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ABEMA BELLATOR Finishers Kombat04 Kombat04 MMA MMAPLANET o UFC YUKI アンドリュー・タケット エステヴァン・マルチネス ガブリエル・ソウザ ケネディ・マシエル ザック・エルファルナーニ ジアニ・グリッポ ジオゴ・ヘイス ジャンカルロ・ボドニ マニー・ヴァスケス ヴァラー・ボイヤー 高橋SUBMISSION雄己

【ECI06】高橋Sub雄己、EBIならぬECI=Emerald City Invitationalバンタム級Tに出場

【写真】10thPlanet効果が見られるか── (C)YUKI TAKAHASHI

4月29日(金・現地時間)、ニューヨーク州シセロで開催されるEmerald City Invitational06のバンタム級Tに高橋Submission雄己が出場する。

高橋は2月26日にフィラデルフィアで行われたFinishers Kombat04でラミロ・ヒメネスを内ヒールで21秒殺したばかり。同イベントのバンタム級王座挑戦が約束されたが、より規模の大きなグラップリング大会への出場権を得た。

エメラルドシティとは緑豊かの街を指す言葉で、ワシントン州シアトルがこの名で呼ばれることが多いが、NY州の中央部の商工業都市で冬は豪雪地帯のシラキュースもこの名を用いている。そのシラキュース郊外のシセロで開かれる同大会は、同市にあるエメラルドシティ柔術が母体となっている。


活動2年で5大会=ウェルター級、フェザー級、ミドル級、ライト級、無差別級の16人制Tを実施してきたECIだが、今回は男女バンタム級16人Tが行われ、高橋が出場することとなった。

過去にウェルター級TでPJ・バーチやアンドリュー・タケット、フェザー級ではケネディ・マシエル、エステヴァン・マルチネス、ガブリエル・ソウザ、ジアニ・グリッポ、ミドル級にはジャンカルロ・ボドニ、オリヴィエ・タザら錚々たるグラップラーが出場してきた。

EBIルールが採用され、1回戦から準決勝までは6分、決勝戦は10分というECIバンタム級T。まず注目したいのは2021年ノーギワールド黒帯ルースター級優勝のエステヴァン・マルチネスだ。

ADCC66キロ級世界王者のベイビーシャークことジオゴ・ヘイスとWNOで戦いレフ判定負け、階級的に北米では5キロや7キロ重い階級で戦うのが常で敗北も少なくないが、ECIではフェザー級Tにも出場経験があり、今大会の優勝候補筆頭であることは間違いない。

そのマルチネスにレフ判定で敗れたことがマニー・ヴァスケスも、ある意味注目したいファイターだ。ヴァスケスはキャリア12勝4敗のMMAファイターで、Bellatorやコンテンダーシリーズ出場経験もある。いわばMMAでは高橋より格上となる。

さらにジェイソン・カウチ属するデイジーフレッシュこと、ペディゴ・サブミッションファイティングの新星ザック・エルファルナーニ、2022年ヨーロピアン&パンノーギ茶帯ライトフェザー級優勝のヴァラー・ボイヤーらなどは、要注意が必要な相手といえる。

またFinishers Kombat04で高橋に敗れたラミロ・ヒメネスもエントリーしており、高橋はともかくヒメネスはリベンジの機会を虎視眈々と狙っているだろう。

女子バンタム級にはUFC女子フライ級ファイターのミランダ・メーヴェリックも参戦しており、今後はEBIだけでなくECIも動向を追う必要があるグラップリング大会の一つになるやまもしれない。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o UFC   アマンダ・ヌネス ガブリエル・ソウザ ケネディ・マシエル ジオゴ・ヘイス ジョシュ・シスネロス ディエゴ・オリヴェイラ ファブリシオ・アンドレイ マイキー・ムスメシ

【ADCC2022】66キロ級決勝 失点0で優勝。最軽量級世界一はベイビーシャーク=ジオゴ・ヘイス

【写真】全試合一本という派手な勝ち方ではないが、失点0も胸を張ることができる優勝だ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第11 回は66キロ級決勝戦=ジオゴ・ヘイス×ガブリエル・ソウザ戦の模様をお伝えしたい。

ADCCルールに見事に合わせた戦いぶりで決勝進出を果たしたジオゴの相手は、昨年のWNOチャンピオンシップでマイキー・ムスメシからパスを奪って準優勝に輝いたガブリエル・ソウザだ。

ソウザは1回戦、以前ノーギでファブリシオ・アンドレイを肩固めで仕留めるなど、強烈な極めを持つフアン・アルバランカと対戦。

序盤強烈にギロチンで絞め上げられ、落ちたと勘違いしたレフェリーに試合を止められて一度は負けを宣せられた。が、抗議が実り試合は再開。終盤にスクランブル合戦を制して2点を奪取し、アルバランカが動いたところでバックを奪って5-0で勝利した。

2回戦は、初戦でAJ・アガザームに勝利したジェレミー・スキナーと対戦。開始早々にパスを奪ったソウザは、そのまま上から攻め続けて、最後はマウンテッド・トライアングルで圧勝した。

準決勝のソウザの相手は、昨年ノーギで3度当たってことごとく惜敗している天敵のパトことディエゴ・オリヴェイラ。パトは1回戦で北米予選王者のキース・クレコリアンをストレートレッグロックで極めて、道着を脱いでも極めの強さを見せつけた。

そのパトは2回戦で、前回優勝のケネディ・マシエルとのマッチアップに挑んだ。

深くタイトに組んだ外掛けから、ヒールのようにかかとをワキに引っ掛けず、上腕で足首をすくう形でヒザを捻るZロックを極め、絶好調で準決勝に上がってきた。

そして迎えた準決勝──ソウザは延長戦のレスリング勝負に持ち込んでパトを疲弊させ、レフェリー判定で勝利。ジエゴと同じく、ADCC世界大会初出場にして決勝進出を決めたのだった。


<66キロ以下級決勝/20分1R>
ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
Def.3-0
ガブリエル・ソウザ(ブラジル)

両者の立ちの攻防がしばし続くと、客席から「ベイビー・シャーク・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ~🎵」とがなりたてる輩が現れる。このベイビーシャーク・ソングは言うまでもなく童顔のジオゴのニックネームの元ネタであり、ここ数年幼児に大人気の歌だ。

そこで実況解説陣も「5歳以下のファンはみんなベイビーシャークを応援しているはずさ」「僕の6歳の息子も全選手のなかで彼が一番のお気に入りなんだ」とコメント。初出場の若手ブラジル人同士、北米の観客にはなかなか感情移入しにくい試合でも楽しみ方はある。

2分半経過した頃、ジオゴが素早く小内からドライブしてテイクダウンに成功。加点時間前なので無理せず下になったソウザが内ヒールを仕掛けると、回転して逃れるジオゴ。それに乗じてソウザが上を取ると、ジオゴも下にステイし、得意の右に絡むハーフを作った。

やがてジオゴがクローズドから左足に絡んで崩すと、両者足関節の取り合いに。どちらも極めさせず、やがて勝者はスタンドに戻った。

6分経過時に、ソウザがアームドラッグへ。すぐに反応したジオゴが逆にカウンターのドラッグ返しからバックに回る。

襷を取り、足を一本入れるジオゴ。しかしソウザも動き続け、体をずらして正対して立つことに成功する。ここで下になったジオゴは、立たずに下から左足に絡む。加点時間帯前なので、無理にスクランブルを仕掛けなくても良いという考えのようだ。

その後ジオゴは下から足を狙い、ソウザが対応する展開が続く。ジオゴがトーホールドを仕掛けると、ソウザが回転して逃げて上下が入れ替わる。やがてダブルガードからお互い足を狙い合う状態となり、試合は10分を経過。加点時間帯に入った。

