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【UFC FPI04】メインはクレイグ✖ペナ。陽性→IBJJF系大会3年出場停止のアブレウはマレガリと対戦

【写真】去年のADCC出場時のサイボーグ・アブレウ。ADCCはステロイドフリー。MMAではドラッグテストに莫大な費用を投じているUFCも、グラップリングでは世の趨勢に従うのか (C)SATOSHI NARITA

9日(木・現地時間)に開催&配信されるUFCファイトパス・インビテーショナルの展望後編。
Text by Isamu Horiuchi

ハイサム・リダが出場するトーナメントの見所に続き、今回はメインで組まれたクレイグ・ジョーンズ✖フィリッピ・ペナを戦の行方を占い、ニコラス・マレガリと戦うホベルト・アブレウのステロイド問題について言及したい。

<UFC Fight Pass Invitational04展望Part.01はコチラから>


まずジョーンズ✖ペナ戦は、長きに渡り世界のトップグラップラーとして揺るぎない地位を確立している両者だが、意外にもこれが初対決となる。

世界屈指のガードプレイヤー、ペナは昨年のADCCの最重量級準決勝にてジョーンズの盟友ニック・ロドリゲスと対戦。ボディロック取られて完全パスガードを許して敗戦した。が、今年の2月のWNOの再戦ではより強固なニーシールドと腕のフレームを駆使してパスを許さず、一進一退の攻防の末に僅差の判定勝利、リベンジに成功している。

対するジョーンズは、昨年のADCCは99キロ以下級に準決勝でニコラス・メレガリに競り勝ったものの、決勝でカイナン・デュアルチが繰り出した、膠着ペナルティ上等の強烈な抑え込みの前に屈して以来の試合出場だ。

ジョーンズのチームメイトのニッキー・ライアンらは「前戦では(足関節のスペシャリストではない)ニック・ロッドがペナから外ヒールを取りかける場面があった。ならばクレイグなら下から足を絡めて極めることができるだろう。できなくてもOTで勝てるのではないか」と予想する。

確かにサブミッション・オンリーで、さらに立ち技での膠着も許されない今回のルールは、スイープの名手ペナよりも極め業師のジョーンズにとって本領といえるだろう。

それだけに、ペナの出方──上から足を攻撃される危険を冒してでも自ら引き込み良い形を作りにゆくか、それともジョーンズの仕掛けを待って対応するのか。はたまた上下をコイントスに委ねてバタフライ&アンダーフックの攻防を挑むのか──が興味深い。

この他、ワンマッチでも注目すべき試合が組まれている。まずジョン・ダナハーのもと昨年からノーギ・グラップリングに進出して目覚ましい活躍を見せているニコラス・メレガリと、2013年ADCC世界大会無差別級優勝をはじめとした輝かしい実績を誇る42歳のサイボーグことホベルト・アブレウの試合も組まれている。

アブレウは昨年末のノーギ・ワールズで6度目の優勝を果たしたものの、薬物検査に引っかかり優勝剥奪&3年間の出場停止処分を下された。

それを受けて「私は確かに長年HRTホルモン補充療法を受けている。これは私のような30歳を過ぎた選手が、試合に出続けるためにハードな練習と回復を可能にするために必要であり、有益だ。IBJJFは選手に賞金を出してくれないから、私は金を稼ぐには何も検査のないプロイベントで、(薬物を使ってくる)より若く大きい選手と戦い続けなくてはならない。そもそもIBJJFが王者だけを検査すること自体が不公平ではないか」と、随分と開き直った声明を出したことで波紋を呼んだ。

薬物使用の是非はともかくとして、IBJJFと同様にUSADA(米国アンチドーピング機構)が行う薬物検査を採用するUFCの名を冠するこのイベントにて、アブレウの出場が許可されているという事実は留意しておくべきだろう。

ちなみにアブレウの盟友にして、やはり昨年末のテストで陽性となってなお今回のトーナメントにエントリーしているヴァグネウ・ホシャについても状況は同様だ。

アブレウ同様HRTを受けていることを公言しているホシャと、自らトップグラップラーとしては少数派である「ナチュラル」であることを大いにアピールするヒメネスの対戦が今回実現したら、正反対のイデオロギーのぶつかり合いとなる。

同じUFC傘下とはいえ、UFC本戦とUFCが行うグラップリングイベントである今大会は、まったく異なる統括原理のもとで開催されているということなのだろう。

■視聴方法(予定)
6月30日(金・日本時間)
午前10時00分~UFC FIGHT PASS

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   カイナン・デュアルチ ハイサム・リダ ホベルト・アブレウ ルーズベルト・ソウザ

【ADCC2022】99キロ超級 ハイサムかく戦いけり、ADCC&ノーギワールズ優勝サイボーグから一本勝ち

【写真】昨年のWNOチャンピオンシップに続き、ハイサム・リダの名前は確実にワールドクラスになっている(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第16 回は最重量級=99キロ超級に出場したハイサム・リダの戦いを振り返りたい。


<+99キロ級1回戦/10分1R>
ハイサム・リダ(ガーナ)
Def. 1分15秒by 腕十字
ホベルト・アブレウ(ブラジル)

グラップリング最高峰の舞台であるADCC世界大会に初出場を果たしたハイサムの初戦の相手は、サイボーグことホベルト・アブレウ。13年に無差別級王座に輝いたのをはじめとして99キロ超級で銅メダルを2度、銀メダルと1度獲得するなど表彰台の常連になっている。昨年も含めノーギ・ワールズを7度も制するなど世界のトップで活躍する超大物だ。

ハイサムとしては2019年のカイナン・デュアルチ戦、昨年のヴィニシウス・フェレイラ戦に続く世界の重量級トップへのチャレンジとなる。首を取り合う両者。やがてハイサムがアームドラッグを狙うと、サイボーグはそれを横にスピンして切りながらダブルレッグでシュートイン。

