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【Gladiator021】世羅智茂─02─「柔道の阿部一二三、詩。キックの那須川天心。大嶋君はそういうレベル」

【写真】あの日──。防護服のスタッフに囲まれ、青木の視線を感じながらケージの感覚を確認していた世羅。今から見ると笑っちゃうほど、世間からズレていた空間には恐怖と期待、憤怒と義侠心が入り混じっていた(C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(日)、大阪府豊中市の176BOXで行われるGladiator021で、プログレスのフォークスタイルグラップリングで大嶋聡承と対戦する世羅智茂のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

世羅とケージグラップリングといえば、2020年春に行われた青木真也戦と岩本建汰戦が思い起こされる。新型コロナウイルスが猛威を振るうなか、世羅にとっては試合以上のものを考えるキッカケになったという。そして弱冠16歳の注目グラップラー、大嶋聡承との対戦についてどのように考えているのか。格闘技を通じて考える社会、そして若き新世代との戦いとは。

<世羅智茂インタビューPart.01はコチラから>


――おぉ、ロータス世田谷ですか。かつてケージグラップリングで対戦した青木真也選手や岩本建汰選手とも練習しているのですね。

「やっぱり青木さんと岩本さんは強いです。八隅孝平さんも強いし、みんな強いですね」

――いま思えば青木選手、そして岩本選手と対戦した時はコロナ禍の初期でした。

「そうでしたね。青木さんと試合をした時は、まだ新型コロナウイルスがどういうものか分からなかったじゃないですか。罹患したら、どうなってしまうのか……嘘か本当か分からない情報も多かったですし。でも僕は、気にしていなかったです。もし罹患したら万が一のことがあるかもという恐怖心はありましたけど」

――そんななかで、試合をすることに躊躇はなかったのですか。

「スタッフの方も防護服を着て、厳戒態勢の中で大会が行われていて。普通に考えたら、あの状況では大会を開催しないと思います。ただ、僕はオファーを頂いたので受けました。それだけですね。いま考えると、自分の考えも世間の感覚とズレていたのかもしれないです。

僕は常にそう思うようにしているのですが、『格闘技業界の感覚って世間とズレているんじゃないか』と。それはコロナ禍のなかで浮き彫りになって。普通に考えたら大会は開催しない。あの大会で誰か新型コロナウイルスに感染して、クラスターが発生したら――誰かのクビが飛ぶわけじゃないですか。それでも開催されたのは主催者の方の情熱によるものだと思います。ただ、そこで出場した僕も世間からズレていたのでしょうね」

――……。

「すごく記憶に残っているのは、弥益ドミネーター聡志さんが『もしもDEEPからオファーがあっても断るつもりでした』と仰っていたんです。弥益さんは一般企業に勤めている方で、それが世間一般の感覚だろうと思いました。そう考える人もいるんだなと思ったし、それも絶対に間違いじゃないです。ただ、自分は世間一般からズレたところにいるんだと気づいて。格闘技をやる限り、世間とズレていることは認識しておかないといけないと考えています……。答えになっているかどうか分からないですけど」

――世間とのズレ……そうですね。そもそも殴る、蹴る、極めるといった行為が一般社会でからズレている行為です。そんな格闘スポーツが社会で存在するためには、他のスポーツよりも情熱や信念が持っていなければいけないと思います。

「確かに、それらは世の中に必要のない行為ですからね」

――今の言葉を聞いて思い出すのは、世羅選手が柔術全日本選手権に出るため、京都から東京までヒッチハイクで向かっていたお話が懐かしいです。

「アハハハ! ズレまくっていますね。あの時はただ『やってみたい』と思っただけで(笑)。同時にコロナ禍によって、そういうことに気づかされたとは思います。ちゃんとコロナ対策してリスクを低くしたりとか……コロナ禍に限らず、会員さんのためにやるべきことは何なのかって、以前よりも考えるようになりました」

――まさに仰るとおりだと思います。すみません、試合の話からズレてしまいました(笑)。次の対戦相手、大嶋選手とは練習したこともあるそうですね。

「実は何回か練習したことがあります。割と最近まで、大嶋君がウチに出稽古に来ていて。もちろん対戦が決まってからは来ていないですけど」

――では練習で手合わせした感想も含めて、大嶋選手の印象を教えてください。

「まだ若くて学生だからこそ、好きなことやっていますよね。シンプルに強いし、今後はこういう若い世代がどんどん出て来るんだろうなと思いました。それは良いことですよ。格闘技が広まっている証なので」

――ただ世羅選手と大嶋選手の間には、年齢もそうですし帯色や実績にも開きがあります。その相手と世羅選手が対戦することにも驚きました。

「帯色や実績とか、そういうことは考えないようにしています。大嶋君も先日はフィニッシュに出たりとか、もうプロの舞台に立っている選手でもありますし。今の時代は若くても強いヤツは強いわけで、一人の選手として見るべきだと思っています。彼が若いから自分は試合しないと考えることもなく、まぁ良いかって(笑)。

海外には10代で強い選手がたくさんいて、強い選手は放っておいても出てきますからね。柔道でも阿部一二三選手や阿部詩選手は10代の頃から大人をブン投げていて、キックボクシングでも那須川天心選手とか。大嶋君も、そういうレベルの選手の1人だと考えています」

――その大嶋選手との試合は、どうなると思いますか。

「対戦することになって、すごく僕のことを研究していると思いますよ。すごく格闘技が大好きな選手で、いろんなもの見ていて知識も豊富ですし。しかも、ちゃんと考えて練習も試合もしている印象が強いです。まだ16歳でも、芯を持って行動できる子なんだなと感じますね。だからこそ、手強い相手ですよ。もう帯色とか実績とか、関係ないです。そもそも帯色も、今の年齢で黒帯が巻けないだけだと思うので」

――大嶋選手は年齢制限がなければ(IBJJFの規定で黒帯は19歳以上)、もう黒帯を巻いていてもおかしくない選手であるということですね。

「はい。海外だとIBJJFでは黒帯を巻けない選手が、他の団体で黒帯に出て優勝したりすることも多いですからね。年齢や帯色で考えていたら、こちらが危険な時代ですよ(苦笑)。試合がどうなるか、実際に組んでから考えることになると思います。ただ極力、下にはなりたくないですね。ちゃんとテイクダウンもスイープも狙っていきます」

