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MMA MMAPLANET o PJJC2022   アンディ・ムラサキ ジョナタ・アウヴェス ジョニー・タマ タイナン・ダウプラ

【PJJC2022】ライト級─鉄壁のジョナタ・アウヴェスに敗れるも、アンディ・ムラサキ準優勝

【写真】一本勝ちも、序盤のスイープで得たポイントを守りきるのも完勝だ(C)IBJJF

6日(水・現地時間)から10日(日・同)まで、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナにて、パン柔術選手権が行われた。レビュー最終回は、優勝候補最右翼のジョナタ・アウヴェスや、そして日本でティーン時代を過ごしたアンディ・ムラサキが出場したライト級の模様を、ムラサキの戦いを中心に紹介したい。

<ライト級1回戦/10分1R>
アンディ・ムラサキ(ブラジル)
Def.6分47秒 by 襟絞め
ジョニー・タマ(エクアドル)

ムラサキの初戦の相手は、2019年ノーギワールズを制覇する等、ノーギグラップリングでの活躍が目立つジョニー・タマ。引き込んで片襟を取ったムラサキは、タマの右足を掴んでシットアップに入る。が、それを片足立ちで堪えたタマは小手絞りでカウンター。ムラサキは自ら寝て回転して逃れたものの、タマが持ち味を発揮してアドバンテージを得た。

しかしタマの右足を離さずキープしたまま立ち上がったムラサキは、それを股間にはさんで固定すると、タマの左足を抑えつつ回してテイクダウンに成功。下のポジションを起点としたスイープの2点を先取した。

オープンから仕掛けようとするタマだが、ムラサキは左膝を入れて低い重心を取ると、左腕を伸ばして玉の帯の背中を取る。さらに重心を低くしてタマの両足を重ねて潰したムラサキは、左にパスに成功。さらにスクランブルを試みるタマのバックにまわり、9点目を獲得した。

そのまま4の字フックを入れたムラサキは、じっくり締めを狙ってゆき、残り3分少々のところでフィニッシュ。タマも持ち味のダイナミックな動きで見せ場を作ったが、ムラサキの反応の良さと盤石のベース、そして極めが上回った好試合だった。

<ライト級2回戦/10分1R>
アンディ・ムラサキ(ブラジル)
Def. 4-2
ヴィクトー・ニサエル(ブラジル)

ムラサキの2回戦の相手は、ムラサキ同様に昨年黒帯を取得し、サウスアメリカン王者に輝いたニサエル。オープンガードを得意とする選手だ。

まず座る両者。ここでなぜかニサエルは一瞬立ち上がってから改めて下に。ムラサキがその流れで上攻めを選択すると、一度上下が成立したということでムラサキに2点が与えられた。ニサエルとしては勿体ない失点だ。

下を得意とするニサエルは、片襟片袖から煽り、さらにムラサキの右足に絡んで内回りや外回りを狙ってゆく。ムラサキは持ち前のベースで対抗。たまに自ら背中を付けて絡みつく足を解除してから、立ち上がる動きも見せる。やがてムラサキはニサエルの足を捌いて左に侵攻し、アドバンテージを獲得した。

ニサエルが戻すと次は右に動き、さらにまた左へとパス攻撃を続けるムラサキ。低く重く、同時に速く鋭い動きだが、ニサエルもよく対応している。やがてムラサキは、ニサエルの左足を素早くレッグドラッグしてサイドに。ニサエルは右足を入れて隙間を作ると、ムラサキの股間に潜り込む形で背後に回る。対するムラサキは前転して下になると同時に、体をずらして50/50で絡む。この攻防でムラサキにアドバンテージが一つ、ニサエルに2点が与えられた。ポイントは同点だが、アドバンテージはまだムラサキが2つリードしている。

残り1分。ムラサキは下からニサエルのズボンの尻を掴んで、足の絡みを解除する。さらにニサエルの左足を掴みながら立ったムラサキは、背後から右足を刈ってテイクダウンに成功。スコアを4-2とした。時間のないニサエルは、下から強引に足を取りにゆく。すかさずそれを低い重心で潰したムラサキは、サイドを取りかけてからマウント狙い。なんとかニサエルが下から足を絡めるが、背後に付きかけたムラサキが、クロックチョークの体勢に入ったところで試合は終了した。

