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【Special】月刊、青木真也のこの一番:8月─その参─カレフォフ ✖アルバスカノフ「春日井、強かった」

【写真】2017年12月23日に春日井たけしと戦った時の──現ACAフライ級王者アザマット・カレフォフ (C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

青木が選んだ2021年8月の一番、第三弾は8月28日に行われたACA127 からACAフライ級選手権試合=アズマット・カレフォフ✖ラスル・アルバスカノフ戦について語らおう。


──青木選手が選ぶ8月の一番、最後の試合は何になるでしょうか。

「カレフォフ ✖アルバスカノフですね。カレフォフって、HEATで春日井たけし選手、寒天とやっていて。ロシア人あるあるなんですけど、前のACAフライ級王者で今はUFCのアスカル・アルカロフって選手がいるじゃないですか。彼がバックマウントからのツイスターとか、アナコンダチョークという今のMMAでは王道でないサブミッションを使います。

カレフォフもアナコンダで勝っていて。ロシア人のあの階級って、背が高くてスタイルが似通っていますよね」

──柔術でなく、レスリング&サブミッションという風にも見えます。

「そうですね、絞めのあるサンボっぽさもあるし。そこに今のMMAにあるモノを取り入れているような」

──アルバスカノフが途中で下から左足でフックして、左側にカレフォフを跳ねてギロチンを取り直した。

「サンボですよね。米国やブラジルでは見ない。アルバスカノフは初回と2Rを取っている。あの選手も相当に強いけど、カレフォフが押し切りました」

──アルバスカノフはこれでフロント系のチョークで負けるのが4度目になります。

「だって非効率な試合をしているから、疲れますよ」

──非効率とは?

「思い切り倒して、思い切り極めに行く。パンチも全力で5R持たないだろうっていう試合をする選手、ACAには多いじゃないですか」

──確かにその通りです。そこをカレフォフは待っていたということでしょうか。

「チャンスは伺っていたと思います。初回に下から腕十字とか取りに行っていますし。ゆっくりと腰を切って、抱えるようにして……渡辺直由さんみたいな腕十字ですよね。ジワッときて。アレで腕を取られていると、アルバスカノフは消耗したと思います。

打撃は効かせていましてけど、2Rと3Rにテイクダウンを取ってもスクランブルで上を取り返されてしまって。もうスタミナがなくなっていましたね」

──あれだけの猛攻をしのいで極める。カレフォフは逆境に強いですね。それこそHEATでも本戦で勝ったと思われたのですが、延長になり気持ちが切れるかと思いきや勝ち切った。

「大内刈りでポイントを取ってしまう。タフですよね。これで15連勝、スプリットもあって……負けかけた試合も取り返している。いや、強いですよ」

──フライ級はBellatorとPFLに王座がなく、ACAもそうですがLFA、BRAVE、ONE、日本と人材がまだ散らばっているように感じます。

「UFCが一度、フライ級を閉じる方向で選手を手放したのもあるし……ただ一見散らばっているようでいて、フライ級は他の階級と比較すると、タレントはもともと少ないですよ。アスカロフもUFCで王座まで行っていない。それでもUFCがフライ級を続けることになって、また吸い上げていく。

ただBRAVEに出ている中央アジア勢とかもいるし、日本の56キロの選手はACAやBRAVE CFを見ていないと厳しいですね。そこで戦えとは言わないですけど、チェックはしておこうねってこと。見ている方が良いというか、見ていないと世界、世界っていっても取り残されます」

──でも、見ないですよねぇ。

「そうなんですよね。そもそも、コレを見楽しめるのか。僕なんて、コレを見てドキドキできるから……楽しいですよ。カレフォフを見ていると、この選手とやり合っていた春日井ってあの時、強かったんだなって思えるし。

ヘルベウチ・バーンズにONEで勝っているモヴリッド・ハイブラエフ、今はPFLで戦っているけど『やっぱり、コイツ強かったんだ』って思えるし。

あとからアイツが強かったんだっていうのがあるというのは、試合を見てきたうえでの結果論です。見ていないと、ただ知らないで終わっているということで。そういうことを最近、PFLでクリス・ウェードやハイブラエフ、このACAでアザマット・カレフォフを見て思いました。

もっと試合は見た方が良いです。僕もYouTubeに落ちている試合なんかは、TRIBEの選手は投げるようにしているんですけど」

──それでいうと先日のBRAVE CFのキム・テキュンとナルザン・アキシェフの試合を、松嶋こよみ選手がチェックしていて驚きました。

「確かに……。松嶋選手はBRAVEをチェックしていたのですね。いや、選手がどういう試合をチェックしておくのか、そういう部分でもその選手がどういう風に考えているのかが見えてきますしね。本人が気づかないケースもあるだろうから、周囲にそういうことを気付く人がいてくれるのもありで。そういう環境は必要です」

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Bu et Sports de combat MMA ブログ 剛毅會 岩﨑達也 松嶋こよみ 武術空手

【Bu et Sports de combat】武術的な観点……フルコンタクト空手で見るMMA。下段回し蹴り

【写真】長い間、顔面パンチがないことによりMMAで効果的な蹴りは少ないと考えられてきたフルコンタクト空手の蹴りだが、カーフで負傷続出の状況でその有効性が分かってきた (C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点──から、少し離れ、ダスティン・ポイエー✖コナー・マクレガーにも見られたカーフを蹴った選手が負傷するという事例の多さについて追及したい。