――では最後に、試合に向けた意気込みをお願いします。

「大嶋君は若いけど強い選手です。圧勝できるとは思っていません。決して油断することなく、泥臭い試合でも僕は勝ちに行きます。会場はもちろん、無料放送もあるようなので、ぜひ視てください!」

■視聴方法(予定)
3月26日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator021対戦カード

<ストロー級/5分2R>
田中優樹(日本)
木村旬志(日本)

<バンタム/5分2R>
今村豊(日本)
谷口武(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
秋田良隆(日本)

<Gladiatorフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]NavE(日本)
[挑戦者]ニャムジャルガル・トゥメンデムベレル(モンゴル)

<バンタム級/5分3R>
神田T-800周一(日本)
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)

<55キロ契約/5分3R>
中務修良(日本)
エイドリアン・バトト・ジェマ―(フィリピン)

<Progressフォークスタイルグラップリング78.5キロ契約/5分✖2R>
世羅智茂(日本)
大嶋聡承(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・バンタム級/5分✖2R>
前田吉朗(日本)
江木伸也(日本)

<バンタム級/5分3R>
ゆうと(日本)
キム・ウィジョン(韓国)

<フライ級/5分2R>
中西テツオ(日本)
宮川日向((日本)

<フェザー級/5分2R>
フェルナンド(ブラジル)
藤岡陸(日本)

<ウェルター級/5分2R>
橋本健吾(日本)
阿部光太(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・バンタム級/5分✖2R>
ハシャーン・フヒト(日本)
花澤大介(日本)

<アマMMAバンタム級/3分2R>
佐藤フミヤ(日本)
北原蓮(日本)

<アマMMAバンタム級/3分2R>
平本丈(日本)
飴山聖也(日本)

<バンタム級/5分1R>
藤井丈(日本)
吉田開威(日本)

<バンタム級/5分1R>
武田純忠(日本)
有田一貴(ブラジル)

<フライ級/5分1R>
古賀珠楠(日本)
那須裕次郎

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Gladiator Gladiator021 MMA MMAPLANET NavE o Progress YouTube ゆうと キム・ウィジョン ジオゴ・ヘイス チャンネル テムーレン・アルギルマー パンクラス フェルナンド 世羅智茂 中務修良 中西テツオ 前田吉朗 大嶋聡承 平本丈 木村旬志 石黒翔也 長谷川賢 阿部光太

【Gladiator021】オーシマイキー聡承と対戦、世羅智茂─01─「MMAグローブを着けて分かったこと」

【写真】ケージとMMAグローブから、MMAとグラップリングがさらに理解できる──勉強になるインタビューです(C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(日)、大阪府豊中市の176BOXで行われるGladiator021で、世羅智茂がプログレスのフォークスタイルグラップリングに初挑戦。弱冠16歳の注目グラップラー、オーシマイキーこと大島聡承と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

ここ数年は柔術よりもグラップリングにシフトチェンジしている世羅が、プログラップリングマッチに出場する機会も増えてきた。そんななか、ADCCオセアニア&アジア予選で感じた世界のグラップリングと、今回MMAグローブを着けてケージで戦うプログレスのルールについて語ってもらった。MMAファイターがグラップリングで強くなるために生まれたプログレスについて、柔術家やグラップラーと考えるシリーズ――としたい。


――まだ正式発表はされていませんが、今大会の直前に世羅選手がプログレスのフォークスタイルグラップリングに出場すると聞いて取材をお願いしました(※取材はは3月18日に行われた)。

「長谷川賢代表からお話を頂いて、すぐに『良いですよ』と返答しました。ただ、フォークスタイルグラップリングはMMAグローブ着用だったことを忘れていて……。練習用にネットでMMAグローブを購入しました(笑)」

――おっ、それは興味深いです。そんなフォークスタイルグラップリングのお話の前に、まず昨年のADCCオセアニア&アジア予選について訊かせてください。

「もちろん優勝を狙っていたのですが、予想していたよりもレベルが高かった。それが素直な印象ですね。そういう世界を体感できたことは良かった一方で、自分はADCCルールに対応する準備が足りませんでした。特に立ちレスの練習が足りていなかったです。自分の中ではしっかり練習していたつもりですが、実際にやってみると足りないと感じました」

――それだけ現代グラップリングでは立ちレスの重要性が増しているわけですね。

「みんな当たり前のように立ちレスをやっていますよね。軽量級と重量級では、違ってくるとは思うんです。僕が出場した66キロ級で優勝したジェレミー・スキナーは、足関節や下からのサブミッション一辺倒で勝ち上がっていました。そのジェレミーも世界大会では2回戦負けで。いずれにしても立ちレスは必須だなと考えています」

――以前と比べて、どれだけ立ちレスの割合が高まっているのでしょうか。

「昔だと立ちレスの割合って半々ぐらいのイメージでした。ざっくりとした言い方になってしまいますけど、今は7~8割でしょうか。その立ちレスの展開次第で試合内容も変わりますよね。ノーギでは下からの攻めが難しくなります。ギを掴んで引っ張ることができないし、汗で滑るようにもなってくるので。重量級と比べて、まだ軽量級は下から動きやすいとは思います。

体重が軽い分、上からのプレッシャーも弱くなりますから。それでも下からの攻めを熟知していれば、上にいても対処できるじゃないですか。そうなると軽量級でも立ちレスが強いと有利になりますよね。世界大会の66キロ級で優勝したジオゴ・ヘイスも、立ちレスはメチャクチャ巧かったです。なぜあれだけ強いんだっていうぐらいで」

――それだけ立ちレスの重要性が増しているなか、プログレスのフォークスタイルグラップリングについては、どのように考えていますか。

「点差が開きにくいルールですよね。テイクダウン、リバーサル、バック、それと立ち上がったらポイントが入る。柔術と違ってパスとマウントにポイントが入らないので、ポイント差はつきにくいんじゃないかと思います。その分、他のグラップリングとは戦い方も違いますよね。やっぱりMMAに寄ったグラップリングルールなので。しかもケージで行われますし、グローブを着けることでも大きく変わってきます。

