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3CG06 JJ Globo Report ブログ マニュエル・ヒバマー メイソン・ファウラー

【3CG06】GSを逆手に取ったSUG王者ファウラー、ポイントでなくワンアームRNCでヒバマーを極める

<3CG GP準々決勝/7分1R>
メイソン・ファウラー(米国)
Def.OTGS 2分20秒by RNC
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)

すぐに引き込んだヒバマー、ファウラーが立ち上がりスタンドに戻る。ヒバマーがシングルレッグへ、キムラクラッチもバランスを崩したファウラーは下になる2Pを献上する。起き上りながらダブルに出たファウラーに対し、ヒバマーが得意のギロチンへ。すぐに頭を抜き、シングルに切り替えたファウラーだったが、ここで場外になる。

この試合も立ちレスが続くが、仕掛けは多い。ファウラーのダブルを切ったヒバマーは、アームドラッグからのシングルを切る。アグレッシブなファウラーだが、ポイントではリードを許しており、このままではOTでのイニシアチブが取れない。

の子凝り3分を切り、ヒバマーのシングルを切ったファウラーががぶる。ここでヒバマーが引き込み、テイクダウンPは入らないと思われたが、ジャッジはテイクダウンを認め同点に。

ファウラーがニースライスを仕掛け、ヒバマーは肩を押して立ち上がると──見せつつ、もう一度ガードを取り直す。ヒバマーのシングルを切り、スタンドに誘ってテイクダウン=リバーサルを狙ったファウラーだが場外に。残り90秒、引き込んだヒバマーは防御に徹し、途中でアイポークがあったとアピールする。その後もヒバマーのシッティングが続き、延長のポジションはヒバマーに与えられる。

ここで、ファウラーの同点じゃないかというアピールに、ジャッジが優位だった選手を選ぶと──結局にヒバマーに。首をかしげるファウラーは、ここもニースライスを仕掛けるが上の人間はGSでは不利は否めない。

下から足をとりにいき、届かないと寝転び直すヒバマーに対し、ファウラーはフラストレーションがたまる。と、シッティングから両ヒザ立ちになったヒバマーが足を触りにいく。その刹那、ファウラーはスプロールしてバックへ。ヒバマーの前転についていったファウラーは、足をフックさせにいく。

ヒバマーは太腿を押しポイントを許さまいと防御するが、ファウラーはフックよりもがら空きになった喉下に右腕を滑り込ませる。左手はワキを取っている状態、グリップすることなくワンアームでRNCを極めタップを奪った。ゴールデンスコアを逆手にとったようなSUG王者の見事な一本勝ちだ。


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3CG06 JJ Globo Preview ウィリアム・タケット カイナン・デュアルチ テックス・ジョンソン ニック・ロドリゲス ブログ ペドロ・マリーニョ マニュエル・ヒバマー メイソン・ファウラー ヴィクトー・ウゴ

【3CG06】準々決勝後半戦にADCC世界王者カイナン・デュアルチとSUG王者メイソン・ファウラー登場

【写真】本命カイナン・デュアルチ、大穴メイソン・ファウラー。ファウラーの活躍がトーナメントを面白くする(C)SATOSHI NARITA & SUG

3日(土・現地時間)、テキサス州ヒューストンのホワイトオーク・ミュージックホールにて、プログラップリング大会Third Coast Grappling 06が開催され、トップグラップラー8人が参加した総額20000ドルが懸けられた賞金トーナメントが行われる。

ヴィクトー・ウゴ✖ウィリアム・タケット、ニック・ロドリゲス✖ペドロ・マリーニョ、カイナン・デュアルチ✖テックス・ジョンソン、メイソン・ファウラー✖マニュエル・ヒバマーという4試合が準々決勝で組まれている。

前半の山2試合の準決勝に見所に続いて、後半の山の2試合──マットでポイント有りのADCC、ケージで5分のサブオンリーに加えてOTが大きな要素となっているSUGのチャンピオンらの異ルール交流戦の見所をお届けしたい。
Text by Isamu Horiuchi


<3CG GP準々決勝/7分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)

