カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o   アンドレ・ガルバォン ゴードン・ライアン ニッキー・ライアン ニック・ロドリゲス ルーズベルト・ソウザ

【ADCC2022】99キロ超級 ゴードン・ライアン、決勝もニック・ロッドをヒールで一蹴。3階級制覇

【写真】グラップリング人類最強を改めて証明したゴードンは、因縁のガルバォンとのスーパーファイトへ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第19 回は99キロ超級の決勝戦の模様をお伝えしたい。


<+99キロ級決勝/20分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def. 2分15秒by ヒールフック
ニック・ロドリゲス(米国)

袂を分かった元チームメイト同士の決勝戦はブルース・バッファーのコールに後押しされるように、最高の盛り上がりのなかで開始。ゴードンはスタンドで勝負する気はさらさらないといった風情で、片足立ちになって右足を差し出す。

それを取って軸足払いで軽く投げ倒すロドリゲス。場内がどよめくなか、ゴードンは抵抗せずに下になった。

腰を引き警戒しながらゴードンの足を押さえようとするロドリゲスと、きわめてリラックスした様子で足を効かせて対応するゴードン。やがてゴードンがシッティングから前に出ると、ロドリゲスは立ち上がって下がる。日々スパーリングを繰り返してきた元チームメイト同士、どの攻防ではどちらが強いかをお互い熟知しているようだ。

座ったままのゴードンがさらに前に、再び下がるロドリゲス。ゴードンが一瞬左足に触れると、ロドリゲスは大きくその足を振り上げて距離を取った。その後もロドリゲスは腰を引いて警戒の姿勢を崩さない。

やがて1分半経過したあたりでロドリゲスが両ヒザをマットにつけると、ゴードンはその左足にハーフで絡む。1回戦と同様に対角線でロドリゲスの右腕をドラッグしにかかるゴードンだが、ロドリゲスは引き抜いてスタンドに戻り距離を取ろうとする。

すかさずゴードンはロドリゲスの左足を右腕で抑えて抜かせない。次の瞬間ゴードンは内回りへ。

ここも逃げようとするロドリゲスだが、ゴードンは左腕でロドリゲスの左足首をしっかり抱え、さらに右足首も右で抱えて許さない。

ヒザをマットについたロドリゲスに対し、ゴードンは右足を左足に絡めながらスピンしてサドルロックへ。いよいよ危険を感じて距離を取りたいロドリゲス。が、ゴードンがロドリゲス左足を伸ばして両手で抱えているのでそれも叶わず。

そのままゴードンはロドリゲスの左足を自分の右のワキの下に持ってきて、外ヒールへ。ゴードンの手首がカカトをフックした瞬間、すでに観念したかのような様子のロドリゲスは表情を変えず口頭でタップを宣告。ゴードンは捻る前に技を解いた。

大歓声のなかで立ち上がったゴードンは、喉を切り裂くポーズでアピール。ロドリゲスと軽くハグし、そしてそのセコンドについていた──今は袂を分かった実弟の──ニッキー・ライアンとも握手を交わしたのだった。

さらにラッシュガードを脱ぎ捨てて城内に放り投げて見せたゴードン。準決勝と決勝の2試合を外ヒールによる秒殺で仕留め、全く消耗していない状態でアンドレ・ガルバォンとのスーパーファイトに臨むことになった。

これでゴードンは2017年は88キロ級、2019年は99キロ級、そして今回は99キロ超級と3大会連続、3階級制覇となった。トーナメント全4試合において常に相手の先を行き、無駄のない動きで着実に相手の打つ手を封じ、完全制圧してみせたゴードン。その動きだけを見るならば、特殊な身体能力を必要としない、柔術の理想を具現化したような技術の持ち主だ。

そんな最高度に洗練された技術を、巨大な筋肉の鎧を纏った特殊な肉体を作りあげた上で用いているところに──おそらく師のジョン・ダナハーに勝るとも劣らないほどの──完璧主義者にして冷酷なリアリスト、ゴードン・ライアンの真骨頂があるのだろう。

なお、3位決定戦はペナが棄権したため、ルーズベルト・ソウザが初出場にて初メダル獲得を果たした。

■99キロ超級リザルト
優勝 ゴードン・ライアン(米国)
準優勝 ニック・ロドリゲス(米国)
3位 ルーズベルト・ソウザ(ブラジル)

The post 【ADCC2022】99キロ超級 ゴードン・ライアン、決勝もニック・ロッドをヒールで一蹴。3階級制覇 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ケイド・ルオトロ ゴードン・ライアン ハイキ・ジュシラ ハイサム・リダ ルーズベルト・ソウザ ヴィクトー・ウゴ

【ADCC2022】99キロ超級 組み技人類最強=ゴードン・ライアン、初戦&QF=極めてもポイントでも盤石

【写真】これがケイド・ルオトロのいう──爆発力でない、アイソメトリック・ストレングスの強さなのか(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第17 回は最重量級=99キロ超級に出場した現代グラップリング最強の男ライアン・ゴードンの初戦と準々決勝の模様をお伝えしたい。


<+99キロ級1回戦/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.5分48秒 by RNC
ハイキ・ジュシラ(フィンランド)

言わずと知れた優勝候補本命のゴードンは初戦、フィンランドのハイキ・ジュシラと対戦。ごくリラックスした風情ですぐに座ったゴードンは、ハーフでジュシラの左足に絡むと、ゆっくりした動作で右腕を相手の右ワキに入れると、瞬時に引き寄せてのアームドラッグで崩し、あっさり背中につくことに成功した。

亀になったジュシラからシングルバックを入れたゴードンは、さらに上からジュシラの右をハーフネルソンで固めて体勢を崩し、両足フックを狙う。

ジュシラが亀に戻るが、ゴードンは慌てず騒がず上に乗り続けて両足フックを完成。再びネルソンでジュシラの体勢をしてから襷に移行。完全コントロールをした上でじっくりチョークを狙ってゆく。ジュシラも粘り強く守り、たびたび体勢を立て直して亀に戻るが、そのたびにゴードンはしっかり重心をかけては潰してゆく。

やがてジュシラの右腕を右足で絡めて殺したゴードンは、ワキの下から差し込んだ左手でジュシラの左腕もコントロール。両腕を制した上で、無防備な首に右腕を手首からじわじわ入れてゆき、最後はジュシラの肩を掴んで片腕で絞めるチョーク。

6分足らず。着実に手順を踏んで相手を詰めてゆく隙のない戦いぶりで、ゴードンが危なげなく初戦を突破した。

2回戦のゴードンの相手は、昨年と今年の世界柔術最重量級を2連覇している強豪ヴィクトー・ウゴだ。

ウゴは一回戦でルーマニア代表にしてダナハー軍所属のダン・マナソーユと対戦。本戦残りわずかのところで足関節狙いを凌いで素早くシットアップして双差しから上になったウゴは、失点を避けようと亀になったマンソーユに両足フックをイン。残り10秒ほどのところで先制点を取り3-0で勝利している。

<+99キロ級2回戦/10分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def. by 8-0
ヴィクトー・ウゴ(ブラジル)

まずはスタンドで立ち会う両者。お互い手四つで組み合い、首を取って足を飛ばし合う攻防の後、ウゴがクローズドガードに飛びついた。

ウゴはゴードンの右ワキをすくって腕ひしぎ腕固めを狙うが、ゴードンは慌てず立ち上がり、左腕を使って解除。そのままウゴのガードを押し下げて開かせると、両足を上から抑えてパスを狙ってゆく。

ウゴは下からウェイターの形でゴードンの右足に絡むが、ゴードンは体重を前にかけて潰すと、スライディングするようにウゴの右足に片足担ぎ。ウゴがそれに応じて動いて正対を試みると、ゴードンは方向を変えて左足でステップオーバー。

ウゴの左足を超えると、さらにもう一度左足でまたいでマウントに。流れるようなムーブだ。それでも懸命に上体を起こそうとするウゴ。が、上半身のプレッシャーで潰したゴードンは、胸を合わせてヘッド&アームで押さえ込み、完全コントロール達成。

常に相手の一歩先を行く隙のない動きで、相手を制してみせた。

マウントから両ワキを差し、相手の腕を上げさせながらせり上がる得意の形を狙うゴードン。ウゴは下から懸命に動いて半身になり、ハーフで足を絡めてゆく。が、ゴードンは意に介さず上から低く密着し、プレッシャーをかけ続けていった。

