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【WJJC2022】メイハン・マキニ初制覇のライトフェザー級で、負傷を抱えた嶋田裕太はイアゴに一本負け

【写真】トーナメントウィークに負傷。今回の2試合で、今後に向けて何を得られたのかが大切だ(C)SATOSHI NARITA

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われた、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text Isamu Horiuchi

レビュー第2回は、NYのマルセロ・ガウッシア道場で長期修行を行なっている嶋田裕太の戦いぶりを中心にライトフェザー級の模様をレポートしたい。


<ライトフェザー級1回戦/10分1R>
嶋田裕太(日本)
4-4 アドバンテージ4-2
ジュニー・オカシオ(米国)

まずは引き込み合う両者。お互い相手を掴まずに座ってしまい2度ペナルティを受けた後、嶋田は前に出て一瞬座ってから上を選択することで、アドバンテージを獲得した。

オカシオは嶋田の右足首に絡むが、嶋田は崩れない。ならばとクローズドガードを作ったオカシオは横回転で崩しにかかる。ここも嶋田はスプロールしてバランスをキープする。ガードを閉じているオカシオを持ち上げた嶋田は、左足を押し下げてから胸を合わせにかかるが、オカシオが対処してクローズドに戻る。

その後オカシオはガードを開いて足狙いも見せるが、ここも嶋田は回転して対処してみせた。ラッソーを作ったオカシオは、嶋田の右足を内側から抱えて回転すると、さらにベリンボロに移行を狙う。腰を切って抑え込もうとする嶋田だが、ここでオカシオはその勢いを使って回転して上に。

距離を取って立とうとする嶋田だが、オカシオはその背中を取りながら上になり、2点先制した。そのままサイドで嶋田を抑えたオカシオは、ニーオンザベリーさらに2点追加。嶋田は残り6分ほどのところで4点差をつけられてしまう。

嶋田はエビの動きでオカシオのヒザから逃れるが、ここで嶋田が苦しそうな様子をしたことで、レフェリーが一旦試合を中断。ワキ腹を抑えている嶋田だが、少々のやりとりの後で試合は再開された。

サイドに付いているオカシオは左腕で枕を取ると、嶋田の襟を引きつける。嶋田が足を戻そうとしたところで上からダイブしてのベリンボロ狙いへ。嶋田がマットに背中を付けて守ると、その左足にストレートフットロックを仕掛けてゆく。

それを防いだ嶋田が立とうとすると、オカシオはすかさず背中に回り、嶋田の襟を右で取ってコントロールする。嶋田は動いて体をずらそうとするが、襟を掴んでいるオカシオは巧みに背中に張り続け、キープしていった。

残り4分。それでも動き続けた嶋田は、なんとか距離を作ってクローズに戻すことに成功すうr。ここでオカシオのラペルをその右腕に巻きつけた嶋田は、下から腕十字一閃。うつ伏せになりながら極めにゆき、腕を伸ばし切ったかに見えたが、オカシオは回転して嶋田の体を跨いで脱出。

が、嶋田はその勢いで上になることに成功し、アドバンテージを獲得するとともに2点を返してみせた。さらにサイドを狙う嶋田だが、オカシオはスクランブルして上の体勢に。この動きはスイープではなくリバーサルとみなされ、得点は与えられなかった。

残り約3分で2点リードを許している嶋田。が、アドバンテージでは2つリードしている。シッティングからオカシオの右足に道着を通して掴んだ嶋田は、殿下の宝刀シングルレッグへ。距離を取ってがぶるオカシオだが、グリップをキープしている嶋田は再び勢いをつけてスクランブルから立ち上がる。そのままシングルにつなげる。粘るオカシオをついに倒し切って2点獲得。残り2分半にて逆転に成功した。

一度ガードを閉じたオカシオは、ラッソーに移行する。嶋田はワキを締めて守る。オカシオは回転して煽るが、嶋田はヒジをうまく使って腰を引いて防御する。その後も嶋田は終了まで上をキープし切り、アドバンテージ2つのリードを守り抜いた。

