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DEEP Grachan Grachan65 MMA MMAPLANET o Road to UFC TSUNE UFC   ロクク・ダリ 中村京一郎 伊藤空也 原口伸 大原樹理 大搗汰晟 天野哲宏 宮内拓海 小谷 小谷直之 山本琢也 岩﨑ヒロユキ 岸本篤史 手塚基伸 林RICE陽太 桜井隆多 金井一将 鈴木崇矢 阪本洋平 高須将大 黒井海成

【Grachan65】岸本篤史戦はKO勝利を宣言、ロクク・ダリ─02─「タイトルマッチにふさわしい選手になる」

【写真】前編の舌出しとは打って変わって素の表情に--ちなみにリモート画面の背景は何の関係もないそうです(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65「15TH Anniv」のメインイベントで、岸本篤史と対戦するロクク・ダリのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

MMAキャリアのほとんどをグラチャンで戦ってきたダリ。一度はGRAND王者となるも、ベルトを失いウェルター級からライト級に転向した。その先に目指すタイトルマッチへの想いに、格闘技に対する姿勢は真摯な姿勢が見られた。

<ロクク・ダリ インタビューPart.01はコチラから>


――ダリ選手は派手な試合内容と言動が目立つこともありますが、そのファイター観というのは理解できます。

「ありがとうございます」

濱村 でも毎月試合をしたいという割には、たまに連絡がつかなくなったりするんですよ。

「アハハハ! いろいろあるの。いろいろと、ね(笑)」

――何か言えないようなことをしているのですか(笑)。

濱村 別に言えないようなことじゃないんですよ。たとえばスマホの画面がバッキバキに割れて電話できなくなり、『いま奥さんのスマホから連絡しているんだけど――』って。そんなことが何回もあるから、『なんでそんなにスマホの画面が割れんねん!』と(苦笑)。

「ゴメンナサイ。私のスマホで子供がゲームしていることもあったり、いろいろあるの」

濱村 それだけじゃなくて、書けないこともありますよ。

――アハハハ。楽しそうなお話ですが、本題に戻ります。ダリ選手は2014年にプロMMA3戦目からグラチャンに出場しています。対戦相手は上山龍紀選手でした。

濱村 3戦目で上山さんと対戦できるなんて、激アツじゃないですか! もともと僕がグラチャンに出たことがあったので、以前から岩﨑ヒロユキ代表と面識はあったんですよ。細かい経緯は覚えていなくて申し訳ないのですが、その関係で岩﨑さんからお話を頂いて。

「僕がグラチャンに出始めた頃は、格闘技を始めてそんなに時間が経っていなかったです。当時は留学生として日本に来ていて、吉田道場で練習させてもらっていた時にグラチャンのアマチュアに出ました。当時はグラチャンだけでなく、日本の格闘技団体のことはよく分からないまま『ダリ、この試合どう?』『Here We Go!』という感じで試合に出ていました」

――当時から「Here We Go!」の精神だったのですね。

「2015年にDEEPで米田さんと試合をしてから、『これからはグラチャンでやっていく』という話をしたんですよ。大阪のグラジエーターに出たこともあるけど、それはグラチャンの選手としてGRANDタイトルマッチに出場しました。あの時は岩﨑さんから『グラチャンの選手として絶対に勝ってほしい』という気持ちが伝わってきたんです。その気持ちが嬉しくて、岩﨑さんにも『僕が絶対にベルトを獲るから』と約束したし、実際にGRANDのベルトを巻くことができて良かったですね」

――そのGRANDタイトルマッチまで8連勝を収めていますが、2019年に入りウィル・チョープと桜井隆多選手を相手に2連敗を喫しました。

「桜井さんとの試合は本当にショックでした。1R、2Rの途中まで自分が勝っていて、最後に『これは行けるかな』と思ったら負けてしまった……。ベルトまで獲られてしまって。ただ、桜井さんは凄いですよ。あれからまだ頑張っているし、今回も出るからね」

――桜井戦でGRANDのベルトを失ったあとは、何を目標としていたのでしょうか。

「試合後は『もう一度ベルトを獲りたいね』と思っていました。でもコロナ禍で試合できなくなって……。その頃に岩﨑さんから『ライト級でやってみる?』と言われたんですよ。もともと僕はウェルター級で試合をする時、ほとんど減量をしていなくて――普段から77キロか78キロぐらいだったから。僕も70キロなら落とせると思って、ライト級でやることにしました」

濱村 ずっとウェルター級でやっていたのは、プロデビュー戦で大原樹理選手と対戦した時に減量を失敗したからなんですよ。

「……あの時は何も分かっていなかったね。でも今はいろいろ勉強してきて、ライト級まで落とせるようになりました。ライト級に落としたほうが体の調子は良いです。試合でもリラックスして体を動かすことができるようになりましたよ。いま考えると、ウェルター級の時は相手が大きかった(笑)。『この人、同じ体重!?』と思うぐらいで。ライト級で、ようやく他の選手と同じ体格になった気がしますよね」

――そこで次はライト級でグラチャンのベルトを獲ろうと考えていたのでしょうか。

「いつかタイトルマッチをやりたい、という話はありました。でもその前に、順番がある。僕も最近はグラチャンに出ていなかったし、ずっとライト級で戦っている選手もいるから。僕はベルトが欲しい。やっぱりベルトを持っていると――気持ち良いじゃないですか。ベルトを持っていたら、僕はベルトを一緒に寝ます。まるで子供と一緒に寝るみたいに(笑)。

でもファイターは、ベルトのことばっかり考えていたらダメですよ。もしライト級の実績がない時に岩﨑さんが『ダリ、次はタイトルマッチだよ』と言ってきても、それは僕にとって良くない。まずファイターなら、いつでも試合ができるように準備しておく。ひとつ一つ試合で勝って、タイトルマッチにふさわしい選手になっていかないといけないですね」

濱村 こういうことを言って、急に良い子ぶるところがあるんですよ(苦笑)

「いや、たまには真面目なことも言わせて(笑)」

濱村 いまダリが言ったことは、本心です。普段は真面目なことを言わずに、こういう時に本心で真面目なことを言うから……。先ほど言ったように、連絡が取れなくなってムカッとする時もあります。でも格闘技の話をすると『あぁ、格闘技との向き合い方は本当に真面目なんやな……』って誤魔化されます(笑)。

――では次の対戦相手、岸本選手の印象を教えてください。

「岸本さんとは前に一度、試合が決まっていました。でも相手の怪我か何かで、試合が流れたんですよ。それでもう一度、僕とやりたいと思うなんて――岸本さんは凄いと思います。絶対に僕が勝つのにね。必ずKOしますよ」

――ライト級王者の原口伸選手がRoad to UFCに出場であるため、ベルトの行方は原口選手の結果次第というところです。ただ、今大会のダリ×岸本、小谷×林のライト級2試合がタイトルマッチに繋がっていくのは間違いないでしょう。

「次の試合は絶対に勝ちますよ。それで僕がタイトルマッチにふさわしい選手になれるんじゃないかと思っています。だからグラチャンには次か次の試合で、ベルトを用意しておいてほしい。僕はノー・ドーピングで頑張りますよ」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grahan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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【Grachan65】運命の手塚基伸戦へ、TSUNE―02―「自分のやれることを出して、必ずベルトに辿り着く」

【写真】諦めない。昨年12月の悔しさを糧にして――(C)MMAPLANET

10月15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、手塚基伸と対戦するTSUNEのインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

ノンタイトル戦で現役王者の手塚を倒し、ベルトを賭けた再戦まで繋げたいTSUNE。そのTSUNEにとって手塚とは、一人の対戦相手というだけではなく、実は「先生」だった――。オファーが届いた時、格闘技を始めた頃の記憶が蘇った。そして、この対戦に運命を感じずにはいられない。10月15日、万感の思いを込めてホーンが鳴る!