やがて加点時間帯に入ると一度は距離を取ったゴードンは、改めてウゴの足を押さえつけながら軽快なフットワークで左に回る。やがて上四方の体勢になると、抵抗して上体を起こしたウゴの背後に付き、フックを狙ってゆく。

これを嫌ったウゴが半身になると、ゴードンはすかさず体重をかけながら両ワキを差し、強烈なプレッシャーでウゴのワキを開けさせてマウントを奪取した。またしてもゴードンは常にウゴの一手先を行き、逃げ道を潰した上でポジションを制圧したのだった。

そのままじっくりウゴの両ワキを開けさせるゴードン。一度ウゴに足を絡ませてからまたマウントに入るなどして、スコアは8-0となる。やがてウゴのワキを開けさせたまませりあがったゴードンは、Sマウントから腕十字を狙いへ。ここでウゴは素早く立ち上がってゴードンを押してゆき、試合はスタンドに戻った。

残り3分。スタンドで前に出るウゴの首をゴードンが引くと、ウゴは抵抗せずに亀になり、すぐに正対。得意のガードワークで状況の打開を狙うつもりのようだ。対するゴードンは、先ほど同様に上からウゴの両足を押さえつけて体重をかけてゆく。

ウゴは右足に絡むハーフを作り、ワキを差す形を作ると、ゴードンはウィザーで上から体重をかけてゆく。ウゴがインバーテッドでそのプレッシャーを流して正対すると、再びじっくり両足を押し下げてのパスを試みるゴードン。

やがてウゴは下からゴードンの右足を掴んで引き出して50/50を作るが、この形はゴードンもお手の物、内ヒールで逆襲する。それをウゴが防いで距離を取ると、ゴードンはそのまま下にステイ。残りの時間、ウゴは飛びつき三角やストレートレッグロックを試みるが、ゴードンに受け流されて試合は終了した。

一本勝ちこそ取れなかったものの、世界柔術最重量級現役王者にやりたいことを何もさせずに完全制圧。世界最強グラップラーの名に相応しい完成された技術を見せつけたゴードンが、ハイサム・リダを下したルーズベルト・ソウザとの準決勝に駒を進めた。

The post 【ADCC2022】99キロ超級 組み技人類最強=ゴードン・ライアン、初戦&QF=極めてもポイントでも盤石 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ABEMA ADCC2022 JT・トレス MMA MMAPLANET o ONE ONE FN03 PJ・パーチ   アレックス・シウバ ウアリ・クルジェフ エコ・ロニ・サプトラ キック キム・ジェウン クレベル・ソウザ グスタボ・バラルト ケイド・ルオトロ ジャレミー・ミアド ジャンカルロ・ボドニ ジョン・リネケル ダニエル・ウィリアムス チャンネル ファブリシオ・アンドラジ ボクシング マイキー・ムスメシ ヨッカイカー・フェアテックス リース・マクラーレン ロベルト・ヒメネス

【ONE FN03】越えろ、Do Sportsの壁。ケイド・ルオトロ「サンビストはTDもレッグロックもできる」

【写真】ケイド・ルオトロがONEを舞台にグラップリングの歴史を変えることができるか(C)SATOSHI NARITA

22日(土・現地時間)、マレーシアはクアラルンプールのアシアタ・アリーナで開催されるONE Fight Night03「Lineker vs Andrade」でONEサブミッショングラップリング世界ライト級王座決定戦が組まれ、ケイド・ルオトロがウアリ・クルジェフと対戦する。

ケイドといえば9月に行われたADCC2022の77キロ級で4試合連続一本勝ちを飾り、19歳9カ月という最年少ADCC世界王者に輝いたばかり。今、最も注目されているグラップラーだ。

ADCCは前半がサブオンリー、後半からポイントという特殊なルールセットとなっているが、ONEはケージ使用のサブオンリーで極めが重視される。とはいえ、先のライト級王座決定戦=マイキー・ムスメシ✖クレベル・ソウザ戦のようにテイクダウンの攻防はスルーできるルールになっている。投げ、抑え、スクランブルというのはグラップリング競技の醍醐味の一つであり、ADCCでも勝負の行方を分けるキー・ファクターであった。

ルールの違いが、試合展開の違いを生むのは当然。それでもケイドの唯一無二のゴールは対戦相手を仕留めること。ルールによってプロセスが変化するが、ケイド自身はサンビストであり柔道家のクルジェフとの対戦を楽しみにしている。その理由こそ、グラップリングを見る側にとっても楽しめる要素となっている。

グラップリング=Do Sportsという壁を破るべき、世界最高のグラップラーの組み技、柔術論に注視してほしい。


──ADCCで世界一に輝いたグラップラーの多くが、暫らくは競技会から離れるかと思いますが(※88キロ級優勝のジャンカルロ・ボドニは10月23日開催のEBI=エディ・ブラボー・インビテーショナルに出場)、ケイドは10月23日にクアランプールで、ONEチャンピオンシップのサークルケージでサブミッショングラップリング世界ライト級王座を賭けてウアリ・クルジェフと対戦します。

「今回の対戦相手はサンボと柔道出身で、上半身への攻めが強力だ。うん、凄く楽しみだよ。サンビストはテイクダウンが強くて、レッグロックに秀でている。興味深いよ。テイクダウンとレッグロックって、ADCCのメイン・スタイルだからね」

──確かにその通りですね。

「ADCCにレスリングは必須だよ。レスリングを避けているようでは、絶対に勝てない。でもADCCに出ているレスラーの弱点はレッグロックなんだよ。サンビストは違うだろう? テイクダウンもレッグロックも強いクルジェフと、僕の戦いがどうなるのか。想像するだけでも、ワクワクしてくるよ」

──ムエタイやキックボクシング、MMAを見に来ているファンの前でのサブオンリーファイト、観客を満足させることを意識するとタップを奪うことが絶対です。そのような戦いを心掛けることで、ケイドはサブミッション・ファイターとして進化するのでしょうか。

「イエス、絶対的にね。ONEでの試合はサブミッションにフォーカスしている。ただし前回のシンヤ・アオキとの試合は、そこを意識する余りにミスが多かった。サブミッションを仕掛けすぎると、対戦相手のディフェンスへの意識は高まる。だから、あの試合は極めそこなってしまったんだ。僕はサブミッションに気持ちがいき過ぎていた。フィニッシュすることが、自分の役目だと思っていたんだ。決して僕自身のためじゃなくて、柔術のために必要だと考え過ぎていた」

──柔術のために? それはどういうことでしょうか。

「柔術は普及にもの凄く時間が掛かるスポーツだ。普通の人が視て楽しむことは、とても難しい。世界最高峰の黒帯の世界大会で、どれだけ退屈な試合が続くか。一般の人が見たら、10分間何も動きがない。ずっと同じことをしていると思われる。それが柔術の最高峰の戦いなんだ。

でもONEで戦う時はムエタイやMMAというエキサイティングなマーシャルアーツと見比べられる状況にあることを忘れてはいけない。だからこそ、次の試合でも必ずフィニッシュを狙うよ」

──観客がエキサイトするのは、サブオンリーかポイント制か、議論の余地があるかと思います。サブミッション決着は、ファンの求めるところでしょう。ただポイントがあれば、どちらが優勢なのか可視化できるという良さもあります。それにサブオンリーでは引き込みにより、テイクダウンの攻防がなくなることも多いです。

「テイクダウンの攻防がなくなるのは、僕の戦い方じゃない。僕はテイクダウンして、パス。そしてサブミットする。誰と対戦しても戦い方は変わらないよ。作戦も同じだ。テイクダウンが強い相手とレスリングで勝負する。そういう風に戦うことが、エキサイティングなんだ。そして素早くサブミッションを仕掛ける。もちろん、上手くいくかどうかは分からない。でも、僕のゴールは常にサブミッションだよ」

──柔術はポイントを取れば守って勝てます。ケイドは優勢でも、フィニッシュを狙うのですね。

「柔術ではサブミッションの前のポジションが重視される。そこがちょっと僕と違うところで。僕はポジションよりも、先にサブミッションを仕掛ける。ポジショニングを重視過ぎると、その先にあるサブミットするという意識が希薄になるからね。そして、守りのファイトになってしまう。

同様にサブミッションを意識し過ぎると、さっきも言ったように、相手が防御一辺倒になってしまって結果的には、エキサイティングな試合にならない」

──やはりグラップリングを観賞用スポーツとするのはハードルが高そうです。

「結果としてサブミットすれば良いんだよ。ただし、一つの技にトライしてタップを奪えないなら、違う技を仕掛けなければならない。ADCCでもノーポイントの時間帯からテイクダウンを取ってフィニッシュを狙った。でも一本を奪えないなら、ガードを取っても構わない。一つの技に拘ると、ポイント制だろうがサブオンリーだろうが、退屈な試合になってしまうんだ。

