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【Special】J-MMA2023─2024、岡見勇信「やっぱり僕は自分が信じた武器をぶつけるしかない」

【写真】試合後に自嘲気味な笑みでなく、会心の笑みが見られたのは嬉しい限りだ (C)TAKUMI NAKAMURA

2023年も残り僅か、2024年という新たな1年を迎えるには当たり、MMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過行く1年を振り返り、これから始まる1年について話してもらった。
Text by Takumi Nakamura

J-MMA 2023-2024、第三弾は12月2日のプロ修斗公式戦「FIGHT&MOSH」でキム・ジェヨンに判定勝利した岡見勇信に話を訊いた。2023年の試合はこのジェヨン戦のみだったが、この試合に向けた取り組み、そして試合で見せた必死な姿は見るものの心に響いた。岡見がジェヨン戦で何と戦っていたのか。

■2023年岡見勇信戦績

12月2日 プロ修斗公式戦FIGHT&MOSH
〇2-1 キム・ジェヨン(韓国)


――キム・ジェヨン戦は約4年ぶりの勝利でした。試合を終えた時は率直にどのような心境でしたか。

「色んな感情がありましたよね。カード発表動画でも言ったように、ジェヨン戦は終わりを考えずに気持ちはフレッシュに新たな冒険に出る、終わりを見据えた戦いはよくないと思う試合でした。そういった意味で再スタートを切れるのか、それとも終わってしまうのか。そのどちらかという試合だったので、勝つことが出来てホッとしていますし、厳しい戦いでしたけど、自分がやろうとしていた前に出る姿勢は貫けたかなと思います。

そういうファイターとして大事な部分をオンラ・ンサン戦からずっと考えていて、その課題を自分に問う試合だったので、そこでなんとか…なんとか…なんとか……ファイターとして戦いきれたことがホッとした感じがありますね」

――試合そのものは打撃でプレッシャーをかけて何度もテイクダウンにトライするという展開でした。それを想定して練習にも取り組んでいたのですか。

「もちろん練習と試合は違う部分がありますが、まさにそういう練習をやっていました。どうしても経験や技術が増えると、そこに頼りがちになって、特に練習ではそうなってしまうんです。言葉は悪いけど小手先の技術でごまかしてしまうというか。決してそれが間違っているわけではないんですけど、自分がダメージを負わない代わりに、相手にもダメージを与えていない。でも試合としては上手く勝つ。いつからか自分もそういう練習や試合をするようになっていました。

僕自身、ンサン戦が終わって、いつからそうなったんだろう?と考えたら、2017年にUFCに復帰してから、特にそういう部分が出てきていたなって。この5~6年はファイターとしての本質的な部分が欠けた姿勢や練習をやっていました。だから今回のトレーニングキャンプでは逃げずに戦う姿勢を持つ。自分がダメージを受けるリスクもあるけれど、相手にダメージを与える。そこをやらなきゃいけないと思って、内藤由良と16オンスのグローブで、ヘッドギアなしの本気のMMAスパーをやってたんです。そのスパーが試合と同じような練習だったんですよ。試合中にも『これって由良とやったスパーのまんまだな』って思うぐらい。

由良はレスリングがバックボーンで動きも早いから、なかなかピュアレスリングではテイクダウンが取れないんです。だから打撃で前に出てケージに押し込んで押し潰して、MMAのレスリングで勝負しないといけない。その中間で組みつきに行ってもいなされるし、少しでも弱気な姿勢を見せたらやられるので、由良とスパーしながら勝つためには前に出ることがベストな選択だと感じていました。そういうシチュエーションが試合で何度も訪れたんですよね」

――例えば1Rに岡見選手がバックコントロールしようとして、グラウンドで下になってしまい、亀になって立とうとしたところでパンチを浴びました。結果的に立ち上がることはできましたが、ああいった場面でもキツイことをやるという練習が試された場面だと思いました。

「あの場面は僕がバックをとろうとしたところで、ジェヨン選手に上手く重心移動されて、最終的に僕がバックをとられたんです。あの時に『これは簡単な試合にならない』と痛感しました。でもそれは試合前にジェヨン選手の試合映像を見た時点で、タフな試合になりそうだと思ったし、今回はバックステージがそこまで広くなかったのでジェヨン選手のアップを試合前に見かけたんですけど、入場直前までものすごくアップをしてるんですよ。本当に入場1分前までずっと対人練習をしていて、これはしんどくなるぞと(苦笑)」

――もしかしたらジェヨン選手も岡見選手とやるにあたってタフな展開になることを覚悟していたかもしれませんね。

「実はキム・ドンヒョンのジムで彼とは練習したことがあって、なんとなくやりづらい選手だなと思った記憶があるんです。案の定、1Rに自分がグラウンドで下になって、練習でやっていたことが出来ずに、パウンドをもらってポイントをとられましたけど、そこは冷静にやるべきことをやろうと。あの時点で改めてスイッチを入れ直しました」

――ジェヨン選手はこの試合のためにATTワシントンでも練習を行うなど、この試合にかける想いは強かったと思います。ファイトスタイルも含めて、岡見選手が取り組んできた練習が試された相手だったと。

「色んな相性もありますけど、どちらかと言えばジェヨン選手は僕が苦手としているブルファイター。どんどん前に出て殴ってくる。粘り強い典型的な韓国人ファイターで、こっちも絶対に気持ちが折れちゃいけない相手でした。まさに自分自身に課していたものを彼が対戦相手として立ちはだかってくれたと思います」

――試合を見ていて感じたのは、岡見選手は対戦相手のジェヨン選手だけでなく、自分とも戦っていたんじゃないかなと。事前のインタビューで岡見選手が「自分に克つ」という言葉を口にしていたので余計にそう感じました。

「確かに自分と対話している時間が長い試合だったと思います。身体はキツかったんですけど、意外と頭は冷静だったというか。今回は客席の声や言葉もはっきりと聞こえてきて、それも聞きながら自分と対話ができました。今まで戦ってきたイベントと会場の大きさが違う部分もあると思いますが、しんどい展開の中でも色んな言葉が入ってきました」

――まるでキャリアの浅い・若い選手が先輩に煽られて何度もテイクダウンに入る。そんな光景にも見えました。

「ホントにその通りです。それを自分で自分にやっていましたね。試合後にも言った通り、ダメージとは違う部分で本当に身体がしんどかったのですが、だからこそ自分で自分に檄を飛ばしていました。今回は試合に勝つのはもちろん、自分の弱さに負けたくないという気持ちがすごくあったんですよ。

僕は格闘技を通じて常に自分の弱さと向き合ってきて、試合を楽しめる選手がうらやましいんです。試合前に堀口(恭司)くんのYouTubeチャンネルを見たんですけど、彼は試合前日もすごく楽しそうにしているし、計量後にみんなでご飯を食べて『よっしゃ、行くぞ!』みたいな動画をアップしているんですよ。僕はあれにすごく感動して。本当の意味で世界で勝っていく男ってこういうマインドなんだなと思いました」

――堀口選手のYouTubeを見て、そんなことを感じていたんですね。

「もちろん堀口くんも色んなプレッシャーや感情はあるだろうけど、リアルにあの動画のまま試合に入って、勝ち負けはあっても素晴らしいパフォーマンスを発揮するわけじゃないですか。しかもそれを世界のトップレベルでやるわけだから、本当にすごいと思いますよ。彼と比較すると、僕はそこまで試合を楽しめないし、ずばり彼は自分とは違う人間だなと思います。だからこそ彼のような選手から吸収したいこともあるし、今回は試合が近づくにつれて、自分を追い詰めすぎずに楽な気持ちで楽しむべきなのか?とか、色んなことも考えました。

僕も戦績的にただ勝つだけだったら、たくさん勝ってきました。そのなかで本当の意味で勝つ、楽しむ、実力を出し切っていいパフォーマンスを見せる…そういうものを求めて、自分の弱さとも向き合って、それを克服しようとしてきたんだなと思い起こして。だから今回は絶対に自分の弱さに勝つ・絶対にそこをクリアすることが大きかったんですよね。それが分かりやすく言えば前に出ることだったし、それがトレーニングキャンプで取り組んだことです」