<TSUNEインタビューPart.01はコチラから>


――グラチャン初参戦で現バンタム級王者の手塚選手とのノンタイトル戦に臨みます。

「……手塚さん、僕のことを覚えていますかね?」

――手塚選手はインタビューで「TSUNE選手とはドリーマージムの食事会で話をしたことがある」と仰っていました。

「えっ!? 覚えてくれていたんですか。僕がドリーマージムに入った時、手塚さんはクラスの指導を担当していて、僕はいち会員でした。だから僕のことは覚えていないと思っていたんです。今回の試合が終わった後に、『僕のことを覚えていますか? 実はドリーマージムで……』なんて聞こうと考えていたぐらいで(笑)」

――TSUNE選手は藤田大和選手のご家族が運営していたドリーマージムで格闘技を始め、当時ドリーマージムのMMAクラスは総合格闘技道場コブラ会が指導を担当していました。コブラ会から手塚選手が指導で大阪から岡山へ派遣されていたのですよね。

「はい。だから手塚さんって、僕にとってはドリーマージムで最初に格闘技を教えてもらった先生なんですよ(笑)。年齢も近いし、話しやすい人で、いろいろ教えてもらいました」

――当時の手塚選手の印象はいかがですか。

「メチャクチャ強かったです。ニーインザベリーだけで抑え込まれて『プロ選手に抑え込まれると、こんなに動けないんだ!』と思いましたから」

――TSUNE選手も東京に移ってMMAでプロデビューし、バンタム級で戦っていくなかで手塚選手との対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を考えたことはなかったです。僕がプロデビューしてからDEEPを中心に試合をしていた時、手塚さんはいろんな大会に出ていたじゃないですか。それで僕がパンクラスに参戦になってからは、手塚さんはパンクラスに出ていなくて。だから手塚さんと交わることはないのかな、と思っていました」

――大会会場で話をすることもなかったのですか。

「会場で見かけることはありましたけど、僕のことなんて覚えていないだろうと思っていたので……。その時は手塚さんも忙しそうでしたし、改めて挨拶する時間もなかったというか。今は東京と大阪で離れていますしね。手塚さんの言う食事会のことも覚えていますよ。もともと僕はプロ選手になりたいと言っていたから、大和のお父さんが手塚さんを呼んで食事会をセッティングしてくれたんです」

――今回の試合が決まった時、藤田大和選手は何と仰っていましたか。確か藤田選手もMMAクラスに参加していたはずですが……。

「手塚先生と試合するんですね、と言っていました」

――藤田選手は手塚選手のことを、完全に「先生」呼びなのですか。

「当時、大和は中学生でしたから。その時に組み技を教わっていた人だから、今でも『手塚先生』と呼んでいますよ。だから今回の試合は、セコンドを大和にお願いしたかったんですけど」

――完全にドリーマージム繋がりの試合になりますね。

「でも大和がUAEWに出ることが決まって。さらに大会が20日から17日に変更されたので、セコンドにはつくどころか試合の日は東京にもいないんですよね」

――なるほど。それは残念です……。

「でも僕が今回勝って、次のタイトルマッチに繋げますから。ベルトを賭けて再戦する時は、大和にセコンドについてもらいます」

――ドリーマージムは今年に入って惜しまれながら閉館となりました。その年に手塚選手とTSUNE選手が対戦するのは、何か運命的なものを感じずにはいられません。

「不思議な縁ですよ。おそらくプロモーターサイドも、オファーした時点ではこの繋がりを知らなかったと思います。大和のお父さんが始めたジムから、こうして皆が繋がって。一番はこの試合を、大和のお父さんに見せたかったですね。もうお父さんは亡くなっていて……、天国から僕と手塚さんの試合を見ていてほしいです。

格闘技ファンは『ドリーマー』と聞いたら、格闘DREAMERSを思い浮かべるかもしれません。でも僕たちにとっては、あのドリーマージムであり――今回の試合は、僕たちの『格闘技DREAMERS』なんです」

――それだけの想いがこもった試合ですね。では改めて、先生としてではなくファイターとしての手塚選手の印象を教えてください。

「印象は――タフな選手ですよね。年齢は僕より2歳下だけど、いろんな大会で戦ってきて、たくさんベルトも巻いてきている選手です。手塚選手って、やることが決まっているタイプだと思うんです。でも、それで勝つことができる選手は数も少なくて。強い、とにかく強い相手です」

――対して、TSUNE選手もやることが決まっている選手だと思います。あるいは、この試合で新しいものを見せることもあるのでしょうか。

「いろいろ準備はしていますけど、まずは自分のやれることを、試合で出す。それを出せるように、今はいろいろと練習で試しているところです。全てが終わったら――いつか大和も交えて手塚選手と酒でも飲みながら、ドリーマージムの話をしたいですね。その前に、必ず勝ってベルトまで辿り着きます」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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【Grachan65】J-MMA Rookies CUPフライ級決勝=鈴木崇矢「格闘技をして、生き物として強くなりたい」

【写真】J-MMA Rookies CUPは、鈴木のような立ち位置にいる選手にとっては本当に良い機会になったことだろう(C)MMAPLANET

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65「15th Anniv」のJ-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦で鈴木崇矢が金井一将と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

格闘DREAMERS出身、POUNDSTORMでプロデビューし、J-MMA Rookies CUPを順調に勝ち進んできた鈴木。3月のトーナメント一回戦を終えて、MMAへの向き合い方が変わり、気持ちを新たにMMAに取り組んできたことという。UFCという明確な目標に向けて、MMAファイターとして進化を続ける鈴木に話を訊いた。


――GRACHAN65でJ-MMA Rookies CUPフライ級 決勝戦を控える鈴木崇矢選手です。試合が目前に迫っていますが、今の心境ですか(※取材は11日に行われた)。

「いつも通りの試合前だなって感じで、今はもう落ち着いています。いつも緊張よりも楽しみな気持ちの方が大きいので『やばい。試合だ…』ではなくて『よし! やってやるぞ!』って気持ちです」

――5月の準決勝ではしゅんすけ選手のシングルレッグを潰してバック→マウントをとってからのパウンドアウトでした。あの試合の良かった点、悪かった点はどこですか。

「今まで以上にMMAとしての練習をがっつりやったうえでの試合で、何が来ても大丈夫と思えるぐらいチームと一緒に作り込むことができた試合だったので、それがああいう結果になったと思います。良かった点・悪かった点というより、MMAの練習をして試合に臨めたという部分で、一つの道が開けた・見えた試合ではありました」

――それまではそこまでMMAらしい練習をしていなかったということですか。

「僕は殴って勝つことが好きなので、そのための練習ばかりになっていたんですよ。でも3月の一回戦(小田魁斗に判定勝ち)が終わったあとに自分の戦い方を見つめなおして、ちゃんとMMAとして勝つためには何が必要なのかを髙谷(裕之)さんと岡見(勇信)さんに指導してもらって、それがちょっとずつ形になる中で臨んだ試合でした」

――ずばり「試合になったらぶっ飛ばせばいい」くらいの感覚だったのですか。

「はい。とにかくタックル切って殴る、みたいな。でもMMAをやる人間としてMMAをちゃんと理解して学ばないといけないと思いました。練習そのものはむちゃくちゃキツくて、僕は落ち込みやすい性格なんです。自分がイメージしている動きと実際の自分の動きにギャップがあると、それが段々と積み重なって、本当に落ち込んでました(苦笑)。でもそこで踏ん張って練習を続けたからこそ見えてきたものがあります」

――具体的にはドリル練習などを増やしたのですか。

「それまではスパーリングばっかりやって、それで練習した気になっていたんです。5月の試合前は自分が嫌な態勢から始めるシチュエーションスパーやドリルを延々とやって、完全に心が削れていましたね(苦笑)。今思えばそんな簡単にできるものじゃないんですけど、この時期に細かいけど自分の土台になる練習をやってもらいました」

――鈴木選手は空手出身で、MMAに必要なレスリング・グラップリングの練習を一から学ぶことは苦手分野でしたか。

「テイクダウン狙いを切ることには自信があるんですけど、MMAで勝つためにはそれだけではいけなくて。MMAはやればやるほど味が出るというか、いぶし銀の競技だと思うんですよ。そういう技術や歴史を髙谷さんや岡見さんから教わると『先輩たち、やばい!』みたいに思って。MMAに対する深みっていうんですかね。やっぱり3月の試合で『ちゃんとMMAをやらないと強くならない』って身体が感じたんです。

感覚、瞬発力、反応、僕の場合は若さ。今はそれに任せてバババババッ!と動けちゃうんですけど、それには限界がある。例えば今のUFCチャンピオンはほとんど30代で、一番若いショーン・オマリーでも28歳なんですよ。これって絶対何か理由があるよなって思った時に、僕はMMAをやりこんだ時間と量だと思ったんです。だったらやるしかねえじゃん──みたいな。MMAはやることが多いというのは頭では分かっていたけど、自分の身体で気づけたことはこの半年くらいの大きな収穫だったと思います」

