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45 AB Brave CF MMA MMAPLANET o UAEW UFC UFN UFN238   アザット・マクスン アブドゥルカリーム・アルセルワディ アレックス・ペレス アレッサンドロ・コスタ アレッシャンドリ・パントージャ ウマル・ヌルマゴメドフ エイマン・ザハビ エリク・アンダース キック シャミル・ガジエフ ジェイミー・ピケット ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク ジャビッド・バシャラット スティーブ・アーセグ タイソン・ペドロ ダヴィッド・ドヴォルザーク デイヴィソン・フィゲイレド ビクター・ヘンリー ベクザット・アルマカーン ボクシング マット・シュネル ムハマド・モカエフ ルドヴィット・クライン ヴィトー・ペトリーノ 中村倫也 吉野光 平良達郎 風間敏臣 鶴屋怜

【UFN238】計量終了 モカエフがついにタイトル挑戦経験者と。吉野に勝ったオリヴェイラ×ソパイも注目

【写真】歴史の浅い――しかも仕切り直しがあった階級だからこそ、これから動きも大きくなるはずだ(C)MMAPLANET

2日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN238: UFN on ESPN+96「Rozenstruik vs Gaziev」の計量が行なわれ、全選手が滞りなくクリアしている。
Text by Manabu Takashima

メインはヘビー級のジャイルジーニョ・ホーゼンストライク×シャミル・ガジエフという今大会だが、日本のファンからすると気になるのは軽量級、やはりフライ級とバンタム級の戦いだろう。


フライ級では平良達郎がコールアウトしたムハマド・モカエフが、ついにタイトル挑戦経験のあるファイター=アレックス・ペレスと対戦する。2020年11月にデイヴィソン・フィゲイレドの持つ世界フライ級王座に挑戦して敗れたぺレスは、その後の3年4カ月で流れた試合数は「9」、実際にオクタゴンに足を踏み入れたのはたったの1度でアレッシャンドリ・パントージャに91秒でRNCで一本負けを喫している。

いえばこの40カ月でペレスは、僅か3分28秒しか戦っていない。対するモカエフは、この間にNCを含めると9試合を経験してきた。ペレスにケージロスがあるかどうは分からないが、勢いがあるのはモカエフであることは間違いない。ペレスがタイトル戦線に再浮上するためには、キャリア10連勝の新鋭に初黒星を与えることが必須だ。

そんなペレスとの対戦が4度に渡り流れたマット・シュネルと戦うスティーブ・アーセグは、Eternal MMAフライ級王者から昨年6月にスクランブル出場でオクタゴン初陣を戦った。そしてダヴィッド・ドヴォルザークを下し、2戦目でシュネルと戦うことが決まっていたが、シュネルの欠場で試合が不成立に。結果、代役アレッサンドロ・コスタに判定勝ちを収めている。

仮にアーセグがシュネルを下して3連勝とすれば、今後数カ月で平良の対戦相手になることは十分にあるだろう。

平良、そして鶴屋怜目線で眺めるフライ級に対し、中村倫也&風間敏臣視線で俯瞰すべきなのがバンタム級戦線だ。メインカードではウマル・ヌルマゴメドフとベクザット・アルマカーンという16勝0敗×16勝1敗という凄まじい戦績の持ち主同士がぶつかる。とはいえ、アルマカーンは今回がUFC初陣ということもあり、フライ級の同胞アザット・マクスンの例を見るまでもなく16勝1敗という数字は参考記録に留めるべきだろう。

UFCデビュー戦といえば、ヴィニシウス・オリヴェイラと対戦するスウェーデンのベルナルド・ソパイは、今大会に初めて世界最高峰の舞台に上がる。ライオンキングの異名を持つ、アルバニア系スウェーデン人選手はコロナ禍の2020年8月にスロックホルムで無観客ウィークリショーを開いたBRAVE CFに出場し、一躍注目を集めるようになった。

その流れでバーレーンで戦ったことがあるソパイだが、ほぼスウェーデン国内で経験を積み、UFCにたどり着いたレア・ファイターだ。キックボクシングを思わせる近い距離で、右オーバーハンドの強さが目立ったソパイだが、執拗なテイクダウン狙いには手を焼く――BRAVE CF時代はそんなヤングブラッドだった。

あれからほぼ3年が過ぎ、UAEWで吉野光をKOしているオリヴェイラの打撃に対し、どのような幅のある戦いを見せることができるのか。粗いが当たれば倒す、そしてなぜか当たるオリヴェイラのパンチ。その分KOパンチを被弾することも少なくないオリヴェイラとの距離、振りの大きさの対比が楽しみな一戦となる。

オリヴェイラ×ソパイ戦の前に組まれた試合順に、不満を抱いていて然りなのがジャビッド・バシャラットだろう。キャリア14勝0敗1NC、前戦ビクター・ヘンリー戦こそローが急所に入りNCとなったが、オクタゴン3連勝でランカーとの対戦を強く要望してきた。

そのなかでUFCで4勝2敗のザハビとのマッチアップ、グラップリングに特化した相手をジャブと蹴りで突き放し、完全ドミネイトもしくはポイントアウトの遂行していくに違いない。だからこそ、注目すべきはザハビの戦い方だ。実兄である名将フィラスが控えるザハビは、前述したようにグラップリングに特化したという印象を利して、予測不能な打撃を有効な武器としつつある。

バシャラットが持ち味である徹底して落ち着き払ったファイトで、やるべきことを選択すればザハビに勝ち目はない。しかし、少しでも奢りを見せ、ザハビを軽視するような心の隙があれば……そこが命取りになるやもしれない。

■視聴方法(予定)
3月3日(日・日本時間)
午前3時30分~UFC FIGHT PASS
午前2時45分~U-NEXT

■UFN238計量結果

<ヘビー級/5分5R>
ジャイルジーニョ・ホーゼンストライク: 257ポンド(116.57キロ)
シャミル・ガジエフ: 261ポンド(118.38キロ)

<ライトヘビー級/5分3R>
ヴィトー・ペトリーノ: 205.5ポンド(93.21キロ)
タイソン・ペドロ: 205.5ポンド(93.21キロ)

<フライ級/5分3R>
アレックス・ペレス: 126ポンド(57.15キロ)
ムハマド・モカエフ: 126ポンド(57.15キロ)

<バンタム級/5分3R>
ウマル・ヌルマゴメドフ: 136ポンド(61.69キロ)
ベクザット・アルマカーン: 136ポンド(61.69キロ)

<フライ級/5分3R>
マット・シュネル: 126ポンド(57.15キロ)
スティーブ・アーセグ: 126ポンド(57.15キロ)

