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MMA o ONE カン・ジウォン

ONE Fight Night21:第6試合・ベン・タイナン vs. デューク・ディディエ

ヘビー級。

カナダのタイナンは昨年11月にONEに初参戦し、初戦でONE3勝1敗のカン・ジウォンから3R肩固めで勝利。バックボーンはレスリングでカナダ代表入りもしていた。30歳でMMA5連勝中。

オーストラリアのディディエは2022年6月にウズベキスタンのジャスール・ミルザムハメドフにスプリット判定負けして以来の試合。バックボーンは柔道。34歳でMMA8勝2敗。

ディディエシングルレッグ。ボディロックからテイクダウン。下になったタイナンは首を抱えている。離して立ちに行くタイナン。たったがバックを取っているディディエ。ボディロックからの大外刈りで倒した。しかしタイナン正対して立った。左を入れたタイナン。ロープに押し込んだタイナン。肘!顎に入って効いたディディエが膝を着く。バックからパウンドを入れるタイナン。バックマウントで体を伸ばしてパウンド連打。動けず打たれるディディエを見てレフェリーストップ。

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45 AB ABEMA K-MMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN18 ONE165 アドニス・セビジェーノ アルテム・ビュラク イリャ・フレイマノフ エンフオルギル・バートルフー オ・テホク オ・ホテク カン・ジウォン キック クォン・ウォンイル ゲイリー・トノン シャミル・ガサノフ ジャンロ・マーク・サンジャオ スーブラック・トー・プラン49 チェン・ルイ チャンネル ブラック ボクシング マーク・アベラルド ライカ ルンピニー ロッキー・バクトル 中原由貴 武尊 高橋遼伍

【ONE FN18】ONEに適合したウォンイルと、対照的なモンゴリアン2人。一発目のONE FNはバンタムに注目

【写真】KO決着必至、あるいはシネチャグタガが削られるか。注目のバンタム級戦(C)MMAPLANET

13日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムでONE Fight Night18が開催される。
Text by Manabu Takashima

前夜のONE Friday Fights47が2024年の戦い初めとなるONE。本来、スーパーレック・ギアットムーガーオがエリアス・マムーディを相手にONEキックボクシング世界フライ級王座防衛戦を行う予定だったが、既報の通り1月28日のONE165で武尊を挑戦者に迎えるタイトル戦にリブックされたため、今回のメインはシャミル・ガサノフとオ・ホテクのMMAフェザー級戦が昇格となった。


ガサノフといえばフェザー級戦線で次期挑戦者候補と目されていたが、昨年7月にゲイリー・トノンのヒザ十字で屈し仕切り直しを強いられる。対するオ・テホクはK-MMAから中東を経て、ONEに行き着いたファイターで高橋遼伍戦の微妙な判定勝ちが印象深い選手だ。ONEでは1勝1敗、テホクはウェルラウンダーでも打撃力が秀でているわけでもなく、組み技力でガサノフに分があるマッチアップといえる。

今大会ではバンタム級の2試合、クォン・ウォンイル✖シネチャグタガ・ゾルツェツェグ、アルテム・ビュラク✖エンフオルギル・バートルフーが興味深い。勝っても負けもフィニッシュ決着、蹴りでもパンチでも倒す力を持つウォンイルは、英語も駆使しONEで最もプッシュされている韓国人ファイターといっても過言でない。

昨年こそ自らのジムをオープンするなど試合数は1試合だけに留まったが、ウォンイルは2019年の3試合を筆頭にコロナ禍でも2020年から2022年まで3年連続2試合を戦っており、試合の機会が少なく厳しい時を過ごす日本人選手とは対照的に順調なキャリアを築いている。

前述したように試合内容、アピールとONEのニーズにしっかりと応えているウォンイル。今回の対戦相手であるシネチャグタガも、その良さを十分に発揮できるパンチャーだ。中原由貴とイリャ・フレイマノフに連敗を喫し、バンタム級に転向したシネチャグタガはチェン・ルイを相手にスプリット判定勝ちで、まずは結果を残した。

とはいっても最大の強味であるアグレッシブなパンチが、常に大振りとなりテイクダウン防御も甘く、フェザー級時代と比較して階級を落としたメリットよりも、デメリットが目立つファイトだった。バンタム級2戦目となるウォンイル戦で、如何にアジャストして挑むことができるか。

モンゴル人ストライカーらしい、圧と瞬発力を持った──良い時のシネチャグタガの動きを取り戻していれば、ウォンイルもプレッシャーを真正面から受け止めることはできない。しかし、修正できないでリングに上がるようだと──キックと拳の融合を含め、技術的に上回るウォンイルの打撃の的になってしまうだろう。

バンタム級注目の一番、2試合目もモンゴル人ファイター絡みだ。35歳の遅れてきたルーキー=エンフオルギルは2022年のRoad to ONE Mongoliaを制し昨年4月にONE FFでプロモーション・デビュー。アドニス・セビジェーノ、在バンコクのロッキー・バクトル、ラカイの御曹司ジャンロ・マーク・サンジャオとフィリピン勢に3連勝を果たしている。

打撃は決して上手くはない。打つために打たれる。ただし、そこから組んでテイクダウン、トップからの攻めに対しピノイ・ファイター達は太刀打ちできなかった。今回、ロシアのアルテム・ビュラクを相手にフィリピン勢と相対した時と同様のトップゲームを展開できるのであれば、ドロドロのファイトで粘ることができるエンフオルギルの価値はさらに上がるだろう。

乗れば強いシネチャグタガと、粘りのエンフオルギル。まるで性格の違うチンギス・ハンの末裔が、どのような戦いを見せるか楽しみなファイトナイトだ。断トツのキック&ムエタイの質と量、グラップリングのトップを揃えたONEにあって、最近のMMAはチャンピオンがキックやグラップリングに駆り出されるなど、興行の軸となっていない印象が強い。とはいえマーケットとしてキックよりも大きなMMAは、初進出を果たすカタールや9月と10月大会が発表された米国に定着するために欠かせない。2024年はランキング制に基づいたMMA各階級のストーリーラインが展開されるのか──注視したい。

■放送予定
1月13日(土・日本時間)
午前10時00分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN18対戦カード

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
シャミル・ガサノフ(ロシア)
オ・ホテク(韓国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
スーブラック・トー・プラン49(タイ)
ステファン・コロディ(アイルランド)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
シネチャグタガ・ゾルツェツェグ(モンゴル)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
ルンラーウィー・シッソンピーノン(タイ)
シャーキル・タクレティ(イラク)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
アルテム・ビュラク(ロシア)
エンフオルギル・バートルフー(モンゴル)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン(英国)
アリ・アリエフ(ロシア)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ミカイル・ジャマル・アブドゥルラティフ(オランダ)