しばらくすると両者とも立ち上がる。様子見段階は終わり、世界一の座を賭けた本格的なポイント戦がここから開始だ。

お互い譲らない攻防が続くなか、ジオゴが一瞬のアームドラッグから小内につなげてソウザを倒す。本戦と違いすぐに距離を取り、背中を向けて立とうとするソウザ。ジオゴすぐその背後に回る。

ソウザの背中に登ってシングルフックと襷掛けを作るジオゴが、両足フックを狙う。何とか手で足を振り払うソウザだが、ジオゴは襷を双差しに切り替えてソウザのワキを開けさせ、ついにフックを入れて3ポイントを先制した。

残り7分で大きなビハインドを背負ってしまったソウザは再び手を使ってジオゴのフックを解除すると、腰を上げて頭を下げてジオゴを落としにかかる。頭で倒立するような状態でしばらく粘っていたジオゴだが、無理せず下に。得意の右に絡むハーフを作った。先制点を奪った以上、あとは失点せず戦ってゆけばいい。

ジオゴのハーフの前に攻め手を作れないソウザは、一旦離れてのパス狙いへ。が、ジオゴは柔らかい動きで対応。逆に下からソウザの左足に絡んで崩しては、足狙いを見せる。

深い50/50を作ったジオゴは、内ヒールを仕掛ける。特に極める必要はなく、相手に防御を余儀なくさせ時間を稼ぐのにきわめて有効な手だ。ソウザは立ち上がって組まれた足を押し下げて解除するが、ジオゴはインバーテッドからまたしても足を絡めてゆく。

その後、ソウザは横に回ってのパスや上から飛び込んでのバック狙いを見せるが、その度にジオゴは下から柔らかい動きで危なげなく対処を続けた。終盤も足と両腕のフレーム使ってソウザにパスのチャンスを与えないジオゴは、残り数秒のところで距離を取って素早く立ち上がる。ここでソウザも万事休すと悟ったか、最後の追撃はせず。弱冠20歳のジオゴ・ヘイスが初出場初優勝の快挙を成し遂げた。

ケニー・フロリアンから勝利者インタビューを受けたジオゴは、童顔の見た目よりさらに幼い声で(たまに指摘されることだが、ジオゴの英語はUFC女子バンタム&フェザー級王者アマンダ・ヌネスのそれをぐっと拙く少年ぽくした印象だ)、「最高の気分さ。夢がかなったよ。ここまでの道のりは楽じゃなかった。僕たちはみんな身を練習に捧げてきたんだ。チームメイトのファブリシオやミカ、そして師匠のメルキ・ガルバォンがいなければ僕はここにいない、彼なしに優勝など不可能だったんだ。全てを僕らに捧げてくれた」と語った。

その後メルキがマットに登場して、ジオゴとハグ。愛弟子の快挙に感涙にむせぶ師の横で、ジオゴは「この人は僕の父であり、友人であり、コーチであり、師匠だ」と改めて想いを語り、感動のエンディングとなった。

今大会の4試合、一切の失点をせず、ことごとく後半のレスリング、スクランブルの攻防で差を付けて勝ち切ったジオゴ。テイクダウンされてもポイントを許さず立ち上がり、徐々に相手を疲弊させてゆくレスリングの持久力で上回った形だ。

そんな戦い方を可能にしたのは、柔らかい動きで体力を消耗せずに、相手に得点を奪う隙を与えない優れたガードワーク、そして各局面で不要なリスクを犯さず、試合に勝つための最適な方法を選び取ることのできる高いファイトIQがあるからこそだ。

世界最高峰の選手が集ったこの最軽量級にて、ADCCルールで勝つためのスキルを、技術的にも精神的にも最も高いレベルで持ち合わせていたのが、ジオゴ・ヘイスだったといえるだろう。

なお3位決定戦は、延長までもつれ込んだ末、パトことディエゴ・オリヴェイラがジョシュ・シスネロスからペナルティ1差で勝利。こちらも初出場でのメダル獲得となった。

66キロ級リザルト
優勝 ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
準優勝 ガブリエル・ソウザ(ブラジル)
3位 ディエゴ・パト・オリヴェイラ(ブラジル)

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MMA MMAPLANET o WJJC2022 アンディ・ムラサキ ケネディ・マシエル ジアニ・グリッポ ジョナタ・アウヴェス セルヴィオ・トゥリオ タイナン・ダウプラ トミー・ランガカー ブラジリアン柔術 ホナウド・ジュニオール マテウス・ガブリエル ミカエル・ガルバォン レオナルド・ララ

【WJJC2022】アンディ・ムラサキ、なるかストップ・ザ・独走状態=タイナン・ダウプラ

【写真】50/50ゲーム中に尻を出されたバイエンセがいないなか、誰がダウプラと拮抗した勝負を挑むことができるか(C)SATOSHI NARITA

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのウォルター・ピラミッドにて行われる、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。
Text by Isamu Horiuchi

プレビュー最終回となる第4回は、日本でティーン時代を過ごしたアンディ・ムラサキが黒帯として世界初挑戦に挑むミドル級の見どころを紹介したい。


この階級の大本命は、昨年初出場初優勝を飾ったAOJの21歳タイナン・ダウプラ。オープンガードからの強烈なスイープと、盤石のトップゲームをもちあわせ、その圧倒的な強さは師のハファエル・メンデスを想起させる。昨年に黒帯デビューを果たした後、敗れたのはライト級レビューでも触れた「柔術の神の子」ことミカエル・ガルバォンとの死闘のみ。あとは50戦近くの大半を一本勝ちしており、仕留めきれなかった試合もはっきりと差をつけて勝利している。

今年は、昨年の世界大会決勝を争った──そしてこれまでのダウプラの黒帯キャリアにおいて、唯一接戦の勝利となった──イザッキ・バイエンセが不出場ということもあり、このダウプラこそ男子黒帯アダルト全階級の中でもっとも盤石の優勝候補と言えるだろう。

ダウプラの対抗としては、4月のパン大会準決勝でダウプラにパスを許さない健闘を見せたホナウド・ジュニオールや北欧の極め業師トミー・ランガカーらが挙げられるが、どちらも昨年から今年にかけてダウプラに連敗を喫しており、その牙城を崩すのは困難だろう。

そこで我々日本人が期待をかけたいのが、これが世界大会初挑戦となる22歳の日系ブラジリアン、アンディ・ムラサキだ。

十代の頃を日本で過ごし、やがて渡米してカイオ・テハの教えを受けた後にアトス所属となったムラサキ。昨年のEUG1のトーナメントにて、ケネディ・マシエル、ジアニ・グリッポ、マテウス・ガブリエルという超大物黒帯を三連破して衝撃の黒帯デビューを果たした。特にグリッポ戦では難攻不落と見られたそのオープンガードを完全に制圧してパスに成功、そのままステップオーバーしての三角締めを極めての圧巻の勝利だった。

パワフルかつ鋭いパスガードと極めを中心に活躍しているムラサキだが、現在ライト級の世界のトップを走るAOJのジョナタ・アウヴェスだけには分が悪い。特に4月のパン大会では、見事な戦いで決勝まで進出して雪辱戦に挑んだものの、スイープをもらった後トップをキープされての敗戦。ライバルにはっきり差を付けられての3連敗となってしまった。

今回は階級を上げてのミドル級で世界初挑戦となるムラサキは一回戦を突破すると、4月のパン大会にて一階級上のミディアムヘビー級でクローズアウト優勝を果たしたマニュエル・ヒバマー戦を迎える。重い階級における世界トップにムラサキの柔術がどこまで通用するか、まずはこの試合が紫金石となりそうだ。