<ミドル級/5分3R>
エリク・アンダース: 185.5ポンド: 186ポンド(84.37キロ)
ジェイミー・ピケット(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
ヴィニシウス・オリヴェイラ: 135.5ポンド(61.46キロ)
ベルナルド・ソパイ: 135.5ポンド(61.46キロ)

<バンタム級/5分3R>
ジャビッド・バシャラット: 136ポンド(61.69キロ)
エイマン・ザハビ: 135.5ポンド(61.46キロ)

<ミドル級/5分3R>
クリスチャン・レロイ・ダンカン: 186ポンド(84.37キロ)
クラウジオ・ヒベイロ: 185.5ポンド(84.14キロ)

<ライト級/5分3R>
ルドヴィット・クライン: 156ポンド(70.76キロ)
AJ・カニンガム: 155.5ポンド(70.53キロ)

<ライト級/5分3R>
ロイック・ラジャポフ: 155.5ポンド(70.53キロ)
アブドゥルカリーム・アルセルワディ: 156ポンド(70.76キロ)

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45 AB MMA MMAPLANET o UFC UFN UFN237   アレッシャンドリ・パントージャ エドガー・チャイレス クラウジオ・プエレス クリスチャン・キニョネス クリス・ダンカン ジャイー・ロドリゲス ジャスミン・ハウレギ ダニエル・セジューベル ダニエル・ラセルダ デニス・ボンダル ハオーニ・バルセロス フィリッピ・ドスサントス フェレス・ジアム フランシスコ・プラド ブライアン・オルテガ ブランドン・モレノ ブランドン・ロイヴァル ヘスウ・アギラー マテウス・メンドンサ マニュエル・トーレス ラウル・ロサスJr リッキー・トゥルシオス ルイス・ロドリゲス ヴィクター・アルタミラノ 平良達郎 鶴屋怜

【UFN237】計量終了 ラテンの祭典はフライ級NIGHT。メキシコ✖ワールド125lbsの戦いに注目!!

【写真】メキシコシティの環境が、どのような影響を与えるのか(C)Zuffa/UFC

24日(土・現地時間)にメキシコはメキシコシティのアレナ・シウダ・デ・メヒコで開催されるUFN237@:UFN on ESPN+95「Moreno vs Royval2」の計量が23日(金・同)に行われている。
Text by Manabu Takashima

2019年9月以来、4年5カ月振りのメキシコ大会は13試合中10試合にメキシコ人ファイターが出場し、さらにラウル・ロサスrやブライアン・オルテガというメキシコ系米国人、アルゼンチン、ペルー、ベネズエラ人選手が揃っており、さながらラテンの祭典となっている。


そんなメヒコ大会はメインのブランドン対決02=ブランドン・モレノ×ブランド・ロイヴァルを筆頭に、フライ級マッチが実に5試合も組まれている。

2020年11月に組まれた前回の対戦ではモレノがやや優勢なグラウンド&スクランブル戦の展開中にロイヴァルが右肩を負傷。ヒザ十字を狙ったロイヴァルの動きが止まったところで、モレノが鉄槌を落としTKO勝ちを収めている。

ロイヴァルにオクタゴン初黒星をつけた勝利は、フライ級の頂点に立つことになるモレノを勢いづけた勝利になった。あれから3年3カ月、ベルトを失ってから再起戦となるモレノ。対するロイヴァルも昨年12月にアレッシャンドリ・パントージャに敗れ世界王座奪取ならず、再スタートの一戦がリベンジが掛かった一戦となる。

2250メートルという高度、空気の薄いメキシコシティで5R戦。省エネファイトか、前回の続きのような激しいアクションパックとなるのか──楽しみなフライ級トップ戦線サバイバルウォーだ。

この他のフライ級マッチはプレリミで組まれているが、エドガー・チャイレスとダニエル・ラセルダの一戦は、前者 131ポンドで後者が127ポンドと揃って計量を失敗しており、キャッチウェイトマッチで戦うこととなっている。

2人も体重オーバーということで、この試合はフライ級の格付けにおいては参考試合となるが、他の3試合は層が厚くなり始め、上位がランク変更が少ない実情のなかで勝ってインパクトを残したい位置のファイターが揃っている。

うちヘスウ・アギラーとヴィクター・アルタミラノが、共にブラジル人ファイターを迎え撃ち、ルイス・ロドリゲスはウクライナのデニス・ボンダルが相手となる。決してホームが優位などない、厳しい相手が揃って用意されているだけに、平良達郎、そして鶴屋怜の対戦相手がこの中からから出てくる可能性も十分にある。

そういう意味でも注目のフライ級メキシコ勢の国際戦だ。

■視聴方法(予定)
2月18日(日・日本時間)
午前9時00分~UFC FIGHT PASS
午前8時30分~U-NEXT

■UFN237計量結果

<フライ級/5分5R>
ブランドン・モレノ: 126ポンド(57.15キロ)
ブランドン・ロイヴァル: 126ポンド(57.15キロ)

<フェザー級/5分5R>
ジャイー・ロドリゲス: 146ポンド(66.22キロ)
ブライアン・オルテガ: 146ポンド(66.22キロ)

<ライト級/5分3R>
ダニエル・セジューベル: 156ポンド(70.76キロ)
フランシスコ・プラド: 156ポンド(70.76キロ)

<バンタム級/5分3R>
ラウル・ロサスJr: 136ポンド(61.69キロ)
リッキー・トゥルシオス: 136ポンド(61.69キロ)

<女子ストロー級/5分3R>
サム・ヒューズ: 115ポンド(52.16キロ)
ジャスミン・ハウレギ: 115ポンド(52.16キロ)

<ライト級/5分3R>
マニュエル・トーレス: 155ポンド(70.31キロ)
クリス・ダンカン: 156ポンド(70.76キロ)

<バンタム級/5分3R>
クリスチャン・キニョネス: 135ポンド(61.24キロ)
ハオーニ・バルセロス: 135ポンド(61.24キロ)

<フライ級/5分3R>
ヘスウ・アギラー: 126ポンド(57.15キロ)
マテウス・メンドンサ: 126ポンド(57.15キロ))

<フライ級/5分3R>
エドガー・チャイレス: 131ポンド(59.42キロ)
ダニエル・ラセルダ: 127ポンド(57.6キロ)

<ライト級/5分3R>
クラウジオ・プエレス: 156ポンド(70.76キロ)
フェレス・ジアム: 156ポンド(70.76キロ)

<フライ級/5分3R>
ルイス・ロドリゲス: 125ポンド(56.7キロ)
デニス・ボンダル: 124ポンド(56.25キロ)