伏兵オカシオに先制点を許し、さらに中断を余儀なくされる状況に追い込まれた嶋田だが、執念の逆転勝利。勝負所で磨き抜いたシッティングからのレッスルアップを決め、最後はミヤオやソドレといった世界屈指のオープンガードプレイヤー達と凌ぎを削ってきた経験を活かして守り切った。

こうして苦境を克服した嶋田は、初日のヤマであるイアゴ・ジョルジ戦に駒を進めた。

<ライトフェザー級2回戦/10分1R>
イアゴ・ジョルジ(ブラジル)
Def.5分43秒 by 襟絞め
嶋田裕太(日本)

嶋田が前に出ると、ジョルジはすぐに引き込む。続いて左でラッソーを作ったジョルジは、そのグリップで強烈に引きつけて嶋田を左に崩してのスイープ。見事に2点を先制してみせた。

上を取ったジョルジは、左右に動いてのパスの猛攻へ。サイドに付けかけられた嶋田は、アドバンテージを一つ献上するもなんとか左足に絡んでみせた。

が、ジョルジはすぐにその左足でニースライスへ。ここも戻す嶋田だが、またしてもアドバンテージを取られてしまう。さらにジョルジは侵攻を続け、ついにヒザを抜いてパスに成功。開始僅か1分半で、点差を5-0と広げた。

サイドについたジョルジは、あえて左足を動かして隙間を作り、半ば意図的に嶋田がそこに絡むことを許してから、再びニースライスへ。さらに逆サイドに飛んでパスを決めて、8-0とリードを広げた。

その後ジョルジは、再び嶋田に一旦足を絡ませてから抜いてみせ、さらにニーオンザベリーも決めて13-0とすると、嶋田の襟首を右手で掴んで上体を起こさせてバックに付き、両足フックを入れて17-0とリードを広げる。ここから送り襟絞めに入ると、嶋田がタップ。5分43秒、一方的に嶋田を攻め続けたジョルジの完勝に終わった。

試合終了後もダメージでなかなか立てなかった嶋田。試合直前の練習で脇腹を負傷してしまっていたとのこと。今回は自分の力を出しきれずに終わってしまったが、その状況でマットに上がり、一回戦を逆転勝利した経験は必ずや今後の糧になるだろう。

嶋田を倒したジョルジは、次戦も突破して最終日へ。準決勝にて優勝候補のメイハン・マキニとのリベンジ戦に臨んだ。が、マキニはスタンドでは小内、小外でジョルジを倒し、上からは凄まじいスピードのトレアナパスを2度決め、最後は腕十字。僅か2分半、恐るべき強さを見せつけた末に圧勝して決勝進出した。

もう一方の山は、予想通り前年度覇者のパトことジエゴ・オリヴェイラとジエゴ・ヘイスの両者が勝ち上がった。この準決勝は、残り1分で50/50を作って上を取ったオリヴェイラがトップを守り切って作戦勝ち。

かくて決勝はマキニ×オリヴェイラ、昨年も死闘を繰り広げた両者の再戦となった。今年からオリヴェイラがドリームアートに移籍したため、同門同士の世界一決定戦だ。

上攻めのマキニと、下攻めのオリヴェイラ。凄まじいスピードと技のキレを持つ両者は、昨年に続いて互いに一歩も譲らない世界最高峰の凌ぎ合いを展開した。スコアは全くの同点、割れるかと思われたレフェリー判定は意外にもユナニマスでマキニを支持。21歳の新世界王者が誕生した。

マキニとオリヴェイラとヘイス──恐るべき強さを誇る新世代がライトフェザー級を席巻している。

そのとてつもなく高い頂に、今回の試練を戦い抜いた嶋田はいかに挑んでゆくのだろうか。

【リザルト・ライトフェザー級】
優勝 メイハン・マキニ(ブラジル)
準優勝 ジエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
3位 ジオゴ・ヘイス(ブラジル)、イアゴ・ジョルジ(ブラジル)

