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【RIZIN46】コレスニック戦へ、7カ月振りの実戦=中原由貴「空手とボクシングの両方の教えを実践できる」

【写真】8月末に移転することが決まっているマッハ道場巣鴨の前で (C)TAKUMI NAKAMURA

29日(月・祝)、東京都江東区の有明アリーナで開催されるRIZIN46で、中原由貴がビクター・コレスニックと対戦する。
Text by Takmumi Nakamura

中原は昨年9月のRIZIN44で白川陸斗に判定勝利。約7カ間ぶりの試合となったが、試合間隔が空いたことで剛毅會空手とボクシングの融合をはじめ、自身のMMAにさらなる磨きをかけてきた。RIZINで2戦2勝の本格派コレスニックとの対戦を前に「キャラが立っている選手同士の試合じゃないけど、こういう試合を楽しみにしているという声もあるんで、それに恥じないように自分をしっかり出したい」と語る。


──昨年9月の白川陸斗戦以来、約7カ月ぶりの試合が決まりました。

「前回の試合が終わって大晦日に試合をしたかったので、そういうリクエストもしていたのですが(試合が)決まらなくて。それで最終的に4月の有明アリーナでコレスニック戦のオファーがあって、そこで話がまとまった感じですね」

──白川戦で勝利したこともあり、できるだけ早く試合はやりたかったですか。

「そうですね。でも結果論ですけど、今のパフォーマンスを考えるとしっかり期間が空いたことで組みの反省もできたし、打撃もいい感じになってきているんですよ。逆にもっと早く試合が決まっていたら、仕上がりが中途半端になっていたのかなと思います」

──試合が空いたことがプラスになっている、と。

「はい。むしろこのくらいの試合間隔の方がよかったかもしれないです。前回の試合も当初希望していた6月から9月に後ろ倒しになって、ちょうど剛毅會で空手を狙い始めた時期だったんですけど、6月だったら中途半端なパフォーマンスになっていたと思うんです。それが9月にずれたことで、ちゃんと練習の成果が出せました」

──試合間隔が3カ月となると、技術を伸ばすための練習に割く時間が短くなってしまいますよね。

「そうですね。新しい技術を覚える前に対策練習をして、減量して…となるので」

──そういった意味では前回の試合以降は、MMAの中でもどんなことを意識して練習されてきました?

「まず白川戦を振り返ると、あのシチュエーション(コーナーに押し込んで寝かせようとする)でもブレイクかかるんだなってことですね。ルールミーティングで事前に聞いていたので、ブレイクのタイミングには納得しているんですけど、じゃあレフェリーにブレイクさせないためにはどう動くべきだったか。そこは意識して練習しています」

──前回の試合は組みを主体にして、相手をテイクダウンもしくはコントロールするプランだったのですか。

「あの試合は打撃で勝負するつもりは全くなかったです。組みのトライが増えて、相手の打撃を被弾した部分もありましたが、組んで勝つことを決めて臨んだ試合だったんです」

──なるほど。

「それがKO負けした鈴木千裕戦の反省でもあるし、大塚(隆史)さんの所でずっと取り組んでいた”組み”をどれだけ磨くことができたかを答え合わせする試合にしたかったからです。こう言うと語弊を生むかもしれないですが、フィニッシュするとしたらスタンドのKOではなくて、削りきってパウンドアウトだったり、一本勝ちだと思って戦いました」

――しっかり自分のなかでテーマを持って臨んだ試合だったんですね。

「3Rに僕のパンチが当たり始めても、自分から組みに行ったのはそういうことです。もしあそこで打撃でいっていたら鈴木戦の二の舞いになったかもしれないし、組み勝つという課題を持って臨んだ試合だったからこそ、ああいう戦い方を選択しました。ただし今回はそういう試合にはならないと思うので、必然的にリスクを冒してトライする試合になると思います。打撃に関してはずっと岩﨑(達也)先生から指導してもらいつつ、コレスニックと試合が決まった段階で、ボクシングを見てもらっているトレーナーに連絡して、いつもより早めにボクシングを教えてもらっています」

──ボクシングの練習を早めに導入したのはビクター・コレスニック対策なのですか。

「空手の練習をやっていて、どうしても空手の攻撃では距離感にしても、僕の中で攻撃が出づらい部分があったんです。もともと僕はボクシングをずっと教えてもらっていて、前回の反省として、それ(ボクシング)も使うべきだと思いました。空手の教えが進んでいく中で、今この段階だったらいい具合に空手とボクシングが混ざるだろうと思い、ボクシングコーチに早めにスケジュールを決めてもらい、毎週ボクシングも練習しています。なので空手の教えがありつつ、そこにもともとやっていたボクシングをさらに強化みたいな感じです」

──一度空手をやると決めて、やり込んだからこそ、ボクシングの必要性が分かったということですか。

「それもあると思います。例えば新しいことに触るだけ触って自分に合わないなと感じることもあると思いますが、僕は岩﨑先生の武術的な考え方もめちゃくちゃ面白くて刺さったし、なんとか空手を自分のものにしたかったんです。ただどうしてもいざMMAで、しかも試合で使うとなると、そこまで行ききれない難しさもあって。大塚さんも『そこはしょうがないよ』と言ってくれるのですが、どうしても僕自身が納得がいかなくて。

そういう中で岩﨑先生から『これができたから、次はここまで行こう』って言ってもらって、そこまで来たら(ボクシングが)使えるじゃんと。ちょうど今がその時期だったんです」

──このタイミングでボクシングをやったことで、空手とボクシングがどう融合されていますか。

「パンチが入りやすくなったし、ボクシングコーチからも大塚さんからも『パンチが見えづらくなった』と言われます。MMAのスパーリングをやらせてもらっている選手たちからも動きが良くなっていると言ってもらえて、やっと空手とボクシングの両方の教えを実践できるようになって、上手く混ざってきましたね」

──改めて対戦相手のコレスニックには、どんな印象を持っていますか。

「体が強そうですし、全部できますよね。本当に上手な選手だと思います。ただ僕はRIZINに来た2試合しか見ないようにしていて、古い映像やKO集みたいな動画を見て、変な印象を付けるのも良くないじゃないですか。結局直近の動きが一番参考になるので。で、運がいいことにRIZINの2試合でオーソドックもサウスポーも両方やっていたので、そこも頭に入れています」

──判定決着にはなりましたが、高木凌選手と対戦した試合の方がコレスニックの引き出しが見えた気がしました。

「コレスニックが岸本篤史選手とやった時も、彼のほうから組んでいたんですけど、あれは岸本選手のパンチが当たって、ちょっと効いたと思うんですよ。そこでコレスニックがガッと組みに行って、勢いでガチャガチャと上を取ったように見えました。でも高木戦を見ると、コレスニックはバックを取られた時にちゃんと高木選手の片手をツーオンワンにとって立ち上がったり、バックコントロールで片手を外してフロントチョークに入ったり……細かいところもちゃんとやっていたんですよね。あのレベルの選手なので当たり前と言えば当たり前ですが」

──今の中原選手の言葉にもあるように全局面で勝負して、そのどこで山を作るかがポイントの試合になると思います。

「僕もそういう試合になると思うし、向こうも打撃も組みも両方やって来ると思います。でもそうやってお互いが全部を警戒しているときこそ、予想外の一撃で早期決着で終わることもあるじゃないですか。そういう可能性も頭に入れています」

──想定外のことが起こることも想定している。色んなパターンをシミュレーションしているようですね。

「だいぶ(シミュレーションを)やっていますね。あとは試合当日、自分が万全かも分からないし、体調も含めて、ですよね。でもそのくらい考えさせられる相手ですよ、コレスニックは」

