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【WJJC2022】メイハン・マキニ初制覇のライトフェザー級で、負傷を抱えた嶋田裕太はイアゴに一本負け

【写真】トーナメントウィークに負傷。今回の2試合で、今後に向けて何を得られたのかが大切だ(C)SATOSHI NARITA

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われた、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text Isamu Horiuchi

レビュー第2回は、NYのマルセロ・ガウッシア道場で長期修行を行なっている嶋田裕太の戦いぶりを中心にライトフェザー級の模様をレポートしたい。


<ライトフェザー級1回戦/10分1R>
嶋田裕太(日本)
4-4 アドバンテージ4-2
ジュニー・オカシオ(米国)

まずは引き込み合う両者。お互い相手を掴まずに座ってしまい2度ペナルティを受けた後、嶋田は前に出て一瞬座ってから上を選択することで、アドバンテージを獲得した。

オカシオは嶋田の右足首に絡むが、嶋田は崩れない。ならばとクローズドガードを作ったオカシオは横回転で崩しにかかる。ここも嶋田はスプロールしてバランスをキープする。ガードを閉じているオカシオを持ち上げた嶋田は、左足を押し下げてから胸を合わせにかかるが、オカシオが対処してクローズドに戻る。

その後オカシオはガードを開いて足狙いも見せるが、ここも嶋田は回転して対処してみせた。ラッソーを作ったオカシオは、嶋田の右足を内側から抱えて回転すると、さらにベリンボロに移行を狙う。腰を切って抑え込もうとする嶋田だが、ここでオカシオはその勢いを使って回転して上に。

距離を取って立とうとする嶋田だが、オカシオはその背中を取りながら上になり、2点先制した。そのままサイドで嶋田を抑えたオカシオは、ニーオンザベリーさらに2点追加。嶋田は残り6分ほどのところで4点差をつけられてしまう。

嶋田はエビの動きでオカシオのヒザから逃れるが、ここで嶋田が苦しそうな様子をしたことで、レフェリーが一旦試合を中断。ワキ腹を抑えている嶋田だが、少々のやりとりの後で試合は再開された。

サイドに付いているオカシオは左腕で枕を取ると、嶋田の襟を引きつける。嶋田が足を戻そうとしたところで上からダイブしてのベリンボロ狙いへ。嶋田がマットに背中を付けて守ると、その左足にストレートフットロックを仕掛けてゆく。

それを防いだ嶋田が立とうとすると、オカシオはすかさず背中に回り、嶋田の襟を右で取ってコントロールする。嶋田は動いて体をずらそうとするが、襟を掴んでいるオカシオは巧みに背中に張り続け、キープしていった。

残り4分。それでも動き続けた嶋田は、なんとか距離を作ってクローズに戻すことに成功すうr。ここでオカシオのラペルをその右腕に巻きつけた嶋田は、下から腕十字一閃。うつ伏せになりながら極めにゆき、腕を伸ばし切ったかに見えたが、オカシオは回転して嶋田の体を跨いで脱出。

が、嶋田はその勢いで上になることに成功し、アドバンテージを獲得するとともに2点を返してみせた。さらにサイドを狙う嶋田だが、オカシオはスクランブルして上の体勢に。この動きはスイープではなくリバーサルとみなされ、得点は与えられなかった。

残り約3分で2点リードを許している嶋田。が、アドバンテージでは2つリードしている。シッティングからオカシオの右足に道着を通して掴んだ嶋田は、殿下の宝刀シングルレッグへ。距離を取ってがぶるオカシオだが、グリップをキープしている嶋田は再び勢いをつけてスクランブルから立ち上がる。そのままシングルにつなげる。粘るオカシオをついに倒し切って2点獲得。残り2分半にて逆転に成功した。

一度ガードを閉じたオカシオは、ラッソーに移行する。嶋田はワキを締めて守る。オカシオは回転して煽るが、嶋田はヒジをうまく使って腰を引いて防御する。その後も嶋田は終了まで上をキープし切り、アドバンテージ2つのリードを守り抜いた。

伏兵オカシオに先制点を許し、さらに中断を余儀なくされる状況に追い込まれた嶋田だが、執念の逆転勝利。勝負所で磨き抜いたシッティングからのレッスルアップを決め、最後はミヤオやソドレといった世界屈指のオープンガードプレイヤー達と凌ぎを削ってきた経験を活かして守り切った。

こうして苦境を克服した嶋田は、初日のヤマであるイアゴ・ジョルジ戦に駒を進めた。

<ライトフェザー級2回戦/10分1R>
イアゴ・ジョルジ(ブラジル)
Def.5分43秒 by 襟絞め
嶋田裕太(日本)

嶋田が前に出ると、ジョルジはすぐに引き込む。続いて左でラッソーを作ったジョルジは、そのグリップで強烈に引きつけて嶋田を左に崩してのスイープ。見事に2点を先制してみせた。

上を取ったジョルジは、左右に動いてのパスの猛攻へ。サイドに付けかけられた嶋田は、アドバンテージを一つ献上するもなんとか左足に絡んでみせた。

が、ジョルジはすぐにその左足でニースライスへ。ここも戻す嶋田だが、またしてもアドバンテージを取られてしまう。さらにジョルジは侵攻を続け、ついにヒザを抜いてパスに成功。開始僅か1分半で、点差を5-0と広げた。

サイドについたジョルジは、あえて左足を動かして隙間を作り、半ば意図的に嶋田がそこに絡むことを許してから、再びニースライスへ。さらに逆サイドに飛んでパスを決めて、8-0とリードを広げた。

その後ジョルジは、再び嶋田に一旦足を絡ませてから抜いてみせ、さらにニーオンザベリーも決めて13-0とすると、嶋田の襟首を右手で掴んで上体を起こさせてバックに付き、両足フックを入れて17-0とリードを広げる。ここから送り襟絞めに入ると、嶋田がタップ。5分43秒、一方的に嶋田を攻め続けたジョルジの完勝に終わった。

試合終了後もダメージでなかなか立てなかった嶋田。試合直前の練習で脇腹を負傷してしまっていたとのこと。今回は自分の力を出しきれずに終わってしまったが、その状況でマットに上がり、一回戦を逆転勝利した経験は必ずや今後の糧になるだろう。

嶋田を倒したジョルジは、次戦も突破して最終日へ。準決勝にて優勝候補のメイハン・マキニとのリベンジ戦に臨んだ。が、マキニはスタンドでは小内、小外でジョルジを倒し、上からは凄まじいスピードのトレアナパスを2度決め、最後は腕十字。僅か2分半、恐るべき強さを見せつけた末に圧勝して決勝進出した。

もう一方の山は、予想通り前年度覇者のパトことジエゴ・オリヴェイラとジエゴ・ヘイスの両者が勝ち上がった。この準決勝は、残り1分で50/50を作って上を取ったオリヴェイラがトップを守り切って作戦勝ち。