――岡見選手のようにキャリアを重ねると「この団体のベルトが欲しい」や「この相手に勝ちたい」という外的な目標だけでなく、それ以外の部分で何を目標にして戦うかも大事になると思います。岡見選手の場合は弱い自分に勝つことがそうだったと思うし、僕はまさにMMAがそういう競技だと思うんです。MMAは局面が多くて色んなことをやる必要がある分、言い方を変えれば妥協する・諦めるポイントも多いじゃないですか。

「確かにそうですね」

――だからこそMMAで勝つためには自分の弱さと向き合うことが必要で、今回の試合で岡見選手が見せてくれたものこそMMAの強さの追求だと感じました。

「僕は打ち合う・殴り合うことが勇気だとは思っていないし、弱い自分が出てきたときにMMAは色んなことができる分、誤魔化しが利いてしまう。練習でもごまかす方にいってしまいそうになるんです。でもそうじゃないだろ、と。今、自分がやっていることが次の相手や目指している選手に通用するのかと。格闘技は対人競技だから、相手に軸を置いてしまうと、練習相手のレベルによってやりたいことができちゃうし、誤魔化すのも簡単なんです。

でもそれで試合に臨んだ時に。相手のスキルやレベルが高ければやってきたことが通用しない。そこがMMAの難しいところで、どこに自分の軸を置くかが大切なんですけど、やっぱり僕は自分が信じた武器をぶつけるしかないと思うんです。結局そこで通用しなかったら相手が強かったと認めるしかないし、そこをぶつけずに誤魔化して戦うことが自分の弱さだなって。練習相手には誤魔化すことが出来たけど、試合で競った相手にトライしたら通用しない。それが逃げだと思うんですよね。

だったらこれが岡見勇信の武器だと思ったものを全力でぶつける。それが通用しなかったら、それは相手が強いということ。それをぶらさずに練習にも試合にも取り組んで、上手くいかないこともあったけど、自分がやろうとしていたことは多少できたかなと思います。自分の武器を相手にぶつけること、それが自分にとって勇気だったと思います」

――試合後に岡見選手のX(旧)を見させてもらったのですが、MMAPLANETのコラムでも振れた客席からの「こんな試合が見たいんじゃないぞ!」という声の主は岡見選手を長年応援している方の声だったそうですね。

「実はそうなんですよ。僕がデビューして2~3年目、UFCに出る前から応援してくれている方で、それこそUFCのブラジル大会にも来てくれて。だから僕の弱いところを知ってくれているから、あえてああいう言い方で檄を飛ばしてくれました。僕も試合中に誰の言葉かすぐに分かりましたし、言葉だけを聞くと野次のように聞こえたかもしれませんが、愛を持って接してくれている方の言葉です。でもああいうコラムを書いてくれた髙島さんの想いも嬉しいし、あの試合に対するみなさんの気持ちが嬉しいです」

――2023年を勝利で終えることが出来ました。この一戦にかけていたと思うので、先のことは考えていなかったと思いますが、来年はどんな試合をやっていきたいですか。

「今はまだそこまで深くは考えてはいなくて。今回の試合をやってファイターとしての新しい景色が見られたと思うんですよ。今までとは違う景色が見られて、新しい自分と出会えることが出来た。こうやってみたいとか、これをやったらどうだろうという色々なイメージもあります。次はいつどこで戦うということは考えず、僕もただ試合をやればいいというキャリアでもないので、また自分と向き合って身体を創って、その時にふさわしい舞台や意味のある相手と戦いたいと思います」


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【Deep Emotion】自分に克つ──岡見勇信

【写真】この時の岡見は無心だったのか、あるいはこれだけ必死なかに「自分に克つ」という意識を持ち続けていたのだろうか (C)MMAPLANET

「こんな試合が見たいんじゃないぞ!」。12月2日、プロ修斗公式戦「FIGHT&MOSH」のコメイン、岡見勇信✖キム・ジェヨン戦の──確か2Rの途中、岡見が必死にキム・ジェヨンをケージに押し込んでいる時に聞こえた、野次だ。

恐らくは、打撃でガンガンやり合えという意味で野次を飛ばしたのだろう。その声の主とはまるで違った想いではあるものの、岡見勇信であるならばキム・ジェヨンを最初のテイクダウンからコントロールし続け、削る。2Rに入っても同じ展開を続け、あわよくばキム・ジェヨンが気力と体力を切らしてパウンドアウトする。そんな試合が見たかったのも事実だ。

とはいえ15年も16年も昔にオクタゴンのなかで見せたような試合が、この日に岡見ができるとも思っていなかった。


練習仲間の後輩が何と言おうがケージの中でのパフォーマンスは落ちている。加えていえば、今のMMAのテイクダウン防御力と倒されて立つスクランブルの技術の進化を考えると、岡見が当時のようにテイクダウンからコントロールして完封する試合が実現するなどいう楽観論など持てるわけもなかった。

逆に彼が無残な負け方をした時、自分自身の平穏を保つために「フック一発で、心が折れて動きが止まる。そのままTKO負けする」ような試合になると心の準備をし、実際に口にもしていた。何があっても岡見勇信がMMA界に残してきた功績は傷つかない。今、彼がどのような姿を見せようが──あの頃の岡見を知らない連中に、何も言わせてたまるものかという想いと共に。

キム・ジェヨンは、やはり岡見の思い通りになるような戦いはさせなかった。決して輝かしいスポットライトを浴びたとはいえないが、20年に渡りK-MMA界の屋台骨を支えてきたベテランファイターは、岡見戦の前に渡米をしてATTワシントンでファイトキャンプを行っている。NCAAで結果を残したファイターや、ムンジアルで活躍した柔術家と、徹底的に岡見対策をしての来日だった。

極真空手家からウェルラウンダーとなるべきトレーニングを続けてきたキム・ジェヨンにとっても、この試合は自らの総決算として良い。その意地とプライドが岡見のテイクダウンを切り、バックを許しても前方に落としてパウンドを打ちつけるファイトに表れていた。これは危ない。いつ、岡見の動きが止まってもおかしくない。そんなシーンが初回から幾度も見られた。

その度に岡見はキム・ジェヨンと正対して組みつき、あるいは向き合って拳を振るい、両手で圧し払う様な動きを3度も見せた。

「前に出る」ファイト。金網のなかで戦うようになった20年近くも前から岡見が自らに課すことは変わらない。キム・ジェヨン戦前の取材で、岡見はオンラ・ンサン戦の自らのファイトを悔やみ、「自分に克つ」と何度も口にしていた。そうはならない……そう、できない自分になることを誰よりも承知し、恐れているにも関わらず。

ンサン戦は手っ取り早い例えでしかない。前に出る。自分に勝つ。MMAを戦うようになってから、常に思い続けてきた永遠の課題だ。弱い自分に勝つために、UFC世界ミドル級王座に挑戦し、WSOFやONEで戦い続けてきた。それなのに──ンサン戦では、過去最悪といって良いほど自分の弱さを露呈した。

ンサン戦は、完全に自分に負けた。このままでは終われない。ただし、繰り返すと終焉の時を迎えることになる。キム・ジェヨンでなく、自分に負ければ──次はない。日本人MMAファイターの誰もができない戦いしてきた。その思い出とともに、もうケージを下りるのみ。そんな状況下で岡見は時より弱気の顔を覗かせながら、すぐに自らを奮い立たせ、拳を振るい、組みついていった。

岡見のMMAフィロソフィーに打撃戦はあっても殴り合いはない。それでも、殴り合った。

パンチを打たれて間合いを外すのではなく、前に出た。下がっていたらキム・ジェヨンの右ハイでアゴを射抜かれていただろう。

前に出て戦ったから、蹴りをガードできた。ただし、パンチは被弾した。

そして、15分を戦い切り、キャンバスの上で大の字になり、しばらく起き上ることすらできなかった。まさに精魂尽き果てた姿が見られた。

組みへの評価が異様に低くなっている昨今のMMAを象徴しているかのように、ジャッジ……いやサブレフェリーの裁定は割れたが、岡見はスプリットで判定をモノにできた。

MMAは勝敗が全て。勝利以上に大切なモノはない。この軸が崩れると、MMAは殴って、蹴って、行って来いショーに成り下がってしまう。

それは百も承知で、人生は勝ち負けが全てではないと書き記したい。この夜、岡見勇信は自分に克った。彼の周囲には、ここまで思いつめなくても、ビビらなくても、あのような戦いができる人間がいくらでもいる。

