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【ONE FN19】手塚裕之、対戦相手がアモリンに変更も「自分の良いところを出せば相手の光は消える」

【写真】苦難は続く。それでも手塚はケージに入る。勝つために(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN19にて、手塚裕之がブラジルのアブラォン・アモリンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

手塚にとっては、昨年10月にスクランブル出場でジン・テホを下して以来の試合だ。今年1月の日本大会には出場ならずも、その後すぐに今回の試合オファーが届いたという。ただ、当初はヴァウミール・ダ・シウバと対戦予定であったが、計量時点で相手がアブラォン・アモリンとなっている(計量終了後も公式リリースはない)。苦難の戦いが続く手塚だが、勝利に向けて気持ちは清々しいほど明るい。


――日本を発つ直前にも関わらず取材を受けていただき、ありがとうございます(※取材は2月12日に行われた)。

「いえいえ。明日、日本を出発して夕方にはタイに着く予定です」

――昨年10月のジン・テホ戦は9日前の試合オファーだったそうですが、今回は準備期間もあって。

「オファーを頂いたのは試合の1カ月前でした。日本大会に出たいと思っていたけど、結局は試合がなくて。直前まで何があるか分からないから、ギリギリのオファーでも試合ができるように練習して、スタンバイしていたんです。でも日本大会では試合がなく『マジかぁ……』と思った直後に、『次のバンコク大会はどうですか?』という話が来ました」

――手塚選手にとってベストだったのは、日本大会で秋山成勲選手と対戦することだったのですか。ジン・テホ戦直後に秋山戦をアピールしていました。

「日本大会に出場するなら――ですね。僕が日本で試合をするなら、一番盛り上がる相手じゃないですか。秋山選手は名前もあって、レコード上は日本人選手には無敗ですし。そんなカッコいいまま引退してほしくないな、って。日本大会なら秋山選手と対戦したい。それは本心でした」

――その日本大会出場は叶わず。しかしルンピニー大会に出場できるので良かった、ということでしょうか。

「う~ん……日本大会で家族やチームメイト、応援してくれている人たちに試合を見せたかったという気持ちはあります。でもファイターは試合をして勝ち上がっていくことが一番の目的だし、ファイトマネーも特別変わらないのであれば、どこで戦うのも同じだとは思っていますね」

――日本大会か今回のルンピニー大会か。どちらにしても前回の試合から3~4カ月後という試合間隔です。ジン・テホ戦は1年8月振りの試合でした。

「4カ月というのは理想的な試合間隔ですね。何よりも、いつ試合があるか分からない状態が長いよりは、しっかり試合が決まって練習できるようが良いです。試合が決まっていない時期の練習って、『自分は何のために練習しているだろう……』と思う時もあるんですよね。9日前にオファーが来ることもあるから、いつ誰と対戦しても良いように普段から準備はしています。でも、前々から対戦相手も日程も決まっていたほうが、しっかりと自分をつくり上げることができるのも当然で」

――そんななか、セコンドとして岡田遼選手がタイへ帯同するそうですね。所属ジムが異なる岡田選手がセコンドにつくのは、どのような縁があったのでしょうか。

「岡田さんとは一緒に練習しているわけではないのですが、同い年ということを知って、そこからお互いのジムを行き来して意気投合しました。彼は現役選手であると当時に経営者でもあり、かつセコンドとして平良達郎君や鶴屋怜君のセコンドとして海外を飛び回っているじゃないですか。

対して自分の地元というのは、ジムの会長であっても格闘技とは別の仕事を持っているのが普通で。だから急に海外で試合をすることになっても、仕事があるから休みも取れない。前回の試合は9日前だから誰も来てくれる人がいなくて……岡田さんにお願いしたら、快諾してくれたんです。しかもRIZINの中島太一戦が終わってから10日後ぐらいで疲れも残っていたと思うんですけど、快諾してくれて良かったです」

――手塚選手は以前、海外の試合でセコンドを帯同できないこともありました。

「そうなんです。シンガポールで試合をした時は、コロナで現地に連れていくことができなくて――イヴォルブの会員さんを紹介してもらいました。

でも、『戦うのは自分だから』と思っています。もちろん普段から一緒にいる人のほうが良いかもしれないけど、自分の場合は試合直前ってそれほど体も動かさないので。体を休めながら、イメージトレーニングして試合を迎えています」

――そんななかで、岡田選手がセコンドを務めくれた時は……。

「やっぱり同い年だから自分も気を遣わずに、いろんなことをお願いできるんですよ。何より彼は頭が良い人で、指示も的確なおかげで前回は勝つことができたと思います」

――手塚選手がONEで戦うなかで、これまでも様々な困難がありました。それでもONEで戦い続ける理由は何でしょうか。

「まずは海外で、強豪外国人選手と対戦できるという点ですよね。そこでメインストリームにいることができる――かどうかは、自分次第ですけどね。あとはやっぱりファイトマネーの部分は大きいです。プロのファイターである以上、自分のことを高く評価してくれるところで戦いたいので」

――試合間隔は空きながらも、現在は3試合連続フィニッシュしています。その結果、ご自身がONEウェルター級のメインストリームにいると思いますか。

「どうなんでしょうね……。ONEは今、ライト級以上の階級はランキングがないから分かりづらいところはありますね。どうしても軽量級に目が行きがちで。自分の中ではトップ戦線の中にいるとは思っていますけど」

――ライト級&ウェルター級2冠王者のクリスチャン・リーが1年以上試合をしていないのも、階級の現状を考えづらい要因になっているとは思います。もしクリスチャン・リーが復帰し、手塚選手が挑戦者に選ばれた場合――自信はいかがですか。

「クリスチャン・リーかぁ……。もちろん対戦が決まれば、『絶対に勝つ!』という気持ちで試合に臨みます。でも自信があるかどうかは、やってみないと分からないですよね。やっぱり強いチャンピオンだし――何なんでしょうね、あの強さは(苦笑)。でも『対戦したい。ベルトに挑戦したい』という気持ちは、今もずっと持って試合をしています。そのためにも次の試合もバッと倒して、自分が一皮むけたところを見せたいですね」

このインタビューはダ・シウバ戦を前提としたものだったが、15日(木・現地時間)の計量後に手塚の対戦相手がアブラォン・アモリンに変更されたことが正式に発表された。アモリンのMMA戦績は9勝4敗で、昨年からONEに出場し1勝1敗だ。初参戦となったパク・デソンには1R KO勝利を収めたものの、昨年11月にはパキスタンのアフメド・ウジダバに三角絞めを極められている。ここまでライト級(※77.1キロ)で戦ってきたが、今回はスクランブル出場で、ウェルター級(※83.9キロ)契約で手塚と戦う。対戦相手の変更後、手塚がMMAPLANETに送ってくれたメッセージは次のとおりだ。

「前回は9日前のオファーで、前々回が1週間前に対戦相手が代わり――そして今回も現地に着いてから相手が変更となりました。それが僕らしいといいますか(笑)。ハードな状況でも勝つことができる。それが自分の成長を証明する手段だと思っています。

アモリンは喧嘩ができて、柔術が巧い選手という印象です。特に、きちんとフィニッシュに対する嗅覚を備えて、ここぞという時に攻め込むのが巧いというファイターですね。

でも僕が自分の良いところを出せば相手の光は消えます。いつもどおり極めて、4試合連続フィニッシュを狙います!」

■放送予定
2月17日(土・日本時間)
午前9時45分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN19 計量結果
※日本時間 2月15日 23時50分時点

<ONEムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ジョナサン・ハガティー:65.31キロ
[挑戦者] フィリッピ・ロボ:65.54キロ