<フライ級/5分3R>
ヴィクター・アルタミラノ: 125ポンド(56.7キロ)
フィリッピ・ドスサントス: 124ポンド(56.25キロ)

<フェザー級/5分3R>
ムハメド・ナイモフ: 146ポンド(66.22キロ)
エリック・シルバ: 146ポンド(66.22キロ)

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45 AB ABEMA DEEP MMA MMAPLANET o RIZIN RIZIN LANDMARK08 Road to UFC UFC ツェルマー・オトゴンバヤル パンクラス 上田将年 伊藤盛一郎 伊藤裕樹 修斗 小川徹 有川直毅 本田良介 杉山廣平 猿飛流 田中半蔵 鶴屋怜

【RIZIN LANDMARK08】伊藤裕樹と対戦、上田将年「RIZINに出られて『おめでとう』のモヤモヤは……」

【写真】上田将年の言葉は、日々を生きる市井の人々に活力を与える (C)SHOJIRO KAMEIKE

24日(土)、佐賀県佐賀市のSAGAアリーナで開催されるRIZIN LANDMARK 8 in SAGAにて、上田将年が伊藤裕樹と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

目の前にある困難から逃げない。自分に嘘をつくようなキャリアを送りたくない。それが2011年3月のプロデビューから13年もの間、上田がMMAファイターとして貫いてきた信念だ。その信念ゆえに厳しい1年――鶴屋怜と伊藤盛一郎に敗れた2022年を経て、昨年11月には地元・福岡でモンゴルのツェルマー・オトゴンバヤルを下し、再起を果たした。2014年初戦は、同じ九州の佐賀での試合となった上田。しかも伊藤裕樹という強豪を相手に、今回も上田は自分の信念を貫く。


――RIZIN初の佐賀大会で伊藤裕樹選手と対戦することが決まりました。上田選手にとっては昨年11月、福岡で開催されたBloom FCのオトコンバヤル戦に続き、九州で2連戦となります。

「まさか今回も九州で戦えるとは思っていなかったです。感慨深いし、嬉しいですね」

――福岡を拠点にMMAを戦う上田選手ですが、九州での連戦は2013年以来、10年振りです。オトコンバヤル戦は福岡開催ということで、応援団も多かったのでしょうか。

「はい。現役を続けるなかで、地元でも多くの人たちが応援してくれています。自分の中でもずっと『福岡で試合がしたい』という気持ちがありましたし、実際に地元で試合をして勝つことができたので、嬉しいという気持ちが一番です」

――試合としては、オトコンバヤルとのタフファイトを判定で制しました。あの試合内容と結果については、いかがですか。

「モンゴルから未知の強豪を呼んでいただき、勝つことができました。その結果については満足しています。でも改めて試合映像を見返すと、内容に満足できている部分もあるし、満足できなかった部分もあります。まだまだ納得がいかない点がある――それがずっとMMAを続けている理由なのかもしれないですけど(笑)」

――オトコンバヤル戦で満足できている部分と、満足できていない部分とは?

「試合前から決めていたのは、絶対に自分から仕掛けることでした。どんどんアクションを起こしていく。いろんな人から『上田君は自分から仕掛けた時は強い』と言われます。一度戦ったことのある猿飛流選手や小川徹選手にも、そう言われました。だから何があっても常に自分からアクションを起こしていく。そのことを意識して、自分から試合をつくることができたのは満足しています。逆に満足できていないのは――これは言っていいことかどうか分からないんですけど(苦笑)」

――何でしょうか。

「何度も極められるチャンスがありました。本当に自分がファイターなら、バシッと極めることができたと思うんです。折るとか、完全にタップさせるとか。これは過去にも何度かあったことで、変な優しさというか、緩めてしまった部分があって」

――緩めた、とは……。

「終盤に腕十字が入った時、バキバキと音も鳴っていて。そのままバキッと折ることもできました。でも、それはファイターとしてどうなのかなと考えてしまったんです。そう考えてしまう自分は、ファイターに向いていないのかもしれません」

――えっ!?

「もし自分がいっぱいいっぱいの状態であれば、完全に極めないと負けるって考えるはずです。でも1R、2Rの段階でグラウンドについては差があると感じました。だから3Rに入り、相手に対して『タップしてくれ!』という気持ちがあったことは事実で。相手も苦悶の表情を浮かべていましたし、自分の中では『このまま折りたくない』と……。結果、それ以上は先に進めることができなかった。自分の精神的な弱さが出てしまいました」

――それは優しさでも弱さでもなく、ゲームコントロールの範囲ではないでしょうか。3Rに極めきらずとも判定で勝てる。3Rもあの展開で上田選手がスタミナを使った末、オトコンバヤルが頭を抜いてトップをキープすれば、上田選手にとって危険な展開になったかもしれません。2連敗で迎えた地元の試合で、確実に勝利を狙いに行くのも当然だと思います。

「そうですね……。オトコンバヤル選手が結構パンチを振ってくるファイターであることは分かっていました。その相手が3R通じてテイクダウンもグラウンドも警戒している。僕は組んでしまえば怖くなかったし、2Rまで終わった時点で『もう負けることはない』と考えていました。あとは予想以上というより予想外にオトコンバヤル選手がタフで」

――確かにオトコンバヤルのタフさは、全く予想できないレベルでした。他の選手であれば1Rの後半、上田選手が腕十字に入った時にタップしていたように思います。

「序盤に三角も十字も深く入っていたので、『ここで終わるかな?』と考えたりもしました。でもオトコンバヤル選手のハングリー精神というか、『ここで絶対に勝ちたい』という気持ちはすごく伝わってきましたね」

――『上田君は自分から仕掛けた時は強い』という声が出たのは、鶴屋怜戦と伊藤盛一郎戦は見すぎた部分があったということでしょうか。

「あの2試合に限らず、自分は試合になると見すぎてしまう部分があるんですよ。一度待ちに入ってしまうと悪循環というか2R、3Rも動けなくなってしまう。だからオトコンバヤル戦については動きが雑になっても良いので、とりあえず自分から触ってスクランブルをつくる。スクランブルをつくり、相手の息が上がってしまえば何とかなると考えていました」

――上田選手との試合後、伊藤盛一郎選手はパンクラスのベルトを獲得し、鶴屋選手はRoad to UFCで優勝しました。

「鶴屋君に関しては、素直に嬉しかったです。鶴屋怜の強さを体感した者としては、彼がUFCと契約するのは当たり前だと思っていました。でないと、自分が報われない(笑)」

