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Interview Special UFC ESPN11 ジム・ミラー ブログ ルーズベルト・ロバーツ 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:6月─その壱─ジム・ミラー✖ルーズベルト・ロバーツ

【写真】ファイターが認めるファイター。これは一番の誉め言葉だろう (C) Zuffa / UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2020年6月の一番、第一弾は20日に行われたUFC ESPN11からジム・ミラー✖ルーズベルト・ロバーツの一戦を、青木の近況説明後に語らおう。


──青木選手、今回は試合の話にいくまでに現状を少し聞かせてください。4月のRoad to ONE02の世羅選手との試合移行、最近は解説やジャッジ、仕掛け人での活躍はありましたが、MMAの活動の方はどのようなものでしょうか。

「格闘技に関しては何か、今は動かないと思っちゃっていますね」

──格闘技に関してはということは、格闘技以外は動いているということですか。

「プロレスなんかは無観客とか、後楽園ホールで500人の集客でも成り立たせることができるじゃないですか。チケットが6000円で500人入ると、300万のチケット収入があり、会場費とか放映料とか考えても回っちゃうんです。

それに僕も無観客とか放映料がないからギャラを下げてくださいっていうのがあっても、全て通していますしね」

──でもMMAはそういうわけにはいかないのではないですか。

「あっ、僕はもうソコも全然OKになっちゃっています」

──それでも一定のラインが存在しませんか、ファイトマネーに関しては。

「う~ん、そこですら抜けてしまっていますけどね」

──自分としては青木選手のファイトマネーに関しては、守って欲しい最低基準は持っていてほしいです。

「もちろん、そこもあるんです。僕がファイトマネーの減額を構わないと思っても、『青木ですら』という風にプロモーター側が持ちかけると、回りに影響が出てしまうじゃないですか。そうなると市場が崩壊してしまいますからね。そこは大事にしないといけない部分でもあります」

──その通りですね。でも、試合はしたいというのが選手であり、プロモーターも現状を乗り切る必要がある。

「いやぁ、難しいですよ。そこは……」

──この話題はまた別の機会に是非ともお聞かせください。

「ハイ、そうですよね……今月の一番をピックしないと、ですね」

──はい、2020年6月度の青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?

「ジム・ミラー✖ルーズベルト・ロバーツです」

──おっ、ジム・ミラーですか。それは青木選手のミラー評が楽しみです。

「実際、この試合がどうこうではなくて……もうレコードがバケモノですよ。UFCに2008年からいて、最初は余り期待されたマッチアップはされていなかった。僕が注目し始めたのは、マーク・ボセックに勝った時かなぁ。ボセックって柔術好きにはたまらない選手で。ボセックに勝つって、相当強いんです。そうしたらチバウに勝って、その次にシャーウス・オリヴェイラにヒザ十字で一本勝ちしたんですよ。

そこからカマル・シャロルスをTKOして。僕がシャロルスと戦う前に、彼を研究するためにミラーの試合をチェックしましたね。それからベンソン・ヘンダーソンに負けて、でもメルヴィン・ギラードに勝って、で、次にネイト・ディアズに負ける

──いやぁ、とんでもない相手と戦い続けていますよ。それは……えげつない。

「でもパット・ヒーリーに負けた時に、少し落ちてきたかなって」

──勝ったヒーリーが、マリファナで引っ掛かりNCになった試合ですね。

「そうです、そうです。パット・ヒーリーも強かったですよねぇ。Strikeforceから来て、出場停止が明けた後も厳しい相手を当てられて切られてしまいましたけど……。

ジム・ミラーはとにかく戦績が凄いですよ。相手も半端ないし」

──ドナルド・セラーニと並ぶUFCで35試合。しかも、セラーニと違い主役ではないですからね。

「セラーニの試合って、メインを張ってファン受けしUFCから気に入られる。それとジム・ミラーがずっとUFCで戦うのは僕のなかでは違っていて。だって、ずっと脇役ですよ。打撃系じゃないのにファイト・オブ・ザ・ナイトを5試合とか獲っているし。

