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ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ジオゴ・ヘイス ディエゴ・オリヴェイラ ファブリシオ・アンドレイ

【ADCC2022】66キロ級2回戦 事実上の決勝&同門対決でジオゴがファブリシオから笑顔なきレフ判定勝ち

【写真】ブラジル予選に続き同門対決を制したジオゴ・ヘイスに笑顔はなかった(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第9 回は66キロ級の2回戦ながら事実上の決勝戦と目された同門対決、ジオゴ・ヘイス×ファブリシオ・アンドレイの一戦の模様をお伝えしたい。


<66キロ級2回戦/10分1R& ExR>
ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
Def.ExR by Ref decision
ファブリシオ・アンドレイ(ブラジル)

20歳のジオゴと、22歳のファブリシオ。今回優勝候補のツートップと思われていたメルキ・ガルバォン門下の同門対決が、2回戦で実現してしまった。両者は南米予選01の準決勝でも戦っており、その時は下を選択したジオゴがヒールで勝利している。

試合開始。ファブリシオがいつもの足を振り上げるポーズをする最中に、ジオゴは座り込む。予選同様、序盤はスタンドレスリングを避けて下から戦うと決めていたようだ。

ハーフで右に絡むジオゴと、低くプレッシャーをかけるファブリシオ。絡まれた足をファブリシオが抜くが、ジオゴはウェイターガードの形で再びその足に、素早く外回りから右足を絡めて崩しては右に内ヒール、さらに左足に外ヒールを仕掛けるが、前回ジオゴに極められているファブリシオは冷静に距離を取った。

その後も下から仕掛けるジオゴと、距離を保ってそれを捌くファブリシオの展開が続く。お互い手の内を知り尽くした両者だけに、序盤は様子見しながら戦っているようだ。

やがて5分を過ぎて試合は加点時間帯に。徐々に攻撃の鋭さを増してゆくファブリシオは瞬時に頭を突っ込んでのバック狙い。ジオゴが反応すると素早くサイドを取りにいき、さらに方向を変えて大きくステップオーバー。ここもインバーテッドでジオゴが対応すると、次の瞬間左腕をすくって腕十字を狙い、さらにバックに周りかけるファブリシオ。が、ジオゴはここも体をずらして逃れ、ハーフに戻してみせた。

誰にも真似できないような速度で凄まじき連続攻撃を繰り出したファブリシオだが、ジオゴは冷静かつ的確に対処した。

その後も、上のファブリシオと下のジオゴの攻防が続く。下のジオゴは時にシットアップを狙うが、ファブリシオはその度に押し返す。さらに立って前傾姿勢を取るファブリシオに対し、ジオゴは素早く右腕をアームドラッグ。そのままワキをくぐろうとするが、ファブリシオはすぐに体勢を戻した。積極的に攻撃を繰り出す両者だが、お互いの手の内を知り尽くしているだけに簡単にポイントは許さない。

上からファブリシオがジオゴの顔を手で抑えると、ジオゴも同じように下からファブリシオの頭を手で押す。どちらも一切妥協のない攻防が続くなか、素早くシットアップしたジオゴが足首を掴みにゆくと、ファブリシオは両腕でディフェンスしながら下がる。この動きでファブリシオは警告を受けた。

結局、両者ともに譲らないまま本戦10分が終了。上下で決着の付かない同門対決は、スタンドレスリング勝負に持ち込まれた。

スタンドから再開された延長戦。両者ともまだスタミナは十分に残っているようだ。まずジオゴが右足にシングルを狙うが、ファブリシオは切る。次はファブリシオがダブルを仕掛ける。両足首をすくわれて尻餅を尽かされたジオゴは距離を取って立ち上がろうとするが、ファブリシオは素早く背後に周り、次の瞬間右腕をジオゴの首に回してチョークへ。

深く入ったように見えたが、動きを止めないジオゴはフックを許さず体をずらし続け、距離を取って離れることに成功した。瞬発的攻撃力で上回るのはやはりファブリシオ。しかしジオゴもポイントは許さない。

中央からスタンド再開。再びジオゴがシュートインするが、ファブリシオは切る。次はファブリシオがアンクルピックを試みるが、それをかわしたジオゴは逆にファブリシオの左足を掴むことに成功。その足を離しつつ飛び込もうとするが、ファブリシオもすかさず反応し、両腕を伸ばして距離を取った。

スタンドで頭を付ける両者。ジオゴは小内刈りからのテイクダウンを狙う。2度目のトライでファブリシオは尻餅。それでもジエゴの体を押し返すように距離を取って体勢を戻したファブリシオだが、反応が少し遅れてきているようだ。

残り2分。動きの落ちないジオゴは細かいフェイントを見せる。さらに上体を下げてファブリシオの左足をつかんだジオゴ、そのままドライブしてワキをくぐってバックからボディロックを取ることに成功。

ここからジオゴは背後から足を絡めてファブリシオを引き倒す。ファブリシオが亀の体勢を取ると、ジオゴはあえて離れてみせた。疲れてきた相手にグラウンドで反撃のチャンスを与えることなく、スタンドで削り続けることを選択する。これは南米予選決勝にて、ジエゴがパトことディエゴ・オリヴェイラを制した時にも用いた戦い方だ。

残り40秒。押され気味のファブリシオはヒザを付いてのテイクダウンを狙うが、今までのような力がなくジオゴに切られてしまう。残り25秒、ジオゴはアームドラッグから右足にシングルを仕掛け、再びワキをくぐってファブリシオの背後を取ってみせた。

前転して逃れようとするファブリシオだが、ジオゴはそれについて行きバックをキープする。立ち上がったファブリシオの背後にジオゴが付いた状態で、延長戦は終了した。

延長序盤に爆発的な動きでチョークのまで持っていったファブリシオと、後半2度バックを奪ったジオゴ。見方次第でどちらに付いてもおかしくない判定は、ジオゴに。親友相手の勝利とあって、ジオゴは喜びを表情に出さず勝ち名乗りを受けた。

最後までペースを崩さず戦ったジオゴと、本戦や延長前半で爆発的な攻勢をかけた後、終盤失速したファブリシオ。南米予選でジオゴに極められていることから来る気負いが、ファブリシオの戦い方に影響した面もあったのかもしれない、と考えるのは邪推だろうか。

とまれ。グラウンドで決着が付かなければスタンドレスリング勝負となり、テイクダウン認定が厳しいため、瞬発力だけでなく持久力が重要となる──そんなADCCルールの性質を十分に活かした戦いを実行したジオゴが、親友にして最大のライバルとの大一番を制してみせた。

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ABEMA ADCC2022 MMA MMAPLANET o コール・アバテ ジオゴ・ヘイス ファブリシオ・アンドレイ

