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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:9月魅津希×ゴールディ「練習してきたことを試合で出せるセンス」

【写真】オクタゴンで、しっかりと勝てる。素晴らしいことだ(C)Zuffa/LCC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。今回は水垣偉弥氏が選んだ2023年9月の一番──9月23日に行われたUFN228:UFN on ESPN+86「Fiziev vs Gamrot」での魅津希×ハナ・ゴールディ戦について語らおう。


――今回水垣さんにはUFN228での魅津希×ハナ・ゴールディを選んでいただきました。

「魅津希選手は約3年のブランクがあって復帰戦が組まれて、UFCなので相手のレベルも高いですし、大変な状況だったと思うんですけど、本当にいい勝ち方をしたと思います。UFCにおいて日本人がなかなか勝てないという状況が続いている中で、同じ日本人としてうれしい勝利でしたね」

――僕も試合を見ていて、ブランクを感じないほど序盤から身体が動いていたと思いました。

「すごく動きが良かったですよね」

――それだけ準備が出来ていたということでしょうか。

「UFC PIも利用してリハビリに向けたサポートをしっかり受けることが出来たのが大きいんじゃないですかね」

――結果的に時間をかけて治療、リハビリ、練習したうえで復帰したことがよかったのかもしれませんね。

「特に彼女の場合は小さい頃から格闘技をやっていて、年齢と比較して競技生活が長いと思うんですよ。それで細かい怪我も多かっただろうし、一度しっかり休んで怪我を治すことが出来たのは、これからに向けても大きなことだったと思います」

――技術的な部分についても聞かせてください。1Rはテイクダウンを狙うゴールディを首相撲でコントロールしたり、組みの攻防にイニシアチブをとっていました。

「あの首相撲もそうですし、自分殻をワキを差してゴールディにケージを背負わせたり、レスリング力がかなり向上しているなと思いました。下になる場面は2Rに1回あったぐらいで、あの時もすぐにスクランブルを仕掛けて、立ち上がっているんですよ。それまでの魅津希選手は打撃が出来て寝技も強いタイプで、テイクダウンされると下から勝負することを選択することが多かったと思うんです。でも今回は下になっても立つ、上を取り返すという意識が強くなっていて、MMAファイターとしての進化を感じました。ただ怪我を治して元の状態に戻って復帰するのではなく、それにプラスアルファで自分に足りなかった部分を補ってきたんだなと思いました」

――フィニッシュを狙う印象が強かった魅津希選手のMMAファイターとしての進化が見られた試合ですね。

「そうですね。やはりこういう戦い方ができると判定を拾いやすくなるので、判定も拾えてフィニッシュも狙える。それが出来るようになるんじゃないかなと思います」

――判定はジャッジ3名が29-28ながら、どのラウンドにポイントを付けるかがばらつきました。これについてはいかがでしょうか。

「僕は30-27でもいいかなと思いました。強いて言うなら2Rに一度グラウンドで上を取られましたけど、逆に上を取り返していますし、僕は完勝と言っていい試合内容だったと思います」

――今回の試合に限らず、魅津希選手のファイターとしての長所はどこでしょうか。

(C)Zuffa/UFC

「すごくファイトIQが高い選手だと思います。

スタンドでは細かいフェイントをかけるのが上手いですし、抑えるべきところをしっかり抑えて戦っている。ちゃんと相手を研究して戦って、試合を作ることが出来ますよね。唯一懸念していたのが、先ほどのグラウンドで下になった時にスクランブルを仕掛けるのではなく落ちついてしまうところだったので、そこはまさに改善されつつあると思います。

あとはフィジカルですね。今回の対戦相手はめちゃくちゃゴツくて、ちょっと力負けするんじゃないかと思っていたんです。そういう相手にも力負けしていなかったことも進化の一つですよね。あと僕は村田夏南子選手の存在も大きいと思っていて、村田選手のレスリングとフィジカルは世界に通用するものですし、一緒に練習していることがかなりプラスになっていると思います」

――これまでNYのセラ・ロンゴ・ファイトチームで練習していた魅津希選手ですが、この1年は日本を練習の拠点とし、山﨑剛代表のリバーサルジム新宿 Me,Weをべースに村田選手、CUTEで上田将勝さんと練習していたそうです。