ここを越えた後に準々決勝でおそらく待っているのは、同門アトスの先輩の(今回はアトス・インターナショナルで出場する)レオナルド・ララか。ムラサキと当たった場合に戦うのか──どちらかが譲るのかは定かではないが、その先の準決勝で当たるのはランガカーとセルヴィオ・トゥリオの勝者なる公算が高い。

そして決勝まで駒を進めれば、AOJにおけるアウヴェスの練習仲間にして、世界最強のタイナン・ダウプラに辿り着くことになりそうだ。

ムラサキを含めた挑戦者たちは、若くして既にあまりに強大な存在となりつつあるダウプラを攻略することはできるのか。今後しばらくはダウプラ時代が続くことが容易に予想されるだけに、今回はライト級で世界を狙うミカ・ガルバォンに続いて──その牙城に迫るライバルの出現を期待したいところだ。

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MMA MMAPLANET o PJJC2022   アイザック・ドーダーライン アレクサンドロ・ソドレ ケネディ・マシエル 嶋田裕太

【PJJC2022】ソドレ兄弟が金銀のフェザー級で、優勝したソドレ兄に惜敗──も肉薄の嶋田裕太にNY効果

【写真】同じ技にはめ込むことができている。それだけ高度かつ強度が高くなっていることが確認できた嶋田。微妙なアドバンゲームを制してこそのIBJJF競技柔術だけに──不明瞭なポイントボード問題はなんとかしてほしいものだ(C)IBJJF

6日(水・現地時間)から10日(日・同)まで、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナにて、パン柔術選手権が行われた。
Text Isamu Horiuchi

レビュー第2回はNYの神童マルセロ・ガウッシア道場にて長期修行に励む嶋田裕太が出場したフェザー級の模様を、嶋田の戦いぶりを中心に紹介したい。


<フェザー級1回戦/10分1R>
嶋田裕太(日本)
Def. by 17-0
ティエリー・ファリア(ブラジル)

ガードに跳び付いたファリアに対し、すぐに嶋田は両足担ぎの体勢に。そのまま立ち上がって圧力をかけた嶋田は、ファリアの右足を抑えて右に動き、さらにファリアの右ワキを差して背中を付けさせて相手の上半身を殺すと、絡まれた左足を抜いてマウントへ。すぐにファリアが下から左足を嶋田の股間に入れたからか、嶋田にはアドバンテージに加えてパスの3点のみが与えられた。

ファリアは下から動いてディープハーフを作るが、右ワキを制している嶋田はバランスを保ちながら圧力をかけてアドバンテージを重ねる。やがて嶋田は絡まれている左足を抜き、再びマウントに。今度はパスガードの3点とマウントの4点が与えられ、10-0と大きくリードした。

その後も下から懸命に動いてディープハーフに戻すファリアと、ワキを殺してさらにパスを狙う嶋田の攻防が続く。一度クローズドガードに戻された嶋田だが、立ち上がってファリアをリフト。その足を押し下げてガードを開かせ、足を超えてまたしてもマウントを奪取。17-0 とリードを広げた。

その後嶋田は腕十字やギを絡めたチョークを狙ってゆくが、ファリアはしぶとくディフェンスして極めさせない。なんとか足を絡めて下からの反撃を試みるファリアだが、トップの嶋田はその度に素早い反応で足を捌きワキを制しては、極めを狙っていった。

結局ファリアの守りの前に極めきることはできなかったものの、トップから終始攻め続けた嶋田が17-0で完勝。今年に入ってフェザー級で連戦を重ねて臨んだこの大会で、動きの良さを見せつけた。

<フェザー級2回戦/10分1R>
アレクサンドロ・ソドレ(ブラジル)
2-2 アドバンテージ2-1
嶋田裕太(日本)

初戦を10分間フルに戦った嶋田は、その後同マットで1試合が消化された後に再び登場。対戦相手は、シード故にこれが今大会初戦となるソドレ。19年に2連敗を喫しているこの若き強豪と、わずか10分少々の休憩時間で対峙するという厳しい戦いだ。

試合後両者同時に座るや、嶋田はすぐ上に。これが嶋田のアドバンテージではなく、ソドレの引き込みと判断されてしまいアドバンが入らない。

すぐに左で得意のラッソーを作ったソドレはそこからの仕掛けを試みるが、嶋田もワキを閉めてうまくソドレの攻撃を遮断する。ソドレが煽ると素早くスプロウルする等良い反応を見せる嶋田は、横に動いてのパスを見せるがソドレも対処。鋭い動きの両者による緊張感のある攻防が続いた。

4分過ぎ、下から嶋田の右足を抱えたソドレは、そのまま引き付けて嶋田のバランスを崩してシットアップ。相手を後ろに崩す得意の形で2点を先制した。嶋田もソドレの右足を抱えて起き上がってのシングルレッグを狙うが、ソドレはそれを跳ね返してニースライスの体勢を作った。

右足にハーフで絡む嶋田と、上体を起こして嶋田の首に道着を巻きつけてチョークのプレッシャーをかけつつ侵攻を試みるソドレ。嶋田はシッティングガードからソドレの右足にラペルを巻きつける形でテイクダウンを狙うが、ソドレは巧みに嶋田の左脇をすくいながら動いて防御。結局両者は離れた。

残り3分半。シッティングを取る嶋田は素早くソドレの体を引き付けて前に崩してから右足を抱えてディープハーフへ。そのまま素早く立ち上がってシングルに移行すると、片足で堪えようとするソドレの軸足を刈りながらのテイクダウンに成功。切れ味鋭い見事な動きで2-2とした。

そのままガードを閉じるソドレと、それを開けにかかる嶋田。画面に表示されている得点表は同点だが、動こうと試みる嶋田と体勢キープを試みるソドレという攻防になっている。

残り1分半。ソドレは再び下から嶋田の右足をキャッチ。動きを作りたい嶋田が上体を起こしたところで、ソドレは右足を強烈に引き寄せながらシットアップし、先ほどと似た形で上を狙う。ここで下にはなれない嶋田が背中を見せて距離を取ろうとしたところで、ソドレはその背中に付くと、跳び付いてシングルバックに。終盤のこの攻撃で、ソドレは大きなアドバンテージを一つ追加した。

場外際のブレイクを経て再開。時間のない嶋田は、絡みつくソドレの足を腕で押し下げて解除すると、上体を低くしてソドレを前に落とすことに成功する。ここからテイクダウンを仕掛けるがソドレは下がって場外へ。このように不利なときは無理せず下がって場外に出るインサイドワークは、常に前に出て攻め続ける嶋田の戦いにはあまり見られないものだ。

残り29秒で再度、中央でリスタートに。この時、ソドレが取ったアドバンは実は(それまでの掲示どおりの1つではなく)2つだったと得点表が修正された。下がるソドレに迫る嶋田は、背負いの仕掛けから引き込んでシッティングを作ると、ソドレの襟を強烈に引き付けてから右足に絡み付いてのシングルへ。

逃げようとするソドレの右足を抱えて前に出た嶋田は、両者が場外に出そうになると、ソドレの体を回して方向転換して試合場内で倒すことに成功。が、次の瞬間ソドレは跳ね立つ。それでも右足を離さない嶋田はさらにソドレを倒そうと前進するが、ここで両者の体が場外に出るとともに時間切れ。最後に嶋田にアドバンテージが入ったが、一歩及ばず。

嶋田、三度ソドレの軍門に降る──が、3回同じスイープで点を許して2-8で敗れた19年の世界大会と比べ、今回ははるかに競った内容だった。しかも前戦をフルに戦った後、僅か10分程度のインターバルを経ての戦いだったにもかかわらずだ。

