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MMA MMAPLANET o UFC UFN UFN233 アンドレ・ムニス パク・ジュンヨン ユライア・ホール

【UFN233】テイクダウン&コントロールのムニスが、パウンドのパク・ジュンヨンにスプリット勝利

<ミドル級/5分3R>
アンドレ・ムニス(ブラジル)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29
パク・ジュンヨン(韓国)

UFC通算7勝2敗、アジア人中量級ファイターとして特筆すべきな戦績を残すパク・ジュンヨン。5連勝を賭け、現在は2連敗中ながらジャカレイ・ソウザやユライア・ホールに勝利しているムニスに挑む。

右インローを蹴ったパク・ジュンヨンに対し、ムニスが左ハイから左インローを蹴り返す。さらに左ミドルを決めたムニスは後ろ回し蹴りからダブルレッグへ。ケージにパク・ジュンヨンを押し込んでテイクダウンを奪う。スイッチ狙いを潰されたパク・ジュンヨンはバックを譲って立ち上がるも、前方に崩される。襷からボディロックでバックを取ったムニスのテイクダウン&スクランブルという展開が続く。

正面に回ってアンクルピックでパク・ジュンヨンに尻もちをつかせたムニスが、足を束ねようとするがリリースして、バックコントロール。もう一度、倒してついにグラウンドに持ち込んで両足をフックする。アイアンタートルの異名を取るパク・ジュンヨンは亀の強さを見せ──首を守りつつ、胸を合わせにいく。ムニスの三角絞めを担いで、上を取ったパク・ジュンヨンが同時にマウントを奪取する。パンチ、エルボーを振り落とすパク・ジュンヨンは背中を見せようとするムニスをそのまま殴る。上を向きなおし、足を戻したムニスにエルボーを落としたパク・ジュンヨンが、ジェネラルシップのムニスを打撃のインパクトショットで上回ったか。

2R、ムニスが左ミドルハイ、パク・ジュンヨンがボディストレートを入れる。左をヒットさせたムニスは、前に出てくるパク・ジュンヨンにテイクダウンを仕掛けるも逆に下に。同時にスイープを決めたムニスが、ここもスクランブルでバックへ。後方に倒れ込まれ両足フックを許したパク・ジュンヨンは、シングルフックで亀になるが背中を伸ばされそうになる。それで腰をずらして、スクランブルに持ち込んだパク・ジュンヨンは背中についてくるムニスを何とか前方に落とす。ムニスは即座にレッスルアップからボディロックを取り、再びバックグラブに。足を抜いてもバックコントロール&フックという無限ループに持ち込まれたパク・ジュンヨンは、残り1分で立ち上がるも再び前方に崩される。最後まで背中を取られたパク・ジュンヨン、ムニスが明白にラウンドを取った。

最終回、左ボディを入れたパク・ジュンヨンが右を2発ヒットさせる。ムニスはダブルレッグでケージにパク・ジュンヨンを押し込むと尻もちをつかせスランブルでバックへ。2Rと同様に自ら倒れ込んで両足をフックしようとしたムニスは、背中を見せて立ち上がろうとしたパク・ジュンヨンをバックグラブに捕える。ボディトライアングルを完成させたムニスのドミネイトは、残り半分に前方に落とされる。パク・ジュンヨンがニーシルドのムニスを殴るが、スイープを許して下に。すぐにスクランブルに持ち込んだパク・ジュンヨンが、ダブルレッグを切る。

ここでムニスは自ら背中をつけてクローズドガードへ。パク・ジュンヨンはケージ際に移動し左右のパンチを落とす。さらに手首を掴まれるとエルボーに切り替えたパク・ジュンヨンが、クローズドのムニスに拳、エルボーを継続して落とす。ムニスのハイガードを防ぎ、最後は連打でまとめたパク・ジュンヨン──最近のジャッジの傾向では初回と3Rを取ったという見方は十分に成り立つが、果たして。結果、スプリットに割れムニスに凱歌が挙がりパク・ジュンヨンの連勝は4でストップした。

