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Gladiator020 MMA MMAPLANET o ONE Progress UFC YouTube   エドゥアルド・フォラヤン キック キ・ウォンビン ククイ・エロルデ コナー・マクレガー コンバット柔術 ジョシュア・パシオ ジョセフ・チェン ジョゼ・アルド ジョン・オリニド チョ・ソンビン ボクシング マーク・ストリーグル ロランド・ディ 中川皓貴 久保健太 井上啓太 宮城友一 山田崇太郎 森戸新士 江木伸成 海外 竹本啓哉 笹晋久 藤田大 長谷川賢

【Gladiator020】19歳、フィリピンのヤングブラッド=ジョン・オリニド「僕は若くてハンサム、スマート」

【写真】2003年10月9日生まれの19歳。去年、高校を卒業したばかりだという(C)SHOJIRO KAMEIKE

22日(日)、大阪府豊中市の176Boxで開催されるGladiator020で笹晋久と対戦するジョン・オリニド。

19歳、キャリア3勝0敗の無名のファイターは昨年12月に選手の発掘を目的として、フィリピンに渡った長谷川賢グラジエイター・タレントリレーションの目に留まった選手だ。初めて日本行き、興奮を隠せないオリニドに話を聞いた。


──もう5日後にグラジエイターで笹晋久選手と試合をします。今の気持ちを教えてください。

「凄くエキサイトしているよ。でも、自分のスキルには自信を持っている。日本の人達に喜んでもらえる試合をしたい」

──12月に長谷川賢選手がマニラを訪れ、エロルデ・ボクシングジムで練習を見学させてもらうようお願いしていたら、ククイ・エロルデさんのマネージメント配下にあるファイターが20人近く集まっており、トライアウトのような形で皆がスパーをしました。あの時、イの一番でケージの中に入ったのがジョンでした。

「とにかくこの機会を逃してたまるかって思って、スパーをした。そして日本に行く機会を得ることができた。最高の試合を日本でやってみせる。僕は若くて、ハンサム、そして頭が良い。すっごく良い試合ができる。勝利をフィリピンに持ち帰るんだ」

──19歳だと聞いています。ジョンの格闘技歴を教えてください。

「5歳の時に極真空手を始め、小学校6年生の時にテコンドーにスイッチした。極真空手では茶帯で、テコンドーは黒帯一段だよ。2020年にロランド・ディに出会い、MMAの練習をスタートした。トラディショナル・マーシャルアーツは『もういいや』と思った。MMAのように全局面の格闘技を戦いたいと思うようになっていたから。MMAの練習を始めて1年半だよ。

MMAを始めるまで柔術もレスリングも経験がなかった。でもグラップリング歴1年ぐらいで組み技のトーナメントに出るようになると、いつも良いリザルトを残せた。僕にはグラップリングの才能があったんだ」

──元UFCファイターのディはパンチャーですが、組み技に課題があったファイターという印象が残っています。

「僕らのジムにはヤコブ・ミロスワ・ビルコというポーランド人の柔術コーチがいて。彼はブルータルポリッシュ柔術という自分のチームも持っている。他にもレスリングにはチーム全体で凄く力を入れているし、僕には多くのスタイルにアダプトでいる能力が備わっているんだ。どんなファイティング・スタイルでも戦うことができる」

──今回、初めてファイトウィークに飛行機の旅をして、異国で計量が待っています。その辺りに不安はないですか。

「ないよ。今70キロか71キロあるけど、減量は全く心配していない。日本に着いてからしっかりと体重を落とせるよ。多くの水抜きが必要? そうだね、僕は大きいからね。でも大丈夫、筋肉量も多いからドライアウトに適している」

──対戦相手の笹選手について、どのような印象を持っていますか。

「1カ月前にこの試合が決まってから、試合をチェックした。僕より経験があることは確かだし、その点は尊敬している。でも、凄く普通の選手だ。全てにおいて平均的で。打撃はそれほどでなく、体が強い。でも、レスリングもそれほどじゃない。ただし、僕が日本のMMAが大好きな要因であるビッグハートの持ち主だ。精神力が凄い。技術面に関しては、僕の方が上だという自信がある。彼とは違うレベルにあると思っている。

とにかく今回、グラジエイターが僕を日本に呼んでくれることに感謝している。僕らは海外で試合がデキる機会はほとんどない。将来、国際的な大きな大会で戦いたいと思っているから、ここで国際戦と海外遠征という経験をさせてくれて本当に嬉しい。僕はグラジエイターからレガシーを創り始める」

──ではジョンのMMAファイターとしての夢は?

「今はグラジエイターのベルトが欲しい。そこからステップアップを果たし、最終的にはUFCで戦いたい」

──ONEはフィリピンでもあれだけのファンを集めていますが、ジョンの夢はUFCなのですね。

「ONEはもうエドゥアルド・フォラヤン、ジョシュア・パシオをはじめとするフィリピン人のチャンピオンが何人もいた。でもUFCは違う。マーク・ストリーグル、コーチのロランド・ディはUFCで結果を残せなかった。

僕はフィリピ人として結果を残したい。名誉とかどうでも良いんだ。レガシーを残したい。僕のヒーローはGSP、ジョン・ジョーンズ、ジョゼ・アルド、コナー・マクレガーだった。彼らが戦っていたUFCで、僕も戦いたいんだ。

それとONE Warrior Series PHで戦ったけど、あのハイドレーションのある計量方法は僕には合わない。あれじゃ戦えない。僕にとってバンタム級は135ポンドであって、145ポンドじゃないんだ。減量は、全く苦でないから」

──では日本のファンに一言、お願いします。

「日本のファンはササの応援をすると思うけど、ゴメンナサイ。この試合は僕が勝つ。ただ爆発力があって、豪快な試合をして皆に楽しんでもらうことを約束するよ」

■視聴方法(予定)
1月22日(日)
午後2時20分~THE 1 TV YouTube

■ Gladiator020対戦カード

<フライ級/5分2R>
坪内一将(日本)
陸虎(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
秋田良隆(日本)

<ウェルター級/5分2R>
藤田大(日本)
スティーブン・ギレスピ(英国)

<Gladiatorフェザー級王座決定戦/5分3R>
中川皓貴(日本)
チョ・ソンビン(韓国)

<Gladiatorライト級選手権試合/5分3R>
[王者]キ・ウォンビン(韓国)
[挑戦者]グスタボ・ウーリッツァー(ブラジル)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級王座決定戦/5分3R>
森戸新士(日本)
ジョセフ・チェン(台湾)

<フライ級/5分3R>
宮城友一(日本)
久保健太(日本)

<キック・ウェルター級/3分3R>
璃久(日本)
イゴール・シルバ(ブラジル)

<バンタム級/5分3R>
笹晋久(日本)
ジョン・オリニド(フィリピン)

<バンタム級/5分2R>
溝口司(日本)
ガッツ天斗(日本)

<ヘビー級/5分2R>
大場慎之助(日本)
チョン・ホチョル(韓国)

<Progressフォークスタイル・グラップリング79キロ契約/5分2R>
山田崇太郎(日本)
井上啓太(日本)

<Progressコンバット柔術バンタム級/5分2R>
竹本啓哉(日本)
江木伸成(日本)

<アマMMA女子アトム級/3分2R>
住村斉明里(日本)
MIYU(日本)

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AJ・マッキー DEEP Gladiator020 MMA MMAPLANET o Progress RIZIN Road to UFC UFC YouTube   エディ・アルバレス キック キ・ウォンビン クレイグ・ジョーンズ コンバット柔術 ジョセフ・チェン ジョン・オリニド チョ・ソンビン プロレス ボクシング 中川皓貴 久保健太 井上啓太 宮城友一 山田崇太郎 森戸新士 櫻井雄一郎 江木伸成 池本誠知 海外 竹本啓哉 笹晋久 藤田大 長谷川賢

【Gladiator020】櫻井代表、池本誠知、長谷川賢。グラジを語る。

【写真】2023年、グラジはいかに発展するのか(C)SHOJIRO KAMEIKE

22日(日)、大阪府豊中市の176BoxでGladiator020が開催される。今大会はキ・ウォンビンとチョ・ソンビンら韓国の強豪に加え、ジョセフ・チェンやジョン・オリニドなど注目のファイターが揃う国際色豊かな興行となった。
Text by Shojiro Kameike

これまでフォークスタイル・グラップリングやコンバット柔術マッチ、サブオンリー・グラップリングをGLADIATORに提供してきたPROGRESS実行委員会の長谷川賢氏が、グラジエイターで海外選手の招聘を担うことになったのは既報どおりだ。

そのグラジエイター新体制に、元DEEPウェルター級王者で現在は株式会社Styleの池本誠知代表が加わるという話が伝わってきた(※取材はスーパーバイザー就任発表前に行われた)。そこで今回は特別企画として、グラジエイター櫻井雄一郎代表×プログレス実行委員会の長谷川氏×池本氏がグラジエイターと日本のMMAについて語る鼎談をお届けしたい。


――今大会から長谷川選手がグラジエイターのタレントリレーションを担うだけでなく、池本さんがグラジエイターの体制に加わるというお話を聞きました。その22日の大会ですがタイトル戦、国際マッチ、キックにグラップリングと本当にバラエティに富んだラインナップとなっています。