「基本的に山﨑さんのもとで練習しつつ、村田選手と対人練習して、上田さんから細かいレスリング技術を教わって、そういう取り組みが出た試合だと思います。あと僕が『月刊、水垣偉弥のこの一番』に選んだ一番の理由でもあるんですけど、練習でやってきたことをちゃんと3年ぶりの試合でも出せるというところですね。それは彼女が持っているセンスであり、試合勘の良さなのかなと思います。

どれだけ練習で出来ていても、無鉄砲にいくだけだったら試合で出せないと思うんですよ。しかも魅津希選手の場合は新しい技術を学んだうえでの試合で、本番で今までやってこなかったことを出すのは簡単ではないし、それを3年ぶりの試合で一発で出してくるところはさすがだなと思いました」

――それも一つの才能であり、センスですよね。

「一言でそう言ってしまうと、乱暴ではあるんですけど、試合になった時に落ちついて戦えるメンタルなのか。普通は練習で出来ていても試合で出せない選手の方が多いと思うんですよ。でもそれが出来てしまう、しかも復帰戦で出来てしまうというのは………やっぱりセンスなのかな(笑)。いずれにしても魅津希選手の中で、動きの感覚みたいなものがあるのだと思います」

――ちなみに魅津希選手の2週間後に復帰した村田選手の試合(ヴァネッサ・デモパウロスに判定負け)はどう見ましたか。

「僕は率直に試合を見終わったときに判定負けしたと思いました。最近のUFCの傾向としてトップを取っていてもキープだけでは評価されない。もう少しトップを取ったところで殴って攻勢を印象付けていたら判定も違っていたと思います。実際に3Rはそれが出来ていたと思うし、2Rはデモパウロスのガードポジションからの攻めの方が村田選手のトップキープよりジャッジの印象がよかったですよね。ただこれは技術的に劣っていたわけではないし、試合中の意識を変えればいいだけだと思うんですよ。

あとは先ほどの魅津希選手とは逆で、村田選手のステップワークやフェイントのかけ方が魅津希選手とそっくりだったんですよ。お互いにお互いが足りないところを補い合っていて、この」2人はすごくいいチームだなと思います」

――まだ練習を始めて1年とは思えないほど息が合っていますよね。

「はい。今回2人に事前にインタビューさせてもらったのですが、その時もすごくいい雰囲気だったので、今後どういった形になるかは分かりませんが、一緒に切磋琢磨して強くなって欲しいです」

――2人はこのままラスベガスに残って一緒に練習するとのことです。

「2人ともUFCでトップを狙えるポテンシャルを持っていると思うので、これからの2人の活躍には期待しています」

――ちなみに水垣選手は海外で長期合宿を行ったことはあるのですか。

「僕はジェフ・カランのジムに一カ月間半ほど行ったのが最長ですね。DJ.taikiさんとマキシモ・ブランコと相部屋という強烈なメンバーでした(笑)」

――日本と米国の練習環境、水垣選手はどのようにお考えですか。

「どちらを拠点に置くかは人それぞれだと思うのですが、僕の場合は日本の慣れた環境で練習する方が合っていましたね。海外で練習すると、良くも悪くも格闘技しかやることがないので、それがストレスになっちゃうので。あとは日本で出来ないなら海外でやるしかないと思っていたのですが、フランキー・エドガーの練習を見たときに、彼は自分で各分野の専門のジムに足を運んで練習してたんですよ。

マーク・ヘンリーに打撃を教わって、ヘンゾ・グレイシーのジムで組み技をやって、大学でレスリングをやって、ヒカルド・アルメイダのジムでMMAのスパーをやって、と。米国の選手がみんなメガジムで練習しているわけではないですし、エドガーの練習スタイルを見たときに、これだったら日本でもできることがあると思って、僕は日本で練習することを選びました。もし僕が米国で練習するなら、日本と米国を行き来せずに完全に米国に住んで拠点を変えます」

