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【FAW2024#03】格闘代理戦争決勝=中村京一郎と対戦、トミー矢野「極めた方がお客さんも盛り上がる」

【写真】監督であり、友人でもあるイゴール・タナベとツーショット(C)TAKUMI NAKAMURA

4年振りに再開したABEMAの格闘家発掘リアリティTVショー=格闘代理戦争-THE MAX-。17日(金)の決勝戦ではイゴール・タナベ推薦選手のトミー矢野が中村京一郎(監督:岡見勇信&中村倫也)と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

柔術の実績とバックボーンを活かし、1回戦では向坂準之助をマウントパンチでレフェリーストップに追い込み、準決勝では中谷優我をヒザ十字で秒殺したトミー。MMAでは格闘代理戦争までに5戦のキャリアを持つ中村に挑む図式ではあるが、柔術で国際大会にも出場し、世界王者を目指してきた“戦い”の経験では自分の方が上だと言い切った。


──決勝まで残り1週間となりました(※取材は10日に行われた)。準決勝から約1カ月という短いインターバルですが、この期間はどんなことを意識して練習していたのですか。

「寝技以外の部分、打撃とレスリングですね。テイクダウンまでの。やっぱりレスリングができないと自分の得意な寝技に繋がらないので」

──打撃・レスリングはそれぞれ誰に指導を受けているのですか。

「専門的なコーチはいなくて、色んな方に習っているのですが、主に岡田遼先生と(山本)アーセンですね。この2人がメインというか、色々と教えてもらっています」

──トミー選手はKRAZY BEEにも所属していたのでアーセン選手とは長い付き合いですよね。

「そうですね。アーセンがRIZINデビューした頃からの付き合いです。アーセンはレスリングで実績を残していますし、世界(世界カデット選手権)も獲っていますし、凄く良い技術を持っているので、信頼できますね」

――もう一人の先生=岡田選手はいかがですか

「岡田先生は修斗でチャンピオンにもなっているし、平良達郎選手や鶴屋怜選手のセコンドにも就いていて。そういう部分でも信用できる人で、MMA全般を教えてもらっている感じですね」

――番組内ではバトルボックスで良太郎選手から指導を受けるシーンもありましたが、バトルボックスでは打撃の練習をされてるのですか。

「バトルボックスはたまに行かせてもらっている感じで、ちょっとずついい形になってきました」

──ここまでの格闘代理戦争の試合についても聞かせてください。一回戦は2分33秒、準決勝は18秒と、どちらも1R決着でした。

「やっぱりダメージがなかったことが一番良かったことだと思います。格闘代理戦争は試合のスパンが短いじゃないですか。だから怪我せずに勝ちたかったので」

──1カ月スパンで3試合なので、打撃戦や消耗戦が続くと、コンディショニングが難しいですよね。

「しかも自分の場合は1月に柔術の大きな大会に出て、2月にアマチュアパンクラス(東京ケージファイト)にも出ていたので、今年はほぼ毎月試合しているんですよ。1回戦で相手のヒジを蹴って、ちょっと足を痛めたくらいで、ダメージなく決勝を迎えられてよかったです」

──トミー選手は1月に柔術の試合を終えて、MMAの試合が続いている状況ですが、完全にMMAモードなのですか。

「そうですね。アマチュアパンクラスに出た時からMMAモードに入りました」

──2試合連続で短時間でのフィニッシュでしたが、あれは体が勝手に動いたという感覚ですか。

「格闘代理戦争は1R3分なので、早く仕掛けないと一本勝ちするのが難しいんですよね。それもあって早く仕掛けている感じですね」

──ちなみに柔術時代はどういうスタイルだったのですか。

「寝技のスタイルは結構ガードに引き込むタイプで、あまりテイクダウンする選手ではなかったです。でもテイクダウンが苦手というわけではなくて、柔術だったら引き込むという戦い方でした」

──ルールによって組みの戦い方も変えているのですね。

「そうですね。MMAはなるべく自分からテイクダウンを取った方がいい。あまり下になるのはよくないので、なるべく上を取って極めるスタイルでいっています。準決勝はテイクダウンをディフェンスされたんで、ああいう流れ(引き込んでヒザ十字)で極めました」

──監督のイゴール選手からは準決勝後にどのような声をかけられましたか。

「試合が終わった後は凄く喜んでましたね。イゴールは僕が優勝するって本当に信じてくれているし、ダメージがなく勝てたこともイゴール的には良かったんだと思います」

――トミー選手がMMAをやる上で好きな選手・参考にしている選手はいますか。

「日本人だとKID(山本徳郁)さんに憧れていて、海外だとシャーウス・オリヴェイラですね」

──ああ…確かにトミー選手はオリヴェイラっぽいですね。

「めちゃくちゃ強いし、同じブラジル人で柔術家ということで、凄くインスピレーションを受けています」

──オリヴェイラもサブミッションという武器があるからこそ、打撃含めて思い切り戦っていますよね。

「そうですよね。いい意味でテイクダウンされることを怖がっていない。僕はまだ打撃が下手なんですけど、だんだんレベルアップしたら(オリヴェイラに)似たようなスタイルになると思います」

──トミー選手はフィニッシュして勝つことにこだわりはありますか。

「正直言うと、そこまでフィニッシュにはこだわっていなですね。テイクダウンして上を取って、パウンドで相手を削って勝てたらいいと思っています。ただやっぱりそういうスタイルよりも、極めた方がお客さんも盛り上がりますし、そっちの方が“綺麗”なんで、なるべくフィニッシュはしたいと思います」