デュアルチは、2019年に世界柔術ヘビー級を制し、さらに同年のADCC世界大会99キロ超級を制し、黒帯1年目にして道着とノーギの両方で世界の頂点に立った男だ。ムンジアルのでレアンドロ・ロ戦では怪物のスイープに、ADCCでは競技柔術世界一=ブシェシャのテイクダウンにもまるで揺るがないすさまじく強靭な足腰を誇り、それは下の体勢では鉄壁のニーシールドと化す(が、世界柔術の方は後に薬物検査に失格して優勝取り消しになっている)。

バックテイク力と極めの力も抜群で、昨年末のWNO 5ではホドウフォ・ヴィエイラと新旧重量級頂上対決を行い、わずか2分半、アームドラッグからバックを奪いチョークで完勝してみせた。

対するジョンソンは爆発的な極めを武器とするノーギグラップラー。特にチームメイトのエディ・カミングス譲りの足関節は強烈で、2019年にはフィリッピ・ペナをヒールで仕留めて一躍名を挙げた。今年に入っても1月のF2W161でアルナウド・マイダナを腕ひしぎ腕固めで一蹴したジョンソンだが、2月のF2W163でマックス・ジメニスにジャッジの裁定で不覚を取っている。地力ではデュアルチ有利は否めないこの対決。実際に両者はこれまでノーギグラップリングで2度対戦し、1度目は6-1のスコアで、2度目はチョークでどちらもデュアルチが完勝している。

が、ジョンソン必殺のヒールが実力差をひっくり返す威力を秘めた武器であることは確か。対するデュアルチは2019年のADCC無差別級ではラクラン・ジャイルズ戦や、2020年にはホベルト・アブレウにヒールで敗れており、このジョンソン戦においても如何に足関節の攻防を回避するかを念頭に置いて臨むことだろう。

<3CG GP準々決勝/7分1R>
メイソン・ファウラー(米国)
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)

強豪揃いのこのトーナメントの最注目選手を一人挙げるとするならば、それはメイソン・ファウラーだろう。

カイオ・テハを師と仰ぎ、主戦場とするチェール・ソネンが率いるサブミッション・アンダーグラウンド(SUG)と共にコロナ禍の於いて存在感を増したファウラー。2020年はロベルト・ヒメネス戦クレイグ・ジョーンズ戦、ヴィニー・マガリャエス戦、石井慧戦らとのビッグネームから次々と勝利して8連勝、無差別級王座に君臨する。

ただこれらの勝利のほとんどは、SUG独自のルール(本戦5分間で一本決着がつかない場合は、EBI方式──バックやスパイダーウェブ等お互い有利なポジションからはじめて、フィニッシュとエスケープ時間を競う──の延長戦)を巧みに利用してのもの。

つまり本戦ではいなしや距離を取る動きを多用して攻防を避けて延長に持ち込み、そこで持ち前の爆発力を活かした高速エスケープと強烈な極めで勝つのがファウラーの必殺パターンだ。世界的にも突出した極めとエスケープの力を持っているのは間違いないが、その前段階で優位なポジションを奪取する力がどれほどなのかはまだ見えていない。

最近の試合ではライアン・ベイダー戦に続き、リッチー・マルチネス戦とタイトル防衛戦では本戦で一本勝ちを収め、確かな実力を示しているファウラー。が、真の世界トップの重量級グラップラー達とどこまで渡り合えるかは未知数なままだ。

対するヒバマーは、トップゲームを中心に堅実な戦い方を得意とする。今年のF2W 164では、ダンテ・リオンに対して待ちの姿勢からテイクダウンをギロチンで切り返す等でポイントを稼ぎ2-1で勝利

F2W 166ではウィリアム・タケットに開始早々のカニバサミからのヒールで敗戦を喫したが、これは実力を発揮する間もなく敗れてしまった形だ。

SUGで無敗を誇るファウラーが、自らの庭から出てどう戦うかが注目の今大会。本戦7分で未決着の場合はサドンデスのオーバータイムにゆくという点ではSUGと似ているが、SUGのように相手を制さずにバックポジション等をもらえることはなく、最終的にはポジションに基づいたポイント、あるいは極めで決着が付く。ポジション取りからフィニッシュまでのグラップリング総合力が問われるルールだ。

相手にポジションを譲らない戦いには定評あるヒバマーを、ファウラーはいかに攻略してポイントを取ってみせるのか。

そしてここをファウラーが突破すれば、準決勝では重量級の世界の頂点の一人であるカイナン・デュアルチと当たる可能性が高い。世界のグラップリングファン注目の初対決は実現するか──ファウラーが暴れると、この大会はより楽しみが増すことは間違いない。

トーナメント戦、ヒール有りということで準決勝以降を予想することが困難であるが、MMAPLANET的には本命カイナン・デュアルチ、対抗ニック・ロドリゲス、穴ヴィクトー・ウゴ、大穴がテックス・ジョンソン、巨大穴=メイソン・ファウラーとしたい。

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F2W166 JJ Globo Report ウィリアム・タケット ブログ マニュエル・ヒバマー

【F2W166】ヒール入れ食い状態。茶帯のウィリアム・タケットがヒバマーをヒールで74秒殺!!