ニサエルのオープンガードにやや手を焼いたムラサキだが、それでもスコアは4-2、アドバンテージ5-0。上からの強烈なプレッシャーと鋭いパスに加えて、下の50/50ゲームでもバックを脅かし、上を取る強さを見せての快勝だった。

<ライト級準々決勝/10分1R>
アンディ・ムラサキ(ブラジル)
Def. 4分58秒by 肩固め
セルジオ・アントニオ(ブラジル)

背が高く懐の深いアントニオは、引き込むと同時にヒップバンプ。体勢を完全に崩されたムラサキは、あわやバックを許すかに見えたが、回転して正対し、アントニオのクローズドの中に入った。この攻防でアントニオはアドバンテージを2つ獲得した。

立ち上がったムラサキは、アントニオのガードを開けるとその右足を押さえつけて股間に挟んでの制圧を試みる。が、アントニオは、下からムラサキの右腕を取って脇にかかえると、左足を絡めてムラサキの腕を極めにゆき、さらにオモプラッタへ。右腕を伸ばされかけたムラサキだが、回転して体勢を立て直すと、アントニオの体をリフトしながら立ち上がり、あらためて落としながら腕を抜いた。この攻防でアントニオは、アドバンテージをさらに2つ追加した。

立ち上がったムラサキはパスのプレッシャーをかけるが、アントニオはシッティングからムラサキのラペルを自らの右足に絡めつつ、ムラサキの膝裏を通して掴んで対抗。リードを許したまま体勢を固定されかけたムラサキだが、強靭なベースを活かして前に低く体重をかけると、やがて左手でアントニオの首の後ろの襟を取ることに成功。

その襟を強烈に引きつけたムラサキは、左足を伸ばしてポストして安定した姿勢を作って低く強烈なプレッシャーをかけてゆく。やがてアントニオの左足を押し下げて超えると、ハーフガードで胸を合わせて抑えることに成功した。

改めて左で枕を作り、完全にアントニオの上半身を制圧したムラサキは、さらに右腕をセルジオの左脇に入れて開けせるとあけさせると、足を絡められていた右膝を抜いてサイドにつき、すぐにマウントへ。ここで7点を獲得したムラサキは、さらに開けさせた左脇に頭を入れて肩固めでフィニッシュした。

懐の深さを活かしたアントニオの強烈な先制攻撃に耐え、地力の差を見せつけての逆転勝ち。思わぬ攻撃を受けた時の反応の速さも目立ったムラサキ。攻撃力だけでなく、防御の強さも見せつけた一戦となった。

<ライト級準決勝/10分1R>
アンディ・ムラサキ(ブラジル)
Def. 5-0
イゴール・フィリズ(ブラジル)

準決勝でムラサキを待っていたのは、同じく昨年黒帯を獲得したフィリズ。今年のヨーロピアンで3位を獲得した新鋭だ。

いったん引き込んだムラサキが立とうとすると、フィリズはその右足を取ってのテイクダウン狙いへ。だが左足一本でバランスをとったムラサキは、カラードラッグでカウンター。前に崩れたフィリズの背中に回ってシングルバックに飛びついて、アドバンテージを獲得した。

そのままフィリズを後ろに引き倒して2点を獲得したムラサキは、バックをいやがるフィリズを胸を合わせて押さえ込み、さらに右に飛んでサイドを狙う。フィリズはなんとかその左足に絡んでハーフを死守した。

が、右脇を取って上半身を殺しているムラサキ。右の上腕と前腕でフィリズの首を殺すと、足を抜いてパスに成功。5点目を獲得した。

さらにマウントを狙うムラサキに対し、フィリズは動いてディーフハーフを作る。そこから体を翻してのスイープを狙うフィリズだが、ムラサキはうまく距離を取って離れてみせた。

スタンドになると、再び引き込んだムラサキ。フィリズはオーバーアンダーからの低いパスを狙うが、ムラサキは素早くシットアップして背中越しにフィリズの脇を取ると、さらに上体を起こしてクルシフィクスの形に入った。

対するフィリズはムラサキをリフトしながら立ち上がり、振り落とす。そのままサイドにまわりさらにバックを狙うフィリズだが、ムラサキは前転してスクランブルから立ち上がることに成功した。

残り2分。ムラサキはまたしても引き込んで、フィリズの右足首のズボンと片襟を取る得意の形に。フィリズはムラサキの左足を担いでパスをねらうが、ムラサキは落ち着いて防いで試合終了した。