シッティングからの鋭い仕掛けを起点とし、ソドレの軸足を刈って倒した1度目のシングル、そして結局は逃げられたものの、場外に出そうなソドレを引き戻しながら倒した2度目のシングル等、嶋田の特性を活かした動きがいよいよ世界最高峰に通じるレベルとなってきたことが見て取れた。

また、ソドレに2度目のスイープを仕掛けられた際、背中に廻られてアドバンテージは失ったものの、最終的にポイントを献上しなかったことも収穫と言えるだろう

1度目のスイープの後にニースライスを仕掛けられたこと(画面では表示されなかったが、ここでソドレにアドバンテージが与えられたのだろう)や、最後に倒しきれずに逃げられてしまったこと等、課題は見られた。が、嶋田は必ずこれらの課題を克服してさらに強くなるはず──そう思わせてくれるこの日の戦いぶりだった。

さて、嶋田に辛勝したソドレは、続く準々決勝で難敵アイザック・ドーダーラインと対戦。得意の後ろに崩すスイープで先制すると、終盤にもスクランブルで競り勝って取った上のポジションを守り切り、4-2で勝利。

続く準決勝では、優勝候補ディエゴ・パト・オリヴェイラの欠場もあって勝ち上がってきたチアゴ・マセドと対戦。ここでもやはり後ろに崩すスイープを決めて先制すると、その後50/50シーソーゲームを経て取り返した上のポジションを試合終了まで巧みにキープ。オープンガードから後ろに倒す必殺のスイープと、終盤にポジションを守って勝ち切る勝負強さを存分に発揮して決勝進出した。

そしてもう一方の決勝進出者は、なんと弟のジエゴ・ソドレ。ジエゴは準決勝で、ケネディ・マシエルやシェーン・ヒルテイラーといったビッグネーム相手にレフェリー判定で勝利して勝ち上がったヒカ・ノゲイラ相手と対戦。こちらもレフェリー判定にもつれ込む接戦を制したのだった。

当然ソドレ兄弟は決勝では戦わず、弟が兄に譲る形でクローズアウト。25歳と23歳、若き兄弟は世界大会クローズアウトという偉業を達成する可能性も秘めている。そのソドレ兄と互角の攻防を繰り広げた嶋田、既に1カ月半後に迫っているムンジアルに向け──NYでの生活のよる成果は如実に表れている。

【フェザー級リザルト】
優勝 アレクサンドロ・ソドレ(ブラジル)
準優勝 ジエゴ・ソドレ(ブラジル)
3位 チアゴ・マセド(ブラジル)、ヒカ・ノゲイラ(ブラジル)

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MMA MMAPLANET o PJJC2022 アイザック・ドーダーライン アレクサンドロ・ソドレ ケネディ・マシエル 嶋田裕太 橋本知之

【PJJC2022】まさにプレ・ムンジアル。フェザー級=嶋田裕太を待ち受ける、超難関・棘の道

【写真】ここまで実戦経験を積んで、パン~ムンジアルに向かうのは紫帯以来か(C)SATOSHI NARITA

パン柔術選手権が6日(水・現地時間)から、フロリダ州キシミーのシルバー・スパーズ・アリーナでスタートを切り、10日(日・同)まで開催されている。

世界の強豪が集結し、6月の世界大会の行方を占う上でもきわめて重要なこのパン柔術。プレビュー第2回はフェザー級と嶋田裕太に焦点を当てたい。


橋本知之と並ぶ日本のもう一人の雄、嶋田裕太もまた以前より一階級上げてフェザー級にエントリーしている。NYのマルセロ・ガウッシア道場で長期修行中の嶋田は、今年に入って精力的にローカル大会に参戦しているが、いずれもフェザー級での出場だった。オクラホマ・オープンでは優勝、続くアトランタ・ウィンターオープンでは決勝でケネディ・マシエルに敗れて準優勝、インディアナポリス・オープンで優勝し、チャールストン・オープンでは、決勝において前大会で辛勝したマティアス・エステヴァンにレフェリー判定で惜敗するも、常に表彰台に上がる好成績を収めてパン大会を迎える。

そんな嶋田が挑む今回のフェザー級だが、ライトフェザー級にも増して超強豪がズラリと顔を揃え、世界大会にも劣らないほどの超激戦区となっている。

嶋田の初戦の相手は、黒帯になって日の浅いGFチームのティエリー・ファリア。まだ目立った実績は挙げていない選手だけに、ここは落としたくないところだ。

次のベスト16での相手が、アレクサンドロ・ソドレ。19年のブラジレイロと世界大会の両方で嶋田に連勝した天敵だ。特に世界大会では4度のスイープを決めて8-2での完勝。当時はライトフェザー級だったが、近年は階級を上げフェザー級、さらにはライト級でも戦うソドレは、今大会嶋田が挑む最初の大きな壁となりそうだ。

この難敵ソドレにリベンジを果たした場合、準々決勝で嶋田を待っているのは、色帯時代のライバルでもあるアイザック・ドーダーラインになる可能性が高い。黒帯としても19年ブラジレイロや20年のヨーロピアン制覇という大きな実績を挙げており、世界大会では常に優勝候補の一人として数えられる超強豪だ。

嶋田がここもクリアできたとして、おそらく準決勝で待っているのは昨年のライトフェザー級世界王者パトことジエゴ・オリヴェイラだ。その世界大会の2回戦では嶋田と対戦し、変幻自在のガードゲームで終始ペースを握って4-2で完勝している。このパトこそは現時点における真の世界最高峰、嶋田にとっては恐るべき厚い壁だ。

もう片方のブロックを制するのは、18年世界王者シェーン・ヒルテイラーか、19ADCC準優勝のケネディ・マシエルか。あるいは今年のヨーロピアンでドーダーラインを倒して優勝した新星ディエゴ・ソドレ(アレクサンドロの弟)か。いずれにせよ嶋田が優勝するためには、1回戦後に超強豪との4連戦を勝ち抜く必要があるわけだ。これ以上ないほどの過酷極まる修羅の道──とはいえ、これぞプレ・ムンジアルという戦いが嶋田裕太を待っている。

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MMA WJJC2021 アンディ・ムラサキ ケネディ・マシエル ジアニ・グリッポ ジョナタ・アウヴェス タイナン・ダウプラ ブラジリアン柔術 マイケル・リエラJr マテウス・ガブリエル リーヴァイ・ジョーンズレアリー

【WJJC2021】アンディ・ムラサキ✖ジョナタ・アウベス✖マテ・ガブ。BJJ界のカズ=54歳メガトンも

【写真】2試合目を越えれば、表彰台。やってくれそうなアンディ・ムラサキ (C)MMAPLANET

8日(水・現地時間)から12日(日・同)まで、カリフォルニア州はアナハイムのアナハイム・コンベンションセンターにて、IBJJF主催の世界ブラジリアン柔術選手権が行われる。
Text by Isamu Horiuchi

2014年から2019年まで6連覇を果たしている絶対王者、ルーカス・レプリの名前が見当たらない今年のライト級。が、レプリに代わって頂点の座を付け狙う新世代の有望選手が多数出場し、見逃せない階級となっている。

そのなかでも最注目は、日本のインパクトBJJでティーン時代を過ごしたアンディ・ムラサキのムンジアル黒帯初挑戦だ。


ムラサキは今年の4月、EUGプロモーションズが主催する道着着用160パウンド以下トーナメントで黒帯初戦を迎えた。1回戦と準決勝ではケネディ・マシエル、ジアニ・グリッポという世界トップクラスの強豪のガードを強烈なプレッシャーで封じ込めてペースを支配し、グリッポ戦に至ってはパスガードで完全制圧した後に上から仕掛けた三角絞めで衝撃の一本勝ちを収めた。