テイクダウン&コントロールを軽視する裁定と、この試合のように評価する流れは勝利の組み立て方を難しくすることは間違いないだろう。


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o UFC キック ブレンダン・アレン ユライア・ホール

UFC on ESPN+82:第12試合・ポール・クレイグ vs. アンドレ・ムニス

ミドル級。クレイグはライトヘビー級9位、ムニスはミドル級14位。

地元イギリス・スコットランドのクレイグは、ライトヘビー級からミドル級に落としての初戦となる。ライトヘビー級では8勝6敗1分け。UFC屈指の下攻めファイターで、前王者のジャマール・ヒル、ランキング2位のマゴメド・アンカラエフを、ガードからの三角から仕留めている。下攻めが得意な一方、テイクダウンは強くなく、引き込み主体で戦うことから、相手に付き合ってもらえず負けることも多い。特にライトヘビー級では特異なスタイルということもあり通用していたが、果たしてミドル級でもランカー相手に通用するのか。35歳。

ブラジルのムニスは、柔術世界王者のホナウド・ジャカレイから腕十字を極めて一躍注目選手に。続くユライア・ホール戦では打撃でもリードし、フィニッシュは奪えなかったが完勝。が、前回はノーランカーのブレンダン・アレンとの対戦で、打撃勝負を公言していたが打ち負け、逆にテイクダウンを奪われてからのチョークで一本負け。UFC初黒星を喫した。33歳。

ブルース・バッファーの選手コール中に接近してにらみ合う2人。

かなり絞れているクレイグ。鋭い右ミドル。右ハイ。ムニスもミドル。前蹴り。ムニスはスピンキックをボディに入れる。よくあるグラップラー同士の打撃戦に。両者蹴り主体に攻める。クレイグがジャブからハイ。さらにムニスが出るところをジャブで止める。残り1分。クレイグのミドルをキャッチしたムニス。クレイグ引き込み気味に下に。ムニスボディにパウンド。下からホールドするクレイグ。ホーン。

1R手数はややムニス。最後にグラウンドで上になったこともあり、ムニスのラウンドか。

2R。プレスしてきたムニスにクレイグタックル。そのまま四つからテイクダウン。しかしハーフからパウンドを入れると立った。再びガードに入ったクレイグだがムニス三角でクラッチ。クレイグパウンドを打ち込む。足のクラッチが緩んだ。腕十字に切り替えたムニスだが、クレイグすぐに腕を引き抜く。タックルに入るムニスに、また安易に下になったクレイグ。ムニスハーフからパウンド。上から頭で突っ込んだムニスだが、ヘッドバッドになりタイムストップ。スタンドで再開。パンチで出たムニスにクレイグが胴タックル。テイクダウン。ムニス下からネルソンで返そうとするが、ハーフで押さえたクレイグがダースチョーク。浅い。放したクレイグだがサイドに出ている。肘を入れる。マウント!パウンド連打。肘連打。腕でグロックするので精一杯のムニス。レフェリー止めた!

クレイグミドル級転向初戦でランカー撃破。ライトヘビーでは個性的な色物枠だったクレイグだが、ミドルに落としてタイトル争いに入っていけるか。

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F1 MMA o ONE UFC   ブラッド・タヴァレス ブルーノ・シウバ ユライア・ホール

クリス・ワイドマンが2年4ヶ月ぶりに復帰、8.19『UFC 292: Sterling vs. O’Malley』でブラッド・タヴァレスと対戦




 UFCが8月19日にマサチューセッツ州ボストンで開催する『UFC 292: Sterling vs. O'Malley』でクリス・ワイドマン vs. ブラッド・タヴァレスのミドル級マッチが行われることをMMAFightingが確認したとのこと。