長谷川 今、多くの日本人選手は海外の大会に出て初めて、世界の強豪と対戦することになるじゃないですか。そうではなく、日本で世界の強豪と対戦できるようにして、この国のMMAを強くしていく。それがこの協力関係の発端でした。

櫻井 グラジエイターとしては、毎回ではないですがコロナ以前は海外の選手も呼んできました。大会としても海外の選手が出るというだけで、一つのバリューが付きます。まず明らかに日本人選手とは違う身体つき――それだけでも観客の目を引きつけますよね。それと戦績上は勝ち星が少なくても、決して弱いわけではないのが外国人選手の怖いところです。特に今の韓国人選手は戦績が少なくても強いし、勢いもありますから。

長谷川 今回は選手発掘のためにフィリピンへ行き、その様子を動画にしてYouTubeにアップしています。それを見ると、今回フィリピンから来る選手にも感情移入がしやすいし、僕たちが何をやろうとしているかも分かってもらえるかなと思っています。

櫻井 今回は韓国だけでなく、フィリピンから来てくれる選手も楽しみですよね。まさに未知の強豪といいますか、動画からでも秘められた実力が見えてきます。グラジエイターのケージで、日本人選手とどんな試合をしてくれるのか。何よりストイックで、深い気持ちを持っている選手ばかりです。戦績や実力はまだ浅くても、パワーや勢いなど何かに特化した選手だと思います。オリニド選手は若いし、勢いもあって楽しみですね。

長谷川 オリニドは練習を見ても試合映像を見ても、とにかくフィニッシュを目指す気持ちが強い選手です。練習で16オンスのボクシンググローブを着けていても、グラウンドでRNCを狙いに行ったりとか。

池本 櫻井さんの仰るとおり、戦績だけでは選手の実力を測ることができないんですよ。僕が米国でエディ・アルバレスと試合をした時(2005年2月にTKO負け)、彼はまだデビューから4戦目ぐらいで。手元にある情報だけでは、彼がどういう選手か分かりづらくて。

長谷川 それで相手がエディ・アルバレスだったというのは、今考えると凄い話ですよね(笑)。

池本 実際目の前に来たら、メチャクチャ強そうで。アハハハ。そういう経験って、後々すごく生きてくるんですよ。名前が知られていなくても、相手はすごく強いことを想定して試合に臨まないといけない。あの試合は、すごく良い勉強になりました。日本人選手が相手だと、組んだ時の力とかも凡そは想像できます。でも海外の選手は、それこそ国によって力もタイプも全然違っていて。いろんな国の選手と対戦しておくことは大切だと思いますよ。

――その一方で、キ・ウォンビン×グスタヴォ・ウーリッツアァーという外国人対決も組まれました。

櫻井 フフフ、結構パンチの効いたカードだと思います。

長谷川 良いカードですよね!

櫻井 今の日本だと、王者も挑戦者も外国人選手というカードは、なかなか組まないですよね。キ・ウォンビン選手はRoad to UFCでKO負けをして、反対にグスタヴォ選手は前回グラジエイターで井上啓太選手に豪快なKO勝ちを収めています。

今回もグスタヴォ選手がキ・ウォンビン選手を――という展開も考えられるじゃないですか。もちろんキ・ウォンビン選手の強さと勢いも大好きです。グスタヴォ選手が相手でも、臆さず前に行くでしょう。その2人が戦うことで、壮絶なフィニッシュが期待できる対戦です。

池本 僕が現役の頃も、同じ大会で凄い外国人対決があったら、もうファンとして見ていましたよね。やっぱりMMAが大好きだから、研究モードを押し殺して楽しみたいという気持ちになってしまって(笑)。それとグラップリングでも海外の強豪を呼ぶって凄いです。

長谷川 プログレスをやっていくうえで、そうなるしかないかなって思っています。昨年の大晦日、RIZINでAJ・マッキーとサトシが対戦しましたよね。日本人MMAファイターだと、サトシのガードの中に入ると極められてしまいます。でも米国のトップファイターは、そんなサトシのガードに入っても極められないんです。

やっぱりMMAで強くなるためには、AJのようなグラップリングの強さが欲しい。そのためには海外の強豪と対戦していくしかないと思っていました。それはMMAのためで、今は柔術家の森戸新士選手がフォークスタイル・グラップリングで戦ってくれています。

森戸選手が、その試合で感じたことをMMAファイターたちにも伝えてくれている。その森戸選手の相手に、今回はクレイグ・ジョーンズの秘蔵っ子であるジョセフ・チェンを招聘することができて、本当に嬉しいです。

櫻井 正直まだ会場のお客さんには、プログレスの方向性が伝わりきっていないと思います。しかし多くの選手から、『自分もフォークスタイル・グラップリングをやってみたい』という声を頂いています。私自身は、グラップリングの試合が集客につながらなかったとしても、プログレスの試みは日本のMMAを強くするために必要だと思っています。

日本のグラップリング力向上のためにどうすればいいのか。そう考えていた頃に長谷川さんからプログレスのお話を頂いて、海外で通用する選手を育てたいグラジエイターとしても必要だと思っています。プログレスだけでなく、良いと思うことはどんどん提案していただきたいです。

長谷川 櫻井さん、そこで一つ提案ですけど……。プログレスでレジェンド枠を設けたいと思っていて。

櫻井 フフフ、なるほど。それは面白いですね。

長谷川 今回のテレビ解説を、長南亮さんにお願いしたんですよ。決して煽っているわけではないんです。決して――でも、面白いかなと思って(笑)。

2018年9月にグラジで船木誠勝とプロレスを行っている池本

池本 ……えっ、僕ですか!?

――2013年4月、池本さんの引退試合の相手を務めたのが長南さんでした。まさかここで引退試合の続きを、フォークスタイル・グラップリングで……。

池本 アハハハ。そういえばグラジエイターでは、船木誠勝さんとプロレスをやらせてもらっていますからね。今はプロレスの練習しかしていないすけど、グラップリングは好きなので練習しておきます(笑)。

<この項、続く

■視聴方法(予定)
1月22日(日)
午後2時20分~THE 1 TV YouTube

■ Gladiator020対戦カード

<フライ級/5分2R>
坪内一将(日本)
陸虎(日本)

<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
秋田良隆(日本)

<ウェルター級/5分2R>
藤田大(日本)
スティーブン・ギレスピ(英国)

<Gladiatorフェザー級王座決定戦/5分3R>
中川皓貴(日本)
チョ・ソンビン(韓国)

<Gladiatorライト級選手権試合/5分3R>
[王者]キ・ウォンビン(韓国)
[挑戦者]グスタボ・ウーリッツァー(ブラジル)

<Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級王座決定戦/5分3R>
森戸新士(日本)
ジョセフ・チェン(台湾)

<フライ級/5分3R>
宮城友一(日本)
久保健太(日本)

<バンタム級/5分3R>
笹晋久(日本)
ジョン・オリニド(フィリピン)

<キック・ウェルター級/3分3R>
璃久(日本)
イゴール・シルバ(ブラジル)

<バンタム級/5分2R>
溝口司(日本)
ガッツ天斗(日本)

<ヘビー級/5分2R>
大場慎之助(日本)
チョン・ホチョル(韓国)

<Progressフォークスタイル・グラップリング79キロ契約/5分2R>
山田崇太郎(日本)
井上啓太(日本)

<Progressコンバット柔術バンタム級/5分2R>
竹本啓哉(日本)
江木伸成(日本)

<アマMMA女子アトム級/3分2R>
住村斉明里(日本)
MIYU(日本)

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Brave CF Gladiator020 MMA MMAPLANET o ONE RYO Special UFC キック ククイ・エロルデ ジョン・オリニド ボクシング 笹晋久 長谷川賢

【Special】フィリンピンMMAを知る。ククイ・エロルデ、ボクシング一大ファミリーがMMAに進出

【写真】日本で戦いたいと集まったフィリピンの無名ファイター達。後列右から5人目がオリニド。10代や20代のファイターに混ざって、PXCやBRAVE CFで戦っていた40歳のレックス・デララ(後列左から5人目)の姿も見られた(C)MMAPLANET

22日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGLADIATOR020にフィリピンからジョン・オリニドが来日し、笹晋久と対戦する。

フィリピンはチーム・ラカイのONEでの台頭以来、アジアで最高のポテンシャルを持った国と言われて久しい。オリニドはグラジのタレントリレーションに職に就いた長谷川賢が、12月に行ったフィリピンMMA視察で発掘したキャリア3勝0敗のファイターだ。

この場を彼に提供したのが、ククイ・エロルドという女性マネージャーだった。

長谷川のMMAの練習を見学したいという要望に、自らがマネージメントする選手を18名も集め、さながらトライアウトのようなスパーリングが見られた。ククイ・ラロルデ女史はフィリピンの英雄的ボクサー=1960年代WBAジュニアライト級王座を10度防衛戦したガブリエル・フラッシュ・エロルデの末娘で、母ローラさんの跡を継ぎ20のボクシングジムを経営し、同時にプロモートとマネージメント業を行ってきた。

