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J-CAGE News PANCRASE ブログ 酒井正和

【Pancrase】酒井代表が今後の安全対策について会見。皆で創り上げていく=クラウドファンディングも

【写真】8・23を教訓に、パンクラスの方針が会見で発表された (C)MMAPLANET

18日(金)、パンクラスが東京都新宿区サンエービルの会議室で記者会見を開いた。8月23日の大会が開場10分前に抗原検査で陽性者が出たため中止に。9月大会を無観客で行い、階級を変更し当日計量を用いることを明らかにしているパンクラス。会見では酒井正和代表が以下の4点を軸に今後の方針を話した。

■超濃厚接触競技であるMMAの選手を、コロナから守る検査体制

■試合会場の飛沫・空気感染リスクを低減

■10月25日大会は通常開催

■クラウドファンディング 「コロナに打ち勝つ希望となる大会を皆さんと創りたい」

まず酒井代表からは「新たなパンクラスについてお話ができれば良いな」という言葉があり、検査方法について会見は始まった。

9月27日大会当日にレフェリー、セコンド、選手全員約130人にLAMP法検査(核酸検出検査)を行うことを決定、「前日に検査をしてもその状態で隔離ができていると別ですが、隔離ができない状態ではどこで感染するか分からない。超濃厚接触ということを考えると、試合当日に選手が安全に感染していない状態は当日の検査しかありえない。現状では検査方法を搾られてくるので、私たちは1人頭30分か40分、前後合わせて50分ほどの検査を130名に行うことになりました。当日、このような態勢で検査をしなければ意味がないんじゃないかと、僕はそう思っています。検査方法が見いだせなければ、大会を見直すことも考えていました」と酒井代表。

続いて無観客大会において、エコ革京都テクノロジー事業部の協力を得て日本スポーツ業界では初となる──試合会場やリング周り、控え室の飛沫シミュレーションを行うことを明らかとした。「このシミュレーションを行うことで、空気の流れが明確に分かることになるので、そういうところをチャレンジします」と言った酒井代表は、この対策がスタンダードになり、来場者の飛沫・空気感染予防対策を行うことで、10月の大会は有観客大会──「いつものパンクラスをお見せできる」と言葉を続けた。

なおパンクラスの日程では10月25日に続き、11月15日と12月13日が予定されていたが、11月大会は見送り12月大会に集中することも報告されている。

さらに「コロナという正解がないなかで、色々とチャレンジしなければならない。そのなかで見えないコストも相当かかっています。ただし、それをやっていけないと新しいモノを生み出せないということで──チャレンジしていこうと。そのなかでパンクラスを応援していただけるような……今までクラウドファンディングという発想はなかったのですが、皆で創り上げていくという意味を込めてクラウドファンディングを開始しています。皆さんにご協力を頂き、皆さんでパンクラス、格闘技業界が盛り上がって行けるような……そんなことができれば良いので、皆さんの協力も期待できればなと思っています」という話から会見は質疑応答に移った。

なおクラウドファンディングは18日から開始しており、10月19日23時59分まで行われる。

質疑応答では前回大会の中止に関して「相当な損失が出ている。ファンにも選手に迷惑をかけた。そんなことをなくそうと、そのために費用は掛かる。潤沢な資金があるわけでないので、皆さんの力を借りて新しいスタンダード、基準を皆で作り上げようと思う」。

当日検査はでは「ゼロから考え直した結果、当日に陽性者が出ても大会を開けるよう会場の外にテントを張って、そのなかで検査を行い。仮に陽性者が出た場合は、そこから別のスペースで待機してもらって公共交通機関を使えないので、移動方法などを考えていきます。施設のなかに(陽性者は)入らない」。

「飛沫シミュレーションの検証結果を見て、来場者の方にご安心いただけるようにしたい。結果に対して対策をする。どうしようもないということはない。風の流れがあり、スタジオコーストはもともと通気性が良いです。使えない控室というのは出てくるかもしれないですが。私たちがやることがスポーツ業界のスタンダードになる……これが正解かは分からないですが、今の考えではこれがベストだと思うので、こういったモノが色々なところで浸透していけばと考えています。選手を守ることを追求すると、答がここにある」等の発言が聞かれた。

ここではMMAPLANETが酒井代表に尋ねた2点について、書き記しておきたい(要約)。

──新しい検査方法に関してですが、個人的な考えを述べさせていただくと、『当日に検査をしないと意味がない』という部分においては、意味がないわけはないと思っています。ただし、どこの大会が行う検査においても課題はあり、絶対はありません。このLAMP法が穴の無い検査になるのはどういう部分なのか説明いただけないでしょうか。