【写真】これでF2Wで10勝目を挙げた超茶帯のタケット(C)F2W

13日(土・現地時間)、プロ柔術大会Fight to Win 166が開催された。今年7度目となったこの大会、今回もレジェンドからグラップリングの未来を担う超新星まで、北米在住の注目グラップラーが多数登場し、激闘を繰り広げた。
Text by Isamu Horiuchi

ここではミスターF2Wといっても過言でない、茶帯ながら黒帯とのスーパーファイトで戦うウィリアム・タケットとマニュエル・ヒバマーの一戦をお届けしたい。

<ノーギ/10分1R>
ウィリアム・タケット(米国)
Def. 1分14秒by ヒールフック
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)

スタンドで頭を付けていなし合う両者。やがてタケットが飛びつきカニばさみでヒバマーの右足に絡む。そのままインサイド・サンカクの形を作ってヒバマーのバランスを崩したタケットは、ヒバマーの右足を右脇に抱えての内ヒールを狙い。

そうはさせじと回転してゆくヒバマー。やがて両者の体が場外側に来ると、先回りしてステージの下に降りていたレフェリーがヒバマーの体を押さえる。これで両者の動きが止まると、タケットはすかさずヒバマーの右足を左脇に持ち替えて外ヒール。強烈に極まってヒバマーはすぐにタップした。

米国グラップリング界の新星タケットが、僅か1分少々で強豪ヒバマーから鮮烈な一本勝ち。F2Wでの戦績は、色帯の部でのものも合わせると(実はタケットは現在も茶帯だが、その実力ゆえに黒帯スーパーファイトに登場している)これでなんと10戦全勝。ミスターF2Wとでも呼びたくなるような活躍ぶりだ。


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F2W166 JJ Globo Preview ウィリアム・タケット ガブリエル・アルメイダ ジョシュ・シスネロス ブログ マニュエル・ヒバマー ラファエル・ロバトJr ルーカス・ピニェーロ

【F2W166】無敗で引退、Bellator世界ミドル級王者ラファエル・ロバトJr参戦。日本勢の好敵手ピニェーロも

【写真】MMA引退後も積極的に組み技の試合に出ているムンジアル王者ロバトJr (C)BELLATOR

13日(土・現地時間)、プロ柔術大会Fight to Win 166が開催され、Flo Grapplingにて中継される。北米在住の大物グラップラーを多数参戦させるこのイベント、早くも今年7度目となる。
Text by Isamu Horiuchi

そんなF2Wの上位3試合、MMA世界王者からの柔術回帰、驚異の20歳と日本軽量級トップ柔術家のライバルの対戦などの見所を探りたい。


<ノーギ/10分1R>
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)
ウィリアム・タケット(米国)

19歳のタケットは、茶帯にしてすでにワールドクラスの実力を持つノーギグラップラー。昨年の躍進はすさまじく、怪力の足関節師テックス・ジョンソンを肩固めで仕留め、また2019、2020年とパン大会を制しているフィリッピ・アンドリューズをヒールで極めている。さらにミディアムヘビー級世界王者ルーカス・バルボーザともレフェリー判定の接戦を演じてみせた。

今年1月のF2W160ではジョン・コムズと対戦。両者積極的に極めを狙い合う激闘の末に2-1で勝利している。

対する27歳のヒバマーは、2019年ノーギワールズミディアムヘビー級王者。先日ギャビ・ガルシアとの頂上決戦を制して柔術界の新女王に輝いたナチアリ・ディ・ジェススの彼氏でもある。

今年2月のF2W164ではダンテ・リオンと対戦。気迫を前面に出して攻めてくるリオンを相手にカウンター戦術をとったヒバマーは、テイクダウンをギロチンで切り返した動きが評価されて2-1で判定勝利を収めている。