【ADCC2022】66キロ級1回戦。本命ファブリシオ・アンドレイが、対抗コール・アバテに初戦でレフ判定勝ち

【写真】いやぁ、なぜ1回戦?という顔合わせ(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第8 回は66キロ級の優勝候補筆頭、ファブリシオ・アンドレイと対抗馬と目されていたコール・アバテ──早過ぎる顔合わせとなった1回戦の模様をお伝えしたい。


<66キロ級1回戦/10分1R&ExR>
ファブリシオ・アンドレイ(ブラジル)
Def.ExR by Ref decision
コール・アバテ(米国)

今年の世界柔術フェザー級王者にしてチームメイトのジオゴ・ヘイスとともに優勝候補筆頭に挙げられるファブリシオ・アンドレイの初戦の相手は、最年少17歳にしてやはり大きな期待を集めるAOJの新星コール・アバテ──豪華メンバーが揃ったこの階級における、 1回戦の最注目カードだ。

それにしても、このいきなりの大一番の勝者が2回戦でジオゴと当たってしまうのだから、16人ブラケットの中の1ブロック4人の中に、最注目選手3人が固まってしまったこととなる。

足を振り上げるいつものポーズを取ったファブリシオは、試合前から気合十分。対するアバテは開始と同時に迷わず座りこむと、ファブリシオの右足にハーフで絡む。

ファブリシオが距離を取ると、アバテは素早くアームドラッグで左腕を引いて崩してから左足に絡んでいく──が、ファブリシオは足を抜く。逆にアバテがシットアップで上を取るが、ファブリシオが距離を作ると無理に追いかけずに下を取り直した。

その後も下から足を狙ってゆくアバテと、極めさせないファブリシオの攻防が続く。時折りアバテはシットアップも試みるが、ファブリシオが反応して立ち上がり、下から仕切り直すという状態が続く。

やがて5分が過ぎ加点時間帯に。ダブルガードから足を取り合う両者。アバテは右腕にアームドラッグを仕掛けてから背後に回りかけるが、ファブリシオは回転を続けて距離を作り、ダブルガードに戻してみせた。

さらにアバテはシットアップを狙うが、ファブリシオは腕を伸ばしてディフェンス。本戦で点を取って勝ち切りたいアバテと、延長に持ち込んでスタンド再開からレスリングで勝負したいファブリシオ、両者の思惑が見え隠れする。本戦終了寸前にファブリシオがシットアップし、アバテの下からの煽りを耐えたところで、10分が経過した。

スタンドから再開された延長戦。ファブリシオがシュートインするが、アバテがスプロール。ここからファブリシオの左足を抱えて回して崩しにかかるアバテは、さらにダースチョークのグリップを狙った後で、ファブリシオの左足も巻き込んで上からのクレイドルの形でグリップを作って体勢を潰してゆく。

それでもファブリシオが体を起こすと、アバテは斜めからボディロック。ここでファブリシオは小手に巻いてからの内股を仕掛け、振りほどいてみせた。

試合がスタンドに戻ると再びテイクダウンを狙うファブリシオだが、アバテは下がって回避する。残り2分半、ファブリシオがまたしてもシュートイン。今度は深くダブルに入ってアバテに尻餅を付かせた。

が、アバテは両腕をマットにポストして上半身は起こした状態をキープし、体をずらして背中を向けると同時に前転してスクランブル。ポイントを失うことなく離れてみせた。

スタンドから再開。序盤に力を温存しスタミナ十分のファブリシオは、アバテの首を抑えては足を飛ばす。アバテもヒザを付いてテイクダウンを狙うが、ファブリシオは距離を取る。逆にファブリシオがダブルレッグで深く入り、アバテの右足を抱えてシングルに移行。片足で耐えるアバテを場外際まで押していくが、ここはブレイクに。

残り1分。足を飛ばすファブリシオ。両者ともにテイクダウンを狙って入るが、そのたびに距離を取ってディフェンスされる。残り5秒、ヒザを付いたアバテは強引に右足を取りにゆくが、ファブリシオがそれを回転して切りバックに回りかけたところで試合は終了した。

ガッツポーズを取って勝利をアピールする両者。本戦で下から積極的に仕掛け、バックに周りかける場面を作ったのはアバテで、延長のテイクダウン合戦を支配し、相手に尻餅を着かせたのはファブリシオだ。

解釈次第でどちらにも傾き得ると思われたレフェリー判定は、ファブリシオに。難敵から薄氷の勝利を得た勝者は、歓喜の咆哮を連発した。本戦では出力を抑えてアバテの下からの攻撃を防ぎ、延長のレスリング勝負で優位に立って判定を取る。自らの強みをルールにうまく当てはめたファブリシオの作戦勝ちといえる。

世界最高のスキルを持つグラップラー同士の戦いとしては、お互いが持てる力を出し尽くすような見応えのある戦いにならなかった感は否めないが、それもこのADCCルールの綾なのだろう。とまれ、紙一重の戦いの末に1回戦最注目のカードを制したファブリシオが、盟友ジオゴ・ヘイスとの準々決勝──事実上の決勝とも思われる大一番だ──に駒を進めた。

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ABEMA ADCC2022 MMA MMAPLANET o アシュリー・ウィリアムス ジオゴ・ヘイス リチャード・アラルコン 今成正和

【ADCC2022】66キロ級1回戦。ベイビーシャークはウェールズの実力者アシュリー・ウィリアムスに快勝

【写真】1回戦、優勝するまでのスタミナ配分をしているかのようにも見えたベイビーシャークだった(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第7 回──今回から66キロ級の戦い、まずはジオゴ・ヘイスの1回戦の模様をお伝えしたい。


<66キロ級1回戦/10分1R>
ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
Def. 2-0
アシュリー・ウィリアムス(英国)

第1回南米予選を制して優勝候補の一人に挙げられるベイビーシャークことジオゴ・ヘイスの初戦の相手は、ウェールズ出身のアシュリー・ウィリアムス。英国のプログラップリングイベントPolarisでは、今成正和やイサン・クレリンステン、リチャード・アラルコン、パウロ・ミヤオらに勝利した実績を持つ技巧派だ。

試合開始後、スタンドでお互い積極的に仕掛け合う両者。ウィリアムスがアームドラッグを試みると、ジオゴも素早く距離を詰めてウィリアムスの右足を抱えてドライブするが、ここは場外ブレイクとなった。

2分過ぎ、ウィリアムスは左足にシングルを仕掛けるが、ジオゴが反応。次の瞬間ウィリアムスは倒れ込みながら右足を絡めてヒール狙い。が、ジオゴは落ち着いてその足を押し下げ、引き抜いてみせた。上になったジオゴは素早い動きでトレアナパスやニースライス、またルオトロ兄弟のように足を踏みつけてのパスを狙うが、ウィリアムスは迅速に対処する。

ならばとジオゴは座ってウィリアムスの右足をヒザで固定し低くプレッシャーをかけ、その後再び立ってレッグドラッグ狙いを見せるが、ウィリアムスはここも対応。ジオゴと違って戦前優勝候補に挙げられていなかったウィリアムスだが、ジオゴの多彩かつスピーディーなパス攻撃に的確に対処するそのガードワークは一級品だ。