――そういった意味ではプロ3戦目でJ-MMA Rookies CUPのような各団体を交えたトーナメントに出場することが決まったことは大きなステップアップですね。

「僕がプロで出た試合はPOUND STORMとEXFIGHTなので、ある意味、身内の大会だったと思うんです。だからJ-MMA Rookies CUPで初めて外の大会や試合に触れたのでデビュー戦のような気持ちでした。しかも各団体の選手たちと交わる貴重な機会だったし、本当にありがたいです」

――しかも出場選手のキャリアがほぼ同じという部分も刺激になると思います。

「オファーをもらった時からモチベーションは高いですね。修斗の新人王とかパンクラスのネオブラッドトーナメントとかDEEPのフューチャーキングトーナメントとか、若くてキャリアが浅い選手のためのトーナメントって各団体にあると思うんですけど、そういう戦いを団体関係なくできるっていうのがすごくワクワクするんですよ。何て表現したらいいか分からないけど…ワクワクしました(笑)!」

――決勝で対戦する金井一将選手にはどんな印象を持っていますか。

「シンプルにガンガン前に出てくるグラップラーですよね。僕が勝つパターンと苦戦するパターンがはっきりイメージできる相手かなと思います」

――MMAファイターとしての成長を感じる中、どんな試合をして勝ちたいと思いますか。

「今の僕はめちゃくちゃ強いんで、一方的に相手を殴って、気づいたら相手が倒れているんだろうなって感じです」

――レスリング・グラップリングの技術が上がったことで打撃の面でプラスになったこともありますか。

「ルーツである空手とMMAの打撃を上手くミックスできているので、今まで以上にスピードも威力もタイミングも精度も上がっていると思います。今の自分が試合をしたらどうなるんだろう?という自分への楽しみもありますね」

――トーナメント優勝も含めて、今後に向けてどのような目標を持って戦っていきたいと思いますか。

「ちゃんと優勝することが大前提として、UFCに出るためにはどうしたらいいかを考えたときに、今だったらRoad to UFCがアジア人にとってUFCへの明確な道だと思うんですよ。チャンスがあればいつでも出ていきたいし、国内でベルトを獲ることもRoad to UFCへの近道になると思うので、ベルトも狙っていきたいです」

――今日初めて鈴木選手を取材しましたが、明確な目標を立てて、そこから逆算して自分がやるべきことを考えられる選手だと感じました。UFC王者の年齢を自分と照らし合わせて考える選手は少ないと思います。

「ありがとうございます(笑)。僕は格闘技をやっていて生き物として強くなりたいという気持ちがあって、その基準で一番強いのはUFCチャンピオンだと思うんですよ。だから(MMAを)始める前からUFCチャンピオンなろうと思っていたし、UFCチャンピオンになるという目標・意思は本当に固いです」

――それでは最後にファンのみなさんに向けてメッセージをお願いします。

「いつも応援ありがとうございます。しっかり勝って優勝してくるので楽しみにしていてください!」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grahan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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【Grachan65】TSUNEと対戦――手塚基伸―01―「極めるのが浪漫」&「なんちゃって格闘技ではない試合」

【写真】前列左から2番目が若き日のTSUNE。後列中央が手塚、左端は藤田大和 in ドリーマージム時代(C)SHOJIRO KAMEIKE

15日(日)、東京都江東区のTFTホール100で開催されるGRACHAN65 「15th Anniv」で、TSUNEと対戦する手塚基伸のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

手塚が初めてグラチャンに出場したのは、2014年4月の中村謙作戦であった。あれから約9年が経った今の手塚にとってのグラチャンとは――。さらに今回対戦するTSUNEとの意外な関係についても語る。

<手塚基伸インタビューPart.01はコチラから>


――ここで手塚選手とグラチャンの歴史についてお聞きしきます。手塚選手のグラチャン初出場が2014年4月の中村謙作戦でした。当時、どのような経緯でグラチャンに参戦することになったのでしょうか。

「2012年からパンクラスを経てUFCに出たあと、VTJやROAD FGCを含めて4敗していました。その時にグラチャン代表の岩﨑(ヒロユキ)さんからオファーを頂いたんです。なぜあの時の自分に声が掛かったのか分からないんですけど(笑)。

グラチャンからのオファーを受けた理由は、一番はベルトが欲しかったからです。昔から沖縄の天下一ファイトや、パンクラスでもランキング上位には入るけどタイトルマッチが組まれなくて。だからベルトへの執着心もあったし、年齢的にも――当時は25歳ぐらいで、『ここらへんでベルトを獲っておきたい』と思っていました。その時期に来たグラチャンからのオファーはタイトルマッチやったんで、飛びつきました」

――当時のグラチャンの印象はいかがでしたか。

「今でこそグラチャンも大きくなったけど、当時は大会中ずっと音楽がガンガン鳴っていたり、他のMMA大会とは雰囲気が違っていたじゃないですか。そんなグラチャンに出ることが決まって、周りからはボロクソ言われましたよ。『手塚は堕ちた』って」

――国内MMAといえば修斗、DEEP、パンクラスなど「老舗」と呼ばれるプロモーションがあります。手塚選手がグラチャンに参戦した当時は、インディー系と呼ばれた他のプロモーションと老舗3プロモーションの序列が今とは違い明白でした。

「正直、自分もグラチャンを見たことがなくて。あと自分もまだUFCを捨てきれていなかったというか、またUFCに出られるんじゃないかという雰囲気もあったんです。まず国内でベルトを巻いて、もう一度UFCへ――という想いだったので、まさか自分のホームになるとは考えていなかったですね」

――ではグラチャンをホームだと考えるようになったのは、いつ頃でしょうか。

「俺がグラチャンを背負うと思ったのは、グラチャンンのベルトを巻いたあとにグラジエーターで大道翔貴選手に負けて(2016年7月に判定負け)、次にZSTで柏崎剛選手と対戦した頃(同年11月に判定勝ち)ですね。大道選手に負けて、現グラチャンン王者として申し訳ないという気持ちでベルトを返上しましたから。その頃からグラチャンへの愛が芽生えてきたのかな、と思います」

――2019年からは修斗に参戦しています。その時も、グラチャンの選手として修斗に出ているという気持ちは強かったのですか。

「グラチャンの10周年記念大会(2018年9月、GRACHAN36)で堀友彦選手に負けてベルトを獲れず、自分は一度引退したんです。当時は試合に出ながらアルバイト生活みたいな感じで。だけど子供が生まれたから……堀戦で負けたら引退して、ちゃんと仕事を始めようと思っていました。結果は負けて、とある会社の正社員になってMMAからは離れたんです。でも8~9カ月後ぐらいに復帰することになった際に、『自分はもうグラチャンには必要ない選手やな』と思って」

――というと?

「もうグラチャンのバンタム級では全員と対戦していましたから。それやったら新しい場所で、気持ちも新たにして戦おうと考えました」

――様々なベルトを獲得した手塚選手にとって、もう一度グラチャンのベルトを獲りに行ったことは、どういった意味を持っていたのでしょうか。

「子供にベルトを見せたかった――それが一番ですね。先ほども言ったとおり子供が生まれたばかりの時の試合で。そう考えると、僕のキャリアの節目には、常にグラチャンがあったような気がします。まずベルトが欲しいと思った時に最初のオファーがあって、子供が生まれた時にベルトを見せたい、負けたら引退しようというのが堀戦で」

――堀戦以降はグラチャンの試合を含めて7勝1敗の戦績で、グラチャンのベルトも取り戻しています。何再び上昇気流に乗っているような感覚はありますか。

「実は、ありますね(笑)。RIZINのヤマニハ戦は負けてしまいましたけど、その前には6連勝していますから。それも『格闘技と共存しよう』と思ってからですよね。格闘技も大事やし、家族もジムも大事。特に子供は――今5歳なんですけど、今この時間は戻らないものじゃないですか。だから、できるだけ子供と一緒にいる時間を増やしたいです。でも死ぬ時に後悔したくないから、MMAもしっかりやりたい。どれかが突出することなく、全てがうまく回り始めているのかなと思います。

昔は時間があったから、いろんなことをやろうとしすぎてパンクしかけていましたよね。でも今は『できないことは止めて、できることを伸ばそう』とかも考えることができる。たとえば以前は壁を使って立ち上がるとか……苦手なことを身につけようとして(苦笑)」