上からも下からも積極的に極めを狙ってゆく戦いを信条とするタケットと、強固なバランスを武器に待ちの姿勢で戦うことが多いヒバマー。対照的なスタイルのぶつかり合いが興味深いメインイベントだ。

<道着/7分1R>
ルーカス・ピニェーロ(ブラジル)
ジョシュ・シスネロス(米国)

アトス所属のピニェーロは、2010年代後半から最軽量級のトップ戦線で戦ってきた選手。2016年のパン大会の準決勝では芝本幸司を下し、決勝ではマイキー・ムスメシからパスガードを奪って追い詰めた末、準優勝に輝いた。以降も橋本知之、吉岡崇人といった日本のトップ勢と世界の舞台で凌ぎを削り続けている。

近年特に勝率を上げているピニェーロは、2019年のF2W128ではジョアオ・ミヤオに勝利し、2020年にはイアゴ・ガマらを倒してパンノーギ大会を制覇。さらに今年のAJPブラジル・ナショナル・プロ大会でもクレベル・ソウザらを制して優勝。今年の世界柔術最軽量級の優勝候補の一人と言えるまで存在感を増してきている。

対する米国カリフォルニア出身のシスネロスは、2000年5月生まれの20歳。ジアニ・グリッポ(1992年生まれ)、アイザック・ドーダーライン(1992年生まれ)、シェーン・ヒルテイラー(1995年生まれ)、マイキー・ムスメシ(1996年生まれ)らに続き、米国柔術界軽量級の未来を背負ってゆくとみられる逸材だ。

12歳の頃、クレバー・ルシアーノの黒帯にしてプロスケーターのトム・ノックス門下で柔術を学びはじめ、才能を開花。色帯時代からディエゴ・パト・オリヴェイラらと激しい戦いを繰り広げており、2019年にはノーギ・ワールズ(ライトフェザー級)の茶帯の部を制している。

昨年8月に黒帯を取得すると、同年のパン大会ライトフェザー級でパウロ・ミヤオやペドロ・ディアズを倒して優勝。アメリカンナショナルズではアイザック・ドーダーラインにも競り勝ってフェザー級を制している。

レスリングの経験もあるシスネロスは、上からも下からも戦える万能型柔術家。昨年のパウロ戦では、自らテイクダウンを仕掛けて上を選択。下からオモプラッタを仕掛けてパウロの左腕を伸ばしかけて上を取る等、互角以上に渡り合った。さらに終盤にはパウロの足を捌いてのトレアナ・パスで見せ場まで作り、全方面で強さを見せての勝利だった。

最軽量級の雄ピニェーロ相手に、やや体格に勝る米国柔術界の未来がどのような戦いを見せるのか。普段のIBJJF大会では見られないだけに楽しみな顔合わせだ。

<道着/7分1R>
ラファエル・ロバトJr(米国)
ガブリエル・アウメイダ(ブラジル)

現在37歳のロバトJrは、07年に世界柔術ウルトラヘビー級を制し、BJ・ペンに続き米国人で2人目の黒帯で世界王者と輝いた大ベテランだ。以降も道着着用、ノーギの両方のルールで世界の重量級のトップ戦線で活躍してきた。

2014年にはMMAデビューを果たし、2019年6月にはゲガール・ムサシに競り勝って10戦全勝の戦績でベラトール世界ミドル級王座に輝いた。が、健康上の理由(後に本人が海綿状血管腫だと明かした)によりそのベルトを防衛することなく返上。以後MMAでは試合をしていない。

MMAで活躍中もノーギの試合に出ていたロバトJrは、昨年のMMA活動停止後も組み技大会への出場は続けており、今年に入ってもダラス・オープンのヘビー級を制している。まさに柔術界の鉄人だ。

対する28歳のアウメイダは、レオジーニョとヒカルジーニョのヴィエイラ兄弟の弟子。18年に黒帯取得し、翌年のヨーロピアン大会で世界王者ルーカス・バルボーザのパスガードを凌ぎ、50/50からのスイープで下す大殊勲を挙げている。さらに昨年のF2W 152では、レジェンドのホムロ・バハウと道着着用ルールで対戦。スパイダーガードで絡んでくるバハウの足を一瞬で捌いてパスガードを奪い、勝利した。