が、ハイサムは一瞬で反応して右でサイボーグの左ワキを差して潰すと、そのまま左ワキをすくって電光石火の腕十字へ。

大歓声が沸き上がるなか、ハイサムはすぐにサイボーグのグリップを切りその太い腕を伸ばし切る──と同時にサイボーグがタップ。わずか1分15秒の出来事だった。

レジェンド、まさかの秒殺一本負け──そして最重量級とは思えないほどスピーディーかつダイナミックなフィニッシュに会場は爆発。興奮状態のハイサムは立ち上がって勝利をアピールし、一方のサイボーグは脱帽といった風情でマットに正座し、勝者に拍手を送った。

こうしてハイサムは、本人もおそらく一生涯忘れることがないほどの最高の形でADCC初戦を勝利した。

<99キロ級超級2回戦/10分1R・延長5分>
ルーズベルト・ソウザ(ブラジル)
本戦 2-0
ハイサム・リダ(ガーナ)

鮮烈な一本勝ちで一回戦を突破したハイサムの次戦の相手は、ルーズベルト・ソウザ。

初戦ではジョアオ・ガブリエル・ホシャと対戦し、投げられて下になりながらもその流れで足を取り、一瞬で強烈なヒザ十字を極めて見事な一本勝ち──ハイサム同様、レジェンドから見事な一本勝ちを果たしての2回戦進出だ。

試合開始後、スタンドの攻防を展開する両者。ソウザは両ワキを差そうと試みるが、ハイサムは差し返して距離を取る。

3分経過時、右手でソウザの頭を抱えたハイサムは、長い左腕を伸ばしてニータップを仕掛ける。ソウザの巨体を崩してみせたが、ソウザはすぐに立ち上がった。

加点開始まで残り45秒のところで、ソウザが座る。シッティングから足を絡めてハイサムの右足を狙うが、ハイサムも素早く反応し、ソウザの体を大きくまたぐようにして距離を取る。加点まで残り20秒の時点でソウザは立ち上がった。

やがて試合は加点時間帯に入り、しばらくスタンドでの攻防が続く。

残り3分半の時点にて、ソウザが突進。ボディロックを組むと場外際でハイサムを浴びせたおすことに成功する。ハイサムは倒れながらもバタフライでソウザを浮かせるが、重心の低いソウザはバランスをキープし、そのままハーフの体勢で背中をマットにつけさせ、ヘッド&アームコントロールを取ってポジションを固定。テイクダウンの2点を先制した。

下から上体を起こしてのリバーサルを仕掛けるハイサムだが、ソウザはバランスを保つ。するとハイサムはガードを閉じて足を四の字に組んだ。残り3分。動きを作りたいハイサムだが、ソウザの強固なベースは崩れない。

やがてハイサムがガードを開けたところでソウザが立ち上がると、同時にハイサムもスタンドに戻った。残り時間が少なくなるなか、ハイサムは右足を飛ばして小外や小内を仕掛けるが、ディフェンスモードに入り下がり気味のソウザを崩せない。結局ソウザがそのままリードを守り切り時間に。

2回戦で敗れてしまったとはいえ、初戦で超大物アブレウから今大会最高ともいえるハイライトリール・サブミッションフィニッシュ。ADCCデビュー戦にてその名を世界に轟かせたハイサムは、翌日の無差別級へのエントリーも決めた。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   カイナン・デュアルチ カイル・ベーム クレイグ・ジョーンズ ディヴォンテ・ジョンソン ニコラス・メレガリ ニッキー・ライアン ニック・ロドリゲス ユーリ・シモエス ラファエル・ロバトJr

【ADCC2022】99キロ級決勝 減点8のカイナン・デュアルチがクレイグ・ジョーンズを破り、階級変えて連覇

【写真】強い方にこれをやられると、もう手の施しようがない(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第15 回は99㌔級ファイナル=カイナン・デュアルチ×クレイグ・ジョーンズ戦の模様をお伝えしたい。

準決勝でラファエル・ロバトJrを下したカイナン・デュアルチを決勝で待っていたのは、前回大会の88キロ以下級準優勝、豪州の極め業師クレイグ・ジョーンズだ。

ニック・ロドリゲスやニッキー・ライアンと共に形成したBチームのラッシュガード──前面に大きく「メキシカン・グラウンド・カラテ」とある──を身に纏ったクレイグは1回戦で、ジョアオ・コスタと対戦した。

開始直後にクレイグは引き込んで左足に絡むと、すぐにコスタの右腕を捉えて両腕で抱え込んでヒジを伸ばす腕十字。わずか18秒で圧勝した。

続く2回戦は、初戦ディヴォンテ・ジョンソンとの接戦をレフェリー判定で制したカイル・ベームと対戦。ここでもクレイグは加点時間帯に入ってからベームが放ったダブルレッグを、アームインギロチンで切り返してタップを奪い、2戦連続の一本勝ちで翌日のベスト4戦に駒を進めた。

準決勝でクレイグは、前戦でユーリ・シモエスとの接戦をレフェリー判定で制した道着柔術最強の男ニコラス・メレガリと相対する。

この一戦は両者が積極的に仕掛け合う大激戦となる。まず引き込んだクレイグはフォールス・リープからの内ヒールに入り、メレガリが回転して逃げたところで上のポジションを取って見せ場を創る。

延長におけるスタンド戦においても、クレイグはダブルレッグからテイクダウンに成功するなど戦いの幅が広がっていることを示す。この場面ではすぐに背中を向けてから前転したメレガリに立たれてしまい、ポイント獲得こそならなかったものの強い印象を与えたクレイグがレフェリー判定をモノにして、2大会連続の決勝進出を果たした。


<99キロ級決勝/20分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def. 12-0 (ペナルティ8-0)
クレイグ・ジョーンズ(豪州)

決勝戦。スタンドで先に仕掛けたカイナンがシングルレッグからボディロックを取ると、クレイグはあまり抵抗せず下になり、左に絡むハーフを作った。

その後はクレイグが下から仕掛け、カイナンがそれを盤石のベースで遮断する展開が延々と続くことに。やがてカイナンにペナルティが与えられるがそれでも展開は変わらず、カイナンは2つ目のペナルティが与えられる。

