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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FN20 マイッサ・バストス 山田海南江

【ONE FN20】マイッサ・バストスにキャッチを許さず。山田海南江、0-3で敗れるも世界に爪痕残す

【写真】高い防御力を守り一辺倒でない展開で、しっかりと見せたことが大きいかと(C)ONE

<サブミッショングラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/10分1R>
マイッサ・バストス(ブラジル)
Def.3-0
山田海南江(日本)

立ちの展開でリスト、頭を取り合う両者。引き込んだマイッサに対し、山田は担いでいく。レッスルアップからがぶったマイッサはすぐに引き込み、三角を仕掛ける。山田は即反応して立ち上がると、足を取らせずに側転系のパスを狙う。

山田の足関に対してマイッサは足関節のカウンターから、さらに山田の反応へのカウンターでバックを取る。両足をフックされた山田は仰向けから亀へ。アゴの上から絞めを仕掛けるバストスがフェイスロック。

外した山田が立ち上がると、場内から拍手が起こった。山田のパス狙いに腕を取りに行くマイッサだが、山田はここも反応する。またも足関節からバックを取りに行ったマイッサだが、山田も正対して足関節へ。起き上って上を取った山田は、足首を抑えて圧を掛けるとニースライス──コーナーが近く、リリースして中央に戻った。

山田は飛び込む際に、マイッサの仕掛けを察知したように足関節にバックを伺う。そして立ち上がってトップの山田が、足首を掴んでダブルガードへ。尻から太腿をマットにつけて、いつで立てる姿勢の山田はマイッサにレッスルアップを許さず、後方に送って互角の攻防を続ける。そして立ち上がるとパスを仕掛け、マイッサの足関のエントリーを許さない。リバースデラヒーバにも即反応した山田に対し、マイッサはキャッチを取れないまま残り2分を切る。

マイッサは足関を餌にスイープを狙ったが、山田はスクランブルで許さない。それでも攻めるマイッサ、防いでカウンターという山田とう流れは続き、最後にマイッサがマイキーロックを狙う。ロールして、起き上った山田はキャッチを取られないまま10分を戦い切った。

結果はバックグラブを取り、アタックで上回ったマイッサに凱歌が挙がったが、勝者の表情には、明らかにフレストレーションが感じられ──アンダードッグとしてタイに渡った山田が、世界に爪痕を残した一戦となった。


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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FN20 アリス・アンダーソン キック ジェネリン・オルシム ジヒン・ラズワン ジャネット・トッド プレム・フェアテックス ペッディージャー・ルクジャオポーロントン ボクシング マイッサ・バストス ルンピニー ヴィクトリア・ソウザ 修斗 山田海南江 澤田千優

【ONE FN20】澤田千優戦へ、ジヒン・ラズワン「アトム級より下の階級があれば彼女にとっては最高だった」

【写真】フェアテックスのロゴがまぶしい?ジヒン・ラズワン(C)ONE

本日9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20「Todd vs Phetjeeja」で、ジヒン・ラズワンが澤田千優と対戦する。
Text by Manabu Takashima

レスリングベース、修斗でチャンピオンになったアスリート=澤田に対し、ラズワンは動物病院で働く普通の女の子という印象が強い選手だった。そのラズワン、今年の1月からフェアテックスジムの所属となりパタヤに生活をしている。

家族から離れ、フルタイムMMAファイターとしての生き方を選択したラズワン。それこそが、彼女がやりたいことをして生きるという選択だった。


――今週末、日本からのニューカマー澤田千優選手と戦います。今の気持ちを教えてください。

「良い感じよ。そしてチヒロにはONEでのデビュー、おめでとうと伝えたい。土曜日の朝に彼女と最高の試合をしたいと思っている」

──今回はバンコクでの試合となります。ジョホールバルからだとシンガポールは隣町のような感じだと思うのですが、バンコクで戦うことをどのように思っていますか。

「私は1月からタイのパタヤに住んでいるの」

──つまりフェアテックスジムで練習をしているということですか。

「イエス。だからバンコクは凄く近くて、移動も簡単よ」

──なぜ、タイガームエタイでトレーニングをするようになったのですか。

「去年の3月にフェアテックスのプレム・フェアテックスからスタンプのトレーニングパートナーを務めて欲しいという依頼があって、5月のアリス・アンダーソン戦までパタヤで練習をしていたの。その後はマレーシアに戻っていたけど、プレムから再び連絡があって、もっと長い期間トレーニングをすることになって。その間にフェアテックスと複数年契約をサインしたの。凄く良い機会だと思って、パタヤに移り住むことにしたわ」

──去年の3月といえば、ジヒンはスタンプに敗れてから半年後です。リベンジしたいと思っていたかと思うのですが、練習パートナーの要請を受けることに躊躇することはなかったですか。

「私はリベンジをしたいという想いを持ったことはないわ。再戦したいと思っていてもね。とにかくワールドチャンピオンを含めて、多くのすぐれたトレーニングパートナーがいる場所で練習をできることがとても魅力的に感じて。それにフェアテックスには4、5人の女子MMAファイターが常に練習している。ジョホールバルでは女子選手と練習をすることがなくて、凄く良い経験になったの」

──フェアテックスで練習するようになり、何が一番変わりましたか。

「練習環境は全く変わったわ。故郷にいる時は、お昼は動物病院で働いていたから夜の6時から10時半ぐらいまで練習する日々だった。でもフェアテックスでは朝起きてランニングをし、それからミット打ち。少し休んで、お昼のクラスと夕方のクラスと1日に3度練習できるようになった」

──フルタイムのファイターになったということですね。

「本当に新しい体験で。仕事のことを考えなくて、練習に集中できることが本当に新鮮なの。練習は厳しくなったから、そこはスマートになる必要があって。調子が落ちているなと思ったら、体のメンテをしないとケガをしてしまうし。ただ、休める時に休むというのも、仕事をしている時はできなかったことだから。仕事をして疲れるのと、練習して疲れるのは別モノで。仕事中は体こそ疲れないけど、ストレスが溜まって精神的に疲れていたわ。今はトレーニングでヘトヘトになっても、爽快な気持ちね」

──ところでパタヤで格闘技に集中するという話をした時、ご両親はどのような反応でしたか。

「私の決心には驚いていたわ。ずっと一緒に住んでいたし、家から出たことがなかったから。でもフェアテックスの環境、そして仲間のことを知ると安心してくれたわ」

──親というものは子供達に夢を叶えて欲しい一方で、安定した生活を望むものですしね。

「両親には、私の夢の旅路をサポートしてくれて本当に感謝している」

──1月からフェアテックスの所属になったということは、フルタイムファイターとなって、今回が最初の試合ですね。

「去年の9月のジェネリン・オルシム戦前もフェアテックスで練習をしていたけど、長い休暇を取ってパタヤに行っていたから。ただ事実上フルタイムで練習はできていたから、今回が2試合目とも言ってもおかしくないわ」