――日本と米国どちらがいいというわけではなく、自分に何が必要かを見極めて、取捨選択することが必要ということですね。

「そう思います。僕は自分に何が足りなくて、どこでそれを学べばいいかを考えることも才能やセンスだと思っていて、魅津希選手はそこも優れていると思います。試合で何をやるかだけでなく、試合に向けて何をやるか、試合のためにどんな準備をするか。自分の練習環境をどう整えるのか、どう普段のスケジュールや試合前のスケジュールを組み立てるのか。そういう部分まで意識して練習をすることが求められると思いますね」

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MMA MMAPLANET o UFN UFN228 キック ハナ・ゴールディ 魅津希

【UFN228】魅津希がゴールディのTDを切り返して打撃で優位に。3年ぶりのオクタゴンで判定勝ち

<女子ストロー級/5分3R>
魅津希(日本)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28.
ハナ・ゴールディ(米国)

ガードを固めるゴールディのパンチに対し、魅津希が左右にステップを踏みながら右ストレートをカウンターで合わせる。左前蹴りから右ストレート、距離が近くなると首相撲に持ち込んだ魅津希は、右腕を差し上げてケージへ押し込んでいく。四つからヒザで削る魅津希が、ゴールディをケージに押し込みながら左腕も差し上げた。すぐにゴールディも右腕を差し返す。ゴールディが差し返すも、すぐに戻した魅津希が揺さぶったが倒れず。ここで魅津希が離れた。

ゴールディが右カーフキックを当てる。魅津希は右を伸ばす。ゴールディの右がクリーンヒットした。左ミドルからワンツーを見せる魅津希は、ゴールディの右ローの蹴り足をキャッチした。しかしゴールディが組んで首相撲へ。魅津希が内側を取ってヒザを突き上げる。ゴールディが左腕を差し上げてケージに押し込むも、ここは魅津希が耐えた。

2R、ケージ中央でゴールディが左ローを見せる。魅津希のワンツーがゴールディの顔面を捕えた。ゴールディはシングルレッグへ。スプロールした魅津希がバックを狙うもゴールディが右腕を差し上げてクラッチした。テイクダウンに来たゴールディに対し、反対に魅津希が足をかけてクリーンテイクダウンを奪う。足を上げてくるゴールディに対してパスを仕掛けた魅津希だが、スクランブルからガブられてしまう。それでもケージに押し込んでいく魅津希が、ギロチンを狙うゴールディのクラッチを切った。

四つの展開からグラウンドに持ち込んだのはゴールディだ。魅津希はハールガードで守りながら、ガードに戻してスクランブルへ。立ち上がったゴールディが四つからヒザを突き上げると、魅津希もヒザを返す。ケージに押し込まれながら魅津希がウィザーから四つに戻したものの、再びゴールディにケージへ押し込まれてしまう。ここでゴールディのテイクダウンを切り返した魅津希が背中を着かせ。スクランブルから魅津希がガブり、ボディにヒザを打ち込んでいった。

最終回。低く構える魅津希が左インローを放つ。ゴールディの右が当たる。魅津希も右クロスを返した。さらに左フックをヒットさせるも、ゴールディがプレスをかけてくる。魅津希の右をかわしたゴールディがダブルレッグからドライブした。テイクダウンを防いだ魅津希がケージ中央で左ジャブ、右フックを当てていく。さらに左ボディから左フックへのコンビネーションを見せる。ようやく3Rに打撃のリズムを取り戻してきたか。ここでゴールディが組んでドライブした。左足を差し入れ、両腕を差し上げた魅津希がケージから離れる。ゴールディはすぐにシングルで入ってドライブしたが、魅津希が組み返した。ゴールディがカンヌキで魅津希を離さない。魅津希はケージ中央へ押し返し、左ヒジを打ち込む。残り1分で再び四つの状態に戻った両者だが、魅津希が離れた。ゴールディのシングルレッグを切ってはパンチを打ち込む魅津希が、残り30秒でケージに押し込みながらパンチを連打した。

裁定はジャッジ3者とも29-28で魅津希の勝利を指示。魅津希は「3年ぶりの試合で怖さもあった。もっと良いパフォーマンスを見せたい」と語った。


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【UFN228】展望──世界最高峰の異種格闘技戦。打=ラファエル・フィジエフ✖組=マテウス・ガムロ

【写真】UFCで戦うストライカー、そしてグラップラーがどういうストライカーであり、グラップラーなのか堪能して震えたい (C) Zuffa/UFC

23日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC ApexにてUFN228:UFN on ESPN+86「Fiziev vs Gamrot」が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

