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【RIZIN LANDMARK09】金網初勝利なるか。シン・ユリ戦へ、RENA 「日本だと、ここまで練習できてない」

【写真】タイガームエタイのウェアが新鮮!!(C)SHOOTBOXING

23日(土)、神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されるRIZIN LANDMARK09で、RENAが韓国のシン・ユリと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

シュートボクシングの女子世界トーナメント『Girls S-cup』を3連覇したRENAが、MMAを戦うようになったのは2015年大晦日のこと。それはRIZIN01の第1試合――まさにRIZINの幕開けはRENAが飾ったのだった。

以降MMAを続けるRENAは、SB時代に経験したことのない壁にぶつかる。浅倉カンナ戦、Bellatorのリンジー・ヴァンザン戦、そして昨年4月のクレア・ロペス戦……。こうした敗戦の中で、もう一度SBで戦うのか。あるいは引退するという選択肢もあっただろう。しかしRENAはロペス戦以来、1年ぶりのMMAマッチに臨む。タイのプーケットにあるタイガームエタイで練習しているRENAに、自身のMMAと現在、そして未来について訊いた(※取材は3月5日に行われた)。


――お久しぶりです。今回がMMAPLANET初登場で、個人的にもお話を訊くのは2016年1月以来となります。あの時は2015年大晦日に、初のMMAで勝利したことを受けてのインタビューでした。

「お久しぶりです! もうそんなに経ちますか。確かに気づいたら6~7年ぐらいMMAをやっているんですよね」

――今回はタイにいるとのことですが、まずはプーケットのタイガームエタイで練習している理由から教えていただけますか。

「次の対戦相手がストライカーであることと、私自身の持ち味もストライキングじゃないですか。プラス今はMMAの練習環境も充実していることを考えて、タイに行こうと思いました。連絡したらタイガームエタイさんも快く受け入れてくれるということで、『今しかない!』と考えたんですよ」

――これまでタイで練習したことはあったのですか。

「ありましたけど、かなり昔のことですね。しかも2~3日ぐらいの期間で、こんなにガッツリ滞在するのは初めてです。今回は2月9日にタイへ来て、本当は2週間ぐらいで日本に帰る予定でした。でもすごく波長が合って――慣れて来ると動きも良くなってきたし、『これはもったいない。もう少しタイにいよう』って滞在を延長したんですよ」

――現在、タイのMMA環境も充実しているようですね。

本田良介、本野美樹、カイラット・アクメトフらと(C)SHOOTOBOXING

「まずトレーナーさんが充実しています。

タイ人だけでなく、欧米から来たトレーナーさんも多くて。逆にタイ人はあまり見ないぐらいですよ」

――えっ!? そうなのですか。

「タイガームエタイだけなのかどうかは分からないけど、カザフスタンとかの中央アジア系や、ロシア系の会員さんも多いみたいです。女子は中国系の方がいるぐらいで、そのあたりは時期によっても違うと聞きました」

――なるほど。タイで練習していて『波長が合ってきた』と感じるのは、どのような点なのでしょうか。

所英男、望月貴史、野村駿太、金原正徳と(C)SHOOTOBOXING

「まず日本にいたら、ここまで練習できていないです。

自分の年齢はもちろん、環境的にも」

――環境というのは……。

「日本って選手が昼間はお仕事をして、夜しか練習できないということが一般的じゃないですか。そのため、みんな夜遅くまで練習していることが多くて。でもタイに来たら朝練習して、昼と夕方にも練習して1日が終わる。練習パートナーにも困らないし、パーソナルで指導してくれるコーチやトレーナーもたくさんいます。気候も良いですしね。

日本にいると何でもあって、どこにでも行けるし、いろんな誘惑があるじゃないですか。タイに来ると、そういうものがないんです。娯楽といえばサウナぐらいで(笑)」

――アハハハ。

「これだけ格闘技に集中して練習できているのは久しぶりです。日本で朝8時から体を動かすことはないですからね。タイガームエタイの他にもSBの笠原弘希がONEに出た時(2月24日、ONE FF53)、私もバンコクへ行って2日間、スーパーボンジムで練習させてもらいました」

――RENA選手といえば、SBの試合では三日月蹴りを含む前蹴りを起点に試合を展開させていました。MMAでも三日月蹴りでKOしたことはありますが、SB時代よりも出す数は少なくなっていると思います。その点で、タイで練習したことにより打撃面で変化した部分はありますか。

「技術はともかく、意識面は変わったかなと思います。やっぱりMMAだと、ムエタイやキックボクシングのようには蹴らなくなるじゃないですか。蹴り足を取られる、あるいは蹴りのあとに組まれてしまう――それが定番だから、あまり前蹴りを出さないようにと思っていたりはしました。

でも試合で蹴りを出すか出さないかは関係なく、タイのジムではとにかく蹴らされるんですよ。立ち技とMMAではスタミナの使い方も違うしって最初は思っていたけど、昔の感覚が戻ってきている気はしますね。『私、動けるじゃないか』って。もちろん実際に試合をしてみないと分からないです。でも消えていた自分の良さを、タイに来て少しずつ取り戻せている感覚はありますよ」

――何がどうであろうと蹴らされる環境の中で、MMAに対して抱えていた不安も解消されつつあるのですね。

「ただ蹴るというだけでなく、ミットを持ってくれているタイ人のコーチも、今はMMAをやっている人なんです。だからミットの中で、蹴り足を取ってテイクダウンに来る動きも入れてくれますし、MMAに近いミットができているという良い感触があります」

――2015年大晦日にRENA選手がMMAを戦うと聞き、正直言って少し不安はありました。Girls S-cup世界トーナメント3連覇をはじめ、あれほどSBという競技を究め続けていたRENA選手が、新しい競技に挑戦するのは……と。MMAデビューしたあとは6連勝していましたが、その時は自分にMMAは合っていると考えていましたか。

「いやいや、今も自分に合っているとは思っていないです。毎回『もうMMAは辞めていいんじゃないかな』と考えているぐらいで。最初は本当に、あの1試合だけのつもりだったんですよ。でも跳びつき腕十字で勝ち、流れ的に辞められなくなって……」

――流れ的にというのは? あの勝利でMMAファイターとしてのRENA選手に対する期待が大きくなったのでしょうか。

「期待も大きかったですし、RIZINもどんどん大きくなっていって。その中で、女子の試合に注目してもらえるキッカケにはなったと思います。山本美憂さんのようなレジェンドの方も出てきてくださったり。そうして、どんどん注目が集まってきたので、自分ももう少しMMAを続けないといけないなって考えるようになりました」

――「MMAを続けないといけない」というのは、RENA選手にとってポジティブな思考だったのですか。

「はい。格闘技を十何年もやってきて、常に何か新しい刺激がないとダメな人間なんですよ。だからあの時、MMAという新しい競技に挑戦することは楽しかったです。今でも『私にMMAは向いていないな』と思うことはありますよ。だけど楽しいから今も続けることができている。それは間違いないです」

――自分自身がMMAに向いていないと思うのは、どのような時ですか。

「MMAって女子の中では、組み技系の選手のほうが有利だと思うんです。男子みたいに一発のパンチで倒れることが多いわけではないので。私にも打撃という武器はあるけど、MMAでは不利だなって感じることもあります」

――とはいえ、MMAであれだけの左ボディを打てる女子ファイターもいないとは思います。

「ウフフフ。今はもっと進化していますよ」

――RENA選手のMMAキャリアの中で最初に訪れた岐路は2019年6月、ベラトールでリンジー・ヴァンザンに敗れた時だったように思います。RIZINで浅倉カンナ選手に連敗を喫したあと、さらに北米でも……。

「昔のことなので細かいことは忘れてしまいましたけど――MMAは辞めようかなって思いましたよ。でも毎回『ここで辞めてもなぁ』と考えるんです。MMAを始めたからには、自分が満足いくまで続けたい。自分の心と体がもつまで」

――……。

「もう自分の最終章に入ったと思っています。あと何試合かはできるかもしれないし、次の試合で終わりかもしれないし。今は一戦一戦、『これで終わってもいい』という気持ちで試合に臨んでいますね」

――RENA選手に初めてインタビューしたのは、まだ17歳で高校生の頃でした。当時は「25歳で引退する」と言っていませんでしたか。

「そうなんですよ。25歳で引退して、26歳で結婚して27歳の時には子供がいる予定だったのに、気づいたらもう32歳になりました(笑)」

――実際、25歳の時に一度は引退を考えたのでしょうか。

「それが25歳の時に、RIZINが始まって私もMMAをやることになったんです。あの時にRIZINが始まっていなかったら、私も格闘技を辞めていたと思いますよ」

――先ほど「MMAを始めたからには、自分が満足いくまで続けたい」と仰いましたが、RENA選手の性格的に自分の試合で満足することはありますか。肉体的な疲労や負傷はともかく、気持ちの面で。