──厳しい相手だと思いますが、時期的にはそういう相手と戦いたいという気持ちもありましたか。

「そうですね。パンクラス時代に当時の日本人選手とはあらかたやって、それからONEでは色んな外国人選手と戦ってきて。ONEでやっていたような未知強とばっかりやるのは微妙ですけど(笑)、強い外国人選手と戦うことは楽しみですね。今までも海外を選んで試合をしている人もいるじゃないですか。そういうタイプだと思うんで、自分は」

──僕はこの試合は実力者同士のランキング戦のようなイメージを持っています。

「派手な試合というかキャラが立っている選手同士の試合じゃないけど、こういう試合を楽しみにしているという声もあるんで、それに恥じないように自分をしっかり出したいです」

──コレスニックに勝てば連勝にもなりますし、中原選手の評価も上がると思います。今年はどんなことを目標に戦っていきたいですか。

「コレスニックに勝って、どれだけ評価が上がるかは分かりませんが、間違いなく上に行く確実なステップにはなると思います。だからコレスニックに勝って、次はRIZINのフェザー級で名前のある選手とやって、そこからタイトルマッチにつなげたいですね。同じ日のタイトルマッチ(鈴木千裕×金原正徳)でどちらが勝つか分かりませんが、フェザー級の列に並んでいる選手たちを引きずりおろしたいです」

──そういう相手に勝っていけば発言権も得られますし、中原選手が希望する相手との試合も組まれると思います。最初の話に戻ってしまいますが、だからこそ試合数が減ったものの、この1年で中原選手のMMAが熟成されて、今年はそれで勝負する1年になると思います。

「3年ぐらい前の自分だったら、MMAファイターとしてここまで来られていなかったと思います。そのくらい今は色んなことが繋がり始めて、空いていた隙間がきれいに埋まってきています。それは競技に集中できる環境を整えてくれた周りのおかげでもあるんですけど、今は格闘技をやっていて楽しくてしょうがないですね。一つ技を覚えると色んなことがどんどんつながっていくんで」

──今まで使っていなかった技術が急に使えるようにもなるでしょうし。

「そうなんです。『ああここで使えたんだ!』みたいな。それが本当に楽しくてしょうがなくて、このまま時間が止まってほしいとさえ思っています。自分が思っていた以上に強くなれるじゃん、俺って。30歳を超えたらパフォーマンスが落ちると思っていたんですけど、いい具合にトレーニングの数値もまだ良くなっているし、まだまだやれそうだなって手応えはありますね」

──この中原選手の話を聞いて試合が楽しみになったファンの人も多いと思います。最後にファンの皆さんに一言お願いします。

「下馬評や予想で色々言っている人もいますけど、それを超えるために頑張っているし、頑張ってきたことが無意味じゃないぞってことをきっちり見せて、面白い試合をやって勝ちたいと思います。僕自身もこの試合が楽しみなので、みなさんも楽しみにして見てもらって構わないです」

■視聴方法(予定)
4月29日(月・祝)
午後4時30分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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o RIZIN UFC YA-MAN ジョン・ドッドソン ボクシング 剛毅會 平本蓮 榊原信行 鈴木博昭

【RIZIN】篠塚辰樹 ベアナックルファイトルールに挑戦!

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4月29日に有明アリーナで開催されるRIZIN.46。YA-MAN×鈴木博昭の中止を受けて急遽決定したのが篠塚辰樹(MASTER BRIDGE/剛毅會)のベアナックルファイトルールでの試合です。

ベアナックルファイトとはBKFC(ベアナックル・ファイティング・チャンピオンシップ)が行う素手で戦うボクシングの事。RIZINにも参戦中のジョン・ドッドソンなど元UFCファイターも参戦し、アメリカでは存在感を増しつつあります。

昨年、RIZINの榊原信行CEOのBKFC視察の際に平本蓮と共に同行。リングサイドで観戦してリング上にも上がって記念撮影に収まっていただけに、その伏線が今回収されたという事なのでしょう。

篠塚が挑むBKFCルール。やっぱり素手で相手の顔面を殴るというのは刺激的すぎる。直視するのが怖い。でも格闘技に慣れて、不感症になりつつある今日日、こんな気持ちにさせて暮れるのはある意味で貴重な体験。古き良き時代の異種格闘技戦の空気が漂ってきます。

そんな恐怖と戦慄の中、篠塚がどんな試合を見せるのか。そもそも誰と対戦するんだって話ですが、その不透明さも含めて黎明期の格闘技ぽくていいじゃありませんか。RIZIN.46に非日常の異彩を放つ好カードが加わりました。
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【修斗】デビュー3戦目 黒部和沙が澤田龍人に一本勝ち!

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4月7日に新宿FACEで開催されたプロフェッショナル修斗公式戦『SHOOTO GIG TOKYO Vol.36』。メインイベントで修斗やONEで活躍してきた澤田龍人(AACC×剛毅會)がプロ3戦目の黒部和沙(TRIBE TOKYO M.M.A)と対戦。実績から考えると澤田が断然優位と目されていましたが、なんと1Rで黒部が一本勝ちするアップセットが起こりました。

試合は開始直後に澤田がパンチをヒットさせたものの、そのままタックルで組み付く黒部。スクランブルの展開から上を取ると、澤田の下からの腕十字をかわすとバックに周る。そこから身体を捻るようなツイスターを仕掛けると澤田はタップ。黒部が3分38秒で見事に一本勝ちを収めました。

連敗中とはいえ、レスリングや組みに強い澤田をポジショニングで制圧して最後はツイスターを極めるとは。。。23歳にしてこの完成度は末恐ろしい。長南亮門下で強豪に揉まれてるでしょうし、ストロー級戦線の台風の目になるのは間違いなさそうです。

順当にいけば安芸柊斗や旭那拳、そして新井丈らとの対戦は今から楽しみ。わりとストライカーが目立つ階級だけに、寝技主体で試合を進める黒部なら突き抜けるかもしれません。

逆に負けた澤田はONEから数えて5連敗。かなり苦しい立ち位置に追い込まれましたが、言ってもまだ20代。子役タレントばりに早くから実戦投入されていましたが、まだ老け込むにはもったいない。再浮上に期待します。
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【FAW2024#01】向坂準之助擁した平本蓮「僕のレベルアップと同時に剛毅會も進んで行ければ」

【写真】相当な手術をしたことが、語調からも伝わってきた(C)MMAPLANET

14日(木)、15日(金)に会場非公開で開催される格闘代理戦争 THE MAXの計量及びトーナメント組み合わせ抽選会が行われ──監督となった数々の大物ファイターを会見場に待たせ、最後に会場入りしたのが平本蓮だった。

その平本に組み合わせ抽選会終了後に、格闘技代理戦争参戦について話を訊くと、剛毅會というMMAチームの結束力を高める絶好の機会と捉えている様子だった。


──最近、手術をしたとか。

「ハイ、やっと抜糸しました」

──相当痛みを抱えていたと聞きました。

「ハイ、試合後にリカバリーでデカ食いしてしまって。肛門が波状になっているのが、痔でケツの穴の横に穴が開いてしまって。以前に韓国で痔ろうになってから、膿が溜まるような癖がついちゃったんです」

──痔ろうの人から、痔は本当に痛いと聞きます。

「ヤバいですよ。もうヤバすぎて……怖すぎて。チョットマジでヤバいぐらい痛くて。放置していると癌化するそうで」

──えっ、そうなのですか。

「だから根治手術っていうのか、保険治療だと下半身だけの麻酔になるのですが、もうそれで耐えられない痛さだろうって思って実費で根治手術をして──めっちゃ医療費が掛かりました(笑)。抜糸して、なんとかコンタクトのないぐらいの練習ができるようになった感じです(笑)。でも、やって良かったです」

──平本選手がマジ・モードの練習になるのは、試合の発表があってからだと思っています。そのなかで向坂準之助選手を要してTEAM平本蓮として格闘代理戦争に臨むこととなりました。