ジョー・ローゾンとジム・ミラーって、だからダブります。なんだろう……、とにかくジム・ミラーは凄いです。UFCでこれだけ長い間戦ってきて、頑丈そうだけど壊れている部分もあるだろうし……ジョー・ローゾンほど壊れていないとはいえ。

3年前とかも、ダスティン・ポイエー戦からダン・フッカー戦まで4連敗して、そのなかにはアンソニー・ペティス戦もある。いや、やっぱりもう凄いって言うしかないですよ。それでも戦い続けることができているのは、コンディションが良いのでしょうね。

それとちゃんとサブミッションを取っている。18試合ぐらいで一本勝ちして……彼は選手がリスペクトする選手。ミュージシャンズ・ミュージシャンってあるじゃないですか、ミュージシャンが認めたミュージシャン。歌や演奏が上手い、売り上げじゃなくて。

そこでいえばジム・ミラーはファイターズ・ファイターです。選手が認める選手ですよ。今では今回の相手のようにコンテンダーシリーズから上がってきた選手と戦い、普通に腕十字で一本勝ちする。ちゃんと取れている」

──常にUFCライト級戦線のワキを固めてきたようなキャリアですね。

「その選手の居場所があるのも、またUFCで。脇役でもスターです。きっと、そこそこのファイトマネーを貰えますよね。これだけ戦い続けていると」

──このルーズベルト戦は、勝利ボーナスも含めて20万8000ドルという資料があります。

「10万ドル&10万ドルかぁ。そこはUFCの凄さであり、回転の速いUFCでここまで残っているジム・ミラーの凄さです。この試合で、また生き残れましたし。それに他のプロモーションだったらチャンピオン級の実力者であることも間違いないですからね」

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Interview UFC UFC ESPN11 ジム・ミラー ブログ

【UFC ESPN11】オクタゴン35試合目を腕十字で勝利、ジム・ミラー「戦っている皆を心の底から尊敬する」

【写真】苦労と遣り甲斐、何事にも代えられないファイトライフを試合後にミラーが振り返った(C)Zuffa/UFC

20日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されたUFC ESPN11「Blaydes vs Volkov」で、ジム・ミラーが150ポンド契約マッチでルーズベルト・ロバーツと戦い、1R2分25秒で腕十字を極め一本勝ちした。

UFCで35試合目、この試合数はドナルド・セラーニと並んで最多記録だ。とはいえファンから絶大の支持を得て、メインイベントを何度も経験しタイトルにも挑んだカウボーイと違い、派手な印象を残すことなくミラーはコツコツと11年8カ月もの間UFCで戦い続きけていた。

7連勝したこともある。4連敗も経験した。髄膜炎や関節炎、角膜炎を呼び起こすライム病を患い、原因不明の自殺リスクを持つ病気と戦いながら、オクタゴンで戦い続けてきたミラー。MMAを愛する気持ちが、見事な腕十字という形に表れた試合後の会見でのコメントを掲載したい。


ジム・ミラー
「自分が人生を賭けてきたこと、本当に好きなことをやってきた。そういう風に振舞ってきたからこそ、色々な重荷、重圧を感じていたから……本当、よくやれたよ。そこに尽きる。ベルトを腰に巻こうかという人間が、コーチと共に対戦相手として、僕のことを認めてくれて立ち塞ぐ。本当に素晴らしいよ……これは何モノにも代えがたい。

ルーズベルトのような将来性のあるファイターと戦う責任が僕にはあると思ってきた。僕は完璧じゃないし……、何一つ完璧こなせない。でも、オクタゴンに一緒に足を踏み入れる相手のことを心の底から尊敬している。これまで戦ってきて、もう2020年になった……、本当にそう思うよ。自分を磨いてきた者同士、少し僕と違う磨き方をしてきただろうけど、必死に磨いてきたことに変わりない相手とオクタゴンをシェアするんだ。