 ワイドマンは2021年4月の『UFC 261: Usman vs. Masvidal 2』でユライア・ホールに1R TKO負けして以来2年4ヶ月ぶりの試合。この試合で右脚を骨折し長期欠場を余儀なくされました。

 タヴァレスは4月の『UFC Fight Night 222: Pavlovich vs. Blaydes』でブルーノ・シウバに1R TKO負けして以来の試合で2連敗中。続きを読む・・・
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F1 MIKE MMA o YouTube   ネイト・ディアス ユライア・ホール

ジェイク・ポール vs. アンデウソン・シウバ試合結果/ハイライト動画



・Jake Paul vs. Anderson Silva via unanimous decision (77-74, 78-73, 78-73)
・Ashton Sylve def. Braulio Rodriguez via KO (left hook) – Round 1, 1:01.
・Alejandro Flores def. Antonio Nieves via TKO (corner stoppage) – Round 7, 3:00.
・Uriah Hall def. Le’Veon Bell via unanimous decision (40-36, 40-36, 40-36)
・Chris Avila def. Dr. Mike via unanimous decision (40-36, 40-36, 40-36)



 ジェイク・ポール vs. アンデウソン・シウバ試合結果。ジェイク・ポールがアンデウソン・シウバに8ラウンド終了、判定3-0(77-74, 78-73, 78-73)で勝利。ユライア・ホールが元NFLプレイヤーのレビオン・ベルに4ラウンド終了、判定3-0(40-36, 40-36, 40-36)で勝利しています。






 ジェイク・ポール vs. アンデウソン・シウバ ハイライト動画。ポイントで負けているアンデウソンが最終ラウンドに焦って前に出ましたが、ダウンを奪われました。


 なお、ネイト・ディアスが来場し、予想通りジェイク・ポール陣営とイザコザを起こしています。続きを読む・・・
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MIKE MMA o YouTube   ユライア・ホール

ジェイク・ポール vs. アンデウソン・シウバ前日計量動画


MAIN CARD:

・Jake Paul (186.5) vs. Anderson Silva (186.1)
・Ashton Sylve (132.4) vs. Braulio Rodriguez (132.5)
・Alexandro Santiago (117.9) vs. Antonio Nieves (117.8)
・Uriah Hall (198.6) vs. Le’Veon Bell (197.6)
・Chris Avila (183.3) vs. Doctor Mike 182.6)

PRELIMS:

・Jeremiah Milton (248.2) vs. Quintin Sumpter (219.6)
・Ogleidis Suarez (168.9) vs. Shadasia Green (169.2)
・Danny Barrios Flores (122.5) vs. Edgar Ortiz Jr. (120.2)
・Adrian Rodriguez (123) vs. Dominique Griffin (122.3)
・Eliezer Silva (155.7) vs. Anthony Hannah (162.7)**

 ジェイク・ポール vs. アンデウソン・シウバ前日計量結果。ジェイク・ポール186.5ポンド、アンデウソン・シウバ186.1ポンドでパス。ユライア・ホール198.6ポンド、レビオン・ベル197.6ポンドでパスしています・




 大会トレーラー。






 前日計量&フェイスオフ動画。続きを読む・・・
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MMA o Report UFC   アンドレ・ムニス ボクシング ユライア・ホール

ユライア・ホールが10.29ジェイク・ポール vs. アンデウソン・シウバの前座でプロボクシングデビュー戦/対戦相手は元NFLプレイヤーのレヴィオン・ベル

『UFC 276: Adesanya vs. Cannonier』でアンドレ・ムニスに敗れたユライア・ホールがMMA引退を発表「世界最高のスポーツから離れるのはとても悲しい」(2022年08月11日)

 こちらの続報。


 10月29日にアリゾナ州グレンデールで開催するジェイク・ポール vs. アンデウソン・シウバの前座でユライア・ホール vs. レヴィオン・ベルが行われるとのこと。195ポンド契約の4ラウンドマッチになります。

