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【RIZIN LANDMARK09】柴田MONKEY有哉、山本アーセン戦へ「アーセン君に勝ったら海外の強い選手と」

【写真】PRIDEへの憧れが、強い選手が海外からやっていること──という柴田(C)MMAPLANET

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09で、柴田MONKEY有哉が山本アーセンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2019年、神龍誠とDEEPフライ級王座を争う試合前、柴田は「負けたら終わり」と発言していた。それは引退という意味ではなく、「今のやり方じゃダメなんやな」ということだったと過去のインタビューで発言している。そして環境の変化と怪我もありつつ、柴田は2022年12月に杉山廣平に勝利して以来の試合を、初出場となるRIZINで迎えることとなった。なぜ柴田はMMAを続けるのか。そこにMMAがあるから――だけではない。そこに、MMAを始めた頃から叶えたかった夢があるから。


――柴田選手にとっては1年3カ月振りの試合となります。コロナ禍もありましたが、ここ数年は試合のペースも以前と比べて落ちているのではないでしょうか。

「そうですね。今はそれほど試合をしたいわけでもなくて」

――というと?

「昔は自分が上に行くことしか考えていなかったから、怪我がない限りオファーは断らない。とにかく試合をして勝ち、できるだけ早く上に行きたいという感じでした。でも今は試合が終わったら1回オフに切り替えないと、気持ちの面が続かなくなってはきています。年齢的なこともあるでしょうし、ジムの運営もあるので、少し間隔を空けたほうが試合に対する気持ちをつくりやすいんですよ。

KIZUNAはJr.Borderの常連チームだ

だからそんなに試合を詰めなくても良い。

間隔を空けられるなら年2回でも良いかな、と思っていますね」

――結果、今回のRIZIN神戸大会出場は、柴田選手にとってはタイミングが良かったのですか。

「あくまで結果として、タイミングは良かったのかなと思います。というのも去年、子供が生まれたんですよ」

――おぉ、それはおめでとうございます。

「ありがとうございます。杉山選手との試合後、会場でプロモーターさんには『子供が生まれるので、しばらく試合はできないです』と伝えていました。嫁さんのサポートをしたかったので。その時点で休むのが1年か2年かは決まっていなかったけど、『そろそろ試合ができるかな……』と考えていた時にオファーが来たんです」

――それがRIZINからのオファーだったのですか。

「いえ、まずDEEPのオファーがありました。でも僕が気持ちをつくることができる相手ではなかったというか。いつも自分は『僕が負けると思われる相手と試合をさせてほしい』とお願いしているんですよ」

――しかし対戦オファーがあった相手は、そうではなかった。確かに柴田選手は2011年のプロデビューで、もう誰が相手でも戦うというキャリアやポジションでないとは思います。同時に普段DEEPで視ている選手であれば、どういった試合になるかも予想がつくかもしれません。勝ち負けはともかく。

「そうですね。普段から『自分と戦ったら、どんな試合展開になるか』と考えながら試合を視ているわけで。もちろん試合はやってみないと分からないです。自分も今まで、どれだけ勝つと意気込んでいても負けたことはありますし。

そんな時にRIZIN神戸大会があると聞いて、佐伯(繁DEEP代表)さんに『RIZINに出たい』という希望を伝えました。そうしたらタイミング良く、山本アーセン君との試合が決まって」

――柴田選手は対戦カード発表の記者会見で、PRIDEへの憧れを口にしていました。現在であれば柴田選手にとって、それだけRIZINで試合をすることの価値は高かったということですか。

「まず今年は意味のある試合をしたいと考えていました。RIZINに出ると注目度は一気に上がるじゃないですか。それとDEEPでは組まれないような相手とも試合ができる。そう考えた時に、RIZINに出ることは自分にとってはプラスしかない――と。周りの人も……簡単に言えば、RIZINに出ることが発表されてから、知り合いが増えました(笑)」

――知り合い、ですか。それは会ったことのない親戚が増えたのではなく(笑)。

「アハハハ。有名になると、よくあるやつですね。そこまでではないけど、『あれ? 誰やったかなぁ……』みたいなことは増えて」

――特に山本アーセン選手が相手となれば、より注目度は高まるでしょう。

「そうですね。オイシイ相手やなぁって思います。これは決して、相手のことをナメているわけじゃなくて。プロモーター側からすれば『柴田って、どれだけやれるんや』って測るために良いカードだったんでしょうね。別にアーセン君のほうが注目されているからって、それは気にしていないです。

僕はアーセン君のことを尊敬しているんですよ。レスリングで世界を獲っているじゃないですか。彼が世界カデット選手権で優勝した時のことをドキュメンタリーで視て、『凄いな!』と思いました。そのレスリングで世界を獲った選手と自分が戦ったら、どんな試合になるんやろう? 単純にワクワクしています。RIZINならではのカードで」

――ファイターとしても、ジム経営者としても認知度を高めていく必要はあると思います。柴田選手の中では、いつ現役生活を終わりにするのか決めているのですか。

「何年後かって決めているわけではないけど、もう長く続けられないとは思います。年齢や怪我のことだけじゃなく、ジムの若い選手をサポートしたい。ウチのジムで強くなりたいと言ってくれている若い選手のために、もっともっと良い環境をつくらなアカンと考えています」

――なるほど。ではMMAファイターとしてのアーセン選手の印象を教えてください。

「パンチが強くなっているのと、真っ直ぐな気持ちが試合に出るファイターですよね。RIZINファンの方や、世間の味方としてはアーセン君が勝つと思っているかもしれない。でも僕は、もちろん自分が勝つと思っています」

――ご自身のキャリアの中で、今回の試合はどのような位置づけになると思いますか。

「今の最終的な目標は、RIZINで強い外国人選手と戦うことです。僕の夢は、PRIDEに出ることでした。最初にPRIDEを視たのは、ヒョードル×ミノタウロの2戦目で。あの試合を視て『自分もコレをやりたい』と思ったんですよ」

――強い外国人選手というと……。

「海外のベルトを持っている選手や、元UFCファイターとかになりますね。特にUFCで勝っている選手なら、誰もが強いと思ってくれると思うので。以前、海外でUFCやONEに出ているファイターと練習したことがあるんですよ。僕としては、その選手たちが練習している環境があれば、UFCファイターとも戦えるなって感じました。今は自分自身で、そういう練習環境をつくっているつもりです」

――柴田選手がデビューした2011年には、すでにPRIDEは活動を休止していました。以降は日本の格闘技界も厳しい時代が続いていました。

「確かにファイターとして目指す場所は、なくなっていたかもしれないです。でもそれ以上に、PRIDEに出ていたファイターのように強くなりたいという気持ちが一番で。プロデビューして、勝って、ベルトを巻きたい――デビューした頃ならUFCが一番だったかもしれないですよ。でも何か違うな、って」

――UFCの何が違ったのでしょうか。

「もちろん一番の舞台やけど、別に海外で試合したいと思っていたわけじゃないんです。当時はUFCもフライ級がなかったですし。当時は何回か、PRIDEが復活するという噂もあったじゃないですか。自分の中では『PRIDEが復活して軽量級もやってくれるなら、出られるようにしておこう』と考えていました」

――柴田選手にとっては、かつてのPRIDEが今のRIZINということなのですか。

「正直、今のRIZINも当時のPRIDEと同じようには考えていないです。それが一昨年の大晦日にRIZINとベラトールの対抗戦があったじゃないですか。僕はPPVで視ていて、PRIDEのテーマが使われているし、対世界や団体対抗戦の雰囲気を感じました。自分の中に『ここでやりたい。ここで海外の強い選手と戦いたい』という気持ちが沸き上がってきて。

あの時は、PRIDEのテーマを聴いただけで鳥肌が立ちました。今回アーセン君に勝ったら、『海外から強い選手を呼んでください!』と言ってもエエんちゃうかな、と思っています。次の試合は自分の夢を叶えるために――僕が発言権を得るための戦いです」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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【RIZIN LANDMARK09】佐藤将光とバンタム級トップ対決。井上直樹「心理戦みたいな試合になる」

【写真】方々で言わるのだろうが、「もう26歳」。取りこぼせない(C)TAKUMI NAKAMURA

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09 in KOBEで井上直樹が、佐藤将光と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

昨年10月に太田忍との対戦を予定していたが井上だが、右顎下腺唾石症によるドクターストップで欠場。井上の代打としてRIZINに初参戦し、太田から勝利を収めたのが今回対戦する佐藤だった。

大晦日に朝倉海が新王者となったRIZINバンタム級の今後を占う一戦、そしてMMAとしてハイレベルな技術戦・駆け引きがみられるであろう戦い。井上自身も「佐藤選手がどんな感じで来るのか楽しみ。あっちがこう来たらこっちはこうしようとか、それを考えるのも面白い」と語った。


──まず昨年10月RIZIN LANDMARK 6 in NAGOYAの太田忍戦を欠場した理由=右顎下腺唾石症(みぎがくかせんだせきしょう)ですが、これは具体的にどういう状況だったのですか。

「喉のところに顎下腺というものがあって、そこから唾液が出てくるんですね。で、その顎下腺から唾液の通り道がカルシウムでできた唾石で詰まって、それで唾液が通らなくなってしまうんです。そうなると唾液が顎下腺に溜まって、ドンドン顎下腺が腫れ上がって食事が出来なくなるんです」

――それは米国で練習しているときに発症したのですか。

「もともとは高校生の頃から似たようなことがあって、当時は特に何も気にしていなくて、すぐに腫れも引くから、まあ大丈夫だなと思っていたんですよ。そうしたら米国で練習している時にまた発症して、痛みそのものもひどかったですし、我慢できないほど悪化していたので手術することを決断しました」