――アハハハ。

「伊藤盛一郎選手の戴冠については悔しいです。自分が何もできずに負けていれば、こういう気持ちにもならなかったでしょうね。でも1Rに自分がポイントを取って、気持ちに余裕が生まれました。すると2Rは入り方が雑になってしまい、そこからグラウンドに持ち込まれ、何もできずに負けて。

チャンスがあれば伊藤選手にもリベンジしたいですね。今はパンクラスで1年以上試合をしていないのでランキングから外れていますが、また勝って行けばチャンスはあると思いますし。Bloom、RIZINと戦っていくなかで、必ずパンクラスにも戻ります」

――なるほど。その意味では絶対に負けられなかった、地元でのオトコンバヤル戦で勝利を掴みました。ここで負けていればRIZINで、しかも伊藤裕樹選手という強豪との試合が組まれていたかどうかは分かりません。パンクラスとDEEPのタイトルマッチ経験者同士、日本フライ級でも上位の対決となります。

「オトコンバヤル選手に負けていたら、たとえ佐賀大会に出たとしてもオープニングファイトで若手選手と――といった試合になっていたかもしれないですね。そうなると、自分はオファーを受けていなかったと思います。だから今回、対戦相手として伊藤裕樹選手を提示された時、嬉しかったです。ずっと福岡でMMAをやってきて、自分のことも認めてもらっているんだなと思いました」

――一方で、ここ数年は強豪相手の試合が続きます。コロナ明けの2020年からは杉山廣平、猿飛流、小川徹、有川直毅、鶴屋怜、伊藤盛一朗、オトゴンバヤル、そして今回が伊藤裕樹戦というのはハードですね。

「う~ん……自分がまだ20代前半だと、キャリアのつくり方も考えるでしょう。でも今36歳で、40歳まであと少し。そんな自分の中で大事にしたいのは、『どこで戦うか』よりも『誰と戦うか』ということなんです。その戦いが決まって自分自身がドキドキするのか、しないのか。そのドキドキを大切にしていきたい、という気持ちはありますね」

――では上田選手にとってドキドキする相手、伊藤裕樹選手の印象を教えてください。

「まずはあの強打――左ストレートを軸にした打撃の巧さですね。組みに関して怖さはないですが、ディフェンスが巧い。柔らかい動きで、力を逃がしてエスケープするのが巧いと思います」

――2023年11月に、上田選手の盟友である本田良介選手に敗れてから、さらに巧さが増したように感じます。

「あの試合で僕は本田君のセコンドについていました。グラウンドになっても簡単には背中を着けさせてくれない相手ですよね。本田君と自分ではタイプも違うので、試合内容も違うものになるとは思います。ひとつ言えるのは組みだけ、打撃だけという展開になると良くない。伊藤選手を相手に、そういう試合は通用しないですよね。だから打撃、寝技、テイクダウン全て混ぜながら、自分から仕掛けていきたいです」

――ちなみに伊藤裕樹戦が決定し、現在はタイにいる本田選手とは話をしましたか。

「試合が決まって、すぐに電話がありました。『決まりましたね! 上田さん、イケるっすよ~』と、すごく軽い感じでした(笑)」

――とても本田選手らしいです(笑)。

「アハハハ。今回はRIZINで試合をすることになり、地元の反響も大きいです。やはり地方だと、MMAといえばRIZINしか知らない人も多いので。何百人という応援団も会場に駆けつけてくれることになりました。その中で戦えるのは嬉しいですね。

でも、ひとつだけ言いたいことがあるんです。いろんな方から『RIZIN出場おめでとう!』と声をかけてもらいます。でもそう言われたらイライラというか、モヤモヤする自分がいて」

――……どういうことでしょうか。

「自分が10年間パンクラスで戦ってきて、その自分を否定されているような――よく分からない感覚がありました。先日、田中半蔵さんと練習したあと、その話をしたんですよ。そうしたら半蔵さんから『モヤモヤするのは、おめでとうって言葉に対してじゃないか』と言われて。半蔵さんもRIZIN佐賀大会に出ることになり、同じことを思ったそうなんです。

自分たちからすればパンクラスでも、修斗でも、DEEPでもMMAをやることには変わりません。もちろんRIZINの知名度が高いことは分かります。でも『おめでとう』と言われたら、それ以外で戦ってきた自分たちのキャリアを否定されてしまうような、複雑な気持ちもありました」

――確かに、RIZINに出場することがファイターのゴールではないですからね。RIZINであろうと、どの舞台であろうと勝つこと。それこそがMMAを戦う目的でしょう。

「もちろん『おめでとう』と言ってくれた人も、悪気があるわけではないんですけどね(苦笑)。ただ、そう言われてモヤモヤするということは、自分たちがしっかりMMAと向き合ってきた証拠なんです。自分たちのモヤモヤは間違っていない。だからこのモヤモヤを――僕たちがMMAと向き合ってきた年月を、この試合にぶつけますよ」

■視聴方法(予定)
2月24日(土)
午後12時00分~ABEMA、U-NEXT、RIZIN100CLUB、スカパー!、RIZIN LIVE

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45 AB ABEMA MMA MMAPLANET o ONE ONE FN19 RIZIN YUKI   アブラォン・アモリン クリスチャン・リー ジョナサン・ハガティー ジン・テホ ダニエル・ウィリアムス ダヤニ・カルドゾ チャンネル パク・デソン マンスール・マラチェフ リト・アディワン ルンピニー ヴァウミール・ダ・シウバ 中島太一 岡田遼 平良達郎 手塚裕之 海外 猿田洋祐 秋山成勲 鶴屋怜

【ONE FN19】手塚裕之、対戦相手がアモリンに変更も「自分の良いところを出せば相手の光は消える」

【写真】苦難は続く。それでも手塚はケージに入る。勝つために(C)SHOJIRO KAMEIKE

17日(土・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE FN19にて、手塚裕之がブラジルのアブラォン・アモリンと対戦する。
Text by Shojiro Kameike

手塚にとっては、昨年10月にスクランブル出場でジン・テホを下して以来の試合だ。今年1月の日本大会には出場ならずも、その後すぐに今回の試合オファーが届いたという。ただ、当初はヴァウミール・ダ・シウバと対戦予定であったが、計量時点で相手がアブラォン・アモリンとなっている(計量終了後も公式リリースはない)。苦難の戦いが続く手塚だが、勝利に向けて気持ちは清々しいほど明るい。


――日本を発つ直前にも関わらず取材を受けていただき、ありがとうございます(※取材は2月12日に行われた)。

「いえいえ。明日、日本を出発して夕方にはタイに着く予定です」

――昨年10月のジン・テホ戦は9日前の試合オファーだったそうですが、今回は準備期間もあって。

「オファーを頂いたのは試合の1カ月前でした。日本大会に出たいと思っていたけど、結局は試合がなくて。直前まで何があるか分からないから、ギリギリのオファーでも試合ができるように練習して、スタンバイしていたんです。でも日本大会では試合がなく『マジかぁ……』と思った直後に、『次のバンコク大会はどうですか?』という話が来ました」

