打撃そのものが安定してきた感じはありますよね。あと打撃で両方構えられるからだと思うんですけど、自分からタックルに入る時も右構え・左構え、どちらからでも入れるんですよ。一度、筋力のバランスを測ってもらった時に左右比がほぼ同じという結果が出て、筋力的に右構え・左構えで差がないらしいんです。だから組み技でもどちらが得意というのがないんですよ」

――打撃のスタイルが思わぬところにも影響が出ていたんですね。

「逆にMMAをやるようになってからも野杁正明選手の試合はめっちゃ見ます。野杁選手はK-1の距離ですけど、オーソドックス・サウスポーどちらも構えられるし、使う技や威力も構えに関係なく同じじゃないですか。よく右でも左でも同じように倒せるなと思うし、野杁選手の試合を見ていると、MMAでも活かせる技術がたくさんあります」

――MMAに転向して野杁選手の凄さを再確認したというのは面白いです。

「MMAは時間がかかる競技なんで、今から野杁選手がMMAをやることはないと思うんですけど、仮にMMAをやっても強いと思います。相手の動きに対する反応もいいし、腰も強そうなので」

――またこれも是非聞きたかったのですが、剛毅會、平本選手のチームに大塚隆史選手がいることが大きいのではないかなと。

「ホントそれっす! 大塚さんの存在はデカいっす!」

――以前、剛毅會の練習を見学したときに、大塚選手が岩﨑達也さんとは違うポジションで上手く練習をマネジメントしているなと思ったんです。

「大塚さんは基本的にはレスラーだけど、ストライカーの目線でもMMAを見ているから、大塚さんと話すとめちゃくちゃ面白いんですよね。で、僕らも大塚さんもMMAオタクだから、UFCが終わったあとはみんなでオタクな話をしてます」

――ピュアレスリングではなくレスリングができるMMAコーチというポジションですよね。

「僕も組み技の基礎、エスケープ、ディフェンス…を大塚さんに教わって、今からMMAを始めようと思っている人は大塚さんに教わった方がいいですよ。MMAでやるべきことをしっかり学べるんで。リアルにオススメします(笑)」

――決して宣伝ではなく(笑)。

「今回はチーム力がすごく上がったと思いますね。岩﨑先生と大塚さんがいて、みんなで相手のことを研究して試合に臨む。ATTとかああいう規模ではないけど、チームとして相手を攻略する。そういう形が出来てきたと思います」

――新たにヒジ打ち・首相撲を教えられる梅野源治選手もコーチとして加入して、各ジャンルのスペシャリストがいるなかで、大塚選手のようにそれらをミックスしてMMAに変換できる存在がいるのはバランスがいいと思います。

「だから(芦澤)竜誠くんも絶対強くなると思いますよ。今回は負けちゃいましたけど、練習していて強くなっている姿を僕は近くで見てきたし。竜誠くんはキックの頃から距離とか間合いを大事にするタイプだから、MMAにも向いていて、実際にMMAスパーをやるとパンチをもらっちゃいますからね。あと辰樹もMMAに興味があるみたいなんで、アイツにもMMAやらせようかなと思ってます(笑)」

――さて2024年はいつくらいに試合をしたい、どんな相手と試合をしたいと思っていますか。

「やっぱり朝倉未来とは戦いたいし、それまでに試合をやるんだったらやるし、これから(RIZINと)話していく感じです」

――昔から平本選手は対戦相手や試合の意味を考えて、それがしっくり来た時に戦うスイッチが入るタイプじゃないですか。そういう意味ではスイッチが入る相手や試合が決まるタイミングを待ちたいと思います。

「ですね。ただ次の試合ではもっと強くなった平本蓮になっているので楽しみにしていください!」

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【RIZIN45】MMAルール3試合=平本蓮×YA-MAN、久保優太×安保瑠輝也、YUSHI×平本丈が決定

10日(日)、東京都渋谷区のShibuya Sakura Stage 3階「にぎわい stage」において、12月31日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN45の追加カード発表記者会見が行われた。
Text by Takumi Nakamura

まず榊原信行CEOから「今日発表するカード、全部で4試合。世界中に色んな格闘技の団体があります。この日本にはみんなと共に作り出すRIZINがある。若き選手たちの戦いでみんなにすごいエネルギーを送ります。何かに挑戦する、はみ出していく。こんな時代ですけど若き選手たちの戦いを通じて、そういったものが届けばいいなと思います」と挨拶があり、続いて大晦日までABEMAにて毎週日曜日に事前番組を放送すること、チケット発売、PPV中継の発表があった。

そしてMMAルールで平本蓮×YA-MAN、久保優太×安保瑠輝也、YUSHI×平本丈の3カード、MMAグローブのキックボクシングルールで篠塚辰樹×冨澤大智の合計4カードが発表された。榊原CEOの挨拶を受けて8選手がマイクを持ったが、ここでは試合への意気込みを語った平本の言葉をお届けしたい。