──格闘代理戦争は他のアマチュアの試合でキャリアを積むよりもチャンスを掴める舞台です。トミー選手は注目されることは好きですか。

「2月のアマチュアパンクラスが終わってプロデビューの準備をしていたんですけど、格闘代理戦争に出るチャンスが来て。最初はプロ戦績5戦までの選手が出てくるということで、勝てるかどうか不安だったんですけど、チャンスだと思って、それを掴みに行きました。格闘代理戦争に出て、ジムの会員さんから声をかけてもらう機会も増えたし、柔術の仲間も応援してくれたり、すごく反響がいいです」

──決勝では中村京一郎選手と対戦することになりました。どんな印象を持っていますか。

「まぁ打撃が強いっていう感じですね。ただレスリングと寝技に関してはそこまでだと思っています。相手の打撃に付き合うつもりはないんで、自分からプレッシャーをかけて触れたらすぐ終わると思います」

──触れたら終わり、ですか。

「はい、触ってクラッチを組めたら四つ組みでもいいし、バックキャッチでもいいですし、とにかく触れたらすぐフィニッシュします」

──格闘代理戦争で優勝すれば、7月の超RIZIN03でプロデビューとなります。今は格闘代理戦争の決勝に集中していると思いますが、プロファイターとしての目標を教えてください。

「自分もDREAMや戦極があった頃にさいたまスーパーアリーナの試合を見ていたし、RIZINで試合することも夢だったんで、凄いチャンスだと思っています。セコンドとしてさいたまスーパーアリーナの花道を歩いたこともあるんですけど、凄い刺激を受けたし、子供の頃から選手として自分もこの花道を歩きたいという気持ちがあるんで、そこまであともう少しですね」

──トミー選手は試合になってもあまり緊張しないタイプですか。

「もちろん少しは(緊張)するし、僕も柔術の大会で世界の色んな国で試合をしてきて、緊張して自分の強さや力を出せなくて悔しい思いもしました。そういうプレッシャーには慣れていると思うし、大きな舞台になればなるほど、もっと自分の強さをだせるというか、そこは全然問題ないと思います」

――柔術も組み技とはいえ、1日何試合もやるものですし、レベルが上がれば心身ともにタフな試合になりますよね。

「そうなんですよ。初戦を勝っても怪我や消耗が激しいと次勝てないですし、柔術のトーナメントを勝ち上がるのはハードです。しかも僕の場合は自分の階級と無差別級に出ていたし、4週連続で試合に出ることもあったので、柔術で得た経験は大きいです」

──格闘代理戦争はキャリアの浅い選手たちがチャンスを掴む場ですが、トミー選手の場合は柔術の世界大会も経験していて、“結果を出して世界を目指す”ではなく“MMAをやる以上、世界一を目指す”というマインドのようですね。

「そうですね。柔術でも世界一を目指していましたし、MMAも同じですね。京一郎選手はMMAのキャリアでいえば僕よりも長いと思うんですけど、“戦う”ということに関しては全然自分の方が上だと思っています」

■視聴方法(予定)
5月17日(金)
午後7時~ABEMA格闘チャンネル

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【悲報】ベイノアと井上雄策、榊原社長に呼び出される模様

739: 実況厳禁@名無しの格闘家 2024/05/11(土) 18:04:32.83 ID:VvZbldNMa



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【格闘代理戦争】無敗の秋元強真がアラン“ヒロ”ヤマニハと対戦

540: 実況厳禁@名無しの格闘家 2024/05/10(金) 21:41:02.33 ID:zd0Dvt/fa
ふぁ?!ヤマニハ!


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45 AB F1 UFC ブログ

『UFC on ESPN 56: Lewis vs. Nascimento』の対戦カードを紹介

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 5月11日にミズーリ州セントルイスのエンタープライズ・センターで開催する『UFC on ESPN 56: Lewis vs. Nascimento』のうち当サイトでは未紹介だった対戦カードを紹介していきます。続きを読む・・・
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ONE ONE FF62 Report バットオチル・バットサイハン ファビオ・ハラダ ブログ

【ONE FF62】ファビオは組みつけず。バットオチルがボディを効かせて1R終了直前にパウンドアウト

【写真】グラジ出場で来日経験のあるバットオチルが、モンゴル人ファイターらしいパワフルな打撃で勝利した(C)MMAPLANET

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
バットオチル・バットサイハン(モンゴル)
Def.1R4分58秒 by TKO
ファビオ・ハラダ(ブラジル)

サウスポーのバットオチルが距離を詰めて右ローを放つ。しかしハラダがプレスをかけ、バットオチルにロープを背負わせた。組みに行ったハラダだが、これはかわされ、バットオチルがステップでロープ際を脱する。ハラダはダブルレッグを切られると、バットオチルの蹴り足を掴んだがテイクダウンはできない。ワンツーで攻め立てるバットオチルが、ハラダの右ヒジに左ストレートを合わせた。

打ち合いではバットオチルのストレーとがハラダの顔面を捉える。ハラダはバットオチルの左ハイはブロックしたものの、ストレートを連続で受けてしまう。組みに来たハラダを払い腰で投げたバットオチルがパウンドを浴びせる。ハラダも下から足を取りに行く。これにバットオチルが付き合わず、レフェリーがブレイクをかけた。

