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Interview J-CAGE Shooto2021#06 ブログ 岩本健汰 椿飛鳥

【Shooto2021#06】椿飛鳥とMMAデビュー戦、岩本健汰「そんなに甘くないということは分かっています」

【写真】もちろん打撃への慣れは必要だ。と同時に岩本は壁レスを2年以上もやり込んできたという強味もある(C)MMAPLANET

20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、岩本健汰がMMAデビュー戦で椿飛鳥と対戦する。

岩本といえば柔術と別物になってからのグラップリングを日本で最も究めてきたグラップラーだ。その岩本がAOKI PROJECTという特別な環境で、プロ修斗デビュー戦を戦う。グラップリング界には五輪スポーツのようなステイタスはない。しかし、MMAで通じるグラップリングのメソッドを岩本は、MMAファイターとの練習で確立してきた。

MMAデビューを直前に控えた岩本の想いとは。


──以前からMMAに興味を持っているという話はありましたが、実際に試合に出ようと決めたのはいつ頃だったのでしょうか。

「グラップリングをある程度やってから、MMAに進もうという気持ちはずっとありました。実際にMMAの試合に出たいと思ったのは、クレベル・コイケ対策で練習するようになった朝倉(未来)さんに誘われて、MMAの朝練習に行き始めてからです」

──グラップリングで世界一という目標を掲げていましたが、とにかく日本にいるとグラプリングは試合機会もほぼほぼありません。そういう状況でMMA転向が早まったというのはありますか。

「それは一つの要因としてあります。グラップリングだと先が見えないので」

──では今後はMMAに専心するということでしょうか。

「グラップリングを引退するわけではないです。ただ、優先したいのはMMAです。ADCCとかは勿論チャレンジしますが、どちらかといえばMMAを優先したいという気持ちでいます」

──グラップリングを日本で確立するのは、困難でしたか。

「グラップリングから離れるというわけではないです。Unrivaledもあるし、機会があれば出ます。ただMMAを優先しようと思っています」

──今回の試合というわけでなく、現状の組技の力でMMAへの適応はどの程度できると考えていますか。

「今の僕のグラップリングの技術体系は……かなりMMAグラップリングを練習してきたという部分があるので、そのまま使えるといえば使えます。ヒザやヒジを考えると、少し変わってきますが、ちゃんと上を取って抑えてサブミッションを極めるという点では、そのまま使えると思います」

──ぶっちゃけてしまうと、Road to ONEという話もあったと思います。でも、結果的にグラウンドのヒザ有りより北米ユニファイドのようが良かったという気はしませんか。

「ONEルールはグラウンドのヒザがありますらね。寝技のヒザの有無というのは、それほど考えていたわけではないです。相手だけでなく僕も使えるとはいっても、なかなか練習でも使えるものではないので」

──その点でいえば修斗は前日計量の北米階級に戻っていますが、当日の70.3キロというのはコロナ禍もしくはRoad to ONE方式ですね。

「椿さんは前日のフェザー級を希望していたようですが、試合決定から期間が短くて僕は65.8キロまでは落とせないと伝えました。前日の70.3キロだと椿さんも厳しいようで、折衷案のような形で当日の70.3キロで合意した形です」

──すでに戦いが始まっている感が伝わってくるやりとりです。私が椿選手なら『次回大会で前日計量のフェザーにしましょう』とか言ってしまいますけど、彼が折れた形ですね。

「僕自身はそこまで戦略的に考えていたわけじゃないですけど、優遇してもらえた感じはします」

──正直ですね(笑)。ところでロータス世田谷でMMA選手との練習をしている姿は何度も見てきましたが、MMAで戦うことを決めたトライフォース赤坂でも練習は続けているのでしょうか。

「今はロータスで見てもらっています。MMAの試合に出る時は、所属もロータス世田谷でやっていくことにしました。朝倉さんにMMAの練習を誘っていただき、MMAを始めた形なのですが、チームとしては考えると、やはり身近でずっとグラップリングの練習をさせてもらっていたのはロータスの人たちなので。朝倉さんもクレベル戦が終わってからも、『いつでも練習してくださいね』って凄く気さくに言ってくれたのですが、そこは線引きをしてMMAはロータスだけでやっています」

──MMAはロータスだけでということはグラップリングや打撃は、ロータス以外でも練習を?

「まず柔術やグラップリングに関してはイグルー所属のままで、指導も続けます。打撃はReBORN経堂というキックボクシング・ジムに時間のある時に行っています。それとロータスの月・金のグラップリング練習のあとで、八隅さんや宇野さん、北岡さんがマススパーをしてくれています」

──ズバリ、どのようなスタイルを目指していますか。

「現状、グラップリングを生かすMMAです」

──それはそうですよね。愚問でした。ではいきなりのプロデビューに関して、どのように思っていますか。

「そんなに甘くないということは分かっています。僕自身、アマチュアからやるつもりでもいました。ただ、この機会を貰ってプロ修斗で試合をさせてくれるということになったので、その機会を無にしたくはなかったです。青木さんからも、最初からプロという話を頂き、八隅さんも『グラップリングという武器があるから、いきなりプロで問題がない』と言ってくれたので。

正直、打撃に対応はできないと思います。ただ自分なりに、グラップリングをMMAで生かせることができる。それは練習を通して感じてきているので、勝つ自信は凄くあります」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月20日(月・祝)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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ABEMA J-CAGE Shooto2021#06 ブログ 川名雄生 西川大和

【Shooto2021#06】18歳の主張。川名雄生に挑戦、西川大和─02─「皆さん、穴がバレないよう戦っている」

【写真】選択肢が多い故に不自由になることが多いMMAだが、西川は豊かな発想でここまで戦ってきた(C)MMAPLANET

20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、川名TENCHO雄生の持つ世界ライト級王座に挑む、西川大和のインタビュー後編。