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【WJJC2022】嶋田裕太の茨の道=ライトフェザー級。オカシオ,イアゴ&昨年準優勝者撃破で表彰台&三強戦

【写真】嶋田のハーフ、レッスルアップ、スイープはワールドクラスだ(C)SATOSHI NARITA

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われる、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text by Isamu Horiuchi

プレビュー第2回は、NYのマルセロ・ガウッシア道場で長期修行を続ける嶋田裕太が出場するライトフェザー級の見どころを紹介したい。


強豪揃いのこの階級だが、他の選手から頭一つ抜けた優勝候補と呼べる選手が3人いる。まずは前回優勝のパトことジエゴ・オリヴェイラ。

続いてそのパトと昨年の準決勝で大死闘を演じ、4月のパン大会で優勝を遂げたメイハン・マキニ。3人目は、ADCCブラジル予選にてノーギながらパトを下したジオゴ・ヘイスだ。

ヘイスとマキニは昨年のワールドプロ予選で対戦。この時はヘイスが競り勝ちそのまま本戦優勝を果たしているが、4月のパン大会での再戦時には、50/50シーソー戦の末に12-10でマキニが勝利し、その後も優勝を果たしている。パトが23歳、マキニは21歳、そしてヘイスに至ってはまだ20歳になったばかり。すでに圧倒的な若き力により席巻されているのがこの階級の現状だ。

この3人に加え、昨年の世界大会で組み合わせに恵まれたこともあり決勝進出を果たした米国のマラチ・エドモンドも出場。そして19年の世界大会優勝者の一人である──この時は前人未到の同門4人によるクローズアウトだった──イアゴ・ジョルジ、4月のパンナムにてそのジョルジにストレートフットロックを極めて準優勝を果たしたルーカス・ピニェーロら強力ベテラン勢もエントリーしている。

このような過酷なトーナメントに挑む嶋田は、4月のパン大会以来の試合となる。同大会ではひとつ上のフェザー級にエントリーし、一回戦を順当勝ちした後、僅か10分少々のインターバルで過去2連敗を喫している強豪アレクサンドロ・ソドレと対戦。最初の上選択をアドバンテージと判定してもらえない不運もあり惜敗したが、シッティングガードからの鋭い仕掛けからシングルに移行して倒し切る等、その動きが世界最高峰に十分通じるところまで来ていることが見て取れる内容だった。

(C)FLOGRAPPLING

今回の嶋田の一回戦の相手は、ユニティ柔術のエドウィン・オカシオに決まった。

ジュニーの愛称でWNO等ノーギグラップリングの大会での活躍し、ジオ・マルティネスや今成正和等のビッグネームから勝利を挙げている。シッティングガードから足を絡めてのヒールフックを最も得意とするが、今大会はそれが禁止された道着着用ルール。この分野の頂点を目指す嶋田としては負けられない相手だろう。ちなみにオカシオは4月のパン大会にもエントリーし、初戦で橋本知之と戦う予定だったが欠場している。

次に嶋田を待っているのは、第5シードのイアゴ・ジョルジだ。

2019年には前述したクローズアウトでの世界制覇を含め、メジャー5大会全制覇という偉業を成し遂げた経験を持つ世界的超強豪だ。近年マキニ&ヘイスの超新星2人には連敗を喫しているが、その実力は健在だ。強烈なパスガードの持ち主のジョルジに対し、やはり上攻めを得意とする──同時にシッティングからのレッスルアップにも一段と磨きがかかっている──嶋田がいかに自分のペースで試合を運べるか。

今から9年前、2013年のブラジレイロ紫帯ライトフェザー級決勝で、ジョルジに勝利している嶋田だが、茶帯以降は対戦がなくても実績という点でリードを許している感は否めない。翌日の準決勝進出=世界のメダル獲得に向けて、最初にして最大の山場がこの試合となりそうだ。