──フェアテックスで練習するようになって、どこが一番伸びましたか。

「もちろん、打撃ね。フェアテックスでムエタイの練習をするようになって、打撃にキレが出てきた。同時にグラップリングでも最高のコーチと練習仲間に恵まれているから、組み技も凄く進化しているわ」

──そういうなかで戦う澤田選手ですが、印象を教えてくれますか。

「グッドファイターでレスリングが強い。そして、小さいわね。でも、どんな相手と戦ってもそうだけど、彼女が小さいからといって軽視することは絶対にない。レコードは6勝0敗だし、本当にレスリングを生かした戦いができている選手だから。

もちろん、アトム級より下の階級があれば彼女にとっては最高だったと思う。ただ、ないのだからしょうがないし、結局のところただ戦うしかないの」

──ところでチャンピオンが、チームメイトというのはどのような心境になるモノなのですか。

「世界チャンピオンと練習ができるなんて最高の経験になっているわ。ただONEが私たちの世界戦を組むのであれば、そこはプロとして戦うべきだし。それこそが、完璧なビジネスだから」

──なるほど、です。最高の練習環境を得た今、負けることができないというプレッシャーは?

「最初に言ったように私がフェアテックスに行くことを決めたのは、良い機会だったから。何が良い機会かといえば、自分がやりたいことができるということ。自分が思うように生きる──それが、何よりも大切なことでしょ」

──では土曜日の朝、どのような試合がしたいですか。

「今回は国際女子デーのラインナップに名前を並べることができると同時に、6年前の3月9日に私はONEデビュー戦を戦っていて。個人的な記念日なの。日本の皆は、国籍に関係なく選手をサポートしてくれる。そして日本には凄く強いファンベースがあるから、皆の期待に応えたい。私もチヒロもベストを尽くして、最高の試合を皆に届けたい」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT

■ ONE FN20対戦カード

<ONEキックボクシング世界女子アトム級王座統一戦/3分5R>
[正規王者] ジャネット・トッド(米国)
[暫定王者] ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)

<ONEムエタイ世界女子アトム級選手権試合/3分5R>
アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ムエタイ130ポンド契約/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
マルティニ・ミケレット(イタリア))

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジヒン・ラズワン(マレーシア)
澤田千優(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)
マルティナ・キエルチェンスカ(ポーランド)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
ユウ・ユウペイ(香港)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<サブミッショングラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/10分1R>
マイッサ・バストス(ブラジル)
山田海南江(日本)

<ムエタイ・アトム級/10分1R>
シール・コーエン(イスラエル)
テオドラ・キルオバ(ブルガリア)

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【ONE FN20】正真正銘、絶対的世界一=マイッサと対戦、山田海南江「誰かのせいにはしたくない」

【写真】ゴミゴミした中心部と違い、スッキリしたラートプラーオ。5月のADCCアジア&オセアニア予選はバンコク郊外のランシットで行われるため、この空気を知っておくことも貴重な経験になるはず(C)MMAPLANET

9日(土・現地時間)、タイのバンコクにあるルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night20「Todd vs Phetjeeja」で、山田海南江がマイサ・バストスと対戦する。8日のInternational Women’s Dayに合わせたタイミングで実施されるオール女子大会で、唯一組まれたサブミッショングラップリング戦で、世界最高峰と戦う山田。
Text by Shojiro KameikeText by Shojiro Kameike

黒帯ルーキーに、突然ビッグチャンスが舞い込んだ。ムンジアル4連覇中のマイッサ・バストスとONEサブミッショングラップリング戦で対決する。ムンジアルはもちろんパン選手権、ヨーロピアン、アジア選手権やブラジレイロ優勝など、マイッサの国際大会の実績を挙げればキリがない。そんなマイッサとの対戦を控えた山田は、リモート画面の向こうで喜びを露わにした。ONEのリングで、世界一の柔術家が待っているから。


――山田選手にとって、海外のプロ興行に出場するのは今回が初めてなのですか。

「初めてです。現地での公式スケジュールが凄いですね。拘束時間も長いから『皆はどのタイミングで練習するんだろう?』って。今までレスリングや柔術だと、直前に近いぐらいの日まで調整してから試合に臨んでいたんですよ。でもONEの公式スケジュールを見ると、写真撮影やインタビューなどもあって……その状況に慣れていなさすぎて、どうしようかと思っています(笑)」

――昨年11月に出場したADCCアジア&オセアニア予選も、そういった公式スケジュールはなかったわけですよね。

「はい。あの時は自分たちで現地の練習場所を見つけて、試合前にMMAPLANETさんがインタビューしてくださった以外は、特に予定もなかったです。アハハハ。逆にONEはホテルと、体を動かす場所を用意してくれているのは安心でした。問題は体を動かすタイミングですね。でもその場所を使って体を動かしている選手も多くなくて」

――MMAの場合は大幅な減量をしている選手もいますし、特にONEはハイドレーションテストもあるので試合直前の調整方法も異なってくると思います。

「ハイドレーションテスト! それが一番の心配です。自分は今回、減量幅も少ないので問題はないとは思いますが……。日本で三浦彩佳選手にハイドレーションテストのことを聞いて、いろいろ勉強してきました」

――何もかも手探りで、調べながらのONE初戦なのですね。

「昨日の夜(※取材は6日に行われた)タイに着いて、そこからの公式スケジュールは先に届いていたんですよ。でも英語だし、私個人のスケジュールではなく全体のスケジュールで。その中から私が関わるものを自分で探すという感じでした。どう動けば良いのか、分からないことが多いです」

――聞いているだけで大変な状況であることは分かりますが、それでも山田選手が楽しそうにしているのが印象的です。

「アハハハ。試合が楽しみです。あのマイッサ・バストスと対戦することができるなんて」

――今回のバストス戦が発表されたのは3月に入ってからでした。かなり急なオファーだったのではないですか。

「お話があったのは2週間前ぐらいかなぁ……。すぐOKって返答しました。でもビザの申請とかあって、正式発表も遅くなったんだとは思います。私としては本当にマイッサ・バストスと試合できるのが嬉しくて(笑)」