ミカ(ガルバォン)のガードからのアタックは同じことが繰り返されて退屈な試合になってしまう。僕はそういう戦いはしない。ミカがガードに固執すると、エキサイティングな試合にはならない。ガードが上手く機能しないなら、レッスルアップしてスタンドでレスリングをすれば良い。そういう風に戦い方を変えることで、グラップリングはエキサイティングなスポーツとして普及できるよ」

※ADCCを制した4試合、ステロイド・フリーの大会で「ナチュラルなのは僕とタイ(ルオトロ)、ロベルト・ヒメネスの3人だけ」(※注インタビュー中のケイドの発言)という爆発力とアイソメトリック・ストレングスの違い。2回戦のヒメネス戦、準決勝のPJ・パーチ戦、そして決勝のミカ・ガルバォン戦とJT・トレス論が聞かれたケイド・ルオトロのインタビューは、10月28日発売のFight & Life#93に掲載されます。

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午前9時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night03対戦カード

<ONE世界バンタム級(※65.8キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] ジョン・リネケル(ブラジル)
[挑戦者] ファブリシオ・アンドラジ(ブラジル)

<ONEムエタイ世界ライト級王座決定戦/3分5R>
レギン・アーセル(オランダ)
シンサムット・クリンミー(タイ)

<ムエタイ・フライ級ワールドGP決勝戦/3分3R>
スーパーレック・ギアットムーガーオ(タイ)
パンパヤック・ジットムアンノン(タイ)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
シャミル・ガサノフ(ロシア)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ジャレミー・ミアド(フィリピン)
ダニエル・ウィリアムス(豪州)

<ONEサブミッショングラップリング世界ライト級(※77.1キロ)王座決定戦/12分1R>
ケイド・ルオトロ(米国)
ウアリ・クルジェフ(ロシア)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
アミール・ナセリ(イラン)
内藤大樹(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
エイサー・テン・パウ(米国)
メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リー・ビヴィンス(米国)
ノエル・グホンジョン(フランス)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP補欠戦/3分3R>
ラーデ・オバチッチ(セルビア)
ジヤンニス・ストフォリディス(ギリシャ)

ONE162「Zhan vs Di Bella」

2022年10月21日(金・現地時間)
マレーシア クアラルンプール
アシアタ・アリーナ
ONE162「Zhan vs Di Bella」

■放送予定
10月21日(金・日本時間)
午後8時~ ABEMA格闘チャンネル

■対戦カード

<ONE世界女子ストロー級(※56.7キロ) 選手権試合/3分5R>
チャン・ペイミエン(中国)
ジョン・ディベラ(カナダ)

<キック・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
イスラム・ムルタザエフ(ロシア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
リース・マクラーレン(豪州)
ウインジソン・ハモス(ブラジル)

<キック・フライ級/3分3R>
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)
ムハマド・ブゥタサ(オランダ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
アレックス・シウバ(ブラジル)
グスタボ・バラルト(キューバ)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ジミー・ビエノ(フランス)
ニクラス・ラーセン(デンマーク)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
アルテム・ビュラク(ロシア)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
チョーファー・トー・センティアノーイ(中国)
デニス・ピューリック(ボスニアヘルツェゴビナ)

The post 【ONE FN03】越えろ、Do Sportsの壁。ケイド・ルオトロ「サンビストはTDもレッグロックもできる」 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o   カイナン・デュアルチ ハイサム・リダ ホベルト・アブレウ ルーズベルト・ソウザ

【ADCC2022】99キロ超級 ハイサムかく戦いけり、ADCC&ノーギワールズ優勝サイボーグから一本勝ち

【写真】昨年のWNOチャンピオンシップに続き、ハイサム・リダの名前は確実にワールドクラスになっている(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第16 回は最重量級=99キロ超級に出場したハイサム・リダの戦いを振り返りたい。


<+99キロ級1回戦/10分1R>
ハイサム・リダ(ガーナ)
Def. 1分15秒by 腕十字
ホベルト・アブレウ(ブラジル)

グラップリング最高峰の舞台であるADCC世界大会に初出場を果たしたハイサムの初戦の相手は、サイボーグことホベルト・アブレウ。13年に無差別級王座に輝いたのをはじめとして99キロ超級で銅メダルを2度、銀メダルと1度獲得するなど表彰台の常連になっている。昨年も含めノーギ・ワールズを7度も制するなど世界のトップで活躍する超大物だ。

ハイサムとしては2019年のカイナン・デュアルチ戦、昨年のヴィニシウス・フェレイラ戦に続く世界の重量級トップへのチャレンジとなる。首を取り合う両者。やがてハイサムがアームドラッグを狙うと、サイボーグはそれを横にスピンして切りながらダブルレッグでシュートイン。

が、ハイサムは一瞬で反応して右でサイボーグの左ワキを差して潰すと、そのまま左ワキをすくって電光石火の腕十字へ。

大歓声が沸き上がるなか、ハイサムはすぐにサイボーグのグリップを切りその太い腕を伸ばし切る──と同時にサイボーグがタップ。わずか1分15秒の出来事だった。

レジェンド、まさかの秒殺一本負け──そして最重量級とは思えないほどスピーディーかつダイナミックなフィニッシュに会場は爆発。興奮状態のハイサムは立ち上がって勝利をアピールし、一方のサイボーグは脱帽といった風情でマットに正座し、勝者に拍手を送った。

こうしてハイサムは、本人もおそらく一生涯忘れることがないほどの最高の形でADCC初戦を勝利した。

<99キロ級超級2回戦/10分1R・延長5分>
ルーズベルト・ソウザ(ブラジル)
本戦 2-0
ハイサム・リダ(ガーナ)

鮮烈な一本勝ちで一回戦を突破したハイサムの次戦の相手は、ルーズベルト・ソウザ。

初戦ではジョアオ・ガブリエル・ホシャと対戦し、投げられて下になりながらもその流れで足を取り、一瞬で強烈なヒザ十字を極めて見事な一本勝ち──ハイサム同様、レジェンドから見事な一本勝ちを果たしての2回戦進出だ。

試合開始後、スタンドの攻防を展開する両者。ソウザは両ワキを差そうと試みるが、ハイサムは差し返して距離を取る。

3分経過時、右手でソウザの頭を抱えたハイサムは、長い左腕を伸ばしてニータップを仕掛ける。ソウザの巨体を崩してみせたが、ソウザはすぐに立ち上がった。

加点開始まで残り45秒のところで、ソウザが座る。シッティングから足を絡めてハイサムの右足を狙うが、ハイサムも素早く反応し、ソウザの体を大きくまたぐようにして距離を取る。加点まで残り20秒の時点でソウザは立ち上がった。

やがて試合は加点時間帯に入り、しばらくスタンドでの攻防が続く。

残り3分半の時点にて、ソウザが突進。ボディロックを組むと場外際でハイサムを浴びせたおすことに成功する。ハイサムは倒れながらもバタフライでソウザを浮かせるが、重心の低いソウザはバランスをキープし、そのままハーフの体勢で背中をマットにつけさせ、ヘッド&アームコントロールを取ってポジションを固定。テイクダウンの2点を先制した。

下から上体を起こしてのリバーサルを仕掛けるハイサムだが、ソウザはバランスを保つ。するとハイサムはガードを閉じて足を四の字に組んだ。残り3分。動きを作りたいハイサムだが、ソウザの強固なベースは崩れない。

やがてハイサムがガードを開けたところでソウザが立ち上がると、同時にハイサムもスタンドに戻った。残り時間が少なくなるなか、ハイサムは右足を飛ばして小外や小内を仕掛けるが、ディフェンスモードに入り下がり気味のソウザを崩せない。結局ソウザがそのままリードを守り切り時間に。

2回戦で敗れてしまったとはいえ、初戦で超大物アブレウから今大会最高ともいえるハイライトリール・サブミッションフィニッシュ。ADCCデビュー戦にてその名を世界に轟かせたハイサムは、翌日の無差別級へのエントリーも決めた。

The post 【ADCC2022】99キロ超級 ハイサムかく戦いけり、ADCC&ノーギワールズ優勝サイボーグから一本勝ち first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o   カイナン・デュアルチ カイル・ベーム クレイグ・ジョーンズ ディヴォンテ・ジョンソン ニコラス・メレガリ ニッキー・ライアン ニック・ロドリゲス ユーリ・シモエス ラファエル・ロバトJr