そのまま時間が過ぎ、加点開始5秒前のところでジオゴが座ってダブルガードに。そこからウィリアムスの左足を掴んだジオゴは、すばやく対角線に引き出すと、方向を変えて自らの右ワキに抱えてアウトサイドヒールを仕掛ける。

極まらないと見るやジオゴが強烈なストレートフットロックへ。エスティマロックの形で強烈に足首を曲げられているウィリアムスだが、冷静な表情は変わらない。さらにジオゴはトーホールドも狙うが、ここもウィリアムスが素早く回転して凌いだ。

残り2分、ここまでディフェンスの場面の多いウィリアムスがシットアップして上を選択。左でニースライスパスを狙う。が、それをニーシールドで防いだジオゴはハーフから後転するような形を作って下から煽ると、ウィリアムスの股をくぐってから、左足を抱えて勢い良く起き上がった。

テイクダウンデフェンスの姿勢を余儀なくされたウィリアムスは、自ら引き込みを選択する。3秒間押さえ込まれる前に体勢を変えることができればノーポイントなので、上半身を起こして離れようとするウィリアムス。しかしジオゴはガードの中から低くタイトに上半身を密着させ、ボディロックのグリップを完成。ウィリアムスの上半身こそ起きているものの、その状態を固定したジオゴが2点を獲得した。

痛恨の失点となったウイリアムスは、残り40秒のところでスイッチを仕掛けてスクランブルで離れることに成功させてテイクダウンを仕掛けるが、ジオゴは冷静に腰を引いて対処した。

最後まで挽回を試みて前に出るウィリアムスだが、巧みにいなし続けたジオゴがすくい投げで切り返したところで試合終了。優勝候補ジオゴ・ヘイスが初戦を突破した。

2-0と僅差ではあったが、スタンドレスリングでもダブルガードからの足関節の攻防でも主導権を握っていたのはジオゴの方。ウィリアムスが上を選択するとすかさず体勢を入れ替え、ポイント獲得までポジションを固めてみせた技量&ゲームメイクの上手さも光った。そして最初から最後までハイペースで戦い続け、まったく息を乱していないそのスタミナも出色だ。

派手さはないが、ルールを熟知し技術的にも全ての局面で穴がなく、なおかつ抜群のコンディショニング誇るジエゴ・ヘイスが、順当かつ危なげなく2回戦進出を決めた。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o ONE   ケイド・ルオトロ ゲイリー・トノン ダンテ・リオン

【ADCC2022】77キロ級決勝。ケイド・ルオトロがミカ・ガルバォンを内ヒールで破り──全試合一本で優勝

【写真】双子でも、どこかタイの後塵を拝すという格が存在していたケイドだが、最年少ADCCウィナーの称号は両者の格の差を完全に埋めた(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第6 回は77キロ級の決勝戦のケイド・ルオトロ×ミカ・ガルバォン戦の模様をお伝えしたい。


<77キロ級決勝/20分1R& ExR10分2R>
ケイド・ルオトロ(米国)
Def. 11分51秒by ヒールフック
ミカ・ガルバォン(ブラジル)

18歳のミカと19歳のケイドによる決勝戦。ミカはケイドの双子の兄タイとは、一年前のWNOチャンピオンシップ決勝、今年の柔術世界選手権決勝で対戦。前者ではタイがミカの攻撃を遮断し続け攻防の少ない展開が続いた末、レフェリー2-1でタイの勝利。後者では道着を掴んで逃さなかったミカがポジショニングで圧倒して勝利している。が、ケイドとミカは今回が初対決だ。

準決勝までの試合ぶりと同様、スタンドで前に出るミカ。対するケイドは柔らかく動き、ミカの頭をいなしたり足に手を伸ばすフェイントをかけてゆく。

やがて距離を詰めたミカは、ケイドの左足を掴んでから左ワキを差す。ケイドは得意の小手に巻いての内股でカウンター。堪えたミカは自ら回転して上を狙うが、ケイドは一瞬早く旋回して上をキープした。本来、相手の動きに合わせて「後の先」を取るミカから、ケイドが後の先を取った形だ。

ハーフ上からがぶって必殺のダースを狙うケイド。ミカが防ぐと、ケイドは枕を取って顔を上腕で圧迫する。上半身を制されたミカだが、足を利かせてケイドを浮かせてオープンガードに戻してみせた。

さらにミカは内回りからインバーテッドで崩しにかかる。が、ケイドはそこにカウンターで飛び込むようにバック狙いへ。ミカは距離を保って防ぐものの、ケイドが上をキープした。ここまでの攻防、普段は相手の動きを切り返すミカだが、ケイドに先を行かれている。

ミカは足で距離を作ってシッティングへ。立ち上がったケイドはニースライスを試みる。ならばとミカが下からケイドの左足を抱えて回転して50/50で絡むと、左足に内ヒールを狙う。ケイドが回転して逃れるや、ミカはシットアップしてボディロックを作り──上を狙う。ケイドは体勢を立て直して、再び小手から内股に。きれいにミカを投げてみせたケイドが、またしても上をキープした。

クローズドガードの中から、ミカをリフトして立ち上がるケイド。やがてミカは下に降りてスピンし、ケイドの左足に絡んで引き出して肩にかける。そこからケイドの動きに乗じてヒザ固めの形を作ったミカは上を狙うが、ケイドは卓越したバランスで上をキープする。

ケイドはミカに足を絡まれながらも体重を預け、上から腕でミカの顔を圧迫してゆく。ミカは再びヒザ固めに入るが、ケイドはヒールでカウンター。逃れたミカは再びシットアップで上を狙うも、ケイドはまたしても小手からの投げで対抗。ここでミカは回転の方向を変えるが、ケイドはここも大きく旋回して着地し、決してミカに上を取らせない。

背中を付けるミカに対して、ルオトロ兄弟の代名詞である相手の足を踏みつけてのパスを見せるケイドは、やがてミカのオープンガードの中に入り、上から腕で顔を圧迫する。

下から足を絡め、ケイドの左足を引き出して肩にかけるミカ。ケイドは空いているミカの左足にエスティマロックを仕掛ける。それをやり過ごしたミカは下から外ヒールを仕掛けるが、ケイドは素早く反応して抜く。

50/50で右に絡んだミカは、今度は腹這いになってのストレートフットロックを狙うが、ケイドはここも回転して抜いてみせた。一回戦のラクラン・ジャイルズ戦同様、卓越した足関節への対応力だ。

立ち上がって右でニースライスを作るケイドと、ハーフで絡むミカ。やがて試合は10分を経過して加点時間帯に入るが、両者とも最初からポイントはあまり気にかけていないようで、ケイドが上からプレッシャーをかけ、ミカがインバーテッド等で防いで反撃を試みるという攻防が続く。