<キックボクシング・ライトヘビー級/3分3R>
ベイブラット・イスアエフ(ロシア)
ユーリ・ファーシス(ルーマニア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
マーク・アベラルド(ニュージーランド)
イブラヒム・ダウエフ(ロシア)

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AB ABEMA F1 MMA o ONE   カリム・ベノーイ カン・ジウォン キック ジェレミー・ミアド ジョナサン・ハガティー セクサン・オー・クワンムアン タイ・ルオトロ ハリル・アミール ベン・タイナン ボクシング マゴメド・アブドゥルカディロフ リト・アディワン ルンピニー 三浦彩佳

『ONE Fight Night 16: Haggerty vs. Andrade』試合結果/三浦彩佳 vs. メン・ボー ハイライト動画

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第10試合 ONEキックボクシング・バンタム級級王者決定戦 3分5R
○ジョナサン・ハガティー(ONEムエタイ同級王者)
×ファブリシオ・アンドラージ(ONE MMA同級王者)
2R 1’57” KO
※ハガティーが王者に

第9試合 ONEサブミッショングラップリング・ウェルター級王者決定戦 10分1R
○タイ・ルオトロ
×マゴメド・アブドゥルカディロフ
判定3-0
※ルオトロが王者に

第8試合 ムエタイ 140ポンド契約 3分3R
○セクサン・オー・クワンムアン
×カリム・ベノーイ
判定3-0

第7試合 MMA ライト級 5分3R
○ハリル・アミール
×アフメド・ムジタバ
1R 5’00” TKO

第6試合 ムエタイ 174.5ポンド契約 3分3R
○シンサムット・クリンミー
×ムーシネ・チャフィ
判定3-0

第5試合 キックボクシング ストロー級 3分3R
×ジャン・ペイメン
○ルイ・ボテーリョ
判定1-2

第4試合 MMA 女子ストロー級 5分3R
×メン・ボー(中国)
○三浦彩佳(TRIBE TOKYO MMA)
1R 2’09” Vクロスアームロック

第3試合 MMA ヘビー級 5分3
×カン・ジウォン
○ベン・タイナン
3R 1’12” 肩固め

第2試合 キックボクシング 女子アトム級 3分3R
×アンナ・ジャルーンサック
○クリスティーナ・モラレス
1R 2’54” TKO

第1試合 MMA ストロー級 5分3R
×ジェレミー・ミアド
○リト・アディワン
判定0-3

 11月4日にタイ・バンコクのルンピニースタジアムで開催された『ONE Fight Night 16: Haggerty vs. Andrade』の試合結果。第4試合で三浦彩佳がメン・ボーに1R Vクロスアームロックで勝利しています。



 三浦彩佳 vs. メン・ボー ハイライト動画。続きを読む・・・
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MMA MMAPLANET o ONE ONE FN16 カン・ジウォン ベン・タイナン

【ONE FN16】ヘビー級グラップラーのタイナン、ジウォンに肩固めで一本勝ち

<ヘビー級/5分3R>
ベン・タイナン(カナダ)
Def.3R by 肩固め
カン・ジウォン(韓国)

プレッシャーをかけるタイナンがすぐにジウォンにシングルレッグで組みつく。ここからバックにつき、持ち上げるようにテイクダウンする。タイナンはそのままグラウンドでもバックを狙いつつ、マウントポジションへ移行。体を起こしてヒジ打ちを落とす。

ジウォンも足を一本入れてハーフガードに戻すが、タイナンはトップキープして再びマウントポジションを取る。タイナンはヒジを落としながら肩固めを狙い、1Rを終えた。

2R、お互いにサウスポーに構える。ジウォンが右を見せてから左ストレート。タイナンはシングルから組みつき、ヒザ蹴りを入れながらダブルレッグでテイクダウンへ。

ジウォンが亀になって立ち上がると、タイナンはクルスフィクスとアームロックを狙う。これを抜かれるタイナンだが、しつこく組み付いてテイクダウンし、ハーフガードでトップキープする。肩固めを狙いつつマウントポジションへ。身体を起こしてヒジ打ちを連打する。

3R、ここもジウォンが左ストレートでプレッシャーをかけるが、タイナンがシングルレッグでテイクダウンする。すぐにマウントをとると肩固めを極めてジウォンからタップを奪った。これでタイナンはMMA戦績を5戦5勝とした。


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【ONE FN16】ムエタイ王者ハガティー×MMA王者アンドラジのキック王座決定戦は、距離の“外し”に注目

【写真】空位のキック王座をムエタイ王者(ハガティー)とMMA王者(アンドラジ)が争う。ある意味、同階級で3つの王座が存在するONEならではのカードだ(※ハガティーの写真は反転加工を行なっています)(C)ONE

11月4日(土・同)にタイのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night16にて、ONEムエタイ世界バンタム級王者のジョナサン・ハガティーと同級のMMA王者ファブリシオ・アンドラジが、キックボクシング王座をかけて対戦する。
Text by Takumi Nakamura

キックボクシングルールのバンタム級王座は昨年11月にタイトル戦が行われ、王者・秋元皓貴を判定2-1で下したペッタノン・ペットフォーガスが新王座に就いた。しかし試合後、ドラッグテストでペッタノンに禁止薬物の陽性反応があったため、ペッタノンはタイトル剥奪、ONEへの1年間出場停止処分が下された。

これを受けて空位になった王座をかけて争うことになったのは、同級ムエタイ王者のハガティーとMMA王者のアンドラジ。バンタム級のランカーからではなく、他ルール王者かつONEではキックルール初挑戦の2人が王座決定戦に選ばれる形になった。


イギリス出身のハガティーはWBCムエタイとISKAムエタイの世界王者として、2019年1月からONEに参戦。2戦目でONEムエタイ世界フライ級王者のサムエー・ガイヤーンハーダオを下して、同級王座に就いた。同年4月の初防衛戦ではロッタン・ジットムアンノンに敗れて王座を手放すも、バンタム級に階級を上げて今年4月にノンオー・ハマの持つ王座に挑戦。ノンオーをパンチでKOし、ONEムエタイの2階級制覇を成し遂げた。

対するアンドラジは今年2月にジョン・リネケルを下してMMAバンタム級王者になっているが、格闘技の原点はムエタイとキックボクシング。MMA転向=ONE参戦前には中国の武林風を中心に戦い、通算40勝3敗という成績を残す立ち技ファイターだった。ONEでは立ち技ルール初挑戦ではあるが、立ち技復帰戦とも言える一戦だ。

アンドラジがONEのMMAルールであげた6勝はいずれもスタンドの打撃によるKO、もしくはスタンドの打撃でペースを掴んだ試合展開だった。アンドラジの打撃は両手を下げて構え、前後のステップで距離を取りながらジャブと左ミドルを当て、左ストレートと左ヒザ蹴りで仕留めるパターンが多い。1R決着に終わったリー・カイウェン戦、ジェレミー・パカティウ戦、クォン・ウォンイル戦はいずれもこのパターンでフィニッシュしたものだ。