でも、岡見勇信は違う。人一倍、恐怖を感じてケージに上がり、そして勝利を手にしてきた。ある意味、自分に勝てなくても試合に勝てるファイトもあった。

以前のように試合で勝てなくなったのは、彼の人生が試合に勝つよりも、本当の意味で勝利が必要なターンに入ったからだろう。それこそが、自分に克つことだった。岡見にとってキム・ジェヨン戦は、試合に負けたとしても、これから生きていくうえで欠かせない大切なモノを手にした戦いとなったはずだ。そのうえで、判定勝ちも手にできた──。この2つの勝利を得て、彼が今後にどのような決断、判断をするのかは分からないけど、最強ではないが最高の岡見勇信を見ることができた──と思う。

「こんな試合が見たいんじゃないぞ!」だって? あんたが見たいモノ以上の戦いを拝めることができたことを──感謝してください。


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【修斗】プロフェッショナル修斗2023 Vol.8“FIGHT&MOSH”

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お昼のCOLORS Produce by SHOOTO Vol.2 “FIGHT&MOSH”に続いて豊洲PITで開催されたプロフェッショナル修斗2023 Vol.8“FIGHT&MOSH”。こちらもメインでは世界フェザー級チャンピオンシップが配置され、さらにはレジェンド岡見勇信の修斗初参戦。そして修斗で初めて2階級制覇を達成したマモルの引退エキシビションマッチなどバリエーション豊かな大会になりました。


【第2試合 フライ級】
×内藤頌貴(パラエストラ松戸)
(2R 三角絞め)
○石井逸人(TRIBE TOKYO MMA)
前進してパンチをでプレスを掛けていた内藤。しかし逆に石井のパンチを被弾するとテイクダウンを許して形勢逆転。2Rに内藤の飛び膝をかわした石井がまたもテイクダウン。バックに周ってチョーク、下になりながら腕十字と仕掛けて最後は三角絞め。これで内藤は失神して石井が鮮やかな一本勝ち。まさかここまで差が出るとは。。。フライ級に戻して石井は凄味を増している。試合後にはフライ級王者の新井丈に宣戦布告。落ち着いたかに見えた修斗フライ級がまた荒れてきた。


【第3試合 フライ級】
〇猿丸ジュンジ(修斗ジム東京)
(1R TKO)
×安芸柊斗(MMAZジム)
予想外の短時間決着。勢いと若さで安芸が圧倒するかと思いきや、開始直後に猿丸のパンチがヒット。安芸がバランスを崩したところを上になってあっと言う間にパウンドアウト。現在進行形で現役バリバリの安芸に勝って引退なんてもったいないけど、かっこよすぎる。試合後の「修斗がずっと続きますように」というマイクも痺れました。


【第4試合 68kg契約】
〇リオン武(RISING SUN)
(2R TKO)
×内藤太尊(ROOTS)
4年半ぶりに復帰したリオンですが見えない右ストレートは今だ錆び付かず。じわじわと前に出てくる内藤に対して距離を取ってカウンターの右ストレート一閃。パンチが効いて背中を向けた内藤に右のパンチで追撃してTKO勝利。継続して試合をするかは別にして定期的に試合をするとなれば、バンタム級、フェザー級の台風の目になる可能性も。。。


【第5試合 マモル引退エキシビションマッチ】
マモル
(勝敗なし)
漆谷康宏&清水清隆& 佐藤ルミナ
Xとなっていた対戦相手の最後の1枠はまさかのルミナ。何とも心憎い演出。令和のRIZIN世代にはピンと来ないかもしれませんが、マモルはMMA冬の時代の軽量級戦線を支えてきた立役者。修斗で2階級を制覇したばかりか、パンクラスでも王座を戴冠した戦績はレジェンドと言うに相応しいでしょう。引退セレモニーもシンプルかつアットホームで非常によい雰囲気。マモルが指導した選手が修斗で活躍してくれる事に期待。お疲れ様でした!


【セミファイナル 第6試合 ミドル級】
〇岡見勇信(EXFIGHT)
(判定2-1)
×キム・ジェヨン(NOVA MMA)
岡見の試合をまた日本で、しかも修斗で見る事になるとは。。。どこか非現実感のある対戦カード。UFCで活躍していた全盛期の圧倒的な攻撃力はありませんでしたが、最後まで泥臭く組み付いてパンチ打っていく姿もまたMMA。アスリートとしてピークを越えてもなお現役に拘る岡見に最敬礼。


【メインイベント 第7試合 修斗世界フェザー級チャンピオンシップ】
〇SASUKE(マスタージャパン東京)
(3R TKO)
×田中半蔵(FUN'S)
2年連続でROAD TO UFCに出場してUFC参戦を目指したものの成就しなかったSASUKE。心機一転しての修斗参戦。絶対に負けられない試合でしたが、やっぱり修斗での安定感は抜群。3Rには膝蹴りを効かせてダウン気味にタックルにきたのを潰してパウンドアウト。王座防衛に成功しました。修斗では抜きん出た存在だけにやはりUFC参戦に拘りを見せるかのか。個人的には群雄割拠のRIZINフェザー級に打って出ると俄然面白くなると思いますが。。。2024年のSASUKEに注目が集まります。
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【FIGHT&MOSH】「42年間で一番キツかった5分3R」攻め続ける岡見、キム・ジェヨンにスプリット判定勝ち

【写真】フラフラになりながらも岡見は前に出続けた(C)MMAPLANET

<ミドル級/5分3R>
岡見勇信(日本)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29.
キム・ジェヨン(韓国)

サウスポーの岡見がジワリジワリと距離を詰める。左手を伸ばしてサークリングするキム・ジェヨンは、ダッキングしながら左カーフキックを見せた。キム・ジェヨンがプレスを強めると、岡見が左ジャブを突く。キム・ジェヨンが左右フックを振りながら突進し、ケージを背負った岡見の顔面に左フックを当てる。しかし岡見も首相撲からヒザを突き刺して、ケージ際を脱する。ケージ中央から組みついた岡見が、右腕を差し上げ左腕を首に置いてキム・ジェヨンをケージに押し込む。ダブルレッグに切り替え、すくい上げてキム・ジェヨンに尻もちを着かせた。

立ち上がったキム・ジェヨンをボディロックからグラウンドに引きずりこんだ岡見はバックに回る。バックコントロールからバックグラブへ。立ち上がるキム・ジェヨンに対し、右足を差し入れてグラウンドに戻るも、キム・ジェヨンがトップを奪った。ガードから亀になる岡見に、キム・ジェヨンがパンチの連打を浴びせていく。スタンドに戻った岡見の表情は、キム・ジェヨンのパンチが効いているようにも見える。岡見は右ジャブから左ストレートを当てる。キム・ジェヨンも左ハイを繰り出した。岡見は右ジャブを当てて初回を終えた。

2R、キム・ジェヨンは頭を振りながら左右に回り、左カーフキックを叩きつける。岡見は左ストレートをかわされるも、左ミドルをボディに突き刺した。しかしキム・ジェヨンのパンチを食らうと、岡見の動きが一瞬止まる。ダブルレッグで入った岡見が、シングルレッグに切り替えてキム・ジェヨンをケージに押し込む。これでも倒せず、ダブルレッグからシングルレッグと崩しにかかるが、キム・ジェヨンを倒すことができない。ならばと後方へ投げるも、キム・ジェヨンがはねのけて立ち上がった。

左ハイを見せた岡見に対し、キム・ジェヨンが右ローを放つと、これがローブローとなった。再開後、岡見が一気に距離を詰める。左ローを放ったキム・ジェヨンを押し倒し、ボディロックからバックへ。立ち上がろうとするキム・ジェヨンだが、岡見がバックグラブからコントロールする。キム・ジェヨンがスタンドに戻って離れると、前に出て右ミドルを打ち込む。プッシュから右フックを放った岡見が、キム・ジェヨンの右を受けながらケージへドライブした。しかし離れてケージ中央で見合いながらラウンドを終えた。

