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カテゴリー: RIZIN
【写真】PRIDEへの憧れが、強い選手が海外からやっていること──という柴田(C)MMAPLANET
23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09で、柴田MONKEY有哉が山本アーセンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
2019年、神龍誠とDEEPフライ級王座を争う試合前、柴田は「負けたら終わり」と発言していた。それは引退という意味ではなく、「今のやり方じゃダメなんやな」ということだったと過去のインタビューで発言している。そして環境の変化と怪我もありつつ、柴田は2022年12月に杉山廣平に勝利して以来の試合を、初出場となるRIZINで迎えることとなった。なぜ柴田はMMAを続けるのか。そこにMMAがあるから――だけではない。そこに、MMAを始めた頃から叶えたかった夢があるから。
――柴田選手にとっては1年3カ月振りの試合となります。コロナ禍もありましたが、ここ数年は試合のペースも以前と比べて落ちているのではないでしょうか。
「そうですね。今はそれほど試合をしたいわけでもなくて」
――というと?
「昔は自分が上に行くことしか考えていなかったから、怪我がない限りオファーは断らない。とにかく試合をして勝ち、できるだけ早く上に行きたいという感じでした。でも今は試合が終わったら1回オフに切り替えないと、気持ちの面が続かなくなってはきています。年齢的なこともあるでしょうし、ジムの運営もあるので、少し間隔を空けたほうが試合に対する気持ちをつくりやすいんですよ。
だからそんなに試合を詰めなくても良い。間隔を空けられるなら年2回でも良いかな、と思っていますね」
――結果、今回のRIZIN神戸大会出場は、柴田選手にとってはタイミングが良かったのですか。
「あくまで結果として、タイミングは良かったのかなと思います。というのも去年、子供が生まれたんですよ」
――おぉ、それはおめでとうございます。
「ありがとうございます。杉山選手との試合後、会場でプロモーターさんには『子供が生まれるので、しばらく試合はできないです』と伝えていました。嫁さんのサポートをしたかったので。その時点で休むのが1年か2年かは決まっていなかったけど、『そろそろ試合ができるかな……』と考えていた時にオファーが来たんです」
――それがRIZINからのオファーだったのですか。
「いえ、まずDEEPのオファーがありました。でも僕が気持ちをつくることができる相手ではなかったというか。いつも自分は『僕が負けると思われる相手と試合をさせてほしい』とお願いしているんですよ」
――しかし対戦オファーがあった相手は、そうではなかった。確かに柴田選手は2011年のプロデビューで、もう誰が相手でも戦うというキャリアやポジションでないとは思います。同時に普段DEEPで視ている選手であれば、どういった試合になるかも予想がつくかもしれません。勝ち負けはともかく。
「そうですね。普段から『自分と戦ったら、どんな試合展開になるか』と考えながら試合を視ているわけで。もちろん試合はやってみないと分からないです。自分も今まで、どれだけ勝つと意気込んでいても負けたことはありますし。
そんな時にRIZIN神戸大会があると聞いて、佐伯(繁DEEP代表)さんに『RIZINに出たい』という希望を伝えました。そうしたらタイミング良く、山本アーセン君との試合が決まって」
――柴田選手は対戦カード発表の記者会見で、PRIDEへの憧れを口にしていました。現在であれば柴田選手にとって、それだけRIZINで試合をすることの価値は高かったということですか。
「まず今年は意味のある試合をしたいと考えていました。RIZINに出ると注目度は一気に上がるじゃないですか。それとDEEPでは組まれないような相手とも試合ができる。そう考えた時に、RIZINに出ることは自分にとってはプラスしかない――と。周りの人も……簡単に言えば、RIZINに出ることが発表されてから、知り合いが増えました(笑)」
――知り合い、ですか。それは会ったことのない親戚が増えたのではなく(笑)。
「アハハハ。有名になると、よくあるやつですね。そこまでではないけど、『あれ? 誰やったかなぁ……』みたいなことは増えて」
――特に山本アーセン選手が相手となれば、より注目度は高まるでしょう。
「そうですね。オイシイ相手やなぁって思います。これは決して、相手のことをナメているわけじゃなくて。プロモーター側からすれば『柴田って、どれだけやれるんや』って測るために良いカードだったんでしょうね。別にアーセン君のほうが注目されているからって、それは気にしていないです。
僕はアーセン君のことを尊敬しているんですよ。レスリングで世界を獲っているじゃないですか。彼が世界カデット選手権で優勝した時のことをドキュメンタリーで視て、『凄いな!』と思いました。そのレスリングで世界を獲った選手と自分が戦ったら、どんな試合になるんやろう? 単純にワクワクしています。RIZINならではのカードで」
――ファイターとしても、ジム経営者としても認知度を高めていく必要はあると思います。柴田選手の中では、いつ現役生活を終わりにするのか決めているのですか。
「何年後かって決めているわけではないけど、もう長く続けられないとは思います。年齢や怪我のことだけじゃなく、ジムの若い選手をサポートしたい。ウチのジムで強くなりたいと言ってくれている若い選手のために、もっともっと良い環境をつくらなアカンと考えています」