メトロマニラ、パラニャケにあるエロルデ一族の拠点エロルデ・スポーツセンターを訪ねると、そこは一族が運営する建物にはボクシングジム、会議場を使用したボクシング会場だけでなく、闘鶏という賭博場も備えたスポーツ・コンプレックスだった。

フィリピンMMA界の今──をプロモーター&マネージャー、ファイター、そして指導者の目から伝えたい。ムエタイに続きMMAファイターのマネージメントも始めた──フィリピンの一大ボクシングファミリーを牽引するククイにフィリピンMMAの現状を尋ねた。


──素晴らしいトライアウトを開いてくれてありがとうございます。初対面のククイさんに、MMA畑の人間として尋ねさせていただきます。ボクシングリングが2つ、ケージが一つというジム、闘鶏場、ボクシング会場となる会議場のあるエロルデ・スポーツセンターという拠点を持つ……一体、ククイさんは何者なのでしょうか。

「私はフィリピンでボクシングのプロモーターライセンスとマネージャーライセンスを持っていて、このファミリービジネスを母から受け継いで20年になるわ」

──そのククイさんが、なぜMMAファイターを集めることができたのでしょうか。

「私は今ではMMAファイターとムエタイという分野にも手を広げていて。アマチュアMMAのプロモートもしているの。でも本当の意味でプロフェッショナルのMMA興行は、ここフィリピンではONEチャンピオンシップぐらいで。

ONEがずば抜けていて、URCCや他のプロモーションを圧倒している状態ね。イベントプロモーターは多いの。でも、MMAの大会は決して多くないのが現状よ」

──MMAファイターの成長には試合経験が大切になってきますが、それほどフィーダーショーとなるローカルの大会数は多くないということですね。

「そうなの。大会は多くないわ」

──それはコロナが影響しているのでしょうか。コロナ前はもっと盛んにローカルショーが行われていたと記憶しています。

「そうなの。Covidの影響で、MMAプロモーションは減ってしまって。ボクシングプロモーションだけが、以前のように活動している状態ね」

──そういうなかでMMAファイターをマネージメントとしており、どのようなプロモーションに選手を送り込もうと思っているのでしょうか。

「それはUFCであり、ONEチャンピオンシップね。そして今日の機会をきっかけに日本、グラジエイターで選手を戦わせたいと考えているわ」

──ククイさんはまだMMAのマネージメント業を始めたばかりなのですか。

「イエス。でもボクシングのマネージメントは20年間やってきたわ。WBCアジアン・カウンシル・コンチネンタル・ライト級王者ジュレス・ビクトリアーノやアーネル・バコンナジェをマネージメントしているし、WBAアジア・スーパーフェザー級とIBFアジア・スーパーフェザー級王者のチャーリー・スアレス……14連勝0敗のスアレスも私の選手よ」

──スミマセン、ボクシングには知識がなくて……。

「12月11日に大阪で行われたThe Heatという大会にもロニー・バルドナドとクライデ・アザルコンを出場させたわ。日本には何度も行ってるし、ジョー小泉さんとは色々と一緒にやってきたわ」

──おお、ジョー小泉さんなら私も分かります。そんなククイさんから見て、ボクシングと比べて、フィリピンのMMAの現状はいかがでしょうか。

「ファンベースでいえばMMAの方がボクシングより大きいわ。先日のONEチャンピオンシップでも会場は満員のファンが訪れていた。ボクシングにはあれほどのサポーターはいないわ」

──本当ですか!!

「そうよ。ボクシングの会場には、あんなに多くのファンは集まらないから」

──その要因はどこにあると思われますか。

「私が想うにはファンはもっと血生臭さを求めているんじゃないかしら。そう、そういう戦いをボクシングの代わりに見たがっていると思う」

──コンテンダー目線でいえば、若い人々はボクシングとMMA、どちらに興味を持っていますか。

「私たちは20のボクシングジムを持っていて、そこにはMMAとキックボクシング、ムエタイのクラスもあるわ。そして若い人達はMMAが一番好きね。ボクシングよりも、MMAの方が人気はあるわ。

ボクシングよりMMAの方がエキサイティングなようね。パンチだけでなくキックもあって、レスリングもあるから。若い選手はエキサイティングなMMAの練習をする方が多くなっているのが事実ね」

──なるほどぉ。米国ではMMAの勃興期に、ボクシング界はアスレチックコミッションと共にMMAを締め出しました。ボクシングの歴史が長いフィリピンで、そのような動きは見られないでしょうか。

「フィリピンではボクシングコミッションが、MMAコミッションの役割も果たしているから、コミッションは1つ。だから、そういう問題は起こりえないでしょうね。ボクシングもMMAもプロフェッショナルで戦うには、18歳になって正式にライセンスを手にする必要があるわ」

──今日は色々とフィリピンの現状を話していただきありがとうございました。ところで、フィリピンンには闘鶏があります。もちろん、賭けの対象です。ではボクシングやMMAでも賭けは行われているのでしょうか。

「イリーガルで、ね。闘鶏は国から認められている賭け事だけどね。ここでもやっているように」

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Gladiator020 MAGISA MMA MMAPLANET o ONE Progress UFC キック キ・ウォンビン コンバット柔術 ジョセフ・チェン ジョン・オリニド チョ・ソンビン ボクシング ロランド・ディ 中川皓貴 修斗 松本一郎 森戸新士 江木伸成 生田誠 神田T800周一 竹本啓哉 笹晋久 野尻定由 長谷川賢

【Gladiator020】笹晋久は比のダイヤの原石=オリニドと対戦。竹本啓哉は江木伸成と試練のコンバット柔術!!

【写真】グラジで日本✖韓国の実力者、✖フィリピンの若い力が組まれた。J-MMAの強化につながるのか (C)MMAPLANET

21日(水)、Gladiatorより1月22日(日)に大阪府豊中市の176BOXで開催されるGladiator020のカード発表第3弾があった。

Gladiatorフェザー級王座決定戦として中川皓貴✖チョ・ソンビン、Progressフォークスタイルグラップリング・ウェルター級王座戦=森戸新士✖ジョセフ・チェン、Gladiatorライト級選手権試合=王者キ・ウォンビン✖挑戦者グスタボ・ウーリッツァーと3つのタイトル戦が組まれている今大会。

今日のプレスリリースで笹晋久が、ンタム級3回戦でフィリピンのジョン・オリニドと戦うことが分かった。


オリニドは元UFCファイターで、現在はベアナックルファイトやBRAVECFで戦うロランド・ディの教え子で、ディが主宰するディンクレディブル・ファイティング&フィットネスの所属選手だ。

日本では全く無名だが、このオリニドは先だってグラジのテレントリレーションに就任した長谷川賢が、ONEマニラ大会が開催された折に、現地のジムを回り見出したファイターとのこと。以下、リリースで紹介された長谷川のオリニド評となる。

長谷川賢
「人材発掘のためにフィリピンを訪れ、ケソンシティのラウンド・ワンMMA、バギオのチーム・ラカイを視察させてもらい、マニラではククイ・エロルデさんの協力を得て、数カ所のジムの選手が集まった合同練習会が見学出来ました。

合同練習会、ラウンド・ワンMMA、チーム・ラカイと日本では無名でも高いポテンシャルを持った選手がいました。なかでもエロルデ・ボクシングジムの合同練習会で行われた実戦形式のスパーリングの一番手でケージに上がったジョン・オリニドの動きの良さは印象的でした。

MMAスパーだけでなくグラップリングのレベルも確認したく、エキストラで壁レスなどシチュエーションスパーリングもリクエストし、総合力があることも分かりました。キャリア3勝0敗の若い選手ですし、笹選手との対戦には荷が重いかもしれないですが、帰国後にオファーをすると躊躇なく『戦う』という返答をくれました。今後、オリニドのように打撃も寝技もできて、若くて勢いのある選手。可能性とやる気を満ちたファイターを招聘して、日本の選手と競り合い互いに力がつくようなマッチメイクを心掛けていきたいと思っています」

なお本日の発表ではコンバット柔術で元Gladiatorバンタム級王者の竹本啓哉が、Progress提供コンバット柔術バンタム級で江木伸成と戦うことも合わせて発表されている。竹本は昨年6月に今大会でオリニドと対戦する笹に競り勝ったものの安パイファイトに株を下げた。そして先日の修斗・闘裸男で野尻定由に勝利した神田T800周一との3度の対戦の機運が高まらず、ここで──ある意味、MMAよりも注目が集まるコンバット柔術出場というセカンドチャンスが与えられた。

江木は既にコンバット柔術ルールは、5月にHEATでの生田誠戦に続き、Gladiatorで松本一郎と戦っている。初戦と比べて、掌底のエグさが増した松本戦ではヒールフックで一本勝ち。さらには9月のフォークスタイルグラップリングでは距離を取って逃げ切りを図るMAGISAもヒールフックで仕留め、実戦で切れ味を確認できている

この実戦の場というフィルターを掛けると、純粋グラップリング力は江木が上という見方は十分に成り立つ。そこに掌底という要素が加わるが、竹本のバック奪取&キープという勝利の方程式が、引き込むことが予想される江木に通じるのか。