【ADCC2022】99キロ級決勝 減点8のカイナン・デュアルチがクレイグ・ジョーンズを破り、階級変えて連覇

【写真】強い方にこれをやられると、もう手の施しようがない(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第15 回は99㌔級ファイナル=カイナン・デュアルチ×クレイグ・ジョーンズ戦の模様をお伝えしたい。

準決勝でラファエル・ロバトJrを下したカイナン・デュアルチを決勝で待っていたのは、前回大会の88キロ以下級準優勝、豪州の極め業師クレイグ・ジョーンズだ。

ニック・ロドリゲスやニッキー・ライアンと共に形成したBチームのラッシュガード──前面に大きく「メキシカン・グラウンド・カラテ」とある──を身に纏ったクレイグは1回戦で、ジョアオ・コスタと対戦した。

開始直後にクレイグは引き込んで左足に絡むと、すぐにコスタの右腕を捉えて両腕で抱え込んでヒジを伸ばす腕十字。わずか18秒で圧勝した。

続く2回戦は、初戦ディヴォンテ・ジョンソンとの接戦をレフェリー判定で制したカイル・ベームと対戦。ここでもクレイグは加点時間帯に入ってからベームが放ったダブルレッグを、アームインギロチンで切り返してタップを奪い、2戦連続の一本勝ちで翌日のベスト4戦に駒を進めた。

準決勝でクレイグは、前戦でユーリ・シモエスとの接戦をレフェリー判定で制した道着柔術最強の男ニコラス・メレガリと相対する。

この一戦は両者が積極的に仕掛け合う大激戦となる。まず引き込んだクレイグはフォールス・リープからの内ヒールに入り、メレガリが回転して逃げたところで上のポジションを取って見せ場を創る。

延長におけるスタンド戦においても、クレイグはダブルレッグからテイクダウンに成功するなど戦いの幅が広がっていることを示す。この場面ではすぐに背中を向けてから前転したメレガリに立たれてしまい、ポイント獲得こそならなかったものの強い印象を与えたクレイグがレフェリー判定をモノにして、2大会連続の決勝進出を果たした。


<99キロ級決勝/20分1R>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def. 12-0 (ペナルティ8-0)
クレイグ・ジョーンズ(豪州)

決勝戦。スタンドで先に仕掛けたカイナンがシングルレッグからボディロックを取ると、クレイグはあまり抵抗せず下になり、左に絡むハーフを作った。

その後はクレイグが下から仕掛け、カイナンがそれを盤石のベースで遮断する展開が延々と続くことに。やがてカイナンにペナルティが与えられるがそれでも展開は変わらず、カイナンは2つ目のペナルティが与えられる。

カイナンは9分経過のあたりから本格的に低く入るプレッシャーを強め、ハーフで胸を合わせることに成功。そのままクレイグの両ワキを差して上半身を殺し、じっくりと侵攻していった。

加点時間開始15秒前のところで、カイナンは絡まれている足を抜いてマウントを奪取。そのまま低く胸を合わせて抑え続けるカイナンは、加点時間が開始した後に足だけ動かしてニーオンザベリーで2点を取り、またマウントに戻ることでさらに2点を追加。これで減点が2あるものの、ポイントは4-0で逆転に成功した。

その後も、低く胸を合わせてクレイグの上半身を封じ続けるカイナン。一度足を絡ませてから、再びそれを解いてマウントに戻ることで7点目を獲得したが、同時にマイナスも一つ追加された。その後もカイナンは抑えたまま体勢を変えないため、また一つマイナスが加わり、実質3点差となった。

残り7分、カイナンの巨大な上半身に押さえ込まれ続けていたクレイグが、ついにカイナンの腰を押してスペースを作ることに成功、体勢をハーフに戻してみせた。が、カイナンは低く圧力をかけ続けてクレイグの仕掛けを遮断。残り5分のところでなんと5つ目のペナルティを受け、点差は2点となった。

それでもポジションを変えずに膠着し続けるカイナンは、残り3分半でまたペナルティを受けてしまい、1点差に。クレイグは下から右腕を狙うが、カイナンは難なく防御する。

残り2分。上からの膠着を続けるカイナンに7つ目のペナルティが宣告され、ついに試合は同点に。見応えのあるアクションが起きているわけではないこの試合だが、マウントを奪って相手の動きを制し続けている側がペナルティを受け続け、とうとう終盤同点に追いつかれてしまうという前代未聞の展開自体は、シュールかつスリリングだ。

なんとか展開を作りたいクレイグは上半身を起こすが、カイナンもまた上半身の圧力を使ってそれを押し戻して潰す。さらにカイナンはジョーンズの右ワキと首を制して潰して体勢を固める。ここでクレイグに8個目のペナルティが入る。なんと相手をほぼ完全に制圧しているにもかかわらず、カイナンは逆転されてしまった。

下から再び距離を作るクレイグ。残り1分半で点を取らなくてはならないカイナンは立ち上がると、改めて低くプレッシャーをかけてゆく。そしてクレイグの右足を潰したカイナンは、そのまま横に動いて上四方へ。そのままジクレイグを抑え込んでパスに成功。3点を獲得し、土壇場で再逆転してみせた。

クレイグは下から距離を作って立ち上がる。逆転のためにはテイクダウンが必要な場面だが、レスリング力で勝るカイナンの前になかなか仕掛けられない。それでも力のないシュートインを試みたジョーンズだが、カイナンはそれを跳ね返すように倒してゆく。 クレイグはスクランブルをすることもできず下になった。

残り数秒でスコアが実質12-8 =4-0(クレイグの8Pは全てカイナンのペナルティによるものだ)となったところで、クレイグは勝負を諦めてカイナンに握手の手を差し出した。

こうして前代未聞の展開を見せた試合は終了し、カイナンが前回大会の99キロ超級に加えて2連覇を達成。前回大会88キロ以下級準優勝、他の多くの大会でも準優勝が多く、インスタグラムにも「全てにおいて2位」と自虐的なプロフィールを載せているクレイグは、またしても今回準優勝に終わってしまった。

カイナンの優勝インタビューがはじまると、場内の一部からはブーイングが。そんな状況でツータイムス王者は「みんなありがとう。ハッピーだよ。まあもっといい試合ができたとは思うけどね。でもね、この試合場に上がってこれるのは本当にベストの選手だけなんだよ。そして選手はみんな異なった柔術スタイルや性格を持っているんだ。僕は今回勝たなくてはならなかった。まあみんなを喜ばせることはできないよね。僕はここに参加したすべてのアスリートにおめでとうと言いたいよ」と釈明。

さらに「クレイグよ、俺は絶対にお前のように2位にはならないんだぞ!」とジョークを飛ばしたに「僕は(2回戦の)モンストロ(=エルダー・クルズ)との試合でバックを奪ったところで膝を怪我してしまっていたんだよ。だからネガティブな気持ちや心配もあったけど、人生と同じだ。やらなくてはならなかったんだ」と、2日目は万全の体調ではなかったことを明かした。

ヒザの負傷を抱えつつ、世界の超強豪たち相手にレスリングの攻防で優位に立ち、今回も猛威を振るったクレイグの極めの仕掛けも遮断。じっくりプレッシャーをかけて複数回パスを奪ってみせたカイナンの技量はまさに圧巻で、世界一の座に相応しいものだ。

同時に、相手を抑え込み動きを止めようする戦い方に対して、(決して失格を宣告することなく)アグレッシブなまでにペナルティを与えてアクションを促した競技運営陣は、動きの少ない展開に奇妙なスリルとドラマを持ち込むことに成功したといえるのではないだろうか。

なお3位決定戦は、7月のWNO 14の再戦となったメレガリ×ロバトJr。前回テイクダウンを奪って快勝していたメレガリは、今回は加点時間帯前に座って下攻めを選択。

そのガードをロバトJrが攻めあぐねる展開が続いた。結局ロバトJrはペナルティを二つ宣告されてしまい、挽回できず。メレガリが初出場にして初メダルを獲得した。

99キロ級リザルト
優勝 カイナン・デュアルチ(ブラジル)
準優勝 クレイグ・ジョーンズ(オーストラリア)
3位 ニコラス・メレガリ(ブラジル)

The post 【ADCC2022】99キロ級決勝 減点8のカイナン・デュアルチがクレイグ・ジョーンズを破り、階級変えて連覇 first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o   エルダー・クルーズ カイナン・デュアルチ ボクシング ラファエル・ロバトJr