――その言葉が決して嘘ではないと思えるほど、笑顔に満ち溢れています。

「そうなんですよ。マイッサって今年1月、柔術グランドスラム東京大会に出て優勝していたじゃないですか(女子茶黒ルースター級で優勝)。私もあの大会に出る予定だったんです。でも年末に怪我をしたために出場をキャンセルしたら、その後にマイッサが飛び込みでエントリーしていて。『うわぁ~』って思いました。

私も今年に入って黒帯になったので、もうIBJJFの世界大会はポイントがないと出場することができないんです。そんななかでマイッサと、しかも日本で戦えるチャンスなんて今回しかなかったのに――と。グランドスラムの大会当日は、会場の上のほうからずっとマイッサの試合を眺めていました。『マイッサと対戦できる選手、良いなぁ』って(笑)」

――確かにギ、ノーギを問わずマイッサの試合は自然と魅入ってしまうものがあることは分かります。

「あの強さは何でしょうね……。2019年に初めてムンジアルで優勝してから、ずっと勝ち続けているじゃないですか。ムンジアルのあとに主要な大会で負けたのは、2021年のパン選手権と今年のヨーロピアンぐらいで。その間ずっと強さが安定していて、つけこむ隙がないんですよ」

――ムンジアル4連覇をはじめ、ギでもノーギでも国際大会で勝ち続けている。分かりやすいところでいえば柔道の谷亮子さん、レスリングの吉田沙保里さんや伊調馨さんのような実績ですよね。

「そう! 本当にそうなんですよ。だから今回の試合も、まずONEとしてはマイッサに出場してもらいたかった。その相手を探して私にオファーが来たって捉えています。そういう扱いに対して思うところはあるというか。ONEとしてはマイッサが勝って、いずれダニエル・ケリーと対戦させたい――というようなプランもあると思うんですよ。でも私は、そんなことを気にしていなくて。何より私自身がマイッサと対戦したかったです。

もちろん『マイッサの相手』という扱いじゃなくて、いずれ私という選手にオファーが来るような試合を見せたいです。今回だけでなく世界を目指すために、それだけの強さを身につけていかないといけないですし」

――なるほど。今回はノーギでの試合となります。ギとノーギで試合の印象も異なりますか。

「ギのほうがベリンボロとかの固定力は強いと思うんですよ。掴むところがあるので。もちろんノーギでも強いけど、私としてはノーギのほうが対策もできると思っています。今回の試合でも凄い技数で攻めてくるでしょうし、その対策を講じながら自分の得意なところに持って行く。私としては、その試合展開しかないと考えています。マイッサとの試合のなかで、私にチャンスが巡ってくることは少ない。その少ないチャンスにつけ入るしかないですね」

――マイッサもギよりノーギのほうが展開も速いし、何よりサブミッションを狙い続けています。ONEサブミッショングラップリングでも強いタイプなのだろうとは思いますが、それだけ展開が速い相手のほうが手は合うのではないでしょうか。

「そういうタイプのほうがやりやすいです。これまでも強い選手と対戦したほうが、私のレベルも上がるというか――私自身、試合が楽しくなるんですよ。強い相手との試合だと、自分が持っている以上のものを出せるみたいで。

去年11月のADCCでは、決勝でアデーレ・フォーナリオには負けてしまいました。でも試合写真や映像を視ると、よほど試合が楽しかったんでしょうね。ずっと笑っていて……私ってヤバいヤツなんじゃないかと思いました(笑)」

――それはファイターにとって素晴らしい素質であり、才能だと思います。ADCC直後の前澤智戦も楽しかったのではないですか。

「楽しかったです! 自分では分かっていなかったんですけど、入場の時から笑っていて。会場へ応援に来てくださっていた方からは、『後ろの席から、あの子笑っているよ……っていう声が聞こえた』と言われました。まぁ、変な人間ですよね」

――いえいえ。ADCCや前澤戦と同じく、あるいはその時以上に楽しそうな山田選手を見て、マイッサ戦にも期待することができるのは確かです。

「ありがとうございます。もともと試合に対して不安や恐怖とかって無いタイプなんですよ。もしかしたら、気づいていないだけで不安や恐怖は感じているかもしれません。でもそれ以上に、『ここまでやってきたから大丈夫だ』って納得できるほど取り組んでいるので。

私の中では、去年のムンジアルで負けたことが一番大きいです。茶帯の2回戦で逆転負けを喫してしまって……『私はこのままで良いんだろうか?』と思いました」

――……。

「紫帯で3位になった時は、『今までのやり方を続けていけば大丈夫だろう』という確信があったんです。でも、そう思ったやり方を1年間続けた結果、茶帯で負けてしまって。『何が悪かったんだろう? このままじゃいけない』と考え始めたんですね。『これは海外で練習したら解決するものだろうか』とか、いろんな気持ちが生まれていました。

それで去年の秋から、自分の練習については自分自身で考えるようにしたんですよ。それまではパーソナルで指導してもらったりしていて。もちろん自分の負けを、教えてくださっていた人たちのせいにすることはないです。ただ自分自身で考えたほうが、試合で勝っても負けても納得できるんじゃないかと思ったんですね」

――誰かのせいにはしたくない。でも、このままだと誰かのせいにしてしまうかもしれないし、そんな自分が許せないという気持ちもあったのではないですか。

「……そうかもしれないです。今までもそうだし、今後もし負けた試合でも誰かのせいにはしたくない。自分で決めた目標だから、自分の気持ちも曲げたくはないですからね。まさか黒帯デビュー戦の相手が世界一のマイッサだとは思わなかったけど(笑)」

――それこそ初めてのオリンピックで、1回戦で吉田沙保里さんや伊調馨さんと戦うような。

「本当にそんな感じです(笑)。もう最高ですよ。今、私に良い風が吹いているんじゃないかって思います。マイッサには――もちろん今のままではギだと歯が立たないし、ノーギでも怪しいですよ。自分の100パーセントを出しても勝てない。それこそ120パーセントまで自分を引き上げないと勝てないです。だからこそ試合が決まった瞬間、どうやって120パーセントを引き上げるかって考えるのが楽しくて」

――そうして強くなる、強くなろうとする瞬間が楽しいわけですね。まさに根っからのファイターです。

「正直『これからはSNSも活用して自分のことをもっとアピールしていかないといけない』とは思っています。強いことはもちろんだけど、強い選手は世界にたくさんいますからね。その中から、どうやって自分が試合に呼ばれるようになるかっていうことも考えるんですよ。でも自分の中では強くなりたい……強くなることが一番で。

今年はADCC世界大会と、IBJJFノーギワールドにも出たいです。ノーギワールドもポイントが関わってきますけど――さっき言ったとおり、ここでマイッサ戦が決まるのは私に良い風が吹いてきているとは思います。でもそのチャンスを掴むためは、強くなるしかないから。格闘技をやる限り、その気持ちは絶対に変わりません」