スタンドで再開後も、バットオチルの左ストレートが当たる。ハラダが頭を下げたところにバットオチルの左ハイがヒットし、さらに左ボディを突き刺すとハラダは下がる。ハラダをロープに詰めたバットオチルがボディ攻撃で攻め立て、右ヒザを突き刺すとハラダはダウンする。

バットオチルがバックからパンチを連打する。仰向けになったハラダに対し、バットオチルは立ち上がる。レフェリーがブレイクをかけると、再開後にバットオチルがラッシュをかけた。ダウンしたハラダに鉄槌を連打するとハラダの動きが止まり、レフェリーが試合を止めた。


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AB F1 MMA o UFC   ブログ

『UFC 301: Pantoja vs. Erceg』の結果を受けて公式サイトがランキングを更新/ジョゼ・アルドがバンタム級8位にランクイン

「日本が世界一」のランキング事典 (宝島社新書)


Latest UFC rankings update: Jose Aldo, Michel Pereira back on the charts after big wins at UFC 301(MMAmania)

 『UFC 301: Pantoja vs. Erceg』の結果を受けてUFC公式サイトがメディア投票ランキングを更新。以下、ランキングです。続きを読む・・・
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45 AB BELLATOR Road to UFC2024 Ep03 UFC キ・ウォンビン ブログ 雑賀ヤン坊達也

【Road to UFC2024Ep03】ワンマッチでキ・ウォンビン戦、雑賀ヤン坊達也「当て感が確信になりました」

【写真】4月の立川大会で、パンクラスファンに必勝宣言のヤン坊(C)MMAPLANET

18日(土・現地時間)&19日(日・同)に中国は上海のUFC PIで開催されるRoad to UFC2024。2日間で4エピソードが実施されるアジア発、世界最高峰への道──その2日目、エピソード03のワンマッチで雑賀ヤン坊達也が、キ・ウォンビンと戦う。
Text by Manabu Takashima

3月にアキラを衝撃的なハイキックKOで破り、ライト級KOPとなったヤン坊の下に多くのオファーが舞い込んだ。そこで選んだのが、Road to UFC――世界最高峰へのルートだった。

サラリーマンをしながら、強さを求めてきたヤン坊が掴んだ「ラストチャンス」はオーバー30の日本人選手にとって「世界への道を切り開く――戦いだ。


――3月にライト級KOPとなり、Road to UFCのワンマッチ出場。ヤン坊選手も海外を口にしてはいましたが、どこかUFCはないという空気だったかと思います。そのなかでひそかにRoad to UFCを狙っていたのでしょうか。

「実はチャンピオンになってから、色々な話が入ってきました。RIZIN、Bellator、そして8月にコンテンダーシリーズという話もありました。どれにしようかという話になった時に、マネージメントには8月まで待つなら6月ぐらいに試合がしたいという風に伝えていて。そうしたら『Road to UFCのワンマッチで戦うか』という話を貰ったんです」

――つまりRIZINやPFL傘下のBellatorでなく、コンテンダーシリーズを希望したということになります。

「一気に色々な話が舞い込んできて、頭がパニックになったような感じでした(笑)。そんななかで、やっぱり……世界最高峰に一度でも良いから触れてみたい。そういう気持ちがありました。それでも8月だったので、今回Road to UFCの話が来た時は『人生最後のチャンスかな』と思いました」

――とはいえRoad to UFCは予選です。PFL傘下のBellatorであれば本戦出場だったかと。

「そうだと思います。そこは凄く悩みました。でも、今、自分でも乗っているなっていうのがあって、とりあえず挑戦してみるのもありかと。やっぱり、世界最高峰に挑めるチャンスは年齢的にもないかと思っていたので……。そのなかで舞い降りてきたチャンスなので、これは何かあるのかと」

――とはいえ優勝して契約が確定するトーナメント戦ではないです。

「ハイ。でもワンマッチから契約にたどり着いた選手もいますし」

――一昨年はウェルター級ワンマッチ出場のチャン・ミンヤン、昨年はトーナメントが実施されているフライ級ワンマッチで2連勝したニャムジャルガル・トゥメンデムベレルがUFCと契約を果たしました。

「そうですね。今、考えているのは今回の試合に勝って話が進まなかったら8月のコンテンダーシリーズに出して欲しいと伝えるつもりです。もしくはRoad to UFCの準決勝大会のワンマッチだとか。せっかくUFCへのルートを登ることができているので、ここで機会を得て前に進もうと思っています。とにかく5月に勝つことが先決ですけど」

――表情も相当に引き締まっていますね。

「なんか、気合が入ります。そこまで実感が持てていないので浮つくこともなく練習できていますし、4月のボス(長岡弘樹DOBUITA代表)の試合が本当に凄まじくて。あの背中を見せてもらったので、応えないといけないと肝に銘じています」

――ただし、あの激闘後だけに長岡選手もなかなか練習に戻ってこられないのではないですか。

「ちょうど、この前の日曜日から組み技の練習は再開されています(※取材は7日に行われた)。今回はボスも試合の準備があったので、いつも通り練習させてもらっているソニックスクワッドで安田(ケン)さんに色々とお願いしたりしてきました」