――なるほど。ではMMAファイターとしてのアーセン選手の印象を教えてください。
「パンチが強くなっているのと、真っ直ぐな気持ちが試合に出るファイターですよね。RIZINファンの方や、世間の味方としてはアーセン君が勝つと思っているかもしれない。でも僕は、もちろん自分が勝つと思っています」
――ご自身のキャリアの中で、今回の試合はどのような位置づけになると思いますか。
「今の最終的な目標は、RIZINで強い外国人選手と戦うことです。僕の夢は、PRIDEに出ることでした。最初にPRIDEを視たのは、ヒョードル×ミノタウロの2戦目で。あの試合を視て『自分もコレをやりたい』と思ったんですよ」
――強い外国人選手というと……。
「海外のベルトを持っている選手や、元UFCファイターとかになりますね。特にUFCで勝っている選手なら、誰もが強いと思ってくれると思うので。以前、海外でUFCやONEに出ているファイターと練習したことがあるんですよ。僕としては、その選手たちが練習している環境があれば、UFCファイターとも戦えるなって感じました。今は自分自身で、そういう練習環境をつくっているつもりです」
――柴田選手がデビューした2011年には、すでにPRIDEは活動を休止していました。以降は日本の格闘技界も厳しい時代が続いていました。
「確かにファイターとして目指す場所は、なくなっていたかもしれないです。でもそれ以上に、PRIDEに出ていたファイターのように強くなりたいという気持ちが一番で。プロデビューして、勝って、ベルトを巻きたい――デビューした頃ならUFCが一番だったかもしれないですよ。でも何か違うな、って」
――UFCの何が違ったのでしょうか。
「もちろん一番の舞台やけど、別に海外で試合したいと思っていたわけじゃないんです。当時はUFCもフライ級がなかったですし。当時は何回か、PRIDEが復活するという噂もあったじゃないですか。自分の中では『PRIDEが復活して軽量級もやってくれるなら、出られるようにしておこう』と考えていました」
――柴田選手にとっては、かつてのPRIDEが今のRIZINということなのですか。
「正直、今のRIZINも当時のPRIDEと同じようには考えていないです。それが一昨年の大晦日にRIZINとベラトールの対抗戦があったじゃないですか。僕はPPVで視ていて、PRIDEのテーマが使われているし、対世界や団体対抗戦の雰囲気を感じました。自分の中に『ここでやりたい。ここで海外の強い選手と戦いたい』という気持ちが沸き上がってきて。
あの時は、PRIDEのテーマを聴いただけで鳥肌が立ちました。今回アーセン君に勝ったら、『海外から強い選手を呼んでください!』と言ってもエエんちゃうかな、と思っています。次の試合は自分の夢を叶えるために――僕が発言権を得るための戦いです」
■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
【写真】方々で言わるのだろうが、「もう26歳」。取りこぼせない(C)TAKUMI NAKAMURA
23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09 in KOBEで井上直樹が、佐藤将光と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
昨年10月に太田忍との対戦を予定していたが井上だが、右顎下腺唾石症によるドクターストップで欠場。井上の代打としてRIZINに初参戦し、太田から勝利を収めたのが今回対戦する佐藤だった。
大晦日に朝倉海が新王者となったRIZINバンタム級の今後を占う一戦、そしてMMAとしてハイレベルな技術戦・駆け引きがみられるであろう戦い。井上自身も「佐藤選手がどんな感じで来るのか楽しみ。あっちがこう来たらこっちはこうしようとか、それを考えるのも面白い」と語った。
──まず昨年10月RIZIN LANDMARK 6 in NAGOYAの太田忍戦を欠場した理由=右顎下腺唾石症(みぎがくかせんだせきしょう)ですが、これは具体的にどういう状況だったのですか。
「喉のところに顎下腺というものがあって、そこから唾液が出てくるんですね。で、その顎下腺から唾液の通り道がカルシウムでできた唾石で詰まって、それで唾液が通らなくなってしまうんです。そうなると唾液が顎下腺に溜まって、ドンドン顎下腺が腫れ上がって食事が出来なくなるんです」
――それは米国で練習しているときに発症したのですか。
「もともとは高校生の頃から似たようなことがあって、当時は特に何も気にしていなくて、すぐに腫れも引くから、まあ大丈夫だなと思っていたんですよ。そうしたら米国で練習している時にまた発症して、痛みそのものもひどかったですし、我慢できないほど悪化していたので手術することを決断しました」
――予兆があったとは言え、はじめは何が起きているか分からないですよね。
「練習中はギリギリ大丈夫だったんですよ。でも食事しようとすると唾液が出て、顎下腺が腫れて激痛が走るんです。まともに食事ができなかったので、手術しなければどうにもならない状況でした」
――手術後はすぐに練習を再開できたのですか。
「ちょうど名古屋大会の日に手術をして、手術の傷が塞がれば動いていいと言われていたので、11月に入ってから練習は再開しました。間に合えば大晦日に復帰できたらいいなとは思っていたのですが、11月に練習を再開して1カ月ちょっとの練習時間で臨めるかと言われたら準備期間が短かったですし、急いで練習して怪我してしまったら、また時間を台無しにしてしまう。それだったらじっくり時間をかけて年明けの大会で復帰しようと思いました」
――今回は米国に行かず、日本で調整を続けていますが、そう選択した理由も聞かせてもらえますか。