MMAが世界的に拡大していくなかで、国内の選手と比較しても、西川大和の存在と格闘技観は独特ともいえる。それは彼が生まれ育ち、格闘技を学んできた土壌によるところも大きい。

MMA、格闘技に正解はない。ただし、ファイターにとって正義は存在する。それは試合で勝つこと。西川にとって自身の正義を証明する舞台が近づいている。

<西川大和インタビューPart.01はコチラから>


――確かにライト級は、様々な国からファイターが集まる階級の1つです。そういった海外のMMAファイターについて研究することは多いのでしょうか。

「自分が戦っているライト級を中心に見たりはしますが、そこに偏ることはないです。何事に対しても思考回路を柔らかくしようと思っていますので、何か一辺倒に偏ることはないですね。もともと試合映像を見て技術を取り入れたりする、といったことは少ないんです」

――えっ、そうなのですか。

「はい。今のところ、そこまで考えてはいないです。今のところ、ではありますけど。今のMMAって、そこまで選手によって大きく異なっているところは少ないと思うんです。やっていることは、だいたい似ているんじゃないでしょうか」

――試合で見せる技術は同じでも、選手によってベースが違ったりはしますよね。

「その意味では、僕はMMAの試合を見ることは少ないかもしれません。どちらかというとボクシング、キックボクシング、柔術といったMMA以外の競技を見ています」

――すると、MMAで誰かの試合を参考にしたり……といったことはないのですか。

「MMAでは――TOP FCのフェザー級王者がUFCに出場しているじゃないですか」

――チェ・スンウですか。現在UFCで3連勝中ですね。

「彼はキックボクシングの技術が高いので、それを参考にさせていただいています。それよりも他の格闘スポーツを見ながら、どうすればMMAに生かせるだろう? そういう視点で試合映像を見ていることが多いです」

――他の格闘スポーツだと、どのような選手の試合を見ていますか。

「ジョルジオ・ペトロシアンや、シュートボクシングの海人選手、那須川天心選手と対戦している四朗選手の試合動画を見たりしています。ただ、それも特にこだわっているわけではないんですけど……。そうやって他の格闘スポーツを見て、自分に足りないところを埋めていきます」

――では、次の対戦相手である川名選手をはじめ、国内のMMA王者は気になる選手はいますか。

「もちろん試合を見ることはありますが、そこで対戦相手としてどうと考えることはないです。誰が対戦相手になっても、自分自身の技術を向上させていくことのほうが大切だと思うので」

――西川選手の格闘技観として、その点は一貫していますね。

「いろんな選手の試合を見て思うのが、皆さん、自分の穴がバレないように戦っているじゃないですか。でも、それでは穴が残っているままであって、ずっと自分の穴が怖いまま戦うことになる。それよりは、自分が怖いと思っている穴を埋めてしまうほうがいいと思うんです」

――その考え方は分かります。一方で、MMAはやることも多く、そのぶん埋めるべき穴も多いかもしれません。

「そうですね……僕の練習は、いろんな指導者がいないところでやっているから、可能なのかもしれないです」

――というと?

「他のジムだと、それぞれジムごとのスタイルがあると思うんですよね。そのスタイルを学んでいくと、どうしても穴ができてしまう。僕は、何かこうというスタイルで練習するのではなく、MMAとして自分にある穴を埋めている感じです。そして試合は、自分の今の実力を試す場だと考えています」

――それは、次の世界チャンピオンシップも同じですか。

「修斗のベルトに挑戦できることは、もちろん嬉しいです。でもそれ以上に、次も特別な試合というよりは、自分の実力を測る場ですね。何かの目標を持った時、その目標を達成するために必要なものを一つひとつ得ていくことが、向上心ではないかと思うんです」

――西川選手にとっての目標とは、UFCやONEなど海外大会で戦うことなのですよね。

「はい。かといって、修斗のチャンピオンシップが、海外に行くための測りだというわけではないです。自分自身のことを測る場ですね。だから、川名選手のことを舐めているとか、決してそんなことはないです」

――西川選手の場合、いろいろと発言が誤解されそうですね。

「よく『相手のことを舐めているのか?』って言われたりしますけど、僕はそんな偉そうなことを言える立場ではないですし。ただ常に、先にある未来を見据えて練習しているだけなんです」

――なるほど。

「練習でやってきたことが、試合で何パーセント出せるかは分かりません。でも自分が練習でやってきたことを試合で出す。どんどん試していって、穴があれば埋めていく。そうしていくことによって、目標としている未来に繋がっていくと信じています」

■視聴方法(予定)
7月25日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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ABEMA MMA Shooto2021#06 チャンネル 修斗 後藤丈治 海外 石橋佳大

【Shooto2021#06】激闘王の本音。後藤丈治戦へ、石橋佳大─02─「激闘でチヤホヤされてもダメ」

【写真】グラップリングでは冷静、熱くならない石橋(C)MMAPLANET

20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、後藤丈治と対戦する石橋佳大のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

激闘王と呼ばれる石橋が試合で目指すのは、激闘しないことだった。意外な言葉が言聞かれたインタビュー前編に続き、後編では石橋が現状と後藤戦について語る。次の試合が激闘になるか、あるいは違う展開になるのか――そのカギは石橋が握っている。

<石橋佳大インタビューPart.01はコチラから>


――「正直、激闘はしたくない」とのことですが、激闘が続くと試合結果だけでなく、ダメージが溜まることも心配にならないですか。

「自分が昔より打たれ弱くなっていることは、僕自身が練習していて分かっています。練習でも試合でも、一発打たれると気持ちが上がってしまうことがあるんです。ファイターズ・ハイというんですかね」