「アハハハ! 確かにそうですね(笑)。タイに来たら、メチャクチャ体も動いていますし。『私、こんなに動けるんだ』っていうほどに」

――では満足していないのは、どのような点なのですか。実績として誰かに勝ちたい、RIZINのベルトを巻きたい……といった基準なのでしょうか。

「RIZINに出ているかぎりは、あのベルトを巻きたいとは思います。でも今はベルトに対して、そこまで執着しているわけではないです。自分が満足するために、自分のために自分の戦いがしたい。そういう気持ちのほうが強いですね。応援してくださる方は、私がベルトを巻く姿を見たいかもしれないけど、今はとにかく一戦一戦――です」

――正直なところ、昨年4月のクレア・ロペス戦でもRENA選手が大きな岐路に立たされたと思いました。それまでに何度も引退について口にしていて。

「だって、あのまま辞めたらカッコ悪くないですか」

――その気持ちがファイターであり、RENA選手らしさなのだと思います。

「あの試合が最後になるのは嫌だなって思いました。やっぱり勝って終わりたくて。ベラトール、ロペス戦とまだケージで勝っていないですしね。次の試合もケージになりましたけど、逆に変なジンクスとか考えないようにしたいです」

――対戦相手のシン・ユリは、これまでケージの中で戦ったファイターとは違い、ケージを生かした組み技を見せるタイプではありません。

「完全に打撃系の選手ですよね。もちろん組んで来ることも想定はしています。私としてはスッキリと1RでKOしたい。最近はなかなかKO勝ちできていないので、スカッと早期決着で終わらせたいです」

――なるほど。とにかく今のRENA選手の様子を見ていると、以前よりも格闘技を楽しんでいるように感じます。

「楽しいですよ! それと、大人になりましたから」

――30歳を過ぎましたからね。

「大人になったんです!」

――失礼しました(笑)。では次の試合への意気込みをお願いします。

「今回は相手云々より、自分の気持ちがテーマです。自分の戦いに満足したい、自分らしさで楽しみたいと思っています。思いっきり、はっちゃけたいですね」

■視聴方法(予定)
3月23日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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45 MMA MMAPLANET o ONE ONE FF54 キック サンザール・ザキロフ 本田良介

【ONE FF54】パンチ&蹴りからのTDにラグがないザキロフが、本田良介を削ってパンチでTKO

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
サンザール・ザキロフ(ウズベキスタン)
Def.2R3分38秒by TKO
本田良介(日本)

サウスポーの本田に対し、スイッチしたザキロフがすぐにオーソに戻して右ミドルを蹴る。距離が近づきクリンチの攻防になると、ザキロフのヒザが本田の急所を直撃。しゃがみこんだ本田にインターバルが与えられる。再開後、ザキロフは右ハイを空振り。本田は左ストレートを伸ばして、左インローを蹴る。構えを変えて前に出るザキロフが左から右ハイを狙う。フックに組んだ本田はヒザ蹴りも、ダブルレッグで尻もちをつかされる。ギロチンに取った本田はがぶってヒザを頭部に入れるが、ザキロフが立ち上がってダブルレッグを決める。スタンドに戻った本田に対し、右を当ててダブルレッグで本田を持ち上げたザキロフがスラムでトップを取ると、バックへ。

本田は立って離れるが、パンチに続く右ミドルを蹴られ、続くハイはかろうじてガードする。ザキロフの組みに右ヒザを見せた本田だが、組まれてコーナーに押し込まれる。左エルボーを入れ、右を打ち込んだザキロフがテイクダウンを決め、ハーフから殴る。本田はクローズドに戻し、レッスルアップ&シングルレッグへ。ザキロフがギロチン、リバーサルでトップへ。スクランブルの本田は背中を譲り、RNCを狙われる。即座に胸を合わせて離れた本田だが、パンチと蹴り──そしてテイクダウンのコンビにリードを許した。

2R、ザキロフはオーソで右カーフ、続いてミドルから即ダブルレッグへ。倒された本田はクローズドガードを取り、スクランブルで背中を取られることなく離れる。ザキロフは飛びあがるようにスピニングバックキックを見せ、ワンツーを入れて組みつく。本田はコーナーを背負い、シングルにギロチンを合わせると、間合いができたところでアームドラッグを見せてワンツーを打つ。

綺麗にパンチを入れた本田だったが、ザキロフが直後にダブルレックから腰を抱えてテイクダウンに成功する。ハーフから立ち上がった本田に対し、ザキロフはパンチ&蹴りで距離を詰めてから首相撲、ヒザをアゴに突き上げる。腰から崩れた本田は、ガードから潜ってスクランブル──スタンドに戻ったが、ヒザ蹴りやロングのパンチを受け、右フックを被弾したところでレフェリーが試合をストップした。

「なぜだ?」という表情を浮かべた本田だが、軸が乱れており──やり切れてはいないものの致し方ないストップといえる。それにしてもザキロフ、パンチばかりか蹴りからのテイクダウンのラグの無さが凄まじく、この20歳のファイターは本戦級の強さを持っているだろう。


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45 AB MMA MMAPLANET o ONE ONE FF54 RIZIN RIZIN LANDMARK08 RYO   サンザール・ザキロフ ルンピニー 本田良介 海外

【ONE FF54】11勝0敗のウズベク人ファイターと対戦、本田良介「判断能力と対応力がついてきた」

【写真】帰る場所のある人間は、それだけで強いです(C)MMAPLANET

8日(金・現地時間)、これから1時間半後にタイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE Friday Fights54で本田良介がサンザール・ザキロフと対戦する。
Text by Manabu Takashima

12月のONE FFデビュー戦に続き、2度目のルンピニー登場となる本田。実はこの間にRIZIN佐賀大会出場という話も聞かれていたが、契約の関係で実現しなかった。ここで落胆しないのが、プーケット在住──悟りのように、強くなることに人生を振り切った本田の強さだ。キャリア11勝0敗の中央アジアの新鋭との対戦について語る言葉から、本田のThe Way of MMA Lifeが感じられる。


――明日の試合に向けて、無事計量を終えたということですが対戦相手のザキロフもOKだったのでしょうか。

「多分大丈夫だと思います。相手の計量結果を見たわけではないですけど」

──そうなのですか。その場で確認とかはされないのですね。

「そうですね。まずフェイスオフがあって、それからハイドレーションと体重測定で。計量が終わったら、それぞれタクシーでホテルに戻るような感じでした」

──フェイスオフが計量前にあるということですね。

「ハイ。僕は言われたことをやるだけですね。まぁ、フェイスオフは計量が終わってからやれば良いのにとは思いますけど(笑)」

──そんななか2度目のルンピニーですが……どうしても、聞いておきたいことがあります。

「えっ、なんですか」

──ズバリRIZIN LANDMARK08、佐賀大会に本田選手はオファーを受けたけどマッチング期間で出場できなかったと。

「あぁ、そのことですか。アハハハハ」

──他の選手なら話題にできないですが、本田選手は常々「人生は思い通りにならない」と言い続けてきた。なので引きずることなく、気持ちも頭も切り替えることができていると思ったので。

「全くその通りです(笑)。なるようにしか、ならない。戦いたい大会で試合ができなかったからって、練習をしないということじゃないですからね。色々なタイミングや状況、それこそ契約なんて絶対で──できないことと、自分がやるべきことは別モノなんで。割り切っているというより、そういう時だからこそ練習をして気持ちもスッキリしていくタイプなので。

もちろん、九州の大会だし地元の皆の前で戦いたいというのはありました。応援してくれる人たちにも『日本で戦うところが見たい』と言ってもらって。同時に、『自分が海外でやっていくと決めたんだから、自分のやりたいようにやれば良い』と言ってくれる人もいました。それこそ僕は今、タイガームエタイにいてタイで戦えることが強味なので」

──九州で試合をして、また試合間隔があいてしまってもしょうがない?