「岩﨑(達也)先生と大塚(隆史)さんと僕らが、剛毅會というMMAのチームになって──ドミーネーター戦から1年半近くになります。どんどん岩﨑先生と大塚さんと僕のチームワークが固まって来て、MMAの正解を見つけに行っています。

多分、当初考えていたことよりも大分MMAをやろうということになっています。大塚さんと色々な映像を見て、際とか細かいところに取り組んで。ただ、まだまとまっているとかではなく、今も進化段階です。

ここがMAXの状態でなく、これから成長していくためにチームワークという部分で凄く一体感があります。皆の想像する強さが一緒、頭のなかのイメージが一緒でセコンドのアドバイスもスッと入ってきます。MMAを戦う上で皆の共通項がある。それってチームにとって、凄く大事なことじゃないですか。

岩﨑先生の理論であったり、大塚さんの経験値、僕の発想が混ざり合って、剛毅會はチームとして強くなっています。

明日は向坂君の試合で、僕の試合じゃないけど、チームとしてのレベルアップを共にしていけたら良いなと思っています。僕と大塚さんがコーチ、コーナーについてやるのって弟の試合ぐらいで。剛毅會は決して選手が多いわけじゃないので、こういう機会も使ってチーム力をつけていきたいです。

今は選手を募集しようかとも話していますし、明日の試合に勝つことが大事なんですけど、その先、その先へと僕のレベルアップと同時に剛毅會も進んで行ければと。そういう意味では今回の格闘代理戦争で、より結束を強めていきたいです」

■視聴方法(予定)
3月15日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

■ 対戦カード

<69キロ契約/3分3R>
ミスター・ホンデ(韓国)
中村京一郎(日本)

<69キロ契約/3分3R>
中谷優我(日本)
松岡拓(日本)

<69キロ契約/3分3R>
ギレルメ・ナカガワ(ブラジル)
諸石一砂(日本)

<69キロ契約/3分3R>
トミー矢野(ブラジル)
向坂準之助(日本)

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【RIZIN46】2024年初のナンバーシリーズ。日韓対抗3試合をはじめ国際戦プラス牛久が太田とバンタム級戦

【写真】会見はファン参加型で行われ、YouTubeでも生中継された(C)MMAPLANET

12日(火)、東京都中央区のコナミクリエイティブセンター銀座で、4月29日(月・祝)に有明アリーナで開催されるRIZIN46の追加対戦カード発表記者会見が行われた。
Text by Shojiro Kameike

会見では冒頭で榊原信行CEOが、一部報道のあったRoad FCとの対抗戦を否定したうえ、日韓対抗戦3試合を含む7カードを発表した。フェザー級=イルホム・ノジモフ×山本空良、フェザー級=中原由貴×ビクター・コレスニック、バンタム級=倉本一真×ヤン・ジヨン、フライ級=神龍誠×イ・ジョンヒョン、中島太一×キム・スーチョル、バンタム級=牛久絢太郎×太田忍、さらに3月23日のRIZIN LANDMARK9で実施予定であった高木凌×西谷大成がRIZIN46にスライドされる。


今回の会見には、すでにRIZINフェザー級王座を賭けて金原正徳の挑戦を受ける鈴木千裕も出席している。ここでは会見に出席したファイターの挨拶、ならびに読み上げられたファイターのコメントを掲載したい。

鈴木千裕
「ずっと昔から言っているのですが、自分たちみたいな若い世代がベテランを引退させないといけない。僕がそのキッカケを金原選手につくらないといけないと思っています。僕が時代を変えます。Xで『腕十字を極める』なんだの言われていますが、ナメんな。その前に粉砕してやるって。金原さん、覚悟しておいてください」

太田忍
「牛久選手は元フェザー級チャンピオンということで。今はATTで練習していて、すごく気合いが入っていて強い選手だと思います。僕の戦績は5勝4KOなので、ストライカーらしく、この試合もKOします」

牛久絢太郎
「4月29日、バンタム級に挑戦します。新しい階級で、皆さんの前で戦えることをすごく楽しみにしています。当日はパァッとインパクトを残せるように、残りの期間はしっかりと仕上げたいと思います」

中島太一
「やっと自分の実力を証明できる対戦相手と戦うことができて嬉しいです。勝つ自信しかありません。日韓戦ということで、日本人として必ず勝ちます」

キム・スーチョル
「今回の日韓対抗戦では、韓国人3選手と日本人3選手が戦うことになりました。今回共に戦うのは私とヤン・ジヨン、イ・ジョンヒョンの3人です。この2人は宝石のような選手だと思っています。それは日本代表の3選手も同じです。日韓ですごくいい競争ができれば良いと思います。
私は目の前にいる敵に必ず勝利したいです。今回は中島太一選手がその標的です。私の全てを中島選手にぶつけます。あなたも全てを懸けて挑んできてください。極上の果し合いを皆様にお届けすることを約束します。情熱的な試合をお届けするので、ぜひ会場に観に来てください

神龍誠
「フライ級最強を目指す神龍誠です。前回堀口選手に負けてしまって、まだ僕が最強じゃないことが分かったので、これからまた最強を目指してイチから頑張っていきます。これから神龍誠の第二章が始まるので、この韓国人の相手をボコボコにします。煽っているみたいなので、やる気が上がってきました。ブッ飛ばそうと思います」

イ・ジョンヒョン
「RIZINに出場できるチャンスは何回かありましたが、今回ようやく出場できることになって、とても興奮しています。これまでに2回、日本人と試合したことがありますが全て勝ちました。日本人選手との相性は良いと思いますし、必ず母国に勝利を持ち帰られるように一生懸命準備しています。
神龍選手は以前からすごく強いと思っていましたし、お互い高いレベルで試合ができると思っていました。すごく強いし、リスペクトもしています。確かに実力はあると思います。でも神龍選手は性格が悪いという噂を耳にしました。どんな人生を歩んできたか知らないですけど、日本のファイターたちからあまり好かれていないみたいですね。そして僕が聞いたところによると、マザコンだしファザコンでもあるそうですね。練習する時もわざわざ両親を呼んでいるとかいないとか。私よりも年上のくせに、年相応の行動ができていないみたいですね。だから僕がこの試合で年相応の行動ができるように、教育してあげたいと思います。
打撃は明らかの僕のほうが上回っている。神龍選手はグラップラーなので、僕がサッカーボールキックやヒジなどで顔面をボコボコにしてあげますよ。僕がこの試合に勝つので、先に謝っておきます。スミマセン」

倉本一真
「ちょうど1年ぶりの試合になります。この間、僕が何をやってきたのか。ここでしっかり見せます。勝つのは当然なので、楽しみにしておいてください」

ヤン・ジヨン
「私はこれまでの日韓戦に関しては全勝しているので、今回もとても自信ありますし、Road FCの代表として出場できることを誇りに思っています。今すぐにでも試合がしたいぐらいです。この日韓戦に私が出るということで、ファンはすごく楽しみにしていると思います。本当に熱い試合を届けます。私は必ず1Rでフィニッシュします」

中原由貴
「最近、剛毅會でやってきた空手と、今までやってきたボクシングとレスリングが良い感じに混ざってきています。それをキッチリ見せて、結果は当然ですけど内容でも有明アリーナを沸かせるので注目してください」

ビクター・コレスニック
「日本に戻ることができて、とても嬉しいです。今回も日本の皆に良い試合を届けるつもりです。対戦相手は総合力が高く優秀です。加えてサウスポーで、打撃も寝技も強い。そのうえで私は打撃戦を挑みたいと思っています。この試合で二人は最高の殴り合いをします。瞬きをしてはいけません。私のスキルを全てぶつけて勝ちに行きます」