その名称の通り、本大会のメインはライト級6位のラファエル・フィジエフと7位のマテウス・ガムロによるサバイバル戦だ。


フィジエフはカザフスタン生まれで、育ちはキルギス。現在は父親の地であるアゼルバイジャン国籍を有すストライカーだ。そのキルギスで11歳の頃からはじめたムエタイで国際的な活躍を見せ、2017年にはバンコクのムエタイエクストリーム大会にて、当時ルンピニースタジアムスーパーウェルター級王座を返上したばかりのヨドパヤック・シッソンピーノンからKO勝利を収めるなどの実績を挙げている。

同時に韓国のRoad FCなどMMAでも活躍し、プロ5戦全勝の戦績をもって2019年からUFC参戦。初戦は敗れたもののその後連勝を重ね、昨年9月には元ライト級王者のハファエル・ドス・アンジョスと5R戦で対決、最終Rに左フックをスマッシュヒットさせてKO勝利を挙げた。

続いて今年3月には当時ランキング3位のジャスティン・ゲイジーと3R戦で激突。事前の期待を裏切らないMMA最高レベルの打撃戦にて序盤は互角以上に渡り合ったものの、最終Rに失速してジャブやアッパーを被弾、0-2で惜敗している。

対するガムロはポーランド出身のグラップラー。10歳の頃に始めたレスリングではポーランドのジュニアナショナルチームの一員として国際的に活躍し、2012年にMMAデビュー。2016年5月にはフランスの寝技師マンスール・ベルナウイを倒してプロ11戦無敗のままKSWライト級王座に就いた。

(C)KSW

2018年12月にはクレベル・コイケとのフェザー級王座決定戦に臨み、クレベルの下からの仕掛けを完封して判定勝利して二冠王に輝いている。

ちなみにグラップリングにおいてもADCCヨーロッパ大会では複数回優勝を果たし、2019年にはADCC世界大会にも出場するも、初戦で3位入賞したゲイリー・トノンにチョークで敗れている。

KSWでノーマン・パークとの因縁に蹴りをつけ、コロナ禍の2020年10月からUFCに参戦開始。フィジエフと初戦は惜敗したもののその後連勝を重ねてランキング入りし、昨年10月の6位のベニール・ダリューシュ戦に臨んだ。1Rはポジションが目まぐるしく入れ替わるハイレベルグラップリング戦にて優位に立ったガムロだが、2Rから戦法を変えたダリーシュにテイクダウンを切られ、3Rに左ストレートでダウンを奪われ判定0-3で敗れた。

ガムロはその後、今年3月には僅か10日前のオファーを受けてランキング10位のジェイリン・ターナー戦に望んだ。ライト級屈指の長身ストライカーの繰り出す打撃を捌いてテイクダウンを何度も決め、2-1と判定は割れはしたもの実質完勝した。

現在ちょうど似たような立場にある──ともにランキングを上げてきたところで、上位勢の壁に跳ね返されてからの復活を狙う──両者の対決のきっかけは、実はSNS上で生まれている。5月末にフィジエフがツイッター(現X)上にて「8月に俺のダンスパートナーになるやつはいないか?」と英語で投稿したところ、それに真っ先に反応して「9月に5Rでやろう」と書いたのがガムロだったのだ。

フィジエフも早速応じて「9月でもいいぞ、兄弟よ。でも俺は3Rで疲れてしまうんだ。なぜ5Rを望む? 俺たちは友人だろ?」とユーモアある返答を返す。そこでガムロは「俺たち2人はメインイベント(=5R制)に出る資格があるし、ファンも25分間テクニカルヴァイオレンスを楽しむ資格があるじゃないか」と返し、熱心なファンたちが喜ぶ中で両者の対戦の機運が盛り上がり、実現に至ったのだ。

中央アジアと東欧出身の両者が、SNSで互いに母国語ではない英語を用いて対戦の契機を作ってしまうところに、21世紀のMMAの現実がある。ちなみにフィジエフの投稿に対して、実は以前フィジエフに敗れたヘナート・モイカノも「ぜひリマッチをやりたい」と反応をしたのだが、フィジエフがこちらに興味を示すことはなかった……。