 ユライア・ホールは7月の『UFC 276: Adesanya vs. Cannonier』でアンドレ・ムニスに判定負けしてから1ヶ月後にMMA引退を発表していました。

Le'Veon Bell(Wikipedia)

 レヴィオン・ベルは現在30歳のアメリカ人。元NFLプレイヤーでピッツバーグ・スティーラーズ、ニューヨーク・ジェッツ、カンザスシティ・チーフス、ボルティモア・レイブンズ、タンパベイ・バッカニアーズでランニングバックとして活躍。2021年シーズンまで現役でした。NFL時代からボクシング転向に関心を示しており、ジェイク・ポールに対し「ボクシングのできない小さなヤツとしか戦っていない」と批判したこともあります。

 9月10日には同じく元NFLプレイヤーのエイドリアン・ピーターソンとエキシビションマッチを行い5R KO勝ちしています。続きを読む・・・
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Column MMA o ONE UFC   アンドレ・ムニス ケルヴィン・ガステラム ユライア・ホール

『UFC 276: Adesanya vs. Cannonier』でアンドレ・ムニスに敗れたユライア・ホールがMMA引退を発表「世界最高のスポーツから離れるのはとても悲しい」


 7月2日の『UFC 276: Adesanya vs. Cannonier』でアンドレ・ムニスに判定負けしたユライア・ホールがインスタグラムでMMA引退を発表し以下のコメント。

「世界最高のスポーツから離れるのはとても悲しい。家族のようになった信じられないほどのUFCスタッフ、その過程で出会ったメンターたちから離れるのは寂しい。UFC は自分のコンフォート ゾーンから完全に抜け出す絶好の機会を与えてくれた。何年にも渡り、俺は世界最高峰の選手たちと対戦してきた。自分は世界チャンピオンのランクには達しなかったが、総合格闘技から最大の功績を得ることが出来た。素晴らしいファンたちに感謝したいと思う。みんながこのスポーツを現在の形にしてくれた。自分のことを気遣い、より良い自分になるよう励ましてくれる人たちが周りにいることが重要だ。チーム、コーチ、友人、家族に感謝している。みんなのおかげで日々元気づけられている。最後に、現代のグラディエーターたちと戦う機会を与えてくれたデイナ・ホワイトには特に感謝したい。良い時も悪い時も、いつもサポートしてくれてありがとう…。次世代のみんなは地球上でトップ1%の最高のアスリートだ。ここからみんながこのスポーツをどのように発展させていくか楽しみにしている。俺は見ている! ゴーフォース」

Uriah Hall(Sherdog)

 ユライア・ホールは1984年7月31日生まれで現在38歳。ジャマイカ出身でアメリカ在住。MMA戦績17勝11敗(UFC戦績10勝9敗)。元Ring of Combatミドル級チャンピオン。UFCミドル級での8度のKO勝ちはアンデウソン・シウバ、チアゴ・サントスと並び同階級史上1位タイ。

 2013年の『The Ultimate Fighter 17』ミドル級トーナメントに参加。圧倒的な強さで4連勝し優勝候補筆頭だったものの決勝戦ではケルヴィン・ガステラムに判定負けし準優勝。UFC本戦でも才能の片鱗を感じさせるもののタイトルマッチには辿り着けませんでした。続きを読む・・・
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MMA Report UFC UFC276 アンドレ・ムニス ブログ ユライア・ホール

【UFC276】腕十字は極まらずとも、アンドレ・ムニスが危なげなくユライア・ホールから判定勝ち

<ミドル級/5分3R>
アンドレ・ムニス(ブラジル)
Def.3-0:30-27.30-27.30-27
ユライア・ホール(米国)

サウスポーのムニスが左ハイを見せる。さらに左ミドルを入れたムニスは、待ちの姿勢のホールに対し、左オーバーハンドを狙う。左ハイを当てたムニスは、左ローに右を合わさせそうになる。ホールも右ハイを放つが、右を被弾した直後にシングルレッグでテイクダウンを許す。