「試合前に米国に行くと何かアクシデントが起こるんですよ(苦笑)。試合がない時期に練習に行くのはいいと思うのですが、試合のために行くとなると、切羽詰まるじゃないですけど、やらなきゃやらなきゃ…って気持ちが強くなる一方、日本にいる時ほど体のケアやコンディショニングが上手くできない。そう考えると試合のための練習と調整は日本でやって、試合がないときの練習を米国でやるというのが一番いいんじゃないかと思っています」
――試合で勝つことがゴールなので、そこのバランスは重要ですね。
「実際に試合は日本でやるわけじゃないですか。米国で練習していると時差ボケもありますし、慣れ親しんだ日本のチームで試合を迎えるのが一番だと思います」
──太田戦の前は米国でどのような練習をしていたのですか。
「ちょうどキルクリフFCに練習の拠点を移して、練習相手になる選手がたくさんいるというのが大きかったですね。セラ・ロンゴ・ファイトチームもアルジャメイン(・スターリング)やマラブ(・デヴァリシビリ)がいて、いい練習はできていたんですけど、彼らはちょいちょいベガスに行っていて、常にジムにいるわけじゃなかったんですよ。そうなった時にジムに練習相手になる選手が少なくて。それもあって強い選手が常駐しているジムで練習したいと思って、キルクリフFCを選びました」
──そこで今回は日本での練習ということで、どのようなことを意識して調整を続けていますか。
「米国でやったことをもちろん意識して、日本ではコーチと綿密に連携できるんで、コーチとこうしよう・ああしようという話し合いをしながら、融通も利くというか、自分の思い通りにできています」
──日本でのコーチ役は誰になるのですか。
「SONIC SQUADの安田(けん)さんが一番見てくれていて、そこに水垣(偉弥)さんと永末(“ニック”貴之)さんがいてって感じですね」
──安田さんや水垣さんとは練習を通じて意見交換しているようなイメージですか。
「そうですね。それだけに限らず、水垣さんはUFCの解説もやっているので『この試合のこれとかいいんじゃない?』というのを教えてくれて、ドンドン技術がアップデートされている感じはしますね」
──僕もMMAPLANETで水垣さんの月一連載を担当していますが、知識も豊富で言語化もうまいですよね。
「はい。ただ昔よりはだいぶ動けなくなっていて『スパーリングはやりたくない!』と言っているので、今は頭を動かす方にシフトしているのだと思います(笑)」
──頭脳派にならざるをえないと(笑)。さて対戦相手の佐藤選手の印象は?
「結構ベテランですよね。修斗でもONEでもタイトルマッチやるぐらいの実力があって。海外の選手に勝ってきたし、日本に帰ってきても太田選手を完封できるぐらいの選手なんで、ベテランで試合も上手い印象があります」
──佐藤選手はパンクラス・修斗・ONE、井上選手はDEEP・UFC・RIZINで戦っていたので、同じ階級でありながら佐藤選手がRIZINに参戦するまで接点がなかった選手ですね。
「そうですね。僕がRIZINに出るようになって、ONEの試合を見て『こんな選手がいるんだな』と思うようになって。戦績をさかのぼると強い選手にしっかり勝っているので、実力がある選手だと思って見ていました」
──佐藤選手はMMA IQが高く、試合をトータル的にコントロールして勝つタイプだと思うのですが、あのファイトスタイルをどう見ていますか。
「その通り、すごくスマートな戦い方をしているなと思います」
──ちなみに佐藤選手に取材したとき「井上選手は穴がない。必死に穴を探している」と言っていたのですが。
「実際はすぐ穴を見つけていて、インタビュー用にそう言っているだけなんじゃないですか(笑)」
――そこも含めて佐藤選手のスマートな作戦だと(笑)。
「でも本当に技術のある選手なんで、探り合いじゃないですけど心理戦みたいな試合になるんじゃないですかね、佐藤選手は全局面できるんで、その分、どこで攻めるか、どこで守るか。そういう展開が主体になっていくと思います」
――お互いどのようなカードを切って行くのか。個人的にもそこは楽しみにしています。
「僕も佐藤選手がどんな感じで来るのか楽しみですね。あっちがこう来たらこっちはこうしようとか、それを考えるのも面白いですし」
――ほかの試合とは一味違うところを見せたいですか。
「そうですね。この試合はバンタム級トップの試合だし、一番技術がある展開、僕らのスキルを見てほしいなというのはありますね。自分も意外と年取っちゃいましたから」
──いやいやいや、26歳は老け込む年齢ではないですよ(笑)。
「でも本当にあっという間でしたよ。下の選手が上がってきて、彼らに色々教えたりしていると、自分も年取ったなと思うし、日本人みんなで強くなりたいですよね」
──日本のMMAのレベルを上げる。井上選手がそういう考えを持っているのが意外でした。
「周りを気にせずノホホンとやっている感じでした(笑)?」
──いえいえ、自分の強さを追求するタイプというか、職人気質というイメージがあったので、井上選手の口から「日本人みんなで強くなりたい」という言葉が出たのは響きました。
「もちろん自分が強くなるのが一番なんですけどね。僕も色んなことを経験して取り入れなきゃいけないし、MMAの技術はドンドン進化していくものなので、それに追いついていくために練習・試合していきたいなとは思っています」
──RIZINのバンタム級で言えば大晦日に朝倉海選手がフアン・アルチュレタに勝って新王者になりました。そこも踏まえてのこれからの展望を聞かせてください。
「次勝てばタイトルマッチをやるぐらいにはなるんじゃないかって思っているので、周りの声があればそれも実現できたらいいなと思っていますね。今年中にはタイトルを獲れるぐらいの位置で戦いたいと思います」
