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【LFA】カリフォルニア州アーバイン、チーム・オーヤマの日々。堀内佑馬─02─「本当にやるしかない」

Yuma【写真】写真はファイターズ・ハウスの同居人であるメキシコ人ファイター達と (C)YUMA HORIUCHI

カリフォルニア州アーバイン、チーム・オーヤマに所属する堀内佑馬インタビュー後編。

夢の一歩を踏み出し、LFAと契約しながら初陣で惜敗。太平洋を挟んだ土地の人々から叱咤激励され、さらに堀内はMMAにのめり込んだ。

そんな矢先のコロナウィルス感染拡大。経済活動の部分的再開、そしてUFCのリスタートの今、堀内が何を思うのかと引き続き尋ねた。

<堀内佑馬インタビューPart.01はコチラから>


──アーバインは富裕層が多くて、街が綺麗な印象もありますし、何と言っても車移動が主ですし、接触の機会は東京よりよほど少ないかと感じました。

「僕らはファイターズ・ハウスですけど、カーラとかプールのついている一軒家に住んでいますしね。こんなことになる以前は、『パーティーするから、おいで』とか言ってもらっていて。凄く良い感じ人なんです」

──それにしても、そのエルパルザにしてもこのような時に戦うのかという声はあるかと思うのですが。

「僕に関して言えば、日本の人達から『帰国した方が良い』と言ってもらえましたね。こっちで練習ができないなら、帰国しようと思っていたはずです。米国に居てコロナウィルスに感染すると、医療費は凄いことになるとかも考えましたし」

──米国は社会保険がなくて、無保険者だと医療費が500万円とか800万円になるとかで。雇用保険もない低所得の人が治療できず感染者数も多くなったという記事を読んだことがあります。それでも佑馬選手はアーバインに残りました。

「日本に戻っていると、自粛で練習できなかったと思います。僕はこっちが主戦場なので、無観客でも試合があったら戦いたいですし。僕自身はロックダウンされる前も、今も余り生活は変わっていないです。午後にジムで練習できなくなったぐらいで。でも、ジムと家の往復という生活は変わっていないので。

自粛することは本当に大切です。それでも練習がちゃんとできているのは……自分のなかでは張りのある生活になっているとは思います」

──UFC以外ではMMA大会はどうなるのか、スケジュールは出ていないプロモーションばかりですね。

「UFC以外の選手は、何もプロモーションからは連絡はきていないと思います。LFAはUFCファイトパスのために6月とか7月に試合がないかなぁって思っているのですが、そこに関しては僕らが何かできるってことではないですしね」

──LFAの活動が再開された際に、この間の経験を活かして勝利に近づいてほしいです。

「あの時は本当に舞い上がってしまっていました。今、祖父が入院していて、元気になって欲しくて。UFC Fight Passだから視てもらえるから、祖父のためにも絶対に勝ちたかったのですが……。

それにLFAはこれまでと経験したことがないぐらい、しっかりとしたプロモーションでした。UFCみたいにライティング設備も整っていて、気合が入りまくったのでこれまで試合で決めたことがないテイクダウンを2度も取れたんです。最後もテイクダウンからパウンドを打って試合終了にできました」

──どちらに転んでもおかしくない判定というか、私は佑馬選手の勝ちも十分にあるかと思いました。

「僕も試合が終わった時は正直、勝ったと思いました。チームメイトも手を挙げろって言ってきたし。でも勝てなくて、『世界は甘くないなぁ』って思い知らされました」

──周囲の反応はいかがでしたか。

「オーヤマ・コーチとアレックス・ペレスには『もっと自分から攻めろ』ときつく言われました。『もっとパンチを出せ』、『相手も疲れていたんだ。いけば倒せていたんだ』と。

前の試合でもリュドヴィク・ショリニアンっていうウクライナ人で今ではカリフォルニアのバンタム級で1位にランクされている選手にも負けていたので……、これで連敗になってしまって。コーチは『勝てるのに負けた。勝てたんだ』と言ってくれました」

──それだけ佑馬選手の力が分かっているので、歯がゆかったのでしょうね。

「ハイ。LFAはやはりUFC Fight Passで中継をしているだけあって、試合を視た人からも僕が勝っていたという連絡が2、30人からあったんです。こんなことは初めてで、ちょっと『俺は勝っていたのか』とか、自分でも思ってしまって。

でも石川英司さんに連絡をすると、『負けていない』と言われている状況を知っていたのか『お前は自分もテイクダウンしたと思っているかもしれないけど、お前もされている。スクランブルだって、劣性のときがあった。ちゃんと戦わないとダメだ』という風に説教してもらえました。

僕には格闘技で3人の師匠がいて、1人が亡くなった宮下トモヤさんで、キックボクシングでは阿佐美(ザウルス)さん、3人目が石川さんなんです。宮下さんが亡くなってから、石川さんにずっとお世話になってきて。その石川さんが言ってくれたことで、僕はもっとMMAがやりたいっていう気持ちになれました」

──石川選手、やりますねぇ。

「LFAもヒジの怪我の医療費とか、全て払ってくれて。『ユーマ、大丈夫か?』ってメールもあり、スケジュールをコーチに送っておくからとか気にかけてくれて。もう本当にやるしかないと思っています。心の底からLFAで勝ちたいと、さらに強く思うようになりました」

──その想い、LFAが活動を再開した折に爆発させてください。

「ハイ、ありがとうございます!」

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【LFA】カリフォルニア州アーバイン、チーム・オーヤマの日々。堀内佑馬─01─「コーチが先生のようで」