――ファイターズ・ハイの状態になってから勝つ選手もいますよね。

「僕はダウンした試合でも、ダウンした後のほうが動きも良いこともあります。やる気スイッチが入るというか。でも、そこでエキサイティングしすぎないほうがいいんですよね。我慢して、むしろ試合を有利に運んでいる時こそ、行かない。攻めていけそうなところでも、無理には行かない。そこは、自分自身との戦いです」

――激闘の結果、ファンの記憶に残る試合になっていることは間違いありません。その一方で星を落とし、現在は世界ランキングからも落ちている現状については……。

「見ている人の記憶に残ってくれているのは、ありがたいです。でも選手の本質は、試合で勝って、ランキングに入って、ベルトを巻いて……ということじゃないですか。今は僕が試合をするというだけで、激闘を楽しみにしてくれる人がいる。でも、そうやってチヤホヤされていたんじゃダメだと思います」

――そんななかで、今の石橋選手にとってMMAを戦う目標は何なのでしょうか。

「修斗のランキングを見て、今の時点では『もっとランキングで上に行きたい』とか『ベルトを獲りたい』――ましてや、海外の大会に出たいとかっていう気持ちはないです。もしかしたら、強くなりたいという気持ちも、ないかもしれません」

――えっ……。

「今は、目の前にある試合に勝って次の試合へ――それだけを考えています。とにかく勝ちが欲しい、それだけです」

――分かりました。その次の試合は、後藤丈治選手と対戦します。まず後藤選手の印象を教えてください。

「後藤選手は打撃が中心のファイトスタイルで、しっかり打撃をやってきた正統派の選手だなって思います。今も強いし、これからどんどん強くなっていくでしょうね。彼の試合映像をしっかり見始めたのは、対戦が決まってからですけど、もしかしたら試合することもあるかなとは以前から思っていました」

――後藤選手といえば、やはり左ミドルを軸とした試合運びです。石橋選手にとって、後藤選手との相性はどうでしょうか。

「相性は悪くないと思っています。僕が組んでいって、後藤選手が組み合うのか、あるいは突き放して打撃戦を選ぶのか。彼の出方次第じゃないですかね。彼も組みの練習は十分やっていると思うので」

――石橋選手と後藤選手は、ともに藤井伸樹選手との対戦経験があります。石橋選手はアップダウンの激しい展開の末、試合時間残り10秒で藤井選手にKO負け。一方の後藤選手は、2R以降は藤井選手にテイクダウンとバックマウントを奪われ判定負けを喫しました。

「正直、僕が後藤選手に勝つなら、同じような展開になると思います。藤井選手の試合運びを参考にするというよりは、自分が得意なものを考えた時、一番近い展開が藤井選手と後藤選手の試合内容になるのかな、と」

――もちろん、後藤選手もそこは警戒してくるでしょうね。

「彼も藤井戦を経験して、自分の弱いところは鍛えてくるでしょう。僕にとっても難しい試合になるのは分かっています。そんななかで、自分が勝つ展開に持っていきたいですね」

――嫌な聞き方かもしれませんが、後藤選手の左ミドルや左ストレートを食らっても、エキサイトせず自分を制して戦うことはできるでしょうか。

「いやぁ、彼の打撃をモロに食らったら、自分のスイッチが入る前に試合が終わってしまいますよ。それだけ後藤選手の打撃は強い。だから相手の攻撃をもらう前に、しっかり自分の展開を作っていきたいです」

――現在、石橋選手は所属がDuroジムからZEEKジムに変わっていますよね。このZEEKジムについて教えてください。

「もともとDuroジムの支部だったんですけど、コロナ禍もあって経営の体制が変わるなかで、しっかりMMAの練習ができる環境として独立された形です。……うん、そうですね」

――……何か思うところがあるのでしょうか。

「えぇと……実は藤井戦が終わって、もういいかなと思った時もあるんです」

――それは、引退するという意味ですか。

「そうですね。でも、みんな大変ななかでZEEKジムという場所を作ってくれた。そこで自分がZEEKジム所属として何も残せないまま、引退していいのかなと思って。ZEEKジム所属として試合したい、そう思って出場したのが前回の論田戦だったんです」

――……。

「僕が試合に出るのは、自分が勝って気持ちよくなるための自己満足です。そんな自分でも試合で勝てば、ジムへの恩返しになるなら……って思います」

――分かりました。最後に、こういったインタビューだと締めとして「次も激闘を期待しています!」と言いたいところですが、今回は勝手が違いそうですね。

「あっ、それなら一つ言っていいですか」

――もちろん、お願いします。

「次の試合が決まってから、よく言われるんですよ。後藤選手は若くて強い選手だけど、石橋選手も頑張ってね、とか――完全に後藤選手ありきの試合だと思われていて。それがちょっと癇に障るので、試合に勝って言ってやりますから。『ポジションゼロ! ケージの中の主役は俺だ!』と」

■視聴方法(予定)
7月25日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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ABEMA News Preview Shooto2021#06   ブログ 岩本健汰 椿飛鳥

【Shooto2021#06】最後の隠し玉は岩本健汰。AOKI PROJECT発動、MMA初陣で椿飛鳥と対戦決定

【写真】有情も無情もとれる、岩本のデビュー戦の相手として指名を受けた椿だ(C)MMAPLANET

15日(水)、20日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06でAOKI PROJECT提供マッチとして70.3キロ契約(※当日計量)=岩本健汰✖椿飛鳥の一戦が組まれることが発表された。

グラップリングではなくプロ修斗公式戦、つまり岩本がMMAデビューを迎えることとなった。


宇佐美正パトリックに続き、今大会の最後の隠し玉は岩本の初MMAだった。青木真也とABEMAが1年4カ月ぶりに発動したAOKI PROJECT。実は青木は7月頃から岩本のMMAデビューをプランニングしており、当初はRoad to ONEがその舞台と考えられていたが、ちょっとした驚きとなる初陣の舞台となった。