最終回、岡見がワンツーを放つと、キム・ジェヨンはインサイドから左右フックを振り回す。岡見の右ジャブ、右ミドルを当てるがキム・ジェヨンの前進を止めることができない。岡見はダブルレッグからドライブするも、キム・ジェヨンが右腕を差し上げて上体を起こした。ダブルレッグで崩した岡見はバックを狙うも、なかなかキム・ジェヨンをコントロールできない。無理にバックを狙ったところで、切り返したキム・ジェヨンが右腕を差し上げて岡見をケージに押し込む。

ケージ際から離れた岡見に、キム・ジェヨンがパンチと右ミドルを打ち込んだ。岡見はダブルレッグから首相撲へ。右ヒザを突き上げてからダブルレッグに切り替えるも、キム・ジェヨンがディフェンスする。岡見のダブルレッグ、シングルレッグをスプロールしたキム・ジェヨンは、岡見のテイクダウンをかわしてバックに回る。明らかに疲労がみえる岡見は、離れてパンチを振るうもキム・ジェヨンの左ハイを受けた。残り1分で組みつくが、キム・ジェヨンをテイクダウンすることはできない。キム・ジェヨンの左右ボディブローで、完全に岡見の動きが止まった。右アッパー、右ハイ、右ストレートを受けながら距離を詰める岡見だが、このラウンドはキム・ジェヨンが取ったか。

判定はスプリットで岡見へ。全力を出し切った岡見は、キム・ジェヨンと抱き合ったあとケージに倒れ込んだ。4年振りとなる日本での試合で判定勝ちを収めた岡見は、フラつきながら「42年間で一番キツい5分3Rでした。心と心で勝負して、ここまで来ることができました。今日、自分に打ち勝てたことは今後の人生の糧となります。本当に今日はありがとうございました!」と挨拶した。


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【FIGHT&MOSH】これぞ修斗伝承! 安芸柊斗戦へ、猿丸ジュンジ─02─「最後までKOを狙っていく」

【写真】諦めない「Never GiveUp」の精神は受け継がれていく(C)MMAPLANET

2日(土)、東京都江東区にある豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦「FIGHT&MOSH」で、安芸柊斗と対戦する猿丸ジュンジのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

猿丸は2007年7月に修斗でプロデビュー。2021年11月、5度目の挑戦で念願であった修斗のベルトをその腰に巻いた。修斗にこだわってきた男のラストファイト――途中であきらめていたら修斗のベルトを巻くことも、かつて自分が倒した相手の息子と最後の試合で対戦することもなかった。そんな猿丸ジュンジにとって現役選手としては最後となるメッセージを受け取ってほしい。これが修斗伝承だ。

<猿丸ジュンジ インタビューPart.1はコチラ


――その佳孝さんの息子である安芸選手との試合が、しかもラストマッチで実現するとは……。本当にこれが猿丸選手のラストマッチになるのですか。

「はい。これがラスト! 現役最後の試合にします」

――では、これが現役選手としては最後のインタビューとなります。ご自身のキャリアを振り返って、「こうしておけば良かった」あるいは「こうしていたから良かった」と考えることはありますか。

「何度もタイトルマッチで負けたけど、黒澤選手に勝ってチャンピオンになれたこと。諦めなくて良かったと思います。だから安芸選手も諦めないでほしい。安芸選手って今、何歳ですか?」

――22歳ですね。

「22歳だと、まだまだ体は大きくなりますね。フライ級に上げて、チャンピオンは同じ新井選手だけど諦めずに挑み続けてほしいです。自分もストロー級で試合をしているなかで、どんどん体が大きくなっていました。でもストロー級で何度もベルトに挑戦して負けていたからこそ、ストロー級でチャンピオンになろうと続けていましたから」

――試合を通じて、その想いも安芸選手に伝わってほしいですね。これまでのキャリアの中で一番思い出深い試合も教えてください。

「タイトルマッチ以外だと最初の黒澤戦(2015年5月、猿丸がKO勝ち)ですね。あの時もモブスタイル興行で――実は怪我していたんですよ。周りの人たちが『試合に出るな』って言うような状態でした。でも自分は『右手一本、残っているから大丈夫ですよ』と訳分からないことを言って(笑)。お世話になっているモブスタイルの興行だから、どうしても出たかったし。それで試合をして、KOで勝てた。やっぱり諦めないことが大事ですよ」

――なるほど。試合の話に戻すと、対戦相手が安芸選手に決まり、試合用の練習はいつ頃から行ってきたのでしょうか。

「モブスタイル興行の話を聞いてから練習はやめていないし、追い込みの練習もコンスタントに続けていました」

――コンスタントに! 確かに顔つき、体つきがすでに試合に向けて仕上がっているように見えます。

「そうですね。ずっと体もコンディションもキープしています。もともとストロー級の時から、減量がキツいから日頃からキープするようにはしていて」

――今回の試合はストロー級ではなくフライ級契約なのですね。

「もうストロー級に落とす意味がないですしね。タイトルマッチでもランキングに絡む試合ではないから、対戦相手が決まる前から『フライ級で試合したい』と伝えていました」

――それもまさに「運命」だと思いました。安芸選手もインタビューで「ストロー級は新井戦が最後だと決めていた」と以前からフライ級転向を考えていたようです。どちらかがストロー級を希望していたら、もしかしたらこの試合は実現しなかったかもしれない。

「アハハハ、ちょうど良かったですね。だからフライ級で戦うためのコンディションをキープし続けていました」

――『がんばれ元気』的な要素が強い試合ではありますが、実際のところ現在ストロー級3位の安芸選手と、同級4位の猿丸選手によるランカー対決でもあります。ラストファイトの相手としては、ランキング上位陣を希望していたのですか。

「相手は誰でも良かったです。モブスタイルの興行で、自分がラストファイトを戦うということのほうが重要で。ただ、その中でも一番良い相手に決まりましたね。ドラマもあるし、修斗伝承で」

――!!

「安芸選手も修斗で試合し続けてきて、俺もブレずに修斗だけで戦ってきた。そんな自分のラストファイトの相手が安芸選手になる――これが修斗ですよ」

――今回の出場メンバーに元シューティングジム横浜勢が多いことも、修斗伝承の意味合いを深めているのではないですか。

「揃いましたよね。マモルさんの引退エキシビジョンがあって、リオン武さんと田中半蔵さんが試合をする。半蔵さんのタイトル挑戦が後楽園ホール大会ではなく、このモブスタイル興行になったのは偶然かもしれないけど、それでも何か運命を感じられるようなマッチメイクになって。そういえばマモルさんのエキシの相手が、ウルシさん(漆谷康宏)になったじゃないですか(マモル引退エキシビジョンの相手は漆谷、清水清隆、そしてXとなっている)。ここ何年もウルシさんに打撃を教えてもらっているんですよ」

――おぉっ! あのウルシスタイル=MMAアウトボクシングを学んでいるのですか。

「そう思うでしょ? アウトボクシングはもちろんだけど、ウルシさんってインファイトもメチャクチャ強いんですよ。今でもスパーしたら、すごく強くて」

――その漆谷さんや清水清隆さんなど、かつて日本フライ級を盛り上げた人たちが集まるのも感慨深いです。

「でもね、それだけじゃダメなんですよ。もっと若いファイターが修斗を盛り上げてほしい。この試合で安芸選手にはガンガン来てもらいたいです。それも含めて修斗伝承だから」

――では対戦相手である安芸選手の印象を教えてください。

「強い選手ですよ。これから修斗でチャンピオンになったり、もっと上に行くファイターですよ。安芸選手と新井選手の試合も、メチャクチャ良い試合だったじゃないですか。新井選手がKO勝ちしたけど、安芸選手も効かせていて――どちらが勝ってもおかしくない試合で」

――安芸選手は「引退試合だからといって相手に花を持たせる気はない」と仰っています。

「こちらも同じ気持ちですね。ラストマッチといっても、これは試合だから。倒しにいくっていう気持ちは最後の試合まで変わらないです」

――猿丸選手としては打撃戦になると思いますか。

「最後はそうなっちゃうでしょうね。せっかくオールラウンドで戦えるようになったのに(笑)。安芸選手は腰が強くて、テイクダウしても立ち上がるのが巧いじゃないですか。だから自分も考えたけど……、最後は打撃戦になると思います。最後まで自分はKOを狙っていきます。ぜひ試合を楽しみにしていてください」