カイナンは9分経過のあたりから本格的に低く入るプレッシャーを強め、ハーフで胸を合わせることに成功。そのままクレイグの両ワキを差して上半身を殺し、じっくりと侵攻していった。

加点時間開始15秒前のところで、カイナンは絡まれている足を抜いてマウントを奪取。そのまま低く胸を合わせて抑え続けるカイナンは、加点時間が開始した後に足だけ動かしてニーオンザベリーで2点を取り、またマウントに戻ることでさらに2点を追加。これで減点が2あるものの、ポイントは4-0で逆転に成功した。

その後も、低く胸を合わせてクレイグの上半身を封じ続けるカイナン。一度足を絡ませてから、再びそれを解いてマウントに戻ることで7点目を獲得したが、同時にマイナスも一つ追加された。その後もカイナンは抑えたまま体勢を変えないため、また一つマイナスが加わり、実質3点差となった。

残り7分、カイナンの巨大な上半身に押さえ込まれ続けていたクレイグが、ついにカイナンの腰を押してスペースを作ることに成功、体勢をハーフに戻してみせた。が、カイナンは低く圧力をかけ続けてクレイグの仕掛けを遮断。残り5分のところでなんと5つ目のペナルティを受け、点差は2点となった。

それでもポジションを変えずに膠着し続けるカイナンは、残り3分半でまたペナルティを受けてしまい、1点差に。クレイグは下から右腕を狙うが、カイナンは難なく防御する。

残り2分。上からの膠着を続けるカイナンに7つ目のペナルティが宣告され、ついに試合は同点に。見応えのあるアクションが起きているわけではないこの試合だが、マウントを奪って相手の動きを制し続けている側がペナルティを受け続け、とうとう終盤同点に追いつかれてしまうという前代未聞の展開自体は、シュールかつスリリングだ。

なんとか展開を作りたいクレイグは上半身を起こすが、カイナンもまた上半身の圧力を使ってそれを押し戻して潰す。さらにカイナンはジョーンズの右ワキと首を制して潰して体勢を固める。ここでクレイグに8個目のペナルティが入る。なんと相手をほぼ完全に制圧しているにもかかわらず、カイナンは逆転されてしまった。

下から再び距離を作るクレイグ。残り1分半で点を取らなくてはならないカイナンは立ち上がると、改めて低くプレッシャーをかけてゆく。そしてクレイグの右足を潰したカイナンは、そのまま横に動いて上四方へ。そのままジクレイグを抑え込んでパスに成功。3点を獲得し、土壇場で再逆転してみせた。

クレイグは下から距離を作って立ち上がる。逆転のためにはテイクダウンが必要な場面だが、レスリング力で勝るカイナンの前になかなか仕掛けられない。それでも力のないシュートインを試みたジョーンズだが、カイナンはそれを跳ね返すように倒してゆく。 クレイグはスクランブルをすることもできず下になった。

残り数秒でスコアが実質12-8 =4-0(クレイグの8Pは全てカイナンのペナルティによるものだ)となったところで、クレイグは勝負を諦めてカイナンに握手の手を差し出した。

こうして前代未聞の展開を見せた試合は終了し、カイナンが前回大会の99キロ超級に加えて2連覇を達成。前回大会88キロ以下級準優勝、他の多くの大会でも準優勝が多く、インスタグラムにも「全てにおいて2位」と自虐的なプロフィールを載せているクレイグは、またしても今回準優勝に終わってしまった。

カイナンの優勝インタビューがはじまると、場内の一部からはブーイングが。そんな状況でツータイムス王者は「みんなありがとう。ハッピーだよ。まあもっといい試合ができたとは思うけどね。でもね、この試合場に上がってこれるのは本当にベストの選手だけなんだよ。そして選手はみんな異なった柔術スタイルや性格を持っているんだ。僕は今回勝たなくてはならなかった。まあみんなを喜ばせることはできないよね。僕はここに参加したすべてのアスリートにおめでとうと言いたいよ」と釈明。

さらに「クレイグよ、俺は絶対にお前のように2位にはならないんだぞ!」とジョークを飛ばしたに「僕は(2回戦の)モンストロ(=エルダー・クルズ)との試合でバックを奪ったところで膝を怪我してしまっていたんだよ。だからネガティブな気持ちや心配もあったけど、人生と同じだ。やらなくてはならなかったんだ」と、2日目は万全の体調ではなかったことを明かした。

ヒザの負傷を抱えつつ、世界の超強豪たち相手にレスリングの攻防で優位に立ち、今回も猛威を振るったクレイグの極めの仕掛けも遮断。じっくりプレッシャーをかけて複数回パスを奪ってみせたカイナンの技量はまさに圧巻で、世界一の座に相応しいものだ。

同時に、相手を抑え込み動きを止めようする戦い方に対して、(決して失格を宣告することなく)アグレッシブなまでにペナルティを与えてアクションを促した競技運営陣は、動きの少ない展開に奇妙なスリルとドラマを持ち込むことに成功したといえるのではないだろうか。

なお3位決定戦は、7月のWNO 14の再戦となったメレガリ×ロバトJr。前回テイクダウンを奪って快勝していたメレガリは、今回は加点時間帯前に座って下攻めを選択。

そのガードをロバトJrが攻めあぐねる展開が続いた。結局ロバトJrはペナルティを二つ宣告されてしまい、挽回できず。メレガリが初出場にして初メダルを獲得した。

99キロ級リザルト
優勝 カイナン・デュアルチ(ブラジル)
準優勝 クレイグ・ジョーンズ(オーストラリア)
3位 ニコラス・メレガリ(ブラジル)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   エルダー・クルーズ カイナン・デュアルチ ボクシング ラファエル・ロバトJr

【ADCC2022】99キロ級 出場7度目、5度目のセミファイナル出場のロバトJrを破ったカイナンが決勝へ

【写真】3年前の大会で+99キロ級を制したカイナン。2021年と2022年はムンジアルのヘビー級王者は大ベテランを破って決勝進出を決めた(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第14 回からは99キロからカイナン・デュアルチのラファエル・ロバトJrの勝ち上がりと両者の準決勝戦の模様をお伝えしたい。