平本蓮
「今日は本音を語ろうかなと思います。僕は20歳の時にK-1にいて、将来が不安で、いつ崩壊するか分からない状況で、孤独もあって怖かったです。それでK-1を抜けて、世界に向けて盛り上がるものをやりたいと思ったときに朝倉未来が現れて。シンパシーを感じたというか、本当に感動して、こんなやつがいるんだな、面白いやつを待っていたんだなと思いました。僕もどうやって試合を盛り上がるか。噛みついて喧嘩を売って試合を盛り上げようと思って、最初は馬鹿にされたし、色々言われたけど、朝倉未来がいたからRIZINでMMAやろうと思って、あいつのおかげでMMAを始めたところがあります。

それから自分で話題を作って、ドミネーター選手に勝って、でも斎藤選手に負けて。どんだけ積み上げても、なんであとちょっとのところで逃してしまうんだろうと思って。それで夏くらいにすごく腐っていて、うつ病みたいになって、元気がなかったんです。そんなときにアイツがヴガール・ケラモフとやったりしているのを見て、僕的には色んな表現の仕方はあるけど、勇気をもらっていた部分があります。それで年末に向けて、腐っている僕を社長が呼んでくれて。今まで自分で話題を作って試合をしてきたから、そういうプロ意識を貫かないといけないと思ったり、悪口キャラをやめたら食っていけないのかなとか葛藤がありました。

そしたら朝倉未来がキックルールでYA-MANに負けたのが悲しくて。でもこんなに盛り上がったのは朝倉未来のおかげだし、もう煽り合いはいいです。自由に戦っていこうと思います。絶対に朝倉未来と試合をしたいっす。だからこの試合は勝たないといけないです。朝倉未来のかたき討ちじゃなくて、ここで勝てば、自ずと来年その試合が見えてくるし。YA-MANも強いし、厳しい試合になるかもしれないけど、覚悟の違いがあるんで絶対に勝ちます」

 またMMAPLANETとの質疑応答で、弟の平本丈と同じ日に試合することを聞かれた平本は「弟と辰樹もそうなんですけど、今剛毅會で大塚(隆史)さんと(芦澤)竜誠くんと一緒に練習していて、全員で試合に臨むことを僕はワクワクしています。みんなで士気が高まっていて、やっぱり僕は格闘技が好きなんだなと思って楽しいです。全員で勝てたらいいなと思います」と語った。

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【RIZIN44】白川陸斗戦へ、中原由貴 in 剛毅會「空手をやったからと言って、使えるようになると思うな」

【写真】稽古をして、中原の打撃を試合に生かすこと。それが武術空手だ (C)TAKUMI NAKAMURA

24日(日)さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44にて白川陸斗と対戦する中原由貴。
Text by Takumi Nakamura

昨年大晦日に鈴木千裕に敗れた後、平本蓮のトレーニングキャンプに参加したことをきっかけに剛毅會空手での練習をスタートさせた。白川戦の約2週間前、剛毅會空手での練習を終えた中原に話を訊いた。


──今回剛毅會空手での練習風景を取材させていただきました。いつからここでの練習をスタートしたのですか。

「大晦日で負った怪我が治った3月くらいですね。もともとT-GRIP TOKYOには毎週火曜日に出稽古に来させてもらっていて、ちょうど(平本)蓮くんの斎藤裕戦に向けたトレーニングキャンプに参加させてもらったんです。そのときに蓮くんと一緒に岩﨑先生も練習に来られていて。僕も岩﨑先生の指導に興味があったので、剛毅會空手の練習に参加させてもらうようになりました」

──練習内容を取材させてもらい、一般的に言われている打撃の技術や理論とは異なる独自のものが多いと感じました。最初に剛毅會空手の練習に参加したときの第一印象はいかがでしたか。

「もともと僕はメンタル的な話や武術的な考えが嫌いではなくて、岩﨑先生のMMAPLANETでの記事も好きでよく読んでいたんですよ。実際に岩﨑先生の話を聞かせてもらったり、指導を受けたりして、シンプルに面白いなと思いましたね」

──剛毅會空手を学んで、最初に変化と感じたのはどこですか。

「変化ではないんですけど、大晦日の敗因は僕がイケイケになってしまったことなんですね。練習でもそうなのですが、僕は理性が働いて自分の戦いができている時は、自分の長所を活かせているんです。でも何かのきっかけで試合でも練習でもイケイケになってしまう。大晦日はまさにイケイケになってしまった典型的なパターンで、事前の作戦も全部ひっくり返しちゃって、前に行きすぎてやられました。剛毅會空手を学ぶことでそうならないように自制できるようになりましたね」