対戦相手も青木presentsで、椿に決まった。椿といえば格闘技代理戦争シーズン2で青木の推薦選手として出場し、それからつかず離れずの関係にある。とはいえ、ここで青木による、岩本のためのマッチアップとは……青木らしい親心でもあるが、常人の神経では椿はどこまで青木に翻弄されるのかといったところだ。

朝倉未来がクレベル・コイケ対策で岩本と練習をしてきたが、岩本はMMAデビューに向けて、ロータス世田谷で八隅孝平の指導を受け続けてきた。今やグラップリングでの所属先であるイグルー柔術の敷居をまたぐのは週に1度、それ以外はロータス世田谷とキックの道場で打撃の練習を行ってきた。

「決して腰かけでない」という岩本の本気のチャレンジは、所属先がロータス世田谷になっていることにも表れている。ともあれ、これはMMA。MMAとグラップリングは違う。と同時に岩本はADCC制覇を目標に、スクランブルの練習を取り入れて2年になる。このテイクダウン&スクランブルの指導を青木に受けて、練習仲間がMMAファイターばかりになったことで、今回の転向が本格的になったといっても過言でない。

打撃はともかくとして、岩本はノーギ・グラップリングではなくMMAグラップリングも修得している。椿としては組まれず、打撃で削ること。MMAには組みも含まれているが、パンチでダメージを与えるまで絶対に組んではならない。

岩本の組み技力は確かだ。しかし、パンチがあるなかので組み技は未知数。岩本のグラップラーとしての完成度と、椿のMMAファイターとしての完成度を比較すると、はるかに前者の能力が高い。ただし、その比較には何の意味もない。

全く予想がつかない、いや上を取れば岩本という予測だけが成り立つ一戦、楽しみでしかない。

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ABEMA MMA ONE Shooto2021#06 UFC ブログ 川名雄生 西川大和

【Shooto2021#06】「ライト級に拘る理由は、海外のプロモーターの目に止まるため」西川大和─01─

【写真】適正体重論に関して、全くブレない自論を説明してくれた西川(C)MMAPLANET

20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、世界ライト級1位の西川大和が同級世界王者・川名TENCHO雄生に挑戦する。
Text by Shojiro Kameike

現在18歳の西川大和は2020年からプロ修斗に出場し、5連勝を経て王座挑戦のチャンスを得た。その先に見据えるのはUFCやONEなど、海外イベントへの出場だ。

しかし――いや、だからこそと言うべきか、西川がライト級で戦うことに疑問を呈する声が、ないわけではない。そこで西川にライト級で戦う理由を尋ねたところ、彼らしい格闘技観が聞かれた。


――試合を1週間後に控えて、現在のコンディションはいかがですか。

「今は特に、体のコンディションで困ったことはないですね」

――西川選手は、試合前といっても特別に追い込みの練習などを行ったりはしないのですよね。

「はい、いわゆる追い込み練習というのはしていないです。普段からMMAの試合時間、5分3Rのタイムに合わせて練習しています。試合直前は練習の配分を変えたり、練習のペースを変えたりといった感じです」

――今回は修斗の世界ライト級チャンピオンシップを控える西川選手にお聞きしたいことがあります。そもそも西川選手がライト級で戦うことを選んだ理由は何だったのでしょうか。

「それですね……今ツイッターにも載せているんですけど、バンタムやフェザーに落としたほうがいいんじゃないか、という意見についてですよね」

――そういった声は、以前から挙がっています。それに対して西川選手がどう思っているのか、聞かせてください。

「僕は、普段から体脂肪率が1ケタなんです。通常体重が77~78キロぐらいで、体脂肪率は7.5パーセントほど。その状態で、どうやってフェザーやバンタムに落とすのか。そういう意見があるほうが不思議ですね」

――普段から体脂肪率が1ケタ台なのですか!?

「そうなんです。階級を落としたほうが、スタミナ的にもいいんじゃないかという意見もあるのですが、逆ですね。5分3Rあるいは5分5Rのために、そこまで削るほうが良くないと思います」

――それは、普段から体重や体脂肪率をコントロールしているということなのですね。

「いろんな競技のトップアスリートに聞くと、皆さん普段から体脂肪率が1ケタ台なんですよね。そういったトップの方と同じように、普段から食生活を考えて体重や体脂肪率を管理しています」

――そういった食事の管理は、いつ頃から行っているのですか。

「いつでしょう……もう子供の頃から、ずっとやっていますね」

――西川選手の場合は体格面を比較して、ライト級よりもバンタム級やフェザー級のほうがいいんじゃないか、という声があるのかと思います。

「そうだと思います。でも僕は、リーチが184センチあるんですよ。それを考えても、ライト級で特に体格差を苦にすることもありません。反対に、自分より小柄な選手と練習することもあるんですが、そういった相手が見えない角度から打ってくるパンチは、とても怖いです。ライト級で体格的に劣るなら、僕がそれを利用すればいいと思っています」

――なるほど。

「体格差があったとしても、テクニックを磨けば、体格差を超えることができると思います。そのために1試合1試合こなして、自分に穴があれば、それを埋めて上達していく。そういうスタンスですね」

――では、前日計量をリミットいっぱい(70.3キロ)でクリアした場合、当日はどれだけ体重が戻っているのでしょうか。

「試合当日の体重は、73キロぐらいですね。72キロの時もあります。よく計量から試合までの間にすごく体重を戻すという話を聞きますが、それも水分を戻しているだけですよね。逆に、内臓に負担がかかって動けなくなるんじゃないですか」