――予兆があったとは言え、はじめは何が起きているか分からないですよね。

「練習中はギリギリ大丈夫だったんですよ。でも食事しようとすると唾液が出て、顎下腺が腫れて激痛が走るんです。まともに食事ができなかったので、手術しなければどうにもならない状況でした」

――手術後はすぐに練習を再開できたのですか。

「ちょうど名古屋大会の日に手術をして、手術の傷が塞がれば動いていいと言われていたので、11月に入ってから練習は再開しました。間に合えば大晦日に復帰できたらいいなとは思っていたのですが、11月に練習を再開して1カ月ちょっとの練習時間で臨めるかと言われたら準備期間が短かったですし、急いで練習して怪我してしまったら、また時間を台無しにしてしまう。それだったらじっくり時間をかけて年明けの大会で復帰しようと思いました」

――今回は米国に行かず、日本で調整を続けていますが、そう選択した理由も聞かせてもらえますか。

「試合前に米国に行くと何かアクシデントが起こるんですよ(苦笑)。試合がない時期に練習に行くのはいいと思うのですが、試合のために行くとなると、切羽詰まるじゃないですけど、やらなきゃやらなきゃ…って気持ちが強くなる一方、日本にいる時ほど体のケアやコンディショニングが上手くできない。そう考えると試合のための練習と調整は日本でやって、試合がないときの練習を米国でやるというのが一番いいんじゃないかと思っています」

――試合で勝つことがゴールなので、そこのバランスは重要ですね。

「実際に試合は日本でやるわけじゃないですか。米国で練習していると時差ボケもありますし、慣れ親しんだ日本のチームで試合を迎えるのが一番だと思います」

──太田戦の前は米国でどのような練習をしていたのですか。

「ちょうどキルクリフFCに練習の拠点を移して、練習相手になる選手がたくさんいるというのが大きかったですね。セラ・ロンゴ・ファイトチームもアルジャメイン(・スターリング)やマラブ(・デヴァリシビリ)がいて、いい練習はできていたんですけど、彼らはちょいちょいベガスに行っていて、常にジムにいるわけじゃなかったんですよ。そうなった時にジムに練習相手になる選手が少なくて。それもあって強い選手が常駐しているジムで練習したいと思って、キルクリフFCを選びました」

──そこで今回は日本での練習ということで、どのようなことを意識して調整を続けていますか。

「米国でやったことをもちろん意識して、日本ではコーチと綿密に連携できるんで、コーチとこうしよう・ああしようという話し合いをしながら、融通も利くというか、自分の思い通りにできています」

──日本でのコーチ役は誰になるのですか。

「SONIC SQUADの安田(けん)さんが一番見てくれていて、そこに水垣(偉弥)さんと永末(“ニック”貴之)さんがいてって感じですね」

──安田さんや水垣さんとは練習を通じて意見交換しているようなイメージですか。

「そうですね。それだけに限らず、水垣さんはUFCの解説もやっているので『この試合のこれとかいいんじゃない?』というのを教えてくれて、ドンドン技術がアップデートされている感じはしますね」

──僕もMMAPLANETで水垣さんの月一連載を担当していますが、知識も豊富で言語化もうまいですよね。

「はい。ただ昔よりはだいぶ動けなくなっていて『スパーリングはやりたくない!』と言っているので、今は頭を動かす方にシフトしているのだと思います(笑)」

──頭脳派にならざるをえないと(笑)。さて対戦相手の佐藤選手の印象は?

「結構ベテランですよね。修斗でもONEでもタイトルマッチやるぐらいの実力があって。海外の選手に勝ってきたし、日本に帰ってきても太田選手を完封できるぐらいの選手なんで、ベテランで試合も上手い印象があります」

──佐藤選手はパンクラス・修斗・ONE、井上選手はDEEP・UFC・RIZINで戦っていたので、同じ階級でありながら佐藤選手がRIZINに参戦するまで接点がなかった選手ですね。

「そうですね。僕がRIZINに出るようになって、ONEの試合を見て『こんな選手がいるんだな』と思うようになって。戦績をさかのぼると強い選手にしっかり勝っているので、実力がある選手だと思って見ていました」

──佐藤選手はMMA IQが高く、試合をトータル的にコントロールして勝つタイプだと思うのですが、あのファイトスタイルをどう見ていますか。

「その通り、すごくスマートな戦い方をしているなと思います」

──ちなみに佐藤選手に取材したとき「井上選手は穴がない。必死に穴を探している」と言っていたのですが。

「実際はすぐ穴を見つけていて、インタビュー用にそう言っているだけなんじゃないですか(笑)」

――そこも含めて佐藤選手のスマートな作戦だと(笑)。

「でも本当に技術のある選手なんで、探り合いじゃないですけど心理戦みたいな試合になるんじゃないですかね、佐藤選手は全局面できるんで、その分、どこで攻めるか、どこで守るか。そういう展開が主体になっていくと思います」

――お互いどのようなカードを切って行くのか。個人的にもそこは楽しみにしています。

「僕も佐藤選手がどんな感じで来るのか楽しみですね。あっちがこう来たらこっちはこうしようとか、それを考えるのも面白いですし」

――ほかの試合とは一味違うところを見せたいですか。

「そうですね。この試合はバンタム級トップの試合だし、一番技術がある展開、僕らのスキルを見てほしいなというのはありますね。自分も意外と年取っちゃいましたから」

──いやいやいや、26歳は老け込む年齢ではないですよ(笑)。

「でも本当にあっという間でしたよ。下の選手が上がってきて、彼らに色々教えたりしていると、自分も年取ったなと思うし、日本人みんなで強くなりたいですよね」

──日本のMMAのレベルを上げる。井上選手がそういう考えを持っているのが意外でした。

「周りを気にせずノホホンとやっている感じでした(笑)?」

──いえいえ、自分の強さを追求するタイプというか、職人気質というイメージがあったので、井上選手の口から「日本人みんなで強くなりたい」という言葉が出たのは響きました。

「もちろん自分が強くなるのが一番なんですけどね。僕も色んなことを経験して取り入れなきゃいけないし、MMAの技術はドンドン進化していくものなので、それに追いついていくために練習・試合していきたいなとは思っています」

──RIZINのバンタム級で言えば大晦日に朝倉海選手がフアン・アルチュレタに勝って新王者になりました。そこも踏まえてのこれからの展望を聞かせてください。

「次勝てばタイトルマッチをやるぐらいにはなるんじゃないかって思っているので、周りの声があればそれも実現できたらいいなと思っていますね。今年中にはタイトルを獲れるぐらいの位置で戦いたいと思います」

――朝倉✖アルチュレタはアルチュレタの計量オーバーもあり変則的な試合形式でしたが、あの試合はどうご覧になりましたか。

「あの勝ち方はすごいと思うし、しっかり会場を盛り上げてましたよね。あの結果だけ見たら朝倉選手がすごく抜きん出ているなとは感じます。ただ僕は朝倉選手とやってないんで、やってみたいです」

──そういう意味でも今回の試合は勝てば前進するし、負ければ後退というシビアな試合です。RIZINにランキングはないですが、事実上のランキング戦だと思います。

「キャリア的にも一戦一戦大事にしていかなきゃいけなくなっているので、今はこの試合に集中して勝たなければいけないと思います」

──神戸大会のなかでもこの試合を楽しみにしているファンは多いと思います。最後にファンの皆さんにメッセージをいただけますか。

「今回そんなに大きいことは言えないですが、しっかり勝つこと、僕がやっている試合を見せることがファンにとって一番の恩返しになると思っています。そのうえで佐藤選手と技術のやり取りを見てもらい、自分が勝つところを見せます」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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【RIZIN LANDMARK09】高橋遼伍戦へ、久保優太の真実「王者のままで引退できるチャンスはあった。でも」

【写真】木下カラテに判定勝ちをしている。ここが一番の肝(C)MMAPLANET

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09 in KOBEで久保優太が、高橋遼伍と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

2021年9月にMMAデビューを果たし、4戦3勝1敗の成績を残している久保。MMAではキャラクター先行型の印象が強いキャリアを積んできたが、今大会では元修斗環太平洋フェザー級王者にして、ONE Championshipにも出場した高橋という実力者と拳を交える。

「MMAにチャレンジしないままに引退することはできなかった」という久保の“格闘技ジャンキー”な一面を今回のインタビューを通してお伝えしたい。


――昨年大晦日の安保瑠輝也戦で一本勝ちしたあと、約3カ月というスパンで今回の神戸大会出場が決まりました。試合はすぐにやりたいという考えだったのですか。

「そうですね。怪我もなくて自分の感覚的にはすぐやりたかったのですが、2、3月大会は枠がいっぱいだと聞いていたので、5月ぐらいになるのかなとか、もしチャンスがあるなら出たいな、くらいに思っていたんですね。そうしたら3月大会のオファーがあって、相手もかなり強敵。ONE Championshipでも活躍していた高橋遼伍選手ということで、MMAでは間違いなく格上の選手で、すごいありがたいというか。これを自分のMMAキャリアのステップアップとして受け入れていかないとなと思って速攻でOKしました」

――久保選手がいよいよ本格的にMMAの実績と実力がある選手と戦うことになったと思います。キャリア的にもこういった相手と戦いたいという思いはありましたか。

「僕は今36歳なので、格闘家のピークというか、めちゃめちゃ動ける期間はあと2年ぐらい。そこが勝負だと思うんですよね。だからその期間に、自分の中では勝負をかけたい。チンタラやったり、のらりくらりやるより、確実にステップアップを望める相手とやりたい。僕はただ何となく立ち技からMMAに転向したわけではないので、MMAというものに一から挑戦して、自分が立ち技で築いてきたキャリアをある意味すべてベットして、MMAをやっているつもりです。例えば一番いい終わり方で言ったら、K-1で言えば魔裟斗さんは世界チャンピオンで強いまま引退されたじゃないですか」