■放送予定
3月9日(土・日本時間)
午前9時45分~U-NEXT


■ ONE FN20対戦カード

<ONEキックボクシング世界女子アトム級王座統一戦/3分5R>
[正規王者] ジャネット・トッド(米国)
[暫定王者] ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)

<ONEムエタイ世界女子アトム級選手権試合/3分5R>
アリシア・エレン・ホドリゲス(ブラジル)
クリスティーナ・モラレス(スペイン)

<ムエタイ130ポンド契約/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
マルティニ・ミケレット(イタリア))

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ジヒン・ラズワン(マレーシア)
澤田千優(日本)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
エカテリーナ・ヴァンダリーバ(ベラルーシ)
マルティナ・キエルチェンスカ(ポーランド)

<ムエタイ・アトム級/3分3R>
ララ・フェルナンデス(スペイン)
ユウ・ユウペイ(香港)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<サブミッショングラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/10分1R>
マイッサ・バストス(ブラジル)
山田海南江(日本)

<ムエタイ・アトム級/10分1R>
シール・コーエン(イスラエル)
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45 MMA MMAPLANET o Progress Road to ADCC Special UFC YouTube 世羅智茂 山田海南江 松嶋こよみ 森戸新士 海外 菊入正行

【Special】J-Grappling2023─2024、世羅智茂─02─「ルールを理解せず単純に技術だけ学ぼうとすると…」

【写真】カルペディエム青山で松嶋こよみや菊入正行らJ-MMAのトップと練習をしている (C)MMAPLANET

J-Grappling 2023-2024、世羅智茂インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

2023年、海外のトーナメントに出場する一方で、世羅はProgressフォークスタイル・グラップリングのウェルター級暫定王座決定戦に挑み、森戸新士に敗れている。日本国内ではADCCルールの試合経験を積むことができないなか、世羅にとってプログレスで戦った意味とは。そして11月、77キロ級で3位入賞を果たしたADCCアジア&オセアニア予選を振り返る。全ては2024年世界大会のために――これが世羅のRoad to ADCCだ。

<世羅智茂インタビューPart.01はコチラから>


――年末のADCCアジア&オセアニア予選を目標としていた世羅選手にとって、グラジエイターで行われたプログレスのトーナメントは、どのような意味を持っていたのでしょうか。決勝で森戸新士選手に敗れていますが……。

「決勝で負けたというのは、やっぱり悔しいです。試合内容も、勝つための実力を十分に練ることができていませんでしたね。まだまだ準備不足だなって感じました」

――森戸選手もADCCを目指し、スタンドレスリングを強化していました。その意味では両者にとってADCC前哨戦といえる試合だったかもしれません。

「そうですね。ADCC予選でも当たる可能性はありましたし。あとプログレスのルールはADCCにもマッチしていて、このルールで日本トップレベルの選手と対戦できる機会も少ないと思うんですよ。その点では、ADCC予選の前にプログレスルールで対戦できていた意味は大きいです」

――ADCCで勝つためには、ADCCルールはもちろんスタンドレスリングが重要視されるルールの試合経験を増やしたほうが良いですか。

「数をこなしたほうが良いかどうかは分からないですけど、一度は経験しておいたほうが良いとは思います。どうしても柔術がベースにあって、下のポジションになっても良いという意識でいると負ける可能性は高くなりますから」

――同じく11月のADCC予選に出場した山田海南江選手は、試合前のインタビューで練習環境についても触れていました。女子の場合、ADCCルールの練習ができる環境は少ない。そのため、自分の中で試合時間とルールを考えながら練習していたと。

「あぁ、確かにそれは難しいですね。練習相手もADCCルールを意識してくれないと――たとえばスパーで相手が簡単に下になっていると、噛み合わない部分は出て来ます。日本国内ならMMAファイターと練習をしたほうが、ADCCに近いかもしれないです。MMAの選手は簡単には下にならないし、テイクダウンされてもすぐに立ち上がるので」

――世羅選手もロータスをはじめ、MMAファイターとグラップリングの練習することは多いですね。

「はい。今は週1でロータスに行かせてもらっているのと、カルペディエム青山でも週3でグラップリングの練習をしていて、そこにMMAファイターの方たちが来てくれています。そこでスタンドレスリングの練習はできていますね」

――ではADCC予選の日を迎えた段階で、ご自身が目指していたスタンドレスリングのレベルに達していたのでしょうか。

「いえ、良くて半分のレベルというところでした。ちょっとずつレスリングの理屈は分かってきていました。レスリングのルールから理解すると分かりやすいですね。ルールを理解せず単純に技術だけ学ぼうとすると、しっくりと来なくて。柔術の感覚のままレスリングを学ぶと難しいですよ。それはどの競技に対しても言えることでしょうけど――レスリングの技術というのは、そのルールの中で最適化されているものじゃないですか。

まずレスリングは互いに動かされるルールで、動かないとパッシブを取られてしまう。下がって場外に出ると、相手に1ポイントが与えられる。選手は前に出るしかないルールです。そのルールの下で生まれている技術だからこそ、まずルールを理解することで技術の理屈も分かってきました。ただ、それでも自分の理想からすると、半分ぐらいのレベルにしか達していなかったとは思います」

――その状態は予選に挑むにあたって、不安要素にはなりませんでしたか。

「不安要素に……なっていましたね(苦笑)。実際、準決勝戦はスタンドレスリングで劣勢になり、それが判定に響いてしまいました。そこで自分の弱い部分が出てしまったな、という気持ちはあります。

ADCCで勝つためには体力、フィジカル面も重要で。予選はオープントーナメントなので、77キロ級とか50人以上が参加していました。すると優勝するためには5~6試合しないといけなくて、必然的に体力が必要になってきますよね。1回戦からエコに試合を運べていたら体力も温存できていたとは思いますけど……」

――結果、6試合で世羅選手がポイントを失うことはありませんでした。それはエコな戦いではなかったということでしょうか。

「ADCCはポイントが入りにくいんですよ。一瞬パスされたりバックを奪われても、カウントが入る前に立ち上がったりするとか――ギリギリのところを抑えていると失点はなくせます。危ない場面は結構ありましたが、寸前のところで止められたという感じですね。