前回大会99キロ超級の覇者にして、今年の世界柔術も制している優勝候補筆頭のカイナン・デュアルチは、1回戦で英国のオーウェン・リヴシーと対戦。加点時間帯にクローズドガードから両ワキを差し、リヴシーの体を引きつけて伸ばしてからスクランブルで上を取る見事な技術で2点を獲得。その後も低く体重を預けてサイド、マウントとポジションを制し8-0で快勝した。

2回戦は、そのレスリング力故にダークホースとも見られたエルダー・クルーズ──初戦は世界柔術で2度準優勝を果たしているパトリック・ガウジオと対戦し、スタンドの積極性で上回って延長レフェリー判定勝ちを収めた──と対戦。

クルーズのダックアンダーを迅速の反応でスプロールすると、背後に回って四の字フックを完成。そのままマウントも取って先制し、クルーズに体勢を入れかられるものの、5-2で快勝。順当に2日目に勝ち上がった。

デュアルチの準決勝の相手は、大ベテランのラファエル・ロバトJrだ。2013年の88キロ以下級準優勝者のロバトJrは、2007年に初出場以来なんとこれが7度目のADCC世界大会出場だ。初戦では、フィンランドのペルトゥ・テポネン相手に四つから脇を潜ってバックを奪うと、フェースロックで快勝している。

2回戦は昨年の準優勝者のヴィニシウス・フェレイラと対戦したロバトJr。本戦終盤にフェレイラのボディロックからのテイクダウンを切り返す形で上を取り、2-0で勝利。実に5度目のADCC世界大会準決勝進出を決めた39歳のレジェンドは「今回が最後となるかもしれない。僕はもう父親になったし、人生の次のフェイズに入ろうとしているから。そんな今でも世界のトップの選手たちと戦えて感無量だよ」と涙を流した。


<99キロ級準決勝/10分1R+ExR>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.ExR by Ref Decision
ラファエル・ロバトJr(米国)

迎えた両者の準決勝。積極的にフェイントを仕掛けるカイナンは、1分ほどのところでダブルレッグでテイクダウン。加点時間帯前とあって、ロバトJrはあまり抵抗せず下のポジションを受け入れた。

ここからカイナンは低くプレッシャーをかけていくが、右足に絡んだロバトJrがニーシールドと腕のフレームで阻止。この攻防が延々と続き、加点時間帯を超えても展開は変わらず。試合は延長戦に持ち込まれた。

スタンドから再開された延長戦。軽快なフットワークのカイナンは序盤同様に細かくフェイントを入れては、ロバトJrの首を掴んで押し下げてそのスタミナを奪いにかかる。が、お互いなかなかテイクダウンは仕掛けられず、両者にマイナスポイントが与えられる展開に。

以後もカイナンはアウトボクシング的スタンドレスリングとでも呼びたくなるようなフットワーク&フェイントで、ペースを支配。動きが明らかに落ちてきたロバトJrもテイクダウンを試みるが、カイナンは軽く距離を取って回避した。

残り45秒。相変わらず軽快な動きのカイナンがダブルレッグを仕掛けると、そのままドライブしてテイクダウンに成功。が、倒されたロバトJrはいったん背中を向けて亀になってから正対し、失点は回避して見せた。さらに下からアームドラッグを仕掛けるロバトJrだが、強力なベースを誇るカイナンは崩れない。

ならばと立ち上がったロバトJrの右足を抱えるカイナン。ここは足を抜いて距離を取ったロバトJrは、残り7秒でシュートイン。が、カイナンはここも距離を取って試合終了した。

レフェリー判定は、終始ペースを支配して最後にはテイクダウンの見せ場も作ったカイナンに。後に、前日のクルズ戦でバックを奪った場面でヒザを怪我してしまったことを明かしたカイナン。あまりリスクを負わず、それでも要所で確実にポイントを取る賢い戦い方を貫いて、2連覇に王手をかけた。

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ADCC2022 JT・トレス MMA MMAPLANET o カイナン・デュアルチ ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ジオゴ・ヘイス ジャンカルロ・ボドニ ハイサム・リダ ホベルト・アブレウ ユーリ・シモエス 岩本健汰

【ADCC2022】66キロはジオゴ・ヘイス, 77キロはケイド。88キロがボドニ。KINGはゴードン・ライアン!!

【写真】タイが初日に姿を消すというなか、ケイドがADCC最年少世界王者に (C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて2022 ADCC World Championshipが開催された。

イベントの規模、試合レベル共に四半世紀を迎えようかというADCC世界大会の歴史において、また他のグラップリング・イベントと比較しても、過去最高のグラップリング・イベントとなった今大会。

そんななか日本でも特に注目された66キロ級ではジオゴ・ヘイスが優勝。77キロ級ではケイド・ルオトロがミカ・ガルバォンを足関節で下し頂点に。

88キロはノーマークだったといっても良いジャンカルロ・ボドニが、これが新時代のグラップリングだという戦い方を続けた。

結果、決勝でルーカス・バルボーサをRNCで仕留め優勝している。

99キロ級はカイナン・デュアルチ、99キロ超級はゴードン・ライアンがゴールドを獲得、ゴードンはスーパーファイトも制し文字通りグラップリング界のKINGに君臨。無差別級では古豪ユーリ・シモエスが復活を遂げる勝利を挙げている。

日本から出場した岩本健汰は初戦でJT・トレスと対戦し、非ポイントの時間帯から積極的に攻めるという戦い方を選択する。

岩本のテイクダウン狙いに序盤の5分間は倒れていたJTは5分以降と延長戦では、切ってバックを伺うという展開で大善戦の岩本をレフ判定でくだした。

ハイサム・リダは初戦でホベルト・アブレウを腕十字で破るジャイアントキリングを達成するも2回戦敗退。それでも多くの新しい力の台頭の象徴──その一員であることを大いに印象づけている。

※ADCCの詳細レポートは後日、掲載となります。


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ADCC2022 MMA MMAPLANET o UFC   アンドレ・ガルバォン エドガー・クルーズ カイナン・デュアルチ ゲガール・ムサシ ゴードン・ライアン ニコラス・メレガリ ニック・ロドリゲス ラファエル・ロバトJr リョート・マチダ 堀内勇 平本蓮 高橋SUBMISSION雄己