「これはPCRのようなものです。もともとPCRとLAMP法と抗原検査と抗体検査があります。そのなかでよりすぐに結果が出るという部分でLAMP法が速い。そのほか、詳しいことは僕も医療の人間ではないのでちょっとそこは割愛させていただきたいというのと……仰る通り正解がないなかで、私たちとしては当日……これはPCRでも良いんです。ただ私たちは選手が感染していない状態でケージに上がってもらう、そういった風に私たちは捉えています。仰っているように正解はないんです。ただ濃厚接触がある競技だけに、私たちは試合直前、当日に検査することが理想的だと思っています」

──この検査方法は良ければ、他の大会も追随できると思います。なので、もう少し詳しく説明していただく機会を設けていただければと──格闘技界全体でより安全に大会が開くことができればと凄く良いことだと思います。もう一つ、10月に通常大会を開くということですが、客入れに関してはどこまで考えられていますか。

「政府のロードマップに則して行います。日々、変わっていくかと思いますが、10月25日はそういうことも見据えて、ロードマップに従って開く予定です」


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J-CAGE News Pancrase317 ブログ 酒井正和

【Pancrase317】中止となったPancrase317出場予定選手、ファンへの配慮を発表

【写真】今後、パンクラス以外も今回のようなことは起こりうる。試合数、会場入り時間、会場での他チーム及びスタッフとの動線など、各プロモーションはより考えて大会を行うことが、チケットを購入してくれるファンに安心感を持ってもらえることになるのではないだろうか。そのうえで現状、感染することは社会事象であることは明記しておきたい (C)KEISUKE TAKAZAWA/MMAPLANET

23日(日)に東京都江東区のスタジオコーストで開催される予定だったPancrase317が出場選手に新型コロナウィルス陽性者が出たため中止になった件で、24日(月)にパンクラスから「選手及びお客様のケア」として、酒井正和代表の言葉として以下のような発表があった。

「8月23日パンクラス317へ参戦予定だった全選手に、ファイトマネーの全額支給と、チケット全額返金を致します。試合が出来無かった選手の場を確実に提供出来る様に
調整しています。今週中に発表できると思います」


01:ファイトマネーは当日出場予定でした全選手にお支払いします。
02:チケット代金は返金致します。当日券をご購入の方は以下をご参照下さい。
【返券について】
1:券を事務所に9月9日(水)までの必着
2:〒160-0023 新宿区西新宿1-22-2 新宿サンエービル14階 パンクラス「返券係」
3:普通郵便以外を推奨
4:券を切ってあるものは無効
5:振込口座をメモしたものを同封
6:事務所到着から1週間以内に振り込み

また組まれていたカードは、今後の大会に振り分けて行う予定で調整がつき次第に改めて発表されるとのことだ。

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Interview J-CAGE PANCRASE ブログ 酒井正和

【Pancrase】コロナのあるJ-MMA界、パンクラス酒井正和代表に訊く─02─「ロードマップに則して……」

【写真】ニューノーマルのMMAイベント確立を、事態の終息を願いつつ模索しなければならない (C)MMAPLANET

コロナとあるJ-MMA。パンクラス酒井正和代表インタビュー後編。

東京都のロードマップが発表されたなか、MMAプロモーションはリセットの時代を迎えたという酒井代表。答が見えない状況での取り組みを話してくれた。

<酒井正和代表インタビューPart.01はコチラから>


──やる意思を見せる……にしても、先が見えない状況が続きますね。

「第2波、第3波を考えるとイベントを開く日がやってこないかもしれない。それとは逆に、夏頃に待望の日が来る可能性もある。どちらにいくのか誰にも分からないので、どちらの準備もしておく必要があります。

日々、見通しが変わってくるなかでスタッフと今後に関して協議する。基本スタンスとして、当初に発表した年間スケジュールを動かさずにやっていき、その都度ドクターの意見を聞いて対処する。

東京都のロードマップが発表され、ステップ1、ステップ2、ステップ3が明らかになりました。そこに準じてイベント開催が可能かどうか。ロードマップに則して大会を開けるのか、コロナと向き合っていくしかないですね」

──ロードマップで触れられたイベント開催に関しては、その人数が観客の数なのか、会場に集まる人数なのか明示されていないなかで、ステップ1は50人、ステップ2で100人、ステップ3で1000人までと明示されました。

「つまりは2月までの大会を開くことができるのは、いつなのか見えてこないということなんですよ。マネタイズという観点からも、大会の開催方法は多様化していく必要性があると思っています。