ケイドの侵攻に対し、足を利かせて凌ぐミカは内回りしながらケイドの左足に両足で絡む。さらに右足も引き寄せて煽るミカだが、ケイドはミカの体の上に座るようにバランスを保つ。

柔軟な股関節を利して、自らの左足を下からケイドの股の間にねじ込むミカ。その左足が伸びてきたのを見たケイドは、それを瞬時に左ワキに抱えるとともに前にダイブして内ヒール一閃。ミカは即座にタップした。

会場が爆発するなか勝利をアピールするケイドは、「やられた」という表情のミカとハグして健闘を称え合い、歓喜のバク宙を決めてみせた。

世界最高峰の選手たちが集まるこの大会にて、特に強豪が勢ぞろいして最も熱い注目を浴びたのがこの77キロ以下級だ。そこで4試合全て一本勝ちという驚異的な内容をもって、19歳のケイド・ルオトロが史上最年少のADCC世界王者に輝いた。

実況のケニー・フロリアンからインタビューされて、満面の笑顔で「今の気持ち? アンリアルだ。言葉が出ないよ!」と答えたケイド。

(ミカと過去に試合している)兄のタイの経験は役に立ったのかという質問に対しては「それはものすごく大きかったよ。いくつもポイントを教えてくれたんだ。兄は何度もミカと戦っているけど、僕はこれが初対戦だったからね。ディアズ兄弟はこんなふうに言っていたらしいね。『まあアニキに何か具体的なアドバイスを頼めばなんか言ってくれたと思うけどよう、でもアニキはその前に『おめえ、あのクソ野郎をぶっ飛ばせよ!』って俺に言ったんだよ』ってね。とにかく今はホッとしているよ。そして最高の気分だ!」とジョークを交えて答えてみせた。

実際にこの試合においてケイドは、天下一品の反応速度を持つミカのカウンターのことごとく先を行き、決してミカに上のポジションを与えることがなかった。ミカの強さを誰よりも体感している兄の存在が、この勝利の鍵の一つだったのだろう。

そして、この新世代頂上決戦に唐突なエンディングをもたらした最後の極め。急速な技術進化とともに足関節のポジションのセッティング方法がどんどん洗練されてゆくなかで、それとはほぼ無関係に試合の流れの中でチャンスと見るや即座に動き、躊躇せずにダイブしながら極めてしまう反応力と発想の自由さは特筆に値する。逆に言えば、ダナハー以降「サドルや50/50でポジションを作ってからヒール」というプロセスが常識化していたからこそ、ミカはケイドの極めを予期できなかったのかもしれない。

加えて兄タイとともにONEと契約し、ルールは違うものの『グラップリングをDo Sportsから見る者も楽しめる競技にしたい』という彼らのアイデンティティが高い防御能力という下支えがあるなかで、フィニッシュに向けて大胆かつタイミングを見極める力を高めたかもしれない。

柔術ファンダメンタルを土台とした上で驚異的な強さを発揮するミカを、セオリーを超えた自由な動きで制してみせたケイド。ならば2人が道着着用ルールで戦ったらならどう展開になるのか。ルオトロ兄弟と、この敗北──黒帯取得以來からはじめての一本負けだ──を経てさらに強くなるに違いないミカとのライバル・ストーリーは、これからも見逃せない。

なお3位決定戦では、鉄壁のニーシールドでPJ・バーチの侵攻を防いだダンテ・リオンが、下からファーサイドの腕十字を見事に極めてフィニッシュ。

前回大会ではルーカス・レプリに一本勝ちして世界を震撼させつつも、3位決定戦でゲイリー・トノンのヒールで秒殺されてしまっていただけに、嬉しいメダル獲得となった。

■ADCC202277キロ級リザルト
優勝 ケイド・ルオトロ(米国)
準優勝 ミカ・ガルバォン(ブラジル)
3位 ダンテ・リオン(カナダ)

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o YouTube   ケイド・ルオトロ

【ADCC2022】77キロ級準決勝 That is Submission Fighting。ケイドがPJのスイッチ返しに腕十字!!!

【写真】このスイッチの攻防から、腕十字を極めきるとは。修練が生んだ閃き、閃きを結実できる練習量ということか……(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第5回は77キロ級─もう一つの準決勝、柔術の神の子を越えるようなレスリングと柔術の融合体からフィニッシュが見られたケイド・ルオトロ×PJ・バーチ戦の模様をお伝えしたい。


<77キロ級準決勝/10分1R>
ケイド・ルオトロ(米国)
Def.8分24秒by腕十字
PJ・バーチ(米国)

2回戦で絶対王者JTからまさかのクリーンテイクダウンを奪い、世界を驚かせる大殊勲の勝利を挙げたバーチの相手は弱冠19歳、アトスにおけるJTの後輩ケイド・ルオトロ。一回戦は豪州の足関節職人ラクラン・ジャイルズの下からの仕掛けを切り続け、8分過ぎにインバーテッドからフレームを張ったラクランの腕に一瞬で飛びついて十字を極めて一本勝ちを収めた。

さらに二回戦では、ルオトロ兄弟の宿敵とも言えるロベルト・ヒメネスと対戦。両者が極めを狙ってダイナミックに動き回る攻防の中、スクランブルで先を行き上を取ったケイドはヒメネスの右足を取る。さらに左足も捕獲した上でそのまま倒れ込んだケイドは、結局右足を内ヒールに極めて完勝。これまでなかなか勝てなかった若きライバル相手に、この一年の成長の差を見せつけるような形で準決勝進出を決めている。

試合開始後、スタンドで手足を飛ばし合う両者。体格的有利を活かして前に出て圧力をかけるバーチは、1分を経過した頃に右でワキを差しての投げを試みるが、ケイドは優れたバランスを発揮して倒れない。離れると、ケイドは両手を広げて誘う仕草を見せるが、カウンターのサブミッションを警戒してかバーチは誘いには乗らない。

さらに横に動いたと思いきや、おもむろに体勢を下げてしてバーチの右足をキャッチするケイド。しかしバーチも足を抜く。ケイドはまた両手を誘ったと思いきや右足を取るフェイントを見せ、さらには左右に動く。

ケイドが事前に「僕には不動のJTのペースをも崩す手がいくつかある」と言っていたのはこのような動きだろうか。とまれレスリングで培った体の圧力を全面に出して前に出るバーチに対し、ケイドが独自としか言いようのない動きで対抗してゆくなか、試合は加点時間帯へと入った。

前に出るバーチに、カウンターでダブルに入るケイド。バーチはそれを小手投げで切り返す。そ腕十字のチャンスかと思われたが、危険を察知したケイドは立ち上がりすぐに離れてみせた。

攻撃姿勢を崩さないバーチは、シュートインしてケイドの左足を取ると、そこから背後に付いてボディロックを組む。そのまま飛びついてバックを狙うが、ケイドは腕で足を振り払う。