──大晦日の敗因を分析・理解することで、自分の戦い方に変化があったのですか。

「去年7月に関鉄矢選手に勝った時、僕の戦い方にSNSで賛否両論あったんですよ。ファンの人からは『つまらない』と否定的な意見が多く、格闘技の知識がある人からは『距離が抜群で、打撃の打ち分けがよかった』と肯定的に言ってもらえて。あの試合がつまらないと思っている人たちには大変申し訳ないんですけど、僕の中で関戦は歴代の自分の試合のなかでもトップクラスにいい試合だったんです」

――自己評価と一般的な評価に乖離があったわけですね。

「僕としては関戦の自分が理想のはずなのに、大晦日ではそれと全然違うことをやっちゃうという(苦笑)。最初からすべてが同じではなかったですが、自分と岩﨑先生の思想が合っていたと思うし、岩﨑先生の教えを請いたいと思いました」

──そこから技術的なことや実践の動きのなかで『これがでハマった!』と『よくなった!』と感じるのはどこですか。

「なんだろうな…自分の長所に磨きがかかったところじゃないですかね。岩﨑先生と練習を始めた頃、岩﨑先生が『数年空手をやったからと言って、空手を使えるようになると思うな。俺もまだその途中なんだ』とおっしゃっていて。それがすごく印象的だったんです」

──そんな簡単なことではない、と。岩﨑さんはご自身の技術を指導する一方、岩﨑さんからも練習参加メンバーに「これはどうなの?」と質問する場面もあって、あのバランスが選手にとっては大きいなと思いました。

「そうなんです。僕の場合は剛毅會空手を始めて数カ月で、今回の試合が決まった時に『いろいろ教えたけど、自分が出来ないと思ったことは捨てなさい』と言ってもらえて。今それがちょうどハマってるんですよね」

──中原選手のスパーリングを見て、凄く“大きく”見える。そう感じました。

「あっ、本当ですか? 純粋に身体がデカいとかではなく、ですか?」

──純粋なデカさもあるかもしれないですが(笑)、対戦相手は向き合ったときに身体のサイズ以上の大きさやプレッシャーを感じるのではないかと思いました。

「どうだろうなぁ……ここの練習ではちゃんと先生に見てもらっているので、多少強く殴っていいよって言われるんです。それもあって(相手に)プレッシャーがかかっているように見えるかもしれませんが(笑)。そこも含めて自分の長所に磨きがかかっているなというのは感じます。関選手とやった時を一つの理想にしつつ、そこに打撃の破壊力が乗っているというか」

──また今日の練習を見て、中原選手の技の引き出しが増えているような気もしました。

「ああ…そうかもしれないです。次の試合で色々とやろうとしていることはありますね」

──それと同時に打撃の引き出しが増える、打撃の技術が伸びたことでMMAにおける戦い方の幅も広がったのではないですか。

「少し前に打撃だけじゃなくて組みに関しても、ちょっと迷子になっていたところがあったんです。RIZINに来る前、ONEでのエミリオ・ウルティア戦なんかではいい感じに出来ていたものが、最近の試合ではできなくなっていて。ちょうどその原因になっていたところを岩﨑先生に修正してもらって、それで一気に全て変わりました」

──では結果的に試合間隔が空いたこともいい方向に出そうですね。

「本当は4月~5月に復帰戦のオファーをいただいていたのですが、3月末までコンタクトする練習ができなくて(フィジカル)トレーニングだけだったので、それで体重だけ落として試合するのは周りの人に申し訳ないと思い、お断りさせてもらったんです。

じゃあ6月か7月という話も出たのですが、剛毅會空手の練習を始めてすぐだったし、まだ教わったことを試合で使えないと思っていて。その話は流れて最終的に9月になりました。最初は焦りもありましたが、練習期間が伸びた分、パフォーマンスが上がっていたので、この時期に復帰戦が決まって良かったです」

──その復帰戦の相手の白川陸斗選手の印象は?

「白川選手は試合そのものが2年ぶりですけど、シンプルに根性が凄いし、打撃も上手いし、素晴らしい選手だなと思います。ただ2年も空いていると、過去の試合は何も参考にならない。2年もあれば人は別人になれますからね。だから事前の情報がほとんどない相手と戦うイメージで、あとは試合中に起きたことに臨機応変に対応します」

──白川選手のブランクの有無はあるにせよ、今の中原選手にとっては×対戦相手よりも、自分のパフォーマンスがどうなっているのかに興味があるのではないですか。

「今回はそれがデカいですね。なんか楽しみというか。白川選手ほどじゃないけど、自分も期間が空いているし、大晦日に出しきれずに終わったもの、用意していて出せなかったものもあるし。今回は相手に対してだけでなく、新しくなった自分のパフォーマンスに集中したいです」

──この復帰戦をクリアして、ここからどこを目標に戦っていきたいと思いますか。

「焦るのも良くないんですけど、やっぱり強い選手とやりたいし、海外勢にいいようにされていてムカつくところもあるんですよ。今のRIZINは外国人たちの『(RIZIN)に出ればベルト獲れるんじゃない?』という雰囲気が伝わってくるし。フアン・アルチュレタなんてポンポンとRIZINに出て、ベルトを獲って次はフェザー行くみたいな話を軽くしてたりとか。『ちょっとナメすぎだろ?こいつら』という想いがあります。