「ハイ。こっちにいる間に、なるべく試合をしたいです。実際12月にして、3月にできる。当然、勝っていることが前提だとは思いますが。RIZINという誰もが知っている団体からオファーを貰えたことだけでも、僕にとってはステップアップなので」

──素晴らしいポジティブン・シンキングですね。そこで迎えるザキロフですが、キャリア11勝0敗のウズベキスタン人ファイター。いやぁ、痺れます。ここで、そういうファイターと戦うという事実に。

「むしろ、そういう人と戦いたいので。若くて、強いという特典つきの人と。アハハハハ。ただし、どんな戦績を持っていても僕と戦うのは初めてなわけで。それは僕も、そうだし。レコードとかはあってないモノだと思っています。余計なことは考えない。

色んな国があって、その国にはその国のMMAのレベルがというものがある。僕の戦績(※12勝3敗1分)を見て、『それは日本での試合だろう?』って思う人がいるかもしれないですし。僕はこうやって海外にいて、相手のレコードを見ても戦ってきた場所が違って、レベルも違うから、そんなに気にせずに……やる」

──動き的にはどうですか? あの長いリーチを生かして、組んでバックを取るというのは嫌な動きに感じました。

「アタックの回数ですよね。アタックの回数が多い。でも、それが今のMMAで。どれだけアタックができて、どれだけ守備に回らないか。それが前提にある15分間を戦うのが、MMAです」

──なるほど。

「ちょっと前まで、そういうことも考えられなかったです。出し切っていくなかでつまるところにつまれば極まるし、終わる。そうじゃなかったら判定で勝つために、アタックしないといけない。15分間でやり切ることが明確になったと思います」

──その意見を聞くと、ザキロフは3Rに疲れる風にも見えます。

「ハイ! 結局はリングで向かい合った時に現地調達された情報……疲れ具合とかですね。そこで判断をしないと。その時の判断能力と対応力がついてきたので、僕としてはストレスなくどんどん動けるようになってきました」

──テイクダウンを切って戦う。組ませずに戦う。どちらが理想ですか。

「入らせないで戦うことも学んできて。日本にいる時は組んでくる相手があまりいなかったから、来てほしいという想いがありました。でも、まぁ、わかんないや(笑)。何でも来いやって。全部したいから楽しみで!!

僕自身の動きは決まっている……そして、微妙に変えることができる。その調整は、色々な材料がないとできなくて。その材料を練習で増やしてきたつもりです」

──そこを瞬時にして、試合で繰り出せる?

「その自信はあります。距離設定とかはあっても、その距離設定も距離を取りたいわけでも組みを切りたいわけでもなくて。自分が何でもできる、距離にいるっていうことなんです。いや、ちゃんと話せていますか?」

──もちろんです。逆に分かりやすいです。テイクダウンを切るのは防御で。パンチをかわすのも。でも、その防御する精神構造の根底が攻撃的であること。そうでないと、自分の攻めが死んでしまうように思うようになりました。

「そうだと思います。リズムがあって、上手くいっている時はリズムに乗って動くことができる。でも、上手く行っていない時もそれが必要で。仕掛けて来られたことに対して、上手く対処するために自分のリズムを創る。オフェンスもオフェンスで、自分でリズムを創る。そういうことですよね」

──リズム、そうですね。考えていたことが、より明確になった気がします。いやぁ、楽しみです。本田選手が日本で戦っていた時と比較して、戦いの幅が広がって強くなっているところを拝見するのが。

「ありがとうございます。そうなるために来て、そうなれているので。リラックスしているというか、フラットにやっていくつもりです(笑)」

──最近、ロータス世田谷勢のMMA用語で自分の得意な形に持っていくと、オアシスという言葉を使うそうなんです。もうタイガームエタイにいること自体が、ロータス用語を使うと本田選手にとってオアシスなのですね。

「アハハハハ。だってロータス用語っていうか、オアシスはオアシスじゃないですか(笑)」

──ハハハハ、確かに。オアシスをエンジョイする本田選手のファイト、楽しみにしています。

「ありがとうございます。どこのジム名を所属先として名乗って良いのか、分からなかった僕の格闘技生活で、タイガームエタイという居場所が本当にできたと思っています」

■放送予定
3月8日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT

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【RIZIN LANDMARK08】伊藤裕樹と対戦、上田将年「RIZINに出られて『おめでとう』のモヤモヤは……」

【写真】上田将年の言葉は、日々を生きる市井の人々に活力を与える (C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 8 in SAGAにて、上田将年が伊藤裕樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

目の前にある困難から逃げない。自分に嘘をつくようなキャリアを送りたくない。それが2011年3月のプロデビューから13年もの間、上田がMMAファイターとして貫いてきた信念だ。その信念ゆえに厳しい1年――鶴屋怜と伊藤盛一郎に敗れた2022年を経て、昨年11月には地元・福岡でモンゴルのツェルマー・オトゴンバヤルを下し、再起を果たした。2014年初戦は、同じ九州の佐賀での試合となった上田。しかも伊藤裕樹という強豪を相手に、今回も上田は自分の信念を貫く。


――RIZIN初の佐賀大会で伊藤裕樹選手と対戦することが決まりました。上田選手にとっては昨年11月、福岡で開催されたBloom FCのオトコンバヤル戦に続き、九州で2連戦となります。

「まさか今回も九州で戦えるとは思っていなかったです。感慨深いし、嬉しいですね」

――福岡を拠点にMMAを戦う上田選手ですが、九州での連戦は2013年以来、10年振りです。オトコンバヤル戦は福岡開催ということで、応援団も多かったのでしょうか。

「はい。現役を続けるなかで、地元でも多くの人たちが応援してくれています。自分の中でもずっと『福岡で試合がしたい』という気持ちがありましたし、実際に地元で試合をして勝つことができたので、嬉しいという気持ちが一番です」

――試合としては、オトコンバヤルとのタフファイトを判定で制しました。あの試合内容と結果については、いかがですか。

「モンゴルから未知の強豪を呼んでいただき、勝つことができました。その結果については満足しています。でも改めて試合映像を見返すと、内容に満足できている部分もあるし、満足できなかった部分もあります。まだまだ納得がいかない点がある――それがずっとMMAを続けている理由なのかもしれないですけど(笑)」

――オトコンバヤル戦で満足できている部分と、満足できていない部分とは?

「試合前から決めていたのは、絶対に自分から仕掛けることでした。どんどんアクションを起こしていく。いろんな人から『上田君は自分から仕掛けた時は強い』と言われます。一度戦ったことのある猿飛流選手や小川徹選手にも、そう言われました。だから何があっても常に自分からアクションを起こしていく。そのことを意識して、自分から試合をつくることができたのは満足しています。逆に満足できていないのは――これは言っていいことかどうか分からないんですけど(苦笑)」

――何でしょうか。

「何度も極められるチャンスがありました。本当に自分がファイターなら、バシッと極めることができたと思うんです。折るとか、完全にタップさせるとか。これは過去にも何度かあったことで、変な優しさというか、緩めてしまった部分があって」

――緩めた、とは……。

「終盤に腕十字が入った時、バキバキと音も鳴っていて。そのままバキッと折ることもできました。でも、それはファイターとしてどうなのかなと考えてしまったんです。そう考えてしまう自分は、ファイターに向いていないのかもしれません」

――えっ!?

「もし自分がいっぱいいっぱいの状態であれば、完全に極めないと負けるって考えるはずです。でも1R、2Rの段階でグラウンドについては差があると感じました。だから3Rに入り、相手に対して『タップしてくれ!』という気持ちがあったことは事実で。相手も苦悶の表情を浮かべていましたし、自分の中では『このまま折りたくない』と……。結果、それ以上は先に進めることができなかった。自分の精神的な弱さが出てしまいました」

――それは優しさでも弱さでもなく、ゲームコントロールの範囲ではないでしょうか。3Rに極めきらずとも判定で勝てる。3Rもあの展開で上田選手がスタミナを使った末、オトコンバヤルが頭を抜いてトップをキープすれば、上田選手にとって危険な展開になったかもしれません。2連敗で迎えた地元の試合で、確実に勝利を狙いに行くのも当然だと思います。

「そうですね……。オトコンバヤル選手が結構パンチを振ってくるファイターであることは分かっていました。その相手が3R通じてテイクダウンもグラウンドも警戒している。僕は組んでしまえば怖くなかったし、2Rまで終わった時点で『もう負けることはない』と考えていました。あとは予想以上というより予想外にオトコンバヤル選手がタフで」

――確かにオトコンバヤルのタフさは、全く予想できないレベルでした。他の選手であれば1Rの後半、上田選手が腕十字に入った時にタップしていたように思います。

「序盤に三角も十字も深く入っていたので、『ここで終わるかな?』と考えたりもしました。でもオトコンバヤル選手のハングリー精神というか、『ここで絶対に勝ちたい』という気持ちはすごく伝わってきましたね」

――『上田君は自分から仕掛けた時は強い』という声が出たのは、鶴屋怜戦と伊藤盛一郎戦は見すぎた部分があったということでしょうか。

「あの2試合に限らず、自分は試合になると見すぎてしまう部分があるんですよ。一度待ちに入ってしまうと悪循環というか2R、3Rも動けなくなってしまう。だからオトコンバヤル戦については動きが雑になっても良いので、とりあえず自分から触ってスクランブルをつくる。スクランブルをつくり、相手の息が上がってしまえば何とかなると考えていました」

――上田選手との試合後、伊藤盛一郎選手はパンクラスのベルトを獲得し、鶴屋選手はRoad to UFCで優勝しました。

「鶴屋君に関しては、素直に嬉しかったです。鶴屋怜の強さを体感した者としては、彼がUFCと契約するのは当たり前だと思っていました。でないと、自分が報われない(笑)」