山本空良
「1年ぶりの試合です。次の試合については特に思うことはなく、真正面から――相手が得意な打撃だろうが寝技だろうが、ぶん殴り合って絶対に勝ちます」

イルホム・ノジモフ
「日本で試合をするということは、まるで異国で生まれたサムライが母国に帰国する感覚だ。対戦相手の映像を視たが、特に何も思わない。自分が相手を倒し、その後それぞれの道を歩んでいくことになる。日本のファンが待ち望んだ異国のサムライに期待してもらいたい」

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【TOP BRIGHTS01】石の左拳=ダウトベック戦へ、松嶋こよみ「自分のMMAは成長している」

【写真】Team Akatsukiの良太郎代表と。いかに松嶋のMMAは変化、そして進化しているか (C)MMAPLANET

21日(日)に群馬県太田市のオープンハウスアリーナ太田で開催されるTOP BRIGHTS01でカルシャガ・ダウトベックと対戦する松嶋こよみ。
Text by Manabu Takashima

平本蓮らが稽古することで、何かと話題の剛毅會を一昨年限りで離れ、新たな環境に身を置き世界を狙い続ける松嶋は、今、千葉県鎌ケ谷のTeam Akatsukiで打撃のトレーニングを行っている。NOCK OUTブラック・ウェルター級を制した良太郎を指南役とした松嶋の今――ダウトベック直前の状態を尋ねた。


──ダウトベック戦を約2週間後に控えた松嶋こよみ選手です(※取材は6日に行われた)。年末年始の過ごし方は?

「31日は日曜日だったので、普通の日曜日のように休んでいました。練習は普通に変わらず、1日の朝からありました。ロータスでいつも通りの練習があって15、16人が集まっていました。さすがにいつもより少なくなるかと思っていたのですが、逆に多かったですね(笑)。それからもカルペの練習も普通にあって、本当にいつもと変わりなく正月を過ごしていました」

――このTeam Akatsukiで練習をするようになったきっかけというのは?

「僕自身が大塚(隆史)さんのミットを持っていた良太郎さんに、ミットを持ってもらうようになった形です。去年の途中からで、まだ1年も経っていません。土曜日の練習スケジュールを変えようと思った時に、良太郎さんに相談したら『ウチに来れば?』と誘ってもらって。大塚さんとのミットを見たこともあって、その時に話して技術的にも精神的にも共感できるモノがあったのでミットを持ってもらおうと思いました」

――どのようなところに共感できたのでしょうか。

「僕が考えているところに対して、欲しい答えが返ってくる。『それは〇〇選手の動きだよね』っていう風に名前が出てきて。MMAでもキックでも。分かりやすい例でいえばマイケル・チャンドラーのワンツーから、スイッチしてのストレートって伝えると、すぐにミットで受けてくれるような感じで。試合を視ていて、知っている。キックだけでなくて、MMAも見ているからそこを踏まえて実際にミットとして動いてくれます。結果、使いやすい形として残すことができるんです。

試合のことだけでなく、普通に話していても馬が合う。だから、格闘技のことも相談してミットを持ってもらうようになりました。キックのスパーリング、あとは良太郎さんはNOCK OUTのヒジありのチャンピオンだったので、マモルさんに教わっていたモノを細かく練習している感じです」

――松嶋選手の課題は、共に強力な打撃とテイクダウンの融合という部分かと思うのですが、首相撲が加わると大きな武器になりそうです。

「ハイ。良太郎さんに教わっている首相撲をグラップリングでもやるようになって。首相撲ってグラップラーやレスラーが割と対応できなくて、そういう部分では混ぜることができつつあるのかと思います」

――足を取りに来る相手にも、首相撲で対応できるのですか。

「首相撲の動きで、切れます。首相撲でテイクダウンを防いで、首相撲で自分の攻撃を出すことができます。打撃と組みの接点にもなるし、その状態でも崩すこともできます。あとは柔道の足払いを応用したり、そこから首投げだってやります」

――首投げだけでなく、一本背負いなど普通はMMAで見ない投げを松嶋選手は使うことがあります。

「そこは気分でやっちゃってしまう(笑)」

――MMAは疲れないよう無駄を省く作業が必要である一方で、疲れてもやる必要がある動きがある。それが折り重なっているように感じます。

「力を使って強引にやる発想って、MMAでは持てない人が多い。他と違う発想を捨てるのは勿体ないです。それで勝てなくなると元も子もないんですけど、色々な発想を形にした上で使えるものを使っていかないといけない。僕のなかでレスリングとムエタイをやっていれば、MMAは最強じゃねぇかっていうのが昔からあったんです。そこがあって空手もやった。空手をやっていた自分がいて、今の自分になっている流れなんじゃないかと」

――剛毅會を離れましたが、型や基本稽古をやる発想は他にない。だから、その発想を捨てる必要はなかったと。剛毅會でやってきたことは、今も生きているのでしょうか。

「もちろん、生きています。それこそ僕がやってきたことは、空手で培ってきたモノがいっぱいあって。それが僕の武器でもある。今も変わらず自分でサンチンもやるし、突きもやって站椿もやっています。空手は僕のなかでやらないといけないモノです。それが僕の軸ではあるんで。僕が最初に出会った格闘技は極真だし、剛毅會も極真のエッセンスが残っていて宇城(憲治)先生だったり、色々な武術を採り入れてできたモノ。それが剛毅會の武術空手だと思います」

――そういう風に剛毅會空手の説明をさせれば、一番なのが松嶋選手だったような気がします。

「もしかしたら、先生よりそうかもしれないですね(笑)。僕のパンチは、空手の突きです。そこを含めて、良太郎さんにミットを持ってもらっています。そういえばこの間、青木さんとも話していたんですが、武術は延々とやり続けるもの。ただMMAという競技は違う。ずっとはやっちゃいけない。選手としてやることが前提にあるからこそ、延々とやれる武術が生きるんです。そのエッセンスが。武術の場に格闘技を持ち込んではいけない。格闘技の試合で、武術をやってはいけない。陰と陽じゃないですけど、上手くバランスをとる必要がある。そこの調和を上手く、やっていきたいですね」

――良太郎選手と取り組んできた発展形が、どういうモノになっているのか興味深いです。

「柔軟になったというのが、一つあるかと思います。先生が言っていた『やっちゃいけない』をやることがある。武術的に下がるところで、下がると勝てないことがある。打てと言われる場所で、カウンターを被弾することもある。武術の正解が、MMAでは正解でない場合もある。その行ってはいけない、打ってはダメなことを理解したうえで、行くときは行くという風に整理をして、スパーリングや試合に臨もうと思っています。

それができるのも武術と格闘技を別にしているから。武術の在り方が分かっていないと、そうはできない。それはMMAのなかでボクシングを使うのと同じで、武術を使うとはそういうことなんです。良太郎さんとの練習で発想が広がったところはあります。人がやらないことをやる、それも僕の良さではあると思っています。形に捕らわれないで取り組んで、良太郎さんのアドバイスもあって自分のなかで形にする。ここが、それを整える場所になっていて。自分のMMAは成長していると思います」

――そして迎えるダウトベック戦です。誰をも倒せる左の持ち主です。

「もう分かっている。武器を公表してくれているようなモノなので、僕の見えない武器の方が向こうは試合中に嫌だと思います。だから、その左にビビらない気持ちを創って当日を迎えることができるか。そこだけだと思います。ただ、当たる気はしないんです。

僕は試合でクリーンヒットされたのは、マルロン・サンドロ戦が最後だと思います。だからマーチン・ウェン戦の時に負けたのか。年末にヘンリー・ホーフトのセミナーに出て、ヘンリーに『それだけレスリングと打撃ができて、なぜ負けるんだ。気持ちのコントロールと試合の組み立て。そこだけだ』と言われて。凄く腑に落ちました。そう言ってもらって凄く良い時間になりました。多分、あそこに来ていた皆より大分良い時間になったと思います。