強固なボディロックを解かないバーチに対して、ケイドは自ら座り込んでスイッチを狙うが、バックに回ることはできない。

グリップを襷にすると、再び両足フックを狙うバーチ。腰を当ててディフェンスするケイドに対し、シングルフックからでグラウンドに引きずり込んでのチョーク狙い。

ケイドは体をずらして起きようとするが、バーチは背後に付き続ける。タイトかつ強固に密着するさすがのレスリング力だ。ここでケイドは、再び自ら座り込むシットアウトからスイッチで体勢を入れ替える。が、バーチはすぐにスイッチ返し。

この瞬間、ケイドは体をずらしてバーチの左腕をワキで抱ええると、そのまま腕十字に。うつ伏せの形で入ったケイドは、亀の体勢のバーチの体を回して仰向けにしながら腕を伸ばし、極めてみせた。

レスリングの圧力で勝るバーチに強固に密着され、思うように動けなかったケイドだが、ついに自らの本領=動き続けるスクランブル合戦に持ち込むと一瞬でフィニッシュ。

タイトに密着して相手の動きを止め制圧する発想を、両者が動くダイナミックなカオス状態を創り出すことで制してみせた。二つの異なる価値観がぶつかり合う、大会の正式名称=「サブミッションファイティング」の魅力に溢れた一戦だった。

とまれ、これでケイドが決勝に進出。18歳のミカと19歳のケイド。今年6月の世界柔術におけるケイドの双子の兄=タイvsミカに続いて、ファン垂涎の新世代頂上決戦が実現することになった。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o YouTube   ウィリアム・タケット ダンテ・リオン ヘナート・カヌート

【ADCC2022】77キロ級準決勝 ミカ・ガルバォンがトップの強さを見せ、持ち味発揮のリオンを延長で下す

【写真】重厚なトップの強さが、レスリングの強化により顕著になったミカ(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第4回は77キロ級──柔術の神の子ミカ・ガルバォンの準決勝の模様をお伝えしたい。


<77キロ級準決勝/10分1R&ExR>
ミカ・ガルバォン(ブラジル)
Def. ExR 2-0
ダンテ・リオン(カナダ)

2回戦、電光石火の早業でヘナート・カヌートの腕を極めた――柔術の神の子ミカ・ガルバォンの準決勝の相手は、前回大会4位のダンテ・リオン。1回戦はマジッド・ヘイジからパスを奪い、横三角で腕を伸ばして順当勝ちを収めている。

続く2回戦でリオンは、初戦でウィリアム・タケットの足を極めてみせたポーランドのマテウス ・シュゼシンスキと対戦。

下からの足関節の仕掛けを凌いで延長に入ると、シュゼンスキのテイクダウンを切って背後に回ってシングルバックからコントロール。

延長戦のレフェリー判定を制して準決勝に勝ち上がった。

ミカとリオンは今年3月のWNO 12にて対戦。この時は足関節狙い、バック取り、腕十字と流れるような連携を見せるなど積極的に極めを狙ったミカが判定勝ちを収めている。しかし、スタンドで何度もテイクダウンを決めていたのはリオンの方だった。

前回の対戦時とは違い、積極的にスタンドに挑むミカ。左足へシングルを仕掛けるが、リオンは即座にカウンターのギロチンで絞め上げる。するとミカは斜め後ろに倒れながら体を翻してリオンの上になり、サイドを奪ってみせた。

そのまま低く重くリオンを押さえ込んだミカは、やがて横からマットとリオンの背中の間に体を滑り込ませるようにバック狙いへ。さらに背後からリオンの背中を登ったミカは、左足でリオンの左足を超えて後ろ三角狙いの体勢に入るが、リオンはその左足に両足で絡んで耐える。

リオンが下から体をずらすと、そこに乗じてバックを狙うミカ。リオンは足を利かせて両腕のフレームも駆使して距離を作り、下から正対することに成功した。

ニーシールド&フレームを作ったリオン。これは前回大会にて、当時の世界柔術絶対王者ルーカス・レプリの必殺ニースライス・パスを防ぎきった強力なポジションだ。しかし重石のごとき不動のベースを持つミカは、上半身でゆっくり圧力をかけてゆく。とその刹那、ミカは一瞬腰を浮かせてリオンの左のニーシールドをステップオーバーし、レッグドラッグの体勢に。ピンチかと思われたリオンだが、下から動いて足を利かせて正対し、再びシールドを作ってみせた。

ミカはその足を再び低く潰しにいく。さらに侵攻するミカが枕を取りにいくと、リオンは体をずらしてディープハーフに。腰を切るミカに対し、リオンは下からバックを狙うがミカが向き直った。

ここで試合は加点時間帯へ。リオンは下からミカを浮かせるが、ミカの低い重心は崩れない。その後も、上から重く低いプレッシャーをかけて侵攻を試みるミカと、それを凌ぐリオンという展開が続いた。ミカの強烈無比の圧力×リオンの鉄壁のガード。地味だが、間違いなく世界最高峰のスキルを両者が真正面からぶつかり合う展開だ。

残り2分半、ミカはリオンの腰を潰して背中を付けさせながらボディロックを完成させる。そのまま圧力をかけてじっくりせり上がるが、リオンは下から動いて足を利かせて体勢を戻した。

ミカは、決してリオンを立たせずに低くプレッシャーをかけ続ける。凌ぎ続けているリオンだが、徐々に圧力負けして背中を付けさせられ、枕を取られる場面が増えていく。

残り1分となり、枕から足を抜いてパスを狙うミカ。が、ここでリオンは全身の力を使って距離を取ると、ミカの左足に絡む。すかさずミカも足を引き抜いて、両者はスタンドに戻った。30秒、前に出るミカをリオンが無理せずいなす形で本戦終了。試合は延長へと入った。

延長戦。積極的に足を飛ばすミカは、リオンのスナップダウンに逆らわずそのまま右足にシングルに入り、ドライブしていく。リオンは倒れ込みながらギロチンでカウンター。ここで亀のポジションになったミカに対して、すかさずバックを取りにゆくリオン。

ミカは仰向けになりながら、左足でリオンの体を宙に舞わせてそのまま上に覆いかぶさった。

リオンは右腕のフレームでミカを遠ざけようとするが、圧力で勝るミカがリオンを背中に付けさせてガードの中に。ここでポジションが固定され、テイクダウンを仕掛けて動きが止まらないまま上を確立したミカに2点が追加された。

下になったリオンはニーシールドの体勢から後転して煽るが、ミカの盤石のバランスは崩せない。下から足も狙うリオンだが、その足をミカが引き抜く。残り1分半のところで両者が立ち上がった。

ここでも下がらないミカに対して、リオンがダブルレッグ。深く入って尻餅を付かされたミカは、すぐに亀の体勢に。直後にバックに回ったリオンは、襷からミカの体を引き剥がすように上を向かせて逆転のフックを狙う。が、ミカは体をずらしてハーフに。