決勝でムラサキは2019年フェザー級世界王者のマテウス・ガブリエルの切れ味抜群のオープンガードに対し、それに劣らぬ切れ味のトップゲームで真っ向勝負を展開した。結果、両者譲らない一進一退のままタイムアップを迎え、ムラサキはレフェリー判定で勝利を収め──世界超一流の黒帯3人を連破するという衝撃の黒帯デビューを果たした。

日系ブラジル人の両親を持つこの若者が、EUGトーナメントに次いで、世界大会でも初出場初優勝の偉業を成し遂げることができるのか。期待とともに見守りたい。

そのムラサキを10月のパン大会で下したのが、こちらも世界大会初出場となるジョナタ・アウヴェスだ。この試合でムラサキ相手に50/50戦に持ち込んだアウヴェスは、終盤に上を取って逆転すると、そのまま背を向けて守りに徹して勝利、その勢いで優勝をさらってみせた。

2019年の世界大会にて茶帯の部を制した直後に、師匠のギィ・メンデスによって黒帯を授けられたアウヴェス。前述のEUG160パウンド級トーナメントでは優勝候補筆頭に挙げられながら、マテウス・ガブリエルのベリンボロでポイントを奪われ、まさかの初戦敗退を喫している。

翌月には、雪辱を期して階級上のEUG170パウンド級トーナメントに参戦し、50/50を有効利用して決勝まで勝ち上がる。そこで待ち受けていたのが、チームメイトのタイナン・ダウプラを倒した柔術の神の子ことミカ・ガルバォンだった。

天才の繰り出す凄まじい攻撃を耐え抜き、なりふり構わず文字通りマットに這いつくばりながら上をキープ、執念の優勝を果たしている。1アドバンテージを競い合う現代柔術にあって、ガブリエルは師匠のメンデス兄弟譲りの戦略を実行して勝ち切る力が際立つ選手だ。

前述のように、そのアウヴェス相手に1回戦でベリンボロを決めて勝利しつつ、決勝でムラサキに惜敗したのが、2019年フェザー級世界王者のガブリエルだ。

ムラサキ戦にしても、終盤ベリンボロで崩して見せ場を作るなど、ガブリエル勝利を支持する声も多かったほどの接戦だった。そしてガブリエルは、ムラサキ以降はブラジレイロを全試合で制するなど無敗街道を走っている。

21歳のムラサキとアウヴェス、24歳のガブリエル。今年に入って戦績も三つ巴で1勝1敗の若手3人は、全員横並びの優勝候補と言えるだろう。

さらに今回もう一人、この3人に並ぶ優勝候補の新世代戦士が参戦している。豪州出身の24歳、リーヴァイ・ジョーンズレアリーだ。2019年のヨーロピアン決勝にて絶対王者レプリ相手にデラヒーバガードを作ると、レプリ必殺のニースライス・パスに素早く対処し、旗判定こそ2-1だったが完勝して世界を驚かせてみせた。

この強力極まりないオープンガードに、ムラサキやアウヴェスはどう対処するのか、そして劣らぬキレのガードゲームの持ち主であるガブリエルとはどういう試合になるのか、興味は尽きない。

またこの同階級には、2018年世界3位の北欧のベリンボロ使いエスペン・マティエセン、2016年フェザー級世界準優勝のマーシオ・アンドレ、さらには2018年世界準優勝のヘナート・カヌートらの強豪選手も出場している。

ムラサキは初戦でギルヘルミ・ボルゲスと対戦し、ここを勝ち上がると、ジョナタ・アウベスが待ち受けている。向かいの山にはAJ・アガザーム、ジョーンズレアリー、マティエセン、カヌートという名前のある柔術家がひしめいている。

前半のブラケットにはマテウス・ガブリエルとマイケル・リエラJrの勝者が、アンドレが勝ち上がり候補筆頭の反対側のセミファイナリストと相対することになる。

この前半の枠には、なんと54歳のメガトンことウェリントン・ディアスが出場している。1996年に世界柔術準優勝を果たしてから、25年経過してなお世界大会に挑む──柔術界のカズ、鉄人の戦いは無謀とも思えるが注目せずにはいられない。

■視聴方法(予定)
12月9日(金・日本時間)~13日(月・同)
午前2時30分~Flo Grappling

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MIKE MMA WNO Championships ケイド・ルオトロ ケネディ・マシエル コール・アベート ジョシュ・シスネロス デミアン・アンダーソン ブログ マイキー・ムスメシ 堀内勇 高橋サブミッション雄己

【WNO Championships】高橋サブミッション&堀内勇がWNOを深掘り。ライト級本命はマイキー

【写真】プロシューターでありながら、グラップリングが本職の高橋サブミッション雄己とMMAPLANETグラップリング・ライターの堀内勇氏。こんなに楽しいグラップリング論は、そうそうない(C)HIDEYA WADA & ISAMU HORIUCHI

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されるWho’s Number One Championships。男子ではライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメントが同大会では行われる。

世界のベストグラップラー、新進気鋭の若い選手が一堂に会す大会。その中から3階級を日本のグラップリングをネクストステージに引き上げようという高橋サブミッション雄己、そしてMMAPLANETでグラップリングシーンを執筆中の堀内勇氏に水先案内人となってもらった。


──誠に勝手ながら、この興味深いトーナメントですが、5階級のうちから3階級にピックして話していただこうかと。

高橋 そのつもりといいますか、女子2階級は予習する時間がなかったです(笑)。

堀内 正直、僕も女子はどうすれば良いのか分からないので……オッズがあれば、なんとかなるかと思っていたぐらいでして(苦笑)。

──外れるのは女子2階級になりますか。ヘビー級でギャビ、ストロー級でエレクトリックチェアーを使わせると男女通してナンバーワンかと思われるグレース・ガンドラムなど興味深い選手も出場していますが。

高橋 確かに10th Planet柔術で括れば一番完成度が高く、グラップリングとして成立させているのはグレースですね。そこは楽しみなんですが、いかんせん男子3階級と比べると、興味深さで差は出てしまいます。

──今大会はそれだけの面子が揃っているということですね。では、男子ライト級から見所をお願いします。

高橋 道着での強さは当然として、ここ数カ月のノーギの活躍を見てマイキーが優勝候補だと思います。そもそもルースターやライトフェザー級の選手なので、体重が足らないのか。そこだけですね、不安要素は。マイキーに肉薄するかと思っていたケネディ・マシエルが欠場になってしまったのが、残念です。

──ケネディがマイキーに肉薄するという予想は、どのような理由からだったのでしょうか。

高橋 体格差と、マイキーは下から攻めると思うので取り切れなかった場合はWNO判定では上の人に付きがちなので、もしかしたらというのがあるかと思っていました。

堀内 もうケネディは居なくなってしまっていたので、頭から抜け落ちていましたが、絶対にマイキーが中心になると思っています。そこで個人的に面白いとおもっていたのが、ケイド・ルオトロがダナハー門下だったイーサン・クレリステンと戦い、足関節を全てベリンボロに切り返し、最後はダースで勝ったじゃないですか。

(C)CLAYTON JONES

マイキーも最近、足関節で勝っている。

じゃあケイドのベリンボロはマイキーに通じるのか。それを考えていたら、高橋選手が「足の掛け方によってベリンボロが掛けやすくなったり、掛けにくくなる」ということを言われていて……。ならマイキーの足関節というのは、カウンターのベリンボロに対する再カウンターになっているのかと。

高橋 そこ、自分が足関全盛期論といって自論を唱えているところなんですけど。全盛期があるからにはそこに至る黎明期があり、過渡期があり、成長期がある。黎明期と僕がしているのが、ダナハーとかエディ・カミングスがサドルロックで逆足を抱えて内ヒールをギュッとやっていた頃がなんです。

──!!