――苦手なことって、自分で言ってしまいましたね(笑)。

「アハハハ。それを練習しても、試合では使わなかったですしね。今は逆転の発想といいますか、引き込んで極めるという」

――特にグラチャンのベルトを取り戻した伊藤空也戦では、ケージを使ってテイクダウンするのではなくケージを使って極めるという、ある意味新しいスタイルを見せました。

「やっぱり僕にとっては極めることがMMAの浪漫で、僕に対してその需要があるかぎりMMAを続けていきたいです。最近は手の置き方、体の動かし方や重心移動とか、ようやく『力を使わずに極める』ということが分かってきました」

――そして迎える15周年記念大会でTSUNE選手と対戦します。TSUNE選手について、今まで対戦を意識したことはありましたか。

「対戦を意識したことはないけど、TSUNE選手が本名で戦っていた頃から試合は視ていました。年齢はTSUNE選手のほうが2歳上ですけど、やっぱり同じ時代を生きて来たファイターですからね。とにかくトップキープが強い選手で、お互いに『やることは決まっている』というタイプですよね」

――TSUNE選手の試合を視ていたのは、過去に繋がりがあったからですか。

「あぁ、岡山県のドリーマージムですよね」

――2008年ごろにTSUNE選手が格闘技を始めたのが岡山県倉敷市のドリーマージムで、手塚選手も当時ドリーマージムのMMAクラスで指導されていました。

「そのドリーマージムの食事会とかで、TSUNE選手と話をした記憶はあるんですよ(笑)。確かもともと野球をやっていて、ドリーマージムには一般会員さんとして入会していたと思います。それが食事会だったと思いますけど、いずれ東京でMMAをやりたいという話を聞きました。不思議なもんですよね。ここでその2人が試合をするとは……」

――本当に不思議な縁です。そのTSUNE選手との試合は、どのような内容になると思いますか。

「相手が何をしてこようと、何かしてきた時にパッと対処していきます。特に試合のプランがあるわけではなく、そこに足があれば足を極めるし、腕があれば腕を極めたい。僕って、直感型やと思うんです。何か考えながら動くよりも、パッパッと流れで動くことで、決められなくても次の流れに繋がっていくじゃないですか。自分も長いことMMAをやってきたので、その流れは身体に染みついています。

グラチャンの15周年記念大会で、パンクラスのベルトにも挑戦したことがあるTSUNE選手と対戦できるのは嬉しいです。お互い30代後半で、SNSで盛り上げるような『なんちゃって格闘技』ではない試合を見せることができると思います。ぜひ期待してください」

■視聴方法(予定)
10月15日(日)
午後2時00分~ GRACHAN放送局

■ Grachan65対戦カード

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<ライト級/5分2R>
ルクク・ダリ(コンゴ)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+Ex1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
YO-HEI(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

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ABEMA CORO DEEP MMA MMAPLANET NEXUS o RIZIN RIZIN44 イゴール・タナベ クレベル・コイケ スパイク・カーライル ブラジリアン柔術 中原由貴 中島太一 堀江圭功 大尊伸光 山本アーセン 山本琢也 山本空良 岡田遼 征矢貴 摩嶋一整 斎藤 朝倉未来 横山武司 牛久絢太郎 白川陸斗 福田龍彌 萩原京平 金原正徳

【RIZIN44】「チョット早くね」=摩嶋一整戦前の横山武司。「ボコボコされる可能性は十分にあります」

【写真】言葉使いは現代風ですが、礼を欠かない。慇懃無礼の逆を行く横山武司(C)MMAPLANET

24日(日)、さいたまスーパーアリーナで開催されるRIZIN44で、横山武司がRIZIN二戦目で摩嶋一整と対戦する。
Text by Manabu Takashima

ブラジリアン柔術黒帯、新婚旅行もATOSで修行という横山は5月の山本琢也戦でRIZINデビューを腕十字&一本勝ちで飾ったが、今回の摩嶋戦のオファーに関しては「チョット早くね」という心境を吐露した。

社会からはぐれていそうで、しっかりと社会性もある。そのアンバランスさはMMAファイターとして組み特化のアンバランス性と相まって、横山の存在を既に際立たせている。


――7月の超RIZIN02の際、さいたま新都心駅の改札横で長蛇の列の先頭に横山選手がいて、ファンにサインを書き続けている場面に出くわしました。

「そうでしたね(笑)。めっちゃビックリしました。赤羽までバイクで行って、そこから電車に乗ったんですけど、なんかすごいジロジロと見られて。何かおかしいなって思っていると、改札を出た直後に『サインしてください』、『写真撮らせてください』っていう人が次から次へと出てきて(笑)。結局、1時間ぐらいサインをしていました」

――1時間も。あの炎天下でッ!!

「1人だったから、水を飲むタイミングがなくて……。でも、最後の最後に『これを』って水をくれた人までいたんです。気が利く人っているんですね」

――凄く良い笑顔で対応していました。

「凄く嬉しかったです。最初は(笑)。最後の方は、試合が始まっちゃうって焦り出して。でも、途中でやめるって嫌な気持ちをする人もいるのでできなかったです」

――そのファンの存在は、横山選手にとってやりがいになるのですか。

「なりますね。そんな、特別に有名になりたいという気持ちはないのですが、今のところファンのSNSでの反応は良いことしか書かれていないので、励みになるというか自信になります。応援してくれる人達のために頑張ろうということではないけど、自分のこのやり方は間違っていないんだって思えます。

まだ悪口とか、変なことは書かれていなので――そこは良かったなって。でも何かあったら悪口に変わるし、これでつけあがるようなことはないようにしたいです。良い感じで楽しんでいられるので、今の感じで良いかなって」

――そして9日後に摩嶋選手との試合が控えています(※取材は15日に行われた)。前回の山本琢也戦ですが、あの状況では横山選手の実力は測ることができない。計量失敗で、山本選手は力を出す精神状況になかったと素直に思いました。それでも一本勝ちができた。あの勝利をどのように振り返ることができますか。

「アレは相手がミスってくれればできることですけど、一瞬で終わっちゃったんで。試合勘が全く掴めていない。ただでさえ、RIZINに出るまで4試合しかしていなくて、あの試合も自分の経験値にはあまりなっていない。疲れることもなく、汗を掻く前に終わってしまったし。勝った時はもちろん嬉しかったけど、経験値を高めることができていない。そういう焦りもあります」

──そこで決った摩嶋選手との一戦です。オファーを貰った時は、どのような気持ちでしたか。

「『チョット早くね』っていうのが、本音です。本当にトップの選手なので。斎藤(裕)選手、朝倉未来選手、摩嶋選手──その辺の選手たちはもうチョット後、次はRIZINで1、2回出たぐらいの下の選手になるかなって。自分もまだ無名だし、北海道大会とかに余り知らない人達が出ていた。あの辺の人たち。DEEPからRIZINにきて1試合目じゃ2試合目の選手。それか、この前の僕みたいにどっかの団体のチャンピオンでRIZINデビュー戦になる人。知らない選手で、決まってから調べて『こういう選手なんだ』ってなるような相手と戦うのかなと思っていました。

それが摩嶋選手だったから、あぁもうそういう選手とやるんだって。同じ日に試合をして、普段普通に練習していて摩嶋選手の名前はよく聞いていました。他の選手に比べて、かなり業界のことを知らない僕でも摩嶋選手のことは知っていました。ただ、ここで相手を選ぶことはできないので。『うわぁ、マジか』って思ったけど、『やります』と返答しました」

──戦績的に摩嶋選手はRIZINでは1勝3敗です。それでも横山選手からすればフェザー級のトップだと。

「相当に強いと思います。3敗したといっても斎藤選手、クレベル(コイケ)、金原(正徳)さんが相手です。この3人でないと5連勝していたかもしれない。マジで結構連勝していたと思います。RIZINに出る前は14勝1敗だし、相当に強い」

──それでも対戦を受けたのは?