かくて決勝はマキニ×オリヴェイラ、昨年も死闘を繰り広げた両者の再戦となった。今年からオリヴェイラがドリームアートに移籍したため、同門同士の世界一決定戦だ。

上攻めのマキニと、下攻めのオリヴェイラ。凄まじいスピードと技のキレを持つ両者は、昨年に続いて互いに一歩も譲らない世界最高峰の凌ぎ合いを展開した。スコアは全くの同点、割れるかと思われたレフェリー判定は意外にもユナニマスでマキニを支持。21歳の新世界王者が誕生した。

マキニとオリヴェイラとヘイス──恐るべき強さを誇る新世代がライトフェザー級を席巻している。

そのとてつもなく高い頂に、今回の試練を戦い抜いた嶋田はいかに挑んでゆくのだろうか。

【リザルト・ライトフェザー級】
優勝 メイハン・マキニ(ブラジル)
準優勝 ジエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
3位 ジオゴ・ヘイス(ブラジル)、イアゴ・ジョルジ(ブラジル)

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【WJJC2022】嶋田裕太の茨の道=ライトフェザー級。オカシオ,イアゴ&昨年準優勝者撃破で表彰台&三強戦

【写真】嶋田のハーフ、レッスルアップ、スイープはワールドクラスだ(C)SATOSHI NARITA

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われる、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text by Isamu Horiuchi

プレビュー第2回は、NYのマルセロ・ガウッシア道場で長期修行を続ける嶋田裕太が出場するライトフェザー級の見どころを紹介したい。


強豪揃いのこの階級だが、他の選手から頭一つ抜けた優勝候補と呼べる選手が3人いる。まずは前回優勝のパトことジエゴ・オリヴェイラ。

続いてそのパトと昨年の準決勝で大死闘を演じ、4月のパン大会で優勝を遂げたメイハン・マキニ。3人目は、ADCCブラジル予選にてノーギながらパトを下したジオゴ・ヘイスだ。

ヘイスとマキニは昨年のワールドプロ予選で対戦。この時はヘイスが競り勝ちそのまま本戦優勝を果たしているが、4月のパン大会での再戦時には、50/50シーソー戦の末に12-10でマキニが勝利し、その後も優勝を果たしている。パトが23歳、マキニは21歳、そしてヘイスに至ってはまだ20歳になったばかり。すでに圧倒的な若き力により席巻されているのがこの階級の現状だ。

この3人に加え、昨年の世界大会で組み合わせに恵まれたこともあり決勝進出を果たした米国のマラチ・エドモンドも出場。そして19年の世界大会優勝者の一人である──この時は前人未到の同門4人によるクローズアウトだった──イアゴ・ジョルジ、4月のパンナムにてそのジョルジにストレートフットロックを極めて準優勝を果たしたルーカス・ピニェーロら強力ベテラン勢もエントリーしている。

このような過酷なトーナメントに挑む嶋田は、4月のパン大会以来の試合となる。同大会ではひとつ上のフェザー級にエントリーし、一回戦を順当勝ちした後、僅か10分少々のインターバルで過去2連敗を喫している強豪アレクサンドロ・ソドレと対戦。最初の上選択をアドバンテージと判定してもらえない不運もあり惜敗したが、シッティングガードからの鋭い仕掛けからシングルに移行して倒し切る等、その動きが世界最高峰に十分通じるところまで来ていることが見て取れる内容だった。

(C)FLOGRAPPLING

今回の嶋田の一回戦の相手は、ユニティ柔術のエドウィン・オカシオに決まった。

ジュニーの愛称でWNO等ノーギグラップリングの大会での活躍し、ジオ・マルティネスや今成正和等のビッグネームから勝利を挙げている。シッティングガードから足を絡めてのヒールフックを最も得意とするが、今大会はそれが禁止された道着着用ルール。この分野の頂点を目指す嶋田としては負けられない相手だろう。ちなみにオカシオは4月のパン大会にもエントリーし、初戦で橋本知之と戦う予定だったが欠場している。

次に嶋田を待っているのは、第5シードのイアゴ・ジョルジだ。

2019年には前述したクローズアウトでの世界制覇を含め、メジャー5大会全制覇という偉業を成し遂げた経験を持つ世界的超強豪だ。近年マキニ&ヘイスの超新星2人には連敗を喫しているが、その実力は健在だ。強烈なパスガードの持ち主のジョルジに対し、やはり上攻めを得意とする──同時にシッティングからのレッスルアップにも一段と磨きがかかっている──嶋田がいかに自分のペースで試合を運べるか。

今から9年前、2013年のブラジレイロ紫帯ライトフェザー級決勝で、ジョルジに勝利している嶋田だが、茶帯以降は対戦がなくても実績という点でリードを許している感は否めない。翌日の準決勝進出=世界のメダル獲得に向けて、最初にして最大の山場がこの試合となりそうだ。

このジョルジを倒せて、はじめて準々決勝に進める嶋田に立ちはだかる可能性が高いのは、昨年準優勝のマラチ・エドモンド。楽な相手であるはずはないが、エドモンドは黒帯での試合経験がまだ少なく、4月のパン大会でもルーカス・ピニェーロにチョークで完敗している。ジョルジに比べれば与し易いと言えるかもしれない。

ここも超えることができた場合、翌日の準決勝で嶋田を迎え撃つのはおそらくメイハン・マキニ、そしてさらに決勝で当たるのはパトことジエゴ・オリヴェイラとジオゴ・ヘイスの勝者だろう。つまり最終日には、現在この階級を席巻する真のトップの3人のうちの2人との連戦が嶋田を待っていることとなる。

頂点への道のりは目眩がするほど険しいが、4月の見事な戦いぶりから判断する限り、最終日に世界最高峰と渡り合う嶋田の勇姿を我々が見られる可能性は大いにあるだろう。

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MMA MMAPLANET o PJJC2022   アイザック・ドーダーライン アレクサンドロ・ソドレ ケネディ・マシエル 嶋田裕太

【PJJC2022】ソドレ兄弟が金銀のフェザー級で、優勝したソドレ兄に惜敗──も肉薄の嶋田裕太にNY効果

【写真】同じ技にはめ込むことができている。それだけ高度かつ強度が高くなっていることが確認できた嶋田。微妙なアドバンゲームを制してこそのIBJJF競技柔術だけに──不明瞭なポイントボード問題はなんとかしてほしいものだ(C)IBJJF

6日(水・現地時間)から10日(日・同)まで、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナにて、パン柔術選手権が行われた。
Text Isamu Horiuchi

レビュー第2回はNYの神童マルセロ・ガウッシア道場にて長期修行に励む嶋田裕太が出場したフェザー級の模様を、嶋田の戦いぶりを中心に紹介したい。


<フェザー級1回戦/10分1R>
嶋田裕太(日本)
Def. by 17-0
ティエリー・ファリア(ブラジル)

ガードに跳び付いたファリアに対し、すぐに嶋田は両足担ぎの体勢に。そのまま立ち上がって圧力をかけた嶋田は、ファリアの右足を抑えて右に動き、さらにファリアの右ワキを差して背中を付けさせて相手の上半身を殺すと、絡まれた左足を抜いてマウントへ。すぐにファリアが下から左足を嶋田の股間に入れたからか、嶋田にはアドバンテージに加えてパスの3点のみが与えられた。