――手塚選手にとってベストだったのは、日本大会で秋山成勲選手と対戦することだったのですか。ジン・テホ戦直後に秋山戦をアピールしていました。

「日本大会に出場するなら――ですね。僕が日本で試合をするなら、一番盛り上がる相手じゃないですか。秋山選手は名前もあって、レコード上は日本人選手には無敗ですし。そんなカッコいいまま引退してほしくないな、って。日本大会なら秋山選手と対戦したい。それは本心でした」

――その日本大会出場は叶わず。しかしルンピニー大会に出場できるので良かった、ということでしょうか。

「う~ん……日本大会で家族やチームメイト、応援してくれている人たちに試合を見せたかったという気持ちはあります。でもファイターは試合をして勝ち上がっていくことが一番の目的だし、ファイトマネーも特別変わらないのであれば、どこで戦うのも同じだとは思っていますね」

――日本大会か今回のルンピニー大会か。どちらにしても前回の試合から3~4カ月後という試合間隔です。ジン・テホ戦は1年8月振りの試合でした。

「4カ月というのは理想的な試合間隔ですね。何よりも、いつ試合があるか分からない状態が長いよりは、しっかり試合が決まって練習できるようが良いです。試合が決まっていない時期の練習って、『自分は何のために練習しているだろう……』と思う時もあるんですよね。9日前にオファーが来ることもあるから、いつ誰と対戦しても良いように普段から準備はしています。でも、前々から対戦相手も日程も決まっていたほうが、しっかりと自分をつくり上げることができるのも当然で」

――そんななか、セコンドとして岡田遼選手がタイへ帯同するそうですね。所属ジムが異なる岡田選手がセコンドにつくのは、どのような縁があったのでしょうか。

「岡田さんとは一緒に練習しているわけではないのですが、同い年ということを知って、そこからお互いのジムを行き来して意気投合しました。彼は現役選手であると当時に経営者でもあり、かつセコンドとして平良達郎君や鶴屋怜君のセコンドとして海外を飛び回っているじゃないですか。

対して自分の地元というのは、ジムの会長であっても格闘技とは別の仕事を持っているのが普通で。だから急に海外で試合をすることになっても、仕事があるから休みも取れない。前回の試合は9日前だから誰も来てくれる人がいなくて……岡田さんにお願いしたら、快諾してくれたんです。しかもRIZINの中島太一戦が終わってから10日後ぐらいで疲れも残っていたと思うんですけど、快諾してくれて良かったです」

――手塚選手は以前、海外の試合でセコンドを帯同できないこともありました。

「そうなんです。シンガポールで試合をした時は、コロナで現地に連れていくことができなくて――イヴォルブの会員さんを紹介してもらいました。

でも、『戦うのは自分だから』と思っています。もちろん普段から一緒にいる人のほうが良いかもしれないけど、自分の場合は試合直前ってそれほど体も動かさないので。体を休めながら、イメージトレーニングして試合を迎えています」

――そんななかで、岡田選手がセコンドを務めくれた時は……。

「やっぱり同い年だから自分も気を遣わずに、いろんなことをお願いできるんですよ。何より彼は頭が良い人で、指示も的確なおかげで前回は勝つことができたと思います」

――手塚選手がONEで戦うなかで、これまでも様々な困難がありました。それでもONEで戦い続ける理由は何でしょうか。

「まずは海外で、強豪外国人選手と対戦できるという点ですよね。そこでメインストリームにいることができる――かどうかは、自分次第ですけどね。あとはやっぱりファイトマネーの部分は大きいです。プロのファイターである以上、自分のことを高く評価してくれるところで戦いたいので」

――試合間隔は空きながらも、現在は3試合連続フィニッシュしています。その結果、ご自身がONEウェルター級のメインストリームにいると思いますか。

「どうなんでしょうね……。ONEは今、ライト級以上の階級はランキングがないから分かりづらいところはありますね。どうしても軽量級に目が行きがちで。自分の中ではトップ戦線の中にいるとは思っていますけど」

――ライト級&ウェルター級2冠王者のクリスチャン・リーが1年以上試合をしていないのも、階級の現状を考えづらい要因になっているとは思います。もしクリスチャン・リーが復帰し、手塚選手が挑戦者に選ばれた場合――自信はいかがですか。

「クリスチャン・リーかぁ……。もちろん対戦が決まれば、『絶対に勝つ!』という気持ちで試合に臨みます。でも自信があるかどうかは、やってみないと分からないですよね。やっぱり強いチャンピオンだし――何なんでしょうね、あの強さは(苦笑)。でも『対戦したい。ベルトに挑戦したい』という気持ちは、今もずっと持って試合をしています。そのためにも次の試合もバッと倒して、自分が一皮むけたところを見せたいですね」

このインタビューはダ・シウバ戦を前提としたものだったが、15日(木・現地時間)の計量後に手塚の対戦相手がアブラォン・アモリンに変更されたことが正式に発表された。アモリンのMMA戦績は9勝4敗で、昨年からONEに出場し1勝1敗だ。初参戦となったパク・デソンには1R KO勝利を収めたものの、昨年11月にはパキスタンのアフメド・ウジダバに三角絞めを極められている。ここまでライト級(※77.1キロ)で戦ってきたが、今回はスクランブル出場で、ウェルター級(※83.9キロ)契約で手塚と戦う。対戦相手の変更後、手塚がMMAPLANETに送ってくれたメッセージは次のとおりだ。

「前回は9日前のオファーで、前々回が1週間前に対戦相手が代わり――そして今回も現地に着いてから相手が変更となりました。それが僕らしいといいますか(笑)。ハードな状況でも勝つことができる。それが自分の成長を証明する手段だと思っています。

アモリンは喧嘩ができて、柔術が巧い選手という印象です。特に、きちんとフィニッシュに対する嗅覚を備えて、ここぞという時に攻め込むのが巧いというファイターですね。

でも僕が自分の良いところを出せば相手の光は消えます。いつもどおり極めて、4試合連続フィニッシュを狙います!」

■放送予定
2月17日(土・日本時間)
午前9時45分~ABEMA格闘チャンネル

■ONE FN19 計量結果
※日本時間 2月15日 23時50分時点

<ONEムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ジョナサン・ハガティー:65.31キロ
[挑戦者] フィリッピ・ロボ:65.54キロ