――過去には体重を戻すことに失敗し、当日のコンディションが崩れてしまった例は、確かにあります。

「僕は当日の体重が72キロでも問題ないので、それならコンディションを大切にしたいです」

――これまで大きく体格差のある選手と対戦したことはありますか。

「あります。北海道で試合をしていた時に、185センチぐらいの身長の選手と対戦したことがあって、パンチでKOしていました。もちろん相手のパンチも受けます。でも、そういった経験があるからこそ、今は相手のパンチに対して敏感になり、ダメージが残らないように戦うことができると思っています」

――西川選手の中では、自分の身長に合わせて階級を決めるのではなく、階級に合わせて自身の技術を上げていくといった意識なのでしょうか。

「はい、それに近いですね。もともとMMAが盛んではない北海道で練習していることも関係していると思います。MMAが盛んではないぶん、レスリングやボクシングなど一つひとつの要素で強い選手がいます。そうした選手と練習しながら、自分で頭を使い必要な技術を当てはめていくことが多いです」

――では、ライト級に合わせる要因は何なのでしょうか。

「ライト級が世界共通の階級といいますか、米国、ヨーロッパ、アジア……世界中の選手が多く集まる階級ですよね。そこで勝つと、日本人選手でも海外のプロモーターの目に止まるんじゃないでしょうか」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
7月25日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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ABEMA MMA Shooto2021#06 チャンネル 後藤丈治 石橋佳大 論田愛空隆

【Shooto2021#06】激闘王の真実。後藤丈治戦へ、石橋佳大─01─「激闘王が格好良いとは思っていない」

【写真】激闘王じゃなくても、石橋佳大は格好良い!!(C)MMAPLANET

20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、元環太平洋バンタム級王者の石橋佳大が後藤丈治と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

石橋といえば毎試合、激しい打ち合いと目まぐるしく変わるグラウンドのポジショニング、果ては大流血まで――いつしか彼は激闘王と呼ばれるようになった。しかし、そんな激闘の末、自身が星を落とすことも少なくはない。本人は、数々の激闘についてどう考えているのだろうか?

そう訊くと、石橋からは意外な答えが返ってきた。初めて語られる、激闘王の真実とは!?


――試合を1週間後に控えた石橋佳大選手です(※取材は9月13日に行われた)。現在の練習やコンディションはいかがですか。

「練習は土曜日(9月11日)に上がって、今は小さいケガを治しながら、試合に向けてコンディションを整えているところですね」

――試合のお話の前に、石橋選手のTwitterを拝見すると、アニメやゲームのお話がツイートされています。声優さんのツイートをシェアしたり……失礼ながら、少し意外でした。

「アハハハ! もともと舞台鑑賞が好きで、そこから『スタァライト』(正式名称は『少女☆歌劇 レビュー・スタァライト』)という作品のファンになったんです。いわゆるメディアミックスの作品で、ミュージカルがあってテレビアニメ化もされ、今は劇場版も公開されています。実は試合後、この作品のセリフを使ったりしているんですよ」

――えっ!? ちなみにどのセリフでしょうか。

「前回の試合(2020年11月、論田愛空隆に判定勝ち)で勝ったあと、『ポジションゼロ!』と言ったんですけど、あれも『スタァライト』のセリフです。ポジションゼロというのは、『勝った人だけが舞台の主役になれる』という意味なんですね」

――なるほど。その作品のセリフであることに気づいている方はいましたか。

「まぁまぁ、いました。でも知らない人からは『ポジションゼロって石橋の技の名前か?』って、物議を醸していましたね(笑)。この『スタァライト』というのは、舞台に懸ける女の子たちのお話なんですけど、格闘技の選手――もちろん自分にも当てはまるところがあって、共感するところも多くて今一番オススメの作品です。ただ、こういう話をすると、よく『イメージと違うね』とは言われます(笑)」

――はい、確かに……。

「無骨な人間のように見られるんですけど、全然そんなことないので。お茶目なところもありますから」

――石橋選手といえば、激闘王というイメージがあるので、多くの人はそう感じるでしょうね。その激闘王というイメージについては、どのように感じていますか。

「そう呼ばれ始めて、最初は好きではなかったです。激闘王というニックネームが格好良いとは思っていませんでした。今は激闘王と呼ばれることにも慣れたし、そのニックネームが定着しているのは嬉しいことは嬉しいです。でも正直、激闘はしたくはないですよね」

――激闘したくはない!? それも意外です。

「激闘になっているというのは、試合で自分がやられている場面があるということですからね。激闘になればなるほど、それは僕にとって負けに近づいていることじゃないですか」

――そうですよね。

「論田戦後にも言ったんですけど、僕の中では全ての試合が激闘なんです。でも周囲のイメージは――僕の試合の感想を見ると、『激闘じゃないけど勝った』、『激闘じゃないけど負けた』、『負けたけど激闘だった』とか、全て激闘の2文字が付いて回るんですよ」

――……。

「実際は、相手をドミネートするような展開のほうが良いです。ジムでも15分間抑え込むような練習もしていますし。でも僕がそういう練習していると、周りから『石橋さんって寝技もやるんですね。打撃ばかりかと思っていました』とか言われるんですよ(苦笑)」

――もともと石橋選手は、柔術からスタートしているのですよね。

「はい。上京する前、17歳の頃から柔術をやっています。最近は週1ぐらいしか柔術の練習はできていないですけどね。それでもグラップリングの大会には出ていて、自分のグラップリングや柔術を、いかにMMAで生かすかが大事だと思っています」

――柔術の試合は、MMAとはまた展開が異なるのでしょうか。

「そうですね。柔術だと相手が先を取るので、僕が上から攻める展開が多いです。ただ、柔術でもMMAでも、ポジションについては上か下かは、こだわってはいませんね」

――そうした格闘技観を持ちながら、MMAの試合は毎回激闘になる。その点について、ご自身ではどう考えていますか。

「結局は、僕の精神的な弱さが出てしまっていると思います。勝ち急いだり、相手が打ってきたら自分もすぐに打ち返したり。会場が静かだと、自分が負けているのかなと思って攻めすぎてしまったりとか。試合の中で、勝つための我慢ができていないんです」

――ということは、毎試合「激闘にならないように……」という考えが、頭の中にあるわけですか。

「はい。毎試合そう思っています。セコンドからも毎回、『激闘せずに勝つことを考えろ』と言われています。僕にとって試合のテーマは、激闘にせず勝つことなんですよ」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月20日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル

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J-CAGE News Shooto2021#06 ブログ ヨシ・イノウエ 宇佐美正パトリック

【Shooto2021#06】中村倫也に続け、職業MMAファイター=宇佐美正パトリックがプロ修斗初陣!!