そんな両者の対決は、誰もが考えるように典型的な「ストライカー対グラップラー」の構図となるのか。つまり、重心が低く腰の重いストライカー、フィジエフの強烈な打撃をガムロがいかにかいくぐってテイクダウンに入るか、逆に強力なレスリング系グラップラー、ガムロの多彩かつ執拗なテイクダウンをフィジエフがいかに凌いでスタンド戦に持ち込むかが鍵となる。

実際フィジエフも「この試合で、ガムロのようなエリートレスラーのテイクダウンを自分が止められるのかどうか、ぜひ知りたいと思う。今回のキャンプの焦点もそこに置いたよ。さらに、もし100回倒されても、101回立ち上がることをテーマとしてやってきたよ」と、──よく考えると立ち上がる回数は1回余計に多いのだが──力強いコメントをしている。

その際特に注目したいのは、フィジエフの蹴りの使い方だ。卓越したスピードを活かし左右からの強力な打撃を繰り出すフィジエフだが、特にオーソドックスからの右足の蹴りはミドル、ハイ、前蹴りとどれも抜群のキレを誇り予測が困難だ。これを警戒してガードが下がり気味となった相手に放つ左フックの威力は凄まじく、モイカノやドス・アンジョスを1発で沈めている。

前回のターナー戦では蹴りのタイミングを見切ってのテイクダウンを見事に決めたガムロ。パンチからテイクダウンにつなげる動きも得意としており、「フィジエフとの打撃の交換も恐れない」と自信をのぞかせている。

グラップリングMMAから、KSW後期にはジャブを多用するタッチキックボクシング的なMMAにスタイルチェンジをし、UFCでは原点回帰といえるグラップル勝負に戻ったガムロは、組むと見せて間合いを外す術も有している。とはいえ、フィジエフの蹴りはこれまで戦ってきたどの相手によりもはるかに速く鋭く強烈だ。そんなフィジエフの蹴りにいかに対処するのか、着目したい。

もう一つのポイントは、上述のSNSでのやりとりでも触れられていた通りフィジエフのスタミナだ。瞬発系ストライカーのフィジエフは、はじめての5R戦となったドス・アンジョス戦では4Rに動きが落ち、それまでは許さなかったテイクダウンを取られる場面があった。

5R早々に凄まじい爆発力を発揮して圧巻のKO勝利を収めたものの、もし最終R中盤まで試合がもつれ込んだ時、同じ動きができたかは分からない。そして前戦でのゲイジー戦でも、フィジエフは最終3Rに失速。それまでもらわなかったパンチを被弾し、最後は焦って前に出て強引に振った左フックをゲイジーに見切られてテイクダウンを許したことで、──実際にはきわめて接戦だったものの──「完敗」という印象を大きくしてしまった。

対するガムロはスタミナに絶対の自信を持ち、そのテイクダウン力は試合後半においても簡単には落ちないと見ていいだろう。切られても執拗に手を変え、品を変えテイクダウンを試み、組み伏せるのがその真骨頂だ。試合が長引いてフィジエフのスピードが落ちてくれば、それだけガムロが自分の得意なフィールド=グラウンドに試合を持ち込むチャンスは大きくなる。

また、フィジエフが蹴りを警戒させてのパンチを得意とするように、ガムロもテイクダウンを警戒させての強烈な右の一撃を持っている。

もっともフィジエフもそのへんは百も承知のはず。「前回のゲイジー戦では、自分の感情をコントロールすることを学んだよ。あの試合では、ファンをもっと沸かせたいという気持ちに任せて戦ってしまった」と語るフィジエフは、より冷静かつ計算づくに、そしてスタミナにも留意してガムロを攻略しにかかることだろう。

極上のストライカーとグラップラーの両者によるMMAならではの──最高峰のせめぎ合いを堪能したい。

■視聴方法(予定)
9月24日(日・日本時間)
午前5時~UFC FIGHT PASS
午前4時30分~U-NEXT

■UFN228対戦カード

<ライト級/5分3R>
ラファエル・フィジエフ(アゼルバイジャン)
マテウス・ガムロ(ポーランド)