■プロフェッショナル修斗公式戦 FIGHT&MOSH 視聴方法
12月2日(土)
午後5時30分~ABEMA TV

<世界フェザー級選手権試合/5分5R>
SASUKE(日本)
田中半蔵(日本)

<ミドル級/5分3R>
岡見勇信(日本)
キム・ジェヨン(韓国)

<マモル引退エキシビジョンマッチ/5分2R>
マモル(日本)
漆谷康宏 & 清水清隆 & X(後日発表)

<68キロ契約/5分3R>
リオン武(日本)
内藤太尊(日本)

<フライ級/5分3R>
猿丸ジュンジ(日本)
安芸柊斗(日本)

<フライ級/5分3R>
内藤頌貴(日本)
石井逸人(日本)

<フェザー級新人王決定T準決勝/5分2R>
青井太一(日本)
ネイン・デイネッシュ(インド)

■プロフェッショナル修斗公式戦 COLORS02 視聴方法
12月2日(土)
午後0時30分~ABEMA TV

<世界女子アトム級選手権試合/5分5R>
澤田千優(日本)
中村未来(日本)

<54キロ契約/5分2R>
ソルト(日本)
ホ・ジュギョン(韓国)

<52キロ契約/5分3R>
KAREN(日本)
パク・ソヨン(韓国)

<女子アトム級/5分2R>
平田彩音(日本)
MIYU(日本)

<女子アトム級新人王決定トーナメント決勝/5分2R 延長1R>
川西茉夕(日本)
天天さくら(日本)

<グラップリングマッチ 51キロ契約/8分1R>
前澤智(日本)
山田海南江(日本)

<グラップリングマッチ 85キロ契約/8分1R>
緒方亜香里(日本)
奥谷晴加(日本)

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K-MMA MMA MMAPLANET o ONE TOP FC YouTube   オーディン キム・ジェヨン メルヴィン・マヌーフ 修斗 岡見勇信

【FIGHT&MOSH】岡見勇信、修斗での戦いへ─02─「格闘技は潰し合い。その本質を見失ってはいけない」

【写真】この試合のために格闘技の原点に立ち使えるような練習を続けてきた。(C)TAKUMI NAKAMURA

12月2日(土)東京都江東区にある豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦「MOBSTYLES presents FIGHT&MOSH」にて、岡見勇信がキム・ジェヨンと対戦する。
text by Takumi Nakamura

インタビュー前編では復帰の舞台として修斗を選んだ理由、その決断に至るまでの心境を明かしてくれた岡見。後編では“戦う”ことへの原点回帰、そしてジェヨン戦にぶつけるファイターとしての想いを語った。

<岡見勇信インタビューPart.1はコチラ


――そして岡見選手に用意されたジェヨンは極真出身、2004年からチーム・タックルでキャリアを開始したK-MMAのパイオニアで、韓国国内ではAngel’s FCとTOP FCでミドル級王座に就き、2018年にはロシアのACBにも参戦した猛者です。ファイトスタイルも前に前に出てくる選手で、まさに勇気を持って立ち向かわなければいけない相手です。

「最初にこの選手でどうですか?と打診されて、名前と顔が一致しなかったんですよ。でも試合映像を見たら、ああ、あの選手か!と。メルヴィン・マヌーフともやっていますし、韓国人選手らしいタフでガツガツ前に出る真っ向勝負する選手なので、いい相手を用意してもらえたと思います。今の自分にとって最高の相手ですね」

――この一戦に向けてどんなことを意識して練習してきたのですか。

「ンサン戦を振り返ると、ファイターとしての気持ちの部分が欠けていたと思います。どうしてもキャリアや年齢を重ねると、小手先の技術でかわしてしまうというか。あまりダメージをもらわずに勝つような動きをしてしまいがちなんですよね。自分としてはそんなつもりはなかったんですけど、ンサン戦はどこかしらにそういう気持ちがあったんだと思います。久々の試合ということもあって、ンサン戦の前は潰し合うようなスパーリングは控えていたし、その時はそれが正解だと思って120%費やしたんですけど、結果・内容ともに『これじゃダメだよな』ということが明らかになりました。

あれから1年、自分が“戦う”のであれば、どういう練習をすればいいのか。どんなコンディションを作ればいいのか。それをもう一度考え直しました。やっぱり格闘技は潰し合いだし、どれだけ相手にダメージを与えるか、どれだけ恐怖を与えるか。それがあった上での技術や戦術だと思うんですよ。そういう格闘技の本質を見失ったらいけないし、そこから逃げるんだったら格闘技をやる意味がないということがはっきり分かったし、今回は自分を追い詰める、ダメージを与えることもあればダメージを受けることもある、そういう覚悟を持って試合に近い練習を若手たちとやってきました」

――戦うことへの原点に立ち返る練習ですね。

「それこそ若い時はスパーリングが恐怖だったし、憂鬱だったし、練習行きたくないと思ったし(苦笑)。でもそういう練習をやらないと…ですよね。僕が4年前にATTポートランドに練習に行ったとき、毎週土曜日がハードスパーリングだったんですけど、コーチから『金曜日は練習するな。そんなことはやらずに土曜日のスパーリングに集中しろ。土曜日のスパーリングの内容ですべて評価する。そのくらいの気持ちを持って土曜日に臨んでくれ』と言われるですよ。ようは土曜日のハードスパーリングが試合と同じだと」

――一週間の練習の中にもあえて試合と同じピークを設定する、と。

「スパーの出来が悪くて『疲労が溜まっているから動けなかった…』は許されないし、そのくらい土曜日のハードスパーに集中して、変な言い訳をするなと。だから試合が決まっている選手は試合と全く同じで、土曜日の試合のために一週間のメニューや強度を考えるんです。自分も今回はそういう練習を取り入れてやってきました。ある意味、年齢的にも今の自分にはそれが合っていますし、一週間の中で練習の山を作って、いい準備ができました」

――今は目の前の試合がすべてだと思いますが、どんな試合をしたいですか。

「本当に今回は先のことを考えていなくて、12月2日の自分がどうなんだ?と。ここまでやるべきことはやってきて、どんな結果になっても後悔しないというファイトキャンプを送ることが出来ました。だからここからは気持ちですね。19日の修斗で宇野さんの試合を間近で見て、対戦相手側でしたけど、すごいものを見させてもらったし。他の仲間たちの試合もそうですけど、色んなものを見て自分に還元できているので、あとはその気持ちを試合にぶつけます。それがどうなのかは試合をやれば分かることなので」

――前回の修斗で試合後にケージを出た宇野選手に声をかける岡見選手の姿が印象的でした。

「宇野さんの戦う姿を対戦相手のセコンドとして見ることになるなんて思ってもいなかったです。僕が慧舟會に入った時から宇野さんはスターで、僕が道場にいった初日に宇野さんがスパーリングしてくれたんですよ。その時のうれしさや感動は今でも忘れないし、そんな宇野さんと教え子のオーディンが戦うことになって、それをこのタイミングで見るという部分にも感じるものがありました」

――それでは最後に岡見選手の試合を楽しみにしているファンにメッセージをいただけますか。

「久々の日本の試合、修斗という舞台に上がれることをうれしく思います。今振り返るとコロナ禍になり、守りに入っている自分がいました。正直ONEの日本大会の時でも、自分の精神状態は終わりに入っていて、心も体も尽きていたんです。でもそこでもう一勝負したいと思い、アメリカに練習に行って、そのなかでミドル級に戻して戦おうという想いを持って 帰ってきました。

守りに入っている自分が嫌で、戦っている仲間たちを見て自分も前に出なきゃ、勝負しなきゃと思ってンサンと戦ったのに、結果・内容ともに不甲斐ないものになって……あの時に辞めようと思いました。でも心のなかで、まだ自分が勝負していない・逃げていると思って、1年間で時間をかけて自分を作ってきました。本当にその総決算、今の岡見勇信をすべて出せるところまで持ってきたので、そんな自分を間近で見てもらえたらうれしいです」