持ち前のパスガードとスクランブルの強さに加え、ガードでの防御力も見せたムラサキ。ここまで4試合、攻撃、防御、トップ、ボトム、キワとどの局面でも強さを発揮した上で、宿敵ジョナタ・アウヴェス──ムラサキは昨年のこの大会の準々決勝、そして今年のLAオープン決勝でアウヴェスと当たりどちらも僅差で敗れている──が待つ決勝戦に駒を進めたのだった。

<ライト級決勝/10分1R>
ジョナタ・アウヴェス(ブラジル)
Def.2-0
アンディ・ムラサキ(ブラジル)

前年度王者にして優勝候補筆頭のアウヴェスは、初戦は3分少々で襟絞め、準々決勝は1分半でトーホールド、そして準決勝のナタン・シュアン戦も3分半ほどで襟絞めを極めてフィニッシュ。下からのスイープと極め、トップにおける安定感、相手の足を低く畳んでのパス、そしてバックからのフィニッシュと全局面で突出した力を見せつけての決勝進出だ。

まず引き込んだアウヴェスは、ムラサキの左足に絡むと、シッティングから膝裏を通してラペルを掴み、シットアップしてシングルレッグにつなげて2点を獲得。自ら仕掛け、ムラサキに対応する隙を与えずにやりたいことを一方的に完遂する形で先制してみせた。

右でラッソーを作るムラサキに対して、アウヴェスは得意の低いベースを作ってから左に動く。さらに噛み付いてのオーバーアンダーの形でプレッシャーをかけるアウヴェス。ムラサキはその侵攻を防ぐと、クローズドガードを取った。

ここでもアウヴェスは低い姿勢で胸を合わせて。ムラサキは背中越しに帯を持つが、しっかりと密着されて攻撃を仕掛けられない。しばらく攻防が止まった後、ムラサキの方にペナルティが与えられた。ムラサキはアウヴェスのラペルを取って、背中越しにラペルスパイダーを作るが、これも低いアウヴェスのベースの前には効果がない。

試合が後半に入り、ムラサキは下からオモプラッタを仕掛けようとするが、不発。いったんガードを開いての攻防を試みるムラサキだが、アウヴェスが低く侵攻を試みると、再びガードを閉じた。

もう一度ガードを開けたムラサキはラッソーへ。そこから右に崩そうとするが、バランスを保つアウヴェス。ムラサキは立ち上がってからまた引き込むが、低い姿勢を取るアウヴェスの密着度がとにかく高く有効な攻撃を仕掛けられない。やがてアウヴェスがプレッシャーをかけてくると、ムラサキはまたしても立ち上がった。ムラサキはアウヴェスにパスこそ許していないが、その低く重厚なトップゲームに対する突破口を見出せないままだ。

残り3分でスタンドから再開。頭をつけ合う両者。ムラサキは前に出るがアウヴェスは無理せずその力を流していく。やがてお互いにペナルティが与えられた。

残り2分。ここでアウヴェスが引き込んでクローズドに。ムラサキが立ち上がると、アウヴェスはその右足を抱えて、後転するように前に崩してから、ムラサキのズボンの尻を掴んでのバック狙いへ。リードされていて自分から展開を作らなくてはならないムラサキだが、アウヴェスのほうに作られてしまっている。

前転して逆にバックを狙いたいムラサキ。が、尻をつかんでいるアウヴェスはムラサキを引き戻し、右足に50/50で絡むことに成功。アウヴェスは絡めとったムラサキの右足を左手で抱えると、そのまま体勢を固定してムラサキの動きを止めて試合終了。

序盤早々に下からスイープを決めたアウヴェスは、トップを取るとムラサキに一切の攻撃の緒を与えず。そして最後は再び自ら下になり、ポジションを完全に制御下に置いての勝利。ムラサキとしては、同世代のライバルに3連敗だ。しかも今回は上下両方の攻防で上を行かれ、終始主導権を奪われての完敗となってしまった。

それにしても今大会、準決勝まで全て短時間で一本勝ちした上で、ライバルのムラサキにもはっきり差を付けて勝利したアウヴェスの戦いぶりは圧巻の一言った。凄まじい地力に加えて、確実にポイントゲームを支配する方法を練り上げて実行する点でも頭一つ抜けているあたり、師匠メンデス兄弟を彷彿させる。ミドル級を制したチームメイトのタイナン・ダウプラとのAOJコンビの時代が、今後しばらく続くのではないだろうか。