僕はここ数年間、ライム病を患いながらタイトル戦に進むような相手、元チャンピオンと戦ってきた。僕と皆の違いは、タフさには関係ないとことだから。僕はMMAを愛している。ファンが恋しい。ファンがいないなんてたまらないよ。

オクタゴンのなかで相手をぶちのめし、自分の居場所を得る。誰かが与えてくれるモノじゃない。その場に立って、自分で戦って手にするしかない。簡単じゃないよ。楽な生き方じゃない。そうやって戦っている皆を心の底から尊敬している」

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UFC ESPN11 UFC Result ジム・ミラー ジョシュ・エメット ブログ ロクサン・モダフェリ ローレン・マーフィー

【UFC ESPN11】試合結果 半端ない打撃戦でエメットがバーゴスに殴り勝つ。ロクサンはマーフィーに敗れる

【写真】ガチガチの殴り合いを制したエメット(C)Zuffa/UFC

20日(土・現地時間)、UFC ESPN11がネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催された。

第2試合に出場したロクサン・モダフェリは2Rにパンチを被弾し足が泳ぐシーンが見られ、3Rの勝負を掛けた打撃戦の最中にテイクダウンを許すなど取り切れず──ローレン・マーフィーに敗れた。

ファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得したジョシュ・エメット✖ショーン・バーゴスは殴っても殴っても、効いた風でないバーゴスのローにエメットは苦しむ序盤だとなった。それでも勝負を投げずにやるべきことをやり抜くと、3Rに左でダウンを奪い勝ち切った。

UFC35戦目、ドナルド・セラーニと並び最多出場となったジム・ミラーは、腕十字で一本勝ちしパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトも獲得している。

ファイト・オブ・ザ・ナイト=ジョシュ・エメット✖シェーン・バーゴス
パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト=ジム・ミラージャスティン・ジェインズ

UFC ESPN11「Blaydes vs Volkov」
<ヘビー級/5分5R>
○カーティス・ブレイズ(米国)5R
判定
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×アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
○ジョシュ・エメット(米国)3R
判定
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×シェーン・バーゴス(米国)
<女子バンタム級/5分3R>
○ラケル・ペニントン(米国)3R
判定
×マリオン・ルノー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
○ベラル・モハメッド(米国)3R
判定
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×ライモン・グッド(米国)
<160ポンド契約/5分3R>
○ジム・ミラー(米国)1R2分25秒
腕十字
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×ルーズベルト・ロバーツ(米国)
<ライト級/5分3R>
○ボビー・グリーン(米国)3R
判定
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×クレイ・グィダ(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
○ティーシャ・トーレス(米国)3R
判定
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×ブレアナ・ヴァンビューレン(米国)
<ミドル級/5分3R>
○マフクアンドレ・バリユー(カナダ)2R4分50秒
TKO
×オスカル・ピホタ(ポーランド)
<女子フライ級/5分3R>
○ジリアン・ロバートソン(カナダ)3R4分32秒
RNC
×コートニー・ケイシー(米国)
<158ポンド/5分3R>
○ジャスティン・ジェインズ(米国)1R0分41秒
KO
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×フランク・カマチョ(グアム)
<女子フライ級/5分3R>
○ローレン・マーフィー(米国)3R
判定
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×ロクサン・モダフェリ(米国)
<ライト級/5分3R>
○オースチン・ハバート(米国)2R5分00秒
TKO
×マックス・ロスコフ(米国)
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Report UFC UFC ESPN11 アレキサンダー・ヴォルコフ カーティス・ブレイズ ブログ