言葉が、凄く響きました。セミナーで教わった技術はパンチや距離だったり、当たり前のことでした。でも、その合間に話してくれる言葉が凄く響いて。『あぁ、お金を払ってきて良かったなぁ』と。彼自身が戦ってきた人で、これだけ選手を見てきて、今も見続けている。だからこその言葉だったと思います」

――気持ちという部分で、ヘンリーがそのようなことを言ってくれた。荒々しい動きを修正しないといけないと思われた時期があった松嶋選手ですが、その荒々しさが今は必要という風に見られることもあります。

「荒々しさって別に力じゃない。だからやるべきことを正確にやることが大切で。でも、そこに熱がなければ力を出し切れない。その部分を踏まえて、自分の戦いをしないといけない。相手を見るより、自分をちゃんと見て。そのバランスを保ちながら、やるべきことをやりたい。それが今の気持ちです」

――Road to UFCなのか、その先のUFCなのか。いずれにしても、UFC首脳に『マツシマを使いたい』と思わせないといけない。その辺りに関して、この試合で何を見せたいですか。

「フィニッシュですね。この相手にしっかりとフィニッシュして勝つのが、今回の大前提として戦いたい。そのうえで打撃だけでなく組みに関しても、ここまで自分が練習してきたものを出せるのか。散々、練習してきたことをしっかりと出してちゃんと戦いたいと思います」


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【Special】J-MMA2023─2024、平本蓮「僕は喧嘩四つの“幅”が好き。自分のMMAの勝ち筋が見えてきた」

【写真】取材相手や場面によって様々な顔を見せる平本。MMAPLANETではとことん格闘技オタクとして語ってもらった。(C)TAKUMI NAKAMURA

2023年が終わり、新たな1年が始まるなかMMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらった。
Text by Takumi Nakamura

J-MMA2023-2024、第八弾は平本蓮に話を訊いた。2023年の戦績は1勝1敗に終わった平本だが、試合内容を見ればサウスポーへの開眼をはじめ、自身の打撃力を活かしたMMAの戦い方を確立した1年になった。平本だからこそ見えるMMAにおける打撃の世界観をお届けしよう。

■2023年平本蓮戦績
4月29日 RIZIN LANDMARK 5 in YOYOGI
×1-2 斎藤裕(日本)

12月31日 RIZIN.45
○3-0 YA-MAN(日本)


――大晦日のYA-MAN戦、おつかれさまでした。試合から10日経ちましたが、映像映像などはチェックしましたか。

「はい。試合直後にもそんなに攻撃をもらってないのは分かっていたんですけど、映像を見返しても全然もらってなかったですね。あれだけ近い距離で打ち合っても、自分の打撃の能力だったらもらわないんだなって思いました」

――かなり打ち合っているように見えましたが、クリーンヒットはなかったわけですね。

「もちろん自分の動きが止まっていて、相手のパンチが直撃すればダメージがありますけど、ボクシング的な避け方っていうんですかね。身体全体を使ってパンチを流す技術はMMAグローブでもできるなと思って。YA-MAN戦が決まるまで、ずっとボクシングの練習を強化してたんですけど、それがいい具合にハマりましたね。やっぱりMMAの練習をやると、どうしても純粋な打撃の技術は下手になっちゃうんで、一時期ボクシングをやり込んだのがよかったです」

――今回の取材に向けて斎藤裕戦も見直して、すでにあの試合からサウスポーに構えて距離を取るスタイルになっていましたよね。

「そうなんですよ。僕はサウスポーに構える・相手と喧嘩四つで戦うのが好きで、喧嘩四つになると少し間合いが遠くなるじゃないですか。その“幅”が好きなんですよね。斎藤戦はテイクダウンディフェンスを意識して、腰を重くした構えになってしまって、あれだとテイクダウンはディフェンスできるけど、打撃と連動しづらいんですよ。逆にアップライトで構えると強い打撃を出せる。自分のファイトスタイル的に、ある程度テイクダウンをディフェンスができるようになってきたので、最近はアップライト気味に構えることが多くなりました。実際それでやってみると、変にテイクダウンディフェンスを意識しすぎない方が結果的に距離も上手く使えるし、テイクダウンされにくいんですよね」

――テイクダウンディフェンスを想定した構えになると、自分が受ける前提になってしまいますし、相手にとっては距離を詰める・組みやすくなるのかもしれないですね。MMAは喧嘩四つの方がやりやすいですか。

「僕はもともとサウスポーでも出来るし、いい意味で喧嘩四つはやることが限定されるというか、技の差し合いが複雑じゃないんですよね。もちろん相四つでも全然できるし、それもやれる上で、自分は喧嘩四つが好きです」

――こうして話を聞いているとK-1・キックルールよりもMMAの方が打撃の引き出しを使えるようですね。

「実はそうなんです(笑)。キックは良くも悪くも無視していい攻撃があるけど、MMAだとそういう攻撃でも効かされるリスクがある。MMAはキックよりももらっちゃいけない打撃が多い分、一つの一つの細かいフェイントや駆け引きがキックよりも大事になるんです。そういう部分でMMAの方が自分が持っている打撃のスキルを出せる気がします。あとはなんだかんだでMMAグローブの打撃に慣れてきたことも大きいですね。MMAグローブの打撃のもらい方や逃がし方が分かってきたというか。やっぱりヘッドギアつけて16オンスのグローブでやる打撃の練習はMMAとは全く別競技ですよ。もちろんそういうガチスパーをやるのも必要だけど、怪我のリスクもあるし、ダメージも溜まるし、体力・技術差があると一方的になっちゃう。ああいう練習は強い選手はどんどん強くなるけど、弱い選手が淘汰されていく練習方法なので、僕らの練習ではあまりやらないようにしていますね」

――それはボクシンググローブとMMAグローブをどちらも経験している平本選手だからこそ分かることですね。

「(篠塚)辰樹も僕らとずっとMMAグローブで練習して、キックのディフェンスをMMAグローブでも使えるようにしていたから、それが試合に出てたと思います」

――篠塚選手が試合後のコメントで「MMAグローブの打撃がどんなものかあえて喰らってみた」と言っていたのですが、決してリップサービスではなく、そういう意味もあったんですね。

「そこはホントにあったと思いますよ。実際にMMAグローブのパンチを受けてみて、どんなものかを理解しておくことは大事なんで」

――YA-MAN戦は平本選手のこれまでの取り組みが形になった試合だと思うのですが、ご自身の感覚ではいかがですか。

「それまでは試合中に『どうしよう?どうしよう?』と困ることもあったのが、そういう混乱がなくなりました。MMAの経験を重ねて、自分がこうやって勝つという自分の勝ち筋が見えてきた試合でしたね」

――今お話を聞いていても、2023年は斎藤裕・YA-MANと全くタイプが異なる選手と戦いましたが、平本選手は同じことを継続して練習しているのだなと思います。

「僕もそう思います。YA-MAN戦が決まった時、これから海外の選手とやることを考えたら、近い距離でガンガン打ち合ってくる打撃が強い選手なんてたくさんいるわけじゃないですか。今後そういう相手と対峙したときに落ち着いていられる自信が必要だと思ったから、YA-MAN戦を乗り越えたことは結構デカいんです。あのタイプの相手とやっても、自分にやれることが多いんだなと分かって、そこは後々大きなプラスになるかもしれないです」

――MMAにおけるストライカーの形は色々なタイプがあると思います。パンチ主体でテイクダウンを混ぜるタイプだったり、テイクダウンされないようにアウトボクシングしながら効かせるタイプだったり。キックからMMAに転向する選手はどのタイプを目指すかが重要だと思うのですが、平本選手の場合はどちらかと言えば後者、喧嘩四つに構える・距離を大事に戦うスタイルが一番しっくり来ていますか。