現代MMAの距離が80年代、90年代のフルコン空手の距離に近くなっている。当時のフルコンタクト空手は、この距離での蹴りの発達の顕著だった。進化の背景には足のどの位置で、相手のどの箇所を、どのような角度で蹴っていたのかという研鑽が日々行われていた。今回は、そんな当時のフルコンタクト空手の下段回し蹴りを実演した。


回し蹴りとは腰をまわすのではなく、脚の骨が回ることで角度を作る。そして相手を蹴る箇所によって、蹴り方が変わってくる。ただし、自身の足の当てる位置は変わらない。この3点を大前提として頭に留める。

脹脛への下段回し蹴り

ヒザからの下、カーフを蹴りたいのであれば脚をそれほど回転させずに、45度の角度で蹴る


自身の足を角材に例えると、脛骨の付け根の内側を角材の角とイメージして当てる


足首から爪先へいくほど弱くなる。ただし、靭帯のある部分で急所になるので必ず避ける


脛骨の付け根の内側で蹴ると、『ほとんどケガはしません』(岩﨑) しかし、当てる箇所を考えずに弱い箇所で当てると、痛める要因になる。また当てる位置はカーフ、インロー、太腿へのローでも変わらない

インロー

インローの場合は


カーフの角度で蹴ると、力が加わる方向が上になるので効かない


ヒザというのは上へ力には耐久力があるが、外側への力には弱い。この特性を理解し、カーフとは違い横にスライドさせてけるようにする

太腿への下段回し蹴り

フルコン空手で修得できた太腿への下段蹴り


70年代はカーフと同じ45度の蹴りで太腿を蹴っていたが、顔面への突きがあることを想定していた時代からフルコンルール内で勝つことを想定するようになり、距離が近づくように


こうなると、45度では腿の中心を捕えることができなくなり、蹴っても効かなくなった。その結果、中段回し蹴りの角度から途中で軌跡を変え、振り下ろす下段に変化した

漫然とローを蹴るのではなく──正しい位置を当てる。蹴る箇所によって、角度を変える。これらのことを意識することで、無暗な蹴りによる負傷は減少すると考えられる。

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MMA RIZIN Shooto2021#05 UFC チャンネル ボクシング 中村倫也 松嶋こよみ 河名マスト 論田愛空隆

【Shooto2021#05】論田愛空隆戦で、プロMMA初陣。中村倫也─01─「丁寧に創ることを心掛けてきた」

【写真】五輪スポーツに生きてきたアスリートの第二の人生ではなく、MMAファイター人生のためにレスリングが存在したことが強く感じられる中村だ (C)MMAPLANET

25日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#5で中村倫也が論田愛空隆と──改めてMMAデビュー戦を行う。

ピュアブレッド大宮を庭に、MMAファイターになるという天命を受けて成長した中村は、その過程においてレスリングでU23世界王者など輝かしい実績を残してきた。

MMA転向後LDH martial arts所属となり、完璧を求められた『格闘DREAMERS』をミッション・コンプリートし、UFCへの最短距離を往くためにキャリアの一歩を踏み出す。論田戦を6日後に控えた中村をインタビューすると、すでに場慣れした一流アスリート然とした受け答え以上に、いかにMMAに造詣が深く、MMA LOVERであることがヒシヒシと伝わってきた。


──ひとつ前の取材で一緒していた松嶋こよみ選手に、倫也選手にインタビューすると伝えると「宜しく終え伝え下さい。メチャクチャ強いです。たまにではなく、極められます」と言っていました。

「いえいえ。こよみさんこそ……こよみさんのことはレスリング時代から知っていて、団体戦では敵チームだったこともありましたし。レスリング時代から身体能力が凄かったです。

そのレスリング時代に(大宮司)岳さんにムーブメントを教わっていて。岳さんの減量セミナーを受けさせていただきときに、MMAにも生きそうだと思って指導を受けるようになったんです。そのつながりで、今、こよみさんと打撃とムーブメントを一緒にさせてもらっています。

こよみさんって、他の選手の動きを観察する力も凄いんですよ。僕のパンチも踏み込みと、方向がズレているとか指摘してもらっています」

──そんな関係だったのですね。まぁ大宮司トレーナーのことは個人的には触れたくないのですが(笑)、自分のなかで体のトレーナーの方であれだけMMAをチェックし、選手の名前もスラスラ出てくる人はあまり知らないです。ムーブメントのためのムーブメントでなく、MMAを凄く研究したうえでのムーブメントで、素晴らしいですね。

「MMAのことが好きですよね。でも、『触れたくない』というところはしっかりと書いてください(笑)」

──アハハハハ。それにしても、プロデビュー戦まで1週間を切ったというのに、凄くリラックスされていますね。

「わくわくが緊張を上回っている感じです。もちろん、不安がないといえば嘘になりますけど、僕だけのデビュー戦でなくLDH martial artsのデビュー戦だと思っているので。ちょっと大暴れしたいなって気持ちです」

──4月の『格闘DREAMERS』のオーディション最終選考も、アママッチとはいえルールはほぼ同じで、相手もプロシューターでした。あの時は成し遂げないといけないハードルがある状況でのファイトでしたが、そこと比較すると何かメンタル面で違いはありますか。