――負ける姿を見せず、一番強い状態のまま引退されたと思います。

「もしかしたら僕もそれができるチャンスはいっぱいあったと思うんですよ。K-1のタイトルを防衛し続けていたタイミングで辞めたりとか。でも……僕は格闘技がすごい好きで、その終わり方だと自分自身に燃えるものがないっていうんですかね。僕は格闘技中毒になってしまってるんです。だからMMAで挑戦する=頂点に立ちたいという思いがあって、そこを目指すには時間がないというわけではないですが、自分のピーク・動けるうちにできる、そこに挑戦したいという思いがありますね」

――失礼ながら久保選手はMMAデビュー戦で太田忍選手に敗れて、シバター戦の印象が強いのですが、奥田啓介選手、木下カラテ選手、そして安保選手に勝って3連勝中です。MMAの試合で勝つことで、自分のMMAの形は見えてきているのですか。

「確かにデビュー戦の太田戦だったり、シバターさんとの試合だったり、別に舐めているわけはなかったのですが、もうちょっとしっかりと準備期間を経て、やらないといけなかったなっていうことをめちゃめちゃ痛感しました。今思うと恥ずかしいのですが、自分のパンチや蹴りが当たったら勝てるだろうみたいな。それでいざMMAをやってみて、そんな甘い世界じゃなかったということを痛感したという(苦笑)。

そこからは自分の中でコツコツとやってきて、確かに相手のレベルどうこうはありますけど、結果として3連勝することができました。だからなおさら今回ホンモノの相手とやれることは、自分の力や真価が問われるし、自分の実力を見せられるチャンスだと思っています」

――その重要な一戦の相手、高橋選手にはどのような印象を持っていますか。

「試合を見れば見るほど強いなっていうのと、カーフキックをはじめストライカーのイメージですが、ONEでの試合では四つの展開や相手のテイクダウンにもしっかり対応していて、すごく上手くて何でもできるんだろうなと思います。そうじゃなかったら海外で試合はできないと思いますし、自分の中で高橋選手は何でもできる日本トップクラスの選手だと思います」

――高橋選手は一発一発を強く打つ・組みも意識したMMA用のストライキングという印象です。彼の打撃についてはどう見ていますか。

「確かにボクシンググローブとMMAグローブの違いやテイクダウンの有無で、使える打撃・使えない打撃が大きく変わってくると思うんですけど、そこで僕が高橋選手を乗り越えないと、RIZINでチャンピオンになるという宣言が絵空事というか、全然実現できないことになってしまう。自分自身が立てている目標を実現するためには、ここを攻略しないと、上にはいけないと思っていますね。もちろん高橋選手は日本トップクラスの選手だと思いますけど、ここを攻略することによってRIZINのチャンピオンへの階段を登ることができるんじゃないのかなと思います」

――言える範囲で構わないですが、彼の打撃をどう攻略するのかイメージは出来上がっていますか。

「正直僕が高橋選手を寝技でどうこうは通用しないというか、そういうレベルの差はあると思います。もちろん実際に向かい合ってどう戦うかを考えると思いますが、高橋選手がどういう選択をするか。過去の試合映像を見ても高橋選手からテイクダウンにいくところはほとんどなかったですが、僕相手には絶対にテイクダウンを狙ってくると思っているので。打撃の時間が長くなるにしても、単純な立ち技だけになることは絶対にないと踏んでいます。そのうえで、僕は元K-1チャンピオンとしてRIZINの舞台に来て、打撃の部分では圧倒的に差を見せつけるというか。

今のところ『さすが久保優太の打撃だな!』というところは見せられていないと思うし、K-1時代が100としたら、MMAでは20も出せてないと思うんです。MMAでもいかにK-1時代のような100に近づけられるか。そこが自分の課題であり、今回それが出せれば、高橋選手は相当強敵でめちゃめちゃ格上ですけど、絶対負けないとは思っていますね」

――そこが立ち技からMMAに転向する選手は誰もがぶつかる壁だと思うのですが、久保選手は何を意識してMMAにおける打撃を100に近づけているのですか。

「これはもうMMAの練習と試合を続けて、MMAで使える打撃・使えない打撃を取捨選択するというか。それそのものが変わってくる部分もあるのですが、2年ちょっとMMAをやって来て、その取捨選択が積み上がってきてはいます。練習では100に近づいたものを出せているので、あとは試合で出せるかどうかというところが一番の課題でありポイントですね」

――逆に言えば相手が高橋選手レベルになると、100に近づいた打撃を出せなければ勝てない相手でもありますよね。

「そうですね。なので、そこが自分の課題というか、本当に自分がK-1時代に出せていた打撃を発揮しなきゃいけないし、それが出来たら絶対どんな相手にも正直負けるわけではないと思っているので。繰り返しですけど、なかなかそれが出せないことがMMAの難しさなんですけどね」

――決して立ち技のスキルそのものが使えないわけではないと。

「そこは感じますね。MMAでもK-1でやってきた人間は打撃において負けちゃいけない、そういった自負は僕の中でもあるんですよ。だから、それを発揮できていない自分に対する悔しさもあります。と同時に、それを発揮できたら自分がいかに格闘技の天才であるかをアピールできるというか。世間に評価してもらえると思うので、そこは頑張りたいなと思っていますね」

――例えば去年の大晦日は立ち技から多くの選手がMMAに挑戦しました。久保選手はこのことをどう感じていますか。

「今は世界の格闘技のマーケットがどうしてもMMAになっていますし、なおかつ日本のマーケットはRIZINが今一番大きくなっているじゃないですか。そのRIZINはMMAが主の団体なので、マーケットの中心がMMAになるし、格闘家である以上、それに合わせていくことは、自然な流れだと思います。

世界的に見てもGLORYで活躍したアレックス・ペレイラやイスラエル・アデサニャがMMAに転向して、UFCチャンピオンになっていますからね。武尊選手のように、自分が得意な立ち技・キックボクシングでそういう世界を創っていくこと、そこで頂点を極めることは本当にかっこいいし、それは素晴らしいことだと思います。でも僕は格闘家である以上、どうしても自分が最強というか、自分が強いという承認欲求があって。

一時はK-1を離れてボクシングに行こうとも思ったのですが、やっぱり何でもありの最強を決めるMMAに挑戦するという選択をしました。あとはK-1ファイターやキックボクサーが寝たら弱いと思われていることに、自分もコンプレックスがあるというか。やっぱりそれを払拭したいんですよね」

――久保選手はボクシングの試合こそやらなかったですが、ずっとボクシングジムで練習もして、ボクシングのトレーナーの指導も受けていて。ボクシングという競技には触れてきたわけじゃないですか。

「そうですね。かなり色んなジムに行かせてもらいましたし、結構ボクシングジムからスカウトも受けていました」

――だからテコンドーから始まって、ムエタイ、キックボクシング、ボクシングと久保選手ほど立ち技競技をやりこんで、MMAに転向した選手はいないと思うんです。

「グローブ空手にも白帯で出たことがあるので空手経験者でもあります(笑)」

――なるほど(笑)。そんな久保選手が立ち技の強さを証明するためにMMAにチャレンジすることは格闘技のロマンだし、久保選手は本当に格闘技が好きなんだなと思います。

「うれしいですね。本当に格闘技ジャンキーだと思うので」

――ずばりMMAにチャレンジしないまま引退することはできなかったのですか。

「そうですね。太田選手にデビュー戦で負けてから余計に悔しくなって。試合でテイクダウンされると練習と全く違うんですよ。言うても練習では試合と同じことはやらないし、多少はみんな加減もするじゃないですか。でも試合になったらそういう加減はなくて、僕、太田選手に投げられたときにヒザを骨折したんです。それで本当にMMAは厳しい世界だなと思って、それと同時にこの道を極めたいと思いました」

――僕は旧K-1時代から久保選手を取材してきて、これだけずっと純粋に格闘技が好きな選手はいないと思っていて。でもRIZIN参戦以降は試合以外のキャラクターの部分がクローズアップされることが多かったので、久保優太はそうじゃないということを今回のインタビューで伝えたかったです。

「ありがとうございます。どうしても僕はネタ枠というか。特にシバターさんとの件で、自分自身にも原因があると思うんですけど、エンタメ性に走ってしまったというか。僕自身、目立ちたいという承認欲求もあったりして。あの件で僕が元K-1チャンピオンで3回防衛したとか、GLORYでチャンピオンになったこととか、そういう格闘技の実績が見ている人たちの記憶から忘れ去られていると思うんです。

だからここで格闘家・久保優太としての強さや久保は格闘技の天才なんだってところを見せたいです。そのために練習も必死に頑張って、なおかつ格上の選手に挑戦させていただくわけですから」

――久保選手にそういう思いがなかったら、ここで高橋遼伍というファイターとはやらないですよね。周りからは止められなかったですか。

「めちゃくちゃ止められました。まだ早いんじゃないかって。ただ、僕はチンタラMMAをやるつもりはないんで。ここで評価を上げたいし、そうすることでタイトル戦線に近づくことができると思ったので、今回はやらせてくださいという想いを伝えました」

――これまで何度も大一番を経験している久保選手だと思いますが、MMAにおける大一番になりますね。

「格闘技に詳しい人からすると『絶対久保は勝てない』や『総合力が違いすぎるだろ』って、そういう予想や評価だと思うんです。だからこそ純粋に挑戦できるというか。ある種すっきりしているわけではないし、気持ちいいと言ったらあれなんすけど、生き生きとしていると言ったらいいんですかね。格闘家として生きてるなって感じがしています。格闘家冥利に尽きるというか。やってやるぜ、最高だぜみたいな」