――アハハハ。

「伊藤盛一郎選手の戴冠については悔しいです。自分が何もできずに負けていれば、こういう気持ちにもならなかったでしょうね。でも1Rに自分がポイントを取って、気持ちに余裕が生まれました。すると2Rは入り方が雑になってしまい、そこからグラウンドに持ち込まれ、何もできずに負けて。

チャンスがあれば伊藤選手にもリベンジしたいですね。今はパンクラスで1年以上試合をしていないのでランキングから外れていますが、また勝って行けばチャンスはあると思いますし。Bloom、RIZINと戦っていくなかで、必ずパンクラスにも戻ります」

――なるほど。その意味では絶対に負けられなかった、地元でのオトコンバヤル戦で勝利を掴みました。ここで負けていればRIZINで、しかも伊藤裕樹選手という強豪との試合が組まれていたかどうかは分かりません。パンクラスとDEEPのタイトルマッチ経験者同士、日本フライ級でも上位の対決となります。

「オトコンバヤル選手に負けていたら、たとえ佐賀大会に出たとしてもオープニングファイトで若手選手と――といった試合になっていたかもしれないですね。そうなると、自分はオファーを受けていなかったと思います。だから今回、対戦相手として伊藤裕樹選手を提示された時、嬉しかったです。ずっと福岡でMMAをやってきて、自分のことも認めてもらっているんだなと思いました」

――一方で、ここ数年は強豪相手の試合が続きます。コロナ明けの2020年からは杉山廣平、猿飛流、小川徹、有川直毅、鶴屋怜、伊藤盛一朗、オトゴンバヤル、そして今回が伊藤裕樹戦というのはハードですね。

「う~ん……自分がまだ20代前半だと、キャリアのつくり方も考えるでしょう。でも今36歳で、40歳まであと少し。そんな自分の中で大事にしたいのは、『どこで戦うか』よりも『誰と戦うか』ということなんです。その戦いが決まって自分自身がドキドキするのか、しないのか。そのドキドキを大切にしていきたい、という気持ちはありますね」

――では上田選手にとってドキドキする相手、伊藤裕樹選手の印象を教えてください。

「まずはあの強打――左ストレートを軸にした打撃の巧さですね。組みに関して怖さはないですが、ディフェンスが巧い。柔らかい動きで、力を逃がしてエスケープするのが巧いと思います」

――2023年11月に、上田選手の盟友である本田良介選手に敗れてから、さらに巧さが増したように感じます。

「あの試合で僕は本田君のセコンドについていました。グラウンドになっても簡単には背中を着けさせてくれない相手ですよね。本田君と自分ではタイプも違うので、試合内容も違うものになるとは思います。ひとつ言えるのは組みだけ、打撃だけという展開になると良くない。伊藤選手を相手に、そういう試合は通用しないですよね。だから打撃、寝技、テイクダウン全て混ぜながら、自分から仕掛けていきたいです」

――ちなみに伊藤裕樹戦が決定し、現在はタイにいる本田選手とは話をしましたか。

「試合が決まって、すぐに電話がありました。『決まりましたね! 上田さん、イケるっすよ~』と、すごく軽い感じでした(笑)」

――とても本田選手らしいです(笑)。

「アハハハ。今回はRIZINで試合をすることになり、地元の反響も大きいです。やはり地方だと、MMAといえばRIZINしか知らない人も多いので。何百人という応援団も会場に駆けつけてくれることになりました。その中で戦えるのは嬉しいですね。

でも、ひとつだけ言いたいことがあるんです。いろんな方から『RIZIN出場おめでとう!』と声をかけてもらいます。でもそう言われたらイライラというか、モヤモヤする自分がいて」

――……どういうことでしょうか。

「自分が10年間パンクラスで戦ってきて、その自分を否定されているような――よく分からない感覚がありました。先日、田中半蔵さんと練習したあと、その話をしたんですよ。そうしたら半蔵さんから『モヤモヤするのは、おめでとうって言葉に対してじゃないか』と言われて。半蔵さんもRIZIN佐賀大会に出ることになり、同じことを思ったそうなんです。

自分たちからすればパンクラスでも、修斗でも、DEEPでもMMAをやることには変わりません。もちろんRIZINの知名度が高いことは分かります。でも『おめでとう』と言われたら、それ以外で戦ってきた自分たちのキャリアを否定されてしまうような、複雑な気持ちもありました」

――確かに、RIZINに出場することがファイターのゴールではないですからね。RIZINであろうと、どの舞台であろうと勝つこと。それこそがMMAを戦う目的でしょう。

「もちろん『おめでとう』と言ってくれた人も、悪気があるわけではないんですけどね(苦笑)。ただ、そう言われてモヤモヤするということは、自分たちがしっかりMMAと向き合ってきた証拠なんです。自分たちのモヤモヤは間違っていない。だからこのモヤモヤを――僕たちがMMAと向き合ってきた年月を、この試合にぶつけますよ」

■視聴方法(予定)
2月24日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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45 AB DEEP DREAM MMA MMAPLANET o ONE ONE Championship RIZIN Special YouTube 本田良介

【Special】バンタオ・ムエタイ&MMA、ジョージ・ヒックマンに訊くプーケットの利点「宿泊、食事が安い」

【写真】アトランタでジュカォン・カルネイロやブライアン・スタンらとトレーニングをしていたジョージ・ヒックマン。2014年の大晦日、つまりDEEP DREAMで長倉立尚と対戦している(C)MMAPLANET

タイ、プーケット。タイガームエタイ&MMA。世界中からMMAファイターが集まるメガジムには、現在トライアウトに合格した本田良介が所属している。そのタイガーのヘッドコーチから独立しバンタオ・ムエタイ&MMAを興したのが米国人ジョージ・ヒックマンだ。
Text by Manabu Takashima

なぜヒックマンはジム&フィットネス街道といっても過言でないシャロンの街を後にし、バンタオにタイガームエタイに勝るとも劣らないメガジムを創り、活動することとなったのか。タイのMMAの将来を見据えて、話を訊いた。


──凄い設備ですね。タイのどのジムよりも大きくて。ところでジョージのバンタオ・ムエタイ&MMAでの肩書は何になるのでしょうか。

「MMAコーチで、ジムの共同オーナーの一人でもあるよ」

──既にヘッドコーチとしてタイガームエタイで成功を収めていたのに、なぜバンタオMMAに合流したのでしょうか。

「僕自身、アレックス・シールド、弟のフランクはタイで10年近く生活してきた。自分たちのジムをやろうってシリアスではなく、口にするようになってきたんだ。自分たちの意志で全てを運営したくてね。でも、本当に真剣なモノではなかった。転機になったのは、コロナ禍だ。コロナ禍になって……あれって僕らの歴史でも、とても奇妙な時間になっただろう? 人々に考える時間を与えることになったんだ。そしてジムを閉めたり、開けたりということを繰り返していて……世界中、どうなるのか分かっていなかった。

で、何に投資すれば良いのか、そこを探る時間を与えてくれたんだ。色々な物件を見て回る時間ができた。コロナで新しいジムを成功にさせることができる時間ができたんだよ」

──タイガームエタイとは違う、何かを加えたかったのですか。

「そうだね、タイガームエタイで色々と経験を積み、コネクションもできた。誰かのためでなく、自分たちのパッションを全て反映させることがバンタオではできている。自分が愛していることが根底にある仕事ができるのって、本当にラッキーだろう。十分な施設だけども、今も拡張工事をしている。設備はワールドクラスだし、コーチ陣も同様にワールドクラスだ。素晴しいチームでやっていけて、凄く幸運だよ」

──ファイトビジネスは実は、あまりロイヤリティのあるモノではないです。選手たちは簡単にジムを移っていきます。ただジョージがバンタオを創ると、アレックスやトップノイという生徒や仲間も一緒に移ってきましたね。このビジネスでファイターとの人間関係はどれだけ大切だと考えていますか。

「とても重要だよ。ファイティングはバスケットボールとか、そういうモノをプレーするのとは違う。僕と弟はレスリングと共に大人になったけど、ファイティングもレスリングと似ていてコーチと選手は密接な関係にある。実際、家族よりも長い時間を共にするわけだし。

一緒に旅をして……ファイターとコーチはとても近い関係だ。コーチとしては、選手は一人一人が違う性格をしていて誰一人として同じことを教えることはない。試合の準備も違いがあるし、試合前の困難さもそれぞれだ。人一倍ストレスを抱える者もいる。コーチは人として、彼らの一部になる必要もあるんだよ」

──近年、MMAの状況も違ってきて5年、いや3、4年前までは誰もが最高の設備があり、最高のコーチがいる米国で練習しようとしていましたが、今はこのプーケットにはジム・ビジネスを成功させるのに優位な点があります。プーケットでジム・ビジネスを行う利点を教えてください。