<フェザー級/5分3R>
ブライス・ミッチェル(米国)
ダン・イゲ(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリナ・ロドリゲス(ブラジル)
ミッシェレ・ウォーターソン・ゴメス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ブライアン・バトル(米国)
AJ・フレッチャー(米国)

<フェザー級/5分3R>
シャルル・ジョーダン(カナダ)
ヒカルド・ラモス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マイルス・ジョンズ(米国)
ダニエル・アルゲータ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
アンドレ・フィアーリョ(ポルトガル)

<ミドル級/5分3R>
ジェイコブ・マルクーン(豪州)
コディ・ブランデージ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジェイク・コレアー(米国)
モハメド・ウスマン(ナイジェリア)

<女子ストロー級/5分3R>
井上魅津希(日本)
ハナ・ゴールディ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
モンセラート・レンドン(メキシコ)
タミレス・ヴィダウ(ブラジル)

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【UFN228】37カ月振りの実戦=ゴールディと対戦、魅津希「Me,WeでMMAの楽しさを教わることができた」

【写真】この笑顔、何としてもオクタゴンのなかで見たい(C)MMAPLANET

23日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC Apexで開催されるUFN228:UFN on ESPN+86「Fiziev vs Gamrot」で魅津希が、2020年8月以来となる実戦に復帰する。
Text by Manabu Takashima

前十字靭帯の手術からリカバリー、長期離脱となった魅津希は欠場期間中に20代最後の年に突入した。決して短くないブランク、UFCでは1勝1敗、パフォーマンスで周囲を納得させるファイトが不可欠な彼女は、過去にないほど恐れと緊張を感じていた。

その裏で思わぬ長期滞在となった里帰りで、東京での練習を経験しかけがえのない仲間を得た。そんな魅津希のUFCカムバック戦前の心境とは。


──定期的に試合をしていた時と、3年振りとなった今回で何か気持ちの部分で違いはありますか。

「昔は……若い頃は怖さがなかったのですが、大人になるとそこが違いますね」

──魅津希選手が「若い頃」と振り返っていることを、違和感なく聞くことができるようになってきました。

「そうなんですよ。そうなると1戦、1戦の重みが理解できる年になってきたというか。3年振りで勝たないといけないのですが……まぁ勝つんですけど、楽しみという気持ちより緊張と怖さの方が多いです。緊張しています」

──それは年齢なのか、ブランクが要因になっているのか。どちらだと考えていますか。

「3年は長いですね。そこまで自分で意識をしていなかったのですが、試合が決まった時に『もう3年も経ったんだ』と実感しました。でも、こうやって試合のことを考えると緊張してきますね(苦笑)」

──実は過去一で表情が堅いと感じていました。

「年ですね(苦笑)。年を取りました」

──それは違うかと(笑)。ただ27歳から29歳という期間でブランクができたのは事実です。

「そうですね、リカバリーに1年掛って。そこからまだケガをすることが怖くて、練習という練習が思うようにできなくて」

──昨年、タイに行く前にインタビューをさせていただいた際には、もう少し早く復帰戦を戦いたいという希望を持っていました。

「そこは体調よりも、試合が組まれなかったからです」

──UFCもなかなか日本人選手の試合を組まないという時期が長かったです。社会人、いわばファイターは個人事業主で、自分が必要とされていないと感じると非常につらいモノがあります。そんな風に関じることはなかったですか。

「だから契約はあっても、UFCがどう思うのかは自分が出す成果次第ですよね」

──試合がないなら、他で戦いたいという気持ちは?

「それはないです。結果、この試合が決まったわけですし。決まる前から、ある程度は準備をしてきました。でもいざ決まると、対策練習もそうだし課題の強化にもより力が入りましたね」

──この間、タイ以外では日本で練習しており、以前と比べて強化できたところはありますか。

「組みの部分は、ちょっと力を入れようかと思っていて。Me,WeとCUTEで上田将勝さんとも練習させていただいていて。上田さんはグラップリングが強くて、大まかなことではなくて細かいところを修正して強化できたと思います」