「相手を選ぶのって恰好悪いじゃないですか。戦えない理由が『知り合いだから』とかっていうモノなら分かるけど、『ちょっとまだ勝てないから』って断ることはできない。試合に向けて練習していくしかないから。なんで、オファーを受けた時には『練習しないとな』となりました」

──摩嶋選手は昨年の4月に金原選手に激闘の末敗れました。対して横山選手は昨年の11月に山本空良選手にNEXUSで競り勝った。そして金原選手は4月に山本選手と戦い圧勝しています。現状、横山選手と摩嶋選手の間には金原選手と山本選手のような差があるかもしれない。そのような見方も成り立ちます。

「ホント、その可能性はあると思っています。金原さんと山本選手は、先輩が先輩らしくボコボコにした試合でした。僕がそうされる可能性は十分にあります。7割、8割、9割の局面をコントロールされて、フィジカルも気持ちも摩嶋選手の方が全部格上だなって負ける。その可能性は結構高い。それか僕が一本を取る。僕が疲れすぎて肩固めでタップという可能性もあるけど、スッと一本を取られることはない。一本決着なら、僕が隙をついて取ります」

──スッと入るということであれば汗を掻く前、初回が勝負かと。

「でも摩嶋選手は1Rが元気なので、そこで掴めるのは難しいと思います。取るなら疲れてきたところなので、気持ちで負けないように……スタミナが切れないようにずっと攻撃し続けてないといけないです」

──それは簡単ではないですね。

「そこッスね。気持ちの保ち方、フィジカルで自分が先に疲れると勝ち目はないです。攻め続けて、相手を疲れさせないと一本は取れない試合になるんじゃないかと」

──勝負だから負けることもあると承知の上で今、冷静に話しているのか。もしくは謙遜して話している風で、心の内は凄く自信があるのか。どちらなのか、判断がしづらいです(笑)。

「両方ッスね(笑)。自信もしっかりあるけど、全てをシミュレーションしています。だから、どうなると負けるのかっていうことも考えていて。ただ謙遜していても、適当なことを言っているということはないです。本当のことしか言っていないです。今回は本当に相手は強いだろうなって」

──それでも自信が伝わってくることが、横山選手の面白いところです。大口を叩いても、やはりそれが大口にしか聞こえない選手もいます。

「真面目に練習していないと、そうなりますよ。やっぱり練習あるのみだから。勢いだけでやっていると、なんか若い子はMMAはやることが多すぎて喧嘩みたいな方にいってしまいますよね」

──若い子はって……。

「僕はデビューしたのが25歳で、もう27歳なので(笑)」

──MMAだけでなく、そこまでの全ての経験値も関係してくるような気もします。特に横山選手は柔術家という括りでいえば、黒帯のコンペティションを経験していることは大きくないでしょうか。

「柔術でいえば黒帯になってからが、本当の勝負なので。そこで戦っている人間と、やっていない人間の違いはあると思います。それとグラップラーだとMMAも柔術もグラップリングもやっていて、負けたら終わりという状況にないことがあります。負けたら終わりという試合をすると、選手は成長できるかと」

──なるほど。では今回の試合に向けて、練習内容に変化はありましたか。

「余り変えていないです。今は仕事として柔術のクラスがありますが、選手練習はMMAだけです」

──その練習場所というのは?

「K-Clannでは……今はATTに行っているけど、牛久(絢太郎)先輩やCOROさん。大尊伸光選手、中原由貴選手とか。あとK-ClannのDEEPに出ている選手なんかと」

──中原選手など、RIZINで同じ階級ですね。

「まぁ、打撃はボッコボコにされています(笑)。メッチャ、強いです。あの人と試合をするとなると、怖いッスね。だからこそ、そういう練習が必要で。あとはFIGHT BASEで(佐藤)将光先生のところに行っているのと、ここS/weelsでもグラップリングの練習をハードにしたり。それとパラエストラ東京を借りてイゴール・タナベ、シビサイ(頌真)さんとかめっちゃデカいですけど(笑)、マネージメントが同じ3人でミットを持ってくれる人やレスリングのコーチが来てくれて一緒にやっています」

──レスリングの指導はどなたが?

「なんか日体大の強い人……凄く強いって言われている人が来てくれます」

──アハハハハ。名前を覚えていないのは失礼かと思うのですが、なぜか許されてしまう得なキャラをしていますよね。

「ハハハハ。MMAの練習は色々な人が誘ってやっているけど、レスラーはやっぱ凄いですね」

──今回の試合に関しては、組んで倒されても自分の庭で戦えるということなりますね。

「向うのやりたい試合が、僕のやりたい形になってくるので、やりたい戦いになると思っています。自分の得意なところを潰されないこと。そこは絶対に潰されない自信はあります」

──トップのプレッシャーに対して、下からのコントロールというところでしょうか。

「そうですね。意外と簡単にスイープできちゃうのか。全然、できないのか。サブミッションのディフェンスはどうなのか。メッチャ緊張しているのですが、凄く楽しみです」

──寝技に付き合わない、突き放す戦いをされる方が嫌かと思うのですが。

「何もしてこないってやつですね。そこはマジで想定しています。突き放してくる分には別に構わないです。立って殴り合いをして、自分からも組むので。でも上から何もしない。パウンドも打たない。取られないことだけを意識して、動いてこないと本当につまらない試合になる可能性はあります。

摩嶋選手は強い選手です。だから……弱い選手が上から何もしてこなくても、動かす方法は意外となくて。それを摩嶋選手が動かないでつまらない戦いをやってきたら、本当につまらない試合になる。そうならないことを願っています。そうならないよう勝つ時も、負ける時も良い試合をしたいですね」

──MMAでの戦い方は、どのように組み立てているのですか。

「自分でやっています。色々なところで練習しているので、細かいところは自分で考えて。そのなかでも、たくさんアドバイスをくれるのは将光先生です。実際にスパーリングをしても、圧倒的に知識とテクニックがありますし。まず将光先生から聞いて、自分でできることをやる。分からないことは将光先生に尋ねて、また試す。そうやって最後は自分で選ぶんですが、将光先生は本当にお世話になっています」

──ここ越えて、この先というのは考えますか。

「これが自分にとってRIZIN公式デビュー戦です。この前の試合はRIZIN体験入門で。今回はこの前の体験で皆から認められて、ファンの人も求めてくれた試合──RIZINの中心メンバーと組まれた。どこまで自分ができるのか。勝っちゃったら、もっと強い人というのはあんまり考えていなくて。いうても、まだ7戦目で。この人と戦いたいというのはあまりないです」

──ここからは横山選手本人の試合ではないのですが、クレベル・コイケ✖金原正徳の一戦の勝利者予想を。

「(きっぱりと)クレベルの一本勝ち」

──おお。

「高校生や青帯の時から見ている業界の大先輩がRIZINに出て、バンバン一本勝ちしているのを視て、俺にもできると思ったところもあるし。クレベルが負けるところを見たくないです。自分の信じた柔術が一番強いという想いが凄くあって、僕はクレベルとサトシが勝ってくれると勝手に誇らしく思っていたし。だから金原選手も凄く強くて、金原選手が勝つパターンも色々と想像できるけど、願い──望みということもあってクレベルが一本取るんじゃないかと思います」

──横山選手は今、柔術ベースのMMAファイターなのかMMAを戦う柔術家なのか。どちらなのでしょうか。

「MMAファイターらしくはなってきちゃってはいます。なぜかというと、今年の収入は柔術よりMMAファイターの方が全然高いので。だからMMAファイターになってきてはしまっているけど、まだ柔術家のノリがあるかな。

ただ柔術の黒帯全日本チャンピオンがMMAをやっているというのはあったけど、RIZINに出てそれなりに注目されているなら、MMAファイターだと言わないとRIZINに失礼かという気持ちもあります。この舞台で戦って注目されているからにはMMAファイターだと思って、やることをやらないといけないです」

■視聴方法(予定)
9月24日(日)
午後2時00分~ABEMA, U-NEXT, RIZIN100CLUB,RIZIN LIVE,スカパー!