――朝倉アルチュレタはアルチュレタの計量オーバーもあり変則的な試合形式でしたが、あの試合はどうご覧になりましたか。
「あの勝ち方はすごいと思うし、しっかり会場を盛り上げてましたよね。あの結果だけ見たら朝倉選手がすごく抜きん出ているなとは感じます。ただ僕は朝倉選手とやってないんで、やってみたいです」
──そういう意味でも今回の試合は勝てば前進するし、負ければ後退というシビアな試合です。RIZINにランキングはないですが、事実上のランキング戦だと思います。
「キャリア的にも一戦一戦大事にしていかなきゃいけなくなっているので、今はこの試合に集中して勝たなければいけないと思います」
──神戸大会のなかでもこの試合を楽しみにしているファンは多いと思います。最後にファンの皆さんにメッセージをいただけますか。
「今回そんなに大きいことは言えないですが、しっかり勝つこと、僕がやっている試合を見せることがファンにとって一番の恩返しになると思っています。そのうえで佐藤選手と技術のやり取りを見てもらい、自分が勝つところを見せます」
■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
【写真】タイガームエタイのウェアが新鮮!!(C)SHOOTBOXING
23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09で、RENAが韓国のシン・ユリと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
シュートボクシングの女子世界トーナメント『Girls S-cup』を3連覇したRENAが、MMAを戦うようになったのは2015年大晦日のこと。それはRIZIN01の第1試合――まさにRIZINの幕開けはRENAが飾ったのだった。
以降MMAを続けるRENAは、SB時代に経験したことのない壁にぶつかる。浅倉カンナ戦、Bellatorのリンジー・ヴァンザン戦、そして昨年4月のクレア・ロペス戦……。こうした敗戦の中で、もう一度SBで戦うのか。あるいは引退するという選択肢もあっただろう。しかしRENAはロペス戦以来、1年ぶりのMMAマッチに臨む。タイのプーケットにあるタイガームエタイで練習しているRENAに、自身のMMAと現在、そして未来について訊いた(※取材は3月5日に行われた)。
――お久しぶりです。今回がMMAPLANET初登場で、個人的にもお話を訊くのは2016年1月以来となります。あの時は2015年大晦日に、初のMMAで勝利したことを受けてのインタビューでした。
「お久しぶりです! もうそんなに経ちますか。確かに気づいたら6~7年ぐらいMMAをやっているんですよね」
――今回はタイにいるとのことですが、まずはプーケットのタイガームエタイで練習している理由から教えていただけますか。
「次の対戦相手がストライカーであることと、私自身の持ち味もストライキングじゃないですか。プラス今はMMAの練習環境も充実していることを考えて、タイに行こうと思いました。連絡したらタイガームエタイさんも快く受け入れてくれるということで、『今しかない!』と考えたんですよ」
――これまでタイで練習したことはあったのですか。
「ありましたけど、かなり昔のことですね。しかも2~3日ぐらいの期間で、こんなにガッツリ滞在するのは初めてです。今回は2月9日にタイへ来て、本当は2週間ぐらいで日本に帰る予定でした。でもすごく波長が合って――慣れて来ると動きも良くなってきたし、『これはもったいない。もう少しタイにいよう』って滞在を延長したんですよ」
――現在、タイのMMA環境も充実しているようですね。
「まずトレーナーさんが充実しています。タイ人だけでなく、欧米から来たトレーナーさんも多くて。逆にタイ人はあまり見ないぐらいですよ」
――えっ!? そうなのですか。
「タイガームエタイだけなのかどうかは分からないけど、カザフスタンとかの中央アジア系や、ロシア系の会員さんも多いみたいです。女子は中国系の方がいるぐらいで、そのあたりは時期によっても違うと聞きました」
――なるほど。タイで練習していて『波長が合ってきた』と感じるのは、どのような点なのでしょうか。
「まず日本にいたら、ここまで練習できていないです。自分の年齢はもちろん、環境的にも」
――環境というのは……。
「日本って選手が昼間はお仕事をして、夜しか練習できないということが一般的じゃないですか。そのため、みんな夜遅くまで練習していることが多くて。でもタイに来たら朝練習して、昼と夕方にも練習して1日が終わる。練習パートナーにも困らないし、パーソナルで指導してくれるコーチやトレーナーもたくさんいます。気候も良いですしね。
日本にいると何でもあって、どこにでも行けるし、いろんな誘惑があるじゃないですか。タイに来ると、そういうものがないんです。娯楽といえばサウナぐらいで(笑)」
――アハハハ。
「これだけ格闘技に集中して練習できているのは久しぶりです。日本で朝8時から体を動かすことはないですからね。タイガームエタイの他にもSBの笠原弘希がONEに出た時(2月24日、ONE FF53)、私もバンコクへ行って2日間、スーパーボンジムで練習させてもらいました」
――RENA選手といえば、SBの試合では三日月蹴りを含む前蹴りを起点に試合を展開させていました。MMAでも三日月蹴りでKOしたことはありますが、SB時代よりも出す数は少なくなっていると思います。その点で、タイで練習したことにより打撃面で変化した部分はありますか。