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス:65.77キロ
モハメド・ユネス・ラバー:未計量

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ダニエル・ウィリアムス:56.70キロ
リト・アディワン:56.59キロ

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン:76.54キロ
ナウゼット・トルヒーリョ:76.66キロ

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之:82.78キロ
ヴァウミール・ダ・シウバ(ブラジル)➡アブラォン・アモリン:82.78キロ

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ:未計量
エディ・アバソロ:69.74キロ

<ミックスルール女子ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
ワンダーガール・ナット・ジャルンサック:56.70キロ
ダヤニ・カルドゾ:未計量

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
マンスール・マラチェフ:56.59キロ
猿田洋祐:56.59キロ

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
トンプーン・PKセンチャイ:56.70キロ
ティムール・チュイコフ:56.59キロ

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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship ONE FN15 ONE FN19 グスタボ・バラルト ジョシュア・パシオ ジョナサン・ハガティー ジン・テホ ダニエル・ウィリアムス ダヤニ・カルドゾ マンスール・マラチェフ リト・アディワン ルンピニー ヴァウミール・ダ・シウバ 手塚裕之 猿田洋祐

【ONE FN19】猿田洋祐、1年10カ月振りの実戦で難敵マラチェフと。手塚はダ・シウバ撃破でタイトル接近?

【写真】猿田、手塚、それぞれのONEへの想いがある(C)MMAPLANET

6日(火・現地時間)、ONE Championshipが17日(土・同)にタイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN19の全対戦カードを発表している。
Text by Manabu Takashima

これまでメインのONEムエタイ世界バンタム級選手権試合=王者ジョナサン・ハガティー✖挑戦者フィリッピ・ロボ、女子ストロー級でワンダーガール・ナット・ジャルンサック✖ダヤニ・カルドゾのミックスルール、ストロー級MMA戦のダニエル・ウィリアムス✖リト・アディワンなどが明らかとなっていたが、今回のアナウンスで全9試合が出揃い手塚裕之と猿田洋祐の参戦がオフィシャルなモノとなった。


昨年10月のONE FN15で10日前のオファーを受け、ジン・テホを腕十字で下したものの熱望していた日本大会の出場が叶わなかった手塚は、今後の進路を真剣に考えるようになっていた。しかし、バジェッドの関係で出場を逃したことで直後のFN大会への出場が決まり、心も晴れてヴァウミール・ダ・シウバ戦に臨むこととなった。

一方の猿田は2022年4月以来、1年10カ月振りの実戦復帰となる。グスタボ・バラルトに判定負けを喫した後、自らのジム「Fight Beat Workout」と開き現役生活に区切りをつけるという想いもあった。そんな猿田だが、ONEとの契約が残っていることで再び戦いの舞台に戻ってくることを決めており、今回マンスール・マラチェフを相手に再びグラブをつけることに。

(C)ONE

手塚と戦うダ・シウバはONEでは1勝2敗、通算9勝3敗のブラジル人ファイターだ。

元王者ゼバスチャン・カデスラムに86秒で敗れているダ・シウバを相手に4試合連続のフィッシュ勝利を挙げられれば、タイトル挑戦に繋がる舞台に進める──手塚にとって、終わらせることが大切になる試合だ。

(C)ONE

猿田と対戦するマラチェフは10月7日にジョシュア・パシオと対戦し判定負け、プロ12戦目で初黒星を喫している。

とはいえテイクダウン&コントロールで試合を支配しており、極め切れなかったギロチンのキャッチで星を落とした感はある。

MMAではパシオを上回っていたといっても間違いでないマラチェフに対して、猿田は組み勝つことを狙う選択をするのか。今やONEで判定勝ちを手にするには、MMAで総合的に支配するよりも、一発狙いの大砲で印象点を稼ぐ必要がある──と割り切ることも必要なほど、偏った裁定を考慮しなければならない。

とはいえ、ファイターは一発狙いの練習を日々課しているわけではない。そこには勝利を得るための組み立てが存在する。その組み立ての部分で、猿田が如何にマラチェフを攻略するのか。要注目のファイトとなる。

なお今週金曜日に開催されるONE Friday FightはU-NEXTでライブ中継されることが明らかとなっているが、このFight Night大会に関しては中継及び配信の発表はなされていない。果たして、どのアプリをクリックすればONE中継が視聴できるようになるのか、正式発表を待ちたい。

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Black Combat Black Combat05 DEEP DEEP113 MMA MMAPLANET o Special   イ・ソンハ ジン・テホ ブラック ユン・ダウォン 上迫博仁 大原樹理

【Special】J-MMA2023─2024、大原樹理─01─「相手のベルトも獲らないと気が済まない」

【写真】悔しさを笑顔に変えて、新たな年を迎えることができる (C)SHOJIRO KAMEIKE

2023年も残り僅か、2024年という新たな1年を迎えるには当たり、MMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過行く1年を振り返り、これから始まる1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA 2023-2024、第二弾は11月18日に韓国Black Combatでイ・ファンスンにKO勝ちを収めた大原樹理に話を訊いた。DEEPのベルトを失ったブラックコンバットとの対抗戦を経て、11月の試合では敵地で激闘の末にKO勝利。このままでは終われない――2024年、大原はベルト奪回を目指す。

■2023年大原樹理戦績

2月4日 Black Combat05
〇1R4分39秒 by KO ユン・ダウォン(韓国)

5月7日 DEEP113
〇3-0 上迫博仁(日本)

9月18日 DEEP118
●2R2分37秒 by スロエフストレッチ イ・ソンハ(韓国)

11月18日 Black Combat09
〇2R1分40秒 by KO イ・ファンスン(韓国)


――9月にDEEP×Black combatの対抗戦でイ・ソンハに敗れたあと、2カ月という短いスパンで再び韓国のケージで戦った経緯を教えていただけますか。

「もともと9月の試合の結果に関わらず、また韓国で試合に出てほしいと言われていたんです。自分としては『試合後の怪我次第だけど、出られるなら出たい』と答えていました」

――ということは、イ・ソンハ戦で怪我もなく11月の試合を迎えられたと。

「いえ、それが足を痛めていて……」

――2Rにスロエフストレッチを極められた時、左足を負傷していたのですか。

「はい。でも良い先生がついてくれて、針治療とかいろいろしてくれたので、すぐ良い状態に戻すことができたんですよ」

――良い先生というのは、韓国にも帯同してくれた中和医療専門学校の方々のことでしょうか。

「そうです、そうです。おかげで試合ができる状態になりました。自分も負けて悔しかったので、すぐ『11月、出ます!』と返事をして(笑)」

――昨年の大晦日、イ・ソンハがブラックコンバットのベルトを巻いた試合を現地で取材した時、DEEPとの対抗戦では大原選手とイ・ソンハの試合が見たいと思いました。互いにリーチもコンパスも長く、打撃が強いタイプで。ただ、あの決着は予想していなかったです。

「う~ん……正直、試合直後は何も考えられなかったです。ベルトを獲られたことと、自分が対抗戦の負け越しを決めてしまったじゃないですか。その両方が一気に入ってきて、頭の中もグチャグチャになっていました。

イ・ソンハと向かい合った時、まず『デカいな』って思いました。体格的には同じタイプであっても、自分より身長も高く、リーチも長かったです。今まで自分の武器であったものが、全て相手の武器になってしまった。だから試合の時は戸惑いました。相手との距離が遠くて、自分の攻撃は届く気がしない。そんな自分が『どうしようかな……』と思っているうちに、あれよあれよと攻められてしまい――」