高橋 過渡期にあたるのは、それが皆に流布してきた時代。クレイグ・ジョーンズやニッキー・ライアンが座り込んでバタフライガードからサドルでバンバンと取る選手が増えてきた時期です。

(C)MIKE CALIMBAS

その次に出てきた流れとして、サドルロックとか外掛け外ヒールにベリンボロでカウンター。

クレイグ・ジョーンズがカイナン・デュアルチに破れたりしている。こないだもタイ・ルオトロとクレイグの試合がありましたが、足関節もベリオンボロの攻防にならなかったです。

堀内 あの時、クレイグが足関節に出なくて。

高橋 自分もその残念さを感じつつ、クレイグはベリンボロを驚異に感じているんだと思ったんです。

堀内 ああなるほど、ミドル級の話になってしまいますが、クレイグは『足関はいつもやっていてつまらないから、今日は違うことをやった』と言っていましたが、高橋選手の見立てでは返されることを経験して、一歩上を行ったということですね。

それにしてもダナハー流が足関黎明期とは。僕らオールドファンからすると、黎明期の足関節技師というと佐藤ルミナ……いや藤原組長とかになっちゃいますよ。

──確かにダナハーとサドルは、我々にとっては新時代の幕開けでしたからね。

堀内 それを黎明期と捉える、高橋選手のその感性が最先端ですね。

高橋 いえ、僕はそれ以前を知らないだけなので……。

──その最先端の見立てでいくと、ベリンボロを察知して足関節を仕掛けない。となると、また新しい潮流が出てくるということですね。

高橋 サドルを組みたい人達もクレイグや立ち技をしたり、ニッキー・ライアンがレッスルアップからリバーサルという風にトップゲームを考えて始めている。そこが新しい潮流になるのか……。ただ足関節軸でいうと、サドルや外掛けをするから反転されてベリンボロの形にハマるので、それをしないと良いということでマイキーはKガードからの50/50を使っているのかと。

──そこが堀内さんの言われた足関節へのカウンターのベリンボロを封じ込める再カウンターだということですね。結果、ミスなく守れる人が勝つということでしょうか。

高橋 その節は得にWNO判定だとあるかもしれないですね。

──ここまでのお話で、実はマイキーが最先端かということになるかと思うのですが、ライト級の対抗馬は誰になるでしょうか。

(C)F2W

高橋 マシエルに2勝1敗で勝ち越ししているジョシュア・シスネロスです。

若さも相まって、もっとノビシロがあるなら面白いかと思います。しかも彼、パン柔術では道着でパウロ・ミヤオに勝っていますよね。メチャクチャ上質な道着有りの柔術で勝てて、ノーギでもADCC準優勝のマシエルに勝つ。シスネロスには期待したいです。

堀内 僕もシスネロス推しです。マシエルとの試合でも最初の試合は逆転負けこそしたもの、その前にはニーカットパスからワキをすくって腕を取ってクルスフィックスに持っていき、そこからキムラをほとんど極めかけていたし、最後の最後に大逆転負けするまでシスネロスが圧倒していました。2試合目はマシエルが上から攻めたのですが、シスネロスがキムラをまた取りかけていた──自力でマシエルに優っていました。

──WNOはこれまでワンマッチでしたが、今回は2日間のトーナメントです。その辺りのマネージメント能力も問われるのではないでしょうか。そういうなかでマイキーが、ジオ・マルチネスに対して意識過剰といえる感情的な態度を取っているのは気になります。自爆すらしてしまいそうな、ヒステリックさを感じました。

堀内 丁寧な話し方の中に狂気を孕んでいるように見えました。トーナメント前にも「僕はブレイキング・メカニズムを徹底的に解剖してきた。ジオ・マルチネスとの試合で僕はダークサイドに入って、今はその真っ只中にいる。昔と違って、壊すことは全く躊躇しない」とか言っているんですよ。

──怖い……。いずれにせよ、ライト級は本命がマイキーで、対抗がケイド・ルオトロとシスネロスといったところでしょうか。

堀内 あとイーサン・クレリステンの欠場で代役出場になるデミアン・アンダーソン、ダナハーの紫帯ですが、結構強いです。先月、コンバット柔術バンタム級王者のリチャード・アラルコンをキムラで倒して、ガブリエル・ソウザにもエメラルドシティ・グラップリングで内ヒールで勝っています。決勝はジアニ・グリッポに負けたのですが、オーバータイムでほとんど互角でした。紫帯とは思えない選手なので、大穴としては面白いです。

──コール・アベートもそういう意味では楽しみでないですか。

堀内 メンデス兄弟みたいな、いかにもAOJ的な柔術で、普通に凄く強いです。15歳、どんどん若い選手が出てきていますね。

高橋 それでも、僕はブレイキング・モードのマイキーが凄く楽しみですね(笑)。

<この項続く>

堀内勇Profile

高校1年の時に少林寺流空手をはじめ、94年硬式空手世界大会出場。
1998年、留学先のカリフォルニア州にてペドロ・カウバーリョ・ブラジリアン柔術道場に入門。タカ・クノウ、マックス増沢、前田桂(stArt JAPAN共同設立者)、杉内勇らとともに在米日本人組技集団チーム・グラエロを結成する。
色帯時代のジェフ・グローバー、ビル・クーパー、ハレック・グレイシー、ナム・ファン等と対戦経験あり。本人によると「ナムに塩漬け負け以外は全部秒殺負けです」とのこと。
2004年、LAのアマMMA大会The Last Drawで一本勝ち。
空手&ブラジリアン柔術黒帯。

■WNO Championships出場選手

【ヘビー級】
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
オーランド・サンチェス(米国)
カイル・ベーム(米国)
ティム・スプリッグス(米国)
ルイス・パンザ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)
ハイサム・リダ(ガーナ)

【ミドル級】
タイ・ルオトロ(米国)
ウィリアム・タケット(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
ジョン・ブランク(米国)、
ダンテ・リオン(カナダ)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)
ジェイコブ・カウチ(米国)
オリバー・タザ(カナダ)

【ライト級】
マイキー・ムスメシ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
コール・アベート(米国)
デミアン・アンダーソン(米国)
ジョシュア・シスネロス(米国)
ガブリエル・ソウザ(ブラジル)

【女子ストロー級】
マイサ・バストス(ブラジル)
ダニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)
アマンダ・アレキン(米国)
グレース・ガンドラム(米国)
アレックス・グエン(米国)
ジェシカ・クラン(米国)
タミー・ムスメシ(米国)

【女子ヘビー級】
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ハファエラ・ゲイジス(ブラジル)
エリン・ハープ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
エリザベス・クレイ(米国)
アマンダ・ローウェン(米国)
ケンドール・リユージング(米国)
アマンダ・レヴィ(米国)

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【WNO Championships】世界への扉、開くか。ハイサム・リダ─02─「日本の柔術を世界に証明したい」

【写真】動けるヘビー級ハイサムに、世界が驚く日がやって来る──のか(C)CLAYTONE JONES

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されるWho’s Number One Championships。5階級の2021年グラップライング最強を決めるノーポイント&サブオンリー、ジャッジ裁定有りのトーナメントに出場するハイサム・リダ・インタビュー後編。

参加選手はカイナン・デュアルチ、メイソン・ファウラー、オーランド・サンチェス、カイル・ベーム、ティム・スプリッグス、ルイス・パンザ、テックス・ジョンソン。右を見ても左を見ても強豪だらけのトーナメント出場を関しては、ハイサムは「カイナン以外なら全員勝てる。」と断言した。