竹本にとっては決して簡単でない、戦いとなる。また江木は今大会でMMAデビューを望んでいたが、対戦相手が見つからなかったという話も伝わってくる。最終的に元チャンピオンとコンバット柔術で戦うことが決まった江木にとって、この一戦は大きな腕試しの場となろう。

これで同大会はMMA、キック、フォークスタイルグラップリングに加えてコンバット柔術と様々な戦いがケージの中で繰り広げられることとなった。

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DEEP DEEP111 DEEPフライ級GP MMA MMAPLANET o RIZIN ボクシング 伊藤裕樹 修斗 剛毅會 宇田悠斗 安谷屋智弘 岩﨑達也 島袋チカラ 本田良介 村元友太郎 松場貴志 武術空手 澤田千優 福田龍彌 長谷川賢 風我

【DEEP111】フライ級GP準々決勝宇田悠斗戦──直前に出稽古。村元友太郎「宇田の底が知れる試合に」

【写真】月曜朝10半からの武術空手稽古。平本丈と前夜に修斗世世界女子アトム級王者になったばかりの澤田千優も稽古に参加していた (C)SHOJIRO KAMEIKE

12月11日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP111 Impactではフライ級GPの準々決勝が実施される。ビョン・ジェウン✖伊藤裕樹、本田良介✖松場貴志、福田龍彌✖安谷屋智弘とともに村元友太郎が宇田悠斗と対戦する。

修斗からの刺客といっても過言でない宇田は、初戦で島袋チカラにケージに押し込まれた状態でエルボーを連打し失神に追い込むという衝撃的な勝利を手にした。対して村元は試合前に新スクランブル宣言をしたものの、初回にダウンを喫するという厳しい戦いを持ち味であるスクランブル戦で競り勝った。

宇田戦を直前に控えた状況で、村元は東京で出稽古を敢行──午前中は剛毅會空手、午後は田牧ボクシングの指導を受けている。そんな村元を練習の合間に取材すると、直前の出稽古の是非、宇田の評価を尋ねると元気いっぱい、いつも通り自信に満ちた答が返ってきた。


──13日後にDEEPフライ級GP準々決勝、宇田悠斗選手との試合を控えている(※取材は11月28日に行われた)状況で、東京まで来て出稽古を行った村元選手です。午前中に剛毅會の岩﨑達也氏に指導を受け、午後はGENで田牧一寿トレーナーのボクシング指導があるということですか、東京入りは昨夜だったのですか。

「いえ、朝にやってきました。昨日は石川で太田翔一郎さんに伝統派空手の指導を受けていたので。田牧トレーナーとの練習が終わったら名古屋に戻ります」

──田牧トレーナーや太田さんとの稽古はこれまで続けていていたことなので、そこは時間と距離との兼ね合いなのでしょうが、このタイミングで岩﨑さんに武術空手を習う。それはどういう理由からなのでしょうか。

「今回が稽古は2度目なのですが、11月の最初に岩﨑さんがRIZIN LANDMARKで平本(蓮)選手のセコンドで名古屋に来ていた時に、ハセケン(長谷川賢)さんから誘いがあって一緒に食事をさせてもらったんです。

その時に『東京に来た時に練習に参加しても構わないよ』と言っていただいて。僕も田牧さんとの練習もあり、東京に来ることがあるので実際に教え欲しいと思いました」

──平本選手の試合を見て、そうしようと思ったのではないですか(笑)。

「それもあったのですが、ホントに試合前日に食事をしている時に岩﨑さんの打撃論を伺って興味深かったのと、合点のいくことがありました。いくら平本選手の試合を見ていても、その時の話が納得できるものじゃなかったら指導を受けたいとは思わないです。フィーリングも合ったというか……そもそも岩﨑さんのことを、それまで知らなかったのですが……」

──ハハハハハ。重ねてお伺いしますが、だからといって試合まで1カ月を切って2度指導を受けただけの技術や動きが試合に生きるのですか。

「生きます。指導をお願いした際に、『次の試合のためだから』ということで相手の映像と、僕の映像を見せてほしいと岩﨑さんに言っていただきました。自分が技術的に問題点として捉えていたことに対して、LINEと電話でまず相談をしました。それから実際に動きを見てもらったので。

1度目の練習のあと、名古屋に戻ってALIVEのスパーリングで試した動きを動画に撮って岩﨑さんに送りました。そこでまた修正箇所を指摘してもらって、そうしていくことでスパーリングのなかで課題だったというか……欠点が、解消されていったんです。

同時にそれが全てでなく、自分がこれまでやってきたこととの兼ね合いでどういう風に生かすかを自分でも考えています。いずれせよ、分からないことはどんどん尋ねていますし。全てを理解できないことも分かって、試合直前であってもこうやって指導を受けに来ています」

──そこまでの気持ちでいるのかと感心させられた一方で、その志をもってなお試合前の理想と試合のパフォーマンスのギャップが……。

「アハハハハ。前の試合もそうでしたね。進歩したところを試合に出そうと思ったら、結局これまでと同じで(笑)。風我選手がイメージと違っていて、凄く強くなっていました」

──初回にピンチがあり、試合前に言っていた「極めに繋げるコントロール、これまでと違うスクランブル」という動きはできなかったです。それでも、これまで通りのスクランブル戦になると勝ち切れる。やはりそこが村元友太郎の強味でもあるかと。

「でも、それでは先に進むと勝てなくなります。このままではいけないので、今日の稽古もそうですが色々と足を運んで模索しています。今のままでは危うい感じなので、明確に倒し切ったり極め切れるようにならないといけないです」

──同時にああなった時は、気持ちで負けないという想いは?

「そこは誰とやっても負けないっていう気持ちはあります」

──では宇田戦で向けて。抽選では、結構選手が会話をして対戦が決まった感がありました。

「そうですね。福田(龍彌)と宇田が残っていて。僕はどっちでも良かったです。決勝に進めば、どちらかと当たると思っていた2人だったので、どっちでも良かった。で、最後に残っている安谷屋(智弘)さんに尋ねたんです。『僕はどっちでも良いから、どっちとやりたいですか』って。そうしたら安谷屋さんは前に福田に勝っているから、福田が良いって(笑)。福田も『安谷屋とやりたいです』って言って2人が盛り上がっているから、『なら宇田で良いです』という感じで」

──宇田選手は置いてけぼりじゃないですか(笑)。

「『あっ、ハイ。お願いします』みたいな感じでした(笑)」

──アハハハ。では、その宇田選手の印象を教えてください。

「修斗の1位でしたね。う~ん、フィジカル的にはパワーとかスピードが速い雰囲気はありますけど……まぁ、見せかけかなって思っています」

──おぉっ!!

「打撃の質とかも、パンチもパッと見は踏込みも早くて威力もヤバいのかと思うかもしれないですけど、完璧で倒している試合もないし。なんか……質は低いんじゃないかと。僕は貰わないですし、貰っても前に出て根性で……ここまでやってきたことも違うし、気迫も含めて全てで圧倒したいと思っています」

──島袋チカラ選手との試合では、ケージに押し込まれた状態でヒジ打ちの連打でTKO勝ちを収めました。あのような予想外、あるいは想像の範囲を越えた何かを持っているかもしれないという警戒心は?

「ないです。あれはあそこで止まっているからもらうだけで。僕はあんなにのんびりしていなくて動き続けます。ポテンシャルとか、底がまだ余り見えていない選手だと思いますけど、宇田悠斗の底が知れる試合になりますよ」

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【ONE163】オンラ・ンサン戦前の岡見勇信─02─「集大成です。でも、これが最後なんて思っていない」

【写真】もう何も聞くことも、言うことも、書くこともない。明日、見せてもらいます (C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」で、オンラ・ンサンと戦う岡見勇信インタビュー後編。

3年以上のブランクを経て、キャリア21年目の新境地。岡見勇信が集大成となる、『今』を戦う。

<岡見勇信インタビューPart.01はコチラから>


──ヘクター・ロンバート、ティム・ボーシュ戦などを引き合いに出すのは違うかもしれないですが、勝とうが負けようが気迫が凄まじかったと正直思います。

「ハイ……もちろん、あの頃の感覚を忘れていないつもりです。持ち続けています。そういう良さもあった。ただ、何かに追い詰められていた……。試合中も普段も常に、何かに追い詰められていました。自分ならもっとできるはずだって、誰もが想うことだと思いますけど。今回のファイトキャンプは、楽しむという気持ちがないと潰れていました。

もう、これ以上やっていけないって。アタイジ戦がコロナで流れて、あの時も追い詰めて、追い詰めてやっていました。メンタル的には全然良くなかったです。試合がなくなったことをある意味、ポジティブに捉えるようになり、今回の試合は格闘技を始めた頃の気持ちを思い出して、楽しく厳しくやっていこうと」

──ここまで、そうできましたか。

「キツいことをやって心が折れそうになることもあるけど、日々、楽しめていると思います。きっと回りは楽しんでいるとは思っていないはずです(笑)」

──アハハハハ。

「その気持ちを忘れずに、追い込まないというか思い詰めないでやってきました。だから、アタイジ戦のキャンプではEXFIGHTに人を呼んで、ケージのなかでずっとやっていました。でも、そういうのは違う。僕はずっとGENでやってきた。だから今回は、GENで一緒にやってきた仲間たちに囲まれて格闘技を必死にやろうと。そういうところも今回は変えました」

──その気持ちはオンラ戦で生きる?