ファリアは下から動いてディープハーフを作るが、右ワキを制している嶋田はバランスを保ちながら圧力をかけてアドバンテージを重ねる。やがて嶋田は絡まれている左足を抜き、再びマウントに。今度はパスガードの3点とマウントの4点が与えられ、10-0と大きくリードした。

その後も下から懸命に動いてディープハーフに戻すファリアと、ワキを殺してさらにパスを狙う嶋田の攻防が続く。一度クローズドガードに戻された嶋田だが、立ち上がってファリアをリフト。その足を押し下げてガードを開かせ、足を超えてまたしてもマウントを奪取。17-0 とリードを広げた。

その後嶋田は腕十字やギを絡めたチョークを狙ってゆくが、ファリアはしぶとくディフェンスして極めさせない。なんとか足を絡めて下からの反撃を試みるファリアだが、トップの嶋田はその度に素早い反応で足を捌きワキを制しては、極めを狙っていった。

結局ファリアの守りの前に極めきることはできなかったものの、トップから終始攻め続けた嶋田が17-0で完勝。今年に入ってフェザー級で連戦を重ねて臨んだこの大会で、動きの良さを見せつけた。

<フェザー級2回戦/10分1R>
アレクサンドロ・ソドレ(ブラジル)
2-2 アドバンテージ2-1
嶋田裕太(日本)

初戦を10分間フルに戦った嶋田は、その後同マットで1試合が消化された後に再び登場。対戦相手は、シード故にこれが今大会初戦となるソドレ。19年に2連敗を喫しているこの若き強豪と、わずか10分少々の休憩時間で対峙するという厳しい戦いだ。

試合後両者同時に座るや、嶋田はすぐ上に。これが嶋田のアドバンテージではなく、ソドレの引き込みと判断されてしまいアドバンが入らない。

すぐに左で得意のラッソーを作ったソドレはそこからの仕掛けを試みるが、嶋田もワキを閉めてうまくソドレの攻撃を遮断する。ソドレが煽ると素早くスプロウルする等良い反応を見せる嶋田は、横に動いてのパスを見せるがソドレも対処。鋭い動きの両者による緊張感のある攻防が続いた。

4分過ぎ、下から嶋田の右足を抱えたソドレは、そのまま引き付けて嶋田のバランスを崩してシットアップ。相手を後ろに崩す得意の形で2点を先制した。嶋田もソドレの右足を抱えて起き上がってのシングルレッグを狙うが、ソドレはそれを跳ね返してニースライスの体勢を作った。

右足にハーフで絡む嶋田と、上体を起こして嶋田の首に道着を巻きつけてチョークのプレッシャーをかけつつ侵攻を試みるソドレ。嶋田はシッティングガードからソドレの右足にラペルを巻きつける形でテイクダウンを狙うが、ソドレは巧みに嶋田の左脇をすくいながら動いて防御。結局両者は離れた。

残り3分半。シッティングを取る嶋田は素早くソドレの体を引き付けて前に崩してから右足を抱えてディープハーフへ。そのまま素早く立ち上がってシングルに移行すると、片足で堪えようとするソドレの軸足を刈りながらのテイクダウンに成功。切れ味鋭い見事な動きで2-2とした。

そのままガードを閉じるソドレと、それを開けにかかる嶋田。画面に表示されている得点表は同点だが、動こうと試みる嶋田と体勢キープを試みるソドレという攻防になっている。

残り1分半。ソドレは再び下から嶋田の右足をキャッチ。動きを作りたい嶋田が上体を起こしたところで、ソドレは右足を強烈に引き寄せながらシットアップし、先ほどと似た形で上を狙う。ここで下にはなれない嶋田が背中を見せて距離を取ろうとしたところで、ソドレはその背中に付くと、跳び付いてシングルバックに。終盤のこの攻撃で、ソドレは大きなアドバンテージを一つ追加した。

場外際のブレイクを経て再開。時間のない嶋田は、絡みつくソドレの足を腕で押し下げて解除すると、上体を低くしてソドレを前に落とすことに成功する。ここからテイクダウンを仕掛けるがソドレは下がって場外へ。このように不利なときは無理せず下がって場外に出るインサイドワークは、常に前に出て攻め続ける嶋田の戦いにはあまり見られないものだ。

残り29秒で再度、中央でリスタートに。この時、ソドレが取ったアドバンは実は(それまでの掲示どおりの1つではなく)2つだったと得点表が修正された。下がるソドレに迫る嶋田は、背負いの仕掛けから引き込んでシッティングを作ると、ソドレの襟を強烈に引き付けてから右足に絡み付いてのシングルへ。

逃げようとするソドレの右足を抱えて前に出た嶋田は、両者が場外に出そうになると、ソドレの体を回して方向転換して試合場内で倒すことに成功。が、次の瞬間ソドレは跳ね立つ。それでも右足を離さない嶋田はさらにソドレを倒そうと前進するが、ここで両者の体が場外に出るとともに時間切れ。最後に嶋田にアドバンテージが入ったが、一歩及ばず。

嶋田、三度ソドレの軍門に降る──が、3回同じスイープで点を許して2-8で敗れた19年の世界大会と比べ、今回ははるかに競った内容だった。しかも前戦をフルに戦った後、僅か10分程度のインターバルを経ての戦いだったにもかかわらずだ。

シッティングからの鋭い仕掛けを起点とし、ソドレの軸足を刈って倒した1度目のシングル、そして結局は逃げられたものの、場外に出そうなソドレを引き戻しながら倒した2度目のシングル等、嶋田の特性を活かした動きがいよいよ世界最高峰に通じるレベルとなってきたことが見て取れた。

また、ソドレに2度目のスイープを仕掛けられた際、背中に廻られてアドバンテージは失ったものの、最終的にポイントを献上しなかったことも収穫と言えるだろう

1度目のスイープの後にニースライスを仕掛けられたこと(画面では表示されなかったが、ここでソドレにアドバンテージが与えられたのだろう)や、最後に倒しきれずに逃げられてしまったこと等、課題は見られた。が、嶋田は必ずこれらの課題を克服してさらに強くなるはず──そう思わせてくれるこの日の戦いぶりだった。

さて、嶋田に辛勝したソドレは、続く準々決勝で難敵アイザック・ドーダーラインと対戦。得意の後ろに崩すスイープで先制すると、終盤にもスクランブルで競り勝って取った上のポジションを守り切り、4-2で勝利。

続く準決勝では、優勝候補ディエゴ・パト・オリヴェイラの欠場もあって勝ち上がってきたチアゴ・マセドと対戦。ここでもやはり後ろに崩すスイープを決めて先制すると、その後50/50シーソーゲームを経て取り返した上のポジションを試合終了まで巧みにキープ。オープンガードから後ろに倒す必殺のスイープと、終盤にポジションを守って勝ち切る勝負強さを存分に発揮して決勝進出した。