実際にMMAグローブを着けて練習してみると、想像以上に違いを感じました。ケージというか壁を使った練習よりも、MMAグローブのほうが慣れないです。僕も8~9年ぐらい前、アマチュアパンクラスに出たことがあって。それでも、改めて着けてみると『こんなに違ったっけ?』と思ってしまうぐらい感覚が違います」

――8~9年ぶりですか! それは違うでしょうね……。

「たとえばMMAグローブって、握りこもうとするとアンコの部分に引っ張られて、ブレーキがかかっちゃうんです。そうなるとクラッチも変わってきます。あと、いつもならワキを差せるところでも、アンコの部分が引っかかって腕を差し入れることができなかったり。あるいはRNCが難しくなったりとか……。柔術やグラップリングでやっている、細かい組み手が難しくなってきてしまいますね」

ただ、MMAグローブを着けて分かったことはあります。細かい手の動きが難しくなるので、必然的にMMAはシンプルな動きのほうが多くなってくるんでしょうね。MMA選手の方って、グラップリングの練習でもレスリングのような細かい組み手はやらないと思うんです。試合で必要ないのであれば、練習でも必要ない。そう考えるのは、仕方ない」

――なるほど。もう一つの要素として、ケージの存在があります。同じカルペディエムの石黒翔也選手は、「ケージがあるからこそマットの試合よりも相手が距離を詰めてきてくれる」と仰っていました。世羅選手にとって、ケージに対してはどのように考えていますか。

「あぁ、なるほど。石黒君が言っていることも分かります。ケージがあったほうが相手をコントロールしやすいですね。テイクダウンするのも、トップコントロールするのも。ただ、そこからサブミッションを極めるのは、マットよりも難しくなります。どうしてもケージがあって、回りにくくなってしまうので。マウントやバックを奪ってからの動きも違ってきますしね。そこは何を目的にするのか、そのためにどう動くのかによって変わります」

――では、そこまで異なるケージ・グラップリングに対して、現在は対策などを行っているのでしょうか。

「プログレスのオファーを頂く前からロータス世田谷に行っていて、MMAファイターの方々と練習しています。すると自然に壁を使った攻防になりますよね。柔術やグラップリングに役立つかどうかは分からないけど、とりあえず面白いから壁レスもやっています」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
3月26日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator021対戦カード

<ストロー級/5分2R>
田中優樹(日本)
木村旬志(日本)

<バンタム/5分2R>
今村豊(日本)
谷口武(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
秋田良隆(日本)

<Gladiatorフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]NavE(日本)
[挑戦者]ニャムジャルガル・トゥメンデムベレル(モンゴル)

<バンタム級/5分3R>
神田T-800周一(日本)
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)

<55キロ契約/5分3R>
中務修良(日本)
エイドリアン・バトト・ジェマ―(フィリピン)

<Progressフォークスタイルグラップリング78.5キロ契約/5分✖2R>
世羅智茂(日本)
大嶋聡承(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・バンタム級/5分✖2R>
前田吉朗(日本)
江木伸也(日本)

<バンタム級/5分3R>
ゆうと(日本)
キム・ウィジョン(韓国)

<フライ級/5分2R>
中西テツオ(日本)
宮川日向((日本)

<フェザー級/5分2R>
フェルナンド(ブラジル)
藤岡陸(日本)

<ウェルター級/5分2R>
橋本健吾(日本)
阿部光太(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・バンタム級/5分✖2R>
ハシャーン・フヒト(日本)
花澤大介(日本)

<アマMMAバンタム級/3分2R>
佐藤フミヤ(日本)
北原蓮(日本)

<アマMMAバンタム級/3分2R>
平本丈(日本)
飴山聖也(日本)

<バンタム級/5分1R>
藤井丈(日本)
吉田開威(日本)

<バンタム級/5分1R>
武田純忠(日本)
有田一貴(ブラジル)

<フライ級/5分1R>
古賀珠楠(日本)
那須裕次郎

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【Gladiator021】電撃参戦!! 江木とフォークスタイルグラップリング戦、前田吉朗「やることは単純ですよ」

【写真】普通にMMAの組み技をやれば勝てる。つまり、それがフォークスタイルグラップリングだ(C)SHOJIRO KAMEIKE

26日(日)、大阪府豊中市の176BOXで開催されるGLADIATOR021で、元DEEP&パンクラス王者の前田吉朗が、PROGRESSフォークスタイル・グラップリングで江木伸成と対戦する。

2021年11月に最後のMMAを戦ったあと、昨年4月に引退興行を行った前田だが、ここでまさかの試合出場――ただし、本人としては「現役復帰」というわけではないようだ。果たして、前田がフォークスタイル・グラップリングに出場する目的とは。


――まずは前田選手の現役復帰という発表に驚かされました。

「アハハハ。現役復帰というのは、ちょっと違うんですよね。嫁さんから『ネットで現役復帰という記事が出ていたよ。復帰するつもりなん?』と聞かれて。僕としては、この試合で現役復帰とか、そういうつもりはないです」

――えっ、すると今回のプログレス出場は……。

「単純に『グラップリングマッチ出ますか?』『出る』っていう感じですね。周りが思っているような、現役復帰というものではないです。ただ、僕がジムを立ち上げてから、ウチに通っている人たちは僕が試合をしているところを見たことがなくて。それでMMAは無理だとしても、グラップリングマッチなら出られるかなと思っていたんですよ。

ジムの指導で僕は『悩んだら、まずやれ。挑戦しろ』と教えるんです。その僕が、グラップリングマッチの話をもらっても『いやぁ自分は引退したんで……』と断ったら、筋が通らんかなって。僕自身が試合で戦う姿を見せることができたら良いかなと思いました。いざ試合が決まると自分の生活にもハリが出てきて、それを楽しむことができています」

――なるほどぉ。

「これから自分の戦う感覚って、どんどんズレていくと思うんです。今後試合に出るであろう子たちと自分の間で感覚がズレていく。そこで、まず自分の間隔が鈍らんようにしていきたいんですよね」

――選手として試合に向けた練習を行うのは、いつ以来でしょうか。

「平良(2021年3月の平良達郎戦)とやって以来ですよ。次のRIZINの試合(同年11月、砂辺光久戦)は代役として急に出ることが決まったんでね。とにかく数日間で動けるようにはしていきましたけど。あの時点で追い込む練習をしても、どうにもならんでしょうし(苦笑)。そのあと自分のジムを立ち上げて」