【ライト級リザルト】
優勝 ジョナタ・アウヴェス(ブラジル)
準優勝 アンディ・ムラサキ(ブラジル)
3位 ナタン・シュアン(ブラジル)、イゴール・フィリズ(ブラジル)

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MIKE MMA ONE ONE Championship WNO Championships   ウィリアム・タケット オリバー・タザ ジョニー・タマ タイ・ルオトロ ダンテ・リオン ロベルト・ヒメネス

【WNO Championships】レポート─04─群雄割拠、柔術の神の子たちの競演。ミドル級準々決勝~準決勝

【写真】柔術の神の子が決勝進出、タイ・ルオトロ戦 (C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されたWho’s Number One Championships。ライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメント──は2021年グラップリング界の最大のイベントとなった。
Text by Isamu Horiuchi

レビュー第4回はミドル級の準決勝までの流れを整理したい。


ライト級同様、ミドル級の1回戦でも大波乱が起きた。優勝候補本命のロベルト・ヒメネスが、最後の最後にトーナメント代役出場が決まったジェイコブ・カウチに一本負けを喫した(別稿で詳述)。

同ブロックのもう一つの1回戦では、世界の注目を集める柔術の神の子ことミカ・ガルバォンが登場。コロナ禍の北米グラップリング界の隆盛を象徴する存在ウィリアム・タケットとの新世代対決が実現した。

(C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

まずはミカがきれいな小外掛けでテイクダウンを奪うと、タケットも下からの足関節の仕掛けで反撃。

タケットが逃れるミカのバックを狙ったところで、一瞬の反応で体を翻してニアマウントに入るなど、序盤から両者の持ち味が発揮される展開となった。その後もミカが主導権を握り、タケットがシットアップした刹那のタイミングでニーカットパスを決め、次の瞬間マウントに入るといった素晴らしい動きを随所で披露した。結局一本こそ取れなかったものの、その天性の能力を存分に発揮したミカが判定3-0で完勝を収めた。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

続いてミカは準決勝で、1回戦でヒメネスを倒す大殊勲を挙げたカウチと相対した。

下からのスイープを狙うカウチが頭を抱えてきた瞬間に、ダイブしながらその右腕をすくいあげて伸ばしてアームバーに入るという離れ技を炸裂させ、3分弱で決勝進出を決めた。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

もう一方のブロックでは、ヒメネスと並んで優勝候補のタイ・ルオトロが登場、1回戦でジョニー・タマ──オリバー・タザの代打として急遽出場が決定──と対戦した。

タマが下から足を絡めてくるとすかさずベリンボロで切り返してバックを奪ったタイは、脱出したタマがシッティングから仕掛けようとしたときにダイブしてダースチョーク一閃。足関節にはベリンボロ、シッティングにはダースチョークというルオトロ兄弟の黄金カウンターパターンを見事に決めて1回戦を突破した。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

同ブロックもう一つの1回戦を勝ち上がったのはダンテ・リオンだった。

ジョン・ブランク相手にスタンドからのシングルレッグと下からのレスリングアップを何度も決めて優位に立ったリオンは、終盤にはブランクのフレームを手で押し除けて前にドライブして後ろ三角絞めへ。極めきることこそできなかったものの、文句なしの判定3-0で勝利した。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

タイとリオンによる注目の準決勝は、スタンドレスリングでダブルレッグを何度も決めたタイが、上から攻撃を仕掛け続ける展開に。

リオンも鉄壁のニーシールドからのレッスルアップという得意の流れを試みるが、タイはそれをことごとく遮断して上をキープ、ノンストップ・パス攻勢でリオン削っていった。終盤、ついに側転パスからサイドを取りかけたタイは、亀になったダンテの背後に付く。すかさず左腕をダンテの肩口から入れて首をワキで抱え、ギロチンと肩固めの融合のような形で絞め上げると、ダンテはすぐにタップ。のこり10秒ほどのところで見事な一本勝ちを収めた。

かくてミドル級決勝の顔合わせは、18歳のタイ・ルオトロ✖もうすぐ18歳のミカ・ガルバォンに。圧巻の強さと輝きをもって勝ち上がった柔術界の未来そのもののような二人による、大注目の新世代決戦が実現することとなった。

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F2W180 F2W182 MMA UFC イスラム・マカチェフ エドウィン・ナジミ ケネディ・マシエル サミール・シャントレ ジアニ・グリッポ ジェレミー・ケネディ ジャクソン・ナガイ ジョニー・タマ ダンテ・リオン ダヴィ・ハモス ニッキー・ライアン ペドロ・マリーニョ ロベルト・ヒメネス

【F2W182】ベイエリアのF2Wはハモス✖リオン、ナジミ✖ナガイ、グリッポ✖シャントレ!!!