「僕らのジムだけでなく、他の全てのジムに世界中から人々が集まっている。正直、そんな人達がプーケットにやってくるためには航空運賃が、もっとも高いコストになる。でも宿泊、食事に掛かる必要はそこを差し引いても安い。それに僕らのジムではレスリング、柔術、MMA、ムエタイと全てを一カ所で学ぶことできる。ここやジムに裏に宿泊施設も揃っているしね。

米国でも一部の大きなジムではそれが可能だ。でも、僕がアトランタに住んでいた時は朝に一つのジムへ行き。お昼には違う場所へ移動していた。対して、ここだとジムの直ぐ近くステイして、ビーチもすぐそこにある。バイクで行き来できる範囲で、2つの違うビーチもある。練習に必要な全てが整っていて、ファイター特有のストレスをここでは感じることがない。練習に集中して、ビーチでリカバリーする。それがタイでの練習の良いところだよ」

──タイガームエタイのあったシャロンはファイティングジムだけでなく、ストレングスコンディショニングジム、ヘルシーフードレストランと全てが整っています。フィジカル街のようになっていますが、なぜジョージはバンタオを選んだのですか。

「正直を言えば、シャロンで色々な場所を見て回ったよ。そうしたらアレックスが『なんで、バンタオでジムを開かないんだ?』って言ってきたんだ。あの時、弟はTUFのコーチで米国にいて……僕はアレックスに『ありえない。バンタオに行くことは絶対にない』と言っていたんだけど、ここにワイフと子供達と一緒に2週間弱ステイしてみた。ビーチやレストランを友人に案内してもらった。そして、すぐにバンタオが大好きになったんだ。

それからロケーションを探すようになって、ここ以外にも候補地はあった。でも、ここが見つかったんだ。実はアレックスとコーナーマンとして米国に行っていて、戻って来てからここで隔離されていたんだ。なんだか、運命的だろう?」

──バンタオの成功を見て、他のジムも続こうとしなかったですか。

「いくつか、ムエタイのジムがこの辺りにもあるよ。でも、僕らのジムより小さい。本当に近しい友人も『そんなところにジムを出して、どうするつもりだ』って言っていたよ。そんな時も僕は『皆がやっているところからは遠い。でも、実際に見てみたら僕らがここを選んだ理由が分かるはずだ』って自信たっぷりに答えていた。幸運にも上手くいったね(笑)」

──自分たち訪問者にとって、バンタオがシャロンより良いのは空港が近いことです。

「イエス。ジムから20分で悪くない。なによりサリムビーチとバンタオビーチの間にある。以前はビーチまで15分や20分ドライブしていたけど、今はその必要もなくなった」

──プーケットには多くのジムがありますが、タイ人選手がほとんど見当たりません。タイにMMAが根付けば、この国はMMAの強豪国になると思っているのですが……。プーケットも外国人ファイターばかりで、今もタイのMMAファイターはまだ成長していないです。

「なれるよ、でも今じゃない。タイでMMAはまだ歴史が浅いスポーツだ。でも、ムエタイからMMAに転向する人間も増えてくる。10年前に初めて来た時より、ずっと成長している。あの頃はMMAといっても分かってもらえないから、説明が必要だった。ONE Championshipがタイにやってきて、MMAはずっと知られるようになった。それでも、ずっとやってきたムエタイからMMAに転じるのを恐れているんだ。

僕らはキッズクラスを始めるし、もう少しすればタイ人ファイターも成長するに違いない。柔術やレスリングを彼らに教えることが楽しみでならない。将来、ムエタイからMMAに転じるファイターが増える……そこに一番、情熱を注いでいるんだよ。ビッグネームのコーナーについて、一緒に練習することも素晴らしいことだけど、若い選手がキャリアの最初から前に進むところを見ていく……タイのMMAが発展することに、最も情熱を燃やしているんだよ」

──ムエタイは最近まで賭けの対象で、低所得者層が夢中になっていました。それがONEもそうですが、賭けの対象でなくスポーツエンターテイメントとして発展し、ムエタイの選手が良いお金を稼ぐようになってきました。そこはムエタイからMMAへの転向を鈍化させる要因になっていないでしょうか。

「そうだね。ムエタイでお金を稼ぐことができるようになってきた。ONE Championshipやラジャダムナン・ワールドシリーズで。MMAファイターがここにきてMMAのためにムエタイのトレーニングをするだけなく、色々なオプションがある。タイの俳優や女優がムエタイの練習をしている。ムエタイの大会も観戦するようになった。より認知度は上がっている。僕の友人であるタイ人の俳優もムエタイやMMAにハマっているしね。このスポーツは注目されているし、これからもっとそうなるだろう」

──タイ人ファイターはワールドベストになれる可能性を秘めていますか。

「もちろんだ。当然レスリングやグラップリングを知り、ムエタイのMMAに少しアレンジする必要があるけど、ムエタイとMMAって実は凄く似ていることを多くの人が理解していない。ムエタイのコーチも、タイ・クリンチ(首相撲)は凄くグレコローマン・レスリングに似ていると言っていた。確かに別競技だけど、柔術やレスリングに通じるところはムエタイにはあるよ。クリンチへの理解度の高さが、成功を保証することになる」

──今若い選手が経験を積めるフィーダーショーはタイに存在しているのですか。

「いくつか小さなプロモーションはあるよ。以前のフルメタル・ドージョーのようにね。今はファイトサーカスと名前を変えたけど。日本のスモールショーにも選手を送りたい。DEEPで戦う米国人選手も今、バンタオで練習しているよ」

──もしジョージが日本のMMAに送り込みたい選手がいれば、名前を教えてもらえますか。

「トップノイだね。もう日本に行っているけど。何人か、注目の若い選手がいるから彼らを日本に連れて行きたい。小さな団体から、RIZINを狙わせたい。コーチとして、日本への旅は大好きだ。美しい国で、食事も美味しい。良いビールとウイスキーもあるしね(笑)」

──最後に日本のMMAファンに呼びかけをお願いします。

「色々なファイターと、色々な団体の試合のために何度も日本を訪れている。日本で戦ったこともある。日本のMMAは巨大だ。余り日本人ファイターはやって来ていないけど、それほど長旅でもない。僕は日本を訪れるのも、ファンと交流することも大好きだ。何も恐れることなくも日本人ファイターには、もっともっとバンタオにトレーニングに来て欲しい。アリガトゴザイマス。イイネ」

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DEEP DEEP112 DEEP113 DEEPフライ級GP MMA MMAPLANET NAIZA FC55 o RIZIN RIZIN44 Special YouTube   ジアス・エレンガイポフ チャンネル 宇田悠斗 山本アーセン 平良達郎 扇久保博正 本田良介 神龍誠 福田龍彌

【Special】J-MMA2023─2024、福田龍彌「ユーザー(ジューサー)というものの凄さを改めて知りました」

【写真】負けじ魂が、福田をどこまで成長させるか (C)SHOJIRO KAMEIKE

2023年も残り僅か、2024年という新たな1年を迎えるには当たり、MMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過行く1年を振り返り、これから始まる1年について話してもらった。
Text by Shojiro Kameike

J-MMA2023-2024、第四弾は12月6日(現地時間)にカザフスタンの首都アスタナで開催されたNAIZA FC55で、ジアス・エレンガイポフに敗れた福田龍彌に話を訊いた。DEEPフライ級GPで優勝し同級暫定王座も獲得、続いてRIZINで山本アーセンを下した2023年最後の試合で喫した敗北について、福田は何を想うのか。

■2023年福田龍彌戦績

2月11日 DEEP112
〇3-0 宇田悠斗(日本)

5月7日 DEEP113
〇3-0 本田良介(日本)

9月24日 RIZIN44
〇3R1分37秒 by TKO 山本アーセン(日本)

12月6日 NAIZA FC55
●0-3 ジアス・エレンガイポフ(カザフスタン)


――カザフスタンでの試合後、風邪をひいていたそうですが、それは帰国後ですか。

「試合の日の夜から前兆はありましたね。とにかく無事に帰国することが一つのミッションやったので、それは達成できました(笑)。今回はまずカザフスタンのアスタナという街まで行くのがメッチャ大変だったんですよ。

まず朝10時ぐらいの飛行機で日本を経ち、2回乗り換えて、現地に着いたのは夜中の2時ぐらいでしたから。それは現地時間なので、日本でいうたら朝5時ぐらいですか」

――大会前にはライブ中継に関して、当初は有料だったメインカードも無料視聴できるようになったなか、ひと悶着あったそうですね。

「もともと『オンラインで中継する』とは聞いていて。僕の周りでも視たいと言ってくれている人たちも多かったから、現地で視聴方法を確認したんですよ。でもNAIZA FCのYouTubeチャンネルは日本で登録しているクレジットカードでは決済できない、と。そうなると日本では誰も視られへんから、マネージャーさんがプロモーターと交渉してくれて、メインカードも無料で視られるようになったという流れです。