もちろん今フェザー級のトップでやっている選手に頑張ってもらわないとって気持ちはあるんですけど、やっぱりそこに自分が行きたいと思うんで。白川戦も含めて勝ちを重ねて、早く発言権を得たいです。RIZINとBellatorとの対抗戦でも、お互い強い選手を出し合ってるからしょうがないかもしれないけど、Bellatorにやられちゃったことは悔しいし。僕はそういう試合に出ても白星をとれる選手になりたいし、RIZINを代表して外(海外)に日本人で強い選手がいるぞというところを見せたいですね」

──中原選手はONEで戦っていたことも含めて、海外での試合や×世界を常に意識していたと思うし、そこで結果を出すことへのこだわりはありますか。

「僕は自分の限界を知りたいんですよね、自分がどこまでやれるか。もちろん日本人相手でも限界を知ることはできると思うんですけど、やっぱまだ世界の団体を見ても日本人の名前がトップにない状況があって。日本より海外の方が強い選手が多いわけじゃないですか。それは競技だけじゃない、人口的な問題があるのかもしれないですけど、僕たちは日々必死に練習しているので、ちょっとでも強い相手とやりたいという気持ちが強いですね」

──RIZINのフェザー級は中原選手が欠場している間に王座交代もあり、大きな動きがあった階級です。RIZINフェザー級の現状をどうとらえていますか。

「色々と動きはありましたけど、トップどころのメンバーは変わってないですよね。上の選手になればなるほど試合数も減っていて。今のままではマッチメイクも難しいと思うし、試合を選んでいるとは思わないですけど、みんなメリットのある試合をやりたがるじゃないですか。

それは当然のことだと思うんですけど、今の状況を変えるには僕らみたいに下から上に上がる選手がいて、上をかき回すことが大事。RIZINファンにつまらないと思わせないためにも、僕には下から突き上げる使命もあると思っています」

──確かにトップ戦線に一人新しい選手が入るだけで組み合わせも含めて、いろんな動きが出てくると思います。

「トーナメントをやるのも一つの手段だと思うんですけど、結局それで上のメンバーが団子状態になる可能性もあるわけで。だったら下から上がってきた選手が一人ポンと入って、一人ずつ倒していけば面白いと思うんですよ。自分がそうなりたいですね」

──中原選手をインタビューさせてもらい、競技者としてどうあるべきか。またプロとしてどう見られているか。本当に色んなことを考えている選手だと思いました。そのうえで今回は何を一番意識していますか。

「自分のパフォーマンスに集中することですね。今まで色々と考えすぎていたんですよ。それも対戦相手ありきというか、相手といい試合を作ろうとか。今はそうじゃなくてもっと我を出していこうじゃないけど、俺さえ良ければいいみたいなマインドに変えようと思って。海外の選手の発言を聞いていると、そんなヤツばっかりじゃないですか(笑)」 

──確かに常に主語は自分になっているような気がします。

「当然僕も相手にリスペクトは持つし、その信念は捨てないです。でももっと自分のことに集中してみようかなと。何をするにしても、視点を変えるじゃないですけど、一人称を自分にするというか。そうやって相手に合わせないことで、明らかにパフォーマンスが変わったんで、それを試合で見せたいです」

──前回の試合から変わった中原選手の姿が見られると思います。それではこの試合を楽しみにしているファンの皆様に締めのメッセージをいただけますか。

「自分でも自分を楽しめるというか、どんなパフォーマンスが出るか自分でも分かっていないので、そこも楽しみにしてもらいながら。どんな結末になるのか、手に汗握りながら見てもらえたらと思います」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<キック70キロ契約/3分3R>
安保瑠輝也(日本)
宇佐美正パトリック(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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Bu et Sports de combat MMA MMAPLANET o Road to UFC UFC アマンダ・ヒーバス キック パン・ジェヒョク メイシー・バーバー 剛毅會 岩﨑達也 武術空手 河名マスト

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。メイシー・バーバー✖ヒーバス「見世物」

【写真】メイシー・バーバーの逆転は、気持ちから (C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たメイシー・バーバー✖アマンダ・ヒーバス戦とは。


──メイシー・バーバー✖アマンダ・ヒーバス、相当に激しい打撃戦が展開されました。

「これは凄い試合でした。ヒーバスが先手を取って、バーバーは常に圧されていました。それが2Rに入ると、なぜかバーバーに回転が掛かり始めました」

──ヒーバスがあれだけ攻勢でありながら、リスクのある足関節を仕掛けてパウンドを打たれたのが不思議でした。

「1Rは自分のペースで攻めていたので、その勢いがあったのかと思います。ただし、2Rのバーバーは違っているのに初回と同じような調子で行ってしまいました。しかもハイキックが全く見えていなかったです。