3回戦では前半にシライ・ソウフィにマウントを奪取されるも

3回戦ではポイントが入らない時間に、マウントまで取られていました。

『やべぇ!』とは思いながら、まだポイントは入らないので落ち着いて戦えたんです。結果は加点時間に僕がバックを取って勝てたので。まぁ、ギリギリでした(苦笑)。

バックを取るなど5-0で準々決勝へ進んだ

できるだけ1回戦や2回戦は、サクッと極めて勝ちたいです。

実際、他の1回戦は一本勝ちが多くて。オープン参加なので記念受験のような選手もいるとは思いますね。やはりレベルの差が大きい試合がありました。それが3回戦~4回戦になると、極めるのは難しくなる。だから1~2回戦は極めて、体力を温存したかったです」

――なるほど。

「あと予選は決勝以外、試合時間が6分なので一つのポイントで決まってしまいます。加点時間——残り3分で一度2ポイントでも取られてしまうと、自分がポイントを取り返すのは本当に難しいです。先ほど言った3回戦で、マウントを取られたのが加点時間だったらキツかったと思います。ただでさえポイントが入りにくいADCCなので」

――今回の予選では3位に入賞するも、世界大会出場権を獲得できませんでした。その結果については、どのように考えていますか。

「もちろん結果は満足できないです。でも一応、3位入賞というのは――ベストではないけれど形にはなったという感じですね。それは素直に良かったなと思います。

海外へ行くたびにクラスの指導を休むことになり、他のスタッフに代行してもらうなかで3位に入ったのは、最低限の結果を残すことができました。そこはメダルがあると無いとでは大きく違うので。そして自分の力が、ある程度通じることが分かったのも収穫でした。

こういうトーナメントって組まれ方次第で順位が大きく変わるんですよね。77キロ級は優勝した岩本君以外、おそらくベスト4やベスト8ぐらいは組まれ方で変わってきます。そのなかで3位入賞できたのは大きいと思ってはいます」

――一方、再び世界大会を目指すうえで自身に足りないものは何でしょうか。

「まだスタンドレスリングは伸びしろがあると思うので、強化していきます。それよりも全体的に、平均値を上げていきたいですね。スタンドレスリングに寄りすぎても難しいと思うんですよ。レスリングが強いだけで勝てるわけではなく、パスガードやポジショニング、サブミッションなど全ての要素を高めていかないと勝てない。

MMAも全ての要素が強くないとUFCでは勝てない、と言われるじゃないですか。MMAの頂点がUFCなら、グラップリングの頂点はADCCで。MMAでいえばDJのように、グラップリングにおいて全ての要素で強くならないといけないです」

――世界大会は8月17&18日に米国ラスベガスで開催予定です。その前にアジア&オセアニア予選の2ndラウンドが行われるという話もありますが、開催されれば出場しますか。

「予選は各地区で2回行われていますからね。もう一回、予選はあると思っています。その中で再び、1つしかない世界大会出場権を争う。また過酷なトーナメントになりますが、やるしかないです」


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【修斗】COLORS Produce by SHOOTO Vol.2 “FIGHT&MOSH”

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電気グルーヴのアンと匂いの樹と被ったために泣く泣く観戦を断念した修斗。遅ればせながらABEMAで追っかけ視聴したので感想をまとめてみました。まずは前半で開催されたプロフェッショナル修斗公式戦 COLORS Produce by SHOOTO Vol.2 “FIGHT&MOSH”藤井恵がCSOを務める修斗の女子部門の2大会目。今回はメインで女子アトム級のタイトルマッチが用意されました。


【第1試合 グラップリング 85kg契約】
○緒方亜香里(AACC)
(アームロック)
×奥谷晴加(藤田柔術)
ロンドン五輪柔道78kg級日本代表が開始早々にサイドを奪うとアームロック。僅か45秒であっと言う間の一本勝ち。ちょっと格が違った。MMAでの試合もまた見たいけど階級が階級だけになかなか相手がいないのかな。。。


【第2試合 グラップリング 51kg契約】
×前澤智(リバーサルジム東京スタンドアウト)
(三角絞め)
○山田海南江(IGLOO)
山田の極めの強さがとにかく光った一戦。足関節をフックに下からの腕十字を経て三角絞めに移行。そのまま一回転してマウントになると腕も絞め上げると前澤はタップ。2023年の全日本柔術選手権茶帯フェザー級で優勝した実力はダテじゃない。あの前澤を極めてしまう圧巻の試合運びでした。


【第3試合 2023年度新人王決定トーナメント 女子アトム級 決勝】
○川西茉夕(BURST)
(1R 腕十字)
×天天さくら(BATTLE)
グラウンドに持ち込んだ川西。サイドを奪取すると腕十字を極めてあっさりと一本勝ち。女子アトム級新人王に輝きました。エントリーが2名で1勝して新人王というのは締まりがよくないですが、川西はポテンシャルが高そう。藤井恵の指導でトップ戦線に食い込んでくるか。


【第4試合 女子アトム級】
○平田彩音(BURST)
(1R TKO)
×MIYU(DFC Team LEOS)
ストライカーのMIYUに対して平田がグラウンドに持ち込むとその差は歴然。1Rからポジショニングで圧倒すると2Rになってマウントからパウンドと肘の連打で試合を決めました。川西と同様藤井恵に師事する平田。安定感のある試合運びと堅実なグラウンドは次世代のエース候補の可能性十分。


【第5試合 52kg契約】
○KAREN(パラエストラ柏)
(1R TKO)
×パク・ソヨン(韓国/グンサンROADジム)
パンクラスでチャンピオン経験を持つKAREN。得意のサイドキックで試合を組み立てるスタンド中心の展開を予測していましたが、開始早々にグラウンドに持ち込む。終了間際にバックに周るとパウンドラッシュでTKO勝ち。随分とスタイル変わったなと思ったら、そもそもパラエストラ柏所属になってましたね。今後はオールラウンドでの成長が期待出来そう。


【第6試合 セミファイナル 54kg契約】
○ソルト(マルスジム)
(1R TKO)
×ホ・ジュギョン(TEAM J)
パンクラス女子ストロー級王者のソルトが19歳のジュギョンを圧倒。リーチ差を活かして開始直後からパンチを面白いようにヒット。1R中盤にパンチの連打を被弾して足が止まったジュギョンを見てレフェリーが試合を止めた。とにもかくにも実力差があり過ぎたマッチメイク。


【第7試合 メインイベント 修斗世界女子アトム級チャンピオンシップ】
○澤田千優(AACC)
(2R TKO)
×中村未来(マルスジム)
いやはや澤田の強烈なタックルと固いポジショニングは格が違った。マウンド、バックマウントを奪取して腕十字が極まらないと見るや、パウンドラッシュに切り替えると1R終了間際にレフェリーが試合を止めた。ちょっと修斗という枠には収まりきらない圧倒的な実力。格闘家らしからぬビジュアルも相まってRIZINに出場したらブレイクしそうなのだが2024年の動向が気になる。