――現役を引退してから、ご自身の生活も落ち着いていましたか。今日の表情を見ても、現役時代と比べて平和な雰囲気があります。

「僕、現役時代はそんな雰囲気でしたか!? いやぁ、もう平和ですよ。もう自分が体を張ってどうこうという場面がないですからね。でも今回の試合が決まって、試合に向けた練習を始めたら――やっぱり自分の雰囲気も、スパーリングの内容も違うらしいです。僕の頭の中が試合モードになっているから、ずっと一緒に練習している子たちも『いつもと違う!』と思ったらしくて(笑)」

――アハハハ。昨年4月に引退興行を行ってから最近まで、体を動かすこと自体はあったのでしょうか。

「ジムを立ち上げてから1年ぐらい経って、『選手になりたい』、『試合に出たい』という子が、それなりの数おるんですよ。その子たちの相手をしているぐらいですね。でも週に何度かの選手練であったり、クラスの合間であったり――参加者の人数が奇数だと、相手がいない子が出て来ますよね。その子と一緒に体を動かしたりします。もちろん選手練のスパーに参加したりとか」

――そのように練習に参加したり、あるいは試合を観ていて『もう一度やりたいなぁ』と考えることはなかったですか。

「うーん、なくはないですよ。でも『やりたい! やりたい!!』と思うほどではないです。見ていて『頑張れよ!』と応援する気持ちだったり、試合内容によっては『俺が代わりに戦ったるわ!』と思ったり(笑)。ただ、引退してジムを立ち上げてからのほうが、試合を観るようになりましたね。映画のような感じで観ています。

もともと格闘技に対しては、見るより実際にやるほうが好きだったので。昔は見るのも好きだったのに、ある日を境に見んようになって……。でもジムには格闘技を好きな子が集まっているじゃないですか。その子たちと話をしている流れで、『じゃあ一緒に見ようよ』となったりしますね」

――その状態から、なぜ今回試合をするに至ったのでしょうか。

「それはラズが――」

――ラズとは……。

「あぁ、すみません。長谷川賢プログレス代表ですね。僕、彼のことをラズって呼んでいるんですよ。元DEEPメガトン級王者で、どすこい羅頭魔勢っておったじゃないですか。TRIBEの選手練で初めてラズと出会った時、すんごいデカかったので『あれ? どすこい羅頭魔勢が来てるんかな』と思って話かけたら『いえ、僕は長谷川賢です』って(笑)」

――アハハハ。

「今回、アマチュアの試合に出る平本丈っておるじゃないですか。平本蓮の弟で。その相手を探しているという話を聞いたので、『ウチに飴山聖也って選手がおるけど、どう?』と連絡したんですよ。そうしたらラズから『ちなみに吉朗さんは試合できますか?』と聞かれて、僕も軽い感じで『いいよ』って答えちゃいました(笑)」

――正直なところ、これまで前田選手がグラップリングの試合に出ていた印象が全くありません。さらに前田選手の場合、当然のことながらMMAでもグラップリングの展開はありましたが、打撃のない前田選手の試合を想像しにくいのは確かで。やはり打撃のために寝技、寝技のために打撃があったといいますか……。

「そうです、そうです。グラップリングの試合って、たぶん若い時に九州で兄弟子の武重賢司さんと一緒に、今成とタッグマッチで対戦した時以来やと思います(※2004年3月20日、クラブDEEP福岡大会)。別にグラップリングが嫌だったわけじゃないんです。それならMMAやったらエエやん、と考えていただけで。グラップリングも普通にできますよ」

――それはそうです(笑)。では、ラズが立ち上げて、グラジエイターで行われていたプログレスルールを観た印象を教えてください。

「ポイントについては聞きました。テイクダウン、リバーサルとバックを取ったら2Pで、引き込んだら相手に2Pが入る。それと下になってから立ち上がったり、脱出したら1P――ですよね?」

――はい、そうです。

「といっても、ポイントはどうでもいいです。ポイントのことは考えないというか……自分がポイントで優勢だったら考えるかもしれないですけどね。だけど試合の中では普通にテイクダウンは取りに行くし、極めるためにバックを狙うし、下になったら逃げるじゃないですか。やることは単純ですよ」

<この項、続く

■視聴方法(予定)
3月26日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator021対戦カード

<ストロー級/5分2R>
田中優樹(日本)
木村旬志(日本)

<バンタム/5分2R>
今村豊(日本)
谷口武(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
秋田良隆(日本)

<Gladiatorフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]NavE(日本)
[挑戦者]ニャムジャルガル・トゥメンデムベレル(モンゴル)

<バンタム級/5分3R>
神田T-800周一(日本)
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)

<55キロ契約/5分3R>
中務修良(日本)
エイドリアン・バトト・ジェマ―(フィリピン)

<Progressフォークスタイルグラップリング78.5キロ契約/5分✖2R>
世羅智茂(日本)
大嶋聡承(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・バンタム級/5分✖2R>
前田吉朗(日本)
江木伸也(日本)

<バンタム級/5分3R>
ゆうと(日本)
キム・ウィジョン(韓国)

<フライ級/5分2R>
中西テツオ(日本)
宮川日向((日本)

<フェザー級/5分2R>
フェルナンド(ブラジル)
藤岡陸(日本)

<ウェルター級/5分2R>
橋本健吾(日本)
阿部光太(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・バンタム級/5分✖2R>
ハシャーン・フヒト(日本)
花澤大介(日本)

<アマMMAバンタム級/3分2R>
佐藤フミヤ(日本)
北原蓮(日本)

<アマMMAバンタム級/3分2R>
平本丈(日本)
飴山聖也(日本)

<バンタム級/5分1R>
藤井丈(日本)
吉田開威(日本)

<バンタム級/5分1R>
武田純忠(日本)
有田一貴(ブラジル)

<フライ級/5分1R>
古賀珠楠(日本)
那須裕次郎

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【Gladiator021】Progress提供組み技戦=世羅✖オーシマイキー、前田吉朗✖江木、ハシャーン✖花澤