【UFC ESPN11】調整が難しかったか、終始優勢のブレイズがスタミナ切れ……もヴォルコフから3-0の勝利

<ヘビー級/5分5R>
カーティス・ブレイズ(米国)
Def.3-0:49-26.48-47.48-47
アレキサンダー・ヴォルコフ(ロシア)

左ジャブを放ったブレイズが、すぐにシングルレッグを仕掛けテイクダウンを奪う。背中を譲って立ち上がったヴォルコフは、もう一度前方に崩されヒザをマットにつく。ヴォルコフは一度スタンドに戻ったが、自ら方ヒザをついて我慢の時間を過ごす。後方からヒザを臀部に、さら左のパンチを連打したブレイク。今度は後方にテイクダウンし、バックコントロールを続ける。防御に徹し、時間が過ぎるのを待つヴォルコフは、両ヒザをつき亀になる。ここから片ヒザに戻し、キムラクラッチに取ったヴォルコフだが、逆の方の手で殴られると立ち上がる。ブレイズは後方に引きずるようにバックを取り続け、初回が終わった。

2R、組みを凌いだヴォルコフは「同じことをやってくるから、距離を取れ」という指示を受ける。ワンツーを続け、打たれるとロー、そして組みの気配を見せたブレイズが右をヒットする。構え変えてローを蹴ったブレイズは、オーソに戻し左ジャブ、右ストレートを決めてダブルレッグへ。MMAとして、完璧な攻めを見せたブレイズは、ヴォルコフのウィザーにも背中越しに右手を掴み、ボディロックテイクダウンに成功する。

ヴォルコフはクローズドガードで凌ぎ、初回とは違う形で防御に徹している。残り1分となり、上体を起こしてエルボーを落とすようになったブレイズが、ヴォルコフを流血に追い込む。残り20秒でスタンドに戻ったブレイズは、ローをこそ受けたが組んで、小外でテイクダウンと、この回も完全に支配した。

3R、後ろ足を下げた構えで、蹴り狙いと思いきやスタンスを戻したヴォルコフは、ブレイズのパンチからケージに押し込まれる。ブレイズが離れると、左の蹴りを見せたヴォルコフに対し、すぐにブレイズが組んでいく。ヒザを入れたヴォルコフだったが、右からのダブルで座らされる。頭を刈ろうとするが、首から胸にかけて頭を押し付けられたヴォルコフは立てない。ブレイズは足を束ねていたが、スッと立ち上がるやボディにヒザを入れてバックに回る。

ヴォルコフは右を差してここは耐えたが、ギロチンを狙いは失敗。残り15秒で試合はスタンドに戻り、組みに行ったブレイズを切ったヴォルコフがヒザを入れところでラウンドが終わった。

4R、2発目の右前蹴りをキャッチしたブレイズがバックに回る。立ち上がっても胸を合わせられず、ヒザをつくヴォルコフはクラッチを剥がして離れる。直後の右ストレートにブレイズがシングルレッグへ。ヴォルコフが切り打撃の間合いも、逆にジャブを被弾して即テイクダウンを決められる。クローズド&両腕を抱え込むヴォルコフは打つ手がない。残り50秒でレフェリーがブレイクを命じる。スタンドに戻ったブレイズは、テイクダウン狙いを切られヒザをボディにもらう。と、ここでヴォルコフは逆にテイクダウンを決めてパウンドを側頭部と顔面に纏め、最終回に希望を残した。

5R、かなり消耗しているブレイズは、テイクダウンしてコントロールのタイミングだけをはかることが予想されるなか、ヴォルコフは左ジャブから右を打っていく。ジャブを受け、回るブレイズはテイクダウン狙いを切られて蹴りをもらう。必死に組みついて、小外を決めたブレイズ。ヴォルコフはここは粘りたかった。しかも、すぐに立ち上がることなくヴォルコフはしゃがんで時間を使われてしまう。立ち上がった直後に組んだブレイズ、逆にケージに押し込まれる。ヴォルコフが離れると、即組んでいくブレイズはヒザをついて、ケージに押していく。切ってパンチを入れたヴォルコフは、スクランブルに持ち込み離れたが即アウトサイドトリップで倒される。