「僕はボクシング主体で前に出るよりも、そっちの方が合っている気がしましたね。コナー・マクレガーみたいに左の蹴りでリードをとって、前手で距離を把握しながら、相手が入ってくるところに左ストレートを合わせる、みたいな。あれはムエタイでいったらゲーオ・ウィラサクレックの戦い方だし、ボクシングでも喧嘩四つの試合を中心に見ていて、それは蹴りも交えたボクシングの技術として見ていますね。さすがに(ガーボンタ・)デービスは真似できないし(笑)。逆にボクシング的に見るポイントは相四つの時のノニト・ドネアの左フックを合わせるタイミングとか、いざとなった時の打ち合う技術です。アレックス・ペレイラもそんな感じじゃないですか。そうやって自分の戦い方やスタイル、試合のシチュエーションに合うものを見ています」

――分かりやすい例えをありがとうございます。平本選手の中にも色んな打撃のスタイルがあって、それを相手や状況に使い分けているということですね。

「ようやく自分の打撃の使い分けが分かってきて、打撃そのものが安定してきた感じはありますよね。あと打撃で両方構えられるからだと思うんですけど、自分からタックルに入る時も右構え・左構え、どちらからでも入れるんですよ。一度、筋力のバランスを測ってもらった時に左右比がほぼ同じという結果が出て、筋力的に右構え・左構えで差がないらしいんです。だから組み技でもどちらが得意というのがないんですよ」

――打撃のスタイルが思わぬところにも影響が出ていたんですね。

「逆にMMAをやるようになってからも野杁正明選手の試合はめっちゃ見ます。野杁選手はK-1の距離ですけど、オーソドックス・サウスポーどちらも構えられるし、使う技や威力も構えに関係なく同じじゃないですか。よく右でも左でも同じように倒せるなと思うし、野杁選手の試合を見ていると、MMAでも活かせる技術がたくさんあります」

――MMAに転向して野杁選手の凄さを再確認したというのは面白いです。

「MMAは時間がかかる競技なんで、今から野杁選手がMMAをやることはないと思うんですけど、仮にMMAをやっても強いと思います。相手の動きに対する反応もいいし、腰も強そうなので」

――またこれも是非聞きたかったのですが、剛毅會、平本選手のチームに大塚隆史選手がいることが大きいのではないかなと。

「ホントそれっす! 大塚さんの存在はデカいっす!」

――以前、剛毅會の練習を見学したときに、大塚選手が岩﨑達也さんとは違うポジションで上手く練習をマネジメントしているなと思ったんです。

「大塚さんは基本的にはレスラーだけど、ストライカーの目線でもMMAを見ているから、大塚さんと話すとめちゃくちゃ面白いんですよね。で、僕らも大塚さんもMMAオタクだから、UFCが終わったあとはみんなでオタクな話をしてます」

――ピュアレスリングではなくレスリングができるMMAコーチというポジションですよね。

「僕も組み技の基礎、エスケープ、ディフェンス…を大塚さんに教わって、今からMMAを始めようと思っている人は大塚さんに教わった方がいいですよ。MMAでやるべきことをしっかり学べるんで。リアルにオススメします(笑)」

――決して宣伝ではなく(笑)。

「今回はチーム力がすごく上がったと思いますね。岩﨑先生と大塚さんがいて、みんなで相手のことを研究して試合に臨む。ATTとかああいう規模ではないけど、チームとして相手を攻略する。そういう形が出来てきたと思います」

――新たにヒジ打ち・首相撲を教えられる梅野源治選手もコーチとして加入して、各ジャンルのスペシャリストがいるなかで、大塚選手のようにそれらをミックスしてMMAに変換できる存在がいるのはバランスがいいと思います。

「だから(芦澤)竜誠くんも絶対強くなると思いますよ。今回は負けちゃいましたけど、練習していて強くなっている姿を僕は近くで見てきたし。竜誠くんはキックの頃から距離とか間合いを大事にするタイプだから、MMAにも向いていて、実際にMMAスパーをやるとパンチをもらっちゃいますからね。あと辰樹もMMAに興味があるみたいなんで、アイツにもMMAやらせようかなと思ってます(笑)」

――さて2024年はいつくらいに試合をしたい、どんな相手と試合をしたいと思っていますか。

「やっぱり朝倉未来とは戦いたいし、それまでに試合をやるんだったらやるし、これから(RIZINと)話していく感じです」

――昔から平本選手は対戦相手や試合の意味を考えて、それがしっくり来た時に戦うスイッチが入るタイプじゃないですか。そういう意味ではスイッチが入る相手や試合が決まるタイミングを待ちたいと思います。

「ですね。ただ次の試合ではもっと強くなった平本蓮になっているので楽しみにしていください!」

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【RIZIN45】MMAルール3試合=平本蓮×YA-MAN、久保優太×安保瑠輝也、YUSHI×平本丈が決定

10日(日)、東京都渋谷区のShibuya Sakura Stage 3階「にぎわい stage」において、12月31日(日)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN45の追加カード発表記者会見が行われた。
Text by Takumi Nakamura

まず榊原信行CEOから「今日発表するカード、全部で4試合。世界中に色んな格闘技の団体があります。この日本にはみんなと共に作り出すRIZINがある。若き選手たちの戦いでみんなにすごいエネルギーを送ります。何かに挑戦する、はみ出していく。こんな時代ですけど若き選手たちの戦いを通じて、そういったものが届けばいいなと思います」と挨拶があり、続いて大晦日までABEMAにて毎週日曜日に事前番組を放送すること、チケット発売、PPV中継の発表があった。

そしてMMAルールで平本蓮×YA-MAN、久保優太×安保瑠輝也、YUSHI×平本丈の3カード、MMAグローブのキックボクシングルールで篠塚辰樹×冨澤大智の合計4カードが発表された。榊原CEOの挨拶を受けて8選手がマイクを持ったが、ここでは試合への意気込みを語った平本の言葉をお届けしたい。

平本蓮
「今日は本音を語ろうかなと思います。僕は20歳の時にK-1にいて、将来が不安で、いつ崩壊するか分からない状況で、孤独もあって怖かったです。それでK-1を抜けて、世界に向けて盛り上がるものをやりたいと思ったときに朝倉未来が現れて。シンパシーを感じたというか、本当に感動して、こんなやつがいるんだな、面白いやつを待っていたんだなと思いました。僕もどうやって試合を盛り上がるか。噛みついて喧嘩を売って試合を盛り上げようと思って、最初は馬鹿にされたし、色々言われたけど、朝倉未来がいたからRIZINでMMAやろうと思って、あいつのおかげでMMAを始めたところがあります。

それから自分で話題を作って、ドミネーター選手に勝って、でも斎藤選手に負けて。どんだけ積み上げても、なんであとちょっとのところで逃してしまうんだろうと思って。それで夏くらいにすごく腐っていて、うつ病みたいになって、元気がなかったんです。そんなときにアイツがヴガール・ケラモフとやったりしているのを見て、僕的には色んな表現の仕方はあるけど、勇気をもらっていた部分があります。それで年末に向けて、腐っている僕を社長が呼んでくれて。今まで自分で話題を作って試合をしてきたから、そういうプロ意識を貫かないといけないと思ったり、悪口キャラをやめたら食っていけないのかなとか葛藤がありました。

そしたら朝倉未来がキックルールでYA-MANに負けたのが悲しくて。でもこんなに盛り上がったのは朝倉未来のおかげだし、もう煽り合いはいいです。自由に戦っていこうと思います。絶対に朝倉未来と試合をしたいっす。だからこの試合は勝たないといけないです。朝倉未来のかたき討ちじゃなくて、ここで勝てば、自ずと来年その試合が見えてくるし。YA-MANも強いし、厳しい試合になるかもしれないけど、覚悟の違いがあるんで絶対に勝ちます」