このジョルジを倒せて、はじめて準々決勝に進める嶋田に立ちはだかる可能性が高いのは、昨年準優勝のマラチ・エドモンド。楽な相手であるはずはないが、エドモンドは黒帯での試合経験がまだ少なく、4月のパン大会でもルーカス・ピニェーロにチョークで完敗している。ジョルジに比べれば与し易いと言えるかもしれない。

ここも超えることができた場合、翌日の準決勝で嶋田を迎え撃つのはおそらくメイハン・マキニ、そしてさらに決勝で当たるのはパトことジエゴ・オリヴェイラとジオゴ・ヘイスの勝者だろう。つまり最終日には、現在この階級を席巻する真のトップの3人のうちの2人との連戦が嶋田を待っていることとなる。

頂点への道のりは目眩がするほど険しいが、4月の見事な戦いぶりから判断する限り、最終日に世界最高峰と渡り合う嶋田の勇姿を我々が見られる可能性は大いにあるだろう。

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MMA MMAPLANET o WJJC2022 YUKI カルロス・アルベルト タリソン・ソアレス ブラジリアン柔術 ブルーノ・マルファシーニ マイキー・ムスメシ メイハン・マキニ 橋本知之

【WJJC2022】ルースター級=マイキーとマルファシーニが欠場。橋本知之に好機到来も道のりは平坦でなく

【写真】2013年のカイオ・テハを除くと、9大会を制してきた二強がいないムンジアルだが、それでも強豪揃い(C)SATOSHI NARITA

6月2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

年に1度、道着着用柔術の世界一を決めるこの大会のプレビュー第1回は、橋本知之の世界初制覇への期待が高まる最軽量ルースター級の見所を紹介したい。


今回の最軽量級で特筆すべきは、10度世界王者に輝いたブルーノ・マルファシーニと、昨年末、突如として道着着用に復活して圧倒的な強さで優勝を果たしたマイキー・ムスメシの両者がともにエントリーしていないことだ。

頭抜けた実績&実力を持つ二者が抜けたことで、今まで彼らの軍門に下ってきた選手たちに初優勝への希望が大きく開けることとなった。

当然それは、2010年代後半から最軽量級のトップ戦線で戦い続けている橋本知之にも言える。今年4月のパン大会では、筋量が増したこともあり減量のストレスを避けてあえて一階級上のライトフェザー級に参戦した橋本。

初戦の強豪ペドロ・クレメンチに快勝すると準決勝で世界最強の一角、メイハン・マキニと対戦を迎えた。下から崩しきれず、開始時の上選択によるアドバンテージ差で敗れたものの、強力無比なトップゲームを誇るマキニにニアパスさえも許さず、世界トップの実力を改めて知らしめる内容だった。

今回第5シードの橋本の1回戦の相手は、第9シードの米国人ケヴィン・マーティンコフスキー。国際的には無名の選手で、先日のナッシュヴィル・オープンで黒帯としてはじめてIBJJF系の大会で優勝を果たしている。橋本としてはあまり体力を使いすぎずに確実に勝利を掴みたいところだ。

続く準々決勝は従来までは翌日に行われていたが、今大会では黒帯初日に組み込まれている。ここで橋本を待っているのは、おそらく第3シードのベベトことカルロス・アルベルトだろう。19年のヨーロピアンでは芝本幸司と対戦し、巧みな試合運びで競り勝った選手だ。さらに今年のパン大会では、優勝候補筆頭のタリソン・ソアレスと決勝で対戦すると、スクランブルにおけるソアレスの動きが場外逃避と判断されたことで得たリードを守り切り、優勝を果たしている。

幸運に恵まれたことは否めないが、上からはソアレスのズボンを巧みにコントロールしてパスのプレッシャーをかけ、下からは長い足を活かしたラッソーを駆使して渡り合っての勝利だった。