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
セーマーペッチ・フェアテックス:65.77キロ
モハメド・ユネス・ラバー:未計量

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ダニエル・ウィリアムス:56.70キロ
リト・アディワン:56.59キロ

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン:76.54キロ
ナウゼット・トルヒーリョ:76.66キロ

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
手塚裕之:82.78キロ
ヴァウミール・ダ・シウバ(ブラジル)➡アブラォン・アモリン:82.78キロ

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ルーク・リッシ:未計量
エディ・アバソロ:69.74キロ

<ミックスルール女子ストロー級(※56.7キロ)/3分3R>
ワンダーガール・ナット・ジャルンサック:56.70キロ
ダヤニ・カルドゾ:未計量

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
マンスール・マラチェフ:56.59キロ
猿田洋祐:56.59キロ

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
トンプーン・PKセンチャイ:56.70キロ
ティムール・チュイコフ:56.59キロ

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【Special】月刊、水垣偉弥のこの一番:12月 平良×ヘルナンデス「イメージ的にシャーウス・オリヴィエラ」

【写真】寝技に自信があるかこその打撃、フィニッシュから逆算した組み立て。まさに独自にスタイルで勝ち続ける平良達郎だ(C)Zuffa/UFC

過去1カ月に行われたMMAの試合からJ-MMA界の論客3名が気になった試合をピックアップして語る当企画。背景、技術、格闘技観を通して、MMAを愉しみたい。
Text by Takumi Nakamura

大沢ケンジ、水垣偉弥、柏木信吾というJ-MMA界の論客をMMAPLANET執筆陣がインタビュー。(担当・中村が月を跨いで取材する凡ミスをしたため、12月&1月の2部作として)今回は水垣偉弥氏が選んだ2023年12月の一番──12月9日に行われたUFN233の平良達郎×カーロス・ヘルナンデス戦について語らおう。


──今月の一番ですが、完全に私のミスで1月を跨いでしまいました…。というわけで今回は12月と1月の二本立てでいかせてください! まずは12月の一番はUFN233での平良達郎×カーロス・ヘルナンデスをセレクトしていただきました。やはりここは平良選手の勝ちっぷりですよね。

「すごく安心して見ていられましたし、ここ数試合は相手が弱く見えちゃうくらい、平良選手の安定感と強さが際立っていますね。当たり前のことや基本的な技を決めて、ポンポンポン!と駒を進めてしまうので『あれ?相手こんなことも出来ないの?』と思っちゃうんですけど、対戦相手の他の試合を見てみると全くそんなことはないわけで。今回もフィニッシュは右ストレートからのパウンドでしたけど、普通に寝技で圧倒しちゃうわけなので、相当寝技は強いんだろうなと思います」

──UFC参戦当初は勢いや相手との相性で勝っていたのかなと思う部分も少なからずありましたが、5連勝という結果でUFCファイターとしての実力を完全に証明したと思います。

「ランキング手前の選手は完封して勝つことを証明できたので、次はランキングの上の選手たちとどう戦っていくかですね」

──あの試合で具体的に良かった点はどこですか。

「もちろん四つ(組み)の強さもあるし、寝技で上を取れる選手ではあるんですけど、テイクダウン能力がめちゃめちゃ高いタイプではないと思うんです。でもそこ(トップを取る)につなげるためのスキルとしての打撃のレベルが高いことも分かって、右ストレートを効かせてパウンドでフィニッシュしても驚きはなかったです」

──寝技に自信がある=打撃で思い切りいける=結果的に打撃が当たるスタイルですね。

「グラウンドで下になっても落ち着いているじゃないですか。今回僕がびっくりしたのは、1Rに自分で蹴ってバランスを崩して下になった時、迷わずに潜りスイープにいったこと。僕自身がそうだったし、僕は選手を指導するときも『MMAで潜りスイープは危ないよ』と言うんです。腕を足に挟まれて殴られたり、失敗したときのリスクが大きいので」

──今のMMAファイターはあの場面では背中を見せて立つことを選択する選手が多いと思います。

「はい。あとは、もし僕が1Rのあの時間帯で下になったら相当焦っていたと思います。でも平良選手は迷わず潜って上を取っていて、それだけ寝技の技術に自信があって、実際にスキルのレベルも高いんでしょうね。イメージ的にシャーウス・オリヴィエラというか、グラウンドで下になってもOKだから打撃を思い切りいける、みたいな」

──平良=チャールズ・オリベイラはイメージしやすいです。あとは事前のインタビューで平良選手が殴る・削る意識を持って戦うと言っていて、そこも影響したのかな、と。

「僕が試合前にインタビューした時にもそれを話していて、実際にパウンドアウトしたわけだから、自分のやりたいことを明確に持って戦って、それが上手く試合で出せているんだなと思います」

──個人的には打撃を出す際の安定感も増しているのかなと思いました。

「フィニッシュの右は安定感がありましたよね。強いパンチが打てる姿勢で出せていたと思います。あのパンチも『倒してやろう!』と思って出したというよりも自然に出ていたパンチだと思います。やっぱり組みや下になることを警戒していると、ああいうパンチは出せないです」

──平良選手は試合を組み立てた先にフィニッシュがあるのではなく、フィニッシュから逆算して戦っている印象があります。僕は倒す感覚や極める感覚に優れていることも才能の一つだと思っていて、キャリア関係なくフィニッシュできる選手はフィニッシュの画が見えているというか。

「確かに。僕は打撃で倒すという部分で言えば倒すことを捨てたんですよ」

──倒すことを捨てた、ですか。

「はい。僕は相手を倒す攻撃には”落差”が必要だと考えていて、軽くパパパパン!とパンチをまとめて、フィニッシュブローをズドン!と強く打つ。打撃の威力に”落差”をつけるからこそ、相手に大きなダメージを与えると思うんです。でも僕の場合は先にガードの上からでもいいので強いパンチをズドン!と当てるんです。最初にそれをやって相手に『この相手はパンチがあるな』と思わせる。そうすると相手は僕のパンチを警戒した動きになるし、相手はやりたいことができなくなる。最初に一発かましておくことで、結果的に僕が試合を進めやすくなるんです」