【写真】パトのプロ修斗デビューの相手はヨイに決まった(C)MMAPLANET

7日(火)、サステインから20日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06の追加カード=ライト級2回戦ヨシ・イノウエ✖宇佐美正パトリックが発表された。

パトリックはLDHmartialarts所属、いや単なる所属選手ではなく格闘家育成プロジェクト=『格闘DREAMERS』を勝ち抜き、契約選手として練習に専念し、試合をすること給料が支払われる職業MMAファイターだ。

既にLDHmartialarts契約選手である盟友、中村倫也が7月25日に論田愛空隆を左KOで破りド派手なプロ初勝利を挙げている。ただしフリースタイルレスリングU23世界王者で組み技の基礎が抜群のレベルで修得できている中村と違い、5歳年下で21歳のパトリックに関しては、LDHmartialartsの髙谷裕之総監督はじっくり育てるということを明言していた。


それでも極真空手、正道会館空手、グローブ空手の新空手K-3ルールのキッズ部門で猛威を振るい、高校ボクシングで6冠という実績を残すパトリックは、最終オーディションで外敵の日高健太郎を左手の指を骨折している状態でKO(※日高はDEEPフューチャーキングT優勝者で、この後プロデビューを果たしている)勝ちしており、アマ修斗を経ずにプロ・ライセンスが下り、いきなりの修斗デビューとなった。

対戦相手のヨシ・イノウエはプロ修斗で1勝2敗1分、2019年のライト級新人王だ。フィリピンのマニラ出身、寝技に課題は残るがバチバチの打ち合い上等ファイター──いきなりプロデビューのダイヤの原石に意地を見せたいはず。

とはいえプロデビュー戦とはいえ、そのパンチに関してパトリックは既にプロMMAファイターの多くを凌駕しているといっても過言でない。特に彼が得意とする左ボディアッパーは、プロMMAの試合で目にすることは早々にない──ない切れと威力を誇っている。

このアーロン・ピコを思わせるボディショットを繰り出せるか否かは、テイクダウンや蹴りに如何に対応できるかにかかっている。最大の武器のボクシングが、プロ修斗のケージの中で通じれば、パトリックは元ボクサーでUFCを目指す新進気鋭のMMAファイターだと誰もが認めることとなる。

修斗世界ライト級選手権試合=チャンピオン川名TENCHO雄生✖西川大和、修斗環太平洋バンタム級選手権試合=チャンピオン安藤達也✖石井逸人、バンタム級の注目ファイト=後藤丈治✖石橋佳太、修斗初参戦の江藤公洋がグンター・カルンダと対戦、2回戦岩﨑大河✖今市凌太、内田タケル✖大竹陽にパトリックのプロ初戦が加わり充実のラインナップとなった。

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J-CAGE News Shooto2021#06 グンダー・カルンダ ブログ 江藤公洋

【Shooto2021#06】再びサークルケージへ。江藤公洋、修斗初参戦でグンター・カルンダと崖っぷち対戦

【写真】修斗初出場となる江藤。ONEという冠のついた大会での戦績は4勝3敗と勝ち越している。堂々と自信を持って戦ってほしい (C)MMAPLANET

31日(火)に9月20日(月・祝)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06の追加カードが発表され、江藤公洋が修斗に初出場することが分かった。

専大レスリング部からMMAへ転身のルーツといえる江藤は、DEEPを主戦場にキャリアを重ねてきた。2017年には決勝で下石康太に決勝で敗れたものの、Road FCライト級トーナメント日本予選に出場するなどトップ戦線で活躍するようになった。その後、江藤はEvolve MMAのキャンプに参加したことでONEに照準を合わせるようになる。


そして、2019年にONE Warrior Seriesのトライアウトに合格し、ウォリアーシリーズからONE本戦と契約を果たす。ウォリアーシリーズに続き本戦デビュー戦でパク・デソンに敗れているが、2戦目ではアミール・カーンというライト級世界王座挑戦&ワールドGP出場選手を99秒でRNCにより破っている。

この大会はONEがコロナパンデミックで活動休止に入る直前のイベントで、江藤は休止期間の昨年9月にRoad to ONEで青木真也と対戦し判定負けを喫した。この試合、判定負けという結果よりも攻めへの姿勢が見られず、守りに徹底したためカーン戦の勝利を帳消ししてしまうほど評価を落としてしまう。

結果、国際大会が復活したONEでも試合機会が巡って来なかった江藤、仕切り直しの修斗出場となる。対戦相手のグンター・カルンダは同じくウォリアーシリーズに出場していたが、生活拠点を日本に移すと江藤が青木に敗れたRoad to ONEで、日本初戦を戦う。結果は手塚裕之に初回KO負け。ONE本戦と契約のないカルンダは今年1月に修斗に出場し、この時は山田宗太郎のヒールに一蹴されてしまった。