世界制覇を目指す橋本にとって、初日にまず超えなくてはならない難敵がこのアルベルトということになる。トップ、ボトム共に高い技量を持つ両者の戦いだが、アルベルトは序盤にトップを選択することもあまり厭わないだけに、いかに橋本が下から崩すかがポイントとなるのではないか。

橋本が無事にここを突破した場合、翌日の準決勝で橋本を待っているのはおそらく第2シードのホドネイ・バルボーザと第7シードのジョナス・アンドラージの勝者になることが予想される。

橋本はバルボーザには2019年のヨーロピアンの決勝で、アンドラージには昨年末の世界大会の準々決勝で敗れている。が、バルボーザ戦は今後を見据えてあえて上攻めを選択して戦った末の僅差の敗戦であり、アンドラージ戦は終盤まで橋本が試合をリードし勝利が見えていたにもかかわらず、終了45秒前にまさかの膠着ペナルティを受け逆転されるという不運な負け方だった。

両試合とも地力で橋本が劣っていたようには見えず、今回どちらが上がってきても、雪辱を果たす良い機会と言えそうだ。

もう一方のブロックを勝ち上がって決勝に進出するのは、第1シードのタリソン・ソアレスか、あるいは第4シードにして今年のブラジレイロを制した新鋭のホドリゴ・オリヴェイラになるか。あるいは第6シードのクレベル・ソウザという目もあるだろう。

橋本は20年のヨーロピアンの準決勝にてソウザと対戦し、競り勝って前年の雪辱を果たした。さらにソアレスとの初対決となった決勝戦では、三角絞めを完全にロックオンしで場外逃避を誘い、一本勝ちに等しい形で優勝を果たしている。決勝で当たる3人は全て世界トップクラスの超難敵だが、橋本の勝機は決して小さいものではない。

今回、順調に減量が進んでおり調子も良いという橋本。技術面、肉体面、精神面とどれも充実した状態で臨む今回の世界大会は、日本人男子黒帯初の世界制覇という偉業に向け、これまでで最大のチャンスとなる。

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【PJJC2022】橋本知之、ライトフェザー級でも3位獲得。優勝は橋本を下した、メイハン・マキニ

6日(水・現地時間)から10日(日・同)まで、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナにて、パン柔術選手権が行われた。世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこの大会。
Text by Isamu Horiuchi

レビュー第1回は、世界一に最も近い日本人選手、橋本知之が出場したライトフェザー級の模様を、橋本の戦いぶりを中心に紹介したい。


<ライトフェザー級準々決勝/10分1R>
橋本知之(日本)
Def.2-2 アドバンテージ1-0
ペドロ・クレメンチ(ブラジル)

橋本は、初日に行われるはずだった初戦を対戦相手のジュニー・オカシオが欠場したために不戦勝。2日目のクレメンチとの準々決勝が今大会初登場となった。

両者引き込みから、橋本はすぐに左足にベリンボロを仕掛ける。マットに背中を付けるクレメンチに対し、クラブライドからサイドに付きかける橋本。クレメンチが後転して逃げようとしたところで、橋本はファーサイドの腕十字狙いへ。右腕を伸ばされかけたクレメンチはうつ伏せになって耐え、やがて腕を抜くことに成功。が、ここで橋本にアドバンテージが一つ入った。

さらに橋本はベリンボロで追撃を試みるが、ここでブレイク。両者にダブルガードのペナルティが与えられてスタンド再開となった。極め切ることはできなかった橋本だが、強豪相手に見事な先制攻撃で先行してみせた。

再開後、橋本はシッティングからクレメンチの右足にウェイターガードで絡む。さらに下に潜り込んだ橋本は後転してするようにクレメンチを崩し、ズボンの後ろを取って上を狙う、が、クレメンチはズボンをひきさげられながらも立ち上がり、ブレイクに。

再開後、再び左足に絡んだ橋本は、そのまま外回転でクレメンチを崩して上になることに成功。2点を獲得した。が、下になったクレメンチはすぐに強烈なカラードラッグを仕掛けて上を取り返し、ポイント2-2に。クレメンチはそのまま橋本の足を捌いてのパスを狙うが、橋本はインヴァーテッドで対応して戻した。