【ADCC2022】高橋サブ&堀内勇がADCCを深掘り─04─。組み技界の平本蓮=ゴードン・ライアン

【写真】ゴードン・ライアンこそが、ミスター・グラップリングなのだる。ガルバォンとの物語も終幕を迎える(C)SATOSHI NARITA

いよいよ、スタート直前。17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターで開催される2022 ADCC World Championship。2年に1度のグラップリング界最大のトーナメントが、コロナの影響で3年振りに開催される。

グラップリング界においても特殊なポイント制が用いられながら、世界最高峰の組み技の祭典を高橋Submission雄己とMMAPLANETグラップリング・ライター堀内勇氏が、独断と偏見と愛情をもって深堀り。最終回は66キロ級と77キロ級以外の気になる選手について話を続けてもらうと、ゴードン・ライアンとグラップリングの今後という落としどころが見つかった。

<高橋Submission雄己&堀内勇、ADCC深堀対談Part.03はコチラから>


──66キロ級と77キロ級を相当に深く話していただきましたが、ここからは階級に関係なく気になる選手を挙げていただけますか。

高橋 僕は99キロ以下級のエドガー・クルーズが気になっています。

立ち技が強い、27歳で最近黒帯になった選手です。ニック・ロドリゲスに勝っているんですよね。レスリングで攻めて、良い場面を創って。寝技にはあまりならないで99キロ級の上位入賞候補のニック・ロッドに勝っていることと、ADCCルールというところを考えると、クルーズはダークホース的に上にくると見て良いのではないかと。

堀内 その99キロ級では最近、ノーギを始めたニコラス・メレガリがどこまでいけるのかというのは興味あります。

ダナハーのところで練習して、あえて立ち技の練習をずっとしているような。一番最近の試合では、ラファエル・ロバトJrにボディロックで2度テイクダウンを奪っています。いわゆるレスリングではなく、ADCCで取れるようなテイクダウンでした。道着柔術では世界最強の1人なので、ノーギも着実に成長しているので。カイナン・デュアルチもこの階級にますが、道着だとメレガリが少し上だと思います。ただし、ノーギだとまだカイナンの方が有利かなと。そこを踏まえて、メレガリがどれぐらいトップに肉薄できるか楽しみです。

──しかし、ラファエル・ロバトJrはノーギでリョート・マチダにテイクダウンされているじゃないですか。

堀内 アハハハハハ。2006年、LA SUB Xですね(笑)。もの凄い昔の話で嬉しいです。

リョートが空手でなく、相撲で勝ったという。いきなりグラップリングの試合に出て、ロバトJrに勝つって……でも凄いネタをぶち込んできましたね(笑)。でも、あのあとMMAをやってゲガール・ムサシからテイクダウンを取っているし(笑)。ロバトJrも進歩しています。

──当時カリフォルニア在住、歴史の証人がここにいるということで(笑)。ではロバトJrネタはこれぐらいにして、他に注目の選手は?

堀内 やっぱり、ここ数年北米的グラップリングという短いサークリングのなかを引っ張ってきたのはゴードン・ライアンなので、やっぱりゴードンは見たい選手です。SNSを駆使し、WNOでは試合前にフィニッシュの仕方を書いた紙を渡して実際にその技で勝ってしまうとか、色々と話題を提供してきました。

アンドレ・ガルバォンに張り手をかますとか。その集大成が今回のADCCだと思います。ゴードンはSNSでガルバォンを精神的に攻撃し続けてきました。ついに頭にきたガルバォンが直接文句を言うと、叩かれたという流れで。ガルバォンは最近、これまでの流れを振り返って「ゴードンのトラップにハマってしまっていた自分を認める。SNSでATOSの仲間も攻撃され、コロナもあって心がおかしくなっていた。結果、ゴードンの煽りにまんまとハマってしまい、神から心が離れてダークサイドに落ちてしまった。SNSから離れられなくなって、携帯を何時間も見て夜も眠れない日が続いた」って動画で発表しました。

「私はゴードンを許す。これからは皆でハッピーに生きよう」という締めから、なぜかATOSのプロダクトは全て50パーセントオフのセールだっていう商売に行き着いていましたよ(笑)。

──もうギャクじゃないですか(笑)。

堀内 いやいや。『もう戦うだけだ』って集中しているという話をしたかったので(笑)。対してゴードンは相変わらず「俺は精神的にヤツをコントロールしている。俺はSNSでふざけて遊んでいるけど、計算ずくなんだ。SNSから離れられなくなるのも、離れるのも術中にハマっているんだ。格闘技でも勝てるけど、格闘技を使わなくても相手をやっつけることができる」って言っているんですよね。

日本だと平本蓮選手なんかが駆使していますが、SNSも含めた具体的なストーリーラインをゴードンは創っていて。その彼とガルバォンとの物語を一つの区切りとして見てみたいです。

──しかし、ガルバォンが敬虔なキリスト教徒振りを発揮していますが、彼の信じる神はステロイドの使用を認めてくれるのですね。『そこは良いんだよ』って言ってくれる神様と。

堀内 アハハハハ。

──それにしてもゴードン・ライアンは、そこまで注目を集める活動もしているのですね。

堀内 ジョン・ダナハーが「なぜ、ゴードン・ライアンはSNSでこれほど大きな存在になったのか」ということを語っていて。「世の中の人はほとんど劣等感、あるいはそれに似たモノを持って生きている。そこでゴードンのように圧倒的に自信しかない人間を見ると、2つの反応が起こる。強烈に憧れを抱くか、あるいは凄く嫌悪感を持つか。どちらにしてもゴードンから離れられなくなる」と機械的な声で言っていました。

高橋 グラップリングが発展していく行き先とはどこにあるという点において、やっぱり柔術と同じで見るより、やって楽しむDo Sportsなんじゃないかという話になるのですが、ゴードンがプロスポーツ的な目線で売ろうとしているのは、凄く興味深いです。新しいビジネスモデルを持ちこんでいる気がします。それをやって何かが動く土壌がもう米国にはあるということだし。