「技術はともかく、意識面は変わったかなと思います。やっぱりMMAだと、ムエタイやキックボクシングのようには蹴らなくなるじゃないですか。蹴り足を取られる、あるいは蹴りのあとに組まれてしまう――それが定番だから、あまり前蹴りを出さないようにと思っていたりはしました。
でも試合で蹴りを出すか出さないかは関係なく、タイのジムではとにかく蹴らされるんですよ。立ち技とMMAではスタミナの使い方も違うしって最初は思っていたけど、昔の感覚が戻ってきている気はしますね。『私、動けるじゃないか』って。もちろん実際に試合をしてみないと分からないです。でも消えていた自分の良さを、タイに来て少しずつ取り戻せている感覚はありますよ」
――何がどうであろうと蹴らされる環境の中で、MMAに対して抱えていた不安も解消されつつあるのですね。
「ただ蹴るというだけでなく、ミットを持ってくれているタイ人のコーチも、今はMMAをやっている人なんです。だからミットの中で、蹴り足を取ってテイクダウンに来る動きも入れてくれますし、MMAに近いミットができているという良い感触があります」
――2015年大晦日にRENA選手がMMAを戦うと聞き、正直言って少し不安はありました。Girls S-cup世界トーナメント3連覇をはじめ、あれほどSBという競技を究め続けていたRENA選手が、新しい競技に挑戦するのは……と。MMAデビューしたあとは6連勝していましたが、その時は自分にMMAは合っていると考えていましたか。
「いやいや、今も自分に合っているとは思っていないです。毎回『もうMMAは辞めていいんじゃないかな』と考えているぐらいで。最初は本当に、あの1試合だけのつもりだったんですよ。でも跳びつき腕十字で勝ち、流れ的に辞められなくなって……」
――流れ的にというのは? あの勝利でMMAファイターとしてのRENA選手に対する期待が大きくなったのでしょうか。
「期待も大きかったですし、RIZINもどんどん大きくなっていって。その中で、女子の試合に注目してもらえるキッカケにはなったと思います。山本美憂さんのようなレジェンドの方も出てきてくださったり。そうして、どんどん注目が集まってきたので、自分ももう少しMMAを続けないといけないなって考えるようになりました」
――「MMAを続けないといけない」というのは、RENA選手にとってポジティブな思考だったのですか。
「はい。格闘技を十何年もやってきて、常に何か新しい刺激がないとダメな人間なんですよ。だからあの時、MMAという新しい競技に挑戦することは楽しかったです。今でも『私にMMAは向いていないな』と思うことはありますよ。だけど楽しいから今も続けることができている。それは間違いないです」
――自分自身がMMAに向いていないと思うのは、どのような時ですか。
「MMAって女子の中では、組み技系の選手のほうが有利だと思うんです。男子みたいに一発のパンチで倒れることが多いわけではないので。私にも打撃という武器はあるけど、MMAでは不利だなって感じることもあります」
――とはいえ、MMAであれだけの左ボディを打てる女子ファイターもいないとは思います。
「ウフフフ。今はもっと進化していますよ」
――RENA選手のMMAキャリアの中で最初に訪れた岐路は2019年6月、ベラトールでリンジー・ヴァンザンに敗れた時だったように思います。RIZINで浅倉カンナ選手に連敗を喫したあと、さらに北米でも……。
「昔のことなので細かいことは忘れてしまいましたけど――MMAは辞めようかなって思いましたよ。でも毎回『ここで辞めてもなぁ』と考えるんです。MMAを始めたからには、自分が満足いくまで続けたい。自分の心と体がもつまで」
――……。
「もう自分の最終章に入ったと思っています。あと何試合かはできるかもしれないし、次の試合で終わりかもしれないし。今は一戦一戦、『これで終わってもいい』という気持ちで試合に臨んでいますね」
――RENA選手に初めてインタビューしたのは、まだ17歳で高校生の頃でした。当時は「25歳で引退する」と言っていませんでしたか。
「そうなんですよ。25歳で引退して、26歳で結婚して27歳の時には子供がいる予定だったのに、気づいたらもう32歳になりました(笑)」
――実際、25歳の時に一度は引退を考えたのでしょうか。
「それが25歳の時に、RIZINが始まって私もMMAをやることになったんです。あの時にRIZINが始まっていなかったら、私も格闘技を辞めていたと思いますよ」
――先ほど「MMAを始めたからには、自分が満足いくまで続けたい」と仰いましたが、RENA選手の性格的に自分の試合で満足することはありますか。肉体的な疲労や負傷はともかく、気持ちの面で。
「アハハハ! 確かにそうですね(笑)。タイに来たら、メチャクチャ体も動いていますし。『私、こんなに動けるんだ』っていうほどに」
――では満足していないのは、どのような点なのですか。実績として誰かに勝ちたい、RIZINのベルトを巻きたい……といった基準なのでしょうか。
「RIZINに出ているかぎりは、あのベルトを巻きたいとは思います。でも今はベルトに対して、そこまで執着しているわけではないです。自分が満足するために、自分のために自分の戦いがしたい。そういう気持ちのほうが強いですね。応援してくださる方は、私がベルトを巻く姿を見たいかもしれないけど、今はとにかく一戦一戦――です」
――正直なところ、昨年4月のクレア・ロペス戦でもRENA選手が大きな岐路に立たされたと思いました。それまでに何度も引退について口にしていて。
「だって、あのまま辞めたらカッコ悪くないですか」
――その気持ちがファイターであり、RENA選手らしさなのだと思います。
「あの試合が最後になるのは嫌だなって思いました。やっぱり勝って終わりたくて。ベラトール、ロペス戦とまだケージで勝っていないですしね。次の試合もケージになりましたけど、逆に変なジンクスとか考えないようにしたいです」