――自分自身が武器としていたもので攻められると、精神的な疲労は倍増したのではないでしょうか。

「もうホントに、それが一番大きかったですね。技術的な面どうこうの前に、メンタル面の影響で普段の実力の半分も出せなかったと思います」

――公式プロフィールでは大原選手が180センチで、イ・ソンハが185センチとなっています。わずか5センチの差でも、それだけ大きく感じてしまったのですか。

「イ・ソンハは絶対に185センチより大きいです(苦笑)。さらにリーチが、とんでもなく長くて。フェザー級時代に対戦したジン・テホ(2016年4月に大原が判定勝ち)も僕より身長は高かったのですが、イ・ソンハほど身長差やリーチ差も感じることはなかったですね」

――1Rにスロエフストレッチを防いでいながら、なぜ2Rに同じ形で極められてしまったのか。あの時点で大原選手は集中力と体力が切れていたのではないか……と感じていました。

「あぁ、なるほど。先ほど言ったとおり、『どうしようかな……』という気持ちでいっぱいだったと思います。パニックとまではいかないけど、自分のメンタル面が要因ですよね。その状況で試合中に自分がどう立て直していくのか――それが大事で。もしかしたら対抗戦でダブルタイトルマッチが決まるまでのドタバタも、メンタルの面で影響していたかもしれないです。でも総じて言えば、あの日の自分が弱かった。それだけなんですよ」

――対抗戦で敗れたあと、DEEPチームの雰囲気はいかがでしたか。

「ズーン……としていましたよね(苦笑)。その一方で、自分は負けてホッとしたところもあるんです。肩の荷が下りた、っていうわけじゃないけど。でもベルトを失って気持ちはヘコんでいました。

ただヘコんでいたのは3時間ぐらいで、すぐ『このまま終わることはできない。やり返さないと気が済まない』と思ったんですよ。とりあえず自分がブラックコンバットに行って、荒すだけ荒してきてやろうと」

――その気持ちもあって、11月の試合のオファーに応えたのですね。

「今後どうなろうと、何より自分はもう一度DEEPのベルトを巻きたい。そのベルトをブラックコンバットに持って行かれてしまったじゃないですか。だからDEEPのベルトを獲り返すだけでなく、相手のベルトも獲らないと気が済まないと思ったんですよ」

――なるほど。ただ、11月の試合は対戦相手が決まるまで二転三転したようですね。

「そうなんです。ブラックコンバットのライト級は、僕が今ランキング1位で。11月は上位ランカーと試合がしたかったけど、みんな『怪我をしている』、『ジムを立ち上げるから今は試合ができない』とか言われちゃったんですよ。結果、ランキング下位のイ・スンファン選手まで話が行き、試合を受けてくれました」

(C)Black Combat

――そして迎えた11月のイ・ファンスン戦ですが、まず驚いたのは大原選手が髪を丸刈りにしていたことです。

「アハハハ。対抗戦で不甲斐ない試合をして、ベルトも獲られてしまいましたから。それで相手のケージに乗り込むために、気合いを入れようと丸刈りにしました」

<この項、続く>


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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN15 RIZIN キック ジン・テホ ボクシング ライカ ルンピニー 堀口恭司 岡田遼 手塚裕之 海外 秋山成勲

【ONE FN15】腕十字で一本勝ち、手塚裕之が振り返るジン・テホ戦「身長は168センチでもリーチは180─」

【写真】腕十字でのフィニッシュも、手塚にとっては意外ではなかった(C)ONE

7日(土・現地時間)タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されたONE Fight Night15にて、手塚裕之がジン・テホに腕十字で勝利した。
Text by Takumi Nakamura

大会10日前に緊急オファーを受け、約1年9カ月ぶりにリングに立った手塚。いざゴングが鳴るとブランクを感じさせない動きを見せ、ONEでは初の一本勝ちを収め、試合後にはONE日本大会での秋山成勲戦をアピールした。このインタビューではONE日本大会での秋山戦、そして今後のONEでの展望について訊いた。


――ONE Fight Night15では約1年9カ月ぶりの試合で見事な一本勝ちでした。急遽出場が決まった試合でしたが、反響も大きかったのではないですか。

「そうですね。SNSでも話題になっていたようで、急なオファーでしたが受けてよかったなと思います」

――試合が終わったあとも、しばらくタイに残ってムエタイの練習をしていたそうですね。

「せっかく無傷で終わってバンコクにいたので、現地でムエタイの練習をやろうと思い、ONEにお願いしてフライトのスケジュールを変えてもらいました。練習させてもらったのはスーパーボン・トレーニングキャンプ、PKセンチャイムエタイジム、フェアテックスジム、ヴェノム・トレーニングキャンプ、ランバー・ソムデートM16さんのジム…ですね」

――そうそうたるジムで練習してきたんですね。手塚選手はムエタイが好きなのですか。

「普段、キックボクシングZEROというジムでタイ人の先生にミットを持ってもらっているんですけど、その影響でムエタイの試合を見るようになったんですね。だからムエタイ自体は好きです」

――それでは試合の話を聞かせてください。今回はジン・テホ選手に1R4分45秒、腕十字での一本勝ちでした。試合自体はイメージ通りに進めることができましたか。

「なんか妙に落ち着いていて、練習みたいな感じでできましたね。相手が僕の攻撃を警戒していて、そこまでアグレッシブに来なかったので、そういう立ち上がりになったと思います。久々だから動きが固いとか、そういうものはなかったです」

――スタンドの打撃ではカーフキックが効果的に当たっていました。

「事前にテホ選手の試合映像をチェックして、蹴りをカットできる構えではなかったので、カーフキックを蹴って削って行こうと思っていました」

――手塚選手のカーフが当たり、テホの蹴りは空振りに終わる場面が多く、手塚選手が良い距離感で戦えている印象でした。

「打撃には自信があるんで、リーチ差があっても気にならないというか。自分の距離で戦えば相手の攻撃は見えるんで。逆に自分のスピード感はこの階級でアドバンテージになると思うので、相手の蹴りはすべてカットして、僕の蹴りだけ当てられたと思います」

――映像を見る限り、かなり身長差・リーチ差(※テホは身長182センチ)があるように見えましたが、そこは問題なかったですか。

「自分も映像で見てみて、相手がこんなにデカかったんだと思ったんですけど(苦笑)、向き合ったときはそこまで差は感じなかったです。あと僕、身長は168センチなんですけど、リーチは180センチくらいあって、身長よりもだいぶ長いんですよ。それも関係しているのかなと思います」

――左ミドルをキャッチしてテイクダウンを奪ってからは、得意な形に持ち込むことが出来ましたか。

「はい。テイクダウンしてからも、しっかりワキを差して固めて、そこからパウンドで削って行こうと思いました。ただ一つ誤算だったのが、相手のキムラロックは警戒して対処できたんですけど、アメリカーナをやられたんですよ。下からアメリカーナを極めるのは珍しいと思うんですけど、あれで一瞬ヒジがブチブチとなって。試合中は何とか大丈夫だったんですけど、試合が終わって3~4日はヒジは伸ばせなかったです(苦笑)」

――あの場面にはそのようなことがあったのですね。

「テホ選手は力も強かったですし、テコの使い方というか関節技を極めるのが上手い選手だなと思いました」

――フィニッシュはサイドポジションから奥の腕をとって、相手の頭をまたいでの腕十字でした。

「ハーフガードで抑え込んでいて、残り30秒くらいのタイミングでセコンドの岡田遼さんから『足が抜けるよ』と言われて、腰を切ったら足が抜けてサイドポジションについたんですよ。僕自身、相手の頭をまたいで極める腕十字が得意で、相手もそれに引っかかる動きをしてくれたんです。残り時間も20秒くらいだったので思い切って極めにいきました」