――そのなか「サラリーマンでもやれる」という言葉が増えたヤン坊選手ですが、Road to UFCに向けても朝と昼は働きながら調整をしていると。

「そうですね、そこは変わらないですね。8時から定時は5時ですが、ほぼ毎日のように残業で7時まで仕事をしています。家に戻ってきて、10分ぐらいで支度をしてジムに行く感じですね」

――パンクラスの煽り映像で、足場で作業をしている様子が映っていたのですが、とび職をされているのですか。

「ハイ。もう10代からやっていて、去年から役職につきデスクワークが主になっています。現場は職人さんに任せているのですが、今でも手が足りていないときは自分で足場の組み立て、解体に回っています」

――いやぁ自分は大学の頃たった4年ほどですが、現場を経験していて。足場を組んでいたのですが、あの仕事をしていてよくMMAの練習を続けることができましたね。

「練習はしんどかったですね(笑)。でも、今は手配とかの方に回って頭を使い、精神的に大変になりました(苦笑)。以前は体がきつかったのが、今は頭がぼぉっとしている感じです」

――そこを乗り越えてもらって、こういうとアレですが……今のヤン坊選手ならキ・ウォンビンにはしっかりと勝ってほしい。それが本音です。

「自分も全く同じ気持ちです。勝たないとダメな相手です。経験豊かなファイターですが、打たれ弱い部分もありますし。倒して、倒されてという試合をして。少し怖いのは、フィジカルですね。組みのスタミナもありますし、ここは組んでみないと分からない。そこは怖いですね。

でも江藤(公洋)選手のように器用なケージレスリングをやるわけではないですし、去年の12月に粕谷(優介)選手と3Rを戦ったことも自信になっています。やっとMMAを見せることができたので、『できるんだぜ』って(笑)。あの試合ができるから、倒しにもいけます」

――では、どのような試合を上海のPIで見せたいと思っていますか。

「いつも通りですね。いつも通りの試合をすれば、負ける相手ではないです。一瞬でも、隙を見せたらいきます。そこを打ち抜きにいきます。なんか前回のアキラ選手に勝った試合で、自分の眼の良さを確信できるようになったんです」

――おぉ。

「当て感という部分が、確信になりました。ここで、このタイミングで打てば当たるという感覚になる。そうすると相手が倒れる……みたいな」

――それが欧米列強を相手にした時に、どうなるのか。本当に楽しみです。

「そのためにも、ここで負けるわけにはいかないです。KO勝ちが僕の代名詞になっているので、しっかりと倒しにいきます」

――UFCで勝ち進み、ファイター一本になるということを考えることはありますか。

「いえ、UFCで結果を残して家のローンを返せるようになれば良いなというのは考えますけど(笑)」

――アハハハハ。

「僕としては仕事を辞めることは考えていないです。仕事をしていて、どこまで行けるのか。それを皆に見てほしいと思っていますし。会社の人たちも、凄く応援してくれます。試合は有給の範囲でこなしていきますが、今日なんかでも急なメディカルが入ると、会社の方も会議よりもそっちを優先させてくれるなど、大目に見てもらっています(笑)」

――以前のヤン坊選手は、試合前は恐怖に押しつぶされそうな感じでしたが、今は凄くリラックスしているように見えます。

「そこもチョット吹っ切れてきました。自信が、そこを上回っています。ただリラックスして戦うとかは言えないですし、気だけは絶対に抜かないです」

――押忍。では、改めてRoad to UFCに向けて意気込みのほどをお願いします。

「ここでしっかりと勝って、戦うサラリーマンがどこまで行けるのか。そこを楽しみに見てほしいです。しっかりとKO勝ちをして、UFCとの契約を勝ち取りたいです。そうならなくても次の機会を手にして、この年齢でもUFCへの道はあるんだぞ――と切り開くつもりで戦ってきます。キ・ウォンビンも自分もラストチャンス。やってやりますよ」

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45 DEEP Grachan MMA MMAPLANET NEXUS NEXUS35 o ブログ 瓜田幸造 磯部鉄心

【NEXUS35】ミドル級トーナメント出場、瓜田幸造「自分が戦う姿を一番届けたいのは佐山先生です」

【写真】インタビューでは年齢・キャリアを重ねたファイターだからこそ出てくる言葉が続いた(C)MMAPLANET

12日(日)、東京都新宿のGENスポーツパレスにて行われるFighting NEXUS vol.35のミドル級王座決定トーナメントで瓜田幸造が磯部鉄心と対戦する。
Text by Takumi Nakamura

10戦前後のキャリアの選手が大半を占めるトーナメントで、30戦を超える試合を戦ってきた瓜田。2012年4月のロシアでの試合から約10年間で1試合と活動休止状態だったが、2022年にGrachan無差別級トーナメントに出場してからは定期的に試合を重ねている。

自らの道場を持って弟子を育てるなかで格闘技への向き合い方も変わる一方、デビュー戦から変わることのない師へ想い。トーナメントを控える瓜田に話を訊いた。


――Fighting NEXUSのミドル級王座決定トーナメント出場が決まった瓜田選手です。トーナメントのオファーを受けた時の心境から聞かせてください。

「去年11月のNEXUSの時にマッチメイカーの渡部修斗くんから話をいただいて、久々にミドル級で試合ができるなと思いました。ようやくミドル級にも選手が集まるようになったんだなと」