しかしそれはあくまでMMAルールにおけるもの。しかもハガティーは圧力をかけて前に出るウラジーミル・クズミンには下がりながら前蹴りと左ミドルで試合を組み立て、自分から前に出たノンオー戦ではボディと顔面にパンチを打ち分けてKOするなど、対戦相手に合わせてゲームプランを変えることができる。アンドラジがMMAのようにハガティーを自分の得意なパターンに持っていくことは困難だろう。アンドラジとしてはジャブや左ミドルではなく、ステップワークを駆使して距離そのものを外す。打撃の交換をせずに、左の強打につなげるような展開を作ることが求められる。

ハガティーとアンドラジ、どちらが勝利するにせよ、異なるルールのベルトを保持する王者が誕生することになる。ランキング外の選手によって争われる王座決定戦だけに、元王者&現ランキング1位で、ペッタノン戦を最後に試合から遠ざかっている秋元にベルトに絡む試合が組まれることを期待したい。

■放送予定
11月4日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN16対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級王座決定戦/3分5R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)

<ONEサブミッショングラップリング世界ウェルター級(※83.9キロ)王座決定戦/12分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
マゴメド・アブドゥルカディロフ(ロシア)

<ムエタイ140ポンド契約/3分3R>
サクセン・オークワンムアン(タイ)
カリム・ベノーイ(アルジェリア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ハリル・アミール(トルコ)
アフメド・ムジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
シンサムット・クリンミー(タイ)
ムーシネ・チャフィ(スペイン)

<キックボクシング・ストロー級/5分3R>
ジェン・ペイメン(中国)
ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
モン・ボー(中国)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ベン・タイナン(カナダ)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
スーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ジャレミー・ミアド(フィリピン)

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【ONE FN16】モン・ボー戦へ、三浦彩佳─02─「誰も知らない場所で誰も知らない強い選手と」

【写真】本人は負けたことで評価されたくない風の三浦だが、組み技でダニエラ・ケリーに取らせず、袈裟に入ったことはMMAで彼女と戦う対戦相手は組みの強さが頭に残っているはずだ(C)ONE

4日(土・現地時間)にタイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night16で、モン・ボーと対戦する三浦彩佳のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

現在、ONEと契約しながら試合の機会に恵まれないファイターは多い。今年に入ってONEを離れるファイターも増えている。そんななかで三浦がONEでの試合を望んだ理由と、彼女の覚悟とは。

<三浦彩佳インタビューPart.01はコチラから>


――結果、ですか。現在グラップリングマッチも含めてONEで3連敗中という結果は、どのように受け止めていますか。

「ヂィンナン戦でベルトを獲れなかったあとのダヤニ・ソウザ・カルドゾとの再起戦で、今までで一番の絶望を感じました。まさか試合中に肩を脱臼するとは思っていなくて――。そのあとも小さな怪我が重なることもありました。その時に『ヤバいな』と思ったんです。もう年齢も年齢だし、初めて連敗を喫していたので。

結構苦しい時期が続いていたなかで、ダニエル・ケリーとグラップリングで戦いました。試合中に分からないことが多くて、またパニックになり、結果も負けで――なかなか試合が組まれないことも含めて『もうどうしようかな……』と思うことは多かったです」

――……。

「TRIBEに入って10年の間で初めてじゃないかっていうぐらい、長南さんともちゃんと話ができない時期が続いていました。一番の理由は、ONEで試合が組まれないことです。なぜMMAの試合が組まれないのか……。それを長南さんに言っても仕方ないことは分かっているのに。……グスッ、グスッ」

――嫌な時期を思い起こさせてしまったようですね。ここで涙を……。

「いえ。いま鼻をすすったのは、花粉症です(笑)」

――えぇっ!?

「嘘をついているわけじゃないですよ。今回はABEMA TVのインタビューでも、ワーッと泣いちゃって。もっとカッコ良くインタビューを受けたいです!」

――アハハハ。長南さんと話ができない時期というのは、どういった状態だったのですか。

「まず長南さんに『試合がしたい』と伝えたんです。すると長南さんから『ONEで試合が組まれていないのは、お前だけじゃないんだ』と言われました。でも私は試合がしたい、ということの連続でした。もちろん何もなかったわけじゃなくて。ただ、試合の話があっても正式決定にならない――ということが繰り返されて。それでTRIBEを離れるというわけじゃないです。でも長南さんと意見が食い違うことはあって、すごく苦しかったです」

――そこでTRIBEを離れることはなくても、ONEを離れるという選択肢はなかったのですか。三浦選手の実績であれば、国内プロモーションからオファーは殺到するでしょうし、少なくとも試合がないという状態にはならないように思います。

「正直、国内で戦うことを考えなくはなかったです。やっぱり私としては、自分がずっと練習しているなかで試合がなく、他のTRIBEの選手はどんどん試合をしている。私自身もすごく調子が良いのに、でも負けているから大きなことは言えない――と思っていて。

それで『どうしようかな……』と考えている時に、村田夏南子選手、魅津希選手とスパーリングする機会があったんですよ。二人ともグラップラーと試合をするからと、私をスパーリング相手として呼んでくれて。そこから毎週のようにスパーリングしているうちに、『MMAをやるかぎりは、どうせなら誰も知らない場所で誰も知らない強い選手と試合がしたい』と思ったりしました。UFCファイターと練習していると、すごく刺激にもなりましたし。だから、長南さんから『どうする?』と訊かれた時に言ったんです。『私、ヂィンナンと再戦したいです』って」

――「安西先生、バスケがしたいです……」という状態ですね。

「……私が目指しているのはONEのベルトだし、ずっとヂィンナンと再戦したいと思っていました。それで長南さんにも『ONEでやりたいです』と伝えたんです。すると『本当にそれで良いんだな?』、『覚悟を決めました』って」

――なるほど。それほどの覚悟を決めて臨むモン・ボー戦ですが、この相手に決まった時の気持ちを教えてください。今はONEで連勝中で、タイトルコンテンダーの一人です。

「モン・ボー選手の名前を聞いた時、『おぉっ!!』と思いました。試されているなぁって、嬉しかったですね。個人的にはモン・ボー選手は、次の試合でベルトに挑戦すると思っていて。そんな相手との試合が決まり、長南さんからも『決まったからな。あとはゴチャゴチャ言わずに、やるだけだぞ!』と言われました。私も『ありがとうございます!!』って。

客観的に見ても、私とモン・ボー選手だと面白い試合になるんじゃないかなって思います。女子であれだけKOできる選手はいないと思うし、デビュー戦でジャン・ウェイリにも勝っていて、すごく強いファイターです」