【写真】練習仲間でもある両者。強くなるためには、戦わないといけない。それができるのもグラップリングの良さ (C)MMAPLANET

26日(日)に豊中市176BOXで開催されるGLADIATOR021の追加カード、PROGEREE提供のフォークスタイルグラップリング3試合が発表された。

その3試合とはウェルター級の世羅智茂✖大嶋聡承戦、そして前田吉朗✖江木伸也、ハシャーン・フヒト✖花澤大介のバンタム級マッチ2試合だ。


オーシマキーこと大嶋、弱冠16歳の日本グラップラー最強候補が、ノーギ&道着ともに日本ライト級のトップ柔術家とジェネレーションギャップマッチに挑む。スタイル的には下になっても上を取り返せる&極めの世羅と、サブオンリータイプの大嶋がどのような攻防を繰り広げるか。

驚かされたのが、前田吉朗のグラップリングといえども現役復帰戦だ。PROGRESS実行委員の長谷川賢によると、グラジ1月大会を視察した前田が「面白そうやなぁ。ギャラ、ナンボなん? 戦ってみたいわぁ」と話しかけてきたことが出場のきっかけだったという。

そしてFINISH10の竹浦正起後に、江木が今大会出場を直訴。しかし、なかなか対戦相手が決まらないなか前田に連絡を取ると「やるでぇ」という返答があったという。ある意味、欲望と漢気の出場となる前田だが、MMAデビューを目指す江木としては──そこは一旦見ず、柔術家及びグラップラーとしての強味を全面的にぶつけてほしいマッチアップだ。

さらに意外なハシャーンフヒトと花澤大介という顔合わせ。なにより47歳の花澤の登場が、バンタム級というのは意外という単語のオンパレードだ。

前回のジェセフ・チェン出場のGLEDIATOR内PROGRESSから、Unrivaled、FINISH、KIWAMIと続いたプログラップリングの流れ。GLADIATORとPROGRESSがノーギ柔術世代別代表戦、元MMAチャンピオン✖MMAを視野にいれる柔術黒帯、MMAファイター同士の一戦という3試合でさらに紡いだといえるラインナップといえよう。

■視聴方法(予定)
3月26日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator021対戦カード

<ストロー級/5分2R>
田中優樹(日本)
木村旬志(日本)

<バンタム/5分2R>
今村豊(日本)
谷口武(日本)

<バンタム級/5分2R>
藤原克也(日本)
秋田良隆(日本)

<Gladiatorフライ級選手権試合/5分3R>
[王者]NavE(日本)
[挑戦者]ニャムジャルガル・トゥメンデムベレル(モンゴル)

<バンタム級/5分3R>
神田T-800周一(日本)
テムーレン・アルギルマー(モンゴル)

<55キロ契約/5分3R>
中務修良(日本)
エイドリアン・バトト・ジェマ―(フィリピン)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級/5分✖2R>
世羅智茂(日本)
大嶋聡承(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・バンタム級/5分✖2R>
前田吉朗(日本)
江木伸也(日本)

<バンタム級/5分3R>
ゆうと(日本)
キム・ウィジョン(韓国)

<フライ級/5分2R>
中西テツオ(日本)
宮川日向((日本)

<フェザー級/5分2R>
フェルナンド(ブラジル)
藤岡陸(日本)

<ウェルター級/5分2R>
橋本健吾(日本)
阿部光太(日本)

<Progressフォークスタイルグラップリング・バンタム級/5分✖2R>
ハシャーン・フヒト(日本)
花澤大介(日本)

<アマMMAバンタム級/3分2R>
佐藤フミヤ(日本)
北原蓮(日本)

<アマMMAバンタム級/3分2R>
平本丈(日本)
飴山聖也(日本)

<バンタム級/5分1R>
藤井丈(日本)
吉田開威(日本)

<バンタム級/5分1R>
武田純忠(日本)
有田一貴(ブラジル)

<フライ級/5分1R>
古賀珠楠(日本)
那須裕次郎

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【Level-G】グラップリング普及へ。高橋Sub P誕生。KROSS x OVERとプロ&アマ組み技大会Level-G発進

【写真】島村直希KROSS x OVER代表と高橋Submission 雄己Level-Gプロデューサー(C)KROSS X OVER

16日(日)に東京都新宿区の新宿FAVEで開催されたKROSS x OVER19内で高橋Submission 雄己がプロデューサーとしてKROSS x OVERと協力してグラップリング団体Level-Gを立ち上げることが発表された。

MMAでもなく柔術でもない。グラップリングという部門を日本に根付かせようと奮闘する高橋の次なる手は、Level-Gを旗揚げし英国のグラップリング大会=Polarisルールをベースとしたサブオンリーのプロマッチ及びアマチュアを整備していくことだった。


プロは10分1R、アマ上級はプロと同様のルールと試合時間、中級は5分1R、初級は3分1Rで中級以上はヒールフックもネック・クランクも有効となる。

まず11月17日の次回KROSS x OVER=GENスポーツパレス大会でプロ3~4試合とKROSS x OVERのアマチュア大会=NEXT.03でアママッチも実施される。

気になるプロマッチだが、まずは世羅智茂の出場が決まった。観賞スポーツとしてMMAの──、参加スポーツとして柔術の後を追う形のグラップリングだが、だからこそ様々な取り組みにトライできる良さがある。

引き続きLevel-Gプロマッチの対戦カードの発表を待ちたい。

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MMA MMAPLANET NEXUS28 o キャプテン☆アフリカ 世羅智茂 山田崇太郎 海外 濱岸正幸 西川大和

【NEXUS28】プログレス・ルールで濱岸正幸戦、山田崇太郎―01―「見どころが分かりやすい」

【写真】3月の西川大和戦の(C)SHOJIRO KAMEIKE

7日(日)、東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるNEXUS28で、プログレスのフォークスタイル・グラップリングマッチに山田崇太郎が出場し、濱岸正幸と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

グラップリング大会で数々の実績を持つ山田が遂にプログレスへ――その山田は、実は練習環境の縁からプログレス設立前、ルールがつくられる過程から知っていたという。プログレスをゼロから知る男が自身の試合の前に、プログレスの印象とルールの見どころを語ってくれた。