全てを変える──トーナメントへの意気込みとは。

<ハイサム・リダ・インタビューPart.01はコチラから>


──トーナメントで優勝を狙うには、カイナンが初戦の相手だとやはりリスクは高いです。

「決勝で当たるのが一番ですよね」

──ではトーナメント優勝を考えると、初戦で誰と戦いたいと思っていますか。

「最初はテックス・ジョンソン……なんというのか、正直なところカイナン以外では誰でもいけると思っています。なのでトーナメントで優勝することを考えても、カイナンとは決勝で戦うのが一番良いです。カイナンも1回戦で僕と戦うのは嫌だと思っているだろうし、カイナン以外だと最初に戦うのは誰でも良いです。」

──オーランド・サンチェス、ティム・スプリッグスなどよく言えば重厚、いわば動かない試合で勝つ選手です。そのなかでハイサムはヘビー級でもライト級のように動くことができる。それが世界に知れ渡って欲しいです。

「そこが自分の持ち味です。今、少しだけハイサム・リダがどんな選手なのか皆が気付き始めています。『あれだけ体重があって、身長も高いのに動ける』って。

(C)SATOSHI NARITA

オーランド・サンチェスのパワーはとんでもないはずです。ただ、言われたように動けない。ということは、試合が進めば僕の動きについて来られなくなります。これは絶対に。

それに米国に来てから、ずっとレスリングの練習をしてきました。ミシガンから五輪に出たジェイク・ハーバートから直接指導を受けています。ジェイクは2012年のロンドン五輪フリースタイルレスリング米国代表で、世界選手権で準優勝になったこともあります。

※ジェイク・ハーバートは2009年のレスリング世界選手権フリースタイル84キロ級で銀メダルを獲得。ノースウェスタン大学時代には2度のNCAA D1王者で、4度のオールアメリカンレスラー。2009年にはダン・ホッジ・トロフィー(年間ベスト・カレッジレスラー)を獲得している。

ジェイクとやってきたので、テイクダウンをバンバン取れるということではないですが、テイクダウンされない自信もついてきました。オーランドのような選手は、テイクダウンしてずっと上からプレッシャーを掛けてくるのですが、自分の動きにはついて来られなくなるという自信は持っています」

──テイクダウンポイントがない。引き込めることに関して、ADCCルールよりもテイクダウン&コントロール・グラップラーと戦いやすいということはないですか。

「下になっても構わないです。ただし、ジャッジ裁定になった際にテイクダウンやパスにはUFCのように評価される向きはあります。一本を取れないと、マットコントロールは重視されます。ただし、テイクダウンを取っても一本を逆に取られることもありますし。WNOルールは、自分に一番向いているルールです」

──カイル・ベームは10thPlanetスタイルで、足関節が巧みです。僅か1試合の印象でハイサムは足関節が課題と見続けられている面もあると思いますが、さきほど名前を挙げたテックス・ジョンソンもレッグアタッカーです。それはハイサムが足関節の防御に自信を持つようになった表れなのでしょうか。

(C)SATOSHI NARITA

「テックス・ジョンソンはガンガン足関節を狙ってきます。

でも、もう足関節の防御には、自信があります。自分の弱点だと思ったので、ここに来てから克服に努めてきました。デトロイトに来てからの練習でも、皆が上を取れないので凄く足関節を狙ってきました。

(C)SUG

最初は極められましたが、ずっと練習してきたので今は以前のように極められることはないです。

カイル・ベームとテックス・ジョンソンは、リバースデラヒーバから回って足関節を狙ってくると思うので、その対策練習はずっとやってきました。それに自分の課題は足関節だけでなく、他にもあります。なので足関節も含め、穴がなくなるよう練習してきました」

──それはスパーリングで身につけていくものですか。

「僕はまず打ち込みを徹底してやっています。1時間の打ち込みから、少し休憩してスパーリングという風にやっています。できることは全てやっています。自分の時間は強くなるために、全て使っています」

──それにしても凄くイキイキしていますね。

「本当に楽しみです。最初に言ったように、ADCCに出たこともない実績では一番下だと思っています。完全にアンダードッグですが、そんな評価をひっくり返したいです。それができる予感が凄くあります。凄く大きなチャンスを手にすることができました。アンダードッグだからこそ、一番目立てます」

──本当に楽しみしている日本のサポーターに一言、お願いします。

「ハイ。いつも同じことを言っていますが、試合が決まってからも本当に色々な人からメッセージを貰いました。皆が応援してくれています。6月の試合も、こんなに多くの人が日本で見ていてくれたんだと……嬉しいし、本当に皆に感謝しています。これからも日本の柔術を世界に証明したいです」

■WNO Championships出場選手

【ヘビー級】
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
オーランド・サンチェス(米国)
カイル・ベーム(米国)
ティム・スプリッグス(米国)
ルイス・パンザ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)
ハイサム・リダ(ガーナ)

【ミドル級】
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
タイ・ルオトロ(米国)
アンドリュー・ウィルツ(米国)
ウィリアム・タケット(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
ジョン・ブランク(米国)、
ダンテ・リオン(カナダ)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)

【ライト級】
マイキー・ムスメシ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
コール・アベート(米国)
イーサン・クレリステン(カナダ)
ジョシュア・シスネロス(米国)
ケネディ・マシエル(ブラジル)

【女子ストロー級】
マイサ・バストス(ブラジル)
ニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)
トゥディ・アレキン(米国)
グレース・ガンドラム(米国)
アレックス・グエン(米国)
ジェシカ・クラン(米国)
タミー・ムスメシ(米国)

【女子ヘビー級】
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ハファエラ・ゲイジス(ブラジル)
エリン・ハープ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
エリザベス・クレイ(米国)
アマンダ・ローウェン(米国)
ケンドール・リユージング(米国)
アマンダ・リヴェイ(米国)

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【WNO Championships】ヘビー級T出場、ハイサム・リダ─01─「カイナンは僕を止めることはできない」

【写真】目指すはグラップリング世界一、ハイサム・リダ(C)CLAYTONE JONES

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されるWho’s Number One Championships。男子ではライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメントが同大会では行われる。

世界のベストグラップラー、そして新進気鋭の若い選手が一堂に会す大会に、ハイサム・リダがヘビー級でエントリーされている。

カイナン・デュアルチ、メイソン・ファウラー、オーランド・サンチェス、カイル・ベーム、ティム・スプリッグス、ルイス・パンザ、テックス・ジョンソンという世界を代表する屈強なグラップラーと王座を争うメンバーに抜擢されたハイサムをZoomインタビューした。

全てを変える──トーナメントへの意気込みとは。


──WNOのヘビー級のリストが発表されたことは先週末(※取材は9月1日に行われた)に分かっていたのですが、仕事に追われていてチェックするのが週を明けてからになってしまいました。そうしたらリストにハイサムの名前を見つけて、メチャクチャ興奮しました。このメンバーに名前が連なるなんて、凄いビッグニュースです。

「正直、出たい気持ちはずっとありましたけど、自分でもこの8人の中に入れるようになるなんて思っていなかったです。米国に住むようになって、それほど時間は経っていないですし、レコード的にも……これから、どんどんタイトルを獲っていく自信はあるのですが、今はまだ他の出場選手と比較しても実績不足なのは明らかなので。だから、まだ入れないなっていうことは頭の中にありました。

なのでオーガナイザーからオファーが来た時は、自分でもビックリして嬉しかったです。自分の柔術を世界に証明するチャンスを手にしました。これまでやってきたことの全てをこのトーナメントに賭けていきたいです」