その後も橋本が下でオープンガードを取る展開が続く。アドバンテージ1つ負けているクレメンチは、橋本のスイープに耐えつつ足を捌こうとするが、高い柔軟性を誇る橋本の足と両腕のフレームを超えられないまま時間が過ぎていった。

終盤、橋本の右足に足関節を仕掛けるクレメンチ。極まらないと見るやさらにその足を流しにかかるが橋本は許さず、時間切れ。

先制攻撃でリードを奪った橋本が、その後も得意のオープンガードで相手にペースを取らせずに快勝。国際大会常連のクレメンチに対して、改めて世界トップレベルの実力を見せつけた。

<ライトフェザー級準決勝/10分1R>
メイハン・マキニ(ブラジル)
Def.0-0 アドバンテージ1-0
橋本知之(日本)

準決勝で橋本を待っていたのは、強力なトップゲームを誇る優勝候補の新鋭メイハン・マキニ。初日にいきなり実現したジエゴ・ヘイスとの大一番において、スイープで先制後、延々と展開された50/50シーソーゲームで最後に上をキープして勝利。二日目の準々決勝はケヴィン・カラスコに上から圧力をかけて背後に回ると、ギチョークで2分足らずで一本勝ち。消耗度は前戦で10分戦った橋本より少なそうだ。

試合開始後両者引き込むが、マキニはすぐに上を選択してアドバンテージ1を獲得。トップのマキニとボトムの橋本、お互いが強い面をぶつけ合う展開となった。

下から左足に絡もうとする橋本だが、マキニは絡んでくる右足を押さえつけて足を抜いて距離を取る。さすがのバランスと捌きだ。シッティングから近づく橋本に対し、マキニはその体を二つ折りにするように両足首を上から押さえつけ、マットと橋本の背中の間に体を入れてのバック狙い。マキニじゃ右手で橋本の帯の背中を取って起き上がりながら、左足をレッグドラッグの形に流して掴む。

強烈に橋本の体を引きつけて浮かせてから、再びバックを狙うマキニ。が、橋本は背中をマットに付けて距離を取って凌いでみせた。

橋本は下からマキニの左足をアキレスグリップで捉え、立ち上がったメイハンのバランスを崩しにかかる。が。マキニはここも強靭なバランスを発揮すると、橋本の両足を押し下げて左にパス狙い。橋本も柔軟な体を利用したインヴァーテッドで防ぐと正対してみせた。ここまでで2分半。お互い譲らずに持ち味を発揮した攻防だが、橋本の方が守勢を余儀なくされているのは否めない。

その後も橋本はシッティングで近づき、またラッソーや内掛けガードからの攻撃を試みるが、マキニはバランスを保って上から圧力をかけ、また絡んでくる橋本の足を捌きつつ左右にパスを仕掛けてゆく。そのたびに橋本もガードワークで対抗。世界最高峰のマキニのトップからの攻撃に対し、ニアパスまで持っていかれることなく見事に防いでみせている橋本だが、アドバン1つリードされている状況で反撃の緒をなかなか掴めないまま時間が過ぎていった。

後半に入り、橋本はウェイターガードから潜り込んで後転するようにマキニのバランスを崩す。が、マキニはすぐに体勢を立て直して足を抜いて離れることに成功した。

残り2分。距離を取り気味のマキニに対し橋本がシッティングで近づいて左足に絡むと、マキニはカウンターで飛び込んでのバック狙い。それはエビで凌いだ橋本だが、またしても崩せずに距離を取られてしまった。

さらに橋本は左足に絡んでベリンボロを狙うが、ここもバランスを保つマキニ。ならばとウェイターで潜り込んでマキニの体勢を崩しかけた橋本だが、マキニは右腕をポストして巧みにポジションキープし、離れることに成功。それでも追いすがる橋本だが、時間切れ。