――山田選手がグラップリングマッチに出場するのは、昨年7月のクインテッド後楽園ホール大会(団体戦で出花崇太郎――キャプテン☆アフリカと時間切れ引き分け)以来となるのですか。

「そうですね。ただ、今回の話を頂いたのが10日~2週間前ぐらいで、それほどグラップリングの試合をやることを想定はしていなかったです」

――前回のMMAPLANETのインタビューでもMMAを軸にしていきたい、というお話がありました。今もファイターとしての活動の主軸はMMAにあるのでしょうか。

「はい。でもMMAとグラップリング、どちらが上でどちらが下かということはないです。要は練習環境として中心がGENスポーツパレスであり、そこでは礒野元さんにMMAの指導を受けているので、必然的にMMAが主体になりますよね。

世羅智茂君にGENへ来てもらってグラップリングの練習もしていますけど、それも頻度は週1ぐらいです」

――では、グラップリングの試合を目的としたグラップリングの練習には、それほど重点を置いていないということですね。

「グラップリングも好きなので、練習はしたいんですけどね。練習環境のせいではないです。環境は自分でつくるものなので。ただ、最近はその環境がなかったことは確かです。
以前は青木(真也)君たちとも練習していて、最近また青木君から『一緒に練習しようよ』と連絡が来たんですよ。今、青木君と僕で練習するのにちょうど良い場所を探しています」

――山田選手は現在、ご自身のトレーニングジム(PANDA GYM、東京都中央区人形町)を運営されています。昨年8月にジムをオープンしてから、いろいろと環境も変わったのでしょうか。

「いや、そうでもないですよ。ジムも雇われではなく、自分に裁量がありますし。僕たちのプロ練って昼に行われるじゃないですか。ジムでいえば日中はお客さんが来ない時間で、夜に戻ってからジムの指導もできますし、午前中も対応できますから。それを自分の裁量でできるので、良い環境だと思います」

――なるほど。では今回のオファーを受けるにあたり、以前からプログレスのルールや試合などはご覧になっていましたか。

「プログレスって長谷川(賢)さんがやっているじゃないですか。実はルールをつくっていく過程で、長谷川さんから相談されていたりしたんです。長谷川さんはGENの練習仲間ですから」

――おぉっ! プログレス設立をゼロからご存じなのですね。

「日本人選手がMMAで勝つための環境づくり、というコンセプトからスタートしましたよね。日本人選手が海外で勝つためには、どうすればいいか。どうやって育成していけばいいのか、というコンセプトは把握していました。でも自分自身が出ることは、念頭に置いてはいなかったです。だから今回も、オファーを受けてから改めてルールを勉強しました(笑)」

――では、その山田選手に改めてプログレスルールの印象をお聞きしたいです。

「要はMMAで殴られないためにテイクダウンやトップゲームが必要で、トップコントロールやグラウンドコントロールをしたほうがいい。ガードになったら殴られるからマイナスポイントで。上下が入れ替わったら、柔術でいうスイープでなくてもポイントが与えられる。とにかくMMAを想定したグラップリングですよね。このグラップリングで勝つことが、MMAで勝つことにつながるという。

柔術とグラップリングは今、競技性が専門化してきて、MMAとは離れた部分もありますよね。フットロックの攻防もそうですし、試合の中で立ち上がりにくいとか。そこでMMAに寄せたグラップリングのルールだと解釈しています。

そのルールの中で柔術家とMMAファイターも競い合えるという認識でつくっていると思います。やっぱりMMAより柔術のほうが、競技人口は多いですからね。MMAファイターの組み技の技術力を上げるために、柔術家の人たちに勉強させてもらう。そういうイメージを、自分で勝手に持っています(笑)」

――なるほど。そこまでのイメージを持っている山田選手に対して、以前から出場オファーはなかったのでしょうか。

「もしかしたら、あったのかもしれないですけど……。もともと僕は引っ込み思案なので、これまで自分から何かに出たいと言ったことは、そんなにないんですよね。グラップリングだとクインテッドぐらいで。それほど積極性がないんです(笑)。練習していて、お話をもらったら出るという感じです。

ただ、プログレスのルールは面白いですよ。同じグラップリングという枠の中であっても、強い選手というのは変わってくるんじゃないですか。まず青木君は強いよねって思います。青木君とも、このルールについて話をしたんです。結局はトップゲームになってきますよね。だからガードゲームが強い選手を相手に、たとえ寝技の力に差があったとしても、テイクダウンやトップコントロールで勝つことができます」

――確かに、そうですね。

「たとえば今はグラップリングで、ガードゲームに引き込まれてからパスできなかったとします。対して相手からアタックされていると、ポイントは入っていないけど負けることがありますよね。プログレスの場合は、その攻防に対して明確なポイントがある。トップコントロールにポイントが与えられるので、それこそレスラーが柔術家に勝てます。

一方で柔術家がトップを取られても下からサブミッションを取ったり、スイープしてトップから勝つこともできる。そういった見どころが分かりやすいですよね。この見どころが明確になってくると、もっと面白くなると思います」

<この項、続く>

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MMA MMAPLANET NEXUS28 o その他 パンクラス 世羅智茂 北岡悟 椿飛鳥 海外 竹浦正起 関原翔

【NEXUS28】ネクサス内プログレスで関原翔と対戦、竹浦正起「椿戦のヒールは北岡選手のアドバイス」

【写真】2戦目のグラップリングルールで、竹浦が何を魅せてくれるか(C)MMAPLANET

8月7日(日)、東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるNexus28で、竹浦正起がプログレス(フォークスタイルグラップリング)マッチで関原翔と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

竹浦は5月8日のHEATで行われたプログレスマッチで椿飛鳥に一本勝ち。さらに7月はJBJJF全日本ノーギ選手権アダルト黒帯フェザー級で優勝、グラジエイター・カップでエリート70.3キロ級で準優勝(同門の白木大輔とシェア)するなど、精力的に試合をこなしている。

カルペディエム三田のチーフインストラクターを務める竹浦がプログレスに挑む意味――そこには新たなプログラップラー誕生の予感がある。


――今年に入って、ハイペースで試合に出場していますね。

「そうですね。確かに結構、試合をしています。もともと僕は愛知県出身で、愛知県で格闘技をやっていた頃は、同じぐらいハイペースで試合に出ていたんですよ。ただ、東京に出てきてから3年半が経ったのですが、その間は自分の試合や練習の時間よりも、仕事にフォーカスする時間のほうが多くて。あまり試合に向けて練習に取り組むということができていませんでした」