――テホ選手が桜庭和志選手のファンでも知られていますが、逆に手塚選手の腕十字の入り方が桜庭選手を彷彿とさせるものでした。

「ファンの人たちからもそういうコメントが来ていて光栄です(笑)。でも極めが強い相手に極めて勝てたのは自信になりますね」

――試合を通して相手をコントロールできた手応えはありますか。

「ONEではKO勝ちが多かったので手塚=ストライカーというイメージがあったと思うんですけど、僕自身は寝技も得意なんです。今回ONEで初めての一本勝ちが出来て、寝技の部分でも評価されると思うし、周りの選手に対しても脅威になると思います」

――大会10日前というショートノーティスでの試合でしたが、結果的にはいい結果とパフォーマンスを見せることが出来ましたね。

「いつでも行ける準備をしている方が多くチャンスを掴めると思って準備しています。ただ今回はさすがに試合が空きすぎました(苦笑)」

――さて試合後にはチャトリCEOも明言している2024年のONE日本大会について言及し、秋山成勲選手の対戦アピールがありました。

「海外の大会だったら僕と秋山さんがやる意味はないと思うんですけど、日本大会だったら僕と秋山さんがやったら盛り上がるだろうし、やる意味もあると思ったのでアピールさせていただきました。僕はずっと昔から秋山さんを見てきたし、秋山さんは去年青木(真也)さんにも勝っているから今でも十分強いと思うので、やってみたいという気持ちがあります。実は秋山さんに対戦アピールしたのは今回が初めてじゃなくて、過去の試合後にもアピールしているんですよ。このカードが実現するかどうかは秋山さん次第だと思うんですけど、僕は日本大会で秋山さんとやりたいです」

――手塚選手は秋山選手のようなビッグネームと戦いたいという希望があるのですか。

「そうですね。ビッグネーム喰いしないと、自分の名前も上がらないですからね。あのアピールのあとに『なんでいまさら?』や色んな意見が出ていますけど(苦笑)」

――ずばり周りのそういった意見を率直にどう思いますか。

「もちろん強い選手とガンガンやってONEのベルトを狙っていきたいですし、そのどちらも見ているよって気持ちです」

――秋山選手の名前を出したのはやはり日本大会の影響が大きいのでしょうか。

「はい。日本ではRIZINが一番知名度がある大きなプロモーションで、海外でやっている僕らは知名度的に劣るところがある。もし本当にONEが日本で大会をやるなら、日本で知られている選手同士の試合をやる方が盛り上がると思って、秋山さんの名前を出しました。決して僕がONEのベルトをあきらめたり、世界標準の選手になることを視野から外しているわけじゃないです」

――ONEでトップを目指すという芯はぶれていないということですね。

「もちろんです。自分の中ではONEのファイターとして、海外に出て世界と戦っている自負もありますし、そのなかで自分の強さを証明したいという気持ちもあります」

――これからONEで上を目指すために、どんなことを取り入れていきたいと思っていますか。

「今はアメリカで練習する選手が増えて、アメリカの練習スタイルを取り入れている選手も多いですけど、僕はアメリカ式を模倣せずに日本式で強くなりたいというか。日本特有の練習方法や練習環境を活かして強くなりたいと思っているんですよ。僕の話をすると去年から伝統派空手の練習を始めて、堀口恭司選手の師匠にあたる二瓶弘宇先生の長男の二瓶卓郎さんが代表をやられている弘仁会二瓶道場という空手道場に行かせてもらっています」

――どのような繋がりで練習に行くようになったのですか。

「数年前に卓郎さんを紹介していただいたことがあって、ちょうど海外の選手に勝つためには何が必要かを考えていて、海外の真似ではなくて、自分のオリジナルなものを生み出さないといけないと思っていたんです。それで伝統派空手をやりたいと思い、卓郎さんの道場が近くだったので連絡をして、練習させてもらうようになりました。

僕の場合は間合いによって構えを変えようと思っていて、遠い間合いは伝統派空手で、近い間合いはヒジ・ヒザのムエタイ。そこにボクシングの動きも取り入れてミックスして、自分だけのスタイルを創って、そのレベルを上げていきたいと思っています」

――手塚選手がオリジナルの手塚スタイルを完成させて、ONE日本大会で戦う姿を楽しみにしています。

「ずっと日本で試合ができていなかったので、ONEの日本大会が開催されるなら、身近な人たちに自分の試合を見せたいです。日本のファンにも僕らのようなファイターがいることを知ってもらって、ONEを日本でも今以上に注目される舞台にしたいです」

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MMA MMAPLANET o ONE ONE FN15 ジン・テホ ブログ 手塚裕之

【ONE FN15】ジン・テホを腕十字葬。手塚裕之が日本大会で、秋山成勲戦をアピール!!

【写真】バック宙からブレイクダンス、試合もパフォーマンスを良い手塚を放置するのはこれで最後に。お願いです(C)ONE

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
Def.1R4分45秒by 腕十字
ジン・テホ(韓国)

右ローを蹴った手塚、さらに左足への蹴りを続ける。ジン・テホも様子見の右ストレートから、手塚の右を警戒しローを連続で受ける。飛び込んで右を振るった手塚は、カウンターを打たれそうになり距離を取りなおす。カーフ基調の手塚が左ミドルをキャッチして、ハイクロッチ・テイクダウンに成功する。

アームロックを警戒しつつ、ハーフで抑えた手塚がその腕への仕掛けを潰す。レフェリーがアクションの声を掛けると、殴りにいった手塚の左腕をジン・テホが絡み取る。ワキを締めて右に回る形から、鉄槌を落とす手塚がアームロックを振り払いパスガード、サイドで抑える。ここから頭を跨いで腕十字の手塚は自らの体を跨がせずにタップを奪い──バック宙とブレイクダンスから、セコンドの岡田遼とハグをした。

「凄くハッピー。サワディカップ、この瞬間を凄く待っていた。もっと試合をしたい。日本で試合ができるなら、セクシー山と戦いたい。もしチャンスがあったら、彼は腕が長いから狙っていた。僕はオールラウンダーだから。桜庭選手を尊敬している良い選手だったけど、今日は僕の方が強かった」と英語でインタビューに答えた。


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ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN15 イリャ・フレイマノフ エコ・ロニ・サプトラ キック ジャン・リーポン ジョシュア・パシオ ジン・テホ タン・カイ タン・リー ダニエル・ウィリアムス チャンネル ティモフィ・ナシューヒン フー・ヨン ボクシング マイキー・ムスメシ マンスール・マラチェフ マーチン・ウェン ルンピニー 手塚裕之 若松佑弥 青木真也

【ONE FN15】暫定フェザー級王座決定戦は、実はパンチのタン・リー✖足・ヒザ・拳の連動フレイマノフ

【写真】どちらがコーナーに詰まるのか。そんな見所もある(C) ONE

7日(土・現地時間)、ONE Fight Night15「Le vs Freymanov」がタイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催される。日本からMMAで手塚裕之、青木真也がグラップリング戦に出場する今大会は、10試合中MMAが5試合組まれている。
Text by Manabu Takashima

10日間のショートノーティス出場となる手塚はジン・テホと戦い、全ストロー級王者ジョシュア・パシオの再起戦=マンスール・マラチェフ戦。若松佑弥に敗れたフー・ヨンが、インドネシアのレスラー=エコ・ロニ・サプトラと戦う一戦など興味深いカードが続くMMAマッチ、とりはメインイベント=ONE暫定世界フェザー級王座決定戦=タン・リー✖イリャ・フレイマノフ戦だ。