 またMMAPLANETとの質疑応答で、弟の平本丈と同じ日に試合することを聞かれた平本は「弟と辰樹もそうなんですけど、今剛毅會で大塚(隆史)さんと(芦澤)竜誠くんと一緒に練習していて、全員で試合に臨むことを僕はワクワクしています。みんなで士気が高まっていて、やっぱり僕は格闘技が好きなんだなと思って楽しいです。全員で勝てたらいいなと思います」と語った。

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【RIZIN44】白川陸斗戦へ、中原由貴 in 剛毅會「空手をやったからと言って、使えるようになると思うな」

【写真】稽古をして、中原の打撃を試合に生かすこと。それが武術空手だ (C)TAKUMI NAKAMURA

24日(日)さいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44にて白川陸斗と対戦する中原由貴。
Text by Takumi Nakamura

昨年大晦日に鈴木千裕に敗れた後、平本蓮のトレーニングキャンプに参加したことをきっかけに剛毅會空手での練習をスタートさせた。白川戦の約2週間前、剛毅會空手での練習を終えた中原に話を訊いた。


──今回剛毅會空手での練習風景を取材させていただきました。いつからここでの練習をスタートしたのですか。

「大晦日で負った怪我が治った3月くらいですね。もともとT-GRIP TOKYOには毎週火曜日に出稽古に来させてもらっていて、ちょうど(平本)蓮くんの斎藤裕戦に向けたトレーニングキャンプに参加させてもらったんです。そのときに蓮くんと一緒に岩﨑先生も練習に来られていて。僕も岩﨑先生の指導に興味があったので、剛毅會空手の練習に参加させてもらうようになりました」

──練習内容を取材させてもらい、一般的に言われている打撃の技術や理論とは異なる独自のものが多いと感じました。最初に剛毅會空手の練習に参加したときの第一印象はいかがでしたか。

「もともと僕はメンタル的な話や武術的な考えが嫌いではなくて、岩﨑先生のMMAPLANETでの記事も好きでよく読んでいたんですよ。実際に岩﨑先生の話を聞かせてもらったり、指導を受けたりして、シンプルに面白いなと思いましたね」

──剛毅會空手を学んで、最初に変化と感じたのはどこですか。

「変化ではないんですけど、大晦日の敗因は僕がイケイケになってしまったことなんですね。練習でもそうなのですが、僕は理性が働いて自分の戦いができている時は、自分の長所を活かせているんです。でも何かのきっかけで試合でも練習でもイケイケになってしまう。大晦日はまさにイケイケになってしまった典型的なパターンで、事前の作戦も全部ひっくり返しちゃって、前に行きすぎてやられました。剛毅會空手を学ぶことでそうならないように自制できるようになりましたね」

──大晦日の敗因を分析・理解することで、自分の戦い方に変化があったのですか。

「去年7月に関鉄矢選手に勝った時、僕の戦い方にSNSで賛否両論あったんですよ。ファンの人からは『つまらない』と否定的な意見が多く、格闘技の知識がある人からは『距離が抜群で、打撃の打ち分けがよかった』と肯定的に言ってもらえて。あの試合がつまらないと思っている人たちには大変申し訳ないんですけど、僕の中で関戦は歴代の自分の試合のなかでもトップクラスにいい試合だったんです」

――自己評価と一般的な評価に乖離があったわけですね。

「僕としては関戦の自分が理想のはずなのに、大晦日ではそれと全然違うことをやっちゃうという(苦笑)。最初からすべてが同じではなかったですが、自分と岩﨑先生の思想が合っていたと思うし、岩﨑先生の教えを請いたいと思いました」

──そこから技術的なことや実践の動きのなかで『これがでハマった!』と『よくなった!』と感じるのはどこですか。

「なんだろうな…自分の長所に磨きがかかったところじゃないですかね。岩﨑先生と練習を始めた頃、岩﨑先生が『数年空手をやったからと言って、空手を使えるようになると思うな。俺もまだその途中なんだ』とおっしゃっていて。それがすごく印象的だったんです」

──そんな簡単なことではない、と。岩﨑さんはご自身の技術を指導する一方、岩﨑さんからも練習参加メンバーに「これはどうなの?」と質問する場面もあって、あのバランスが選手にとっては大きいなと思いました。

「そうなんです。僕の場合は剛毅會空手を始めて数カ月で、今回の試合が決まった時に『いろいろ教えたけど、自分が出来ないと思ったことは捨てなさい』と言ってもらえて。今それがちょうどハマってるんですよね」

──中原選手のスパーリングを見て、凄く“大きく”見える。そう感じました。

「あっ、本当ですか? 純粋に身体がデカいとかではなく、ですか?」

──純粋なデカさもあるかもしれないですが(笑)、対戦相手は向き合ったときに身体のサイズ以上の大きさやプレッシャーを感じるのではないかと思いました。

「どうだろうなぁ……ここの練習ではちゃんと先生に見てもらっているので、多少強く殴っていいよって言われるんです。それもあって(相手に)プレッシャーがかかっているように見えるかもしれませんが(笑)。そこも含めて自分の長所に磨きがかかっているなというのは感じます。関選手とやった時を一つの理想にしつつ、そこに打撃の破壊力が乗っているというか」

──また今日の練習を見て、中原選手の技の引き出しが増えているような気もしました。

「ああ…そうかもしれないです。次の試合で色々とやろうとしていることはありますね」

──それと同時に打撃の引き出しが増える、打撃の技術が伸びたことでMMAにおける戦い方の幅も広がったのではないですか。

「少し前に打撃だけじゃなくて組みに関しても、ちょっと迷子になっていたところがあったんです。RIZINに来る前、ONEでのエミリオ・ウルティア戦なんかではいい感じに出来ていたものが、最近の試合ではできなくなっていて。ちょうどその原因になっていたところを岩﨑先生に修正してもらって、それで一気に全て変わりました」

──では結果的に試合間隔が空いたこともいい方向に出そうですね。

「本当は4月~5月に復帰戦のオファーをいただいていたのですが、3月末までコンタクトする練習ができなくて(フィジカル)トレーニングだけだったので、それで体重だけ落として試合するのは周りの人に申し訳ないと思い、お断りさせてもらったんです。

じゃあ6月か7月という話も出たのですが、剛毅會空手の練習を始めてすぐだったし、まだ教わったことを試合で使えないと思っていて。その話は流れて最終的に9月になりました。最初は焦りもありましたが、練習期間が伸びた分、パフォーマンスが上がっていたので、この時期に復帰戦が決まって良かったです」

──その復帰戦の相手の白川陸斗選手の印象は?