江藤にとってONE本戦へのカムバック、カルンダにとっては日本MMA界で地位の確立──両者揃って崖っぷちのマッチアップとなる。

またフライ級2回戦で内田タケル✖大竹陽の一戦も決まっている同大会。ダブルクラウン、修斗世界ライト級選手権試合=チャンピオン川名TENCHO雄生✖西川大和、修斗環太平洋バンタム級選手権試合=チャンピオン安藤達也✖石井逸人、バンタム級の注目ファイト=後藤丈治✖石橋佳太、ミドル級2回戦岩﨑大河✖今市凌太と6試合が揃ったが、まだ隠し玉があるようで続きカードの発表を待ちたい。

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Interview J-CAGE Shooto2021#06 ブログ 安藤達也 石井逸人

【Shooto2021#06】石井逸人と防衛戦、安藤達也─02─「山ってホントそうなんです。準備8割、実行2割」

【写真】かつての師からSNSで「今そて……」という反応をされてしまったが、確かに気付いたからといって直後にケージのなかで成果が表れるものではない。それでも、気付いたことを大切にしてMMAファイター人生を過ごして欲しい(C)KEISUKE TAKAZAWA

9月20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、石井逸人を相手に修斗環太平洋バンタム級王座の防衛線を行う、安藤達也のインタビュー後編。
TEXT by Shojro Kameike

7月末から約1カ月、安藤は米国サクラメントのチーム・アルファメールで、どのような練習を行ってきたのか。大塚隆史に負けたことで気づき、サクラメントで改めさせられた自身の格闘技観――。かつて練習を共にしていた石井との試合で、安藤は新しい自分を見せつけようとしている。

<安藤達也インタビューPart.01はコチラから>


――アルファメールでは、どのような練習を行ってきたのですか。

「多いときは1日2~3回ぐらい練習がありました。午前9時30分からプロ練習、それが終わるとフィジカルトレーニングがあって、夜は寝技のクラスに出るというスケジュールが週2日ぐらいありましたね。1週間の中で、水曜日がヤマなんですよ」

――ヤマ、というと?

「水曜日は1日1コマだけ、ガチスパーをやるんです。1週間やってきたことをスパーで試す。そんな感じで、週6日練習して1日だけ休むというスケジュールですね。アルファメールの練習がない日は、他のジムの練習に参加したりしていたので、サクラメントにいる間に休んだのは2日だけでしたけど……」

――練習漬けの毎日で気づくことはありましたか。

「はい。自分ができないこと、これはヤバいなと思ったこともあったんですよ。水曜日のスパーの前に、トレーニングの一環で(石原)夜叉坊や川原選手と水泳に行ったら、みんな、ガンガン――無酸素で25メートルの潜水ができたり、無酸素でクロールもこなしていて。僕は最初、みんなと比べて半分の距離しかできずに、『これはヤバいな』と思いました」

――それまで水泳や無酸素の運動には自信があったのですか。

「僕、子供の頃は毎日、市民プールで泳いでいたんですよ。プールの人に顔を覚えられるぐらい(笑)。大学の授業でも3時間の遠泳があったので、ガンガン泳いでいました。なのに、夜叉坊や川原選手についていくことができなくて。そういうところから考えを変えさせられましたね」

――それだけハードな練習をこなしてきたとのことですが、大塚戦で負傷した足の具合は良くなっているのでしょうか。

「だいぶ良くなりました。大塚戦後は3カ月ぐらい何もせず、だいぶ良くなってきてから山登りもできるようになりましたし」

――山登り……?

「そうなんですよ。最近はトレーニングで山を登ったり、走ったりしています。東京だと奥多摩の山とかですね。東京以外でも、朝4時に出発して、6時に現地へ着いて登り始めたりするんです」

――山の話から、嬉しそうに声のトーンが上がりましたね(笑)。

「楽しいですよ(笑)。『準備8割、実行2割』っていう言葉があるじゃないですか」

――仕事が成功するかどうかは80パーセント、準備の段階で決まるという意味の言葉ですね。

「山ってホントそうなんですよ。水の量や荷物の量を事前に全部計算して準備する。準備できていなくても、あるいは余計な荷物があっても登る時にキツくなりますから」

――それは全てにおいて当てはまることですよね。もちろん、格闘技でも。

「……ずっと勝っていたから、自分では分からなかったんですよ。オレの練習スタイルはこんな感じって、自分で勝手に決めていた。でもそんなのは幻想で、負けた瞬間に崩れ去りました。勝利すること、勝利に向けて頑張るところに生き様が出ますよね。格闘技って、自分の生き様がモロに出るから。次の試合では、その生き様を見せたいと思います」

――次の試合……環太平洋チャンピオンシップで、石井逸人選手を迎え撃ちます。

「以前、石井選手とは練習していたんですよ。その時から『そのうち安藤選手と試合するかもしれないけど、今は一緒に練習させていただきます』と言ってきて、良いヤツだなと思いました(笑)。それでインフィニティ・リーグで優勝したとき、僕と試合がしたいと言っていたので、改めて対戦相手として考えた感じですね」

――なるほど。では、対戦相手としての印象を教えてください。

「インフィニティでは優勝したけど、引き分けが2試合あったじゃないですか。引き分けはダメですよ。『これはどうかな?』と思うような判定もあったし。試合はハッキリ件着をつけることは必須ですから」

――安藤選手自身、岡田遼選手との世界チャンピオンシップ(2019年9月)がドローで終わった時にSNSで、「結果を他人に託した時点で俺の負け」とコメントしていました。

「そうなんです。僕も岡田戦で、そう感じました。あの試合は自分が1Rと2Rを取ったと思うし、3Rも良かったんじゃないかと。それに最後は自分のほうが印象も良かったと、正直そう思っています。でも、それも言い訳でしかないので、次はハッキリと勝ちますよ」

――そう思えるような練習を、アルファメールで積んできたのですね。

「間違いなく石井選手より、チャド・メンデスのほうが強いじゃないですか」

――……どういうことですか。

「そういう選手と練習してきて、自分が負ける気はしないんです。もし負けるとしたら、それは自分自身に負けた時。調整に失敗した時とか。試合までもう少し日にちがあるので、最後まで――ゴングが鳴るまで、気を抜かないように。今回は3Rフルで戦う気持ちでいます」