対してバーバーは蹴った後は殴る。しかも連打で──という私も選手に口を酸っぱくして指導していることをバーバーはやっていました。アレはテクニック、でできるものではないんです。本気で相手をぶちのめす気がある人にしかできない攻撃です。あの攻撃を形だけみて、左ハイキックからワンツー、スリーっていうコンビネーションをやろうと思ってもできない。それができたのは、バーバーの必死さじゃないかと思います」

──UFCの女子選手、街で喧嘩をしても強いだろうなと感じます。ヨーイドンもなく、レフェリーもいない戦いができそうな。

「それはそうでしょう。自分の身を守るために、男にだって殴りかかりますよ。あの気迫は、そういうものです」

──これは暴論かもしれないですが、男子と女子のMMAで前者の方がレベルが高いとします。そうすると女子だけの大会よりも、男子のなかに女子の試合を組み込む方が彼女たちも強くなるような気がしました。そこにより激しい戦いがあるなら。

「まぁ、どれだけ強くなりたいのか。どれだけ強い相手と戦いたいか。それもUFCという世界最高峰の場でプロとして見せる試合と、そうでない試合は違いがあります。ハッキリいってプロって見世物です」

──ハイ。

「見世物だからこそ、お金を取って良いわけです。その頂点がUFCで。我々の時代は出場料を収めたうえで、死んでも文句を言わないと一筆したためて戦っていました(笑)。そこにプロ化、経済の理論が持ち込まれた。お金を貰っても、そういう死んでも文句をいわないという意志を持ち続けて戦っている者もいました。

だけど、プロという興行の場においても、そうでもない選手もいます。そんなので見世物として、お金を取れるファイトができているのかっていうような選手が。ただし、そこもチケットを売って大会を開くプロモーション側が幾何かのファイトマネーを支払うからプロであって。職業という意味でのプロが、どれだけいるのかというとそうでない。MMAを戦う選手が、どういう覚悟を持って日々練習し、試合に向かっているのか。

そして格闘、武道というモノをどう捉えているのか。もちろん技術もそうなのですが、覚悟という部分ですかね。先日の河名マスト選手と韓国のパン・ジェヒョク選手の試合を視聴させてもらいましたが、あの試合の河名マスト選手には心打たれました。技術ではないです……あの頑張りは、素晴らしい。もちろん、技術はつけていかないといけない。同時に、どういうつもりでMMAを戦っているのか。あの河名選手の戦いこそRoad to UFCなんですよね。ああいう戦いが、UFCを目指す戦いです。

そういうなかでバーバーですよ。初回と2Rではパンチが全然違います。初回を終えて、このままでは勝てないという危機意識を持ったのか、完全に上がりましたね。それだけ彼女は勝ちたかったということです。実際1Rがダメで、そのままダメな人も多いです。試合っていうのは、どこかで折れる。そして、盛り返すことができないことは当然のようにいくらでも起こり得ます。折れたら、折れたなりで戦うのが試合なんです。

そういう点で、この試合に関しては折れなかったバーバーを褒め称えるべきです」

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BELLATOR Bu et Sports de combat MMA MMAPLANET o UFC キック クレベル・コイケ セルジオ・ペティス パトリシオ・フレイレ ボクシング マイケル・チャンドラー 剛毅會 岩﨑達也 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。セルジオ・ペティス✖パトリシオ・フレイレ

【写真】 この圧力が、攻撃に繋がっていなかったパトリシオ(C)BELLATOR

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たセルジオ・ペティス✖パトシリオ・フレイレ戦とは。


──セルジオ・ペティス✖パトリシオ・フレイレ、この試合を見てパトリシオは倒す気持ちはあったのか。なぜ、前に出ても打たないのか──そこが気になりました。

「結論から申し上げますと、ペティスとフレイレの試合MMAというプロ興行の看板を背負っている──数字が取れるから、登用されている選手の試合でした。

加えて技術的な面でいえば、ペティスは蹴り主体で、後ろに回りながら距離を取っていました。これに対してフレイレは左足前の送り足で動いているので、距離が遠い時には追い切れないというのはあります。だから手が出しづらい」

──仮に空手の技術でそこを解決するには、どのような手段がありますか。

「基本的な移動稽古で既に距離を詰める稽古をしています。踏み足といい──後ろ足を出して、追い突きを繰り出す」

──それこそ三本移動ではないですか。

「そのままですね。出て距離を詰めると同時に、突きが出ている。とはいえ、送り足でも距離を詰めることはできますし、殴れます。ボクシングでも当然ありますし、フルコンタクト空手でもキックボクシングでもやります。倒すこともできます。

つまりフレイレは送り足でワンツーを繰り返していますが、どういうつもりで打っているのかということですね」

──と言いますと?