そしてもう一方の決勝進出者は、なんと弟のジエゴ・ソドレ。ジエゴは準決勝で、ケネディ・マシエルやシェーン・ヒルテイラーといったビッグネーム相手にレフェリー判定で勝利して勝ち上がったヒカ・ノゲイラ相手と対戦。こちらもレフェリー判定にもつれ込む接戦を制したのだった。

当然ソドレ兄弟は決勝では戦わず、弟が兄に譲る形でクローズアウト。25歳と23歳、若き兄弟は世界大会クローズアウトという偉業を達成する可能性も秘めている。そのソドレ兄と互角の攻防を繰り広げた嶋田、既に1カ月半後に迫っているムンジアルに向け──NYでの生活のよる成果は如実に表れている。

【フェザー級リザルト】
優勝 アレクサンドロ・ソドレ(ブラジル)
準優勝 ジエゴ・ソドレ(ブラジル)
3位 チアゴ・マセド(ブラジル)、ヒカ・ノゲイラ(ブラジル)

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MMA MMAPLANET o PJJC2022 アンディ・ムラサキ アンデウソン・ムニス エリキ・ムニス クレイグ・ジョーンズ グーテンベルギ・ペレイラ ジョナタ・アウヴェス タイナン・ダウプラ タリソン・ソアレス ダンテ・リオン ディヴォンテ・ジョンソン ブルーノ・マルファシーニ ペドロ・マリーニョ ホベルト・アブレウ リーヴァイ・ジョーンズレアリー レアンドロ・ロ ロベルト・ヒメネス 嶋田裕太 橋本知之

【PJJC2022】パン柔術見所。ライト級のムラサキ✖アウヴェス。ミドル級はダウプラ、ヒメネスらに注目

【写真】昨年のパンナムは8ファイナル敗退だったアンディ・ムラサキ。今年はどうなる?!(C)EUG

フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナで6日(水・現地時間)から、IBJJFパン柔術選手権が10日(日・同)の日程で始まっている。

世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこのパン柔術。プレビュー最終回は橋本知之が出場するライトフェザー級、嶋田裕太が出場するフェザー級以外について考察したい。


【ルースター級】
本命は2020年のヨーロピアンでブルーノ・マルファシーニ越えを果たし(その年は惜しくも決勝で橋本知之に敗れたものの)、今年のヨーロピアンで優勝を果たしているタリソン・ソアレスか。ソアレスと決勝で対峙する有力候補としては、2019年のヨーロピアンで芝本幸司に快勝したカルロス・アルベルトが挙げられるだろう。

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【ライト級】

この大会2連覇中、AOJのジョナタ・アウヴェスがエントリー。昨年のEUG2のトーナメント決勝にて、柔術の神の子ことミカ・ガルバォンと対戦し、一度トップを取ったら這いつくばってでもキープする執念の戦いぶりでリードを守り切って優勝した姿が印象深い。

そして別ブロックには、ティーン時代を日本で過ごし、昨年のEUG1で世界的黒帯を3タテして衝撃の黒帯デビューを果たしたアトスのアンディ・ムラサキがいる。

23歳のアウヴェスと22歳のムラサキは今年のLAオープンの決勝でも対戦し、この時は8-8のアドヴァンテージ差でアウヴェスが勝利している。柔術界の未来を背負う新世代のライバル対決が、今回決勝でまた見られる可能性は高そうだ。

(C)SATOSHI NARITA

【ミドル級】

大本命は、昨年の世界大会初出場にて初優勝を果たしたタイナン・ダウプラ。鍛え上げたフィジカルを武器に、万力のオープンガードで相手をたちどころにスイープして上を取ると、問答無用の圧力で相手のガードを潰して極めまで持ってゆく戦い方は圧巻だ。

(C)FLOGRAPPLING

そのミドル級、ダウプラの初戦が要・注目だ。

1回戦シードのダウプラが初戦で当たる可能性が高いのが、WNO等のノーギシーンでも目覚ましい活躍を見せるロベルト・ヒメネスだ。見事なバックグラブの技術とどこからでも極めを狙うダイナミックな戦いを身上とするヒメネスが、ダウプラの盤石の戦いぶりを崩せるか、注目したい。

ここをダウプラが順当に勝ち上がれば、おそらく準決勝で当たるのはホナウド・ジュニオール。昨年はパン大会、世界大会とどちらもダウプラの軍門を下っているだけに、雪辱に向ける気持ちは強いだろう。

もう一つのブロックにも強豪選手が散見されるが、ダウプラとの決勝を期待したいのは豪州出身のリーヴァイ・ジョーンズレアリー。抜群の切れ味のベリンボロ・ゲームの持ち主で、以前絶対王者ルーカス・レプリの必殺ニースライス・パスを凌駕してみせて世界を驚かせた。レアリーのベリンボロは、ベリンボロを世界に広めたメンデス兄弟を師に仰ぐダウプラにどこまで通用するのだろうか。

【ミディアムヘビー級】

最大のビッグネームは、階級世界制覇のレジェンド、レアンドロ・ロ。ユニティのムリーロ・サンタナ門下に入ったロと、別ブロックにいる師のサンタナによるクローズアウトが実現するかどうかが注目だ。

この二人を止める候補としては、メンデス兄弟の弟子にして昨年の茶帯世界王者マテウス・ホドリゲスや、昨年のF2W 166でダンテ・リオンに勝利する等ノーギで活躍するマニュエル・ヒバマーらが挙げられる。

【ヘビー級】
第1シードはポーランド出身、今年のヨーロピアン王者のアダム・ワルジンスキ。準々決勝では2019年のADCC世界王者にして、世界柔術でも二度3位入賞しているマテウス・ディニズと当たる可能性が大きく、この対戦がトーナメント序盤の大きなヤマとなりそうだ。

別ブロックでは、素晴らしい切れ味のヒールやギロチンを武器にノーギシーンで活躍し、1月のWNOではクレイグ・ジョーンズを破る殊勲の星を挙げたペドロ・マリーニョがエントリー、道着着用での戦い方も注目だ。

【スーパーヘビー級】
昨年の世界柔術初出場初優勝を果たしたエリキ・ムニスが大本命。長いリーリを活かしたスパイダーガードはまさに難攻不落、別ブロックにいる兄のアンデウソン・ムニスとともにクローズアウトを狙う。

が、アンデウソンのブロックには、エリキと昨年の世界大会決勝を争い僅差で敗れたフィリッペ・アンドリューや、そのアンドリューに道着着用の世界大会では敗れたものの、ノーギ・ワールズではアナコンダ・チョークで一本勝ちを収めて優勝したディヴォンテ・ジョンソン等の有力選手が控えている。

(C)SATOSHI NARITA

【ウルトラヘビー級】

最大のビッグネームは、サイボーグことホベルト・アブレウ。13年にADCC世界大会無差別級を制し、昨年もノーギ・ワールズで優勝する等その強さは健在だ。ノーギ専門家というイメージが強いが。その必殺のトルネードスイープは、道着着用にてグリップを確保することで威力が増すはずだ。準々決勝で当たる、昨年サウスアメリカンを完全制覇しているワラス・コスタとの試合がまずはヤマとなりそうだ。