この攻防でリオンが2点を獲得。残り1分の土壇場で追いついてみせた。ハーフの体勢のミカに対して、勢いづくリオンは力強くキムラグリップを狙うが、ミカはすぐにインバーテッドで戻す。するとリオンは低く体重を預けてボディロックへ。が、ミカも下からバタフライを効かせて守る。

このまま試合終了かと思われたが、残り数秒でなんと審判団は先程のリオンの2点を無効と判断してポイントが2-0に戻ってしまう。テイクダウンされて亀になったミカが、その状態を3秒保ったという判断のようだ。そのまま展開は動かずに試合は終了。納得のいかない表情でアピールするリオンだが、判定は覆らず、ミカの決勝進出が決まった。

スコアリングの不手際によってすっきりしない終わり方となってしまったが、たとえ同点で終わったとしても、試合の大半を強烈なプレッシャーで支配していたミカがレフェリー判定で勝利が告げられる可能性は高かっただろう。テイクダウンを何度も奪われたWNOでの前戦と比べて、ミカもADCC用に戦い方を変えてきていること、そしてスタンドでもレスリング力に定評あるリオンと互角に渡り合える力を持っていることを証明した。

同時に、強烈無比なプレッシャーを浴びながらも最後までパスを許さず、最後に見事な反撃をみせたリオンの充実ぶりも光った。現在世界最高峰に位置するグラップラー2人による、白熱の好勝負だった。

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ADCC2022 MMA MMAPLANET o YouTube   オリバー・タザ ニッキー・ライアン ヘナート・カヌート

【ADCC2022】77キロ級 ミカ・ガルバォンの1回戦&準々決勝。柔術の神の子の神技=腕十字

【写真】レスリングの強くなり、かとって守勢ではなく攻め続けたミカ・ガルバォン。準決勝新出を決めた(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第3 回は77キロ級──最注目、柔術の神の子ミカ・ガルバォンの1回戦と2回戦の模様をお伝えしたい。


<77キロ以下級1回戦/10分1R>
ミカ・ガルバォン(ブラジル)
Def.5-0
オリバー・タザ(カナダ)

今年初出場でムンジアルを制し、史上最年少王者となった注目のミカの相手は、オリヴァー・タザ。両者は昨年のWNO 10でも対戦しており、当時17歳だったミカはやや体力で押されつつも、要所で非凡な切り返しを見せて判定勝利している。

前回とは違いスタンドで積極的に前に出るミカ。下がりながら対処するタザは、前転しつつ足を取りに。ミカはその動きに逆らわず、マットとタザの背中の間に体を滑りこませてのバック狙い。あいかわらず流れに身を任せつつの見事な体捌きだ。が、タザは体をずらして正対するとバタフライガードに入った。

ハーフで低く体を預けるミカは、やがてヒザを入れての侵攻を狙う。タザは腕のフレームと左のニールドで防ぐ。

ボディロックをとったミカは、横に体を滑り込ませるように再びバック狙いへ。そして、それを嫌うタザの動きに反応してマウントを奪ってみせた。動き続けるタザだが、ミカは四の字ロックを入れる。それでもタザは動き続けて正対すること成功、やがて両者は座って向き合った。

加点時間開始の直前に一旦シットアップしたタザは、改めてミカの足を狙う形で下に。失点かと思いきや、ポイントは宣告されず。ミカが上からプレッシャーをかけてゆくが、タザはフレームとニーシールドで防いで距離を取り、両者は立ち上がった。スタンド戦。またしても前に出るミカに対して、タザはミカの首を弾きながら下がる。

残り2分で、お互い頭を抱え合う近い距離から飛び込んだミカは、タザの左足を抱えて立ち上がる。片足で耐えるタザだが、ミカは前にドライブしながら右足でタザの両足を刈ってテイクダウンに成功する。右手でマットをポストして距離を作ろうとするタザだが、重心の低いミカはしっかり密着し、背中をマットにつけさせた。

それでも動き続け、タザはなんとか4点ポジションへ。しかしレフェリーは3秒以上コントロールが成立したと判断し、ミカに2点を与えた。

残り1分。背中につくミカに対し、動かなくてはならないタザが腰を上げるが、瞬く間にバックに飛びつかれたフックを完成される。

0-5で劣勢のタザが首を守りながら動こうとすると、ミカはその左腕に十字狙いへ。うつ伏せで極めに来るミカに一瞬腕を伸ばされかけたタザだったが、ステップオーバーして脱出した。

上になったタザは足を捌こうとするが、脱力したミカは柔軟な両足を使って無難に対処。そのまま試合終了した。

一本勝ちこそできなかったものの、ポジショニングで完全に制圧してみせたミカの完勝。一昨年の対戦時にはまだ両者の身体の完成度に差があり、ミカは後半は下がり気味となりカウンターの切り返しに頼っていた。対して、今回は積極的に前に出て圧力でタザを下がらせた上で、反撃に来たタザの動きに合わせたカウンターを決めるなど、自ら攻撃を仕掛けて試合を有利に進めた。

17歳から18歳の身体的な成長を感じさせつつ、さらに待ちのカウンターから攻めのカウンターへと打撃選手のような進化も見せ、ミカが二回戦へと駒を進めた。

<77キロ級2回戦/10分1R>
ミカ・ガルバォン(ブラジル)
Def. 1分59秒by 腕十字
ヘナート・カヌート(ブラジル)

ミカの準決勝の相手は、2021年の世界柔術王者ヘナート・カヌート。

一回戦では打倒JTの有力候補の一人と目されていたニッキー・ライアンと対戦。レスリング力の向上で注目されていたニッキーとスタンドで互角に渡り合ったカヌートは、終盤になるにつれて勢いを加速。終盤にシングルレッグからバックフックを奪って5-0で快勝している。

一回戦と同様、首を取って前に出るミカ。30秒経過時、一瞬のアームドラッグのフェイントから小内でドライブしてカヌートを崩したミカは、立ち上がりかけたカヌートの背後に凄まじいスピードで飛び乗る。そのまま首を狙うミカだが、カヌートは頭を下げてミカを前に落としてみせた。

下になったミカは対し、ヒザを入れて侵攻を試みるカヌート。が、ミカは右足首を自らの足首に引っ掛けて浮かすと、自らの左足を絡めて外掛けを作りそのまま外ヒールへ。危険を悟り、横回転を繰り返すカヌートに付いていくミカ。場外際に来たところで、カヌートは足を引き抜くことに成功した。

中央から再開。シッティングを取るミカは、下からカヌートの右ヒザをたぐる。

それに反応したカヌートが鋭いニースライスに出ると、ミカは一瞬でファーサイドにあるカヌートの右腕に絡み、一気にその腕を伸ばす。

すぐにまたいで逃げようとしたカヌートだが、次の瞬間タップ。極められたカヌートが悔しそうに両手を打つリアクションをして離れたのを見て、はじめて何が起きたかを悟った場内から大歓声が挙がった。

試合序盤から恐るべきキレの連続攻撃を繰り出した挙句、最後はあまりの速さに、見る者には何が起きたのかすら分からせないフィニッシュ。これぞ神技──ベテランの柔術世界王者相手に圧巻の極めの速度と精度と威力を見せつけ、ミカが準決勝進出を決めた。

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ADCC2022 JT・トレス MMA MMAPLANET o YouTube   ケイド・ルオトロ トミー・ランガカー 岩本健汰

【ADCC2022】77キロ級 なんと連覇中のJT・トレスが2回戦で、ノーマーク=PJ・バーチに敗れる大波乱!!