――今日のインタビューで久保選手の試合がより楽しみになりました。

「負けられないプレッシャーを感じていると、それこそK-1時代の防衛戦の僕はずっとディフェンシブな戦いだったじゃないですか。でも若い頃の僕はガンガン前にいけていたし、今回はそういう自分や格闘家・久保優太の生きがいを取り戻せるんじゃないかと。そういう予感がしています。だから僕自身、次の試合は楽しみだし、みなさんも楽しみにしていてください」



■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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2024年が始まり、新たな1年も1/6が過ぎた。その年末年始、MMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、始まったばかりの1年について話してもらっていた。
Text by Manabu Takashima

J-MMA2023-2024、第二十一弾=最終回は扇久保博正に1月6日に訊いた話をお届けしたい。

元UFCファイターを下した勝利の意味、再びフライ級で戦っていく──これから。2024年の開戦前夜のRIZINフライ級戦線のキーパーソンの想いとは。


──扇久保選手、ジョン・ドッドソン戦に関して……MMAPLANETでは事前取材を行わなかったこと……すみませんでした。

「全然良いんですけどね(笑)。ドッドソンとやるのに、MMAPLANETがインタビューしてくれねぇんだっていうのはありました(笑)。もう世も末だな、腐ってんなって。アハハハハ」

──申し訳ないの一言です。これはMMAPLANETという媒体の既定路線ではなく、自分自身のなかで『ここで負けたのだから、インタビューは試合で結果を残してもらってからにしよう』という想いになることがあるのは事実なんです。

「あぁ、3連敗中だったから。僕が記者だったら、取り扱いづらいかもしれないですね。ああ、そういう風に見ていたってことですか、僕の試合を。誰かに勝ってから、ドッドソンじゃなかったからなぁ……」

──それは記者云々ではないと思います。今のPVを稼げばという状況において、勝ち負けや意義というものが重視されているとは自分は思っていないです。朝倉未来選手や平本蓮選手が3連敗していても取材はあるでしょうし。

「あぁ、確かに……」

──MMAはあくまでもスポーツで、勝ったら次のチャンスが掴める。よくあるのが国内で負けて、人間関係で海外の試合に出たり、あるいは国内でもRIZINという大舞台に出られることもある。そういう時に……結果を残してからだろう、と。

「そういうことですか。まぁ、全然構わないんですけどね」

──いえいえ……もう、それが計量を見た時に「なぜ、扇久保博正の個別取材をしなかったんだ。何をやっているんだ」と凄く自責の念にかられてしまって。ここまで積んできたことをぶつける試合なのに──と。

「アハハハハハ。39歳と36歳の試合だったからじゃないのかとか、考えて。年齢は関係ないですか?」

──これは断言させてください、全く関係ないです。話のフックとして年齢には言及しますが、選手を年齢で判断するというのはないです。逆に40歳を越えても頑張っているとか、そういう見方は失礼でしょうし。戦って大儲けにならず情熱の表れとして戦う選手は別ですが現役……、トップを目指す選手にそれはないです。

「なるほど、そういうことですね。いや。もう全然、良いんです。ホントに全然、全然」

──いや、怒られる方が楽です。

「まぁMMAPLANETも来てくれない、ゴン格も来てくれないのかっていうのありました(笑)」

──そこがまた大晦日で。扇久保✖ドッドソンが埋もれる。自分は拾うべき立場だというのは十分に理解しているのですが、LANDMARKだったら埋もれることは絶対にないカードですよね。

「なるほど。いや、そういう部分でも難しさは感じていました。俺とドッドソンの試合でも、取材がないのかっていうのは。まぁ、良いんですけど──勝ったんで(笑)」

──そこもまた、格闘技かと。「勝ったから良い」という感情になるのが。

「だって負けてインタビューだって言われても、断っていたかもしれないですよ(笑)」

──勝手ながらTUF24に落とし前をつけた勝利になったかという感覚になりました。

「そうッスね。俺もソレはずっとありました。その想いが今回のドッドソンとの試合では凄くありましたし。この試合で勝つか、負けるかで天と地ほど違うという気持ちでした。井上直樹戦もそうです。UFCで戦っている選手との試合は、そこは絶対にあります。自分のなかで引っ掛かっているモノは、ある──『あの時、なんで行けなかったのかな』というのは。それは常にあります。

だから他の試合もそうですけど、そういう選手と戦う時は絶対に勝つという気持ちは一層強くなります」

──そのドッドソン、組みというかテイクダウン以降は少し淡泊に感じました。

「そうですね。コディ・ギブソンとやって以降、ほとんど寝技の展開もないような感じでしたしね。あまり練習もしていないんだろうと思っていたので、寝技になったら行けるなっていうのは試合前からありました。ただ、あそこまで背中をべったりつけてブリッジだけ狙っているというのはビックリしました」

──スタンドでの勢いと対照的でしたね。

「ハイ。と同時に昔から寝技になると、攻めてこない選手だったので。ある意味、狙い通り過ぎたような感じでした」

──それ以前のテイクダウンに関しては、あそこまで決まるという読みだったのでしょうか。

「ワキを差した時に、イケると思いました。DJとやった時とか、イメージ的にはもっと腰が重かったです。だから正直、フライ級の自分ということを考えると、もう1試合やってみないと分からないです。今回はマジで調子が良かった。その調子の良さであの試合ができたのか、ドッドソンが落ちたからなのか。次の試合を戦ってみないと、分からないというのはあります」

──57キロに落とし、リカバリーをして戦うことで試合当日の体調の方は?

「合っているなと思いました。もちろん、バンタム級の時と比べると水抜きはしんどいです。でも組んだ時の感覚とか、フライ級の方が楽ですね。バンタム級だとデカさを感じるというのはありましたね。キム・スーチョル戦とかフアン・アルチュレタ戦とかは、本当にデケェなって思ったので」

──日本人はフライ級に落とせる選手が、バンタム級で戦うというケースも少なくなかったですし、それが海外勢になると違いは顕著だと。

「そうですね、RIZINの日本人選手はフライ級の選手が多かったです。僕自身、フライ級の方が動きもキレがあって。やっぱりフライ級の方が合っていると感じましたね。久しぶりにちゃんと8週間、練習ができて。スパーリングもしっかりとデキたことが大きかったです」

──負傷、そしてスクランブル出場としっかりと練習できずに臨んだ試合もありましたし。

「ちゃんと練習ができれば、俺は強いなと(笑)」

──ハハハハ。今回の試合前にはパラエストラ千葉ネットの活きの良い選手たちと触れてきたのですか。

「あまりやっていないですね。やっぱり……全体練習にずっと出ていると、正直──この年齢だとオーバーワークになってしまいます。自分の中で調節しながら、やらせてもらいました。我儘を聞いてもらって。今回の試合に向けてはドッドソンがサウスポーだったので、笹(晋久)、内藤弟(頌貴)だったり、あとは秋元強真っていう17歳の選手がいるんですけど。彼、左のパンチが上手で。彼らとやってきました」

──松井斗輝、鶴屋怜というところとは余り絡まない?

「そうですね。8週間前までの全体練習では一緒にやっていますが」

──改めて尋ねさせていただきますが、ドッドソンからの勝利でTUF24からUFCに行けなかったことは清算できましたか。

「どうなんスかね。一生、残るんじゃないですか。分からないですけど(笑)。でも、そんなに大きないですよね。『とにかくUFCに出たかった。この悔しさはどうずれば良い』という感じではないので」

──自分に負けた相手がUFCと契約し、世界チャンピオンになった選手までいます。「俺は勝っている」という想いは?

「それは、もちろんあり続けます」

──押忍。では2024年、フライ級に戻った扇久保選手ですが、チャンピオンは堀口恭司選手になりました。そこを目指すことに?

「そうですね(苦笑)。ただ堀口選手を目指すということではなく、最大の目標はRIZINのフライ級のベルトです。なので、その時のチャンピオンを倒したいだけです」

──RIZINフライ級を巡る戦いのなかで、どの辺りをライバル視していますか。

「ライバル視というのではなくて、戦っていきたいのは海外の選手です。(ラマザン)テミロフとか(メイマン)マメドフとか。マメドフはそんなに強く感じないけど、テミロフとはやっていきたいですね。UFCをリリースされた選手よりも、まだ行っていない選手。彼らのような未知の強豪と戦って勝ちたいですね」

──UFCベテランでなく、若くてポテンシャルのある選手と戦いたいと。

「特にテミロフなんか、UFCも目をつけているだろうし。そういう選手に勝ちたいです」

──日本人では?

「日本人は神龍(誠)とか、福田(龍彌)君とか。(山本)アーセンも名前があるし、やっていきたいですね。ただタイトルを争うとなる、神龍ですかね」

──フライ級王座決定戦はどのように見ましたか。

「神龍とは昔、一緒に練習をしていたので強さも知っています。堀口選手がああいう風に攻めれば、その強さが出る。『あっ、そっちで行くか』と初回に思い、そこからはあの展開になるのは予想通りです。誠のペースになるなって。でも、堀口選手が切り替えましたよね。ボクシング勝負に出て、あそこで極め切るのが堀口選手の強さです」

──出入りでなく、真っ向勝負の距離になっていましたね。

「組み技の修練度も含め、かなり以前とは違う。どこでもパウンドを打つ感じから、かなり抑えるようになっていました。相手を動かして潰す。誠はダメージだけでなく、疲れたということがあったと思います。で、寝技になっても一気に極めに行く。堀口選手の良さって、やっぱり思い切りの良さですよ。他の選手と違います。堀口選手と戦った時は、吞まれると終わりです。一気に来るので。今回も、それが出ました。アレができる日本人選手は、なかなかいないです」

──では扇久保選手が神龍選手と戦った場合、現状での力量は?