もう一つのブロックには、強靭なベースを誇り、昨年、今年とワールドプロ大会を2連覇しているグーテンベルギ・ペレイラがいる。ちなみにペレイラとコスタは今年のグランドスラム・ロンドンの決勝でも当たり、僅差でコスタに凱歌が上がっており、今回の決勝で再戦が実現する可能性は大いにあるだろう。

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MMA MMAPLANET o PJJC2022 アイザック・ドーダーライン アレクサンドロ・ソドレ ケネディ・マシエル 嶋田裕太 橋本知之

【PJJC2022】まさにプレ・ムンジアル。フェザー級=嶋田裕太を待ち受ける、超難関・棘の道

【写真】ここまで実戦経験を積んで、パン~ムンジアルに向かうのは紫帯以来か(C)SATOSHI NARITA

パン柔術選手権が6日(水・現地時間)から、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナでスタートを切り、10日(日・同)まで開催されている。

世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこのパン柔術。プレビュー第2回はフェザー級と嶋田裕太に焦点を当てたい。


橋本知之と並ぶ日本のもう一人の雄、嶋田裕太もまた以前より一階級上げてフェザー級にエントリーしている。NYのマルセロ・ガウッシア道場で長期修行中の嶋田は、今年に入って精力的にローカル大会に参戦しているが、いずれもフェザー級での出場だった。オクラホマ・オープンでは優勝、続くアトランタ・ウィンターオープンでは決勝でケネディ・マシエルに敗れて準優勝、インディアナポリス・オープンで優勝し、チャールストン・オープンでは、決勝において前大会で辛勝したマティアス・エステヴァンにレフェリー判定で惜敗するも、常に表彰台に上がる好成績を収めてパン大会を迎える。

そんな嶋田が挑む今回のフェザー級だが、ライトフェザー級にも増して超強豪がズラリと顔を揃え、世界大会にも劣らないほどの超激戦区となっている。

嶋田の初戦の相手は、黒帯になって日の浅いGFチームのティエリー・ファリア。まだ目立った実績は挙げていない選手だけに、ここは落としたくないところだ。

次のベスト16での相手が、アレクサンドロ・ソドレ。19年のブラジレイロと世界大会の両方で嶋田に連勝した天敵だ。特に世界大会では4度のスイープを決めて8-2での完勝。当時はライトフェザー級だったが、近年は階級を上げフェザー級、さらにはライト級でも戦うソドレは、今大会嶋田が挑む最初の大きな壁となりそうだ。

この難敵ソドレにリベンジを果たした場合、準々決勝で嶋田を待っているのは、色帯時代のライバルでもあるアイザック・ドーダーラインになる可能性が高い。黒帯としても19年ブラジレイロや20年のヨーロピアン制覇という大きな実績を挙げており、世界大会では常に優勝候補の一人として数えられる超強豪だ。

嶋田がここもクリアできたとして、おそらく準決勝で待っているのは昨年のライトフェザー級世界王者パトことジエゴ・オリヴェイラだ。その世界大会の2回戦では嶋田と対戦し、変幻自在のガードゲームで終始ペースを握って4-2で完勝している。このパトこそは現時点における真の世界最高峰、嶋田にとっては恐るべき厚い壁だ。

もう片方のブロックを制するのは、18年世界王者シェーン・ヒルテイラーか、19ADCC準優勝のケネディ・マシエルか。あるいは今年のヨーロピアンでドーダーラインを倒して優勝した新星ディエゴ・ソドレ(アレクサンドロの弟)か。いずれにせよ嶋田が優勝するためには、1回戦後に超強豪との4連戦を勝ち抜く必要があるわけだ。これ以上ないほどの過酷極まる修羅の道──とはいえ、これぞプレ・ムンジアルという戦いが嶋田裕太を待っている。

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MMA MMAPLANET o PFL YUKI ジエゴ・パト・オリヴェイラ ジョナス・アンドレイジ メイハン・マキニ 今成正和 嶋田裕太 橋本知之

【PJJC2022】ライトヘビー級で出場、橋本知之はオカシオ→クレメンチ→マキニorヘイス→イアゴと対戦?!

【写真】世界に一番近く、独特の世界観を感じさせる橋本(C)PFL

パン柔術選手権が6日(水・現地時間)から、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナでスタートを切り、10日(日・同)まで開催される。

世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこのパン柔術。プレビュー第1回は、橋本知之が出場するライトフェザー級の行方を橋本軸で占いたい。


2019年のヨーロピアンを制し、現在もっとも世界一に近い男子日本人柔術家である橋本知之は、昨年の世界柔術以来の国際大会出場だ。その世界柔術において橋本は、1回戦は袖車で貫禄の一本勝ちを収め、準々決勝では優勝候補の一角であるジョナス・アンドレイジと対戦。

スイープでリードを奪った後、上の体勢を巧みにキープし続けたものの、終了45秒前にまさかの膠着ペナルティを宣告されてしまい逆転を許す。難敵相手に勝利への道を着実に歩んでいたはずが、一転なんとも気の毒な敗退となってしまった。

そんな橋本は、今回本来のルースター級から一階級上のライトフェザー級での出場となる。動画における本人の説明によると、このところウェイトトレーニングに精を出し筋量が増加したことや、減量によるストレスを回避するための判断とのことだ。

以前もノーギや世界の超一流選手と渡り合った経験もあり、全日本柔術選手権でもライトフェザー級で戦ってきた。よって体格や体力の不利さもあまり心配していない様だ。強豪ひしめくこの階級でも、間違いなく優勝候補の1人として全員からマークされる存在だ。

そんな橋本の1回戦の相手は、ユニティ柔術のエドウィン・オカシオ。ジュニーの愛称でWNO等ノーギグラップリングの大会での活躍し、ジオ・マルティネスや今成正和等のビッグネームから勝利を挙げている。シッティングガードから足を絡めてのヒールフックを最も得意とするが、今大会はそれが禁止された道着着用ルール。こちらを本職とする橋本としては経験差を見せつけたいところだ。

準々決勝で待っているのは、1回戦シードのペドロ・ディアズ・クレメンチ。シードのランクこそ高いが、超強豪選手にはなかなか勝てずに世界的大会での上位入賞は果たせていない。2019年のヨーロピアン大会では嶋田裕太と対戦。試合時間の大部分を腰を引いて攻防を避けることに費やしたにもかかわらず、謎裁定を味方にペナルティ差で勝利した。橋本側からすると、強豪が揃う今階級のファイナル8での試合としては戦いやすい相手と言えるかもしれない。

橋本が順当に準決勝進出を決めた場合、そこで対戦する公算が高いのは22歳のメイハン・マキニと、20歳になったばかりのジエゴ・ヘイスの試合の勝者だろう。マキニは昨年の世界大会にて初出場にして優勝候補筆頭と目されたほどの注目株。準決勝のジエゴ・パト・オリヴェイラ戦ではパスの猛攻を凌がれ、紙一重の攻防の末敗退したものの、噂に違わぬ凄まじい実力を見せつけた。