──この間、村田夏南子選手と行動をともにしてきました。

「NYで初めて会って、タイにも2人に行って一緒に過ごすことが多くなりました。それだけ練習も積んで来て、言ってみれば絆が深まりました。

本当は夏南子ちゃんと一緒にベガスに行って最後の調整をしたいのですが、まだビザが取れていないので自分の方が先に行くかもしれないです。ただ、本当は夏南子ちゃんと一緒に行きたいです(※取材は6日に行われた)。夏南子ちゃんが2週間後に試合なので、そのまま私も残ります。夏南子ちゃんのビザが間に合えば、セコンドに就いてほしいですし、私も彼女のセコンドに就きます」

──そのまま米国に拠点を戻す予定ですか。

「PIがあるので試合後は、ベガスでケアをゆっくりとしようと思います。それから試合がすぐに決まるようならベガスに残ります。そこに時間が掛るようだと、時期は決めていないですけどフラッと日本に戻ってくる予定です」

──ではNYではなく、日本ベースで?

「う~ん、セラ・ロンゴは女子選手がいなくて。男子もバンタムから上が多いから、行っても体格差があるので。そうなるとNYに戻ってもどうなのかっていうのはあります。なので他のジムを見るのも良いかと考えています。でも米国で練習したいとは思っています」

──そんななか対戦相手のハンナ・ゴールディにはどのような印象を持っていますか。

「ガタイが大きいですよね。グラップリングの試合にも出て、一本勝ちもしています。そこも含めて対策練習と、自分のスキルアップをしてきました」

──彼女はUFCでは1勝2敗ですが、この3年間で女子MMAのレベルアップは半端ないように感じます。

「前々からUFCで活躍している選手が年を重ねて、敗北が増えています。対照的に新しい選手がスキルもついていて、レベルアップしている中に入っていくので、ちょっと出遅れている感はしています(笑)。

でも、その中にせっかく入っていくので、やりたいことをやりたいという感じです。とにかく対戦相手はフィジカルが凄いですね。組みが強いパワー系で。でもパンチに関しては、そのパワーを伝えきれていない。凄い体をしていますが……。組みの方は得意技もあるでしょうし、ハマらないように気を付けないといけないです。相手が好きなことをしてきたら遮断して、自分の好きなことができるように実行する。そういう風に持って行かないといけないです」

──どの局面でも付き合うことは、もうない?

「遮断したいのですが、付き合っちゃうと思います(笑)。付き合わないように指摘されてきて、自分では付き合っていないつもりでも傍から見ると付き合っているように見えるようで。だから頭ではつき合わないで、自分の好きなことをやろうとはしていても、そうなっているということだし。そうならないように戦います」

──ブランクを経て、UFCファイターとして目標はどこに置いているのでしょうか。

「ブランクがあろうがなかろうが、相手は気を使ってくれないので。そこがあるからどうこうでなくて、今の自分がどれだけ通用するか。そういう想いは最初から持っていました。どこまで自分が行けるのか。契約更新ができたら成功だし、できなかったら自分がやってきたことが間違っていたことになります。今はやるべきことをやっているので、次の試合で出したいですね」

──ところで昨年の夏にインタビューをさせてもらった際に、ケガ前の自分には戻れないと言われていた一言が心に残っています。

「言っていましたっけ? ケガ前と比較すると……それまで東京のジムで練習をしたこともなかったのですが、Me,Weでは山﨑(剛代表)さんを初め色々な人にお世話になってきました。そのおかげで最近までなかった……MMAの楽しさを教わることができた気がします。以前は傍から見て近寄りがたい雰囲気があったようで」

練習仲間のファイトギアを懸命に消毒する魅津希

──豊橋時代は、絶対にそうだったと思います(笑)。

「私自身はそんなオーラを出しているつもりはなかったです。でも、近寄りがたい、接し辛いというのはあったみたいです。今では、ここで皆が仲良くしてくれて。私のことを分かってくれました(笑)。初めて東京の人達と交流が持てた、この1年でした。そして夏南子ちゃんの試合が2週間後にあるので、しっかりと勝って繋げたいです。もちろん3年振りの復帰戦でインパクトは残したいのですが、そこは判定でも良いので──お世話になっている人の期待に応えたい。まずは1勝を挙げたいです」

■視聴方法(予定)
9月24日(日・日本時間)
午前5時~UFC FIGHT PASS
午前4時30分~U-NEXT

■UFN228対戦カード

<ライト級/5分3R>
ラファエル・フィジエフ(アゼルバイジャン)
マテウス・ガムロ(ポーランド)