──あえて警戒させるためのビッグヒットですね。

「はい。ただそれをやると相手の警戒心を強める分、倒すための攻撃は当てづらくなるんです」

──倒すための戦い方か、勝率を上げるための戦い方か。

「そこで僕の場合は考えを割り切って、倒すことよりも自分が有利に戦って勝つ可能性を上げることを選択していました」

──水垣さんが現役引退したからこそ話していただける技術論ですね。

「寝技にもそういった組み立てがあるだろうし、倒し感や極め感がある選手は本能的にその組み立てや落差のつけ方ができるんでしょうね」

──平良選手はそれをUFCで勝つレベルで出来ているわけで、自分のフィニッシュ力をMMAに落とし込むセンスや才能もある。

「先ほどの話にもつながりますが、僕が考えているMMAで勝率を上げる戦い方とは違う戦い方をしていますよね。判定勝ちにするにしても、レスリング勝負してトップキープして削る…とは違うじゃないですか。だからどうやってあのスタイルや戦い方を身につけたのか気になるんですよ。先生の松根(良太)さんの現役時代とも少し違うし。松根さんの指導の幅の広さや持っている引き出しの多さで、ああいう選手が育ってきたのか。僕はそこにも興味があります」

──いよいよ今年はランカーとの対戦が組まれると思います。どんなことを期待していますか。

「上位陣に勝ってタイトルを獲ることも期待しているし、無敗のままいけるか。ランキング上位陣にどういう戦いができるか楽しみです。平良選手を含めたフライ級の新世代= ムハマド・モカエフ、アザット・マクスン、ジョシュア・ヴァン…たちが、上位ランカーとどう戦っていくか。またその世代同士の潰し合いがどういう結果になるのか。それも合わせて楽しみです」

──鶴屋怜選手がRoad to UFCで優勝してUFCと契約し、堀口恭司選手や朝倉海選手もUFC参戦に興味を示しています。今年はUFCフライ級が一気に注目されますね。

「フライ級は日本人が活躍できる階級なので、そういう部分でも今年はより注目ですね」

──あと僕が平良選手を取材していて、いい意味で図太いというか、UFCにチャレンジしているという感覚を持っていない気がしています。UFCで戦うことが当たり前、みたいな。

「そうなんですよ。マイクアピール一つとっても、しっかりタメを作ってから『アイム・ハッピー!センキュー!』とか“慣れてきた”じゃないですか(笑)。そうやってUFCの一員になってきたなと思いました。それと今回の勝利で僕が持っていた日本人のUFCでの連勝記録(5連勝)に並ばれたんですよ。これは僕が拾っておかなければいけないな、と。そういう意味でも今回、平良選手の試合を選ばせてもらいました」

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【Road to UFC2023Final】鶴屋怜、バックマウントからパウンドアウト!1RTKO勝利でトーナメント優勝

<Road to UFCフライ級決勝/5分3R>
鶴屋怜(日本)
Def.1R4分59秒 by TKO
チーニョーシーユエ(中国)

お互いにサウスポー。鶴屋が右手を伸ばし、前後にステップ。チーニョーシーユエの右に合わせて組みつき、チーニョーシーユエをケージに押し込む。鶴屋は左腕を差し、首相撲クラッチから右の肩パンチとヒザ蹴りを入れる。鶴屋はここから首投げを狙うが、チーニョーシーユエはクラッチを外して距離を取る。

チーニョーシーユエはボディへのジャブから左ストレート。鶴屋が前蹴りを見せると、チーニョーシーユエは左ストレートを伸ばす。鶴屋はジャブから左ストレート、右フックからダブルレッグで組みつく。ここから鶴屋は首投げから袈裟固め、肩固めを狙いつつマウント→バックとポジションを変える。鶴屋はシングルバックで左足を斜めにフック=おたつロックで固め、ツイスターを狙う。

さらに鶴屋は右脇でチーニョーシーユエの首を抱え、マウントポジションでネックロック気味のチョーク=エクセキューショナーチョークで締める。これは極まらなかったが、バックマウントで落ち着くと一気にパンチを連打し、レフェリーストップを呼び込んだ。

プロ無敗のまま、UFC契約を勝ち取ったつ鶴屋は開口一番「負けを知りてえーー!」と絶叫。「勝ててよかったというのと、決勝なんで相手も強いので判定になると思っていました。フィニッシュできてよかったです」と試合を振り返った。


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『ROAD TO UFC』シーズン2決勝戦速報

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 上記を参照。以下、速報です。続きを読む・・・
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【ROAD TO UFC】鶴屋怜、原口伸が計量クリア

3: 実況厳禁@名無しの格闘家 2024/02/03(土) 06:38:51.07 ID:AcWc+IRB0
鶴屋怜計量クリア


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【Special】J-MMA2023─2024、Road to UFC決勝へ。原口伸「全然、負ける気はしないです」

【写真】既に計量を終えている両者。ロン・チュウはかなり戻してきそうな体をしており、当日はフィジカルの差は出てきそうだ (C)Zuffa/UFC

2024年も早くも1カ月が過ぎ、MMAPLANETでは2023年に気になった選手をピックアップ──過ぎ去った1年を振り返り、こらからの1年について話してもらった。
Text by Manabu Takashima

J-MMA2023-2024、第十九弾はRoad to UFCライト級ファイナルを控える原口伸に話を訊いた。

3日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるRoad to UFC2023 Finalでロン・チュウと対戦する原口は、いわばレスリング一本槍のMMAスタイルを今回の決勝まで全うすると断言。MMAファイターとしての底上げは、UFCとの契約後であることを明らかとした。

なおRoad to UFCバンタム級決勝はシャオ・ロンの負傷欠場で不成立、フェザー級はリー・カイウェンが4.5ポンドのリミットオーバーとなっている。

■2023年原口伸戦績

2月12日 Grachan59 X BRAVE FIGHT27
〇 1R3分57秒 by TKO 小谷直之(日本)

5月28日 Road to UFC2023Ep04
〇 2R1分25秒 by TKO ウィンドリス・パティリマ(インドネシア)

8月27日 Road to UFC2023Ep06
○ 3-0 パク・ジェヒョン(韓国)


──昨年の今頃はGrachanライト級王座防衛戦の準備をしていたかと思います。あの時、1年後にUFCとの契約まで一歩のところにいる自分を想像できていましたか(※取材は16日に行われた)。

「Road to UFCに出ることを目指していましたけど、声も掛かっていない状況で。気持ちとしてはあやふやな感じでした。現実味がなかった、それが本当のところですね」

──対して決勝を控えるだけとなった今の心境を教えてください。

「Road to UFC出場が決まった時から、心のどこかで優勝するもんだと思い、普段の生活から練習への取り組みができていました。なので、ようやく来たかというぐらいの感覚です」

──10月にお兄さんの央選手と対談をさせていただいた時、試合に向けての練習に関して悩みがあって病んでいるという発言もありました(笑)。

「あっ、でも次の日にはケロッとしていました(笑)」

──アハハハ、何なのですか。それは(笑)。

「気楽にはやれてなかったですね(苦笑)。今から思うと、色々と背負ってしまってやりたいこととデキていることが噛み合っていなかったです。僕は完璧主義みたいなところがあると思うので、上手くいかないとモヤモヤしてしまうということはあります」