無観客のテレビマッチを開いてくことになる可能性もありますし、あるいは少人数にだけ解放して中継していくのか。そこに対して収支はどうなるのか。それでもロードマップで道筋が出たことは良かったです。

現状を踏まえ、7月大会をどのようにやっていけるのか。ロードマップとリンクして進めることができますからね。7月に関しては日程を後半にスライドさせることも、検討しています。ここに関しては、何か決まれば正式発表させていただきたいと思っています」

──これまでと同じ試合数、同じ費用を掛けたイベントとならずとも、イベント再開を見据える必要があると。

「もう今、言われた通りなんです。最初に言いましたが、リセットされたんです。過去の団体経営とは違い、2021年にもまた同じ状況が来ることを踏まえてパンクラスを運営していく必要があります。

これまでと同じやり方に引きずられていくと、イベントは開けなくなります。そういう意味で考えても、ロードマップに対応できるイベント会社にならないといけない。そこに向けて、一生懸命動いています」

──このままでは、国内ではトップ選手の試合が組めなくなる。ペイ方式でどれだけ収益を上げることができるのか。あるいは無料中継でどのようなマネタイズを確立させていくのか──つまりはリセットされたということになりますね。

「ハイ。3000円支払って視聴する大会、それがUFCですよね。では日本では映画館に行って支払う額で、MMA大会を視聴してくれるファンがどれだけいるのか。ABEMAさんがやった大会、長南君がやろうとしている大会も、格闘技イベント再開に向けて色々なテストしているという表れです。

ここからスタンダードが確立されていくのだろうと思っています。RIZINさんも含め、色々なことをトライしていくに違いない。新しい日本のMMAが出来あがる足掛かりになっていく。そこでパンクラスが何をトライするか、業界全体で成功例を見極める時代になったんです。

なぜイベントを開くのか。それは選手に試合をしてもらうためです。そこは皆が一致しているので、選手の安全と団体運営の保全を考え、各々の主観があってパッケージを確立していく。

コロナ時代、大会それぞれがテーマを持つようになった。そこで色々な協力企業さんとタイアップであったり、パートナーシップを結んでイベントを開いていく。そういうことができないと、生き残ることは難しいと捉えています」

──了解しました。しっかりと酒井社長の言葉をファンに届けられればと思います。

「ファンの皆さんには、ずっと我慢をしてもらっています。医療崩壊のことも考え、MMAは慎重にイベントを開かないといけない……そういうアスリートたちの究極の戦いです。そこで我々が取り組まないといけないことも、多岐に渡ります。一歩、一歩、イベント再開に向けて歩を進めます。努力をしますが、人類が経験したことがない時代を迎え、再開予定にしても確定的なことをお約束することができません。

皆さんもコロナ疲れという状況に陥りやすいと思いますが、もう少しお時間をください。大会再開に向けて、パンクラスは日々、努力していますので」

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Interview J-CAGE PANCRASE ブログ 酒井正和

【Pancrase】コロナのあるJ-MMA界、パンクラス酒井正和代表に訊く─01─「やる意思を見せ続ける」

【写真】 それぞれのプロモーションが今を乗り切り、これからを生きるために試行錯誤している(C)MMAPLANET

新型コロナウィルス感染拡大を受け、J-MMA界老舗3団体で大会延期という判断を真っ先にしたのがパンクラスだった。

その後4月12日のダブルヘッダー開催→延期、5月31日大会開催→延期という発表が続いている。と同時に出場予定だった選手に一律3万円の経済的補填を行った。

コロナ時代に入り、コロナがある今とMMAイベントの有り方に関して、パンクラス酒井正和代表に話を聞いた。


──3月からパンクラスは大会の延期発表が続いている状態です。

「そうですね。まず3月8日の大会を4月12日に延期し、ダブルヘッダーとして開催することを発表させていただきました」

──今からすれば、3月8日だとその後に修斗やK-1が大会を開いたことを考えれば、かなり早めに延期の決断を下されました。

「正直、あの時点で4月に延期という発表をさせてもらったように、このような事態になることは予測できていなかったです。私自身、ラスベガスに行き、上海を訪問して2020年にやるべきことを進めていた状態だったので。

でも3月8日大会の時点で、ドクターとも相談させてもらい安全を確保できないと判断しました。やはり考えるべきは万が一です。選手達は試合に向けて調整をしてきました。きっと戦いたい選手が多かったと思います。

選手は戦うのが仕事で、プロモーターは大会を開くことが仕事です。でも、コロナ自体がどういうものが分からなかったですし、選手の間で感染者が出て感染することを避けないといけない。そこが最初に思ったことでした」