――直近の試合では無差別級が多かったですが、ミドル級で試合をしたいという想いが強かったのですか。

「もともと僕はパンクラスやDEEPではミドル級で試合をやっていて、当時は選手も多かったんですよ。それからロシアでも試合をするようになって、2016年10月の試合(Grachan25×BFCvol. 2で川口雄介に判定負け)から約5年半ほどブランクがあって。2022年5月にGrachanさんで復帰したんですね。僕も試合から離れていたのですが、格闘技の流れとしてミドル級の選手が減っているのを感じていて、復帰戦のオファーを受けたときも『今ミドル級の選手っているんですか?』と聞いたら『ミドル級は選手がいないんです』ということで。ウェルター級まで体重を落とすのは無理だし『それだったら無差別級でやります』ということで試合を組んでもらっていました」

――ようやく適正階級で試合ができる、と。

「はい。ミドル級で試合することが楽しみではありますね」

――瓜田選手はご自身の道場を設立されて、今はそこが練習の拠点になっているのですか。

「そうですね。3年前に道場を立ち上げて、何とか自分の練習ができるようになったので環境はいいですね」

――試合間隔が空いたのは怪我や道場設立の準備が理由だったのですか。

「実は5年半前の川口戦も2012年4月にロシアで試合をしてから約4年半ほど空いていたんです。自分はプロレスの試合や自主興行もやっていたので、練習は続けていたのですが、特にオファーもなかったので、自分から売り込んで試合をするつもりはなくて。でも自分も道場を立ち上げて、道場の代表として試合をしたいという気持ちが芽生えてきて。Grachanさんに復帰したい旨をお話したらすぐに試合を組んでくれて、そこから本格的に復帰することになりました」

――格闘技の向き合い方も変わりましたか。

「ブランク前の試合と比べると気持ちが楽になった部分はありますね。今振り返ると、当時は自分の中で『こうしなきゃいけない』というものに勝手に縛られていたんだなと思います。試合を重ねていたこともあって、モチベーションを上げるためにはどうしたらいいんだろうと考えたり。自分の感情に任せて戦っていなかったと思います。逆に今はすごく自由に戦えていますね」

――何か変わるきっかけはあったのですか。

「川口戦が4年半ぶりの試合だったのに緊張しなかったんです。試合するうえでの緊張感はあったんですけど。その時に精神的に自由になれたんだなと感じました。試合は判定負けだったんですけど、その時に自分が持っているものを出して勝ったらうれしいし、それで負けたんだったらしょうがない・受け入れるしかないと思えて。一種の悟りというか、達観したというか。今はそういう気持ちで戦っています。試合があるなら戦うし、戦いたいから戦う、ですね」

――今大会はTHE BLACKBELT JAPANの磯部鉄心選手と対戦することになりました。

「基本的に自分がやれることをやれればという考えなので、相手の映像があれば見ますけど、その映像も“その時”のものじゃないですか。情報として頭には入れておきますが、それに対して対策を練るということはないですね」

――このトーナメントを通して、どんな試合を見せたいですか。

「道場の弟子たちにも自分が戦う姿を見せたいですし、結果がどうなるにしろ一番届けたいのは………やっぱり佐山先生ですね。佐山先生のおかげで私は今もこうして戦えています、と」

――佐山先生とは試合が決まるとお話することもあるのですか。

「年に数回『体調いかがですか?』という連絡はさせてもらっているのですが、先生がご病気されてからはなおさら先生に届けたいという気持ちは強くなりましたね」

――佐山先生に届く試合をしたいという気持ちは常に変わらないですか。

「そうですね。自分はいつも入場前に『佐山先生、見ていてください』と気持ちを入れてから入場するんですね。それは今も変わらないですし、掣圏真陰流はまだなくならないぞってところを見せたいです」

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45 AB Black Combat DEEP MMA MMAPLANET o Road to UFC Road to UFC2024 Road to UFC2024 Ep03 UFC ブログ ユ・スヨン 野瀬翔平

【Road to UFC2024 Ep03】野瀬翔平と対戦、本命!?ユ・スヨン「道着の柔術なら、自分が二段階上」

【写真】試合運びから、野瀬の性格を見抜く──恐ろしい洞察力だ(C)MMAPLANET

18日(土・現地時間)&19日(日・同)に中国は上海のUFC PIで開催されるRoad to UFC2024。2日間で4エピソードが実施されるアジア発、世界最高峰への道──その2日目、エピソード03で韓国のユ・スヨンが、日本の野瀬翔平と対戦する。
Text by Manabu Takashima

この4月に返上をしたが、DEEPバンタム級のベルトを巻いたユ・スヨンはBlack CombatとNAIZA FCとアジアのバンタム級三冠だったこともある。

12月の敗北、1月のノーコンテストにもRoad to UFCの門が閉ざされることがなかった。3年連続、Road to UFCに挑む野瀬との対戦を前に本命といっても過言でない実力者ユ・スヨンの話を訊いた(※取材は3日に行われた)。


──Road to UFC出場が決まったユ・スヨン選手ですが、昨年12月にカザフスタンのNAIZA FCでダスタン・アマンゲルジ戦に敗れベルトを失い、1月のBlack Combatではフェザー級でキム・ミンウ選手とNC。直近の試合結果が良くないなかで、Road to UFCへの出場が決まった時はどのような気持ちでしたか。

「カザフスタンでの敗北、キム・ミンウ戦のノーコンテストは自分のなかで、良い経験になりました。あの2試合があったので練習に凄く集中できています。試合もそうですが、それまでの取り組みに関して自分が何をやって行けば良いのか、何をすれば良いのかが分かって良かったです。