そのマキニを昨年のアブダビ・ワールドプロのブラジル予選決勝で倒しているのが、さらに年下のヘイスだ。ヘイスはその勢いのまま本戦でも勝ち進み、イアゴ・ジョルジらの超強豪を倒して見事優勝に輝いている。マキニとヘイスによる超新星若手対決の勝者の準決勝が、橋本の優勝に向けての最大の山場となりそうだ。

もう一つのブロックの本命は、19年の世界大会にて前代未聞のベスト4独占のクローズアウトを達成したシセロ・コスタ4人衆の一人、イアゴ・ジョルジか。また、昨年の世界大会にて、ノーマークながら組み合わせにも恵まれ決勝進出を果たしたマラチ・エドモンドの成長具合にも注目したい。

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JJ Globo Report WJJC2021 ジエゴ・オリヴェイラ. ブログ 嶋田裕太

【WJJC2021】嶋田裕太はジエゴ・パト・オリヴェイラのガードゲームに敗北、ベスト8で2021年終戦

【写真】「自分に足りないものと、格上の相手に通用することを確認することができました。さらに強くなってこの場所でもっと試合できるように頑張ります!」と試合後に嶋田からメッセージが入った(C)NARITA SATOSHI

8日(水・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。
Text Isamu Horiuchi

道着着用柔術の世界最高峰の大舞台。第5弾は嶋田裕太が挑んだライトフェザー級準々決勝の模様をレポートしたい。


<ライトフェザー級準々決勝/10分1R>
ジエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
Def.4-2
嶋田裕太(日本)

すぐに引き込んだオリヴェイラは、得意のラッソーを左右で切り替えながら煽りに来る。対する嶋田は、体勢低く脇を閉めて対処しては左右に動いてのパス狙いへ。が、オリヴェイラのガードを崩すには至らない。

オリヴェイラは内回りで崩してからのシットアップ狙い。しかし嶋田は左腕をマットにポストしてバランスを保った。ならばと左足でデラヒーバを作るオリヴェイラは、そのまま後転してのスイープを狙う。

嶋田はうまくその動きについてゆき上を保つ。さらにオリヴェイラは、嶋田の右足に外から腕を入れてシットアップに。崩されかけた嶋田だが、ここもすぐに上の体勢に戻る。2点の献上は回避した嶋田だが、ここでアドバンテージを一つ先行されてしまった。

オリヴェイラは嶋田のラペルを引き出して、自らの右足に絡める強固なガードを取る。嶋田は機敏なバーピーの動作で低く入り、また左に側転してのパスを狙う──が、オリヴェイラはラペルグリップをキープしたままついてきてガードを保つ。

その後もこの右のグリップが切れない嶋田。対するオリヴェイラは内回りから嶋田の右足を抱えると、そこにラペルを通して固定した上でさらに回転を続ける。

絡まれた右足を嶋田がうまく抜くと、今度はオリヴェイラは嶋田の左足を内側から抱える。そこからオリヴェイラは右のグリップを引きつけながら嶋田を崩して上を取り、2点を先制した。

ここまで卓越した反応とボディバランスで上を保ってきた嶋田だが、ラッソーやラペル等のグリップを用いて、あらゆる方向に回転し次々と仕掛けてくるオリヴェイラの崩しが、とうとうそれを上回った形だ。

ディープハーフの体勢で潜ろうとする嶋田に対して、オリヴェイラは腰を切って足を抜く体勢を作り、アドバンテージを追加する。次の瞬間、嶋田はスクランブルから上を取り返し、2点を取り返してみせた。それでも、まだアドバンテージで2つ下回っている。

残り3分半。嶋田は激しく左右にパスを仕掛けるが、右で片襟を掴んだオリヴェイラは、嶋田の足を下から刈っての切れ味抜群のシザースイープを見せる。体勢を崩された嶋田がすぐに反応して体制を立て直すと、改めて引き込んでみせたオリヴェイラが、3つ目のアドバンテージを獲得した。

このままガードをキープすれば勝てるオリヴェイラは、両側でラッソーを作る。嶋田は右のグリップを引き離すと、左にダイブする形でのパスへ。

オリヴェイラは冷静に対応して正体する。再び自らの右足に嶋田のラペルを絡めたオリヴェイラは、右腕で嶋田の右足を抱えると、そのまま引き付けて崩してシットアップ。

点差を4-2とし、さらになぜか4つ目のアドバンテージも得たのだった。残り時間がなくなってゆくなか、嶋田はなんとかスクランブルを試みるが、オリヴェイラはそれを許さずに試合終了に。

結局ポイントは4-2、アドバンテージは4-0。オリヴェイラの繰り出す迅速かつ変幻自在の下からの攻撃に終始ペースを握られ、ポイントを奪われた嶋田は最後まで反撃の糸口を見出せないままの完敗だった。

結果的に、現時点での世界の頂点を肌で味わうことになった嶋田。NYでのさらなる修行の中で、難攻不落のオリヴェイラの仕掛けをも突破するマルセリーニョ・ガウッシア直伝──至高のトップゲームを磨き、世界の舞台で披露してくれることを期待したい。

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ABEMA EXFIGHT03 MMA WJJC2021 ジョアオ・ペドロ ブラジリアン柔術 マルセリーニョ・ガウッシア 嶋田裕太

【WJJC2021】レポート受けの強さを見せて、嶋田裕太がアドバン勝利で初戦突破

【写真】柔術はコンバットスポーツで例を見ない防御力が評価される競技。アドバン勝利で勝てる能力が欠かせない(C)NARITA SATOSHI

8日(水・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われた。
Text Isamu Horiuchi

2年半ぶりに開催された、道着着用柔術の世界最高峰の大舞台。レポート第3弾はNYのMGからライトフェザー級に挑んだ嶋田裕太の初戦の模様をレポートしたい。

LA入りしていた師マルセリーニョ・ガウッシアが体調不良で会場を訪れることが難しいという状況から一転、体調回復した師のバックアップを得て嶋田は初戦に臨んだ。


<ライトフェザー級2回戦/10分1R>
嶋田裕太(日本)
0-0 アドバンテージ1-0
ジョアオ・ペドロ(ブラジル)

NYのマルセリーニョ道場で練習を積んできた嶋田の初戦の相手は、本人も事前に「メッチャ強い」と警戒していたジョアオ・ペドロ。これまでは一階級上で戦い、19年のヨーロピアンでも3位入賞を果たしている強豪だ。

試合開始後、ペドロはすぐに近づいて引き込もうとするが、嶋田に伸ばした手を払われて失敗。ペドロは再び引き込み狙い。今回は、嶋田は同時に腰を落としてからペドロのクローズドガードの中へ。これで上を選択した形になり、嶋田がアドバンテージを先行した。