──まだパンデミックぐらいで、オーバーシュートやクラスターという言葉も一般的でなかったです。

「それが瞬く間に世界の情勢も変わり、4月、5月と大会が開けなくなりました。今からすると状況を読めていなかったですね」

──いえ、日本政府自体がオリンピックを開こうとしていましたし、私も実は3月の終わりに家族で台湾旅行をする予定で2月の終盤まで『行けないかなぁ』なんて気持ちでいました。

「高島さんの考えが普通だったと思いますよ。だから、まさか──ですよね。3月の大会を延期した時は、4月は行けると踏んでいました。ここまで広まるというのは、私のなかでは想定できていなかったです。それが、もうこれはただ事じゃないという風になってきたときに、やらないのであれば早めに決断をして選手に伝えないといけないと考えるようになりましたね。

選手の安全と同時に我々が考えないといけないのは、団体経営です。イベントを打てないと収入がない。興行を開きたいのに打てない状況など、過去に経験したことがなかったですからね。安全を確保してイベントを開く、その日がいつやってくるのか。コロナと団体経営に関して保全を図ること、そこをずっと考えている日々ですね」

──そのなかでメインカードに出場予定だった選手に3万円の補填をされました。パンクラスとして収入がない時期にも係わらず。

「パンクラスとしては、今回の件はリセットの時期が来たんだという捉え方をしました。それでも昨年の収支なども考えると経営的に昇り調子でしたので、現状のウチとしてできることは試合を組むことでなく、あの形だったということです」

──そのなかでRoad to ONE02が4月17日に開催され、プロ修斗もパンクラスが大会延期を再々決定した31日に無観客&ABEMAファイトという形で行われます。

「私自身、格闘技の熱を消さないために大会開催を模索するところがあって然りだと思っています。それにメディアにはメディアの考え方があり、ABEMAさんもコンテンツとして格闘技大会を中継してくれたことに関して、私は良かったと捉えています。

予防対策をしっかりとして、ああいう形で大会が行われるということは一つの結論として異論はなかったです。そしてパンクラスとしてはドクターと相談しながら、興行を打てることができるのか決めていこうということですね」

──現状として7月から再開となっていますが、5月も含め開催→延期という発表が続いているのも事実で、選手も擦り切れてしまうなという想いもあります。

「これはですね……本当に申し訳ないです。やはり大会を開きたいという想いが強かったです。年間で押さえているスケジュールで試合を組んでいきたい気持ちが強く、こういう形が続いてしまいました。

もともとウチは試合の発表が早いので、その流れを崩さずにやってきたことになります。そして現実的に無理になると、リスケジュールする。こういう形を取らざるを得ないというのが正直なところで。今も7月はやりたいということで大会開催を発表させてもらっています。やる意思を見せ続ける。それが私たちの考えでもあります」

<この項、続く>

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J-CAGE News Pancrase315 ブログ 酒井正和

【Pancrase315】5月31日大会が、8月23日に延期。メインカード出場選手には3万円の手当

Sakai san【写真】酒井代表も苦渋の決断であったに違ない。昨日のグラチャンに続き、パンクラスも緊急事態宣言の延長路線が固まったことで延期が決まった(C)MMAPLANET

2日(土)、パンクラスより5月31日(日)に東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催予定だったPancrase315が、8月23日(日)に延期されることが発表された。

リリースによると、新型コロナウィルスの感染状況を鑑み、政府が「緊急事態宣言の延長方針」を明らかとしたことで今回の決定がなされたとのこと。同リリースではパンクラスの酒井正和代表より、以下のようなコメントが明記されている。

酒井正和
「新型コロナウィルスの感染者減少が見えていない中、パンクラスとして3カ月連続で大会を延期する事に致しました。緊急事態宣言で多くのお店が休業し、都心部では医療崩壊の可能性が表立っているこの時期に、大会自体を開催に向かうのは正しい事ではないと判断しました。次回7月5日大会や新規日程追加の可能性も含め、選手、ファンの皆様の安心・安全が確保できる状態でイベントを開催したいと思います」


同大会では暫定ライト級KOP決定戦=雑賀ヤン坊達也✖林源平、同じくライト級の松本光史✖松岡嵩志、フライ級でライリー・ドゥトロ✖ 秋葉太樹&神酒龍一✖荻窪祐輔、中村勇太✖菊入正行のウェルター級などが組まれていた。雑賀は2月、3月、そして5月と3度タイトル戦が延期されることに。なお、3月及び4月大会と同様に今大会のメインカードで出場予定だった選手には、3万円の手当が支給されることも明らかとなっている。