「う~ん、どうですかね。彼もかなり強くなっていますからね。でも、まだ俺の方が強いと思っています。彼の組みの強さに関して、どういうところが強いのかが分かっているので。もし戦うとなれば、そこを潰していけば普通に勝てるかなと思っています」

──神龍選手と外国人選手、戦いたいのはどちらですか。

「それはもう外国人選手です。なんだろうな……他の日本人選手との比較よりも、強い外国人選手と戦いたいですね」

──ビッグネームではないアゼルバイジャンや中央アジアの選手でも?

「全然、やりたいです。RIZINフライ級を世界一のフライ級にしたいんですよ。UFCに出られなかったことは、ずっと残るとは思います。でも、UFCにもう未練はないです。それよりも今はRIZINのフライ級を世界一の舞台にしたい。だからこそ、強い外国人選手と戦っていきたいです」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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45 Eternal MMA83 Gladiator LFA MMA MMAPLANET o Road to UFC SASUKE UFC   アンソニー・ドリリッチ ジョシュ・トーゴ スティーブ・アーセグ パンクラス ムハンマド・サロハイディノフ 伊藤盛一郎 原口伸 大竹陽 海外 猿飛流 長谷川賢

【Eternal MMA83】フライ級王座に挑戦、テロル猿飛流。「これば爆発物だぞって(笑)」(SASUKE)

【写真】前田桂、猿飛流、SASUKEのチーム・エタノール(C)MMAPLANET

16日(土・現地時間)にクイーンズランド州ゴールドコーストのサウスポート・シャークスで開催されるEternal MMA83で猿飛流がフライ級王者アンソニー・ドリリッチに挑む。

元フライ級KOPが1年3カ月振りの実戦復帰──そこに至るまえでの気持ちの変化、変わらなかった目標。そして初めての海外での試合で、信じられない事態に陥った珍道中を猿飛流with SASUKEに話してもらった。を果たすこととなった。


――猿飛流選手、一昨年のクリスマス以来の復帰戦が豪州のEternal MMAでフライ級王座挑戦となりました。かなり長いブランクを経験しましたね。

「佐須君(SASUKE)のセコンドでRoad to UFCに行って、現地でUFCを見てあの場で戦いたいと思うようになり──怜君との試合に勝ったら、UFCという名前を出して良いと思っていました。怜君との防衛戦で勝ったら、そこを目指すと明言しようと。でも怜君に負けて、30歳も過ぎているしUFCへの道は途絶えたと思いました。

そうなった時にパンクラスを含め、日本の団体でベルトを取ることが目標になるということがしっくりこなかったです。年齢的にも引退した方が良いとも考えました。周囲がジムを持ったり、普通の仕事をしながら生活をしているのを見て、次の人生のことを考えると、試合に出ようという気持ちにはなれなかった……です」

──そうなるのは、至極真っ当なことかと思います。それでもまたやろうと考えるようになったのは?

「佐須君や征矢(貴)さんのセコンドに就いたり、他の人の試合や弟(榎本明)の試合を見ていると、俺も終わりたくないなと思えてきて。去年の夏、取りあえず引退はせずに練習だけは続けようと。そうすればどこかからオファーがあるかもしれないし、腹が決まるかもしれないと。去年の夏からは、しっかりと練習をするようになりました。佐須君から『まだまだ全然いける。一緒に目指しましょうよ』と言って貰えたのも大きかったです」

──実際に試合を戦おうと思ったのは?

「やっぱり、1パーセントでもUFCに行けるチャンスがあるなら──と。でも、結論から言って佐須君と桂さん(前田桂氏、Fitness Shop在籍。マスタージャパン勢、原口伸ら海外での試合をサポート。国内外に知己の関係者が多い)でないと海外で試合をすることはなかったです。本当に桂さんの存在がなかったら……。僕自身、海外は経験がなく、安心できる国内が良いという風に思っていましたし。

パンクラスにはお世話になったし、ベルトを取ることも悪くないという風に考えるようになりました。ただお世話になったとか、恩があるというのはUFCとか考えていない判断だったと思います。最後に皆にベルトを見せたい。UFCは無理でも、まだ強くなれる自信はある……そんな風でした」

──それでもパンクラスとならかったのは?

「まずパンクラスで再起しようと──伊藤盛一郎選手とベルトを賭けて戦いたいというのはありましたけど、それはさすがに無理で。ならムハンマド・サロハイディノフと戦いたいと思いました。1月にパンクラスと話を繋いでもらっている河村(尚久)さんに動いてもらって。

同時にGladiator Challenger Seriesで戦い、LFA経由でUFCを目指しませんかと長谷川賢さんからも話をしてもらえました。それも凄く有難い話で、長谷川さんが気に掛けてくれているのが嬉しかったです。でも腹が決まらず、踏ん切りがつかないとう状況でした。そんな時に桂さんからETERNALの話を頂いて。最初は2月10日だったので、2週間ぐらいしかなくて。体重を落ちないですし、初めての海外の試合とかはビビりだから……お断りしました。

その時に『3月だったら、体重を落とせたのですが……』なんて言い訳がましく、言っていたんです。同時に3月のパンクラス大会にムハンマドという話も進行していて、でも踏ん切りつかない。坂本靖さんには『返事はもう少し考えてからさせて頂けたら』と保留にしてもらっていました」

──踏ん切りがつかず、躊躇してばかりという風にも聞こえます。

「ハイ。確かにその通りです。そうしたら、断ったEternalの試合が3月16日なら──ともう一度、来て。それでもビビっていて、断ろうとしていました」

──……。

「そうしたら、桂さんが1時間ぐらい説得してくれて。『こんなチャンスはない。行きましょう』と言って貰えて、それで腹が括れて『もう行きましょう』と。試合が1カ月スライドしてタイトルマッチ。プロモーションは豪州で一番のフィーダーショーで、前王者のスティーブ・アーセグはUFCにステップアップして、ランキングが9位。これはUFCに繋がっている道で、格闘技の神様に行けと言われているように感じました」

──ようやく……と。

「で、Eternalでタイトルに挑戦すると河村さんに話したら、『それはパンクラスに対して、オファーの返事待っている状態なのだから失礼だぞ』とお叱りを受けて。確かに……坂本さんに失礼なことをしてしまいました。でも河村さんが『チャンスだし、俺が説得しておくから行け!』と言ってもらえて。それでも天秤にかけたような形だったので、坂本さんを怒らせてしまったという気持ちは残っていたのですが、2月4日──僕の誕生日に、怜君がUFC決めた後にXで『誕生日、おめでとう。頑張ってこいよ!』とメッセージを下さって。凄く心が晴れて、パンクラスの代7代王者として誇りを持って頑張りたいと思うようになりました」

──良い話ですねぇ。

「そこからは猛練習をしました。桂さんと佐須君がいてくれるから、今も安心して試合を迎えることができています」

──初の海外でも、何も問題はないですか。

「いえ、それが……」

SASUKE 実は手荷物が引っ掛かって、入国できないところだったんですよ(笑)。

──へっ? というのは?

「あのう……僕は説明が下手だから、佐須君に任せても良いですか?」

──ハイ……。

SASUKE まず猿飛流さんは心配性すぎて、あり得ないほどの荷物を持ってきていて。羽田の段階でスーツケースが6個ぐらいあって。

──あり得ないです……。

「減量食とか、全部、日本から持って行こうとして……」

SASUKE そうなんですよ(笑)。ケアンズからトランジットでゴールドコーストへという飛行機で、まず羽田で半分ぐらいの荷物をご両親に持って帰ってもらいました。そして、ケアンズまでは別便だった桂さんがバッグ一つだったので、一つ預けて。もう1つは追加料金を支払って飛行機に乗れることはできたんです。

そうやって色々なモノを日本においてきたのに、荷物のなかで無水エタノールが含まれていたんです。水抜きのための……。

──いや、それは……いうとエチルアルコールですからね。まず、羽田で飛行機に乗れたことが検査の精度を疑います……。発火物ですからね。

SASUKE そもそもそこがあるんですけど……。豪州って持ち込み荷物にメチャクチャうるさくて。で、ケアンズの空港で『これは爆発物だぞ。お前たちはテロリストか』って足止めを食らったんです。

──いやぁ、まぁテロリストの疑いは晴れるでしょうが……なんちゅうことですか。

SASUKE なんか、ポリスとかいう言葉が聞こえてきて。そうしたら、もう猿飛流が一気に動揺し始めて。顔はソワソワしているんですよ。

──アウトじゃないですか、堂々としていないと(笑)。

SASUKE そうなんですよ。で、僕は僕で桂さんに電話をしようとしたら、『仲間に連絡をしようとしているのか』なんて疑われて(笑)。ポリスを呼ぶと言われて、2時間ぐらい尋問を受けました。飛行機の中では眠れないは減量苦もあるわで、ついに猿飛流が白目を剝いて気を失いかけて(笑)。そうしたらポリスが、『こいつは薬物中毒じゃないか』って(笑)。