「白川選手は試合そのものが2年ぶりですけど、シンプルに根性が凄いし、打撃も上手いし、素晴らしい選手だなと思います。ただ2年も空いていると、過去の試合は何も参考にならない。2年もあれば人は別人になれますからね。だから事前の情報がほとんどない相手と戦うイメージで、あとは試合中に起きたことに臨機応変に対応します」

──白川選手のブランクの有無はあるにせよ、今の中原選手にとっては×対戦相手よりも、自分のパフォーマンスがどうなっているのかに興味があるのではないですか。

「今回はそれがデカいですね。なんか楽しみというか。白川選手ほどじゃないけど、自分も期間が空いているし、大晦日に出しきれずに終わったもの、用意していて出せなかったものもあるし。今回は相手に対してだけでなく、新しくなった自分のパフォーマンスに集中したいです」

──この復帰戦をクリアして、ここからどこを目標に戦っていきたいと思いますか。

「焦るのも良くないんですけど、やっぱり強い選手とやりたいし、海外勢にいいようにされていてムカつくところもあるんですよ。今のRIZINは外国人たちの『(RIZIN)に出ればベルト獲れるんじゃない?』という雰囲気が伝わってくるし。フアン・アルチュレタなんてポンポンとRIZINに出て、ベルトを獲って次はフェザー行くみたいな話を軽くしてたりとか。『ちょっとナメすぎだろ?こいつら』という想いがあります。

もちろん今フェザー級のトップでやっている選手に頑張ってもらわないとって気持ちはあるんですけど、やっぱりそこに自分が行きたいと思うんで。白川戦も含めて勝ちを重ねて、早く発言権を得たいです。RIZINとBellatorとの対抗戦でも、お互い強い選手を出し合ってるからしょうがないかもしれないけど、Bellatorにやられちゃったことは悔しいし。僕はそういう試合に出ても白星をとれる選手になりたいし、RIZINを代表して外(海外)に日本人で強い選手がいるぞというところを見せたいですね」

──中原選手はONEで戦っていたことも含めて、海外での試合や×世界を常に意識していたと思うし、そこで結果を出すことへのこだわりはありますか。

「僕は自分の限界を知りたいんですよね、自分がどこまでやれるか。もちろん日本人相手でも限界を知ることはできると思うんですけど、やっぱまだ世界の団体を見ても日本人の名前がトップにない状況があって。日本より海外の方が強い選手が多いわけじゃないですか。それは競技だけじゃない、人口的な問題があるのかもしれないですけど、僕たちは日々必死に練習しているので、ちょっとでも強い相手とやりたいという気持ちが強いですね」

──RIZINのフェザー級は中原選手が欠場している間に王座交代もあり、大きな動きがあった階級です。RIZINフェザー級の現状をどうとらえていますか。

「色々と動きはありましたけど、トップどころのメンバーは変わってないですよね。上の選手になればなるほど試合数も減っていて。今のままではマッチメイクも難しいと思うし、試合を選んでいるとは思わないですけど、みんなメリットのある試合をやりたがるじゃないですか。

それは当然のことだと思うんですけど、今の状況を変えるには僕らみたいに下から上に上がる選手がいて、上をかき回すことが大事。RIZINファンにつまらないと思わせないためにも、僕には下から突き上げる使命もあると思っています」

──確かにトップ戦線に一人新しい選手が入るだけで組み合わせも含めて、いろんな動きが出てくると思います。

「トーナメントをやるのも一つの手段だと思うんですけど、結局それで上のメンバーが団子状態になる可能性もあるわけで。だったら下から上がってきた選手が一人ポンと入って、一人ずつ倒していけば面白いと思うんですよ。自分がそうなりたいですね」

──中原選手をインタビューさせてもらい、競技者としてどうあるべきか。またプロとしてどう見られているか。本当に色んなことを考えている選手だと思いました。そのうえで今回は何を一番意識していますか。

「自分のパフォーマンスに集中することですね。今まで色々と考えすぎていたんですよ。それも対戦相手ありきというか、相手といい試合を作ろうとか。今はそうじゃなくてもっと我を出していこうじゃないけど、俺さえ良ければいいみたいなマインドに変えようと思って。海外の選手の発言を聞いていると、そんなヤツばっかりじゃないですか(笑)」 

──確かに常に主語は自分になっているような気がします。

「当然僕も相手にリスペクトは持つし、その信念は捨てないです。でももっと自分のことに集中してみようかなと。何をするにしても、視点を変えるじゃないですけど、一人称を自分にするというか。そうやって相手に合わせないことで、明らかにパフォーマンスが変わったんで、それを試合で見せたいです」

──前回の試合から変わった中原選手の姿が見られると思います。それではこの試合を楽しみにしているファンの皆様に締めのメッセージをいただけますか。

「自分でも自分を楽しめるというか、どんなパフォーマンスが出るか自分でも分かっていないので、そこも楽しみにしてもらいながら。どんな結末になるのか、手に汗握りながら見てもらえたらと思います」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<キック70キロ契約/3分3R>
安保瑠輝也(日本)
宇佐美正パトリック(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。メイシー・バーバー✖ヒーバス「見世物」

【写真】メイシー・バーバーの逆転は、気持ちから (C)Zuffa/UFC

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見たメイシー・バーバー✖アマンダ・ヒーバス戦とは。


──メイシー・バーバー✖アマンダ・ヒーバス、相当に激しい打撃戦が展開されました。

「これは凄い試合でした。ヒーバスが先手を取って、バーバーは常に圧されていました。それが2Rに入ると、なぜかバーバーに回転が掛かり始めました」

──ヒーバスがあれだけ攻勢でありながら、リスクのある足関節を仕掛けてパウンドを打たれたのが不思議でした。

「1Rは自分のペースで攻めていたので、その勢いがあったのかと思います。ただし、2Rのバーバーは違っているのに初回と同じような調子で行ってしまいました。しかもハイキックが全く見えていなかったです。

対してバーバーは蹴った後は殴る。しかも連打で──という私も選手に口を酸っぱくして指導していることをバーバーはやっていました。アレはテクニック、でできるものではないんです。本気で相手をぶちのめす気がある人にしかできない攻撃です。あの攻撃を形だけみて、左ハイキックからワンツー、スリーっていうコンビネーションをやろうと思ってもできない。それができたのは、バーバーの必死さじゃないかと思います」

──UFCの女子選手、街で喧嘩をしても強いだろうなと感じます。ヨーイドンもなく、レフェリーもいない戦いができそうな。

「それはそうでしょう。自分の身を守るために、男にだって殴りかかりますよ。あの気迫は、そういうものです」

──これは暴論かもしれないですが、男子と女子のMMAで前者の方がレベルが高いとします。そうすると女子だけの大会よりも、男子のなかに女子の試合を組み込む方が彼女たちも強くなるような気がしました。そこにより激しい戦いがあるなら。

「まぁ、どれだけ強くなりたいのか。どれだけ強い相手と戦いたいか。それもUFCという世界最高峰の場でプロとして見せる試合と、そうでない試合は違いがあります。ハッキリいってプロって見世物です」

──ハイ。

「見世物だからこそ、お金を取って良いわけです。その頂点がUFCで。我々の時代は出場料を収めたうえで、死んでも文句を言わないと一筆したためて戦っていました(笑)。そこにプロ化、経済の理論が持ち込まれた。お金を貰っても、そういう死んでも文句をいわないという意志を持ち続けて戦っている者もいました。

だけど、プロという興行の場においても、そうでもない選手もいます。そんなので見世物として、お金を取れるファイトができているのかっていうような選手が。ただし、そこもチケットを売って大会を開くプロモーション側が幾何かのファイトマネーを支払うからプロであって。職業という意味でのプロが、どれだけいるのかというとそうでない。MMAを戦う選手が、どういう覚悟を持って日々練習し、試合に向かっているのか。

そして格闘、武道というモノをどう捉えているのか。もちろん技術もそうなのですが、覚悟という部分ですかね。先日の河名マスト選手と韓国のパン・ジェヒョク選手の試合を視聴させてもらいましたが、あの試合の河名マスト選手には心打たれました。技術ではないです……あの頑張りは、素晴らしい。もちろん、技術はつけていかないといけない。同時に、どういうつもりでMMAを戦っているのか。あの河名選手の戦いこそRoad to UFCなんですよね。ああいう戦いが、UFCを目指す戦いです。

そういうなかでバーバーですよ。初回と2Rではパンチが全然違います。初回を終えて、このままでは勝てないという危機意識を持ったのか、完全に上がりましたね。それだけ彼女は勝ちたかったということです。実際1Rがダメで、そのままダメな人も多いです。試合っていうのは、どこかで折れる。そして、盛り返すことができないことは当然のようにいくらでも起こり得ます。折れたら、折れたなりで戦うのが試合なんです。

そういう点で、この試合に関しては折れなかったバーバーを褒め称えるべきです」

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