終わってみれば7試合全てがフィニッシュ決着。爽快感十分ではありますが、いかんせん実力差があるワンサイドゲームが多かったのは否めません。選手層が決して厚くない女子部門だと厳しいかもしれませんが、COLORSが盛り上がるためには大きな課題になるでしょう。
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【Colors02】ADCCオセアニア&アジア予選から1週間後に、山田が前澤を腕十字→三角で下す

【写真】1週間前にADCC予選に出場していた山田が前澤を下す(C)MATSUONAO KOKUBO

<グラップリングマッチ 51キロ契約/8分1R>
前澤智(日本)
Def.3分05秒 by 三角絞め
山田海南江(日本)

低い体勢で向かい合う前澤に対し、山田はさらに低く構えて距離を詰める。ダブルレッグで組んだ山田がリフトして、前澤の背中をマットに着ける。すぐに立ち上がった前澤をケージに押し込んだ山田は、アームドラッグで引くも前澤は倒れず。前に出続ける山田が左腕を差し上げた。前澤はケージ際から離れる。すると山田が引き込み、右腕を差し上げた。

前澤の首を抱え、ニーシールドからの展開を狙う山田。前澤が立ち上がるも、すぐにケージへ押し込んだ。シングルレッグでグラウンドに持ち込んだ山田は、前澤の左足にヒールを仕掛けるも、これは極まらず。山田が腕十字で腕を伸ばしにかかると、前澤は体を起こすが三角で捕えられてしまう。山田は回転してマウントになり、そのまま三角でタップを奪った。

勝利した山田は挨拶の途中で「普段は世界を目指してやっているので、こんな選手がいるんだなと知ってもらえたらと思います」と笑顔で語った。


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【FIGHT&MOSH】これぞ修斗伝承! 安芸柊斗戦へ、猿丸ジュンジ─02─「最後までKOを狙っていく」

【写真】諦めない「Never GiveUp」の精神は受け継がれていく(C)MMAPLANET

2日(土)、東京都江東区にある豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦「FIGHT&MOSH」で、安芸柊斗と対戦する猿丸ジュンジのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

猿丸は2007年7月に修斗でプロデビュー。2021年11月、5度目の挑戦で念願であった修斗のベルトをその腰に巻いた。修斗にこだわってきた男のラストファイト――途中であきらめていたら修斗のベルトを巻くことも、かつて自分が倒した相手の息子と最後の試合で対戦することもなかった。そんな猿丸ジュンジにとって現役選手としては最後となるメッセージを受け取ってほしい。これが修斗伝承だ。

<猿丸ジュンジ インタビューPart.1はコチラ


――その佳孝さんの息子である安芸選手との試合が、しかもラストマッチで実現するとは……。本当にこれが猿丸選手のラストマッチになるのですか。

「はい。これがラスト! 現役最後の試合にします」

――では、これが現役選手としては最後のインタビューとなります。ご自身のキャリアを振り返って、「こうしておけば良かった」あるいは「こうしていたから良かった」と考えることはありますか。

「何度もタイトルマッチで負けたけど、黒澤選手に勝ってチャンピオンになれたこと。諦めなくて良かったと思います。だから安芸選手も諦めないでほしい。安芸選手って今、何歳ですか?」

――22歳ですね。

「22歳だと、まだまだ体は大きくなりますね。フライ級に上げて、チャンピオンは同じ新井選手だけど諦めずに挑み続けてほしいです。自分もストロー級で試合をしているなかで、どんどん体が大きくなっていました。でもストロー級で何度もベルトに挑戦して負けていたからこそ、ストロー級でチャンピオンになろうと続けていましたから」

――試合を通じて、その想いも安芸選手に伝わってほしいですね。これまでのキャリアの中で一番思い出深い試合も教えてください。

「タイトルマッチ以外だと最初の黒澤戦(2015年5月、猿丸がKO勝ち)ですね。あの時もモブスタイル興行で――実は怪我していたんですよ。周りの人たちが『試合に出るな』って言うような状態でした。でも自分は『右手一本、残っているから大丈夫ですよ』と訳分からないことを言って(笑)。お世話になっているモブスタイルの興行だから、どうしても出たかったし。それで試合をして、KOで勝てた。やっぱり諦めないことが大事ですよ」

――なるほど。試合の話に戻すと、対戦相手が安芸選手に決まり、試合用の練習はいつ頃から行ってきたのでしょうか。

「モブスタイル興行の話を聞いてから練習はやめていないし、追い込みの練習もコンスタントに続けていました」

――コンスタントに! 確かに顔つき、体つきがすでに試合に向けて仕上がっているように見えます。

「そうですね。ずっと体もコンディションもキープしています。もともとストロー級の時から、減量がキツいから日頃からキープするようにはしていて」

――今回の試合はストロー級ではなくフライ級契約なのですね。

「もうストロー級に落とす意味がないですしね。タイトルマッチでもランキングに絡む試合ではないから、対戦相手が決まる前から『フライ級で試合したい』と伝えていました」

――それもまさに「運命」だと思いました。安芸選手もインタビューで「ストロー級は新井戦が最後だと決めていた」と以前からフライ級転向を考えていたようです。どちらかがストロー級を希望していたら、もしかしたらこの試合は実現しなかったかもしれない。

「アハハハ、ちょうど良かったですね。だからフライ級で戦うためのコンディションをキープし続けていました」

――『がんばれ元気』的な要素が強い試合ではありますが、実際のところ現在ストロー級3位の安芸選手と、同級4位の猿丸選手によるランカー対決でもあります。ラストファイトの相手としては、ランキング上位陣を希望していたのですか。

「相手は誰でも良かったです。モブスタイルの興行で、自分がラストファイトを戦うということのほうが重要で。ただ、その中でも一番良い相手に決まりましたね。ドラマもあるし、修斗伝承で」

――!!