僕は『みんなに視てほしいから試合をしている』というわけではないんです。でも応援してくれている人には試合を視てもらいたくて。そういう意味では、無料中継を勝ち取ったのが今回唯一の功績じゃないですか(笑)」

――唯一……(苦笑)。現地に着いてからコンディション調整はいかがでしたか。

「それがまたホテルも凄くて。半身浴をしようと思ってバスタブにお湯を溜めたら、なぜか僕の部屋はどこからか漏水して、居住空間のカーペットまで水浸しになるという。ただ、部屋はずっと暖房がガンガン効いていて乾燥しているんですよ。だから部屋のカーペットがビチャビチャになったのが、ちょうど良いぐらいで」

――アハハハ。しかし、その状態だと現地での減量はうまく行うことができたのでしょうか。

「日本で体重を落とすよりもシンドイ状況でした。ホテルのサウナも使えるけど、日本のサウナとは違う感じで――結局、必死でエアロバイクをこいで落としましたね」

――試合結果はフルランドを戦い、判定負けを喫しました。まず率直な感想から聞かせてください。

「う~ん、なんか現実を感じてしまいましたね。まず1R、相手の馬力にビックリしたんですよ。今まで感じたことのない馬力で。テイクダウンに入られた時、原チャリで突撃されたんかと思いました。でも『こんなに強いヤツがおるんか』と僕のテンションは上がって」

――テイクダウンを奪われたあと、立ち上がらずボトムから三角絞めを狙いました。あの展開は、スクランブルでスタミナを消耗しないようにという作戦だったのですか。

「あの時は相手をバテさそうと思っていました。ジアスにとっては『行けそうで行けへん』という状態にして、スタミナだけ使わせてやろうと。現に1Rが終わったら口を開けて、メッチャ肩で息をしながらコーナーに帰っていくから『あぁ、良かった』と思ったんですよね。5Rあるし、次のラウンドでスタミナを使い切らせて3~5Rで倒そうと考えました。でも1分のインターバルで全回復してきよるんです」

――えっ!?

「2Rに入っても全く出力が落ちなくて。だから3Rには相手のことが機械のように感じられましたよ。壁に押し込まれている時のプレッシャーも落ちない。今までの試合を視てもらったら分かると思うけど、僕もスタミナが切れるほうじゃないから。でもそれを凌駕するものを感じたというか――ユーザーというものの凄さを改めて知りました。負けた自分が、そんなことを口にするのも情けないけど」

――ユーザー、ですか。

「たとえば僕たちは5キロを走ることを考えて、ペース配分をするんですよ。でもジアスは100メートル走のペースで1キロ走っている。ペース配分して走っている僕に追いつく前に全回復して、また1キロ全力疾走していく。ジアスの力の使い方が、30秒一発勝負のシチュエーションスパーみたいなペースで。その力で25分間、攻めてくるんですから」

――福田選手がケージに押し込まれた際、しっかり腕を差し上げてバランスを取っていたにも関わらずテイクダウンされたことには驚きました。

「さらにジアスは巧さも持っているから大変なんですよ。技術的な面でも、レスリング力には差があったとは思います。でも抑え込まれても立つことはできたし、『今の自分がやっていることは通用するんやな』とは感じました。

ジアス戦では僕のほうが戦い方を変えていたら、もっと他のこともできたかもしれないです。ただ、それでは自分のほうが3~5Rもたへん。対してジアスは5Rまで同じペースで戦える。そういう状態で、どうやったら勝てたのか。一発カウンターを合わせるしかないけど、こちらの打撃にテイクダウンを合わせてくる巧さは持っていて。さらにインターバル中に全回復してくるから、徐々に崩して削っていくこともできませんでした」

――するとジアス戦に関しては悔しさというより、ユーザーに対して……。

「いや、メッチャ悔しいですよ。何年振りやろう? 平良達郎戦でも神龍誠戦でも、こんなに悔しくはなかったです。今回は言葉にするのが難しいぐらい悔しくて。試合はひたすら投げられて、立つけど投げられての繰り返しやったから、もう二度とそんな情けない姿は見せたくない。

僕はデビュー当初、負ける場合は漬けられることが多かったんですよ。それが悔しくて、どうやって漬けられんようになるかって考えながら、12年間やってきました。だからテイクダウンディフェンスには自信を持っていたし、倒されても立ち上がることに関しては血眼になって取り組んでいきた自信がある。実際に試合でも結果を出してきたと思います。

でも今回は自分がやってきたことを突破され、完膚なきまでに叩きのめされた。それがホンマに悔しいんです。今も毎晩のように思い出して、悔しくてジッとしてられへんぐらい――自分に対して悔しい」

――……。

「そういう意味では、今のモチベーションは過去イチ高いです。もっともっと強くなる。そのためにも、今後の取り組みも含めて考え直していきますよ。来年にはもう32歳で、きっと40歳まで現役を続けることはないと思います。だからこそ、こういう悔しい経験は今回で最後にしたい。自分の中では答えが出ているので、いろいろ修正しながら2024年はまた暴れようかなと思っています」

――2024年はどのような1年にしたいですか。

「早ければ2月には試合したいですね。個人的にはバンタム級でやりたいとは思っています。このままフライ級にこだわっていても――たとえばRIZINやと扇久保博正さんとは戦ってみたいです。でも扇久保戦に行くまで、あと何試合やらないかんのやろうと考えると……今すぐオファーが来たら戦いますけど(笑)。DEEPフライ級では、神龍君が統一戦をやってくれるなら試合したいです。それがDEEPフライ級で唯一やり残したことやから。

どうせ福田が勝つやろ、と思われるようなマッチメイクやと面白くない。僕自身も燃えへん。それやったらフライ級より、バンタム級のほうが新鮮で燃えるカードが組まれるんじゃないかと思っています」


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DEEP DEEP JEWELS DEEP117 DEEPフライ級GP MMA MMAPLANET o キム・ウジェ 中村真人 佑勢乃花 修斗 川原波輝 本田良介 筋トレ 越智晴雄

【DEEP117】佑勢乃花とのストロー級暫定王者決定戦、越智晴雄─01─「愛媛から東京での試合は初めて」

【写真】故郷でジムを開き、生徒に背中を見せるタイトル戦となる越智(C)SHOJIRO KAMEIKE

10日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP117で、越智晴雄が佑勢乃花とのストロー級暫定王者決定戦に臨む。
Text by Shojiro Kameike

越智は2017年9月にDEEPストロー級王座を獲得し、2度の防衛に成功した。しかし2020年8月、川原波輝に敗れてベルトを失い、以降はフライ級で戦っていた。フライ級GP以降はストロー級復帰を視野に入れ、キャッチウェイト戦で2連勝し、今回の暫定王座決定戦に挑むこととなった。今年7月には地元の愛媛県でジムをオープンした越智に、愛媛での練習環境について訊いた。


――MMAPLANETで前回インタビューさせていただいたのは、DEEPフライ級GPの本田良介戦の時でした。やはりストロー級に落とすと、目に見えて絞り具合も違いますね。

「あぁ、痩せていますか。フライ級の時よりも3~4キロ違いますからね」

――フライ級で試合をする時と今回では、練習時の体重も違いますか。

「試合直前になると体重も違いますが、普段の練習時はそんなに変わらないと思います。ただ、僕もストロー級で戦っていたのが3~4年前なので、記憶も定かではなくて(笑)。もともと試合当日の体重は、ストロー級でもフライ級でも同じぐらいでした。今回はちょっと怖いので、早めに減量しているんですよ。だから今回は、試合当日もそこまで体重は戻っていないかもしれませんね」

――「今回はちょっと怖い」というのは?