ペドロは嶋田の両手首を掴んでガードを開くと、両側でスパイダーに。そこから素早く三角を狙うが、嶋田は背筋を伸ばして対処。再びペドロは長い手足でスパイダーの形を作ろうとするが、嶋田はヒジと肩を使って上腕に足を当てさせない。時折り嶋田はペドロのグリップを切ろうとするが、ペドロはそこは許さず、また三角を狙う。

やがてペドロは嶋田の右足にデラヒーバで絡んでの崩しへ。が、嶋田が体勢を戻すとクローズドガードを取った。ここからペドロは襟を取り、再びガードを開いて前に嶋田を崩すが、嶋田はバランスを保つ。ここまで4分。強烈なペドロの崩しに対し、嶋田はやや守勢に回りながらも、上半身の動きで足の絡みを巧みに切り、また機敏なフットワークを用いて確実に対処している。

その後もペドロは嶋田を前に崩してからのシットアップや、スパイダーからの仕掛けを狙う。が、嶋田もバランスを保ちつつ逆にグリップを切ってプレッシャーをかけにゆく。両者譲らない攻防が続き、試合終了まで行けば嶋田は最初に得たアドバンテージを守り切っての勝利となる。

残り2分。ペドロは素早く小手絞りを仕掛けるが、嶋田もすぐに抜く。レフェリーを見るペドロだが、アドバンテージは与えられない。嶋田はヒジと肩を使ってスパイダーを作らせずにプレッシャーをかけてペドロを押してゆき、両者の体は場外に出た。

中央からのスタンド再開後、再び引き込んだペドロは一度立ってから勢いをつけての引き込みスイープ狙いや、片襟を引いての仕掛けを見せるが、嶋田のバランスは崩れない。

いよいよ残り時間が少なくなり、立ち上がったペドロは嶋田の奥襟を掴んで足を飛ばしてのテイクダウン狙い。嶋田は腰を引いて堪える。最後、ペドロは再び立ち上がってからの引き込み返しを狙うがこれも通じず、試合終了に。

ペドロの下攻めを上から受けて立った嶋田が、その仕掛けをことごとく凌いで初戦を突破した。確かに攻勢より守勢に回る場面が多かったのは事実だが、ガードを取る側が有利なことが圧倒的に多い軽量級最高峰の舞台にて、相手の下からの仕掛けの全てに対応、ポイントもアドバンテージも失わなかったのは見事だ。

世界レベルの実力を改めて証明した嶋田は、さらなる大物にして優勝候補筆頭ジエゴ・オリヴェイラが待ち受ける準々決勝に駒を進めた。

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MMA WJJC2021   ブラジリアン柔術 マルセリーニョ・ガウッシア 嶋田裕太

【WJJC2021】ムンジアルへ、嶋田裕太─02─「マルセリーニョの前で、教えてもらったことを実践」

【写真】このパッチも嶋田の人間性を表している。群れがあるのが社会だが、群れない繋がりも存在している(C)YUTA SHIMADA

9日(木・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターで開催中のIBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権の黒帯ライトフェザー級に出場する嶋田裕太インタビュー後編。

切磋琢磨する練習仲間がいなくなったMGで、嶋田が強くなり続けていると実感できるのは全てマルセリーニョ・ガウッシアの存在だった。マルセリーニョ・メソッドをもってムンジアウに挑む嶋田が自らの階級を第3者的に観察、そして自身の立ち位置を語った。

<嶋田裕太インタビューPart.01はコチラから>


──ムンジアル直前、NYを離れた昨年4月、NYに戻った今年の9月、そして今。嶋田選手自身の技量は、どのような力関係でしょうか。

「全然、今の方が強いです。2020年の4月より、今の方が全然強いです。試合をした感じ、問題はなかったです。コンペクラスの強い選手がいなくなったので、体格と実力の近い選手と切磋琢磨できる機会は減ってしまったのですが、試合に出てみた感じで自分が思っていた以上に動けました。

2試合目で負けたのですが、マルセリーニョに凄く褒められました。マルセリーニョって戦い方がシンプルじゃないですか?  引き込んだらスイープして、パスしてバック取って絞めるというような。王道の横綱相撲で戦うのですが、実は凄い戦略家なんです。

2年前にソレを教わってMGに合流してからは、そう戦うように心掛けています。その戦略という部分でミスらしいミスはなくて褒められました。マルセリーニョが重要視しているのは、平常心で戦うこと。言ってみれば、それだけなんです。でも、平常心で戦うために必要なことが色々とあります。それをほぼ守ることができていました。

ただ残り1分になった時点で、ポイント0-0でアドバンもなかった。レフェリー判定になると負けるなっていう感じで、アタックするしかないというマインドになった時に、リスクを背負って攻めないといけないのですが、そこで隙ができてアドバンテージを与えてしまいました。残り1分になってからも、無暗に感情的になって攻めたわけではなくて、自分なりに状況を理解してアグレッシブになったので──自分が招いた結果ではありますが、思った以上に褒められました」

──嶋田選手は同じ技を食らう時が過去にありました。あれはムキになって、同じ仕掛けをして同じカウンターを受けるということだったのでしょうか。

「この間も同じ技を何度か食らっています(笑)。でも試合中にムキになるわけでなく、気付いてないことが多いです。試合中に気付けることもあるのですが、同じ技が来ているけど気付かないこともある。だから対処できる時と、できない時があるんだと思います」

──ではムンジアルではマルセリーニョが見て気付いてくれることも十分にあるのでは?

「今回、初めて見てもらえます。ムンジアルに来るみたいで」

──チームメイトなしで、戦ったこともあったことを振り返ると百人力ですね。

「マルセリーニョの前で、教えてもらったことを実践しようと思っていることも本人には伝えています。口にしたことと違うことはできないです。目の前で、しっかりと有言実行しマルセリーニョの教えを守って戦いたいです。それができれば、誰と戦ってもチャンスがあると思っているので」

──そういうなかでトーナメント枠も発表されています。見慣れない名前が増えた。そう感じました。

「ミヤオが2人ともいないですからね(笑)。それでも最初の相手、ATOSのジョアオ・ペドロはメッチャ強いですよ。フェザー級で戦ってきた人で、パンやムンジを取ってはいないですけど、優勝者と良い試合ができる選手です。組み合わせ次第では表彰台レベルの選手なので、いきなり山です。凄くアグレッシブな選手で、どう戦うのかで自分の幅が試されるなと思います」

──目指すところは一番で、山がいきなりあると。

「僕も年を取ったからか、何度も挑戦しているからか──自分の立ち位置は分かっています。優勝すると口で言っても、現実味はない。でも、誰と戦っても勝つチャンスはある。それを1試合ずつ繰り返して、上手くやることができれば結果として優勝になる。でも茶帯の時のように『絶対優勝します』とか口にする勢いはないです」

──第3者としてみれば、優勝候補は誰になりますか。

「シセロ・コスタのジエゴ・パト(オリヴェイラ)、アリアンシから抜けたイザッキ・バイエンスがいるドリーム・アート所属のメイラン・マキニ・アウベスですかね。アウベスはかなり攻撃的な選手です」