「あのマイケル・チャンドラーを一発でKOした時と、今回のフレイレが同じ状態だったとは思えないです」

──それはバンタム級に落とし、体調が完璧でないということでしょうか。

「いえ、そういうこともあるかもしれないですが、主に精神面──気持ちです。なぜ、KOパンチが打てたのか。引き続き、打つにはどうすれば良いのか。そこに着目して練習しているのか。何を追い求めているのか、ですね。

フレイレにパンチ力があるなんて、一目瞭然です。でも、そのパンチの強さを毎回のように再現できるのか。パンチ力を発揮して勝てるのか。そこを追求していないと、できないです。申し訳ないですが、無難にやっていこうとしたんだと思います。

思い切りいくのは、リスクがありますから。でも、本当は思い切りいった方が上手いく。ステップで詰めるのではなくて、エネルギーで詰めている時は。距離は同じでも質量が5のステップインと、質量が10のステップインではパンチを食らった側の感覚は変わってきます。フレイレにも、そういう頃がありました。

でも、今回の試合はペティスも含め、最初から5Rを持たせるようなファイトでした。そして、あのワンツーでは追い詰めることはできない。ジャブ、ワンツーから10で行かないとペティスを追い詰めることはできないです。

ただし、そういうギラギラしたファイトは、そう長くはできないです。あのマイケル・チャンドラーにKO勝ちした時と、今のフレイレは『倒すんだ』、『トップになるんだ』というギラつき度合は絶対に違います」

──確かに目標やモチベーションはペティスを倒すことでなく、3階級制覇の名誉だったかもしれないです。

「年齢、キャリア、生活環境が変わると、選手も変わります。UFCでもコンテンダーシリーズやプレリミに出ているファイターの方が、ギラギラしているように。この試合、Bellatorの世界バンタム級王者にフェザー級王者が挑戦するということで注目を集めていましたが、大晦日のクレベル・コイケ戦にしてもフレイレには。ギラギラしている部分は一切なかったです。

フレイレも大人になり、ピットブルでなくなっているんです──私生活で。でも、ファイトになれば切り替えることはできる。ピットブルに戻る練習を指導者がさせないといけない。それは、この送り足でのワンツーをやることではないです。そういう気持ちで稽古をするのではなく、MMAのパッケージで稽古をしてきたんでしょう」

──それで結果を残しているから、変えることもないかと。

「そう。その通りなんです。だから最近は勝っても、こういう試合が続いていた。ペティスも前蹴りとか、ああいう攻撃で。あの手数で、ラウンドマストで常にラウンドを取ったに過ぎない。戦いとして、優勢ということではなかったです。それに質量はフレイレが上でした。でも、いくら排気量が大きなエンジンでも、そのエンジンがかかっていなければ何も起こらない。キーすら入っていないという見方もできます。そうなると質量は関係ない試合になります。

どれだけのレジェンドでも、ここで負けるとUFCをリリースされるという状況ではあのような試合にはならないでしょう。倒されない試合にはならず、倒すファイトをするんじゃないかと。あの日の2人と比べると、そりゃあ若い選手の方がギラついた試合をするでしょう。でも、この試合のように注目を集めることはないから、ここまでの興行の看板にはならない。数字が欲しいから出て欲しいという立場になった選手は、やっぱり『でてやっている』という感覚にもなるでしょう。

五輪のように4年に1回のようなところで戦う人は『出してもらっている』という感覚だと思います。それがやはり興行に出る看板選手と、骨の髄まで競技というところで戦っている選手の精神状況は違う。違って当然なんだと思います」

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DEEP DEEP114 K-1 MMA MMAPLANET o RIZIN Road to UFC UFC YouTube イー・チャア ガブリエル・シウバ キック チャンネル 剛毅會 松嶋こよみ

【DEEP114】ガブリエル・シウバと対戦、松嶋こよみ「見返してやりたい気持ちです。来年でも再来年でも」

【写真】ある意味、退路を断った松嶋がDEEPでどのような戦いを見せるのか(C)MMAPLANET

7月2日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114 IMPACTでガブリエル・シウバと対戦する松嶋こよみ。昨年10月にRoad to UFCフェザー級T準決勝で、イー・チャアに敗れ、UFCとの契約を逃した。

本気で引退も考えた松嶋が下した決断は、剛毅會を離れ現役続行&UFCを目指すというものだった。そしてRoad to UFCの選考にも漏れた松嶋は、5年3カ月振りの国内での試合をDEEPのケージで行うこととなった。ここに至るまでの松嶋の心境を尋ねた。


──DEEP初参戦、8カ月振りの試合となり練習環境も大きく変えました。嫌な質問になりますが、Road to UFCの敗因を練習環境に求め、そこに変化が必要だと思ったのでしょうか。

「敗因は自分にあります。MMAとして、詰めないといけないことができていなかった。それが嫌だったので、練習環境を変えました。あのままだと、自分の器が決まっていくような気がして。それなら、一度壊そうと。これまでも僕のキャリアは色々なモノを拾い集めて創ってきました。それが溢れ出てきて整理しようとしていたのが、ここ数年の練習でした。今はまた、もう一度色々なモノを拾い集め、溢れるようにしたいと思ったんです」