カザフスタンでの試合は、今からするとMMAへの気持ちが弛んでいました。練習にも集中できていなくて、MMA熱が下がっていました。あの試合に負けて、キム・ミンウ戦では絶対に負けてはいけない。そういう風にMMAを始めた時の気持ち、初心に返ることができました」

──キム・ミンウ戦のユ・スヨン選手を見て、バンタム級が適正と感じました。

「今、仰っていただいた通りです。キム・ミンウと戦ってフィジカル面で厳しく、フェザー級ではパフォーマンスもバンタム級の時より落ちると思います」

──リーチなど、サイズ感も。

「本音を言えば、自分はバンタム級でも小さいと感じています(笑)」

──そしてRoad to UFCですが、初戦の相手は野瀬翔平選手。日本人選手と戦うこととなりました。野瀬選手の印象を教えてください。

「試合を見ている限り、勤勉で誠実な選手なんだと思います」

──えっ、試合を見てそのように感じるのですか、

「ハイ。常に基本を大切にしています。そして、不利な状態になっても決して心が折れることがない。そういう姿が度々確認できました。本当に普段から、地道な練習を頑張っているのだと思います」

──なんと……凄まじい洞察力ですね。野瀬選手の師匠の弘中邦佳さんは柔術で紫帯の力がないとMMAは戦わせないという基本を大切にする指導者です。

「MMAの試合を見てもレスリングより、グラップリング。打撃を使うグラップラーですよね。自分もそうです。好きなモノが同じファイター同士、どのような試合になるのか楽しみです」

──とはいえ、表情から余裕が感じられます。

「それはどんな相手と戦っても、自信を持って挑まなければならないです。そうできるように、日々の練習をしています。それでも野瀬選手は強いので、油断は禁物です」

──グラップリングはMMAより、番狂わせが少ないと思っています。この試合はMMAなので打撃もあるのですが、純粋にグラップリング力だと、野瀬選手と比較してご自身の力はどれだけだと考えていますか。

「サブミッションで仕留めることはできると思います。MMAでなく、道着の柔術なら自分の方が二段階は上です。それに野瀬選手はグラップリング偏重ですが、自分はもっと打撃とのバランスが良いです。なので打撃という部分では、スピニングバックフィストぐらいですね。注意すべき攻撃は」

──では、初戦で戦う野瀬選手以外にマークすべき相手は誰でしょうか。

「韓国のキム・キュソンと中国のダールミス・チャウパスゥイのいずれかと決勝で戦うことになるかと思います」

──つまりキム・キュソンと戦う透暉鷹選手、ダールミスと対戦する小崎連選手は初戦敗退だと。

「そうですね」

──キム・キュソン選手がパンクラス王者に勝つと?

「えぇ? パンクラスのチャンピオンなのですか」

──パンクラスを2階級制覇し、フェザー級でパン・ジェヒョク選手にも勝っていますが……。

「あっ……しっかりと試合を見直します(笑)」

──押忍(笑)。では野瀬選手との試合を非常に注目している日本のファンにメッセージをお願いします。

「野瀬選手が日本のファンに愛されていることは百も承知していますが、その日本で歴史ある大会=DEEPで自分はチャンピオンでした。日本の皆さん、応援よろしくお願いします」

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45 MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN LANDMARK09 キック ブログ 井上直樹 佐藤将光

お蔵入り厳禁【RIZIN LANDMARK09】佐藤将光自身が振り返る、井上直樹戦「“殺し”があるところを」

【写真】試合後の会見でも、時に笑顔を見せながら井上直樹との充実した15分間を振り返っていた佐藤(C)MMAPLANET

3月23日(土)に神戸市中央区の神戸ワールド記念ホールで開催されたRIZIN LANDMARK09。RIZIN2戦目となった佐藤将光は井上直樹に判定負けを喫した。
Text by Takumi Nakamura

戦前に両者が語っていたように、お互いの技術と戦略が複雑に絡み合った一戦。3Rのテイクダウンが勝敗を決定づける形となったが、そこに至るまでに様々な駆け引きや目に見えない攻防があった。

決して派手なフィニッシュや攻防こそなかったが、MMAならではの高度な技術戦の裏側になにがあったのか。井上・佐藤の両者のインタビューから振り返りたい。お蔵入り厳禁、まずは佐藤のインタビューをお届けしたい。


──前回の井上直樹戦は戦前の予想通り、高度な技術戦になったと思います。少し時間は経っていますが、あの試合にはどのような感想を持っていますか。

「もちろん悔しい気持ちはありますけど、試合までに作ってきたものや用意してきたものを試せたところは良かったなという。自分の力を全く出せずに終わる試合ではなかったし、自分が用意してきたものが結構ハマって、試合にそれを持ってこられた喜びなのか達成感なのか。そういう感情もあるので……どういう気持ちなんだろう」

──何とも言えない感情なのですね。試合結果に対する残念な気持ちがありつつ、動きの面では試せた部分もあるという。

「要所要所でバックテイクを逃げられちゃったなとか、もうちょっと詰めたときにこういう攻撃を出せたなとか、最後だったらテイクダウンをとられたあと、二重絡みにこだわらないで、もうちょい立つ動きを入れても良かったなとか。いろいろ思うところはありますけど、結構自分の中でいろいろ試せてスッキリしている部分ではあります」

──試合前にインタビューした時「井上選手は穴がないから、攻略すできるところを探している」と話していました。実際に立てた戦略とは?