7月15 日のバンコク大会で王者タン・カイに、前王者タン・リーが挑む──タン・タン対決第2弾は、チャンピオンのヒザの負傷で延期となり、すぐに回復とならなかったため暫定王座が認定されることとなった。

今回のタイトル戦、タン・リーにとっては昨年8月にベルトを失って以来の実戦となる。フレイマノフのこの間に元二階級王者のマーチン・ウェン、草原の豪腕シネチャグタガ・ゾルツェツェグをTKO、そしてRNCで破っている。

オーソ基調のスイッチヒッターのフレイマノフは、蹴り終わりで構えを変えてパンチに繋げる動きに長けている。同様の動きはパンチへの連係だけでない。スレイマノフは蹴りからヒザ蹴り、そしてウェンに決定的なダメージを与えたヒザ蹴りからストレートというバラエティに富んだ足、ヒザ、拳のコンビネーションを有している。

このスイッチはテイクダウンにも応用でき、対戦相手からすればフレイマノフの攻撃は非常に予期しづらい。その一方でテイクダウンディフェンスにも長けており、倒されてからはスクランブルよりも背中をつけて極めとスイープの連係プレーも得意な流れといえる。

そんな万能ファイターのフレイマノフだが、シネチャグタガ戦では下がったところを追いかけて左を被弾したシーンがあった。この動きを見る限り、誘って左ミドルから左の追い突き、右の返しのフックというタン・リーの鉄板パターンにハマるケースも十分にあり得るだろう。

とはいえ、下がる相手に対してフレイマノフは圧倒的な強さを発揮するファイターだけに、タン・リーとしてはより中に入る打撃戦を繰り広げたいところだ。そこから組み&柔術もタン・リーにとってオプションの一つではあるが、組みぎわにスピニングバックエルボーを合わせる達人系の技を持つのが、フレイマノフ。

一点、タン・リーもスイッチヒッターだが、前手のパンチは粗く、奥手は真っ直ぐ綺麗に相手を射抜くシーンをたびたび見せてきた。これは左右どちらにも関係なく、大きな振りで釣って、奥からのストレートを打ち抜くという計算に基づいた攻撃手段のように感じられる。

武器の多さでフレイマノフ有利と予想される一戦をひっくり返すことができるタン・リーの攻撃は、このスラッピーな右からシュアな左ストレートと、蹴り&追い突きから&返しのフックというコンビだ。

それでもフレイマノフは常に蹴りと拳が連動しており、乱打戦になるとパンチに頼りがちになるタン・リーと勝負どころで差が出ることが十分に感がられる。結果、やはりフレイマノフに分がある暫定王座決定戦といえよう。

■放送予定
10月7日(土・日本時間)
午前8時30分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN15対戦カード

<ONE暫定世界フェザー級(※70.3キロ)王座決定戦/5分5R>
タン・リー(米国)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョン・ディベラ(カナダ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ジョー・ナタワット(タイ)

<サブミッション・グラップリング無差別級/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
青木真也(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジョシュア・パシオ(フィリピン)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
フー・ヨン(中国)

<ムエタイ121ポンド契約/3分3R>
ペッディージャー・ルクジャオポーロントン(タイ)
セレステ・ハンセ(豪州)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ジャン・リーポン(中国)

<ムエタイ174.5ポンド契約/3分3R>
バムパラ・クヤテ(フランス)
シャキル・アルテクレティ(イラク)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
ジン・テホ(韓国)

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【ONE FN15】タワンチャイがカード変更前に語ったこと「ONEでは純粋に勝ち負けを争うことができる」

【写真】スーパーボン戦は延期となったタワンチャイだが、彼が語ってくれたことをぜひ試合前に読んでいただきたい (C)TAKUMI NAKAMURA

7日(土・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Fight Night 15。今大会でタワンチャイ・PK・センチャイがジョー・ナタウットと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

当初ONEムエタイ世界フェザー級(70.3キロ)王者のタワンチャイはスーパーボン・シンハ・マウインとの防衛戦を予定していたが、スーパーボンの負傷欠場により延期。米国在住のムエタイファイター=ナタウットとのワンマッチに変更となった。

2021年のONE参戦以降、シッティチャイ・シッソンピーノンにスプリット判定で敗れた以外はすべて勝利を収めているタワンチャイ。しかも判定勝利はペットモラコット・ペッティンディー戦のみと圧倒的な強さを見せている。スーパーボン戦は延期となったが、スーパーボンを含むフェザー級のトップ選手たちとの対戦が期待されていることは変わらない。

今回のインタビューはスーパーボン欠場前の9月9日に行われたもので、スーパーボンとの対戦だけでなく、ムエタイの中量級を取り巻く状況、賭けの対象からスポーツへと変わりつつあるムエタイについても及んだ。MMAPLANETとして伝えたいことが詰まっている――そんなタワンチャイのインタビューをお届けしたい。


――前回8月ONE Fight Night 13でのダビッド・キリア戦は左ミドルでキリアの腕を壊してTKO勝利という試合結果でした。あの試合を振り返っていただけますか。

「彼はもともとパンチャーなので腕を蹴ることが作戦だった。その作戦通りに勝つことができたと思う」

――ヨーロッパをはじめタイ以外の選手はミドルキックををヒザ・足でカットするのではなく、腕でブロック選手が多いです。そういう選手はずばり戦いやすいですか。

「特にそういう相手が戦いやすいというわけではないよ。選手は皆それぞれファイトスタイルを持っていて、キリアはパンチを使う選手だから腕が上がる傾向がある。だから腕を蹴ろうと思ったに過ぎない。もしキリアとは違うタイプの選手が来たとしても、自分はその選手に合わせた対策を練って戦うことができる」

――ONEのワンマッチは3Rで試合時間が短いですが、それでも蹴りを効かせる自信はありますか。

「自分にとって蹴りはメインの武器であり、キリア戦で蹴りを使ったのは彼がパンチャーだからだ。彼はいつもパンチで相手をKOしようとして前に出てくる。だから僕は自分の距離を大切にして、キリアが前に出てこられなように蹴りを使ったんだ」

――日本では3R制は蹴りよりもパンチの方が有効だという考えも多く、パンチ主体になる選手が多いです。タワンチャイ選手はそれについてどう思いますか。

「それも人それぞれの問題だと思う。自分は3Rの戦い方にアジャストすることは難しくないし、蹴りで勝つことが不可能だとも思っていないよ」

――では次戦についても聞かせてください。スーパーボン選手にはどんな印象を持っていますか。

「彼はとてもいい選手で技も多彩だ。ファイトIQも高いし、見栄えのいい試合もできる。彼と戦うことが楽しみだよ」

――スーパーボン選手も蹴りが得意なテクニシャンで、日本のファンは2人の試合がハイレベルな技術戦になることを期待しています。タワンチャイ選手はどんな試合になると予想していますか。

「本当にいい試合になると思うよ。お互いアグレッシブで攻め合うと思うから、みんなにはこの試合を楽しみにしていて欲しい」

――これまでタイの中量級(70キロ)以上の選手はタイで活躍する舞台がなく、タイ以外で戦わなければ注目を集める・稼ぐことが難しい状況でした。そのなかでONEが70キロの選手を世界中から集めて、試合を組んでいることをどう感じていますか。

「すごく良いことだと思っている。ONEのおかげで我々の階級の選手たちは海外に行かなくていいし、タイにいたまま階級を変えることなく海外の強豪と戦えることは喜ばしいことだよ」

――同じ階級のシッティチィがONE Friday Fights 32でイランのモハメド・シアサラニにダウンを奪われて敗れる波乱が起きました。タワンチャイ選手から見て、タイ以外の選手のレベルは上がっていると思いますか。