──ところでゴードンのSNSには、ジェネラルも反応するものなのですか。平本選手はそういう層を転がしているわけじゃないですか。

堀内 そこはゴードンも向うのインタビューで尋ねられて「グラップリングはDo Sportsだ。UFCはジムで殴り蹴りをやっていない人間が視るけど、グラップリングの会場にいるのは実際にやっている人間とその家族だけだ。そういう人たちがどんどん増えるというところまでは持って行けるけど、そこは限界がある」と言っています。でも、SNSの活動だけでなく、絶対的な強さあって教則動画を販売して相当な額を稼いでいます。だから「メイウェザーとかマクレガーにはなれないけど、一般レベルでいえば断トツのお金持ちレベルにはなれる」とも言っていますね。

広めるには限界のあるなかで、すそ野を広げて、そのなかでコンペティションだけでなく、収入面でもトップを取るのがゴードン・ライアンですよね。

高橋 そのピラミッドのなかで、どれだけ盛り上げるのか。本質はDo Sportsとしての裾野をどれだけ広げることができるか──ということなのでしょうね。そして、米国はピラミッド自体が大きくなっているといことですね。

──押忍、最後はグラップリングの未来をゴードン・ライアンから学ぶという良い締めになりました。高橋選手と堀内さん、今日はありがとうございました。ADCC世界大会を楽しみましょう。

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ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022 MMA MMAPLANET o カイナン・デュアルチ クレイグ・ジョーンズ 岩本健汰 椿飛鳥 海外

【ADCC2022】オセアニア&アジア予選へ、岩本健汰─01─「サドルからエントリーしても勝てない」

【写真】77キロ間が出てきた岩本(C)SHOJIRO KAMEIKA

19日(日・現地時間)、豪州ニューサウスウェールズ州スタンホープガーデンズのブラックタウン・レジャーセンター・スタンホープで『ADCC OCEANIA AND ASIAN TRIALS 2022』が開催される。
Text by Shojiro Kameike

岩本は前回の2019年大会でオセアニア&アジア予選(66キロ級)を勝ち抜き、世界大会への切符を手にした。しかし世界大会では1回戦でパオロ・ミヤオに敗れている。あれから3年、再び世界の舞台へ挑む岩本に、現在のグラップリング界――自身が経験したオセアニア&アジアと世界大会の違いについて語ってもらった。


――コロナ禍により延期されていたADCCオセアニア&アジア予選が、ようやく開催されることになりました。この1年の間、ADCC出場へのモチベーションが下がることはなかったですか。

「もともと昨年も出場するつもりでした。延期されて1年の間MMAを始めていたので、その1年が何か影響したということはなかったです。試合がないなぁ、とか嫌な気持ちになったこともなく」

――岩本選手は2021年9月に椿飛鳥戦でMMAデビュー、現在までMMAで3連勝中です。異なる競技にチャレンジしたことは、自身にとってどのような影響を及ぼしていますか。

「ADCCのルールはIBJJFのノーギと違い、レスリングを重視している部分があります。その部分に関しては、MMAの練習とかみ合っているところはありますね」

――岩本選手の中でADCCとIBJJFのノーギは別競技と考えているのでしょうか。2019年8月にADCC予選があり、10月の世界大会に出場したあと、12月にはJBJJFの全日本ノーギ選手権で優勝しています。それだけルールやコンセプトが異なる大会に短いスパンで出場し、常に切り替えていけるものなのですか。

「ADCCとIBJJFのノーギは、競技的には同じだと思います。ギだと、またいろいろ違ってきますけどね。でもIBJJFルールもヒールフックが認められてから、ほぼ同じになってきました。あとはグラップリングでもどういうスキルを重視するのかが、ルールや大会によって変わってきます」

――前回のADCCはオセアニア&アジア予選を制して世界大会へ。世界大会では1回戦でパウロ・ミヤオに敗れました。岩本選手から見てオセアニア&アジアのグラップリングは、世界と何か違いはありましたか。

「オセアニア&アジア予選は、他の地区の予選と比べると、勝ち抜く難易度は低めかもしれないです。実際に世界大会へ行ったら、すごく強い選手と当てられる可能性も高くて……。

予選から勝ち上がった選手は、世界大会の1回戦は招待選手と対戦することが多いんですよ。ただ、世界大会に出る選手はみんな強いので、そこは関係ないかもしれないですけど(苦笑)」

――世界といいますか、やはり米国やブラジルなどとは差があるかもしれません。

「世界とオセアニア&アジアを比べると、レベルの差はあると思います。でも、そういうなかで――例えば2019年のオセアニア&アジア予選の77キロ級で優勝したラクラン・ジャイルスは、世界大会1回戦でルーカス・レプリと対戦して、あっさり負けてしまいました。でも突き抜けた部分があって、何かを起こしてしまう可能性はあったんです」

――実際に無差別級ではカイナン・デュアルチに勝利するなど3位に入賞していますし、世界に名前が通じるグラップラーになっていますね。

「それにクレイグ・ジョーンズも予選で勝って世界大会でも勝ち抜きましたから、何も可能性がないわけではないです。世界大会に出る選手は、何かしら凄いスキルを持っている。柔術では黒帯ではなくても、すごくレスリングが強かったりとか。世界大会にはあまりいないですけど、予選にはレスリングチームが出てきますよね」

――では日本と海外のグラップリング事情を比べて、何か思うところはありますか。

「うーん、そうですね……海外と比べて、グラップリングだけをやる人が日本では少ないですよね。海外というか米国ですね。ただ、今は豪州でもグラップラーが増えています。一方で日本はギのほうが多いというか。グラップリングだけの練習ができる環境が、そんなにない。そこの熱量が違うかな、と思います」

――技術面の変化については、どのように捉えていますか。

「技術については、結構なスピードで変わってきています。前回の予選では、僕が足関節――内ヒールや、サドルからエントリーして極めていました。でも今は、そういう戦い方をしても絶対に勝てないです」

――というと?