しかもクローズドガードを選んだヴォルコフ──まるで20年前のMMAを見ているような一戦は、このままタイムアップに。ブレイズはコロナ&ロックダウンの影響か、コンディションが整っていなかったが、テイクダウンで3-0の判定勝ちを決めた。


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Report UFC UFC ESPN11 シェーン・バーゴス ジョシュ・エメット ブログ

【UFC ESPN11】異様にタフなバーゴスだったが、Pは取れず──最終回も打ち勝ったエメットが激闘制す

<フェザー級/5分3R>
ジョシュ・エメット(米国)
Def.3-0:29-28.29-28.29-27
シェーン・バーゴス(米国)

フェザー級とは思えない体格を誇るバーゴスが前蹴りからヒザ蹴りを見せる。エメットは右を伸ばし、ワンツーを打っていく。エメットのパンチを受けても下がらないバーゴスは、右ローを蹴る。ジャブの交換があり、ローを蹴り合うとエメットが右、続いて左を入れる。ミドルを返すバーゴスが、ロングレンジの右アッパー、エメットがジャブを打ち返す。右を打たれたバーゴスが、ここも前に出てヒザを繰り出す。

ローで体が流れるようになったエメットは、右アウトサイドだけでなく、左インサイドローを蹴られる。ローからパンチにつなげるようになったバーゴスが、左ボディで抉る。エメットもジャブ、右を当てるが、バーゴスが構わずローやフックを返していく。殴られてローを返すバーゴスが、右を受けた直後に左フックを打ち返し、エメットが間合を取り直しシングルレッグへ。ダブルに移行してケージにバーゴスを詰めたエメットが右をヒット。それでもバーゴスが蹴りを返すなど打たれ強さを見せ続けた。

2R、左前蹴りから左ジャブを2つ入れたバーゴス、ローを嫌がるエメットは右を打たれて左右のパンチをヒットさせる。ここで下がったバーゴスだが、恐ろしいことにダメージがあるように見えない。左ジャブを打ち合い、その証拠に右の空振りに続き左フックを入れたバーゴスが、左ローでエメットのバランスを崩させる。エメットは右をクリーンヒットし、バーゴスがマウスピースを吐き出す。再開後、ボディから左を受けたバーゴスが右を返す。エメットの左がバーゴスのアゴを捕えるも、バーゴスは思い切り右ボディフックから左ジャブを逆に入れる。左ローを蹴り、右を2つ入れたエメット──これだけパンチを当てて、前に出てこられた経験はないだろう。

こうなるとファイターは、得てしてどうすれば良いか分からなくなるが、エメットも手数が減ってくる。そこにジャブから右ストレートを入れたバーゴスは、右を被弾してもローを蹴る。両手を広げ、左ハイを見せたバーゴス。戦いとして、エメットが圧される内容ではないが、明らかに追い込まれたエメットだ。

最終回、左右のパンチを果敢に打ち、一旦下がったエメットが、前に出てくるバーゴスに左を打ちこみダウンを奪う。クローズドガードのバーゴスは、オープンから背中を向けて立ち上がる。と、左にローを合わされ……これが急所に入ったエメットがヒザをついて座り込む。再開後、パンチの回転数を上げるバーゴスに対し、エメットも右を打ち返す。打ち気にはやるようになったバーゴスが、またも左を被弾して腰から崩れる。ガードの中からパンチ、エルボーを落とすエメットは、蹴り上げからスタンドに戻ったバーゴスに右から左を纏める。

バーゴスが左ジャブ、右ストレートを伸ばし、再び落ち着きを取り戻すと右アッパーをヒットする。回って間合を取り直したエメットは、右をヒット。ここでもバーゴスの動きが止まるが、エメットは打ち急ぐことない。しっかりとバーゴスの動きを見て、打ち合ったエメットは、最終回をビッグラウンドとした。