今年1月のF2W 160でのノーギ戦では、ペドロ・マリーニョの強烈なギロチンに脅かされ、高々と抱え上げられてのテイクダウンも取られて判定0-3で完敗したアウメイダ。が、今回はその本領を発揮できる道着着用ルールだ。

バハウに続いて、またしてもアウメイダがレジェンド超えを達成するのか、それとも、柔術で現代MMAのメジャー王座奪取という偉業を成し遂げた鉄人が健在を見せつけるのか、注目の新旧対決だ。

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F2W164 JJ Globo Report ダンテ・リオン ブログ マニュエル・ヒバマー

【F2W164】レスリングの優勢のリオンが、ギロチン・トライのヒバマーにスプリットで敗れる

19日(金・現地時間)テキサス州ダラスにて、プロ柔術大会Fight to Win 164が開催された。

2週連続──今年5度目の開催となる同大会から、カナダのブラジルの新鋭対決=ダンテ・リオン✖マニュエル・ヒバマーの模様をお届けしたい。
Text by Isamu Horiuchi

<ノーギ/7分1R>
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)
Def. 2-1
ダンテ・リオン(カナダ)

2年前のADCC参戦時に比べて明らかに上半身が大きくなったリオンは、気合十分の表情で前に出て素早くシングルへ。が、いかにも頑強な下半身を誇るヒバマーはそれを受け止めて振り飛ばす。

それでも前に出るリオンに対し、ヒバマーはその頭を抱えては足を飛ばす。動じないリオンは、一瞬のアームドラッグのフェイントからダブルで突進すると、豪快にヒバマーをテイクダウン。が、両者場外に出てしまい試合はスタンド再開となった。

その後も緊張感のあるスタンド戦が続く。リオンは積極的に前に出てはテイクダウンを狙うが、ヒバマーは腰を引いて対処。今度はヒバマーの方が飛び込む。これをリオンががぶろうとしたところで、ヒバマーは素早く体を起こして逆にがぶりに。リオンの首をギロチンで固めて圧力をかけるヒバマーだが、リオンは頭を抜くと即座に立ち上がり、逆にアームインギロチンで逆襲。が、体格に勝るヒバマーはそれを振りほどく。

残り3分。安易に下にならず、スタンドで戦い続ける両者。時にヒバマーはリオンの頭を強くはたくようにいなすが、リオンは一切気にせず前に出てスタンド戦を挑む。

残り1分。リオンは引き込むが、ヒバマーが付き合わないと見るや立つ。次にリオンはイマナリロールに。が、ヒバマーはこれも距離を取ってディフェンス。ならばとリオンは再びアームドラッグからのテイクダウンを狙うが、ヒバマーはここも腰を引いてディフェンスした。

残り30秒、またしても引き込んだリオンは、ハーフで右足に絡むと、もぐってヒバマーの左足を狙うが、ヒバマーは立ち上がってステップアウェイ。リオンは迫ってまた引き込み。が、ヒバマー距離を取る。試合終了寸前、ヒバマーが逆にテイクダウン狙いに出るが、リオンはそれをギロチンで切り返す。ヒバマーがそれを引き剥がすように頭を抜いたところで、時間切れ。終わった瞬間、勝利を確信したリオンは咆哮した。

しかし判定は2-1でヒバマーに。すると今度はヒバマーが勝利の咆哮を見せたのだった。露骨に不満な表情を見せたリオンは、ヒバマーが差し出した手を握りはしたものの、ハグに応えることはなかった。

スタンドで大半の時間が費やされ、お互い危ない場面のなかったこの試合。積極性という点では明らかにリオンが上回っていただけに、この判定は意外なものだった。ジャッジのうちの二人が、前半にヒバマーが仕掛けたギロチンを「この試合唯一有効なサブミッション狙い」とカウントした結果だろうか。そしてヒバマーも、そう計算したからこそ後半はほぼ逃げに徹したのかもしれない。

だとしたら、2試合前のホシャ対タザ同様、「(テイクダウンやポジション取りに対する)ポイントシステムがないが故の(サブミッションの形を作るという)ポイントゲーム」が、この大会では残念ながら勝利への有効な手段として機能していることになる。

そして極まらないサブミッションをアグレッシブとするなら、掛け逃げという流れに発展する可能性もある。組み技競技のルールデザインは、かくも難しい──。


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F2W164 JJ Globo Preview オリバー・タザ ダンテ・リオン ブログ ペドロ・マニーニョ マニュエル・ヒバマー