――対戦相手のシン・ユリは、これまでケージの中で戦ったファイターとは違い、ケージを生かした組み技を見せるタイプではありません。
「完全に打撃系の選手ですよね。もちろん組んで来ることも想定はしています。私としてはスッキリと1RでKOしたい。最近はなかなかKO勝ちできていないので、スカッと早期決着で終わらせたいです」
――なるほど。とにかく今のRENA選手の様子を見ていると、以前よりも格闘技を楽しんでいるように感じます。
「楽しいですよ! それと、大人になりましたから」
――30歳を過ぎましたからね。
「大人になったんです!」
――失礼しました(笑)。では次の試合への意気込みをお願いします。
「今回は相手云々より、自分の気持ちがテーマです。自分の戦いに満足したい、自分らしさで楽しみたいと思っています。思いっきり、はっちゃけたいですね」
■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
RIZIN LANDMARK 9 in KOBE 追加対戦カード発表記者会見 – 2024/03/18
https://www.youtube.com/live/AnwGt7GOh3U?si=5uCaEbzsOdEn0uWI
📣ただ今、ライブ配信中⚡️⚡️⚡️#RIZIN_LANDMARK9 in KOBE🚢
— RIZIN FF OFFICIAL (@rizin_PR) March 18, 2024
🎙追加対戦カード発表記者会見🎙
🎬ライブ配信はこちら↓https://t.co/AO5CEYLJMa https://t.co/sAiy70haLT pic.twitter.com/85FBjEpjh9
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【写真】木下カラテに判定勝ちをしている。ここが一番の肝(C)MMAPLANET
23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09 in KOBEで久保優太が、高橋遼伍と対戦する。
Text by Takumi Nakamura
2021年9月にMMAデビューを果たし、4戦3勝1敗の成績を残している久保。MMAではキャラクター先行型の印象が強いキャリアを積んできたが、今大会では元修斗環太平洋フェザー級王者にして、ONE Championshipにも出場した高橋という実力者と拳を交える。
「MMAにチャレンジしないままに引退することはできなかった」という久保の“格闘技ジャンキー”な一面を今回のインタビューを通してお伝えしたい。
――昨年大晦日の安保瑠輝也戦で一本勝ちしたあと、約3カ月というスパンで今回の神戸大会出場が決まりました。試合はすぐにやりたいという考えだったのですか。
「そうですね。怪我もなくて自分の感覚的にはすぐやりたかったのですが、2、3月大会は枠がいっぱいだと聞いていたので、5月ぐらいになるのかなとか、もしチャンスがあるなら出たいな、くらいに思っていたんですね。そうしたら3月大会のオファーがあって、相手もかなり強敵。ONE Championshipでも活躍していた高橋遼伍選手ということで、MMAでは間違いなく格上の選手で、すごいありがたいというか。これを自分のMMAキャリアのステップアップとして受け入れていかないとなと思って速攻でOKしました」
――久保選手がいよいよ本格的にMMAの実績と実力がある選手と戦うことになったと思います。キャリア的にもこういった相手と戦いたいという思いはありましたか。
「僕は今36歳なので、格闘家のピークというか、めちゃめちゃ動ける期間はあと2年ぐらい。そこが勝負だと思うんですよね。だからその期間に、自分の中では勝負をかけたい。チンタラやったり、のらりくらりやるより、確実にステップアップを望める相手とやりたい。僕はただ何となく立ち技からMMAに転向したわけではないので、MMAというものに一から挑戦して、自分が立ち技で築いてきたキャリアをある意味すべてベットして、MMAをやっているつもりです。例えば一番いい終わり方で言ったら、K-1で言えば魔裟斗さんは世界チャンピオンで強いまま引退されたじゃないですか」
――負ける姿を見せず、一番強い状態のまま引退されたと思います。
「もしかしたら僕もそれができるチャンスはいっぱいあったと思うんですよ。K-1のタイトルを防衛し続けていたタイミングで辞めたりとか。でも……僕は格闘技がすごい好きで、その終わり方だと自分自身に燃えるものがないっていうんですかね。僕は格闘技中毒になってしまってるんです。だからMMAで挑戦する=頂点に立ちたいという思いがあって、そこを目指すには時間がないというわけではないですが、自分のピーク・動けるうちにできる、そこに挑戦したいという思いがありますね」
――失礼ながら久保選手はMMAデビュー戦で太田忍選手に敗れて、シバター戦の印象が強いのですが、奥田啓介選手、木下カラテ選手、そして安保選手に勝って3連勝中です。MMAの試合で勝つことで、自分のMMAの形は見えてきているのですか。
「確かにデビュー戦の太田戦だったり、シバターさんとの試合だったり、別に舐めているわけはなかったのですが、もうちょっとしっかりと準備期間を経て、やらないといけなかったなっていうことをめちゃめちゃ痛感しました。今思うと恥ずかしいのですが、自分のパンチや蹴りが当たったら勝てるだろうみたいな。それでいざMMAをやってみて、そんな甘い世界じゃなかったということを痛感したという(苦笑)。