圧倒的なトップゲームを誇るマキニ相手によく渡り合い、改めて世界トップの実力を示した橋本だが、崩しきることはできず。結局、最初の上選択のアドバンテージを守り抜かれる形での惜敗となった。

試合後の動画で橋本は、初戦のクレメンチ戦で力を使い過ぎたこともあり、30分ほどのインターバルで臨んだこの試合では、当初計画していたように序盤から攻撃姿勢に入ることはできなかったと明かした。さらに国際大会の舞台で世界のトップと肌を合わせることで、6月の世界大会に向けて具体的な肉体的・技術的改善点が見えてきたと語った。

現状では、6月は本来のルースター級での参戦に心が傾きかけている様子の橋本。ライトフェザー級の最高峰でこの堂々たる戦い、そして試合後の冷静かつ前向きな本人の姿勢からすると、日本人男子初の黒帯世界王者誕生の可能性は、十分にあると見て良さそうだ。

さて、橋本に勝利したマキニを決勝で待っていたのは、ルーカス・ピニェーロ。準決勝で優勝候補のイアゴ・ジョルジからテイクダウンでリードを奪うと、最後はうつ伏せになってのフットロックで一本勝ちして決勝進出を果たしている。

マキニはノーギでも活躍するピニェーロのテイクダウン狙いをことごとく切ると、やがて引き込んだピニェーロの足を捌いてパスガードに成功、さらにマウントで7-0とリードを広げた。一度ピニェーロにガードに戻され、終盤残り15秒ほどで無理せずスイープを許して2点を失ったマキニだが、結局そのままガードをキープ。7-2で完勝してパン大会制覇を果たした。

【ライトフェザー級リザルト】
優勝 メイハン・マキニ(ブラジル)
準優勝 ルーカス・ピニェーロ(ブラジル)
3位 橋本知之(日本)、イアゴ・ジョルジ(ブラジル)

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【PJJC2022】ライトヘビー級で出場、橋本知之はオカシオ→クレメンチ→マキニorヘイス→イアゴと対戦?!

【写真】世界に一番近く、独特の世界観を感じさせる橋本(C)PFL

パン柔術選手権が6日(水・現地時間)から、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナでスタートを切り、10日(日・同)まで開催される。

世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこのパン柔術。プレビュー第1回は、橋本知之が出場するライトフェザー級の行方を橋本軸で占いたい。


2019年のヨーロピアンを制し、現在もっとも世界一に近い男子日本人柔術家である橋本知之は、昨年の世界柔術以来の国際大会出場だ。その世界柔術において橋本は、1回戦は袖車で貫禄の一本勝ちを収め、準々決勝では優勝候補の一角であるジョナス・アンドレイジと対戦。

スイープでリードを奪った後、上の体勢を巧みにキープし続けたものの、終了45秒前にまさかの膠着ペナルティを宣告されてしまい逆転を許す。難敵相手に勝利への道を着実に歩んでいたはずが、一転なんとも気の毒な敗退となってしまった。

そんな橋本は、今回本来のルースター級から一階級上のライトフェザー級での出場となる。動画における本人の説明によると、このところウェイトトレーニングに精を出し筋量が増加したことや、減量によるストレスを回避するための判断とのことだ。

以前もノーギや世界の超一流選手と渡り合った経験もあり、全日本柔術選手権でもライトフェザー級で戦ってきた。よって体格や体力の不利さもあまり心配していない様だ。強豪ひしめくこの階級でも、間違いなく優勝候補の1人として全員からマークされる存在だ。

そんな橋本の1回戦の相手は、ユニティ柔術のエドウィン・オカシオ。ジュニーの愛称でWNO等ノーギグラップリングの大会での活躍し、ジオ・マルティネスや今成正和等のビッグネームから勝利を挙げている。シッティングガードから足を絡めてのヒールフックを最も得意とするが、今大会はそれが禁止された道着着用ルール。こちらを本職とする橋本としては経験差を見せつけたいところだ。