【写真】アップセットは大興奮と、期待のマッチアップが実現しなくなるとガッカリ感と二つの効果を生み出す(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第2 回は77キロ級初戦で岩本健汰を破ったJT・トレス──大会2連覇中──の2回戦の模様をお伝えしたい。


<77キロ以下級2回戦/10分1R・延長5分>
PJ・バーチ(米国)
Def. 4-0 (-P0-2)
JT・トレス(米国)

岩本相手に改めてその難攻不落ぶりを見せつけたJTの次戦の相手は、10th planetのPJ・バーチ。1回戦のトミー・ランガカー戦では下からの仕掛けを捌き、本戦後半の加点時間帯にてランガカーのギロチンを耐えてスタンド戦に戻ると、バーチは自分の時間が来たとばかりにすかさずテイクダウン狙いからバックへ。そのままグラウンドに持ち込み、両足フックを完成して北欧の極め業師に快勝した。

トップゲームを得意とする両者だけあって、お互い頭を掴みいなし合ってのスタンドレスリングが続く。JTがシュートインするが、バーチはそれをかわす。次はバーチが前に崩してからのシングルでお押してゆくが、惜しくも場外ブレイク。

3分半が経過した頃、JTが得意の小内刈りからつなげるシングルを仕掛け、そのまま前進してテイクダウンに成功。そのままバーチの背中を付けさせて上を確立したが、これはまだ加点時間前。やがてバーチは腕でフレームを作って距離を取り、立ち上がることに成功した。

試合はスタンド戦に戻り、加点時間帯に。JTは岩本戦同様、きわめて静かな表情で口を閉じ鼻呼吸して攻防をしている。

6分半経過したところで、おもむろにバーチがダブルで飛び込む。深く入ってがっちりとグリップを組んだバーチは、そのままドライブして豪快にJTを倒すとそのままサイドに。

これが(即サイドポジションに入る)ビッグポイントのクリーンテイクダウンと認められ、なんとバーチは絶対王者から4点を先制してみせたのだった。

サイドを取られたJTはすぐに腕で距離を作って上半身を起こすと、左足でバーチの太腿を跳ね上げて立つことに成功。見事なリカバリーだが、残り3分ほどで0-4。3連覇を狙う王者が、誰もが想像せぬ大ピンチに陥った。

スタンドに戻ると、JTは前半に成功させた小内からのシングル狙い。が、予期しているバーチは距離を取る。さらに前に出るJTは再三テイクダウンを試みるが、バーチはその度に切ってみせる。そのうちJTのテイクダウンをがぶったバーチは、背後にまわってみせた。

亀の体勢のJTは、時間が経過してポイントが入らない状態になってから下に。そこから素早くオモプラッタを仕掛けるが、バーチはJTの体を跨いで腕をぬく。ならばとJTはバーチの右足を肩で抱えてのスイープを狙うが、バーチはここも足を抜いてみせた。

残り1分少々。JTはまたしても小内からシングルに入って右足を捕獲。が、バーチは右手でJTの頭を押して距離を取って足を抜く。ディフェンス一辺倒になったバーチにマイナスポイントが1つ与えられた。

さらに前に出ようとするJTを、バーチは4つに組んでそれを防ぐ。それでもシュートインするJTだが、バーチはここも距離を取る。ここでバーチは2つ目のペナルティをもらうが、ビッグポイントが効いてまだ勝っている。結局、バーチが最後までJTのテイクダウンを切り続け、大アップセットを演じてみせた。

決して隙を見せずリスクを負わず、難攻不落の絶対王者JTが、その本領であるはずのスタンドレスリングでまさかのビッグポイントを献上しての敗戦──前半でテイクダウンを奪ったこともあり、隙がないはずの精密機械に油断が生じたか。結果、ミカ・ガルバォン、ケイド・ルオトロといった自由奔放な新世代との夢の対決は実現せずに終わってしまった。

一方、大殊勲の星を挙げて準決勝に進出したバーチ。予選で敗れながらも本戦に招待を受け、はじめてADCCルールと真剣に向き合いそれ専用の戦略を練ってきたという。強力なレスリングをベースに持ちサブミッションを熟知したバーチのような選手は、ADCCルールでは常に危険な存在だということを改めて痛感させてくれる、この大アップセット劇だった。

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ADCC2022 Gladiator019 JT・トレス MMA MMAPLANET o 岩本健汰

【ADCC2022】77キロ級。健闘と今後への糧、世界に挑んだ岩本健汰はJT・トレスにレフ判定負け

【写真】JTの特性は十分に分かっている。岩本の先制攻撃ゲームでなく、勝負に出た表れだったか(C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。まず第1回は77キロ級で世界王者に挑んだ岩本健汰のチャレンジの模様をお伝えしたい。


<77キロ級1回戦/10分1R&ExR 5分>
JT・トレス(米国)
Def.ExR Ref Decision
岩本健汰(日本)

しばしスタンドの展開が続いた後、岩本がシュートイン。JTはスプロールするが、JTの右足を抱えた岩本は上体を起こして両手でグリップを組むと、右足を引き寄せてテイクダウン。スクランブルを試みるJTに体を寄せてそれを許さず、そのままJTの両足を掴んだまま立ち上がってみせた。

JTは腕のフレームで距離を作って立とうとするJT。が、岩本はその右足を取って再びシングルでテイクダウン、再度JTに背中を付けさせる。まだ加点時間帯前とあって、JTは無理に抵抗をしていない様子だ。それを差し引いても、トップゲームでADCC2連覇を達成した絶対王者相手に、岩本がテイクダウンを先に奪い上のポジションを確立したのは特筆すべきことだ。

その後しばらく、パスを仕掛ける岩本と守るJTという展開が続く。積極的に左右に動き足を捌こうとする岩本だが、JTは脱力して落ち着いて対処する。その表情はきわめて冷静で、むしろ薄笑いを浮かべているようにすら見える。時折りJTは距離を作って立とうとするが、岩本はそのたびに体を寄せてJTを下にさせ続けた。