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【FIGHT&MOSH】岡見勇信、修斗での戦いへ─01─「この決断は決して簡単ではなかった」

【写真】「自分から逃げずに、相手から逃げない。それが前に進むということ」。その言葉一つ一つに岡見の想いが詰まっている(C)TAKUMI NAKAMURA

12月2日(土)東京都江東区にある豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦「MOBSTYLES presents FIGHT&MOSH」にて、岡見勇信がキム・ジェヨンと対戦する。
text by Takumi Nakamura

ONEでのオンラ・ンサン戦から約1年、岡見が戦いの場に選んだのは日本、そして修斗の舞台だった。この決断と選択に至るまで、岡見の中でどんな葛藤や想いがあったのか。復帰戦に向けた…では収まらない、岡見勇信というファイターの現在を伝えるインタビューを前・後編に分けてお届けしたい。


――昨年11月ONEでのオンラ・ンサン戦以来、約1年ぶりの試合が決まりました。

「前回のンサン戦が終わって、地道にトレーニングを続けて徐々にコンディションを作っていました。そこで身体の状態が上がって、試合ができるところまで来たからこそ、試合をすることを決めたので、コンディションや仕上がりはここ4年間のなかで一番いいぐらいの状態ですね」

――ONEと修斗ではハイドレーションの有無もあり、減量や体重調整はいかがでしょうか。

「前回の試合はハイドレーションテストがある93kg契約だったので、減量そのものは楽と言えば楽なんですよ。でも今回のように83.9kgとなるとそうはいかないので、久々にちゃんと減量している感覚ですね。それこそONEに参戦する前、UFCで戦っていた時期以来なので、約4年ぶりの減量で、普段は食事制限してチートデイを入れたりだとか、そういう準備も新鮮ですね」

――12月を目途に試合を考えるというよりも、試合ができるコンディションを作る上で、12月に試合が決まったという流れのようですね。

「はい。夏くらいに自分の状態が上がっている感覚や手応えがあって、年内に1試合やって、自分がやってきたことを形にしたいという気持ちになっていました。ちょうどその時期に修斗の坂本(一弘)さんとお話しする機会があって…という流れですね。本当に色んなタイミングがあって実現した試合です」

――確認ですがONEとの契約は終わっているのですか。

「そうですね。ONEとは直接コンタクトをとって、なかなか試合が組まれない状況ではあるけれど、年齢的なことを考えても年内に試合をしたいということは伝えていて。ONEもこちらの想いを理解してくれて、一度ここで契約を終わりにしようという結論になりました。僕自身ONEには凄く感謝しているし、ONEからは『これからも頑張ってほしい』と声をかけてもらいましたね」

――YouTube「SHOOTO OFFICIAL」チャンネルの動画内でもコメントしていますが、なぜ復帰戦の場として修斗を選んだのですか。

「なかなかONEで試合が組まれない中で、日本で試合をして形を作りたいと思っていて。坂本さんとはEXFIGHTを通じて選手を(修斗に)出場させてもらったり、友好な関係を築かせてもらっていて、修斗のミドル級が機能しているところを見ていました。それで坂本さんに『僕が修斗で試合するのはどうですか?』と話をしたら、トントントン!と話が進んで実現に至りました。あとは僕も国内の主要団体でパンクラスとDEEPには何度も出ているのですが、修斗には出たことがなくて、それが自分のなかで引っかかっていたんですよね。動画でも話した通り、慧舟會時代の先輩たちはみんな修斗で戦っていたので、そういったことも修斗を選んだ理由ですね」

――岡見選手はデビュー当初パンクラスでも試合をしていましたが、修斗は70kg以下の軽量級の選手が多いイメージでした。

「確かにそんな印象がありましたよね。だから修斗の会場にはよく行ってたんですけど、セコンドと応援がほとんどで、自分が試合をする場所として見ることはなかったですね。ただ修斗には脳裏に焼きつく試合や場面が多くて、このタイミングで試合に出ることは光栄ですし、うれしいです」

――ファイター以外の部分で修斗に触れて、他のプロモーションとの違いや修斗の特徴をどう感じていますか。

「みなさんがおっしゃるように“歴史”ですよね。修斗には日本のMMAの歴史が詰まっているというか。坂本さん、中井(祐樹)さん、(佐藤)ルミナさん、(桜井)マッハ(速人)さん、宇野(薫)さん、五味(隆典)さん…修斗は僕らが憧れていた人たちが活躍していた舞台でしたよね」

――僕も岡見選手の同世代ですが、ファン時代はMMAグローブをつけているのが修斗というイメージで、MMAとして修斗から受けた影響は大きいです。

「慧舟會に入る前から修斗やバーリトゥードジャパンの試合を見て『すごい世界があるんだな』と思っていましたし、憧れも持っていたので、だからこそ修斗で試合をしていないことが引っかかっていたし、チャンスがあれば修斗で戦いたいと思っていました」

――岡見選手のキャリアや実績があれば、日本で試合をする場合、修斗以外にも色んな選択肢があったと思います。例えば興行の規模的にRIZINで復帰戦をやりたいという考えはなかったですか。

「なんだろうな…RIZINは素晴らしいイベントだし、今の選手や若い子たちが活躍して勢いをつけている舞台だと思うんですよね。でもそれと自分が戦う場所は別物というか。自分が見て学ぶ舞台と自分が戦う舞台は別で、自分が戦う舞台としては見ていなかったんですよね。だからRIZINで試合をするということは頭にはなかったです。それは他の団体も同じで、今の自分にとって選択肢になかったというか。自分が試合できる時期、大会のスケジュール…そういったものが上手く重なっていたのが修斗で、どこで復帰戦をやるかというよりも、自分が年内に試合をするということが第一で、そのなかで色々なタイミングが重なったのが修斗でした」

――YouTube「SHOOTO OFFICIAL」チャンネルでは「岩﨑大河選手がミドル級を引っ張っていて、こういう若い選手と戦うことに意義があるのかなと思った」というコメントもありました。こちらの発言についても聞かせてください。

「変な話、おじさん同士で戦っても、今の自分の実力は分からないじゃないですか。若い選手やこれからの選手と戦うことで、今の自分の実力がはっきり分かる。そこを明確にするために、岩﨑くんとかそういう選手たちと勝負したいと思いました。見ている人も同じだと思うんですよ、『若い選手と42歳の岡見勇信が戦ったらどうなるんだろう?』や『今の岡見勇信の実力はどうなんだ?』って。そうやってみなさんに興味を持ってもらえる試合をするという意味でも自分の進むべき道が見えました」

――これは個人的な考えです。僕はもう岡見選手は自分の実力がはっきり分かる試合をやらなくてもいい、そうやって格闘技人生を終えてもいい、それだけのことをやってきた選手だと思います。実際にそういった道を望む選手もいると思うのですが、岡見選手は自分がチャレンジする試合をやりたいという想いが勝ったのでしょうか。

「そうですね………この決断は決して簡単ではなかったんですよ。そういう戦いに挑むことは怖い部分もあるし、このまま守りに入ってキャリアを終えて新しい道に進むことも考えました。キャリアの終わりを汚す必要はないんじゃないのかなって何度も思いました。でもGSAで練習していて、同世代の水野竜也やストラッサー(起一)さんが前を向いて戦っている姿を見て、もちろん勝ったり負けたりはありますけど、みんなが前に進んでいるパワーを感じると刺激になります。それと同時に内藤由良とか三上ヘンリー大智とか若い選手たちと練習して、彼らからも刺激や力をもらって、まだまだ勝負できると思いました。そうやってまだ戦える・勝負できる状態なのに、それをやらないのは、自分としては『ない』と思いましたね」

――なるほど。「今の岡見勇信の実力はどうなんだ?」という戦いに挑み、それをファンに見せる。それは岡見選手の格闘技人生のテーマのような気がしました。キャリアの初期から海外に挑戦し、UFCでキャリアを積み、ONEにも参戦して……その時々で目の前にある壁から逃げずに立ち向かっていったのが岡見選手だと思います。