「基本的にストライキングで行くつもりで、そこまでテイクダウンは狙わないプランでした。相手の動きが落ちてきてフィーリングで(テイクダウンを)取れるなら取る感じはありましたけど、基本的に最初は我慢する。井上君はジャブがすごく速くて、どの試合を見ても最初はジャブをついてローキック・ミドル・ハイも出して、そういう組み立てをやってくるので、それに自分が崩されないことを大事にしていました。

過去の試合を見ていると、井上君のジャブに崩されて雑にテイクダウンや打ち合いに行ってカウンターを食らったり、やられるパターンが多かったので、そうならないようにジャブは多少被弾する覚悟で、被弾しても慌てない・崩れないことを意識していました。

もちろん相手がステップインしてきたら、それを外しながら蹴る。ミドル系や左フックを使って、相手が左=自分にとって右に回るような展開を作りたかったんです。それで相手がスウェイ系の動きで崩れたところを追いかけて、空いているところを殴る。それを考えていました」

──では1Rはそこまで手を出さず、自分が崩れない・相手を見ようという考えだったのですか。

「見ようとは思っていないですけど、自分が崩れないように。もちろん攻めたかったのは攻めたかったですが、井上君はステップが速かったので、僕の攻撃を避ける、次に僕が行った時にはその場にいない、そんな感じだったんです。だから僕が井上君を追いかけて攻撃を出していたら、自分に隙ができて(距離を)外して戻ってくる井上君の攻撃をもらう予感があったので、井上君の攻撃を避けたら攻めに行かず、すこし距離を詰める。間合いをリセットするだけなんですけど、それで相手は動きが落ちてくると思っていました。

実際に1Rの最初のスピードがトップギアだとしたら、試合が進むと少しずつスピードも落ちて打撃の起動も見えてきて、これだったら後半は詰めていけるなと思いましたね」

──コンタクトが少ない展開でしたが、そういった布石を打つラウンドだったのですね。

「はい。ただし1Rが終わった時点で、このラウンドは取られた、このまま行ったら井上君のペースになっちゃうから、もう少し詰めていこうと思いましたね」

――2R以降は詰めていけるだろうという手応えもありましたか。

「思いっきり(打撃を)被弾したらもちろん効きますけど、ああやってちょっとズラしながらプレッシャーをかけていけば、行ける感覚がありました」

──実際に2Rからは佐藤選手が手数を増やして、前に出る場面も増えました。

「そうですね。手数を増やした…というか、距離を詰めた、ですね。距離が詰まって自分の射程距離に入ったら自然と手が出るようになるというか。遠いところで手を出すのはリスクがあるので」

──「攻撃して詰める」ではなく「詰めて攻撃する」ですね。そして2Rにはスタンドでバックを取る場面があったものの、井上選手にエスケープされてしまいました。あそこでバックキープできなかったところは悔やまれた場面だと思います。

「そうなんですよ。あそこはめっちゃ自分が得意な展開なんです。相手の左足にシングルフックして、対角の肩=右肩を掴む。そこでコントロールしようと思ったのですが、井上君の逃げ方が上手かった。ケージを使って背中に回られないようにしながら、落とされてしまいました」

──佐藤選手は襷掛けではない形で井上選手の右肩をクラッチしていましたが、あえてあのコントロールを狙っていたのですか。

「基本的に対角の肩と足をコントロールできていたら、バックコントロールできるんですよ。逆にシートベルト式の腕のクラッチ(襷掛け)はバックから落ちやすいんです」

──それはスタンドバックだからですか。

「いや、スタンドのバックでも寝技のバックでも同じですね。両足フックだったらシートベルトでもいいんですけど、片足フック・ツイスターフック系のシングルバックだったら肩をコントロールした方が安定しますね」

──なるほど。

「あそこからシートベルトにもいけるし、おんぶ系のバックキープにもいける。あとは足のフックをツイスターフックにして、股裂きやバックテイクにもいけるんです。最近練習でそれがハマっていたんですよね」

──色々な攻撃のパターンを用意していたわけですね。しかし井上選手もすぐに佐藤選手の腕を一本持ってディフェンスしていました。

「振り落とすのも速くて上手かったですね。腕を一本持たれて、そのままキープされるだけだったら、空いた方の手で殴ったりできるんですけど、その隙を与えてくれなかったです」

──そこから試合はスタンドに戻りますが、佐藤選手がジャブをかわして打撃で出ていきます。

「1Rでパンチのステップ、タイミング、軌道…がある程度分かったので、それでちょっと掴めた感はあります。完全に流れが来ている感じはありましたね」

──そして3R、ここも序盤から佐藤選手の攻撃が当たっていました。佐藤選手は細かくジャブを突いて次のパンチを当てるというよりも、単発ながら強いパンチを当てることが多いですよね。ここも右ストレートや右アッパーが当たっていましたが、自分の中で当てるタイミングやコツがあるのですか。

「当たる距離に入っているからじゃないですかね。相手の横をとれていたらアッパーが入るし、僕のストレートはモーションがなくて単純に見にくいと言われるんですよ。相手との距離・立ち位置で自然にパンチが出ていました」