「単純に計量失敗が怖いです(苦笑)。去年12月の中村真人戦は55キロ契約で、今年5月のキム・ウジェ戦も56キロ契約でしたから、フライ級と変わらない体重だったんですよ。完全にストロー級まで落とすのは、川原波輝選手に負けて(2020年8月)以来で」

――フライ級で試合をする時は、それほど減量もなかったのですね。

「体重については試合直前に微調整するぐらいで、減量とは呼べない程度のものでした。でも今回、減量はあってもコンディションは良いですね」

――なるほど。越智選手は現在、地元の愛媛県でご自身のジム「Little Giant Gym(リトル・ジャイアント・ジム)」を運営されています。まずはジムについて教えてください。

「今年7月1日、愛媛県松山市にジムをオープンしました。3月中旬に愛媛県に戻って、5月末に試合をしてからまた愛媛でジムのオープン準備があり――という感じで。前回は、試合前の1カ月間は東京で練習していたんですよ。だから愛媛から行って東京で試合をするというのは、今回が初めてになりますね」

――東京と愛媛では、練習環境も大きく変わりましたか。

「やっぱり大きく変わりますね。ジムを始めたばかりで、プロ選手もいないですし。今はパラエストラ愛媛所属の矢野武蔵君という修斗に出ている選手や、愛媛で柔術をやっている友人と一緒に練習させてもらっています。あとは自分自身でコンディションを落とさないように、走ったり筋トレしたり。昼間は自分のトレーニング、夕方からジムの指導というスケジュールを過ごしています」

――……ひとつ気づいたことを言っていいですか。

「はい。何でしょう?」

――本田戦の前にインタビューさせていただいた時より、表情が柔らかくなっていますね。

「えっ、そうですか。アハハハ」

――フライ級GPの時は、それだけ気持ちも張り詰めていたのか。あるいは地元に戻ったことが、それだけ精神的な面で大きく影響しているのでしょうか。

「どうなんでしょうね……。地元に戻った一番大きな理由は、家族や子育て、自分の両親のことでした。MMAを続けていく環境としては、やっぱり東京が一番だと思うんです。でも家族のことを考えると――たとえば実家の近くに住んでいると、僕の両親もすぐ孫と会うことができますし。そこで両親が喜んでくれているのを見ると、地元に戻ってきて良かったなぁとは思いますね」

――フライ級GPの前から愛媛県でジムを開くことはお聞きしていました。そのなかで、フライ級GPに出る最大の理由が「ベルトが欲しい。現役チャンピオンとしてジムを開きたい」ということで。しかし、その夢は叶いませんでした。

「もともとフライ級GPが始まる前に、ストロー級に戻すことを考えていて。でもフライ級GPのオファーを頂いて、僕としてもベルトが欲しい気持ちも強くてGPに出ることを決めました。GP後にストロー級で戦うことを決めたのも、やっぱりベルトが欲しいからです。

チャンピオンになると、自分以上の周りのみんなが喜んでくれる。ベルトを巻くというのが一番分かりやすくて。最近、ウチのジムも若い子——しかも『プロのファイターになりたいです!』という子の入会が増えていて。ジムにベルトを持って帰ってくることで、そういう若い人たちも『愛媛にいてチャンピオンになれるんだ!』と思ってほしいんです。……僕の場合は10年以上も東京にいたので、ちょっと違うかもしれないですけど(笑)」

――アハハハ。それでも現役王者が指導してくれる、というのは地元の若い選手にとっても大きな力になるでしょう。

「そうですね。あとは、やっぱり東京と愛媛ではMMAの認知度も全然違います。でもベルトがあれば、愛媛県で格闘技を見たことがない人たちにも、MMAのことを知ってもらえるんじゃないかと。そういう形で貢献していきたいです」

――今後の愛媛県での活動にも期待しています。試合の話に戻すと、中村戦とキム・ウジェ戦はフライ級時代よりも動きのキレが良いように感じました。契約体重がフライ級リミットとそれほど変わらなかったとはいえ、何か影響があったのでしょうか。

「実は本田さんとの試合から、感覚的な面で変わったんですよ。試合は負けたけど、これまでの試合の中で一番疲れなかったというか。いつもは試合が終わると死にそうな状態になっているのに(苦笑)。

今まで試合になると『殺してやろう』という気持ちになっていました。でも本田さんとの試合では冷静に戦うことができたんです。力みすぎることがなく、おかげで動きも変わってきましたね」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
12月10日(日)
午後5時10分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELSメンバーシップ、Samurai TV

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MMA MMAPLANET o ONE ONE FF43 キック デヴィッド・バンギギ 本田良介

【ONE FF43】タイガームエタイ所属・本田良介、ONEデビュー戦を判定勝利で飾る

【写真】左の蹴りを主体とした打撃でペースを掴み、組んでくるバンギギをコントロールした(C)MMAPLANET

<ストロー級/5分3R>
本田良介(日本)
Def.3-0
デヴィッド・バンギギ(フィリピン)

サウスポーの本田が左ストレートと左ハイ、バンギギはそこに右ストレートを狙う。本田は左の蹴りをフェイントにして左ストレートを伸ばす。バンギギは右ストレートで前に出て、本田の蹴りをキャッチしてコーナーに押し込む。

ここで四つ組になると本田の右のヒザ蹴りをバンギギのボディに突き刺す。一瞬、動きが止まるバンギギだがしつこくダブル→シングルレッグで組む。本田はアームロックをかけつつ側頭部にヒジ。アームロックからスイッチを使ってバックを取りに行くが、バンギギもそれを許さない。

ならばと本田はアームロックを狙い、スイッチでバックにつくが、今度はバンギギが本田の右腕をとってアームロックを狙う。このままグラウンドになり、本田が殴るけどバンギギが立つ。

試合がスタンドに戻り、バンギギは右ストレートから左ミドル。本田は右フックと左ミドル、バンギギもパンチで追いかけて左ミドルを蹴る。終了間際が左ハイを当てると、これでバンギギが右目尻をカットする。

2R、本田はジャブで距離を取りながら左ハイを蹴る。バンギギの右ミドルをスウェーでかわすと右フックからから左ハイ、左ストレート・右フックからパンチをまとめる。バンギギは右ストレートから左ミドル。本田は左ストレートを返しつつ左ハイ、右アッパーを当てる。

さらに本田は右で距離を測りながら左ストレート・左のヒザ蹴り、シングルレッグでバンギギのバランスを崩して殴る。

ここを脱出したバンギギは右ストレートから前進。やや手数が減る本田だったが左ストレート・左ハイを当て、左ミドルでバンギギの前進を止める。

ここで本田がシングルレッグに入ると、バンギギがギロチンを狙い、本田が頭を抜くとシングルレッグでテイクダウンを狙う。これを切った本田だが、バンギギは本田の左ストレートに左フックを打ち返し、下がる本田のボディにサイドキックを蹴る。

3R、バンギギがガードを上げてプレッシャーをかける。本田がダブルレッグに入るとバンギギはギロチンを狙いつつ、本田をコーナーに押し込む。

ここで両足を束ねるようにクラッチしてテイクダウンを狙うバンギギ。本田は1Rと同じようにアームロック→スイッチでバンギギのバランスを崩し、最終的にインサイドガードでトップキープする。

本田はバンギギの胸に頭をつけ、バンギギがアームロックを狙うと肩固めの形へ。これは極まらず、ドントムーブでリング中央で再開になる。

ここでもバンギギがアームロックを狙うが、本田は腕を外してパンチを落とし、最後はバンギギからバックをとってRNCを狙った。タイガームエタイで培った左の蹴りを活かしつつ、組みではアームロックとスイッチを巧みに使い分けた本田が判定勝利を収めた。


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【ONE FF43】バンギギ戦へ、タイガームエタイ所属=本田良介「取ろうとしているのは分かると思います」

【写真】タイガームエタイ、そしてプーケットの空気に溶け込んでいる本田(C)MMAPLANET

12月1日(金・現地時間)にタイはバンコクのルンピニー・スタジアムで開催されるONE FF43で本田良介がデヴィッド・バンギギと戦う。

日本を離れ、タイガームエタイ所属となった本田にとっての初戦。その心境をプーケットのタイガームエタイで尋ねた。


──今週金曜日のONE FFでのバンギギ戦、この試合が決まったのはいつごろでしょうか。

「1カ月ぐらい前ですね」

――ONE FFで戦う。本田選手自身は、どのように捉えていますか。

「まぁ、試合をするということですよね(笑)。どうなんですかね……(笑)。ONEという大きな団体のなかの一つの舞台で戦えること。それとルンピニーという舞台で戦えること。僕もルンピニーで試合を観戦したことがあるのですが、あの闘技場っていう感じがする場所でできるということは本当に良い意味でモチベーションになっています。あそこで試合をするんだっていう部分で」

――タイガームエタイの所属なった時、ONE FF――いずれはONEで戦うということを目指していたのですか。

「それは、たまたまです。タイミング的に5月にDEEPフライ級GPの決勝が終わって、タイガームエタイのトライアウトが6月。ちょっと空いたなった感じですけど、単にオファーが来て戦うということです」

――このところ北米階級のフライ級で戦っていた本田選手ですが、今回はONE階級でのストロー級で戦います。多くの選手が北米階級でフライ級の場合、ONEでは61.2キロのフライ級の水抜き減量なしで臨みます。対して本田選手は原則ドライアウト禁止で56.7 キロのままで戦うことになります。

「日本でもストロー級でも戦っていましたし……まぁ、やってみようと。ストロー級は試合の機会が少なくて、タイトルマッチとかも戦っていないですけど、こっちでちゃんと試合ができれば良いのなかなっていう感じで。できそうだからやってみようと思って――でも、調子も良いんですよ(笑)」

――本田選手は正直、減量が厳しそうだった印象があります。

「コロナの時にストロー級で、水抜き減量なしの56.7キロを経験しました。タイに来てからは通常体重が落ちているので、ストロー級で戦えるかなっていうのはありました。言われた体重で戦ってきたので、フライ級で減量が厳しいのかといえば、それは水抜きをして良いから、あの方法で落としていたわけで。そういう体創りをして良いから減量の期間も、練習の仕方も違っていました。だから、今回も水抜き減量なしの56.7キロになっても何も問題ないです」

――プーケットからバンコクに移動しての試合となりますが、その辺りというのは?