「それは……僕も逃げたくなることありましたよ。でもそこと向き合っている時が一番充実しているんですよね。僕もたくさん負けて悔しい想いをしてきたんですけど、何かしらの光を見つけることができたし、だからこそここまで続けてこれたと思うし。おかげさまで大きな怪我をすることもなく、キャリアを積むことができて、何とか気持ちも続いています。自分から逃げずに、相手から逃げない。憂鬱になるような相手と戦うこともありますけど、それが前に進むということだと思います」

<この項、続く>

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【Special 】K-MMA、2023年・秋。修斗で岡見勇信戦、キム・ジェヨン「衰えたという声に負けない」

【写真】この試合に向けて取材後に米国で練習をしてきたという話も伝わってくる――キム・ジェヨンだ(C)MMAPLANET

日本と韓国、MMAにおいても永遠のライバルである両国。Road FCを頂点とするK-MMAは規模的には日本のRIZINのようなビッグステージを持たない。対してUFCファイターの評価は引退したコリアンゾンビに代表されるように、韓国勢の方が高い。9月のDEEP vs BLACK COMBATで後者が日本の老舗を圧倒した。日韓関係に少し変化が見られるようにもなった10月最終週に訪韓、K-MMAの今を歩いた。
Text by Manabu Takashima

特集「K-MMA、2023年・秋」。遅まきながら第二弾は12月2日(土)に東京都江東区の豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦=FIGHT&MOSHで岡見勇信と戦うキム・ジェヨンの声をお届けしたい。

MMAデビューは2004年2月――キャリア19年、K-MMA界の生き字引といえるキム・ジェヨンにとっての岡見勇信戦とは。


――12月2日に修斗で岡見選手と戦うことが決まりました。今の気持ちを教えてください(※取材は10月25日に行われた)。

「岡見選手のようなメジャーなファイターと戦うことは、自分の格闘技人生のなかで、一番のチャンスが来たという感じです。岡見選手と戦える日が来るとは、全く期待をしていなかったので。これが2年振りの試合になるのですが、この間にケガもあり潮時かと考えることもありました。でもまだ辞められないと1年前に思い直し、トレーニングに戻りました。そのような過程があったので、今回のオファーは本当に嬉しかったです」

――2004年にソウルで行われたGladiatorの旗揚げ戦を取材した際、初めて韓国のMMAジムを訪れさせてもらったのですが、チーム・タックルに既にキム・ジェヨン選手が在籍しており極真空手出身だと聞かされたことが思い出されます。いわば韓国MMA界のパイオニアです。

「あの頃は情熱と根性だけでMMAをやっていました(笑)。その情熱は自分だけでなく、大韓民国のMMA関係者が持っていたのでキム・ドンヒョンやジョン・チャンソン、チェ・ドゥホら有名な選手が生まれたと思います。自分の韓国のMMAの発展に役立とうと頑張ってきました」

――今、名前が挙がった選手たちはUFCファイターになれました。一方でキム・ジェヨン選手はあの場で戦うことがなくても、ここまでキャリアを積んできました。

「UFCが30歳になった選手と契約したがらないのは、その後の伸びしろを考えても理解できます。同時に30代の壁を感じ取る人が多いことは知っています。ただしMMAは五輪競技ではないので、精神力や技術力で乗りこえるモノがあります。自分自身、UFCがMMAを続ける上での唯一の目標ではなかったです。そして30歳を過ぎても、強くなれる方法は存在しています」

――なるほどぉ。UFCだけが目標でなかった。では、キム・ジェヨン選手はなぜMMAを始めようと思ったのですか。

「もう大昔の話ですね(笑)。自分が極真空手を始めたのは、強くなりたいと思ったからです。そしてMMAを見た時、ここで勝つことが強さに通じると思って始めました」

――当時の韓国のMMAはイベントができても、継続して活動できるところがSprit MC以外はほとんどなかったです。当時、MMAが韓国に根付くという希望を持っていましたか。

「何度も『もう少しだけ耐えてみよう』という繰り返しでしたね。Sprit MC以外でも自分が競技生活を続けることができたのは、応援してくれる方の支えがあったからです。まぁ韓国国内だけでなくMMAにはUFCやPRIDEがあったので、ジムの指導をしてスポンサーの協力を得られてことで、生活はできました。ただABCを始め海外で戦うことで、国内の選手よりも待遇は良くなり、その時に『やっていける』と思うようになりました。若い頃はガムシャラに突っ走って、やるだけやろうという風でした(笑)」

――韓国のMMAは活動開始同時は打撃が強く、組みに課題があるという時代もありました。その後の技術の変革を常に向き合ってきたかと思います。

「MMAデビュー直後は自分も極真空手出身のアグレッシブなストライカーでした。今も指導をしてくれているパク・ヒョンウク監督に出会ってから、MMAに合う打撃、MMAに合うクリンチ・レスリング、MMAのための寝技を教えてもらいウェルラウンダーに成長することができました」

――技術力が進歩してくると、最終的には気持ちの強さが欠かせないのもMMAだと思います。そのなかで極真でガンガンとやりあってきた経験というのは生きてくるものでしょうか。

「自分の考えでは、極真空手はMMAにあまり役立たないです。自分は極真の癖を直すために苦労をした口です(苦笑)。やはり極真がガンガンとやりあえるのは、顔面を守る必要がないからで。あの距離をMMAで戦うには、それだけの防御と攻撃が必要になってきますが、極真はそこを省いてあの攻防があるわけなので」

――精神的な支柱にもならないですか。

「MMAと極真は別物です。自分はミドル級としては背も低く、リーチも短いので精神論を武器に戦うことはできない」

――押忍、忌憚のないご意見をありがとうございます。ではキム・ジェヨン選手が40歳になるまでMMAを続けることができたモチベーションとはどこにあったのでしょうか。

「プロMMAファイターを続けることができたモチベーションは、チームの存在です。このチームで皆で練習を続けることが、MMAを戦う目的であり、どこそこで戦いということが目標ではなかったので。このチームで活動し、皆と刺激しあい成長することが自分のモチベーションですね。

引退するまで、世界中の強者と可能な限り戦いたいと思っています。過去のキャリアを振り返ると、拘り過ぎることがあり過ぎたり――反省することが多いです。もっとできることもあったと思います。後悔することも多かったですが、そういう時にもチームの皆が支えてくれました」

――さすがACBで戦った選手の言葉は説得力があります。

「ACBはUFCで戦う力がある選手だらけだと聞いて、戦ってみたいと思いました。当時は米国のサイトでアジアのミドル級で1位だったので、やってやろうと気持ちになったんです。だからこそ、今回は岡見選手のような強い選手と戦えて嬉しいです」

――最近の岡見選手のパフォーマンスを見て、どのような印象を持っていますか。

「最近の岡見選手は、以前より衰えたという風に見られていますが、だからこそ強くなれる。自分もそのような声……衰えたという声に負けないように努力して、強くなっています。だから、岡見選手を相手に全く気を緩めることはないです。岡見選手はクリンチが強く、プレッシャーも凄いです。そこに負けないように対策し、岡見選手だけでなく30年間、格闘技をやってきたキム・ジェヨンを倒せる試合をしたいです」

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【FIGHT&MOSH】修斗初参戦の岡見勇信がキム・ジェヨンと対戦、王者SASUKE×挑戦者 田中半蔵も決定

【写真】(C)ONE & MMAPLANET
2日(木)YouTube「SHOOTO OFFICIAL」チャンネルにて、12月2日(土)に東京都江東区にある豊洲PITで開催される「MOBSTYLES presents FIGHT&MOSH」の追加対戦カードが発表された。
Text by Takumi Nakamura

修斗をはじめ多くのファイターをサポートするスポーツギアブランド=MOBSTYLES(モブスタイル)と修斗がタッグを組んで開催する「MOBSTYLES presents FIGHT&MOSH」。約3年9カ月ぶり・3度目の開催となる今大会では第1弾対戦カードとしてリオン武×内藤太尊、猿丸ジュンジ×安芸柊斗の2試合が発表されていた。