「最近では足関節や下からの攻撃に対して、いかにその攻防をさせず、上からプレッシャーを与えて勝負する選手が多くなっている印象が強いです。全体的にMMAの攻防に近づいている気はしますね」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
6月19日(日・日本時間)
午前8時00分~Flo Grappling

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ABEMA IRE06 MMA MMAPLANET カイナン・デュアルチ マテウス・ジニス 村田卓実 魚井フルスイング

【IRE06】バックを譲り、ヒザ十字狙いの村田卓実が魚井の掌底に耐えてクローバーリーフ(?)で一本勝ち

【写真】クラッチが違うとクローバーリーフ(レッグレイス)と呼んで良いのか──正直分からないが、理屈はカイナン・デュアルチがマテウス・ジニスに決めた技と同じだろう(C)MMAPLANET

10日(日・祝)に東京都港区のリバーサル田町芝浦スタジオで開催されたIRE06。

コンバット柔術ルールの6試合がABEMAでライブ配信されるという画期的な大会から──掌底を受けながら足関節を仕掛ける村田が、カイナン・デュアルチばりのフィニッシュを見せた一戦の模様をお届けしたい。

<65キロ契約/7分1R>
村田卓実(日本)
Def.5分04秒by クローバーリーフ
魚井フルスイング(日本)

シングルからボディロックの魚井に対し、村田が引き込む。足を捌く魚井。村田はスタンドへ戻る。半身、いや背中を見せる村田に魚井が組んでバックへ。村田はヒザ十字を狙い、村田は後方から掌底を打っていく。

ヒザを抜いた魚井は、村田がグラウンド状態にある間に掌底を打っていく。試合がスタンドに戻るや、村田は再び背中を見せつつ、組むことを魚井が躊躇すると一気に組んでギロチンを狙う。

ワキを潜った魚井がバックに回ろうとすると、大外刈り気味に村田が投げる。バックをキープした魚井に対し、村田はここもヒザ十字を仕掛ける。

足を畳んで組んだ魚井が後方からワキに掌底を打っていく。前転からサドルに入った村田は内ヒールを仕掛ける。魚井が左手首を両手で掴んで、カカトを組ませないよう対処すると村田は上体を起こして逆足を取りにいく。

ここで魚井が左の掌底を狙い、村田が懸命におでこで受ける。足掴んで、ガードが取れない村田が頭を出しても頬や目の辺りを魚井が叩いていく。

村田は尻をずらしてクロスヒール気味に魚井の右足の右足をワキの下で抱え、サドルで捕えた右足のカカトを右腕で抱える──と、RNグリップでなくパームトゥパームに組んだクローバーリーフ(と呼んでよのか……)が極まり、右足が捻り気味に伸ばされた魚井がタップした。


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MIKE MMA ONE ONE Championship WNO Championships   カイナン・デュアルチ クレイグ・ジョーンズ ティム・スプリッグス ブログ

【WNO Championships】─09─大アップセット!! ヘビー級決勝でスプリッグスがカナンを外ヒールで破る

【写真】捻る方向に自らも回るオールドスクール外ヒールで一本勝ち。歴史的な勝利をスプリッグスが挙げた (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

9月25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されたWho’s Number One Championships。ライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメント──は2021年グラップリング界の最大のイベントとなった。
Text by Isamu Horiuchi

レビュー第9回はヘビー級決勝戦の模様をお伝えしたい。


<ヘビー級決勝戦/30分1R>
ティム・スプリッグス(米国)
Def. 7分21秒by ヒールフック
カイナン・デュアルチ(ブラジル)

気合十分のスプリッグスに対し、優勝候補大本命のカイナンは、自信の裏付けかきわめてリラックスした表情でマットに上がる。

首を取りいなし合う攻防の後、引き込んだカイナンは、左足を中から入れてスプリッグスの右足に絡めてシングルレッグXを作り、後ろに倒す。

スプリッグスはすぐに体勢を立て直し、カイナンは右足に絡んで崩そうとしても正座するようにバランスを保ってゆく。

やがてカイナンは外掛けからの外ヒールを狙うが、スプリッグスは絡んでくる足を押し下げて背中を見せてエスケープを図る。

が、カイナンは許さないばとばかりにスプリッグスの右太腿を掴んで引き寄せて、右足を入れたヒザ固めの態勢に。

プレッシャーを和らげようとマットに横になったスプリッグスの動きに乗じて、カイナンはシットアップして上へ。ところが、次の瞬間スプリッグスは右足でカイナンの左足に足払い。

見事にカイナンに尻餅をつけさせ、自らも立ち上がる。

スタンドから、すぐに座ったカイナン。非常にリラックスした柔らかい動きでスプリッグスの左足に内掛けで絡む。

対するスプリッグスは体勢を低くして圧力をかけようとするが、カイナンは強力なニーシールドで侵攻を許さない。

やがてカイナンはスプリッグスの右足を内側から抱えてディープハーフに。

ここでスプリッグスがカイナンの体をステップオーバーし、右足を抱えてヒザ十字狙いのように倒れ込む。

足関節の対処には自信があるからか、必死に逃げようとはしないカイナン。対して左足を外掛けで絡めて深いサドルを作ったスプリッグスは、外ヒールのフックを創りにかかる。

ここでカイナンはかかとを内側に向けてディフェンス。そのまま足を抜こうとするが、スプリッグスは上腕でカイナンの右足先を引っ掛け、内ヒールのような角度で捕獲して抜かせない。

改めてストレートレッグロックの形を作り直したスプリッグスは、次の瞬間外ヒールのフックに移行。ここで慌てて回って逃れようとしたカイナンだが、強烈に極めに来たスプリッグスとともに一回転したところでタップアウト。

時間にして7分少々、昨年は1試合もせず、今年もこの大会以前は2戦2敗だったスプリッグスが、ゴードン・ライアンが活動停止中の現在、世界最強のグラップラーとみられるカイナンからまさかの一本勝ちを収めたのだった。