■ RIZIN44対戦カード

<フェザー級/5分3R>
クレベル・コイケ(ブラジル)
金原正徳(日本)

<フェザー級/5分3R>
牛久絢太郎(日本)
萩原京平(日本)

<ライト級/5分3R>
スパイク・カーライル(米国)
堀江圭功(日本)

<フェザー級/5分3R>
中原由貴(日本)
白川陸斗(日本)

<フェザー級/5分3R>
摩嶋一整(日本)
横山武司(日本)

<バンタム級/5分3R>
中島太一(日本)
岡田遼(日本)

<ヘビー級/5分3R>
シビサイ頌真(日本)
ヤノス・チューカス(ハンガリーム)

<ヘビー級/5分3R>
スダリオ剛(日本)
トッド・ダフィー(米国)

<フライ級/5分3R>
福田龍彌(日本)
山本アーセン(日本)

<フライ級/5分3R>
征矢貴(日本)
ラマザン・テミロフ(ウズベキスタン)

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ABEMA KAREN MMA MMAPLANET o PANCRASE Pancrase337 スティーブン・ギレスピ パンクラス ムハンマド・サロハイディノフ 中川皓貴 亀井晨佑 井村塁 住村竜市朗 佐藤生虎 余勇利 安藤武尊 山口怜臣 山本琢也 平田直樹 押忍マン洸太 新居すぐる 松岡嵩志 林源平 河村泰博 矢澤諒 神谷大智 秋葉太樹 笹晋久 葛西和希 藤田大 遠藤来生 高本千代

【Pancrase337】住村竜市朗戦へ、藤田大─02─「ウェルターで戦う理由? アイスと竜田揚げが大好きなので」

【写真】押忍マン洸太戦で勝利を決めた直後の藤田。表情豊かな選手だ (C)MMAPLANET

24日(日)に立川市の立川ステージガーデンで開催されるPancrase337「30周年記念大会」で、住村竜市朗と対戦する藤田大のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

インタビューを進めていくと、自信のない発言も出て来る藤田。しかしそれは、彼が自分の気持ちに素直な証拠だ。臆病な気持ちを隠さないからこそ、強くなれる――はず。周囲の声や協力を得て成長していく藤田の姿が明らかになる。

<藤田大インタビューPart.01はコチラから>


昨年9月のグラジでデビュー。前日計量の際から、特異な存在感があった

――柔道と柔術の試合に出ながら、いつ頃からMMAをやることを意識し始めたのですか。

「もともとMMAをやる気は全然なかったです。柔道を諦めてからは柔術とグラップリングを頑張っていこうと思っていました。でもある日、鶴屋さんから『大阪にグラジエイターというMMA大会があって、出てみるか』と言われたんですよ。対戦相手の写真を見たらタトゥーがいっぱいだし、自分はMMAの練習はしたことがないし……もうガタガタ震えていました。その話が来てから打撃を練習し始めて」

――デビュー戦が決まるまでMMAの練習はしていなかったのですか!

「はい。中学生の頃に何回か練習したことがありますけど、打撃が痛くてすぐに辞めました(笑)。それでもデビュー戦が決まったのでMMAの練習をどうしようかと考えていたら、ジムの先輩の山本琢也さんが『練習相手になるよ』と言ってくれて。まず山本琢也さんが打撃を出して、僕がブロックしながら組みつく練習から始めたんです。組んで壁に押し付けてから倒すという」

――自分が打撃を身につける前に、まず打撃を防御しながら得意分野に持ち込むことを選んだわけですね。

近藤魁星にRNCで一本勝ち、デビュー戦を白星で飾った

「だって、いきなり打撃を身につけるのは無理っスよ。でもデビュー戦で勝てて本当に嬉しかったです。デビュー戦の自分と対戦してくれて、対戦相手の方にも感謝しています。その次は負けてしまいましたけど……」

――デビュー2戦目となったスティーブン・ギレスピ戦はバギーチョークを極められてしまいましたが、それまでの展開は藤田選手がリードしていたと思います。

バギーチョーク云々の以前に、試合前にそのような気持ちになっていたとは……

「テイクダウンからバック、RNCまで取りかけて、9-1でほぼ勝っていましたよね。

でも最後に気持ちがガタガタになってしまったんです。僕は本戦が終わったあとの1試合目で、本戦のメインは中川皓貴選手がボディへの攻撃でKO負けしていたじゃないですか。その中川選手がお腹を抑えながら運ばれていくのを見たら、もう怖くて心もギュッと苦しくなっちゃって。

それで自分は試合が始まったら『すぐ倒そう。すぐ極めよう』としすぎて、緊張もあって疲れてしまいました。息が上がった状態で肩固めを極めようとしたところに、相手が足を掛けてきて、バギーチョークを極められたという流れですね。あの負けは結構ハートに突き刺さりました。でも親父も一緒に泣いてくれて。『ずっと落ち込んでいても仕方ないから、とにかく大阪から千葉に戻ってすぐ練習しよう』と。

対戦相手のギレスピ選手には感謝しています。あの負けがあったから『もっと寝技で強くならないといけない』っていう気持ちを持つことができたし、今も世界中の寝技の技術を調べ続けていますから。あの敗北が僕を強くしてくれて、パンクラスで押忍マン洸太選手に勝つことができました。いつかギレスピ選手と対戦したいです。次は負けない自信がありますよ」

実はプロデビュー戦の翌月にEXFIGHTでアマの試合も経験し、ここもRNCで一本勝ちしている

――寝技で強くなろうという気持ちは分かります。しかしMMAである以上、打撃を強くしようとは考えていないのですか。

「打撃はディフェンスできれば良いか、と考えているぐらいです。ウェルター級は相手もデカいし、パワーがありますからね。組みに行った時にカウンターで一発もらうと、それでKOされる可能性があるので。下手に自分からパンチを打っても、ガラ空きになったところに打ち込まれるだけですからね」

――体格面でいえば、藤田選手の身長だとライト級やフェザー級に落とそうとは考えなかったのでしょうか。

「落とそうかなと思ったことはあります。でも如何せん、筋肉が付きすぎて体重を落としづらいんですよ。あと階級を落として勝つというのは――なんだか苦手です。あとはアイスと竜田揚げが大好きなので(笑)」

――アイスと竜田揚げを食べるために、ウェルター級で戦うということですか。

「そういうことです!」

――いや、そういうことではないでしょう(笑)。

「アハハハ。自分の適性階級は自分や練習仲間しか分からないと思うんですよ。周りが『お前はこの階級のほうが動きは良い』と言ってくれたりとか。パンクラスのウェルター級王者になった林源平選手もミドル級やライト級でも戦った結果、ウェルター級が適正だということに辿り着いたわけじゃないですか。自分もやってみないと分からないです。あとギレスピ戦で負けてから階級を下げたら、ウェルター級から逃げたように思われるのが嫌で」

――次の対戦相手である住村選手は、国内ウェルター級の中でも屈指の体躯を誇ります。

「住村さんは怖いっす。あの人に勝てる気がしないんですよね」

――えっ!?

「だって住村さんは戦績も凄いじゃないですか。柔術ではオープンクラスで大きな相手と対戦してきたけど、MMAでは初めてですね。次の試合はMMAをやっていくうえで大事な試合だと思っています。でも……いやぁ、自信ないっス」

――試合前に、そこまで弱気になるのは……。

「僕は、はっきり言って試合前はチキンなんですよ。メチャクチャ緊張します。柔術の試合でもガチガチに硬い状態で試合をしたことが何度もありました。気持ちが弱いから、打撃があっても相手に立ち向かっていけるようにMMAを始めたという理由もあって。

自分は今ランキング2位ですけど、まだタイトルマッチまでも遠いと思っています。住村さんに勝っても、まだ次がタイトルマッチじゃないと考えていて。住村さんに勝ってランキングをキープして、自分の中で気持ちを固めて――さらに打撃も鍛えてからベルトに挑みたいです」

――分かりました。では最後に、次の試合への意気込みを……弱気にならずに。

「はい! 押忍マン洸太選手に勝ったあと、会場でいろんな方に声をかけていただいたんですよ。『良い試合だったね』、『強かったね』とか。自分なんて、まだまだの存在ですけど、そういう声が凄く嬉しかったです。頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします!」


■Pancrase337対戦カード

<フェザー級KOP決定戦/5分3R>
亀井晨佑(日本)
新居すぐる(日本)

<ストロー級/5分3R>
八田 亮(日本)
黒澤 亮平(日本)

<ウェルター級/5分3R>
藤田大(日本)
住村竜市朗(日本)

<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
遠藤来生(日本)

<フライ級/5分3R>
秋葉太樹(日本)
ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン)

<バンタム級/5分3R>
井村塁(日本)
河村泰博(日本)

<ライト級/5分3R>
松岡嵩志(日本)
葛西和希(日本)

<バンタム級/5分3R>
矢澤諒(日本)
笹晋久(日本)

<ウェルター級/5分3R>
押忍マン洸太(日本)
川中 孝浩(日本)

<女子ストロー級/5分3R>
KAREN(日本)
高本千代(日本)

<ライト級/5分3R>
余勇利(日本)
神谷大智(日本)