──アハハハハハハ。もうミスター・ビーンばりの負の連鎖じゃないですか。最高です。

「翻訳機で『あなたはドラッグをやったことがありますか』って聞かれて。『一度もやったことがありません』って……」

──しかし、どう説明して無事に入国できたのでしょうか。

「試合があって、減量中なんですって話しました。減量で飯も食えなくて、水も飲めないから──と体を見せたんです」

──ハイ。

無水エタノールがなくても無事パス(C)KEI MAEDA

「そうしたら僕の話を信用してくれて。これだけはダメだからなって、無水エタノールだけは捨てられました。あぁ、あと馬肉も捨てられましたね」

SASUKE 僕は2メートルぐらい離れていたので、なんか体をチェックされていると思って……もう終わったなって思っていました(笑)。

「超焦りました……。でもいったん信用してくれると、取り調べが長かったから乗り継ぎがギリギリになっていてゲートまで連れて行ってくれたんです」

──もう、そんなことがあれば何も怖くないですよ(笑)。

「いや、高島さん。ホントにその通りです(笑)。色々と吹っ切れました」

──では自信満々になったかと思う、アンソニー・ドリリッチ戦ですが、改めて印象を教えてください。

「サウスポーで強力な左ストレートの持ち主です。そこを狙って、言うとそれしかないのですが、相手を誘い込むのが絶妙に上手いです。そこに移動させられて、左ストレートでKOされている選手が多い。加えてテイクダウンが切れて、自分からテイクダウンを取れ、バックキープも上手いです。

でも……なんか、その全部で自分が上回ることができる自信があるんですよね」

──その言葉で安心しました。今、言われた通りの選手なのですが、アーセグとは動きが違います。同じEternalのフライ級チャンピオンなのでアーセグ級だと怖いと思っていたので。

「それは思いました。アーセグと比較すると。今回、征矢さんと5分5R用のスパーをやって来て。征矢さんは凄くパワーもあって速い。なおかつ征矢さんを上回るパワーかもということは頭にいれてきました。その想定を超えることもあるかもしれないですが、やることが分かっているので。これまで自分がやってきたことをぶつけるだけです。

自分のそのままをぶつけます。サウスポーと左ストレート対策は、大竹陽選手とも5分5Rをやってきました。火曜日が征矢さん、木曜日が大竹選手。週に2度、5Rのスパーリングをやってきて、凄く自信がつきました」

──では改めて、意気込みの方をお願いします。

「深く考えすぎるとダメなので、大好きな格闘技を楽しみたいです。大好きな格闘技を続ける先にUFCがあるのかなって。だからメチャクチャ勝たないといけないというよりは、メチャクチャ楽しみたいですね。楽しんで、回りに感謝して、自分のやってきたことを全て出します」


■視聴方法(予定)
3月17日(土・日本時間)
午後7時00分~UFC Fight Pass

■ Eternal MMAメインカード対戦カード

<Eternal MMAミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]ジョン・マーティン・フレイザー(英国)
[挑戦者]ベン・ジョンソン(豪州)

<Eternal MMAフライ級選手権試合/5分5R>
[王者]アンソニー・ドルリッチ(豪州)
[挑戦者]猿飛流(日本)

<ライト級/5分3R>
ジャック・ベイカー(豪州)
ジョシュ・トーゴ(豪州)

<フライ級/5分3R>
松山瑞穂(日本)
ジャック・ヘイス(豪州)

<フェザー級/5分3R>
ガブリエル・シュルッピ(ブラジル)
ブローガン・スチュアート・ング(豪州)

<フェザー級/5分3R>
テサー・マローン(豪州)
イーサン・ミッチェル(豪州)

<ミドル級/5分3R>
ダーシー・ヌナン(豪州)
ブレア・ブレタッグ(豪州)

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【Special】Fight&Life#101より鶴屋浩ラストインタビューasパラエストラ千葉ネット代表「僕の仕事は─」

【写真】取材は2月某日に行われたが、次に柏を訪れる時はロゴは下のように変わっているはずだ(C)MMAPLANET

13日(水)、THE BLACKBELT JAPANの発足会見を開いた鶴屋浩元パラエストラ千葉ネットワーク代表。愛弟子であり盟友でもある松根良太元THEパラエストラ沖縄代表と新チームを創ったことで現役UFCファイター2人を含み、数だけでなく質でも日本を代表するMMAチームが誕生した。
Text by Manabu Takashima

その鶴屋代表が新チーム発足に関しての詳細を語ったインタビューが現在発売中のFIGHT & LIFE#101に掲載されている。鶴屋浩パラエストラ千葉ネットワーク代表としてのラストインタビューを全文掲載。自らのジムを立ち上げた際の中井祐樹パラエストラ・ネットワーク代表、高校生の時から鶴屋を支持する松根THE BLACKBELT JAPN副代表との人間関係とJ-MMA強化の想いとは──。


──SNSでパラエストラ千葉ネットワークとTHEパラエストラ沖縄が中井祐樹氏率いるパラエストラ・ネットワークから離れ、新しいグループで活動を始めるという発表がありました。

「1999年の12月に中井先生のお世話になり、パラエストラにとって7番目の道場として、パラエストラ松戸を立ち上げて約24年が過ぎました。この辺りで自分も中井先生の後ろ盾がなくやって行く。その時期が来たのではないかと」

──そもそも日本の総合格闘技の黎明期に消防士をされていた鶴屋さんは、松戸ちびっこレスリングという所属名こそありましたが、実質無所属として打撃と組み技が混ざったルールの大会に出場。常にアウェーの戦いに臨むような形でした。

「当時、僕は格闘技業界に友人はいませんでした。そんな頃、シューティングジムと呼ばれていた頃だったか、大宮でも練習をさせてもらうことがありました。あの時、大宮で自分の話し相手になってくれたのが中井先生だったんです」

──もう全日本アマ修斗で優勝をした後でしょうか。

「僕が優勝したのは1997年ですが、1996年で3位になった時に、一度プロデビューの話があったんです。優勝したマッハ(桜井マッハ速人)の相手で」

──えっ? そうだったのですか。マッハ選手のデビュー戦の相手は、アマ修斗決勝の再戦となった宇野薫選手のデビュー戦でもありました。

「実は最初は僕のところにオファーがあったんですよ。マッハは4試合中3試合で一本勝ちし、僕だけがポイント差だったので」

──トリビアですね。

「僕も受けるつもりだったんですけど、消防の仕事が入っている日で無理でした。あの時、中井先生は『俺がセコンドに就くよ』と言ってくださっていて。当時から中井先生は技も確かで、頭が良い人だから信頼をしていました。そして1999年にジムに立ち上げようと思った時に、中井先生に相談に行ったんです。中井先生もパラエストラ東京を立ち上げて1年が過ぎた頃で。その時の話のなかで『パラエストラ松戸というのもありじゃないの?』と言ってもらって。

──中井さんから、そのように言ってもらえたのですね。

「ハイ。そして、それを松根に話すと『やりましょう』って彼も言ってきて」

──えっ? 松根良太さんですか? 翌2000年の全日本アマ修斗に優勝した時、まだ高校生でしたが……。

「あの頃、とあるボディビルジムの3階の狭いスペースで週に2度ほど格闘技クラスを担当していたんです。ほんの少ししかいな生徒の中の一人が松根でした。当時から松根は天才的な動きをしていて、僕について回って付き人のような感じだったんです(笑)。で、『こうやっていこうと思う』と伝えると、『やりましょう!!』って乗ってきたわけです」

──それから24年、なぜこのタイミングで独立を?

「まず、この24年という間、中井先生には本当にお世話になりました。もちろん技術もたくさん教えていただきましたし、パラエストラを離れるというのは、僕も凄く悩みました。今は子供たちが4人とも格闘技をやっていて、多分このまま続けていくと思います。そこも考えましたね。自分の組織、チームを立ち上げてやっていくべきなのか。5年ぐらい前から考えるようになって。中井先生にも以前から相談はさせていただいていました。中井先生は竹を割ったような性格の方なので、『良いじゃないか』ということは言ってもらっていました。同時に松根にも相談をして、彼が『やるならついて行きます』と言ってくれて。松根の言葉は、今回の決断を大きく後押ししてくれました」

──そこにも松根さんの存在があったわけですね。

「松根と僕の関係は師匠と弟子、もう25年以上です。何かあると僕は彼に相談し、彼も僕にそうしてくれる。その関係はずっと変わりないです。松根のところから平良達郎がUFCと契約した。うちはROAD TO UFCの際中でしたが、鶴屋怜がサインをするのは絶対と見ていました。その勢いも独立に関係してきたとは思います」

──とはいえ、そもそもパラエストラ千葉ネットワークはJ-MMA界でも、最も人材が豊富なトップジムの一つで、パラエストラという名前があっても、もう独立国家のように見てしまっていました。

「自分はパラエストラ千葉ネットワークの代表ですが、何かあった時には中井先生が後ろに控えてくださっている。その気持ちがあったのは絶対です」

──パラエストラは何年か前にアフリエイトを支払う形に変わったかと思いますが、あの時にグループを抜けたジムもありました。

「僕はあの時に抜ける気はなかったです。凄くお世話になっていたし、これまで1年に1回は中井先生にパラエストラ柏でセミナーをやってもらい、終わった後は飲み会を開いていましたし(笑)。先日、松根と一緒に中井先生に挨拶に行き、『これまでと変わりない付き合いをしよう』と言って貰えて。本当に有難かったです。だから僕と中井先生の間は何か変わるということはなくて」

──結果、独立してどのような変化があるのでしょうか。

「それは自分の気持ちだと思うんです。中井先生、そしてパラエストラという後ろ盾がなくなり、全ての責任は自分にある状況です。そこ以外は何が変わるということはなく、今まで通り世界に通用するMMAチームを創っていくつもりです。さっきも言ったのですが、そのためにも今の勢いというのは必要だったのかもしれません。新たな気持ちで世界を目指そうということで」

──ハイ。

「早稲田大学レスリング部4年で、去年の全日本学生フリーで優勝しグレコで2位になっている山倉孝介(2021&2022年全日本選手権フリースタイル79キロ2位)が入会して、今年デビューする予定です。山倉は中学の時から教えていて戻ってきた形ですね。そういう風に色々なことがスタートします。

──ところで新しいチーム名は決まっているのでしょうか。

「いえ。候補はあるのですが、まだ決まっていないんです。やっぱり横文字ですかね。松根と岡田(凌)と相談しているんですよ。それほど気にしていなかったのに、これからずっと続くモノなので考えてしまうようになって(苦笑)。3月の終わりが4月の初めにRYO OKADA TOKYO INSTITUTEで正式発表を考えています。松根、達郎、扇久保(博正)とか(浅倉)カンナ、神田コウヤ達を呼んで。やっぱり色々な人に柏まで来てもらうのは、ご足労かと思って」

──ハイ。確かに(笑)。

「いやいや(苦笑)。ちなみに高島さんだったら、どのような名前が良いと思いますか」

──僭越ながら自分が鶴屋さんの立場なら、パラエストロイカですかね。

「ハハハハハ。却下です」

──ではジャパン・トップエストチームというのは?