【F2W164】レプリにパスさせなかったダンテ・リオンがヒバマーと。バッハの星マニーニョが連続参戦

【写真】ルーカス・レプリをパスさせなかったリオンのガードワーク、必見だ(C)SHTOSHI NARITA

19日(金・現地時間)テキサス州ダラスにて、プロ柔術大会Fight to Win 164が開催される。先週に続き、ダラスでの開催とハイペースで大会を続けるF2W。2021年第5弾の見どころ──まずはノーギ新鋭対決の2試合を紹介したい。
Text by Isamu Horiuchi


<ノーギ/8分1R>
ダンテ・リオン(カナダ)
マニュエル・ヒバマー(ブラジル)

カナダ出身の25歳リオンは、2019年のグラップリング界最大のブレイクアウト・スターの1人。同年のADCC世界大会77キロ以下級の2回戦にて、柔術世界絶対王者ルーカス・レプリと対戦し、必殺のニースライス・パスを強固なニーシールドとフレームで完封、逆にシットアップからシングルレッグにつないでバックを奪って完勝し世界にその名を轟かせた。

さらに同年末のノーギ・ワールズでは、ジェイミー・カヌートとのミドル級同門対決を制して優勝。ここでも鉄壁のガードを駆使し、隙を見てボディロックからテイクダウンに繋げての勝利だった。

同じく19年末のノーギ・ワールズで大きく名を上げたもう一人の選手が、レアンドロ・ロ率いるNSブラザーフッド所属のヒバマーだ。ミディアムヘビー級決勝でガブリエル・オリヴェイラと対戦したヒバマーは、前半はトラックポジションを奪うなど有利に試合を進め、後半に50/50から巧みに上を取って2-0で勝利。初のビッグタイトルを獲得した。

以前はシセロ・コスタ門下でミヤオ兄弟らとも練習し、モダン柔術的な戦いにも長けたヒバマーだが、光るのは現在の師であるロを彷彿とさせるトップでのキープ力だ。2020年初のヨーロピアン大会では、北欧を代表するオープンガード・プレイヤーであるエスペン・マティエセンの下からの仕掛けを卓越したバランスで防ぎ続け、終盤ディープハーフからついに足を抜いてのパスに成功。マティエセンの上半身を固めたまま足の抜き入れを繰り返して大量得点して22-0で勝利すると、そのまま大会を制してみせた。

これまで両者は17年と18年に一度ずつ対戦し、どちらもヒバマーがポイント勝利を収めている。が、それはいずれも道着着用の試合であり、両者が国際的名声を得る前のこと。リオンがもっとも得意とするノーギグラップリングにおいて、その鉄壁のガードをヒバマーがいかに攻略するかが焦点となりそうだ。

<ノーギ/8分1R>
ペドロ・マニーニョ(ブラジル)
オリバー・タザ(ブラジル)

2019年のノーギ・ワールズ茶帯王者のマリーニョは、グレイシー・バッハ期待の星。いまだに茶帯を巻いているが、実力的にはすでに世界トップレベルのノーギ・グラップラーだ。

1月のF2W 160では、ガブリエル・アウメイダにバックスローと必殺のギロチンで追い込んで判定3-0で完勝。前回のF2W163では、マテウス・ルナ相手に終始スタンドで有利に立ってこれも判定3-0で勝利。勢いに乗っての連続参戦となる。

対するタザは、レバノン出身。10代で移住したカナダのトライスタージムで格闘技に出会った。フィラス・ザハビの元でグラップリングを学び、さらにその師であるジョン・ダナハーが師範代を務めるNYのヘンゾ・グレイシー・アカデミーにも足繁く通って技術を身につけた。

ダナハー門下らしく、主武器はアシガラミからのヒールフック。昨年末に黒帯を取得したばかりのタザだが、色帯時代にラクラン・ジャイルズやジョン・コムズといった強豪グラップラーを下し、また日本でも知名度のあるデイヴィッド・ガルモやPJ・バーチからも一本勝ちを収めている。

ギロチンのマリーニョ、ヒールフックのタザとお互い必殺技を持つ同士のこの一戦。過去一度の対戦ではマリーニョが2-0で勝利を収めているが、今回は一本勝ち決着を期待したい。

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