――特にあれだけ至近距離で強く右を打ち込める女子ファイターも、なかなかいませんね。

「やっぱり打撃×寝技っていう見方はされると思います。そのモン・ボー選手に組みつくための方法は堀江トレーナーさんと一緒に、いろんなバリエーションを体に染み込ませています。今までも練習していたことではありますけど、何をどう出すかは実際にモン・ボー選手と向き合ってみなければ分からないです。でも今回はスパーリングも、相手にモン・ボー選手を想定した動きをしてもらったりとか。当日は今までとは違う動きも見せられるかと思っています」

――それは楽しみです。

「……ダニエル・ケリー戦も『あやかロックは出さない』と言いながら、結局は出してしまいましたからね。だから最終的にはどうなるか分かりません(苦笑)」

――もちろん自分が最も得意な形を完全に封印して戦う必要はないでしょう。ただ、今は「あやかロックしかない」のではなく「あやかロックもある」とバリエーションが増えているということですよね。

「そうですね。気持ちの面でも、落ち着いて戦えるようにもなりました。普段からBellatorファイターの渡辺華奈さんと練習していて、UFCファイターの村田夏南子選手と魅津希選手のファイトキャンプにも参加させていただいたし、本当に良い経験ができていると思っています。今回こうして試合ができるのは、応援してくださる皆さんのおかげです。まずは次の試合に勝って、ヂィンナン選手とベルトを賭けた再戦まで辿り着きます」

■放送予定
11月4日(土・日本時間)
午前9時00分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN16対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級王座決定戦/3分5R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)

<ONEサブミッショングラップリング世界ウェルター級(※83.9キロ)王座決定戦/12分1R>
タイ・ルオトロ(米国)
マゴメド・アブドゥルカディロフ(ロシア)

<ムエタイ140ポンド契約/3分3R>
サクセン・オークワンムアン(タイ)
カリム・ベイーノ(アルジェリア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ハリル・アミール(トルコ)
アフメド・ムジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
シンサムット・クリンミー(タイ)
ムーシネ・チャフィ(スペイン)

<キックボクシング・ストロー級/5分3R>
ジェン・ペイメン(中国)
ルイ・ボテーリョ(ポルトガル)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
三浦彩佳(日本)
モン・ボー(中国)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ベン・タイナン(カナダ)

<ムエタイ女子アトム級/3分3R>
スーパーガール・ジャルーンサックムエタイ(タイ)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ジャレミー・ミアド(フィリピン)

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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE X ONE130 ROAD FC UFC   アドリアーノ・モライシュ アナトリ―・マリキン アミール・カーン アンジェラ・リー アンドレ・ガルバォン エドゥアルド・フォラヤン カン・ジウォン キック キム・ジェウン キャムラン・アバソフ ゴードン・ライアン ジヒン・ラズワン スタンプ・フェアテックス スティーブン・ローマン タン・カイ ダニエラ・ケリー チャンネル デニス・ザンボアンガ デメトリウス・ジョンソン ハム・ソヒ ボクシング ライニア・デリダー リト・アディワン ロッタン・シットムアンノン 仙三 佐藤将光 平田樹 澤田龍人 秋山成勲 若松佑弥 青木真也 高橋遼伍

【ONE130】ガルバォンと組み技戦、二階級王者ライニア・デリア―「ガルバォンは15分間サバイブできない」

【写真】ガルバォンのボディがヤバい……(C)MMAPLANET

本日26日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE130「ONE X」でONE世界ミドル級&ライトヘビー級世界王者ライニア・デリガーがアンドレ・ガルバォンとグラップリングマッチを戦う。

2月にウェルター級王者キャムラン・アバソフの挑戦を一蹴し、その組み技力の高さを改めて見せたデリダ―が、柔術界のレジェンドとの戦いに向け――自信のほどを口にした。


――2月25日にキャムラン・アバソフを一方的な展開で下し、その時にマイクアピールをしていたアンドレ・ガルバォンとのグラップリングマッチが実現します。それにしてもアバソフを一方的に下したミドル級の防衛戦には驚かされました。

「上手くいったね。試合はいつだって一方的にドミネイトしたいと考えているし、少しでも早く極めたいと思っている。いつもそうなるとは限らないから、凄く達成感があるよ。あの試合後、少しだけ家族と過ごしてシンガポールをまた訪れることが楽しみだよ(※取材は3月16日に行われた)」

――ライニアは打撃でKOをするタイプではないですが、しっかりと相手の打撃を見ることができる。そして組み技につなげて、最後はグラウンドで仕留めるウェルラウンダーだと再確認できました。

「だって毎日のようにオランダのキックボクサーと練習しているからね。常に進歩しているよ。打撃の練習も好きだし、楽しんでいる。けど常に僕は柔術を代表して戦っているつもりだ。いつか僕のテイクダウンをストップする相手が現れた時は、打撃をもっと披露することになるだろうね」

――その柔術に関して、以前のインタビューで「ポイント制でホールドするのが嫌いで、柔術の試合には出ないようになった」と言っていました。そのライニアがサブオンリーでガルバォンというレジェンドとサークルケージの中で戦います。

「なぜ、試合場に来て戦わずに守ることばかりを考えるのか、僕には理解できないんだ。生き残れば良いのかな? 僕は自分の培ってきた技術の全てを駆使して、ガルバォンを倒しに行く。僕のグラップラーとしてのキャリアのなかでも、ガルバォンのような強豪と戦うのは初めてだし、凄く楽しみにしている。もっと楽しみなのが、彼に勝つこと。この機会を得ることができて、本当にハッピーだよ」

――とはいえ、ここ数年のガルバォンのADCCでのスーパーファイトはポイントを取って守るというものです。それでもポイントがあれば、まだ観客は勝ち負けの目安が観客も分かります。今回はサブオンリーで、観客にもタフなファイトになるかもしれないです。

「試合はケージで行われる。ガルバォンは逃げる場所がないよ」

――防御能力の高さ、それがIBJJFのトーナメントで優勝できる選手の共通項です。そのガルバォンが守りに徹すると、相当に難しい試合になるかと。

「対戦相手が何をするか、それは関係ない。僕がこれまでどういう試合をしてきたか。今回も同じように、完全にドミネイトすることを考え。少しでも早くフィニッシュするために戦うよ。ガルバォンは15分間もサバイブできない。

彼はテイクダウンから試合を組み立てていく。立ち技ではスナップダウンがとても巧妙だ。スナップダウンに引っかからないよう、しっかりと間合いを考えて戦う必要がある。ガルバォンがトップを取ると安全策を取って厄介になるからね。でも、僕がテイクダウンを奪われることはないよ」

――いなしに注意。そこが楽しめるファンは相当にコアですね。ところでMMAでは上攻めのグラップラーですが、パンチがないグラップリング戦だと下になる選択はありますか。

「ノー。僕が引き込むことはないよ。テイクダウンされたり、スイープされてボトムを取ることはあっても、自分から下にはならない。狙いはテイクダウン、トップを取ってバックに回ることだよ。MMAから打撃を抜いた組み技をする。引き込むことはない」