「生きるというか、これは勝つためにやっているので。勝つためにそういう気持ちでやろうと。だから今回、これを選んだ僕の判断は生きると思います」

──オンラは生き物として、根本が強い。そんな気がします。そんな彼に対して、どう戦おうと思っていますか。

「う~ん、必死に戦うしかないですね。オンラは頑丈ですから。ハセ(長谷川賢)に聞いてもそうだし。きっと自分がKOされるなんて思っていない。パンチを打たれても、そういう感じだと思います。どんどん前に出てきて、打ってきますから。とにかく必死に戦うしかない。必死に戦って、動いて動いて。ぶつけてぶつけて。どっちが倒れるのか。どっちが力を使い果たすのか。そういう苦しい戦いになると思います。そういう戦いをしないと無理だと思います」

──打ち損じまで気にしないといけない。そんなパンチの持つ主を相手には、やはり組み勝負。つまり組むための打撃が大切になる。結果、岡見選手がMMAファイター人生をかけてやってきたことが、この試合で大切になってくるのかと。そこで強い気持ちで居続けることができるのか。

「うん、そうですね。体全体で来る攻撃、全てに対して警戒しないといけないですし。被弾すればダメージは確実です。オンラのやりたいことは分かっている。向うも僕のやりたいことは分かっている。もちろん、組んで削らないといけない。お互いに分かっているから、潰し合いになる。潰れた方が負ける。まぁ、やりますよ」

──ここから先を見ることはありますか。

「先は見ていないです。ただし、この試合で終わろうなんて思っていないです。オンラで終わろうと思うようだと、この試合はできない。でも、やってみないと先は見えないです。もう41歳です。間違いなく時間は進んでいる。それでもこの3年間、体力と気力は待ってくれた。デキる。勝てる。そう思うから、オンラ・ンサンと戦える。これで終わろうと思っていたら戦えないです。そして、先も見ていないです」

──集大成という言葉が独り歩きしてしまいそうで。あれはコメントを纏めているということですか。

「そうですね(笑)。その方が分かりやすいので。でも本当に集大成ではあると思います。岡見勇信、そのもの。そういう試合になると思います」

──集大成、つまり『今』が出る?

「ハイ。そうなると思います。それが自分にとっての集大成だと思ってくれれば良いと思います」

──根津優太選手が引退しました。

「ねぇ、同い年の慧舟會出身。想うところはあります。今言えることは、お疲れさまです。久しぶりの試合で……本当に勇気が必要だったはず。絶対にやらないといけないという状況でないのに試合に出て……本当にお疲れさんっていう気持ちです」

──根津選手は練習できる環境でなくなっていた。岡見選手は違います。

「根津に関しては、そりゃあ僕は一番良い時を知っているから……。でも、誰もが通る道です。だから自分と根津を比べるとか、そういう意識はなかったです。これは仕方ないこと。人それぞれの時間があることなので。

僕はこの3年間、嘘偽りなく練習はやってきた。若い子が出てきて新しい刺激を貰い、同世代のファイターたちが試合をしているのをセコンドとして見ることができて……戦わないと、戦わっているヤツは凄い。自分も戦わないといけないって思うことができたので」

──正直、現役ファイターとしてではない部分で、神経が擦り減ることがあった数カ月だったと思います。

「たくさんの人々が動いていたプロジェクトなので、申し訳ない気持ちです。ただし、試合とは関係ないです。彼らは彼らで頑張るだろうし、僕は僕で頑張ります。でも今もEXIFIGHTには真っ直ぐな若い子たちが練習しています。MMAでトップに立ちたいという気持ちを持っています。僕と髙谷(裕之)さんが力を合わせて、彼らを育てていきたいと思います」

──若いエキスを吸い取って、エネルギーにできますか(笑)。

「若すぎて、毒になります(笑)。26歳は越えてもらわないと」

──アハハハ。最後に失礼の念押しで。今回の試合、岡見勇信を見せてください。

「どんな風になっちゃうのか不安でもあるけど、楽しみでもあります。正直、オンラ・ンサンと戦えると思っていなかったので。それが色々な縁があって実現する。自分がどんな風になるのか、想像できないけど。自分を信じられるだけのことをやってきたので、やります」

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午後7時00分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(ウクライナ)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)

■放送予定
11月19日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night04対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] キャムラン・アバソフ(キルギス)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジョセフ・ラシリ(イタリア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ウェルター級/3分3R>
コズモ・アレッシャンドリ(ブラジル)
フアン・セルバンテス(英国)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・ジェウン(韓国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ウラジミール・クズミン(ロシア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ラスラン・エミルベク(キルギス)
イシ・フィティケフ(豪州)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
ダニエラ・ケリー(米国)
マリア・モルチャノワ(ロシア)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン(英国)
エディ・アバソロ(米国)

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Bu et Sports de combat K-1 MMA MMAPLANET o RIZIN UFC キック サンチン ボクシング 剛毅會 岩﨑達也 平本蓮 弥益ドミネーター聡志 松嶋こよみ 武術空手 長谷川賢

【Bu et Sports de combat】武術的な観点で見るMMA。平本✖弥益「空手の打ち方のボクシングです」

【写真】平本が何度も決めた左の突きは、空手の後の先ではなくボクシングのカウンターだった。そして返しの右が強かった (C)RIZIN

MMAと武術は同列ではない。ただし、武術の4大要素である『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた状態』はMMAで往々にして見られる。

武術の原理原則、再現性がそれを可能にするが、武術の修練を積む選手が試合に出て武術を意識して勝てるものではないというのが、武術空手・剛毅會の岩﨑達也宗師の考えだ。距離とタイミングを一対とする武術。対してMMAは距離とタイミングを別モノとして捉えるスポーツだ。ここでは質量といった武術の観点でMMAマッチを岩﨑師範とともに見てみたい。

武術的観点に立って見た──だけでなく、自ら稽古を共にする立場から見た平本蓮✖弥益ドミネーター聡志戦とは?!


──平本選手の打撃が変わった。「空手だ」、「後の先だ」、「カウンターだ」と様々な声があります。そのなかでこの2カ月、平本選手と稽古してきたなかでの初めての試合。そして、足の指の骨折も経験しました。

「試合が決まってすぐに前蹴りの練習をさせると、左足薬指の中足を折ってしまいました」

──やはり前蹴りから入ると。岩﨑さんは以前、剛毅會空手ルールを創るなら蹴りは前蹴りだけで良いというほど、前蹴りの重要性を説いていました。

「それはMMAだからですよ。しっかりと前蹴りで入って、両手と両足を連動させる。剛毅會の定石といえます。前蹴りが一番簡単だから。いや、蓮は蹴りも上手いです。回し蹴りでもロー、ミドル、ハイキックと全て上手いです。ただし、11月の頭に弥益選手とやる。もう1カ月少ししかないなかで、それらの蹴りは使わない方が良いと思いました」

──その故は?

「彼も分かっていたけど蹴った後、そして蹴る前にしても──蹴りを使うことで居着いてしまうので。そうしたら、ケガをした。だから、今回は何かをこうするということではなく、ミスをなくしていく選択をして、あの戦い方になったわけです」

──ほぼパンチのみでした。

「ケガをしてから、K-1時代の映像をチェックしました。その時に思ったのは、やはりパンチ力でした。蓮はボクシングなんですよ。キックボクシングではない。だから、彼の持つボクシング力、そこで徹底的に戦おうという選択をしました」

──途中「で後ろを使う」という戦いは、前に出て圧力をかけることができず逆にパンチを被弾し、テイクダウンを取られるかもという指摘が、セコンド陣からあったと聞きました。

「そこは大きかったです。ハセケン(長谷川賢)さんと赤沢(幸典)君は『それだと下がって危ないんじゃないか』と思った。蓮の良さがスポイルされるんじゃないかということだったんです。ただし、今回の試合に関しては彼が前に出ると弥益選手はテイクダウンを取ることができる。

パンチのインステップにテイクダウンを合わせるのが弥益選手。なら、その機会を無くして戦うことが勝利に近づくと踏みました。蓮はカウンターが得意だから。蓮は私の言わんとする真意をくんでいることが、彼らの指摘で理解できました。結果、ハセケンさんも赤沢君も分かった。彼らが蓮のことを心配して、尋ねてきてくれたからですよね。

それもあって……試合に関しては、やることがドンピシャにハマり、結果もでた。そんなことは10数年指導をしてきて初めてです。チームワーク……ハセケンさん、赤沢君、(平本)丈、練習に付き合ってくれた飯田(健夫)君、この全員が同じことを考え、こう戦わないといけないという部分で一致していました。陳腐な言い方ですが、チームが一丸となった。そこが勝因だと思います。