【写真】50/50からバックとか、足関節を軸に色々な攻防が見てみたいグリッポ✖シャントレ (C)MMAPLANET

28日(土・現地時間)、カリフォルニア州バーリンゲームのハイアットリージェンシー・サンフランシスコ・エアポートでF2W182「East Bay」が開催される。

今大会のメインではADCC2015の77キロ級優勝でUFCファイターのダヴィ・ハモスが、2019年のADCCでルカス・レプリ越えを果たしたことで名前を挙げたカナディアン=ダンテ・リオンと対戦する。

とはいうものの、この両者は最近の試合では勝ち星から遠ざかっており、崖っぷち対決ともいえる。


ハモスはパンデミック後、UFCでは昨年7月にアルマン・ツァルキャンに判定負け、グラップリングでもこの7月にF2W177でペドロ・マリーニョの敗れている。さらにいえば2019年も9月にUFCでイスラム・マカチェフに敗れ、11月にはF2W132でゲーリー・トノンに下るなど、実に2年3カ月間勝利の美酒に酔っていない。

一方のリオンも対戦相手がトノン、ロベルト・ヒメネス、ニッキー・ライアンという強豪ぞろいといえども過去5戦で1勝4敗と大きく負け越してしまっている。

上ではニースライスパス、下では強固なニーシールドと攻撃力も防御力も高いリオンは、一本勝ちよりもポイント、レフ判定での勝利が多く──IBJJF柔術的な戦い方の方が、サブオンリーよりも向いているという見方もできる。

一方、ハモスもレプリから飛び込み十字、ドゥリーニョをRNCで下したこともがあったが、ADCCではテイクダウンポイントが認められる後半に強さを発揮して頂点に立ったイメージが強い。そのテイクダウン&スクランブルゲームでMMAではロシア勢に遅れを取ってしまっているが、ノーギ&サブオンリーとはいえジャッジ裁定があるF2Wだけに、テイクダウン&パスの攻防を堪能したいラモス✖リオンの一戦だ。

セミではSUGでMMAファイターのジェレミー・ケネディにOT勝利も、F2W180ではジョニー・タマのヒールに一本負けを喫したエドウィン・ナジミが、チェックマット所属のジャクソン・ナガイと対戦する。パスに強いナガイにナジミが跳びつくことができるか。ネームバリューではナジミだが、拮抗した勝負になりそうだ。

さらにサミール・シャントレ✖ジアニ・グリッポという渋い一戦も実現する。過去1勝2敗と負け越しているシャントレだが、オズワルド・ケイシーニョとのシェアを含め3度のノーギワールズ王者になっており、ノーギでの経験は上だ。

一方グリッポも本格的にノーギに進出し、先のエメラルシティ・インビテーショナルでEBI/OTながらケネディ・マシエルを決勝で下し優勝するなど、道着無しで極められない強さを持っていることはすでに証明している。

足関節とバックテイクの攻防のなかで、上下が入れ替わる。そんな攻防がタイトな距離で繰り広げられることに期待したい両者のノーギマッチだ。

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F2W180 MMA Report エドウィン・ナジミ ジョニー・タマ ブログ

【F2W】エドウィン・ナジミ、跳び三角を封じられタマのヒールフックにタップアウト

6 日(金・現地時間)、カリフォルニア州ロサンゼルスのマリオットLAで開催されたF2W180。

レポード第2弾は2年ぶりの再戦、エドウィン・ナジミと2019年ノーギワールズ世界王者ジョニー・タマの一戦の模様をお届けしたい。

<ノーギ・ウェルター級/10分1R>
ジョニー・タマ(ブラジル)
Def.7分55秒byヒールフック
エドウィン・ナジミ(米国)

立ちレスの攻防でニータップを仕掛けるナジミが、積極的にテイクダウンを狙う。1分を経過する前に座ったタマが、足関節を仕掛ける。対処したナジミに対し、タマがリバースデラヒーバもすぐに解除して座りなおす。タマの内ヒールを苦も無く防いだナジミが、スタックパスの圧力をかける。タマが亀で耐えたところでナジミがダース狙いも、すぐに察知されガードに戻られる。