そこからは自分の中でコツコツとやってきて、確かに相手のレベルどうこうはありますけど、結果として3連勝することができました。だからなおさら今回ホンモノの相手とやれることは、自分の力や真価が問われるし、自分の実力を見せられるチャンスだと思っています」
――その重要な一戦の相手、高橋選手にはどのような印象を持っていますか。
「試合を見れば見るほど強いなっていうのと、カーフキックをはじめストライカーのイメージですが、ONEでの試合では四つの展開や相手のテイクダウンにもしっかり対応していて、すごく上手くて何でもできるんだろうなと思います。そうじゃなかったら海外で試合はできないと思いますし、自分の中で高橋選手は何でもできる日本トップクラスの選手だと思います」
――高橋選手は一発一発を強く打つ・組みも意識したMMA用のストライキングという印象です。彼の打撃についてはどう見ていますか。
「確かにボクシンググローブとMMAグローブの違いやテイクダウンの有無で、使える打撃・使えない打撃が大きく変わってくると思うんですけど、そこで僕が高橋選手を乗り越えないと、RIZINでチャンピオンになるという宣言が絵空事というか、全然実現できないことになってしまう。自分自身が立てている目標を実現するためには、ここを攻略しないと、上にはいけないと思っていますね。もちろん高橋選手は日本トップクラスの選手だと思いますけど、ここを攻略することによってRIZINのチャンピオンへの階段を登ることができるんじゃないのかなと思います」
――言える範囲で構わないですが、彼の打撃をどう攻略するのかイメージは出来上がっていますか。
「正直僕が高橋選手を寝技でどうこうは通用しないというか、そういうレベルの差はあると思います。もちろん実際に向かい合ってどう戦うかを考えると思いますが、高橋選手がどういう選択をするか。過去の試合映像を見ても高橋選手からテイクダウンにいくところはほとんどなかったですが、僕相手には絶対にテイクダウンを狙ってくると思っているので。打撃の時間が長くなるにしても、単純な立ち技だけになることは絶対にないと踏んでいます。そのうえで、僕は元K-1チャンピオンとしてRIZINの舞台に来て、打撃の部分では圧倒的に差を見せつけるというか。
今のところ『さすが久保優太の打撃だな!』というところは見せられていないと思うし、K-1時代が100としたら、MMAでは20も出せてないと思うんです。MMAでもいかにK-1時代のような100に近づけられるか。そこが自分の課題であり、今回それが出せれば、高橋選手は相当強敵でめちゃめちゃ格上ですけど、絶対負けないとは思っていますね」
――そこが立ち技からMMAに転向する選手は誰もがぶつかる壁だと思うのですが、久保選手は何を意識してMMAにおける打撃を100に近づけているのですか。
「これはもうMMAの練習と試合を続けて、MMAで使える打撃・使えない打撃を取捨選択するというか。それそのものが変わってくる部分もあるのですが、2年ちょっとMMAをやって来て、その取捨選択が積み上がってきてはいます。練習では100に近づいたものを出せているので、あとは試合で出せるかどうかというところが一番の課題でありポイントですね」
――逆に言えば相手が高橋選手レベルになると、100に近づいた打撃を出せなければ勝てない相手でもありますよね。
「そうですね。なので、そこが自分の課題というか、本当に自分がK-1時代に出せていた打撃を発揮しなきゃいけないし、それが出来たら絶対どんな相手にも正直負けるわけではないと思っているので。繰り返しですけど、なかなかそれが出せないことがMMAの難しさなんですけどね」
――決して立ち技のスキルそのものが使えないわけではないと。
「そこは感じますね。MMAでもK-1でやってきた人間は打撃において負けちゃいけない、そういった自負は僕の中でもあるんですよ。だから、それを発揮できていない自分に対する悔しさもあります。と同時に、それを発揮できたら自分がいかに格闘技の天才であるかをアピールできるというか。世間に評価してもらえると思うので、そこは頑張りたいなと思っていますね」
――例えば去年の大晦日は立ち技から多くの選手がMMAに挑戦しました。久保選手はこのことをどう感じていますか。
「今は世界の格闘技のマーケットがどうしてもMMAになっていますし、なおかつ日本のマーケットはRIZINが今一番大きくなっているじゃないですか。そのRIZINはMMAが主の団体なので、マーケットの中心がMMAになるし、格闘家である以上、それに合わせていくことは、自然な流れだと思います。
世界的に見てもGLORYで活躍したアレックス・ペレイラやイスラエル・アデサニャがMMAに転向して、UFCチャンピオンになっていますからね。武尊選手のように、自分が得意な立ち技・キックボクシングでそういう世界を創っていくこと、そこで頂点を極めることは本当にかっこいいし、それは素晴らしいことだと思います。でも僕は格闘家である以上、どうしても自分が最強というか、自分が強いという承認欲求があって。
一時はK-1を離れてボクシングに行こうとも思ったのですが、やっぱり何でもありの最強を決めるMMAに挑戦するという選択をしました。あとはK-1ファイターやキックボクサーが寝たら弱いと思われていることに、自分もコンプレックスがあるというか。やっぱりそれを払拭したいんですよね」
――久保選手はボクシングの試合こそやらなかったですが、ずっとボクシングジムで練習もして、ボクシングのトレーナーの指導も受けていて。ボクシングという競技には触れてきたわけじゃないですか。
「そうですね。かなり色んなジムに行かせてもらいましたし、結構ボクシングジムからスカウトも受けていました」
――だからテコンドーから始まって、ムエタイ、キックボクシング、ボクシングと久保選手ほど立ち技競技をやりこんで、MMAに転向した選手はいないと思うんです。