「ここ数年でタイ以外の選手のレベルはものすごく上がっていると思う。多くの選手がムエタイの流儀を学び、強くなっていることを感じている」

――ムエタイを取り巻く環境についても聞かせてください。ルンピニースタジアムでONEが毎週大会を開催し、ラジャダムナンスタジアムでもRWSがスタートしました。ムエタイ=賭けという状況が変わりつつあると思います。タワンチャイ選手はこれについてどう感じていますか。

「ムエタイがギャンブルからリアルスポーツになることは本当にうれしいよ。ギャンブルの対象としてお金が関わると、色んな人たちが試合に絡むようになるんだ。でもムエタイがリアルスポーツになれば、そういったことがない。選手は純粋に自分のスキルで勝ち負けを争うことができる。本当にムエタイが良い方向に向かっていると思う」

――例えば今の若い選手・人たちもギャンブルとしてのムエタイよりもスポーツとしてのムエタイに興味を持っていますか。

「絶対的にそうなっていると思う。ここ数年でムエタイがギャンブルからスポーツに変わり、間違いなくタイの若い人たちはムエタイに興味を持つようになった。ムエタイがスポーツになることは非常にポジティブなことだし、選手のキャリアそのものもポジティブにしてくれると思う。多くのタイ人はムエタイが賭けの対象ではなくなることを歓迎しているよ」

――今回はご自身の試合だけでなく、ムエタイの現状についてまで話を聞かせていただき、ありがとうございます。試合を楽しみにしています。

「アリガトウゴザイマス!」

■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前8時30分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN15対戦カード

<ONE暫定世界フェザー級(※70.3キロ)王座決定戦/5分5R>
タン・リー(米国)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョン・ディベラ(カナダ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ジョー・ナタワット(タイ)

<サブミッション・グラップリング無差別級/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
青木真也(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジョシュア・パシオ(フィリピン)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ジャン・リーポン(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
フー・ヨン(中国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
ジン・テホ(韓国)

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【ONE FN15】急遽タワンチャイと対戦。米国在住ムエタイ戦士・ナタウット「焦ることも、驚くこともない」

【写真】インタビューもすべて英語、淡々と試合に向けて意気込みを語ったナタウット (C)TAKUMI NAKAMURA

7日(土・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Fight Night 15。今大会でジョー・ナタウットがタワンチャイ・PK・センチャイがと対戦する。
Text by Takumi Nakamura

当初ONEムエタイ世界フェザー級王者タワンチャイ×スーパーボン・シンハ・マウインのタイトル戦が予定されていたが、スーパーボンの負傷欠場により延期。ナタウットがタワンチャイとワンマッチで対戦することになった。

ナタウットは活躍の場を広げるべく、2014年から米国Lion Fightに参戦。そのまま米国に移り住み、ONE契約後も米国に拠点を置き続けている。急遽決まったタワンチャイとの対戦を前にしても「一つの試合がブックされて、それを戦うだけ」と泰然自若に語った。またナタウットに米国のムエタイ事情も訊いた。


――スーパーボン選手の欠場により、急遽出場が決まりました。試合に向かた準備やコンディションはいかがですか。

「ショートノーティスで戦うことは分かっているし、ずっと練習は続けていた。彼と戦う準備はできているよ」

――対戦相手はONEムエタイ世界フェザー級王者のタワンチャイです。

「相手がタワンチャイだからと言って焦ることもないし、驚くこともないし、興奮することもない。一つの試合がブックされて、それを戦うだけだよ」

――対戦相手としてタワンチャイにはどんな印象を持っていますか。

「彼はとてもいいファイターだよ。みんなが知っている通り、蹴りが強い。でもそれ以外の印象は特にないね」

――彼はONEの現役チャンピオンであり、この階級のトップ選手ですが、特別な選手だとは思っていないですか。

「ONEには世界から強いファイターたちが集まっていて、彼はそのなかでチャンピオンになっている。それだけ彼はすごいファイターだと思う。ただしONEで戦うファイターは全員素晴らしいファイターだ」

――ナタウット選手は2014年~2017年まで米国のLion Fightに参戦していて、当時から米国に拠点を移して、現在も米国在住なんですよね。

「試合の機会を求めて米国に住むようになった。今は生活も、トレーニングも、仕事も、すべて米国が拠点になっている。だから試合が決まると、試合ときに米国から移動しているよ」

――タイの中量級(70キロ)以上の選手はタイで活躍する舞台がなく、タイ以外で戦わなければ注目を集める・稼ぐことが難しい状況だったと思います。それもあって米国に活動の拠点を移そうと思ったのですか。

「僕がアメリカに住んだのは試合のためだけでなく、それまでとは違う人生を送りたいと思ったからだ。強いファイターであれば、世界中どこにいてもオファーが来るし、活躍の舞台があると思う」

――米国を中心に活動しているナタウット選手ですが、最初にONEからオファーを受けた時の心境はいかがでしたか。

「今ムエタイに関してはONEが世界で一番大きな組織だから、そのONEからオファーがあるんだったら、自分もそこに飛び込みたいと思った」

――米国ではファイターとしての活動以外に指導もされているのですか。

「ムエタイを指導することがメインの仕事だ。色んな街を渡り歩き、あらゆる目的の生徒にムエタイを教えているよ」

――米国ではムエタイの試合・大会はどのくらい行われているのですか。

「米国でもプロ・アマ問わず多くの大会が開催されている」

――ナタウット選手も参戦していたLion Fightのような、いわゆるビッグプロモーションは他にもあるのですか。

「Lion Fightも大会数が減って、定期的に大会が開催されていないし、他にLion Fightのように世界各国から選手を招聘する規模の大会は行われていない。どうしても米国にはUFCがあって、格闘技においてはUFCの影響が大きい。米国でムエタイを普及・定着させるためには長い時間が必要だと思う」

――ONEは米国でもAmazonプライムで試合を見ることができます。ONEが世界的なムエタイイベントを開催していることをどう思いますか。

「ONEが大きな大会を開催することはムエタイにとっていいことで、世界的にムエタイの普及が進むと思うし、米国でもONEのおかげで毎週ムエタイの試合が見られることはとても大きい。ただし繰り返しになるけれど、米国に関して言えば、それと比較にならないほどUFCが巨大なものなんだ。米国でも少しずつムエタイが認知され始めているけれど、まだまだ時間がかかるだろうね」

――ナタウット選手はMMAの試合をやろうとは思わなかったのですか。

「それは思わなかったね。自分は立ち技・打撃が本当に好きだから。趣味程度にグラップリングの練習はしているけど、試合をするのであれば打撃の試合しかやるつもりはない」

――ムエタイを取り巻く環境についても聞かせてください。ルンピニースタジアムでONEが毎週大会を開催し、ラジャダムナンスタジアムでもRWSがスタートしました。ムエタイ=賭けという状況が変わりつつあると思います。ナタウット選手は米国在住ですが、この状況をどう感じていますか。

「自分もそれはすごく良いことだと思う。ムエタイがギャンブルではなくなることで、タイ国内でムエタイに興味を持つ人が増えているし、それはアメリカでも同じだよ」

――これからの選手としての目標、引退した後の目標はありますか。

「引退したらムエタイ以外ことも考えたいけど、それまではムエタイ選手として戦い、ムエタイをたくさんの人に教えていきたい」

――引退後もずっと米国に住む予定ですか。

「アメリカの市民権を持っているから、アメリカにも住んでいたいし、いずれはタイにも家を買って、アメリカとタイ両方で生活したいと思っている」

――それでは最後にこの試合を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをいただけますか。

「試合は目前に迫っているから、もうこれ以上言うことはない。僕もタワンチャイも戦う準備ができているから、あとは試合を見てほしい」

■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前8時30分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN15対戦カード