加えて蓮の舞台度胸ですかね。いよいよ追い詰められて、ホントに戦うことが決まったのは大会の1週間前のことで……決まってからの気合は半端なかったです。ハマり過ぎるほどハマった。ただし、そうなることは見えていた試合とも言えました」

──2カ月ほどの稽古で、平本選手は何が必要か理解度も高いのですね。

「そこでいうと理解度が高くても、試合でやるかどうかは別問題なんです。そういう意味でも、彼が今回は信じてああいう戦い方をしたということになりますね」

──ではハマったというのは弥益選手を研究して、当てはめていったのか。今回の稽古をすれば誰が相手もハマるということでしょうか。

「それ以前にMMAの選手として、どう戦うのか。彼にはそのベースがないということでした。レスリングができる。寝技が強いというベースがあれば、そこに向けて勝つ方法論で向かっていけます。それが無いから、分からない。でもケガをしてボクシングに絞ることで、戦略が立てやすかったです。もうそれ以外、選択肢がなかったから」

──そのためにどのような稽古を行ったのでしょうか。

「動かないで殴る。空手の基本稽古です。空手の基本稽古はその場でやります。動かないで強い力を出せるようになる。それができるようになると力を運ぶ。それが稽古の手順です。今回は動かないで突きを見せる。それができたら、下がりながらカウンターを取る。それだけです」

──では今回の平本選手の戦い方はカウンターで良いわけですね。後の先が取れていたわけではなくて。

「後の先なんて、まだ取れないです。言うちゃ悪いけど、そんなに甘いモノではない。あの試合はあくまでもカウンターです。打ち方は空手の。後の先ではなく、カウンターです」

──後の先とカウンターの違い。そこがまた難しい。後の先=カウンターというのが格闘技界の通例ですし。

「ハイ、後の先を経験している方は非常に少ないと思います。蓮の戦いは後の先ではなく、ボクシングのカウンターです。空手の打ち方でやっただけです。ひたすら右足前の左の逆突きの稽古をしました」

サンチン??

──平本選手は試合後の会見で、勢いがあるならオーソの構え。

技術的には戦うにはサウスポーの構え。今回は右足前で戦ったということを話していました。そこまで話しても大丈夫なのかと思ったほどです。

「全く問題ないです。手の内でもなんでもないですから。彼は空手に関しては初心者。まだ白帯です。茶帯ぐらいになった時はバカバカしくて、そんな話もしなくなるはずです。空手だと騒ぎ立ててもらえているのは、彼にネームバリューがあるからで。

とはいっても彼はUFCの世界王者を目指すと公言していますから。なるか、なれないかは別問題として、逆算してやっていく。目標がそこであるなら、これではダメです」

──あの戦いではダメですか。

「ダメですよ、全然。MMAも初心者で、経験値が足らないです。アマからプロ、もまれてランカー、そしてチャンピオンというところを飛ばして戦う状況にあるわけですからね。今、UFCのチャンピオンだと言っても絵空事です。そして本人もそこを理解しています。今回はボクシングを空手の打ち方でやったんだと。

と同時に、蓮はそういうのが好きなんですよね。この勝利で彼も道着を着て、白帯を巻くことができます。今後は渋谷支部、支部長代行ですから(笑)」

──えっ?

「これまで週に一度、蓮や丈との練習で使わせていただいていたFIGHT CLUB渋谷さんに、剛毅會空手のクラスを正式発足する運びになりそうです。ジムの会員さんは稽古に参加できないかと相談を受けました。ただし、蓮も黒帯を取らないと支部長になれないので」

──そしてあれだけの強さをMMAで見せても、平本蓮は白帯だと。

「ハイ。白帯です。松嶋こよみ師範代は黒帯二段です。武術空手への理解力は次元が違います。と同時に松嶋こよみはMMAにおいて打撃と組み、寝技と引き出しが多いです。平本蓮は打撃の専門家です。打撃の専門家にここまで私の空手を指導したのは、初めてです。蓮は打撃で苦労してきたからこそ、真意が理解できるのだと思います。

4月の初遭遇から7カ月、両者はチームになった

ただし、MMAファイターとしては平本蓮は松嶋こよみに遠く及ばないです。そこを蓮も後輩として分かっています。

2人はレスリングの稽古もやり、打撃の稽古も一緒にやる。これから2人でしのぎを削って世界を目指しますので、宜しくお願いします」

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【RIZIN LANDMARK04】弥益ドミネーター聡志と対戦、平本蓮が武術空手を学ぶ理由。「素手の感覚」

【写真】 何が違うのか、明確だが瞬間を切り取っても分からない。試合で出るかでないか──だ(C)MMAPLANET

11月6日(日)に名古屋市中区のドルフィンズアリーナで開催される「RIZIN LANDMARK 4 in NAGOYA」で、平本蓮が弥益ドミネーター聡志と対戦する。

MMA戦績1勝2敗の元K-1ファイターのJ-MMA界における存在感は、頭抜けたモノがある。その存在感を弥益は9月30日の会見で「インフルエンサー」と称した。

SNSは「アンチを生むことで、話題になる」とその効用を語り、榊原信行CEOとのやり取り漫才と言う平本。自らを見せる術を知るルーキーは、その一方でファイター仲間からの期待度がMMAキャリアの少なさとリング上のパフォーマンスと不具合なほど高い。それは周囲が平本蓮の戦いへの探求心の強さを知っているからだ。


その平本が8月より、武術空手=剛毅會・岩﨑達也と稽古を行っている。練習仲間の長谷川賢を介して、平本は4月に松嶋こよみの剛毅會の稽古を見学、そして体験した。そこで岩﨑の指導する立ち位置、間合い、実際に向き合った者だけが感知できる「怖さ」を体感し、指導を受けたいと思うようになったという。

7月に試合があったことで、中途半端になりたくないという考えから定期的に指導を受けるようになったのは8月、まだ2カ月の稽古期間でも、平本は「確実に違うモノが見せられる」と言い切る。

週に一度、渋谷・道玄坂のFIGHTCLUB428で行われる練習に対して、岩﨑自身は「指導でなく、一緒に稽古し私も得られるものが非常に多い」と捉えている。

「でも、実際に練習をMMA選手が見ても『何をやっているんだ?』って分かってもらえないことが多いだろうし、バカにされることもあると思います。実際『そんな時間があったら、違う練習をしたら』とも言われました」と平本。

FIGHTCLUBで行われる稽古は、実に地味だ。組手になるとさすが、特に実弟の丈を相手にした時は打撃の勢いはさすがとしか言いようがなく、目を見張るものがある。とはいえ、それはキックボクシングを忘れないために必要なことであって、武術空手を採り入れるための地ならしのようなモノだ。

数センチの誤差、特に重視されるのは自ら攻撃したあとの姿勢と位置取り。MMAだからといって平本が組み技を駆使する必要はない。もちろんレスリングも柔術も練習は必要だ。ただし、試合で出さなくても構わない。

組み技の練習の成果は必要に応じて出てくるものであって、組み技ありきで試合に臨むと、平本の最大の強味である打撃が生かせず、相手の間になっている。

そんな思考の修正から両者の稽古は始まり、今は姿勢と距離に取り組んでいる。平本は「実はボクシンググローブからMMAグローブに変わった時から、素手を意識するようになっていました。だから空手に興味を持って。岩﨑先生の話を聞いて、全てが理解できているわけでもないし、型をやっても分からないことばかりです。でも、長い間『打撃はできるでしょ。自分でやって』という感じで、教えてもらえることがなかった。そんな僕が、ダメだしをしてもらえる感覚は本当に久しぶりです」と地味な動作を繰り返す。

対して岩﨑は「武術、空手に興味を持ってもらっても依存しちゃいけない。あくまでも平本蓮の打撃をMMAで使えるための修正であり、空手といっても空手なんてやる必要はない。平本蓮として戦えば良いんです」と、武術空手の位置づけが明確にできている。

次戦に向け、平本はMMAファイターとして、弥益がどれだけ格上かも理解してなお「今回はこれまで違って、煽って自分の気持ちを上げて戦うという精神でなく、ひたすら練習の成果が出せるか楽しみなんです」と言う。対して岩﨑は「畏れる者が勝つ試合になる。そういう意味で弥益選手は手強いです」と言い切った。

「内側」、「目に見えないもの」、「間」、「先」という言葉が普通に出てくる平本蓮。彼が武術空手の理をいかに学び、MMA──自らの打撃に生かそうとしているのか──。

※その詳細は10月28日発売のFight&Life#93に掲載される平本蓮×岩﨑達也対談で確認を。

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DEEP DEEP Tokyo Impact DEEP Tokyo Impact2022#05 MMA MMAPLANET o RIZIN ボクシング レバナ・エゼキエル 伊藤裕樹 佐藤洋一郎 原虎徹 宇田悠斗 島袋チカラ 木下尚祐 杉山廣平 村元友太郎 松場貴志 泉武志 狩野優 福田龍彌 米田奈央 長谷川賢 風我 駒杵嵩大

【DEEP TOKYO IMPACT2022#05】GP初戦へ、村元友太郎─01─「強い選手と戦いたいなんて当たり前」

【写真】4月にオープンした、村元の城=Baaan Gymからリモート取材。怒っていました…… (C)MMAPLANET

11日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP TOKYO IMPACT 2022#05で、フライ級GP1回戦=後半4試合が実施され村元友太郎が風我と戦う。