【ADCC2022】99キロ級 出場7度目、5度目のセミファイナル出場のロバトJrを破ったカイナンが決勝へ

【写真】3年前の大会で+99キロ級を制したカイナン。2021年と2022年はムンジアルのヘビー級王者は大ベテランを破って決勝進出を決めた(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第14 回からは99キロからカイナン・デュアルチのラファエル・ロバトJrの勝ち上がりと両者の準決勝戦の模様をお伝えしたい。

前回大会99キロ超級の覇者にして、今年の世界柔術も制している優勝候補筆頭のカイナン・デュアルチは、1回戦で英国のオーウェン・リヴシーと対戦。加点時間帯にクローズドガードから両ワキを差し、リヴシーの体を引きつけて伸ばしてからスクランブルで上を取る見事な技術で2点を獲得。その後も低く体重を預けてサイド、マウントとポジションを制し8-0で快勝した。

2回戦は、そのレスリング力故にダークホースとも見られたエルダー・クルーズ──初戦は世界柔術で2度準優勝を果たしているパトリック・ガウジオと対戦し、スタンドの積極性で上回って延長レフェリー判定勝ちを収めた──と対戦。

クルーズのダックアンダーを迅速の反応でスプロールすると、背後に回って四の字フックを完成。そのままマウントも取って先制し、クルーズに体勢を入れかられるものの、5-2で快勝。順当に2日目に勝ち上がった。

デュアルチの準決勝の相手は、大ベテランのラファエル・ロバトJrだ。2013年の88キロ以下級準優勝者のロバトJrは、2007年に初出場以来なんとこれが7度目のADCC世界大会出場だ。初戦では、フィンランドのペルトゥ・テポネン相手に四つから脇を潜ってバックを奪うと、フェースロックで快勝している。

2回戦は昨年の準優勝者のヴィニシウス・フェレイラと対戦したロバトJr。本戦終盤にフェレイラのボディロックからのテイクダウンを切り返す形で上を取り、2-0で勝利。実に5度目のADCC世界大会準決勝進出を決めた39歳のレジェンドは「今回が最後となるかもしれない。僕はもう父親になったし、人生の次のフェイズに入ろうとしているから。そんな今でも世界のトップの選手たちと戦えて感無量だよ」と涙を流した。


<99キロ級準決勝/10分1R+ExR>
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
Def.ExR by Ref Decision
ラファエル・ロバトJr(米国)

迎えた両者の準決勝。積極的にフェイントを仕掛けるカイナンは、1分ほどのところでダブルレッグでテイクダウン。加点時間帯前とあって、ロバトJrはあまり抵抗せず下のポジションを受け入れた。

ここからカイナンは低くプレッシャーをかけていくが、右足に絡んだロバトJrがニーシールドと腕のフレームで阻止。この攻防が延々と続き、加点時間帯を超えても展開は変わらず。試合は延長戦に持ち込まれた。

スタンドから再開された延長戦。軽快なフットワークのカイナンは序盤同様に細かくフェイントを入れては、ロバトJrの首を掴んで押し下げてそのスタミナを奪いにかかる。が、お互いなかなかテイクダウンは仕掛けられず、両者にマイナスポイントが与えられる展開に。

以後もカイナンはアウトボクシング的スタンドレスリングとでも呼びたくなるようなフットワーク&フェイントで、ペースを支配。動きが明らかに落ちてきたロバトJrもテイクダウンを試みるが、カイナンは軽く距離を取って回避した。

残り45秒。相変わらず軽快な動きのカイナンがダブルレッグを仕掛けると、そのままドライブしてテイクダウンに成功。が、倒されたロバトJrはいったん背中を向けて亀になってから正対し、失点は回避して見せた。さらに下からアームドラッグを仕掛けるロバトJrだが、強力なベースを誇るカイナンは崩れない。

ならばと立ち上がったロバトJrの右足を抱えるカイナン。ここは足を抜いて距離を取ったロバトJrは、残り7秒でシュートイン。が、カイナンはここも距離を取って試合終了した。

レフェリー判定は、終始ペースを支配して最後にはテイクダウンの見せ場も作ったカイナンに。後に、前日のクルズ戦でバックを奪った場面でヒザを怪我してしまったことを明かしたカイナン。あまりリスクを負わず、それでも要所で確実にポイントを取る賢い戦い方を貫いて、2連覇に王手をかけた。

The post 【ADCC2022】99キロ級 出場7度目、5度目のセミファイナル出場のロバトJrを破ったカイナンが決勝へ first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ADCC2022 K-1 MMA MMAPLANET o   アイザック・ミシェル エオガン・オフラナガン ゴードン・ライアン ジェイ・ロドリゲス ジャンカルロ・ボドニ ジョシュ・ヒンガー タイ・ルオトロ ニック・ロドリゲス ペドロ・マリーニョ ルーカス・バルボーザ ヴァグネウ・ホシャ

【ADCC2022】88キロ級決勝 現代グラップリングの完成形=ジャンカルロ・ボドニがハルクを破り世界一に

【写真】投げとテイクダウン、上も下も極めもあるジャンカルロ・ボドニ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第13 回からは88キロ級決勝ジャンカルロ・ボドニ×ルーカス・バルボーサ戦の模様をお伝えしたい。

緻密な技術で決勝に進んだボドニを決勝で待っていたのは、優勝候補の一人ルーカス・ハルク・バルボーザだ。

バルボーザは1回戦はフィンランドのサンテリ・リリアス相手に加点時間前から積極的に極めを狙ってゆき、中盤にテイクダウンからバックを奪取。極めることはできなかったものの3-0で完勝した。

2回戦でバルボーザはアトスの同門にして40歳の大ベテラン、ジョシュ・ヒンガーと対戦。

ヒンガーは初戦、やはり同門にして21歳も年下のタイ・ルオトロと両者総力を尽くした大激戦を展開。延長にてダブルレッグで先制点を取られるものの、オモプラッタの仕掛けからスクランブルで背後に付いてフックを入れ、3-2で驚愕の逆転勝利を収めている。

そのヒンガーを相手にバルボーザは、加点時間帯に入ってからシュートイン。ダブルからシングルに移行して左足を抱えてテイクダウンに成功。亀を取られて加点はなかったものの、そのまま上からじっくり低く体重を預けて侵攻し、足を超えてパス、そしてマウントまで奪って7-0で完勝した。

迎えた準決勝の相手は、やはり大ベテラン40歳のヴァグネウ・ホシャ。こちらは初戦でオセアニア予選の覇者のアイザック・ミシェルに、2回戦ではペドロ・マリーニョ相手に得意のスタンドでの持久戦を展開。延長で加速して判定勝利を収めている。

ちなみにマリーニョは一回戦、ニック・ロドリゲスの弟ジェイ・ロドリゲスにワキをくぐられてバックを奪われたものの、自ら前転してスクランブルして上のポジションを奪取。そのままニースライスパスを決めて3点を先制し、終盤テイクダウンを奪われるものの終了まで足を絡めて逃げ切る形で激闘を制していた。

そんなホシャとの準決勝。バルボーザは前半バックを取りかける等優勢に進めるものの、後半は恐るべきスタミナと尽きない闘争心を持ち、ヘッドバット上等で前進してくるホシャに精神的にも肉体的にも疲弊させられる展開に。最後はテイクダウンを奪われかけたものの背中を向けて終了まで耐え抜き、前半の優勢を評価される形でレフェリー判定勝利。死闘の末に薄氷の決勝進出を果たした。

迎えた決勝戦。ボドニが2020年に黒帯を取得して以来、両者はノーギで5度対戦。いずれも僅差だがバルボーザが4勝1敗と勝ち越している。


<88キロ下級決勝/20分1R>
ジャンカルロ・ボドニ(米国)
Def.14分10秒 by RNC
ルーカス・バルボーザ(ブラジル)

まずはスタンドレスリングで争う両者。お互い頭を掴んで下げさせようとする重厚な攻防が続く。ボドニがバルボーザの右腕をドラッグしようとしたところで、バルボーザがシュートイン。

しかしスプロールしたボドニは、上体を起こすバルボーザをフロントヘッドロックで捕らえて投げを放つ。が、バルボーザはうまく左腕をマットにポストして堪え、そのまま上になった。