ムニスはハーフで殴り、肩固め狙いからパスを決める。ホールは足を戻すとクローズドガードへ。ムニスは右のパンチを連打していく。パス狙いからクルスフィックス、ダースと次々と仕掛けるがムニスがマウントを取る。三角マウント狙いにスクランブルに持ち込んだホールだが、ムニスは慌てずバックに回りグラウンドに持ち込むや両足をフックさせる。絞めよりも腕十字狙いだったムニスだが、残り10秒になるとパンチに転じてこの回を取った。

2R、ハイを蹴り合った両者。ホールが左の打ち終わりに右を当てる。ムニスは下がらずパジャブを伸ばし、テイクダウンの機会を伺う。2度、テイクダウンを切ったホール。笑みを浮かべたムニスは後ろ回し蹴りから右を入れ、シングルレッグへ。ボディロックに切り替え、ケージに押し込んでからテイクダウンを決めたムニスが、ガードの中からパンチを振るう。

ガードが開くと、ハーフ→マウントとポジションを進めたムニスがパンチ、エルボー、鉄槌を落とす。ブリッジを防がれたパンチを続けられたホールは背中を見せる。ムニスはケージを背負った窮屈な状態から、背中をつけて右のパンチを後方から入れる。ここも腕狙いが明確なムニスは最後の10秒で右腕を取るが、ホールは腕を抜いてトップからパンチを連打した。

最終回、ムニスはここも左ハイを繰り出し、ホールが右前蹴りを返す。左をヒットさせたムニスが距離を詰めてダブルレッグへ。シングルに切り替え、足を払ってテイクダウンを決める。ハーフで殴るムニスがパス、ボディを殴ってスクランブル狙いのホールのバックに回る。両足をフックし背中を伸ばすと、仰向けとなったムニスは細かいパンチを打っていく。

腕への仕掛けを警戒しているホールは、仕掛けがあるまで胸を合わせにいかずに立ち上がる。耐えられず、自らスラム狙いのような形でグラウンドに戻ったホールは最後の10秒で胸を合わせることに成功したが、反撃の時間は残っていなかった。最終回のフィニッシュでなく、ポジション維持でムニスがフルマークの判定勝ちを手にした。


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Cage Warriors MMA MMAPLANET o ONE UFC UFC276 アレックス・ポアタン・ペレイラ アレックス・ヴォルカノフスキー アンドレ・ムニス イアン・ギャリー イスラエル・アデサニャ ゲイブ・グリーン コナー・マクレガー ショーン・オマリー ジェイリン・ターナー ジム・ミラー ジャレッド・キャノニア ジョー・ローゾン ドナルド・セラーニ ドリキュス・デュプレシー ブライアン・バルベレナ ブラッド・タヴァレス ブラッド・リデル ペドロ・ムニョス ボクシング ボビー・グリーン マックス・ホロウェイ メイシー・バーバー ユライア・ホール ロビー・ローラー

【UFC276】極め男ムニス。セラーニ✖ミラーの最多勝争い。可能性は無限大、イアン・ギャリーに要注目!!

【写真】まだまだ成長過程、それでいてUFC2連勝中のギャリーが荒くてパワフルなグリーンを相手にどのように戦うのか (C)Zuffa/UFC

2日(土・現地時間)にネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC 276「Adesanya vs Cannonier」。PPVカードの濃厚さに加え、プレリミでもFight Night大会ならメイン級のカードがズラリと並んでいる。

そのプレリミでまず気になるのが、ジャカレ・ソウザに引導を渡した極め技師アンドレ・ムニスだ。今回はユライア・ホールの遠い距離からの打撃をいかに封じ込めて、組みの展開から極めという流れに持ち込むことができるか、見ものだ。