――15分間だと、ガルバォンも慎重になるでしょうね。スタミナを切らさないために。

「その通りだ。だから僕はプッシュし続ける。15分間、動き続けるだけのコンディションを創っているしね。動いて、ガルバォンをもっと疲れさせるんだ。彼のゆっくりしたペースを速く動いて、崩す必要があるからね」

――キック、ムエタイ、MMAのなかで行うグラップリング。観客には知識と我慢が必要なのがグラップリングです。その状況でどうファンを満足させたいと考えていますか。

「積極的に動いて、極めを狙う。そしてキックやムエタイ、MMAの試合を楽しんでもらうストラクチャーの役割を果たすよ。僕はヘッドライナーじゃないし、自分の試合を楽しんでから、ビールでも飲みながら他の試合を視て楽しむよ。それにこの歴史的なショーに参加できること自体が嬉しいしね」

――今後もグラップリングマッチを戦うことはありますか。

「もちろんMMAが僕のメインフォーカスだ。ただビッグネームと戦えるなら、グラップリングファイトもチャレンジしたい。ブシェシャ、ゴードン・ライアン、そんなビッグネームとならグラップリングでも戦いたい」

――ではMMAファイターとしての今後は?

「ヘビー級のベルトを狙いたい。正規王者のアージャン・ブラーと暫定王者のアナトリ―・マリキンがまずは戦うべきなんだろうけど。マリキンはロシア人だから、この先ONEで戦えるのか……。そこも関係してくるね」

――ライニア、今日はインタビューを受けていただきありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「実は今、リキ・フクダ(福田力)と練習しているんだ。リキはUFCやアジア(※Road FC)で戦ってきた、本当のナイスガイだ。日本はMMAで長い歴史を持っている。そんな日本のファンにも僕とガルバォンのグラップリングマッチを楽しんでほしい。そして、いつの日が僕も日本で戦いたいと思っている」

■放送予定
3月26日(土・日本時間)
午後1時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時00分~ABEMA PPV ONLINE LIVE

■ONE130 「ONE X」対戦カード

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者]スタンプ・フェアテックス(タイ)

<フリースタイル・フライ級(※61.2キロ)/3分4R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
デメトリウス・ジョンソン(米国)

<ONE世界フライ級 (※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] 若松佑弥(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
秋山成勲(日本)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ウェイン・パー(豪州)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者]マラット・グレゴリアン(アルメニア)

<ムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
[挑戦者] フィリッピ・ロボ(ブラジル)

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
【王者】カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
【挑戦者】秋元皓貴(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
タン・カイ(中国)

<キック・フェザー級ワールドGP決勝/3分5R>
チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン)
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)

<グラップリング・ミドル級 (※93.0キロ)/15分1R>
ライニア・デリダー(オランダ)
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
シムサット・クリンミー(タイ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ジャレミー・ミアド(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
スティーブン・ローマン(フィリピン)
佐藤将光(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
高橋遼伍(日本)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ポール・エリオット(英国)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
山口V.V芽生(日本)
ダニエラ・ケリー(米国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
澤田龍人(日本)
仙三(日本)

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【ONE130】アジア最高峰のフェザー級戦=キム・ジェウン戦へ、タン・カイ「全世界に衝撃を与える」

【写真】この2人とやりあえる日本人ファイターが、どれだけいるのか。いや、両者の戦いに割って入る日本人選手が現れてほしい(C)MMAPLANET

本日26日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE130「ONE X」でタン・カイがキム・ジェウンと対戦する。

1月28日に対戦する予定だった――このアジア最高峰のフェザー級マッチは、試合当日はキャンセルとなった。ボーナス獲得まで青写真を描いていたタン・カイに、仕切り直しの一番を記念大会で戦うことになった心境を尋ねた。


――1月28日に対戦が決まりながら、流れたキム・ジェウン戦がついに実現します。

「あの時は試合当日にキムが陽性になったことが分かったんだ。僕が知ったのも、大会当日のお昼で会場に向かう数時間前だった。ホント、あの時は落ち込んだよ。どのように試合を終わらせるかをずっと頭の中に描くだけでなく、5万ドルのボーナスを手にすることも思い描けていた。それが全てなくなってしまって、もう言葉もなかったよ」

――結果、ONE XというONEの歴史で最大のイベントで戦うことになりました。

「ONEの10周年記念大会で戦えることは、とても光栄に思っている。特に僕は今大会に出場する唯一の中国人選手だし。この試合は僕を応援してくれるファンが待ち望んだ試合で、このビッグショーでONEが試合を組んでくれたことは、僕がそれだけ買われている表れだと思っている。その期待に応えるために、良い試合をしたい」

――20試合が組まれた今大会でも、ボーナスを獲得する自信はありますか。

「自信? メチャクチャあるよ。20試合、40人の選手が戦うイベントでボーナスを獲得するにはただフィニッシュするだけじゃ物足りない。見た目も最高のKOで勝ちたい。必ず、そんなKOを皆に見てもらうよ。全世界に衝撃を与えるようなKO勝ちを、ね」

――派手な打ち合いの方がボーナスは貰いやすいです。そんな殴り合いか、一方的な勝利か、どちらを望みますか。

「そりゃあドミネイトしたいよ。でも、簡単に行くわけがない。キム・ジェウンはそれだけの強豪だからね。結果、ギリギリの殴り合いにならざるをえないだろう。と同時に、僕とキムの試合はONE Xにおいて、もっともテクニカルな戦いになるはずだ」

――キム・ジェウンは本当にタフな相手です。この一番がタイトル挑戦に向け、とても重要になってくるはずです。

「うむ……3月11日の大会後の会見で、チャトリが僕らの試合の勝者がタイトル挑戦権を手にできると発言したはずだ。だから、次のタイトルチャレンジャーは僕になる」

――それだけの自信、どこから湧いてくるのでしょうか。

「絶対的に打撃は僕の方が上だ。スピード、移動、フットワークも僕の方が優れている。どの状況になっても、少し僕の方が速いと思う。それが僕のアドバンテージだ」

――ターゲットであるタン・リーが、56秒でゲイリー・トノンを破ったことについて、どのような印象を持っていますか。

「タン・リーは素晴らしい試合をした。ゲイリー・トノンはとても危険なファイターだけど、皆が知っているようにウェルラウンディット・ファイターじゃない。柔術に関しても、超一流だ。ただし、打撃など弱点もある。それにしても、あの足関節にパニックにならず冷静に対処し、パウンドで失神させるなんてタン・リーは本当に良い仕事をしたよ」

――グラップリング、ムエタイ、キック、フリースタイル、MMAが混在する中で、キムとの本格派対決でどのような試合を世界に見せたいと思っていますか。

「さっきも言ったようにお祭りのようなイベントのなかで、僕らの試合は最高にテクニカルな試合になるだろう。そんなタフな試合で、自分の知る限りの知識を使い、できる限り最高の動きをする。現状で最高のタン・カイの戦いをすることを約束するよ」