<ウェルター級/5分3R>
佐藤生虎(日本)
渡邉 ショーン(日本)

<フライ級/5分3R>
梅原規祥(日本)
饒平名知靖(日本)

<バンタム級/5分3R>
山口怜臣(日本)
安藤武尊(日本)

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Grachan Grachan52 MMA MMAPLANET o RIZIN Road to UFC TSUNE UFC パンクラス 中村京一郎 伊藤空也 原口伸 大搗汰晟 天野哲宏 宮内拓海 小谷 小谷直之 山本琢也 弘田颯志 手塚基伸 林RICE陽太 桜井隆多 田中智也 鈴木崇矢 阪本洋平 高須将大 黒井海成

【Grachan65】15周年大会にバンタム級王者の手塚が出場。パンクラスランカーTSUNEを迎え撃つ

【写真】グラウンド勝負の前に、どう組むかがカギとなる両者の一戦だ(C)MMAPLANET

10月15日(日)、東京都江東区のTFTホール1000で開催されるGrachan65の全対戦カードが決定した。旗揚げ15周年記念大会として行われる今回の興行では、現バンタム級王者の手塚基伸が、パンクラスの王座挑戦経験を持つTSUNEと対戦する。

Text by Shojiro Kameike

GRACHANは2008年12月にディファ有明で旗揚げ。以降は15年間で70を超える大会を開催してきた。そのGRACHANについて「自分にとってホームやと思っている」と語る手塚は、2021年12月のGrachan52以来、1年9カ月ぶりのホーム参戦だ。前回は伊藤空也を秒殺し、かつて自身が返上したバンタム級王座を奪還。昨年はRIZINで2試合を経験している。

テイクダウンとトップコントロールが必要とされる現代MMAにおいて、手塚のスタイルは異色なものとなった。自ら下になり、相手の腕を殺しながら腕十字や三角絞めを狙う。昨年10月にはRIZINで、アゼルバイジャンのメイマン・マメドフを三角で捕えてからパンチ連打を浴びせ、TKO勝ちを収めた。

手塚に挑むのは、昨年12月のパンクラス暫定バンタム級王座決定戦で田嶋涼に敗れて以来の復帰戦となるTSUNEだ。田嶋戦はTSUNE有利という声も多かったなか、結果はTKO負け。来はテイクダウン&トップコントロールの選手であるTSUNEは、「序盤にパンチが当たったので、そのままパンチで攻めてしまった」と敗因を語っていた。

TSUNEとすれば、手塚の伸びるパンチを警戒して中途半端な距離から飛び込むことは避けたい。それこそ手塚にとって最も良い形--引き込んでからサブミッションに移行する展開の強さは健在で、それは伊藤戦とマメドフ戦でも証明済だ。互いにグラウンド勝負よりも、いかにしてスタンドで削り、自分の得意な形で組めるかどうかが鍵となる。

さらに今回は同じバンタム級で、伊藤空也×高須将大がマッチアップされた。主催者側からは、7月にフライ級で弘田颯志を下した田中智也を加え、バンタム級を活性化させたいという狙いも伝わってくる。

すでに発表されているライト級の2試合も同様だ。ライト級王者の原口伸はRoad to UFCに出場中で、UFCと契約に至れば王座は返上となるだろう。今回出場するダリ、岸本、小谷、そして林RICEがそのベルトを争うことになるのは間違いない。今後のライト級戦線を占うマッチメイクとなった。

なお今大会は、元GRACHANライト&フェザー級王者の阪本洋平が引退エキシビジョンマッチを行う。その相手を、同じく元2階級王者の山本琢也が務めることも発表された。

■Grachan65対戦カード

<引退エキシビジョンマッチ/5分1R>
阪本洋平(日本)
山本琢也(日本)

<バンタム級/5分2R>
手塚基伸(日本)
TSUNE(日本)

<バンタム級/5分2R>
伊藤空也(日本)
高須将大(日本)

<フェザー級/5分2R>
大搗汰晟(日本)
中村京一郎(日本)

<ライト級/5分2R>
ロクク・ダリ(コンゴ共和国)
岸本篤史(日本)

<ライト級/5分2R>
小谷直之(日本)
林RICE陽太(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+延長1R>
渡辺良知(日本)
青木忠秀(日本)

<ウェルター級トーナメント1回戦/5分2R+延長1R>
桜井隆多(日本)
上田拳翔(日本)

<J-MMA Rookies CUPフライ級決勝戦/5分3R>
金井一将(日本)
鈴木崇矢(日本)

<J-MMA Rookies CUPフェザー級決勝戦/5分3R>
黒井海成(日本)
人見礼王8日本)

<ウェルター級/5分2R>
能登崇(日本)
芳賀ビラル海(日本)

<バンタム級/5分2R>
YO-HEI(日本)
今村豊(日本)

<ストロー級/5分2R>
朝日向大貴(日本)
牧ケ谷篤(日本)

<フェザー級/5分2R>
松田征也(日本)
ディオゴ・ロボ・トクナガ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
萩原一貴(日本)
佐々木歩夢(日本)

<フライ級/5分2R>
宮内拓海(日本)
天野哲宏(日本)

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RIZIN.44:クレベル vs. 金原など、追加7カード発表。

RIZIN MMAルール:5分 3R(66.0kg)
クレベル・コイケ vs. 金原正徳

4月に山本空良に勝利した際に、ケラモフとの対戦をアピールしていた金原。が、ケラモフ戦は後から指名した朝倉未来に取られてしまっていた。その埋め合わせで、同様に対戦したい相手として名前を挙げていた前王者のクレベル戦が組まれた。年齢的にもキャリア最後の大勝負になる。

クレベルは体重オーバーで王座剥奪されたが、ノーコンテストになった鈴木千裕戦も1Rでタップを奪っており、ここで勝てば次の試合でタイトル挑戦の可能性は高い。

RIZIN MMAルール:5分 3R(71.0kg)
スパイク・カーライル vs. 堀江圭功

昨年4月に武田から一本勝ちし、今年5月にはサトシ相手にフィニッシュを許さなかったカーライル。Bellatorからのレンタルなのか、今後の継続参戦があるのかは微妙なポジションだが、今回から階級を上げる堀江にとっては、勝てば一気にタイトル挑戦者候補になれる試合。

RIZIN MMAルール:5分3R(66.0kg)
中原由貴 vs. 白川陸斗

ケラモフ戦がケラモフの怪我で流れた中原 vs. ケラモフ戦を怪我で流した白川。中原はRIZINでは直前の対戦相手変更で2連勝した後、大晦日には有利と見られていた鈴木千裕戦でまさかのKO負け。白川はRIZINで3連勝していたが、ケラモフ戦前の負傷で長期欠場となったため、約2年のブランク。中原としては格が違うと思っているのでは。圧勝して勝ちたいところ。

RIZIN MMAルール:5分3R(66.0kg)
摩嶋一整 vs. 横山武司

摩嶋は実力者と言われていて、序盤は強さを見せるも、失速して敗れる展開が続いていたが、5月の芦田戦で4戦目にしてRIZIN初勝利。NEXUS王者横山は体重オーバーの山本琢也に引き込んでの腕十字で秒殺勝利。しかしお互いもっと別の相手とやるところが見たかった気も。中原・白川をばらしてこの2人と対戦するカードの方が見たかった。

RIZIN MMAルール:5分3R(61.0kg)
中島太一 vs. 岡田遼

昨年4月、階級上のフェザーでケラモフと対戦し、マウント三角で完敗した中島。今年4月にはパンクラスで正王者となったバンタム級タイトルの防衛戦を行ったが、挑戦者の田島がまったく攻めてこないままの判定勝ち。今回は適正階級でRIZIN初勝利を目指す。UFC出場を目指していた元修斗王者岡田だが、果たせずRIZINバンタム級GPに参戦したものの、元谷に判定負け。その時点で「2022年で引退」を公言していた。その後に組まれた修斗での安藤達也で敗れ王座から陥落。自らのジムも開き、明言はしないもののリタイアしたかに思われたが、ここに来て復活。

RIZIN MMAルール:5分3R(120.0kg)
シビサイ頌真 vs. ヤノス・チューカス

昨年10月にスダリオに敗れているチューカスが再登場。もともと対戦相手が微妙な試合しかしておらず、スダリオ戦もパッとしなかったのでもういいかと思ったが。シビサイはきっちり勝たなければいけない試合。