「安芸選手も修斗で試合し続けてきて、俺もブレずに修斗だけで戦ってきた。そんな自分のラストファイトの相手が安芸選手になる――これが修斗ですよ」

――今回の出場メンバーに元シューティングジム横浜勢が多いことも、修斗伝承の意味合いを深めているのではないですか。

「揃いましたよね。マモルさんの引退エキシビジョンがあって、リオン武さんと田中半蔵さんが試合をする。半蔵さんのタイトル挑戦が後楽園ホール大会ではなく、このモブスタイル興行になったのは偶然かもしれないけど、それでも何か運命を感じられるようなマッチメイクになって。そういえばマモルさんのエキシの相手が、ウルシさん(漆谷康宏)になったじゃないですか(マモル引退エキシビジョンの相手は漆谷、清水清隆、そしてXとなっている)。ここ何年もウルシさんに打撃を教えてもらっているんですよ」

――おぉっ! あのウルシスタイル=MMAアウトボクシングを学んでいるのですか。

「そう思うでしょ? アウトボクシングはもちろんだけど、ウルシさんってインファイトもメチャクチャ強いんですよ。今でもスパーしたら、すごく強くて」

――その漆谷さんや清水清隆さんなど、かつて日本フライ級を盛り上げた人たちが集まるのも感慨深いです。

「でもね、それだけじゃダメなんですよ。もっと若いファイターが修斗を盛り上げてほしい。この試合で安芸選手にはガンガン来てもらいたいです。それも含めて修斗伝承だから」

――では対戦相手である安芸選手の印象を教えてください。

「強い選手ですよ。これから修斗でチャンピオンになったり、もっと上に行くファイターですよ。安芸選手と新井選手の試合も、メチャクチャ良い試合だったじゃないですか。新井選手がKO勝ちしたけど、安芸選手も効かせていて――どちらが勝ってもおかしくない試合で」

――安芸選手は「引退試合だからといって相手に花を持たせる気はない」と仰っています。

「こちらも同じ気持ちですね。ラストマッチといっても、これは試合だから。倒しにいくっていう気持ちは最後の試合まで変わらないです」

――猿丸選手としては打撃戦になると思いますか。

「最後はそうなっちゃうでしょうね。せっかくオールラウンドで戦えるようになったのに(笑)。安芸選手は腰が強くて、テイクダウしても立ち上がるのが巧いじゃないですか。だから自分も考えたけど……、最後は打撃戦になると思います。最後まで自分はKOを狙っていきます。ぜひ試合を楽しみにしていてください」

■プロフェッショナル修斗公式戦 FIGHT&MOSH 視聴方法
12月2日(土)
午後5時30分~ABEMA TV

<世界フェザー級選手権試合/5分5R>
SASUKE(日本)
田中半蔵(日本)

<ミドル級/5分3R>
岡見勇信(日本)
キム・ジェヨン(韓国)

<マモル引退エキシビジョンマッチ/5分2R>
マモル(日本)
漆谷康宏 & 清水清隆 & X(後日発表)

<68キロ契約/5分3R>
リオン武(日本)
内藤太尊(日本)

<フライ級/5分3R>
猿丸ジュンジ(日本)
安芸柊斗(日本)

<フライ級/5分3R>
内藤頌貴(日本)
石井逸人(日本)

<フェザー級新人王決定T準決勝/5分2R>
青井太一(日本)
ネイン・デイネッシュ(インド)

■プロフェッショナル修斗公式戦 COLORS02 視聴方法
12月2日(土)
午後0時30分~ABEMA TV

<世界女子アトム級選手権試合/5分5R>
澤田千優(日本)
中村未来(日本)

<54キロ契約/5分2R>
ソルト(日本)
ホ・ジュギョン(韓国)

<52キロ契約/5分3R>
KAREN(日本)
パク・ソヨン(韓国)

<女子アトム級/5分2R>
平田彩音(日本)
MIYU(日本)

<女子アトム級新人王決定トーナメント決勝/5分2R 延長1R>
川西茉夕(日本)
天天さくら(日本)

<グラップリングマッチ 51キロ契約/8分1R>
前澤智(日本)
山田海南江(日本)

<グラップリングマッチ 85キロ契約/8分1R>
緒方亜香里(日本)
奥谷晴加(日本)

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MMA MMAPLANET o アデーレ・フォーナリノ 山田海南江

【ADCC Asia&Oceania Trial】日本勢、ADCC予選の軌跡―02―女子55キロ級。山田海南江、準優勝

【写真】今回は準優勝だった山田。本番は来年の5月、タイでの予選です(C)MMAPLANET

<女子55キロ級1回戦/6分1R>
山田海南江(日本)
Def.1分03秒by アメリカーナ
スー・ティンティン(中国)



<女子55キロ級準々決勝/6分1R>
山田海南江(日本)
Def.2分43秒by RNC
ベタニー・ベーロンヘーリス(豪州)



<女子55キロ級準決勝/6分1R>
山田海南江(日本)
Def.4-0
シ・ジュンチン(台湾)



<女子55キロ級準決勝/6分1R>
アデーレ・フォーナリノ(豪州)
Def.2分03秒by 腕十字
山田海南江(日本)





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MMA MMAPLANET o 山田海南江

【ADCC Asia & Oseania Trial】女子-55キロ級。山田海南江は初のADCCルールでトーナメント準優勝

【写真】山田は3試合に勝利して準優勝(C)MMAPLANET

<女子-55キロ級決勝/8分1R>
アデーレ・フォーナリロ(豪州)
Def3分03秒 by 腕十字
山田海南江(日本)

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Colors Colors02 F1 MMA MMAPLANET o YouTube 修斗 前澤智 山田海南江 岩本健汰 海外

【ADCC Asia & Oceania Trial / Colors02】勝負の1週間、山田海南江「練習相手との試合でも気にしない」

【写真】シンガポール入り翌日の山田海南江(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(土・現地時間)にシンガポールはジュロンイースト・スポーツセンターで開催されるADCCアジア&オセニア予選の女子55キロ級に、山田海南江が出場する。さらに1週間後の12月2日には、女子プロ修斗興行Colors02で前澤智とグラップリングマッチで戦うことも発表された。
Text by Shojiro Kameike

今大会は「ADCCアジア&オセアニア予選」ではあるものの、女子55キロ級トーナメントは本戦出場を賭けた予選ではない。そんななかで山田があえてシンガポールに渡り、しかも初となるADCCルールに挑む理由とは。シンガポール入り直後の山田が語ってくれたのは、日本グラップリング界の現状とレスリング出身であるがゆえの感覚——そして自身の夢だった。


――今大会の女子55キロ級は、世界大会の予選ではありません。なぜそのトーナメントに、あえて出場しようと思ったのでしょうか。

「まず今回から、柔術よりグラップリングに専念しようと考えています。グラップリングに専念するなかで、ADCCで女子55キロ級ができたことを知り、ADCCで一番になりたいと思いました。でも今まで一度もADCCルールの試合をしたことがなかったんです。女子55キロ級の予選は来年5月にタイで行われると聞いていますが、予選でADCCルール初挑戦だと厳しいですよね。まずはADCCルールを経験して、予選に向けた対策や戦略を考えるために、今大会にエントリーしました」