「グローブ空手にも白帯で出たことがあるので空手経験者でもあります(笑)」
――なるほど(笑)。そんな久保選手が立ち技の強さを証明するためにMMAにチャレンジすることは格闘技のロマンだし、久保選手は本当に格闘技が好きなんだなと思います。
「うれしいですね。本当に格闘技ジャンキーだと思うので」
――ずばりMMAにチャレンジしないまま引退することはできなかったのですか。
「そうですね。太田選手にデビュー戦で負けてから余計に悔しくなって。試合でテイクダウンされると練習と全く違うんですよ。言うても練習では試合と同じことはやらないし、多少はみんな加減もするじゃないですか。でも試合になったらそういう加減はなくて、僕、太田選手に投げられたときにヒザを骨折したんです。それで本当にMMAは厳しい世界だなと思って、それと同時にこの道を極めたいと思いました」
――僕は旧K-1時代から久保選手を取材してきて、これだけずっと純粋に格闘技が好きな選手はいないと思っていて。でもRIZIN参戦以降は試合以外のキャラクターの部分がクローズアップされることが多かったので、久保優太はそうじゃないということを今回のインタビューで伝えたかったです。
「ありがとうございます。どうしても僕はネタ枠というか。特にシバターさんとの件で、自分自身にも原因があると思うんですけど、エンタメ性に走ってしまったというか。僕自身、目立ちたいという承認欲求もあったりして。あの件で僕が元K-1チャンピオンで3回防衛したとか、GLORYでチャンピオンになったこととか、そういう格闘技の実績が見ている人たちの記憶から忘れ去られていると思うんです。
だからここで格闘家・久保優太としての強さや久保は格闘技の天才なんだってところを見せたいです。そのために練習も必死に頑張って、なおかつ格上の選手に挑戦させていただくわけですから」
――久保選手にそういう思いがなかったら、ここで高橋遼伍というファイターとはやらないですよね。周りからは止められなかったですか。
「めちゃくちゃ止められました。まだ早いんじゃないかって。ただ、僕はチンタラMMAをやるつもりはないんで。ここで評価を上げたいし、そうすることでタイトル戦線に近づくことができると思ったので、今回はやらせてくださいという想いを伝えました」
――これまで何度も大一番を経験している久保選手だと思いますが、MMAにおける大一番になりますね。
「格闘技に詳しい人からすると『絶対久保は勝てない』や『総合力が違いすぎるだろ』って、そういう予想や評価だと思うんです。だからこそ純粋に挑戦できるというか。ある種すっきりしているわけではないし、気持ちいいと言ったらあれなんすけど、生き生きとしていると言ったらいいんですかね。格闘家として生きてるなって感じがしています。格闘家冥利に尽きるというか。やってやるぜ、最高だぜみたいな」
――今日のインタビューで久保選手の試合がより楽しみになりました。
「負けられないプレッシャーを感じていると、それこそK-1時代の防衛戦の僕はずっとディフェンシブな戦いだったじゃないですか。でも若い頃の僕はガンガン前にいけていたし、今回はそういう自分や格闘家・久保優太の生きがいを取り戻せるんじゃないかと。そういう予感がしています。だから僕自身、次の試合は楽しみだし、みなさんも楽しみにしていてください」
■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE
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#サラ久保
#RIZIN 久保優太
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大会直後から出禁になった者がいるとSNS界隈で噂になっていましたが、その噂は本当だったか。。。「係員の制止を振り切って」というからかなり悪質。黒石本人に何らかの処分が下るのは当然でしょう。
でも、選手本人やセコンドの言動に対して、選手本人(今回の場合だと瀧澤)にペナルティが与えられるなら納得感もありますが、応援団や友人など広い意味での「観客」まで範囲が拡大すると選手個人に制御出来るものなのか、少し心配になってきます。
出来そうな事としては、チケットを売った人に対して「暴れるな」と命じたり、そもそも違反行為を起こしそうな人にはチケットを売らないって事くらいか。でも選手から直接チケットを購入しなくても、プレイガイドで手に入れる事だって出来るし、選手個人で統制を取るのは結構難しいんじゃないかと。
まあ、そもそも違反行為を行う人間と関係がある選手も根こそぎ処罰する。。。という主催社側の強い姿勢と言うのであれば、それはそれでありな気がますが、それなら思い切って主催者側が出場する選手とチケットの購入者に対する反社チェックを徹底するとか?その結果、出場選手もガラッと変わって、観客数も激減したら笑えませんが。。。
【写真】危なげなし、圧勝だった(C)SHOJIRO KAMEIKE
<女子フライ級/5分2R>
栗山葵(日本)
Def.1R1分51秒by TKO
MANA(日本)
左インローの栗山、右に回るMANAがジャブを伸ばし、右も見せる。真っ直ぐシングルをかわした栗山は左ミドルから左ストレート。パンチが見えていないMANAに左オーバーハンドを入れる。栗山はじっくりと見つつ左フックをヒットさせると、そのまま追撃のラッシュでしゃがんだMANAを見て、即レフェリーが試合を止めた。
「地元大阪で大きな応援ありがとうございます。来週、京平君もRIZINで試合があり、4月はキックでもSMOKER、試合が続いているんで応援よろしくお願いします」と栗山はマイクで話した。