――今回は環太平洋王座の防衛戦です。ベルトを守った後のことは考えていますか。

「僕としては、岡田選手にリベンジしたいです。借りを返してから、ONEかUFC――海外で戦いたいですね」

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ABEMA DEEP MMA ONE Shooto2021#06 修斗 安藤達也 川原波輝 石井逸人

【Shooto2021#06】石井逸人の挑戦受ける、安藤達也─01─「つもり…ずっと取り組み方が中途半端だった」

【写真】ユライアが見守る中でスパーリング。アルファメールでの練習以前に、川原波輝の言葉が眠れる大器の目を覚ませたか(C)MICHINORI TANAKA

9月20日(月・祝)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2021#06で、環太平洋バンタム級王者の安藤達也が石井逸人を挑戦者に迎え、タイトルの初防衛戦を行う。
Text by Shojiro Kameike

昨年11月、元DEEP王者で修斗初参戦の大塚隆史と対戦し、1Rに右足を痛めTKO負けを喫した安藤にとっては、この試合が復帰戦となる。

防衛戦を控えて米国で練習を行っていたという安藤に、帰国直後にインタビューしたところ、彼の口から発せられたのは大きな意識改革だった。


――環太平洋王座の防衛戦を控え、今回はアルファメールで練習していたそうですね。どれくらいの期間、どこに行っていたのでしょうか。

「7月27日に日本を出発して、8月24日まで練習していました。アルファメール所属の川原(波輝、DEEPストロー級王者)選手から、『米国で一緒に練習しよう』と誘われたんですよ。

以前、川原選手が日本に帰ってきている時、KRAZY BEEで練習したことがあって。そこから川原選手と一緒に練習したいと思うようになったんです」

――そのように思ったのは?

「川原選手と僕ではスタイルが違っていて、お互いに無いものを交換できるんです。フリーになってから、一緒に練習する仲間はいるけど、『誰かが見てくれる練習』というのは少なかったんですよね。

僕も4年前にアルファメールで練習したことがあったし、今回誘われてアルファメールに行こうと決めました。自分の中では、去年11月の敗戦も大きくて……」

――大塚隆史戦で、1Rに足を傷めてTKO負けとなった試合ですね。

「はい。あの試合は、自分でも一番納得していない負け方でした。『今のままじゃダメだ』ってことが、身に染みて分かりましたね。お灸を据えられたというか。今まで自分のやり方でやってきたけど、あの負けが反省するキッカケをくれました。MMAには、いろんな攻め方がある。もっと高い水準で練習していかないとダメだと思ったんです」

――カーフを効かされたのか、アクシデントだったのか。その敗北でアクシデントとはとらえなかったということですね。

「アクシデントも含めて、負けは負け。それが格闘技じゃないですか。僕たちが求めているものは結果であり、勝利でしかなくて」

――確かに、そのとおりです。

「周りの人からも、『あれはアクシデントだったよね』と声をかけられることもありました。でも、そう言われると逆に――自分の中では、アクシデントというだけで終わらせることができなかったんです。

何よりも、完全燃焼できなかったことが、一番悔しかったです。何も出せずに、1Rにあんな形で試合が終わってしまったので。あの試合に向けて、それまでのキャリアの中で一番練習していたし、調子も良かったんですよ。それで何も出すことができずに終わって……3カ月ぐらい気持ちも引きずっていました」

――その状態を、どうやって克服したのですか。

「そんな時に、KRAZY BEEで川原選手と一緒に練習したんです。川原選手が、僕の気持ちを変えるキッカケを作ってくれました。川原選手は僕より1歳上だけど、MMAのキャリアは僕より短いんですよね」

――プロデビューは、安藤選手のほうが1年早いですね。

「でも遅く始めている分、意識が高い。そんなキャリアの差を乗り越えて、DEEPのチャンピオンになっているし、ONEにも出場しているじゃないですか。何て言うんだろう……言っていることと、やっていることが伴っているというか。ファイターとしての意識を背中で教えてくれるし、直接言ってくれることもあるので」

――川原選手からは、どのようなことを言われたのですか。

「格闘技は千日修行だと思え、と」

――千日修行……比叡山をはじめとして、天台宗の「千日歩いて悟りに近づく」ための千日回峰という修行のことですね。

「引退するまでファイターとして何ができるか毎日考えろ、と言われました。引退したら何でもできる。でもファイターとしての時間は今しかない、と。そうやって僕の意識をリマインドしてくれたんです」

――引退するまで……今、ファイターとして引退のことを考えたりすることはありますか。

「僕も、もう31歳になりました。プロデビューから8年経っているんですよ。正直、どれだけ選手を続けられるのかは分からないです。今はMMAも選手の年齢が上がっているし、頑張っている先輩方もたくさんいます。

でも、大塚さんとの試合でケガをして負けた時、『今回これぐらいで終わってよかったけど、後遺症が残るケガだったら引退だったな』と思いました。そこでファイターとしての最後を意識したんです。残りの格闘技人生、終わりを意識しながら、今できることを精一杯やらないといけないなって」

――なるほど。

「ずっと格闘技への取り組み方が中途半端だったんだと思います。もちろん自分の中では、その時にできることを全力で頑張ってきたつもりですよ。でも今思うと、それは『つもり』でしかなかったんだなって。ノラリクラリやっていたんじゃないかと思いました」

――その気持ちは、アルファメールでの練習でどう変わったのでしょうか。

「大塚さんとの試合前は、『それまでのキャリアの中で一番練習していた』って言いましたけど、そんなもんじゃないです。高いレベルで、ガッチリ練習することができました」

<この項、続く>

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