──剛毅會の空手の稽古を優先すると、他に必要なことができないということだったのでしょうか。

「僕は空手も好きだし、空手をやっていくことに対しては変わらない想いでいます。ただし、MMAファイターとして試合に勝たないといけない。勝たないといけないという時に、どこに重きを置いてやっていくのか。空手をやることに重きを置くのか、MMAの試合で勝つことに置くのか。それこそ30歳になって、あと10年もできることじゃないですし。

あと何年、突っ走ることができるのか。そこを考えた時、空手を中心にMMAを戦っていくよりも、色々と吸収したいという欲の方が上回ったんです。空手をやるためにMMAを戦っているのではなくて、MMAで勝つために空手をやっている。その自分の気持ちを大切にしようと」

──Road to UFC準決勝で敗れ、それでもMMAを戦い続けるなら、剛毅會を離れるぐらい覚悟を決めないといけない──ぐらいの気持ちだったのすか。

「そうですね。Road to UFCが終わった時、本音をいえば辞めたいと思いました。周りは『辞めないで、頑張ろう』と言ってくれる人が多かったです。でも、自分のなかでは燃え尽きたというか……ここでダメならダメ、辞めたい。これ以上頑張れないという気持ちもありました(苦笑)」

──松嶋選手にはダメージの蓄積がない。心の問題が一番かもしれないですが、あの負けだと「もう一回、チャレンジしよう」と周囲がなるのも理解できます。

「そうですね……そりゃあ、そうだろうなぁ……そう言われるよなとは思いました。ただ、自分の気持ちを大切にすると、辞めても良いのかなという微妙な時期はありました。だからこそ、やるなら空手でなくMMAを中心にやっていこうと」

──剛毅會を離れた直後、取材でないやりとりのなかで「次のRoad to UFCには出ない。(河名)マストとか、若い選手が戦えば良い」という発言がありました。あれには……正直、「えっ?」となりました。いやMMAを続けるなら、UFCに向けてどんなチャンスでも挑戦しないといけないだろうと。

「あの時、Road to UFCは2年連続では出られないとか、色々な情報が錯そうしていました。それに、あの試合内容では僕にチャンスが回ってくるとは思えなくて。そのなかで、どうしたら良いのか。もう自分自身が迷走して、何をやって、何を言葉にしているんだっていう状況でした。今から振り返ると」

──まぁ、でもそうなりますよね。本来は周囲も松嶋選手をそっとしてあげるべきだったけど、そうすると辞めてしまうからもしれないから、とにかく「続けて」ということだけ伝えてしまって……。

「次がどうなるのか、何も指針がない。正直、あの頃はまだ辞めたいという想いも抱えていました。色々と助言は貰えましたが、方向を示すようなことを言ってくれる人はいなかった……。自分のなかで辞めるかという気持ちがあり、どうすれば良いのか分からないなかで、素直に一番正直な気持ちが『練習したい』ということだったんです。

練習場所に関しても、もう自己責任で。今まで練習してもらっていた住村(竜市朗)さんもそうだし、K-1の小澤海斗選手もそうなんですけど、良い感じで練習できています」

──そこから一度、Road to UFCに出るという風になっていきました。

「ショーン・シェルビーから『今年も出られる』という言葉があったから、普通にあるんだと思って準備を進めていました。でも、呼ばれない。呼ばれないとなると、『そりゃあ試合をしていないから、呼ばれるわけがないだろう』みたいなことをいうクソ野郎がいて(笑)」

──クソ野郎……。

「クソ野郎まで、書いてもらって構わないので(笑)。結果、前回のRoad to UFCから試合をしていない選手や、前の試合で負けている選手も出ていますしね。とはいえ、前の試合から時間も空いて、それこそRoad to UFCの準決勝大会にワンマッチでも呼ばれるように試合をしないといけないと考えるようになり、『試合がしたい』と北岡さんに伝えました」

──Road to UFCに出場できなかったことで、現役生活云々を考えることは?

「いえ、もう吹っ切れていたので。今は見返してやりたい気持ちですし、むしろ来年でも再来年でもRoad to UFCに出られればと思っています。だからこそ、準決勝大会前に試合がしたかったです」

──そこでDEEPになったのは?