――竹浦選手は愛知のNEXでMMAを始めて、現在はカルペディエム三田でチーフトレーナーを務めています。現在の道場運営のほうが優先だったということですね。

「はい。それが今は、自分の中で仕事の段取りなどを覚えてきたり、道場の運営も落ち着いてきました。そこで試合に出たいなと思って、最近はハイペースで試合をしています」

――出場している大会がギではなく、ノーギのほうが多いのは何か理由があるのでしょうか。

「もともとノーギのほうが好きだった、というのは大きいですね。最初はMMAをやっていたこともあって、入り口がギを着ない組み技でした。だから自分の中ではノーギやグラップリングのほうが、馴染みがあって。ノーギやグラップリングのほうが好きなんです」

――ではMMAから柔術に転向した際、ギで世界を目指すといった目標は持っていなかったのですか。

「いえ、柔術を始めた頃は、やるからには世界を目指そうと思っていました。でも格闘技を始めたのが20歳ぐらいでしたし、柔術に移ってもジュニアの頃からやっている選手には、なかなか勝てないですよね。小さい頃から積み上げているものが違いますから。僕も小さい頃から野球をやっていたので、それが分かるんです。昔から体に染み込んでいるものが違うじゃないですか。

とはいえ、25歳ぐらいまでは世界を目指して取り組んでいました。実際ムンジアルにも出て、海外の練習を見たりするなかで、そこにエネルギーを注ぐのは違うかなと思ったんです。そう感じてからは、ギで世界と戦いたいという気持ちはありません」

――一方ノーギでは先日、ADCCオセアニア&アジア予選が行われ、カルペディエムから世羅智茂選手も出場しています。ノーギで世界を目指すという考えはありますか。

「ADCCは出たいです。でも現状で勝てるかといえば、オセアニア&アジア予選ですらメチャクチャ厳しいと思います。ただ、2年後は出たいと考えていますね。道場の仕事もあるし、いろいろやっているので、どうなるかは分からないですけど……」

――カルペディエム三田といえば、キッズ日本一の柔術アカデミーと言われています。ご自身の体験から、この年代から教えていけば強くなる――といった気持ちはありますか。

「それはありますよね。今は小学校5年生や6年生の子が、大人のような試合をするんです。仮に彼らが大人まで柔術を続けてくれたら、凄いことになると思っていて。でも彼らに、他のことを捨てて柔術をやったほうがいいというわけではないんですよね。

あくまで柔術は習い事の一つというか。柔術って論理的な考えが必要になりますよね。そういう考え方を身に着けることも、幼少期の教育として大切なことだと思っています。だから今は、習い事の一つとして道場に通ってくれればいい、という考え方です」

――試合の話から逸れてしまいますが、現在カルペディエム三田に通っている中で、柔術で世界を目指したいというお子さんは多いのでしょうか。それとも習い事として来ているキッズのほうが多いですか。

「キッズで多いのが、カルペディエムの先生になりたいと。僕たちのような柔術の先生になりたいというお子さんが多いです」

――えっ、そうなのですか。

「そうなんですよ。だから僕の生徒の中に、柔術の世界チャンピオンになりたいという子はいませんね。先生みたいになりたい、そう言ってくれる子が多いです」

――すると道場で指導しながら自身も試合に出て、生徒に戦っている姿を見せるのは重要になってきますね。

「自分が試合に出る意味は、それだと思っています。キッズたちは今年も、JBJJFの全日本選手権でカルペディエム三田として優勝できました。2019年も優勝していますし、日本一キッズが強い柔術アカデミーと言われているかぎりは、自分自身も試合で示していきたいですよね」

――生徒さんたちは実際に先生の試合を見て、どのような感想を持っていますか。

「メチャクチャ喜んでくれていますね。クインテッドに出た時も、チケットを買って観に来てくれた子もいて。自分に柔術を教えてくれている先生が戦ってカッコいい、みたいなことを言ってくれたりします」

――5月7日には名古屋で行われたHEATでプログレスルールの試合に出場し、椿飛鳥選手に一本勝ちしています。その時は東京から離れていたこともあり、生徒さんも試合を観られなかったのでしょうか。

「さすがに東京から名古屋までは来られなかったんですが、PPVを買ってくれた親御さんが多かったです。これも今の時代らしいですよね」

――そのHEATで経験したプログレスのルールについては、ノーギの試合と比べて、どのような印象を持ちましたか。

「柔術ってパスガード、抑え込む、抑え込まれないという攻防が最初にあるじゃないですか。そこに高度な技術があったり、かなりのエネルギーを割きますよね。その攻防で決着することも多いですし。

でもプログレスの試合を経験して、自分の中で変わったのは――そのパスガードや抑え込む、抑え込まれないという攻防に労力を割かなくてもいいんじゃないか、ということなんです」

――というのは?

「パスガードの攻防で疲れきったところで極めに行くのではなく、その攻防を捨てたところから極めに行く。いろんなルールを経験して感じたことは、それですね」

――なるほど。前回の椿戦で開始早々バックマウントを奪いに行ったのは、そのような理由があったのですね。

「いきなり飛びついたのは、寝技の型にハメないというか、良くも悪くも柔術をやらない。あえて柔術ではないことをやっていくのが楽しい。それが今、僕が目指していることですね」

――その方向性は、プログレスルールに限らず……ということでしょうか。

「はい。でも先日のグラジエイター・カップは、きれいに柔術をやろうとしすぎたんですよ」

――土肥“聖帝”潤選手のトップからのアタックを、終始ガードで捌き続けていました。

「あれは柔術でしたね。完全に柔術で勝とうとしていました。今は練習している内容が、きれいに柔術をやろうとしない、ということですね。セオリーから外れていることも、結構やっています(笑)」

――もともとセオリー通りのことをしたくない、型にハマったことがしたくないタイプなのでしょうか。もちろん格闘技においては、セオリーを突き詰めたうえでのことかと思いますが……。