同日に福田龍彌と戦う杉山廣平がインタビューで語った──村元が福田を選ばなかったという発言に、彼は心底腹を立てていた。村元が語る抽選の真実、そして脱スクランブラー宣言とは。


──いやぁ、村元選手をMMAPLANETでインタビューをさせてもうのは、本当に久しぶりです。

「きっとPXCに出た時だったので、もう6年以上前だと思います」

──えぇ、そんなになりますか。

「ハイ。『またインタビューするから。ちゃんと結果を残せ』と言われていたのに、それができていなくて。DEEPでもリングの時があったりもしたので」

──そうですか。そうこうしている間にRIZINに主戦場を移したので、話を訊く機会がなかったのですね。

「でも結構、会場では話すことがあって、その時にも『ちゃんとDEEPで結果残せよ』って言ってもらっていたんですけど、ようやく2年振りにDEEPで試合ができることになりました」

──この間、ケガで長期欠場なども経験しました。そして、スタイルにも変化が見られます。色々と村元選手には尋ねたいことが多いのですが、まずはMMAPLANETに掲載された杉山廣平選手のインタビューについてお尋ねしたいのですが……。

「アッハハハハハ。杉山君はああいう風に思っていたということですよね。なんか、挑発的ですよね」

──福田選手と戦いたい。その気持ちが強くて、嘘偽りなく心境を話してくれたんだと思います。村元選手に取られたらどうしようと。

「まぁ、だから本音ですよね。正直、そういうことを言ったんだと知って、メチャクチャ腹が立ちました。実際、ちょっとキレましたね。ホントのあの記事のツイッターにコメントをしようかと思ったぐらいです。でも抽選会の時に、『ケージに戻ってきたから、試合前にインタビューをさせてもらう』って言ってもらえていたので、取材があるのを待っていました。ホントに待っていました」

──申し訳ありませんでした。ギリギリのタイミングになってしまって(※取材は6日に行われ、村元選手への連絡は前日5日に)。

「ホントに取材の連絡がなかったら、バンバン書き込んでやろうっていうぐらい腹が立っていました」

──強い選手を選ばなかったという風に指摘されたわけですしね。

「格闘家が強い選手と戦いたいなんて当たり前のことですよ。実力の劣る選手と戦いたいなんて、誰も思わないですよ。ワンマッチだったら、もちろん福田選手と戦いたいです。でも、これはトーナメントで。絶対に優勝するために出場するわけですよね。2カ月のスパンで連続して4試合あるトーナメントで。

で強いヤツと戦いたいから1回戦が激闘になり、結果ケガをして準々決勝はしっかりと準備ができなくて、試合で良いパフォーマンスを見せることができなかった。そんなことになると、全く意味がないです。確実に優勝することを考えるのが、トーナメント戦ですからね。

僕は優勝したい。確かに福田を選ぶのか、風我を選ぶのか迷いました。悩んだけど、7月にRIZINで試合をして、その時も体は万全ではなかった。一度、体のケアをして初戦を勝って勢いつけようと思ったんです。どうせ強いヤツは勝ち上がって来るし。次か、その次か、なんなら決勝でやれるんで。だから万全な状態で、勢いをつけて戦える方を選んだに過ぎないです。

どうせ全員を倒すんだから、別に1回戦でやる必要はない。杉山君のやり方だと、良い試合をして負けましまっても良いってことですよね。それで良いなら、そうすれば良いですよ。ファイターは皆、強いヤツと戦いたい。彼だけじゃない。でも僕は優勝したいから冷静になり、客観的に勝ち上がることを優先したんです。だから、強いヤツがいるから──ソイツと戦いたいっていう思考は、僕がもうチョイ若かった時に採った手段ですね。やっぱりファイターとして強いヤツと戦いたいから。もう僕からしたら、杉山君の言っていることは『うるせぇ、ガキンチョ』みたいなものですね」

──杉山選手も村元選手も、そこを気にかけていないガキンチョで、非常に風我選手に失礼だと思いますよ。仮に風我選手が杉山選手、そしてこの村元選手のインタビューを読めば、絶対に腸が煮えくり返って、下手をすると優勝なんて度外視して、村元選手に勝つことだけを考えてケージに足を踏み入れるのではないでしょうか。

「うわぁ……僕に勝って、杉山殺してやるからなってことですよね(笑)。でも言うて、風我選手を侮っているわけではないです。7月に原虎徹選手に判定勝ちをした時も、原選手をしっかりと抑えてコントロールしていました。で、原選手は8月に伊藤裕樹選手と戦って2Rまでコントロールし、組みでは勝っていた。最終ラウンドに伊藤裕樹が盛り返して勝ったけど、杉山君は伊藤裕樹にワンパンで負けているじゃないですか。

それを考えると戦績だけで見て風我選手を判断し、舐めるようなことは絶対にしないです。ここに出ている選手は、皆がしっかりと力があるんで。僕も風我選手に全力でぶつかります。だからこそ、ここのところ僕が取り組んできたことを出せるファイトになると思います」

──そのファイトスタイルに関してですが、RIZINというリングで戦うことで戦い方も変わってきたような気がします。

「まぁ、スタイルとして僕はケージの方が絶対に戦いやすいです」

──そうですよね。あのスクランブルスタイルだと。

「だからこそ、RIZINで戦ってきた間に自分自身の武器は増えたと思っています。テイクダウンで上を取って、スクランブルで勝ち切るというMMAをやってきたのですが、鮎田戦ではパンチを振り回して組んでいて。傍から見るとアグレッシブに見えたかもしれないですけど、レベルが高い相手だとカウンターを合わせられるような動きが多かったです。

実はそれを長谷川賢選手に指摘してもらって。『お前、危ないぞ。あれじゃ一発で斬って落とされる。ここから先、本物のストライカーと戦うと』って。それもあって、ボクシングを本格的に習おうと思っていたのですが、ボクシング・トレーナーの方ってMMAファイターのセコンドに就いたり、指導をすると咎められる時期があったじゃないですか」

──ハイ。取材もできないことが多かったです。

「それがJBCかに申請すれば良くなって、田牧一寿トレーナーに堂々と教わることができるようになりました。これからはセコンドに就くことも可能になるかもしれないので、ホントに良かったです。今から振り返ると鮎田戦の時の打撃ってもう酷いものだし、逃げの打撃みたいでしたよね。

あとボクシングだけでなくて石川で伝統派空手、松濤館流空手の太田翔一郎さんに月に1、2度空手を教わっています。太田さんは内閣総理大臣杯の団体組手部門で優勝したり、駒沢大学に通っている時に世界空手道選手権でベスト16(19歳~21歳の部)にもなっている人なんです。

マンツーマンでステップや飛び込みを指導してもらうだけでなく、対戦相手の映像も視てもらって、どういう蹴りが入るのかもアドバイス貰っています。それでカーフとかも、入るようになりました」

──えっ、松濤館流空手の先生がカーフの指導をしてくれるのですか。

「実は太田さんはMMAに凄く興味を持っていて、宇良健悟さんの下でMMAも習っているんです。今年の終わりごろにはアマMMAに出て、来年にはその上でやっていこうって話しもしていますし。太田さんは空手をMMAにアジャストしてくれるので、田牧さんのボクシングの指導と融合させて、倒せるタイミングとかカウンターはかなり自信がつきました。今の僕はスクランブルだけじゃない。そういうスタイルになれたと思っています」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
9月11日(日)
午後5時10分~SPWN PPV
午後5時10分~ニコニコ生放送

■ DEEP Tokyo Impact2022#05対戦カード

<フライ級GP1回戦/5分3R>
村元友太郎(日本)
風我(日本)

<フライ級GP1回戦/5分3R>
福田龍彌(日本)
杉山廣平(日本)

<フライ級GP1回戦/5分3R>
島袋チカラ(日本)
宇田悠斗(日本)

<フライ級GP1回戦/5分3R>
駒杵嵩大(日本)
松場貴志(日本)

<フェザー級/5分2R>
TATSUMI(日本)
西谷大成(日本)

<フェザー級/5分2R>
鬼山班猫(日本)
狩野優(日本)

<ウェルター級/5分2R>
佐藤洋一郎(日本)
嶋田伊吹(日本)

<ウェルター級/5分2R>
米田奈央(日本)
レバナ・エゼキエル(日本)

<フェザー級/5分2R>
佐藤勇駿(日本)
木下尚祐(日本)

<フェザー級/5分2R>
星野豊(日本)
梶本保希(日本)

<フェザー級/5分2R>
鬼山班猫(日本)
狩野優(日本)

<ライト級/5分2R>
THE☆ナマハゲ(日本)
泉武志(日本)

<ウェルター級/5分2R>
米田奈央(日本)
三好マヒロ(日本)

<フェザー級/5分2R>
星野豊(日本)
梶本保希(日本)

<ストロー級/5分2R>
多湖リキト(日本)
佑勢乃花(日本)

<ライト級/5分2R>
倉本大悟(日本)
岩倉優輝(日本)