「あの時と同じかなと思います。ただ、確実に打撃をもらわないという自信はなく、そこに対する不安はあります。でも、試合が始まるとその部分は捨てて戦うだけです。なので練習では丁寧に丁寧に創っていて、試合では大胆に行こうと思っています」

──では最初にデビュー戦の相手、論田愛空隆選手の名前を聞いた時、どのような気持ちになりましたか。

「えぇと……『誰だっけ? ん?』みたいな感じでした。映像をチェックしてからは、やりたいことが明確なので、試合としては組み立てやすいと思いました。ただ実際に組んでみて、力がどの程度あるのか──ですね。そこは触ってみないと分からないので、実際に試合になるとプランが変わることもあるかと思います」

──気を付けるべき点は?

「奥手なので、そこですね。奥手を当てたい戦い方です。4月の試合で僕自身、様子を見てボクシングでいけるならやろうと思い、そこがハマりました。今回も同じです。スピード感、反応を見て……そこに差があると感じたら、パンチでも戦います」

──なるほど。倫也選手の打撃をボクシングとして切り取ると、課題はたくさんあるかと思います。ただ根本的なアスリートとしての土台の部分で、違いを感じればボクシング勝負ができたということなのですね。

「そうですね。色々な仕掛けは見えたのですが、長さがなかったです。なら踏み込めば当たると思いました」

──レスリングで培った瞬発力と爆発力があれば、打撃戦も可能になると。

「相手次第ですけどね。レスリングでやってきた動き、散らし方なんかもMMAで打撃をやるうえで生きています。ただし、やはりMMAなので──最初はスタミナとフィジカルで誤魔化していた部分がありました。レスリングって、正面のスクエアを崩さないことが基本中の基本じゃないですか?」

──相手の方に胸を開いているのは、明かに打撃有りの競技とは違ってきます。

「そうなんです。だからパンチを打つときに、面で打つことが多くて。前足を踏み込んで廻旋する動きが全然できなかったです。身体操作は色々とできるつもりでいたんですけど、これは違うと痛感しました。

そこは(太田)忍さん(※リオ五輪グレコ59級銀メダリスト。RIZINでMMAデビュー)とかも感じているかと思います」

──グレコのみだとMMAは、フリーを知っているレスラーと比較するとアジャストが難しい面もあるかと。そういえば倫也選手と同日にNEXUSで河名マスト選手がMMAデビュー戦を迎えます。河名選手もグレコでした。

「奇遇ですよね(笑)。大学の同期が、団体は違うけど同じ日にデビューって。マストとは今も連絡を取り合っています。マストは物静かな人間なんですけど、練習中にこういうことを指摘されたとか色々と考えてMMAに向き合っているようです」

──ところでLDH martial arts所属の倫也選手ですが、同門の宇佐美パトリック正選手、そしてEXFIGHTで練習している元DREAMERSとは現状での実力差は大きいです。試合に向けて、どのような練習をしてきたのでしょうか。

「EXFIGHTで指導している石田(光洋)さんや門脇(英基)さんは凄くグラップリングが強くて、2人に仕掛けられたことを考えて対処するようにしています。同じ仕掛けを喰わないように考えて、丁寧に創ることを心掛けてきました。石田選手は同じレスリング出身でMMAをやってきた方なので、参考になることも多いですし。

門脇さんはグラップリングでの知識が半端なくて、もう仙人のようです(笑)。そうやって創っていったモノを出稽古先の練習で試して、またフィードバックを得て持ちかえるということを続けてきました」

──出稽古はどちらで?

「メインはパンクラスイズム横浜で打撃のムーブメント、打撃とMMAのスパーリングをやってきました。あとはロータス世田谷も週一でグラップリングですね」

──手応えの方はいかがですか。

「やはり打ち込みを丁寧にやっていることで、精度が上がってきているという感覚はあります。レスリングのスクランブルだけでやってきていたことが、打ち込みをやってきたことで、相手の仕掛けとかも察知できるようになりつつあります」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
7月25日(日)
午後5時~ ABEMA格闘チャンネル

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Bu et Sports de combat MMA サンチン ブログ 剛毅會 岩﨑達也 松嶋こよみ 武術空手 虎口

【Bu et Sports de combat】武術で勝つ。型の分解、サンチン編─13─虎口、分解組手で知る型が伝えること

【写真】虎口の動作は、やはり空手と中国武術がつながっていると思わざるを得ない(C)MMAPLANET

武術でMMAを勝つ。空手でMMAに勝利する──型を重視する剛毅會の武術空手だが、岩﨑達也宗師は「型を使って戦うということではない」と断言する。型稽古とは自身の状態を知り、相手との関係を知るために欠かせないモノであって、その形で戦うことではない。

サンチン、ナイファンチ、セイサン、パッサイ、クーサンクーの型稽古を行う剛毅會では、まずサンチンから指導する。5種類の型稽古にあって、唯一サンチンのみが意味を吸いて吐くという意味での呼吸を学ぶことができる。