「……。そこですか(笑)。僕はジャパン・トップチームができたことは業界として良いことだと捉えています。あの立派なケージがあって、指導者を外国から呼ぶことができる。それだけの資金があるジムが日本に誕生するということは。色々と言われていますが、それは米国がやってきたことと同じなので。ジャパン・トップチームを見て、僕らもしっかりとやらないといけないっていう気持ちになりますから。ライバルが頑張っているなら、自分たちも頑張らないといけない。負けていられないという気持ちはあります

──ジャパン・トップチームは誕生したばかりですが、TRIBE TOKYO MMA、BRAVE、HEARTS、そしてパラエストラ千葉ネットが若い世代の育成という部分で日本をリードしていると思います。そこに対して、負けるかという気持ちはあるのでしょうか。

「負けるかというよりも、良い意味でライバル心を持って皆で日本を盛り上げないといけないです。ラスベガスでUFC PIを見て、上海のPIを見ました。あれに勝つには町道場では無理だなというのが僕のなかにあって。だからジム同士も交流できるところは交流して、対世界ということを本気で考えないといけないです。目指しているところは、そこなんで。だから変えなければならないところは、ありますよね」

──だからこそジャパン・トップチームを歓迎するということですね。

「ハイ。これまでにないことをやっていますからね。あのやり方は批判する人もいますが、有りです。だからこそ、僕らも考えないといけない。千葉県のレスリングチームは以前、週に2度しか練習をしていなかったんです。それを僕のチームが6度練習を取り入れると、全国的に強くなりました。すると他のチームも4度、5度と練習するようになり千葉県全体が強くなりました。そこにライバル心があったからで。そういう効果が、MMAでもジャパン・トップチームの出現で見られるのではないかと思っています」

──新体制では千葉ネットの柏、松戸、千葉、そして沖縄の2つのジムになるということでしょうか。

「それとパーソナルジムですが、岡田も僕らの選手をサポートしてくれるグループの一員です」

──ここまで千葉ネット、沖縄と関係がなかったジムから新グループに加わりたいという声が挙がる可能性もあるかと思います。

「受け入れるために話を聞きます。話し合い合いによって一緒にやっていけるかどうかを判断する。そういう形になると思います」

──同じグループ内の選手同士の対戦は行っていくのでしょうか。

「組まれて、本人が戦う意向があれば戦わせます。平良達郎と鶴屋怜の試合をUFCが組めば、戦います。ウチのチームはもともと同門対決をやっていますし。修斗のインフィニティ―リーグ、ネクサスのミドル級王座決定トーナメントもパラエストラ千葉ネットワークから2人ずつ出場しています。一昨年のパンクラス、ネオブラッドトーナメント・フライ級は6人中3人がウチのチームでした。しかも柏から2人が出て」

──ハイ、濱田巧選手と伊藤まこと選手が決勝で対戦しています。

「今、試合も出ていない選手も含めると千葉、柏、松戸で50人以上のプロ選手がいるので当たってしまうこともあります。基本的に本人達が戦うというのであれば、試合はさせます。なるべくは、そうならないことを願っていますけど、それこそタイトル戦やトーナメントの決勝なら、選手もやりますよね」

──世界を目指すため、沖縄を含めるとこれだけの陣容が揃う中で自主興行の再開というのは?

「僕がプロモーター業をやることはないです。僕の仕事は道場で生徒を強くすること。それが僕のプロフェッションなので、死ぬまでコレ以外をする気はないです。ただしグループ内で、例えば岡田が大会を開きたいというのであれば、それは話し合います。大会をやれるならやってもらいます。何より独立をするから、今より環境を整えるということではないです。独立しなくても、そうすべきことですから。ただし、行動をすることは大切です」

──その行動という部分で、鶴屋さんも目に見えるような行動は起こされていますか。

「世界を目指すという部分で土屋(進)トレーナーに来てもらって、ラントレなどを指導してもらうようになりました。それと実は今日も、ボクシングのトレーナーと契約をして常勤になってもらいます。レスリングも日体柏高校が5分のところにあるので、以前からピュアレスリングの練習をさせてもらえるようになっていますし」

──指導に力を入れていく。それが鶴屋さんの役割なのですね。

「それとイリディウム・スポーツエージェンシーとも話をして、『良い選手がいればどんどん海外修行ができるようにする』と言われています。実際に向うを見て、練習をすることは勉強になりますから。あとはそこについて回るファイナンシャルの部分ですね。選手たちにスポンサーを見つけることも、大切になってきます。とにかく選手たちは金がないですから」

──そこは沖縄も同調しているという理解で宜しいですか。

「ハイ。松根も平良達郎をUFC世界フライ級チャンピオンにさせたいので。イリディウムとは別に国内のマネージメント会社とも連携をとっていますし。なるべく選手達が働かないで練習できる環境を整えていかないといけないです。変化を求めて動かないと、世界との距離はどんどん離されていきます」

──業界として変わることが難しいのであればジム単位、あるいは選手単位で変化が求められると。

「ROAD TO UFCを見ても中国が強くなっていることは明らかです。それは上海にPIがあり、あれだけの人口がある国で選ばれた選手が、PIで練習だけをしているからです。あっという間に、日本は逆転されました。つまり、このまま何もしないでいると日本のMMAはアジアでもおいていかれます」

──……。

「環境ですね。あと日本社会はMMAファイターとして世界で戦うという人間に対して、世間の目が冷たいです。昼間にここで練習をしていると、ちゃんと仕事をしていないっていう風に見られます。本当に変えていないかといけない。上手く機能しなかったら、また元に戻せば良いだけで。だからこそ、僕らから率先してどんどんと日本のMMAの環境を変えていかないと。そこに関してはこれまでと同じように色々と考えてやっていこうと思っています」

──格闘技ジム経営は選手育成よりも、一般会員を集める方が商売になります。それこそ鶴屋さんと松根さんの背中を見てきた岡田遼選手が、パーソナルのジムを選択したように。それでも選手育成が鶴屋さんにとって最重要視する部分なのですか。

「どちらかに比重を置いているつもりはないんですよ。ただプロを強化していると、そんなプロ選手の活躍を見た子たちが入門をしてきます。プロ選手に憧れて、プロになりたいと。地方都市からも、やってきますし」

──プロ志望の子たちの多くは、長続きしないというのも定説になっているかと思いますが……。

「技術指導だけでなく、コミュニケーションを取ることが大切です。やっぱり来なくなっちゃいますからね。そこで僕も若い頃のように『来ないなら辞めろ』っていう姿勢ではなくて、話をして、話を聞いて。彼らが続けられる道を見つけていく。それが僕の仕事で、それが良い環境を創ることになります」

──なるほど。可能性のある選手も、何かに躓くとジムに足が向かなくなることもあるでしょうし。そこは温かい目で根気よく付き合うと。

「そうです。そして地方の子にしても、都内と違って家賃が安くて済む。それが、この辺りの良さでもあります」

──なるほど。理に適っています。

「家賃が3万円程度だから、バイトをしながら練習ができます。そういう子たちをたまには家に呼んで飯を一緒に食うとか。同時に夜のプロ練習に加わって頑張っている一般会員さんもいて。結果的にプロを目指すようになる人もいます」

──あくまでも鶴屋浩は現場主義ということですね。

「そこは絶対です」

──今日はありがとうございました。新体制の正式発表と、それからの益々のご活躍に期待しています。

「ありがとうございます。とにかく僕の仕事は良い練習環境を整えること。それが選手の強化になり、日本のMMAを強くすることだと思っています」

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【RIZIN LANDMARK09】イゴール・タナベ戦へ、ストラッサー起一「極められるもんなら極めてこいよ」

【写真】肉体的な強さは肌の張りに、精神的な充実は表情に表れる(C)TAKUMI NAKAMURA

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09 in KOBEでストラッサー起一が、イゴール・タナベと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

昨年4月RIZIN.41で中村K太郎に敗れて以来、約1年ぶりの試合が決まったストラッサー。戦績的は2連敗というなかで迎える一戦だが、客観的に敗因を分析し「そこを修正して自分の本来の強さ・良さを出せば、絶対に試合で勝てる自信はある」と言い切る。

そしてMMA無敗のタナベを前にしても「極められるもんなら極めてこいよ、という気持ちでいる」と自信をのぞかせている。42歳・MMA育ち盛りのストラッサーに話を訊いた。


――約1年ぶりの試合、イゴール・タナベ選手との対戦が決まりました。待ちに待った試合のオファーだったのではないですか。

「ついに決まったなっていう感じですね。イゴール選手はRIZINで活躍していて、ウェルター級に落としてくるという話は聞いていたので、いつか当たるだろうなとは思っていました」