――グラップリングにはサブオンリーやIBJJFのノーギなど、様々なルールの大会があります。そのなかでADCCを選んだ理由を教えてください。

「えっ、ADCCは魅力的じゃないですか(笑)」

――単純明快ですね。

「アハハハ。同じチームの岩本健汰がADCC本戦に出場した時、中継を視て『この会場で試合をしたい』と思ったんです。でも女子は60キロ未満と60キロ以上の2階級しかなくて。私が60キロ未満で試合をするのは、体重差はもちろん力の差もあるかなと感じました。でも今回から55キロ級ができたことで、私がやってきたレスリングと柔術の力が、どこまで通じるかが気になったんですよ」

――グラップリングでは他のルールと比べて、ADCCはスタンドレスリングの要素が強いでしょう。その点でもご自身に合っていると思いますか。

「はい。今まで自分がやってきたことを考えると、戦略次第ですが一番良いルールである可能性は高いですね。そのチャンスを生かしたいです」

――今大会の女子55キロ級出場者はシンガポール、タイ、インドなど各国のADCCルール大会に出場しています。豪州はADCCルールに限らずグラップリング大会が多数開催しており、試合経験は豊富な選手ばかりです。一方、日本は圧倒的にADCCルールで戦うことができる機会が少ない。

「そうなんです。出場メンバーの中で私が一番ADCCルールの経験値が少ないと思います。おそらく体格も私が一番小さいかもしれません。だからこそ今回の試合を踏まえて、予選に挑むことができれば——そう考えると、今大会で女子55キロ級トーナメントが開催されたのは、タイミング的にも私にとって良かったです」

――ADCCルールの試合経験がないなかで、今大会に向けてどのような練習や対策を行ってきたのでしょうか。

「もともとADCCルールで練習できる場所が少ないじゃないですか。まず女子選手がいるジムを探し、出稽古に行かせてもらって——ADCCルールについてはタイマーを見ながら前半と後半を意識して練習していました。練習中にタイマーを気にするのは相手にも失礼かと思うのですが、そこは私がやるべきことを貫くしかなくて」

――前半、後半というのはADCCルール特有のポイントの有無に関する練習ですか。

「そうです。ポイント無しの前半はどう攻めるか、ポイントが入るようになる後半はどう攻めるかと意識して練習していました」

――ADCCルールに挑む女子選手が圧倒的に少ない以上、自分が主体的に何とかするしかありませんね。どのジムで出稽古を行っていたのでしょうか。

「今回はもう一人、玉井侑未さんが同じ女子55キロ級に出るので、玉井さんが練習している東中野のトイカツ道場さんに行かせてもらいました(玉井の所属は今成柔術)。『トーナメントで当たる可能性のある選手と一緒に練習するの?』と思う人もいるかもしれないけど、私はあまり気にしないんですよ。トーナメントで当たるかどうかは分からないし、一緒に練習していようと、していまいと対戦したら勝つしかないので」

――それはレスリングを経験されているからではないですか。レスリングの強豪校なら、対戦する可能性のある選手が同じ部にいることも多いでしょうし。

「そう思います。もしかしたら相手の方は気にしているかもしれないし、そこで断られたら私も諦めます。ただ——柔術を始めてから『そういうのを嫌がる人もいるんだな』って知りました」

――練習相手と対戦したくない、という選手も多いですね。

「レスリングだと強化合宿は、絶対に戦う相手と練習することになるじゃないですか。だから私は気にしていなかったというか。結局は、その人たちに勝たないと日本一になれないし、日本一になれないと世界に挑戦できないので。

もともと私はレスリングの実績がなかったけど、オリンピックを目指して強くなるために安部学院という強豪校へ一般入試で進学しました。安部学院のレスリング部では、まず自分が一番弱いことは分かっていて、とにかく人の何倍も努力しないといけなかった。そうしないと強くなることはできなかったんです」

――そうしたレスリング時代の経験を鑑みると、海外で試合をすることにも躊躇はないでしょう。

「今回も『出る!』ってスパッと決めました(笑)。もちろん、いろんな方に相談しました。遠征費もそうですし、様々なスケジュールのこともあって。でも、せっかくのチャンスだから——おそらくADCCで女子55キロ級ができていなかったら、ギで来年のムンジアルを目指していたと思います。でも自分が出てみたいと思ったADCCに新しい階級ができ、ここでADCCルールを経験できるチャンスがある。そう思って、いろんな方に相談して今大会に出場することを決めたんです」

――ムンジアルとADCCの両方を目指そうとは思わなかったのですか。

「私、ギとノーギを並行できるほど器用じゃないんですよ(笑)。柔術やるなら柔術、グラップリングをやるならグラップリングに集中したくて。でもグラップリングをやるにしても、先ほど言われたとおり大会ごとにルールが違います。であれば、どこを目指すのか。やるからには中途半端なことはしたくないし、今回はADCCでしっかりやると決めました」

――では今大会の女子55キロ級で、チェックしている選手を教えてください。

「やはり一番は去年、アジア&オセアニア予選の女子60キロ級で優勝しているアデーレ・フォルナリーノですね。まだトーナメントの組み合わせが確定していないので、どこで誰と対戦するのか分かっていませんが……」

―他にも柔術茶帯やグラップリング戦の経験が法は選手が出場します。そのなかでご自身は、どれくらいの位置にいると思いますか。
「それは聞かれると思って、どう答えようかと思っていたんですよ(笑)。でもADCCルールの経験がないから、何とも言えないというか正直分からないです。今回のトーナメントで、その答えを見つけたいと思います」

――なるほど。さらADCCトーナメントの1週間後、12月2日にプロ修斗興行の中で前澤智選手とグラップリングマッチで戦うことが発表されました。

「実は結構前にグラップリングマッチのお話は頂いていて……、本当は良くないと思うんです。プロの大会に出ることが決まったあと、その1週間前に行われるトーナメントへ出ることを決めるなんて。トーナメントで怪我をしたら、プロ興行に穴を空けてしまうことになる。でも、私自身が目指しているものを目指し続けていきたいんです」

――ADCCは強豪が揃ったトーナメントであり、その1週間後に違うルールで、これまた強豪の前澤選手と対戦する。かなりハードな1週間になるでしょう。

「前澤選手はずっと練習も試合もし続けているファイターで——実は一緒に練習したこともあります。対戦が決まったあとも、お互いに何も言わず練習しました。だけど先ほども言ったとおり試合相手と練習することも、練習相手と試合することに対しても特に思うところはないです。ADCCトーナメントと前澤選手の試合で、どっちが上か下かという気持ちはなくて。どちらも勝ちたいし、試合ができるならガンガン出ていきたいですね。私としては、どんなルールであっても自分がやるべきことは変わらないと思うので」

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