新たな追加カードとして修斗初参戦の岡見勇信とキム・ジェヨンの一戦が発表された。サステインの坂本一弘代表が「まさかこの選手が修斗のケージに上がってくれるとは思っていなかった」、MOBSTYLESの田原洋代表も「ライブハウスの大会にフェスが来た。(アーティストに例えると)矢沢永吉ですね」と話す岡見のサプライズ参戦となったが、これは岡見本人からリクエストがあったもの。


(C)ANGEL’S FC

対戦相手のジェヨンは極真出身、2004年からチーム・タックルでキャリアを開始したK-MMAのパイオニアで、2012年からはNOVA MMAに所属。

(C)ONE

韓国国内ではAngel’s FCとTOP FCでミドル級王座に就き、2018年にはロシアのACBにも参戦した猛者で、日本と韓国のMMAをけん引してきた「日韓レジェンド対決」(坂本代表)となった。

岡見にとっては昨年11月のオンラ・ンサンに敗れて以来の再起戦となり、日本のプロモーションでの試合は2016年7月のパンクラス参戦から実に7年5カ月振りとなる。動画内では岡見が修斗参戦への経緯、そして修斗で戦うことへの抱負を語った。

岡見勇信
「大先輩の宇野薫さんがチャンピオンになっていたり、慧舟會の先輩方が修斗に出ていて、セコンドや応援で何度も会場に足を運ばせてもらいました。ただファイターとしては縁がなく、僕も海外中心で戦ってきたのですが、いずれ日本で戦うときに修斗で戦ってみたいという気持ちは常々ありました。今、岩﨑大河選手がミドル級を引っ張っていて、こういう若い選手と戦うことに意義があるのかなと思い、坂本さんに『修斗で戦うことはできますか?』とお話させていただきました。

(ジェヨンは)歴戦の猛者、韓国らしく気持ちが強くて頑丈でどんどん前に出てくる選手だと思います。そんな相手と修斗で戦えることは光栄で、やりがいがあります。試合映像を見てそう感じました。気持ちの勝負が大きな割合を占めると思うし、こちらが気持ちでひくとドンドン出てくる選手です。気持ちを持ったつぶし合い、どちらが前に出られるかの勝負が一番大きいと思います。

(日本での試合について)緊張もすごくあり、ワクワクする感じもあります。1年間試合をしてなかったのですが、日本の舞台に帰ってくることが昔に戻るというか、また新しい冒険をするというか。42歳でこんなことやっていいのかなと思うんですけど(笑)、冒険という気持ちにさせていただけています。

(今後について)20代中盤の気持ちを持って戦っていこうと思います。選手としての終わりを考えるとか、そういうことはやめました。今出来る精一杯をやって、そこからら先が見えてくると思います。僕は今自分にすごく期待しています。引退するために試合する、最後に自分の試合を見てもらうとか、そういう感傷的なネガティブな気持ちは一切ないです。自分を信じて、自分に期待して、自分の背中を見せる。この先を見据えて戦いですが、全力でつぶし合いをします」

そして今大会のメインイベントとして修斗世界フェザー級タイトルマッチ、王者SASUKE×挑戦者 田中半蔵が決まった。Road to UFCで無念の2年連続敗退となったSASUKEは今回が2度目の防衛戦を迎えることなった。

田中は昨年5月に闘裸男・福岡大会でプロ修斗公式戦に約9年振りに参戦──結城大樹とロイベ・デ・オリベイラ・ネイトに連勝して王座挑戦のチャンスを掴んだ。両者は動画内でタイトル戦へ向けた意気込みを語った。

SASUKE
「対戦相手の候補が何人かいたのですが、チャンピオンである以上、ベルトをかけてやらないといけないと思い『防衛戦をやらせてください』と伝えました。(田中は)経験豊富なファイターで勝負どころが分かっていると思います。切れ味のあるストライカーだと思っていたのですが、最近の試合は勝負どころでは組みも出来る印象なので、スキルも高く侮れない相手だと思います。(田中は40代になっての挑戦だが)僕のジムには強い40代がいっぱいいるので、侮れないです。アグレッシブに戦って見ている人たちが退屈しないような、最後は立ち上がって手を叩くような試合をしたいです」

田中半蔵
「(SASUKEは)柔道出身で足技が上手くて一発があるので警戒しています。初の5Rなので、しっかり5Rかけて戦いたいと思います。年齢的に衰えているところもありますが、技術的に今が一番乗っています。今回は最後のチャンスだと思うので、チャンピオンになります」

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Brave CF MMA MMAPLANET o キム・ジェウン キム・ジェヨン グスタヴォ・ウーリッツァー コ・ソクヒョン チェ・ハンギル パク・チャンビン ユ・ジュサン ライカ 清水俊一

【Angel’s FC22】大晦日イブ。フェザー級王座決定戦で、清水俊一が5戦目の強者ユ・ジュサンと対戦

【写真】キャリア的には72戦目と5戦目……ただしフィジカルとレスリング力ではユが清水を上回る (C)BRAVE CF & MMAPLANET

30日(金・現地時間)、韓国はコヤンのキンテックス7AホールでAngel’s FCC22が開催される。

Double GFCとの共闘路線から、別々の道を歩むことになったAngel’s FCの2022年。その最終戦がソウルの北西、地下鉄で1時間ほどのベッドタウン=コヤンにある韓国最大級の展示・会場施設=キンテックスで行われる。


メインはDouble GFC王者キム・ハンスルとのダブルタイトル戦に敗れた元ウェルター級王者のコ・ソクヒョンが、ミドル級転向初戦でキム・ジェウンと同級王座決定に挑む。

10thPlanetの支部=チャンヤンMMA所属のキムはキャリア4勝4敗のグラップラーで、ADCC韓国大会などグラップリング大会で優勝経験がある。柔道家、投げでコンバットサンボ世界王者に輝いたコ・ソクヒョンは、MMAでもテイクダウンまでは力強く、そこからのフィニッシュ力は乏しいという印象がある。

寝技上等のキム・ジェヨンとしては投げられても、自らのフィールドに持ち込まれるのは都合が良く、この誰もが想像できる展開のなかでコ・ソクヒョンが、下からの対応をいかに捌いていけるのかに勝負は掛かっている。

またコメインでは日本の清水俊一が、フェザー級王座決定戦をユ・ジュサンと戦う。ユはプロボクサーのライセンスを保有しているストライカーだが、キム・ドンヒョン譲りのレスリング力も高いレベルにある。

ユ・ジュサンは4月にはBRAVE CF韓国大会で勝利し、9月には1月にGladiatorライト級王座に挑戦するグスタヴォ・ウーリッツァーにライト級マッチで判定勝ちを収めている。バンタム級で戦ってきた清水とは体格も違う。それ故に真っ向勝負は難しいとはいえ、清水は簡単に下にならない戦い──引き込むのであれば、ここ一番というタイミングで全力に極めに懸かるファイトを心掛けたい。

また第7試合にはコリアンゾンビMMA所属のチョ・ハンギルが出場し、新垣聖太と戦う。ハンギルは師匠譲りのゾンビファイターで、実際にキム・ドンキュウとの試合では前歯を3本へし折られても判定勝ちを手にしたブルファイターだ。この試合の勝者が、バンタム級王者ソン・ヨンジェとのタイトルマッチが有力視されている。

■AFC22対戦カード

<AFCミドル級王座決定戦/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
コ・ソクヒョン(韓国)

<AFCフェザー級王座決定戦/5分3R>
清水俊一(日本)
ユ・ジュサン(韓国)

<フライ級/5分2R>
パク・チャンビン(韓国)
キム・ジンミン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
新垣聖太(日本)
チェ・ハンギル(韓国)

<無差別級DIEDIE決戦/5分2R>
アジベク・ガフロフ(ロシア)
キム・ヨンウ(韓国)

<フライ級/5分2R>
チョ・ジュンゴン(韓国)
キム・テフン(韓国)

<無差別級DIEDIE決戦/5分2R>
キム・イゴル(韓国)
サルマン・カン(韓国)

<ライト級/5分2R>
ペク・スンデ(韓国)
チェ・ジス(韓国)

<無差別級DIEDIE決戦/5分2R>
ジャン・スンヒョ(韓国)
ジャン・ドヒョン(韓国)

<バンタム級/5分2R>
ソン・ヒョンジョン(韓国)
パク・ミンジェ(韓国)

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