初回と2Rを10-9でバーゴスが取っていれば28-28もありえるが、ヒット数で評価薄と2Rもエメットが取った可能性がある。果たして──ジャッジの裁定は、3-0でエメットが勝利した。


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Report UFC UFC ESPN11 ブログ ベラル・モハメッド ライモン・グッド

【UFC ESPN11】タフファイト、最終回にダウンを奪われたベラル・モハメッドがライモン・グッドに判定勝ち

<ウェルター級/5分3R>
ベラル・モハメッド(米国)
Def.3-0:29-28.29-28.29-28
ライモン・グッド(米国)

ジャブを見せあってから、ローを蹴ったモハメッド。パンチを振って前に出たグッドが、組んでいく。離れたモハメッドはハイを放つも、グッドがキャッチ。足を抜いて離れたモハメッドは左を2発繰り出す。ジャブを当てたグッド、モハメッドが右アッパーを返し、左ジャブをヒットさせる。モハメッドはウスポーから左ミドルを入れ、オーソに戻して右ロー、続いて左ハイを蹴る。グッドも左ハイを繰り出すが、モハメッドの動きに合わせられている感じか。

左右に回り、構えを変えるモハメッドはフェイントを多用し、グッドに攻撃の的を絞らせない。それでも思い切り右を伸ばし、左フックを当てたグッド。モハメッドが最後に左を当てた探り合いのラウンドとなった。

2R、初回のような打撃戦からテイクダウンに転じたモハメッドが、グッドに尻もちをつかせる。すぐに立ち上がったグッド、パンチの交換のなかでアイポークがあったとモハメッドがブレイクを要求する。再開後、右ハイから右フックを振るったグッドがジャブを2つ当てて前へ。モハメッドもワンツーを返し、さらに左をヒットさせる。続いて右アッパーを受けにそうになったグッドだが、ひるまずショートのワンツー。モハメッドもワンツーの右ストレートを当てて右に回る。モハメッドはケージに詰まってバランスを崩しそうになるが、ここでビックヒットはなくテイクダウンを仕掛ける。切ったグッドがケージを蹴ってスーパーマンパンチ、互いに決め手となる一発がないまま試合は最終回を迎えた。

3R、モハメッドがミドルを蹴る。左ジャブを当てるグッド、モハメッドは右目じりをカットに流血が多くなる。と、グッドの右フックを被弾したモハメッドの態勢が崩れ、左フックを被弾して倒れる。立ち上がったモハメッドのシングルを切ったグッドは、左から右フックを近距離で決める。動きが落ちたモハメッドは、ヒザをボディに受けながらアッパーを返す。

グッドは左ジャブを当て、左を避ける。右フック、ボディを被弾したモハメッドは厳しい時間に。それでもヒザを入れたモハメッドがダブルレッグでテイクダウンに成功する。立ち上がり際にバックに回ったモハメッドだが、グッドが胸を合わせる。離れたモハメッドは左フック、左ミドルから再びダブルレッグへ。背中に回って両足をフックしたモハメッドのRNC狙いを30秒間防いだグッド、タイムアップを迎えモハメッドは大きく両手を挙げた。

最後の攻勢が効いたか、序盤の2Rを取っていたか──モハメッドが29-28✖3で判定勝ちした。


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Report UFC UFC ESPN11 ジム・ミラー ブログ ルーズベルト・ロバーツ