<バンタム級/5分2R>
コマネチ竜太(日本)
朝比奈龍希(日本)

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【DEEP109】元KOP小川徹がDEEPフライ級GP参戦「長南亮の弟子としてDEEP初戦は落とせない」

【写真】元フライ級KOP小川徹の参戦。誰と対戦しても楽しみななか、1回戦の相手に安谷屋智弘を選んだ(C)MMAPLANET

21日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるDEEP109では、DEEPフライ級GP1回戦として元KOPの小川徹が安谷屋智弘と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今回のDEEPフライ級GP最大のサプライズは、元フライ級KOP小川の参戦だった。長年TRIBEからのDEEP参戦がないなかでの、小川の出場。今年3月、猿飛流に敗れてパンクラスのベルトを失ってから抽選会場への登場までの経緯と、GPへの意気込みを訊いた。


――今日はよろしくお願いいたします。小川徹選手のDEEPフライ級GP参戦には驚かされました。

「えっ、本当ですか。そう言ってもらえると嬉しいです」

――まず今回の参戦経緯から教えていただけますか。

「今年の4月ぐらいに、DEEPの公式SNSで『トーナメントを開催します。出場選手を募集しています』といった内容の投稿がありまして。それを見た時に、面白そうだなと思いました。ただ、TRIBEからは7年ぐらいDEEP参戦がなかったじゃないですか。確か中西さんの試合(2016年8月、長谷川賢戦)が最後だったかな? それで、ここは踏み込んでいいところなのかどうか分からずに、スルーしていたんです(苦笑)。

そうしたら長南さん(長南亮TRIBE TOKYO M.M.A代表)から『DEEPフライ級GP、面白そうじゃない?』と言われて。僕も『面白そうなので出たいです』と答えたら、長南さんが調整してくださったんですよ。だから僕は出たいと思ったし、そんな僕の背中を長南さんが押してくださったという形です」

――ちょうどお二人の気持ちが合致したのですね。その前に小川選手から、DEEPフライ級GPに出たいというような素振りを見せていたのではないですか(笑)。

「アハハハ。3月の試合のあとは、すぐ練習を再開していて、試合ができる準備も進めていました。でもタイトルマッチで負けて、またパンクラスでリベンジするかどうか気持ちがフワフワしていたところはあったんです。自分としては、そんな素振りは見せていなかったつもりですが、やっぱり分かっていたのかもしれないですね(笑)」

――もちろん元パンクラス王者のDEEPフライ級GP参戦というのも驚きでしたが、もう一つは久々にTRIBE勢がDEEPに出場するというのも意外なところはありました。

「前田吉朗さんのジムオープンの日に、長南さんが佐伯(繁DEEP代表)とお話されたそうで。そこから長南さんが『DEEPにも誰か出られるチャンスがあれば……』ということを、チラっと仰っていたんですよ。そういった経緯もありました」

――小川選手がDEEPに参戦することになり、周囲の反応はいかがですか。

「TRIBEの会員さんは、喜んでくれる方が多いですね。TRIBEが出来た頃からの会員さんは、長南さんがDEEPのベルトを巻いている姿を知っていますから。特にラストマッチはDEEPで勝ってベルトを巻いていて」

――ダン・ホーンバックルを相手に、最後はアンデウソン・シウバをタップさせたフライング・ヒールフックまで見せて勝利した、あの伝説的なラストマッチですね。

「それですよ(笑)。皆さん、その長南さんが残したイメージがあると思うんですよね。だから長南亮の弟子としてDEEP初戦は落とせないですし、そのイメージを裏切らない盛り上がる試合をしたいです」

――なるほど。3月にパンクラスで猿飛流選手に敗れてベルトを失いました。そこでリベンジするかどうか気持ちがフワフワしていたというのは……。

「試合直後は、今までの敗戦では味わったことのない気持ちがありました。ポッカリと心に穴が開いてしまったというか。今後どうしようかと。引退するかどうかではなく……まずあの結果を想像していなかったんです。だから自分の気持ちの落としどころが分からなくて」

――それはベルトを失ったことに対して、ですか。それとも試合内容に関してでしょうか。

「ベルトを失ってしまったことです。試合内容についても、後悔している部分はあります。自分の中で出し切れなかったところがあって。特に4R目と5R目で守りに入ってしまい、自分のパフォーマンスを100パーセント出し切れなかった悔しさもありますね」

――パンクラスはラウンド終了時に採点を公開しています。猿飛流戦では4Rが終わった時点でイーブンになっており、5Rを取ったほうが勝つという状況でした。そこで5R目に自分の力を出し切れなかった要因は何だったのでしょうか。

「それが実は……1R、2R、3Rは自分が取っていると思ったんです。2Rは猿飛流選手についていることを認識できていなくて。それで4Rは、ダウンもあったから相手に取られている。そこで自分がベルトを守るために、KOされたり一本を取られなければいいという考えを持ってしまいました。判定でも5Rで10-8がつかなければ勝てる、と。そういう意識で5R目がスタートしました。それぐらい自分の中で冷静さを失っていたんですね」

――それは5R開始前に、セコンドから『5Rを取ったほうが勝ち』という指示はなかったのですか。

「採点だけでなく、長南さんをはじめチームからは的確なゲームプランとアドバイスがありました。ただ、そこで行くか行かないかの戦略は、自分で判断して5Rを戦わないといけません。結果として、そこは自分の判断ミスだったなと思います。

これが海外の試合だったら、アナウンスも全て日本語ではないし、もっと分かりづらい部分はありますよね。でも、そんななかでも状況を把握して、冷静に判断して戦わないといけない。前回の試合は場所が日本だったというだけで、どこでどう戦おうと冷静に戦わないといけないし、まだ自分に足りない部分があると感じました」

――結果、ベルトを失って開いた心の穴が埋まったのは、DEEPフライ級GP参戦が決まってからなのでしょうか。

「いえ、その前に練習も再開していましたし、気持ちは切り替わっていました。ただ引き続きパンクラスに出るのか、あるいは他のプロモーションも面白そうだな……っていう、自分の方向性は定まっていなかったです。だからGP参戦が決まるまで、まだ本腰は入っていなかったな、という感じですね」

――そこでDEEPフライ級GP参戦が決まり、出場メンバーを聞いた時の印象はいかがでしたか。

「出場メンバーは、抽選会の時に初めて知りました(笑)」

――えっ、会場に誰がいるかも分からずに抽選会場へ行ったのですか。しかもご自身の参戦がサプライズで。

「はい(笑)。抽選会場で他の選手を見た時、やっぱり面白そうだと思いました。トーナメントに出るかぎりは、誰が相手でも優勝したいです。でも強い選手に勝って優勝しないと、自分の地位も上がっていかないので。今回のフライ級GPは、この中で優勝したら面白いな、って思えるメンバーが集まっています」

――抽選会場で出場メンバーを見てから、1回戦では誰と対戦したいと思いましたか。

「正直、誰と対戦したいという気持ちはなかったです。でも初戦から知り合いと試合したくはないなぁ、と思っていました(苦笑)」

――知り合い、というと?

「村元友太郎選手と福田龍彌選手ですね。福田選手はTRIBEで一緒に練習したこともあるので。越智(晴雄)さんも以前、一緒にトレーニングしたこともありました」

――抽選では小川選手が安谷屋選手を相手に選び、最後に越智選手と本田良介選手の盟友対決が決定しました。

「……アレ、僕のせいですよね」

――アハハハ、誰を相手に選ぶかは選手側の権利ですし、決して小川選手のせいではないでしょう。

「アレは狙っていたでしょう、って記者の方に言われました(苦笑)。でも本当に狙ってはいなくて、安谷屋選手の隣が空いていたのを見た時に、チームメイトの秋葉尉頼のことが頭をよぎったんです。2016年に亡くなった秋葉にとって、最後の対戦相手が安谷屋選手でしたから」

<この項、続く

■視聴方法
8月21日(日)
午後5時40分~SPWN PPV
午後5時40分~ニコニコ生放送PPV

■ DEEP109対戦カード

<DEEPフライ級GP1回戦/5分3R>
伊藤裕樹(日本)
原虎徹(日本)

<DEEPフライ級GP1回戦/5分3R>
安谷屋智弘(日本)
小川徹(日本)

<DEEPフライ級GP1回戦/5分3R>
本田良介(日本)
越智晴雄(日本)

<DEEPフライ級GP1回戦/5分3R>
渋谷カズキ(日本)
ビョン・ジェウン(韓国)

<フェザー級/5分3R>
今成正和(日本)
芦田崇宏(日本)

<ウェルター級/5分3R>
住村竜市朗(日本)
鈴木槙吾(日本)

<バンタム級/5分3R>
石司晃一 (日本)
山本聖悟(日本)

<メガトン級/5分2R>
誠悟(日本)
トーマス(米国)

<フェザー級/5分2R>
高野優樹(日本)
山本歩夢(日本)

<ストロー級/5分2R>
林豊(日本)
中村真人(日本)

<フェザー級/5分2R>
五明宏人(日本)
ゲオ・レバナ(コンゴ)

<バンタム級/5分2R>
KENTA(日本)
岩見凌(日本)

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