また2週間前の大会でジョー・ローゾンが計量後にヒザの負傷で欠場となり、ついに3度目の正直もならなかったドナルド・セラーニが、ジム・ミラーと戦う試合も見逃せない。

勝てば、単独でUFC最多の24勝目となる両者の対戦。もともと今大会でボビー・グリーンと対戦予定あったミラーが1週間前にグリーンの負傷欠場を経て、実に14年9カ月振りとなるウェルター級で対戦を了承した。ライト級でも背が高い方でないミラーだけに、長身のセラーニに対して如何に踏み込めるか。

それでもフィジカル的にダメージの蓄積は、セラーニよりも抑えることができているミラーが、オクタゴン最多勝ファイターになる確率の方が高い、か。


セラーニとミラー、この対戦がファンの思い入れの強い顔合わせなら、将来性という部分で期待の存在がイアン・ギャリーだ。

今回がUFCで3戦目となるギャリーは、アイルランドはダブリン出身、コナー・マクレガーに憧れ大学を中退しMMAの世界に飛び込んだ24歳のファイターだ。アマボクシングで300戦以上、柔道でもティーン時代に活躍。その後18歳でMMAに転じ19歳でアマデビュー、21歳でプロになると7 戦目でCage Warriorsウェルター級のベルトを巻いている。

ちなみにマクレガーが同プロモーションのフェザー級のベルを巻いたのはプロ13戦目(※それまでの戦績は10勝2敗)で、2戦後にUFCと契約を果たしている。対してギャリーは8戦目でオクタゴン初陣を飾り、ここまで9連勝中だ。

4つのKO勝ちを誇る打撃は、非常に柔らかく基本に忠実だ。右ストレート、リードの左フックも強く、前足の蹴りも長けている。何より相手を誘ってパンチ入れる迎撃型の攻撃ができることが、ギャリーに天賦の才が感じられる部分だ。

レスリングはまだ成長過程にあるが、グラップリングでも積極的でフィニッシュ重視の戦いを好むギャリーの課題は、多岐に渡る技術が勝つために絞り込むことができていない点にある。良くいえば臨機応援、ともすればノープランとも取れるが、サンフォードMMAの名匠たちがしっかりと導くことができれば、今回のゲイブ・グリーン戦はデモンストレーションファイトにできるだけのポテンシャルを持っている。

その一方で、グリーンの粗さにクリーンな打撃が圧されることがあると、サウスポーの構えから振り回してくる右ボディや右フックの標的になる可能性もあるだろう。が、パワーファイターを正確な距離、間合いとコンビネーションで翻弄することができれば、ギャリーにとっては一段階ステップアップできるファイトとなる。

■視聴方法(予定)
7月3日(日・日本時間)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午前11時00分~PPV
午前11時00分~WOWOWライブ

■UFC276計量結果

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]イスラエル・アデサニャ: 183.5ポンド(83.23キロ)
[挑戦者]ジャレッド・キャノニア―: 184.5ポンド(83.68キロ)

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者]アレックス・ヴォルカノフスキー: 144.5ポンド(65.54キロ)
[挑戦者]マックス・ホロウェイ: 144.5ポンド(65.54キロ)

<ミドル級/5分3R>
ショーン・スティックランド: 185.5ポンド(84.14キロ)
アレックス・ポアタン・ペレイラ: 184.5ポンド(83.68キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ロビー・ローラー: 171ポンド(77.56キロ)
ブライアン・バルベレナ: 170.5ポンド(77.34キロ)

<バンタム級/5分3R>
ペドロ・ムニョス: 135.5ポンド(61.46キロ)
ショーン・オマリー: 135ポンド(61.24キロ)

<ライト級/5分3R>
ブラッド・リデル: 155.5ポンド(70.53キロ)
ジェイリン・ターナー: 155.5ポンド(70.53キロ)

<ウェルター級/5分3R>
ドナルド・セラーニ: 170.5ポンド(77.34キロ)
ジム・ミラー: 170.5ポンド(77.34キロ)