【UFC ESPN11】「タップ」、「タップ」、「タップ」。ロバーツがミラーの腕十字で断末魔の一本負け

<150ポンド契約/5分3R>
ジム・ミラー(米国)
Def.1R2分25秒by 腕十字
ルーズベルト・ロバーツ(米国

ノーコンテストを含めると、実にUFCで36戦目となるミラー。ロバーツが前蹴りを蹴った後でバランスを崩すと、飛び込むようにトップを取ったミラーは下からの仕掛けを捌いてハーフへ。ロバーツのブリッジにバックを狙ったミラーは、落とされそうになり腕十字へ。ミラーはここで、右足でロバーツの顔を刈る。ロバーツは立ち上がると同時に左ヒジが逆側に曲がる。右腕が伸びた左腕の下で制されていたためタップできないロバーツは、タップを連呼し試合は決した。

「僕はどこでも戦う。でもファンがいてくれてこそ、良い試合ができる。涙がでそうになるくらい、ファンの皆が恋しいよ」とミラーは話した。


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Report UFC UFC ESPN11 クレイ・グィダ ブログ ボビー・グリーン

【UFC ESPN11】突進力低下、押し込み続けることができずグィダがグリーンに判定負け

<ライト級/5分3R>
ボビー・グリーン(米国)
Def.30-27.30-27.29-28
クレイ・グィダ(米国)

55戦目のグィダ、46戦目のグリーン。長髪を結ったグィダは、左右のフックから組みつきシングルレッグ、ハイクロッチで大きく持ち上げてテイクダンする。スクランブルでバックに回ったグイダは、グリーンが胸を合わせると即ダブルレッグへ。グリーンのギロチンに自ら背中をマットにつけて防御し、立ち上がり際にヒザを受けたグイダは離れて右を振るっていく。

グリーンは右ジャブを伸ばし、グィダのステップインからの右に右を合わせていく。さらに左ジャブを当て、右につなげるグリーンが関節蹴り、さらに左アッパーを打っていく。グィダは飛び込んでここもハイクロッチでリフト&レイクダウンを決める。スクランブルでシングルに出たグィダ、グリーンはキムラでテイクダウンを防ぐ。執拗にケージに押し込んだグィダが、エルボーを頭に受けながら最後に尻もちをつかせた。

2R、グィダの前進にパンチやヒザを合わせようとするグリーンは、組みを防いで右ボディから右前蹴り。この前蹴りがアゴをかすめたグィダは、パンチからテイクダウン狙いを潰され、ダブルレッグから首相撲に移行したグリーンのヒザを受ける。一旦離れたグリーンは再び首相撲からヒザを連続で繰り出す。攻めてなお口が開き気味のグリーンは、テイクダウン狙いを徹底して切り、ヒザを蹴り込む。さらに左ジャブから右を見せたグリーンが、テイクダウン狙いをギロチンに切り返す。

体を捻って頭を抜いたグィダは間合いを掴めず、手数が増えない。グィダは右ハイも空振りした、最後に組んでバックに回るとグラウンドへ。すぐに時間が来た。

最終回、インターバルでゲップの音を無観客の会場に響き渡らせたグィダはジャブ、関節蹴りにも右ストレートを伸ばす。ローから右、直後に組みついたグィダはダブルレッグで、テイクダウンを決める。キムラで切り返したグリーンは、スクランブルでスタンドへ。打撃で打開できないグイダは残り半分で、組んでシングルレッグ、グリーンはスイッチ、コブラでリバーサルを狙う。グィダはこれを許さず、ケージに押し込み組み続ける。残り30秒で離れた両者、グィダは飛び込んでダブルレッグも、潰されパンチを打たれながらタイムアップを迎え、グリーンが判定勝ちを決めた。


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Report UFC UFC ESPN11 ティーシャ・トーレス ブレアナ・ヴァンビューレン ブログ

【UFC ESPN11】スイッチしての上下・左右の蹴りに対応できず、ヴァンビューレンがトーレスに下る

<女子ストロー級/5分3R>
ティーシャ・トーレス(米国)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
ブレアナ・ヴァンビューレン(米国)