「プーケットからバンコクは、福岡から東京と変わりないです。だから、特に変わりはないです」

――日本の時は計量前日に東京に来られることが多かったかと。

「そうですね。1日余分にある形ですけど、どっちもきついから東京への移動もそんなにネガティブな方で考えていなかったです。ONEは水抜きはダメでも、ホテルで試合の準備ができるのでリラックスできる。それで代謝が上がることもあるし、そこはもう人それぞれですよね」

――では対戦相手バンギギの印象を教えてください。

「タフな選手です。どんどんしっかりと組んできて、最後までそうやって勝ち切っている。レコードも9勝2敗で……でも、そういう選手と戦うつもりでタイに来ているので」

――タイガームエタイに移籍して初戦、それだけ注目もされるかと思います。まだ短期間ですが、変化を見せることが期待されます。

「やっぱりフィニッシュ、一本……を取るつもりだし、取ろうとしているのは分かると思います。そこを意識して練習してきました。殴ることができるポジショニングを意識してきたので体の動かし方、ポジションを取る時の優先順位が以前と変わっている。そういうところが終わらせようとしていることにつながると思います」

――では最後に改めて日本のファンに決意のほどをお願いします。

「所属も変わって海外での初めての試合、本当にフレッシュになった僕を応援してください」

■放送予定
12月1日(金・日本時間)
午後9時30分~ABEMA格闘チャンネル

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【FIGHT&MOSH】リアルがんばれ元気──だけではない猿丸戦。安芸柊斗─01─「ランク上位にいるために」

【写真】ベルト奪取失敗から4カ月、安芸の気持ちはすでに新たな方向へ(C)SHOJIRO KAMEIKE

12月2日(土)、東京都江東区にある豊洲PITで開催されるプロ修斗公式戦「FIGHT&MOSH」で、安芸柊斗が猿丸ジュンジと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

2022年4月、高松でマッチョ・ザ・バタフライをKOした安芸柊斗が猿丸ジュンジとの対戦をアピールした時、一つの試合が思い起こされた。安芸×マッチョ戦から14年も前——2008年9月に後楽園ホールで行われた猿丸と、安芸の父である佳孝さんの一戦だ。修斗新人王トーナメント2回戦、注目の新人であった猿丸に対して当時35歳でプロデビューした佳孝さんが真っ向から打ち合いに臨み、パンチでグラつかせるシーンもあった。結果は猿丸の1R TKO勝ちだったが、激闘を展開した佳孝さんにも惜しみない拍手が送られていた。その佳孝さんの息子である安芸が猿丸との対戦を表明した時、『リアルがんばれ元気だ』という声が挙がる。そして今回、猿丸と安芸をサポートするモブスタイルが修斗とタッグを組む興行で両者が対戦することとなった。安芸にとって、この試合に懸ける想いとは。


――昨年、安芸選手が猿丸選手とベルトを賭けた試合をアピールしたあと、猿丸選手は黒澤選手と暫定ストロー級王座を争うことになりました。さらに猿丸選手は王座を獲得したものの、新井選手に敗れベルトを手放した時点で、安芸選手が猿丸選手と対戦することはないだろうと思っていました。

「はい。僕も『もう無い』と思っていました」

――『もう無い』ということは、どこかの段階では『ある』と思っていたのでしょうか。

「猿丸選手と新井選手が対戦する時(昨年9月)ですね。猿丸選手がベルトを防衛したら、次の挑戦者は俺なのかなと思っていました」

――安芸選手が高松大会でベルト挑戦をアピールした時も含めて、猿丸選手が過去にお父さんであり、MMAの師でもある佳孝さんと対戦していたことは意識していましたか。

「そうですね。『このマッチメイクが実現したら、ストーリーとしては面白いよな』とは思っていました。自分はあの試合を現場では観ていなくて。たぶん自分がアマチュア修斗に出始めた時に、DVDで視たんだと思います」

――MMAを始めるうえで、お父さんの試合を全てチェックして……。

「いえ、父の試合は全然視ていないんですよ。たまたま視たDVDの中に父の試合があった、という感じで(笑)。興味ないというわけじゃないですけど、そんなに――っていう」

――アハハハ。師匠と弟子、父と子の微妙な関係ですね(笑)。ではご自身がプロデビューしてストロー級で戦っていくなか、猿丸選手との対戦を意識したことはありましたか。

「デビュー当初は、まだまだ先にいる選手やなと思っていました。でも初めて後楽園ホール大会に出た時、猿丸選手と控室が一緒やったんですよ(2018年11月。安芸は木内“SKINNY ZONBIE”崇雅に判定負け。猿丸は本田良介に判定勝利を収めている)。初めて同じ控室にいた時、『自分が勝ち進んでいけば、いつか対戦する日が来るんかな』とは考えましたね」

――ただ、そこまで現実的に考えることはなかったわけですね。

「現実的に考えるようになったのは、まず猿丸選手が黒澤亮平選手をKOして、ベルトを巻いた時です。二人とも良い選手やから試合前からも楽しみだったし、猿丸選手があの勝ち方をしたのもビックリして。猿丸選手と黒澤選手は一度対戦していましたよね?」

――2015年5月に今回と同じモブスタイル興行で対戦し、猿丸選手がKO勝ちしています。

「1戦目がKOだったし、二人のスタイルから再戦もKO決着かなと思っとったんです。でも、まさかのRNCで一本勝ちして。だけど新井選手に負けてベルトを失った時、猿丸選手との対戦は無いと思いました」

――猿丸選手は今回の試合がラストファイトだと明言しています。ラストファイトで安芸選手との対戦が実現するとは、運命的なものを感じます。

「猿丸選手にとってはモブスタイル興行で引退——というのもあるでしょうし、自分もモブスタイルのサポートを受けているので、このマッチメイクになったのかもしれないです。ひとつ言えるのは、自分が『がんばれ元気』を読んだことがないんですよ(笑)」

――お父さんに勝利した猿丸選手と安芸選手が対戦することになり、『リアルがんばれ元気』だと注目を集めていますね。

「珍しいというか、こんな展開は二度と無いかもしれないですね。まずこれから『がんばれ元気』を読みます(笑)。普段は試合に関してストーリーとか因縁とか、まったく考えていなくて。試合は試合やから。ただ、今回ばかりはストーリーを意識せざるをえないですよね」

――では佳孝さんと猿丸選手の試合を映像で視た時、どのような感想を持ちましたか。

父・佳孝は猿丸との打撃戦の末に敗れた(C)SHOJIRO KAMEIKE

「一方的、っていう感じですかね(苦笑)。でもそんな中で、よう一発当てたなと思います」

――現地で取材していましたが、あの一発で会場は大いに盛り上がりました。お父さんがあの試合後に一度、引退を決意していたのはご存じですか。

「えっ、そうなんですか!?」

――試合後、「この年齢(当時35歳)でプロデビューできて、憧れだった後楽園ホールで試合をすることができました。悔いはないです」と話しかけられました。

「……、……」

――もしも猿丸戦を最後に引退していたら、まさに『がんばれ元気』のとおり安芸選手がお父さんのラストマッチの相手と戦うことになっていたわけですが……。結果そこから関係者とも話し合い、現役を続行したことで翌年の徳島大会の実現に繋がっています。

「そんなことがあったんですね。自分は知りませんでした」

――今回の試合に対して『リアルがんばれ元気』という印象を抱くのは、当時取材していた記者としての感傷的な気持ちも含まれているかもしれません。一方で今を戦っている安芸選手にとっては、この試合がどのような位置づけなのか。

「俺にとっては修斗のランキングで、ずっと上位におるための試合です。今のランキングでいえば俺がストロー級3位で、猿丸選手が4位じゃないですか。自分としては7月にベルトを獲ることができず、もう年内は試合がないんかなと思っていました。KO負けしてダメージもあったし、年内は試合をせんで来年またイチから頑張ればいいかなと考えとったんです。でも、ありがたいことにモブスタイルの田原洋さんから試合のお話を頂いて、すぐに『出ます』と返事をしました。しかも相手は猿丸選手で、しっかり気持ちも戻りました」

<この項、続く>

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