RIZIN MMAルール:5分3R(120.0kg)
スダリオ剛 vs. トッド・ダフィー

ダフィーはUFCで肩・両膝を負傷し、4年のブランク明けの試合で1Rアイポークによるノーコンテストになり、そのままリリース。そこからさらに3年半のブランク明けとなる今年2月にKSWに参戦し、かつてUFCで破っているヘビー級王者フィリップ・デ・フライの王座に挑戦したが、1RKO負け。37歳とそこまでの年齢ではないが、30代ではこの2Rしかしていないので、現在の実力は不明。

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DEEP佐伯繁代表が今月の格闘技“裏”ニュースをまとめてブッタ斬る!
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【RIZIN.42 対戦カード】
第13試合/朝倉海 vs. 元谷友貴
第12試合/井上直樹 vs. フアン・アーチュレッタ
第11試合/ホベルト・サトシ・ソウザ vs. スパイク・カーライル
第10試合/ブアカーオ・バンチャメーク vs. 安保瑠輝也
第9試合/三浦孝太 vs. YA-MAN
第8試合/ジョン・ドッドソン vs. 竿本樹生
第7試合/芦田崇宏 vs. 摩嶋一整
第6試合/佐々木憂流迦 vs. ボイド・アレン
第5試合/岸本篤史 vs. ビクター・コレスニック
第4試合/伊藤裕樹 vs. 山本アーセン
第3試合/山本琢也 vs. 横山武司
第2試合/ラマザン・テミロフ vs. 浜本“キャット”雄大
第1試合/城戸康裕 vs. 木村“ケルベロス”颯太

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【Grachan61】高橋孝徳とフェザー級王座決定T決勝、小島勝志─01─「いわゆるギャングをやっていました」

【写真】ギャングをやっていました──と、サラっといえるのが何となく凄い (C)SHOJIRO KAMEIKE

14日(日)、東京都の大田区産業プラザPIOで開催されるGrachan61にて、小島勝志×高橋孝徳によるフェザー級王座決定トーナメント決勝戦が行われる。
Text by Shojiro Kameike

山本琢也が返上したフェザー級王座を賭けて、昨年8月よりスタートしたトーナメント。小島は1回戦で和田健太郎を、準決勝で鍵山雄介をそれぞれKOで下して決勝に進んだ。地下格闘技からプロMAファイターへ――山梨県在住のプロファイターとしてのキャリアについて訊くと、スタートは和術慧舟會のバックテイク& RNCだった。


――今回が初インタビューとなります。まずキャリアについてお聞きしたいのですが、MMAだけでなく格闘技を始めたのは、いつ頃なのでしょうか。

「23歳ですね」

――他の競技を経験したのちに23歳ごろからMMAを始める選手もいるかとは思いますが、かなり遅いスタートではないですか。

「アハハハ。特に昔から格闘技が好きだったわけでもなくて。成り行きというか、日常がつまらないと思って、23歳の時に初めて山梨にある和術慧舟會フォーランバス(現在は和術慧舟會ではない)というジムに入会したんです」

――23歳まで他のスポーツ経験はあったのでしょうか。

「小学校からサッカーを始めて、中学時代はクラブチームに入っていました」

――クラブチームということは、Jリーグを目指すようなサッカー選手だったわけですね。

「はい……。でもサッカーは中学まででした」

――そのまま高校に進学して、サッカーを続けようとは思わなかったのですか。

「それが――ちょっとグレてしまったんです(苦笑)。サッカーも中3ぐらいから、やる気を失っていました。高校も定時制には入ったけど、それもすぐに辞めて。16~18歳まで、いわゆるギャングをやっていたんですよね。でも20歳になった頃、もうケンカとかは辞めて仕事をし始めたのですが、日常には不満があって……。その頃に地下格闘技というものがあると知ってジムに入ろうと決めた、という経緯です」

――23歳から地下格闘技へ!

「定時制の高校を辞めてから建設業をやっていたんですよ。それで23歳の時に独立しまして。それで『一つ目標が達成した』という気持ちがありました。本当は、独立してからもっと頑張らないといけないですけどね(笑)。それで次の目標を見つけたい――という時に格闘技と出会いました」

――ただ、K-1やPRIDEを中心とした格闘技ブーム全盛期は知らなかったのですね。

「当時流行っていたとは思いますけど、全く知らなかったです。それよりはアウトサイダーや地下格闘技のほうを知って。でも、元々ファンだったわけではなかったです」

――そこで小島選手をMMAに向かわせた要因は何だったのでしょうか。

「ネットで検索して和術慧舟會フォーランバスに入門した初日に、寝技オタクみたいな人たちにやられて。絶対負けたくない、その気持ちが原動力になりました(笑)。そこから、どっぷりと格闘技に浸かっています」

――そこから地下格闘技は何試合、経験しているのですか。

「細かくは覚えていないですけど、50~60戦ぐらいはやったはずです。 2週連続で試合したり、1カ月に4回出場したこともありましたよ。戦績は……地下格闘技で負けたのは10回ぐらいで、ほとんど負けていなかったと思います」

――地下格闘技時代の試合映像も拝見すると、当時から今のスタイルに繋がる、しっかりと右のナックルを急所に当てる技術を持っていました。てっきり空手や他の打撃競技をやっていたのかと思っていたのですが……。

「ありがとうございます。もともとは打撃をやりたくて。近所にキックボクシングのジムがあったんですけど、なぜか入ることができませんでした。次に近いのが、車で45分ほど行ったところにある和術慧舟會フォーランバスで。そこに入ったものの、打撃はやらせてもらえませんでした(笑)」

――そこで和術慧舟會に入ったおかげか、地下格闘技時代からバックテイクは慧舟會スタイルでしたね。首に腕を回すと同時にスッとバックに回るという。

「そうなんです! 今までのキャリアの中でも、寝技のフィニッシュはRNCが一番多くて。あのやり方をジムの代表に教わっていました」

――なるほど、合点がいきました。一方、打撃面はどのように練習していたのですか。

「特に誰かに教わったというのはないです。友達とミットを持ち合っていたぐらいで、動画を見て研究するタイプでもなかったですし。なんとなく――ですね」

――その後、地下格闘技団体の王者になってから次の道は、どう考えていたのでしょうか。

「次はプロでやりたいと思って、池袋のブルードッグジムへ行かせてもらうようになり、プロを目指して練習していました。東京ではスカイライブRにも行かせてもらって」

――スカイライブRとは、魔裟斗さんのトレーナーを務めていた土居進さんのパーソナルトレーニングジムですよね。

「はい。スカイライブRにはコロナ禍になるまで、週1で山梨から通っていました。僕は集団のクラストレーニングに参加していて、とにかくキツかったです。おかげでスタミナ面では、5分2Rフルで戦える自信はつきました。それまで山梨では経験したことのなかったトレーニングで、衝撃を受けましたよね。K-1に出場されている選手もたくさん来ていて、『これぐらいトレーニングしないとプロでは勝てないのか』と実感しました。そういうところは、すごく大きな影響を受けています」

――その経験から東京に拠点を移そうとは考えなかったのですか。

「実は一時期、東京に住んでいました。でも当時、格闘技へのモチベーションが落ちてしまったんですよ。GRACHANで咲田ケイジ選手に負けた試合(2015年9月、ギロチンで一本負け)と、地下格闘技を含めて4連敗して山梨に戻りました。いま考えると、『もう格闘技は辞めてもいいかな』という気持ちだったと思います」

――そこまでモチベーションが落ちたにも関わらず、再びケージの中に戻ってきた要因は何だったのでしょうか。

「地元では昔からの練習仲間が、変わらず車で片道45分かけて練習していました。そんな彼らのために、近くに良い練習環境をつくりたくて、自分のジム(スタイルプラスジム)を立ち上げたんです。そして彼らと一緒に練習しているうちに、自分も続けようと思いました。

ただ、その後はパンクラスに出ていて、なかなか勝てませんでした。自分としてはジムを軌道に乗せないといけないし、建設業もやっていたので徐々に仕事のほう重きを置くようになって……。そんな時に、グラチャンの岩﨑(ヒロユキ代表)さんから、『最近試合していないけど、どうしたの?』と連絡を頂いたんです。

そして『グラチャンに出るならチャンピオンを目指して、しっかりやっていこう』と言われました。おかげで僕も気持ちを切り替えて、グラチャン王者を目指すことにしたんですよ」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
5月14日(日)
午後1時~Grachan放送局

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