「北岡さんが『俺が一番話しやすいのはDEEPだから、佐伯さんにまず聞いてみる』ということでLINEをしてくれたら、即答で7月に試合を組むと言ってくれたので」

──DEEPでチャンピオンになり、来年のRoad to UFCを目指すという方法もあるかと思いますが。

「もちろん来年を目指すなら、それが良いと思います。同時にワンマッチでも声が掛るなら、組んでもらうという風に考えています。実際、もう日本のどこのベルトというのも関係ないじゃないですか」

──ハイ、確かに。

「だからベルトに関しては、DEEPがタイトルマッチを組んでくれればやるだろうし。でも今はそういうことは考えていないというか、とにかく次の試合に集中しています。そこからです」

──ところでDEEPはユニファイドルールではなく、サッカーボールキックが認められています。ダウンを奪った後、パウンドにいくよりも立ったまま蹴りを狙う展開が非常に多いです。これは明らかにユニファイドとは違う戦いになりますが、その辺りを気にすることはなかったですか。

「サッカーボールキックを狙うつもりはないので、あまり関係ないかと思っています。それにダメージを与えているのに、蹴りに行って立たせるような試合も多いし。テイクダウンを取っても蹴って立たれるとか、見ていて『何してんねん』って(笑)。それで倒そうと思っていないし、それ以外で倒したい武器がたくさんあるので。とはいえ、出して良いなら流れで出しますけどね。それが闘争本能だろうし。ただし、あの技術を伸ばそうとは考えていないです。あれをやっていると、MMAという競技をしたくなくなってしまうんじゃないかと思っています」

──そんなDEEP初戦、参戦が正式発表になる前から対戦相手が見つからないという話を、佐伯代表もこぼしていました。

「そこは正直、誤算でした。トントン拍子に決まって、シレっと試合をするつもりだったので。僕は試合ができれば誰でも良かった。強いも弱いもない。でも考えると僕とやっても、うま味はないですよね」

──勝てば最高にうま味のある相手ではないですか。

「勝てる自信のある選手がいなかったんじゃないですか。だからこそ、このタイミングでブラジル人と戦えるのはラッキーです。元UFCファイターなんて最高です。『コイツ、日本に戻って来てチョットやって、RIZINに出たいなんて言うんだろう』とか思われているなかで、こんなにちゃんとした選手と戦えるのは、自分の価値を示す最高の機会になります」

<この項、続く>


■視聴方法(予定)
7月2日(日)
午後5時50分~DEEP チャンネル-YouTube、U-NEXT、サムライTV

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【DEEP114】元UFC&現LFA=ガブリエル・シウバ戦決定。松嶋こよみ「力を試すうえでは丁度良い相手」

【写真】 剛毅會を離れ、MMAで空手を戦うのではなく空手も生かしたMMAを戦う道を往く松嶋(C)MMAPLANET

7日(水)、7月2日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP114 IMPACTに出場が発表されていた松嶋こよみの対戦相手が、ブラジルのガブリエル・シウバになることがDEEPより発表されている。

佐伯繁DEEP代表曰く日本人選手が対戦を避けるなか、「外国人、強い相手」という佐伯代表と松嶋陣営の想いが合致したファイターが来日を果たすことになった。


(C)LFA

シウバは1994年8月生まれの28歳。

2011年のMMAデビューから8連勝でUFCと契約も2連敗でリリースとなり、その後はコロナ・パンデミックの発生で2年3カ月のブランクを経験している。昨年LFAブラジル大会で実践復帰を果たし、そこからは1勝1敗だ。

スタイル的にはオーソ基調のスイッチヒッターで、乱打戦上等のウェルラウンダーといえる。シウバはLFAで戦い、LFA社長エド・ソアレス率いるブラックハウスのマネージメント配下にある。DEEP陣営から打診を受けたソアレスが挙げたファイターは実はシウバだけでなく、修斗ブラジル・フェザー級王者からLFAに転じたジョゼ・デラーノも候補に挙げられていた。

松嶋自身は「どちらでも良い」というスタンスであったが、所属するパンクラスイズムの北岡悟はシウバの元UFCファイターという肩書に重きをおきシウバをピックしたという話も伝わってくる。そのシウバ、本来5月27日にLFAブラジル大会でラリアン・ドゥグラスと対戦予定で、勝利&ケガがないならDEEP参戦が決まるという状況だった。それがドゥグラスの欠場により、日本へ行き&松嶋と戦うことが5月の最終週には決まっており──松嶋もシウバ対策を進めている。発表まで時間を要したのは、佐伯代表が危惧していたビザ取得のデッドライン問題がクリアになる必要があったという見方ができる。

ともあれコロナ以降のJ-MMAにおいて元UFCファイターの招聘はクリーンヒットに他ならない。また、あくまでもUFCを目指す松嶋は、8月27日の準決勝大会のワンマッチ出場、あるいは来年のRoad to UFC参戦を目指し、このタイミングで試合を戦うことが絶対であった。加えてUFC関係者の目に留まるであろうUFCベテランとの対戦に向け、松嶋こよみは以下のような意気込みを話している。

松嶋こよみ
「勝てない相手とは思えないし、自分の力を試すうえでは丁度良い相手。Road to UFCでは負けられない──やられないという意識で試合に臨んでいたので、今回はもうそういうことは関係なく、本当にKOする。倒すための試合だと思って準備しています」

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