準々決勝で待っているのは、1回戦シードのペドロ・ディアズ・クレメンチ。シードのランクこそ高いが、超強豪選手にはなかなか勝てずに世界的大会での上位入賞は果たせていない。2019年のヨーロピアン大会では嶋田裕太と対戦。試合時間の大部分を腰を引いて攻防を避けることに費やしたにもかかわらず、謎裁定を味方にペナルティ差で勝利した。橋本側からすると、強豪が揃う今階級のファイナル8での試合としては戦いやすい相手と言えるかもしれない。

橋本が順当に準決勝進出を決めた場合、そこで対戦する公算が高いのは22歳のメイハン・マキニと、20歳になったばかりのジエゴ・ヘイスの試合の勝者だろう。マキニは昨年の世界大会にて初出場にして優勝候補筆頭と目されたほどの注目株。準決勝のジエゴ・パト・オリヴェイラ戦ではパスの猛攻を凌がれ、紙一重の攻防の末敗退したものの、噂に違わぬ凄まじい実力を見せつけた。

そのマキニを昨年のアブダビ・ワールドプロのブラジル予選決勝で倒しているのが、さらに年下のヘイスだ。ヘイスはその勢いのまま本戦でも勝ち進み、イアゴ・ジョルジらの超強豪を倒して見事優勝に輝いている。マキニとヘイスによる超新星若手対決の勝者の準決勝が、橋本の優勝に向けての最大の山場となりそうだ。

もう一つのブロックの本命は、19年の世界大会にて前代未聞のベスト4独占のクローズアウトを達成したシセロ・コスタ4人衆の一人、イアゴ・ジョルジか。また、昨年の世界大会にて、ノーマークながら組み合わせにも恵まれ決勝進出を果たしたマラチ・エドモンドの成長具合にも注目したい。

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JJ Globo Report WJJC2021 ジエゴ・パト・オリヴェイラ ブログ メイハン・マキニ

【WJJC2021】ポスト・ミヤオ時代、ユニティのジエゴ・パトがライトフェザー級で頂点引き継ぐ

【写真】嶋田、マキニを倒しての堂々のライトフェザー級の頂点に立ったジエゴ・パト(C)SATOSHI NARITA

8日(水・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。
Text by Isamu Horiuchi

道着着用柔術の世界最高峰の大舞台。第8弾は嶋田裕太を破ったジエゴ・パト・オリヴェイラの準決勝と決勝、ライトフェザー級に新時代の幕上げを告げる優勝への道程を振り返りたい。


嶋田との準々決勝で恐るべき実力を見せつけたジエゴ・オリヴェイラは、準決勝ではもう1人の優勝候補と目されていたメイハン・マキニとの大一番に。マキニの凄まじいパス攻撃を耐えて50/50戦に持ち込むと、終盤足の絡みが解けた瞬間にパス狙いから目にも止まらぬ速度のバックテイクへ。マキニに場外逃亡を余儀なくさせて決定的な2ポイントを奪い、事実上の決勝戦を制した。

<ライトフェザー級準々決勝/10分1R>
Def.ジエゴ・パト・オリヴェイラ(ブラジル)
Def.6分06秒by 肩固め
マラカイ・エドモンド(米国)

続く決勝でオリヴェイラを待っていたのは、ほとんどの者にとってノーマークの新鋭、マラカイ・エドモンド。シットアップで上を取ったオリヴェイラは、プレッシャーパスからマウントを奪取し、肩固めを極めて僅か6分少々で圧勝した。オリヴェイラは、ユニティ柔術の先輩であるミヤオ兄弟がマスターに戦いを移した後の、新時代到来を高らかに告げる形で初優勝を遂げた。

【ライトフェザー級リザルド】
優勝:ジエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
準優勝:マラカイ・エドモンド(米国)
3位:メイハン・マキニ(ブラジル)、レネ・ロペス(米国)

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