──オファーはいつ頃だったのですか。

「8月の後半になってからですね。発表までは少しありました」

──6月のWNOではキーン・コーネリアスと戦うという注目の試合が、キーナンの欠場で彼の弟子ミカ・ペルハヴェッツに対戦相手が代わり、本戦からプレリミに試合順も下げられてしまいました。あの時、ハイサムの名前を売る絶好のチャンスを逃してしまったと残念でならなかったです。それがプレリミでの勝利から、ここのメンバーに入った。大逆転ですね。

「キーナンとの試合は、僕もチャンスだと思っていました。レベル的にも自信もありましたし。それがミハとの試合になり、試合順もメインカードからプレリミに下げられた時は、頭に来ました。『マジかよ』って」

──ハイサムの責任ではないですからね。

「ハイ。メインカードに出たいとずっと思ってきたので。怒りというかフラストレーションは感じていました。あの試合は、自分は周囲が思っているよりも、ずっとできるといことを証明する試合にしたい……そういう試合を見せるという気持ちで戦いました。

そうしたら自分が期待していた以上に短時間で試合を終えることができて、WNOの人達に力を見せることができたと感じました。そして次の週にアメリカン・ナショナルがあって、そこでも優勝しました(黒帯スーパーヘビー級)。あの2大会はオーガナイザーにアピールできたと思います」

──結果、思い通りになったということですね。

「ただ、アメリカン・ナショナルのあとで連絡がきたときは、出場8人のなかで誰かケガをしたら代役で出てもらうという話だったんです。『100パーセントではないけど、準備はしていて欲しい』という感じで」

──なかなか微妙な状況ですね……それは。

「ハイ。そして、8月の後半になって『やっぱりハイサムに出てほしい』という風になりました。あの時は他にどんなメンバーが出るのか分かっていなかったですが、『YES。やるよ』と即答しました」

──その後、出場メンバーを見てどのように思いましたか。

「なんというのか……まぁ簡単な試合はないです。でも、自分は勝てるという自信はあります」

──おお、力強い言葉です。もうトーナメント枠は決まっているのでしょうか。

「トーナメント・ブラケットはファイトウィークになってから、抽選で決めるんだと思います。違うのかもしれないですけど(笑)。誰が相手になっても、大丈夫なように準備をして臨みます」

──優勝云々でなく、コンペティターとして誰と一番戦いたいですか。

「一番戦いたい試合は、一番困難になる試合です」

──つまりは……。

「ハイ、カイナン・デュアルチです。彼を倒すと、全てが変わると思います。カイナンには道着で2度戦って、2回とも負けています。でもノーギだったら、僕のスピードや勢いを止めることはできない。その自信はあります。道着ではなくて、ノーギの自分はカイナンにとって多分……いや、絶対に苦手なタイプです。それにフィジカルトレーニングを積んで体も大きくなっていますし、スピードもあって動けます。カイナンは僕を止めることはできない。カイナンと一番戦いたいです」

<この項、続く>

■WNO Championships出場選手

【ヘビー級】
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
オーランド・サンチェス(米国)
カイル・ベーム(米国)
ティム・スプリッグス(米国)
ルイス・パンザ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)
ハイサム・リダ(ガーナ)

【ミドル級】
クレイグ・ジョーンズ(豪州)
タイ・ルオトロ(米国)
アンドリュー・ウィルツ(米国)
ウィリアム・タケット(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
ジョン・ブランク(米国)、
ダンテ・リオン(カナダ)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)

【ライト級】
マイキー・ムスメシ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
コール・アベート(米国)
イーサン・クレリステン(カナダ)
ジョシュア・シスネロス(米国)
ケネディ・マシエル(ブラジル)

【女子ストロー級】
マイサ・バストス(ブラジル)
ニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)
トゥディ・アレキン(米国)
グレース・ガンドラム(米国)
アレックス・グエン(米国)
ジェシカ・クラン(米国)
タミー・ムスメシ(米国)

【女子ヘビー級】
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ハファエラ・ゲイジス(ブラジル)
エリン・ハープ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
エリザベス・クレイ(米国)
アマンダ・ローウェン(米国)
ケンドール・リユージング(米国)
アマンダ・リヴェイ(米国)

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F2W180 F2W182 MMA UFC イスラム・マカチェフ エドウィン・ナジミ ケネディ・マシエル サミール・シャントレ ジアニ・グリッポ ジェレミー・ケネディ ジャクソン・ナガイ ジョニー・タマ ダンテ・リオン ダヴィ・ハモス ニッキー・ライアン ペドロ・マリーニョ ロベルト・ヒメネス

【F2W182】ベイエリアのF2Wはハモス✖リオン、ナジミ✖ナガイ、グリッポ✖シャントレ!!!

【写真】50/50からバックとか、足関節を軸に色々な攻防が見てみたいグリッポ✖シャントレ (C)MMAPLANET

28日(土・現地時間)、カリフォルニア州バーリンゲームのハイアットリージェンシー・サンフランシスコ・エアポートでF2W182「East Bay」が開催される。

今大会のメインではADCC2015の77キロ級優勝でUFCファイターのダヴィ・ハモスが、2019年のADCCでルカス・レプリ越えを果たしたことで名前を挙げたカナディアン=ダンテ・リオンと対戦する。

とはいうものの、この両者は最近の試合では勝ち星から遠ざかっており、崖っぷち対決ともいえる。


ハモスはパンデミック後、UFCでは昨年7月にアルマン・ツァルキャンに判定負け、グラップリングでもこの7月にF2W177でペドロ・マリーニョの敗れている。さらにいえば2019年も9月にUFCでイスラム・マカチェフに敗れ、11月にはF2W132でゲーリー・トノンに下るなど、実に2年3カ月間勝利の美酒に酔っていない。

一方のリオンも対戦相手がトノン、ロベルト・ヒメネス、ニッキー・ライアンという強豪ぞろいといえども過去5戦で1勝4敗と大きく負け越してしまっている。

上ではニースライスパス、下では強固なニーシールドと攻撃力も防御力も高いリオンは、一本勝ちよりもポイント、レフ判定での勝利が多く──IBJJF柔術的な戦い方の方が、サブオンリーよりも向いているという見方もできる。

一方、ハモスもレプリから飛び込み十字、ドゥリーニョをRNCで下したこともがあったが、ADCCではテイクダウンポイントが認められる後半に強さを発揮して頂点に立ったイメージが強い。そのテイクダウン&スクランブルゲームでMMAではロシア勢に遅れを取ってしまっているが、ノーギ&サブオンリーとはいえジャッジ裁定があるF2Wだけに、テイクダウン&パスの攻防を堪能したいラモス✖リオンの一戦だ。

セミではSUGでMMAファイターのジェレミー・ケネディにOT勝利も、F2W180ではジョニー・タマのヒールに一本負けを喫したエドウィン・ナジミが、チェックマット所属のジャクソン・ナガイと対戦する。パスに強いナガイにナジミが跳びつくことができるか。ネームバリューではナジミだが、拮抗した勝負になりそうだ。

さらにサミール・シャントレ✖ジアニ・グリッポという渋い一戦も実現する。過去1勝2敗と負け越しているシャントレだが、オズワルド・ケイシーニョとのシェアを含め3度のノーギワールズ王者になっており、ノーギでの経験は上だ。

一方グリッポも本格的にノーギに進出し、先のエメラルシティ・インビテーショナルでEBI/OTながらケネディ・マシエルを決勝で下し優勝するなど、道着無しで極められない強さを持っていることはすでに証明している。

足関節とバックテイクの攻防のなかで、上下が入れ替わる。そんな攻防がタイトな距離で繰り広げられることに期待したい両者のノーギマッチだ。

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