――3Rはより自分がペースを掴めている感覚はありましたか。

「3Rはすごくいい感じで入れたのですが、井上君は絶対にどこかで(戦い方を)変えてくると思ったんです。実は1Rが終わった段階で、セコンドとは『どこかでテイクダウンに来るだろうな』と話していました。だから2Rと3Rにどこかでテイクダウンには来ると思っていて。そこは絶対に取られないようにしたかったのですが、取られちゃいましたね(苦笑)。あのダブルレッグは全く見えてなくて、入られてから気づきました」

──結果的にこのテイクダウンが勝敗を決定づける形になりました。あのダブルレッグは完全にタイミングを合わされましたか。

「そうですね。試合前は相手がテイクダウンに来てくれたら、それはそれでいい展開だと思っていたんです。最近は寝技にも自信がついてきていて、寝技の展開でも勝負できると思っていたので。井上選手はグラウンドで上を取るとパンチやヒジを狙ってくるので、むしろそうしてくれたらスペースができて、いろいろ狙えるなと。でも実際の井上選手はコントロール重視の寝技をやってきて、そこで僕が動けなくなってしまいました」

――あのグラウンドの攻防を振り返ると、下になった佐藤選手がアームロックを狙ったものの極まらず、トップキープを許す形でした。

「あのアームロックはもうちょっと落ち着いてセットアップすればよかったです。なんか凄く慌ててしまって、一度バタフライフックまでは作れたのですが、もっと体を丸めて相手の腕を手繰って、自分の体に寄せていたら、一緒にボールが転がるように丸まることができたんですけど、慌てて腕を伸ばすような形になって、それを潰されてしまいました。

あそこまでいったら、アームロックじゃなくて立つ方に切り替えても良かったなとか、あとからいろいろ出てきちゃいますね(苦笑)」

──井上選手もアームロックにとられた左手を股の下に入れたり、対処も早かったですね。

「あそこから井上選手は上にのぼって、僕の背中をマットにつけるようにコントロールしてきていた気がします。僕も井上選手の右足に二重絡みして、井上選手の左足を引っ張りたかったんですけど……最初にギロチンを狙って、そのままネルソン系に行ったのが失敗だったかな。

そのまま上体をロックされてヴァンフルーチョークみたいな形になったので。あれで密着されてしまって、自分と相手の間にスペースを作りたいけど腕が引っかかって出来ない。まいったな……と」

──動きたくても動きようがなかったのですね。

「あのまま動けなくなってブレイク待ちみたいになってしまい、自分からアクションを作れなくなったのが、敗因のような気がしますね」

──井上選手も上手かったですよね。ブレイクがかかりそうなタイミングになったら少し動いて。

「そうそう。上手くしてやられた感がありますね」

――最後も佐藤選手が潜りスイープを狙ったところで、右腕を足に挟まれてパンチとヒジを落とされる、そして肩固めで時間を使われる形でした。

「もっと右腕で股を担いで上げられればよかったんですけどね。あれが出来なかった時に、自分の足を立てて違う動きに切り替えれば良かったのかなと思いますし、そういう部分が足りなかったです」

──あの肩固めもそこまでタイトに極まっていなかったと思いますし、気持ち的にはもっと動いてほしかったという部分もありますか。

「でも僕が井上選手の立場でも、ポイントメイクする時間帯でしたし、あそこでリスクをとって攻めてくることはないのかなと思います」

――こうしてお話を聞いていても、佐藤選手にとって出来たこと・出来なかったことがどちらもあった試合だったということが分かります。

「自分のダメだったところを修正して、次こうやればいいんだというマインドになれていますね。僕は試合で何も試せないことが一番怖いというか、試合のために用意してきたものを出すことに意味があると思うし、今回はそれが上手く出来た部分もあります。最近ジムのアマチュアの子たちにも伝えるのですが、練習試合でもアマチュアの試合でも、何かを試すことが大事だと。

例えば格闘技経験のない子が柔道経験者と試合をしたら負けちゃうかもしれない。でも試合に向けてどうやって勝つか、どういう勝負を仕掛けるかを考えて練習して実戦で試す。そうやって試すことの方がよっぽど大事だなということに気づけて、それを自分の試合にも求めて、凄く良かったと思います」

──ただがむしゃらに頑張る、負けて悔しいだけじゃなく、もう一歩先の試合で感じること・分かることを、持ち帰ってくることが大事ですよね。

「(格闘技を)やっている以上は学びというか何かを得るためにやってほしいし、ただ試合に出るだけじゃなくて、何かを得て欲しい。試合に出て何かを持って帰ることを大切にしてほしいですね」

──では佐藤選手も井上戦で持って帰ってきたものがあり、それを日々の練習でも活かしているところでしょうか。

「そうですね。僕が負ける時はテイクダウンコントロールで負けることがほとんどなんで、そこの展開でもっと武器を増やさないといけないし、もちろん打撃ももっと伸ばさなきゃいけないし」

──単純にもっともっと強くならないといけない、と。

「そうなんですよ。全部やらなきゃいけないんで、MMAは。あとはやっぱり自分の形で、もっと決定的な場面を作らないと。試合と言っても結局はファイトなので、フィニッシュを狙わないといけない。お客さん相手の仕事でもあるから、フィニッシュを見せる試合ができるようになりたいと思っているので、自分の強い形を作る。

相手のレベルが上がってきても、それができる形を作ってフィニッシュできる選手になりたいなと。今はそこを考えてやっています。なんかRIZINでは上手い系の選手になっちゃっているので、そうじゃなくてしっかり“殺し”があるところを見せたいですね」

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