<ウェルター級/5分3R>
イアン・ギャリー: 171ポンド(77.56キロ)
ゲイブ・グリーン: 170ポンド(77.11キロ)

<ミドル級/5分3R>
ブラッド・タヴァレス: 185.5ポンド(84.14キロ)
ドリキュス・デュプレシー: 185ポンド(83.91キロ)

<ミドル級/5分3R>
アンドレ・ムニス: 185.5ポンド(84.14キロ)
ユライア・ホール: 186ポンド(84.37キロ)

<女子フライ級/5分3R>
ジェシカ・アイ: 126ポンド(57.15キロ)
メイシー・バーバー: 126ポンド(57.15キロ)

<女子バンタム級/5分3R>
ジェシカローズ・クラーク: 135.5ポンド(61.46キロ)
ユリア・ストレアレンコ: 136ポンド(61.69キロ)

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Interview Special クリス・ワイドマン ブログ ユライア・ホール 青木真也

【Special】月刊、青木真也のこの一番:4月─その参─ホール✖ワイドマン「カーフ」からの「パウンド」

【写真】なぜ、このような凄惨なシーンが生まれたのか…… (C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

引き続き2021年4月の一番、第三弾は24日に行われたUFC261からユライア・ホール✖クリス・ワイドマン戦について語らおう。


──青木真也が選ぶ2021年4月の一番、最後の試合をお願いします。

「ユライア・ホール×クリス・ワイドマンですね」

──目を背けてしまうフィニッシュになりました。

「まぁワイドマンですけど、あの蹴り方をよくするなって思います。あれってサッカーボールキックみたいに直線的に下から蹴り上げていて。やっぱり、あの蹴り方はまぁせんよねって。

日本でもする人がいますけど、摺り上げるように蹴るという……。あれは危ないです。危ない。基本を無視した蹴りです」

──チェックというか、カーフに対してホールも若干踏み込んだ。そこでスネとスネが当たり、蹴った方のワイドマンが骨折した。結果的にスネ受けをしたような形になりました。

「あの蹴り方は、もう運任せで。ホールが少し踏み込んでいないと、脹脛を蹴ることができて、効かしていたということなんでしょうけど。そんな危ない蹴り方をよくするなって思います」

──あの試合の後も、蹴り下ろすのは当然として、青木選手のいうところのサッカーボールキックのようなカーフローを蹴る選手は続いています。

「続いていますか……。外側を叩き蹴るってことなんでしょうけど、下からふわっと蹴ってあの受け方をされると折れますよ。それと相手のスタンスを見て、蹴り方を考えないと。ホールのように立ち気味だったら、チェックもされますしね」

──蹴りが飛んでくる方にスネを向ければ良いわけですしね。

「ハイ。その通りです。僕もアップライトで構えますけど、チェックできるし。そういう選手にはあの蹴りは出せなくなるはずです」

──ここまでMMAが進化して、28年の歴史にあってなお蹴りは言ってみると基本的な技術が伝わっていなかったということでしょうか。

「まぁ米国は、ムエタイ文化がある国じゃないですしね」

──もうこれは1970、1980年代からキックも空手もロー、下段なしルールが多かった歴史もあります。

「だからコリー・サンドヘーゲンとかは、キックボクシング文化で育っているから、ああいう蹴りは使わないです。スネなんか蹴らない」

──コロラド州デンバーはムエタイとキックが他より盛んで、サバキチャレンジという大会がメジャーで、二宮城光氏の円心会館空手も根づいています。

「サンドヘーゲンもそうだし、カーロス・コンディットも蹴らなかった。もちろんケニー・フロリアンも蹴らなかったじゃいないですか」

──ケンフロはボストンにあるシットヨートン・ジムでムエタイを学んでいましたね。

「彼らのように蹴りを習ってない──蹴りの文化がなかったからこそ、ワイドマンのような蹴りを使うのでしょうね。ATTにしてもモハメド・オワリがいた時なら、カーフを蹴らせていなかったかもしれないです」