全ての根幹となる武術の呼吸を学ぶことができる──サンチンの解析、第13回は虎口の理解を深めるために、その分解空手を説明していきたい。

<サンチン解析第12回はコチラから>


相手が


右上段突きを打ってきたときに、


左腕で、掛けて防御しつつ


右手の


掌底で顔面を突く

※受けと攻撃が分断すると、攻防一体の意味を成さなくなる

虎口が難しい点は、左手で掛けて


突きを防御し


右手で掌底を顔面にいれる間に呼吸を止めないこと


呼吸が止まると、「掛けて=受けて」、「突く=返す」という風に遮断された動きになる


遮断された動きをすると、相手の2発目の攻撃を受けてしまう。つまり連続攻撃を遮断できない

遮断されない動きをするには──左手を掛けているときに、すでに右手の掌底の準備に入ること。車のハンドルを回す動きをイメージすると理解しやすい。「掛けて・突く」のではなく「掛けて突く」こと。「掛けて」と「突く」を分断しない。掛けているときには、突きが始まっている。逆をいえば、突きが始まる動作で掛けを行っているともいえる。つまり動きが途切れることがない、攻防一体の動作となる

この動作を連続写真で分解しても「掛けて・突く」と「掛けて突く」と違いの再現はほぼ無理だが、相手と距離が全く違ってくるのは明白だ。「掛けて・突く」では、相手の連続攻撃に入られるが、「掛けて突く」だと攻撃を受けず攻撃できる

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Bu et Sports de combat Special ブログ 岩本健汰 岩﨑達也 松嶋こよみ 青木真也

【Bu et Sports de combat SPECIAL】青木真也 meets 武術空手。武の原理原則をMMAに落とし込むには──

【写真】格闘技に正解も不正解もない。勝てば正解、負ければ不正解。ただし、取り組み方には正解、不正解はあり、とことんやりこむ青木の「技術信仰は一つの宗教。そこを信じるかどうかというのは」という言葉は説得力に溢れている(C)MMAPLANET

青木真也から東京都世田谷区のロータス世田谷で剛毅會空手の手ほどきを受けるという連絡を貰い、5月24日(月)──見学させてもらうことにした。

青木は以前より岩﨑達也氏の打撃や武術論よりも、モノの見方に興味を持っており、プライベートで会いたいということを言っていた。コロナ禍ということもあり、会食云々でなく取材として4月23日発売のFight&Life誌で対談という形で意見交換を両者にしてもらった。

そこから彼らの親交が進み、今日の技術交流が実現した。まずは青木が興味を抱いた「置く、突き」に関して、パンチの打ち方、当て方という部分で両者のやりとりは始まった。

置く、突きの理論を知るために青木のパンチの打ち方や体の使い方をまず探り、ここから突きだけでなく左ミドル、前蹴り、三日月とミット打ちや組手で確認作業が進んだ。

組手では当然のように相手が必要で、そこは武術空手の原理原則をMMAに誰よりも落とし込めている松嶋こよみが務めた。

松嶋の存在が、より青木の理解を深める速度を上げ、岩﨑氏の説明を迅速にした。

打撃のための打撃の構えと、組みも交えた時の打撃の構えでは、青木の歩幅や角度が変わり、動きをコントロールする足も前足と後ろ足で変化が見られた。

移動で創るエネルギー、養成したエネルギーを移動させる違い──ここをより理解するために、ロータスのグラップリング・スパーリングに参加して、この模様を眺めていた岩本健汰も加わった。

非常に興味深いもので、組み有りの組手になると、打撃だけの時よりも青木のパンチが良いタイミングで松嶋を捉えるようになった。

パウンド、グラウンドでのエルボーはそもそもボクシングにも、ムエタイにもない技術だ。ここに青木が「置く、突き」に着眼し、その原理原則を採り入れられるかを試みた。

武術とは本来、攻防を生まない。戦いでいえば失点しないのが原則だ。しかし、MMAは加点しなければならない。そのために武術をMMAに落とし込む必要がある。

それには武術的に正しい姿勢、体の使い方を体得するのが近道だ。そして、自分の体の使い方、姿勢が乱れていないのか、自身にサインを身の内から送ることができるのが型稽古だ。

青木は何かアドバイスを受けるたびに、体を動かすのを一旦止めて頭を働かせていた。疑問を感じると、すぐに質問し納得しようとしていた。青木真也という組み技、ムエタイをやり込み、MMAに落とし込んできた格闘家だからこそ、武術空手の動きを自らが持ちうる技術の上積みにするのではなく、原理原則の自身が培ってきた技術の細部に生かすことができる。

そんな風に思えた約2時間半の稽古で見られた、究め方は違っても、強くなることを考え続ける両者、そして松嶋&岩本を含めた4人の濃密なやり取り。改めて取材という形で深堀りできれば。さぞかし楽しいだろう。


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Bu et Sports de combat Fight&Life Interview  グラチアン・サジンスキ ブログ 剛毅會 大塚隆史 岩﨑達也 松嶋こよみ 武術空手

【Bu et Sports de combat】特別編。Fight & Life#83より、大塚隆史&松嶋こよみが行う稽古の事実とは?!