──12月9日に当初は予定されていた決勝戦ですが、その1カ月少し前に韓国で央選手がRoad FCのグローバルT決勝をキム・スーチョルと戦いました。敗れはしましたが、あの激闘を傍で見て何か得ることはできましたか。

「兄貴という一番近い存在が、キム・スーチョルというメチャクチャ強い相手と対峙する。その緊張感はセコンドでも、味わうことができました。キム・スーチョル選手は普段はニコニコしていて凄く良い感じの人なのですが、試合になると殺気に溢れていて。MMAファイターになって初めて、怖いと感じました。アレを感じ取れたことは良かったです。

その怖いと感じた選手に向かっていく──アニキの覚悟が見えました。あそこは自分が見習わないといけない部分ですね。そこは決勝戦に向けて、良い経験になりました」

──同時になかなか日程がハッキリせず、2カ月ズレたことをどのように捉えていますか。

「僕にとってはプラスです。一番大きなことは開催地が上海からラスベガスになったことですね。米国はホームではないですけど、アウェイでもない。中立の場所なので」

──十数時間の飛行機の旅、時差もある。それでもベガスの方が良いと。

「ラスベガスと聞いて、『良しッ!』ってなりました。ラスベガスはMMAのメッカですし、意識しないところでテンションが上がっていたと思います。経験という部分では相手の方がずっとあって。だからこそ、この2カ月という時間は少しでも詰めることができたと思いますし」

──対戦相手のロン・チュウですが、準々決勝と準決勝の試合を見返して思っていた以上に手強い選手だと思うようになりました。

「Road to UFCから見るようになって1回戦は強烈なKO勝ちをして、強さを見せて準決勝は判定で手堅く勝っていた。最初は韓国人選手をマークしていたのですが、ロン・チュウの方が全然強いですね(苦笑)。

それでも全然、負ける気はしないです。なんか燃えていますね」

──テイクダウン対策は徹底してくると思います。

「得意なのはバレていますよね。すぐに行ってダメなら、我慢するのも手かと思っています。打撃戦につき合うということではなくて、動いてタイミングをずらしてテイクダウンへの意識が薄まった時に一気に狙う。切られて、そのまま続けるとそこは防がれるので、そういう風に戦おうかと考えていますし、練習もしています。

ただし自分のテイクダウンは初速なんかは、普通のMMAファイターと違うと思っています。だから、基本は切られないと考えています。でも相手が準備をしているところで仕掛けると切られます。準決勝では、相手が準備しているのに仕掛けて切られたので……言ってみれば、プレッシャーをかけても仕掛けない。そこで相手が出てきたところで、仕掛けるとかタイミングに変化を持たせようと思います」

──組んで倒しても、立たれる。だから、組みは淡泊になり打撃戦が多くなるのも今のMMAです。組み技は疲れるという意識を持っていますか。

「疲れます。でも、自分の武器なので。最後は離れると死ぬぐらいの意識でやっています。それでも無理から打撃をするよりも、組んでいる方が……そうですね、体力的には疲れますが、気持ちは一切折れないです。そこで相手が嫌がるような素振りを見せれば、また元気になりますし」

──UFCでは準決勝の動きだと、切られるだけでなくパウンドを打たれるかと思います。今回はその辺りも意識することはありますか。

「次の試合はトーナメントの決勝ですし、今持っている強さをぶつけます。勝ちに徹するというか、全てをぶつけて戦います。そうなると、これまでやってきた打撃の展開になることもあるだろうし、結果的にそうなれば先を見越していることになるかもしれないですね。理想は倒して殴る。でも、パウンドでは隙間ができてスクランブルに持ち込まれるので、エルボーとか密着して打つ方向で考えています。

テイクダウン後の相手の処理が上手いと、テイクダウンから後の勝負になります。テイクダウンは取れるので。意識は倒した後、そこから何をやるのかは3パターンほど用意していて、そのうちのどれかを当てはめる。相手の動きとかでなく、そこにはめ込みます」

──契約することがデフォルトとして、2024年はどのような活動をしていこうと考えていますか。

「それこそUFCを契約した後は、MMA選手として完成度を上げていきたいです。だから契約した後は、少し時間を空けるかもしれないですね。UFCデビューは夏から秋、その前に海外で練習もしてみたいです。トーナメント中は勝つ事に集中してきたので、終わればMMAを楽しめる時間も創りたいと思っています。幸い、今回の試合でビザも取れ、アッチで練習する障害はなくなったので米国──キルクリフFCとかで練習したいですね。また、しっかりと考えますけど、MMAを……知らない世界を味わいたいです」

──そのためにもロン・チュウ戦、クリアしてください。

「ハイ。一部では厳しいとか言われているようですけど、僕は勝つことしか考えていないです。そうやって自分を信じ込んでいるので、それを当日にしっかりと見せることができれば……と思っています」


■視聴方法(予定)
2月4日(日・日本時間)
午後1時30分~UFC FIGHT PASS
午後1時15分~U-NEXT

■Road to UFC2023 Final計量結果

<Road to UFCライト級T決勝/5分3R>
ロン・チュウ: 156ポンド(70.76キロ)
原口伸: 155.5ポンド(70.53キロ)

<Road to UFCフェザー級決勝/5分3R>
リー・カイウェン: 149.5ポンド( 67.81キロ)
イー・チャア: 145.5ポンド(66.0キロ)

<Road to UFCフライ級決勝/5分3R>
鶴屋怜: 125.5ポンド(56.92キロ)
チーニョーシーユエ: 125.5ポンド(56.92キロ)

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『ROAD TO UFC』シーズン2決勝戦前日計量動画

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フライ級(56.7kg以下)マッチ 5分3ラウンド
鶴屋怜(125.5lbs/56.93kg) vs. ジー・ニウシュイエ(125.5lbs/56.93kg)

フェザー級(65.8kg以下)マッチ 5分3ラウンド
カイウェン(149.5lbs/67.81kg)* vs. イー・ジャー(145.5lbs/66.00kg)
<* カイウェンは規定体重をオーバー。試合は予定通り行われるものの、対戦相手のイー・ジャーに報奨金の20%を支払う>

ライト級(70.3kg以下)マッチ 5分3ラウンド
ロン・チュー(156lbs/70.76kg) vs. 原口伸(155.5lbs/70.53kg)

 『ROAD TO UFC』シーズン2決勝戦前日計量動画。カイウェンがオーバーしましたが試合は行われます。





 意気込みを語る原口伸と鶴屋怜。続きを読む・・・