■放送予定
3月26日(土・日本時間)
午後1時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時00分~ABEMA PPV ONLINE LIVE

■ONE130 「ONE X」対戦カード

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者]スタンプ・フェアテックス(タイ)

<フリースタイル・フライ級(※61.2キロ)/3分4R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
デメトリウス・ジョンソン(米国)

<ONE世界フライ級 (※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] 若松佑弥(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
秋山成勲(日本)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ウェイン・パー(豪州)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者]マラット・グレゴリアン(アルメニア)

<ムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
[挑戦者] フィリッピ・ロボ(ブラジル)

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
【王者】カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
【挑戦者】秋元皓貴(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
タン・カイ(中国)

<キック・フェザー級ワールドGP決勝/3分5R>
チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン)
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)

<グラップリング・ミドル級 (※93.0キロ)/15分1R>
ライニア・デリダー(オランダ)
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
シムサット・クリンミー(タイ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ジャレミー・ミアド(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
スティーブン・ローマン(フィリピン)
佐藤将光(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
高橋遼伍(日本)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ポール・エリオット(英国)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
山口V.V芽生(日本)
ダニエラ・ケリー(米国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
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【ONE130】2月17日に秋山成勲が語っていた青木真也戦「青木君ってビビり、あの子も臆病ですよね」

【写真】本計量から5時間近くを経て、セレモニアル計量で対峙した両者。リカバリーがあるとはいえ凄まじい肉体を誇る秋山と通常体重の青木(C)MMAPLANET

本日26日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE130「ONE X」。同大会で青木真也と秋山成勲が対戦する。

DREAM時代からの因縁、両者の立ち位置が違ってきても水と油であることは変わりなかった両者の一戦は、昨年10月のRoad to ONEでの青木のマイクアピールより、遺恨が表面化し対決の時を迎えた。

両者がケージに相対する時が刻々と迫る中、同カードが決定し発表前に取材した秋山の声をあえたこのタイミングでお届けしたい。2月17日に秋山成勲が語っていた青木真也戦――とは。


――まずONE10周年記念大会での青木真也戦が決まった秋山選手です。正直、青木真也側のマッチアップであり、秋山選手にとっては貰い事故ではないかと。

「アハハハハ、貰い事故。良い例え方しますね。まぁ、貰い事故という言い方をすると青木君が悪くなってしまうので。喧嘩でも、喧嘩両成敗ということがあるようにどっちがどうこうというのはないと思うのですが、青木選手の階級に自分が行くということで、そういう風に見えてしまうのは仕方ないと思います。

単純に自分が水抜き減量なしで、77キロで戦うことがなかったのでリスキーはリスキーです。そこに関しては不利でしかないというのもあります。でも、それも全部踏まえて俺の人生の1ページなので。長い目で見ると、楽しい思い出になるとは思っています。気負っているとか、そういう変な意味でなく。この年になると、人生を長く見るような形になってきてしまうので。それはそれで受け入れて、勝ちをもぎ取るというほうが人間として恰好良いかなと思っていて。まぁ、巻き込まれているという言い方をされるのも分かりますし……そうですね、良いところをついた表現ですよね、貰い事故というのは」

――秋山選手がONEでやるべきことは、韓国のMMAをONEとともに盛り上げる。底上げするということが第一だったと思っています。

「うん、そうなんですよ。そこは、本当に」

――韓国の将来のために、世代交代マッチならいざしらず。青木選手主導の遺恨マッチによく足を踏み入れたな。うまみの無いファイトの相手役を受けたという印象が強いです。

「アハハハハ、そうですよね。まぁ青木君とABEMAの北野(雄司)さんの目論見じゃないですか(笑)。この試合はそうですよ。それに俺が乗っかったようなもので」

――ただし、昨年10月のあの青木選手のマイクに対し、秋山選手が馬鹿丁寧に正論で言葉を返した。あの返答、ファンもついてこられないような両者のズレで青木ワールドだけでなく、秋山色に染まった感がありました。あれは面白かったですよ。

「あぁ、そうなんですか(笑)。ありがとうございます」

――あの「年上の人間に口の利き方が――」というな道徳の教科書かっていう返しで(笑)。

「あの日、何かを言われるとは思っていましたけど、答えを用意して解説をしていたわけではなかったです。それにセリフじみたことを言っても、皆にばれちゃいますし。でも生中継中で、だんまりを決め込むわけにもいかない。なら正直に話すことが何よりも皆に伝わると思いました。ケガをして戦えないのだから、無理なものは無理で。なら、ごめんねと伝える。それだけのことだと思うんです。だから。それについてガタガタ言われても……それよりも、年上にはちゃんと喋らないといけないでしょ、みたいな」

――アハハハ。それが絶妙でした。

「あの興行は俺が創って、青木君のファイトマネーも俺が払ってんだよって。そこは言いたくなかったけど(笑)。なんで、興行主にそんな唾を吐いてくるんだとは思っていたんです。でも、そこはぐっと我慢して口にせず、『いやいやいや』と。それだけですよ」

――ニュー秋山カラーというのか。実際、ヌルヌル事件にしましても、そこをずっと言及されるのも事実だし、キレーごとを言いやがってと捉える人もいると思います。ただ、自分は2015年11月のUFCソウル大会、あの場で韓国語で韓国人の記者と、韓国社会の中に入ってやりとりをしている秋山選手の姿を見て、どれだけのことを乗り越えてきたんだろうと思ったことがありました。

「いろいろと敏感なところ、その狭間で生きてきた人間が韓国社会に受け入れられるまでに凄く叩かれたこともありました。だからといって、桜庭さんと戦った時にやったこととは別です。違う話です。それは一生背負っていかないといけないもので、秋山は変わったと思われ、そこをチャラにできるとは思っていないです。仮に今の私を見て、そのように思ってくださる人がいればありがたいということで。

今回の青木君との試合を見て、そんな風に思ってくれる人がいるなら、それもありがたいです。でも、なかったことにはできないですからね」

――青木真也ペースのなかで、この試合を受けた。そして、自分のモノにしようという気持ちもあるかと思います。それが今の秋山成勲なのかと。

「そこまで考えてやっていることではないです。ただ、やるしかない。やるしかないのだからやります。今、韓国はオク・レユンがONEの世界ライト級王者になり、キム・ジェウンがマーチン・ウェンをKOした。キム・ウォンイルもケビン・ベリンゴンをKOしています。

ここで僕が負けると、ONEの韓国大会を頭とってやれる状況でなくなってしまいますからね。この試合、実は韓国では心配されているんですよ。身内になると優しいので、77キロで戦えるのか――って、オカンみたいに見守られている感じです(笑)」