低く入るバルボーザは、左右に方向を変えながら侵攻を試みるが、ボドニも左右のニーシールドとフレームを使って止める。ここでレフェリーにバルボーザにもっと積極的に動くようにと警告。これはトップからじっくり圧力をかけていくのがバルボーザの持ち味なだけに、気の毒なコールだ。

さらにプレッシャーをかけるバルボーザだが、ボドニは下から入れた右ヒザでバルボーザの体を引き寄せてその右足を抱えると、そのまま足を伸ばしにゆく。バルボーザは自ら横回転しボドニの背後に。さらに前方にダイブしたバルボーザは、ボドニの背中をマットに付けさせてからバックを狙う。

嫌がったボドニをボディロックで固定したバルボーザはサイドへ回ろうとする。ボドニも両腕を張って距離を作って足を入れて抵抗する。

それでも巨大な上半身で圧力をかけてせり上がるバルボーザは、ニアマウントから肩固めへ。そのまま絡んでいる足を外し、サイドに回るバルボーザ。絶体絶命かと思われたボドニだが、ポジションが固まる前に全身の力を使ってスピンして亀に。そのままバルボーザを振り解いて立ち上がってみせた。バルボーザの世界随一の圧力から脱出したのだから、素晴らしいタイミングと力の集中のさせ方だ。

試合はスタンドから再開され、またしてもいなし合いを展開する両者。やや疲弊したバルボーザが、ボドニに手をかけられて頭を下げさせられる場面が増えてきている。

8分過ぎ、再び頭に手を伸ばすかと思われたボドニがダブルレッグに。反応の遅れたバルボーザの懐に深く入ってテイクダウンに成功し、そのまま上のポジションを取った。加点時間帯に入っていないこともあり、バルボーザは無理にスクランブルをせず下になった形だが、試合の流れが、スタミナを残しているボドニに傾きはじめた感がある。

ボドニがクローズドガードの中から立ち上がると、その右足にデラヒーバで絡むバルボーザ。盤石のバランスを誇るボドニは、慌てず騒がず絡んでくる左足を下から押し下げ、ヒザでピン。さらにボドニはバルボーザの右足も抑えてサイドを狙うが、ここでバルボーザは腕で距離を取り、立ち上がった。

スタンドに戻る両者。いなし合う中で試合は加点時間帯に。ボドニに頭を押さえられたバルボーザがシュートイン。しかしボドニにがぶられてしまう。序盤同様に上体を起こそうとするバルボーザだが、ボドニは体重をかけてそれを許さず、そのまま左足を巻き込んでクレイドルの形でグリップを作る。

ここでバルボーザは力を込めてボドニのグリップを切りながら、上体を起こすことに成功する。バルボーサはさらに両差しの状態から大内でドライブしてのテイクダウンを狙うが、ボドニは腰を引いて防御。次の瞬間、バルボーザの右腕を小手で巻いたボドニが内股へ。前に崩されつつ、バルボーサはうつ伏せで耐えきった。

力のこもった攻防に場内から歓声が上がるなか、ボドニはさらにバルボーザの足を跳ね上げて投げ切りにいく。バルボーザは自ら前転し、勢いをつけてスクランブル。場外ブレイクとなった。動きが落ちているバルボーザだが、ここ一番で出力を上げられるのはさすがだ。

この場面、解説のショーン・ウィリアムスが「いま、彼(ボドニ)がニューウェーブでサトシ・イシイのようなトレーニングパートナーを持っていることが役に立っているんだ。内股の使い方だよ。柔道はこのようにレスリングに対して素晴らしいディフェンスとして機能するんだ」とコメントした。

試合はスタンドで再開されボドニのダブルレッグに対し、ワキをすくって押し返すバルボーザだが、疲弊のあまりその時に両ひざをついてしまう。すかさずボドニは突進して肩を押し倒し、スクランブルを試みたバルボーザの背後に付いてみせた。

亀の体勢のバルボーザに覆いかぶさって襷を取ったボドニは、そのままバルボーザの体を仰向けに返しながら四の字フックを完成させ、大きな3点を先取した。大歓声が沸き「USA」チャントが沸き起こるなかチョークを狙うボドニだが、バルボーザも諦めずに両腕でディフェンスする。

が、足を組み替えてさらに6点を追加したボドニは、左手でバルボーザの顎を掴んで上げさせてから、右腕を深くこじ入れることに成功すると──マタレオンの形で絞め上げてタップを奪った。昨年のWNOチャンピオンシップの重量級では3戦全敗、優勝候補に挙げられることは少なかったボドニが、初出場初優勝を決めた。しかも4試合全てを完勝(3つの一本勝ち)。その強さは、他の出場選手たちより頭一つ以上抜けていた。

決勝のバルボーザだけでなく、スタンドレスリングの強さで世界の頂点に立ったディニズをも制した、粘り強いスタンドレスリング。トップゲームで世界柔術の頂点に立ったバルボーザとバイエンセにパスを許さない優れたガードワーク。今回旋風を巻き起こしたオフラガナンの足関節攻撃を的確に捌き、逆に極め返した正確な技術。そして盤石のバランスを礎に段階を踏んで相手の動きを潰し、やがて完全制圧する緻密なトップゲーム──スピード感こそやや欠けるものの全ての局面で抜群の安定感を持ったボドニの戦いぶりは、同門の先輩ゴードン・ライアンを彷彿させる強さを見せつけた。

実際、ニューウェーブに加入してからの練習について「毎週のように自分が上達しているのが感じられる。特に僕は2、3ヶ月ごとに全く違うレベルの選手になっていることが分かるんだ」と語ったボドニ。26歳にして急成長を続ける彼は現在、ライアンとともにダナハーのグラップリングシステムをもっとも高いレベルで体現している選手と言っていいだろう。

これで66キロ級、77キロ級に続き88キロ級も初出場選手が初優勝。ADCCに新しい風が吹いている。

なお3位決定戦は、そんな風など何するものぞ──とばかりにベテラン40歳のヴァグネウ・ホシャがいつもの如く闘争心を前面に出す戦いを展開。

今大会一躍名を挙げたエオガン・オフラナガンに上のポジションから仕掛けるトーホールドを極めてみせ、準優勝の前回に続いてメダル獲得を果たした。

88キロ以下級リザルト
優勝 ジャンカルロ・ボドニ(米国)
準優勝 ルーカス・バルボーザ(ブラジル)
3位 ヴァグネウ・ホシャ(ブラジル)

The post 【ADCC2022】88キロ級決勝 現代グラップリングの完成形=ジャンカルロ・ボドニがハルクを破り世界一に first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o WNO15   エオガン・オフラナガン シャンジ・ヒベイロ ジェイ・ロドリゲス ジャンカルロ・ボドニ マテウス・ジニス メイソン・ファウラー ルーカス・バルボーザ

【ADCC2022】88キロ級 次々と現れる組み技界の未来=ジャンカルロ・ボドニ─準決勝までの勝ち上がり

【写真】柔術とレスリングが見事に調和されたボドニ。上でも下でも勝てるスタイルは、ADCCルールとサブオンリーの両ルールでも同様の活躍が見込める選手だ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第12 回からは88キロ級──まずはジャンカルロ・ボドニ×エオガン・オフラナガンの準決勝の模様と両者の勝ち上がりをお伝えしたい。

北米予選覇者のジャンカルロ・ボドニは、ベウナウド・ファリアの教えを受けてアリアンシの黒帯を取得し、昨年からジョン・ダナハー門下に移った選手。昨年のノーギパンナムでルーカス・バルボーザを倒した実績が光る。

7月のWNO15におけるジェイ・ロドリゲス戦ではグラップリングの未来といえる柔術とレスリングの融合体を見せてジャッジ3人の支持を得て勝利した試合も印象深い。

そのボドニは1回戦で元柔術世界王者のイザッキ・バイエンセと対戦。

巧みなシッティングガードやハーフガードでバイエンセの上からのプレッシャーに対抗。足関節合戦からのスクランブルで背後に回ってフック入れて3点を先取すると、一度フックを緩めてから入れ直してさらに3点追加。バイエンセの左腕を足で封じた状態でチョークを狙い続けて6-0で完勝した。


続く2回戦では前回王者にして優勝候補筆頭と見られたマテウス・ジニスとボドニは相対することに。

序盤にアームバーからニータップにつないでテイクダウンを奪いパスまで決めたボドニは、加点時間帯に入ってから場外際のスクランブルでボディロックを取り、ブレイク後に中央から再開されると直後にテイクダウンに成功。さらにニアマウントから腕十字を狙い、最後は三角絞めを完全にロックオンして本戦で一本勝ちを収めた。