――試合をしたくてウズウズしていましたか。

「イゴール選手がウェルター級に落とすということで、僕はイゴール選手と大晦日に戦うイメージでいたんですよ。最終的に安西(信昌)選手とイゴール選手の試合が決まって、新しい選手がRIZINに入ってくるのはよかったと思っていたし、イゴール選手とは近々(オファーが)あるなとは思っていました」

――試合から離れている期間はどのようなメンタルで練習を続けていたのですか。

「とにかくコンディションを崩さないように、体重も含めてずっと試合が出来る状態をキープする。そこを意識していました。僕自身は年末に試合があるイメージで準備はしていて、最終的にそれがまとまらなくて年をまたいでしまったんですけど、自分の中ではいつも通りに練習を継続していました」

――試合が決まらなかった時期に気持ちの浮き沈みはなかったですか。

「浮き沈みがないといったら嘘になりますが、僕にはRIZINでベルトを獲るという目標があるので。今42歳で2連敗していて。『ストラッサー弱い』という声もありますけど、自分はRIZINでベルトを獲ると決めてやっているので、それを証明するんだというモチベーションはあります。40歳を超えても強くなって試合で勝てるところを皆さんに見てもらって。何か少しでも元気やパワーを感じてもらえたら僕もうれしいですね。僕は40歳以上の代表としてやってやろうと思っています」

――ストラッサー選手の年齢・キャリアで連敗してしまうと、今後のことや進退を考えることもあると思います。そこは前向きに格闘技に取り組むことが出来たのですか。

「プロでやっている以上、格闘技の本質は勝敗が全てではあるんですけど、僕自身は勝敗だけでその選手が強い弱いというところは見ていないんですよ。結果を見れば僕は阿部大治戦と中村K太郎戦に負けてしまいました。でも精神的な準備という部分でミスをしてしまった部分もあったし、自分の中では紙一重のところはあったと思います。だからそこを修正して自分の本来の強さ・良さを出せば、絶対に試合で勝てる自信はありますし、自分を客観視したときに、全然まだいけると自信を持って言えますね」

――ご自身の中で直近2試合の敗因は理解できているんですね。

「それは理解しています。阿部戦に関しては自分の中で後悔しかなかったし、K太郎戦はK太郎選手が上手くて強かったから取られたのはあるんですが、その取られる前に自分の中でちょっと躊躇した時間があったんですよ。そこがK太郎戦のターニングポイントだったかな、と。今回の試合に関しては、そういうところを修正してしっかり自分の強さをぶつけていきたいと思います」

――先ほどは年齢の話もありましたが、身体的な衰えは感じていませんか。

「コンディションさえ整えば、気持ち的にも肉体的にもまだまだいける手応えはありますね。この間も岡見(勇信)さんと一緒にいて、僕のひとつ上の選手が試合をするって話をしていて、僕が『その年齢で試合なんてすごいですね』と言ったら『年齢一つしか変わらないですよ』と言われて(笑)。だから僕の年齢感覚は10歳くらいマイナスでいるんですよ」

――ストラッサー選手は格闘技を始めたのが24歳と遅かったので、子供の頃から柔道やレスリングをやってきた選手に比べると、競技的なダメージや摩耗は少ないのかもしれないですね。

「そうですね。それはあると思います」

――それで言うと、イゴール選手はストラッサー選手と真逆で、小さい頃から柔術をやってきてMMAに転向した選手です。対戦相手として見たイゴール選手にはどのような印象がありますか。

「手足が長くて、本当に寝技が強い印象ですね。MMAでも負け知らずなので、自信を持ってくると思います。でも自分とイゴール選手の相性はいいと思っているんですよね。対戦相手だから言うわけじゃないですけど、イゴール選手はこれから日本のMMAを引っ張る選手になると思っていますが、僕もまだ現役バリバリでやっている以上、ここでベテランの強さを見せたい。MMAの厳しさを教えるじゃないですけど、一回ちょっとストップ、そんな感覚でいますね」

――イゴール選手は寝技という絶対的な武器を持っている相手ですが、勝つパターンは考えていますか。

「普通に寝技も潰しにいってやろうと思っています。あっちは1Rで極められると言ったりもしてるみたいですけど、全然極めに来てくれ、と。極められるもんなら極めてこいよ、という気持ちでいます」

――キャリア・ファイトスタイルともに対照的な2人の戦いになりそうですが、何がこの一戦の軸になるでしょうか。

「僕はやっぱり総合力とパワーですよね。パワーの部分では絶対に負けない自信がありますし、そこで潰しにいく。それに僕も寝技の選手なんですよ。僕は自分をMMAグラップラーだと思っているので、簡単には相手の得意な形には入らせない。そこは徹底してやります」

――イゴール選手は全試合1Rでフィニッシュしていて、勝ち方が派手な分、フルランウンド戦っていない脆さもあると思います。

「それは僕も大いにあると思いますし、自分で客観視したときに、今までイゴール選手がやってきた相手の中で、僕が一番イゴール選手にとっては嫌なんだろうと思います」

――今日話を聞いていても、ストラッサー選手の充実ぶりが感じ取れます。

「いい準備はできていますね。もちろん落ち込むときもあるんですけど、全てにおいて何か意味があると思うし、落ち込むような出来事をプラスに変換することが強さだと思うんで。ずっと勝ち続ける選手って少ないじゃないですか。だから負けをどうプラスに変換して、自分の肥やしにしていくかっていう。人生ずっとそれの繰り返しだと思うし、僕も2連敗していて、それを絶対にプラスに変換して今回の試合で結果を出すつもりでいます」

――例えばそういった中で、自分の中で新しい練習や取り組みを変えているところはありますか。

「自分は試合が決まると相手の得意技にフォーカスして練習するんで、逆に相手の強みが自分の中で強くなるエッセンスになっていますね」

――MMAはやることが多い分、選手によって勝ちパターンが幾つもある。年齢を重ねても技術を伸ばして戦いの幅が広がっていけば勝つ確率も上がる。経験が重要な競技だと思います。だからこそコンディションをしっかりと作っていけば、年齢に関係なく伸びる要素はありますよね。

「全然ありますね。例えば試合で右腕を怪我して使えなくなってしまった。そうなったら右腕なしでどうやって戦うかを考えることができる。それはやっぱり打撃、レスリング、柔術……と色んなことができて、それを色々と組み合わせることもできる。純粋に寝技が強い・打撃が強いだけじゃない、一筋縄ではいかないのがMMAなんだと思います」

――ストラッサー選手はUFCやBellatorでも戦ってきましたが、今RIZINのベルトにフォーカスするのは何が一番の理由なのでしょうか。

「年齢的に考えたときに、最後の夢はRIZINと自分の中で決めていました。RIZINは素晴らしい団体ですので、そこでベルトを獲ることが自分の格闘技人生における一番の幸せになるでしょうし、応援してくれている人たちと一緒にRIZINのベルトを獲るのが一番のモチベーションになっていますね」

――改めてストラッサー選手はRIZINの良さや魅力はどこに感じていますか。

「イベントとしての華やかさもそうなんですけど、日本の皆さんにドラマを見せられる団体であることですね。海外だとどうしてもそこがフォーカスされにくく、強さやレコードを見られてしまいますが、その点、RIZINは人間ドラマを見せられる唯一の団体だと思います。僕自身、強さ=人間力というものがあると思っていて、自分が18年やってきて培ってきた格闘技を今のRIZINのファンの人たちにも見せたい。それだけ真剣にやってきたものをみんなに見せたい。それがライトなものではないかもしれませが、強さを突き詰めて突き詰めてやってきたものをみんなに見せたいと思います」

――ストラッサー選手はYouTubeを見ても、すごく真っ直ぐで感情が入る選手だと思うのですが、自分の試合で何かを伝えたいという考えはキャリアと共に強くなってきたのですか。

「ベタなんですけど、自分を証明したいということが一番ですね。僕は証明という言葉をよく使うので、嫁に『証明って言い過ぎ』、『また始まった』みたいな感じで言われるんですけど(笑)。でもそれに尽きるのかなと思いますね。あと神戸は僕にとってはゆかりのある、パワースポット的な場所なんです。過去に何度も神戸で試合をやってきましたし。だから今回は神戸にストラッサー起一の名を刻むことをテーマにしています」

――現時点ではRIZINのウェルター級にベルトはありません。この階級を盛り上げてベルトを作ることも、この階級のテーマだと思われますが、そこに向けてストラッサー選手はどうアプローチしたいですか。

「イゴール選手がMMAで5連勝・RIZIN3連勝で注目を浴びているので、ここで僕がイゴール選手に勝って(状況を)混乱させる。いろいろドラマを作っていきたいですね。ただ、これは僕一人だけでは厳しい。いろいろな選手の力、そしてファンの後押しも絶対必要なので、そこを融合させながらやっていきたいです。そうじゃないとRIZINもベルトを作るために動かないと思うので、2024年は絶対にRIZINをベルト新設に向けて動かすという気持ちでやっていきたいです」

──そういったことも含めて、次の試合でストラッサー選手はどんな試合を見せたいですか。

「総合力です。(一本を)取りにいく姿勢と、最後まで諦めない気持ち。そこの気迫ですね。あと数日前に新宿で演説している海外の人がいたんですよ。それをパッと見たときになんかすごく気持ちが入って。何の演説か内容は分からなかったのですが、ちょっと聞いてみたいなと思ったんです。その時に『これが魂や気持ちだな』と。僕も試合でそういうものを感じてもらえたら、みんなにいろんなものを伝えられると思うし、そういう姿勢でいかなあかんなと。改めてそれを数日前の演説で気づかされました。僕も魂のこもった試合、逃げるような試合ではなく、魂や気持ちが伝わる試合をやります」



■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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