――改めてONE10周年記念興行で戦うことに関しては、もう異論はなかったですか。

「戦える状態なので試合をするのは当然なんですけど、やはり体重のことがあったので、階級が違うから契約体重でも良いのではないかと提案はしました。そうしたら完全に蹴られたので、『なんだ、こいつ。プロレスラーじゃねぇなんだな』と思いつつ、自分が頑張るしかないなと思って受けたという形ですね。

それが青木君の勝ちにこだわる。素晴らしい点だと思います。だから素晴らしい選手と戦えるということをモチベーションにしないといけないですよね。正直、1カ月ちょいあっても体重がなかなか落ちなくても、ヤキモキしている状態です。その殻を破ることがストレスにめちゃくちゃなっているのですが、それ以上に青木選手と戦えることを楽しみに感じないと体重は落ちないと思います。

だからムカつくとか、ああだこうだは置いて素晴らしい選手と戦える……強いやつと戦いたい、それが嬉しいという子供のような気持ちでいないと、マジで厳しいですね。それぐらいリスキーな部分が……、これまでやったことがないので、やはり思います。でも、その初戦でチャンピオンクラスの人と戦えるのは、格闘家として良いことで。この試合はチャンスだと捉えないと、やっていられないなと思います」

――その慎重さ、気持ちの作り方は臆病さの表れでもあるかと思っています。同時に怖さを克服するという部分こそ、勝敗を別にすると何よりも大切なことだと思えるんです。

「ホンマ、そうですね。77キロに落としても力で勝負したいです。正直、83キロより全然力は落ちると思います。77キロの青木君の方があるかもしれない。でも『なんだ、こいつ』と思わせたいです。柔道から培ってきた貯金を上手く使いながら、青木君を面食らわせたいですね。

青木君ってビビり、あの子も臆病ですよね。だから勝ちにこだわる。その臆病な部分を引き出すことができれば、勝ちにつながる。そこが自分の勝負どころだと思います」

■放送予定
3月26日(土・日本時間)
午後1時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時00分~ABEMA PPV ONLINE LIVE

■ONE130 「ONE X」対戦カード

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者]スタンプ・フェアテックス(タイ)

<フリースタイル・フライ級(※61.2キロ)/3分4R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
デメトリウス・ジョンソン(米国)

<ONE世界フライ級 (※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] 若松佑弥(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
秋山成勲(日本)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ウェイン・パー(豪州)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者]マラット・グレゴリアン(アルメニア)

<ムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
[挑戦者] フィリッピ・ロボ(ブラジル)

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
【王者】カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
【挑戦者】秋元皓貴(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キジュ・ジェウン(韓国)
タン・カイ(中国)

<キック・フェザー級ワールドGP決勝/3分5R>
チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン)
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)

<グラップリング・ミドル級 (※93.0キロ)/15分1R>
ライニア・デリダー(オランダ)
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
シムサット・クリンミー(タイ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ジャレミー・ミアド(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
スティーブン・ローマン(フィリピン)
佐藤将光(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
高橋遼伍(日本)

<ヘビー級(※70.3キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ポール・エリオット(英国)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
山口V.V芽生(日本)
ダニエラ・ケリー(米国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
澤田龍人(日本)
仙三(日本)

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【ONE130】ロッタンとミックスファイトを戦うDJ「MMAでの経験をムエタイルールに持ち込む」

【写真】高度な格闘議論をご機嫌な様子で語ってくれたDJ(C)MMAPLANET

26日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE130「ONE X」で、デメトリウス・ジョンソンがロッタン・シットムアンノンとムエタイ→MMA→ムエタイ→MMAというフリースタイル=ミックスファイト戦う。

一方が完全に得意とする分野で交互で戦う――ある意味、見世物的な要素が高い試合もDJにかかると高度な格闘術となる。ムエタイルールを戦うことで、よりDJのMMAファイター像が明白となる言葉が聞かれた。


――今はまだワシントン州ですか。

「そうだよ。日曜日にシンガポールへ向かうよ(※取材は3月19日に行われた)」

――フリースタイル=ミックスルールでロッタンと対戦します。非常にユニークな経験になりますね。

「昨日、最後のトレーニングセッションが終了したんだ。コーチのマット・ヒュームから『何も問題ない。サブミッションはOKだし、コンビネーションも抜群だ。スタミナも十分』と言われたよ」

――このルールセットでロッタンと戦うというオファーはいつあったのでしょうか。

「最初は11月だったと思う。12月に戦う予定だったけど、コロナで延期になったけどね。こういうルールで戦うのも楽しみだよ。ロッタンはムエタイのナンバーワン・ファイターだからね。その彼がMMAもある、ミックスファイトに挑んでくるのだから」

――この手のルールは見世物感がありますが、DJとロッタンが戦うということで興味深いです。

「キョージ・ホリグチがテンシンにキックルールで挑んだり、シンヤ・アオキがK-1ファイターとミックスルールで戦ったり、K-1からミルコ・クロコップがヴァンダレイ・シウバにMMAで戦ったこともあった。2つの分野のトップ選手が戦うというのは、凄くエンターテイメントなファイトのなかにも価値があるよね。

今回のムエタイとMMAが交互に行われる試合に、MMAのトップの1人である僕とムエタイのベストであるロッタンが戦うのも同じだ。ただムエタイ選手とMMAファイターが戦う場合、立っても寝ても戦えるMMAファイターが有利なのは当然のことだよ」

――今、例に上がったファイトは全て日本で行われてきたものです。今回の試合、米国のファンのリアクションはどのようなものなのでしょうか。

「米国のファンは『なせ?』と思っているだろうね。昨年4月にアドリアーノ・モライシュにグラウンドでのヒザでTKO負けしても、なぜ反則勝ちじゃないんだという風に捉えられていた。ONEでは有効なヒザ蹴りが、米国では反則と思われている。グラウンドでのヒザ蹴りですら、米国では馴染みのないものだから今回のスペシャルルールは、あまり理解されていない向きはあるよ。日本とは違うんだ。日本だとグラウンドでのニーに戸惑うファンはいないじゃないか」

――DJも言われたようにMMAファイターはMMAルールで戦えば絶対的に有利な試合だと思われます。だから先に立ち技のルールが用いられます。

「今回の試合は1R3分、3分×4R制というのがまずMMAと違う。もちろんMMAが最初にくれば最高だよ。グラウンドに持ち込んで早々にサブミットだってできるだろう。でも、同様にムエタイルールで僕は早々にKOされる可能性がある。どんなことだって起こりえるのが、このルールだ。そして僕はムエタイを取り入れてMMAを戦ってきた。その3分間も、逃げ回るわけじゃない」

――勝ち負けでなく、試合展開として2Rは予想がつきやすいです。ただ初回は分からない。厳格にムエタイルールが守られ、拳や蹴りの届く位置で常に手を出し合って戦うことを強要されると、本当に厳しくなります。逆にMMAの距離で戦うことができれば、DJが3分間を乗り切る可能性は高くなる。