3分半経過時、クローズドガードの中で岩本が立ち上がると、ガードを開いたJTは一瞬で左腕にオモプラッタ。岩本が腕を抜いて距離ができた瞬間、すかさず立ち上がる。岩本はシングルで追うが、ここはJTが素早くスピンして切り、立ち上がってみせた。脱力して出力を抑えつつ、要所で切れ味鋭い動きを駆使して体勢を戻す緩急の使い方は、難攻不落の絶対王者ならではだ。

スタンドで首を取り合う両者。JTはまるで散歩でもしているかのような表情で、鼻呼吸で攻防しているのに対し、岩本はやや口が開いている。やがて5分が経過し、試合は加点時間帯に突入した。

ここで岩本はJTの右足に再びシュートイン。が、すぐに反応して岩本の頭を押し下げたJTは、スピンして足を抜くと岩本の背中に。襷を取ってそのまま岩本の体を返そうとするがJTだが、岩本は亀の姿勢で耐える。そのまま3秒が経過したので、もしこのまま下になっても岩本の失点はなくなった。

ここから体勢を起こした岩本は、体をずらしてJTの右足を掴んでシングルを狙う。が、試合序盤と違いJTは簡単に尻もちをつかず、落ち着いて岩本の首をコントロールし離れる。

試合はスタンドに戻ると、表情に疲労が見える岩本は再三右足めがけてシングルを狙うが、慌てずJTは距離を取る。残り2分。岩本のシングルを切ったJTが再び背後に。またしても襷を取ると、ゆっくりと両足のフックを入れてポイントを狙う。ここは岩本が防いで本戦が終了した。

インターバルがなく延長戦に入り、お互いスタンドから再開。全力で攻撃し明らかに体力が落ちている岩本に対し、JTは本戦におけるリラックスぶりから一転、ここからが本番だとばかりに臨戦態勢に入っている。さすがADCCルールを経験し尽くしたツータイムス王者、恐るべきペース配分の巧みさだ。

またしてもシングルに入る岩本だが、明らかに力が落ちており、JTに切られて背後を取られてしまう。まず襷を狙ったJTは、続いて岩本の股間に腕を入れて下半身から体を返すと、担ぎのような体勢で岩本の背中を付けさせて、ガードの中に入った。いったんポジションが止まってからなので得点こそ入らないが、岩本はこの試合ではじめて完全に下のポジションを譲ることに。

背筋を伸ばしてプレッシャーをかけてくるJTに対し、下の岩本はJTの右ヒザ裏に腕を入れると、ガードを開いて足狙いへ。が、JTは慌てずに体重をかけて潰してゆく。岩本は再びJTの右足に手をかけると、それを引き寄せて肩に抱えて、50/50で足を絡めることに成功する。岩本が右足を対角線に抱えたところで、立ち上がったJTは絡む岩本の右足を押し下げて右足を抜く。

次に岩本は下からJTの左足にデラヒーバで絡んで足を狙うが、JTは体重をかけて阻止する。

ならばと岩本は内回りでJTの右足に絡むと、再び50/50へ。が、JTは再び岩本の足を押し下げて対処。持てる技術を総動員して仕掛けている岩本だが、JTにことごとく潰されてしまう。

残り2分を切ると、上半身で低くプレッシャーをかけたJTは、岩本の右足を超えてハーフへ。ワキの下をくぐろうとする岩本だが、JTは体の圧力で潰す。それでもハーフからの潜りを試みる岩本だったが、バランスを保つJTは岩本の左腕をキムラグリップで捕獲した。

岩本が下から動くとJTは無理せずにグリップを離し、再び圧力をかける。後転するように岩本が仕掛けると、JTはその流れに乗じるように担ぎからサイドに回る。

嫌がった岩本が背中を見せるや、JTは瞬く間に背後につく。残り10秒。最後まで攻撃を試みる岩本は前転して動きを作ろうとするが、JTはすかすように上をキープ。最後まで大きなリスクは犯さず、有利な姿勢で試合を終えた。

本戦延長合わせて15分の熱闘の判定はJTに。絶対王者に真っ向勝負を挑み、あらゆる手を尽くして戦った岩本。先にテイクダウンを奪い、さらにその後もポイントを許さなかったのは大健闘と言っていいだろう。だが同時に、どれだけ攻撃を仕掛けてもJTのペースを崩せないまま体力を消耗させられ、結局その牙城を揺るがす場面は作れなかったことも否めない。

世界の頂のおそるべき高さと奥の深さを見せつけられた岩本だが、同時に今回、そこに迫る力を間違いなく持っていることを証明してみせたと言えるだろう。ここ数年世界的強豪との対戦をほとんど経験せずしてこの戦いぶりだけに、今後ワールドクラスの相手と鎬を削る経験を積んでいくことができれば、メダル獲得も夢ではないだろう。

さらにADCCだけでなくB-Teamと交流ができた今夏の経験を生かして、世界のグラップリングシーンに挑んで欲しいモノだ。

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ADCC2022 JT・トレス MMA MMAPLANET o カイナン・デュアルチ ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ジオゴ・ヘイス ジャンカルロ・ボドニ ハイサム・リダ ホベルト・アブレウ ユーリ・シモエス 岩本健汰

【ADCC2022】66キロはジオゴ・ヘイス, 77キロはケイド。88キロがボドニ。KINGはゴードン・ライアン!!

【写真】タイが初日に姿を消すというなか、ケイドがADCC最年少世界王者に (C)SATOSHI NARITA

17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて2022 ADCC World Championshipが開催された。

イベントの規模、試合レベル共に四半世紀を迎えようかというADCC世界大会の歴史において、また他のグラップリング・イベントと比較しても、過去最高のグラップリング・イベントとなった今大会。

そんななか日本でも特に注目された66キロ級ではジオゴ・ヘイスが優勝。77キロ級ではケイド・ルオトロがミカ・ガルバォンを足関節で下し頂点に。

88キロはノーマークだったといっても良いジャンカルロ・ボドニが、これが新時代のグラップリングだという戦い方を続けた。

結果、決勝でルーカス・バルボーサをRNCで仕留め優勝している。

99キロ級はカイナン・デュアルチ、99キロ超級はゴードン・ライアンがゴールドを獲得、ゴードンはスーパーファイトも制し文字通りグラップリング界のKINGに君臨。無差別級では古豪ユーリ・シモエスが復活を遂げる勝利を挙げている。

日本から出場した岩本健汰は初戦でJT・トレスと対戦し、非ポイントの時間帯から積極的に攻めるという戦い方を選択する。

岩本のテイクダウン狙いに序盤の5分間は倒れていたJTは5分以降と延長戦では、切ってバックを伺うという展開で大善戦の岩本をレフ判定でくだした。

ハイサム・リダは初戦でホベルト・アブレウを腕十字で破るジャイアントキリングを達成するも2回戦敗退。それでも多くの新しい力の台頭の象徴──その一員であることを大いに印象づけている。

※ADCCの詳細レポートは後日、掲載となります。


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