Yuma【写真】早々のロックダウンと多くのPCR検査の実施で封じ込めの成功例とされるカリフォルニア。オレンジカウンティの堀内は、どのような日々を送って来たのか(C)YUMA HORIUCHI

カリフォルニア州アーバイン、チーム・オーヤマに所属する堀内佑馬。太平洋を渡り、世界の頂点を目指す彼は1月にLFAデビューも果たした。

しかし、米国は今や新型コロナウィルス感染者が世界最多で100万にを超えるなか、堀内はアーバインに留まりUFCファイターやジムの仲間との生活を続けている。

回復傾向にあるとして、経済活動が限定で再開されつつある米国で、MMAを通して堀内は何を見てきたのか。

NYの嶋田裕太、フロリダの佐藤天、南北・東海岸のファイターに続き、西海岸から堀内の今を尋ねた。


──これまでMMAPLANETではNYの嶋田裕太選手(※現在は帰国)、フロリダの佐藤天選手に現地の様子と練習環境について尋ねてきました。やや間を置き、好転の兆しがあるなかサウス・カリフォルニア、アーバインの方で佑馬選手は過ごしてきましたか。

「最初はアジアから拡散していて、3月の始めは全く深刻ではなかったです。で、1週間後ぐらいに米国でも感染が始まり一気に怖くなりましたね。そうしたら一挙に感染者の数が増えて、すぐにロックダウンまでいきました」

──米国は3月だと6日に佑馬選手が契約しているLFA、そしてInvicta FC、7日にはUFCも開催されていたのが、13日にBellatorが中止になり、LFAも20日大会の延期を発表しました。

「LFAにはチームメイトも出ていますし、延期になった20日のLFAや13日のCombat Americaに出場予定だった選手もいました。僕も出ていたLight Out Xtreme Fightingという大会がイーストLAのコマースという街で20日に開かれる予定だったのですが、計量の日に中止が決まりました。

プロモーターもギリギリまで大会をやろうとしていたみたいです。試合が組まれていたチームメイトは減量でゲッソリしていて……あの頃はみんな、追い込みも終えていた状態で試合がなくなってガッカリしていました。10人以上集まったらダメになったので、大会は無理ですよね」

──練習の方はどうなったのでしょうか。実際、チーム・オーヤマにはUFC所属選手がいて、一連の大会延期&シャッフルと5月9日開催で右往左往した選手もいるかと思います。

「僕はファイターズ・ハウスに寝泊まりしているのですが、ロックダウンになって地元に戻る選手も少なくなかったです。ただ今言われたようにチーム・オーヤマでは、19日にやるって言われていた大会にマルロン・ベラが出場予定でした。彼以外にアレックス・ペレスとカーラ・エスパルザは試合が決まっていて、他にルイス・スモルカがいて、ロックダウン前にはリッキー・シモンやタイソン・ナムもいました。

都市封鎖が行われることになり、シモンやナムはキャンプを切り上げて地元に戻り、その時にオオヤマ・コーチは『UFCは試合があるかもしれないから』ということで、ジムは当然閉めることになりましたが、朝だけプロが10人以下で練習することになったんです」

──佑馬選手は試合の予定は?

「僕は前の試合でヒジにヒビが入って、ちょうど練習に出るようになったぐらいでロックダウンが始まりました。でも、カーラは試合が決まっていて、相手のミッシェレ・ウォーターソンが僕のような動きをするから、仮想ウォーターソンで練習パートナーを務めてきました。

フランクやチート(ベラ)とか、試合が決まっている選手も家族がいて、誰かが感染していたら大変なことになるし。チートは奥さんと話して、練習に来なくなったんですけど、家のガレージで練習していたようです」

──そこは個人の判断だと。

「試合のない選手は自由にして良いとコーチが皆に伝えて、そして上手く人数コントロールができているのか、ジムに10人以上が集まることも1度もないです。それでもUFCファイターは試合が延期されても減量しながら、オーヤマ・コーチがしっかりと追い込んでいる。この状況であれだけやるUFCファイターの選手を見て、改めて凄いなって感じました。

カーラなんて皆を集めて、『絶対に不用心な行動はとらないで。誰かが感染すると、全員に影響を及ぼすことになるから』って話したぐらいで。だから午後はホントに家から出ないです。練習も家でやって。それもあってか、現時点までに僕の周囲には感染した人間は1人もいないです。

逆に日本では友達の知り合いが感染したりしていて、練習ができないなら帰国も考えたのですが、こっちで練習が今はデキている状態で良かった……といって良いのか分からないですが、残って正解だったかという気がします。オーヤマ・コーチが本当に先生のようで」

──厳しく、思い遣りがあり、そしてスマートなオーヤマ・コーチらしい統率力ですね。

「本当にコーチは凄いです。いつものように三部練習ではないから、みな時間はあるんです。だから毎日、練習前に色々な試合映像を見てコーチが解説してくれるんです」

──MMA座学ですね。素晴らしい。

「PRIDEとか昔のムエタイとかジャンルを問わず、格闘技の映像を見ていますね。最初にコーチから『今日はこのコンボを視て、勉強しよう』という説明もあり、本当に学校の授業みたいです。

で、映像のチェックが終わると関係していたドリル練習を思い切りやる。コーチは本当に凄い人だと尊敬しています」

──日常生活は何か変わりましたか。

「僕自身はジムとファイターズ・ハウスの往復であまり変わっていないです。あとは食べ物とか医療品を買うぐらいで。スーパーも最初だけでした、品不足になっていたのは。でも1週間後には普通に買い物できるようになりました。ただ、外は本当に誰も歩いていないです」

<この項、続く>