【写真】大塚と松嶋の練習、何が他のプロ練習との違いなのだろうか (C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。

そんな剛毅會プロMMA稽古というべき練習の模様が、24日(水)発売のFight&Life#83に掲載されている。

武術空手、大宮司岳彦氏とのムーブメント・トレーニングに関して──大塚隆史と松嶋こよみが対談を行った同誌のレポート内の囲み記事で紹介されている──岩﨑氏の武術空手をいかす練習に関して、より詳しく紹介したい。

「Bu et Sports de combat」特別編、トレーニングと稽古に違いとは?!




──打撃のみ、テイクダウン有り、レスリングとサブミッションのスパーリング。前者二つは他の練習で見ることがない約束組手と自由組手の間のような打ち込みを思わせるスパーでした。

「打ち込みとはまた違うのですが、松嶋にしても大塚にしても、今、何が必要かということを考えてこの稽古をすることになりました。〇分〇Rを何本という風に決めるのはトレーニングで、稽古とはできるようになるまでやることです。できるまでやる時間が欲しいけど、アスリートはともすれば予定のメニューを消化する練習になりがちです。

ですから、やれることをやるのがトレーニング。やれないことをできるまでやることが稽古であり、『稽古する時間が欲しい』と松嶋がまず言ってきました。そして11月に修斗の試合を終えた大塚と一緒に食事をして、彼もそういう想いがありました。結果、5年振りに2人が稽古をするようになりました」

──その稽古で何をできるようしているのでしょうか。

「えぇと、できるようにするというか──できないことはあり、できるけどもっと良くできることもあります。試合で勝つためにできることでなく、できないことを試しにやっていようと。

練習とは現実を想定していますが、結局はフィクションなんです。ミット打ちだ、シュートボックスのスパーリングだと言ってもフィクションを如何に、実戦に起こることに近づけるのか。それは誰もが苦心していることです。パウンドで思い切り顔面を殴るという練習はできないですからね。

そこでミットやシュートボックスというのは、彼らもそれぞれの練習で十分にやってきています。その練習で感じたことをここでぶつけ合い、あの2人と私とで体を使って会話をしているような感じです。

ガチスパーではなく、打ち込みでもない。それでいて実戦を想定している稽古なんです。ガチをやるための頭と心の考え方、武術的な理を学ぶ稽古です。レスリングやグラップリングはガチスパーができます。打撃でそれをするなら大きなグローブを使う。そうなると、もう5オンスのMMAグローブとは感触も違ってきます。

と同時に、彼らはキャリアがあるので、思い切り殴ることなく想定することで稽古ができています。ある意味、ガチスパーリングができたとしても、やる必要もないと私は考えています。当てる前の動作に気を付けていれば、試合で出すのではなくて出る状態を創れます。もちろん試合に出たことがない、顔を叩いたことがないという人にはできない稽古ではあります。

いくら自分が質量があっても、相手がより強ければ質量は落ちます。そこを想定して稽古をする。ウェルラウンダーが相手ならどうなるのか。そういう相手がいるとした状況で、稽古する。そして、意外とあの稽古で体力も削られています。

シングルに入って、そこで何を考えているのか。倒せたら何をするのか。倒せなくて反応された場合どうするのか。そこまで考えて、シングルレッグに入っているのかっていうことなんです。そこを考えて、何かをやり切ろうとすると体力的にも厳しくなってきます。ガチスパーではなくても。

ただ手を出す、足を出すのではない。蹴りにしても、どこを蹴って、どう効かせるのか。それはたまたま私が極真自体に先生に教わってきたことが、今、こうやってMMAでも同じことになった。大塚や松嶋の言っていることを聞くと、私自身が本当に勉強になります」

──武術をMMAに生かすために、型の次段階という風にも感じました。

「それがね、次というか──型そのものなんです。次の段階と思われたのは、それは繋がっているからですね。あの稽古と型が。その動作も型をやっている2人だからこそ、共通認識がある。型、基本稽古とMMAが繋がっています。だから、『ここはどうなりますか?』と問われると、『そこはクーサンクーの時の動きで』とか、『パッサイのあれだよ』という会話が成り立つんです。

だからといって型で勝つとか、そんなアホな話は一切しませんが、型をやることで2人がやっているMMAのトレーニングに、彼らの内面がよく見られるようになりました。MMAはボクシングも、キックもあって色々と迷うことがあります。そして迷った時は、型に戻ることができます。

基本、移動稽古もそうですね。そこが実戦を想定した、問いかけのある稽古に通じています。時間が過ぎるから消化なのか。問いかけを解決することが消化なのか。そこを理解していないと、こういう稽古は苦痛なだけになると思います。そこで必要なのは、自分を信じてほしい。自分にはこういうモノがあると信じられると、強くなります。私や武術空手を信じてほしいということではないです。自分を信じることができるための稽古です。

この稽古のために場所を提供してくださっているT GRIPの小幡太郎代表に感謝しています」

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Interview ONE ONE Big Bang ONE114 ゲイリー・トノン ブログ 松嶋こよみ

【ONE114】ゲイリー・トノン戦から3週間、松嶋こよみ─02─「大塚(隆史)さんと練習をすることに」

【写真】再び歩みだすしかない。(C)ONE

4日(金・現地時間)、シンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されたONE114「Bing Bang」で、ゲイリー・トノンとの大勝負に敗れた松嶋こよみインタビュー後編。

組技師との敗北で気付いた、MMAに不可欠な組み技力。そして松嶋はMMA界には打撃を伸ばすために、かつての同門であり先輩ファイターとのスパーリングを再開した。

<松嶋こよみインタビューPart.01はコチラから>


──今回の敗北を経験して、今後の練習方法などでも考えることはありましたか。

「明確にはなっていませんが、試合のためにグラップリングの練習をしていたのを普段から、トノン戦のような取り組みをしないといけないとかと……。普段から寝技を意識することができれば、もっと自分の打撃を伸ばすことができる。MMAで戦うためには、もっと寝技が強くならないといけないと思っています。

それと大塚(隆史)さんとの練習を週に一度ぐらいでやっていくことなりました」

──大塚選手ですか!!