Invicta FCフェニックスシリーズ優勝からUFCにステップアップを果たし、既にヘナタ・ソウザに勝利しているヴァンビューレンが、4連敗中のトーレスと対戦。トーレスがまず右ミドル2発、そして右ハイを繰り出す。続く右ローをキャッチしたヴァンビューレンが組んでケージにトーレスを詰めていく。ボディロックでテイクダウンを狙うヴァンビューレンが、小外でトーレスを倒す。すぐに立ち上がったトーレスに対し、ヴァンビューレンがしっかりとケージに押し込み、アウトサイドトリップを仕掛ける。両差しから一本差し返したトーレスは、スピニングバックフィストを放って離れたヴァンビューレンに右ハイを蹴っていく。

ヴァンビューレンがパンチを見せて組みにいくが、トーレスが逆にケージに押し込む。押し返して離れたヴァンビューレンは右ハイに続く、右ストレートを被弾しクリンチへ。ここもトーレスが逆にケージに押し込み、アッパーを入れながら離れる。トーレスはパンチを見せて組みつくが、腰に乗せられ首投げを食らったところで初回が終わった。

2R、飛び込んでスイッチ、右ミドルを蹴ったトーレスは、右ハイに続く右のパンチを当て、カカト落としを繰り出す。蹴りからのパンチを被弾するヴァンビューレンは、右ハイも受けそうになり、重心が上がる。パンチを見せて前に出たトーレスは、クリンチになるとケージに押し込むことが多くなる。ヴァンビューレンがケージの反対側まで押し返し、金網にトーレスを詰めるもテイクダウンはできない。

トーレスは蹴り足を前に下ろし、スイッチを交え左右両方の蹴りでヴァンビューレンを翻弄していく。ヴァンビューレンは蹴り足を掴んでパンチを振るうが、直後にワンツーを被弾。組んでヒザを返したヴァンビューレンは右も受け、終盤もトーレスが蹴りとパンチを交え攻勢のまま2Rを終えた。

最終回、トーレスの蹴り終わりに右を入れたヴァンビューレン。続いてローをキャッチするも追撃はない。トーレスは右ミドルを返し、スイッチしてサイドキック。ヴァンビューレンが前に出て右を伸ばすも、トーレスが右を逆に当てる。スピニングバックフィストから右ミドル、右前蹴り、右ハイを連続で繰り出すトーレス。さらにスピニングバックキックに続き、右ミドルを蹴り込むと、ヴァンビューレンは組んでシングルレッグへ。ケージを背にし、頭を押して耐えるトーレスがエルボーを側頭部に入れる。

ダブルレッグをスプロールし防いだトーレスは払い腰へ。ヴァンビューレンが立ち上がりながらダブルレッグに出るが、ヒザつかされ倒すことができない。残り80秒で距離を取り直したトーレスが、ワンツーから右ハイ。動きが落ちたヴァンビューレンは、組み勝てずケージに押し込まれる。ワンツーは入れたトーレスは、右ミドルから組みついてタイムアップを迎え──フルマークの判定勝ちを手にした。


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Report UFC UFC ESPN11 ジャスティン・ジェインズ フランク・カマチョ ブログ

【UFC ESPN11】左フックを2発でダウンを奪い、ラッシュを掛けたジェインズがカマチョを41秒で倒す

<158ポンド/5分3R>
ジャスティン・ジェインズ(米国)
Def.1R0分41秒by TKO
フランク・カマチョ(グアム)

急遽出場でUFC初陣のジェインズと、計量失敗のカマチョ。左ジャブから右オーバーハンドを放つジェインズのステップインしながらパンチをフックで迎え撃つカマチョは、ショートのアッパーを返していく。勢いを緩めず、右を見せてから左リードフックを2つ入れてダウンを奪ったジェインズは、立ち上がりながら下がったカマチョにパンチを纏める。ケージに詰まったカマチョは打ち返そうとして、がら空きになった顔面に連打を受けて体が傾き──レフェリーが試合を止めた。