──どちらも後半の山で準決勝までに当たる可能性があります。

「確かに反対の山って、メチャクチャ落ちますね」

──それででも誰とやっても勝つチャンスはある、と。

「ハイ。そうです。僕も毎年、取材してもらって──いつも自信満々なことを言っていても、前回の2019年とか1回戦負けでした。でも、試合を視てもらった人にはこれからも期待してもらえるような動きを……柔術を見せたいです。自分では見せられると思っています。時差もありますが、僕の試合を見てもらえると嬉しいです」

■視聴方法(予定)
12月9日(金・日本時間)~13日(月・同)
午前2時30分~Flo Grappling

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MMA WJJC2021 ジアニ・グリッポ ブラジリアン柔術 マルセリーニョ・ガウッシア 嶋田裕太

【WJJC2021】NYに戻って3カ月、嶋田裕太─01─「ユータは強くなる」マルセリーニョとの絆

【写真】NYで結ばれた師弟関係(C)YUTA SHIMADA

9日(木・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われる。

2年振りの開催されるムンジアルに黒帯ライトフェザー級にNYに戻って3カ月が過ぎた嶋田裕太が出場する。2019年に5年の予定でNYに移り住んだ嶋田だが、コロナパンデミックという運命のいたずらに左右され昨年4月に帰国。1年5カ月ぶりにNY、MGでの生活を再開させた彼に、盟友ジアニ・グリッポの不在という現実が待ち構えていた。

それでもMGでの稽古に励む嶋田が、身も心もMGの一員となった背景には、マルセリーニョ・ガウッシアの言葉と人間性に触れたという事実が存在していた。


──NYに戻って3カ月、ムンジアルが今週末に迫ってきました。9月の渡米以降、充実した日々を送ることができていますか。

「1日、3クラス、4クラスに出てタイトに練習してきました。3週間前に1年9カ月ぶりに試合に出て、体重もそのままキープできています。ライトフェザー級まで体重を落としたのが2019年のムンジアル以来だったんですよ。日本にいる間は特に大きくなっていたのですが、2カ月ほどでライトフェザー級の体重を創れました。

体重が大丈夫ということで、練習に集中して取り組めているので、体調的にも精神的にも充実している感じです」

──NYにいることが、自分の人生なんだということでしょうか。

「う~ん、思っていた通りで──自分に一番足りなかったのは練習量なんですよね。これは2年前に来た時も感じていたのですが、日本でも自分のなかではやれるだけやって、体力的にも限界に近いことをやっていたとしても、NYに来て指導をしないで自分のための練習をしていると、練習量は倍ぐらい増えます。結果、自分の成長を凄く感じることできました。

今回もNYに来て3カ月だったのですが、週に5日、土曜日は2週間に1度の練習で20クラスぐらいは出ているので練習量の違いは明白です。いわゆるコンペティション的な練習はパンデミックを経て、減っています。そういう意味では2年前よりも強度は落ちて、ボコられる時間が減ったので、練習量を確保できるようになったんです。そこは前回との一番の違いです」

──強度が弱くなったことは、良いように捉えて良いのでしょうか。

「う~ん、まずジアニ・グリッポが今はいません」

──嶋田選手の一番の練習仲間だったじゃないですか!!

「ジアニは今もニュージャージーに住んでいるのですが、自分自身の練習コミュニティを創ったんです。僕もジアニに誘ってもらって2度ほど、練習に参加したこともあります」

──2度だけというのは?

「それは来た当初だったのですが、ミヤオ兄弟が2人揃っていたり、凄くレベルは高いです。ジアニはスタイル的にもマルセリーニョより、ああいうスタイルの方が良いのでしょうね。正直、ジアニがMGの練習に出ていないのは大きな誤算でした。まぁジアニは僕にも練習に誘ってくれるのですが、マルセリーニョとジアニの仲が微妙で……。それで僕はマルセリーニョと練習することを選択したんです」

──難しい判断ですね。

「2003年にアリアンシがBRASAと分裂した時、マルセリーニョだけがファービオ・グージェウの下に残ったじゃないですか」

──ハイ。ヴィエイラ兄弟、コンプリード、ジャカレ、テレレ、ガルヴァォン、テレス、主だった選手は皆アリアンシを抜け、残ったのはマルセリーニョとタルシス・フンフェリーだけだったと記憶しています。

「ただタルシスは、昼はBRASAで練習していたらしくて、本当の意味でファービオから離れなかったのはマルセリーニョだけだったんです。その時の話を今回してくれて。夜になるまで練習仲間がいなかったそうなんです。『そういう状況でもチャンピオンになれたし、ユータはこのアカデミーだけで練習していても十分に強くなれる』と言ってくれたんです」

──それは……ホロリと来ますね。

「僕も感動しました。マルセリーニョが、アカデミーの生徒に厳しいのって今に始まったことじゃないんです。先生を大切にして、アカデミーに忠誠心を持つ。それがマルセリーニョの原点だったんだなって、改めて理解できたというか……分かったような気がしました。その時にマルセリーニョが話してくれたなかで、『トーナメント前にキャンプに行く人間の気が知れない』という言葉も凄く心に刺さったんです」

──それはつまりムンジアル前などのアリアンシのキャンプですね。

「ハイ。マルセリーニョも1度参加したらしくて、それを『二度とやらない』と凄く後悔しているんです。その理由はトーナメント直前に優勝を狙う選手が、ガンガンとぶつかり合うのは良くないという現役としての考えもあるのですが、何よりも大きな理由があったんです」

──それは?

「マルセリーニョも既にNYにアカデミーを開いていて、自分が指導しているアカデミーの教え子も試合に出るのに、彼らを放っておいて自分のためにキャンプするのはおかしいっていうことで。生徒をおきざりにして、普段と違うメンバーと練習するなんて許されることじゃないと……」

──バシバシ、突き刺さりますね。話してくれているのがマルセリーニョなら。

「ハイ……そうなんです。試合が終わってからも、すぐにアカデミーに戻って練習しないといけないとも言っていました。それは試合で犯したエラーを確認するためではなくて、自分の練習相手になってくれた人たちの練習相手になるために、練習に戻らないといけないんだって」

──いやぁ、それこそアカデミーの姿なのでしょうね。

「そういう話をマルセリーニョと10月に入る前後にして、そこからはもうMGでしか練習してないです。もともとマルセリーニョと練習したいからNYまで来て、ジアニとの練習を選択することはないですよね(笑)」

──身も心もMGの一員ですね。今回、嶋田選手はアリアンシのメンバーで、アリアンシ・インターナショナルではないですね。

「トーナメントではアリアンシ系の選手は2名まではアリアンシ所属になり、そこに入らない選手はアリアンシ・インターナショナルになります。判断はファービオなんでしょうけど、今回はライトフェザー級には僕ともう1人だけのエントリーなので自動的にアリアンシになっただけだと思います(笑)」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
12月9日(金・日本時間)~13日(月・同)
午前2時30分~Flo Grappling

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