<ONE暫定世界フェザー級(※70.3キロ)王座決定戦/5分5R>
タン・リー(米国)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョン・ディベラ(カナダ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ジョー・ナタワット(タイ)

<サブミッション・グラップリング無差別級/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
青木真也(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジョシュア・パシオ(フィリピン)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ジャン・リーポン(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
フー・ヨン(中国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
ジン・テホ(韓国)

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【ONE FN15】10日前のオファー。手塚裕之「試合がしたい。準備期間だなんだって言ってられねぇ」

【写真】火曜日の朝にバンコクに入った手塚。まさに試合のオファーから6日しか経っていない。パスポートが切れないようにも気にしていたのだろう (C)MMAPLANET

7日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Fight Night15に手塚裕之が出場し、ジン・テホと対戦する。
Text by Manabu Takashima

2022年1月のエジソン・マルケス戦以来、実戦から遠ざかっていた手塚は、自身のキャリアの積み方に関して本気で悩んでいた。そんな彼の下に10日後のファイトという緊急オファーが届いたのは、9月27日のことだった。とにかく試合がしたい、そのために日々のトレーニングを怠ることがなかった手塚は、自分の素直な気持ちに従いバンコクへ向かった。


──9月20日に万智選手の取材で、手塚選手の実家のジムを訪れた際には「試合がない」という苦悩がにじみ出ていました。急転直下、まさかの10月7日に試合決定です。

「あの1週間後にオファーが来て……決まりました(笑)。水曜日に打診があって、木曜日に契約書にサインをしました」

──ここが不思議なのですが、代役出場でショートノーティスということではないわけですよね。

「ハイ。僕が試合をするなら、相手を探すという連絡だったんです」

──スイカで食あたりした選手がいたわけではないと(笑)。

「アハハハハ。でも、間に入ってくださった方がマット・ヒュームにも連絡をしてくれたそうなので……マット・ヒュームが動いてくれたのかなぁと。それは分からないですけど、水曜日にガレージでの練習を終えて、車で家に戻る途中にマネージャーから電話があって、『さすがに来週はないよなぁ』って。

まぁ急だったので、少し考えたいと返答して。2時間ぐらい考えて、ここで来るのも逆にいえばチャンス。急だとかなんとか言っていられないよなって。準備期間だ、なんだって言ってられねぇと思って受けることにしました」

──2日間飯を食べていないと、何を出されても食べますよね。

「まぁ、試合に関してはそれぐらいハングリーだったので」

──オファーの時点からウェルター級で?

「キャッチウェイトでも構わないということでしたけど、僕はウェルター級でアンダーなので。ウェルター級で構わないですって伝えました」

──これは私の個人的な意見です。代役でもなくて、10日の意思確認と試合決定──ファイト直前ですが、手塚選手が気の毒でならないです。選手に対して、配慮や思いやりが欠けています。周囲はどのような反応でしたか。

「驚いていました。練習を一緒にしている梅田(恒介)さんにも電話をしましたけど、『来週? 嘘でしょ』みたいな。皆、そうなりますよね。だからセコンドも見つからなくて。『来週、バンコクに行けますか』って尋ねても、行ける人はなかなか見つからないですよね。最終的には妻に頼んで、時間だけでも読み上げてもらおうかとも考えました。でも娘が今年に生まれたばかりで、水とか怖いということになって。そんななかで岡田遼選手が、セコンドに就いてくれることになったんです」

──えっ、あの独身貴族の岡田選手ですか? 

「ハハハハ。ハイ。一度、出稽古でお会いしてから同い年で仲良くさせていただいていて。今年になっても2回ぐらい栃木まで遊びに来てくれて。キャンプとかしているんですよ」

──それは意外な顔合わせでした。岡田選手は自らのジムもありますし、よくバンコク行きが可能になりましたね。

「ハイ。試合の前日に来てくれて、試合は朝なので夜には戻るっていうスケジュールで来てくれます。日曜日の朝に東京に着いて、その日はアマチュアの大会でセコンドに就かないといけないそうです。でも岡田さんは『バンコクも栃木も変わらないです』と言ってくれて」

──おお、漢ですね。

「感謝しかないです」

──と同時に、先日お邪魔した時に1年8カ月も試合から遠ざかっているのに、グッドシェイプを保っているのだと感心させられました。

「ありがとうございます。練習をし続けていたからこそ、チャンスが巡ってきた時に行くことができました。準備をしていれば、いつかチャンスが回ってくると信じるしかなかったです。そこを信じることができなくなると、続けられなかった。練習自体も好きですけど、いつでも行ける準備はしていました。だから、ありがたいです」

──この間、ショートノーティス出場は常に頭にあったでしょうが、それでもやはり2週間ぐらいを想定していなかったですか。

「ハイ。このオファーが来て、2週間じゃショートノーティスではないと思うようになりました(笑)。前回の試合も1週間前に相手が代わりましたし。だから対戦相手の研究とか関係ないですよね。何が起きてもやっていける自信があります。海外で戦っていくということは、こういうことなんだと。ここで戦うモノなんだと」

──同じく急遽試合が決まった対戦相手のジン・テホに関して、どのような印象を持っていますか。

「彼はインスタで『全然試合が決まらないから、やろうぜ』ってメッセージを送って来ていて。だから、彼も試合機会に恵まれていなくて同じ境遇だったのでしょうね。選手としてはリーチが長い。ワンツーとか遠い距離で戦うけど、蹴りはない。かといってボクシング&レスリングでもなくて、自分からテイクダウンは狙わない。四つ組みでも背中を見せてバックを取らせてアームロックを狙う──そんなイメージです」

──桜庭和志選手と同じようなファイトショーツを履いている選手ですね。

「桜庭選手リスペクストが凄いです。だから、ああいうアームロックを狙うのか。変則的で、現代MMAではなくてUWFの回転体という印象を持っています」

──Double GFCの元ウェルター級王者です。

「元々はライト級みたいで、DEEPと修斗に来日して大原樹理選手、川名雄生選手に負けています。対戦相手の対策の時間もなかったですけど、何もさせずに圧倒します。自分のやるべきことをやる。自分の動きができれば必ず勝てます。打撃、組み技でも劣っているところはないです。一発のキムラとか気を付けて舐めることなく、大きく見ることもなく戦えば、必ずフィニッシュできます。

あと無観客が2試合、前回は少しだけお客さんに席が開放されていた大会で。今回は満員のルンピニー・スタジアムで久しぶりに戦えるのは楽しみです」

──ところで手塚選手がリングで試合をしているというイメージが一切ないのですが、今大会はリングが使用されます。

「アマチュアも米国でケージだったので、リングで試合をしたことはないんですよ。なんでまぁ、初めてなんです。けれども壁レスを使って倒すタイプでもないし、リングだとコーナーがあるのでプレッシャーをかけて詰めやすい。だから不安要素としては捉えていなくて、自分にとってメリットというか、優位に働くかと思います」

──ここで勝てば、言いたいことがあるかと思います。

「もっと試合させてくれってことですね(笑)」

──その権利を得るために、どのような試合をしたいと思っていますか。

「ここまで積み上げたモノと溜まったモノを、全部ぶつけて勝利を掴もうと思います。しっかりやります。それに海外で日本人選手が勝てていないんで、このままだと日本のMMAが舐められてしまいます。ここでジャパニーズ・ビーストが、盛り上げようという気持ちで戦います」

■放送予定
8月5日(土・日本時間)
午前8時30分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN15対戦カード