カイナンは初戦では足関節師ベームの、準決勝ではダナハー門下に加わったボドニの足狙いを完全にシャットアウト。どころか足関節の攻防でも優位に立って勝ち上がった。にもかかかわず、決勝でスプリッグスの繰り出すシンプルな外ヒールに屈してしまったのだから、勝負とは分からない。

歓喜の表情でマットを走り回ったスプリッグスは、勝利者インタビューのために実況席に向かうと、コナー・マクレガーばりに机に足を乗せてカメラに足の裏を見せながら

「現在の練習は週3回くらいだ。俺は3ヶ月前まで足関節なんか何も知らなかったんだ。でも友人に言われて練習してみたんだよ。そしたらどうだ。ヒールフックで2度極めて、ボーナス2つゲットだ。みんな俺はフィニッシュできないって言っていたよな。でも世界最強の相手をフィニッシュして見せたぜ! つまり、俺が世界最強ってことよ。俺の次の試合を見たいか? だったらマネーを積みな」と見事なアピールを決めた。

足関節に取り組んで3カ月とのことだが、実際にスプリッグスの前回の試合は5月、ヴィクトー・ウゴにヒールフックで敗れたもの。それまではトップキープに徹して判定勝ちを狙う印象が強かっただけに、ハイサムとカイナンは意表を突かれた形になったか。

ニッキー・ライアンやクレイグ・ジョーンズのような足関節技師がトップを取ってパスを決める技術を取り入れる一方で、スプリッグスのようなトップゲーム主体のグラップラーが足関節技を習得する。今後警戒を強めてくる相手に対し、狙われる立場となったスプリッグスはどのような戦いを見せるのか。

片やカイナン。2019年のADCC世界大会で階級下の伏兵ラクラン・ジャイルズのヒールに敗れた屈辱を経て、今年は足関節への完全対応を果たし、向かうところ敵なしかと思われた。が、ここに来て足関節初学者を名乗るスプリッグスのヒールに屈することに。リラックスしすぎ、油断しすぎという批判の声も上がるなか、いかなる復活劇を見せてくれるのか。

選手一人ひとりの進化を追うことで、グラップリングの世界はますます面白くなる。

【ヘビー級リザルト】
優勝:ティム・スプリッグス(米国)
準優勝:カイナン・デュアルチ(ブラジル)
3位:ハイサム・リダ(ガーナ)

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MIKE MMA ONE ONE Championship WNO Championships   オーランド・サンチェス カイナン・デュアルチ カイル・ベーム ティム・スプリッグス テックス・ジョンソン ハイサム・リダ メイソン・ファウラー

【WNO Championships】レポート─07─ハイサム、初戦で足関の餌食に。ヘビー級準々決勝~準決勝

【写真】カイナンの代名詞となりつつあるクローバーリーフ (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

9月25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されたWho’s Number One Championships。ライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメント──は2021年グラップリング界の最大のイベントとなった。
Text by Isamu Horiuchi

レビュー第7回はヘビー級の準決勝までのトーナメント進捗状況をまとめてお伝えしたい。


1回戦、日本のファン及び関係者の期待を集めたハイサム・リダはティム・スプリッグスと対戦。前半、懐の深さを活かしたスタンドの攻防で渡り合ったものの、強固なレスリングベースを持つスプリッグスを倒すのは難しいと見たか、やがて引き込んで下からの戦いを選択した。

長い足を絡めての仕掛けを試みるハイサムだが、相手はディフェンシブ・トップゲームの強さでノーギ・ワールズを制したスプリッグスだ。なかなか崩せないまま時間が過ぎてゆく。

終盤、横回転して50/50を作ってみせたハイサムに対し、これを予期していたかのようにスプリッグスは、50/50を解除すると、なんと左足を抱えて倒れ込みながらの内ヒール。

決してトップを譲らないはずのスプリッグスが、残り1分のところで足関節を仕掛け、ハイサムからタップを奪い準決勝進出を決めた。ハイサムは世界的強豪のスプリッグス相手にテイクダウンもパスも許さず、堂々と渡り合ったが、最後は強化していた足関節の攻防で一本負け。トップキープの権化のように思われていたスプリッグスの見事な極めは、ハイサムが仲間入りを目指すワールドクラスの選手たちも日々進化し続けていることを痛感させるものだった。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

なおスプリッグスと準決勝で対峙したのは、テックス・ジョンソンだ。

ジョンソンは1回戦で、動かざること山のごとしオーランド・サンチェスに三角を仕掛けたところ、高々とリフトして叩きつけられ嬉しくない反則勝ちでセミファイナルをセミファイナル進出の権利をしていた。

そのジョンソンに対して、スプリッグスが得意の上攻めから1度ニースライスパスを決めるなど、ペースを握って3-0で判定勝利し、決勝に進出した。

もう一方のブロックでは、大本命のカイナン・デュアルチが1回戦にてオッズでは対抗と目されていたカイル・ベームといきなりの大勝負を迎える。

序盤、ベーム得意の下からの足関節の仕掛けを、逆に強烈なストレートフットロックで切り返したデュアルチは、その後もトップから試合を優位に進める。そして後半は前回マテウス・ディニズを極めたクローバーリーフからバックも奪ってみせるなど判定3-0で完勝した。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

もう一つの1回戦は、SUGで無敗を誇るオーバータイム・キングことメイソン・ファウラーが代打出場のジャンカルロ・ボドニと対戦。

途中アイポークを受けたにもかかわらず、右目を覆って試合を続行し、得意のトップゲームで試合を支配して判定勝利した。が、その後ファウラーは目の治療のために病院に直行し、この1戦で敗れたボドニが準決勝進出となった。

デュアルチとボドニによる準決勝は、ボドニの下からの仕掛けをデュアルチが盤石の安定感で対処していく展開に。中盤、首を制してハーフで胸を合わせてパスに成功する等終始ペースを握り、終盤にはまたしても必殺のクローバーリーフ狙いでボドニの動きを止めて判定3-0で完勝した。

かくてヘビー級決勝は、大本命、そして手堅い勝利を挙げたデュアルチと、ハイサムを下したスプリッグスの組み合わせとなった。

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