「アハハハ。ある程度のセオリーが身についたら、一般常識とされていないことをやりたくなります。その他大勢がイエスということに対して、ノーと言いたくなるタイプです」

――椿戦の攻防でいえば、引き込みでポイント献上を考えていないと言いますか……。

「そうですね……プログレスについては、わざとポジションを取らせてからエスケープするという練習しています。危ない状況をつくってから逃げて、自分が有利なポジションにもっていくという攻防ですね」

――それはプログレスのルールを生かしつつ、また新しい魅力的な攻防が生まれそうです。

「次の試合も、また前回とは違う内容になると思います」

――まず前回の試合のフィニッシュが、あまり見られない形でした。相手のシングルレッグをヒールフックで切り返して極めています。

「あれは北岡悟選手のアドバイスがありました。ケージで練習したかったので、試合前に北岡さんにお願いしてパンクラスイズム横浜を使わせてもらったんです。その時にケージを背負ってシングルレッグを取られる展開になり、ここで自分が飛んでみたら面白そうだなと思ったんですよ。

それで、やってみたら上手くヒールフックがハマって。北岡さんも『これは相手も引っかかりそうだよね』と言ってくれたので、実際に試合で使ってみました。アレは相手も想定外の動きだったと思います」

<この項、続く

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MMA MMAPLANET o イーサン・トーマス 世羅智茂 岩本健汰

【ADCC2022】オセアニア&アジア予選。岩本健汰は準決へ。イーサン・トーマスからバックグラブで3-0勝利

<77キロ級準決勝/6分1R>
岩本健汰(日本)
Def.3-0
イーサン・トーマス(豪州)

インターバルは2分少々、岩本の準決勝の相手は世羅智茂を下したトーマスだ。ロックアップから投げを潰され、下になった岩本がハーフからレッスルアップ。トーマスはギロチンで後方回転も、絞めを諦める。岩本はパス狙いのトーマスの足を取るが、引き抜かれて下の展開が続く。

左足をキャッチした岩本に対し、トーマスも足を狙う。直後にトーマスが左足を抜きに掛かり反転、起き上ってバック狙いの岩本に対し即胸を合わす。座り直した岩本はニーシールドからシングルレッグでレッスルアップ。頭を押したトーマスが、がぶっていく。頭を深く入れた岩本は3分になったのを確認して、アンクルピックへ。反応して左足を引いたトーマスの右足にシングルレッグを仕掛ける。

腰を上げた岩本だが、トーマスが足を抜く。一瞬座った岩本は、ポイントボードを再確認して立ち上がる。岩本はすかさずシングルレッグへ。嫌ったトーマスが首と太腿を抱えて後方回転、トップを取る。岩本は同時に右足をホールドし、スクランブルのトーマスがシングルレッグ。反転して頭を押し、逆にバックに回った岩本はフリーズが入り同体でマット中央へ。

残り1分50秒、同じ状態がしばらく続く力のこもった攻防でトーマスがビクトル投げも、即対応した岩本が反転。頭から突っ込み、バランスを崩したトーマスのバックを伺う。トーマスもすかさず立ち上がり、岩本はサイドバックで得点ボードを見やる。と、右足を掛けるように背中に乗り、亀になったトーマスに対して頭をつけて前方に落とされないようにして足を捩じ込ませようとする。

まず右足を入れた岩本は、トーマスの左足の外側から両足をフックする。ここから腕を取りつつ、一気に後方に体重を移動させた岩本が耐えきれずに体を浮かせて胸を合わせようとしたトーマスからボディトライアングルを完成させる。残り15秒を切っての3P奪取で、勝利を確信した岩本はマウントに移行しつつ時間に。小さく拳を握った岩本が、準決勝進出を決めて安堵の笑みを浮かべた。


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MMA MMAPLANET o イーサン・トーマス 世羅智茂

【ADCC2022】オセアニア&アジア予選。世羅智茂のチャレンジ、準々決勝でトーマスのダースで終幕

<77キロ級準々決勝/6分1R>
イーサン・トーマス(豪州)
Def.4分26秒by ダースチョーク
世羅智茂(日本)

2回戦は不戦勝だった世羅は、その2回戦で2017年アジア&オセアニア予選を制したノ・ヨングァンを破ったトーマスとの対戦となった。初戦同様に座った世羅の足首を掴んでパスを狙うトーマスが、上攻めで足を取らせず一瞬のレッグライドにも反応する。引き続きパスのプレッシャーを掛けるトーマスに対し、世羅はリバースデラもトーマスが上で激しく動く。

バタフライから足を絡ませていく世羅、ここからポイントが入る時間帯に。世羅はレッスルアップからリバーサルを狙うが、倒せず引き込む。これは元の位置関係に戻っただけで世羅に-Pはない。世羅のシングルを切ってギロチンのトーマスはダースに移行する。ルーズにしようと足首を掴んだ世羅だったが、タップし世界大会出場への挑戦は終わった。


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MMA MMAPLANET o 世羅智茂

【ADCC2022】オセアニア&アジア予選。後半戦で3P奪取からRNCで世羅智茂が一本スタート

<77キロ級1回戦/6分1R>
世羅智茂(日本)
Def.4分23秒by RNC
ジェイデン・チェルコウスキー(豪州)

直ぐに座った世羅は、ニーシールドでチェルコウスキーの動きをまずは制す。チェルコウスキーの右足首を取った世羅は、バック狙いの相手に外掛け外ヒールへ。体を重ねて極めを狙うも、ここはチェルコウスキーが足を引き抜く。逆に世羅の右足にヒールを掛けたチェルコウスキー。体を起こし、前転するように足を抜いた世羅に対しチェルコウスキーが必要に足を取りに来る。エスケープした世羅が座ったチェルコウスキーと向き合うと、試合はマット中央で再開される。

先背中をつけった世羅、足関節とバック狙いの攻防のなかでスクランブルから世羅がギロチン、がぶる形で上へ。チェルコウスキーが引き込むと、世羅は飛び込み十字へ。足を絡ませててバック狙いのチェルコウスキーから離れた世羅が再び立ち上がったところでポイント導入へ。

足を捌いてパスの世羅、ヒザを立てて防ぐチェルコウスキーを抑えてニーインからバックグラブ。ようやく、ここで3Pが表示される。そのまま世羅はRNCでタップを奪った。


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