「1R……そうだね、ロッタンがこれまでONEで戦ってきたムエタイの試合でも、対戦相手はウェスタン流というか、普段は真っ向勝負しているのにロッタンを相手にはそういう戦いはしなかった。ステップを踏み、距離を考えて動いていた。ONEはマーシャルアーツの価値を尊ぶ組織だ。ウェスタン・ムエタイというべき、立ち技戦を僕はロッタンに挑むつもりだ。

もともと角度とタイミングを重視するというのは、僕のMMAの一部だ。そうやってプレッシャーをかけてきた。その先にはテイクダウンがあるからね。MMAでの経験をムエタイルールに持ち込む。ロッタンが首相撲を仕掛けてきても、僕だって対応できる。過去10年、ずっと見せてきたようにね。これまで培ってきた技術を駆使して、僕はムエタイに対応する。そういう試合を世界に披露するんだ」

――いよいよ、どのようなムエタイになるのか予想がつかないのですが、とても楽しみになってきます。首相撲で対抗するって、相当にリスキーではないですか。

「凄くリスキーだよ。それは承知している。だって、そうしないならこのルールに挑む必要はないだろう。何も示さないのに戦う意味はない。ムエタイが3分、MMAが3分。1R3分の試合を最後に戦たったのはアマチュアの時だよ。MMAルールでも試合はスタンドから始まる。ロッタンはクリンチも使えるだろう。90秒の間にテイクダウンしてグラウンドに持ち込む。そう断言するよ。3分しかないからね。5分あれば2分間をスタンドで過ごしても構わない。でも3分だ、積極的なアタックし続ける。

ただし焦りは禁物だ。急がないことが大切になってくる。同時にロッタンもMMAルールで逃げ回ることはないだろう。テイクダウンをスプロールしようとして、戦ってくるはずだ。ムエタイからMMAに転じるとアングル、レンジとプレッシャーをかける。2人の取るべきスタンスが、ラウンドごとに変わるようになる。だから、この試合は面白いファイトになるんだ」

――ただ過去のミックスファイトルールでは、青木真也選手が初回のキックルールを生きのびた直後、MMAルールになりテイクダウンにヒザを合わされてKO負けということがありました。

「まず、あの頃のシンヤ・アオキは打撃ができていなかった。今はムエタイをもっと使えるようになっている。あの試合から学べることは……焦らないこと。初回、アオキは手を使わず料理しろと言われていたようなものだった。そして、2Rは手を使って良いと言われた。その瞬間、なんでもできると攻め気になった。2Rになってもラッシュはかけない。自分のゲームをすれば、それで良いんだ。プレッシャーをかけてからだよ、組んでグラウンドに持ち込むのは。シンヤはあの時、急ぎ過ぎていた」

――10周年記念大会にスペシャルルールで戦うDJですが、この大会以降は再びMMAのフィールドに戻りタイトルを目指すのでしょうか。それともスペシャルな存在として、何か特別な意味合いのある戦いに挑み続けることになりますか。

「MMAに戻るよ。僕はMMAを愛しているし、MMAの練習をすることが生きがいになっている。世の中にはベストボクサー、ベスト・ムエタイファイター、ベスト・キックボクサー、ベスト柔術家、ベストレスラーが存在するけど、それが一体化したときのレベルの高さには自分でも自信を持っている」

――もちろんです。そこにかけてDJほど、MMAをMMAとして多くの技術を融合できているファイターは今も稀です。

「ボクシングを使う局面なのか、ムエタイなのか。その判断が自然とでき、動きに連弩うできるかどうか。スパーリングでも自分の体が求める動きをしているんだ。だからムエタイを戦っていても、自然な反応で相手の動きを止めることができるはずだ。ブルース・リーがいった『Empty your mind, be formless, shapeless – like water』だよ」

――心を空にして、形をなくす。水のように――ですね。

「ブルース・リーの言っていることは、一つのスキルセットに固執するんじゃなくて、どんな状況でも適した手段をこうじろということだと思うんだ」

――ジークンドーでなく、それがDJのMMAコンセプトですね。ところでONEが開拓しようとするグラップリングシーンでマイキー・ムスメシと戦うようなことは考えていますか。

「マイキーはピュアグラップリングではモンスターだ。僕のグラップリングの腕前をチェックしたいんだね(笑)」

――ケージがあるなかで、DJはどのようなグラップリングを見せることができるのか。そこが凄く興味深いです。

「あぁ、なるほどねぇ。そういうことか、それならやる意味があるね。言いたいことは分かったよ。確かに興味深いね」

――ハイ。マイキーにMMAを戦ってほしいとは特に思わないですし。もちろん、興味深くはあるのですが……。ところでONE Xで行われる世界フライ級選手権試合、DJはどのように予想していますか。

「ユーヤ・ワカマツのスキルセットは、フットワークを駆使パワーのあるパンチでKO勝ちを狙うものだ。ただしミキーニョも、立ち技に優れたウェルラウンダーだ。グラップリングにおいてはユーヤ・ワカマツをリードしている。スピードで上回るのはユーヤだけど……いや予想はできないよ。KOならユーヤ。サブミットならミキーニョだよ」

――DJ、興味深い話をありがとうございました。最後に日本のファンに一言お願いします。

「日本の皆のサポートに感謝しているよ。また皆に会いたいし、日本で試合がしたい。コロナ禍でもしっかりと健康に気をつけてほしい。日本で試合ができる機会が訪れるなら、いつだって戦うよ。いつでも、ね」

■放送予定
3月26日(土・日本時間)
午後1時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時00分~ABEMA PPV ONLINE LIVE

■ONE130 「ONE X」対戦カード

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者]スタンプ・フェアテックス(タイ)

<フリースタイル・フライ級(※61.2キロ)/3分4R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
デメトリウス・ジョンソン(米国)

<ONE世界フライ級 (※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] 若松佑弥(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
秋山成勲(日本)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ウェイン・パー(豪州)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者]マラット・グレゴリアン(アルメニア)

<ムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
[挑戦者] フィリッピ・ロボ(ブラジル)

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
【王者】カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
【挑戦者】秋元皓貴(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キジュ・ジェウン(韓国)
タン・カイ(中国)

<キック・フェザー級ワールドGP決勝/3分5R>
チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン)
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)

<グラップリング・ミドル級 (※93.0キロ)/15分1R>
ライニア・デリダー(オランダ)
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
シムサット・クリンミー(タイ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ジャレミー・ミアド(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
スティーブン・ローマン(フィリピン)
佐藤将光(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
高橋遼伍(日本)

<ヘビー級(※70.3キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ポール・エリオット(英国)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
山口V.V芽生(日本)
ダニエラ・ケリー(米国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
澤田龍人(日本)
仙三(日本)

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