<フェザー級/5分3R>
ブライス・ミッチェル(米国)
ダン・イゲ(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
マリナ・ロドリゲス(ブラジル)
ミッシェレ・ウォーターソン・ゴメス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ブライアン・バトル(米国)
AJ・フレッチャー(米国)

<フェザー級/5分3R>
シャルル・ジョーダン(カナダ)
ヒカルド・ラモス(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
マイルス・ジョンズ(米国)
ダニエル・アルゲータ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ティム・ミーンズ(米国)
アンドレ・フィアーリョ(ポルトガル)

<ミドル級/5分3R>
ジェイコブ・マルクーン(豪州)
コディ・ブランデージ(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジェイク・コレアー(米国)
モハメド・ウスマン(ナイジェリア)

<女子ストロー級/5分3R>
井上魅津希(日本)
ハナ・ゴールディ(米国)

<女子バンタム級/5分3R>
モンセラート・レンドン(メキシコ)
タミレス・ヴィダウ(ブラジル)

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【UFC ESPN52】8/27は風間敏臣、中村倫也&木下憂朔揃い踏み。この秋、魅津希、村田も待望の復帰へ

【写真】RTU決勝でKO負けからの契約。ここが力の魅せどこだ(C)Zuffa/UFC

26日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるUFC on ESPN52「Holloway vs Tha Korean Zombie」で風間敏臣のUFCデビューの確認が、マネージメントするシュウ・ヒラタ氏より確認が取れた。

同大会でギャレット・アームフィールドと風間の対戦が決まったのに前後して、魅津希、村田夏南子の両女子ファイターのオクタゴン復帰も決まっている。


2020年8月以来、実に3年1カ月振りの実戦復帰となる魅津希は、9月23日のラスベガスのファイトナイトでハナ・ゴールディと対戦。一方の村田も同じくベガスで開催される10月7日のUFNでヴァネッサ・デモポウロスと戦うことが決まっている。

魅津希はヒザの負傷、村田は2021年6月のヴィルナ・ジャンジローバ戦で喫した腕のケガの影響で長期離脱を強いられたが、いよいよオクタゴンで戦う姿が見られることになる。

魅津希と戦うゴールディは、ザッツ・フィジカルファイター。巨大な肩回り、豪腕を振るうが上半身と下半身の連動は良くない。ただし、コンバット柔術で見せた掌底のラッシュは圧巻。魅津希としては、パワーはあってもアゴが空き気味の相手にしっかりと打撃を入れていきたい。

一方、村田の相手のデモポウロスは元LFA女子フライ級王者で、コンテンダーシリーズ敗北&王座陥落を経験した後にUFCに辿り着いた苦労人だ。UFCでは3勝2敗、この間もエディ・ブラボー率いる女子グラップリング大会=MedusaでEBIルールやコンバット柔術ルールのトーナメントに出場している柔術家だ。

下からの攻めを得意とするデモポウロスを相手に、村田も悪夢の腕十字の再現とならない準備は、この間積んできたはず。

打撃と柔術に秀でた魅津希は、どの局面でも戦える素養がMMAという戦いでありながらゲームでもある競技にマッチしない部分があった。対して、村田はテイクダウン&グラップリングの完成度の高さに、打撃を落としこむこととでさらに完成度が高くなることが期待されていた。

そんな両者が合体してから1年半、最高峰の頂点を目指す戦いに再び乗り出した。互いの短所を補い、長所を伸ばすことができるベストパートナー。UFCで戦い続ける日本のツートップが、リボーンとなる9月と10月の2試合──見逃すわけにはいかない。

Road to UFCと連日開催、木下憂朔&中村倫也と日本勢が集結する8月最終週のシンガポール、風間の対戦相手はアームフィールドはUFC戦績は0勝1敗で、通算戦績は8勝3敗だ。

蹴りを交えたストライキング、テイクダウンにも対応した接近戦で殴り合えるアームフィールドに、柔術で勝負してきた風間がラスベガスでのトレーニングで開眼したMMAを如何にぶつけるのか。その良さを持ち続けたうえで、新しい一面で力を発揮することが欠かせない試合となる。

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