バイエンセ&ジニス、柔術&グラップリング界の超ビッグネーム2人に完勝という驚くべき快挙を成し遂げて、絶好調のボドニは準決勝進出を決めたのだった。

そのボドニの相手はヨーロッパ予選覇者にして、こちらも前日に2戦連続で大物食いを果たして世界を驚かせた英国のエオガン・オフラナガンだ。

1回戦、下から柔軟なガードでレジェンド中のレジェンドであるシャンジ・ヒベイロのプレッシャーに対処したオフラナガンは、足関節攻撃でむしろ優位に本戦を終えた。

延長ではシャンジのタックルをギロチンで切り返したオフラナガンは、バックにまわってフックを入れて先制点。その後シャンジに脱出されるも、柔軟性を存分に活かしたガードワークと巧みな足関節の仕掛けをもってシャンジに反撃を許さず、3-0で完勝した。

続く2回戦も、オフラナガンは柔軟性を利したガードワークをもってメイソン・ファウラーのトップからの攻撃に対処。ファウラーが上から外ヒールを仕掛けてきたところを内ヒールで切り返し、最後は両腕を組むような形で極めてみせた。

世界的には比較的無名の存在ながら、大ベテラン世界王者のシャンジ、SUG王ファウラーを連覇したオフラナガンは、今大会のブレイクアウト・スターの1人といえるだろう。

<88キロ級準決勝/10分1R>
ジャンカルロ・ボドニ(米国)
Def. 2分18秒by トーホールド
エオガン・オフラナガン(英国)

揃って大物2人を撃破し勢いに乗る両者の準決勝。試合後すぐ座ったのはオフラナガンの方。自分の両足の間にあるボドニの右ヒザ裏を外から抱え、崩しながら下の足を抜いてサドルに入るフォールス・リープを狙うが、ボドニは同時に回転し、絡んでくる左足を両手で押し下げて回避する。

さらに絡もうとするオフラナガンの足を丁寧に捌くボドニは、やがて体勢を低くして上半身でオフラナガンの足を潰しにかかる。が、オフラナガンはインバーテッドから柔軟な股関節を利用して足をこじ入れて、回転しながらサドルを作る。

ここからが足関節を熟知しているダナハー門下のボドニの真骨頂だった。アフラナガンの動きに冷静に付き合うと、絡まれている足の支点をヒザより下に持ってきてから、改めて手で押し下げて絡みを解除し、再び低く体重を預けてゆく。オフラナガンは再びインバーテッドから鋭く回転してサドルへ。が、ここもボドニは落ち着いて回転しつつ、外掛けで絡むフラガナンの左足を右手で抑えて防御する。

それでもオフラガナンが左足を絡めようとするが、ボドニはその左足を左手で抱えて自らの胸部にかかとを付けると、右手を内側から入れて(自らの胸部とかかとの接着面を支点に)足首を捻りあげる。フリーだった左足首を突然極められたオフラガナンはすぐにタップ。ボドニはしてやったりと言わんばかりにニヤリと笑ってみせた。

今大会一躍注目の的となったオフラガナンの下からの攻撃に対し、抜群の安定感のベースを軸に慌てず騒がず、きわめて落ち着いた様子で対処し、段階を踏んで着実に潰していったボドニ。

その姿は、技の一つ一つの工程を丁寧に説明する師匠ジョン・ダナハーの教則映像の如しであった。そして最後は、人体の関節の構造を知り尽くしたかのようなカウンターの足関節。この階級では今まで見たことがないような類の緻密な技術を披露し、ボドニが決勝に進出した。

The post 【ADCC2022】88キロ級 次々と現れる組み技界の未来=ジャンカルロ・ボドニ─準決勝までの勝ち上がり first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o UFC   アマンダ・ヌネス ガブリエル・ソウザ ケネディ・マシエル ジオゴ・ヘイス ジョシュ・シスネロス ディエゴ・オリヴェイラ ファブリシオ・アンドレイ マイキー・ムスメシ

【ADCC2022】66キロ級決勝 失点0で優勝。最軽量級世界一はベイビーシャーク=ジオゴ・ヘイス

【写真】全試合一本という派手な勝ち方ではないが、失点0も胸を張ることができる優勝だ(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第11 回は66キロ級決勝戦=ジオゴ・ヘイス×ガブリエル・ソウザ戦の模様をお伝えしたい。

ADCCルールに見事に合わせた戦いぶりで決勝進出を果たしたジオゴの相手は、昨年のWNOチャンピオンシップでマイキー・ムスメシからパスを奪って準優勝に輝いたガブリエル・ソウザだ。

ソウザは1回戦、以前ノーギでファブリシオ・アンドレイを肩固めで仕留めるなど、強烈な極めを持つフアン・アルバランカと対戦。

序盤強烈にギロチンで絞め上げられ、落ちたと勘違いしたレフェリーに試合を止められて一度は負けを宣せられた。が、抗議が実り試合は再開。終盤にスクランブル合戦を制して2点を奪取し、アルバランカが動いたところでバックを奪って5-0で勝利した。

2回戦は、初戦でAJ・アガザームに勝利したジェレミー・スキナーと対戦。開始早々にパスを奪ったソウザは、そのまま上から攻め続けて、最後はマウンテッド・トライアングルで圧勝した。

準決勝のソウザの相手は、昨年ノーギで3度当たってことごとく惜敗している天敵のパトことディエゴ・オリヴェイラ。パトは1回戦で北米予選王者のキース・クレコリアンをストレートレッグロックで極めて、道着を脱いでも極めの強さを見せつけた。

そのパトは2回戦で、前回優勝のケネディ・マシエルとのマッチアップに挑んだ。

深くタイトに組んだ外掛けから、ヒールのようにかかとをワキに引っ掛けず、上腕で足首をすくう形でヒザを捻るZロックを極め、絶好調で準決勝に上がってきた。

そして迎えた準決勝──ソウザは延長戦のレスリング勝負に持ち込んでパトを疲弊させ、レフェリー判定で勝利。ジエゴと同じく、ADCC世界大会初出場にして決勝進出を決めたのだった。


<66キロ以下級決勝/20分1R>
ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
Def.3-0
ガブリエル・ソウザ(ブラジル)

両者の立ちの攻防がしばし続くと、客席から「ベイビー・シャーク・ドゥ・ドゥ・ドゥ・ドゥ~🎵」とがなりたてる輩が現れる。このベイビーシャーク・ソングは言うまでもなく童顔のジオゴのニックネームの元ネタであり、ここ数年幼児に大人気の歌だ。

そこで実況解説陣も「5歳以下のファンはみんなベイビーシャークを応援しているはずさ」「僕の6歳の息子も全選手のなかで彼が一番のお気に入りなんだ」とコメント。初出場の若手ブラジル人同士、北米の観客にはなかなか感情移入しにくい試合でも楽しみ方はある。

2分半経過した頃、ジオゴが素早く小内からドライブしてテイクダウンに成功。加点時間前なので無理せず下になったソウザが内ヒールを仕掛けると、回転して逃れるジオゴ。それに乗じてソウザが上を取ると、ジオゴも下にステイし、得意の右に絡むハーフを作った。

やがてジオゴがクローズドから左足に絡んで崩すと、両者足関節の取り合いに。どちらも極めさせず、やがて勝者はスタンドに戻った。

6分経過時に、ソウザがアームドラッグへ。すぐに反応したジオゴが逆にカウンターのドラッグ返しからバックに回る。

襷を取り、足を一本入れるジオゴ。しかしソウザも動き続け、体をずらして正対して立つことに成功する。ここで下になったジオゴは、立たずに下から左足に絡む。加点時間帯前なので、無理にスクランブルを仕掛けなくても良いという考えのようだ。

その後ジオゴは下から足を狙い、ソウザが対応する展開が続く。ジオゴがトーホールドを仕掛けると、ソウザが回転して逃げて上下が入れ替わる。やがてダブルガードからお互い足を狙い合う状態となり、試合は10分を経過。加点時間帯に入った。

しばらくすると両者とも立ち上がる。様子見段階は終わり、世界一の座を賭けた本格的なポイント戦がここから開始だ。

お互い譲らない攻防が続くなか、ジオゴが一瞬のアームドラッグから小内につなげてソウザを倒す。本戦と違いすぐに距離を取り、背中を向けて立とうとするソウザ。ジオゴすぐその背後に回る。