「ハイ、もともとはAACCの先輩で岩﨑(達也)先生に打撃の指導を受けていたのですが、また一緒に練習することになったんです。やはり僕がやってきたなかで、レスリングと打撃を混ぜている人ってなかなか少なくて。

この間、スパーリングをしたのですが、大塚さんにテイクダウンを取られるんです。タイミング良く、入られたりして。結果、下、上と関係なくスクランブルの練習になっています」

──大塚選手との練習はどこで行っているのですか。

「T-GRIPです。岩﨑先生に見てもらって、打撃からテイクダウン、スクランブルまでのスパーリングです」

──武術空手の理が、MMAに生きるスパーということでしょうか。

「空手が生きるというか、打撃とレスリングの組み合わせで──レスリング出身同士、岩﨑先生の打撃を知っている者同士でもあります。そうしたら、スピードが合うんです。

トノンと戦って、凄くスピードが違っていました。僕のスピードで戦うことができれば、もっと良い動きが出せたはずです。結局、僕はトノンのスピードに合わせてしまった。結果的に打撃も入らず、中途半端になった。

自分のスピードに合った練習ができれば、そこを突き詰めることになるのではないかと。それを大塚さんとの練習で追及していければ良いかと思っています」

──試合中に我がままを通すには、相当の努力が必要になりますね。大塚選手との練習に関して、北岡選手はどのような意見なのですか。

「どうですかね……、そこに関しては特に深くは話していないです。ただ『横浜に練習に来てくれて良いから』と言ってくれています」

──岩﨑さんと松嶋選手が取り組んでいることは、MMA界においてもほぼほぼ理解されないことだと思っていたのですが、大塚選手は分かり合えるのですね。

「そうですね、大塚さんも必要だったから岩﨑先生と再び連絡を取り合うようになったと思うんです。会場で会って挨拶や話をすることはあったのですが、肌を合わせるのは4、5年振りでした。

成長した2人が練習するって言うのは、なんか変な気持ちです(笑)」

──変な気持ちなのですか(爆)。

「なんか心地良いことが、変な感じで(笑)。良い練習になっています」

──分かる者同士の練習が効果的なら、分かる人が多い方が良いわけですよね。ただし、そこが難しそうです。

「分かってくれないと練習にならない部分はあります。ただ空手が分かり、レスリングが分かっていても力量差があると、自分が圧力をかけても掛からない人もいます。だから大塚さんとの練習は、どこにいると危ないとか分かっている人との練習になるので、頭も動きも回転が速くなります」

──対戦相手には理解できないことを、理解できる練習パートナーと積むことができるという利点があるわけですか。

「試合になれば『危ない』っていう感覚は誰しもが持っているとは思います。マルロン・サンドロと戦った時、彼が僕の圧力を嫌がっているのが分かりました。もちろん、僕もサンドロの圧力が嫌でした。でもあの人は空手なんか全く知らないわけで。それでも、危険だ、嫌だという空気を感じることができる。

つまり知らない人に嫌だと思わせることはできるということです。そんな相手が嫌がる部分を養うことができる練習、試合に必要になるスパーリングを大塚さんとやっていきたいです。

トノンとの試合では、僕のエネルギーがどんどん小さくなっていきました。それをもっともっと大きくしていきたい。それが可能な練習だと思います」

──運命ではないですが、互いに一度は離れた指導者の下で手を取り合う。このタイミングだったのでしょうね。

「そう思います。大塚さんが修斗のタイトルに絡めるタイミングで再会できて良かったです。僕にとっても、大塚さんにとっても良い練習になるに違ないです」

──ではトノン戦の敗北を経て、2021年を迎えることになります。

「ここでまた躓きましたが、ONEで僕は本当に良い相手と戦うことができています。そのなかで、もう取りこぼせない。また負けられない試合が待っていると思います。

2連敗して、その先があるかといえば──それはないです。次の試合が今後のMMAファイター人生に大きく影響してくる。だからこそ、絶対に落とせないという気持ちで日々の練習に取り組んでいきたいです」

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【ONE114】ゲイリー・トノン戦から3週間、松嶋こよみ─01─「やられないイメージでやりすぎていた」

【写真】松嶋こよみの打が、ゲイリー・トノンの組みの圧力に敗れた(C)ONE

4日(金・現地時間)、シンガポールのシンガポール・インドアスタジアムで開催されたONE114「Bing Bang」で、ゲイリー・トノンとの大勝負に敗れた松嶋こよみ。