<ONE暫定世界フェザー級(※70.3キロ)王座決定戦/5分5R>
タン・リー(米国)
イリャ・フレイマノフ(ロシア)

<ONEキックボクシング世界ストロー級選手権試合/3分5R>
[王者]ジョン・ディベラ(カナダ)
[挑戦者]ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<キック・フェザー級/3分3R>
タワンチャイ・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ジョー・ナタワット(タイ)

<サブミッション・グラップリング無差別級/10分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
青木真也(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジョシュア・パシオ(フィリピン)
マンスール・マラチェフ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ティモフィ・ナシューヒン(ロシア)
ジャン・リーポン(中国)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
フー・ヨン(中国)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之(日本)
ジン・テホ(韓国)

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Black Combat Black Combat05 DEEP MMA MMAPLANET o ROAD FC YouTube イ・ソンハ キム・ジュンギュン キム・ジョンフン キム・ミンウ ジン・テホ チェ・ウォンジュン ブラック ホン・イェリン ユン・ダウォン 中村大介 大原樹理 大島沙緒里 山本聖悟 海外 赤沢幸典

【Black Combat05】対抗戦でユン・ダウォンと対戦、大原樹理─02─「今の僕があるのはDEEPのおかげ」

【写真】DEEPの王者として勝利し、もう一つベルトを狙うことはあるのか。そのストーリーラインをブラックさんは受け止めることができるのか (C)BLACK COMBAT

4日(土・現地時間)、韓国はスウォンのスウォン・コンベンションセンターで開催されるBlack Combat05「Song of the Sword」で、いよいよ実現するBlack CombatとDEEPとの対抗戦。団体の威信が相当に掛かっている対抗戦、その次鋒戦に出場する大原樹理インタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

DEEPへの想いは誰にも負けない大原の対抗戦出場、しかも大原にとっては今回が初の海外遠征となる。インタビュー後編では対戦相手のユン・ダウォンについて、さらに対抗戦の勝敗予想も語ってくれた。

<大原樹理インタビューPart.01はコチラから>


――今回の対抗戦の話が出る前から、Black Combatの存在はご存じでしたか。

「いえ、全く知らなかったです。試合が決まってから過去の動画を視たぐらいですね。大晦日のライト級王座決定戦も視ました」

――イ・ソンハがキム・ジュンギュンを判定で下した試合ですね。イ・スンハの体型や試合スタイルは、大原選手に近いのではないですか。

Black Combatライト級王者イ・ソンハ

「あぁ、そうかもしれないですね。

であれば次の対抗戦で勝って、現チャンピオンに喧嘩を売ったほうが良いですか? タイトルを賭けて試合しようよって(笑)」

――実際、試合直後に次の対戦相手と煽り合う場面は多いです。

「ああいうふうにYouTubeが中心で、煽り合っていくスタイルも良いんじゃないですか。あれはあれでアリだと思いますよ。対抗戦のメンバーが決まっていくのをドキュメンタリー風に見せていて、面白いです。ただし文化の違いもあるので、DEEPは今のままで良いんじゃないですかね」

――今の格闘技界は、YouTube以外にもSNSを活用することが求められる風潮があります。その点については、どのように思いますか。

「僕があまりSNSを活用していませんからね(苦笑)。それは選手によりけりで。自分としては試合が決まったことだけをSNSで伝えて、あとはゴチャゴチャ書かずに試合を見てっていうほうがカッコ良いんじゃないかと思います。古いタイプなんですかね? SNSで言い合うよりは、煽り映像を撮ってくれたほうが嬉しいです」

――今回のBlack Combatとの対抗戦出場が、大原選手にとっては初の海外での試合になります。

「今の僕があるのはDEEPのおかげなので、DEEPから出てほしいと言われれば出る。常に会長とも、そう話をしています。特に今回はDEEPの代表として敵陣に乗り込むわけで、良かったと思います」

――初の対抗戦に、現役王者である大原選手が出場すると知って驚きました。佐伯さんは最初から対抗戦に勝利する気マンマンなのだと。

「そうですよね。ユン・ダウォンはMMA戦績が5勝3敗1分で、しかも最近は勝ったり負けたりという結果じゃないですか。もちろん韓国人選手は戦績だけで判断できないです。でも直近の試合(昨年11月、ショフルフ・ニヤズマトフにRNCで勝利)を見たんですよ。それで『あぁ、なるほど……』と思いました」

――含みを持たせた言い方ですね。

「アハハハ。ユン・ダウォンって、2017年12月にDEEPで横田(一則)さんと対戦して、キムラで一本負けしているじゃないですか。その試合も見たうえで、『あれから何が成長しているんだろう』と思ったんですよ」

――横田戦は完全に組みの展開で進めていたのに、ここ最近は打撃戦を主軸にして寝技でフィニッシュを狙うという展開が多いです。

「だから結局は組みの選手だと思うんです。組みやすくするために打撃を散らしている印象があります。でもちゃんと組めているかといえば……」

――今の韓国人選手は、再び組みより打撃のほうが多くなる傾向にあります。

「そう考えると、あれは自分の得意なスタイルではないかもしれないですよね。僕との試合ではどう出て来るか分からないですが、やっぱり打撃をやりながらテイクダウンを狙いに来るのでは――という感じです。

でもあの打撃で来てくれるなら、僕はやりやすいですよ。すぐテイクダウンに来るなら来るで、別に構いません。僕は寝技に付き合うつもりは一切ないですし」

――ここ最近、ユン・ダウォンはライト級からフェザー級に落として試合をしていました。その分スピードも落ちていたように思いますが、それがライト級に戻して戦うことで何か影響はあるのでしょうか。

「いや、条件は変わらないと思いますよ。僕も一時期はフェザー級で試合をしていて、今も――試合で動けるかどうかはともかく――フェザー級に落とそうと思えば、落とせます。単にフェザー級が自分に合っていなかったというだけで。まぁ階級を戻しただけで勝てるなら、苦労しないッスよ(笑)」

――そうですね、失礼いたしました(笑)。大原選手と韓国人選手の試合といえば、2015年7月のRoad FC日本大会で、イ・グァンヒに敗れたことを思い出します。

「ありましたねぇ。僕にとっては、あの大会が初めてのビッグイベント出場で。相手の映像を見ても、『これはKOするかKOされるかの試合になる』と思いました。結果は、僕のほうがKOされてしまいましたね。韓国人選手との試合といえば、2016年4月にフェザー級でジン・テホに判定勝ちしたぐらいです。

当時と比べて、自分は打撃の質が向上しました。打撃の破壊力が増して、さらに組みから全て底上げされています。アウェイでの試合はちょっとでも分かりにくい内容だったら、判定は相手のものになると思っているんですよ。だから今回は最初からガツガツ行きますね」

――試合を楽しみにしています。最後に今回の対抗戦は、どのような結果になると思いますか。

「自分の対戦相手以外だと、まだ無差別級の出場者決定戦しか見ていないですけど……DEEPとは歴史が違いますからね。今回の対抗戦に出るのは、そのDEEPで鎬を削ってきた選手です。それこそ全勝して、DEEPは強いっていうところを韓国のファンにも見せて帰国したいですね」

■ Black Combat05対戦カード

<無差別級/5分3R>
チェ・ウォンジュン(韓国)
赤沢幸典(日本)

<フェザー級/5分3R>
キム・ミンウ(韓国)
中村大介(日本)

<バンタム級/5分3R>
キム・ジョンフン(韓国)
山本聖悟(日本)

<ライト級/5分3R>
ユン・ダウォン(韓国)
大原樹理(日本)

<女子アトム級/5分3R>
ホン・イェリン(韓国)
大島沙緒里(日本)

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