ソウザの背中に登ってシングルフックと襷掛けを作るジオゴが、両足フックを狙う。何とか手で足を振り払うソウザだが、ジオゴは襷を双差しに切り替えてソウザのワキを開けさせ、ついにフックを入れて3ポイントを先制した。

残り7分で大きなビハインドを背負ってしまったソウザは再び手を使ってジオゴのフックを解除すると、腰を上げて頭を下げてジオゴを落としにかかる。頭で倒立するような状態でしばらく粘っていたジオゴだが、無理せず下に。得意の右に絡むハーフを作った。先制点を奪った以上、あとは失点せず戦ってゆけばいい。

ジオゴのハーフの前に攻め手を作れないソウザは、一旦離れてのパス狙いへ。が、ジオゴは柔らかい動きで対応。逆に下からソウザの左足に絡んで崩しては、足狙いを見せる。

深い50/50を作ったジオゴは、内ヒールを仕掛ける。特に極める必要はなく、相手に防御を余儀なくさせ時間を稼ぐのにきわめて有効な手だ。ソウザは立ち上がって組まれた足を押し下げて解除するが、ジオゴはインバーテッドからまたしても足を絡めてゆく。

その後、ソウザは横に回ってのパスや上から飛び込んでのバック狙いを見せるが、その度にジオゴは下から柔らかい動きで危なげなく対処を続けた。終盤も足と両腕のフレーム使ってソウザにパスのチャンスを与えないジオゴは、残り数秒のところで距離を取って素早く立ち上がる。ここでソウザも万事休すと悟ったか、最後の追撃はせず。弱冠20歳のジオゴ・ヘイスが初出場初優勝の快挙を成し遂げた。

ケニー・フロリアンから勝利者インタビューを受けたジオゴは、童顔の見た目よりさらに幼い声で(たまに指摘されることだが、ジオゴの英語はUFC女子バンタム&フェザー級王者アマンダ・ヌネスのそれをぐっと拙く少年ぽくした印象だ)、「最高の気分さ。夢がかなったよ。ここまでの道のりは楽じゃなかった。僕たちはみんな身を練習に捧げてきたんだ。チームメイトのファブリシオやミカ、そして師匠のメルキ・ガルバォンがいなければ僕はここにいない、彼なしに優勝など不可能だったんだ。全てを僕らに捧げてくれた」と語った。

その後メルキがマットに登場して、ジオゴとハグ。愛弟子の快挙に感涙にむせぶ師の横で、ジオゴは「この人は僕の父であり、友人であり、コーチであり、師匠だ」と改めて想いを語り、感動のエンディングとなった。

今大会の4試合、一切の失点をせず、ことごとく後半のレスリング、スクランブルの攻防で差を付けて勝ち切ったジオゴ。テイクダウンされてもポイントを許さず立ち上がり、徐々に相手を疲弊させてゆくレスリングの持久力で上回った形だ。

そんな戦い方を可能にしたのは、柔らかい動きで体力を消耗せずに、相手に得点を奪う隙を与えない優れたガードワーク、そして各局面で不要なリスクを犯さず、試合に勝つための最適な方法を選び取ることのできる高いファイトIQがあるからこそだ。

世界最高峰の選手が集ったこの最軽量級にて、ADCCルールで勝つためのスキルを、技術的にも精神的にも最も高いレベルで持ち合わせていたのが、ジオゴ・ヘイスだったといえるだろう。

なお3位決定戦は、延長までもつれ込んだ末、パトことディエゴ・オリヴェイラがジョシュ・シスネロスからペナルティ1差で勝利。こちらも初出場でのメダル獲得となった。

66キロ級リザルト
優勝 ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
準優勝 ガブリエル・ソウザ(ブラジル)
3位 ディエゴ・パト・オリヴェイラ(ブラジル)

The post 【ADCC2022】66キロ級決勝 失点0で優勝。最軽量級世界一はベイビーシャーク=ジオゴ・ヘイス first appeared on MMAPLANET.
カテゴリー
ADCC2022 MMA MMAPLANET o   ゲイリー・トノン ジオゴ・ヘイス ジョシュ・シスネロス ブログ

【ADCC2022】66キロ級準決勝 赤子鮫、シスネロスとのアブダビ流レスリングマッチを制し決勝へ

【写真】大会前の予想よりも、レスリング力が上がっていたベイビーシャーク。盟友アンドレイ戦、この準決勝でも立ちレスの成長は顕著だった(C)SATOSHI NARITA

9月17日(土・現地時間)&18日(日・同)にラスベガスのトーマス&マック・センターにて開催された2022 ADCC World Championshipが開催された。
Text by Isamu Horiuchi

ADCC史上、他のグラップリングイベントの追随を許さない最高の大会となったADCC2022を詳細レポート。第10 回は66キロ級の準決勝=ジオゴ・ヘイス×ジョシュ・シスネロスの一戦の模様をお伝えしたい。


2回戦で親友ファブリシオ・アンドレイとの大一番を制したジオゴの準決勝の相手は、米国の新鋭ジョシュ・シスネロス。

一回戦では、別人のように筋肉が肥大したイサン・クレリンステンと対戦し、延長でマウントを奪取。最後は後ろ三角絞めの体勢から腕を伸ばして一本勝ちを収めている。

シスネロスは2回戦で初戦でゲイリー・トノンからスクランブルでバックを奪い、最後のヒールも凌ぎ切って殊勲の星を挙げたサム・マクナリーと対戦。

ダイブしての三角絞めから腕を伸ばす等見せ場を作った末、延長レフェリー判定で激戦を制して準決勝進出を決めている。

<66キロ級準決勝/10分1R>
ジオゴ・ヘイス(ブラジル)
Def. 2-0
ジョシュ・シスネロス(米国)

スタンドでフェイントをかけ、足を飛ばし合う両者。2分半経過時点で、ジオゴがフェイントからシスネロスの左ワキをくぐる。正対しようとするシスネロスにボディロックし、小外掛けからジオゴが浴びせ倒して上になった。

一旦シスネロスのクローズドガードに入ったジオゴだが、すぐに立ちあがる。シスネロスは下から足を掴んでのスイープを試みるが、ジオゴは距離を取る。

さらにスタンドの攻防が続き、シスネロスが素早くシングルに入りジオゴの左足を捕獲。振りほどこうとするジオゴだが、シスネロスは許さず距離を詰めて上になる。時計を見て加点時間帯に入っていないことを確認したジオゴは、無理せず下にステイ、右足に絡んでゆく。

やがて試合は加点時間帯に。下から足を狙ったが防がれたジオゴは、シッティングから素早く右足を抱えてのレッスルアップを狙うが、シスネロス距離が距離を取り、両者はスタンドに戻った。

加点時間帯になってから初めてのスタンドの攻防、一つのテイクダウンが勝敗を左右する状況下だ。手四つを組んだ両者が頭を付け合うなか、素早く飛びこんだジオゴ。深く入ってのニータップでシスネロスを豪快に倒すと、すぐさま三点で体重をかけてスクランブルを許さずにポジションを固定し、大きな2点を先制してみせた。

一度はクローズドガードを取ったシスネロスは、それを開けて右にハーフで絡む。さらに下からジオゴの足に絡むが、ジオゴは立ちあがって対処する。次はまた右に絡むシスネロスだが、ジオゴはその手を押し下げて防御する。残り1分40秒の時点で、このままでは埒が明かないと踏んだかシスネロスは立ち上がった。

スタンドからテイクダウンを仕掛けるシスネロスだが、ジオゴは距離を取り防ぎ、逆に距離を詰めて四つの体勢に。ここから足を飛ばすシスネロスだが、ジオゴのバランスは崩れない。次にシスネロスはシュートインを試みるが、ジオゴは安定したフットワークで防ぐ。

残り20秒。シスネロスは素早くシングルに入ってジオゴの右足を取るが、ジオゴは側転するように抜き、逆にテイクダウン狙いを仕掛けてゆく。結局、最後までスタンドでシスネロスに付け入る隙を与えなかったジオゴが2-0で勝利した。

これまでの2試合同様、加点時間帯におけるレスリング・スクランブルの攻防を制したジオゴの勝利。全局面で高い技術を持つ上に、不要なリスクを犯さず体力も消耗しない試合運びで、要所でポイントを取りきるレスリング力に優れている。ADCCルールに対する抜群の適性と、童顔に似合わない高いファイトIQを再び見せつけた20歳が、初出場にして決勝進出を果たした。

The post 【ADCC2022】66キロ級準決勝 赤子鮫、シスネロスとのアブダビ流レスリングマッチを制し決勝へ first appeared on MMAPLANET.