MMA界髄一といって過言でないトノンの寝技を凌いだ反面、打撃で支配することはできなかった。

現代MMA界でも非常に珍しくなった異種格闘技的な性格のある戦いを経て、松嶋は何を想うのかを尋ねた。


──ゲイリー・トノン戦から3週間、あの敗北をどのように捉えていますか。

「先週まで……2週間ぐらい毎晩、死にたいような気分になっていました(苦笑)。そこから練習を再開するようになって……気持ち的には一旦リセットはできてきたかと思います」

──勝つことはできなかったですが、不甲斐なさなど微塵もなかった試合だったと思います。

「結局、極められはしなかったけど、『じゃあ、お前が何をしたんだ』と問われると、僕は本当にただ守っただけだし何もできなかった。試合が終わってからも、ずっと力を出し切れなかった……という想いが続いています。

2Rまで相手のペースで、自分のやりたいことができていないことが分かっていても、3Rもああいう風に動けなかった。悔しいとかいうよりも、不完全燃焼という気持ちが強いです」

──最終回はトノンが、2Rまででセーフティリードと考え勝負をする必要がなく、その選択を全うしたので凄く難しかったと思います。

「そうですね。少し当てて離れれば良いという感覚で戦っているのも分かっていました。あのサークルケイジだと、追い回すことも難しく、無理から突っ込んでいくとカウンターのテイクダウンが来る……。だからこそ、3Rをあの状態で迎えてはいけなかったです」

──う~ん、とはいえ1Rのバック&RNCを凌いだことは確かです。

「でも、それほど苦しくなかったんです。そこまでガッチリとはトノンも極めにきていなかったような気がします。もちろん僕は守ることに徹するという展開だったわけですけど。

背中を取っている位置がかなり上の方だったので、絞めはそれほど深く入らないという感覚はありました。ただし、あれが続くと、攻防のなかで気持ちが揺らぎそうになりはなりました」

──もう諦めようと?

「そうですね……『負けか……。これでタップするのか』という自分の声も聞こえました。あの態勢を取られると負けるという前提で、ああならないように取り組んできたので。でも、そうなった時にどう対処するのかという練習をしてきたから、何とか耐えることはできた。そういうことだと思います」

──結果論ですが、2Rにテイクダウンを取られずに打撃で圧力を掛けることができていると逆転の目が大きくなっていた。

「その通りですね。自分の打撃で行こうと思っていました。ただ、そうするとすぐにトノンが離れる。一定の距離をずっと取られ続けていました。結果、リズム的にも難しかったです。

そうなると段々と自分の攻撃パターンが少なくなって。相手がサークリングをしてくるので、右の蹴りを出して止めようという意識が強くなりました。そして、練習をしていない蹴りを使ったことで、カウンターのテイクダウンを許すことになりました。

レスリングは大丈夫だという甘いが考えが、あのテイクダウンされる展開に至ったと思います。あそこで即スクランブルに持ち込むと、バックをまた取られて極められる。ならガードで落ち着こうとか考えたのですが、結局のところはトノンが全ておいて上手でした」

──タップしなかったことは、自信にならないですか。

「MMAだと、そんなに極められないんだということで逆に驚いたということの方が大きいです。あの展開になったら、アッサリと極められるだろうと思っていたので。だから自信というよりも、トノンを大きく見過ぎていたかもしれないです。

同時に僕がリードしていたらトノンもああいう風でない、極めに拘った攻めを見せていたかもしれないですし。とにかくトノンの作戦にハメられた試合で、絞めを取られなかったから──他の選手に取られることはないという感覚になるのは良くないです」

──なるほどぉ、深いですね。自分なんてトノンに取られなかったので、あとはどんな組みや寝技の強い選手、あるいは寝技のない選手にもガンガンと打撃で攻めることができるようになると単純に考えてしまっていました。

「圧力に関しては、これまでより掛けていけるんじゃないかという感覚はあります。ただ、これを経験したからこそ、もっとグラップリングの練習をしないといけないと思うようになりました」

──いわば異種格闘技的に捉えると、トノンの組みの圧力が松嶋選手の打の圧力を上回ったということでしょうか。

「そもそも今回は守る練習をしていた。防御を考え過ぎてしまった……勝つイメージよりも、やられないイメージでやりすぎていたというのがあるかと思います。

それって最初から攻撃より、防御に回っているということで。結果として、自分の圧力は落ちている。力が落ちていたのかという感じはします。今更ですけど、もっと自分の攻撃を信じて準備をすれば良かったと思います。

でも……あの練習をしていないとやられていた。そう言う分でトノンは攻略が難しいだけでなく、準備も難しい相手だったと思います」

<この項、続く>

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【ONE114】試合結果 松嶋こよみ、絞めを凌ぐも拳で恐怖は与えられず。ボカンは37秒KO勝ち