──なるほどぉ、そうですね。

「堀口選手も蹴っていましたけど、あれはもうカーフ以前にカーフを蹴ることができる要因がありますからね。立ち位置として外を取れているので、結果的にカーフなだけで。構え、立ち位置、距離、間……です。

堀口選手はディスタンスとアングルに長けているので、あそこまで外して蹴ることができる。別に殴ることだってできますからね。その状態で、足を蹴っただけで。効いたから続けた。堀口選手のカーフはそういうことだと思います」

──堀口選手は1月にインタビューをさせていただいた時に、彼自身がカーフを蹴られても、スネ受けすれば良いだけだと言っていました。

「その通りです。なんで、アレを貰うんだよって思います。アレは良くわからないです。K-1とかキックだと、構えが前足重心で、爪先もボクシング的に内側を向いているから皆が使っているけど」

──言ってみれば、脹脛を最初から晒しているわけですね。

「そうです。だから今のK-1やキックは、カーフを蹴っているけど、MMAは色々な構えがあるわけで。そういう基本的なことを知っておかないといけないです。

距離とアングル、基本的なことを考えないとダメです。基本を知って、技のメリット、デメリットを知る。食材の良さと悪さを知らないと、料理ができないのと一緒ですよ」

──そうですね、毒を持つ生物はいるわけですし。何でもかんでも見様見真似で、美味しいぞって焼いて食べるわけにはいかないです。

「パンチだってどこを当てるか、どこで打つのか。そうやって殴っているわけだし。朝倉海✖堀口恭司でいえば、朝倉選手がボクシングに傾倒して、そういう構えになっていましたしね。よくあるパターンです。

それにボクシングに傾倒すると、僕はパウンドも弱くなると思います」

──というのは?

「これは松嶋(こよみ)選手と話していたんですけど、ボクシングのパンチはパウンドに応用できないよねって。ボクシングは普通に考えて、体を使って、コンビネーションがあってのパンチなので」

──移動で出すパワーですね。対して、パウンドはその場で出る力です。

「ハイ、そうだと思っています。だからこそ、実はグラウンドのパンチは空手の突きなんじゃないかと。近い距離でインパクトがある。Fight&Lifeの対談で岩﨑達也さんが言われていた、置くという話に通じているんだと思います」

──エルボーをそうじゃないですか。ムエタイのヒジ打ちとは違います、グラウンドでのヒジは。

「ハイ。ムエタイのエルボーって、点で当ててスッと抜けていく。それをグラウンドのヒジでやると、回ってしまいそうで」

──頭より向うにヒジを持っていくことはできないし、バランスを崩すということですね。

「だからヒジも置く感じですよね。僕も勉強した結果、前腕のヒジよりの部分で当てるだけで良いって思うようになったんです。それって置くだけなんですよね。

パンチに関して言うと、グラウンドでのパンチはバックコントロールから殴る時以外は、ボクシング的な体の使い方はない──そう思います」

──振ったら、姿勢が乱れて返される恐れがでますし、頭を動かして殴るというのは、グレイシー柔術がマウントパンチを世に出した時には、なかった打ち方ですね。よく手打ちとか言われていましたが……。カーフ論から、パウンド論、ボクシングを接点に両者の非常に興味深い話を聞かせてもらえました。

「試し割りとか、寸勁とかそういうことかもしれないですね。力の伝え方で。その瞬間、ストンと置いている。その場で力を出す、そういうことなんじゃないかって松嶋選手と話していました」

──その場の力が出るということですね。青木選手の組み力と、空手の論理が融合すると──またMMAは進化しそうで楽しみです。

「そこは松嶋選手の方が進んでいますよ。彼に話を聞いてみてください。きっとそういうことだと思うんです。ただし……練習で本気で打つことができない……。試合だと実感がないから分からない──けど、多分そうだと思うという話を2人でしていたんです」

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