Zハーフガードにも、ナジミは再び担ぎへ。タマはKガードでフレームを作り、ナジミの右足を両足で挟みにかかり、反転したところで背中を取る。上を取ったナジミは絡まれた足を抜いて離れる。フライング・トライアングル封じか、絶対に立ち上がらないタマにナジミは何度なくダブルアンダー・スタックパスの形に持っていく。タマは足を戻し、スタンドを要求して離れたナジミの誘いには決して乗らない。

リバースデラからインヴェーティット狙いかと思われたタマが、逆足を取って足を狙う。取り切ることができず、座りなおしたタマは50/50を完成させストレートアームロックへ。ナジミはスピンアウト──ロールして場外際まで移動すると、タマは50/50を解く。

マット中央で再開後、足を取って倒れこんだナジミが、外掛けストレートフットロックへ。タマはカウンターの外ヒール、腹ばいから仰向けになったタマに続き、ナジミが足をリリースした。残り2分30分で仕切り直しになり、立った状態から尻をつけて足を取りに行ったナジミだが、タマがここで50/50から内ヒールでタップを奪い──連敗から脱した。


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BELLATOR F2W180 MMA PFL UFC エドウィン・ナジミ ガブリエル・アウジェス ジョニー・タマ バレット・ヨシダ マイキー・ムスメシ

【F2W180】バレット・ヨシダも出場するF2Wで──アウジェス✖ロバトJr、タマ✖ナジミ戦実現

【写真】バレットのクルスフィックスRNCが極まるか(C)MMAPLANET

6 日(金・現地時間)、カリフォルニア州ロサンゼルスのマリオットLAでF2W180が開催され、メインのノーギ・グラップリング戦でハファエル・ロバトJrがガブリエル・アウジェスと対戦する。

(C)SATOSHI NARITA

2017年と2019年のIBJJFムンジアル黒帯ミドル級世界王者のアウジェスにとっては、これが2021年に入って初めての実戦となる。

昨年もThird Coast Grappling とF2Wで合計3試合しか戦っておらず、しかもノーギは2019年にADCC世界大会88キロ級で2回戦でマテウス・ディニスに敗れて以来、1年11カ月ぶりだ。


対してロバトJrは2007年のムンジアル・スーパーヘビー級世界王者で、MMAでもBellatorミドル級で頂点に立ち、海綿状血管腫を理由に打撃有りからは撤退も、精力的に組み技戦に出場し続けている。

今年もF2Wではガブリエル・アルメイダらを破り2勝、WNOではジルベルト・ドゥリーニョに敗れているが、その間にIBJJF計のダラス・オープン、ダラス・ノーギ・オープン、オクラホマ・オープンと今年だけでも9試合も戦ってきた。

ノーギでの経験値と技術的な蓄積もロバトJrに軍配が挙がるが、アウジェスとしても本格的にIBJJFのトーナメントが再開されつつあるなか、試運転としてのF2W出場なのか、マイキー・ムスメシ張りに来年のADCCを狙って本格的にノーギにも挑戦をし始めるのか。その熱量がうかがい知れる一戦となりそうだ。

また2019年ノーギワールズ・ライト級王者のジョニー・タマが、エドウィン・ナジミと対戦する。ナジミは先月18日(日)にSUGでサブオンリー&ケージ・グラップリングに参戦しており、UFCとBellator、さらにPFLと北米メジャーMMAで戦ってきたジャレミー・ケネディをOTで破ったばかりだ。

この両者、2020年にF2Wの道着マッチで対戦しており、ナジミが判定勝ちを収めている。この時、試合の最後の最後にナジミが跳びつき三角を仕掛け、レフェリーは反則を取らなかったがタマがスラムと手段を取っており、ちょっとした因縁がある。

タマはこのところジアンニ・グリッポやオリヴィエ・タザらを相手に3連敗中で、また何かの拍子にフラストレーションを爆発させる危険さをはらんでいる。

なお、今大会にはバレット・ヨシダも出場。スパイダーガードの名手マウシリオ・チンギーニャの黒帯ジェフ・ノラスコと対戦する。スパイダー✖クルスフィックスRNCの対決が見られるか。バレットの姿が視られるだけでも楽しみな今週末のF2Wだ。

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