【写真】トノンの寝技を凌いだ、ウェルラウンダーの寝技には負けない&打で追い込める自信を元に、次へ向かってほしい(C)ONE

4日(金・現地時間)、シンガポールはシンガポール・インドアスタジアムでONE114「Big Bang」が行われた。

COVID19の影響で対戦カードの変更が試合当日まで見られ、結果7試合と1中継分の試合数としては活動再開後、最も多くの試合が組まれることなった。

注目の松嶋こよみ✖ゲイリー・トノンはテイクダウンからバック奪取で試合をリードしたトノンが判定勝ち。

松嶋はバックチョークを防ぎきるという部分で特筆すべき戦いをやってのけたが、打撃でトノンを封じ込めることはできなかった。

ストロー級注目のボカン・マスンヤネはタイトルコンテンダーのルネ・カタランを37秒KO勝ちし、一気にタイトル戦線へ。

またライブ中継2大会連続で第1試合に抜擢されたリトゥ・フォーガットもジョマリー・トーレスを危なげなくクルスフィックスからエルボーを連打しTKO勝ちを収めている。

ONE114「Big Bang」
<キック・フェザー級/3分3R>
○マラット・グレゴリアン(アルメニア)2R1分52秒
KO
×イワン・コンドラチェフ(ロシア)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
○ゲイリー・トノン(米国)3R
判定
詳細はコチラ
×松嶋こよみ(日本)
<キック・ヘビー級/3分3R>
○ムラット・アイグン(トルコ)3R
判定
×アンダーソン・シウバ(ブラジル)
<キック・フェザー級/3分3R>
○アンディ・サワー(オランダ)3R
判定
×ジャン・チュンユ(中国)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
○ボカン・マスンヤネ(南アフリカ)1R0分37秒
KO
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×レネ・カタラン(フィリピン)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
○ジヒン・ラズワン(マレーシア)3R
判定
詳細はコチラ
×ビー・ニューイェン(米国)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
○リトゥ・フォーガット(インド)1R3分15秒
TKO
詳細はコチラ
×ジョマリー・トーレス(フィリピン)

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【ONE114】トノンのバックチョーク、足関節も凌いだ松嶋こよみ──だが、拳を入れることはできず判定負け

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ゲイリー・トノン(米国)
Def.3-0
松嶋こよみ(日本)

左の蹴りを見せるトノン、誘いに乗らない松嶋だが逆に蹴り足を掴まれる。ここからパンチを振るい、組んでいったトノン。松嶋は切るが、トノンはジャンピングガ―ドからギロチンを仕掛ける。トノンが外し、松嶋は左を入れる。

トノンは組んで引き込むと、右腕を差し離れようとした松嶋のバックへ。ワンフックでバックに回ったトノンが、四の字ロックに。ツーオンワンで手首を掴んで防ぐ松嶋。トノンは自らの指と指を引っかけて喉下に右腕を入れようとする。

トノンはパンチから右腕をアゴの上から絞める。松嶋は手首を取ってはがしにいくと、トノンがパームトゥパームからRNCに組み直す。アゴの下への絞めを防いだ松嶋、ラウンド終了までの残り90秒だ。一度、胸を合わしに行った松嶋だが、トノンは許さない。トノンは右手で松嶋の右肩を掴み、足を跨いでマウントに移行しパンチを落とす。

再びバックに回ったトノンはケージを背負って、腕を差し入れる。松嶋は手首を掴み、腕を伸ばしてラウンド終了までサバイブしした。

2R、右前蹴りを見えた松嶋、テイクダウン狙いを切り、引き込みにもウィザーからヒザを蹴っていく。引き込んだトノンに付き合わず、立たせると松嶋は右ハイを蹴る。松嶋はテイクダウンのフェイクを見せたが、続く右ローにトノンが逆にダブルレッグを決めスクランブルでバックへ。

再び四の字ロックをとったトノンが、右腕の上から足をフックしていく。トノンは後方から鉄槌を入れるが、足をフックしていることで乗りすぎで絞めには入れない。ロールから上を取りたい松嶋が、ハーフガードに。足を抜かれると再び背中を取り切られるも、足を抱えてフックを許さない。

腹固めに入ったトノンが、続いてアームロックへ。松嶋は腕を抜いてトップへ。トノンはここでギロチンからバックを狙うが、振り落とした松嶋がパンチから顔面にヒザを入れる。さらに殴ろうとしたところでトノンが立ち上がり、ラウンドが終わった。

最終回、組むための打撃のトノン。松嶋は距離を取り、右ローから右フックを狙う。右ミドルを掴み引き込んだトノンのヒールにも鉄槌を入れて立ち上がった松嶋は、右ローを蹴る。

プレッシャーを掛けられたトノンに、松嶋が右ミドルを蹴っていく。組んだ松嶋は、自ら押し放して打撃の機会を伺う、残り2分40秒、松嶋は左ジャブを伸ばし、続いて右で顔を狙っていく。前に出て右フックを当てた松嶋は、回るトノンに左ローを入れる。スイッチ、サークリングを繰り返すトノンに対し、松嶋は右ミドル。トノンは左を合わせようとする。

組みを混ぜて打撃を入れる松嶋は、トノンの前蹴り後に距離を詰める。右フックの相打ち、離れたトノンに松嶋は右オーバーハンド──も空振りに。トノンは回り続け、松嶋は圧は掛けるがクリーンヒットはない。最後も組みを交えた松嶋だったが、ここで試合終了に。
互いにダメージは互いになく、グラウンドでドミネイトしたトノンが3-0で判定勝ちを収めた。最も未開拓の部分で、世界最高峰のグラップラーの攻めを凌いだ松嶋だが、2Rもバックを許したのが痛かった──。

トノンは「凄くタフな試合だった。でも、次の試合はタン・リー。ただ戦うだけじゃない、黄金のベルトを俺が巻く」と世界戦をアピールした。


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